本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細をさまざまに変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
(実施の形態1)
図1は本形態に係る光電変換装置の構成を示す。図1に示す光電変換装置は、基板10上に設けられた第1電極12と、該第1電極12上に設けられた第1の半導体層14と、該第1の半導体層14上に設けられた第2の半導体層16と、該第2の半導体層16上に設けられた第3の半導体層22と、該第3の半導体層22上に設けられた第2電極24と、で構成される。第1の半導体層14と第3の半導体層22は相対する一導電型を付与する不純物元素が添加された不純物半導体層であり、一方がn型半導体層、他方がp型半導体層である。第1の半導体層14と第3の半導体層22との間に設けられる第2の半導体層16は、非晶質構造の中に第1の結晶領域と第2の結晶領域とを含むi型半導体層である。本発明の一態様に係る光電変換装置は、一対の不純物半導体層である第1の半導体層14と第3の半導体層22との間に、被膜の成膜方向に向かって成長する第1の結晶領域と第2の結晶領域とを含む半導体層である第2の半導体層を有することを特徴の一つとする。また、本形態に係る光電変換装置は、このような構成にすることにより少なくとも一つの半導体接合を含む。ここでは、第1の半導体層14はn型半導体、第3の半導体層22はp型半導体、第2の半導体層はi型半導体とする例を示す。
第2の半導体層16は、第1の半導体層14との界面側、および、第3の半導体層22との界面側に、それぞれ離散的に存在する結晶領域を含み、該結晶領域が非晶質構造の中に存在する半導体層である。結晶領域は、多結晶、単結晶、または双晶を含む単結晶などの結晶質半導体を含む。非晶質構造は、非晶質半導体であり、代表的には非晶質シリコンである。非晶質シリコンに代表される非晶質半導体は、直接遷移型であり光吸収係数が高い。そのため、第2の半導体層16の非晶質構造は、結晶領域よりも光生成キャリアを発生しやすい。また、第2の半導体層16の非晶質構造のバンドギャップが1.6eV乃至1.8eVであるのに対し、結晶領域のバンドギャップは1.1eV乃至1.4eV程度である。この関係から、第2の半導体層16で発生した光生成キャリアは、拡散により或いはドリフトにより結晶領域に移動する。結晶領域は光生成キャリアの導通路(キャリアパス)として機能する。このような構成によれば、第2の半導体層16の欠陥準位に光生成キャリアがトラップされる確率が減り、光誘起欠陥が生成されたとしても光生成キャリアは結晶領域を流れるので、高い光電変換特性を維持することができる。また、第2の半導体層16において、第1の半導体層14との界面側、および、第3の半導体層22との界面側にそれぞれ結晶領域を存在させることで、光生成キャリアである電子および正孔とも、結晶領域を流れやすくなる。したがって、従来から問題となっているような、光劣化による特性変動を低減することができる。
第2の半導体層16に含まれる結晶領域は、第1の半導体層14との界面側、および、第3の半導体層22との界面側から、それぞれ第2の半導体層16の内部に向けて、幅が狭まっていく錐形状の構造であることが好ましい。ここで、錐形とは、多数の平面から構成される面と、前記面の外周と前記面の外に存在する頂点とを結ぶ線の集合によって作られる立体的形状をいう。また、本明細書では、頂点が基板側に存在するものを便宜的に「逆錐形」ともいう。
図1では、第2の半導体層16において、第1の半導体層14との界面側に第1の結晶領域18が離散的に存在し、第3の半導体層22との界面側に第2の結晶領域20が離散的に存在する例を示している。第2の半導体層16は、非晶質構造の中に第1の結晶領域18と第2の結晶領域20とが存在している。
第1の結晶領域18と第2の結晶領域20は結晶質半導体を含み、第2の半導体層16の成膜方向に向かって成長した結晶領域である。第1の結晶領域18は、第1の半導体層14との界面から第2の半導体層16の成膜方向に向かって幅が狭まるように上狭まりに成長しており、第1の半導体層14との界面側に離散的に存在する錐形状の結晶領域である。
第2の結晶領域20は、第1の半導体層14との界面とは離れた位置から第2の半導体層16の成膜方向に向かって幅が拡がるように上拡がりに成長しており、第3の半導体層22との界面側に離散的に存在する逆錐形状の結晶領域である。第2の結晶領域20の結晶核は、第1の半導体層14との界面から離れて位置しており、結晶核を起点として結晶の成長方向と垂直な面の面内方向に拡がるように成長する。なお、第2の結晶領域20は、第3の半導体層22との界面側から見れば錐形状の結晶領域ともいえる。ここで、第2の結晶領域20の成長の起点となる結晶核の生成位置は、結晶核の生成を妨害する不純物元素の濃度、代表的には窒素の濃度により制御される。具体的には、酸素濃度を低くし、窒素濃度を酸素濃度よりも高くし、窒素濃度が第2の結晶領域20の成長方向に従って低下していくことで、第2の結晶領域の成長の起点となる結晶核の生成を制御しつつ形成することができる。窒素により結晶核の生成を制御する場合、二次イオン質量分析法によって計測される窒素濃度が1×1020/cm3以上1×1021/cm3以下、好ましくは2×1020/cm3以上7×1020/cm3以下のときに結晶核が生成され、第2の結晶領域20が成長することとなる。すなわち、第2の結晶領域20の成長の起点となる結晶核(逆錐形の頂点)の生成位置において、二次イオン質量分析法によって計測される窒素濃度は1×1020/cm3以上1×1021/cm3以下、好ましくは2×1020/cm3以上7×1020/cm3以下となる。また、窒素濃度は酸素濃度よりも一桁以上高いことが好ましい。具体的には、第2の結晶領域20の結晶核付近における、二次イオン質量分析法によって計測される酸素の濃度を5×1018/cm3以下とし、窒素の濃度を1×1020/cm3以上1×1021/cm3以下とする。
第2の半導体層16は、成膜初期段階では、半導体材料ガスに対して希釈ガスの流量比を1倍以上6倍以下として反応空間に導入してプラズマを生成し、被膜を成膜する。該被膜を所定の期間成膜した後、半導体材料ガスと希釈ガスとの流量比を調整し、微結晶半導体の生成が可能な混合比の反応ガスを反応空間に導入するとともに、結晶核の発生を妨害する不純物元素を反応空間中に含ませて所定の期間被膜を成膜する。結晶核の発生を妨害する不純物元素の濃度を低減させることで第2の半導体層16中に結晶核を生成させる。さらに成膜を続けることで結晶核を起点として結晶領域を成長させることで、最終的に非晶質構造の中に複数の結晶領域を含む第2の半導体層16を得る。なお、反応空間内の酸素濃度は低減しておくことが好ましく、少なくとも結晶核の発生を妨害する不純物元素を含ませて被膜を成膜する際は酸素濃度を低減しておくことが好ましい。
上記第2の半導体層16の成膜において、微結晶半導体で形成された第1の半導体層14上に、半導体材料ガスに対して希釈ガスの流量比を1倍以上6倍以下とした反応ガスを用いて被膜を成膜することで、第1の半導体層14から成長した第1の結晶領域18が非晶質構造の中に存在する構造を得ることができる。続けて、酸素濃度を低減した反応空間に、半導体材料ガスと希釈ガスとの流量比を調整して微結晶半導体の生成が可能な混合比の反応ガスを導入してプラズマを生成するとともに、結晶核の発生を妨害する不純物元素を含ませて被膜を所定の期間成膜した後、結晶核の発生を妨害する不純物元素の濃度を低減させることで結晶核を発生させ、さらに成膜を続ける。このようにすることで、第1の半導体層14との界面とは離れた位置に生成した結晶核を起点として成長した第2の結晶領域20が非晶質構造の中に存在する構造を得ることができる。以上により、非晶質構造の中に第1の結晶領域18と第2の結晶領域20が存在する半導体層を形成することができる。第2の半導体層16は、第1の結晶領域18と第2の結晶領域20を成長させるため、少なくとも2つの成膜条件により形成する。第1条件で所定の期間被膜の成膜を行った後、窒素濃度を酸素濃度よりも一桁以上高く含むように被膜の成膜を行い、さらに窒素濃度を低下させつつ第2条件で成膜を行うことで、窒素濃度が一定の値以下となると結晶核が生成される。そして、さらに成膜を続けることで結晶核から結晶成長が進行し、複数の結晶領域を含む半導体層が形成される。
第2の半導体層16の成膜に用いる反応ガスは、反応空間内に導入され、所定の圧力を維持してプラズマ、代表的にはグロー放電プラズマを生成する。これにより、反応空間内に置かれた基板(第1の半導体層14が形成された基板10)上に被膜(第2の半導体層16)が成膜される。本発明の一態様は、第2の半導体層16の成膜初期段階においては、半導体材料ガスに対して希釈ガスの流量比を1倍以上6倍以下として反応空間内に導入しプラズマを生成して所定の期間成膜した後、半導体材料ガスと希釈ガスとの流量比を調整して反応ガスの混合比を制御するとともに、結晶核の発生を妨害する不純物元素、代表的には窒素の濃度を制御して被膜の成膜を行うことを特徴の一つとする。第2の半導体層16の成膜初期の段階の反応ガスを、半導体材料ガスに対して希釈ガスの流量比を1倍以上6倍以下とすることで、微結晶半導体である第1の半導体層14が種結晶となり第2の半導体層16が成膜される方向に向かって、第1の結晶領域18が成長する。第1の結晶領域18は、第2の半導体層16の成膜に用いる反応ガスの希釈量を制御することで、成長させることができる。続けて、第2の半導体層16の成膜に用いる反応ガス、例えば成膜後期の段階の反応ガスを、微結晶半導体の生成が可能な混合比とし、結晶核の発生を妨害する不純物元素として窒素を含ませた被膜を所定の期間成膜した後に該窒素の濃度を低減させることで結晶核を発生させ、さらに成膜を続けることで、該結晶核から第2の半導体層16の成膜方向に向かって、第2の結晶領域20が成長する。第2の結晶領域20は、結晶核の発生を妨害する不純物元素および反応ガスの混合比を制御することで、成長させることができる。なお、少なくとも第2の結晶領域20を成長させる際は、反応空間に含まれる酸素濃度は低減されていることが好ましい。
第2の半導体層16は、シリコン又はゲルマニウムなどの半導体で形成される。具体的には、第2の半導体層16は、シランに代表される半導体材料ガスを、水素ガスに代表される希釈ガスで希釈した反応ガスを用い、プラズマCVD装置を用いて形成することができる。半導体材料ガスとしては、シラン、ジシランに代表される水素化シリコンを用いることができる。また、水素化シリコンの代わりに、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4等の塩化シリコン又はSiF4等のフッ化シリコンを用いることができる。水素ガスは希釈ガスの代表例である。ヘリウム、アルゴン、クリプトン及びネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈し、第2の半導体層16を形成することもできる。希釈は、成膜初期段階では、水素化シリコンに対して水素の流量比を1倍以上6倍以下として被膜(第2の半導体層16)を成膜し、その後、微結晶半導体の生成が可能な混合比に、水素化シリコンと水素の流量比を調整する。
また、第2の半導体層16は、非晶質構造の中に、第1の結晶領域18と第2の結晶領域20が存在するi型半導体で形成される。なお、本明細書におけるi型半導体とは、半導体に含まれるp型若しくはn型を付与する不純物元素が1×1020/cm3以下の濃度であり、酸素及び窒素が9×1019/cm3以下の濃度であり、暗伝導度に対して光伝導度が100倍以上である半導体である。このi型半導体には、硼素が1ppm〜1000ppm添加されていてもよい。すなわち、i型半導体は、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないときに弱いn型の電気伝導性を示すことがあるので、第2の半導体層16に適用する場合には、p型を付与する不純物元素を成膜と同時に、或いは成膜後に添加すると良い。p型を付与する不純物元素としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm〜1000ppmの割合で半導体材料ガスに混入させると良い。そして硼素の濃度を、例えば1×1014/cm3〜6×1016/cm3とすると良い。
第2の半導体層16を構成する非晶質構造、代表的には非晶質シリコンは直接遷移型であり光吸収係数が高いので、第1の結晶領域18および第2の結晶領域20よりも優先的に光生成キャリアを発生する。非晶質シリコン等で形成される第2の半導体層16のバンドギャップが1.6eV乃至1.8eVであるのに対し、第1の結晶領域18および第2の結晶領域20のバンドギャップは1.1eV乃至1.4eVである。この関係から、第2の半導体層16で発生した光生成キャリアは、第1の結晶領域18、第2の結晶領域20を流れることとなる。このような構成によれば、第2の半導体層16の欠陥準位に光生成キャリアがトラップされる確率が減り、また、光誘起欠陥が生成されたとしても光生成キャリアは第1の結晶領域18と第2の結晶領域20を流れるので、高い光電変換特性を維持することができる。すなわち、従来から問題となっているような、光劣化による特性変動を低減することができる。
第1の半導体層14は、一導電型を付与する不純物元素を含む不純物半導体層であり、微結晶半導体で形成する。第1の半導体層14は、基板10上に形成された第1電極12上に形成される。一導電型を付与する不純物元素は、n型を付与する不純物元素(代表的には周期表第15族元素であるリン、砒素、またはアンチモン)、または、p型を付与する不純物元素(代表的には周期表第13族元素である硼素、またはアルミニウム)が用いられる。また、第1の半導体層14は微結晶半導体で形成され、微結晶シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、または微結晶ゲルマニウムなどで形成される。本形態では、第1の半導体層14は、n型を付与する不純物元素であるリンを含む微結晶シリコンで形成される。
本形態に示す微結晶半導体層とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体を含む層である。微結晶半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体である。例示的には、結晶粒径が2nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下、より好ましくは20nm以上50nm以下である半導体を含む層である。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンのラマンスペクトルは、単結晶シリコンを示す520/cmよりも低波数側にシフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520/cmと非晶質シリコンを示す480/cmの間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素ガスまたはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、またはネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体が得られる。このような微結晶半導体は格子歪みを有し、該格子歪みにより光学特性が、単結晶シリコンの間接遷移型から直接遷移型に変化する。少なくとも10%の格子歪みがあれば、光学特性が直接遷移型に変化する。なお、歪みが局部的に存在することにより、直接遷移と間接遷移の混在した光学特性を呈することもできる。上記した微結晶半導体に関する記述は、例えば、米国特許4,409,134号で開示されている。尤も、本発明の一態様において、微結晶半導体の概念は前記した結晶粒径のみに固定されるものではない。また、同等の物性値を有するものであれば他の半導体材料に置換することもできる。
また、微結晶半導体は、微結晶半導体の生成が可能な混合比である半導体材料ガスと希釈ガスとを反応ガスとして用いて、プラズマCVD法により形成することができる。具体的には、シランに代表される半導体材料ガスを水素ガスなどで希釈した反応ガスを反応空間内に導入し、所定の圧力を維持してプラズマ、代表的にはグロー放電プラズマを生成し、反応空間内に置かれた被処理体上に微結晶半導体膜が成膜される。半導体材料ガスおよび希釈ガスは、シラン、ジシランに代表される水素化シリコン、フッ化シリコンまたは塩化シリコンに、水素ガスに代表される希釈ガス、さらに半導体材料ガスおよび水素ガスに加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン及びネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を用いることができる。希釈は、半導体材料ガス(例えば水素化シリコン)に対して希釈ガス(例えば水素ガス)の流量比を10倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とする。例えば、微結晶半導体は、プラズマCVD装置の反応室内において、シランに代表される半導体材料ガスを水素ガスなどで希釈し、グロー放電プラズマにより形成することができる。グロー放電プラズマの生成は、1MHzから20MHz、代表的には13.56MHzの高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には27.12MHz又は60MHzを印加することで行われる。また、周波数が1GHz以上の高周波電力を印加しても良い。また、半導体材料ガス中に、CH4、C2H6などの炭化物気体、GeH4、GeF4などのゲルマニウム化気体を混入させて、エネルギーバンド幅を1.5eV〜2.4eV、若しくは0.9eV〜1.1eVに調節しても良い。
第3の半導体層22は、第2の半導体層16上に形成される、一導電型を付与する不純物元素を含む不純物半導体層である。第3の半導体層22は、第1の半導体層14と逆の導電型を付与する不純物元素を含み、微結晶半導体または非晶質半導体で形成される。本形態では、第3の半導体層22は、p型を付与する不純物元素である硼素を含む微結晶シリコンで形成される。
ここで、第1の半導体層14の形成から第3の半導体層22の形成まで、図2を参照して以下に説明する。
第1電極12が形成された基板10上に第1の半導体層14を形成するため、第1の半導体層14の成膜に用いる反応ガスを反応空間内に導入しプラズマを生成して成膜を行う。ここでは、n型の微結晶シリコンを成膜するため、微結晶シリコンの生成が可能な混合比となるようSiH4ガスと水素ガスの流量比を制御し、n型を付与する不純物元素を含むPH3を加えて反応空間内に導入し、プラズマを生成して、第1の半導体層14を成膜する(図2のn型不純物シリコン層成膜)。
次に、第1の半導体層14上に第2の半導体層16を形成する。本発明の一態様では、非晶質構造の中に第1の結晶領域18と第2の結晶領域20とが離散的に存在し、第1の結晶領域18が第1の半導体層14側、第2の結晶領域20が第3の半導体層22側に存在する第2の半導体層16を形成する。ここでは、第1条件と第2条件を用いて第2の半導体層16の成膜を行う例を説明する。
第2の半導体層16の成膜初期は、第1条件で被膜の成膜を行う。第1条件は、SiH4ガスに対して水素ガスの流量比を1倍以上6倍以下として反応空間に導入し、プラズマを生成して、被膜の成膜を行う。このようにすることで、第1の半導体層14から第2の半導体層16の成膜方向に向かって第1の結晶領域18が成長する(図2の第1条件成膜)。
第1条件で所定の期間被膜を成膜した後、続けて第2条件で被膜の成膜を行う。第2条件は、微結晶半導体の生成が可能な混合比の反応ガスとなるようSiH4ガスと水素ガスの流量比を調整し、例えばSiH4ガスに対して水素ガスの流量比を10倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍として反応空間に導入し、プラズマを生成して、被膜の成膜を行う。このとき、本発明の一態様では、第2の結晶領域20を成長させるため、酸素濃度を低減した反応空間内に、結晶核の生成を妨害する不純物元素を含ませて所定の期間被膜の成膜を行った後に、結晶核の生成を妨害する不純物元素の濃度を低減させることで結晶核を生成させ、さらに成膜を続けることで結晶核から第2の結晶領域20を成長させる(図2の第2条件成膜)。最終的に非晶質構造の中に第1の結晶領域18と第2の結晶領域を含む第2の半導体層16を得る。ここでは、結晶核の生成を妨害する不純物元素として窒素を含ませるようアンモニア(NH3)ガスを反応空間に導入する例を示している。アンモニアガスに代えて、N2ガスなどを適用してもよい。
次に、第2の半導体層16上に第3の半導体層22を形成するため、第3の半導体層22の成膜に用いる反応ガスを反応空間内に導入しプラズマを生成して成膜を行う。ここでは、p型の微結晶シリコンを成膜するため、微結晶シリコンの生成が可能な混合比となるようSiH4ガスと水素ガスの流量比を制御し、p型を付与する不純物元素を含むB2H6を加えて反応空間内に導入し、プラズマを生成して、第3の半導体層22を成膜する(図2のp型不純物シリコン層成膜)。
なお、図2に示す第1条件と第2条件は一例であり、ガス流量比の切り替え、ガス種などは、特に限定されるものではない。第1の結晶領域18を成長させるためには、少なくとも第2の半導体層16の成膜初期に導入する反応ガスの流量比が、半導体材料ガスに対して希釈ガスが1倍以上6倍以下となるよう制御すればよく、第1の結晶領域18の成長が進行している段階で流量比を第2条件のように変化させてもよい。また、第1条件と第2の条件の切り替えは、半導体材料ガスと希釈ガスの流量比を除々に変化させてもよい。
また、第1の半導体層14後、大気に曝すことなく第2の半導体層16を成膜することが好ましい。これは、第1の半導体層14の界面上に自然酸化膜などの材料層が形成され、第1の結晶領域18の生成が抑制されてしまうことを防ぐためである。
また、反応空間内の酸素濃度は低減しておくことが好ましい。少なくとも、第2の半導体層16を成膜する際は酸素濃度を低減させておくことが好ましい。
以上により、光電変換層を構成する第1の半導体層14、第2の半導体層16、および第3の半導体層22が形成される。
図1は光電変換層の構成として第1の半導体層14、第2の半導体層16、および第3の半導体層22の積層構造によりnip接合を構成するものを例示するが、光電変換装置に含まれる半導体接合としてはこのnip接合の他に、ni接合、pi接合、pn接合を用いても良い。
基板10は青板ガラス、白板ガラス、鉛ガラス、強化ガラス、セラミックガラスなど市販されている様々なガラス板を用いることができる。また、アルミノシリケート酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどの無アルカリガラス基板と呼ばれるもの、石英基板、ステンレスなどの金属基板を用いることができる。基板10を光入射面(主受光面)とする場合には、基板10として透光性を有する基板を用いる。
基板10を光入射面とする場合は、第1電極12は酸化インジウム、酸化インジウム・スズ合金(ITO)、酸化亜鉛などの透明導電材料で形成し、第2電極24はアルミニウム、銀、チタン、タンタルなどの導電材料、好ましくは反射電極を形成できる金属材料を用いて形成する。第2電極24側を光入射面とする場合は、第1電極12はアルミニウム、銀、チタン、タンタルなどの導電材料を用いて形成し、透明導電材料を用いて第2電極24を形成する。第1電極12を、アルミニウム、銀、チタン、タンタルなどの金属材料を用いて反射電極とする場合、第1の半導体層14と接する側の表面に凹凸を付けると反射率が向上するため好ましい。
なお、第1電極12または第2電極24を形成する透明導電材料としては、酸化インジウム、酸化インジウム・スズ、酸化亜鉛などの酸化物金属に代えて、導電性高分子材料(導電性ポリマーともいう)を用いることができる。導電性高分子材料としては、π電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン及び又はその誘導体、ポリピロール及び又はその誘導体、ポリチオフェン及び又はその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
次に、本形態に係る光電変換装置を構成する半導体層の形成に用いるプラズマCVD装置の一例を図3に示す。
図3に示すプラズマCVD装置621は、ガス供給手段610及び排気手段611に接続されている。
図3に示すプラズマCVD装置621は、反応室601と、ステージ602と、ガス供給部603と、シャワープレート604と、排気口605と、上部電極606と、下部電極607と、交流電源608と、温度制御部609と、を具備する。
反応室601は剛性のある素材で形成され、内部を真空排気できるように構成されている。反応室601には、上部電極606と下部電極607が備えられている。なお、図3では、容量結合型(平行平板型)の構成を示しているが、反応室601の内部にプラズマを生成できるものであれば、誘導結合型など他の構成を適用してもよい。
図3に示すプラズマCVD装置により処理を行う際には、所定のガスをガス供給部603から供給する。供給されたガスは、シャワープレート604を通って、反応室601に導入される。上部電極606と下部電極607に接続された交流電源608により、高周波電力が印加されて反応室601内のガスが励起され、プラズマが生成される。また、真空ポンプに接続された排気口605によって、反応室601内のガスが排気されている。また、温度制御部609によって、被処理物を加熱しながらプラズマ処理することができる。
ガス供給手段610は、反応ガスが充填されるシリンダ612、圧力調整弁613、ストップバルブ614、マスフローコントローラ615などで構成されている。反応室601内において、上部電極606と下部電極607との間には板状に加工され、複数の細孔が設けられたシャワープレート604を有する。上部電極606に供給される反応ガスは、内部の中空構造を経て、この細孔から反応室601内に供給される。
反応室601に接続される排気手段611は、真空排気と、反応ガスを流す場合において反応室601内を所定の圧力に保持するように制御する機能が含まれている。排気手段611の構成としては、バタフライバルブ616、コンダクタンスバルブ617、ターボ分子ポンプ618、ドライポンプ619などが含まれる。バタフライバルブ616とコンダクタンスバルブ617を並列に配置する場合には、バタフライバルブ616を閉じてコンダクタンスバルブ617を動作させることで、反応ガスの排気速度を制御して反応室601の圧力を所定の範囲に保つことができる。また、コンダクタンスの大きいバタフライバルブ616を開くことで高真空排気が可能となる。
なお、反応室601を10−5Paよりも低い圧力まで超高真空排気する場合には、クライオポンプ620を併用することが好ましい。その他、到達真空度として超高真空まで排気する場合には、反応室601の内壁を鏡面加工し、内壁からのガス放出を低減するためにベーキング用のヒータを設けても良い。
なお、図3に示すように、反応室601内壁の全体を覆って膜が形成されるようにプリコート処理を行うと、反応室(チャンバー)内壁に付着した不純物元素、または反応室(チャンバー)内壁を構成する不純物元素が被膜などに混入することを防止することができる。
また、図3に示すプラズマCVD装置は、図4に示すようなマルチ・チャンバー構成とすることができる。図4に示す装置は、共通室407の周りに、ロード室401、アンロード室402、反応室(1)403a、反応室(2)403b、反応室(3)403c、予備室405を備えた構成となっている。反応室(1)403aはn型半導体層を成膜し、反応室(2)403bはi型半導体層を成膜し、反応室(3)403cはp型半導体層を成膜する反応室とすることができる。被処理体は共通室407を介して各反応室に搬出入される。共通室407と各室の間にはゲートバルブ408が備えられ、各反応室で行われる処理が、相互に干渉しないように構成されている。基板はロード室401、アンロード室406のカセット400に装填され、共通室407の搬送手段409により反応室(1)403a、反応室(2)403b、反応室(3)403cへ運ばれる。この装置では、成膜する膜種毎に反応室をあてがうことが可能であり、複数の異なる被膜を大気に触れさせることなく連続して形成することができる。
図3、図4に示すような構成のプラズマCVD装置の反応室(反応空間)内に、反応ガスを導入しプラズマを生成して、第1の半導体層14〜第3の半導体層22を形成することができる。
nip接合を有する光電変換装置を形成する場合は、n層、i層、およびp層の各半導体層の成膜に対応した反応室をプラズマCVD装置に設けることが好ましい。
この場合、まず、被処理体として第1電極12が形成された基板10が搬入された反応室(1)に第1の反応ガスを導入しプラズマを生成して、基板10上に形成された第1電極12上に第1の半導体層14(n型不純物半導体層)を形成する。次いで、第1の半導体層14が形成された基板10を大気に曝すことなく反応室(1)から搬出し、該基板10を反応室(2)へ移動させ、該反応室(2)に第2の反応ガスを導入しプラズマを生成し、第1の半導体層14上に第2の半導体層16(i型半導体層)を形成する。そして、第2の半導体層16が形成された基板10を大気に曝すことなく反応室(2)から搬出し、該基板10を反応室(3)へ移動させ、該反応室(3)に第3の反応ガスを導入してプラズマを生成し、第2の半導体層16上に第3の半導体層22(p型不純物半導体層)を形成する。図4では、積層する層の数(第1の半導体層14、第2の半導体層16、および第3の半導体層22)に応じて、反応室の数を3室とした場合を例示している。
例えば、光電変換層としてni接合、pi接合、pn接合を形成する場合には、半導体層の成膜を行う反応室は2室あれば良い。また、pp−n接合、p+pp−n接合のように一導電型の不純物濃度を異ならせた層構造を適用する場合には反応室を4室としても良いが、反応室に導入する不純物元素を含むガスの濃度を制御すれば良いので、反応室が2室でも対応できる場合がある。
(実施の形態2)
図5は、本形態に係る光電変換装置の構成を示す。この光電変換装置は、n型半導体である第1の半導体層14とp型半導体である第3の半導体層22に挟まれてi型半導体である第2の半導体層16を設けることにより、少なくとも一つの半導体接合を含んでいる。また、第1の半導体層14と第2の半導体層16の間に、低濃度不純物半導体層13を設ける構成を示す。低濃度不純物半導体層13は、第1の半導体層14と同じ導電型を付与する不純物元素を含み、且つ第1の半導体層14よりも不純物濃度が低い半導体層である。本形態では、低濃度不純物半導体層13は、n型半導体の例で説明する。
低濃度不純物半導体層13が第1の半導体層14と第2の半導体層16の間に存在することにより、半導体接合界面におけるキャリア輸送性が改善される。この場合、低濃度不純物半導体層13におけるn型不純物濃度は、第1の半導体層14から第2の半導体層16にかけて階段状に、又は連続的に減少する分布とすることでキャリア輸送性はさらに改善する。また、この構成により界面準位密度が低減し拡散電位が向上することで、光電変換装置の開放電圧が高くなる。このような接合構成の低濃度不純物半導体層13は微結晶半導体、代表的には微結晶シリコンで形成する。第2の半導体層16と接して微結晶半導体の低濃度不純物半導体層13を形成することで、第2の半導体層16に針状結晶を成長させることができる。
第2の半導体層16は非晶質構造の中に第1の結晶領域18と第2の結晶領域20とを含む構造を有し、低濃度不純物半導体層13との界面側に第1の結晶領域18が存在し、第3の半導体層105との界面側に第2の結晶領域20が存在する。低濃度不純物半導体層13上に、少なくとも成膜初期段階では半導体材料ガス(代表的にはシラン)に対して希釈ガス(代表的には水素ガス)の流量比を1倍以上6倍以下として被膜の成膜を行う。続けて、酸素濃度を低減させた反応空間に、半導体材料ガスと希釈ガスとの流量比を微結晶半導体が生成される混合比に調整するとともに結晶核の生成を妨害する不純物元素を含ませて被膜の成膜を所定の期間行った後、結晶核の生成を妨害する不純物元素の濃度を減少させていくことで結晶核を生成させ、結晶核から結晶成長させる。以上により、非晶質構造の中に、低濃度不純物半導体層13との界面から第2の半導体層16の成膜方向に向かって成長した第1の結晶領域18と、低濃度不純物半導体層13との界面とは離れた位置から第2の半導体層16の成膜方向に向かって成長した第2の結晶領域20とが含まれる第2の半導体層16が形成される。なお、第1の半導体層14をp型半導体、第3の半導体層22をn型半導体としてもよい。
基板10は実施の形態1で示した様々なガラス板を用いることができる。基板10を光入射面とする場合には、第1電極12として実施の形態1で示した酸化インジウム、酸化インジウム・スズ、酸化亜鉛などの透明導電材料を用いる。一方、第1電極12を反射電極とする場合には、第1電極12は実施の形態1で示したアルミニウム、銀、チタン、タンタルなどの金属材料を用いて形成する。なお反射電極とする場合、電極の表面に凹凸を付けると反射率が向上し好ましい。
実施の形態1と同様に、第1の半導体層14は一導電型を付与する不純物元素として燐を含む微結晶半導体(代表的には微結晶シリコン)で形成されている。低濃度不純物半導体層13は、第1の半導体層14と同じ導電型を付与する不純物元素を含み、且つ第1の半導体層14よりも低不純物濃度の不純物半導体層を微結晶半導体(代表的には微結晶シリコン)で形成する。
実施の形態1と同様に、第2の半導体層16は実質的に真性な半導体であって、非晶質半導体(代表的には非晶質シリコン)の中に、第1の結晶領域18と第2の結晶領域20が存在している。第2の半導体層16において、第1の結晶領域18は低濃度不純物半導体層13との界面側に存在し、低濃度不純物半導体層13との界面から上狭まりに錐形状の構造を有する。第1の結晶領域18は、低濃度不純物半導体層13が種結晶の機能を果たし、低濃度不純物半導体層13から第2の半導体層16の成膜方向に向かって成長した結晶領域である。また、第2の半導体層16において、第2の結晶領域20は第3の半導体層22との界面側に存在し、第3の半導体層22との界面から上狭まりに錐形状の構造を有する。また、第2の結晶領域20は、低濃度不純物半導体層13との界面から離れた位置に結晶核が発生し、該結晶核から第2の半導体層16の成膜方向(後の第3の半導体層22との界面方向)に向かって上拡がりに逆錐形状に成長した結晶領域である。
実施の形態1と同様に、微結晶半導体または非晶質半導体は、シランに代表される半導体材料ガスを、水素ガスに代表される希釈ガスで希釈して反応ガスとし、反応空間に反応ガスを導入しプラズマ化して、被膜を成膜することができる。第2の半導体層16は、少なくとも成膜初期段階は半導体材料ガスに対して希釈ガスの流量比を1倍以上6倍以下として、低濃度不純物半導体層13上に形成する。第2の半導体層16を成膜する際の反応ガス、具体的には希釈ガスによる希釈量を制御することで、低濃度不純物半導体層13から第2の半導体層16の成膜方向に向かって針状結晶を成長させ第1の結晶領域18を形成することができる。また、第2の半導体層16は、上記1倍以上6倍以下の希釈量で成膜を行った後、続けて反応ガスの流量比を調整して微結晶半導体の生成可能な混合比とするとともに、結晶核の発生を妨害する不純物元素(代表的には窒素)を反応空間に含ませて所定の期間成膜を行い、結晶核の発生を妨害する不純物元素の濃度を低減させることで結晶核を生成させる。さらに成膜を続けることで、第2の半導体層16において、低濃度不純物半導体層13との界面とは離れた位置から後に第3の半導体層22との界面となる方向に向かって逆錐形状の結晶を成長させ第2の結晶領域20を形成することができる。
実施の形態1と同様に、第3の半導体層22は、一導電型を付与する不純物元素として硼素を含む微結晶半導体又は非晶質半導体で形成される。第3の半導体層22上の第2電極24は、実施の形態1と同様な金属材料を用いる。なお、第2電極24側から光を入射させる場合には、透明導電材料で形成する。
なお、図5は、第1の半導体層14、低濃度不純物半導体層13、第2の半導体層16、第3の半導体層22が積層されたnn−ip接合を有する光電変換装置の例を示すが、pp−in接合を有する光電変換装置とすることもできる。また、これら以外の半導体接合を有する光電変換装置とすることもできる。
(実施の形態3)
本形態では、ユニットセルを複数積層した、所謂スタック型(タンデム型を含む)光電変換装置について説明する。本形態では、単結晶半導体層(代表的には単結晶シリコン)を有するユニットセルをボトムセルとし、非単結晶半導体層(代表的には非単結晶シリコン)を有するユニットセルをトップセルとする光電変換装置の例を説明する。
図6に示す光電変換装置は、基板10上に設けられた絶縁層51を間に介して設けられた第1電極12と、該第1電極12上に設けられた単結晶半導体層を有するユニットセル40と、ユニットセル40上に設けられた非単結晶半導体層を有するユニットセル30と、該ユニットセル30上に設けられた第2電極24と、で構成される。
ユニットセル30は、上記実施の形態1で示した第1の半導体層14、第2の半導体層16、および第3の半導体層22の積層構造であり、第2の半導体層16は、非晶質構造の中に第1の結晶領域18と第2の結晶領域20を含む。また、第1の半導体層14はn型半導体とし、第3の半導体層22はp型半導体とする。ユニットセル40は単結晶半導体層を有し、例えば、一導電型の不純物半導体層54、単結晶半導体層56、前記一導電型とは逆導電型の不純物半導体層58の積層構造とする。本形態では不純物半導体層54はn型半導体とし、不純物半導体層58はp型半導体とし、ユニットセル40のp型半導体である不純物半導体層58とユニットセル30のn型半導体である第1の半導体層14が接する構成とする。ユニットセル40とユニットセル30の接続部ではpn接合が形成される。
ここで、ユニットセル40を構成する単結晶半導体層(代表的には単結晶シリコン層)は、単結晶半導体基板(代表的には単結晶シリコン基板)を薄片化して形成することが好ましい。単結晶半導体基板の薄片化は、電圧で加速したイオン(代表的にはH+イオン、H2 +イオン、H3 +イオンなど水素由来のイオン)をイオン注入法又はイオンドーピング法により照射して熱処理により単結晶半導体基板を分割する方法、多光子吸収を生じさせるレーザビームを照射し単結晶半導体基板を分割する方法を適用することが好ましい。また、単結晶半導体基板を所望の厚さまで研磨して薄片化してもよいし、多孔質半導体のエピタキシャル成長層を分離する方法を適用することもできる。
ユニットセル40の光電変換層を形成する単結晶半導体層の厚さは、1μm〜10μm、好ましくは3μm〜5μmとする。なお、単結晶半導体基板から所望の厚さの単結晶半導体層を薄片化してもよいが、任意の厚さの単結晶半導体層を薄片化した後、固相成長や気相成長を利用して、単結晶半導体層の厚膜化を図ってもよい。
例えば、電圧で加速した水素イオンをイオン注入法により単結晶半導体基板に照射して、局所的に高濃度の水素が含まれる領域(以下、脆化層ともいう)を形成した後、熱処理などにより脆化層を境として分割することで、単結晶半導体層を得ることができる。また、単結晶半導体層を分割した後、単結晶半導体基板である剥離基板が残存する。剥離基板である単結晶半導体基板は繰り返し利用することができるため、このようなイオン注入法やイオンドーピング法を利用して単結晶半導体基板を分割する方法は、省資源化、低コスト化の面で好ましい。なお、多光子吸収を生じさせるレーザビームを照射する方法でも、同様に単結晶半導体基板である剥離基板が得られ、剥離基板を再利用することができる。
単結晶半導体基板から単結晶半導体層を薄片化する際、該単結晶半導体層は支持基板上に形成することが好ましい。例えば、脆化層が形成された単結晶半導体基板を支持基板に貼り合わせた後、熱処理などを行うことで、支持基板に固定された単結晶半導体基板の一部が脆化層を境として分離され、支持基板上に単結晶半導体層を形成することができる。
また、光電変換装置を形成するため、支持基板に形成された電極上に単結晶半導体層を形成することが好ましい。例えば、電極が形成された単結晶半導体基板と支持基板とを貼り合わせた後、単結晶半導体基板の一部を分離して、支持基板上に電極を間に介して単結晶半導体層を形成する。単結晶半導体基板と支持基板は、電極を接着材として機能させて貼り合わせることもできるが、貼り合わせ面(接合面)に水酸基や水分子などを接着材として存在させて分子レベルで接合させることが好ましい。また、貼り合わせ面の平坦性が良好であるほど、強固な接合を形成することができるため好ましい。平坦性を向上させるため、絶縁層を間に介して貼り合わせを行うことも好ましい。
図6では、第1電極12と基板10との間に絶縁層51が介在し、該絶縁層51を接合層として機能させる例を示している。絶縁層51は単層構造又は積層構造とすることができ、接合を形成する面の平坦性を良好にできるものであれば特に限定されない。例えば、テトラエトキシシランなどの有機シランガス、又は、シランおよびジシランなどのシランガスを反応ガスに用いてプラズマCVD法により形成される酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層などで、絶縁層51を形成することができる。
また、脆化層を境として単結晶半導体基板を分割する際、およそ400℃以上の熱処理が必要となるため、第1電極12は、高融点金属であることが好ましい。また、貼り合わせ面の平坦性を良好にするため、第1電極12の表面も平坦性に優れることが好ましい。具体的には、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、クロム又はニッケルなどの金属材料や、前述の金属材料の窒化物を用いて第1電極12を形成することが好ましい。例えば、第1電極12は、単結晶半導体層側から窒化チタンとチタンの積層構造とすることができる。
基板10上にユニットセル40を形成する一例としては、単結晶半導体基板、代表的には単結晶シリコン基板に電圧で加速した水素イオンを照射して、単結晶シリコン基板の所定の深さの領域に局所的な高濃度水素領域である脆化層を形成する。また、単結晶シリコン基板の一表面側に一導電型を付与する不純物元素(本形態ではn型不純物元素)を添加して、不純物半導体層54を形成する。単結晶シリコン基板の不純物半導体層54が形成された表面上に第1電極12を形成し、第1電極12上に絶縁層51を形成する。絶縁層51と基板10とを接触させて接合を形成し、貼り合わせる。熱処理を行い、脆化層を境として単結晶シリコン基板を分割し、第1電極12上に単結晶シリコン層である単結晶半導体層56を形成する。単結晶半導体層56の第1電極12側には不純物半導体層54が形成されている。なお、単結晶半導体基板を分割して得られる単結晶半導体層56を熱処理する、又はレーザビームを照射するなどして、分割の際のダメージによる欠陥修復などを行ってもよい。
不純物半導体層58は、薄片化して得られた単結晶半導体層に一導電型を付与する不純物元素(本形態ではp型不純物元素)を添加して形成することもできるし、プラズマCVD法などにより形成することもできる。不純物半導体層58は単結晶半導体で形成してもよいし、微結晶半導体又は非晶質半導体で形成してもよい。
不純物半導体層58上に、上記実施の形態1と同様に第1の半導体層14、第2の半導体層16、第3の半導体層22、および第2電極24を形成して、本形態に係る光電変換装置を作製することができる。
本形態では、単結晶半導体層を有するユニットセルと、非単結晶半導体層を有するユニットセルを積層することで、バンドギャップの異なるユニットセルを積層することができる。また、単結晶半導体層、代表的には単結晶シリコン層を有するユニットセルをボトムセルに配置することで、800nm以上の長波長側の光を光電変換することが可能となる。したがって、光電変換装置の光の吸収波長帯域を広くすることができ、また、本発明の一態様により、短波長側の光を光電変換するトップセルの光劣化などによる特性変動が抑制されているため、光電変換特性を向上させることができる。
(実施の形態4)
本形態では、同一基板上に複数のユニットセルを形成し、複数のユニットセルを直列接続して光電変換装置を集積化する、所謂集積型光電変換装置の例を説明する。以下、集積型光電変換装置の作製工程および構成の概略について説明する。
図7(A)において、基板101上に第1電極層102を設ける。或いは第1電極層102を備えた基板101を用意する。第1電極層102は酸化インジウム、酸化インジウム・スズ合金、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム・スズ−酸化亜鉛合金などの透明導電材料を用いて、40nm〜200nm(好適には50nm〜100nm)の厚さで形成する。第1電極層102のシート抵抗は20Ω/□〜200Ω/□程度とすれば良い。
また、第1電極層102は、導電性高分子材料を用いて形成することができる。第1電極層102として、導電性高分子材料を用いて薄膜を形成する場合は、薄膜におけるシート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、第1電極層102に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
上記導電性高分子を、単独で導電性高分子材料として第1電極層102に使用してもよい。また、導電性高分子材料の性質を調整するために有機樹脂を添加して使用することができる。
上記導電性高分子材料の性質を調整する有機樹脂としては、導電性高分子と相溶可能または混合分散可能であれば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または光硬化性樹脂のいずれであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリイミド、ポリアミド−イミド等のポリイミド系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマ−、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルエ−テル、ポリビニルブチラ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、メラミン樹脂、フェノ−ル系樹脂、ポリエ−テル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
さらに、第1電極層102の電気伝導度を調整するために、導電性高分子材料にアクセプタとなる不純物またはドナーとなる不純物を添加することにより、共役系導電性高分子の共役電子の酸化還元電位を変化させてもよい。
アクセプタとなる不純物としては、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物等を使用することができる。ハロゲン化合物としては、塩素、臭素、ヨウ素、塩化ヨウ素、臭化ヨウ素、フッ化ヨウ素等が挙げられる。ルイス酸としては五フッ化燐、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、三フッ化硼素、三塩化硼素、三臭化硼素等が挙げられる。プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸と、有機カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸を挙げることができる。有機カルボン酸及び有機スルホン酸としては、前記カルボン酸化合物及びスルホン酸化合物を使用することができる。有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等を挙げられる。
ドナーとなる不純物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、3級アミン化合物等を挙げることができる。
導電性高分子を、水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)に溶解させて、湿式法により第1電極層102となる薄膜を形成することができる。導電性高分子を溶解する溶媒としては、特に限定することはなく、上記した導電性高分子及び有機樹脂などの高分子樹脂化合物を溶解するものを用いればよい。例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、N‐メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、或いはトルエンなどの単独溶剤または混合溶剤を溶媒として溶解すればよい。
導電性高分子材料を用いた成膜は、上述のように溶媒に溶解した後、塗布法、コーティング法、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、又は印刷法等の湿式法により行うことができる。導電性高分子材料を溶解する溶媒の乾燥は、熱処理を行ってもよいし、減圧下で熱処理を行ってもよい。また、導電性高分子材料に添加された有機樹脂が熱硬化性の場合はさらに加熱処理を行えばよく、光硬化性の場合は光照射処理を行えばよい。
また、第1電極層102は、有機化合物と、有機化合物に対し電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料である透明導電材料を用いて形成することができる。複合材料は、第1の有機化合物と、第1の有機化合物に対し電子受容性を示す第2の無機化合物とを複合化させることで、抵抗率を1×106Ω・cm以下とすることができる。なお「複合」とは、単に複数の材料を混合させるだけでなく、複数の材料を混合することによって材料間での電荷の授受が行われ得る状態になることを言う。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vsec以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
具体的には、複合材料に用いることのできる有機化合物としては、以下に例示するものを適用することができる。例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などを挙げることができる。
また、有機化合物として、以下に示す有機化合物を用いることにより、450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない複合材料を得ることができる。また、抵抗率を1×106Ω・cm以下、代表的には5×104Ω・cm〜1×106Ω・cmとすることができる。
450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない複合材料としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等の芳香族アミン化合物を挙げることができる。
また、450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない複合材料としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等のカルバゾール誘導体を挙げることができる。また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、2,3,5,6−トリフェニル−1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
また、450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない複合材料としては、例えば、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジ(ナフタレン−1−イル)−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ジ(4−メチルナフタレン−1−イル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(ナフタレン−1−イル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(ナフタレン−1−イル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(ナフタレン−1−イル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ジ(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。なお、1×10−6cm2/Vsec以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
また、450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル骨格を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ{4−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニル]アミノスチレン}(略称:PStDPA)、ポリ{4−[N−(9−カルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]スチレン}(略称:PStPCA)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
また、複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属酸化物が好ましい。また元素周期表における第4族、第5族、第6族、第7族および第8族に属する金属元素の酸化物であることが好ましい。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすく好ましい。
なお、複合材料を用いた第1電極層102の作製方法は、湿式法、乾式法を問わず、どのような手法を用いても良い。例えば、複合材料を用いた第1電極層102は、上述した有機化合物と無機化合物との共蒸着で作製することができる。なお、酸化モリブデンを用いて第1電極層102を形成する場合、酸化モリブデンは真空中で蒸発しやすいため、蒸着法を用いることが作製プロセスの面からも好ましい。また、上述した有機化合物と金属アルコキシドを含む溶液を塗布し、焼成することによって第1電極層102を作製することもできる。塗布する方法としては、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。
第1電極層102に用いる複合材料が含む有機化合物の種類を選択することにより、450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない複合材料を得ることができる。よって、太陽光などの光を吸収することなく効率良く透過し、光収集効率を向上させることができる。また、複合材料を用いて第1電極層102を形成すると、曲げに強くできる。したがって、可撓性を有する基板を用いて光電変換装置を作製する場合は、複合材料を用いて第1電極層102を形成することは効果を奏する。
第1電極層102の低抵抗化という観点からはITOを用いることが適している。この際、ITOの劣化を防ぐために、ITO上にSnO2膜やZnO膜を形成することは有効である。また、ガリウムを1wt%〜10wt%含むZnO(ZnO:Ga)膜は透過率が高くITO膜上に積層させるには好適な材料である。組み合わせの一例として、ITO膜を50nm〜60nmの厚さに形成し、その上にZnO:Ga膜を25nm形成して第1電極層102を形成すると、良好な光透過特性を得ることができる。上記ITO膜とZnO:Ga膜との積層膜においてシート抵抗は120〜150Ω/□が得られる。
光電変換層106はプラズマCVD法で作製される半導体で構成され、微結晶半導体および非晶質半導体で構成される。微結晶半導体の代表例としては、SiH4ガスを水素ガスで希釈した反応ガスを用いて作製される微結晶シリコンであり、その他に微結晶シリコンゲルマニウム、微結晶シリコンカーバイトが適用される。また、非晶質半導体の代表例としては、SiH4ガスを反応ガスとして用いて作製される非晶質シリコンであり、その他に非晶質シリコンカーバイト、非晶質ゲルマニウムが適用される。光電変換層106はpin接合、pi接合、in接合、pn接合のいずれかによる半導体接合を含む。
図7(A)では、光電変換層106として、第1電極層102側からn型微結晶半導体で形成される第1の半導体層103、i型半導体で形成される第2の半導体層104、p型微結晶半導体で形成される第3の半導体層105が積層された構成を一例として示す。光電変換層106の厚さは、0.5μm〜10μm、好ましくは1μm〜5μmとする。また、光電変換層106のうち、第1の半導体層103は10nm〜20nm、第3の半導体層105は20nm〜60nmとすることができる。
第2の半導体層104には、第1の半導体層103との界面側に第1の結晶領域104aが離散的に存在し、第3の半導体層105との界面側に第2の結晶領域104bが離散的に存在する。第1の結晶領域104aは、第2の半導体層104の成膜初期の反応ガスを、半導体材料ガスに対して希釈ガスの流量比を1倍以上6倍以下として反応空間に導入し、微結晶半導体で形成された第1の半導体層103上に被膜を成膜することで、第1の半導体層との界面から第2の半導体層104の成膜方向に向かって成長させることができる。第2の結晶領域104bは、微結晶半導体の生成が可能な混合比に半導体材料ガスと希釈ガスを調整してプラズマを生成し、酸素濃度が低減された反応空間に結晶核の生成を妨害する不純物元素を含ませて被膜の成膜を所定の期間行った後に、結晶核の生成を妨害する不純物元素の濃度を減少させていくことで結晶核を生成させ、さらに成膜を続けることで結晶核から成長させることができる。第2の結晶領域104bは、結晶核の生成を妨害する不純物元素の濃度を制御することで、第1の半導体層103との界面から離れた位置に結晶核を発生させて成長させることができる。つまり、第2の半導体層104は、第1の半導体層103との界面から成長した第1の結晶領域104aと、第1の半導体層103との界面から離れた位置から成長した第2の結晶領域104bとを存在させることができる。
なお、第2の半導体層104の成膜は、第1の結晶領域104aと第2の結晶領域104bを成長させるため、半導体材料ガスと希釈ガスの混合比(流量比)が成膜途中で調整される。また、第2の結晶領域104bを成長させるため、結晶核の生成を妨害する不純物元素(代表的には窒素)や酸素濃度も制御される。第2の結晶領域104bを成長させる際、反応ガスの流量比を微結晶半導体の生成が可能な混合比へ調整するが、反応ガスの調整のタイミングは第1の結晶領域104aの結晶成長開始後であれば、特に限定されない。
図7(B)に示すように、同一基板上に複数のユニットセルを形成するために、レーザ加工法により光電変換層106と第1電極層102とを貫通する開口C0〜Cnを形成する。開口C0、C2、C4、・・・Cn−2、Cnは絶縁分離用の開口であり、素子分離された複数のユニットセルを形成するために設ける。また、開口C1、C3、C5、・・・Cn−1は分離された第1電極と光電変換層106上に後に形成される第2電極との接続を形成するために設ける。開口C0〜Cnの形成により、第1電極層102は第1電極T1〜Tmに、光電変換層106は光電変換層K1〜Kmに分割される。なお、開口を形成するためのレーザ加工法に用いるレーザの種類は限定されるものではないが、Nd−YAGレーザやエキシマレーザなどを用いることが好ましい。いずれにしても、第1電極層102と光電変換層106が積層された状態でレーザ加工を行うことにより、加工時に第1電極層102が基板101から剥離することを防ぐことができる。
図7(C)に示すように、開口C0、C2、C4、・・・Cn−2、Cnを充填し、且つ開口C0、C2、C4、・・・Cn−2、Cnの上端部を覆う絶縁樹脂層Z0〜Zmを形成する。絶縁樹脂層Z0〜Zmはスクリーン印刷法により、アクリル系、フェノール系、エポキシ系、ポリイミド系などの絶縁性のある樹脂材料を用いて形成すれば良い。例えば、フェノキシ樹脂にシクロヘキサン、イソホロン、高抵抗カーボンブラック、アエロジル、分散剤、消泡剤、レベリング剤を混合させた樹脂組成物を用い、スクリーン印刷法により開口C0、C2、C4、・・・Cn−2、Cnを充填するように絶縁樹脂パターンを形成する。絶縁樹脂パターンを形成した後、160℃に設定したオーブン中にて20分間熱硬化させ、絶縁樹脂層Z0〜Zmを得る。
次に、図8で示す第2電極E0〜Emを形成する。第2電極E0〜Emは導電材料で形成する。第2電極E0〜Emは、アルミニウム、銀、モリブデン、チタン、クロムなどを用いた導電層をスパッタリング法や真空蒸着法で形成しても良いが、吐出形成できる導電材料を用いて形成することもできる。吐出形成できる導電材料を用いて第2電極E0〜Emを形成する場合は、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンス法などにより所定のパターンを直接形成する。例えば、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の導電性粒子を主成分とした導電材料を用いて、第2電極E0〜Emを形成することができる。大面積基板を用いて光電変換装置を製造する場合には、第2電極E0〜Emを低抵抗化することが好ましい。したがって、金属の粒子として比抵抗率の低い金、銀、銅のいずれかの粒子、好適には低抵抗な銀或いは銅を溶媒に溶解又は分散させた導電材料を用いるとよい。また、レーザ加工された開口C1、C3、C5、・・・Cn−1に導電材料を十分に充填するには、導電性粒子の平均粒径が5nm〜10nmであるナノペーストを用いるとよい。
その他に、導電材料の周囲を他の導電材料で覆った導電性粒子を含む導電材料を吐出形成して、第2電極E0〜Emを形成しても良い。例えば、Cuの周りをAgで覆った導電性粒子において、CuとAgの間にNi又はNiB(ニッケル硼素)からなるバッファ層を設けた導電性粒子を用いても良い。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤等が用いられる。吐出形成する導電材料の表面張力と粘度は、溶液の濃度を調整し、界面活性剤等を加えて適宜調整する。
インクジェット法におけるノズルの径は、0.02μm〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される導電材料の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には10pl以下)に設定することが好ましい。インクジェット法には、オンデマンド型とコンティニュアス型の2つの方式があるが、どちらの方式を用いてもよい。さらにインクジェット法において用いるノズルには、圧電体の電圧印加により変形する性質を利用した圧電方式、ノズル内に設けられたヒータにより吐出物(ここでは導電材料)を沸騰させ該吐出物を吐出する加熱方式があるが、そのどちらの方式を用いてもよい。被処理体とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に液滴を滴下するために、できる限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1mm〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。ノズルと被処理体は、相対的な距離を保ちながらノズル及び被処理体のうち一方が移動することで、所望のパターンを描画することが可能である。
導電材料を吐出する工程は、減圧下で行っても良い。これは、減圧下で導電材料の吐出工程を行うことで、導電材料を吐出して被処理体に着弾するまでの間に該導電材料に含まれる溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略又は短くすることができるためである。また、導電材料を含む組成物の焼成工程において、分圧比で10%〜30%の酸素を混合させたガスを積極的に用いることにより、第2電極E0〜Emを形成する導電層の抵抗率を下げ、かつ、該導電層の薄膜化、平滑化を図ることができる。
第2電極E0〜Emを形成する組成物の吐出後は、常圧下又は減圧下で、レーザビームの照射や瞬間熱アニール(RTA)、加熱炉等により、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100℃で3分間、焼成は200℃〜350℃で15分間〜120分間で行う。本工程により、組成物中の溶媒を揮発する、又は組成物中の分散剤を化学的に除去して、周囲の樹脂を硬化収縮させることで融合と融着を加速する。乾燥と焼成を行う雰囲気は、酸素雰囲気、窒素雰囲気又は大気雰囲気で行う。但し、導電性粒子を溶解又は分散させている溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。
ナノペーストは、粒径が5nm〜10nmの導電性粒子、代表的にはナノ粒子を有機溶剤に分散又は溶解させたものであるが、他にも分散剤や、バインダーと呼ばれる熱硬化性樹脂が含まれている。バインダーは、焼成時にクラックや不均一な焼きムラが発生するのを防止する働きを持つ。そして、乾燥又は焼成工程により、有機溶剤の蒸発、分散剤の分解除去及びバインダーによる硬化収縮が同時に進行することにより、ナノ粒子同士が融合及び/又は融着して硬化する。乾燥又は焼成工程により、ナノ粒子は、数十nm〜百数十nmまで成長する。近接するナノ粒子の成長粒子同士で融合及び/又は融着して互いに連鎖することにより、金属連鎖体を形成する。一方、残った有機成分の殆ど(約80%〜90%)は、金属連鎖体の外部に押し出され、結果として、金属連鎖体を含む導電層と、その外側を覆う有機成分からなる膜が形成される。そして、有機成分からなる膜は、ナノペーストを窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する際に、気体中に含まれる酸素と、有機成分からなる膜中に含まれる炭素や水素などとが反応することにより、除去することができる。また、焼成雰囲気に酸素が含まれていない場合には、別途、酸素プラズマ処理等によって有機成分からなる膜を除去することができる。ナノペーストを窒素及び酸素を含む雰囲気下で、焼成または乾燥後、酸素プラズマで処理することによって、有機成分からなる膜は除去される。そのため、残存した金属連鎖体を含む導電層の平滑化、薄膜化、低抵抗化を図ることができる。なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(乾燥又は焼成)時間を短縮することもできる。
第2電極E0〜Emは、光電変換層106を構成する第3の半導体層105と接触する。第2電極E0〜Emと第3の半導体層105の接触をオーム接触とすることで接触抵抗を下げることができる。また、第3の半導体層105を微結晶半導体で形成し、該第3の半導体層105の厚さを30〜80nmにすることで、さらに接触抵抗の低減を図ることができる。
第2電極E0〜Emのそれぞれは、開口C1、C3、C5、・・・Cn−1において、第1電極T1〜Tmのそれぞれと接続するように形成する。すなわち開口C1、C3、C5、・・・Cn−1に、第2電極E0〜Emと同一材料を充填する。このようにして、例えば第2電極E1は第1電極T2と電気的な接続を得て、第2電極Em−1は、第1電極Tmとの電気的な接続を得ることができる。すなわち、第2電極は、隣接する第1電極との電気的な接続を得ることができ、各光電変換層K1〜Kmは直列に電気的な接続を得る。
封止樹脂層108は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂を用いて形成する。第2電極E0と第2電極Em上の封止樹脂層108に開口部109、開口部110を形成し、開口部109、開口部110で外部配線と接続できるようにする。
以上のようにして、基板101上に、第1電極T1と光電変換層K1と第2電極E1からなるユニットセルU1、・・・第1電極Tmと光電変換層Kmと第2電極Emから成るユニットセルUmが形成される。第1電極Tmは隣接する第2電極Em−1と開口Cn−1で接続しており、m個のユニットセルが直列に電気的に接続された光電変換装置を作製することができる。なお、第2電極E0は、ユニットセルU1における第1電極T1の取り出し電極となる。
また、図9と図10に本形態に係る光電変換装置の他の態様を示す。図9(A)において、基板101、第1電極層102、光電変換層106は上記と同様にして作製する。そして、光電変換層106上に印刷法により第2電極E1〜Eqを形成する。
図9(B)に示すようにレーザ加工法により光電変換層106と第1電極層102とを貫通する開口C0〜Cnを形成する。開口C0、C2、C4、・・・Cn−2、Cnはユニットセルを形成するための絶縁分離用の開口であり、開口C1、C3、C5、・・・Cn−1は光電変換層106を挟む第1電極と第2電極E1〜Eqとの接続を形成するためのものである。開口C0〜Cnの形成により、第1電極層102は第1電極T1〜Tmに、光電変換層106は光電変換層K1〜Kmに分割される。レーザ加工時においては開口の周辺に残渣が残る場合がある。残渣は被加工物の飛沫であり、レーザビームにより高温に加熱された飛沫は光電変換層106の表面に付着することにより膜にダメージを与えるので本来好ましくない。飛沫の付着等を防ぐため、開口のパターンに合わせて第2電極を形成し、その後レーザ加工することにより、少なくとも光電変換層106へのダメージを防ぐことができる。
図9(C)に示すように、開口C0、C2、C4、・・・Cn−2、Cnを充填し、且つ開口C0、C2、C4、・・・Cn−2、Cnの上端部を覆う絶縁樹脂層Z0〜Zmを印刷法、例えばスクリーン印刷法により形成する。
次に、図10に示すように開口C1、C3、C5、・・・Cn−1を充填して、第1電極T1〜Tmに接続する配線B0〜Bmをスクリーン印刷法で形成する。配線B0〜Bmは第2電極と同じ材料で形成するものであり熱硬化型のカーボンペーストを用いる。なお、配線Bmは絶縁樹脂層Zm上に形成されており、取り出し配線として機能させる。このようにして例えば第2電極E0は第1電極T2と電気的な接続を得て、第2電極Eq−2は、第1電極Tmとの電気的な接続を得ることができる。すなわち、第2電極は、隣接する第1電極との電気的な接続を得ることができ、各光電変換層K1〜Kmは直列に電気的な接続を得る。
最後に封止樹脂層108を印刷法で形成する。封止樹脂層108は配線B0と配線Bm上に開口部109、開口部110がそれぞれ形成され、この部分で外部回路と接続をする。このようにして、基板101上に第1電極T1と光電変換層K1と第2電極E0からなるユニットセルU1、・・・第1電極Tmと光電変換層Kmと第2電極Eq―1から成るユニットセルUmが形成される。そして、第1電極Tmは隣接する第2電極Eq−2と開口Cn−1で接続しており、m個のユニットセルが直列に電気的に接続された光電変換装置を作製することができる。なお、配線B0はユニットセルU1の第1電極T1の取り出し電極となる。
本発明の一態様に係る集積型光電変換装置は、光電変換を行う主要な層を、非晶質構造の中に複数の結晶領域を含む構造とするため、光劣化による特性変動を防止でき、光電変換特性を向上させることができる。また、光電変換を行う主要な層を非晶質構造で形成するため、光吸収係数が維持でき、非晶質シリコン薄膜を用いた光電変換装置の光電変換層と同程度の厚さとすることができるため、生産性との両立を図ることもできる。
(実施の形態5)
本形態では、光電変換装置の他の態様として、光センサ装置の例を示す。
図11に、本形態に係る光センサ装置の一例示す。図11に示す光センサ装置は、受光部に光電変換層225を有し、その出力を薄膜トランジスタ211で構成された増幅回路で増幅して出力する機能を備えている。光電変換層225及び薄膜トランジスタ211は基板201上に設けられている。基板201としては、透光性を有する基板、例えば、ガラス基板、石英基板、セラミックス基板等のうちのいずれかを用いることが可能である。
基板201上には、スパッタリング法又はプラズマCVD法により、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンから選ばれた単層又は複数の層から成る絶縁層202が設けられている。絶縁層202は膜応力緩和と不純物汚染を防ぐために設けられている。絶縁層202上には薄膜トランジスタ211を構成する結晶性半導体層203が設けられている。結晶性半導体層203上にはゲート絶縁層205、ゲート電極206が設けられ薄膜トランジスタ211を構成している。
薄膜トランジスタ211上には層間絶縁層207が設けられている。層間絶縁層207は、単層の絶縁層で形成されていてもよいし、異なる材料の絶縁層の積層膜であってもよい。層間絶縁層207上には、薄膜トランジスタ211のソース領域及びドレイン領域に電気的に接続する配線が形成される。さらに層間絶縁層207上には、この配線と同じ材料及び同じ工程で形成された、電極221、電極222、電極223が形成されている。電極221〜電極223は、金属膜、例えば低抵抗金属膜を用いて形成される。このような低抵抗金属膜として、アルミニウム合金または純アルミニウムなどを用いることができる。また、このような低抵抗金属膜と高融点金属膜との積層構造として、チタン膜とアルミニウム膜とTi膜とを順に積み重ねた三層構造としても良い。高融点金属膜と低抵抗金属膜との積層構造の代わりに、単層の導電層により形成することもできる。このような単層の導電層として、チタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ネオジム、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層膜、或いは、これらの窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、窒化モリブデンからなる単層膜を用いることができる。
層間絶縁層207、ゲート絶縁層205、及び、絶縁層202は端部がテーパー状になるようにエッチング加工が施されている。層間絶縁層207、ゲート絶縁層205、及び絶縁層202の端部がテーパー状に加工されていることにより、これらの膜の上に形成される保護層227の被覆率がよくなり、水分や不純物等が入りにくくなるという効果を奏する。
層間絶縁層207上には、第1の半導体層103、第2の半導体層104、第3の半導体層105を形成する。なお第1の半導体層103は少なくとも一部が電極222と接するように設ける。第1の半導体層103は微結晶半導体層で形成され、該第1の半導体層103上に、非晶質構造の中に第1の結晶領域104aと第2の結晶領域104bが存在する第2の半導体層104を形成する。第2の半導体層104上に第3の半導体層105を形成する。第2の半導体層104は、少なくとも成膜初期の段階は半導体材料ガス(代表的にはシラン)に対して希釈ガス(代表的には水素ガス)の流量比を1倍以上6倍以下として被膜の成膜を行い、第1の半導体層103との界面から第1の結晶領域104aを成長させた後、酸素濃度を低減させた反応空間で、半導体材料ガスと希釈ガスとを微結晶半導体の生成が可能な混合比とするとともに結晶核の生成を妨害する不純物元素(代表的には窒素)を含ませて被膜の成膜を所定の期間行った後、第1の半導体層103との界面から離れた位置に結晶核を生成させて第2の結晶領域104bを成長させる。具体的な第1の半導体層103、第2の半導体層104、第3の半導体層105は、図7乃至図10で説明したものと同様なものである。保護層227は、例えば、窒化シリコンで形成され、光電変換層225上に形成される。保護層227により、薄膜トランジスタ211や光電変換層225に、水分や有機物等の不純物が混入するのを防ぐことができる。保護層227上には、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂材料で形成される層間絶縁層228が設けられている。層間絶縁層228上には電極221に電気的に接続される電極231、層間絶縁層228及び保護層227中に形成されたコンタクトホールを介して光電変換層225の上層(第3の半導体層105)及び電極223と電気的に接続される電極232が形成されている。電極231および電極232としては、タングステン、チタン、タンタル、銀等を用いることが可能である。
層間絶縁層228上に、スクリーン印刷法あるいはインクジェット法にて、エポキシ樹脂、ポリイミド、アクリル、フェノール樹脂などの有機樹脂材料を用いて層間絶縁層235が設けられている。層間絶縁層235は電極231及び電極232上に開口部が設けられている。層間絶縁層235上には、例えば、ニッケルペーストを用いて印刷法により、電極231に電気的に接続される電極241、及び電極232に電気的に接続される電極242が設けられている。
図11に示す光センサ装置として機能する光電変換装置は、光電変換を行う層の主要部を構成する第2の半導体層104が、非晶質構造の中に第1の結晶領域104aと第2の結晶領域104bが存在する構成であるため、従来の非晶質シリコン薄膜と同程度の厚さで、従来の非晶質シリコン薄膜を用いた光電変換装置よりも優れた光電変換特性を得ることができる。なお、図11では、受光部に光電変換層225を有し、その出力を薄膜トランジスタ211で構成された増幅回路で増幅して出力する光センサ装置について示したが、増幅回路に係る構成を省略すれば光センサとすることができる。
(実施の形態6)
本形態では、上記実施の形態と異なる構成の集積型光電変換装置の例について説明する。以下、本形態に係る集積型光電変換装置の作製工程の概略について説明する。
図12と図13は、絶縁表面を有する同一基板上に複数のユニットセルを設け、各ユニットセルが基板上で直列に接続された光電変換装置の製造工程を示す。図12(A)において、基板10に第1電極12を形成する。第1電極12は開口M0〜Mqによって複数に絶縁分離されている。開口M0〜Mqは、基板10に導電層を一面に形成しておき、その導電層を開口パターンに合わせてエッチング除去、又はレーザビーム等のエネルギービームによって直接的に加工して形成する。
レーザ加工により基板10に形成された導電層、半導体層及び絶縁層を加工する場合には、レーザビームを光学系にて集光して行うことが好ましい。微細な加工を可能とするためである。また上述のように大面積基板を効率良く加工するには、レーザビームを線状に集光して長尺の開口を1回又は複数回のパルスレーザビームの照射により行うことが効率的である。
図12(A)において、第1電極12に開口M0〜Mqを形成した後、光電変換層を形成する。図12(A)では、第1電極12側から第1の半導体層14(n型不純物半導体層)、第2の半導体層16(i型半導体層)、第3の半導体層22(p型不純物半導体層)を形成する場合を例示している。第2の半導体層16には、第1の半導体層14との界面側に第1の結晶領域18が存在し、第3の半導体層22との界面側に第2の結晶領域20が存在している。光電変換層の構成は、この構成に代えて、図5で示す構成を適用することができる。
図12(B)は光電変換層に開口C0〜Cnを形成する。開口C0〜Cnは第1の半導体層14、第2の半導体層16、第3の半導体層22を貫通する開口であり、第1電極12の表面若しくは側面が露出するように加工する。開口C0〜Cnは所定の間隔をもって、開口M0〜Mqに隣接するように形成する。この工程もレーザ加工により行うことができる。
図13(A)は第2電極24を形成する。第2電極24は開口S0〜Snによって分離されており、開口C0〜Cnによって第1電極12と電気的に接続する構成を備えている。開口S0〜Snは所定の間隔をもって、開口C0〜Cnに隣接するように形成する。この工程もレーザ加工により行うことができる。レーザ加工を行う場合には、第2電極24にクロムを用いると昇華性であるので選択加工が容易となる。
これにより、第1電極12と第2電極24の間に光電変換層を有するユニットセルが複数形成され、それぞれのユニットセルが隣接するものと直列に接続された集積型構造を得ることができる。
図13(B)は、第2電極24上に取出電極30を設け、保護層32で被覆して、保護フィルム33を設けた構成を示す。保護フィルム33は3層構造となっており、EVA(エチレンビニルアセテート)34は加熱すると融解する接着剤の層である。アルミ箔36は防湿のための層であり外部から進入する水蒸気を遮断するためのものである。外皮フィルム38はPET(ポリエチレンテレフタレート)などで形成される。以上により基板10に複数のユニットセルが接続された光電変換装置を得ることができる。
本発明の一態様に係る光電変換装置は、光電変換を行う主要部である第2の半導体層16が、非晶質構造の中に複数の結晶領域が存在する構造であるため、光電変換特性が向上した光電変換装置を得ることができる。また、光劣化による特性低下がほとんどない光電変換装置を得ることができる。