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JP5008290B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体組成物およびそれを用いた多層構造体 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体組成物およびそれを用いた多層構造体 Download PDF

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JP5008290B2 JP2005280423A JP2005280423A JP5008290B2 JP 5008290 B2 JP5008290 B2 JP 5008290B2 JP 2005280423 A JP2005280423 A JP 2005280423A JP 2005280423 A JP2005280423 A JP 2005280423A JP 5008290 B2 JP5008290 B2 JP 5008290B2
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Description

本発明は、新規なエチレン−ビニルアルコール共重合体組成物、およびそれを用いた多層構造体に関し、さらに詳しくは、延伸性が向上し、非ネックイン性に優れた新規なエチレン−ビニルアルコール共重合体組成物およびそれを用いたガスバリア性能の安定性に優れた多層構造体に関する。
一般に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略する。)は、透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等の各種包装材料に用いられており、適用される容器形状への対応や、その機械的強度等の向上を目的として、加熱延伸処理されることも多く、また、近年においてはEVOHを含む多層延伸フィルムが多用されるようになり、その生産性を上げるために製膜速度、延伸速度も速くなる傾向にある。
このような高速製膜、高速延伸される場合においては、さらに延伸性の向上したEVOH、安定した製膜フィルムを得るために非ネックイン性に優れたEVOHが求められている。
しかしながら、E V O H はポリプロピレンやポリスチレンに比べ、加熱延伸性に劣るため、その対策として、1 ) E V O H に可塑剤を添加する方法( 例えば、特許文献1 、2 参照。) や2 ) ポリアミド系樹脂をブレンドする方法( 例えば、特許文献3 , 4 参照。) などが提案されており、また一方では、3 ) 比較的延伸性能のよい低ガラス転移温度のE VO H を併用した樹脂組成物を用いる方法( 例えば、特許文献5 〜 1 1 参照。) 、さらに4) 特定の結晶融解挙動を示すE V O H 組成物を用いる方法( 例えば、特許文献1 2 参照。) なども提案されており、また5 ) E V O H にエチレン− ( メタ) アクリル酸共重合体を添加してその低温での加熱延伸性を改善する方法( 例えば、特許文献1 3 参照。) が提案され、さらに6 ) E V O H に溶融反応でエポキシ化合物をグラフトさせ、容器への熱成形性や延伸性を改善する検討も行われている( 例えば、特許文献1 4 , 1 5 参照。)
特開昭5 3 − 8 8 0 6 7 号公報 特開昭5 9 − 2 0 3 4 5 号公報 特開昭5 2 − 1 4 1 7 8 5 号公報 特開昭5 8 − 3 6 4 1 2 号公報 特開昭6 1 − 4 7 5 2 号公報 特開昭6 0 − 1 7 3 0 3 8 号公報 特開昭6 3 − 1 9 6 6 4 5 号公報 特開昭6 3 − 2 3 0 7 5 7 号公報 特開昭6 3 − 2 6 4 6 5 6 号公報 特開平2 − 2 6 1 8 4 7 号公報 特開2 0 0 0 − 3 1 8 0 9 5 号公報 特開平0 8 − 3 1 1 2 7 6 号公報 特開2 0 0 1 − 0 3 1 8 2 3 号公報 W O 0 2 / 0 9 2 6 4 3 号公報 特開2 0 0 3 − 3 2 7 6 1 9 号公報
しかしながら、上記の方法について本発明者が詳細に検討したところ、上記の1)の方法ではガスバリア性が低下すること、2)の方法ではロングラン溶融成形性が低下すること、3)の方法では加熱延伸成形性の向上はある程度認められるものの、組成や構造の異なるEVOHのブレンドであるためその相溶性は完全に均一なものではなく、押出条件によってサージングやネックインといった現象が見られ、不良品の発生が避けられないこと、4)の方法においても実質的に組成の異なるEVOHをブレンドするためサージング、ネックインの発生が見られる。また、5)の方法では比較的低温での成形性が改善されるものの、ロングラン溶融成形性の低下が懸念され、ネックインといった現象は全く検討されていないことが判明し、6)の方法ではEVOHとエポキシ化合物を溶融状態で反応させるため、雑多な副反応生成物の発生を避けることができず、ロングラン成形性の低下や、安全衛生上の懸念が生じる可能性があり、また、ネックインといった現象は全く検討されていないことが判明した。そこで、延伸性、非ネックイン性に優れたEVOHであって、さらには延伸後のガスバリア性能の安定したEVOHの多層構造体が求められるところである。
そこで、本発明者は、かかる現況に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、2 種以上の異なるE
V O H を含有してなり、かつ少なくとも1 種のE V O H がエチレン含有量が20〜60モル%であり、下記の構造単位( 1 ) を含有するものであるE V O H 組成物が上記の目的に合致することを見出して本発明を完成するに至った。
Figure 0005008290
(ここで、Xは炭素数が5以下のアルキレン基で、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、又はアルキル基のいずれかであり、nは0または1を表す。)
本発明のEVOH組成物は、2種以上の異なるEVOHを含有し、かつ少なくとも1種のEVOHが特定の構造単位を有しているため、高速製膜を行った場合でもネックインが小さく、延伸時の延伸性に優れ、また、延伸後のガスバリア性能が安定した多層構造体を得ることができるものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のE V O H 組成物は、2 種以上の異なるE V O H からなり、すくなくともそのうちの1 種が上記の構造単位( 1 ) 、すなわち1 , 2 − グリコール結合を有する構造単位を含有するE V O H である。
まず、構造単位( 1 ) を有するE V O H ( A ) について説明する。かかるE V O H ( A )において、その主鎖と1 , 2 − グリコール結合構造とを結合する結合鎖( X ) に関しては、熱溶融安定性の点では結合種としてはアルキレンが好ましく、さらには炭素数が5 以下のアルキレンが好ましい。また、樹脂組成物のガスバリア性能が良好となる点で、炭素数はより少ないものが好ましく、n = 0 である1 , 2 − グリコール結合構造が直接、分子鎖に結合している構造が最も好ましい。また、R 1 〜 R 4 に関しては水素原子、アルキル基がモノマーの入手が容易である点で好ましく、さらには水素原子が樹脂組成物のガスバリア性が良好である点で好ましい。
本発明で用いられる構造単位(1)を含有するEVOH(A)の製造方法については特に限定されないが、最も好ましい構造である主鎖に直接1,2−グリコール結合構造を結合した構造単位を例とすると、3,4−ジオール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、およびビニルエチレンカーボネート、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化、脱炭酸する方法があげられる。また、結合鎖(X)としてアルキレンを有するものとしては4,5−ジオール−1−ペンテンや4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等とビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が挙げられる。中でも、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が共重合反応性に優れる点で好ましく、さらには3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、これらのモノマーの混合物を用いてもよい。また、少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。また、かかる共重合方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
なお、かかる3,4−ジオール−1−ブテンとは、下記(2)式、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとは、下記(3)式、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテンは下記(4)式、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテンは下記(5)式で示されるものである。
Figure 0005008290
Figure 0005008290
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
Figure 0005008290
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
Figure 0005008290
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社から、上記(3)式で示される化合物はイーストマンケミカル社やアクロス社の製品を市場から入手することができる。
また、ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合するに当たっては、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。
また、共重合体中にエチレンを導入する方法としては通常のエチレン加圧重合を行えばよく、その導入量はエチレンの圧力によって制御することが可能であり、目的とするエチレン含有量により一概にはいえないが、通常は25〜80kg/cm2の範囲から選択される。
かかる共重合に用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やt−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−iso−プロピルパーオキシジカーボネート]、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジイソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類などの低温活性ラジカル重合触媒等が挙げられ、重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して10〜2000ppmが好ましく、特には50〜1000ppmが好ましい。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点の範囲から選択することが好ましい。
本発明では、上記触媒とともにヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸を共存させることが得られる樹脂組成物の色調を良好(無色に近づける)にする点で好ましく、該ヒドロキシラクトン系化合物としては、分子内にラクトン環と水酸基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、グルコノデルタラクトン等を挙げることができ、好適にはL−アスコルビン酸、エリソルビン酸が用いられ、また、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸等を挙げることができ、好適にはクエン酸が用いられる。
かかるヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸の使用量は、回分式及び連続式いずれの場合でも、ビニルエステル系モノマー100重量部に対して0.0001〜0.1重量部、さらには0.0005〜0.05重量部、特には0.001〜0.03重量部が好ましく、かかる使用量が0.0001重量部未満では共存の効果が十分に得られないことがあり、逆に0.1重量部を超えるとビニルエステル系モノマーの重合を阻害する結果となって好ましくない。かかる化合物を重合系に仕込むにあたっては、特に限定はされないが、通常は低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等)やビニルエステル系モノマーを含む脂肪族エステル(酢酸メチル、酢酸エチル等)や水等の溶媒又はこれらの混合溶媒で希釈されて重合反応系に仕込まれる。
なお、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等の仕込み量は、所望される上記の構造単位(1)の導入量に合わせて決定すればよい。
また、本発明では、上記の共重合時に本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、ビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、グリセリンモノアリルエーテル、エチレンカーボネート等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等も挙げられる。
さらにビニルシラン類としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等を挙げることができる。
得られた共重合体は、次いでケン化されるのであるが、かかるケン化にあたっては、上記で得られた共重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解された状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等のモノマーの合計量に対して0.001〜0.1当量、好ましくは0.005〜0.05当量が適当である。かかるケン化方法に関しては目標とする鹸化度等に応じて、バッチ鹸化、ベルト上の連続鹸化、塔式の連続鹸化の何れも可能で、鹸化時のアルカリ触媒量の低減できることや鹸化反応が高効率で進み易い等の理由により、好ましくは、一定加圧下での塔式鹸化が用いられる。また、ケン化時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、2〜7kg/cm2の範囲から選択され、このときの温度は80〜150℃、好ましくは100〜130℃から選択される。
かくして、上記の構造単位( 1 ) ( 1 , 2 − グリコール結合を有する構造単位) を有するE V O H ( A ) が得られるのであるが、本発明においては、得られたE V O H ( A ) のエチレン含有量やケン化度は、特に限定されないが、エチレン含有量を 0 〜 6 0 モル%( には2 5 〜 4 8 モル% ) 、ケン化度を9 0 モル% 以上(さらには9 5 モル% 以上) とすることが好ましく、該エチレン含有量が1 0 モル% 未満では得られる成形物、特に延伸フィルムの高湿時のガスバリア性や外観性が低下する傾向にあり、逆に6 0 モル% を超えると延伸フィルムのガスバリア性が低下する傾向にあり、さらにケン化度が9 0 モル% 未満では延伸フィルムのガスバリア性や耐湿性等が低下する傾向にあり好ましくない。
さらに、EVOH(A)中に導入される1,2−グリコール結合を有する構造単位量としては特に制限はされないが、0.1〜50モル%、さらには0.5〜40モル%、特には1〜30モル%が好ましく、かかる導入量が0.1モル%未満では本発明の効果が十分に発現されず、逆に50モル%を越えるとガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。また、1,2−グリコール結合を有する構造単位量を調整するにあたっては、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量の異なる少なくとも2種のEVOHをブレンドして調整することも可能である。また、そのうちの少なくとも1種が1,2−グリコール結合を有する構造単位を有していなくても構わない。このようにして1,2−グリコール結合量が調整されたEVOHに関しては、1,2−グリコール結合量は重量平均で算出しても差し支えなく、またそのエチレン含有量についても重量平均で算出させても差し支えないが、正確には後述する1H−NMRの測定結果より、エチレン含有量、1,2−グリコール結合量を算出することができる。
かかる方法で得られた構造単位(1)を有するEVOH(A)はそのままで用いることもできるが、さらに、本発明の目的を阻害しない範囲において、酢酸、リン酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩を添加させることが、また、ホウ素化合物としてホウ酸またはその金属塩を添加させることが樹脂の熱安定性を向上させる点で好ましい。
酢酸の添加量としてはEVOH(A)100重量部に対して0.001〜1重量部(さらには0.005〜0.2重量部、特には0.010〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
ホウ酸金属塩としてはホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)があげられる。またホウ素化合物の添加量としては、組成物中の全EVOH100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部(さらには0.002〜0.2重量部、特には0.005〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
また、かかる金属塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸の金属塩が挙げられ、好適には酢酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩である。また、該金属塩の添加量としては、組成物中の全EVOH100重量部に対して金属換算で0.0005〜0.01重量部(さらには0.001〜0.05重量部、特には0.002〜0.03重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.0005重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に0.1重量部を超えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。尚、EVOHに2種以上のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を添加する場合は、その総計が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
EVOH(A)に酸類やその金属塩を添加する方法については、特に限定されず、ア)含水率20〜80重量%のEVOH(A)の多孔性析出物を、酸類やその金属塩の水溶液と接触させて、酸類やその金属塩を含有させてから乾燥する方法、イ)EVOH(A)の均一溶液(水/アルコール溶液等)に酸類やその金属塩を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法、ウ)EVOH(A)と酸類やその金属塩を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法、エ)EVOH(A)の製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の酸類で中和して、残存する酢酸等の酸類や副生成する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。本発明の効果をより顕著に得るためには、酸類やその金属塩の分散性に優れるア)、イ)またはエ)の方法が好ましい。また、酸類やその金属塩およびホウ素化合物は異なるEVOHを混合した後に添加しても良い。また、かかる添加剤を含有したEVOH組成物と、含有していないEVOHとをブレンドしてもよい。
上記ア)、イ)またはエ)の方法で得られたEVOH組成物(A)は、塩類や金属塩が添加された後、乾燥が行われる。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOHが、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状のEVOHが、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとしては空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度としては、40〜150℃が、生産性とEVOHの熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、EVOHの含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜72時間程度が、生産性とEVOHの熱劣化防止の点で好ましい。
上記の条件でEVOH組成物(A)が乾燥処理されるのであるが、該乾燥処理後の含水率は0.001〜5重量%(さらには0.01〜2重量%、特には0.1〜1重量部)になるようにするのが好ましく、該含水率が0.001重量%未満では、ロングラン成形性が低下する傾向にあり、逆に5重量%を超えると、押出成形時時に発泡が発生する虞があり好ましくない。
かくして本発明のEVOH組成物(A)が得られるわけであるが、かかるEVOH組成物(A)には、本発明の目的を阻害しない範囲において、多少のモノマー残査(3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、4,5−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン等)やモノマーのケン化物(3,4−ジオール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン等)を含んでいてもよい。
上述の方法によって得られたEVOH組成物(A)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)については特に限定はされないが、0.1〜100g/10分(さらには0.5〜50g/10分、特には1〜30g/10分)が好ましく、該メルトフローレートが該範囲よりも小さい場合には、成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となる傾向にあり、また該範囲よりも大きい場合には、加熱延伸成形時の外観性やガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。
本発明のEVOH組成物は、上述の如き上記(1)の構造単位を含有するEVOH(A)とこれと異なるEVOH(B)を含有するもので、かかるEVOH(B)としては、例えばEVOH(A)と構造単位が異なるもの、エチレン含有量が異なるもの、ケン化度が異なるもの、分子量が異なるものなどを挙げることができる。
EVOH(A)と構造単位が異なるEVOH(B)としては、例えばエチレン構造単位とビニルアルコール構造単位のみからなるEVOHや、EVOHの側鎖に2−ヒドロキシエトキシ基などの官能基を有する変性EVOHなどを挙げることができる。
また、EVOH(B)がEVOH(A)とエチレン含有量が異なるものである場合、その構造単位は同じであっても異なっていてもよいが、そのエチレン含有量差は1モル%以上(さらには2モル%以上、特には2〜20モル%)であることが好ましい。かかるエチレン含有量差が大きすぎると延伸性が不良となる場合があり、好ましくない。
また、EVOH(B)がEVOH(A)とケン化度が異なるものである場合、そのケン化度差は2モル%以上であるものが好ましく、分子量が異なるものである場合、その差はMFRで1.0以上であるものが好ましい。
本発明のEVOH組成物を得るためのブレンド方法としては、特に限定されず、各EVOHを水−アルコールやジメチルスルフォキサイド等の溶剤に溶解して溶液状態で混合する方法、各EVOHのケン化前のエチレン−酢酸ビニル系共重合体をメタノール等のアルコール溶媒に溶解した状態で混合して同時にケン化する方法、あるいは各EVOH、あるいはこれに各種添加剤を配合したEVOH組成物を溶融混合する方法などが挙げられるが、通常は溶融混合する方法が採用される。
かかる溶融混合の方法としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。特に、水分や副生成物(熱分解低分子量物等)を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を防ぐために、ホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的に供給したりすることにより、熱着色や熱劣化が軽減された品質の優れたEVOH組成物を得ることができる。
また、各EVOHまたはその組成物を押出機に供給する方法についても特に限定されず、イ)各EVOHを押出機に供給する前に予めブレンド(前述の溶液混合やケン化前混合等)しておく方法、ロ)各EVOHをドライブレンドして一括して押出機に供給する方法、ハ)1種以上のEVOHを押出機に供給して溶融させたところに固体状の他のEVOHを供給する方法(ソリッドサイドフィード法)、ニ)1種以上のEVOHを押出機に供給して溶融させたところに溶融状態の他のEVOHを供給する方法(メルトサイドフィード法)等を挙げることができるが、中でも、ロ)の方法が装置の簡便さ、ブレンド物のコスト面等で工業上実用的である。
なお、構造単位(1)を有するEVOH(A)と、これと異なるEVOH(B)との配合割合は特に限定されないが、重量比で0.05〜200、さらには0.1〜100であることが好ましく、具体的には重量比がEVOH(A)/EVOH(B)=99.5/0.5〜0.05/99.5(さらには99/1〜1/99)であり、かかる配合割合が大きすぎたり、逆に小さすぎるとガスバリア性もしくは延伸性が低下し好ましくない。
また、EVOH(A)と異なるEVOH(B)が複数である場合は、それらを合計したものをEVOH(B)の重量として考えればよい。
なお、本発明のEVOH組成物中の1,2−グリコール含有量に関しては、全組成物の各成分の平均された含有量から算出することができ、より詳細には後述の1H―NMRの測定結果から算出される。その平均された含有量に関しては0.1〜30モル%(さらには0.5〜20モル%、特には1〜10モル%)が好ましく、かかる導入量が0.1モル%未満では本発明の効果が十分に発現されず、逆に30モル%を越えるとガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。
かくして得られた本発明のEVOH組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、さらに、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば無機系酸素吸収剤として、還元鉄粉類、さらにこれに吸水性物質や電解質等を加えたもの、アルミニウム粉、亜硫酸カリウム、光触媒酸化チタン等が、有機化合物系酸素吸収剤として、アスコルビン酸、さらにその脂肪酸エステルや金属塩等、ハイドロキノン、没食子酸、水酸基含有フェノールアルデヒド樹脂等の多価フェノール類、ビス−サリチルアルデヒド−イミンコバルト、テトラエチレンペンタミンコバルト、コバルト−シッフ塩基錯体、ポルフィリン類、大環状ポリアミン錯体、ポリエチレンイミン−コバルト錯体等の含窒素化合物と遷移金属との配位結合体、テルペン化合物、アミノ酸類とヒドロキシル基含有還元性物質の反応物、トリフェニルメチル化合物等が、高分子系酸素吸収剤として、窒素含有樹脂と遷移金属との配位結合体(例:MXDナイロンとコバルトの組合せ)、三級水素含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例:ポリプロピレンとコバルトの組合せ)、炭素−炭素不飽和結合含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例:ポリブタジエンとコバルトの組合せ)、光酸化崩壊性樹脂(例:ポリケトン)、アントラキノン重合体(例:ポリビニルアントラキノン)等や、さらにこれらの配合物に光開始剤(ベンゾフェノン等)や過酸化物補足剤(市販の酸化防止剤等)や消臭剤(活性炭等)を添加したものなど)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド等)等を配合しても良い。
かくして本発明のEVOH組成物が得られるわけであるが、かかるEVOH組成物は、成形物に有用で、特に溶融成形に有用でかかる溶融成形について以下に説明する。
成形物としては単層あるいは複層(積層)のフィルムやシート、容器、チューブ等を挙げることができ、他の基材と積層するときの積層方法としては、例えば本発明のEVOH組成物のフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該樹脂を溶融押出ラミネートする方法、該樹脂と他の基材とを共押出する方法、該樹脂(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられるが、多層構造体として延伸性が良好な点で共押出する方法が好ましい。
かかる共押出法としては、具体的には、マルチマニーホールドダイ法、フィードブロック法、マルチスロットダイ法、ダイ外接着法等の公知の方法を採用することができる。ダイスの形状としてはTダイス、丸ダイスがあるが、製膜直後に急冷することにより、より延伸性を向上できる点でTダイスが好ましい。また、製膜速度に関しては10〜200m/分が生産性、フィルム物性の安定性の点で好ましい。また溶融押出時の溶融成形温度は、150〜300℃が好ましい。
かかる他の基材としては、熱可塑性樹脂が有用で、具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族または脂肪族ポリケトン、さらにこれらを還元して得られるポリアルコール類、更には他のEVOH等が挙げられるが、多層構造体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、ポリアミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましく用いられる。
さらに、本発明のEVOH組成物のフィルムやシート、延伸フィルム等の成形物に他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
多層構造体の層構成は、本発明のEVOH組成物の層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能であり、さらには、少なくとも該EVOH組成物と熱可塑性樹脂の混合物からなるリグラインド層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み合わせが可能である。なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することもでき、延伸性に優れた多層構造体が得られる点で好ましく、bの樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、熱可塑性樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。またこれらの接着性樹脂には、本発明のEVOH組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
多層構造体の各層の厚みは、層構成、bの種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、a層は2〜500μm(さらには3〜200μm)、b層は10〜5000μm(さらには30〜1000μm)、接着性樹脂層は1〜400μm(さらには2〜150μm)程度の範囲から選択される。
また、基材樹脂層に従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいても良い。
かくして得られた多層構造体を延伸する際には、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好である。一軸延伸の場合では5倍以上、特に10倍以上、二軸延伸の場合では面積倍率で5倍以上、特に10倍以上とすることが、物性的に好ましいが、本発明においては面積倍率で20倍以上、特に24〜50倍とすることも可能で、このときでも延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラ等の生じない延伸フィルムや延伸シート等が得られる。
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、深絞成形、真空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は80〜170℃、好ましくは100〜160℃程度の範囲から選ばれる。
かくして延伸が終了した後、次いで熱固定を行う。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。又、得られる延伸フィルムは必要に応じ、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深しばり加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
このようにして得られた多層構造体は延伸後に安定したガスバリア性有し、多層構造体の流れ方向のどの部分でも、つまり多層構造体の中央部、端部を比較した場合に置いても、同様に良好なガスバリア性を有する多層構造体を得ることができ、食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明の方法を具体的に説明する。なお、以下「%」とあるのは、特にことわりのない限り、重量基準を意味する。
重合例1
下記の方法によりEVOH組成物(A1)を得た。
冷却コイルを持つ1m3の重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール35kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを14kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が45kg/cm2となるまで圧入して、攪拌した後、67℃まで昇温して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量4.5kgを添加しながら重合し、重合率が50%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止してエチレン含有量38モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。
該エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を棚段塔(ケン化塔)の塔上部より10kg/時の速度で供給し、同時に該共重合体中の残存酢酸基に対して、0.012当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を塔上部より供給した。一方、塔下部から15kg/時でメタノールを供給した。塔内温度は100〜110℃、塔圧は3kg/cm2Gであった。仕込み開始後30分から、1,2−グリコール結合を有する構造単位を有するEVOH(A1)のメタノール溶液(EVOH(A1)30%、メタノール70%)が取出された。かかるEVOH(A1)の酢酸ビニル成分のケン化度は99.5モル%であった。
次いで、得られた該EVOH(A1)のメタノール溶液をメタノール/水溶液調整塔の塔上部から10kg/時で供給し、120℃のメタノール蒸気を4kg/時、水蒸気を2.5kg/時の速度で塔下部から仕込み、塔頂部よりメタノールを8kg/時で留出させると同時に、ケン化で用いた水酸化ナトリウム量に対して6当量の酢酸メチルを塔内温95〜110℃の塔中部から仕込んで塔底部からEVOH(A1)の水/アルコール溶液(樹脂濃度35%)を得た。
得られたEVOH(A1)の水/アルコール溶液を、孔径4mmのノズルより、メタノール5%、水95%よりなる5℃に維持された凝固液槽にストランド状に押し出して、凝固終了後、ストランド状物をカッターで切断し、直径3.8mm、長さ4mmの含水率45%のEVOH(A1)の多孔性ペレットを得た。
該多孔性ペレット100部に対して水100部で洗浄した後、0.032%のホウ酸及び0.007%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合液中に投入し、30℃で5時間撹拌した。さらにかかる多孔性ペレットを回分式通気箱型乾燥器にて、温度70℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて12時間乾燥を行って、含水率を30%とした後に、回分式塔型流動層乾燥器を用いて、温度120℃、水分含有率0.5%の窒素ガスで12時間乾燥を行って目的とするEVOH組成物(A1)のペレットを得た。かかるペレットは、EVOH(A1)100重量部に対して、ホウ酸およびリン酸二水素カルシウムをそれぞれ0.015重量部(ホウ素換算)および0.005重量部(リン酸根換算)含有し、MFR(210℃ 2160g)は4.0g/10分であった。
また、1,2−グリコール結合の導入量は、ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)で測定して算出したところ、2.5モル%であった。なお、NMR測定には日本ブルカー社製「AVANCE DPX400」を用いた。
Figure 0005008290
1H−NMR](図1参照)
1.0〜1.8ppm:メチレンプロトン(図1の積分値a)
1.87〜2.06ppm:メチルプロトン
3.95〜4.3ppm:構造(I)のメチレン側のプロトン+未反応の3,4−ジア セトキシ−1−ブテンのプロトン(図1の積分値b)
4.6〜5.1ppm:メチンプロトン+構造(I)のメチン側のプロトン(図1の積 分値c)
5.2〜5.9ppm:未反応の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのプロトン(図1 の積分値d)
[算出法]
5.2〜5.9ppmに4つのプロトンが存在するため、1つのプロトンの積分値はd/4、積分値bはジオールとモノマーのプロトンが含まれた積分値であるため、ジオールの1つのプロトンの積分値(A)は、A=(b−d/2)/2、積分値cは酢酸ビニル側とジオール側のプロトンが含まれた積分値であるため、酢酸ビニルの1つプロトンの積分値(B)は、B=1−(b−d/2)/2、積分値aはエチレンとメチレンが含まれた積分値であるため、エチレンの1つのプロトンの積分値(C)は、C=(a−2×A−2×B)/4=(a−2)/4と計算し、構造単位(1)の導入量は、100×{A/(A+B+C)} =100×(2×b−d)/(a+2)より算出した。
重合例2
下記の方法によりEVOH組成物(A2)を得た。
重合例1において、初期仕込みのメタノール量を20kgとし、アセチルパーオキシドの代わりにt−ブチルパーオキシネオデカノエート210ppm(対酢酸ビニル)を5時間かけて添加し、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分として全量4.5kgを添加しながら重合し、ホウ酸を添加しなかった以外は同様に行い、エチレン含有量が38モル%、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%で、リン酸二水素カルシウム0.005重量部(リン酸根換算)含有、MFRが5.2g/10分のEVOH組成物(A2)を得た。
重合例3
下記の方法によりEVOH組成物(A3)を得た。
重合例1の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの代わりに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンと3−アセトキシ−4−オール−1−ブテンと1,4−ジアセトキシ−1−ブテンの70:20:10の混合物を用いた以外は同様に行い、エチレン含有量が38モル%、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.0モル%、エチレン含有量38モル%、ホウ酸含有量0.015重量部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウム0.005重量部(リン酸根換算)含有、MFRが3.7g/10分のEVOH組成物(A3)を得た。
重合例4
下記の方法によりEVOH組成物(A4)を得た。
重合例1のメタノールの仕込量を100kgとしエチレン圧を35kg/cm2とした以外は同様に行い、エチレン含有量29モル%、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%で、ホウ酸含有量0.015重量部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウム0.005重量部(リン酸根換算)含有、MFRが3.5g/10分のEVOH組成物(A4)を得た。
重合例5
下記の方法によりEVOH組成物(A5)を得た。
重合例1と同様の条件で重合反応を行い、エチレン含有量38モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。該エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を棚段塔(ケン化塔)の塔上部より7kg/時の速度で供給し、同時に該共重合体中の残存酢酸基に対して、0.008当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を塔上部より供給した。一方、塔下部から15kg/時でメタノールを供給した。塔内温度は100〜110℃、塔圧は3kg/cm2Gであった。仕込み開始後30分から、1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有するEVOH(A5)のメタノール溶液(EVOH(A5)30%、メタノール70%)が取出された。かかるEVOH(A5)の酢酸ビニル成分のケン化度は98.0モル%であった。これ以降の操作は実施例1と同様に行い、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%で、MFR3.7g/10分で、ホウ酸0.015重量部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウム0.007重量部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物(A5)のペレットを得た。このEVOH組成物(A5)の1H―NMR測定から、未ケン化部分の残存アセチル基は全て酢酸ビニルモノマーを基とするものであり、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを基とするものは存在していないことが確認された。
別途、エチレン含有量3 2 モル% 、ケン化度9 9 . 5 モル% 、M F R = 3 . 5 g / 分(2 1 0 ℃ 、2 1 6 0 g ) 、ホウ酸の含有量( ホウ素換算) 0 . 0 1 5 重量部、リン酸0 .0 0 5 重量部( リン酸根換算) 含有のE V O H 組成物( B 1 ) 、エチレン含有量3 2 モル% 、ケン化度9 9 . 5 モル% 、M F R = 3 . 1 g / 分( 2 1 0 ℃ 、2 1 6 0 g ) 、ホウ酸未添加リン酸0 . 0 0 5 重量部( リン酸根換算) 含有のE V O H 組成物( B 2 ) 、エチレン含有量4 4 モル% 、ケン化度9 6 モル% 、M F R = 8 . 0 g / 分( 2 1 0 ℃ 、2 1 6 0g ) 、ホウ酸未添加、リン酸0 . 0 0 5 重量部( リン酸根換算) 含有、のE V O H 組成物( B 3 ) を用意した。
実施例1
上記で得られたEVOH組成物(A1)とEVOH組成物(B1)を配合重量比が30:70となるように単軸押出機に供給し220℃で溶融混合して、本発明のEVOH組成物のペレットを得た。
このペレットについて1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)で測定して、エチレン含有量の平均値および構造単位(1)の導入量の平均値を算出したところ、エチレン含有量の平均値は33.6モル%、構造単位(1)の導入量の平均値は0.9モル%であった。なお、NMR測定には日本ブルカー社製「AVANCE DPX400」を用いた。
1H−NMR](図2参照)
1.0〜1.75ppm:メチレンプロトン(図2の積分値e)
1.75〜1.90ppm:構造(1)の主鎖のメチンプロトン(図2の積分値f)
1.90〜2.02ppm:未ケン化酢酸ビニルのメチルプロトン(図2の積分値g)
3.25〜3.95ppm:1,2−グリコールのメチンプロトン+1,2−グリコー ルのメチレンプロトン+ビニルアルコールのメチンプロト ン(図2の積分値h)
[算出法]
エチレン含有量の平均値は、100×(3e+12f−2g−6h)/(3e−12f+2g+6h)より算出し、構造単位(1)の導入量は、100×12f/(3e−12f+2g+6h)より算出した。
上記で得られたペレット(EVOH組成物)をフィードブロック3種5層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供給して、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製『ノバテックPP LF6H』)層/接着樹脂(三菱化学社製『モディックAP P513V』)層/EVOH組成物層/接着樹脂層(同左)/ポリプロピレン層(同左)の層構成(厚み90/20/40/20/90μm)の多層フィルム(多層構造体)を得た。Tダイのリップ幅は400mmでリップからキャストロールまでの距離は16mmであった。また、このときの製膜速度は80m/分であった。
(非ネックイン性)
上記の多層フィルム(多層構造体)の製造において、ダイスのリップの幅と得たフィルムの幅を測定しその差を求めて、それをネックイン量として、以下のように評価した。
○・・・20mm未満
△・・・20mm以上、40mm未満
×・・・40mm超
(延伸性)
上記で得られた多層フィルム(多層構造体)を120℃のロール延伸機により3倍に縦延伸し、更に140℃の雰囲気のテンター延伸機により5.5倍に横延伸せしめ、続いて150℃の雰囲気中で熱固定して、得られた多層構造体を目視観察して、以下のように評価した。
○・・・多層延伸フィルムに白化やスジが観察されず、均一に延伸されている
△・・・多層延伸フィルム端部の一部に白化やスジが観察される
×・・・多層延伸フィルムの全面に白化やスジが観察される
(ガスバリア性の安定性)
多層延伸フィルムのTD方向(巻き方向に対して垂直な方向)に間隔を均等にとって端から端までの5カ所の酸素透過度(cc/m2・day・atm)を、温度23℃、湿度80%RHの条件で酸素透過度測定装置(MOCON社製『OXTRAN10/50』)を用いて測定し、その測定結果の標準偏差を算出した。また酸素透過度の平均値も同時に算出した。
実施例2
実施例1において、EVOH組成物(A1)/EVOH組成物(B1)の重量比を60/40とした以外は同様にEVOH組成物を作製し、同様に評価を行った。EVOH組成物の平均したエチレン含有量は35.2モル%、構造単位(1)の導入量は1.5モル%であった。
実施例3
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A2)を使用し、EVOH組成物(B1)の代わりにEVOH組成物(B2)を使用した以外は同様にEVOH組成物を作製し、同様の評価を行った。EVOH組成物の平均したエチレン含有量は33.6モル%、構造単位(1)の導入量は0.9モル%であった。
実施例4
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A3)を使用した以外は同様にEVOH組成物を作製し、同様の評価を行った。
EVOH組成物の平均したエチレン含有量は33.6モル%、構造単位(1)の導入量は0.7モル%であった。
実施例5
実施例1において、EVOH組成物(B1)の代わりにEVOH組成物(A4)を使用した以外は同様にEVOH組成物を作製し、同様の評価を行った。
EVOH組成物の平均したエチレン含有量は31.5モル%、構造単位(1)の導入量は2.5モル%であった。
実施例6
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A5)を使用し、EVOH組成物(A5)とEVOH組成物(B1)の溶融混合比を20/80とした以外は同様にEVOH組成物を作製し、同様の評価を行った。EVOH組成物の平均したエチレン含有量は33.1モル%、構造単位(1)の導入量は0.7モル%であった。
比較例1
実施例1においてEVOH組成物(A1)を用いず、EVOH組成物(B1)のみを用いて同様に評価を行った。
比較例2
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH(B3)を用い、EVOH組成物(B1)/EVOH組成物(B3)の重量比を70/30としてEVOH組成物を得た以外は同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1にまとめて示す。
〔表1〕
Figure 0005008290
*:測定上限を超えたため測定不可
本発明のEVOH組成物は、非ネックイン性、延伸性に優れ、さらにはこの組成物を少なくとも1層とする多層構造体はガスバリア性能が安定しており、食品や医療品の包装材料として有用である。
重合例1で得られたEVOHのケン化前の1H−NMRチャートである。 実施例1で得られたEVOHの1H−NMRチャートである。

Claims (15)

  1. 2 種以上の異なるエチレン− ビニルアルコール共重合体を含有してなり、かつそのうちの少なくとも1 種がエチレン含有量が20〜60モル%であり、下記の構造単位( 1 ) を含有することを特徴とするエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
    Figure 0005008290
    (ここで、Xは炭素数が5以下のアルキレン基で、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、又はアルキル基のいずれかであり、nは0または1を表す。)
  2. 構造単位( 1 ) を有するエチレン− ビニルアルコール共重合体( A ) と異なるエチレン− ビニルアルコール共重合体( B ) が、エチレン含有量が異なるもの、又は、構造単位が異なるものであることを特徴とする請求項1 記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  3. 構造単位( 1 ) を有するエチレン− ビニルアルコール共重合体( A ) と、これと異なるエチレン− ビニルアルコール共重合体( B ) のエチレン含有量の差が1 モル% 以上であることを特徴とする請求項2 記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  4. エチレン− ビニルアルコール共重合体( B ) が、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位のみからなるエチレン− ビニルアルコール共重合体であることを特徴とする請求項2 記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  5. エチレン− ビニルアルコール共重合体( A ) と、エチレン− ビニルアルコール共重合体( B ) との含有量の比が0 . 0 5 〜 2 0 0 であることを特徴とする請求項1 〜 4 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  6. 構造単位( 1 ) のn が0 であることを特徴とする請求項1 〜 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  7. 構造単位( 1 ) が共重合によりエチレン− ビニルアルコール共重合体( A ) の分子鎖中に導入されたものであることを特徴とする請求項1 〜 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  8. 構造単位( 1 ) の含有量が全てのエチレン− ビニルアルコール共重合体成分に対して0. 1 〜 3 0 モル% であることを特徴とする請求項1 〜 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  9. 構造単位( 1 ) を含有するエチレン− ビニルアルコール共重合体( A ) が3 , 4 − ジアシロキシ− 1 − ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1 〜 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  10. 構造単位( 1 ) を含有するエチレン− ビニルアルコール共重合体( A ) が3 , 4 − ジアセトキシ− 1 − ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1 〜 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  11. さらにホウ素化合物が含有されてなることを特徴とする請求項1 〜 1 0 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  12. ホウ素化合物の含有量が組成物中の全エチレン− ビニルアルコール共重合体1 0 0 重量部に対してホウ素換算で0 . 0 0 1 〜 1 重量部であることを特徴とする請求項1 〜 1 1 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  13. 請求項1 〜 1 2 いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物の層を少なくとも1 層有することを特徴とする多層構造体。
  14. エチレン− ビニルアルコール共重合体組成物の層を中間層として、その両外層にポリオ
    レフィン樹脂の層が配されてなることを特徴とする請求項1 3 記載の多層構造体。
  15. 少なくとも1 方向に3 倍以上延伸されてなることを特徴とする請求項1 3 または1 4 記載の多層構造体。
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