以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものと異なる。従って、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることに注意が必要である。また本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、種々変更して用いる事ができる。
(第1実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体素子の摸式的な平面図である。なお、層間絶縁膜、配線金属等は図示が省略されている。この半導体素子は、シリコンとゲルマニウムとの混晶の、1.2<N<10を満たすNを用いて(11N)面と表される面、ないしはそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面上に形成されている。
図1において1は素子領域であり、その上に図示されていないゲート絶縁膜を介してゲート電極2が形成されている。素子領域1にゲート電極2を挟む様に、ソース・ドレイン領域3が形成されている。ゲート電極2を挟んでソース・ドレイン領域を結ぶ方向が、[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向になる様に配置されている。
また、ソース・ドレイン領域3をも含む素子領域1は、例えば酸化シリコン等からなる素子分離領域4に依り囲まれており、面内方向に圧縮歪みが印加されている。ここである特定の面内方向に圧縮歪みが印加されているとは次の事を言う。その特定の面内にx軸とy軸とを取り、その特定の面に垂直にz軸を取る。一般に歪みは二階のテンソルで表されるが、歪みのxx成分とxy成分とyy成分とを、xy面内で定義された二階のテンソルの様に考えた場合に、そのテンソルが対角化される様にx軸とy軸とを選ぶ。この様に選んだx軸、y軸、z軸の下で、テンソルのxx成分ないしyy成分が負である事を、その特定の面内に圧縮歪みが印加されている、と言う事を本明細書中では意味する。この様に圧縮歪みが印加されていると、高い電子の移動度が得られる事が今回の検討に依り新たに判明した。これを以下に説明する。
ゲルマニウムに対して二軸性の等方圧縮歪みを印加した場合の、電子の移動度の振る舞いを計算に依り検討した。本検討においては、ゲルマニウムの伝導帯の極小点に対する歪みの影響を、歪みポテンシャルを用いて扱うことで、各極小点のエネルギーの変動を求めた。このようにして求めたエネルぎー値により、各極小点の電子の占有率を求め、移動度への各極小点の寄与の加重平均を計算することで、電子の移動度を求めた。その結果を図2に示す。
ここで、二軸性の等方圧縮歪みとは、特定の面内に於いて上に記したxx成分とyy成分との等しい圧縮歪みを意味する。なお、歪みを印加すると、特定の面内での電子の移動度は、その面内での移動方向に依存する。ここでは、その面内での最も大きな移動度の値を示してある。面の方向は図2の内挿図に示した様に、その面の法線の方位角φと天頂角θとで指定する。
図2に於いてφはパラメーターとして5°間隔で変化させ、その面内方向の電子の移動度のθに対する依存性を示してある。なお、ここではφは0oから45oまで、θは0oから54.7oまで、各々変化させてあるが、結晶の対称性より考えると、すべての面方位ないしはそれと結晶学的に等価な面がこの範囲に含まれている。なお、歪みの印加されていないゲルマニウム中の電子の移動度は等方的であり、その値は約3900cm2/V/sである(例えば、”Physics of Group IV Elements and III-V Compounds,” edited by O. Madelung, Springer-Verlag Berlin, Heidelberg, New York, 1987参照)。
図2に於いては、縦軸は電子の移動度を歪みの印加されていないゲルマニウムに於ける値で規格化して示してある。なお、図2に於いてはシリコンの上にエピタキシャル成長させたゲルマニウムを想定して、4%の圧縮歪みが印加されているとした結果を示してある。また、この計算に於いて、ゲルマニウムの伝導帯の谷に於ける等エネルギー面の長軸方向の有効質量と短軸方向の有効質量との比は19.48、長軸方向の緩和時間と短軸方向の緩和時間との比は1.4の値を用いている(例えば、J. F. Schetzina, et al., ”Strain Dependence of the Minority Carrier Mobility in p-type Germanium,” in Physical Review, vol. 181 no. 3 (1969) pp.1191-1195参照)。
図2は、面の方位角φが大きいほど移動度が高い事を示している。そして方位角φが45°の場合には、或る天頂角θの範囲に渡って移動度はほぼ一定の値となっている。これはゲルマニウムで期待される最大の移動度であり、その値は歪みの印加されていない場合の約1.448倍である。
ここで、上に示したゲルマニウムの伝導体の谷に於ける、長軸方向の緩和時間と短軸方向の緩和時間との比の有効数字が2桁である事に鑑みて、移動度の値を有効数字2桁で考える。移動度の値が、歪みの印加されていない場合の1.4倍以上となる範囲を求めると、1.2<N<10を満たすNを用いて、(11N)面と表される面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面となる。
Nは次のようにして求めた。先ず、図2のφ=45°の曲線(最も上の曲線)の縦軸の値が1.4以上となる範囲を求める、即ちφ=45°の曲線と縦軸の値が1.4という直線との交点の横軸座標を読むと、8.21°<θ<49.8°である。一般に(11N)面の法線の方位角の正接(tangent)の値は、21/2/Nで与えられるので、Nは21/2を方位角の正接で割ることで求まる。それ故、求めるNの値は1.2<N<10となる。
それ故、ゲルマニウムのn型半導体素子を構築する場合には、この範囲の面を用い、且つ面内方向に圧縮歪みを印加すると高い移動度が得られ、その結果として高い電流駆動力を有する素子が実現される。
また、上記のゲルマニウムの伝導帯の谷に於ける、長軸方向の緩和時間と短軸方向の緩和時間との比の有効数字が2桁である事に加えて、等エネルギー面の長軸方向の有効質量と短軸方向の有効質量との比の有効数字は4桁である事にも鑑みて、移動度の値をそれらの間の有効数字3桁で考える。移動度の値が、歪みの印加されていない場合の1.44倍以上となる範囲を求めると、1.3<N<6を満たすNを用いて(11N)面と表される面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面となる。それ故、ゲルマニウムのn型半導体素子を構築する場合には、この範囲の面を用い且つ面内方向に圧縮歪みを印加すると更に高い移動度が得られ、その結果として更に高い電流駆動力を有する素子が実現されると言う更なる利点が得られる。
また、上記のゲルマニウムの伝導帯の谷に於ける、等エネルギー面の長軸方向の有効質量と短軸方向の有効質量との比の有効数字は4桁である事に鑑みて、移動度を有効数字4桁で考える。移動度の値が、5桁目を四捨五入して歪みの印加されていない場合の1.448倍以上となる範囲を求めると、1.6<N<3.7を満たすNを用いて(11N)面と表される面、ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面となる。それ故、ゲルマニウムのn型半導体素子を構築する場合には、この範囲の面を用い、且つ面内方向に圧縮歪みを印加するとより一層高い移動度が得られ、その結果としてより一層高い電流駆動力を有する素子が実現されると言うより一層の利点が得られる。
なお、図2には4%の圧縮歪みの印加された場合の結果を示したが、歪みが1.4%以上であれば、歪みの印加されていない場合の1.4倍以上の移動度が実現され、歪みが1.9%以上であれば、歪みの印加されていない場合の1.44倍以上の移動度が実現され、歪みが3.5%以上であれば、歪みの印加されていない場合の1.448倍以上の移動度が実現される。それ故、歪みの値は1.4%以上である事が好ましく、1.9%以上であると更に好ましく、3.5%以上であればより一層好ましい事が判る。
なお、ここでは半導体がゲルマニウムである場合の結果のみを示したが、半導体がシリコンとゲルマニウムとの混晶である場合にもほぼ同様の結果が得られる。この結果は今回の検討に依り新たに得られた知見である。
また、上記の様に歪みが印加されていると移動度は等方的にはならないが、方位角が45°の場合には、その面内で最大の移動度の得られる方向は、天頂角θに依らずに常に[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向である事が判明した。この結果もまた、今回の検討に依り新たに得られた知見である。
なお、シリコンとゲルマニウムとの混晶に、2%ないし2.3%程度を超える歪みを印加すると、欠陥が生じやすくなる事が知られている(例えば、T. Tezuka, et al., ”Strain analysis in ultrathin SiGe-on-insulator layers formed from strained Si-on-insulator substrates by Ge-condensation process,” in Applied Physics Letters, vol. 90 (2007) pp.181918-1-3参照)。それ故、半導体素子を構築するシリコンとゲルマニウムとの混晶に印加する歪みは、2.3%程度以下である事が好ましく、2%程度以下であると更に好ましい。
なお、面方位を(abc)と言う具合に表す場合には通常はa、b、cの何れも整数として表すが、面方位を指定する為にはa、b、cの比のみが本質的であるので、本明細書中では必ずしも整数ではない場合をも含めて記述している。
また(abc)面と結晶学的に等価な面とは(abc)面、(−abc)面、(a−bc)面、(ab−c)面、(acb)面、(−acb)面、(a−cb)面、(ac−b)面、(bac)面、(−bac)面、(b−ac)面、(ba−c)面、(bca)面、(−bca)面、(b−ca)面、(bc−a)面、(cab)面、(−cab)面、(c−ab)面、(ca−b)面、(cba)面、(−cba)面、(c−ba)面、(cb−a)面、の総称である。なお、一般に(abc)面と(−a−b−c)面とは同一の面を表す。
また、[abc]方向と結晶学的に等価な方向とは[abc]方向、[−abc]方向、[a−bc]方向、[ab−c]方向、[acb]方向、[−acb]方向、[a−cb]方向、[ac−b]方向、[bac]方向、[−bac]方向、[b−ac]方向、[ba−c]方向、[bca]方向、[−bca]方向、[b−ca]方向、[bc−a]方向、[cab]方向、[−cab]方向、[c−ab]方向、[ca−b]方向、[cba]方向、[−cba]方向、[c−ba]方向、[cb−a]方向、の総称である。なお一般に[abc]方向と[−a−b−c]方向とは同一の方向を表す。
上記の1.2<N<10を満たすNを用いて(11N)面と表される面の内で、比較的簡単な整数のみで表される面としては、例えば(112)面、(113)面、(114)面、(115)面、(116)面、(117)面、(118)面、(119)面、(223)面、(225)面、(227)面、(229)面、(2、2、11)面、(2、2、13)面、(2、2、15)面、(2、2、17)面、(2、2、19)面、(334)面、(335)面、(337)面、(338)面、(3、3、10)面、(3、3、11)面、(3、3、13)面、(3、3、14)面、(3、3、16)面、(3、3、17)面、(3、3、19)面、(445)面、(447)面、(449)面、(4、4、11)面、(4、4、13)面、(4、4、15)面、(4、4、17)面、(4、4、19)面、(557)面、(558)面、(559)面、(5、5、11)面、(5、5、12)面、(5、5、13)面、(5、5、14)面、(5、5、16)面、(5、5、17)面、(5、5、18)面、(5、5、19)面、(6、6、11)面、(6、6、13)面、(6、6、17)面、(6、6、19)面、(779)面、(7、7、10)面、(7、7、11)面、(7、7、12)面、(7、7、13)面、(7、7、15)面、(7、7、16)面、(7、7、17)面、(7、7、18)面、(7、7、19)面、(8、8、11)面、(8、8、13)面、(8、8、15)面、(8、8、17)面、(8、8、19)面、(9、9、11)面、(9、9、13)面、(9、9、14)面、(9、9、16)面、(9、9、17)面、(9、9、19)面、等ないしそれらと結晶学的に等価な面が在る。なお(100)面ないしそれと結晶学的に等価なシリコン上の特定の領域に選択エピタキシャル成長を行うとその領域の境界付近に、上記の面の内で特に(113)面ないし(5、5、12)面ないしそれらと結晶学的に等価な面がよく現れる事が知られている(例えばS.-H Lim, et al., ”Si adatom diffusion on Si (100) surface in selective epitaxial growth of Si,” in Journal of Vacuum Science and Technology B, vol. 21 no. 6 (2003) pp.2388-2392、或いはT. Suzuki, et al., ”REM study of high index Si(5 5 12) flat surfaces,” in Surface Science, vol. 348 (1996) pp.335-343参照)
次に、本実施形態に依る半導体素子の製造方法について以下に説明する。先ず図3に示す様に、例えば(311)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位のシリコン基板5の上に、例えばSiH4ガスとGeH4 ガスとHClガスとを用いて、例えばシリコンとゲルマニウムとの組成比が各々0.5と0.5とである様な、シリコンとゲルマニウムとの混晶(以下ではSiGeと記す)層6を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。
次に図4に示す様に、例えばシャロー・トレンチ法等の方法を用いる事に依り、素子分離領域4を形成する。続いて前記シリコン基板5ないしSiGe層6中に、例えばB(ホウ素)イオン(図示せず)を、例えば5keVのエネルギーで1×1012/cm2注入する。
次に、図5に示すように、例えば化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、以下ではCVD法と記す)等の方法を用いる事に依り、前記素子分離領域4を含む前記SiGe層6全面に、例えば厚さ5nmの例えば酸化ハフニウム膜7を形成する。続いて、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、前記酸化ハフニウム膜7全面に、例えば厚さ10nmの、例えばW(タングステン)膜8を形成する。続いて、例えば反応性イオンエッチング法(Reactive Ion Etching法、以下ではRIE法と記す)等の異方性エッチングを施す事に依り、前記W膜8及び前記酸化ハフニウム膜7を加工して、ゲート電極2及びゲート絶縁膜9を形成する。続いて、例えばAs(砒素)イオンを例えば10keVのエネルギーで1×1015/cm2 注入する事に依り、ソース・ドレイン領域3を形成する。以後は従来技術と同様に、層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て、図1に示す本発明の半導体素子を形成する。
本実施形態に於いては、n型半導体素子の場合を例に取って示したが、光蝕刻法ないしリソグラフィー工程等の方法を用いて、基板内の特定の領域にのみ不純物を導入すれば、n型半導体素子に加えてp型半導体素子をも構築する事も可能であり、n型半導体素子のみならずp型半導体素子をも含む半導体装置にも用いる事ができる。
また、本実施形態に於いては、バルクの半導体基板上に半導体素子を形成する場合を示したが、例えばSOI基板上に半導体素子を形成したとしても、同様の効果が得られる。半導体素子をSOI基板上に形成すると、ソース・ドレイン領域の間に在るチャネル領域中の不純物濃度を低く設定する事ができるので、移動度の更なる向上が計られると言う利点がある。一方、本実施形態の様にバルクの半導体基板上に半導体素子を形成すると、基板バイアスを印加するのが容易であると言う他の利点が在る。
また、本実施形態に於いては単一の半導体素子のみの形成工程を示したが、単一の半導体素子の他に、電界効果トランジスタやバイポーラー型トランジスタ、単一電子トランジスター等の能動素子、または抵抗体やダイオードやインダクタ、キャパシタ等の受動素子、または半導体記憶素子、または例えば強誘電体を用いた素子や磁性体を用いた素子をも含む半導体装置の一部として半導体素子を形成する場合にも用いる事ができる。OEIC(オプト・エレクトリカル・インテグレーテッド・サーキット)やMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)の一部として半導体素子を形成する場合もまた同様である。
また、本実施形態に於いては、n型半導体層を形成する為の不純物としてはAsを、p型半導体層を形成する為の不純物としてはBを用いたが、n型半導体層を形成する為の不純物として他のV族不純物を用いる、ないしはp型半導体層を形成する為の不純物として他のIII族不純物を用いてもよい。また、III族やV族の不純物の導入はそれらを含む化合物の形で行ってもよい。
また、本実施形態に於いては、ソース・ドレインへの不純物の導入は、イオン注入を用いて行ったが、イオン注入以外の、例えば固相拡散や気相拡散等の方法を用いて行ってもよい。また、不純物を含有する半導体を堆積する、ないしは成長させる等の方法を用いてもよい。イオン注入の方法を用いると、n型半導体素子とp型半導体素子とを含む相補型の半導体装置の形成が容易であると言う利点が在り、不純物を含有する半導体を堆積する、ないしは固相拡散や気相拡散等の方法を用いて不純物の導入を行うと、高い不純物濃度の実現が容易であると言う利点が在る。
また、本実施形態に於いては、素子のしきい値電圧を調節する為の不純物導入は行っていないが、前記ゲート電極形成前のシリコン基板への不純物導入とは別に、しきい値電圧調節の為の不純物導入を行ってもよい。この様にするとしきい値電圧を所望の値に設定しやすくなると言う利点が得られる。また、本実施形態の様にすると工程の簡略化が図られると言う利点がある。
また、本実施形態に於いては、シリコン基板の上に、シリコンとゲルマニウムとの組成比が各々0.5と0.5とであるSiGe層をエピタキシャル成長に依り形成したが、この事は本質的ではなく、一般にシリコンとゲルマニウムとの組成比が各々1−yとyと(0≦y<1)であるSiGe層上に、シリコンとゲルマニウムとの組成比が各々1−xとxと(y<x≦1)であるSiGe層をエピタキシャル成長に依り形成してもよい。
本発明の本質は半導体素子の形成されているSiGe層に、面内方向の圧縮歪みが印加されている事であるので、下地のSiGe層に於けるゲルマニウムの組成比よりも、エピタキシャル成長に依り形成された、SiGe層に於けるゲルマニウムの組成比が高い事が本質である。
そして、上記の歪み量の好ましい範囲に鑑みると、電子の移動度の高い値の得られる条件より、上記のxとyとの差x−yは0.35以上であると好ましく、0.47以上であると更に好ましく、0.87以上であるとより一層好ましい。また、エピタキシャル成長に依り形成されたSiGe層に欠陥の生じにくい条件より、上に記したxとyとの差x−yは0.575以下であると好ましく、0.5以下であると更に好ましい。
また、本実施形態の様に下地として純粋なシリコンを用いると、従来の半導体装置の形成に広く用いられていたシリコン基板の使用が可能であるので、下地の調達が容易であると言う利点が在る。
また、本実施形態に於いては、SiGe層のエピタキシャル成長を行った後に素子分離を行ったが、SiGe層のエピタキシャル成長に先立って素子分離を行っても良い。
また、SiGe層のエピタキシャル成長を行う時にSiH4 ガスとGeH4 ガスとHClガスとを用いたが、エピタキシャル成長のソースガスはこれらの物質に限るものではない。SiH4 に代えて例えばSi2 H6 、Si3 H8 、Si4 H10等を用いても良いし、これらの混合ガスを用いても良い。
また、GeH4 に代えて例えばGe2 H6 、Ge3 H8 、Ge4 H10等を用いても良いし、これらの混合ガスを用いても良い。また、HClに代えて例えばCl2 等を用いても良いし、これらの混合ガスを用いても良い。また、例えばSiH2 Cl2 ないしGeCl4 等を用いても良い。
特にSiGe層のエピタキシャル成長に先立って素子分離を行う場合には、素子領域上のみにエピタキシャル成長を行う必要があるので、Clを含むガスを用いる事は必須である。この場合、例えばSiH2 Cl2 ないしGeCl4 等を用いると、それらに加えてHClないしCl2 等を用いなくても、素子領域上のみへのエピタキシャル成長を行う事が可能である為に、工程が簡略になると言う利点がある。
一方、SiH4 、Si2 H6 、Si3 H8 、Si4 H10等ないしGeH4 、Ge2 H6 、Ge3 H8 、Ge4 H10等に加えて、例えばHClないしCl2 等をも用いると、SiないしGeとClとの比を任意に調節する事が可能であるので、SiGe層のエピタキシャル成長の条件の制御が容易になると言う他の利点が得られる。
また、SiH4 、Si2 H6 、Si3 H8 、Si4 H10等ないしGeH4 、Ge2 H6 、Ge3 H8 、Ge4 H10等の混合ガスに代えて、例えばSiGeH6 等を用いても良い。SiGeH6 等を用いると工程が簡略になると言う利点が在る。
一方、SiH4 、Si2 H6 、Si3 H8 、Si4 H10等ないしGeH4 、Ge2 H6 、Ge3 H8 、Ge4 H10等の混合ガスないしは、例えばこれらとSiGeH6 等との混合ガスを用いれば、形成されるSiGe層のシリコンとゲルマニウムとの組成比の制御が容易であると言う他の利点が得られる。
また、本実施形態に於いては、シングルドレイン構造の素子を示したが、シングルドレイン構造以外の、例えばエクステンション構造の素子を構築したとしてもよい。またハロー構造等の素子を構築してもよい。これらの様な構造とすると素子の短チャネル効果に対する耐性が更に向上するので好ましい。
また、本実施形態に於いては、ソース・ドレイン領域の形成をゲート電極ないしゲート絶縁膜の加工の後に行っているが、これらの順序は本質ではなく、逆の順序で行ってもよい。ゲート電極ないしゲート絶縁膜の材質によっては、熱工程を施す事が好ましくない場合がある。その様な場合には、ソース・ドレイン領域への不純物の導入ないし活性化の熱工程を、ゲート電極ないしゲート絶縁膜の加工に先立って行う事が好ましい。
また、本実施形態に於いては、ゲート電極はタングステンを用いて形成しているが、他の金属を用いて形成してもよい。また単結晶シリコンや非晶質シリコン等の半導体、金属を含む化合物等、ないしはそれらの積層等で形成してもよい。半導体を用いてゲート電極を形成すると、しきい値電圧の制御が容易であると言う利点が在り、また相補型の半導体装置を形成する場合に、n型半導体素子とp型半導体素子との何れに対しても、しきい値電圧を所望の値に設定する事が容易であると言う他の利点もまた在る。また、金属ないし金属を含む化合物でゲート電極を形成すると、ゲート電極の抵抗が抑制されるので素子の高速動作が得られ、好ましい。また金属でゲート電極を形成すると酸化反応が進みにくいので、ゲート電極と絶縁膜との界面に於ける準位が抑制される等の界面の制御性が良いと言う利点も在る。
また、本実施形態に於いては、ゲート電極の形成は、その材料を堆積した後に異方性エッチングを施すと言う方法を用いて形成しているが、例えばダマシンプロセス等のような埋め込み等の方法を用いて形成してもよい。ゲート電極の形成に先立って、ソース・ドレイン領域を形成する場合には、ダマシンプロセスを用いるとソース・ドレイン領域とゲート電極とが自己整合的に形成されるので好ましい。
また、本実施形態に於いては、素子を流れる電流の主方向に測ったゲート電極の長さは、ゲート電極の上部も下部も等しいが、この事は本質的ではない。例えばゲート電極の上部を測った長さの方が下部を測った長さよりも長いアルファベットの「T」の字の様な形であってもよい。この場合にはゲート抵抗を低減する事ができると言う利点が得られる。
また、本実施形態に於いては、シリサイドないしジャーマナイド工程には言及しなかったが、ソース・ドレイン領域上にシリサイドないしジャーマナイド層を形成してもよい。また、ソース・ドレイン領域上に、金属を含む層を堆積ないしは成長させる等の方法を用いてもよい。この様にすると、ソース・ドレイン領域の抵抗が低減されるので好ましい。また、ゲート電極を多結晶シリコン等で形成する場合には、ゲート電極に対してのシリサイドないしジャーマナイド化を施してもよい。その場合にシリサイドないしジャーマナイド化を施すと、ゲート抵抗が低減されるので好ましい。また、エレベート構造を用いてもよい。エレベート構造によっても、ソース・ドレイン領域の抵抗が低減されるので好ましい。
また、本実施形態に於いては、ゲート電極の上部は電極が露出する構造であるが、上部に、例えば酸化シリコンや窒化シリコンや酸化窒化シリコン等の絶縁物を設けてもよい。特にゲート電極が金属を含む材料で形成されており、且つソース・ドレイン領域上にシリサイドないしジャーマナイド層を形成する場合等、製造工程の途中でゲート電極を保護する必要が在る場合等は、ゲート電極の上部に酸化シリコンや窒化シリコンや酸化窒化シリコン等の保護材料を設ける事は必須である。
また、本実施形態に於いては、ゲート絶縁膜として酸化ハフニウム膜を用いたが、酸化シリコン膜ないし酸化窒化シリコン膜等の絶縁膜、ないしはそれらの積層等の他の絶縁膜を用いてもよい。
絶縁膜中に窒素が存在すると、ゲート電極として不純物を含有する多結晶シリコンを用いる場合に、不純物が基板中に拡散する事が抑制される為に、しきい値電圧のバラツキが抑制されると言う利点があるので好ましい。
一方、酸化シリコンを用いると、ゲート電極との界面の界面準位ないしは絶縁膜中の固定電荷が少ない為に、素子特性のバラツキが抑制されると言う利点が得られる。また、絶縁膜として或る物質の酸化物を用いる等の場合には、まずその物質の膜を形成しておいてそれを酸化する等の方法を用いてもよい。
また、必ずしも昇温を伴わない励起状態の酸素気体に曝してもよい。昇温を伴わない励起状態の酸素気体に曝すと言う方法を用いて形成すれば、チャネル領域中の不純物が拡散に依り濃度分布を変える事が抑制されるので好ましい。
更に酸化窒化シリコンを用いる場合には、先ず酸化シリコン膜を形成し、その後に昇温状態ないし励起状態の窒素を含む気体に曝す事に依り、絶縁膜中に窒素を導入してもよい。昇温を伴わない励起状態の窒素気体に曝すと言う方法を用いて形成すれば、チャネル領域中の不純物が拡散に依り濃度分布を変える事が抑制されるので好ましい。
または、先ず窒化シリコン膜を形成し、その後に昇温状態ないし励起状態の酸素を含む気体に曝す事に依り絶縁膜中に酸素を導入してもよい。昇温を伴わない励起状態の酸素気体に曝すと言う方法を用いて形成すれば、チャネル領域中の不純物が拡散に依り濃度分布を変える事が抑制されるので好ましい。
また、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、Ta(タンタル)、Al、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、ないしはランタノイド系列の元素等の金属等の酸化物等ないしはこれらの元素を初めとする様々な元素を含むシリケート材料等、ないしはそれらに窒素をも含有させた絶縁膜等の高誘電体膜、ないしはそれらの積層等の他の絶縁膜を用いてもよい。
また、絶縁膜の形成方法はCVD法に限るものではなく、熱酸化法等の方法、蒸着法ないしスパッタ法、ないしエピタキシャル成長法等の他の方法を用いてもよい。
また、本実施形態に於いてはゲート側壁には言及していないが、ゲート電極に側壁を設けてもよい。特に高誘電率材料でゲート絶縁膜を形成する場合に高誘電率材料でゲート側壁を設けると、特許第3658564号公報に記されている様に、ゲート電極の下端角近傍に於ける、ゲート絶縁膜中の電場が緩和される為、ゲート絶縁膜の信頼性の向上が図られると言う利点が得られるので好ましい。
また、本実施形態に於いては、ゲート電極形成後の後酸化には言及していないが、ゲート電極の材料等に鑑みて可能であれば、後酸化工程を行ってもよい。また、必ずしも後酸化に限らず、例えば薬液処理ないしは反応性の気体に曝す等の方法を用いてゲート電極の角を丸める処理を行ってもよい。これらの工程が可能な場合にはそれに依りゲート電極の下端角部の電場が緩和されるのでゲート絶縁膜の信頼性が向上し、好ましい。
また、本実施形態に於いては明記していないが、層間絶縁膜としては酸化シリコン膜を用いてもよいし、例えば低誘電率材料等の酸化シリコン以外の物質を層間絶縁膜に用いてもよい。層間絶縁膜の誘電率を低くすると素子の寄生容量が低減されるので、素子の高速動作が得られると言う利点がある。
また、コンタクト孔に関しては言及していないが、自己整合コンタクトを形成する事も可能である。自己整合コンタクトを用いると素子の面積を低減する事ができるので、集積度の向上が図られ、好ましい。
また、本実施形態に於いては明記していないが、配線の為の金属層の形成は、例えばスパッタ法等を用いて行ってもよいし、堆積法等の方法を用いて行ってもよい。また、金属の選択成長等の方法を用いてもよいし、ダマシン法等の方法を用いてもよい。また、配線金属の材料は、例えばシリコンを含有するAl(アルミニウム)等を用いても、例えばCu(銅)等の金属を用いてもよい。特にCuは抵抗率が低いので好ましい。
(第2実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る半導体素子の模式的な斜視図である。層間絶縁膜、配線金属等は図示が省略されている。本実施形態の半導体素子は、(100)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つシリコン基板5の上に形成されている。
シリコン基板5内に形成された素子分離領域4に依り隔てられた素子領域1は、シリコン基板5の表面に突起領域10を持ち、その上に酸化シリコン膜11が形成され、その側面にはSiGe層6が形成されている。なお、SiGe層の参照番号6は、突起領域10の手前側のSiGe層のみ示してあるが、突起領域10の陰になる側の同形状の層も、またSiGe層6である。突起領域10は側面として(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面を持つ。そしてSiGe層6の内にソース・ドレイン領域3が形成されている。
なお、図6に於いてはソース・ドレイン領域3の底と、SiGe層6と突起領域10との界面とが一致している様に示してあるが、ソース・ドレイン領域3はSiGe層6に完全に含まれていてもよく、またSiGe層6のみならず突起領域10にまで拡がって存在していてもよい。
また、半導体素子を流れる電流の主方向、すなわちソース・ドレイン領域3を結ぶ方向、は[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向となる様に配置されている。そして、酸化シリコン膜11とSiGe層6との上には、ゲート絶縁膜9を介してゲート電極2が形成されている。
即ち、第2の実施形態の半導体素子は、(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面を持つSiGe層6の内に、ソース・ドレイン領域3が形成されているので、SiGe層6には面内方向に圧縮歪みが印加されているため、高い電子移動度を有する半導体素子が得られる。
次に、本実施形態に係る半導体素子の製造方法について説明する。なお図7から図11までは図6のA−A’線に沿った断面を示す。先ず図7に示す様に、例えばシャロー・トレンチ法等の方法を用いる事に依り素子分離領域4を形成する。この時、素子分離領域4は[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向に配置する。
次に図8に示す様に、シリコン基板5の上に、例えばSiH4ガスとHClガスとを用いてシリコンよりなる突起領域10を例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。この時、(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面が側面によく現れる。
次に図9に示す様に、例えば熱酸化等の方法を用いる事に依り、突起領域10の表面に酸化シリコン膜11を形成する。一般に、稜の近傍は平坦な領域上と比較して厚く酸化シリコン膜11が形成されるので、酸化シリコン膜11は突起領域10の上に在る稜の近傍のみ厚くなる。
次に図10に示す様に、例えば希フッ酸処理等の方法を用いる事に依り、突起領域の側面に形成されている酸化シリコン膜11を除去する。この時、突起領域の稜の近傍の酸化シリコン膜11も薄くはなるが、酸化シリコン膜は稜の近傍に於いては平坦な領域と比較して厚く形成されているので、稜の近傍のみ酸化シリコン膜11を残す事が可能である。
次に図11に示す様に、突起領域10の側面上に、例えばSiH4ガスとGeH4ガスガスとHClガスとを用いて、例えばシリコンとゲルマニウムとの組成比が各々0.5と0.5とである様なSiGe層6を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。続いて、例えば前記シリコン基板5ないしSiGe層6中にB(ホウ素)イオン(図示せず)を、例えば5keVのエネルギーで1×1012/cm2 注入する。以後は、第1実施形態の図5に示す工程と同様な工程となる。
本実施形態に於いては、(100)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の半導体基板上に半導体素子を形成した。この様にすると[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向が、基板表面に平行且つ相互に直交する様に二つの方向に存在する。それ故、半導体基板内への半導体素子の配置の自由度が増すと言う利点が在る。
一方、第1実施形態に記した様に基板表面に突起領域を設けずに直接にSiGe層を形成すると工程が簡略になると言う他の利点が在る。
また、本実施形態に於いては、突起領域の稜の近傍に酸化シリコン膜を設ける事で、稜の近傍に於いてはゲート絶縁膜が酸化シリコンと酸化ハフニウム膜との積層となり、その結果として、稜の近傍すなわち平坦な領域の間に於いては、平坦な領域と比較してゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚が厚く形成されている。そして突起領域の形成直後と比較して、稜の角が丸められている。これらの結果として、稜の近傍に於けるゲート絶縁膜中の電場が緩和され、ゲート絶縁膜の耐圧ないし信頼性が向上すると言う利点が得られる。
また、本実施形態に於いては、ソース・ドレイン領域ないしチャネル領域が、各々二つの場合を示したが、この事は本質的ではなく、各々一つないしは各々三つ以上存在しても同様である。本実施形態に示した様に各々複数個のソース・ドレイン領域ないしチャネル領域が存在すると、複数個の半導体素子が並列に存在するのと等価になる為に、高い電流駆動力が得られると言う利点がある。
また、本実施形態に於いては、突起領域の側面は(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面であるとしたが、それ以外の面方位の面であったとしても、1.2<N<10を満たすNを用いて(11N)面と表される面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面であれば、同様の効果が得られる。本実施形態に示した様に側面を、(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面とするのであれば、従来よく知られていたエピタキシャル成長の技術を用いる事ができると言う利点がある。
本実施形態に於いても第1実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態に係る半導体素子の模式的な斜視図である。層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。本実施形態の半導体素子は、(100)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つシリコン基板5の上に形成されている。シリコン基板5内に形成された素子分離領域4に依り隔てられた素子領域1は、シリコン基板5の表面に台形状の領域12を持ち、その上に酸化シリコン膜11が形成され、その側面にはSiGe層6が形成されている。なお、SiGe層6を表す引き出し線は台形状の領域12の手前側のSiGe層6のみ示してあるが、台形状の領域12の陰になる側の同形状の層もまたSiGe層6である。
台形状の領域12は側面として(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面を持つ。そしてSiGe層6の内にソース・ドレイン領域3が形成されている。なお、図12に於いてはソース・ドレイン領域3の底と、SiGe層6とシリコン基板5の表面に形成された台形状の領域12との界面とが一致している様に示してあるが、ソース・ドレイン領域3はSiGe層6に完全に含まれていてもよく、またSiGe層6のみならずシリコン基板5の表面に形成された台形状の領域12にまで拡がって存在していてもよい。
また、半導体素子を流れる電流の主方向、すなわちソース・ドレイン領域3を結ぶ方向、は[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向となる様に配置されている。そして、酸化シリコン膜11とSiGe層6との上にはゲート絶縁膜9を介してゲート電極2が形成されている。
次に、本実施形態に依る半導体素子の製造方法について以下に説明する。なお図13から図16までは図12のB−B’線に沿った断面を示す。
先ず、第2実施形態の図7に示す工程に引き続いて図13に示す様に、シリコン基板5の上に、例えばSiH2ガスとHClガスとを用いてシリコンよりなる台形状の領域12を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。この時、上にも記した様に(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面が側面によく現れる。なお、高さの調節はエピタキシャル成長を行う時間を調節する事に依り可能である。
次に、図14に示す様に、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、例えば窒化シリコン膜13を形成する。その後に、例えば化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing法、以下ではCMP法と記す)等の方法を用いる事に依り、表面を平坦化して前記台形状の領域12の上面を露出させる。
次に図15に示す様に、例えば熱酸化等の方法を用いる事に依り、前記台形状の領域12の上面に酸化シリコン膜11を形成する。この時、露出している前記台形状の領域12の上面には、酸化シリコン膜11が形成されるが、前記窒化シリコン膜13で覆われている前記台形状の領域12の側面には、酸化シリコン膜11は形成されない。
次に図16に示す様に、例えば熱燐酸処理等の方法を用いる事に依り、前記窒化シリコン膜13を除去する。以後は第2実施形態の図11に示す工程と同様である。
本実施形態に於いては、第2実施形態とは異なり、台形上面の絶縁膜11が平面状に形成されるので、絶縁膜11の形状の制御が容易である。一方、第2実施形態に示した様にすると工程が簡略になると言う他の利点が在る。
また、本実施形態に於いては、台形状の領域の側面は(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面であるとしたが、それ以外の面方位の面であったとしても、1.2<N<10を満たすNを用いて(11N)面と表される面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面であれば、同様の効果が得られる。本実施形態に示した様に側面を、(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面とするのであれば、従来よく知られていたエピタキシャル成長の技術を用いる事ができると言う利点がある。
本実施形態に於いても、前述の実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
図17は第4の実施形態に係る半導体装置の斜視図である。また、層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。本実施形態の半導体装置は、(100)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つシリコン基板5の上に形成されており、n型半導体素子15とp型半導体素子16とを含んでいる。
n型半導体素子15に於いては、シリコン基板5内に形成された素子分離領域4に依り隔てられた素子領域1は、シリコン基板5の表面に台形状の領域12を持ち、その上に酸化シリコン膜11が形成され、その側面にはSiGe層6が形成されている。なお、SiGe層6を表す引出し線は台形状の領域12の手前側のSiGe層6のみ示してあるが、台形状の領域12の陰になる側の同形状の層もまたSiGe層6である。台形状の領域12は側面として(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面を持つ。そしてSiGe層6の内にソース・ドレイン領域3が形成されている。
なお、図17に於いてはソース・ドレイン領域3の底と、SiGe層6と台形状の領域12との界面とが一致している様に示してあるが、ソース・ドレイン領域3はSiGe層6に完全に含まれていてもよく、またSiGe層6のみならずシリコン基板5の表面に形成された台形状の領域12にまで拡がって存在していてもよい。
また、半導体素子を流れる電流の主方向、すなわちソース・ドレイン領域3を結ぶ方向、は[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向となる様に配置されている。そして、酸化シリコン膜11とSiGe層6との上には、ゲート絶縁膜9を介してゲート電極2が形成されている。
また、p型半導体素子16に於いては、シリコン基板5内に形成された素子分離領域4に依り隔てられた素子領域1は、シリコン基板5の表面に直方体状の領域14を持ち、その上に酸化シリコン膜11が形成され、その側面にはSiGe層6が形成されている。
なお、SiGe層6を表す引出し線は、直方体状の領域14の手前側のSiGe層6のみ示してあるが、直方体状の領域14の陰になる側の同形状の層もまたSiGe層6である。直方体状の領域14は側面として(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面を持つ。そしてSiGe層6の内にソース・ドレイン領域3が形成されている。
なお、図17に於いてはソース・ドレイン領域3の底と、SiGe層6と直方体状の領域14との界面が一致している様に示してあるが、ソース・ドレイン領域3はSiGe層6に完全に含まれていてもよく、またSiGe層6のみならずシリコン基板5の表面に形成された直方体状の領域14にまで拡がって存在していてもよい。
また、半導体素子を流れる電流の主方向、すなわちソース・ドレイン領域3を結ぶ方向、は[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向となる様に配置されている。そして、酸化シリコン膜11とSiGe層6との上にはゲート絶縁膜9を介してゲート電極2が形成されている。
なお、n型半導体素子15に於いてもp型半導体素子16に於いても、各々、台形状の領域12ないし直方体状の領域14、ないしSiGe層6、ないしソース・ドレイン領域3、ないし酸化シリコン膜11、はゲート電極2の陰になる側にも手前側と同様に存在するが、図17に於いては陰になっている部分は示されていない。また、ゲート電極2の陰になる側に於いては、名称を示す引出し線は省略されている。
次に、本実施形態に依る半導体素子の製造方法について以下に説明する。なお図18から図27までは図17のC−C’線に沿った断面を示す。先ず図18に示す様に、例えばシャロー・トレンチ法等の方法を用いる事に依り、素子分離領域4を形成する。この時、素子分離領域4は、[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向に配置する。
次に図19に示す様に、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、例えば窒化シリコン膜13を形成する。その後にn型半導体素子形成領域上の前記窒化シリコン膜13を除去する。この様に一部を残して他の一部を除去する事は、例えば光蝕刻法等の方法を用いる事に依り可能である。
次に図20に示す様に、シリコン基板5の上に、例えばSiH4ガスとHClガスとを用いてシリコンよりなる台形状の領域12を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。この時、(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面が側面によく現れる。なお、高さの調節は、エピタキシャル成長を行う時間を調節する事に依り可能である。続いて、例えば熱燐酸処理等の方法を用いる事に依り、前記窒化シリコン膜13を除去する。
次に図21に示す様に、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、p型半導体素子形成領域上の前記素子分離領域4の一部を除去する。この様にする事に依りp型半導体素子領域は直方体状の領域14となる。この時、素子分離領域4は[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向に配置されているので、直方体状の領域14の側面には(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面が現れる。
次に図22に示す様に、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、例えば窒化シリコン膜13を形成する。その後に、例えばCMP法等の方法を用いる事に依り、表面を平坦化して前記台形状の領域12の上面を露出させる。
次に図23に示す様に、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、p型半導体素子形成領域上の前記窒化シリコン膜13に異方性エッチングを施して、前記直方体状の領域14の上面を露出させると共に、前記直方体状の領域の側面に窒化シリコン側壁17を形成する。
次に図24に示す様に、例えば熱酸化等の方法を用いる事に依り、前記台形状の領域12の上面及び前記直方体状の領域14の上面に、酸化シリコン膜11を形成する。この時、露出している前記台形状の領域12の上面、及び前記直方体状の領域14の上面には、酸化シリコン膜11が形成されるが、前記窒化シリコン膜13で覆われている前記台形状の領域12の側面、及び前記窒化シリコン側壁17で覆われている前記直方体状の領域14の側面には、酸化シリコン膜11は形成されない。
次に図25に示す様に、例えば熱燐酸処理等の方法を用いる事に依り、前記窒化シリコン膜13ないし前記窒化シリコン側壁17を除去する。
次に、図26に示す様に、台形状の領域12の側面上ないし直方体状の領域14の側面上に、例えばSiH4ガスとGeH4ガスとHClガスとを用いて、例えばシリコンとゲルマニウムとの組成比が各々0.5と0.5とである様なSiGe層6を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。
続いて、n型半導体素子形成領域の前記シリコン基板5ないしSiGe層6中に、例えばBイオン(図示せず)を、例えば5keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。続いて、p型半導体素子形成領域の前記シリコン基板5ないしSiGe層6中に、例えばPイオン(図示せず)を、例えば10keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。
次に図27に示す様に、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、前記素子分離領域4ないし前記SiGe層6全面に、例えば厚さ5nmの、例えば酸化ハフニウム膜7(図示せず)を形成する。続いて、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、前記酸化ハフニウム膜7(図示せず)全面に、例えば厚さ10nmの例えばW膜8(図示せず)を形成する。続いて、例えばRIE法等の異方性エッチングを施す事に依り、前記W膜8及び前記酸化ハフニウム膜7を加工して、ゲート電極2及びゲート絶縁膜9を形成する。
続いて、n型半導体素子形成領域に、例えばAsイオンを、例えば10keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、n型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。
続いて、p型半導体素子形成領域に、例えばBイオンを例えば5keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、p型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。以後は従来技術と同様に、層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て、図17に示す本発明の半導体装置を形成する。
本実施形態の様にして半導体装置を形成すると、n型半導体素子は、面内方向に圧縮歪みの印加された(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成され、且つp型半導体素子は、面内方向に圧縮歪みの印加された(110)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成されるので、n型半導体素子に於ける電子の移動度も、p型半導体素子に於けるホールの移動度も共に高い値となり、高速動作の可能な高性能の相補型半導体装置が実現される。
また、本実施形態の様に(100)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の半導体基板上に半導体装置を形成すると、半導体基板に平行で且つ相互に直交する二つの方向に[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向が存在するので、n型半導体素子もp型半導体素子も、高い移動度を保ちつつ、各々相互に直交する二つの方向に、チャネルの方向を配置する事が可能となり、素子の配置の自由度が増すと言う利点が得られる。
それ故、本実施形態に於いてはn型半導体素子のチャネルとp型半導体素子のチャネルとが平行に配置されているが、この事は本質的ではなく、相互に直交する様に配置する事もまた可能であるし、複数個のn型半導体素子を含む半導体装置を形成する場合には、相異なるn型半導体素子のチャネルを、相互に直行する方向に配置する事もまた可能であり、複数個のp型半導体素子を含む半導体装置を形成する場合には、相異なるp型半導体素子のチャネルを相互に直行する方向に配置する事もまた可能である。
なお、本実施形態に於いては、n型半導体素子を第3実施形態に示したのと同様の方法を用いて形成したが、第2実施形態に示したのと同様の方法を用いて形成しても良い。n型半導体素子を第2実施形態に示したのと同様の方法を用いて形成すると、窒化シリコン膜の平坦化の工程が不要となるので工程の簡略化が得られると言う利点が在る。一方、本実施形態の用にn型半導体素子を第3実施形態に示したのと同様の方法を用いて形成すると、n型半導体素子の絶縁膜11の形状の制御が容易であると言う利点が在る。
本実施形態に於いても、前述の実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
(第5実施形態)
図28は、第5の実施形態に係る半導体装置の模式的な斜視図である。層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。本実施形態の半導体装置は、(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つシリコン基板5の上に形成されており、n型半導体素子15とp型半導体素子16とを含んでいる。n型半導体素子15ないしp型半導体素子16は、シリコン基板5内に形成された素子分離領域4に依り隔てられた素子領域1内に直方体状の領域14を持ち、その側面にはSiGe層6が形成されている。直方体状の領域14は二種類の側面の内で広い方の側面として、n型半導体素子に於いては(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面を持ち、p型半導体素子に於いては(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面を持つ。
なお、SiGe層6を表す引出し線は直方体状の領域14の手前側のSiGe層6のみ示してあるが、直方体状の領域14の陰になる側ないし側面の同形状の層もまたSiGe層6である。そしてSiGe層6の内にソース・ドレイン領域3が形成されている。
なお、図28に於いてはソース・ドレイン領域3の底と、SiGe層6と直方体状の領域との界面とが一致している様に示してあるが、ソース・ドレイン領域3はSiGe層6に完全に含まれていてもよく、またSiGe層6のみならずシリコン基板5の表面に形成された直方体状の領域14にまで拡がって存在していてもよい。
また、半導体素子を流れる電流の主方向、すなわちソース・ドレイン領域3を結ぶ方向、は基板表面に垂直、すなわち[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向となる様に配置されている。それ故、n型半導体素子15ないしp型半導体素子16に於いて、ソース・ドレイン領域は各々3ケ所存在している。それらの内で図28に於いてゲート電極2よりも上に示されているのがソース・ドレインの一方をなし、ゲート電極2よりも下に示されている2ケ所がソース・ドレインの他方をなす。即ち、ソース・ドレインの他方の電極は2箇所に別れている。そして、SiGe層6の上にはゲート絶縁膜9を介してゲート電極2が形成されている。
なお、n型半導体素子15に於いてもp型半導体素子16に於いても、直方体状の領域14、ないしSiGe層6、ないしソース・ドレイン領域3、はゲート電極2の陰になる側にも手前側と同様に存在するが、図30に於いては陰になっている部分は示されていない。また、ゲート電極2の陰になる側に於いては、参照番号の引出し線は省略されている。
次に、本実施形態に依る半導体素子の製造方法について以下に説明する。なお図29から図32までは図28のn型半導体素子のD−D’に於ける断面を示す。図28のp型半導体素子のE−E’に於ける断面も不純物の導電型が逆になる事と、現れる面方位が異なる事とを除いては本質的に同様である。
先ず図29に示す様に、例えばシャロー・トレンチ法等の方法を用いる事に依り素子分離領域4を形成する。この時、素子分離領域4は[332]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向に配置する。すなわち、基板表面に平行且つ紙面に平行な方向は、[113]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向となる。P型半導体素子の場合には、素子分離領域4は[100]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向に配置する。それ故、p型半導体素子の場合には、基板表面に平行且つ紙面に平行な方向は、[110]方向ないしそれと結晶学的に等価な方向となる。
次に図30に示す様に、例えばRIE法等の異方性エッチングを前記素子領域1に施す事に依り、直方体状の領域14を加工する。この時、直方体状の領域の側面の内で紙面に垂直な側面は、(113)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面となる。p型半導体素子の場合には、直方体状の領域の側面の内で紙面に垂直な側面は、(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位の面となる。続いて、素子分離領域4の一部を除去し、素子領域1の表面とほぼ等しい高さに加工する。
次に図31に示す様に、素子領域1の表面ないし直方体状の領域14の側面ないし上面上に、例えばSiH4ガスとGeH4 ガスとHClガスとを用いて、例えばシリコンとゲルマニウムとの組成比が各々0.5と0.5とである様なSiGe層6を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。なお、図28に於いては、直方体状の領域14の上面に形成されたSiGe層6は省略されており、示されていない。
続いて、n型半導体素子形成領域の前記シリコン基板5ないし前記直方体状の領域14ないし前記SiGe層6中に、例えばBイオン(図示せず)を、例えば5keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。続いてp型半導体素子形成領域の前記シリコン基板5ないし前記直方体状の領域14ないし前記SiGe層6中に、例えばPイオン(図示せず)を、例えば10keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。
次に、図32に示す様に、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、前記素子分離領域4ないし前記SiGe層6全面に、例えば厚さ5nmの、例えば酸化ハフニウム膜7(図示せず)を形成する。続いて、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、前記酸化ハフニウム膜7(図示せず)全面に、例えば厚さ10nmの例えばW膜8(図示せず)を形成する。続いて、例えばRIE法等の異方性エッチングを施す事に依り、前記W膜8及び前記酸化ハフニウム膜7を加工してゲート電極2及びゲート絶縁膜9を形成する。
続いて、n型半導体素子形成領域に、例えばAsイオンを、例えば10keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、n型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。続いて、p型半導体素子形成領域に、例えばBイオンを、例えば5keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、p型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。以後は従来技術と同様に、層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て、図28に示す本発明の半導体装置を形成する。
本実施形態の様にして半導体装置を形成すると、n型半導体素子は、面内方向に圧縮歪みの印加された(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成され、且つp型半導体素子は、面内方向に圧縮歪みの印加された(110)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成されるので、n型半導体素子に於ける電子の移動度も、p型半導体素子に於けるホールの移動度も共に高い値となり、高速動作の可能な高性能の相補型半導体装置が実現される。
なお、本実施形態に於いては、n型半導体素子を(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成したが、この面方位に限るものではなく、一般に1.2<N<10を満たすNを用いて(11N)面と表される面、ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面上に、n型半導体素子を形成しても同様の効果が得られる。
また、本実施形態に於いてはチャネルの方向は、基板表面に対して垂直に配置されているので、半導体装置の内に於ける半導体素子の配置を考えるに当たって、チャネルの向きの配置を考慮する必要がなく、設計が容易であると言う利点がある。また、本実施形態の方法で半導体装置を形成すると、エピタキシャル工程を一度行うのみで済むと言う他の利点が在る。一方、第4実施形態に示した様に、(100)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の半導体基板上に半導体装置を形成すると、従来の平面型半導体装置の形成とほぼ同様の工程で半導体装置を形成する事が可能であるので、製造工程が簡略になると言う更に他の利点が在る。
本実施形態に於いても、前述の実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
(第6実施形態)
図33は、第6の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。シリコンよりなる支持半導体基板18は、(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ。この半導体基板18の上面には、埋め込み絶縁膜19を介して、例えば(311)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ、シリコンよりなる半導体層20が選択的に形成されており、この部分はSOI基板21となっている。この半導体層20は素子分離領域4により囲まれてウェルを形成しており、このウェルの上面にはn型半導体素子15が形成されている。素子分離領域4を介して隣接する半導体基板18上には、素子分離領域4により囲まれた半導体領域1が形成されており、この半導体領域1上にp型半導体素子16が形成されている。
ここで、n型半導体素子15は半導体層20の上に形成されたSiGe層6の上に形成されており、p型半導体素子は半導体領域1の上に形成されたSiGe層6の上に形成されている。そしてSiGe層6の内にソース・ドレイン領域3が形成されている。ここで、半導体基板18と半導体層20との何れも面内に[110]方向ないしは結晶学的にそれと等価な方向を含むが、n型半導体素子とp型半導体素子との各々のソース・ドレイン領域を結ぶ方向、すなわちチャネル領域を流れる電流の主方向は、[110]方向ないしは結晶学的にそれと等価な方向になる様に配置されている。
なお、図33に於いてはソース・ドレイン領域3の底部とSiGe層6の底部とが一致している様に示してあるが、ソース・ドレイン領域3はSiGe層6に完全に含まれていてもよく、またSiGe層6のみならず半導体基板18ないし半導体層20にまで拡がって存在していてもよい。そして、SiGe層6の上にはゲート絶縁膜9を介してゲート電極2が形成されている。
次に本実施形態に依る半導体装置の製造方法について以下に説明する。先ず図34に示す様に、支持半導体基板18上に埋め込み絶縁膜19を介して半導体層20が形成されたSOI基板21を用意する。このSOI基板21に、例えばシャロー・トレンチ法等の方法を用いる事に依り素子分離領域4を形成する。この時、支持半導体基板18と絶縁膜上半導体層20との面内に含まれる[110]方向ないしは結晶学的にそれと等価な方向に各々平行にチャネルが配置される様に、素子分離領域4を配置する。
次に図35に示す様に、例えばRIE法等の方法を用いる事に依り、p型半導体素子形成領域の絶縁膜上半導体層20及び埋め込み絶縁膜19を除去し、支持半導体基板18の表面を露出させる。絶縁膜上半導体層20の除去には、例えば湿式処理等の等方性エッチングを用いても良いが、埋め込み絶縁膜19の除去は、素子分離領域4の侵食を防ぐ為に、例えばRIE法等の異方性エッチングを用いる事が好ましい。
次に図36に示す様に、例えば支持半導体基板18の上に、例えばSiH4 ガスとHClガスとを用いてシリコン層を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。この時、p型半導体素子の素子領域1の表面が、素子分離領域4の表面と等しい高さである必要はないが、両者の高さが揃っていると、後のリソグラフィー工程に要求される焦点深度が浅くても良いと言う利点が在る。
次に図37に示す様に、n型半導体素子の素子領域1及びp型半導体素子の素子領域1の表面に、例えばSiH4 ガスとGeH4 ガスとHClガスとを用いて、例えばシリコンとゲルマニウムとの組成比が各々0.5と0.5とである様なSiGe層6を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。続いてn型半導体素子形成領域の半導体層20ないしSiGe層6中に、例えばBイオン(図示せず)を、例えば5keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。続いてp型半導体素子形成領域の半導体層1ないしSiGe層6中に、例えばPイオン(図示せず)を例えば10keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。
次に図38に示す様に、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、素子分離領域4ないしSiGe層6全面に、例えば厚さ5nmの、例えば酸化ハフニウム膜(図示せず)を形成する。続いて、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、前記酸化ハフニウム膜7(図示せず)全面に、例えば厚さ10nmのW膜(図示せず)を形成する。続いて、例えばRIE法等の異方性エッチングを施す事に依り、前記W膜及び前記酸化ハフニウム膜を加工してゲート電極2及びゲート絶縁膜9を形成する。
続いて、n型半導体素子形成領域に、例えばAsイオンを10keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、n型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。続いて、p型半導体素子形成領域に、例えばBイオンを5keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、p型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。
以後は従来技術と同様に、層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て、図33に示す本発明の半導体装置を形成する。
本実施形態の様にして半導体装置を形成すると、n型半導体素子は面内方向に圧縮歪みの印加された(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成され、且つp型半導体素子は面内方向に圧縮歪みの印加された(110)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成されるので、n型半導体素子に於ける電子の移動度もp型半導体素子に於けるホールの移動度も共に高い値となり、高速動作の可能な高性能の相補型半導体装置が実現される。
なお、本実施形態に於いては支持半導体基板18が(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ半導体、絶縁膜上半導体層20が(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位を持つ半導体としたが、この事は本質的ではなく、支持半導体基板が(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位を持つ半導体、絶縁膜上半導体層が(110)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ半導体とし、且つn型半導体素子を支持半導体基板の上に、例えばエピタキシャル成長に依り得られた半導体層上に形成し、且つp型半導体素子を絶縁膜上半導体層の上に、例えばエピタキシャル成長に依り得られた半導体層上に形成しても、同様の効果が得られる。
また、本実施形態に於いては、n型半導体素子を(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成したが、この面方位に限るものではなく、一般に1.2<N<10を満たすNを用いて(11N)面と表される面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面上に、n型半導体素子を形成しても同様の効果が得られる。
また、本実施形態に於いては、圧縮歪みの印加されたSiGe層の形成以降は、従来の平面型半導体装置の製造方法と同様の工程で半導体装置が形成されるので、工程が簡略であると言う利点が在る。一方、例えば第4実施形態の様に半導体装置を構築すると、n型半導体素子及びp型半導体素子の何れに於いても、高い移動度を保ちつつ、チャネルの方向を各々相互に直交する二方向に配置する事が可能になり、素子の配置の自由度が増すと言う利点がある。
また、本実施形態に於いては、図33に於いては支持半導体基板18と絶縁膜上半導体層20との面内に含まれる[110]方向ないしは結晶学的にそれと等価な方向は相互に平行に配置されている様に示されているが、この事は本質的ではなく、必ずしも相互に平行ではなく配置されていてもよい。但し、相互に平行に配置されていると、高い移動度を保ちつつ素子を相互に平行に配置する事が可能であるので、素子配置の設計が容易であると言う利点が在る。
また、本実施形態に於いては、図36に示す工程に於いて支持半導体基板上に気相エピタキシャル成長の方法でシリコン層を形成したが、この方法に限るものではなく、支持半導体基板上にシリコン層を、例えば堆積等の方法で形成した後に、例えば固相エピタキシャル成長等の方法を用いて結晶化しても良い。
本実施形態に於いても上記実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。
(第7実施形態)
図39は第7の実施形態に係る半導体装置の断面図である。層間絶縁膜、配線金属等は省略されており、示されていない。本実施形態の半導体装置は、(311)面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つシリコン基板5の上に形成されており、n型半導体素子15とp型半導体素子16とを含んでいる。
ここで、n型半導体素子15とp型半導体素子16とは何れも、シリコン基板5の上に形成されたSiGe層6の上に形成されている。そしてSiGe層6の内にソース・ドレイン領域3が形成されている。ここで、n型半導体素子とp型半導体素子との各々のソース・ドレイン領域を結ぶ方向、すなわちチャネル領域を流れる電流の主方向は、[110]方向ないしは結晶学的にそれと等価な方向になる様に配置されている。なお、図39に於いては、ソース・ドレイン領域3の底部とSiGe層6の底部とが一致している様に示してあるが、ソース・ドレイン領域3はSiGe層6に完全に含まれていてもよく、またSiGe層6のみならず、シリコン基板5にまで拡がって存在していてもよい。そして、SiGe層6の上にはゲート絶縁膜9を介してゲート電極2が形成されている。
次に、本実施形態に依る半導体装置の製造方法について以下に説明する。先ず図40に示す様に、例えばシャロー・トレンチ法等の方法を用いる事に依り素子分離領域4を形成する。この時、シリコン基板5の表面に含まれる[110]方向ないしは結晶学的にそれと等価な方向に平行にチャネルが配置される様に、素子分離領域4を配置する。
次に図41に示す様に、n型半導体素子の素子領域1及びp型半導体素子の素子領域1の表面に、例えばSiH4 ガスとGeH4ガスとHClガスとを用いて、例えばシリコンとゲルマニウムとの組成比が各々0.5と0.5とである様なSiGe層6を、例えばエピタキシャル成長の方法を用いて形成する。続いてn型半導体素子形成領域の前記シリコン基板5ないしSiGe層6中に例えばBイオン(図示せず)を、例えば5keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。続いてp型半導体素子形成領域の前記シリコン基板5ないしSiGe層6中に、例えばPイオン(図示せず)を10keVのエネルギーで1×1012cm−2注入する。
次に図42に示す様に、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り、前記素子分離領域4ないし前記SiGe層6全面に、例えば厚さ5nmの酸化ハフニウム膜(図示せず)を形成する。続いて、例えばCVD法等の方法を用いる事に依り前記酸化ハフニウム膜(図示せず)全面に、例えば厚さ10nmのW膜(図示せず)を形成する。続いて、例えばRIE法等の異方性エッチングを施す事に依り、前記W膜及び前記酸化ハフニウム膜を加工してゲート電極2及びゲート絶縁膜9を形成する。
続いて、n型半導体素子形成領域に、例えばAsイオンを10keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、n型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。続いて、p型半導体素子形成領域に、例えばBイオンを5keVのエネルギーで1×1015cm−2注入する事に依り、p型半導体素子のソース・ドレイン領域3を形成する。
以後は従来技術と同様に,層間絶縁膜形成工程や配線工程等を経て,図39に示す本発明の半導体装置を形成する。
本実施形態の様にして半導体装置を形成すると、n型半導体素子とp型半導体素子とは何れも、面内方向に圧縮歪みの印加された(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に形成されている。それ故、n型半導体素子に於ける電子の移動度は極めて高い値となる。一方、p型半導体素子に於けるホールの移動度は最も高い値ではないものの、p型半導体素子の形成されている面は最も高い移動度の得られるところの(110)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面に近い面方位の面であるので、ホールの移動度も高い値となる。その結果として、n型半導体素子に於ける電子の移動度も、p型半導体素子に於けるホールの移動度も共に高い値となり、高速動作の可能な高性能の相補型半導体装置が実現される。上記実施形態に示した半導体装置を形成すると、n型半導体素子に於ける電子の移動度も、p型半導体素子に於けるホールの移動度も共に最も高い値が得られるので、極めて高速な動作の可能な高性能の相補型半導体装置が実現されると言う利点が在る。一方、本実施形態に示した半導体装置を形成すると、製造工程が簡略になると言う利点が在る。
また、本実施形態に於いては、(311)面ないし結晶学的にそれと等価な面方位の面上に半導体装置を形成したが、この面方位に限るものではなく、一般に1.2<N<10を満たすNを用いて(11N)面と表される面ないしそれと結晶学的に等価な面方位を持つ面上に、半導体装置を形成しても同様の効果が得られる。
本実施形態に於いても上記実施形態に記した様な種々の変形が可能であり、同様の効果が得られる。