JP4718031B2 - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の製造方法は、サブトラクティブ法(Subtractive Process)と、アディティブ法(Additive Process)とに大別される。サブトラクティブ法はエッチング法とも呼ばれ、銅張積層板の表面銅箔を化学的に腐食することを特徴とする。ここで、サブトラクティブ法を利用した多層プリント配線板41の製造方法の一例を、図10〜図14に基づいて簡単に説明する。
【0003】
まず、銅張積層板44を用意するとともに、エッチングを行って絶縁基材42の両面に内層導体パターン53を形成する。そして、この絶縁基材42の両面に、プリプレグ54を介して厚さ約12μmの銅箔55を積層しかつ貼着する(図10参照)。銅箔55が貼着された絶縁基材42の所定箇所に、ドリリング等によってスルーホール形成用孔45を形成する。銅箔55に由来する銅下地層46の全体及びスルーホール形成用孔45の内壁面に、無電解銅めっきによって薄付け銅めっき層47を形成する(図11参照)。このようなパネルめっき工程の後、薄付け銅めっき層47上にマスク48を形成する。そして、マスク48の開口部49から露出している箇所に、電解銅めっきによって厚付け銅めっき層50を形成する(図12参照)。このようなパターンめっき工程の後、はんだめっき等により厚付け銅めっき層50上にエッチングレジスト56を形成し、マスク48を剥離する(図13参照)。そして、この状態でエッチングを行う。このエッチングにより薄付け銅めっき層47及び銅下地層46を除去し、外層導体パターン52同士を分断する。そして、最後にエッチングレジスト56を剥離すれば、所望の多層プリント配線板41が完成する(図14参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の製造方法では、形状のよいファインパターンを正確に形成することができず、エッチングの特性上、ボトムのほうがトップよりもかなり長くなった、いわゆる裾広がり形状の外層導体パターン52になりやすい。従って、ファイン化・高精度化が要求される部分(例えばボンディングパッド部分)のパターンを形成することが困難である。
【0005】
そこで、前記銅箔55の代わりに、厚さ10μm以下の極めて薄い銅箔を用いて銅下地層46を形成するという対策が考えられる。このようにすれば、導体パターン分断工程においてエッチングにより除去すべき厚さ分が少なくて済むからである。従って、分断されてできあがった外層導体パターン52が裾広がり形状になりにくくなる。
【0006】
しかしながら、上記銅箔は極薄であるため変形や傷が生じやすい。ゆえに、変形等の生じた銅箔を用いてパターン形成を行った場合、高歩留まりや高信頼性を実現できなくなるおそれがある。従って、このような変形等を避けるためには、ハンドリング時に銅箔を慎重に取り扱う必要があり、おのずと生産性を低下させてしまう。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性の低下を伴うことなく、形状のよいファインな導体パターンを形成することが可能なプリント配線板の製造方法等を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、内層及び外層導体パターンを備えるプリント配線板の製造方法において、絶縁基材上に内層導体パターンを形成する工程と、厚さ1μm〜5μmの転写銅箔を厚さ10μm〜50μmのキャリア銅箔上に剥離可能な状態で保持させた導体層転写シートを用い、その転写銅箔をプリプレグを介して前記絶縁基材の少なくとも片面に転写・貼着することにより、銅下地層を形成する工程と、前記銅下地層上にマスクを形成するとともに、同マスクの開口部から露出している箇所に銅めっき層を形成する工程と、前記マスクを除去してからエッチングを行うことにより、前記銅下地層を除去して外層導体パターン同士を分断する導体パターン分断工程とを行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法をその要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、めっきスルーホールと内層及び外層導体パターンを備えるプリント配線板の製造方法において、絶縁基材上に内層導体パターンを形成する工程と、厚さ1μm〜5μmの転写銅箔を厚さ10μm〜50μmのキャリア銅箔上に剥離可能な状態で保持させた導体層転写シートを用い、その転写銅箔をプリプレグを介して前記絶縁基材の両面に転写・貼着することにより、銅下地層を形成する工程と、前記絶縁基材の所定箇所にスルーホール形成用孔を形成する穴あけ工程と、前記銅下地層及び前記スルーホール形成用孔の内壁面に無電解銅めっきによって薄付け銅めっき層を形成する第1のめっき工程と、前記薄付け銅めっき層上にマスクを形成するとともに、同マスクの開口部から露出している箇所に電解銅めっきによって厚付け銅めっき層を形成する第2のめっき工程と、前記マスクを剥離してからエッチングを行うことにより、同マスク下にあった前記薄付け銅めっき層及び前記銅下地層を除去して外層導体パターン同士を分断する導体パターン分断工程とを行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法をその要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記エッチングによる導体パターン分断工程は、最外層に位置している銅めっき層上にエッチングレジストを設けない状態で行われるとした。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記転写銅箔及び前記キャリア銅箔は、同じ材料からなり、熱膨張係数も等しいとした。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記導体パターン分断工程において前記マスクを剥離してからエッチングを行うまでの間に、アニーリング工程を行うとした。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法で得られるプリント配線板において、前記外層導体パターンは、絶縁基材に設けられた厚さ1μm〜5μmの銅下地層と、前記銅下地層上に形成された厚さ3μm以下の第1銅めっき層と、前記第1銅めっき層上に形成された厚さ5μm〜50μmの第2銅めっき層とからなり、前記外層導体パターンの断面において前記絶縁基材から遠い側の辺の長さは、前記絶縁基材に近い側の辺の長さの0.9〜1.2であることを特徴とするプリント配線板をその要旨とする。
【0014】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によると、転写銅箔がキャリア銅箔から剥離されて転写・貼着されることにより、絶縁基材上に導体層転写シートの転写銅箔に由来する薄い銅下地層が形成される。そして、マスクを形成した状態で銅めっき層を形成することにより、後に外層導体パターンとなるべき部分のみが選択的に厚くなる。この後、エッチングを行って、マスク下にあった銅下地層を除去することにより、外層導体パターン同士が分断される。本発明の銅下地層は比較的薄いものであるため、導体パターン分断工程においてエッチングにより除去すべき厚さ分も相当少ない。従って、分断されてできあがった外層導体パターンが裾広がり形状になりにくく、形状のよいファインパターンを正確に形成することができる。
【0015】
また、上記転写銅箔はそれよりも厚いキャリア銅箔によって保持されている。ゆえに、転写銅箔自体が極めて薄いものであったとしても、導体層転写シート全体として見ればある程度の肉厚となり、導体層転写シート全体に好適な剛性が付与される。このため、転写銅箔の変形や傷付きが回避され、ハンドリング性が向上する。加えて、転写銅箔及びキャリア銅箔の厚さを上記好適範囲内にて設定することにより、転写銅箔の変形や傷付きを確実に回避することができ、しかも生産性の低下及び高コスト化を確実に防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によると、転写銅箔がキャリア銅箔から剥離されて転写・貼着されることにより、絶縁基材上に導体層転写シートの転写銅箔に由来する薄い銅下地層が形成される。そして、マスクを形成した状態で厚付け銅めっき層を形成することにより、後に外層導体パターンとなるべき部分のみが選択的に厚くなる。この後、エッチングを行って、マスク下にあった薄付け銅めっき層及び銅下地層を除去することにより、外層導体パターン同士が分断される。本発明の銅下地層は比較的薄いものであるため、導体パターン分断工程においてエッチングにより除去すべき厚さ分も相当少ない。従って、分断されてできあがった外層導体パターンが裾広がり形状になりにくく、形状のよいファインパターンを正確に形成することができる。
【0017】
また、上記転写銅箔はそれよりも厚いキャリア銅箔によって保持されている。ゆえに、転写銅箔自体が極めて薄いものであったとしても、導体層転写シート全体として見ればある程度の肉厚となり、導体層転写シート全体に好適な剛性が付与される。このため、転写銅箔の変形や傷付きが回避され、ハンドリング性が向上する。加えて、転写銅箔及びキャリア銅箔の厚さを上記好適範囲内にて設定することにより、転写銅箔の変形や傷付きを確実に回避することができ、しかも生産性の低下及び高コスト化を確実に防止することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によると、導体パターン分断工程において、エッチングレジストを形成・剥離する工程が不要となる結果、工数が減り、生産性が向上する。また、このときのエッチングに伴って銅めっき層が除去される厚さ分も極めて少なく、パターン形成精度等に特に悪影響を及ぼすこともない。
【0019】
請求項4に記載の発明によると、加熱プレスを経ても転写銅箔に反り、皺、剥離等が発生せず、外層導体パターンの高精度化・高信頼化を達成するうえで好都合となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によると、マスクを剥離してからエッチングを行うまでの間にアニーリング工程を行うことにより、銅めっき層に内在していた応力が加熱によって開放される。その結果、銅めっき層にピンホールが発生しにくくなり、高信頼性の導体パターンを得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態のプリント配線板1及びその製造方法を図1〜図9に基づき詳細に説明する。
【0023】
図9に示されるように、本実施形態のプリント配線板1は、サブトラクティブ法により形成された導体パターン2a,2b及びめっきスルーホール3を絶縁基材4の表裏に備えている。この多層プリント配線板1は導体層を4層有する、いわゆる4層板となっている。絶縁基材4としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂等をガラスクロス基材に含浸したものが用いられる。本実施形態では、比較的安価なエポキシ樹脂を含浸した基材(いわゆるガラスエポキシ基材)を選択している。
【0024】
絶縁基材4の表裏両面には内層導体パターン2aが形成されている。内層導体パターン2aは、例えば絶縁基材4に設けられた銅箔をエッチングすることによって得られる。表裏両面の内層導体パターン2a上には、それぞれプリプレグ34を介して外層導体パターン2bが形成されている。
【0025】
図1に示されるように、外層導体パターン2bは、銅下地層6と、第1銅めっき層としての薄付け銅めっき層7と、第2銅めっき層としての厚付け銅めっき層8とからなる。即ち、外層導体パターン2bは、3層構造になっている。なお、薄付け銅めっき層7は銅下地層6上に形成され、厚付け銅めっき層8は薄付け銅めっき層7上に形成されている。
【0026】
銅下地層6の厚さの採り得る範囲は10μm未満であり、特には1μm〜5μmであることがよい。薄付け銅めっき層7の厚さの採り得る範囲は3μm以下であり、特には0.5μm〜2μmであることがよい。厚付け銅めっき層8の厚さの採り得る範囲は5μm〜50μmであり、特には10μm〜25μmであることがよい。本実施形態において具体的には、銅下地層6の厚さを3μm、薄付け銅めっき層7の厚さを1.5μm、厚付け銅めっき層8の厚さを20μmに設定している。
【0027】
ここで、外層導体パターン2bの断面において絶縁基材4から遠い側の辺の長さ(即ちトップ部分の長さ)をL1と定義し、絶縁基材4に近い側の辺の長さ(即ちボトム部分の長さ)をL2と定義する。この場合、L1/L2の値は0.9〜1.2になっていて、いわゆる裾広がりとは言い難い形状となっている。なお、本実施形態では、隣接する外層導体パターン2b間のスペースは約35μmに設定され、外層導体パターン2bのライン幅(即ちL1値)は約70μmに設定されている。
【0028】
各層の導体パターン2a,2b同士は、絶縁基材4を貫通するように形成されためっきスルーホール3を介して電気的に接続されている。めっきスルーホール3内の導体層は、スルーホール形成用孔10の内壁面に形成された薄付け銅めっき層7と、薄付け銅めっき層7上に形成された厚付け銅めっき層8とからなる。即ち、めっきスルーホール3内の導体層は、2層構造になっている。めっきスルーホール3のランド3aは、外層導体パターン2bと同じ構造、つまり3層構造になっている。
【0029】
次に、本実施形態の多層プリント配線板1を製造する手順を説明する。
まず、これに先立って本実施形態にて用いられる導体層転写シート31について述べる。図2に示されるように、導体層転写シート31は、大まかいって転写銅箔32とキャリア銅箔33とによって構成されている。
【0030】
転写銅箔32はキャリア銅箔33の片側面に剥離可能な状態で保持されている。具体的にいうと、例えば、転写銅箔32は接合力のそれほど大きくない接着剤または粘着剤を用いてキャリア銅箔33の片側面に貼着されている。その理由は、あまり接合力が大きすぎると、転写銅箔32の剥離が難しくなり、変形等の発生につながるからである。勿論、接着剤等を用いずに転写銅箔32をキャリア銅箔33に貼り付けて保持させてもよい。
【0031】
キャリア銅箔33は転写銅箔32よりも厚くなっている。具体的にいうと、転写銅箔32の厚さは10μm未満であることがよく、1μm〜5μmであることがよりよい。キャリア銅箔33の厚さは10μm〜50μmであることがよく、30μm〜40μmであることがよりよい。
【0032】
転写銅箔32の厚さが10μm以上であると、十分に薄い銅下地層6を形成することができず、導体パターン分断工程においてエッチングにより除去すべき厚さ分を十分に低減できなくなる。また、キャリア銅箔33の厚さが10μm未満であると、導体層転写シート31全体に好適な剛性を付与することができず、転写銅箔32の変形や傷付きを確実に回避することが困難になる。また、キャリア銅箔33自体に変形等が生じやすくなる結果、再使用できなくなるおそれがある。キャリア銅箔33の厚さが50μmを超えると、剛性が強くなりすぎてしまい、かえって剥離作業が困難になる結果、生産性の低下につながるおそれがある。それに加え、銅の使用量が多くなることでコスト高になる。本実施形態では、上記の事情に鑑みて、転写銅箔32を3μm厚に設定するとともに、キャリア銅箔33を通常よくある厚さである35μm厚に設定している。なお、キャリア箔として銅箔を選択した理由は、銅は安価であり経済性に優れているからである。転写箔として銅箔を選択した理由は、銅は安価であり経済性に優れることに加え、エッチング性にも優れているからである。
【0033】
そして、銅張積層板5を出発材料とし、それを構成している絶縁基材4の表裏両面に内層導体パターン2aを形成する。そして、この絶縁基材4の表裏両面に上記導体層転写シート31をプリプレグ34を介して積層する。このとき、転写銅箔32を内層側に向けるようにする。そして、ラミネート装置によって加熱プレスを行い、転写銅箔32をプリプレグ34を介して絶縁基材4に転写・貼着し、図3に示されるように絶縁基材4の表裏面全域に銅下地層6を形成する。
【0034】
この後、キャリア銅箔33を捲って転写銅箔32から剥離することにより、キャリア銅箔33を除去して、転写銅箔32を露出させる。捲り取られたキャリア銅箔33については、回収して新たな転写銅箔32を貼着させることにより、再び導体層転写シート31として用いても構わない。
【0035】
続く穴あけ工程では、銅下地層形成工程を経た絶縁基材4の所定箇所に、ドリル加工によって直径0.1mm〜0.2mmのスルーホール形成用孔10を形成する(図4参照)。より小径のスルーホール形成用孔10を形成したい場合、ドリル加工に代えてレーザー加工を実施してもよい。
【0036】
このような穴あけ工程を行うと、発熱によってスルーホール形成用孔10内にスミアが生じる場合がある。このような場合には、発生したスミアを溶解して除去すべく、デスミア液で銅張積層板5を処理してもよい。なお、プラズマ法によりデスミア処理を行うことも可能である。上記デスミア工程では、極薄の転写銅箔32が消失しない程度の条件下、具体的には転写銅箔32の厚さが当初の1/10〜1/2に減少する程度の条件下でデスミア液を処理することがよい。この場合、デスミア液として、硫酸、クロム酸、アルカリ過マンガン酸塩等の溶液が用いられる。
【0037】
デスミア工程を必要に応じて行った後、次いでスルーホール形成用孔10の内壁面にめっきを析出させるための触媒核付与を行い、さらにその触媒核を活性化処理する。触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイドなどが用いられ、一般的には塩化パラジウムやパラジウムコロイド等が使用される。
【0038】
触媒核付与及びその活性化処理を行った後、次いで銅下地層6の表面全体及びスルーホール形成用孔10の内壁面に、無電解銅めっきによって薄付け銅めっき層7を形成する(図5参照)。
【0039】
第1のめっき工程では、無電解めっき浴の一種である無電解銅めっき浴が用いられるとともに、それを用いて厚さ3μm以下、好ましくは0.5μm〜2μmの薄付け銅めっき層7が形成される。薄付け銅めっき層7が薄すぎると、後のめっき工程においてスルーホール形成用孔10の内壁面全体に電解銅めっきを確実に析出させることができなくなるおそれがある。従って、めっきスルーホール3の導通不良につながり、十分に信頼性向上を図れなくなるおそれがある。逆に、薄付け銅めっき層7を厚く形成しすぎると、生産性の低下やコスト高につながることに加え、導体パターン分断工程においてエッチングにより除去すべき厚さ分を十分に減じることができなくなるおそれがある。
【0040】
第1のめっき工程の後、次いで薄付け銅めっき層7上にめっきレジストとなる所定のマスク11を形成する。この場合、マスク11は市販のドライフィルムフォトレジストを用いて形成されることがよい。感光性を有する材料の使用は、パターン形成精度の向上に貢献するからである。そして、このようなドライフィルムフォトレジストをラミネートした後、常法に従って露光・現像を行う。その結果、図6に示されるように、所定箇所に開口部12を有する厚さ35μmのマスク11が形成される。
【0041】
マスク形成工程の後、電解めっきの一種である電解銅めっき浴を用いて、開口部12から露出している箇所に厚付け銅めっき層8を形成する(図7参照)。このような厚付け銅めっき層8を形成すると、後に外層導体パターン2bとなるべき部分のみが選択的に厚くなる。前記電解銅めっき浴として、本実施形態では硫酸銅めっき浴を用いている。第2のめっきの結果、露出箇所に位置する薄付け銅めっき層7上には、厚さ5μm〜50μm程度の厚付け銅めっき層8が形成される。厚付け銅めっき層8を薄くしすぎると、最終的に得られる外層導体パターン2bの厚さを十分に確保することができなくなる。逆に、厚付け銅めっき層8を厚くしすぎると、生産性の低下やコスト高につながるおそれがある。
【0042】
第2のめっき工程の後、不要となったマスク11を剥離し、その下に位置している薄付け銅めっき層7を露出させる(図8参照)。
この時点で、所定温度かつ所定温度のアニーリング工程を行うことが望ましい。その理由は、アニーリング時の加熱により、厚付け銅めっき層8に内在していた応力が開放され、厚付け銅めっき層8がいわば焼きしまった状態となるからである。その結果、厚付け銅めっき層8にピンホールが発生しにくくなり、高信頼性の外層導体パターン2bを得ることができる。なお、アニーリングの温度は100℃〜200℃程度に設定されることがよく、本実施形態では150℃に設定されている。アニーリングの時間は0.1時間〜3時間程度に設定されることがよく、本実施形態では1時間に設定されている。
【0043】
次に、銅を溶解しうる硫酸過水エッチング液を用いてエッチング処理を行い、当該薄付け銅めっき層7及び銅下地層6を完全に除去する。ここでは、最外層に位置する厚付け銅めっき層8上に特にエッチングレジストを設けない状態で処理を実施しているため、厚付け銅めっき層8の表層も2〜3μm程度エッチングされる。そして、以上の工程を経ることにより、外層導体パターン2b同士を分断し、図9の多層プリント配線板1を完成させた。
【0044】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の製造方法では、上記構成の導体層転写シート31を用いている。従って、転写銅箔32がキャリア銅箔33から剥離されて転写・貼着されることにより、絶縁基材4上に転写銅箔32に由来する極めて薄い銅下地層6が形成可能である。そして、マスク11を形成した状態で厚付け銅めっき層8を形成することにより、後に外層導体パターン2bとなるべき部分のみが選択的に厚くなる。この後、エッチングを行って、マスク11下にあった薄付け銅めっき層7及び銅下地層6を除去することにより、外層導体パターン2b同士が分断される。
【0045】
本実施形態の銅下地層6は極めて薄いものであるため、導体パターン分断工程においてエッチングにより除去すべき厚さ分も2μm〜3μmと相当少ない。従って、分断されてできあがった外層導体パターン2bが裾広がり形状になりにくく、図1のような形状のよいファインパターンを正確に形成することができる。
【0046】
(2)また、上記転写銅箔32はそれよりも厚いキャリア銅箔33によって保持されている。ゆえに、転写銅箔32自体が極めて薄くても、導体層転写シート31全体として見れば35μm以上の肉厚が確保されており、好適な剛性が付与されている。このため、転写銅箔32の変形や傷付きが回避され、ハンドリング性が向上する。即ち、転写銅箔32単独のときほど取り扱いを慎重に行わなくてもよくなる。ゆえに、取り扱いが困難であることに起因する生産性の低下を来すことがない。なお、転写銅箔32の変形や傷付きが回避される結果、多層プリント配線板1の歩留まり向上及び高信頼化を実現することができる。
【0047】
(3)本実施形態のキャリア銅箔33については、剥離後に回収して新たな転写銅箔32を保持させることにより、リサイクルが可能である。このため、非常に経済的であり、多層プリント配線板1の製造コストの低減にも貢献する。
【0048】
(4)キャリア銅箔33及び転写銅箔32は同じ材料からなるので、熱膨張係数も等しい。このため、加熱プレスを経ても転写銅箔32に反り、皺、剥離等が発生せず、外層導体パターン2bの高精度化・高信頼化を達成するうえで好都合となる。
【0049】
(5)キャリア銅箔33は熱伝導性に優れた銅からなるので、加熱プレス時に熱抵抗とならず、転写銅箔32側に熱を確実に伝えることができる。ゆえに、転写銅箔32を確実にプリプレグ34に貼着させることができる。このことも信頼性の向上に貢献している。
【0050】
(6)本実施形態では、第1のめっき工程にて無電解銅めっき浴を用い、かつ第2のめっき工程にて電解銅めっき浴を用いることにより、多層プリント配線板1における導体層を形成している。言い換えると、スルーホール形成用孔10の内壁面にめっきを析出させるときのみ無電解銅めっき浴を用い、その後は極めて安価であってめっき析出速度の速い電解銅めっき浴を用いている。このため、コスト性及び生産性をよりいっそう向上させることができる。
【0051】
(7)この多層プリント配線板1は、厚さ10μm未満の銅下地層6と、その上に形成された厚さ3μm以下の薄付け銅めっき層7と、その上に形成された厚さ5μm〜50μmの厚付け銅めっき層8とからなる3層構造の導体パターン2bを備えている。また、これら3層を形成する金属は、同種のもの(即ち銅)である。さらに、前記導体パターン2bにおけるL1/L2の値は0.9〜1.2となっている。そして、このような導体パターン2bには、導電部分としての十分な厚さ・導電性、好適な断面形状等が確保されている。従って、信頼性、コスト性及びパターン形成精度に優れ、かつ高機能・高密度の多層プリント配線板1となる。
【0052】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 本発明は、実施形態のような4層板に具体化されるのみにとどまらず、さらに多層化されたプリント配線板に具体化されてもよい。例えば、実施形態の多層プリント配線板1をコア基板またはベース基板とし、上記導体層転写シート31を用いて基板片面または基板両面にさらに外層導体パターン2bを形成してもよい。換言すると、絶縁基材4における同じ側の面において、上記導体層転写シート31に由来する銅下地層6を持つ外層導体パターン2bが複数層存在していても構わない。なお、導体層転写シート31を用いた外層導体パターン2bの形成に代えて、従来公知の手法によるビルドアップ層の形成を行うことも可能である。
【0053】
・ 実施形態において述べたような湿式法に代え、例えばプラズマ法などに代表される乾式法によるデスミア工程を行ってもよい。勿論、特にその必要がなければ、デスミア工程は省略されてもよい。
【0054】
・ めっきスルーホール3は必須の構成ではないため省略されてもよい。なお、めっきスルーホール3の形成を行わない場合には、めっきスルーホール3内の導通を図るための第1のめっき工程も省略される。
【0055】
・ 転写銅箔32は絶縁基材4の両面に転写・貼着されてもよいほか、片面のみに転写・貼着されてもよい。言い換えると、銅下地層6は絶縁基材4の両面に形成されていてもよいほか、片面のみに形成されていてもよい。
【0056】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 転写銅箔をその転写銅箔よりも厚いキャリア銅箔上に剥離可能な状態で保持させた導体層転写シートを用い、その転写銅箔をプリプレグを介して絶縁基材の少なくとも片面に転写・貼着した後、前記キャリア銅箔に再び新たな転写銅箔を保持させて新規に導体層転写シートを作製することを特徴とするキャリア銅箔の再利用方法。従って、この技術的思想1に記載の発明によれば、キャリア銅箔をリサイクルすることができるため経済的となる。
【0057】
(2) 導体パターンを複数層に備える多層プリント配線板の製造方法において、絶縁基材上に内層導体パターンを形成する工程と、転写銅箔をその転写銅箔よりも厚いキャリア銅箔上に剥離可能な状態で保持させた導体層転写シートを用い、その転写銅箔をプリプレグを介して前記絶縁基材の内層導体パターン形成面に転写・貼着することにより、銅下地層を形成する工程と、前記銅下地層上にマスクを形成するとともに、同マスクの開口部から露出している箇所に銅めっき層を形成する工程と、前記マスクを除去してからエッチングを行うことにより、前記銅下地層を除去して外層導体パターン同士を分断する導体パターン分断工程とを行うことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、生産性の低下を伴うことなく、形状のよいファインな導体パターンを形成することが可能なプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【0059】
請求項6に記載の発明によれば、信頼性、コスト性及びパターン形成精度に優れたプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の多層プリント配線板における外層導体パターンの拡大断面図。
【図2】実施形態の多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図3】同多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図4】同多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図5】同多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図6】同多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図7】同多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図8】同多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図9】同多層プリント配線板の部分概略断面図。
【図10】従来の多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図11】従来の多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図12】従来の多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図13】従来の多層プリント配線板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図14】従来の多層プリント配線板の部分概略断面図。
【符号の説明】
1…プリント配線板としての多層プリント配線板、2a…(内層)導体パターン、2b…(外層)導体パターン、3…めっきスルーホール、4…絶縁基材、6…銅下地層、7…第1銅めっき層としての薄付け銅めっき層、8…第2銅めっき層としての厚付け銅めっき層、10…スルーホール形成用孔、11…マスク、12…マスクの開口部、31…導体層転写シート、32…転写銅箔、33…キャリア銅箔、34…プリプレグ、L1…絶縁基材から遠い側の辺の長さ、L2…絶縁基材に近い側の辺の長さ。
Claims (6)
- 内層及び外層導体パターンを備えるプリント配線板の製造方法において、
絶縁基材上に内層導体パターンを形成する工程と、
厚さ1μm〜5μmの転写銅箔を厚さ10μm〜50μmのキャリア銅箔上に剥離可能な状態で保持させた導体層転写シートを用い、その転写銅箔をプリプレグを介して前記絶縁基材の少なくとも片面に転写・貼着することにより、銅下地層を形成する工程と、
前記銅下地層上にマスクを形成するとともに、同マスクの開口部から露出している箇所に銅めっき層を形成する工程と、
前記マスクを除去してからエッチングを行うことにより、前記銅下地層を除去して外層導体パターン同士を分断する導体パターン分断工程と
を行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - めっきスルーホールと内層及び外層導体パターンを備えるプリント配線板の製造方法において、
絶縁基材上に内層導体パターンを形成する工程と、
厚さ1μm〜5μmの転写銅箔を厚さ10μm〜50μmのキャリア銅箔上に剥離可能な状態で保持させた導体層転写シートを用い、その転写銅箔をプリプレグを介して前記絶縁基材の両面に転写・貼着することにより、銅下地層を形成する工程と、
前記絶縁基材の所定箇所にスルーホール形成用孔を形成する穴あけ工程と、
前記銅下地層及び前記スルーホール形成用孔の内壁面に無電解銅めっきによって薄付け銅めっき層を形成する第1のめっき工程と、
前記薄付け銅めっき層上にマスクを形成するとともに、同マスクの開口部から露出している箇所に電解銅めっきによって厚付け銅めっき層を形成する第2のめっき工程と、
前記マスクを剥離してからエッチングを行うことにより、同マスク下にあった前記薄付け銅めっき層及び前記銅下地層を除去して外層導体パターン同士を分断する導体パターン分断工程と
を行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 前記エッチングによる導体パターン分断工程は、最外層に位置している銅めっき層上にエッチングレジストを設けない状態で行われることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記転写銅箔及び前記キャリア銅箔は、同じ材料からなり、熱膨張係数も等しいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記導体パターン分断工程において前記マスクを剥離してからエッチングを行うまでの間に、アニーリング工程を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
- 請求項2乃至5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法で得られるプリント配線板において、前記外層導体パターンは、絶縁基材に設けられた厚さ1μm〜5μmの銅下地層と、前記銅下地層上に形成された厚さ3μm以下の第1銅めっき層と、前記第1銅めっき層上に形成された厚さ5μm〜50μmの第2銅めっき層とからなり、前記外層導体パターンの断面において前記絶縁基材から遠い側の辺の長さは、前記絶縁基材に近い側の辺の長さの0.9〜1.2であることを特徴とするプリント配線板。
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