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JP4361659B2 - セラミックス成形用バインダー - Google Patents

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JP4361659B2
JP4361659B2 JP2000044433A JP2000044433A JP4361659B2 JP 4361659 B2 JP4361659 B2 JP 4361659B2 JP 2000044433 A JP2000044433 A JP 2000044433A JP 2000044433 A JP2000044433 A JP 2000044433A JP 4361659 B2 JP4361659 B2 JP 4361659B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス成形用のバインダー、無機質粉末に該バインダーを添加してなるセラミックス成形体製造用の組成物および該組成物を用いてセラミックス成形体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックスは、その諸特性を活かして、近年、電気・電子材料、磁気材料、光学材料、高温材料などとして種々の用途で幅広く用いられている。用途などに応じて、セラミックスに対しては、物性面、形状や構造面などで様々な改良が要望されている。例えば、熱的性質、電気特性、機械特性などが重視される用途では、より緻密で、均質なセラミックス製品が求められている。また、機械部品や電機部品などでは、複雑な形状や、大型のセラミックス製品が求められている。一方、電気・電子部品では、近年、一層の小型化や軽量化が図られており、それに伴って、複雑な形状でありながら、より小型のセラミックス製品が望まれている。かかる点から、セラミックスを形成するための無機質粉末原料についての改良や、成形方法の改良が色々行われている。
【0003】
セラミックス製品の熱的性質、電気的性質、機械的性質、光学的性質などの改善を目的として、原料として使用する無機質粉末の純度を上げる方法や、無機質粉末の粒径をより微細化する方法が提案されている。高純度の無機質粉末では不純物として含まれる可塑性物質量も必然的に減少するため、高純度の無機質粉末を使用して成形体(焼成前の生の成形体)を製造する際に粘りが失われ、無機質粉末を結合するための有機バインダーを多量に使用する必要がある。また、微細化した無機質粉末を使用する場合も、無機質粉末の表面積が増大するため、崩れのない成形体(焼結前の生の成形体)を得るためには、多量のバインダーを使用する必要がある。
【0004】
また、セラミックス製品の大型化、形状の複雑化、軽量・小型化に伴って、焼成前の成形体[生の成形体(グリーン成形体)]では、その取り扱い時にひび割れ、破損、変形などのトラブルが生じ易くなっている。そこで、そのようなトラブルの生じない、強度の高い生成形体を得る目的からも、無機質粉末原料に添加する有機バインダーの量を増加する傾向にある。
【0005】
しかしながら、セラミックス製品を製造するに当たって、無機質粉末原料への有機バインダーの添加量を増すと、
(1)生の成形体の焼成に先立って行われる脱バインダー処理の際に、有機バインダー量が多いことにより、発熱量および分解ガス量が多くなって爆裂などを生じて、成形体に割れやひびを生ずる危険があり、しかも脱バインダーに長い時間を要するようになる;
(2)有機バインダーを多く使用することにより、焼成後のセラミックス成形体中に有機バインダーが炭化残渣として多量に残存し、セラミックス製品の純度が低下する;
(3)有機バインダーの使用量が多いことにより、成形体を焼成した際の収縮率が大きくなり、得られるセラミックス製品の寸法精度が低下する;
などの種々の問題を生じ易くなる。
【0006】
有機バインダーの使用量の増加に伴う上記した種々の問題の回避を目的として、少量の添加で、高強度および高密度で且つ高い均質性を有する生成形体(グリーン成形体)やセラミックス製品を形成し得るような有機バインダーの開発が試みられており、ものによっては少ない添加量で従来よりも多少強度の高い生成形体やセラミックス製品を形成し得るものや、無機質粉末への混和性に優れているものも散見される。しかしながら、従来の有機バインダーでは、プレス成形などによって生成形体を製造する際に十分に満足のゆく成形加工性は未だ得られておらず、特に複雑な形状を有する小型の成形体を製造する際には依然として十分満足し得る性能が得られがたいのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、多量の有機バインダーの使用に伴う上記した(1)〜(3)のような問題を生じず、無機質粉末への少量の添加量で、高強度および高密度で且つ高い均質性を有する、取り扱い性、成形加工性および力学的特性に優れる生成形体(グリーン成形体)を円滑に形成することのできるセラミックス成形用の有機バインダーを提供することである。
そして、本発明は、そのような有機バインダーを用いてなる、セラミックス生成形体製造用の組成物を提供することである。
さらに、本発明は、強度、緻密性、耐熱性、電気・電子特性、磁気特性などに優れる高品質のセラミックス製品を、寸法精度良く製造することのできるセラミックス成形用のバインダーおよび該バインダーを用いてなる組成物を提供すること、そして該組成物を用いてセラミックス成形体を製造する方法を提供することである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の目的を達成すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、重合度20〜2500、特に重合度100〜1700のポリビニルアルコール系重合体ブロックとイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種に由来する重合体ブロックを有する特定のブロック共重合体が、セラミックス成形体を製造する際の有機バインダーとして極めて適していることを見出した。すなわち、該ブロック共重合体を好ましくは水溶液の形態にして無機質粉末にバインダーとして少量添加すると、高強度および高密度で且つ高い均質性を有する、取り扱い性、成形性、離型性、ドリルによる穴開け加工などの加工性および力学的特性に優れる焼成前の生成形体(グリーン成形体)を円滑に形成できること、その生成形体を脱バインダー後に焼成するかまたは場合によっては脱バインダーと同時に焼成すると、強度、緻密性、耐熱性、電気・電子特性、磁気特性などに優れる高品質のセラミックス製品を高い寸法精度で円滑に製造できることを見出した。そして、該特定のブロック共重合体からなるバインダーを用いる場合は、少量の添加で良いために、多量の有機バインダーの使用に伴う発熱量や分解ガス量の増加による爆裂、成形体の割れやひびの発生、脱バインダーの長時間化、セラミックス製品の純度低下、焼成時の収縮率の増大による寸法精度の低下などをいずれもが回避できること、特に該ブロック共重合体よりなるバインダーは、複雑な形状を有する小型の生成形体をプレス成形で製造する際のバインダーとして適していることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)《1》ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)とイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー由来する重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体からなるセラミックス成形用バインダーであって;
【0010】
《2》ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)が、下記の式(I);
【0011】
【化3】
Figure 0004361659
(式中、R1は水素または炭素数1〜6の1価炭化水素基を示す。)
で表される構造単位(I)、および下記の式(II);
【0012】
【化4】
Figure 0004361659
(式中、R2は水素または炭素数1〜6の1価炭化水素基、およびR3は水素または炭素数1〜20の1価炭化水素基を示す。)
で表される構造単位(II)を、(I):(II)=99.99:0.01〜80:20のモル比で有する、重合度100〜1700のポリビニルアルコール系重合体よりなる重合体ブロックであり;
《3》イオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来する重合体ブロック(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーに由来する重合体よりなる重合体ブロックであり;且つ、
《4》ブロック共重合体におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):重合体ブロック(B)の重量比が、97:3〜2:1である;
ことを特徴とするセラミックス成形用バインダーである。
【0013】
さらに、本発明は、
) ブロック共重合体が、前記の構造単位(I)および構造単位(II)を(I):(II)=99.99:0.01〜80:20のモル比で有し且つ末端にメルカプト基を有する重合度100〜1700のポリビニルアルコール系重合体の存在下に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーよりなるイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーラジカル重合して得られたものである前記(1)のセラミックス成形用バインダーある。
【0014】
さらに、本発明は、
) 無機質粉末に前記(1)または(2)のバインダーを添加したことを特徴とする、セラミックス成形体製造用の組成物;および、
) 無機質粉末100重量部に対して、ブロック共重合体の割合が0.1〜20重量部である前記()のセラミックス成形体製造用の組成物;
である。
そして、本発明は、
) 前記()または()の組成物を用いて生成形体を製造し、バインダーの除去後に焼成するかまたはバインダーの除去と同時に焼成してセラミックス成形体を製造する方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のセラミックス成形用バインダーは、上記したように、重合度1001700のポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)と、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーよりなるイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー由来する重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体からなっている。
バインダーをなす前記ブロック共重合体において、ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)の重合度が20未満であると、得られる生成形体の均質性が劣り、強度の低いものとなる。一方、バインダーをなす前記ブロック共重合体において、ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)の重合度が2500を超えると、そのようなバインダーを無機質粉末に添加して生成形体を製造する際に成形加工性が不良になり、また得られる生成形体は均質性が劣り、強度、伸度の低いものとなる。
バインダーをなすブロック共重合体では、ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)の重合度が、100〜1700であることが、生成形体を製造する際の成形性、均質性、離型性、得られる生成形体の加工性、強度、伸度、最終的に得られる焼成後のセラミックス製品の寸法精度や密度が高くなるなどの点から好ましく、かかる点から、本発明では、ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)の重合度が100〜1700であるブロック共重合体を用いる
なお、本明細書におけるポリビニルアルコール系重合体の重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験法」の「5.4平均重合度」の項に従って求めた平均重合度を意味する。
【0016】
前記したポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体よりなる本発明のバインダーを用いずに、ポリビニルアルコール系重合体をそのままバインダーとして用いたり、またはイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーよりなる重合体をそのままバインダーとして用いる場合は、それらを無機質粉末に添加して生成形体を製造する際に、成形性、離型性、加工性などが不良になり、しかも得られる生成形体は均質性、強度、伸度が著しく低いものとなる。
【0017】
本発明のセラミックス成形用バインダーでは、ブロック共重合体の製法などは特に制限されない。
本発明のセラミックス成形用バインダーでは、そのポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)は、上記の式(I)で表される構造単位(I)と上記の式(II)で表される構造単位(II)とを、(I):(II)=99.99:0.01〜80:20のモル比で有しており[すなわちポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)におけるビニルアルコール単位のケン化度が80%以上であるこれによって、生成形体を製造する際の成形性、均質性、離型性、得られる生成形体の穴開け加工などの加工性、強度、最終的に得られるセラミックス製品の寸法精度が良くなり、密度が高くなり、力学的特性など好ましいものとなる
【0018】
本発明のバインダーをなすブロック共重合体におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で[一般的には重合体ブロック(A)の全構造単位に基づいて10モル%以下の割合で]、上記した構造単位(I)および構造単位(II)とともに、必要に応じて他のエチレン性不飽和モノマーに由来する構造単位を有していてもよい。そのような他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン類;(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコールなどを挙げることができる。ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)は、これらのエチレン性不飽和モノマーに由来する構造単位の1種または2種以上を含有することができる。
【0019】
本発明のバインダーをなすブロック共重合体におけるイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来する重合体ブロック(B)を構成するイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーである
【0020】
バインダーをなすブロック共重合体における重合体ブロック(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびマレイン酸から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーよりなる構造単位からなっていることにより、無機質粉末にバインダーを添加してなる組成物の取り扱い性、焼成前の生成形体の成形加工性、小型で複雑な形状の生成形体の製造容易性、生成形体の強度や取り扱い性、最終的に得られるセラミックス製品の寸法精度、緻密性、強度、伸度など好ましいものとなる
【0021】
本発明のバインダーをなすブロック共重合体における重合体ブロック(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で[一般的には重合体ブロック(B)の全構造単位に基づいて10モル%以下の割合で]、イオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー以外のエチレン性不飽和モノマーに由来する構造単位を有していてもよい。そのような他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン類;(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコールなどを挙げることができる。重合体ブロック(B)は、これらのエチレン性不飽和モノマーに由来する構造単位の1種または2種以上を含有することができる。
【0022】
ブロック共重合体におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の含有割合は、ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):重合体ブロック(B)=97:3〜2:1の重量比であり、特にポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):重合体ブロック(B)=97:3〜70:30の重量比で含有していることが、無機質粉末にバインダーを添加してなる組成物の取り扱い性が良好で、焼成前の生成形体の成形加工性に優れ、小型で複雑な形状の生成形性を円滑に製造することができ、しかも生成形体の強度や取り扱い性に優れ、さらに最終的に得られるセラミックス製品の寸法精度、緻密性、強度などが良好になることから好ましい。
また、本発明のバインダーをなすブロック共重合体は、各重合体ブロックの結合数は特に制限されず、例えばポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)1個と重合体ブロック(B)1個が結合したジブロック共重合体であっても、ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)の両端に重合体ブロック(B)が結合したトリブロック共重合体であっても、重合体ブロック(B)の両端にポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)が結合したトリブロック共重合体などのいずれであっても、それらの2者以上の混合物であってもいずれでもよい。
【0023】
バインダーとして用いるブロック共重合体の製法は特に制限されず、例えば、前記の構造単位(I)および構造単位(II)を(I):(II)=99.99:0.01〜80:20のモル比で有し且つ一方または両方の末端にメルカプト基を有する重合度100〜1700のポリビニルアルコール系重合体の存在下に、上記したイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種を必要に応じて他のモノマーと共にラジカル重合することによって製造することができる。
ラジカル重合は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、パール重合法などのいずれの方法で行ってもよいが、ポリビニルアルコール系重合体を溶剤、例えば、水やジメチルスルホキシドの溶剤中に溶かした状態で、そこにイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーを供給して行う溶液重合法が好ましく採用される。
【0024】
前記ラジカル重合は、通常のラジカル重合開始剤、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルオキシカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを用いることができる。末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の存在下に、水系でイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーを重合する場合は、酸性下で臭素酸カリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを用いて重合することが、ポリビニルアルコール系重合体の末端のメルカプト基の消失速度を抑制でき目的とするブロック共重合体が円滑に得られるので好ましい。ブロック共重合体の製造に用いる末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体の製造方法およびその存在下でのブロック共重合体の製造方法の詳細については、特公平6−74304号公報に記載されている。
【0025】
重合により得られるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体は、重合溶媒から回収せずに、溶剤に溶解した状態のままでバインダーとして、無機質粉末に直接添加して使用してもよいし、重合溶剤から一旦回収し乾燥してから乾燥物をそのままバインダーとして用いてもよいし、また回収したブロック共重合体を水や有機溶剤などに溶解して溶液状にしてからバインダーとして使用してもよい。
重合により得られたブロック共重合体の溶液をそのままバインダーとして用いる場合、または重合溶媒からブロック共重合体を一旦回収してからバインダーとして使用する場合のいずれの場合も、必要に応じて、酸、アルカリ、塩の水溶液を加えて、液のpHを調整することができる。ブロック共重合体における重合体ブロック(B)が、カルボキシル基を有するモノマーに由来する構造単位からなる本発明では、アンモニア、アミンなどのアルカリを用いてバインダー溶液のpHを中性またはそれに近いpHに調整して用いると、無機質粉末をバインダー溶液で結合して得られる生成形体を焼成した後に残存する金属不純物を低減して、高純度のセラミックス製品を得ることができるので好ましい。
本発明のバインダーでは、上記ブロック共重合体を水に溶解して、一般に濃度が0.1〜15重量%の水溶液とし、これを無機質粉末に添加して用いることが、生成形体の製造時の成形性、離型性、均質性、加工性、強度などが優れ、しかも最終的に得られるセラミックス製品の強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性、寸法精度などが良好になることから好ましい。
【0026】
セラミックス製品の製造に用いる無機質粉末の種類は特に制限されず、セラミックス原料として従来から用いられている例えば金属酸化物粉末、非金属の酸化物または非酸化物粉末のいずれもが使用でき、具体例としては、BaTiO3、Al23、ZnO、LaCrO3、鉄族酸化物、バナジウム族酸化物、ZnO−Bi23、SnO2、ZrO2、LaB6、Zn−Mnフェライト、SrO・6Fe23、In23、CaWO4、LaF4、Y22S、ZnS、Y3Al512、GaAs、Bi4(GeO43、LiNbO3、BaNaNb515、ThO2、K2O・nTiO2・nSiO2、BeO、WC、TiC、B4C、SiC、Si34、Ca5(F,Cl)P312、TiO2、K2O・nAl23、PZT、YIGなどを挙げることができる。これらの無機質粉末のうち、酸化物粉末、特に金属酸化物粉末は、電子材料、磁気材料、光学材料、高温材料用のセラミックス製品の製造に汎用されている。
【0027】
無機質粉末の粒径および形状は、製造を目的とするセラミックス成形体の種類や用途などに応じて適宜選択できるが、無機質粉末の粒径が微細になるにつれて造粒が工業的に困難になることから、特に20μm以下の平均粒径を有する無機質粉末に対して本発明のバインダーを添加することにより、無機質粉末を成形により適した粒子へと円滑に造粒できるようになり、本発明のバインダーの性能を十分に発揮する。
【0028】
無機質粉末へのブロック共重合体よりなるバインダーの添加量は、無機質粉末の種類、成形方法、成形体の形状や用途などに応じて選択し得るが、通常は、乾燥した無機質粉末100重量部に対して、ブロック共重合体(乾燥物)を0.1〜20重量部、特に0.2〜15重量部の割合で用いることが、生成形体の製造時の成形性、離型性、均質性、加工性、強度などが優れ、しかも最終的に得られるセラミックス製品の強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性、寸法精度などが良好になることから好ましい。
特に、ブロック共重合体を水に溶解して濃度0.1〜15重量%の水溶液にし、この水溶液を乾燥した無機質粉末に添加して、生成形体製造用の組成物を調製することが、前記した諸特性の改善の点からより好ましい。
【0029】
生成形体製造用の組成物の調製に当たっては、ブロック共重合体よりなるバインダーと共に、必要に応じて、セラミックス成形体の製造に従来から用いられている解膠剤、可塑剤、潤滑剤などの他の添加剤の1種または2種以上を併用してもよい。解膠剤としては、例えばリン酸ソーダ、苛性ソーダ、クエン酸ソーダ、アミン類、ピリジン、ピペリジン、ポリアクリル酸の金属塩またはアンモニウム塩、スチレンまたはイソブテンと無水マレイン酸の共重合体の金属塩またはアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルなどを挙げることができる。また、可塑剤としては、例えば、グリコール類、ポリオキシエチレングリコール、グリセリン、トリオールなどを挙げることができる。潤滑剤としては、例えば、みつろう、木ろうなどの天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、低分子量ポリエチレンおよびその誘導体などの合成ワックス、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、マレイン酸イミド、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。これらの添加剤は、水系分散体の形態で用いてもよい。
【0030】
また、本発明では、発明の効果を損なわない範囲で、上記ブロック共重合体よりなる本発明のバインダーと共に、必要に応じて他のバインダー類を併用してもよい。ブロック共重合体よりなるバインダーと併用可能な他のバインダーとしては、例えば、各種澱粉類およびそれらの誘導体、各種糖類およびそれらの誘導体、ゴム類、可溶性蛋白質、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、イソブテン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステル化物、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、ブタジエン、イソプレンなどのジエン類、酢酸ビニルなどのビニルエステル、ラウリルビニルエーテルなどのビニルエーテル、スチレンなどのモノマーの単独重合体または共重合体などを挙げることができる。他のバインダーは、水溶液または水性分散液などの形態で用いるとよい。
【0031】
無機質粉末およびバインダーを含有する組成物を用いて焼成前の生成形体を製造する方法は特に制限されず、従来と同様の方法を採用することができ、例えば、(1)無機質粉末、ブロック共重合体よりなるバインダー、水および必要に応じて上記した解膠剤、可塑剤、潤滑剤、他のバインダーなどの他の成分の1種または2種以上を場合によりさらに有機溶剤を混合し、必要に応じて更に混練して水性ペースト状(泥状)の組成物を調製し、そのペースト状組成物を用いてプレス成形、押出成形、流延成形(支持体上への塗布または流延)、鋳込み成形などにより成形した後、水や有機溶剤を乾燥除去して生の成形体を製造する方法、(2)無機質粉末、ブロック共重合体よりなるバインダー、水および必要に応じて上記した解膠剤、可塑剤、潤滑剤、他のバインダーなどの他の成分の1種または2種以上を場合によりさらに有機溶剤を混合し、必要に応じて更に混練して水性ペースト状(泥状)の組成物を調製し、その組成物を顆粒状に乾燥して無機質粉末およびバインダーなどを含有する顆粒状物をつくり、該顆粒状物を型内に供給しプレス成形して生成形体を製造する方法などを採用することができる。
【0032】
特に、上記ブロック共重合体よりなる本発明のバインダーを用いてなる組成物の成形に当たっては、生成形体を製造する際の成形加工性、離型性、均質性、強度などが優れ、しかも最終的に得られるセラミックス製品の強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性、寸法精度などが一層良好になることから、ペースト状組成物を支持体上に塗布または流延して成形体を製造する方法、またはペースト状組成物から顆粒状組成物を調製しその顆粒状組成物を用いてプレス成形する方法が、好ましく採用される。
【0033】
生成形体からセラミックス成形体を製造するに当たっては、従来と同様の方法および条件を採用することができる。セラミックス成形体を製造するための焼成は、生成形体からバインダーなどを除去した後に行っても、または生成形体からバインダーなどを除去するのと同時に行ってもよいが、バインダーなどを除去した後に最終的な焼成を行うことが、強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性、寸法精度などに一層優れるセラミックス製品をより円滑に製造することができる点から好ましく採用される。生成形体からのバインダーの除去に当たっては、一般に、300〜500℃の温度、特に350〜450℃の加熱温度が好ましく採用される。また、焼成温度は、使用する無機質粉末の種類、製造を目的とするセラミックス製品の種類や用途などに応じて適宜決めることができる。
【0034】
上記した特定のブロック共重合体よりなるバインダーを用いてなる本発明により、強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性、寸法精度などに優れる、電気・電子材料、磁気材料、光学材料、高温材料(耐熱材料)、機械材料などとして有用な各種セラミックス製品が円滑に得られる。
【0035】
【実施例】
以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。なお、以下の例において、「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。
また、以下の実施例および比較例で得られた生成形体(未焼成成形体)の離型性、均質性、加工性および強度の評価は、次のようにして行った。
【0036】
(1)生成形体の離型性
プレス成形して得られた生成形体を型から取り出す際に、型への付着状況を以下の評価基準によって評価した。
○:型への付着が全くなく、離型性が極めて良好である。
△:型への付着がほぼない。
×:型への付着が激しく、離型性が不良である。
【0037】
(2)生成形体の均質性
プレス成形して得られた生成形体の表面を顕微鏡で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
○:顆粒が十分につぶれていて表面が均質である。
△:顆粒のつぶれ残りが若干みられ、やや不均質である。
×:顆粒のつぶれ残りが多く、不均質である。
【0038】
(3)生成形体の加工性
プレス成形して得られた生成形体に対してドリルにより孔開けを行い、下記の評価基準にしたがって評価した。
○:ドリルによる孔開けが容易であり、加工性が良好である。
△:ドリルによる孔開けがやや困難である。
×:ドリルによる孔開けが非常に困難であり、加工性が不良である。
【0039】
(4)生成形体の強度
プレス成形して得られた生成形体について三点曲げ試験を行い、成形体が折れるのに必要なエネルギー(タフネス)をS・Sカーブの面積から求め、比較例1の値を3.0として(但し1.0×103kg/cm2のプレス圧力により得られた生成形体の値)、相対値により求めた。
【0040】
《製造例1》[ブロック共重合体の製造]
(1) 上記した構造単位(I)(但し式中R1は水素)98.0モル%および構造単位(II)(但し式中R2は水素およびR3はメチル基)2.0モル%からなり且つ末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体(重合度=550、メルカプト基含量=1.2×10-4当量/g重合体)10部に、蒸留水100部を加えて90℃にて加熱溶解して水溶液を調製した後、水溶液の温度を30℃まで冷却し、1N硫酸水溶液3.3部を添加してpH3.0に調整した。
(2) 上記(1)で得られた水溶液を70℃まで加熱し、30分間窒素置換した後、アクリル酸1.5部を加えた。次に、4%過硫酸カリウム水溶液30部を1時間かけて徐々に添加し、添加終了後75℃で1時間加熱して重合を完了させた。その後、液温を30℃まで冷却し、アンモニア水を6.0部添加して、pH4.5、固形分濃度9.5%の、ポリビニルアルコール系重合体ブロックよりなる重合体ブロック(A)とポリアクリル酸よりなる重合体ブロック(B)よりなるブロック共重合体[以下「ブロック共重合体(1)」という]の水溶液を得た。なお、ブロック共重合体(1)におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):ポリアクリル酸重合体ブロック(B)の重量比は10:1.5あった[ポリビニルアルコール系重合体およびアクリル酸の使用量から算出]。
【0041】
《製造例2》[ブロック共重合体の製造]
ポリビニルアルコール系重合体として、上記した構造単位(I)(但し式中R1は水素)98.0モル%および構造単位(II)(但し式中R2は水素およびR3はメチル基)2.0モル%からなり且つ末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体(重合度=300、メルカプト基含量=1.2×10-4当量/g重合体)10部を使用し、アクリル酸を2.0部使用した以外は、製造例1と同様にして、pH4.5、固形分濃度10%の、ポリビニルアルコール系重合体ブロックよりなる重合体ブロック(A)とポリアクリル酸よりなる重合体ブロック(B)よりなるブロック共重合体[以下「ブロック共重合体(2)」という]の水溶液を得た。なお、ブロック共重合体(2)におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):ポリアクリル酸重合体ブロック(B)の重量比は5:1あった[ポリビニルアルコール系重合体およびアクリル酸の使用量から算出]。
【0042】
《製造例3》[ブロック共重合体の製造]
ポリビニルアルコール系重合体として、上記した構造単位(I)(但し式中R1は水素)90.0モル%および構造単位(II)(但し式中R2は水素およびR3はメチル基)10.0モル%からなり且つ末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体(重合度=1500、メルカプト基含量=2.0×10-5当量/g重合体)10部を使用し、アクリル酸を5.0部使用した以外は、製造例1と同様にして、pH4.5、固形分濃度10%の、ポリビニルアルコール系重合体ブロックよりなる重合体ブロック(A)とポリアクリル酸よりなる重合体ブロック(B)よりなるブロック共重合体[以下「ブロック共重合体(3)」という]の水溶液を得た。なお、ブロック共重合体(3)におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):ポリアクリル酸重合体ブロック(B)の重量比は2:1であった[ポリビニルアルコール系重合体およびアクリル酸の使用量から算出]。
【0043】
《製造例4》[ブロック共重合体の製造]
ポリビニルアルコール系重合体として、上記した構造単位(I)(但し式中R1は水素)98.0モル%および構造単位(II)(但し式中R2は水素およびR3はメチル基)2.0モル%からなり且つ末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体(重合度=3000、メルカプト基含量=9.0×10-6当量/g重合体)10部を使用した以外は、製造例1と同様にして、pH4.5、固形分濃度10%の、ポリビニルアルコール系重合体ブロックよりなる重合体ブロック(A)とポリアクリル酸よりなる重合体ブロック(B)よりなるブロック共重合体[以下「ブロック共重合体(4)」という]の水溶液を得た。なお、ブロック共重合体(4)におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):ポリアクリル酸重合体ブロック(B)の重量比は10:1.5あった[ポリビニルアルコール系重合体およびアクリル酸の使用量から算出]。
【0044】
《実施例1》
(1) アルミナ粉末(純度99.8%)100部、水50部およびポリアクリル酸アンモニウム(解膠剤)0.3部をボールミルに入れて室温下に90時間粉砕処理した後、製造例1で得られたブロック共重合体(1)の9.5%水溶液21部を添加して均一に混合してスラリー状物を得た。
(2) 上記(1)で得られたスラリー状物を噴霧乾燥下に造粒して、顆粒(粒径100±20μm)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた顆粒を、直方体状の型キャビティを有する型内に入れて、1.0×103kg/cm2または1.2×103kg/cm2のプレス圧力下にプレス成形して、幅×長さ×厚さ=20mm×100mm×10mmの直方体状の生成形体(未焼成成形体)を製造した。
(4) 上記(3)で得られた生成形体の型からの離型性、均質性、加工性および強度を上記した方法により評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
(5) また、上記(4)で得られた生成形体を焼成処理したところ、強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性に優れるセラミックス製品を高い寸法精度で得ることができた。
【0045】
《実施例2および3》
(1) 製造例1で得られたブロック共重合体(1)の水溶液の代わりに、製造例2で得られたブロック共重合体(2)の水溶液または製造例3で得られたブロック共重合体(3)の水溶液を用いて、実施例1の(1)〜(3)と同様に行って、幅×長さ×厚さ=20mm×100mm×10mmの直方体状の生成形体(未焼成成形体)をそれぞれ製造した。
(2) 上記(1)で得られた生成形体の型からの離型性、均質性、加工性および強度を上記した方法により評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
(3) また、上記(2)で得られた生成形体を焼成処理したところ、いずれも、強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性、寸法精度に優れるセラミックス製品であった。
【0046】
《比較例1》
(1) バインダーとして、製造例1で得られたブロック共重合体(1)の水溶液の代わりに、製造例4で得られたブロック共重合体(4)[ビニルアルコール系重合体ブロック(A)部分の重合度3000]の水溶液を用いて、実施例1の(1)〜(3)と同様に行って、幅×長さ×厚さ=20mm×100mm×10mmの直方体状の生成形体(未焼成成形体)をそれぞれ製造した。
(2) 上記(1)で得られた生成形体の型からの離型性、均質性、加工性および強度を上記した方法により評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
(3) また、上記(2)で得られた生成形体を焼成処理したところ、強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性などの点で十分に優れているとは言い難かった。
【0047】
《比較例2》
(1) バインダーとして、製造例1で得られたブロック共重合体(1)の水溶液の代わりに、ポリビニルアルコール(重合度5000、ケン化度98%)の水溶液(固形分濃度9.5%)を用いて、実施例1の(1)〜(3)と同様に行って、幅×長さ×厚さ=20mm×100mm×10mmの直方体状の生成形体(未焼成成形体)をそれぞれ製造した。
(2) 上記(1)で得られた生成形体の型からの離型性、均質性、加工性および強度を上記した方法により評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
(3) また、上記(2)で得られた生成形体を焼成処理したところ、強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性などの点で十分に優れているとは言い難かった。
【0048】
《比較例3》
(1) バインダーとして、製造例1で得られたブロック共重合体(1)の水溶液の代わりに、ポリアクリル酸のアンモニウム水溶液(水溶液のpH4.5、固形分濃度9.5%)を用いて、実施例1の(1)〜(3)と同様に行って、幅×長さ×厚さ=20mm×100mm×10mmの直方体状の生成形体(未焼成成形体)をそれぞれ製造した。
(2) 上記(1)で得られた生成形体の型からの離型性、均質性、加工性および強度を上記した方法により評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
(3) また、上記(2)で得られた生成形体を焼成処理したところ、強度、純度、電気・電子特性、磁気的特性、耐熱性、緻密性などの点で十分に優れているとは言い難かった。
【0049】
【表1】
Figure 0004361659
【0050】
上記の表1の結果から、重合度20〜2500のポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)とイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種に由来する重合体ブロック(B)(ポリアクリル酸重合体ブロック)を有するブロック共重合体からなるバインダーを用いてなる実施例1〜3では、離型性、均質性、加工性および強度に優れるセラミックス用生成形体が得られることがわかる。
これに対して、ポリビニルアルコール系重合体ブロックとイオン性を有するエチレン性不飽和モノマーよりなる重合体ブロックからなるブロック共重合体であっても、ポリビニルアルコール系重合体ブロックの重合度が3000であって2500を超えているブロック共重合体をバインダーとして用いた比較例1による場合は、成形体の均質性、加工性および強度がいずれも実施例に比べて劣っていることがわかる。
また、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いた比較例2の場合には、成形体の均質性、加工性および強度がいずれも実施例に比べて大幅に劣っていること、バインダーとしてポリアクリル酸を用いた比較例3の場合は離型性、均質性、加工性および強度のすべてにおいて実施例に比べて大幅に劣っていることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
重合度が100〜1700であるビニルアルコール系重合体ブロック(A)と、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびマレイン酸から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーよりなるイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来する重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体をセラミックス成形用のバインダーとして用いる本発明による場合は、無機質粉末へのバインダーの少量の添加で、高強度および高密度で且つ良好な成形性、高い均質性を有し、取り扱い性、離型性、加工性および力学的特性に優れる生成形体(グリーン成形体)を、低い成形圧力(例えば低プレス圧力)で、円滑に製造することができる。
そして、そのような生成形体を焼成することによって、強度、緻密性、耐熱性、電気・電子特性、磁気特性などに優れる高品質のセラミックス製品を、寸法精度良く製造することができる。
特に、前記特定のブロック共重合体をバインダーとして用いる本発明では、該バインダーの使用量が少量で良いために、多量の有機バインダーの使用に伴う発熱量や分解ガス量の増加による爆裂、成形体の割れやひびの発生、脱バインダーの長時間化、セラミックス製品の純度低下、焼成時の収縮率の増大による寸法精度の低下などのいずれもが回避できる。
とりわけ、該ブロック共重合体よりなるバインダーは、複雑な形状を有する小型の生成形体をプレス成形で製造する際のバインダーとして好適である。

Claims (5)

  1. 《1》ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)とイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー由来する重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体からなるセラミックス成形用バインダーであって;
    《2》ポリビニルアルコール系重合体ブロック(A)が、下記の式(I);
    Figure 0004361659
    (式中、R 1 は水素または炭素数1〜6の1価炭化水素基を示す。)
    で表される構造単位(I)、および下記の式(II);
    Figure 0004361659
    (式中、R 2 は水素または炭素数1〜6の1価炭化水素基、およびR 3 は水素または炭素数1〜20の1価炭化水素基を示す。)
    で表される構造単位(II)を、(I):(II)=99.99:0.01〜80:20のモル比で有する、重合度100〜1700のポリビニルアルコール系重合体よりなる重合体ブロックであり;
    《3》イオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来する重合体ブロック(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーに由来する重合体よりなる重合体ブロックであり;且つ、
    《4》ブロック共重合体におけるポリビニルアルコール系重合体ブロック(A):重合体ブロック(B)の重量比が、97:3〜2:1である;
    ことを特徴とするセラミックス成形用バインダー。
  2. ブロック共重合体が、前記の構造単位(I)および構造単位(II)を(I):(II)=99.99:0.01〜80:20のモル比で有し且つ末端にメルカプト基を有する重合度100〜1700のポリビニルアルコール系重合体の存在下に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーよりなるイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合して得られたものである請求項に記載のセラミックス成形用バインダー。
  3. 無機質粉末に請求項1または2のバインダーを添加したことを特徴とする、セラミックス成形体製造用の組成物。
  4. 無機質粉末100重量部に対して、ブロック共重合体の割合が0.1〜20重量部である請求項に記載のセラミックス成形体製造用の組成物。
  5. 請求項またはの組成物を用いて生成形体を製造し、バインダーの除去後に焼成するかまたはバインダーの除去と同時に焼成してセラミックス成形体を製造する方法。
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