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JP4022045B2 - 細菌検出のための遺伝子及びそれを用いた検出法 - Google Patents

細菌検出のための遺伝子及びそれを用いた検出法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、ビール混濁菌ペクチネータス属菌のペクチネータス・フリシンゲンシスまたはペクチネータス・セルビシフィラスを検出するための遺伝子及びこれを用いた該菌の検出方法に関する。
背景技術
ビールを混濁させる微生物(細菌)として、ペクチネータス(Pectinatus)属菌が知られている。この属には、ペクチネータス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingennsis)とペクチネータス・セルビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)の2種が知られている。ペクチネータス属菌の検出には、増殖培養、分離培養をへて菌を単離しなければならず、少なくとも7日は要する。その後、単離した菌を増殖させ、形態観察、グラム染色性、カタラーゼ試験、糖資化性など多くの性状試験を行うことにより同定を行っている。
これらの多岐にわたる検査は煩雑であり、時間も費用もかかる。また、これら一般に行われている同定試験のほかに、単離した菌からDNAを抽出し、それを膜上あるいは他の支持体上に固定し、標準菌のDNAをプローブとしてハイブリダイゼーション試験を行うことにより菌種を同定する方法がある。しかし、この方法も数日を必要とし、さらに十分な検出感度及び選択性を得るのが難しい。
そこで、最近では、ペクチネータス属菌に関する検出法として、ペクチネータス・セルビシフィラスに特異的に反応するモノクローナル抗体を使用した検出法(ASBC Journal:51(4)158−163,1993)がある。しかし、本法は検出感度が不十分であるばかりでなく、ペクチネータス・フリシンゲンシスは検出できないという問題があった。
また、別の検出法として、リボソームRNA遺伝子の多型性を検出するリボタイピング(Ribotyping)法によりペクチネータス・フリシンゲンシスとペクチネータス・セルビシフィラスを検出する方法が報告されている
(J.Am.Soc.Chem.:56(1)19−23,1998)。しかし、本法の適用にあたっては菌の単離操作が必要であることから、検出感度、迅速性に問題があった。
そこで、さらに迅速な検出法が検討され、最近では、国際公開番号WO97/20071の開示があり、検体となる微生物のDNAを抽出し、このDNAに相補的なオリゴヌクレオチドをプライマーとして機能させたPCR法を用いたペクチネータスを検出する方法の報告がある。しかしながら、これらの技術に用いられている16SrRNAの塩基配列は微生物の属を越えて類似している場合があり、検出したい特定の微生物以外の微生物も誤って検出してしまうという問題があった。
一方、16SrRNA遺伝子と23SrRNA遺伝子の間に構成されているスペーサー領域の遺伝子は微生物種に特異的な遺伝子配列を有することが知られており、それを利用した微生物検出法として、醸造論文集50、22−31(1995)、APPL.ENVIRON.MICROBIOL.VOL.62,NO.5,1683−1688(1996)、FEMS MICROBIOL LETT.VOL.84,NO.3,307−312(1991)、特開平6−98800等があるが、ペクチネータス属菌のスペーサー領域の遺伝子配列は明らかにされていない。
発明の開示
そこで、本発明では、ビール混濁に関係するペクチネータス属菌に特異的な16SrRNA遺伝子と23SrRNA遺伝子の間に構成されているスペーサー領域の遺伝子配列を提供し、その配列を用いて迅速に感度よく検出できる方法を提供することを目的とする。
(1)第1の発明は、配列番号1に示される塩基配列の一部または全部を含むペクチネータス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列である。
(2)第2の発明は、配列番号2に示される塩基配列の一部または全部を含むペクチネータス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列である。
(3)第3の発明は、配列番号3に示される塩基配列の一部または全部を含むペクチネータス・セルビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列である。
(4)第4の発明は、配列番号4に示される塩基配列の一部または全部を含むペクチネータス・セルビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列である。
(5)第5の発明は、ペクチネータス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列が以下の配列群、
5’−CCATCCTCTTGAAAATCTC−3’ ▲1▼
5’−TCTCRTCTCACAAGTTTGGC−3’▲2▼
の少なくとも一つを有するか、または対応する相補的配列を有することを特徴とするオリゴヌクレオチドである。
(6)第6の発明は、ペクチネータス・セルビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列が以下の配列群、
5’−CACTCTTACAAGTATCTAC−3’ ▲3▼
5’−CCACAATATTTCCGACCAGC−3’ ▲4▼
5’−AGTCTTCTCTACTGCCATGC−3’ ▲5▼
の少なくとも一つを有するか、または対応する相補的配列を有することを特徴とするオリゴヌクレオチドである。
(7)第7の発明は、(1)または(2)に記載された遺伝子配列より作製したオリゴヌクレオチド配列を核酸合成のプライマーとして機能させ、遺伝子増幅処理することによってペクチネータス・フリシンゲンシスを検出する方法である。
(8)第8の発明は、(3)または(4)に記載された遺伝子配列より作製したオリゴヌクレオチド配列を核酸合成のプライマーとして機能させ、遺伝子増幅処理することによってペクチネータス・セルビシフィラスを検出する方法である。
(9)第9の発明は、(1)または(2)に記載された遺伝子配列より作製したオリゴヌクレオチドあるいは(5)に記載されたオリゴヌクレオチドと、ペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を核酸合成のプライマーとして機能させ、遺伝子増幅処理することによってペクチネータス・フリシンゲンシスを検出する方法である。
(10)第10の発明は、(3)または(4)に記載された遺伝子配列より作製したオリゴヌクレオチドあるいは(6)に記載されたオリゴヌクレオチドと、ペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を核酸合成のプライマーとして機能させ、遺伝子増幅処理することによってペクチネータス・セルビシフィラスを検出する方法である。
(11)第11の発明は、ペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNA遺伝子をコードするヌクレオチド配列が、以下の配列、
5’−CGTATCCAGAGATGGATATT−3’ ▲6▼
を有することを特徴とするオリゴヌクレオチドである(9)の方法である。
(12)第12の発明は、ペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNA遺伝子をコードするヌクレオチド配列が、以下の配列、
5’−CGTATGCAGAGATGCATATT−3’ ▲7▼
を有することを特徴とするオリゴヌクレオチドである(10)の方法である。
発明を実施するための最良の形態
遺伝子増幅に関する技術は既に公知であり、Saikiらが開発したPolymerase Chain Reaction法(以下、PCR法と略す;Science 230,1350,1985)を基に行うことができる。
この方法は、特定の遺伝子配列を増幅させる反応で、迅速・高感度で高い特異性を持ち、かつ簡便であることから、遺伝学的分野のみならず、近年は医療分野における病原菌の迅速判定や、食品分野における有害菌の迅速検出にも応用が試みられている。PCR法を行うことにより、検体中に僅かな量しか存在していなくても、2つのプライマーが挟む標的ヌクレオチド配列は何百倍にも増幅され、検出が可能までに大量にそのコピーが産生される。また、PCR法を行うには、検体中に存在する菌から核酸成分を遊離させる必要があるが、PCR法は標的配列が数分子以上存在すれば増幅反応が進むので、溶菌酵素や界面活性剤を用いた簡便な前処理をするだけで十分に試験に供することができる。そのため、従来の細菌検出法に比べ、利用価値が非常に高い。
これらのことを利用すべく、本発明では、ペクチネータス・フリシンゲンシス、ペクチネータス・セルビシフィラス各々の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列を提供し、これらから選択したオリゴヌクレオチドもしくは16SrRNA遺伝子をコードするヌクレオチド配列をPCR法の核酸合成のプライマーとして機能させ、遺伝子増幅処理することによって検体中にペクチネータス・フリシンゲンシスあるいはペクチネータス・セルビシフィラスが存在するか否かを迅速、高感度に判定する方法を開発した。
検体は、ビール及びビール製造途中の半製品、または下水などの環境から採取されたサンプルでもよい。また、プライマーに用いるオリゴヌクレオチドは化学合成されたものでも天然のものでも、いずれの使用でも可能である。
発明を実施するための最良の形態
以下に、PCR法を用いて、ペクチネイタス・フリシンゲンシスあるいはペクチネイタス・セルビシフィラスを検出する方法を示す。PCR法に用いた塩基配列は、さきの(5)、(6)、(11)、(12)に示したものは一例であり、これに限定されるものではない。また、PCR法に用いるプライマー長は、(5)、(6)、(11)、(12)に記述したものは19〜20塩基長であったが、これに限定されるものではない。好ましくは、10〜50塩基長のものを用いる。
PCR法を用いてペクチネータス・フリシンゲンシスを検出する場合、プライマーとして▲1▼と▲6▼を組み合わせた場合の増幅されるDNA断片はおよそ700塩基対およびおよそ900塩基対、▲2▼と▲6▼を組み合わせ場合の増幅されるDNA断片はおよそ700塩基対およびおよそ900塩基対であり、これらのバンドがゲル電気泳動により検出されときはペクチネータス・フリシンゲンシスが存在していたと判定できる。これらのプライマーの組み合わせは、いずれでもペクチネータス・フリシンゲンシス菌に特異的であるため、この菌種の検出に利用できるが、2組を平行して使用することにより、より確実な同定が行える。PCR法に用いるプライマーの塩基配列を変更させることで、増幅されるヌクレオチド配列の長さは変化する。
一方、PCR法を用いてペクチネータス・セルビシフィラスを検出する場合、プライマーとして▲3▼と▲7▼を組み合わせた場合の増幅されるDNA断片はおよそ600塩基対、▲4▼と▲7▼を組み合わせ場合の増幅されるDNA断片はおよそ650塩基対、▲5▼と▲7▼を組み合わせた場合の増幅されるDNA断片はおよそ700塩基対であり、これらのバンドがゲル電気泳動により検出されときはペクチネータス・セルビシフィラスが存在していたと判定できる。これらのプライマーの組み合わせは、いずれでもペクチネータス・セルビシフィラス菌に特異的であるため、この菌種の検出に利用できるが、2組以上を平行して使用することにより、より確実な同定が行える。PCR法に用いるプライマーの塩基配列を変更させることで、増幅されるヌクレオチド配列の長さは変化する。
PCR反応における温度条件は、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応で90〜98℃、プライマー鋳型DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応で37〜65℃、DNAポリメラーゼを作用させる鎖長反応で50〜75℃で行い、これを1サイクルとしたものを数十サイクル行わせることにより、標的配列を増幅させることができる。PCR反応後、反応物を電気泳動により分離し、エチジウムブロマイド等で核酸染色を行い、増幅されたヌクレオチド配列の塩基長が、上述の標的配列の塩基長と等しければ検体中に検出対象の菌が存在すると判定できる。増幅されたヌクレオチド配列の検出には、クロマトグラフィーも有効である。
本発明の配列表について説明する。
配列番号1は、配列の長さが624、配列の型が核酸、鎖の数が二本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・フリシンゲンシス DSM6306の配列である。
配列番号2は、配列の長さが442、配列の型が核酸、鎖の数が二本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・フリシンゲンシス DSM6306の配列である。
配列番号3は、配列の長さが724、配列の型が核酸、鎖の数が二本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・セルビシフィラス DSM20467の配列である。
配列番号4は、配列の長さが399、配列の型が核酸、鎖の数が二本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・セルビシフィラス DSM20467の配列である。
配列番号5は、配列の長さが19、配列の型が核酸、鎖の数が一本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・フリシンゲンシス DSM6306の配列である。
配列番号6は、配列の長さが20、配列の型が核酸、鎖の数が一本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・フリシンゲンシス DSM6306の配列である。
配列番号7は、配列の長さが19、配列の型が核酸、鎖の数が一本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・セルビシフィラス DSM20467の配列である。
配列番号8は、配列の長さが20、配列の型が核酸、鎖の数が一本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・セルビシフィラス DSM20467の配列である。
配列番号9は、配列の長さが20、配列の型が核酸、鎖の数が一本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・セルビシフィラス DSM20467の配列である。
配列番号10は、配列の長さが20、配列の型が核酸、鎖の数が一本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・フリシンゲンシス DSM6306の配列である。
配列番号11は、配列の長さが20、配列の型が核酸、鎖の数が一本鎖、トポロジーが直鎖状、配列の種類がgenomic DNA。起源がペクチネータス・セルビシフィラス DSM20467の配列である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
検体の調製
Pectinatus属に属する菌としては、Pectinatus frisingensis(DSM6306)、Pectinatus cerevisiiphilus(DSM20467)を使用した。また、本発明の配列番号5、6、7、8、9、10、11に示したペクチネイタス・フリシンゲンシスおよびペクチネイタス・セルビシフィラスプライマーの特異性を確かめるために、表1に示す他の細菌を使用した。これらを適当な増殖用培地にて培養を行った後、菌体を遠心操作により回収した。その後、菌体からのDNA抽出は、新生化学実験講座2核酸I分離精製p20〜21(日本生化学会編、東京化学同人)に従って行い、DNA溶液を得た。
Figure 0004022045
Figure 0004022045
実施例2
ペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域のクローニング及び塩基配列の決定
(1)PCR法による16S/23SrRNAスペーサー領域の増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーの選定および合成
ペクチネータス・フリシンゲンシスの16SリボソームRNA遺伝子は塩基配列が明らかにされており〔インターナショナル ジャーナル オブ システマティック バクテリオロジー(International Journal of Systematic Bacteriology)、第40巻、第19〜27頁(1990)〕、557番目〜576番目の塩基配列をもとにプライマーを選定した。
ペクチネータス・フリシンゲンシスの23SリボソームRNA遺伝子は塩基配列が明らかにされており〔システマティック アプライド マイクロバイオロジー(Systematic Applied Microbiology)、第15巻、第487〜501頁(1992)、EMBL Accession number X48423〕、1番目〜20番目の塩基配列をもとに対応する相補的配列になるようにプライマーを選定した。合成はサワディーテクノロジー(株)に委託した。
(2)PCR法による16S/23SrRNAスペーサー領域の増幅
実施例1で調製したペクチネータス・フリシンゲンシスのDNA溶液0.1μgを0.2ml用チューブ(パーキンエルマー社)に取り、rTaq DNA Polymerase Kit(東洋紡社)中の10×バッファーを5μl、3μlの25mM MgCl、5μlの2mMdNTP混合液(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)、0.5μlの5ユニット/μlのタック−ポリメラーゼ、実施例2−(1)で調製した濃度100mMプライマーを各々0.5μlを加え、これに滅菌蒸留水を加えて50μlの溶液にした。このチューブを自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットし増幅反応を行った。反応条件は、94℃、2.5分間の変性後、94℃、30秒間の変性→55℃、30秒間のプライマーのアニーリング→72℃、30秒間の合成反応のサイクルを30サイクル行った。反応後5μlの反応液を取り、アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイドでDNAを染色して、増幅されたDNAを確認した。その結果、約1600bp(以下「ロング」と称す)と約1400bp(以下「ショート」と称す)のDNAが増幅された。
(3)スペーサー領域ロングのクローニング及びシークエンシング
PCR終了後の反応液を、ハイ ピュア PCR プロダクト ピュリフィケイション キット(ベーリンガーマンハイム社)を用い、未反応のdNTPsを除去した。このように調製した増幅DNA100ngにTA クローニング キット(TNVITROGEN社)に含まれるプラスミドpCR2.1を2μl、リガーゼを1μl、バッファーを1μl、滅菌水を全量10μlになるように加え、14℃、4時間反応させた後、その2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンおよび40μg/mlX−Galを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。
培養後、大腸菌よりプラスミド ミニ キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。得られたプラスミドの一部を取り、制限酵素EcoRI(宝酒造社)により37℃、60分間反応させた後アガロース電気泳動、エチジウムプロマイドによるDNAの染色により、ロングが挿入されていることを確認した。残りのプラスミドのうち500ngを制限酵素SmaI(東洋紡社)により、30℃、60分間反応させた後、3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。沈殿に70%エタノールを500μlを加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った。この沈殿に滅菌水を加えて溶解し、制限酵素XbaI(ベーリンガーマンハイム社)により、37℃、60分間反応させた。この反応液に等量のフェノール/クロロホルム(等量混合液)を加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心し水層(上層)を回収した。
この回収液に等量の水飽和エーテルを加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心しエーテル層(上層)を除去した。残りの水層に3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。沈殿に70%エタノールを500μl加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った後、滅菌蒸留水20μlを加えた。この溶液5μlにブランティングキッド(宝酒造社)に含まれる10×バッファーを1μl、滅菌蒸留水を3μlを加え、70℃で5分間保温した後、T4 DNA ポリメラーゼ1μlを加え、37℃、5分間保温することにより、末端平滑化を行った。撹拌によりT4 DNA ポリメラーゼを失活させた後、Ligation Solution Aを40μl、Ligation Solution Bを10μl加え、16℃で30分間保温することにより分子内ライゲーションを行った。
この反応液2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。培養後、大腸菌よりプラスミド ミニ キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。
このようにして得られたプラスミドを鋳型とし、シーケンス反応を行った。シーケンシングプライマーはIRD41 Infared Dye Labeled M13 Forward プライマーおよびIRD41 Infared Dye Labeled M13 Reverse プライマー(日清紡製造、アロカ(株)販売)を、反応液はSequiTherm(登録商標)Long−Read(登録商標)Cycle Sequencing Kit−LC(EPICENTRE TECHNOLOGIES社製)を使用した。塩基配列決定は、4000L Long ReadIR(登録商標) DNA Sequencing System(LI−COR社製)を用いた。
得られたPectinatus frisingensis DSM6306菌の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域(ロング)の遺伝子配列を配列番号1に示す。
(4)スペーサー領域ショートのクローニング及びシークエンシング
実施例2−(2)のPCR終了後の反応液を、ハイ ピュア PCR プロダクト ピュリフィケイション キット(ベーリンガーマンハイム社)を用い、未反応のdNTPsを除去した。このように調製した増幅DNA100ngにTAクローニング キット(INVITROGEN社)に含まれるプラスミドpCR2.1を2μl、リガーゼを1μl、バッファーを1μl、滅菌水を全量10μlになるように加え、14℃、4時間反応させた後、その2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンおよび40μg/mlX−Galを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。培養後、大腸菌よりプラスミド ミニ キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。
得られたプラスミドの一部を取り、制限酵素EcoRI(宝酒造社)により37℃、60分間反応させた後アガロース電気泳動、エチジウムプロマイドによるDNAの染色により、ショートが挿入されていることを確認した。残りのプラスミドのうち500ngを制限酵素SmaI(東洋紡社)により、30℃、60分間反応させた後、3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。沈殿に70%エタノールを500μlを加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った。この沈殿に滅菌水を加えて溶解し、制限酵素XbaI(ベーリンガーマンハイム社)により、37℃、60分間反応させた。この反応液に等量のフェノール/クロロホルム(等量混合液)を加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心し水層(上層)を回収した。この回収液に等量の水飽和エーテルを加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心しエーテル層(上層)を除去した。
残りの水層に3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。沈殿に70%エタノールを500μl加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った後、滅菌蒸留水20μlを加えた。この溶液5μlにブランティングキット(宝酒造社)に含まれる10×バッファーを1μl、滅菌蒸留水を全量3μlを加え、70℃で5分間保温した後、T4 DNA ポリメラーゼ1μlを加え、37℃、5分間保温することにより、末端平滑化を行った。撹拌によりT4 DNA ポリメラーゼを失活させた後、Ligation Solution Aを40μl、Ligation Solution Bを10μl加え、16℃で30分間保温することにより分子内ライゲーションを行った。この反応液2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。
形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。培養後、大腸菌よりプラスミド ミニ キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。
このようにして得られたプラスミドを鋳型とし、シーケンス反応を行った。シーケンシングプライマーはIRD41 Infared Dye Labeled M13 Forward プライマーおよびIRD41 Infared Dye Labeled M13 Reverse プライマー(日清紡製造、アロカ(株)販売)を、反応液はSequiTherm(登録商標)Long−Read(登録商標)Cycle Sequencing Kit−LC(EPICENTRE TECHNOLOGIES社製)を使用した。塩基配列決定は、4000L Long ReadIR(登録商標) DNA Sequencing System(LI−COR社製)を用いた。
得られたペクリネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域(ショート)の遺伝子配列を配列番号2に示す。
実施例3
PCR法によるペクチネータス・フリシンゲンシスの検出
(1)ペクチネータス・フリシンゲンシスのためのプライマーの選定と合成
配列番号1、2を基にDNASIS(日立ソフトウエアエンジニアリング(株))を用いてペクチネータス・フリシンゲンシスに特異的な配列を解析した。その結果、配列番号1のペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列上の377番目から395番目までの配列、および配列番号2のペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列上の195番目から213番目までの配列を選定した。(配列番号5)
また、同様の解析により、配列番号1のペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列上の361番目から380番目までの配列、および配列番号2のペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列上の179番目から198番目までの配列を選定した。(配列番号6)
さらにペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子配列より、配列番号10に示す特異的プライマーを選定した。
これらのオリゴヌクレオチドを実施例2−(1)と同様の方法で化学合成した。
(2)配列番号6および配列番号10の配列をもつプライマーを用いたペクチネータス・フリシンゲンシスの検出及び同定。
実施例1で調製した各菌のDNA溶液を、実施例3で合成したプライマー(配列番号6および配列番号10)を用いてPCRを行った。PCRは以下の温度条件:
熱変性;94℃ 30秒
アニーリング;55℃ 30秒
鎖長反応;72℃ 30秒
を1サイクルとし、これを35サイクル繰り返して行った。PCR終了後、反応液をアガロースゲルにて、100V定電圧で30分間電気泳動に供した。反応液の他に、分子量マーカーとしてpHYマーカーも同時に泳動した。泳動終了後、約0.5μg/mlのエチジウムブロマイド溶液中で20分間染色した後、紫外線照射下でゲルを観察し、写真撮影を行った。ゲルの観察または撮影した写真より、増幅産物の塩基長を分子量マーカーとの相対移動度から求めた。
その結果、図1に示されるように、ペクチネータス・フリシンゲンシスにのみおよそ700bpsとおよそ900bpsのバンドが検出された。
この結果より、本発明の配列番号6及び配列番号10のオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして用いた場合、ペクチネータス・フリシンゲンシスにのみ目的長のバンドが検出された。このことより、本発明の各オリゴヌクレオチドが、ペクチネータス・フリシンゲンシスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列および16SrRNAをコードする遺伝子上の標的とする塩基配列を正しく認識していることが示された。かつ、同属のペクチネータス・セルビシフィラスを始め、近縁な偏性嫌気性菌やグラム陽性菌にも目的長のバンドは一切検出されなかったことから、本発明は、ペクチネータス・フリシンゲンシスを種特異的に検出できることを示し、ペクチネータス・フリシンゲンシスを検出できると同時に同定も行うことが出来るものであることが示された。
実施例4
ペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域のクローニング及び塩基配列の決定
(1)PCR法による16S/23SrRNAスペーサー領域の増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーの選定および合成
ペクチネータス・セルビシフィラスの16SリボソームRNA遺伝子は塩基配列が明らかにされており〔インターナショナル ジャーナル オブ システマティック バクテリオロジー(International Journal of Systematic Bacteriology)、第40巻、第19〜27頁(1990)〕、557番目〜576番目の塩基配列をもとにプライマーを選定した。
ペクチネータス・セルビシフィラスの23リボソームRNA遺伝子は塩基配列が明らかにされていないが、ペクチネータス・フリシンゲンシスの23リボソームRNA遺伝子は塩基配列が明らかにされていることから〔システマティック アプライド マイクロバイオロジー(Systematic Applied Microbiology)、第15巻、第487〜501頁(1992)、EMBL Accession number X48423〕、ペクチネータス・フリシンゲンシスの23リボソームRNA遺伝子の1番目〜20番目の塩基配列をもとに対応する相補的配列になるようにプライマーを選定した。合成はサワディーテクノロジー(株)に委託した。
(2)PCR法による16S/23SrRNAスペーサー領域の増幅
実施例1で調製したペクチネータス・セルビシフィラスのDNA溶液0.1μgを0.2ml用チューブ(パーキンエルマー社)に取り、rTaq DNA Polymerase Kit(東洋紡社)中の10×バッファーを5μl、3μlの25mM MgCl、5μlの2mMdNTP混合液(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)、0.5μlの5ユニット/μlのタック−ポリメラーゼ、実施例2−(1)で調製した濃度100mMプライマーを各々0.5μlを加え、これに滅菌蒸留水を加えて50μlの溶液にした。このチューブを自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラー(パーキンエルマー社)にセットし増幅反応を行った。反応条件は、94℃、2.5分間の変性後、94℃、30秒間の変性→55℃、30秒間のプライマーのアニーリング→72℃、30秒間の合成反応のサイクルを30サイクル行った。反応後5μlの反応液を取り、アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイドでDNAを染色して、増幅されたDNAを確認した。その結果、約1700bp(以下「ロング」と称す)と約1400bp(以下「ショート」と称す)のDNAが増幅された。
(3)スペーサー領域ロングのクローニング及びシークエンシング
PCR終了後の反応液を、ハイ ピュア PCR プロダクト ピュリフィケイション キット(ベーリンガーマンハイム社)を用い、未反応のdNTPsを除去した。このように調製した増幅DNA100ngにTA クローニング キット(INVITROGEN社)に含まれるプラスミドpCR2.1を2μl、リガーゼを1μl、バッファーを1μl、滅菌水を全量10μlになるように加え、14℃、4時間反応させた後、その2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンおよび40μg/mlX−Galを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。
培養後、大腸菌よりプラスミド ミニ キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。得られたプラスミドの一部を取り、制限酵素EcoRI(宝酒造社)により37℃、60分間反応させた後アガロース電気泳動、エチジウムプロマイドによるDNAの染色により、ロングが挿入されていることを確認した。残りのプラスミドのうち500ngを制限酵素SmaI(東洋紡社)により、30℃、60分間反応させた後、3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。沈殿に70%エタノールを500μlを加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った。この沈殿に滅菌水を加えて溶解し、制限酵素XbaI(ベーリンガーマンハイム社)により、37℃、60分間反応させた。この反応液に等量のフェノール/クロロホルム(等量混合液)を加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心し水層(上層)を回収した。この回収液に等量の水飽和エーテルを加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心しエーテル層(上層)を除去した。残りの水層に3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。
沈殿に70%エタノールを500μl加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った後、滅菌蒸留水20μlを加えた。この溶液5μlにブランティングキット(宝酒造社)に含まれる10×バッファーを1μl、滅菌蒸留水を3μlを加え、70℃で5分間保温した後、T4 DNA ポリメラーゼ1μlを加え、37℃、5分間保温することにより、末端平滑化を行った。撹拌によりT4 DNA ポリメラーゼを失活させた後、Ligation Solution Aを40μl、Ligation Solution Bを10μl加え、16℃で30分間保温することにより分子内ライゲーションを行った。この反応液2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。
形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。培養後、大腸菌よりプラスミド ミニ キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。
このようにして得られたプラスミドを鋳型とし、シーケンス反応を行った。シーケンシングプライマーはIRD41 Infared Dye Labeled M13 Forward プライマーおよびIRD41 Infared Dye Labeled M13 Reverse プライマー(日清紡製造、アロカ(株)販売)を、反応液はSequi Therm(登録商標)Long−Read(登録商標)Cycle Sequencing Kit−LC(EPICENTRE TECHNOLOGIES社製)を使用した。塩基配列決定は、4000L Long ReadIR(登録商標) DNA Sequencing System(LI−COR社製)を用いた。
得られたペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域(ロング)の遺伝子配列を配列番号3に示す。
(4)スペーサー領域ショートのクローニング及びシークエンシング
実施例4−(2)のPCR終了後の反応液を、ハイ ピュア PCR プロダクト ピュリフィケイション キット(ベーリンガーマンハイム社)を用い、未反応のdNTPsを除去した。このように調製した増幅DNA100ngにTA クローニング キット(INVITROGEN社)に含まれるプラスミドpCR2.1を2μl、リガーゼを1μl、バッファーを1μl、滅菌水を全量10μlになるように加え、14℃、4時間反応させた後、その2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンおよび40μg/mlX−Galを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。培養後、大腸菌よりプラスミド キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。
得られたプラスミドの一部を取り、制限酵素EcoRI(宝酒造社)により37℃、60分間反応させた後アガロース電気泳動、エチジウムプロマイドによるDNAの染色により、ショートが挿入されていることを確認した。残りのプラスミドのうち500ngを制限酵素SmaI(東洋紡社)により、30℃、60分間反応させた後、3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。沈殿に70%エタノールを500μlを加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った。この沈殿に滅菌水を加えて溶解し、制限酵素BamHI(宝酒造社)により、37℃、60分間反応させた。この反応液に等量のフェノール/クロロホルム(等量混合液)を加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心し水層(上層)を回収した。この回収液に等量の水飽和エーテルを加え穏やかに混合し、15000rpm、15分間遠心しエーテル層(上層)を除去した。残りの水層に3M 酢酸ナトリウム2μl、100%エタノールを500μlを加え、氷中に15分間保持した後、15000rpm、15分間遠心し、上清を除いた。
沈殿に70%エタノールを500μl加え、15000rpm、15分間遠心し、上清を除き、10分間減圧乾燥を行った後、滅菌蒸留水20μlを加えた。この溶液5μlにブランティングキット(宝酒造社)に含まれる10×バッファーを1μl、滅菌蒸留水を全量3μlを加え、70℃で5分間保温した後、T4 DNA ポリメラーゼ1μlを加え、37℃、5分間保温することにより、末端平滑化を行った。撹拌によりT4 DNA ポリメラーゼを失活させた後、Ligation Solution Aを40μl、Ligation Solution Bを10μl加え、16℃で30分間保温することにより分子内ライゲーションを行った。この反応液2μlと0.5M β−メルカプトエタノール2μlをともに大腸菌INVα‘Fコンピテントセルに加え、氷中、30分間放置した後、42℃、30秒間熱処理し、大腸菌へのプラスミドの形質転換を行った。形質転換した大腸菌にSOC培地(2.0% Tryptone,0.5% Yeast Extract,10.0mM NaCl,2.5mM KCl,10.0mM MgCl−6HO,20.0mM glucose)250μlを加え、37℃、60分間振とうした後、50μg/mlアンピシリンを含むLB平板培地に植菌し、37℃、一晩培養した。現れた白色のコロニーを50μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB液体培地に接種し、37℃、一晩培養した。培養後、大腸菌よりプラスミド キット(QIAGEN社)を用いて、プラスミドを抽出した。
このようにして得られたプラスミドを鋳型とし、シーケンス反応を行った。シーケンシングプライマーはIRD41 Infared Dye Labeled M13 Forward プライマーおよびIRD41 Infared Dye Labeled M13 Reverse プライマー(日清紡製造、アロカ(株)販売)を、反応液はSequiTherm(登録商標)Long−Read(登録商標)Cycle Sequencing Kit−LC(EPICENTRE TECHNOLOGIES社製)を使用した。塩基配列決定は、4000L Long ReadIR(登録商標)DNA Sequencing System(LI−COR社製)を用いた。
得られたペクリネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域(ショート)の遺伝子配列を配列番号4に示す。
実施例5
PCR法によるペクチネータス・セルビシフィラスの検出
(1)ペクチネータス・セルビシフィラスのためのプライマーの選定と合成
配列番号3を基にDNASIS(日立ソフトウエアエンジニアリング(株))を用いてペクチネータス・セルビシフィラスに特異的な配列を解析した。その結果、配列番号3のペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列上の135番目から153番目までの配列を選定した。(配列番号7)
また、同様の解析により、配列番号3のペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列上の172番目から191番目までの配列を選定した。(配列番号8)
また、同様の解析により、配列番号3のペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列上の203番目から222番目までの配列を選定した。(配列番号9)
さらにペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子配列より、配列番号11に示す特異的プライマーを選定した。これらのオリゴヌクレオチドを実施例2−(1)と同様の方法で化学合成した。
(2)配列番号7および配列番号11の配列をもつプライマーを用いたペクチネータス・セルビシフィラスの検出及び同定。
実施例1で調製した各菌のDNA溶液を、実施例5−(1)で合成したプライマー(配列番号7および配列番号11)を用いてPCRを行った。PCRは以下の温度条件:
熱変性;94℃ 30秒
アニーリング;55℃ 30秒
鎖長反応;72℃ 30秒
を1サイクルとし、これを35サイクル繰り返して行った。PCR終了後、反応液をアガロースゲルにて、100V定電圧で30分間電気泳動に供した。反応液の他に、分子量マーカーとしてpHYマーカーも同時に泳動した。泳動終了後、約0.5μg/mlのエチジウムブロマイド溶液中で20分間染色した後、紫外線照射下でゲルを観察し、写真撮影を行った。ゲルの観察または撮影した写真より、増幅産物の塩基長を分子量マーカーとの相対移動度から求めた。
その結果、図2に示されるように、ペクチネータス・セルビシフィラスにのみ約600bpsのバンドが検出された。
この結果より、本発明の配列番号7及び配列番号11のオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして用いた場合、ペクチネータス・セルビシフィラスにのみ目的長のバンドが検出された。このことより、本発明の各オリゴヌクレオチドが、ペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子の間のスペーサー領域の遺伝子配列および16SrRNAをコードする遺伝子上の標的とする塩基配列を正しく認識していることが示された。かつ、同属のペクチネータス・フリシンゲンシスを始め、近縁な偏性嫌気性菌やグラム陽性菌にも目的長のバンドは一切検出されなかったことから、本発明は、ペクチネータス・セルビシフィラスを種特異的に検出できることを示し、ペクチネータス・セルビシフィラスを検出できると同時に同定も行うことが出来るものであることが示された。
産業上の利用の可能性
本発明により、ペクチネータス・フリシンゲンシスおよびペクチネータス・セルビシフィラスの16SrRNA遺伝子と23SrRNA遺伝子の間に構成されているスペーサー領域の遺伝子が明らかになり、この遺伝子配列の全部または一部を用いたペクチネータス・フリシンゲンシスおよびペクチネータス・セルビシフィラス菌を迅速かつ確実に検出する方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例3における電気泳動図。
図2は実施例5における電気泳動図。

Claims (4)

  1. ペクチネータス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列を一方のプライマーとして選択し、16SrRNAをコードする遺伝子配列をもう一方のプライマーとするプライマー対であって、16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列が、
    5’−CCATCCTCTTGAAAATCTC−3’ または
    5’−TCTCYTCTCACAAGTTTGGC−3’または
    対応する相補的配列からなり、16SrRNAをコードする遺伝子配列が、
    5’−CGTATCCAGAGATGGATATT−3’ または
    対応する相補的配列からなるオリゴヌクレオチド。
  2. ペクチネータス・セルビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列を一方のプライマーとして選択し、16SrRNAをコードする遺伝子配列をもう一方のプライマーとするプライマー対であって、16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列が、
    5’−CACTCTTACAAGTATCTAC−3’ または
    5’−CCACAATATTTCCGACCAGC−3’ または
    5’−AGTCTTCTCTACTGCCATGC−3’ からなるオリゴヌクレオチド、または対応する相補的配列からなり、16SrRNA遺伝子をコードする遺伝子配列が、
    5’−CGTATGCAGAGATGCATATT−3’ または
    対応する相補的配列からなるオリゴヌクレオチド。
  3. ペクチネータス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列として
    5’−CCATCCTCTTGAAAATCTC−3’ または
    5’−TCTCYTCTCACAAGTTTGGC−3’からなるオリゴヌクレオチド、または、対応する相補的配列からなるオリゴヌクレオチドを一方のプライマーとして選択し6SrRNAをコードする遺伝子配列として
    5’−CGTATCCAGAGATGGATATT−3’ からなるオリゴヌクレオチド、または、対応する相補的配列からなるオリゴヌクレオチドをもう一方のプライマーとすることで、遺伝子増幅処理することによってペクチネータス・フリシンゲンシスを検出する方法。
  4. ペクチネータス・セルビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)の16SrRNAをコードする遺伝子と23SrRNAをコードする遺伝子との間のスペーサー領域の遺伝子配列として
    5’−CACTCTTACAAGTATCTAC−3’ または
    5’−CCACAATATTTCCGACCAGC−3’ または
    5’−AGTCTTCTCTACTGCCATGC−3’ からなるオリゴヌクレオチド、または対応する相補的配列からなるオリゴヌクレオチドを一方のプライマーとして選択し、16SrRNAをコードする遺伝子配列として
    5’−CGTATGCAGAGATGCATATT−3’ からなるオリゴヌクレオチド、または、対応する相補的配列からなるオリゴヌクレオチドをもう一方のプライマーとすることで、遺伝子増幅処理することによってペクチネータス・セルビシフィラスを検出する方法。
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