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JP4044975B2 - 乳酸菌発酵物からなる糖尿病治療剤 - Google Patents

乳酸菌発酵物からなる糖尿病治療剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、米糠及び/又は玄米粉を原料として得られた乳酸菌発酵物からなる糖尿病治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病治療剤としては、インシュリンが一般的であるが、インシュリンは、腸管で分解されるため、経口的に投与することができず、医師の指導の下に注射で投与しなければならない。このため、インシュリンによる治療には、入院又は通院が必要となる。また、インシュリンの投与を中止すると、糖尿病の症状が再びでてきて、抜本的な治療剤とはならないことが多い。
【0003】
近年、食物繊維等の食品素材が、糖尿病の症状を軽減する作用を有することが見いだされ、各種の糖尿病治療剤が提案されている。例えば、特開昭61−167622号には、ビール酵母の細胞壁成分を主成分とする糖尿病コントロール剤が提案されている。
【0004】
一方、乳酸菌は、乳酸菌飲料等の製造に古くから利用され、腸内細菌叢の改善などの効果が知られているものの、乳酸菌発酵物の成人病等に対する生理活性効果についての報告はまだ少ないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、インシュリンによる治療は、入院又は通院が必要で、抜本的な治療にならないことが多いという問題点がある。
【0006】
また、食物繊維等の糖尿病治療剤は、日常生活の中で食品として気軽に摂取することができ、食品素材であるから副作用の心配もないという利点があるが、食物繊維は難消化性であって、多量に摂取することが困難であり、また、他の栄養成分に乏しいという問題点がある。
【0007】
更に、糖尿病は、動脈硬化性血管障害等の各種の合併症を引き起こすことが多く、糖尿病の治療においては、糖尿病症状を軽減することだけでなく、良好な栄養状態と健康状態を維持し、各種の病気に対する抵抗力をつけることが重要とされている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、日常生活の中で飲食品として気軽に摂取することができ、各種の栄養成分を豊富に含み、糖尿病症状の軽減だけでなく、免疫力の増強作用もある糖尿病治療剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、米糠及び/又は玄米粉中に含まれる栄養成分に着眼し、これらを乳酸菌発酵させることによって良好な風味を有する栄養豊富な飲食品を提供すべく鋭意研究してきたが、その過程で、上記乳酸菌発酵物が、糖尿病症状の軽減効果と免疫増強効果を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、米糠及び/又は玄米粉に水を加えた後、液化型アミラーゼを加えて加熱処理し、この加熱処理液にセルラーゼ、プロテアーゼ及び糖化型アミラーゼを加えて酵素処理し、この酵素処理液から遠心分離又は濾過によって油脂部分を除去し、この処理液に乳酸菌を接種して発酵させることにより得られた発酵液そのもの又は該発酵液を乾燥粉末化したものを有効成分とすることを特徴とする糖尿病治療剤を提供するものである。
【0012】
本発明においては、前記発酵液が、発酵終了後に曝気処理されたものであることが好ましい。更に、前記発酵液が、発酵終了後に水不溶性部分を除去されたものであってもよい。
【0013】
なお、本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤の構成成分としての蛋白質又はその分解物とは、蛋白質、ペプチド、アミノ酸等を含む意味である。また、糖質とは、澱粉、ヘミセルロース等の多糖類やその部分分解物、オリゴ糖類、二糖類、単糖類等を含む意味である。
【0014】
本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤は、後述する動物試験データに示されるように、糖尿病の症状を軽減する顕著な効果を有し、また、明らかな免疫増強作用も認められる。したがって、本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤を摂取することによって、糖尿病に対する治療効果のみならず、種々の病気に対する抵抗力をつける効果がもたらされると考えられる。
【0015】
また、本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤は、米糠及び/又は玄米粉に起因する豊富な栄養成分を含み、乳酸菌発酵によって良好な風味も付与されているので、日常生活の中で飲食品として気軽にかつ好きなだけ摂取することができ、それによって良好な栄養状態と健康状態を維持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤は、米糠及び/又は玄米粉を原料として得られた乳酸菌発酵物であって、蛋白質又はその分解物、糖質、水溶性ビタミン、ミネラルを含有するものであればよく、乳酸菌発酵の方法は各種の方法が採用できる。その好ましい製造方法を記載すれば、次の通りである。
【0017】
まず、主原料としては、米糠、玄米粉から選ばれた少なくとも一種が用いられる。米糠としては、玄米を白米に精米する過程で除去される米の果皮、種皮、糊粉層、胚芽等を含む通常の米糠をそのまま用いることができ、玄米粉としては、玄米を粉砕して粉状にしたものを用いることができる。なお、米糠、玄米粉は、新鮮なものを用いるのが好ましい。
【0018】
米糠及び玄米粉は、下記表1に示すような豊富な栄養成分を含有している。なお、表1は、「日本食品成分表(四訂版)、科学技術庁資源調査編」による、玄米、白米及び米糠の可食部100 g当たりの各種成分の値を示す。
【0019】
【表1】
Figure 0004044975
【0020】
また、米糠や、玄米粉中には、フィチン酸が多く含まれていることが知られている(J.W.JR.Erdeman, J.Am.Oil.Chem.誌、56巻、736 頁、1979年参照)。
【0021】
本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤の原料としては、上記米糠、玄米粉から選ばれた少なくとも一種の他に、更に、小麦ふすま、トウモロコシ外皮、オカラ等を副原料として添加することもできる。これらの副原料の配合割合は、原料全体に対して1〜50重量%が好ましい。
【0022】
本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤の好ましい製造方法においては、まず、最初の工程において、米糠、玄米粉から選ばれた少なくとも一種に、必要に応じて副原料を配合した後、水を加え、次いで、液化型アミラーゼを加えてよく混合し、加熱処理することにより、予め澱粉をある程度まで分解して液化する。水の添加量は、原料全体に対して0.5 〜100 重量倍が好ましい。加熱処理は、始め10〜90℃までは、3〜60分間程度かけてゆっくり加熱し、その後、2〜30分間沸騰を続けるのが好ましい。このようにして加熱処理することにより、原料中の澱粉がα化されると共にある程度まで分解して液化され、後の工程で糊化するのが防止される。なお、液化型アミラーゼとしては、α−アミラーゼが好ましく用いられる。
【0023】
このようにして最初の工程を終えた後、次の工程において、セルラーゼ、プロテアーゼ及び糖化型アミラーゼを加えて更に酵素処理する。セルラーゼにより糠の組織の細胞壁が分解され、プロテアーゼにより蛋白質が分解される。更に、糖化型アミラーゼにより、上記工程で液化された澱粉が、グルコースなどに糖化される。糖化型アミラーゼとしては、グルコアミラーゼが好ましく用いられる。なお、この工程においても、液化型アミラーゼと糖化型アミラーゼとを併用して分解してもよい。なお、これらの酵素は、いずれも市販されているので、その中から適宜選択して用いることができる。
【0024】
酵素処理は、それぞれの酵素に応じた添加量、温度、pH、時間を選択して行えばよく、処理条件が同じであれば同時に添加して処理することもでき、また、一種又は二種以上を添加して、二回以上に分けて処理することもできる。なお、後に実施例で示すように、この酵素処理により、各種ビタミン量が増加する。
【0025】
酵素処理を終えた処理液は、次の工程において、遠心分離又は濾過により、油脂部分を除去する。例えば遠心分離すると、水不溶性の沈殿物からなる下層と、水溶液からなる中・上層と、油脂部分からなる最上層とに分れるので、油脂部分からなる最上層を除くことができる。このようにして、油脂成分を除去しておくことにより、次の工程で行う乳酸発酵の際に、油脂成分が分解、酸化されて糠臭、腐敗臭となったり、有毒化するのが防止される。なお、下層の沈殿物と、中・上層の水溶液とは、混合した状態で次の乳酸発酵を行い、その後、沈殿物を除去することもできるが、この段階で、沈殿物をも除去し、茶褐色透明の水溶液のみを乳酸発酵させることがより好ましい。なお、上記沈殿物は、食物繊維質からなり、本発明の主旨とは異なるが、この部分も機能性食品として利用可能である。
【0026】
こうして得られた酵素処理液を、次の乳酸発酵の工程における本培養液として用いるが、酵素処理を終了した段階、又は油脂部分を除去した段階において、必要に応じて、糖類を添加することもできる。糖類としては、例えば、6炭糖類、5炭糖類、2糖類等を用いることができる。
【0027】
続いて、次の工程で、この処理液に乳酸菌を接種して発酵させる。なお、処理液は、本培養液として乳酸発酵に用いる前に、公知の手段により滅菌処理をしておくのが好ましい。通常は、オートクレーブ等に入れ、120 〜130 ℃で、5〜20分間程度処理することにより充分な滅菌がなされる。
【0028】
乳酸菌としては、乳酸の生成量においてはラクトバシルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) が、味の面ではラクトバシルス・ビフィズス(Lactobacillus bifidus) が好ましいが、その他、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ラクトバシルス・ブルガリカス (Lactobacillus bulgaricus) 、ラクトバシルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) 、ラクトバシルス・カゼイ (Lactobacillus casei)、ストレプトマイセス・ラクチス(Streptomyces lactis) 等を用いることもできる。これらは、単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。これらの乳酸菌の選択によって、最終的な発酵液の味、香り、栄養素等を変化させることができる。なお、これらの乳酸菌は、いずれも公知の菌で、容易に入手することができる。
【0029】
これらの乳酸菌は、予め前培養した後に、上記本培養液に添加することが好ましい。例えば、牛乳培地等を用いて、35〜40℃で7日間程度培養した後、これを更にグルコース0.8 重量%、酵母エキス0.8 重量%、ラクトース0.7 重量%からなる培地に殖菌して、35〜40℃で2日間培養して前培養液を得る。そして、この前培養液を、本培養液に1〜20重量%添加することが好ましい。
【0030】
米糠、玄米粉から選ばれた少なくとも一種を主原料として調製された本培養液に、乳酸菌を添加した後、常法にしたがって発酵を行う。培地は静置培養が好ましいが、その他、撹拌振とう培養、通気培養なども可能である。培養条件は、30〜40℃で、3〜10日間程度とするのが好ましい。
【0031】
なお、油脂成分を除去した際に、沈殿物を除去していない場合は、乳酸発酵終了後、必要に応じて水不溶性部分を除去する。
【0032】
乳酸発酵させることにより、後の実施例で示すように、各種水溶性ビタミンの量が増加し、特に、ニコチン酸又はニコチンアミド、パントテン酸、ピリドキシン(ビタミンB6 )、チアミン(ビタミンB1 )、リボフラビン(ビタミンB2 )は、顕著に増加する。
【0033】
こうして得られた乳酸発酵液は、水溶性ビタミンを高含量で含有すると共に、セルロース、澱粉、蛋白質が低分子化され、水溶性となったもの、すなわち、水溶性の植物繊維、糖質、各種ペプチド、アミノ酸類も含有している。更に、各種のミネラルも豊富に含有している。
【0034】
上記のようにして得られた発酵液は、そのままでも米糠又は玄米粉の有する特有の悪臭であるいわゆる糠臭はかなり低減されるが、更に以下に示す工程を行うと、残存する糠臭が更に著しく低減されるので好ましい。
【0035】
すなわち、上記のようにして得られた発酵液に、ガス体を接触させるか、超音波を当てるか、又は放射線を照射する。
【0036】
発酵液にガス体を接触させる方法としては、曝気、脱気、攪拌振盪等の方法が採用される。
【0037】
発酵液を曝気する方法としては、人体に安全なガス体、例えば空気、窒素、酸素、アルゴン等のガス体を、例えばガス噴出器、スプレードライ機等を用いて接触させる方法が好ましく用いられる。ガス体としては、特に空気が好ましい。曝気をガス噴出器を用いて行なう場合は、発酵液100ml 当たり5〜3000ml/ 分のガス流量で、0.01〜25時間行うのが好ましい。
【0038】
また、発酵液を脱気する方法としては、例えば、凍結乾燥器、真空乾燥器、加熱減圧乾燥器等を用いて減圧する方法が好ましい。脱気は、0.1 〜700mmHg 柱程度の減圧度で、0.01〜25時間程度行うのが好ましい。脱気すると、発酵液中に溶存しているガス体が放出され、そのときにガス体が発酵液と接触する。
【0039】
更に、発酵液を攪拌振盪する方法としては、各種の攪拌混合機や、振盪機を用いて、発酵液を攪拌又は振盪する方法が採用される。振盪は、往復振盪、回転振盪のいずれでもよいが、往復振盪が好ましい。振盪条件は、10〜300 回/分で、10分間〜5時間行うのが好ましい。攪拌振盪によって、周囲の空気が発酵液中に混合して、発酵液と接触する。
【0040】
一方、発酵液に超音波を当てる方法としては、公知の超音波発生機を用い、発酵液の容器や、発酵液中に浸漬した発振器等を介して、発酵液に超音波を付与すればよい。超音波の振動数は2万サイクル/秒以上が好ましい。超音波発生機として、例えば「Ultrasonic generator US300」(商品名、株式会社日本精機製作所製)を用いた場合、処理条件は、1〜500 μAで、0.1 〜300 分間とするのが好ましい。
【0041】
また、発酵液に放射線を照射する方法としては、人体に危険が少ないα線、β線を照射するのが好ましく、公知の放射線照射装置を用いて照射すればよい。
【0042】
このようにして、発酵液に、ガス体を接触させるか、超音波を当てるか、又は放射線を照射することにより、無色透明に近く、米糠、玄米粉に起因する臭いが非常に少ない乳酸発酵液を得ることができる。
【0043】
本発明の糖尿病治療剤は、上記発酵液そのものであってもよいが、必要に応じて上記発酵液を更に乾燥粉末化し、粉剤、錠剤、カプセル剤としたものであってもよい。乾燥粉末化する方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥、熱風乾燥、スプレードライなど、各種の方法が採用できる。
【0044】
なお、飲料の形態にする場合には、上記発酵液をそのまま摂取することもできるが、そのままでは、味、香り、栄養価とも濃厚であるので、2〜20倍程度に水で希釈して飲むのが好ましい。また、上記発酵液に、各種香料、着色料、呈味成分、ゲル化剤等を添加することもできる。
【0045】
更に、本発明の糖尿病治療剤は、各種果汁、栄養ドリンク等の飲料に添加したり、ごはん、パン等の他の食品や、食品素材等に添加して摂取することもできる。
【0046】
更にまた、本発明の糖尿病治療剤は、各種の飼料に添加することもできる。例えば、天然配合飼料中に、飼料重量の1/20〜10倍量の乳酸菌発酵液を加え、乾燥して飼料とすることもできる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明する。以下の実施例において、液化型アミラーゼとしては、α−アミラーゼである「ユニアーゼBM80」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)を用い、糖化型アミラーゼとしては、グルコアミラーゼである「ユニアーゼ30」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)を用い、セルラーゼとしては、「セルラーゼオノズカ3S」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)を用い、プロテアーゼとしては、「パンチターゼNP−2」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)を用いた。
【0048】
実施例1
新鮮米糠に、その重量の5倍量の水を加えた後、米糠に対して0.1 重量%のα−アミラーゼ(ユニアーゼBM80)を加えて撹拌し、20分かけて90℃まで加熱し、その後沸騰させて、10分間保持した。
【0049】
加熱終了後、50℃まで冷却し、米糠に対してそれぞれ0.5 重量%の、α−アミラーゼ(ユニアーゼBM80)、グルコアミラーゼ(ユニアーゼ30)及びセルラーゼ(セルラーゼオノズカ3S)と、米糠に対して0.4 重量%のプロテアーゼ(パンチターゼNP−2)とを添加し、50℃の恒温器中で、撹拌下に、24時間酵素処理を行った。
【0050】
次いで、得られた酵素処理液を、5℃以下に冷却し、4℃、5000rpm の条件下に遠心分離し、最上層の油脂部分と、下層の沈殿部分とを分別除去して、茶褐色透明溶液を得た。
【0051】
次に、得られた溶液を、1L(リットル)容三角フラスコに200 mlの割合で分注し、綿栓をした後、オートクレーブで、120 ℃の条件下に、15分間高圧滅菌処理した。これを乳酸発酵本培養液とする。
【0052】
一方、ラクトバシルス・アシドフィルス、ラクトバシルス・ビフィズス、ストレプトコッカス・フェカリスを、それぞれ牛乳培地等を用いて、35〜40℃で7日間程度培養した後、この一白金耳を更にグルコース0.8 重量%、酵母エキス0.8 重量%、ラクトース0.7 重量%からなる培地に殖菌して、35〜40℃で2日間培養して3種類の前培養液を得た。
【0053】
この3種類の前培養液を、それぞれ、上記乳酸発酵本培養液に、5重量%の割合で添加し、34〜40℃で、8日間発酵させて、3種類の乳酸発酵液を得た。
【0054】
発酵の進行に伴ない、培養0時間、32時間、80時間、144時間、192時間で培養液の一部を採取して、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン(ビタミンB6 )、チアミン(ビタミンB1 )、リボフラビン(ビタミンB2 )の含量を分析した。
【0055】
分析定量は、液体クロマトグラフ装置(株式会社島津製作所製、検知器:紫外分光光度計SPD−6A(210 nm)、カラム:シンパックCLC−ODS[M](4.6 ×250 mm)(40℃))を用い、溶媒として1.2 mMオクタスルフォン酸ナトリウムの0.1 M リン酸バッファー(pH2.1 )溶液とアセトニトリルとの9:1混液(流速1.5 ml/ 分)を用いて行った。
【0056】
この結果を表2に示す。なお、表2において、乳酸菌の欄のAはラクトバシルス・アシドフィルス、Bはラクトバシルス・ビフィズス、Fはストレプトコッカス・フェカリスを表す。
【0057】
【表2】
Figure 0004044975
【0058】
表2の結果から、乳酸発酵の進行に伴ない、各種の水溶性ビタミンが顕著に増大することがわかる。
【0059】
次に、乳酸菌としてラクトバチルス・ビフィズスを用い、発酵時間を240 時間として、上記の方法で得られた発酵液について、ガス噴出器を用いて、発酵液100ml 当たり600ml/分の流量で空気を挿入し、5時間曝気することにより、糠臭を除去した。
【0060】
こうして得られた乳酸菌発酵液について、食品としての安全性をみるための各種分析を行った結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0004044975
【0062】
また、乳酸菌発酵液に含まれる蛋白質成分について、アミノ酸分析をした結果を表4に示す。なお、アミノ酸分析は、過ギ酸酸化処理後、塩酸加水分解して、アミノ酸自動分析法によって行い、トリプトファインだけは、高速液体クロマトグラフ法によって行った。
【0063】
【表4】
Figure 0004044975
【0064】
表2〜4の結果から、この乳酸菌発酵液は、蛋白質又はその分解物、糖質、水溶性ビタミン、ミネラルを含む栄養豊富な飲料であることがわかる。
【0065】
実施例2
実施例1の米糠を、ボールミルで微粉砕した玄米粉に替え、加える水の量を玄米粉の2重量倍とし、加熱処理の際のα−アミラーゼの量を玄米粉に対して0.6 重量%とした以外は実施例1と同様にして、乳酸菌発酵液を得た。
【0066】
この乳酸菌発酵液の成分を分析したところ、実施例1の乳酸菌発酵液と同様に蛋白質又はその分解物、糖質、水溶性ビタミン、ミネラルを含み、糖質の含量がやや多いことがわかった。
【0067】
試験例1
3週齢のSD系雄性ラットを、各群6匹ずつA〜Dの合計4群用意し、通常の固形飼料(オリエンタル酵母製)と、飲料水として、A群、C群については蒸留水のみ、B群、D群については実施例1で得られた乳酸菌発酵液を蒸留水で1/2に希釈した液(以下単に「1/2発酵希釈液」とする)とをそれぞれ自由に与えて、全群17日間予備飼育した。全群とも、予備飼育の17日目に1日絶食させ、A〜D群について更に次のように飼育した。なお、1日絶食させ後、飼料については、全群とも上記と同じ固形飼料を自由摂取させた。
【0068】
A群:再び蒸留水のみを飲料水として飼育した。
B群:再び1/2発酵希釈液を飲料水として飼育した。
C群:1日絶食させた後、アロキサンを0.25ml(10mg)/100g体重の量で腹腔内投与し、その後、再び蒸留水のみを飲料水として飼育した。
D群:1日絶食させた後、アロキサンを0.25ml(10mg)/100g体重の量で腹腔内投与し、その後、再び1/2発酵希釈液を飲料水として飼育した。
【0069】
なお、アロキサンは、膵臓のβ細胞を破壊して、血糖低下作用を発揮するホルモン、インシュリンの分泌を抑制する物質として知られており、人工的に糖尿病を惹起する物質として各種実験に用いられているものである。
【0070】
この飼育期間中に、各群の1匹当たりの平均体重、血糖値、尿糖値、1匹1日当たりの尿量、1匹1日当たりの平均飲水量、1匹1日当たりの平均摂餌量、尿中ウロビリノーゲン、尿蛋白、尿中ケトン体、尿pHの各値について、経時的に測定した。
【0071】
なお、血糖値は、試験紙として「アントセンスカートリッジ」(商品名、ダイキン工業株式会社製、小野薬品工業株式会社販売)を用い、小型電極血糖測定機器「アントセンス」(商品名、ダイキン工業株式会社製、三共株式会社販売)によって測定した。
【0072】
また、尿糖値、尿中ウロビリノーゲン、尿蛋白値、尿中ケトン体、尿pHは、テストペーパー「ウロラブスティクス」(商品名、マイルズ三共株式会社製)を用いて測定した。
【0073】
図1は、各群の1匹当たりの平均体重を表すが、A群とD群が同じ挙動を示し、また、B群とC群が同じ挙動を示した。注意すべき点は、1/2発酵希釈液を飲料水として飼育し、アロキサン投与したD群は、蒸留水のみを飲料水として飼育し、アロキサン投与したC群に比べて、アロキサン投与後の体重増加が大きくなっており、アロキサン投与をしないA群と同様の挙動を示したことである。なお、C群の内の1匹は、アロキサン投与後の3日目にアロキサン毒性によって死亡した。
【0074】
図2は、各群の血糖値の測定結果を示す。蒸留水のみを飲料水として飼育し、アロキサン投与したC群は、顕著な血糖値の増加が見られたが、1/2発酵希釈液を飲料水として飼育し、アロキサン投与したD群は、血糖値の増加量が半減することがわかる。
【0075】
図3は、各群の尿糖値の測定結果を示す。蒸留水のみを飲料水として飼育し、アロキサン投与したC群は、顕著な尿糖値の増加が見られたが、1/2発酵希釈液を飲料水として飼育し、アロキサン投与したD群は、尿糖値の増加量がかなり減少することがわかる。
【0076】
図4は、各群の尿量の測定結果を示す。蒸留水のみを飲料水として飼育し、アロキサン投与したC群は、顕著な尿量の増加が見られたが、1/2発酵希釈液を飲料水として飼育し、アロキサン投与したD群は、その他の群と同様に正常な値を保ち続けた。
【0077】
図5は、各群の飲水量の測定結果を示す。蒸留水のみを飲料水として飼育し、アロキサン投与したC群のみが、顕著な飲水量の増加が見られた。
【0078】
なお、飼料摂取量は、B群のみ実験後半にやや減少が見られたが、その他の群はほぼ同様の結果を示した。また、尿蛋白値は、各群全く錯綜した結果を示したが、全試験期間を通じて見た場合は、全群ほぼ同量の排泄量を示した。更に、尿pHも各群錯綜していたが、全試験期間を通じて見た場合は、同様な結果であった。尿中ウロビリノーゲン、尿中ケトン体は、全群全く同じ結果を示し、何ら変化は見られなかった。
【0079】
以上の結果を考慮すると、特に図2〜5の結果から、蒸留水のみを飲料水として飼育し、アロキサン投与したC群は、アロキサン投与後に顕著な糖尿病の症状が見られるが、1/2発酵希釈液を飲料水として飼育し、アロキサン投与したD群は、糖尿病の症状が顕著に抑制されることがわかる。
【0080】
試験例2
5週齢の雄性ラットを各群10匹ずつ、A群、B群の2群用意し、A群は蒸留水のみを飲料水とし、B群は試験例1と同じ1/2発酵希釈液を飲料水とし、飼料としてはいずれも試験例1と同じ通常の固形飼料を用い、飲料水及び飼料を自由摂取させて飼育した。
【0081】
そして、飼育期間中の体重、飲水量、摂餌量を経時的に測定した。また、実験最終日に、0.05ml(2μg)のフィトヘムアグルチニン(Pytohaemagglutinin)を耳たぶの内皮に注入し、24時間後の赤斑の程度を日本光電製測色色差計で測って免疫機能の程度を測定した。
【0082】
なお、フィトヘムアグルチニンは、抗原として作用するもので、フィトヘムアグルチニンを注入した後の赤斑が濃くでるほど、抗原抗体反応による抗体産生力が強いと判断される。
【0083】
図6は、体重の変化を示し、両群とも全く同じ挙動を示した。
【0084】
図7は、1日当たりの飲水量の変化を示し、多少の変動はあるが、ほぼ試験全期間を通じてB群の摂取量が多いことがわかる。
【0085】
図8は、A、B両群の1日当たりの摂餌量を示している。また、B群については、1/2発酵希釈液からなる飲料水中に含まれる固液分の量を上記B群の摂餌量に加えた合計の摂餌量を計算し、図中B’(−△−のグラフ)で示した。
【0086】
A、B両群の摂餌量を比較すると、明らかにA群の方が多くなっているが、飲料水中に含まれる固液分の量を加えたB’で比較すると、両群ともほぼ同様な挙動を示すことがわかる。
【0087】
すなわち、B群は、発酵希釈液中から固形分を摂取しているため、その分だけ摂餌量が減少することがわかる。逆に言えば、B群は、固形飼料の摂餌量を減らしてでも、発酵希釈液を好んで多飲することにより、摂餌量の不足分を補っていることがわかる。
【0088】
図9は、フィトヘムアグルチニンを注入した翌日の免疫反応の結果を示し、図において、a値の増加は赤色が強いこと、b値の増加は黄色が強いことを示している。免疫反応は、赤色が強いほど顕著であることを示すので、B群は、A群に比べて、明らかに免疫反応が強く、免疫力が増強されていることがわかる。
【0089】
試験例3
5週齢の雄性ラットを各群10匹ずつ、A群、B群の2群用意し、A群は蒸留水のみを飲料水とし、B群は実施例1で得られた乳酸菌発酵液を蒸留水で1/3に希釈した液(以下単に「1/3発酵希釈液」とする)を飲料水とし、飼料としてはいずれも試験例1と同じ固形飼料を用い、飲料水及び飼料を自由摂取させて35日間飼育した。
【0090】
そして、この飼育期間の最終日(10週齢)における各群の1匹当たりの平均体重と、最終日の1日における各群の1匹当たりの平均飲水量及び平均摂餌量とを測定した。
【0091】
図10は、平均体重を示し、A、B両群ともほぼ同様であるが、B群の方が若干増加している。
【0092】
図11は、平均飲水量を示し、B群の方が明らかに多くなっており、成長ラットの場合も発酵希釈液を好んで飲用することがわかる。
【0093】
図12は、平均摂餌量を示している。なお、B群については、1/3発酵希釈液からなる飲料水中に含まれる固形分の量を上記B群の摂餌量に加えた合計の摂餌量を計算し、図中B’で示した。
【0094】
A、B両群の摂餌量を比較すると、明らかにA群の方が多くなっているが、飲料水中に含まれる固形分の量を加えたB’で比較すると、大きな差はないことがわかる。
【0095】
したがって、10週齢の成長ラットにおいても、発酵希釈液を好んで飲用し、それによって蒸留水を飲料水とした場合よりも体重が増加することがわかる。
【0096】
試験例4
13週齢の中老の雄性ラットを各群10匹ずつ、A群、B群の2群用意し、A群は蒸留水のみを飲料水とし、B群は試験例3と同じ1/3発酵希釈液を飲料水とし、飼料としてはいずれも試験例1と同じ固形飼料を用い、飲料水及び飼料を自由摂取させて1日間飼育した。
【0097】
そして、上記1日間における1匹当たりの平均飲水量を測定した。この結果を図13に示す。
【0098】
図13に示されるように、中老ラットにおいても、発酵希釈液を好んで飲用することがわかる。
【0099】
以上の試験結果から、本発明の糖尿病治療剤及び免疫増強剤を含む発酵希釈液は、幼年ラットから成長ラット、中老ラットになるに従って好んで飲用する傾向があり、固形飼料の摂餌量を減らしても嗜飲することから、この発酵希釈液は、ラットにとって非常に美味な飲料となっていることがわかる。
【0100】
また、発酵希釈液の摂取によって、年を取るに従って体重の増加を示すことから、この発酵希釈液は、美味であると共に、栄養豊富な飲料となっていることがわかる。
【0101】
そして、この発酵希釈液を飲ませることによって、免疫力が増強され、糖尿病誘因物質であるアロキサンを投与した後の糖尿病症状を顕著に軽減する効果がもたらされることがわかる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の糖尿病治療剤は、糖尿病症状を軽減すると共に、免疫力を増強させる効果を有し、美味であると共に栄養豊富であることから、糖尿病患者等の健康状態を回復させ、糖尿病の抜本的治療も期待できると考えられる。また、本発明の糖尿病治療剤は、前記表3に示したように、人体に危険な成分を含有しておらず、本来食品として自由に摂取できるものであるため、日常生活の中で手軽に、かつ好きなだけ摂取することができ、長期に亙って摂取することにより、治療効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における各群の平均体重の推移を示す図表である。
【図2】試験例1における各群の血糖値の推移を示す図表である。
【図3】試験例1における各群の尿糖値の推移を示す図表である。
【図4】試験例1における各群の尿量の推移を示す図表である。
【図5】試験例1における各群の飲水量の推移を示す図表である。
【図6】試験例2における各群の平均体重の推移を示す図表である。
【図7】試験例2における各群の飲水量の推移を示す図表である。
【図8】試験例2における各群の摂餌量の推移を示す図表である。
【図9】試験例2における各群の免疫反応の結果を示す図表である。
【図10】試験例3における各群の平均体重を示す図表である。
【図11】試験例3における各群の飲水量を示す図表である。
【図12】試験例3における各群の摂餌量を示す図表である。
【図13】試験例4における各群の飲水量を示す図表である。

Claims (3)

  1. 米糠及び/又は玄米粉に水を加えた後、液化型アミラーゼを加えて加熱処理し、この加熱処理液にセルラーゼ、プロテアーゼ及び糖化型アミラーゼを加えて酵素処理し、この酵素処理液から遠心分離又は濾過によって油脂部分を除去し、この処理液に乳酸菌を接種して発酵させることにより得られた発酵液そのもの又は該発酵液を乾燥粉末化したものを有効成分とすることを特徴とする糖尿病治療剤。
  2. 前記発酵液が、発酵終了後に曝気処理されたものである請求項記載の糖尿病治療剤。
  3. 前記発酵液が、発酵終了後に水不溶性部分を除去されたものである請求項1又は2に記載の糖尿病治療剤。
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