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JP3936834B2 - 加入者系無線アクセスシステム及びそれに用いる装置 - Google Patents

加入者系無線アクセスシステム及びそれに用いる装置 Download PDF

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JP3936834B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加入者系無線アクセスシステム、および特に準ミリ波帯・ミリ波帯の周波数を利用するP−MP(一対多方向方式)システム及びそのシステムを構成する基地局及び加入者局の構成並びその使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気通信事業者の設置する基地局と利用者宅に設置する加入者局とを無線で繋ぐ加入者系無線アクセスシステム(例えば、日経コミュニケーション、1999年9月6日号、106〜112頁参照)は、その利用周波数が準ミリ波帯・ミリ波帯において広く開放されたことによって、高速かつ低料金のアクセス回線を提供できるものと期待されている。特に、この従来システムにおける一システムであるP−MP(一対多方向方式)システム(ARIB STD−T59 1.0版ARIB STD−T59 1.0版 参照)は、基地局と数十〜数百の加入者局を一対多で結ぶものであって、SOHO(small office home office)や個人利用者が対象となる。上記P−MPシステムの加入者系無線アクセスシステムを準ミリ波帯・ミリ波帯で実現提供するに当たり、基地局と加入者局との間の見通し通信路の確保が必要である。見通し通信路確保の方法として、高位置へのアンテナ設置や中継装置の利用があげられるが、多大なコストを要するために、容易に適用できるものではない。これと酷似した状況を有する別の無線電話システムにおいては、中継装置を安価に利用するための技術として、中継機能を有する無線電話装置が特開平11−243362号で開示されている。
【0003】
その内容を図1により説明する。同図中、無線電話装置90は、第1の受信部95と第2の送信部96を含む第1の無線部91と、第2の受信部97と第1の送信部98を含む第2の無線部92を有する。無線電話装置90を基地局と直接通話を行うための電話装置として使用する場合には第1の無線部91を用いる。また、無線電話中継装置として使用する場合には、同無線電話装置90を中継に適した場所に設置し、同図には示されていない中継機能を起動するスイッチを入れる。この際、基地局からの無線信号を他の無線電話に中継するために第1の受信部95と第1の送信部98を用い、他の無線電話からの無線信号を基地局に中継するために第2の受信部97と第2の送信部96を用いる。上記中継装置を介して無線電話として使用する場合には第2の無線部92を用いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
準ミリ波帯・ミリ波帯加入者系無線アクセスシステムのP−MPシステムにおける加入者局に対して、上記無線電話装置のごとき中継機能のをもつ従来知られている装置は、付加をねらうものであるが次の課題が存在する。
【0005】
(1)中継機能の使用要否の判定手段の開示は無く、人手を介す必要があり、非効率である。
(2)準ミリ波帯・ミリ波帯向けのRFモジュールはMMICによるもので依然高価であることに加え、加入者局に送受信とも中継用と通話用の複数の送受無線部を備える必要があるため、コスト高となる。
(3)ARIB STD−T59 1.0版は、加入者局に指向性アンテナの使用を義務づけている。一方で、アンテナの指向方向を判定する手段の開示は無く、人手を介せば非効率である。
【0006】
従って、本発明の主な目的は、中継機能を持つ加入者局が、人手を介することなく、中継の要否を判断し、中継の要と判断した場合、最適の中継径路及びアンテナを自動的に設定する、即ち自律的にルーティングを確立する加入者系無線アクセスシステム及びそれに使用する基地局及び加入者局を実現することである。本発明の他の目的は、上記主な目的を達成すると同時に、加入者局の送受無線部を簡易に構成することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、基地局を介して、複数の加入者局が交信し、少なくとも1つの加入者局は別の加入者局と基地局との間で交わされる信号を中継するための機能を備える加入者系無線アクセスシステムにおいて、上記中継するための機能を備える加入者局は中継する必要の要否を判断し、中継する必要があるとき最適の中継径路を検出し、記録すると共に、上位加入者局に登録する構成とし、 上記基地局は、基地局に登録してある任意の加入者局との間で信号を交わすために、自局に登録してある別の加入者局を介す、又は介さない経路を特定するための中継径路情報を登録しておき、その中継径路情報に基づき制御、通信チャネルを割り当て加入者局に送信する構成とする。
【0008】
上記中継機能を備える加入者局は、上記別の加入者局と基地局との間で交わされる信号を一時記憶するためのバッファと、少なくとも自局の基準無線局と自局が中継に関わる下位加入者局との間の中継経路を特定するための情報を登録しておくための第一のテーブルを備える。
【0009】
特に好ましい実施形態では、時分割多元接続方式を特徴とする一対多方向方式の加入者系無線アクセスシステムにおいて、上記中継機能を備える加入局は、同一周波数で送受可能な無線部と、受信信号の識別と送信信号の生成と無線チャネル及び送受に用いるアンテナの管理を行う通信制御部と、受信信号よりクロックを抽出しシステムへの同期を維持するタイミング制御部と、受信信号の受信品質を測定する受信品質測定部と、上記通信制御部からの選択信号に基づいて使用するアンテナを選択するアンテナ選択部と、異なる方向にそれぞれ指向性を有する複数の指向性アンテナと、上記別の加入者局と基地局との間で交わされる信号を一時記憶するためのバッファと、上記複数の指向性アンテナをそれぞれ用いた際に自局の同期元となる無線局の情報と自局が中継に関わる下位加入者局との間の中継経路を特定するための情報とを登録しておくための第一のテーブルと、フレームフォーマットを記録しておくための第三のテーブルと、同期元無線局の探索期間の上限を報知するための第一のタイマーと、自局の下位加入者局の探索期間の上限を報知するための第二のタイマーと、外部装置との入出力を制御するためのインターフェース制御部とを備える。
【0010】
また、上記基地局は、同一周波数で送受可能な無線部と、受信信号の識別と送信信号の生成と無線チャネルの管理を行う通信制御部と、アンテナと、各チャネルの位置を特定するためのフレームフォーマットと各チャネルの利用状況を記録しておくための第四のテーブルと、外部装置との入出力を制御するためのインターフェース制御部と、各加入者局の情報及び自局に登録した任意の加入者局との間で信号を交わすために自局に登録した別の加入者局を介す経路もしくは介さない経路を特定するための中継径路情報とを登録しておくことを用途とする第二のテーブルとを備える。
本発明で中継機能を備える加入者局は、移動可能な電話機、あるいは位置の固定の無線送受装置であっても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明が実施される加入者系無線アクセスシステムの一形態の構成を図2に示す。同図において、1は基地局を、2A、2B、2C、2D、2E及び2Fは加入者局を、3は基地局1と加入者局2Fとの間の直接の通信路を遮る障害物を示す。基地局1及び加入者局2A、2B、2C、2D、2E及び2Fを総称して無線局と呼ぶ。
【0012】
各加入者局2A乃至2Fは電波障害物3が存在しない場合は、基地局1に直接アクセスできる。しかし、電波障害物3が固定的又は移動して、基地局1とこれらの各加入者局との間に存在する場合は、基地局1に直接アクセスできない。例えば、図2に示すように電波障害物3が存在して、加入者局2Fが基地局1に直接アクセスするができない場合、本発明の無線アクセスシステムでは、本発明による加入者局及び基地局の構成によって、各加入者局の稼動状態、受信電波の品質の状態等を基に、基地局1−加入者局2A−加入者局2Fの径路、1−2B−2F、1−2B−2C−2D−2F、1−2D−2F、1−2E−2F等の径路の中で最も望ましい中継径路が無線アクセスシステムの自律的ルーティング機能によって決定される。
【0013】
以下の説明で、基地局1に直接アクセスする加入者局を直接加入者局と呼ぶ。他の加入者局を中継局として介して基地局1にアクセする加入者局を間接加入者局と呼ぶ。加入者局は障害物の状態及び加入者局の稼動状態によって、直接加入者局又は間接加入者局となる。例えば、加入者局2Dは通常は直接加入者局であるが、基地局1と加入者局2Dとの間に電波障害物が生じた場合、間接加入者局となることもある。
【0014】
全ての加入者局は、アクセスする際には、システムに同期しているものとする。システムに同期するとは、基地局と同期をとることであり、加入者局は、基地局1と同期した別の加入者局と同期をとることによってシステムに同期してもよい。各加入者局に対して直接の同期元となる無線局を以下、基準無線局と呼ぶ。ある無線局に対して、当該無線局を直接もしくは間接的に同期元とする加入者局を上記無線局の下位加入者局と呼ぶ。例えば、図2のシステムにおいて、加入者局2B、2C、2D、2Fが全てシステムに同期して、基地局1と加入者局2F間で中継径路1−2B−2C−2D−2Fが構成されている場合、加入者局2Bの基準無線局は基地局1、加入者局2Cの基準無線局は加入者局2B、加入者局2Dの基準無線局は加入者局2C、加入者局2Eの基準無線局は加入者局2Dである。
【0015】
本発明の加入者系無線アクセスシステムは、加入者局のいずれかが、電波障害物3などによって直接基地局1を基準無線局とできない時、加入者局2A、2B、2C、2D、2Eのいずれか1つ、または複数個を中継局として動作させ、基地局1と接続される。特に中継局となる加入者局は固定的でなく、加入者局の稼動状態あるいは障害物の状態に合わせ、最適の中継径路が形成できるように、各加入者局が自ら中継径路を形成するように動作する。即ち自律的にルーティングを行う。
【0016】
例えば、図2のように、障害物3がある場合、加入者局2Fと基地局1との中継径路は1−2B−2C−2D−2F、1−2E−2F、1−2D−2F、1−2B−2E−2Fが考えられるが、加入者局2Eが稼動していない、あるいは加入者局1−2F間に障害物が生じた時、中継径路1−2B−2C−2D−2Fか1−2D−2Fのいずれかを、その時の受信信号の受信品質判定して決定する。そのため、本発明の加入者系無線アクセスシステムを構成する加入者局は中継する必要の要否を判断する手段と、中継する必要があるとき最適の中継径路自動的に設定する手段を持ち、上記基地局は、自局に登録してある任意の加入者局との間で信号を交わすために、自局に登録してある別の加入者局を介すもしくは介さない経路を特定するための情報を登録しておく手段を備える。
【0017】
以下の説明において、中継が行われる時、基地局から遠い加入者局を下位加入者局、基地局1に近い加入者局を上位加入者局と呼ぶ。例えば、中継径路が1−2B−2C−2D−2Fの場合、加入者局2Bは加入者局2Cの上位加入者局であり、加入者局2Dは加入者局2Cの下位加入者局である。加入者局と基地局1との間で信号を交わす際に間に介在する中継局の数を、上記加入者局の加入者局レベルと定義する。例えば、図2のシステムにおいて、基地局1と加入者局2F間で中継径路1−2B−2C−2D−2Fが構成されている場合、加入者局2Bの加入者局レベルは0であり、加入者局2Cの加入者局レベルは1で、加入者局2Dの加入者局レベルは2である。
【0018】
基地局1から直接加入者局への無線通信路を下り無線チャネルあるいは単に下りチャネルと呼び、その逆向きの通信路を上り無線チャネルあるいは単に上りチャネルと呼ぶ。また、一つの間接加入者局の中継局となる加入者局から上記間接加入者局への通信路を下り無線チャネルあるいは単に下りチャネルと呼び、その逆向きの通信路も上り無線チャネルあるいは単に上りチャネルと呼ぶ。上り・下りそれぞれの無線チャネルを総称して無線チャネルと呼ぶ。無線周波数帯域を時分割して無線チャネルを設定する。
【0019】
具体的には下述の3種類の無線チャネルを設ける。ただし、本発明は以下に例示したチャネルの種類に限定されるものではない。各チャネルの機能を統合してより少ない種類のチャネルを設定してもよく、また、各チャネルの機能を細かく分割してより多い種類のチャネルを設定してもよいも構わない。
【0020】
(1)制御チャネル:システム時刻及びフレームフォーマットの報知と、着信時の加入者局の呼び出しと、発呼時の通信チャネルの予約に対する応答と、加入者局の制御チャネル予約に対する応答等に用いる。制御チャネルは基地局及び中継局となる加入者局が送信に用いる下りチャネルである。
(2)通信チャネル:基地局と加入者局との間の情報伝送サービスに用いる双方向のチャネル。
(3)予約チャネル:通信チャネルおよび及び制御チャネルの予約と、加入者局の登録と、上記諸予約および及び登録の中継等のために加入者局が送信に用いる上りチャネルである。
なお、予約チャネルをレベル分けして複数設け、加入者局の加入者局レベルに応じて上記加入者局が送信に使用可能なチャネルを規制するものとする。
【0021】
上記フレームフォーマットの構成例を図3に示す。同図において、時間の経過を左から右への向きとし、左側をフレームの先頭側、右側をフレームの末尾側とする。200、201、202は制御チャネルを示す。フレームの最も先頭側の制御チャネルを基地局が送信に用いるものとし、中継局となる加入者局の送信用に制御チャネルを割り当てる際には、加入者局レベルの小さい加入者局ほどフレーム先頭側の制御チャネルを割り当てる。
【0022】
211、212、213、214は下り通信チャネルを示す。加入者局の送信用に下り通信チャネルを割り当てる際には、加入者局レベルの小さい加入者局ほどフレーム先頭側の下り通信チャネルを割り当てる。221、222、223、224は上り通信チャネルを示す。加入者局の送信用に上り通信チャネルを割り当てる際には、加入者局レベルの大きい加入者局ほどフレーム先頭側の上り通信チャネルを割り当てる。
【0023】
231、232、233は予約チャネルを示す。加入者局レベルの大きい加入者局ほどフレーム先頭側の予約チャネルを送信用に用いる。例えば、加入者局レベルが2である加入者局は予約チャネル231を送信に使用し、加入者局レベルが1である加入者局は予約チャネル232を送信に使用し、加入者局レベルが0である加入者局は予約チャネル233を送信に使用する。
【0024】
図4は本発明による加入者系無線アクセスシステムに含まれる中継機能を持つ加入者局の一実施形態の構成を示すブロック図である。
加入者局2は、同一周波数で送受可能な無線部110と、受信信号の識別と送信信号の生成と無線チャネル及び送受に用いるアンテナの管理を行う通信制御部121と、受信信号よりクロックを抽出しシステムへの同期を維持するタイミング制御部122と、受信信号の受信品質を測定する受信品質測定部123と、通信制御部121からの選択信号に基づいて一つもしくは複数のアンテナを選択するアンテナ選択部170と、それぞれ異なる方向に指向性を有する複数の指向性アンテナ171、172〜17nと、記憶部130と、同期元無線局の探索期間の上限を報知するための第一のタイマー141及び自局の下位加入者局の探索期間の上限を報知するための第二のタイマー142をもつタイマー部140と、外部装置との入出力を制御するためのインターフェース制御部150とを持つ。
【0025】
記憶部130は、上記複数の指向性アンテナ171、172〜17nをそれぞれ用いた際に自局100の同期元となる無線局の情報と自局が中継に関わる下位加入者局との間の中継経路を特定するための情報とを登録する第一のテーブル131と、各チャネルの位置を特定するフレームフォーマット等を記録しておく第三のテーブル132と、別の加入者局と基地局との間で交わされる信号を一時記憶するためのバッファ133とを含む。
【0026】
テーブル131の詳細を図5を用いて説明する。テーブル131をn×mの行列構造に構成する。ただし、mは5以上の整数とする。テーブル131の各行の第1列目には、加入者局2が備える複数の指向性アンテナそれぞれのアンテナIDを重複なく格納する。
【0027】
テーブル131の各行の第2列要素及び第3列要素には、それぞれ同行の第1列目記載のアンテナIDを有する指向性アンテナを用いて制御チャネルで受信した一つの信号に含まれる送信元の無線局ID及び中継レベルとを格納する。また、同行の第4列要素に、上記受信信号の受信品質を表す評価指数を格納する。同行の第5列目以降それぞれの要素には、同行の第1列要素に記載のアンテナIDを有する指向性アンテナを用いて予約チャネルでにて受信した一つの信号に含まれる登録元となる加入者局の無線局IDと中継レベルと上記加入者局の中継局となる加入者局の無線局ID全て(中継径路情報)とを一組として格納する。
【0028】
ここで、中継レベルとは、信号の中継回数を示すものであり、中継されていないオリジナルの信号には0を、同信号を1度中継した信号には1を、同信号をn度中継した信号にはnを設定する。初期状態において、第1列目を除く各列の記述を空欄とし、通信制御部121のテーブル131へのポインタを同テーブルの第1行目に設定する。
【0029】
タイマー142における自局の下位加入者局の探索期間の上限t2を、本システムに含まれる加入者局一台が有する指向性アンテナの最大数nmaxと、タイマー141の同期元無線局探索期間の上限t1_によって拘束する。具体的には、
t2_ ≧ nmax × t1_
とする。
【0030】
続いて、加入者局2の動作について、以下に示す通り大別し、順次説明する。
【0031】
1.初期動作
1−1.システムへ同期するための動作
1−2.システムへ登録するための動作
2.中継局に関する動作
2−1.中継路開設試験
2−2.中継局の動作
3.加入者局の諸動作
3−1.加入者局への着信
3−2.加入者局からの発信
3−3.システムへの再登録
3−4.基準無線局の変更
1.初期動作
1−1.システムへ同期するための動作
(手順1−1)通信制御部121はテーブル131へのポインタによって指し示される行の第1列目に格納されるアンテナIDを読み出し、アンテナ選択部170を制御し、上記読み出したアンテナIDと対応する指向性アンテナを選択する。
【0032】
次に、タイマー141を起動し、無線部110を制御して受信待機する。上記選択した指向性アンテナを通じて無線部110が何らかの信号を受信すると、無線部110は上記受信信号を通信制御部121と、タイミング制御部122と、受信品質測定部123とへ伝達する。タイミング制御部122では受信信号よりクロック抽出を行う。受信品質測定部123では受信信号より受信品質を示す評価指数を算出し通信制御部121へ伝達する。ここで、受信品質を示す評価指数とは、例えば、受信電界強度指数(RSSI)やデータ誤り率など信号の受信品質を直接的あるいは間接的に示すものであればよい。いずれを用いるかは特に限定しない。
【0033】
更に詳しく述べると、通信制御部121は、上記受信信号を制御チャネル信号と識別すると、同信号の所定の位置に含まれるシステム時刻情報を抽出し、当該情報をタイミング制御部122にセットする。こうして加入者局2はシステムに同期する。また、通信制御部121は、上記制御チャネル信号の所定の位置に含まれるフレームフォーマットを抽出し、そのフレームフォーマット情報をテーブル132に記憶する。
【0034】
さらに、通信制御部121は、上記制御チャネル信号の所定の位置に含まれる送信元無線局IDと、中継レベルとを抽出し、それぞれを、テーブル131へのポインタが指し示す行の第2列目、第3列目に記憶するほか、受信品質測定部123より同信号の受信品質評価指数を取得し、同行の第4列目に記憶する。システム同期後も同アンテナによる受信を継続する。別の無線局より制御チャネル信号を受信した場合には、通信制御部121は同信号の所定の位置に含まれる送信元の無線局IDと、中継レベルとを抽出し、受信品質測定部123より同信号に対する受信品質評価指数を取得し、これらをテーブル131へのポインタが示す行に既に記憶した各値と比較する。そして、次の条件(1)又は(2)を満たすならば、上記既に記憶した各値を、上記抽出及び取得した各値で書き換える。
【0035】
条件(1):抽出した中継レベルが、既に記憶してあるものよりも小さい場合。
条件(2):抽出した中継レベルが既に記憶してあるものと同じであって、かつ、受信品質評価指数が既に記録してあるものよりも良い受信品質を示している場合。 タイマー141は一定時間t1_経過すると、通信制御部121に対し一定時間の経過を通知する。通信制御部121は、受信有無に関わらず、タイマー141より一定時間の経過の通知を受けた場合、タイマー141を停止する(手順1−1ここまで)。
【0036】
タイマー停止後は、テーブル131へのポインタが指し示す行を一つ進め、別の指向性アンテナで(手順1−1)を繰り返す。テーブル131へのポインタが第n行を指し示している場合、すなわち、全ての指向性アンテナについて、制御チャネル信号の受信の試みを完了した後、テーブル131を検索し、中継レベルのもっとも小さい信号を受信した指向性アンテナのうち、受信品質最良を示すものを一つ選択し、そのアンテナIDを基準アンテナとして、そのアンテナIDを含む行に記載の送信元無線局IDを基準無線局として、上記同行記載の中継レベルを加入者局レベルとして、それぞれ、テーブル132に記憶する。そして、後述の「1−2.システムへ登録するための動作」を引き続き実行する。もし制御チャネル信号を受信していない場合、すなわち、システムへ同期していない場合には、通信制御部121のテーブル131へのポインタを同テーブルの第1行目に再設定し、(手順1−1)を再び繰り返す。
【0037】
1−2.システムへ登録するための動作(手順1−2)
通信制御部121はテーブル132にアクセスし、基準アンテナIDと、基準無線局IDと、加入者局レベルとを取得し、アンテナ選択部170を制御して、上記基準アンテナIDと対応する指向性アンテナを選択し、上記加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて、システムへの登録を示す信号を送信する。ここで、システムへの登録を示す信号(システム登録信号と略称)には、予め定めたシステムへの登録を示す種別コードと、登録元となる自局の無線局IDと、登録先の無線局IDと、中継レベルとを含む。ただし、上記登録先の無線局IDを基準無線局IDとし、中継レベルを0とする。上記システム登録信号の送信以降、一定時間、制御チャネルを監視する(手順1−2はここまで)。
【0038】
上記一定時間の間に受信した制御チャネル信号に上記システム登録信号に対する応答(システム登録応答と略称)が含まれていれば、本動作を終了し、そうでなければ、(手順1−2)を繰り返す。ここで上記システム登録応答とは、予め定めたレスポンス種別コードと、上記システムへの登録を示す信号に挿入した自局の無線局IDとを含む信号である。
【0039】
2.中継局に関する動作
本中継動作を実行する加入者局は、指向性アンテナ171〜17nのいずれかを用いて、予め定めた中継レベルnL以下の制御チャネル信号を受信してシステムへ同期した中継局候補となる加入者局(中継候補加入者局と略称)である。中継局候補加入者局は、受信した制御チャネル信号の内容をバッファ133へ一時記憶する。そして、新たな制御チャネル信号を受信する度に上記一時記憶した内容を更新する。中継局候補加入者局は定期的に中継路を開設して中継の必要有無を試験する。この手順を後記「2−1.中継路開設試験」で説明する。上記試験の結果、中継の必要が有ると判定した場合には、中継局候補加入者局は、中継局としても動作する。これを後記「2−2.中継局の動作」で説明する。
【0040】
2−1.中継路開設試験
2−1−1.中継開設試験
中継候補加入者局において、制御チャネルを介して中継路開設試験の要請を示す信号を受信した場合、あるいはタイミング制御部122が予め定めた時刻を報知した場合、あるいは外部入出力装置からインターフェース制御部150を介して中継路開設試験の要請を示す信号を受信した場合のいずれかにあるとき、通信制御部121は、自局の加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて制御チャネルの予約を示す信号(制御チャネル予約信号と略称)を送信する。本信号は、予め定めた制御チャネルの予約を示すコマンド種別コードと、自局の無線局IDとを含む。
【0041】
上記制御チャネル予約信号の送信以降、通信制御部121は制御チャネルにおいて一定時間、上記制御チャネルの予約を示す信号に対する応答(制御チャネル予約応答)の有無を監視する。ここで、上記制御チャネル予約応答には、予め定めたレスポンス種別コードと、制御チャネルの割当先となる加入者局の無線局IDと、割り当てた制御チャネルを特定するためのコードとを含む。
【0042】
通信制御部121は、割り当て先となる加入者局の無線局IDが自局のものとなる上記応答を制御チャネルで見出すと、テーブル131の各行の第5列目以降を空欄に設定し、テーブル131へのポインタを同テーブルの第1行目に設定し、上記制御チャネルを特定するためコードが特定するところの制御チャネルを用いて下記中継開設試験(手順2−1−1)を開始する。
【0043】
(手順2−1−1):通信制御部121はバッファ133に一時記憶した制御チャネル信号より、中継レベルを抽出し1インクリメントした値とし、上記の1インクリメントした中継レベルと、自局の無線局IDと、システム時刻と別の加入者局に対して登録の募集を示すコードとを上記一時記憶した制御チャネル信号の予め定めた位置に多重し、中継用の制御チャネル信号を新たに生成する。
【0044】
次に、通信制御部121は、アンテナ選択部170を制御して、テーブル131へのポインタが指し示す行の第1列に格納してあるアンテナIDと対応する指向性アンテナを選択し、タイマー142を起動し、割り当てられた制御チャネルを用いて上記生成した中継用の制御チャネル信号を送信する。タイマー142が一定時間の経過を報知するまでの間、通信制御部121は上述のごとく中継用の制御チャネル信号を生成し、上記割り当てられた制御チャネルを用いて、同アンテナからの送信を繰り返す。また、タイマー142が一定時間の経過を報知するまでの間、通信制御部121は同アンテナを用いて他の下位加入者局からの予約チャネルにおける上記システム登録信号又はシステムへの登録の中継を示す信号(システム登録中継信号)の有無を監視する。ここで、システム登録中継信号とは、予め定めたシステムへの登録の中継を示す種別コードと、登録元となる加入者局の無線局IDと、登録先の無線局IDと、中継レベルと、中継局となる加入者局の無線局IDとを含む信号である。なお、上記システム登録中継信号は、同信号内に含む中継レベルの分、中継局となる加入者局の無線局IDを含む。例えば、中継レベルが2の場合、中継局となる加入者局の無線局IDを2個含む。上記中継局となる加入者局の無線局IDそれぞれを、中継の経路を一意特定できる様に予め定めた順序で格納する。
【0045】
登録先の無線局IDが自局のものとなる上記システム登録信号もしくはシステム登録中継信号を別の加入者局から受信すると、当該信号をバッファ133に一時記憶する。次に、通信制御部121は当該信号に含まれる登録元となる加入者局の無線局IDを抽出して、テーブル131の各行の第5列目以降を検索し、もし、上記抽出した無線局IDと同じものが既にあれば、上記無線局IDと、その中継レベルと、その中継局となる加入者局の無線局IDの全てとをテーブル131より削除しておく。
【0046】
検索後、テーブル131へのポインタが指し示す行の第5列目以降の列要素に上記抽出した無線局IDと、その中継レベルと、その中継局となる加入者局の無線局ID全てとを順次更新登録する。そして、上記中継レベルに応じて次の(i)又は(ii)のいずれかを処理する。
【0047】
(i)中継レベルが0である場合、上記割り当てられた制御チャネルを用いて上記抽出した無線局IDが示すところの加入者局に対して、上記システム登録応答を送信する。
【0048】
(ii)中継レベルが0でない場合、上記システム登録中継信号に対する応答を示す信号を生成し上記割り当てられた制御チャネルを用いて送信する。ここで、上記システム登録中継信号に対する応答を示す信号とは、予め定めたレスポンス種別コードと、上記システムへの登録の中継を示す信号を送信した最後の中継局となる加入者局の無線局IDとを含む信号である。上記システム登録中継信号は、当該信号の中継経路を一意特定できる様に中継局となる加入者局の無線局IDを格納しているので、上記システム登録中継信号を送信した最後の中継局となる加入者局の無線局IDを特定することは容易である。
【0049】
上記(i)又は(ii)の処理後、「2−1−2.加入者局のシステムへの登録の中継動作」を上記(手順2−1−1)とは独立して実施する。タイマー142は一定時間t2経過すると、通信制御部121に対し一定時間の経過を通知する。通信制御部121は、別の加入者局からの登録の有無に関わらず、タイマー142より一定時間の経過を通知された場合、タイマー142を停止する(手順2−1−1ここまで)。
【0050】
タイマー停止後は、第一のテーブル131へのポインタが指し示す行を一つ進め、別の指向性アンテナで(手順2−1−1)を繰り返す。テーブル131へのポインタが第n行を指し示している場合、すなわち、別の加入者局へ登録募集の試みを全ての指向性アンテナについて行った場合には、テーブル131の第5列目以降の要素にアクセスし、次の(i)、(ii)の状況に合う方のいずれかを実行する。
【0051】
(i)どの行の第5列目以降の要素にも登録元となる加入者局の無線局IDの記載がなければ、すなわち、当該加入者局が発信した登録募集に対して別の加入者局からの反応が無いならば、当該加入者局からの中継の必要は無しと判定する。そして、テーブル132にアクセスし基準アンテナIDと加入者局レベルとを読み出し、アンテナ選択部170を制御して、上記IDが示すところの指向性アンテナを選択し、上記割り当てられた制御チャネルの使用終了を示す信号を、上記加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて送信する。ここで、制御チャネルの使用終了を示す信号とは、予め定めた制御チャネルの使用終了を告知する種別コードと、上記終了予定の制御チャネルを特定するためのコードとを含む信号である。
【0052】
上記制御チャネルの使用終了を示す信号の送信以降、一定時間、制御チャネル信号を監視する。当該加入者局は、制御チャネル信号に、上記制御チャネルの使用終了を示す信号に対する応答を示すコードを見出すと、本動作を終了する。ここで、制御チャネルの使用終了を示す信号に対する応答を示すコードとは、予め定めた該当制御チャネルの開放を示す種別コードを含む信号である。
【0053】
(ii)いずれかの行の第5列目以降の要素に登録元となる加入者局の無線局IDの記載があれば、上記記載のあった行のアンテナID全てを、中継アンテナとして、テーブル132に記憶し、以後、加入者局の通常の通信チャネルでの動作に加え、中継局の動作も実施する。その詳細は後記「2−2.中継局の動作」に示す。
【0054】
2−1−2.加入者局のシステムへの登録の中継動作
通信制御部121はバッファ133に上記一時記憶したシステムへの登録を示す信号もしくはシステムへの登録の中継を示す信号の内容より、登録元となる加入者局の無線局IDと、中継レベルと、もしあれば中継局となる加入者局の無線局IDとを抽出し、上記登録元となる加入者局の無線局IDをそのままに、中継レベルを1だけインクリメントした値とし、中継局となる加入者局の無線局IDに当該信号の中継経路を一意に特定できる様に予め定めた順序で自局の無線局IDを追記し、少なくともこれら三つの要素に、予め定めたシステムへの登録の中継を示す種別コードと登録先の無線局IDとを追加し、システムへの登録の中継を示す信号を生成する。ただし、上記登録先の無線局IDを、テーブル132記載の基準無線局IDとする。そして、次の(手順2−1−2)を行う。
【0055】
(手順2−1−2)通信制御部121は、テーブル132にアクセスし、基準アンテナIDを取得し、アンテナ選択部170を制御して、上記基準アンテナのIDと対応する指向性アンテナを選択し、自局の加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて上記生成したシステムへの登録の中継を示す信号を送信する。上記のシステムへの登録の中継を示す信号の送信以降、一定時間、制御チャネルを監視する。(手順2−1−2ここまで)。
【0056】
上記一定時間の間に受信した制御チャネル信号に上記送信したシステムへの登録の中継を示す信号に対する応答が含まれていれば、当該中継動作を終了し、そうでなければ、(手順2−1−2)を繰り返す。ここでシステムへの登録の中継を示す信号に対する応答とは、予め定めたレスポンス種別コードと、上記システムへの登録の中継を示す信号に挿入した自局の無線局IDとを含む。
【0057】
2−2.中継局の動作
本中継動作を実行する加入者局は、制御チャネルを割り当てられた加入者局に限る。中継局の動作において、アンテナ選択の際に特に記述のない場合、基準局との通信には基準アンテナを、下位加入者局と通信する場合には中継アンテナを原則として用いる。
【0058】
2−2−1.制御チャネル信号の転送
制御チャネルを割り当てられた加入者局において、通信制御部121はバッファ133に一時記憶した制御チャネル信号より、中継レベルを抽出し1インクリメントした値とし、上記の1インクリメントした中継レベルと、自局の無線局IDと、システム時刻とを上記一時記憶した制御チャネル信号の予め定めた位置に多重し、中継用の制御チャネル信号を新たに生成する。次に、通信制御部121は、テーブル132より中継アンテナIDを読み出し、アンテナ選択部170を制御して上記中継アンテナIDと対応する指向性アンテナを全て選択し、自局に割り当てられている制御チャネルを用いて上記中継用の制御チャネル信号を送信する。
【0059】
2−2−2.別の加入者局のシステムへの登録の中継
制御チャネルを割り当てられた加入者局において、通信制御部121はテーブル132より中継アンテナIDを読み出し、アンテナ選択部170を制御して上記中継アンテナIDと対応する指向性アンテナを全て選択し、予約チャネルにおけるシステムへの登録を示す信号もしくはシステムへの登録の中継を示す信号の有無を監視する。
【0060】
登録先の無線局IDが自局のものとなるシステム登録信号もしくはシステム登録中継信号を別の加入者局から受信すると、当該信号をバッファ133に一時記憶する。次に、通信制御部121は当該信号に含まれる登録元となる加入者局の無線局IDを抽出する。続いて、通信制御部121はテーブル132にアクセスし、中継アンテナIDを取得し、テーブル131の第1列目において上記取得した中継アンテナIDが記載されている行それぞれの第5列目以降を検索し、もし、上記抽出した無線局IDと同じものが既にあれば、上記無線局IDと、その中継レベルと、その中継局となる加入者局の無線局ID全てとをテーブル131の上記検索した行の要素より削除しておく。検索後、上記取得した中継アンテナIDが記載されている行それぞれの第5列目以降空欄となっている要素に、上記受信した信号に含まれる登録元となる加入者局の無線局IDと、中継レベルと、中継局となる無線局のID全てとを追加する。そして、上記中継レベルに応じて次の(i)(ii)いずれかを処理する。
【0061】
(i)中継レベルが0である場合、上記割り当てられた制御チャネルを用いて上記抽出した無線局IDが示すところの加入者局に対して、上記登録への応答を示す信号を送信する。ここで、登録への応答を示す信号とは、予め定めた登録への応答を示す種別コードと、応答先の無線局IDとを含む信号である。
(ii)中継レベルが0でない場合、システム登録中継信号に対する応答信号を生成し上記割り当てられた制御チャネルを用いて送信する。
【0062】
また、通信制御部121はバッファ133に上記一時記憶したシステム登録信号もしくはシステム登録中継信号の内容より、登録元となる加入者局の無線局IDと、中継レベルと、もしあれば中継局となる加入者局の無線局IDとを抽出し、上記登録元となる加入者局の無線局IDをそのままに、中継レベルを1だけインクリメントした値とし、中継局となる加入者局の無線局IDに当該信号の中継経路を一意に特定できる様に予め定めた順序で自局の無線局IDを追記し、少なくともこれら三つの要素に、予め定めたシステムへの登録の中継を示すコードと登録先の無線局IDとを追加し、システムへの登録の中継を示す信号を生成する。ただし、上記登録先の無線局IDを、テーブル132記載の基準無線局IDとする。そして、次の(手順2−2−2)を行う。
【0063】
(手順2−2−2)通信制御部121は、テーブル132にアクセスし、基準アンテナIDを取得し、アンテナ選択部170を制御して、上記基準アンテナのIDと対応する指向性アンテナを選択し、自局の加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて上記生成したシステム登録中継信号を送信する。上記システム登録中継信号の送信以降、一定時間、制御チャネルを監視する(手順2−2−2ここまで)。
【0064】
上記一定時間の間に受信した制御チャネル信号に上記送信したシステム登録中継信号に対する応答が含まれていれば、当該中継動作を終了し、そうでなければ、(手順2−2−2)を繰り返す。
【0065】
2−2−3.別の加入者局への着信の中継
制御チャネルを割り当てられた加入者局において、通信制御部121は制御チャネルにおける加入者局への着信を示す信号の有無を監視する。ここで、加入者局への着信を示す信号とは、予め定めた加入者局への着信を示す種別コードと、着信先となる加入者局の無線局IDと、上記着信先となる加入者局に割り当てられた上下の通信チャネルを特定するためのコードと、上記着信先となる加入者局の中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てられた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを含む信号であるものとする。
【0066】
なお、上記着信信号は、上記中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てられた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを、上記着信先加入者局と基地局との間を中継する加入者局の数だけ含む。上記中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てられた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを、基地局と上記着信先加入者局との間の中継経路を特定出来る様に、予め定めた順に格納する。
【0067】
通信制御部121は、加入者局への着信を示す信号において、着信先となる加入者局の無線局IDが自局のテーブル131のいずれかの行の第5列目以降の列要素に含まれていることと、中継局となる加入者局の無線局IDに自局の無線局IDが含まれることとを見いだすと、上記加入者局への着信を示す信号により特定される中継経路に基づいて、自局の受信すべき上下の通信チャネルと、中継用に自局へ割り当てられた上下の通信チャネルとを識別する。そして、上記識別した自局の受信すべき下り通信チャネルにて受信した信号をバッファ133に一時記憶し、当該信号を中継用に自局へ割り当てられた下り通信チャネルを用いて送信するとともに、上記識別した自局の受信すべき上り通信チャネルにて受信した信号をバッファ133に一時記憶し、当該信号を中継用に自局へ割り当てられた上り通信チャネル用いて送信する。
【0068】
2−2−4.別の加入者局からの発信の中継
制御チャネルを割り当てられた加入者局において、通信制御部121は、予約チャネルで、自局の下位加入者局から通信チャネルの予約を示す信号(通信チャネル予約信号と略称)を受信すると、当該信号をバッファ133に一時記憶する。ここで、通信チャネル予約信号とは、予め定めた通信チャネルの予約を示す種別コードと、予約元となる加入者局の無線局IDとを含む。通信制御部121は、自局の加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて、上記一時記憶した通信チャネル予約信号を自局の基準無線局へ転送する。以後、上記「2−2−3.別の加入者局への着信の中継」と同じ手順を行う。
【0069】
2−2−5.制御チャネルの予約の中継
制御チャネルを割り当てられた加入者局において、通信制御部121は予約チャネルにおける制御チャネル予約信号の有無を監視する。制御チャネル予約信号を別の加入者局から受信すると、当該信号をバッファ133に一時記憶する。次に、通信制御部121はテーブル131にアクセスし、上記受信した制御チャネル予約信号に含まれる予約元となる加入者局の無線局IDの、テーブル131のいずれかの行の第5列目以降の列要素への、登録有無を検査する。もし、登録が有れば、通信制御部121は、テーブル132にアクセスし、基準アンテナIDと加入者局レベルとを読み出し、アンテナ選択部170を制御して、上記基準アンテナIDと対応する指向性アンテナを選択し、上記加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて、自局の基準無線局へ上記一時記憶した制御チャネル予約信号を転送する。
【0070】
2−2−6.制御チャネルの使用終了の中継
制御チャネルを割り当てられた加入者局において、通信制御部121は、別の加入者局からの予約チャネルにおける制御チャネルの使用終了を示す信号の有無を監視する。ここで、制御チャネルの使用終了を示す信号とは、予め定めた制御チャネルの使用終了を告知する種別コードと、上記終了予定の制御チャネルを特定するためのコードとを含む信号であるものとする。制御チャネルの使用終了を示す信号を受信すると、当該信号をバッファ133に一時記憶する。
【0071】
次に、通信制御部121は、テーブル132にアクセスし、基準アンテナIDと加入者局レベルとを読み出し、アンテナ選択部170を制御して、上記基準アンテナのIDと対応する指向性アンテナを選択し、上記加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて、自局の基準無線局へ上記一時記憶した制御チャネルの使用終了を示す信号を転送する。
【0072】
3.加入者局の諸動作
本動作において、アンテナ選択の際に特に記述のない場合、基準局との通信には基準アンテナを原則として用いるものとする。
【0073】
3−1.加入者局への着信
加入者局2において、通信制御部121は制御チャネルで加入者局への着信を示す信号の有無を監視する。ここで、加入者局への着信示す信号は、予め定めた加入者局への着信を示す種別コードと、着信先となる加入者局の無線局IDと、上記加入者局に割り当てられた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを含む。通信制御部121は、上記加入者局への着信を示す信号で、着信先となる加入者局の無線局IDが自局の無線局IDであることを識別すると、上記信号に含まれているコードが特定するところの通信チャネルを用いて通信を開始する。
【0074】
3−2.加入者局からの発信
加入者局2において、通信制御部121は、自局の加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて通信チャネルの予約を示す信号(通信チャネル予約信号)を送信する。上記通信チャネル予約信号には、予め定めた通信チャネルの予約を示す種別コードと、予約元である自局の無線局IDとを含む。上記通信チャネル予約信号の送信以降、一定時間、制御チャネルにおいて加入者局への着信を示す信号の有無を監視する。ここで、加入者局への着信を示す信号は、予め定めた加入者局への着信を示すコードと、着信先となる加入者局の無線局IDと、上記着信先となる加入者局に割り当てられた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを含む。
【0075】
通信制御部121は、制御チャネルにおいて、加入者局への着信を示す信号を識別し、かつ、上記加入者局への着信を示す信号内に含まれる着信先となる加入者局の無線局IDが自局の無線局IDであることを識別すると、上記加入者局への着信を示す信号内に含まれるコードが特定するところの通信チャネルを用いて通信を開始する。
【0076】
3−3.システムへの再登録
加入者局において、自局の基準無線局から制御チャネルを介して登録募集を示した信号を受信した場合、通信制御部121は、タイマー142にアクセスして、その稼働状態を調べ、タイマー142が停止していればこれを起動してから次の(手順3−3)を実施する。もし、タイマー142が稼働状態にあれば、登録募集を示す信号を既に受信したものとして(手順3−3)を実施しない。上記登録募集を示す信号ととは、予め定めた登録募集を示す種別コードを含む信号である。
【0077】
タイマー142は一定時間t2経過すると通信制御部121へ一定時間t2の経過を報知する。一定時間t2の経過の報知を受けた通信制御部121はタイマー142を停止する。
【0078】
(手順3−3)通信制御部121はテーブル132にアクセスし、基準アンテナIDと、基準無線局IDと、加入者局レベルとを取得し、アンテナ選択部170を制御して、上記基準アンテナIDと対応する指向性アンテナを選択し、自局の加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて、システム登録信号を送信する。さらに、自局が中継局である場合、すなわち、テーブル131において、任意の行の第5列目以降の列要素に加入者局の無線局IDを登録している場合には、上記登録している加入者局分全てについて、前記システム登録中継信号を送信する。
【0079】
システム登録中継信号とは、予め定めたシステムへの登録を示す種別コードと、登録元となる自局の無線局IDと、登録先の無線局IDと、中継レベルとを含む。なお、登録先の無線局IDを基準無線局のIDとし、中継レベルを0とする。また、上記システムへの登録の中継を示す信号とは、予め定めたシステムへの登録の中継を示す種別コードと、登録先の無線局IDと、登録元となる加入者局の無線局IDと、その中継レベルと、その中継局となる加入者局の無線局ID全てとを含む信号である。上記登録先の無線局IDを基準無線局IDとする。上記登録元となる加入者局の無線局ID、その中継レベル、その中継局となる加入者局の無線局ID全てを、それぞれ、テーブル131において第5列目以降の行列要素に登録した加入者局の無線局ID、同行列要素に追記してある中継レベルを1だけインクリメントした値、同行列要素に追記してある中継局となる全ての加入者局の無線局IDに自局の無線局IDを追加したものとする。なお、上記中継局となる全ての加入者局の無線局IDに自局の無線局IDを追加するに際し、上記登録元加入者局と自局との間の中継経路を一意に特定できる様に、予め定めた順序で自局の無線局IDを追加するものとする。システムへの登録を示す信号もしくはシステムへの登録の中継を示す信号を複数局分送信する場合には、予め定めた順序で一つの信号に多重化して送信してもよい。上記システム登録信号もしくはシステムへ登録中継信号の送信以降、一定時間、制御チャネルを監視する(手順3−3ここまで)。
【0080】
上記一定時間の間に受信した制御チャネル信号に上記システム登録信号もしくはシステム登録中継信号それぞれに対する応答が含まれていれば、本動作を終了し、含まれていなければ、(手順3−3)を繰り返す。上記システム登録信号に対する応答は、予め定めたレスポンス種別コードと、上記システム登録信号に挿入した自局の無線局IDとを含む。また、上記システム登録中継信号に対する応答とは、予め定めたレスポンス種別コードと、上記システム登録中継信号に挿入した自局の無線局IDとを含む。
【0081】
3−4.基準無線局の変更
システムへの登録を完了した間接加入者局において、通信制御部121は、テーブル131へのポインタを同テーブルの第1行目に設定し、次の(手順3−4−1)を実施する。
【0082】
(手順3−4−1)通信制御部121は、基準無線局とは別の無線局が送信に用いる制御チャネルにおいて、テーブル131へのポインタによって指し示される行の第1列目に格納されるアンテナIDを読み出し、アンテナ選択部170を制御し、上記読み出されたアンテナIDと対応する指向性アンテナを選択し、タイマー141を起動し、無線部110を制御して受信待機する。上記チャネルにおいて、通信制御部121は、制御チャネル信号を受信した場合、同信号の所定の位置に含まれる送信元の無線局IDと、中継レベルとを抽出し、受信品質測定部123より同信号に対する受信品質評価指数を取得し、これらを、テーブル131へのポインタが示すところの行に既に記憶した各値と比較し、次の条件(1)又は(2)を満たすならば、上記既に記憶した各値を上記抽出及び取得した各値により書き換える。
【0083】
条件(1):抽出した中継レベルが、既に記憶してあるものよりも小さい場合。
【0084】
条件(2):抽出した中継レベルが既に記憶してあるものと同じであって、かつ、受信品質評価指数が既に記憶してあるものよりも良い受信品質を示している場合。
【0085】
上記書き換えが生じた場合、さらに次の条件(3)、(4)又は(5)のいずれかを満たすならば、テーブル131へのポインタが指し示す第1列目に格納したアンテナIDを基準アンテナとして、その送信元無線局IDを基準無線局として、その中継レベルを加入者局レベルとして、それぞれ、テーブル132に記憶する。そして、タイマー141を停止し、(手順3−4−1)を抜けて、基準無線局を変更するために、以下に示す(手順3−4−2)を実施する。
【0086】
条件(3):テーブル131へのポインタが指し示す行の第1列目に格納しているアンテナIDが基準アンテナIDと同じものである場合。
【0087】
条件(4):テーブル131へのポインタが指し示す行の第3列目に記憶した中継レベルが、テーブル131において第1列目のアンテナIDが基準アンテナIDと同じとなる行の第3列目に格納されている中継レベルよりも小さい場合。
【0088】
条件(5):テーブル131へのポインタが指し示す行の第3列目に記憶した中継レベルが、テーブル131において第1列目のアンテナIDが基準アンテナIDと同じとなる行の第3列目に記憶されている中継レベルと同じであって、かつ、テーブル131へのポインタが指し示す行の第4列目に記憶した受信品質評価指数が、テーブル131において第1列目のアンテナIDが基準アンテナIDと同じとなる行の第4列目に記憶されている受信品質評価指数よりも良い受信品質を示している場合。
【0089】
上記各条件を満たさない場合、第一のタイマー141は一定時間t1経過すると、通信制御部121に対し一定時間の経過を通知するので、通信制御部121は、書き換え有無に関わらず、タイマー141を停止する(手順3−4−1ここまで)。
【0090】
タイマー141が停止後は、テーブル131へのポインタが指し示す行を一つ進め、別の指向性アンテナで(手順3−4−1)を繰り返す。テーブル131へのポインタが第n行を指し示している場合、第1行目に再設定し(手順3−4−1)を再び繰り返す。
【0091】
(手順3−4−2)通信制御部121はテーブル132にアクセスし、基準アンテナIDと、基準無線局IDと、加入者局レベルとを取得し、アンテナ選択部170を制御して、上記基準アンテナIDと対応する指向性アンテナを選択し、自局の加入者局レベルに適合した予約チャネルを用いて、システム登録信号を送信する。さらに、自局が中継局である場合、すなわち、テーブル131において、任意の行の第5列目以降の列要素に加入者局の無線局IDを登録している場合は、上記登録している加入者局分全てについて、システム登録中継信号を送信する。
【0092】
上記システム登録信号は、予め定めたシステムへの登録を示すコードと、登録元となる自局の無線局IDと、登録先の無線局IDと、中継レベルとを含む。なお、登録先の無線局IDを基準無線局のIDとし、中継レベルを0とする。また、上記システム登録中継信号は、予め定めたシステムへの登録の中継を示すコードと、登録先の無線局IDと、登録元となる加入者局の無線局IDと、その中継レベルと、その中継局となる加入者局の無線局ID全てとを含む。上記登録先の無線局IDを基準無線局IDとする。上記登録元となる加入者局の無線局ID、その中継レベル、その中継局となる加入者局の無線局ID全てを、それぞれ、テーブル131において第5列目以降の行列要素に登録した加入者局の無線局ID、同行列要素に追記してある中継レベルを1だけインクリメントした値、同行列要素に追記してある中継局となる全ての加入者局の無線局IDに自局の無線局IDを追加したものとする。
【0093】
なお、上記中継局となる全ての加入者局の無線局IDに自局の無線局IDを追加するに際し、上記登録元加入者局と自局との間の中継経路を一意に特定できる様に、予め定めた順序で自局の無線局IDを追加する。上記システム登録信号もしくはシステム登録中継信号を複数局分送信する場合には、予め定めた順序で一つの信号に多重化して送信してもよい。上記システム登録信号もしくはシステム登録中継信号の送信以降、一定時間、制御チャネルを監視する(手順3−4−2ここまで)。
【0094】
上記一定時間の間に受信した制御チャネル信号に上記システム登録信号もしくはシステム登録中継信号それぞれに対する応答が含まれていれば、本動作を終了し、そうでなければ(手順3−4−2)を繰り返す。上記システム登録信号に対する応答とは、予め定めたレスポンス種別コードと、上記システム登録信号に挿入した自局の無線局IDとをも含む信号である。また、上記システム登録中継信号に対する応答とは、予め定めたレスポンス種別コードと、上記システム登録中継信号に挿入した自局の無線局IDとを含む信号であるものとする。
【0095】
図6は、本発明による加入者系無線アクセスシステムに含まれる基地局の一実施形態の構成を示す。同図において、1は基地局を、010は同一周波数で送受可能な無線部を、021は受信信号の識別と送信信号の生成と無線チャネルの管理を行う通信制御部を、030は記憶部を、031は加入者局に関する情報を記録しておくための第二のテーブルを、032は各チャネルの位置を特定するためのフレームフォーマットと各チャネルの利用状況を記録する第四のテーブルを、050は外部装置との入出力を制御するインターフェース制御部を、070はアンテナを示す。
【0096】
テーブル031の詳細を図7を用いて説明する。テーブル031をX(整数)×3の行列構造で構成する。ただし、Xを基地局1が登録できる加入者局数の上限とする。テーブル031の各行の第1列要素には登録のあった加入者局の無線局IDを重複なく格納する。テーブル031の各行の第2列要素には同行の第1列要素に記載の無線局IDを有する加入者局の中継レベルを格納する。第3列要素には同行の第1列要素に記載の無線局IDを有する加入者局の中継局となる無線局のID全てを格納する。ここで、中継レベルを、上記第1列要素に記載の無線局IDを有する加入者局と当該基地局との間で信号を交わす際、間に介す中継局となる加入者局の数とする。例えば、直接加入者局には0を、中継局を1台介す間接加入者局には1を設定する。また、上記中継局となる加入者局の無線局ID全てを第3列要素に格納する際には、上記第1列要素に記載の無線局IDを有する加入者局と当該基地局との間で信号を交わす場合の中継経路を一意に特定できる様に予め定めた順序で配列する。初期状態において、第1列目を除く各列の記述を空欄とし、通信制御部021の第一のテーブル031へのポインタを同テーブルの第1行目に設定する。
【0097】
次に基地局の動作について説明する。基地局の動作を、次に大別し、順次説明する。
4.加入者局の登録受付
5.制御チャネルの割り当てと開放
6.加入者局の発着信
4.加入者局の登録受付
基地局1において、通信制御部021は予約チャネルにおける前記システム登録信号もしくはシステム登録中継信号の有無を監視する。登録先の無線局IDが自局の(即ち基地局)ものとなるシステム登録信号もしくはシステム登録中継信号を加入者局から受信すると、同信号よりまず、登録元となる加入者局の無線局IDを抽出する。そして、通信制御部021はテーブル031にアクセスし、同テーブルの第1列目を検索し、もし、上記登録元となる加入者局の無線局IDの記載があれば、同行の各列を一旦空欄にする。
【0098】
次に、通信制御部021は、上記登録元となる加入者局の無線局IDの記載の有無に関わらず、同テーブルの第1列目が空欄となる行を一つ選択し、同行の第1列目に上記登録元となる加入者局の無線局IDに格納する。次に上記受信した信号より中継レベルを抽出し、上記行の第2列目に格納する。ここで、上記中継レベルの値が0でないならば、さらに上記受信した信号より中継局となる無線局のID全てを抽出し、上記行の第3列目に格納する。そして、上記中継レベルに応じて次の(i)又は(ii)いずれかを処理する。
【0099】
(i)中継レベルが0である場合、通信制御部021は、制御チャネルを用いて上記抽出した無線局IDが示すところの加入者局に対して、上記登録への応答を示す信号を送信する。この登録への応答を示す信号とは、予め定めた登録への応答を示す種別コードと、応答先の無線局IDとを含む信号である。
(ii)中継レベルが0でない場合、通信制御部021は、前記システム登録中継信号に対する応答信号を生成し制御チャネルを用いて送信する。
【0100】
5.制御チャネルの割り当てと開放
5−1.制御チャネルの割り当て
基地局1において、通信制御部021は前述の予約チャネルにおける制御チャネル予約信号の有無を監視する。制御チャネルの予約を示す信号を加入者局から受信すると、通信制御部021は、テーブル032にアクセスし、制御チャネルの空きの有無を調査する。もし、空きがあれば、空いている制御チャネルをテーブル032より一つ選択し、当該チャネルを使用する旨をテーブル032に記載し、前記制御チャネル予約信号に対する応答を作成し、制御チャネルを用いて送信する。
【0101】
5−2.制御チャネルの開放
基地局1において、通信制御部021は前述の予約チャネルおける制御チャネルの使用終了を示す信号の有無を監視する。上記制御チャネルの使用終了を示す信号を受信すると、通信制御部021はテーブル032にアクセスし、上記受信した制御チャネルの使用終了を示す信号に含まれるコードによって特定されるところの制御チャネルの使用状況を「空き」に設定する。そして、当該制御チャネルの使用終了を示す信号に対する応答を生成し、制御チャネルを用いて送信する。
【0102】
6.加入者局の発着信
6−1.加入者局への着信
基地局1において、通信制御部021は、インターフェース制御部050からの加入者局への着信信号の有無を監視する。ここで、加入者局への着信信号には、加入者局を特定するための無線局IDと、予め定められた加入者局への着信を示すコードとを含む。加入者局への着信信号を識別すると、当該信号より加入者局を特定するための無線局IDを抽出する。そして、通信制御部021は加入者登録テーブル031の各行の第1列目を順にアクセスし、上記無線局IDの有無を確認する。
【0103】
もし、上記無線局IDがあれば、次に同行の第2列目に格納した中継レベルを抽出する。上記抽出した中継レベルに応じて次の(i)又は(ii)を実行する。
【0104】
(i)中継レベルが0である場合、通信制御部021は、テーブル032にアクセスし、少なくとも上下一組の通信チャネルの空きの有無を調査する。もし、空きがあれば、空いている上下一組の通信チャネルをテーブル032より選択し、当該チャネルを使用する旨をテーブル032に記載し、制御チャネルを用いて、加入者局への着信を示す信号を送信する。ここで、加入者局への着信を示す信号とは、予め定めた加入者局への着信を示す種別コードと、着信先となる加入者局の無線局IDと、上記加入者局に割り当てた上下一組の通信チャネルを特定するためのコードとを少なくとも含む信号である。
【0105】
続いて、上記割り当てた通信チャネルのうち上り通信チャネルを監視する。当該チャネルにおいて、上記着信先の加入者局より応答があった場合には、上記割り当てた上下の通信チャネルを介して、外部入出力装置と着信先の加入者局との間の通信を継続する。
【0106】
(ii)中継レベルがn(nは1以上の整数)である場合、通信制御部021は、テーブル032にアクセスし、少なくとも上下{n+1}組の通信チャネルの空きの有無を調査する。もし、空きがあれば、空いている上下{n+1}組の通信チャネルをテーブル032より選択し、当該チャネルを使用する旨をテーブル032に記載する。次いで、加入者登録テーブル031において、上記着信先となる加入者局の無線局IDが記載されている同行の第3列目に格納してある中継局となる加入者局の無線局ID全てを抽出し、上記選択した上下{n+1}組の通信チャネルを特定するためのコードと合わせて、加入者局への着信を示す信号を生成し、当該信号を制御チャネルを用いて送信する。ここで、加入者局への着信を示す信号ととは、予め定めた加入者局への着信を示す種別コードと、着信先となる加入者局の無線局IDと、上記着信先となる加入者局に割り当てた上下の通信チャネルを特定するためのコードと、上記着信先となる加入者局の中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを含む信号である。
【0107】
なお、上記中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを、上記着信先の加入者局と基地局との間を中継する加入者局の数だけ含む。上記中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てられた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを、基地局と上記着信先加入者局との間の中継の経路を特定出来る様に、予め定めた順に格納する。
【0108】
通信制御部021は、上記割り当てた通信チャネルのうち少なくとも最後に基地局に中継する様に中継局に割り当てた上り通信チャネルを監視する、当該チャネルにおいて、中継局となる加入者局より応答があった場合には、上記割り当てた上下の通信チャネルを介して、外部入出力装置と着信先の加入者局との間の通信を継続する。
【0109】
6−2.加入者局からの発信
基地局1において、通信制御部021は予約チャネルにおける通信チャネルの予約を示す信号の有無を監視する。ここで、通信チャネルの予約を示す信号とは、予め定めた通信チャネルの予約を示す種別コードと、予約元となる加入者局の無線局IDを含む信号である。通信チャネルの予約を示す信号を加入者局から受信すると、同信号よりまず、予約元となる加入者局の無線局IDを抽出する。そして、通信制御部021はテーブル031にアクセスし、同テーブルの第1列目に上記登録元の無線局IDの記載のある行の第2列目の中継レベルを抽出する。上記抽出した中継レベルに応じて次の(i)もしくは(ii)を実行する。
【0110】
(i)中継レベルが0ならば、通信制御部021は、テーブル032にアクセスし、少なくとも上下一組の通信チャネルの空きの有無を調査する。もし、空きがあれば、空いている上下一組の通信チャネルをテーブル032より一つ選択し、当該チャネルを使用する旨をテーブル032に記載し、制御チャネルを用いて、上記予約元の加入者局への着信を示す信号を送信する。ここで、加入者局への着信を示す信号とは、予め定めた加入者局への着信を示す種別コードと、着信先となる加入者の無線局IDと、上記着信先となる加入者局に割り当てた上下一組の通信チャネルを特定するためのコードとを含む信号である。そして、基地局1は、上記割り当てた通信チャネルのうち上り通信チャネルを監視する。当該チャネルにおいて、上記着信先となる加入者局より応答があった場合には、上記割り当てた上下の通信チャネルを介して、外部入出力装置と上記加入者局との間で通信を継続する。
【0111】
(ii)中継レベルがn(nは1以上の整数)である場合、通信制御部021は、テーブル032にアクセスし、少なくとも上下{n+1}組の通信チャネルの空きの有無を調査する。もし、空きがあれば、空いている上下{n+1}組の通信チャネルを上記テーブル032より選択し、当該チャネルを使用する旨をテーブル032に記載する。次いで、加入者登録テーブル031において、上記着信先となる加入者局の無線局IDが記載されている同行の第3列目に格納してある中継局となる加入者局の無線局ID全てを抽出し、上記選択した上下{n+1}組の通信チャネルを特定するためのコードと合わせて、加入者局への着信を示す信号を生成し、当該信号を制御チャネルを用いて送信する。ここで、加入者局への着信を示す信号とは、予め定めた加入者局への着信を示す種別コードと、着信先となる加入者局の無線局IDと、上記着信先となる加入者局に割り当てた上下の通信チャネルを特定するためのコードと、上記着信先となる加入者局の中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを含む信号である。
【0112】
なお、上記中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを、上記着信先の加入者局と基地局との間を中継する加入者局の数だけ含む。上記中継局となる加入者局の無線局IDと、上記中継局となる加入者局の中継用に割り当てた上下の通信チャネルを特定するためのコードとを、基地局1と上記着信先加入者局との間の中継の経路を特定出来る様に、予め定めた順に格納する。
【0113】
通信制御部021は、上記割り当てた通信チャネルのうち少なくとも最後に基地局に中継する様に中継局に割り当てた上り通信チャネルを監視する当該チャネルにおいて、中継局となる加入者局より応答があった場合には、上記割り当てた上下の通信チャネルを介して、外部入出力装置と着信先の加入者局との間の通信を継続する。
【0114】
図8は本発明による加入者系無線アクセスシステムの他の実施形態に使用される加入者局の構成を示す図である。本実施形態は、加入者局のアンテナに課せられる指向特性の要件が緩和されるなどして、上記加入者局の備えるアンテナを一つとする場合に好ましい構成である。図4の加入者局2と比較して、図8の加入者局2Gの異なる箇所は、アンテナ171Gと、通信制御部121Gと、第一のテーブル131Gとである。通信制御部121Gは、図4に含まれる通信制御部121と比較すると、特に送受に用いるアンテナの管理を行う機能を必要としない。また、テーブル131Gは、図5に示す例において、n=1とした、一つの行を含む場合でよい。さらに、加入者局2Gの備えるアンテナ171Gは一つだけであるので、アンテナIDを格納するためのテーブル131Gの第1列目を省略してもよい。そして、システムに含まれる加入者局の有するアンテナの最大数nmaxが1である場合、第二のタイマー142を省略して、第一のタイマー141を代替使用してよい。
【0115】
次に本発明による加入者系無線アクセスシステムの使用方法の一形態として、加入者への課金方法について述べる。
加入者系無線アクセスシステムに含まれる基地局1は、加入者局2に関する情報を記録するテーブル031を備えている。前述のようにテーブル031はX×3の行列構造のごとく構成している。ただし、Xは基地局1が登録できる加入者局数の上限である。テーブル031の第1列目の要素には、それぞれ、上記システムに含まれる加入者局の無線局IDが一局ずつ登録される。加入者局の無線局IDが登録されている上記行要素と同行の第2列目には、上記加入者局の中継レベルが登録されている。そして上記加入者局の無線局IDが登録されている要素と同行の第3列目には、上記加入者局2と基地局1との間で信号を交わす際に中継局となる加入者局の無線局ID全てが、中継の経路を一意特定できる様に予め定めた順序で登録されている。例えば、一つの加入者局の中継局となる加入者局が、上記一つの加入者局とは別の加入者局の中継局にもなる場合、テーブル031において、上記中継局となる加入者局の無線局IDは、上記一つの加入者局の無線局IDが登録されている行の第3列目の行列要素にも、上記一つの加入者局とは別の加入者局の無線局IDが登録されている行の第3列目の行列要素にも登録される。
【0116】
この様に、テーブル031の第3列目に無線局IDが登録されている中継局となる加入者局は、上記第3列目への無線局IDの登録数が多いほど、より多くの加入者局によって中継局として利用される。従って、本発明である加入者系無線アクセスシステムを運用する事業者は、外部入出力装置より、インタフェース制御部050と通信制御部021を介して、基地局000内のテーブル031にアクセスし、テーブル031の第3列目に登録されたデータを読み出し、同データ内に含まれる中継局となる加入者局の無線局IDそれぞれの登録数を計数数し、上記計数した登録数に基づいて、それぞれの加入者に対して差別的に課金する。具体的には、上記登録数の大きい、すなわち、中継の要所となる加入者局に対しては、課金面で優遇するといった処置を講ずることができる。
【0117】
【発明の効果】
本発明は、加入者系無線アクセスシステムに含まれる基地局及び加入者局が同一周波数にて送受可能な無線部を使用する状況において、加入者局の中継機能と、加入者局の状況に基づいた上記中継機能の要否判定の自動化と、基地局と任意の加入者局への中継経路の変更の自動化とを実現しうるものであり、指向性アンテナを備えた加入者局を含むシステムに対しても適用可能である。その結果、加入者局の中継機能を容易に運用することができるため、サービスエリアのを拡充に役立ち、基地局の設置コストを低減できる。また、中継局となる加入者局の故障や、加入者局の新設に対しても容易に対処しうる。さらに、中継の要所となる加入者局を基地局にて識別することが可能であるため、課金を差別化する際に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来知られている中継機能を持つ無線電話装置の構成を示すブロック図を示す図である。
【図2】本発明による加入者系無アクセスシステムの一例を説明するシステム構成図である。
【図3】本発明による加入者系無アクセスシステムで使用するフレームフォーマットの構成例を示す図である。
【図4】本発明による加入者系無アクセスシステムに含まれる加入者局の一実施形態の構成を示す図である。
【図5】図4の実施形態における第一のテーブルの構成を説明する図である。
【図6】本発明による加入者系無アクセスシステムに含まれる基地局の一実施形態の構成を示す図である。
【図7】図6の実施形態における第二のテーブルの構成を説明する図である。
【図8】本発明による加入者系無アクセスシステムに含まれる加入者局の他の実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
1:基地局、 3:障害物、 2、2A−2G:加入者局、 010:無線部、
021:通信制御部、 030:記憶部、 031:第二のテーブル、
032:第四のテーブル、 050:インタフェース制御部、
070, 171D:アンテナ、 110:無線部、
121,121G:通信制御部、 122:タイミング制御部、
123:受信品質測定部、 130,130G:記憶部、
131,131G:第一のテーブル、 132:第三のテーブル、
133:バッファ、 140:タイマー部、 141:第一のタイマー、
142:第二のタイマー、 150:インタフェース制御部、
170:アンテナ選択部、 171〜17n:指向性アンテナ、
200,201,202:制御チャネル、
211,212,213,214:下り通信チャネル、
221,222,223,224:上り通信チャネル、
231,232,233:予約チャネル。

Claims (1)

  1. 基地局を介して、複数の加入者局が制御チャネル、通信チャネル及び予約チャネルを持つフレームで交信する時分割多元接続方式の加入者系無線アクセスシステムに使用する加入者局であって、
    複数の指向性アンテナを介して同一周波数で送受信可能な無線部と、上記無線部と結合され受信信号の識別と、送信信号の生成と無線チャネル及びアンテナの管理を行う通信制御部と、別の加入者局と上記基地局との間で交わされる信号を一時記憶するバッファと、自局の同期元となる無線局の情報と自局が中継に関する下位加入者局との間の中継経路を特定するための中継経路情報とを登録する第一のテーブルと、フレームフォーマットを記録する第三のテーブルとを有し、
    上記通信制御部が、上記別の加入者局が該加入者系無線アクセスシステムに同期するための基準無線局の情報に基づいて、上記別の加入者局と基地局との間で交わされる信号を中継する必要の要否を判断する手段と、
    中継する必要があるときの上記中継径路情報を自動的に設定する手段とを有し、
    更に該加入者局の有する指向性アンテナ毎の同期元無線局の探索期間の上限を報知する第2のタイマと、自局の下位加入者局の探索期間の上限を報知する第1のタイマーとを備え、上記第1のタイマーの報知する自局下位加入者局の探索期間の上限が、第2のタイマーの報知する同期元無線局の探索期間の上限値と、当該システムに含まれる加入者局の備える指向性アンテナ個数の最大値とを乗じた値以上であり、
    上記当該システムに含まれる加入者局の各々は、第2のタイマーの報知する探索時間を使って各加入者の有する指向性アンテナ毎に同期元の無線局の探索を行い、
    さらに、上記当該システムに含まれる加入者局の各々は、第1のタイマーの報知する探索時間を使って各加入者の有する指向性アンテナ毎に自局下加入局の探索を行うことを特徴とする加入者局。
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