JP3863253B2 - 液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子に係り、特に2枚の基板の張り合わせが容易で、かつ接着強度を向上させた液晶シール剤を用いた液晶表示素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静止画や動画を含めた各種の画像を表示するデバイスとして液晶表示装置が広く用いられている。
【0003】
液晶表示装置は、基本的には少なくとも一方が透明なガラス等からなる二枚の基板の間に液晶を封入し、当該基板の周縁を液晶シール剤で接着固定して当該液晶を挟持した液晶表示素子と、駆動回路、各種の光学シート、バックライト等を一体化してなり、上記基板に形成した画素形成用の各種電極に選択的に電圧を印加して所定画素の点灯と消灯を行う型式(所謂、単純マトリクス型)と、上記各種電極と液晶制御素子である画素選択用のスイッチング素子を形成してこのスイッチング素子を選択することにより所定画素の点灯と消灯を行う型式(所謂、薄膜トランジスタ(TFT)等を用いるアクティブマトリクス型)とに分類される。
【0004】
特に、後者のアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、コントラスト性能、高速表示性能等から液晶表示装置の主流となっている。
【0005】
このアクティブマトリクス型液晶表示装置は、一方の基板に形成した電極と他方の基板に形成した電極との間に液晶層の配向方向を変えるための電界を印加する縦電界方式が一般的であったが、最近は液晶に印加する電界の方向を基板面とほぼ平行な方向とする横電界方式(In−Plane Switching Mode:IPS方式)の液晶表示装置が実用化されている。
【0006】
このような液晶表示装置を構成する液晶表示素子を作成するに当たっては、液晶シール剤(以下、単にシール剤ともいう)をディスペンサー、あるいはスクリーン印刷等の方法よりガラス基板に塗布後、通常、加熱又は加熱なしでレベリングを行った後に、上下基板をアライメントマークを用いて高精度に貼り合わせて、液晶シール剤をプレスするというプロセスで上下基板の貼り合わせを行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ここで使用する液晶シール剤として、現在、主として熱硬化型エポキシ樹脂が使用されている。そして、このエポキシ樹脂の硬化剤として、アミン類、イミダゾール類、ヒドラジッド類を使用したものは、接着性、耐湿信頼性に劣るという問題点を有している。
【0008】
この問題を解決する方法として、特公昭59ー24403号公報に、フェノールノボラック樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤とし、溶剤を添加して塗布作業のできる液状にした液晶シール剤が開示されている。この液晶シール剤は耐湿性に優れていることが示されている。
【0009】
しかし,この液晶シール剤は3核体以上のフェノールノボラック樹脂を使用しており、これを使用して上下基板の貼り合わせを行う場合、上記フェノールノボラック樹脂の軟化点が80°C以上の固体であるため、脱溶剤する過程で、通常ではシール剤の樹脂成分が固化するため、上下基板を加熱することでシール剤を加熱溶融して貼り合わせを行わなければならなかった。
【0010】
また、近年、液晶表示素子用の基板がますます大型化してきており、加熱しながら貼り合わせた場合、上下の基板の温度差及び基板の場所による温度差による熱膨張の違いで高精度に上下の基板を貼り合わせることが困難となってきた。
【0011】
この問題を解決する方法として、常温でガラス基板を貼り合わせる方法が考えられているが、フェノールノボラック樹脂を硬化剤とする液晶シール剤を用いて常温で貼り合わせ可能なシール剤は未だ知られていない。
【0012】
更に,最近の液晶表示素子は、大きな基板に多数の電極を形成後、上下基板を貼り合わせて組み立てた後に、1個1個の液晶表示素子(液晶セルともいう)に分断するマルチ加工プロセスを取っているが、その加工枚数も従来の1枚取りから2枚取り、4枚取り、6枚取り、9枚取り等の多面取りへと基板自体もますます大型化している。
【0013】
更に、近年、個々の液晶表示素子自体もますます大型化してきているため、マルチ加工プロセス時にシール部に強い力がかかった場合、シール部の剥離が生じるという問題が出てきた。
【0014】
この問題を解決するためには、接着性と可撓性に優れるシール剤が求められているが、従来のアミン類、イミダゾール類、ヒドラジッド類を硬化剤としたシール剤は接着性に劣り、3核体以上のフェノールノボラック樹脂を硬化剤としたシール剤は硬くて脆いという欠点を有するため、基板の大型化および液晶表示素子の大型化に対応できなくなってきている。
【0015】
また、液晶表示素子の大型化に伴ってシール線長が長くなってきていることから、更に耐湿信頼性に優れ、そしてシールの線幅の狭小化(0.2乃至1.5mm)からも基板との密着性に優れ、かつ可撓性に優れたシール剤が求められている。
【0016】
また、そのシール形成工程において、短時間に硬化が終了するシール剤が求められている。さらに、シール剤が架橋して硬化した後、基板の間に液晶が注入されるが、注入された液晶とシール剤とが接触することから、シール剤から汚染物質が液晶内に流出することによる液晶の比抵抗の低下を生じさせないシール剤の開発が求められている。
【0017】
更に、シール剤の塗布工程における作業性についても、粘度の増加が少ない、かつ使用可能時間(寿命:ポットライフ)の長いシール剤が求められている。
【0018】
また,シール剤の所定の間隔のギャップを形成するためのフィラーとして添加されるガラスファイバー等と混練した後に、シール剤中の気泡を取るための脱気処理を施さなくてもよいようなシール剤が求められている。
【0019】
したがって、本発明の目的は、液晶液晶素子の製造時に、上下基板の貼り合わせが常温で可能で、かつ、多面取りに耐えられる接着強度と耐湿信頼性(−20乃至80°C)に優れ、更に、可撓性に優れ、また、短時間で硬化が終了して所定のギャップが形成でき、かつ、硬化後のシール剤から液晶に対して汚染物質を流失させず、また、シール剤の所定の間隔のギャップを形成するために添加される、例えばガラスファイバーと混練した後に、シール剤中の気泡を取るための脱気処理を施さなくてもよい液晶シール剤を用いた液晶表示素子とその製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の諸問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を下記の構成としたものである。即ち、本発明は、
(1)液晶制御素子と画素電極を少なくとも有する一方の基板と、カラーフィルタを少なくとも有する他方の基板を所定の間隔で対向配置し、周縁に介挿した液晶シール材で固定後、当該両基板の間隙に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、
前記液晶シール剤が、(a)液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75°C以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)粒径が10μm以下の充填剤、及び(d)硬化促進剤とを必須成分とし、前記(a)の成分と(b)の成分の混合物が液状、または環球法の測定で50°C以下の軟化点を有するものとした。
【0021】
(2)(1)における前記(a)の成分中の全塩素量が1500ppm以下とした。
【0022】
(3)(1)又は(2)の何れかにおける前記(a)の液状エポキシ樹脂を、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型液状エポキシ樹脂とした。
【0023】
(4)(1)乃至(3)の何れかにおける前記(b)の硬化剤が、二核体を20〜80重量%含むノボラック樹脂とした。
【0024】
(5)(1)乃至(4)の何れかにおける前記(c)の充填剤の平均粒径を2μm以下とした。
【0025】
(6)(1)乃至(5)の何れかにおける前記(c)の充填剤の含有量を、前記液晶シール剤中の5〜30体積%とした。。
【0026】
(7)(1)乃至(6)の何れかにおける前記(c)の充填剤を、アルミナ及び/又はシリカとした。
【0027】
(8)(1)乃至(7)の何れかにおける前記(d)の硬化促進剤を、潜在性硬化促進剤とした。
【0028】
(9)(8)における前記潜在性硬化促進剤を、固体分散型のイミダゾール類で、かつその平均粒径が6μm以下とした。
【0029】
(10)(8)における前記潜在性硬化促進剤を、アミンアダクトで、かつその平均粒径を6μm以下とした。
【0030】
(11)(1)乃至(10)における前記液晶シール剤にカップリング剤を含有させた。
【0031】
(12)(1)乃至(10)の何れかにおける前記液晶シール剤に含有する前記カップリング剤を、アミノシラン系カップリング剤とした。
【0032】
(13)液晶制御素子と画素電極を少なくとも有する一方の基板と、カラーフィルタを少なくとも有する他方の基板を所定の間隔で対向配置し、液晶組成物注入口を除いた周縁に液晶シール剤を介挿して常温で重ね合わせ、これを加熱して固定後、前記液晶注入口から液晶組成物を注入し、当該両基板の間隙に液晶を挟持して液晶表示素子を得る液晶表示素子の製造方法であって、
前記液晶シール剤として、(a)液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75°C以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)粒径が10μm以下の充填剤、及び(d)硬化促進剤とを必須成分とし、前記(a)の成分と(b)の成分の混合物が液状、または環球法の測定で50°C以下の軟化点を有し、かつ160乃至180°Cでの硬化時間が50分以下である液晶シール剤を用いた。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0034】
本発明による液晶表示素子は、一対のガラス等の透明な基板を所定の間隔で対向配置し、該一対の基板間に液晶を挟持するためのシール剤を有する液晶表示素子において、上記シール剤を、(a)液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75°C以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)粒径が10μm以下の充填剤,及び(d)硬化促進剤を必須成分とし、(a)液成分と(b)成分の混合物が液状であるか又は環球法の測定で50°C以下の軟化点を有するものとした点に特徴を有する。
【0035】
本発明で用いられる上記液状エポキシ樹脂(a)は、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジル−0−トルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、フェニルグリシジルエーテル、レゾルシノールシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、(3,4−3’,4’エポキシシクロ)ヘキシルメチルヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロ無水フタル酸ジグリシジルエステル、等の一般に製造、販売されているエポキシ樹脂が挙げられるが、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、(3,4−3’,4’エポキシシクロ)ヘキシルメチルヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロ無水フタル酸ジグリシジルエステルであり、更に好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
【0036】
これらの液状エポキシ樹脂は2種以上を混合して用いても良い。これらの液状エポキシ樹脂は常温で液状であるため、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせ時の液晶シール剤の樹脂粘度が低く、常温での貼り合わせが可能となり、かつギャップ形成が容易となる。
【0037】
本発明で使用する液状エポキシ樹脂のエポキシ等量は230以下、好ましくは210以下、更に好ましくは190以下である。230以上では硬化剤との反応性が劣り、作業性にも問題が出てくる。
【0038】
また、本発明に使用する液状エポキシ樹脂の全塩素量は1500ppm以下、好ましくは1200以下、更に好ましくは1000以下である。全塩素量が1500以上では液晶素子のITO電極の腐食が著しくなる。なお、エポキシ等量はJIS K7236により、全塩素量は加水分解法により測定される(以下同じ)。
【0039】
本発明で用いられる前記硬化剤(b)としては、環球法による軟化点が通常75°C以下、好ましくは65°C以下、更に好ましくは50°C以下のノボラック樹脂であり、各種のフェノール性水酸基を有する化合物を原料とするノボラック樹脂が好ましい。軟化点はJIS K7234に規定される環球法により測定される。
【0040】
ノボラック樹脂としては、例えばビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール,2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4ーヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等のフェノール系ノボラック樹脂を挙げることができ、好ましくはフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂であり、更に好ましくはフェノール、クレゾール類、オクチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノール類を原料とするノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂であり、特に好ましくはフェノールを原料とするフェノールノボラック樹脂、クレゾール類を原料とするクレゾールノボラック樹脂である。
【0041】
これらのノボラック樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用される。また、本発明で用いられるノボラック樹脂の使用量は、シール剤中のエポキシ樹脂のエポキシ等量に対して、ノボラック樹脂中の水酸基の当量として0.6〜1.4化学当量、好ましくは0.9〜1.11化学当量である。
【0042】
また、ノボラック樹脂は、その製造工程から、通常分子中に2個のフェノール性水酸基を有する2核体と分子中に3個以上のフェノール性水酸基を有する物の混合物として得られる。
【0043】
本発明で使用される好ましいフェノール系ノボラック樹脂は、2核体の含有量が20〜80重量%、好ましくは25〜70重量%、より好ましくは30〜50重量%のものである。
【0044】
本発明で用いられる好ましいノボラック樹脂は、モノフェノール類を原料とするノボラックで、下記一般式
【0045】
【化1】
【0046】
(上記式中、Rは水素、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンを示し、mは1〜3の整数を示し、mが2又は3の時、Rは異なった種類であっても良い。nは0又は正の整数である。)で表されるものである。
【0047】
上記式において、低級アルキルとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1〜C4のアルキルが、低級アルコキシとしては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1〜C4のアルコキシが、ハロゲンとしては、例えば臭素等が挙げられる。nにおける正の整数は1〜10が好ましい。
【0048】
本発明で使用するフェノール系ノボラック樹脂からなる硬化剤は、上記式の化合物において,n=1以上である成分は軟化点が高いので、n=0である成分が存在している方が好ましく、その存在量は、ノボラック樹脂中通常20〜80重量%、好ましくは25〜70重量%、より好ましくは30〜50重量%程度である(残りはn=1以上である成分)。
【0049】
上記フェノール系ノボラック樹脂と液状エポキシ樹脂との混合物は、常温で液状であるか又は環球法の測定で50℃以下の軟化点を有するものであることが好ましい。
【0050】
また、本発明で使用するフェノール系ノボラック樹脂からなる硬化剤は、好ましくはエポキシ等量が230以下の液状エポキシ樹脂との組み合わせにおいて,ガラス基板との接着性と耐湿信頼性が優れている。
【0051】
フェノール系ノボラック樹脂のエポキシ樹脂との反応において、2核体(例えば、上記式においてn=0の化合物)のフェノールノボラック樹脂は、3核体以上(例えば、上記式においてn=1の化合物)のフェノールノボラック硬化剤の硬化による3次元架橋構造に対して線形に架橋するために剛直な構造に可撓性がでるため、ガラス基板との接着性が向上している。
【0052】
更に、本発明で用いられるフェノールノボラック樹脂は軟化点が75°C以下と低いために、液晶素子製造時の上下ガラス基板貼り合わせプロセス時の液晶シール剤の樹脂粘度が低いものとなり、貼り合わせ、ギャップ形成が容易になる。本発明で使用する前記充填剤(c)としては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは、溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナである。
【0053】
これらの充填剤は2種以上を混合して用いても良く、特に好ましくはシリカとアルミナを併用した場合である。
【0054】
本発明で用いられる充填剤の最大粒径は、レーザー法の測定で10μm以下、好ましくは6μm以下、更に好ましくは4μm以下であり、特に好ましくは4μm以下でその平均粒径が2μm以下であるものである。
【0055】
10μmより充填剤の粒径が大きいと、液晶表示素子製造時の上下基板の貼り合わせ後のギャップ形成がうまくできない。このような充填剤のシリカは、例えば溶融シリカ又は結晶シリカを粉砕し、分級することによって製造される。
【0056】
アルミナは、例えば水酸化アルミニウムを焼成してできたアルミナ又は無水塩化アルミニウムの火焔加水分解によってできたアルミナ又はアンモニウム明ばんを焼成して得られたアルミナを粉砕、分級して製造される。
【0057】
本発明で使用される充填剤の液晶シール剤中の含有量は、溶剤を除いた液晶シール剤中5〜30体積%、より好ましくは15〜25体積%である。
【0058】
充填剤の含有量が5体積%より低い場合、充填剤量が少ないため低粘度になり、液晶シール剤塗布後にガラス基板上でだれ、はじきが起こりやすくなり、シール形状が乱れてしまう恐れがある。また、充填剤の含有量が30体積%より多い場合、充填剤含有量が多すぎるため潰れ難く、液晶表示素子のギャップ形成ができなくなってしまう。
【0059】
本発明に用いられる前記硬化促進剤(d)としては、例えばイミダゾール類、イミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類及び該アミド類とフェノール類、前記多価カルボン酸類、又はフォスフィン酸類との塩類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及び該ジアザ化合物とフェノール類、前記多価カルボン酸類、又はフォスフィン酸類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト等が挙げられる。
【0060】
イミダゾール類としては2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノー6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル、4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3、5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0061】
これら硬化促進剤のうち好ましいものとしては、例えば、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、イミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、アミンアダクト等が挙げられる。
【0062】
硬化促進剤の添加量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部好ましくは1〜10重量部である。
【0063】
これら硬化促進剤は、潜在性硬化促進剤の形式で使用した方が作業性の向上(ポットライフ時間の延長)等のメリットがあり、好ましい。
【0064】
潜在性硬化促進剤は室温では固体で、加熱されることによって溶解し、初めて硬化促進剤として反応するという性質を有するもので、例えばこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤や溶剤やエポキシ樹脂に溶解しにくい固体分散型の硬化促進剤(例えばイミダゾール類)、アミンアダクト等が挙げられる。
【0065】
これら硬化促進剤のうち、固体分散型の潜在性硬化促進剤の平均粒径はレーザー法の測定で6μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下程度である。平均粒径が6μmより大きい潜在性硬化促進剤を使用すると、ディスペンサ塗布が難しく、また、塗布後の形状も均一でなく、そのため、シール後のシール形状も均一でなくなってしまう。
【0066】
また、平均粒径が6μmより大きい硬化促進剤を使用した液晶シール剤のシール後のシール部に充填剤の荒い粗密が確認される。
【0067】
本発明の液晶シール剤は、上記の液状エポキシ樹脂(a)、環球法による軟化点75°C以下のノボラック樹脂からなる硬化剤(b)、粒径が10μm以下の充填剤(c)、及び硬化促進剤(d)を必須成分とし、(a)成分と(b)成分の(溶融)混合物の軟化点が環球法の測定で50°C以下、好ましくは40°C以下、より好ましくは30°C以下、更に好ましくは常温で液状であることを特徴とする。軟化点が50°Cより高い場合には、溶剤を使用して液状の液晶シール剤とするが、この場合溶剤揮発後のシール剤が固形となり、液晶素子製造時の上下ガラス基板の貼り合わせは、上下ガラス基板への加熱なしで行うために、上下ガラス基板を貼り合わせるときに常温では液晶シール剤がつぶれないので、液晶セルの製造ができない。
【0068】
本発明の液晶シール剤が常温で液状である場合、その粘度は作業性を考慮すると200〜400ポイズ(25°C)程度が適当である。更に,そのチクソ性としては0.8〜1.1程度が適当である。
【0069】
本発明の液晶シール剤には、1種又は2種以上の固形エポキシ樹脂を加えることができる。用いられる固形エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール),トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、シクロヘキサン等の脂肪族骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、イソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック等のブロム化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられ、その使用量は得られたシール剤の融点、作業性、物性に影響を与えない範囲で用いられる。
【0070】
また、この固形エポキシ樹脂の全塩素量は1500ppm以下、好ましくは1200以下、更に好ましくは1000以下である。全塩素量が1500以上では液晶セルのITO電極の腐食が著しくなる。
【0071】
本発明の液晶シール剤には、カップリング剤を加えることができる。カップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニュウム(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、A1−アセチルアセトネート、A1−メタクリレート、A1−プロピオネート等のジルコニウム、あるいはアルミニウム系カップリング剤が挙げられるが、好ましくはシリコン系カップリング剤であり、更に好ましくはアミノシラン系カップリング剤である。
【0072】
カップリング剤を使用することにより耐湿信頼性が優れ、吸湿後の接着強度の低下が少ない液晶シール剤が得られる。
【0073】
本発明の液晶シール剤は、粘度を低くして作業性を向上させるために溶剤を添加しても良い。使用し得る溶剤としては、例えばアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、アセテート系溶剤が挙げられ、これらは1種又は2種以上を単独で又は混合して、任意の比率で用いることができる。
【0074】
アルコール系溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等のアルキルアルコール類、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−メチル−3−n−プロポキシブタノール、3−メチル−3−n−ブトキシブタノール、3−メチル−3−イソブトキシブタノール、3−メチル−3−sec−ブトキシブタノール、3−メチル−3−tert−ブトキシブタノール等のアルコキシアルコール類が挙げられる。
【0075】
エーテル系溶剤としては、例えば1価アルコールエーテル系溶剤、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤、アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤、ジアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤、トリアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤、1価アルコールエーテル系溶剤としては、例えば3−メチル−3−メトキシブタノールメチルエーテル、3−メチル−3−エトキシブタノールエチルエーテル、3−メチル−3−n−ブトキシブタノールエチルエーテル、3−メチル−3−イソブトキシブタノールプロピルエーテル、3−メチル−3−sec−ブトキシブタノールーイソプロピルエーテル、3−メチル−3−tert−ブトキシブタノール−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0076】
アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0077】
アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤としては、例えばプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジイソブチルエーテル、プロピレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジイソブチルエーテル、エチレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、エチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0078】
ジアルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤としては、例えばジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0079】
トリアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤としては、例えばトリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジイソブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類等が挙げられる。
【0080】
アセテート系溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−エトキシブチルアセテート、3−メチル−3−プロポキシブチルアセテート、3−メチル−3−イソプロポキシブチルアセテート、3−メチル−3−n−ブトキシブチルアセテート、3−メチル−3−イソブトキシブチルアセテート、3−メチル−3−sec−ブトキシブチルアセテート、3−メチル−3−tert−ブトキシブチルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、酢酸ブチル等の溶媒が挙げられる。
【0081】
溶剤の使用量は、液晶シール剤がディスペンサーあるいはスクリーン印刷等の方法で塗布できる。例えば、200〜400ポイズ(25°C)に調整するのに必要な任意の量を用いることができ、通常、液晶シール剤中の不揮発成分が70重量%以上、好ましくは85〜95重量%になるように使用する。
【0082】
本発明の液晶シール剤は、前記したエポキシ樹脂、ノボラック樹脂、必要に応じて溶剤を添加し、加熱混合攪拌により溶解し、更に、充填剤、硬化促進剤、必要に応じカップリング剤、消泡剤、レベリング剤等の所定量を添加し、公知の混合装置、例えばボールミル、サンドミル、3本ロール等により混合することにより製造することができる。
【0083】
本発明の液晶素子は、透過型の場合には、一対の透明基板間に液晶組成物を保持させ、両基板の周縁を上記シール剤で封止した素子である。透明基板の少なくとも一方の内面には透明電極又は液晶制御素子を備える。
【0084】
透明基板としては、ガラス基板、石英基板、プラスッチク基板等を用いることができる。液晶制御素子としては、液晶の電気光学効果を制御する公知の素子を用いることができ、例えばアモルファスシリコンTFT、多結晶シリコンTFT、MIM、ダイオード、結晶のMOSFET等を挙げることができる。反射型の場合には、上記基板の一方にシリコン基板を用いることができる。
【0085】
図1は本発明による液晶表示素子の一例の構造を説明する要部断面模式図であって、1は薄膜トランジスタ等の液晶制御素子、2は画素電極、3はガラス基板(一方の基板、アクティブマトリクス基板)、4は対向するガラス基板(他方の基板、フィルタ基板)、5はカラーフィルタ、6,6’は配向膜を構成する有機高分子膜、7は透明電極、8はシール剤である。
【0086】
下側のガラス基板3上に液晶制御素子1、画素電極2等が形成され、対向するガラス基板4上にブラックマトリクスで区画されてマトリックス状に配列された赤、緑、青色の三原色カラーフィルター5が形成される。
【0087】
カラーフィルターは、染色法、印刷法、蒸着法、電着法、顔料分散法等の公知の方法で形成することができる。このカラーフィルター5上には、透明電極7を形成し、また、上記2枚の基板3,4の対向する少なくとも1枚の面に有機高分子膜を形成した後、所定の方向に液晶組成物が配向するようにラビング処理を行って配向膜を形成する。
【0088】
そして、上記2枚のガラス基板を、それらの配向膜が対面するように重ね合わせ、一部に液晶の注入口を残して周縁にシール剤を介挿して接着硬化させて形成した両基板間の間隙に液晶組成物を注入した後、当該液晶注入口を封止して液晶表示素子を形成する。
【0089】
図2は本発明の液晶表示素子の製造工程の貼り合わせ工程の概略説明図である。
【0090】
同図において、10は貼り合わせ工程、20は第1加熱工程、30は第2加熱工程、40は冷却工程、50は移載工程、60は最終硬化工程である。
【0091】
第1加熱工程20、第1加熱工程20、冷却工程30には平面受け台22、32、42の上面に掛け渡した搬送ベルト21、31、41、および加圧部材23、33、43、から構成されるプレス機構を有し、各工程において、搬送ベルト21、31、41で上流から搬入される貼り合わせ済の2枚のガラス基板(以下、液晶パネルPNL)を加圧して加熱硬化、あるいは冷却させる。
【0092】
先ず、2枚のガラス基板3と4は貼り合わせ工程10において室温で重ね合わせられる。すなわち、基板4または3の周縁にシール剤を塗布する。このとき、周縁の一部にシール剤の非塗布部分を作り、液晶の注入口として残して置く。
【0093】
貼り合わせたものを矢印Aに示したように第1加熱工程20に装入する、第1加熱工程20では160〜180°Cで1〜3分間加熱しながら加圧してシール剤のプレ硬化とセルギャップ出しを行う。これをさらに第2加熱工程30に移送して160〜180°Cで1〜3分間加熱を行ってシール剤の硬化を行う。
【0094】
次に、シール剤の硬化を行った液晶パネルPNLは冷却工程40に移送され、25°C〜40°Cで1〜3分間加圧することにより2枚の基板の反りを矯正する。
【0095】
冷却工程を経た液晶パネルPNLは移載工程50で移載機51によりカセット52に収納される。このカセット52を最終硬化工程60で最終硬化炉61に入れ、180°Cで40分間加熱することで、所謂キュアリングを行う。
【0096】
本発明に用いる液晶組成物としては公知の液晶組成物を用いることができ、例えば、フッ素系、シアノ系、シクロヘキサン系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニル系、シッフベース系、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を挙げることができる。
【0097】
本発明の液晶表示素子は、このような基板の一方にグラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加後、基板の周縁に液晶組成物の注入口を残すように、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等の公知の方法でシール剤を塗布し、例えば100°C、10分間の加熱で溶剤を蒸発させ、もう一方の基板との間に所定の間隔(セルギャップ)を得られるように、例えばスペーサービーズをドライ分散、あるいはセミドライ分散等の公知の方法で分散させ、カラーフィルター5と液晶制御素子1の画素が対応するようにアライメントして両基板を重ね合わせ、次いで上下ガラス基板を貼り合わせ、プレスにてギャップ出しを行い、160〜180°Cで50分加熱し硬化させる。
【0098】
その後、上記注入口から液晶組成物9を注入して充填し、公知の封止剤を用いて注入口を封止することにより液晶表示素子が得られる。
【0099】
このようにして得られた液晶表示素子は、接着性、耐湿性に優れ、また対液晶汚染性が低くため液晶の電気抵抗の低下が認められず、表示特性が優れたものとなる。
【0100】
なお、上記スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、ガラスビーズ等が挙げられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜10μm、好ましくは3.5〜7μmである。また、その使用量は、溶剤を除く本発明の液晶シール剤100重量部に対し0.1重量部、好ましくは0.5〜2重量部、更に好ましくは0.9〜1.5重量部程度である。
【0101】
[実施例]
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
【0102】
(実施例1)
液晶表示素子用シール剤の調整
エポキシ樹脂としてエポキシ当量が185の液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(REー310S、全塩素量500ppm、日本化薬製)100g、硬化剤として軟化点が50°Cであるフェノールノボラック樹脂(PNー152、日本化薬製)54gを溶剤のプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート40gに加熱溶解させる。
【0103】
この樹脂溶液に充填剤として粒径が3μm以下(平均粒径1.5μm以下)のシリカ32g、粒径が0.5μm以下(平均粒径0.5μm以下)のアルミナ83g、カップリング剤としてN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン20gを3本ロールにより混合分散し、硬化促進剤として平均粒径が3μm以下の2MAOK−PW(四国化成製)5gを、またギャップ形成のため7μmのグラスファイバー1gを添加して本発明の液晶表示素子用シール剤を得た。
【0104】
液晶表示素子の作製
図1に示すように、ガラス基板上に画素電極、液晶制御素子1としてのアモルファスシリコンTFTを形成し、その上にPAS膜をを形成した後、表面をラビング処理したアクティブマトリックス基板3と、ガラス基板上に三原色カラーフィルター5を形成し、その上に有機高分子膜6を塗布した後、表面をラビング処理した対向基板4を作製した。
【0105】
次に、本実施例で調整したシール剤8を対向基板4の周縁に、液晶組成物の注入口を残すようにディスペンサーを用いて塗布し、100°Cで10分間の加熱で溶剤揮発を行った後、カラーフィルター5と液晶制御素子(TFT)の画素が対応するようにアライメントしてアクティブマトリックス基板3を重ね合わせた。重ね合わせた後、プレスにてギャップ出しを行い、180°C/20分間加熱して硬化し、液晶セルを作製した。
【0106】
次に、液晶セルの注入口からフッ素系液晶組成物9(初期比抵抗4.2×1013Ω・cm、NI点:78°C)をセル内に充填した後、注入口から封止剤で封止して紫外線照射することにより硬化させて液晶表示素子を得た。
【0107】
得られた液晶表示素子について、電圧保持率、基板の接着強度の環境加速実験を評価した。また、シール剤が液晶に与える影響を調べるため、硬化したサンプルに液晶を浸し、その比抵抗測定を行なった。
【0108】
実施例1で調合したシール剤を、5ccサンプル瓶に0.5gのシール剤をとり、180°Cで50分間加熱して硬化させた。その硬化サンプルが入っている瓶にフッ素系液晶組成物9を2ml添加後,100°Cで20時間エージングしたものを測定した。結果を表1に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
(実施例2〜5)、(比較例1、2)
実施例1で調整したシール剤の代わりに表2の処方に従って配合し、実施例1と同様にして本発明の実施例2〜5、又は比較例1、2の液晶表示素子を得、上記と同様に評価した。
【0111】
なお、比較例1、2のシール剤硬化時間は、温度は同じで時間のみが4時間で行った。この結果を表1に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
表2の使用原料の説明
エポキシ樹脂
液状エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(REー310S 日本化薬製)
固体状エポキシ樹脂B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001 油化シェル製)
硬化剤
硬化剤A:フェノールノボラック樹脂(PNー152:二核体含有率40%日本化薬製)
硬化剤B:フェノールノボラック樹脂(PNー80:二核体含有率12% 日本化薬製)
硬化剤C:2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル(1)’)エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物(2MAOKーPW 四国化成製)
硬化促進剤
硬化促進剤A:2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル(1)’)エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物(2MAOKーPW 四国化成製)
アミンアダクト(平均粒径3μm以下) アミキュアMY−H(味の素製)
2エチル4メチルイミダゾール 2E4MZ(四国化成製)
溶剤
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
シランカップリング剤
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573 信越化学工業製)
表1から明らかなように、液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせが常温で可能となり、かつ、多面取りに耐えられる接着強度と耐湿信頼性(−20〜80°C)に優れ、更に、可撓性に優れ、また、短時間で硬化が終了して所定のギャップが形成でき、かつ、硬化後のシール剤から液晶に対して汚染物質を流失させないことが分かる。
【0114】
図3は本発明によるシール剤の効果を温度対ゲル化時間の関係で示す説明図であって、白丸は前記実施例1のシール剤、黒丸は前記比較例1のシール剤である。
【0115】
図示したように、本発明のシール剤は短時間でゲル化するため、硬化時間が比較例よりも短縮され、所定のセルギャップが形成される。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による液晶表示素子は、液晶表示素子の製造時に上下基板の貼り合わせを常温で実行することが可能となり、かつ、多面取りに耐えられる接着強度と耐湿信頼性(−20〜80°C)に優れ、更に、可撓性に優れ、また、短時間で硬化が終了して所定のギャップが形成でき、かつ、硬化後のシール剤から液晶に対して汚染物質を流失させるという従来技術の問題が解消される。
【0117】
更に、高温高湿下の通電試験、高温、低温の放置試験、及びヒートサイクル試験において十分な耐性を有する共に、熱応力に対してもクラッキング等を起こすこともなく液晶表示素子としての十分な信頼性を保持している。
【0118】
また、十分な接着強度が得られると同時に液晶組成物を劣化させることがないので、液晶の配向不良及び電気抵抗の低下が生じることがなく、表示特性が優れた液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示素子の一例の構造を説明する要部断面模式図である。
【図2】本発明の液晶表示素子の製造工程の貼り合わせ工程の概略説明図である。
【図3】本発明によるシール剤の効果を温度対ゲル化時間の関係で示す説明図である。
【符号の説明】
1 液晶制御素子
2 画素電極
3 基板
4 対向基板
5 カラーフィルター
6 絶縁膜
7 透明電極
8 シール剤
9 液晶組成物。
Claims (10)
- 液晶制御素子と画素電極を少なくとも有する一方の基板と、カラーフィルタを少なくとも有する他方の基板を所定の間隔で対向配置し、周縁に介挿した液晶シール剤で固定後、当該両基板の間隙に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、
前記液晶シール剤が、(a)液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75°C以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)粒径が10μm以下の充填剤、及び(d)硬化促進剤として平均粒径が6μm以下のアミンアダクト又は2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物を必須成分とし、前記(a)の成分と(b)の成分の混合物が液状、または環球法の測定で50°C以下の軟化点を有することを特徴とする液晶表示素子。 - 前記(a)の成分中の全塩素量が1500ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記(a)の液状エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型液状エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の液晶表示素子。
- 前記(b)の硬化剤が、二核体を20〜80重量%含むノボラック樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の液晶表示素子。
- 前記(c)の充填剤の平均粒径が2μm以下である請求項1乃至4の何れかに記載の液晶表示素子。
- 前記(c)の充填剤の含有量が、前記液晶シール剤中の5〜30体積%であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の液晶表示素子。
- 前記(c)の充填剤が、アルミナ及び/又はシリカである請求項1乃至6の何れかに記載の液晶表示素子。
- 前記液晶シール剤が、カップリング剤を含有していること特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の液晶表示素子。
- 前記液晶シール剤に含有する前記カップリング剤が、アミノシラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の液晶表示素子。
- 液晶制御素子と画素電極を少なくとも有する一方の基板と、カラーフィルタを少なくとも有する他方の基板を所定の間隔で対向配置し、液晶組成物注入口を除いた周縁に液晶シール剤を介挿して常温で重ね合わせ、これを加熱して固定後、前記液晶注入口から液晶組成物を注入し、当該両基板の間隙に液晶を挟持して液晶表示素子を得る液晶表示素子の製造方法であって、前記液晶シール剤として、(a)液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75°C以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)粒径が10μm以下の充填剤、及び(d)硬化促進剤として平均粒径が6μm以下のアミンアダクト又は2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物を必須成分とし、前記(a)の成分と(b)の成分の混合物が液状、または環球法の測定で50°C以下の軟化点を有し、かつ160乃至180°Cでの硬化時間が50分以下である液晶シール剤を用いることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
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