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JP3785467B2 - 油脂組成物の製造方法 - Google Patents

油脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを高濃度で含有する油脂組成物の製造方法に関する。
本明細書において、「1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライド」とは、グリセリンの1,2位に飽和脂肪酸基がエステル結合し、3位に不飽和脂肪酸基がエステル結合しているトリグリセライドであり、1位と2位の飽和脂肪酸基は同じでも異なってもよい。また、本明細書においては、トリグリセライドの1位と3位の脂肪酸を区別しない。すなわち、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドは、1−不飽和−2,3−飽和トリグリセライドを包含する。こうした「トリグリセライド」を、以下、トリグリセライドの1位、2位及び3位に結合している飽和脂肪酸基(S)及び不飽和脂肪酸基(U)によって順に標記して表し、例えば、前記の「1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライド」を、「SSU」と略称する。
【0002】
【従来の技術】
SSUは、天然油脂中に含まれているトリグリセライドの一種である。SSUを比較的高濃度で含む油脂としては、例えば、豚脂が挙げられ、その含有率はおよそ25重量%である。
そこで、SSUを高含量で含む油脂組成物を調製するためには、豚脂中のSSUを分別法により、濃縮することが考えられる。しかし、その際、SSU以外のトリグリセライドが大量に副生する。副生したトリグリセライドはそのままではSSUの製造原料として用いることができない上、同程度のヨウ素価を有する植物油と比較すると、著しく酸化安定性に劣ることから商品価値が低く、結果としてSSUが高価になっていた。従って、分別の際に副生するトリグリセライドを効率良く利用する技術の開発が待たれていた。
【0003】
同様に、SSUを比較的高濃度で含む油脂である牛脂(SSU含有率=19重量%)、パーム油(SSU含有率=6重量%)中のSSUを分別法により濃縮する場合は、更に大量のSSU以外のトリグリセライドが副生する。また、牛脂やパーム油は、同時に1,3−飽和−2−不飽和対称型トリグリセライド、すなわち「SUS」(1位と3位の飽和脂肪酸は同じでも異なってもよい)を含む。そのSUSの含有率は、牛脂で20重量%、パーム油で41重量%であり、SSUとSUSは、その結晶化温度が近いため、一般の分別では分離は困難かつ低収率であり、SUSをほとんど含まずにSSUの濃度を高めることは困難である。
従って、SSUを高濃度で含み、かつ、SUSの含有率が低い油脂を、SSU以外の油脂の副生を抑えつつ、安価に製造する方法の開発が待望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、SSUを高濃度で含み、かつ、SUSをほとんど含まない油脂を、SSU以外の油脂の副生を抑えつつ、効率よく製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は、本発明による、
(I)(A)(1)(a)主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂から得た極度硬化油と、(b)炭素数16〜24の不飽和脂肪酸、及び/又は炭素数16〜24の不飽和脂肪酸部分と炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂肪酸アルキルエステルとを混合し、1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、
(2)工程(1)の反応生成物からトリグリセライド混合物を分離する工程、及び
(3)工程(2)で分離されたトリグリセライド混合物から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含む油脂組成物を分離する工程
における、工程(3)で得られた低融点油と、(B)1,2,3−飽和トリグリセライドを主成分とする油脂組成物とを混合し、1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、並びに
(II)工程(I)で得られたトリグリセライド混合物から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含む油脂組成物を分離する工程
を含むことを特徴とする、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含有する油脂組成物の製造方法によって達成することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の油脂組成物の製造方法について詳述する。
本発明で用いられる「主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂から得た極度硬化油」は、前記の油脂を水素添加して得た生成物である。
水素添加される油脂(原料油脂)は、主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂であれば特に限定されない。ここで「主な構成脂肪酸」とは、原料油脂中のトリグリセライドに含まれる脂肪酸の内、80モル%以上を占める脂肪酸であり、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであることもできる。このような原料油脂としては、例えば、大豆油、ナタネ油、ひまわり油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ピーナッツ油、パーム油、カカオ脂、又はシア脂等の植物油、牛脂、又は豚脂等の動物油脂等、及び、これらの分別油、あるいはエステル交換油等を挙げることができる。一般にラウリン油脂と呼ばれる油脂、例えばヤシ油、パーム核油、又はババス油等や短鎖脂肪酸を多く含む油脂、例えば乳脂は、前記の原料油脂に含まれず、本発明方法では使用することができない。
【0007】
前記の原料油脂を水素添加して極度硬化油とする方法は特に限定されず、原料油脂内のトリグリセライドに含まれる不飽和脂肪酸基のほぼ全てを飽和脂肪酸基に変えることのできる公知の任意の方法を用いることができる。例えば、オートクレーブに原料油脂とニッケル触媒を加え、系内に水素を送り込みながら180〜220℃として、原料油脂内のトリグリセライドに含まれる不飽和脂肪酸基のほぼ全てを飽和脂肪酸基に変える方法を挙げることができる。
【0008】
「炭素数16〜24の不飽和脂肪酸」(以下、単に不飽和高級脂肪酸と称することがある)は、炭素数が16〜24で、不飽和結合1個以上を含めば、不飽和結合の数、不飽和結合の位置、又は油糧原料等については、特に限定されない。具体的には、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、又はドコサヘキサエン酸等を挙げることができる。油脂からこれら不飽和高級脂肪酸を得る場合、その方法は特に限定されず、公知の方法、例えば酵素法、又は化学法による加水分解等を用いることができる。なお、これら不飽和高級脂肪酸を、単独で、又は同時に2種以上の混合物として用いることができる。また、不飽和高級脂肪酸を含んでいる限り、飽和脂肪酸との混合物を用いることができるが、飽和脂肪酸の含有率は可能な限り低いことが望ましい。
【0009】
「炭素数16〜24の不飽和脂肪酸部分と炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂肪酸アルキルエステル」(以下、単に不飽和高級脂肪酸エステルと称することがある)は、特に限定されず、上記不飽和高級脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、又はブチルエステル等を挙げることができる。これら不飽和高級脂肪酸エステルを得る方法も特に限定されない。
本発明方法では、前記の「炭素数16〜24の不飽和脂肪酸」(不飽和高級脂肪酸)1種又はそれ以上と「炭素数16〜24の不飽和脂肪酸部分と炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂肪酸アルキルエステル」(不飽和高級脂肪酸エステル)1種又はそれ以上との混合物も使用することができる。
【0010】
本発明方法の一態様では、極度硬化油と不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルとを混合して、エステル交換を実施する。
本発明方法の別の態様では、後述の分別により除去された高融点油及び低融点油を混合して、エステル交換を実施する。
本発明方法の更に別の態様では、後述の分別により除去された高融点油及び/又は低融点油と、極度硬化油及び/又は不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルとを混合して、エステル交換を実施する。
混合の方法はいずれの態様でも任意の公知の方法で行うことができる。
極度硬化油、不飽和高級脂肪酸、又は不飽和高級脂肪酸エステルが固化している場合は、任意の方法で融解して(例えば、加温して)用いることができる。
【0011】
混合の比率は、特に限定されないが、前記の極度硬化油1モルに対し、不飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸エステルが、好ましくは1〜4モルである。これより不飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸エステルの比が大きいと、エステル交換後に得られる生成物中のSSUの割合が減少し、1,3−不飽和−2−飽和トリグリセライド、すなわちUSU(1位と3位の不飽和脂肪酸基は同じであっても異なっていてもよい)の割合が増加する。その比が小さいとSSUの割合が減少し1,2,3−飽和トリグリセライド、すなわちSSS(1位、2位、及び3位の飽和脂肪酸基はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい)の割合が増加する。
【0012】
極度硬化油と、不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルとのエステル交換反応は、リパーゼを用いて実施する。このエステル交換方法としては、例えば、反応槽に極度硬化油と、不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルと、リパーゼとを加えて攪拌することによりエステル交換を行う回分法と、担体に固定化したリパーゼをあらかじめカラムに充填し、そこに極度硬化油と不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルとの混合物を流すことによりエステル交換を行う連続法を挙げることができる。本発明ではどちらの方法を用いてもよいが、リパーゼの有効利用の面から連続法がより好ましい。
【0013】
本発明方法で用いるリパーゼは、1,3位置特異性を有するリパーゼであれば特に限定されない。ここで「1,3位置特異性」とは、トリグリセライドの1位及び/又は3位に結合している脂肪酸基に対して選択的にエステル交換を行う性質を意味する。このような1,3位置特異性を有するリパーゼとしては、例えば、リゾプス属(Rhizopus)に属するリゾプス・デレマール(Rhizopus delemar)由来のリパーゼ、又はムコール属(Mucor)に属するムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)由来のリパーゼ、ムコール・ジャブニクス(Mucor javanics)由来のリパーゼ等を挙げることができる。これらの酵素は、修飾されていてもよく、また、粉末状でも担体に固定化されていてもよい。なお、連続法では担体に固定化されているものが好ましい。この際の担体は、材質又は形状等について特に限定されず、例えば、ケイ藻土を用いることができる。
【0014】
エステル交換反応の温度や時間等の条件は、反応方法、反応に用いる油脂(すなわち、極度硬化油、不飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸エステル)の融点、又は酵素活性等を考慮し、適宜設定することができる。
なお、上記エステル交換反応を実施する際に、有機溶媒を加えて反応温度を下げることができる。用いることのできる有機溶媒は、リパーゼのエステル交換活性を極端に低下させなければ特に限定されず、例えばノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン、又はジイソプロピルエーテル等を挙げることができる。用いる有機溶媒の量は、リパーゼのエステル交換活性を極端に低下させなければ特に限定されない。
得られた反応物から、必要に応じて有機溶媒を除去する。溶媒の除去方法は、用いた溶媒に対応した公知の任意の方法(例えば、減圧留去)によって行うことができる。
【0015】
場合により溶媒を除去した後、エステル交換に不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルを使用した場合は、エステル交換反応生成物から、トリグリセライド混合物以外の不飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸エステルを分離する。分離の方法としては、例えば、水蒸気蒸留法などの方法を用いることができるが、流下薄膜式分子蒸留装置がこれらの分離効率に優れているので好ましい。
【0016】
エステル交換反応生成物から不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルを分離し、こうして回収されたトリグリセライド混合物は、そのほとんどが目的とするSSUと、それ以外のSSS及びUSUとからなるので、トリグリセライド混合物からSSS及びUSUを分別により除く。
【0017】
分別の方法としては、例えば、溶媒を加えずにトリグリセライド混合物を冷却して、分離する自然分別法と、有機溶媒とトリグリセライド混合物とを混合してから冷却して、分離する溶剤分別法とを挙げることができる。目的画分中のSSUの濃度を高める点で、溶剤分別法がより好ましい。この溶剤分別法で用いる有機溶剤は、特に限定されず、例えば、アセトン、又はノルマルヘキサン等を挙げることができる。温度等の分別条件は、目的とするSSUの脂肪酸組成、又は分別の方法等により異なり、適宜設定する必要がある。上記手順により、トリグリセライド混合物を温度により高融点油、中融点油及び低融点油の3つの画分に分画する。この中融点油が、本発明方法による目的の油脂組成物である。
各分画の温度は、エステル交換した油脂、不飽和高級脂肪酸及び不飽和高級脂肪酸エステルの脂肪酸組成により適宜設定することができる。
【0018】
分別により除かれた高融点油及び低融点油は、それぞれSSS及びUSUを高率で含有する。これらの各画分は、本発明の別の態様において、エステル交換反応の原料として使用することができる。この場合、エステル交換反応の原料としては、高融点油及び/又は低融点油のみとしてもよいし、高融点油及び/又は低融点油の他に、前記の極度硬化油、前記の不飽和高級脂肪酸又は前記の不飽和高級脂肪酸エステルの1種又は2種以上を混合して用いてもよい。いずれの場合も、高融点油及び/又は低融点油を更に水素添加する必要はない。エステル交換反応を実施した後は、前記と同様の操作によって以下の工程を実施することにより、目的とするSSUを高含有量で含む油脂組成物を得ることができる。
【0019】
本発明方法により製造される油脂組成物は、SSUを一般に70重量%以上の高含有量で含み、しかもSUSの含有率は一般に5重量%未満である。
また、本発明方法では、用いる極度硬化油の脂肪酸組成、あるいは不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルの脂肪酸の種類を適宜変更することにより、所望の脂肪酸組成をもつ油脂組成物を得ることができる。
また、本発明方法では、前記の一連の工程を繰り返すことにより、最初に原料として用いた極度硬化油とほぼ同量の、SSUを高濃度で含む油脂組成物を得ることができ、SSUを安価に製造することができる。
【0020】
本発明の油脂組成物は、例えば、ショートニング、マーガリン、ファットスプレッド、フライ油、ハードバター等の全量若しくは一部に配合して使用することができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
(1)大豆油1.5kgを水素添加し、極度硬化大豆油を得た。すなわち、大豆油(ヨウ素価=128.3)1.5kgとニッケル触媒〔SO−110;堺化学(株)製)〕7.5gをオートクレーブに入れ、水素添加(反応温度=200℃;攪拌速度=600rpm;水素圧=4kg/cm2;硬化時間=1時間)を行った。触媒をろ過した後、ヨウ素価を測定したところ、0.2であった。これを常法により、脱色・脱臭して精製極度硬化大豆油を得た。
【0022】
(2)この精製極度硬化大豆油1kgと、オレイン酸(炭素数18で二重結合1つを含む不飽和脂肪酸)メチルエステル0.9kg(すなわち、精製極度硬化大豆油1モルに対し、オレイン酸メチルエステル2.7モル)と、ノルマルヘキサン3.8kgとを55℃に保った反応槽に仕込み、撹拌羽根によって撹拌しながら1,3特異性粉末リパーゼ(リゾプス属起源;担体はケイ藻土)100gを加え、24時間エステル交換反応を行った。
濾過によりリパーゼを除き、ノルマルヘキサンをエバポレータによって除いた後、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=0.008Torr)により油脂と脂肪酸メチルエステルとを分離し、油脂1kgを得た。
次に、上記で得られた油脂のアセトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と油脂の3倍量のアセトン(3kg)とをガラス製フラスコに入れ、分別温度を25℃として高融点油の分別を行い、高融点油(205g)を除いた。アセトンを追加し、残った油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を5℃として低融点油の分別を行い、低融点油(385g)を除いた。このようにして中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−1)を410g得た。
【0023】
(3)得られた油脂組成物(S−1)は、高速液体クロマトグラフィーでトリグリセライド組成を調べたところ、SSU又はSUS(以下S2Uと表わす)を78%含んでいた。更に、S2Uの2位置の脂肪酸組成を調べたところ、ほぼすべてが飽和脂肪酸であった。従って、本発明による油脂組成物(S−1)に占めるSSUの割合は78%という高率で、かつ、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0024】
実施例2
(1)実施例1(1)と同様の工程を行い、精製極度硬化大豆油を得た。
(2)この精製極度硬化大豆油1kgとオレイン酸(炭素数18で二重結合1つを含む不飽和脂肪酸)メチルエステル0.9kg(すなわち、精製極度硬化大豆油1モルに対し、オレイン酸メチルエステル2.7モル)とノルマルヘキサン1.9kgを加温下で混合し、1,3特異性固定化リパーゼ(リゾプス属起源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。
ノルマルヘキサンをエバポレータによって除いた後、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=0.008Torr)により油脂と脂肪酸メチルエステルを分離し、油脂1kgを得た。
次に上記油脂のアセトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と油脂の3倍量のアセトン(3kg)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を25℃として高融点油の分別を行い、高融点油(205g)を除いた。アセトンを追加し、残った油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を5℃として低融点油の分別を行い、低融点油(385g)を除いた。このようにして中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−2A)420gを得た。
実施例1(3)と同様の方法でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、得られた本発明による油脂組成物(S−2A)は、高速液体クロマトグラフィーでトリグリセライド組成を調べたところ、S2Uを76%含んでいた。また、S2Uの2位置の脂肪酸組成を調べたところ、ほぼすべてが飽和脂肪酸であった。従って、本発明による油脂組成物(S−2A)に占めるSSUの割合は76%という高率で、かつ、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0025】
(3)次に、実施例2(2)の分別により除いた高融点油と低融点油を混合し(混合比は1:1.9)、ノルマルヘキサンを等量(重量比)加え、1,3特異性固定化リパーゼ(リゾプス属起源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保った実施例2(1)で用いたカラムに通してエステル交換反応を行った。
ノルマルヘキサンをエバポレータにより除いた後、実施例2(2)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作で、この油脂のアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除去した。このようにして中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−2B)250gを得た。
【0026】
(4)得られた本発明による油脂組成物(S−2B)は、高速液体クロマトグラフィーでトリグリセライド組成を調べたところ、S2Uを81%含んでいた。また、S2Uの2位置の脂肪酸組成を調べたところ、ほぼすべてが飽和脂肪酸であった。従って、本発明による油脂組成物(S−2B)に占めるSSUの割合は81%という高率で、かつ、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0027】
(5)このとき溶剤分別により除去された高融点油及び低融点油は再度SSUの製造に使用が可能であり、前記実施例2(3)と同様の操作を繰り返すことで、原料とした極度硬化油とほぼ同量の,SSUを高濃度で含む油脂を得ることができた。
【0028】
実施例3
(1)大豆油をハイエルシン菜種油(ヨウ素価=113.1)に変更すること以外は、実施例1(1)と同様の操作によって水素添加、触媒ろ過及び脱色・脱臭を行い、精製極度硬化ハイエルシン菜種油(ヨウ素価=1.0)を得た。
【0029】
(2)この精製極度硬化ハイエルシン菜種油1kgとオレイン酸メチルエステル0.8kg(すなわち、精製極度硬化ハイエルシン菜種油1モルに対し、オレイン酸メチルエステル2.6モル)とノルマルヘキサン1.8kgを加温下で混合し、1,3特異性固定化リパーゼ(リゾプス起源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。
ノルマルヘキサンをエバポレータにより除去し、油脂と脂肪酸メチルエステルを流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=0.008Torr)により分離し、油脂1kgを得た。
次にアセトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と油脂の3倍量のアセトン(3kg)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を27℃として高融点油の分別を行い、高融点油(215g)を除いた。アセトンを追加し、残った油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を6℃として低融点油の分別を行い、低融点油(370g)を除いた。このようにして中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−3A)415gを得た。
【0030】
(3)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、この油脂組成物はSSUを72%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0031】
(4)更に、実施例3(2)の分別により除いた高融点油と低融点油を混合(混合比は1:1.9)し、ノルマルヘキサンを等量(重量比)加え、55℃に保った実施例3(2)のカラムに通してエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、ノルマルヘキサンをエバポレータによって除いた。
次いで、実施例3(2)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作でアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除き、中融点油すなわち本発明による油脂組成物(S−3B)245gを得た。
【0032】
(5)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、この油脂組成物はSSUを73%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0033】
(6)このとき溶剤分別により除去された高融点油及び低融点油は再度SSUの製造に使用が可能であり、前記操作を繰り返すことで、原料とした極度硬化油とほぼ同量の、SSUを高濃度で含む油脂を得ることができた。
【0034】
実施例4
(1)実施例1(1)と同様の操作により得た精製極度硬化大豆油1kgとドコサヘキサエン酸1kg(すなわち、精製極度硬化大豆油1モルに対し、ドコサヘキサエン酸2.7モル)とノルマルヘキサン2kgとを加温下で混合し、1,3特異性固定化リパーゼ(リゾプス属起源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。
ノルマルヘキサンをエバポレータにより除去し、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=210℃;真空度=0.007Torr)により油脂と脂肪酸の分離を行い、油脂1kgを得た。
次に上記油脂のアセトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と油脂の3倍量のアセトン(3kg)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を24℃として高融点油の分別を行い、高融点油(190g)を除いた。アセトンを追加し、残った油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を−19℃として低融点油の分別を行い、低融点油(375g)を除いた。このようにして本発明による油脂組成物(S−4A)435gを得た。
【0035】
(2)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、この油脂組成物はSSUを73%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0036】
(3)更に、本実施例4(1)の分別により除いた高融点油と低融点油を混合(混合比は1:2.0)し、ノルマルヘキサンを等量(重量比)加え、1,3特異性固定化リパーゼ(リゾプス起源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。
エステル交換反応後、ノルマルヘキサンをエバポレータによって除いた。
次いで、実施例4(1)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作によってアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除き、中融点油すなわち本発明による油脂組成物(S−4B)255gを得た。
【0037】
(4)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、この油脂組成物はSSUを73%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0038】
(5)このとき溶剤分別により除去された高融点油及び低融点油は再度SSUの製造に使用が可能な組成であり、前記操作を繰り返すことで、原料とした極度硬化油とほぼ同量の、SSUを高濃度で含む油脂を得ることができた。
【0039】
比較例1
1,3特異性のない固定化リパーゼ(カンディダ属起源;担体はケイ藻土)を用いたこと以外は実施例2(1),(2)と同様の工程を行い、中融点油である油脂組成物(C−1)320gを得た。
【0040】
得られた油脂組成物(C−1)は、そのトリグリセライド組成を実施例1(3)と同様に調べたところ、S2Uを76%含んでいた。しかし、S2Uの2位置の脂肪酸組成を調べたところ、不飽和脂肪酸(オレイン酸)を33%含んでいた。従って油脂組成物(C−1)に占めるSSUの割合は51%であった。また、分別温度を変化させても、SSUの割合は51%以上とはならなかった。
これに対し、本発明方法(実施例1)によって得られる油脂組成物(S−2A)のSSUの割合は76%であり、著しく高く、優れていた。
【0041】
更に、このとき溶剤分別により除去された高融点油及び低融点油に対して、1,3特異性のない固定化リパーゼ(カンディダ属起源;担体はケイ藻土)を用いたこと以外は実施例2(3)と同様の工程を行ったが、SSUを高濃度で含む油脂を得ることはできなかった。
【0042】
比較例2
精製極度硬化大豆油1kgに対して、オレイン酸メチルエステルを0.2kg〔精製極度硬化大豆油:オレイン酸メチルエステル=1:0.6(モル比)〕とし、n−ヘキサンを1.2kgとしたこと以外は実施例2(2)と同様の工程を行い、中融点油である油脂組成物(C−2A)360gを得た。
【0043】
得られた油脂組成物(C−2A)のトリグリセライド組成を調べたところ、S2Uが52%しか含まれていなかった。これに対して、本発明方法(実施例2)によって得られる油脂組成物(S−2A)のSSUの割合は76%であり、著しく高く、優れていた。
また、アセトンを油脂に対して8倍量(重量比)とし、分別温度を25℃として高融点油の分別を行ったこと以外は実施例2(2)と同様の操作を行い、中融点油である油脂組成物(C−2B)を得た。この油脂組成物(C−2B)はS2Uを71%含んでいたが、230gしか得られなかった。これに対して、実施例2に記載の本発明方法によれば、油脂組成物(S−2A)のSSUの割合は76%、生成量は420gと、効率が著しく高く、優れていた。
【0044】
比較例3
実施例1(1)と同様の操作を行って得られた精製極度硬化大豆油1kgとオレイン酸メチルエステル2kg〔精製極度硬化大豆油:オレイン酸メチルエステル=1:6(モル比)〕、n−ヘキサン3kgを加温下で混合し、実施例2(2)と同様の条件でエステル交換反応及び脱溶剤、分子蒸留を行い、油脂1kgを得た。更に実施例2(2)の溶剤分別と同様の操作で溶剤分別を行い、中融点油である油脂組成物(C−3)を得た。油脂組成物(C−3)はS2Uを77%含んでいたが、235gしか得られなかった。これに対し、本発明の実施例1によれば油脂組成物(S−1)の生成量は410gであり、明らかに効率が高く、優れていた。
なお、溶剤分別の条件を変えても、S2Uの割合を下げずに中融点油を増やすことはできなかった。
【0045】
実施例5
(1)パーム油(ヨウ素価=49.2)を実施例1(1)と同様の方法で水素添加してから、精製を行い、精製極度硬化パーム油とした。ヨウ素価は0.5であった。
【0046】
(2)この精製極度硬化パーム油1kgとリノール酸0.5kg〔精製極度硬化パーム油:リノール酸=1:1.5(モル比)〕、イソオクタン1.5kgとを加温下で混合して油脂溶媒混合物とし、1,3特異性固定化リパーゼ(ムコール属起源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。
エバポレータによりイソオクタンを除去し、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=210℃;真空度=0.009Torr)により油脂と脂肪酸の分離を行い、油脂1kgを得た。
次に上記油脂のアセトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と5倍量のアセトン(5kg)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を23℃として高融点油の分別を行い、高融点油(390g)を除いた。アセトンを油脂に対して3倍量(重量比)とし、分別温度を−2℃として低融点油の分別を行い、低融点油(210g)を除き、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−5A)400gを得た。
【0047】
(3)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、この油脂組成物(S−5A)はSSUを75%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0048】
(4)次に上記(2)の分別により除いた高融点油390g、低融点油210g、精製極度硬化パーム油400g、リノール酸240g、及びイソオクタン1.2kgを加温下で混合して油脂溶媒混合物とし、1,3特異性固定化リパーゼ(ムコール属起源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。
イソオクタンをエバポレータによって除いた後、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=210℃;真空度=0.009Torr)により油脂と脂肪酸の分離を行い、油脂を得た。次に、実施例5(2)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作でアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除き、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−5B)400gを得た。
【0049】
(5)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、この油脂組成物(S−5B)はSSUを75%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0050】
(6)上記の分別により再度除いた高融点油及び低融点油と、精製極度硬化パーム油及びリノール酸を混合し、エステル交換以下の工程を繰り返すことにより、ほぼ同一組成かつ同量の油脂組成物を繰り返し製造することが可能であった。
【0051】
実施例6
(1)実施例5(1)と同様にして得た精製極度硬化パーム油1kgとα−リノレン酸0.5kg〔精製極度硬化パーム油:α−リノレン酸=1:1.5(モル比)〕、イソオクタン1.5kgとを加温下で混合して油脂溶媒混合物とし、1,3特異性固定化リパーゼ(ムコール属起源;担体はケイ藻土)100gを充填した45℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。イソオクタンをエバポレータにより除いた後、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=0.008Torr)により油脂と脂肪酸を分離し、油脂1kgを得た。
次に上記油脂のアセトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と3倍量のアセトン(3kg)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を23℃として高融点油の分別を行い、高融点油(365g)を除いた。アセトンを追加して油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を−7℃として低融点油の分別を行い、低融点油(215g)を除き、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−6A)を420g得た。
【0052】
(2)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したところ、この油脂組成物(S−6A)はSSUを75%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0053】
(3)次に上記の操作を別に更に2組行い、3組の合計で、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−6A)を1255g、高融点油を1100g、低融点油を645g得た。
【0054】
(4)この高融点油、低融点油及びイソオクタン1.8kgを加温下で混合して油脂溶媒混合物とし、1,3特異性固定化リパーゼ(ムコール属起源;担体はケイ藻土)100gを充填して45℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。
イソオクタンをエバポレータによって除いた後、実施例6(1)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作でアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除き、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−6B)715gを得た。
【0055】
(5)実施例1(3)と同様の操作でトリグリセライド組成及び2位置脂肪酸組成分析したところ、この油脂組成物はSSUを77%含み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0056】
(6)上記の分別により再度除いた高融点油と低融点油を混合し、エステル交換以下の工程を繰り返し、SSUに富む油脂組成物を得ることが可能であった。
【0057】
実施例7
(1)豚脂(ヨウ素価=62.6)を実施例1(1)と同様の方法で水素添加してから、精製を行い、精製極度硬化豚脂とした。ヨウ素価は0.2であった。ナタネ(カノーラ)油2kg、水2kg及び1,3特異性のない粉末リパーゼ(ンディダ属起源)40gを、30℃に保った反応槽に仕込み、撹拌しながら24時間反応させた。ろ過によりリパーゼを除き、グリセリン水を分離した後、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=190℃;真空度=0.010Torr)により脂肪酸を得た。この脂肪酸の組成を表3に示す。
【0058】
(2)次に精製極度硬化豚脂1kgと前述のナタネ脂肪酸1.2kg〔精製極度硬化豚脂:ナタネ脂肪酸=1:3.6(モル比)〕を加温下で混合し、1,3特異性耐熱固定化リパーゼ(アルカリゲネス属起源;担体はケイ藻土)100gを充填して75℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行った。これを流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=0.008Torr)により油脂と脂肪酸に分離し、油脂1kgを得た。
次に上記油脂をアセトンにより溶剤分別した。油脂(1kg)と3倍量のアセトン(3kg)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を25℃として高融点油の分別を行い、高融点油を除いた。アセトンを追加し、油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を−6℃として低融点油の分別を行い、低融点油を除き、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−7A)390gを得た。
【0059】
(3)得られた油脂組成物を液体クロマトグラフィーにかけてトリグリセライド組成を調べたところ、S2Uを76%含んでいた。この画分を分取して更に詳しく調べたところ、SSL(S:ステアリン酸、L:リノール酸)とOSO(O:オレイン酸)が分離できていなかったため、USUを4%含んでいた。更に、この油脂の2位置の脂肪酸組成を調べたところ、不飽和脂肪酸を1.1%含んでいた。よって、この油脂はSUSを1%、SSUを71%含んでいた。
【0060】
(4)次に、実施例7(2)の分別によって除いた高融点油(185g)と低融点油(425g)を混合し、75℃に保った前述のカラムに通してエステル交換反応を行った。
次いで、実施例7(2)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作でアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除き、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−7B)を240g得た。
【0061】
(5)得られた油脂組成物を液体クロマトグラフィーにかけ、トリグリセライド組成を調べたところ、S2Uと思われる画分を78%含んでいた。この画分を分取して更に詳しく調べたところ、USUを4%含んでいた。更に、この油脂の2位置脂肪酸組成を調べたところ、不飽和脂肪酸を1.3%含んでいた。よって、この油脂はSUSを1%、SSUを73%含んでいた。
【0062】
(6)なお、上記の分別により再度除いた高融点油と低融点油を混合し、エステル交換反応以下の工程を繰り返すことで、原料とした極度硬化油とほぼ同量の、SSUを高濃度で含む油脂を得ることができた。
【0063】
比較例4
豚脂1kgを実施例5(2)と同様の条件で溶剤分別した。中融点油(C−4A)は230gしか得られなかった。実施例5では(S−5A)が400g得られており、本発明は従来の溶剤分別法に比して、著しく優れていた。
また中融点油(C−4A)はS2Uを78%含んでいたが、S2U画分を分取して2位置脂肪酸組成を調べたところ、不飽和脂肪酸を12%含んでいた。つまり、この中融点油(C−4A)はSSUを69%しか含まない一方、SUSを9%も含んでいた。このように、本発明の油脂組成物は従来の溶剤分別法に比して、SSUの含有率は高い一方、SUSの含有率は低く、優れていた。
次に前述の分別によって除いた高融点油(80g)と低融点油(690g)を混合し、実施例5(4)と同様にしてエステル交換反応を行った。次いで、実施例5(4)と同様の条件で溶剤分別した。中融点油(C−4B)は185g得られ、S2Uを78%含んでいた。この油脂の2位置脂肪酸組成を調べたところ、26%が不飽和脂肪酸だった。また、分別条件を変えてもSSUの割合が増加することはなかった。
このように、豚脂を分別した高融点油と低融点油を用いてSSUを製造してもその効率は低く、本発明は高い効率でSSUを製造することができ、はるかに優れている。
【0064】
前記の実施例1〜7及び比較例1〜4で調製した各油脂組成物のトリグリセライドの組成(重量%)を表1に示し、それらの各油脂組成物の2位置脂肪酸組成(重量%)及び全脂肪酸組成(重量%)を表2に示す。更に、前記実施例7で調製したナタネ脂肪酸の脂肪酸組成(重量%)を表3に示す。表2及び表3において、脂肪酸の種類を炭素数(C)と二重結合の数(U)により、「C:U」の形式で示す。例えば、オレイン酸は、炭素数が18個で、二重結合数は1個であるので、「18:1」と示し、リノール酸は、炭素数が18個で、二重結合数は2個であるので、「18:2」と示す。
【0065】
【表1】
Figure 0003785467
【0066】
【表2】
Figure 0003785467
【0067】
【表3】
Figure 0003785467
【0068】
【発明の効果】
本発明方法では、構成脂肪酸基が実質的に全て飽和脂肪酸基からなるトリグリセライドに対して、1,3位置特異性を有するリパーゼを用いて、1,3位置のみに選択的に不飽和脂肪酸基をエステル交換反応によって導入してトリグリセライド混合物を生成し、このトリグリセライド混合物から目的とするSSUを分離する。従って、前記のトリグリセライド混合物には、目的とするSSUと近い結晶化温度を有するSUSが実質的に含まれていない。従って、SSUを高濃度で含み、かつSUSをほとんど含まない油脂組成物を、SSU以外の油脂の副生を抑えつつ、効率よく製造することができる。

Claims (4)

  1. (I)(A)(1)(a)主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂から得た極度硬化油と、(b)炭素数16〜24の不飽和脂肪酸、及び/又は炭素数16〜24の不飽和脂肪酸部分と炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂肪酸アルキルエステルとを混合し、1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、
    (2)工程(1)の反応生成物からトリグリセライド混合物を分離する工程、及び
    (3)工程(2)で分離されたトリグリセライド混合物から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含む油脂組成物を分離する工程
    における、工程(3)で得られた低融点油と、
    (B)1,2,3−飽和トリグリセライドを主成分とする油脂組成物と
    を混合し、1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、並びに
    (II)工程(I)で得られたトリグリセライド混合物から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含む油脂組成物を分離する工程
    を含むことを特徴とする、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含有する油脂組成物の製造方法。
  2. 工程(I)において、工程(II)で得られた高融点油及び/又は低融点油を更に混合する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(I)で用いる油脂組成物(B)が、
    (1)(a)主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂から得た極度硬化油と、(b)炭素数16〜24の不飽和脂肪酸、及び/又は炭素数16〜24の不飽和脂肪酸部分と炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂肪酸アルキルエステルとを混合し、1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、
    (2)工程(1)の反応生成物からトリグリセライド混合物を分離する工程、及び
    (3)工程(2)で分離されたトリグリセライド混合物から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含む油脂組成物を分離する工程
    における、工程(3)で得られた高融点油であるか、及び/又は、主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂から得た極度硬化油である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(1)において、工程(3)で得られた高融点油及び/又は低融点油を更に混合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
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