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JP2020067538A - 顕微鏡及び顕微法 - Google Patents

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大将 久米
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Masaki Michihata
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Abstract

【課題】コヒーレント結像によって高解像ながら高い信頼性で対象像を取得することができる顕微鏡及び顕微法を提供する。
【解決手段】顕微鏡100は、コヒーレント光源10と、コヒーレント光源10から構造照明用の光L21,L22を分岐して略対称的な一対の斜め方向から試料面88aの試料位置に照射する構造照明部20と、試料面88aの試料位置から射出された散乱光LO1の分布を対物レンズ45を介して検出する光検出部60と、コヒーレント光源10から参照用の光L3を分岐して光検出部60の検出面DSに照射することによって一様な電場シフトを与える参照光照射部30と、コヒーレント光源10から通常照明用の光L4を分岐して対物レンズ45越しに試料面88aの試料位置に照射する基本光照射部40と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造照明型の顕微鏡及び顕微法に関し、特にコヒーレント結像によって対象像を取得する顕微鏡及び顕微法に関する。
構造照明顕微法(Structured Illumination Microscopy, SIM)は、回折限界を超える光学的超解像顕微法の一つである。これまで光学的超解像法は、主にインコヒーレント結像系で蛍光観察を行うバイオ分野で開発が進められてきた。一方で、光学的計測にはコヒーレント結像系を前提とする用途が存在し、半導体デバイスの欠陥検査はその一例である。
しかしながら、一般的な2光波干渉による定在波を構造照明に用いるとコヒーレント系に特有の干渉が起き、結像が照明の強度分布に線形でなくなるため、強度分布取得では不十分で、電場分布を取得する必要性が生じてくる。一般に撮像素子では、電場分布を直接取得できずその時間平均(強度分布)しか取得できない。この問題を解決するため、3光波の干渉による定在波を構造照明として使うことで、結像を照明の強度分布に線形にするという手法が提案されている(特許文献1参照)。ただし、この手法では、バイアス用振幅で振動するバイアス平面波を精密に形成する必要がある。
国際公開2013−125723号明細書
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、コヒーレント結像によって高解像ながら高い信頼性で対象像を取得することができる顕微鏡及び顕微法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る顕微鏡は、コヒーレント光源と、コヒーレント光源から構造照明用の光を分岐して略対称的な一対の斜め方向から試料位置に照射する構造照明部と、試料位置から射出された散乱光の分布を対物レンズを介して検出する光検出部と、コヒーレント光源から参照用の光を分岐して光検出部の検出面に照射することによって一様な電場シフトを与える参照光照射部とを備える。
上記顕微鏡では、参照光照射部がコヒーレント光源から参照用の光を分岐して光検出部の検出面に照射することによって一様な電場シフトを与えるので、構造照明下での結像電場分布に対応する空間周波数情報延いては光学応答分布の信号を取得することができ、コヒーレント光を用いるコヒーレント結像系であっても、高解像ながら高い信頼性で対象像を取得することができる。
本発明の具体的な側面によれば、上記顕微鏡において、参照光照射部は、構造照明部によって照明された試料位置から射出され光検出部の検出面に形成された散乱パターンに位相の異なる参照用の光を干渉させる。この場合、結像電場分布に対して直接的に一様な電場シフトを与えることができる。
本発明の別の側面によれば、参照光照射部は、光検出部の検出面上の散乱パターンに重ねて初期位相状態の平面波と、初期位相状態とは異なる位相状態の平面波とを順次照射する。
本発明のさらに別の側面によれば、一様な電場シフトに対応して光検出部によって検出される光強度の増減から結像電場分布を正負の符号を含めて見積もる。この場合、結像電場分布に相当する信号を符号を含めて取得することができ、結像電場分布の信号に対してフーリエ変換を行うことができる。
本発明のさらに別の側面によれば、構造照明部は、試料位置に形成される光の空間的な照明パターンとしての構造照明をシフトさせる。この場合、一対の構造照明を試料位置に形成することができ、構造照明により周波数シフトした試料信号成分を算術的に分離でき、超解像情報を抽出することができる。
本発明のさらに別の側面によれば、構造照明部は、一対の斜め方向から照射する光の位相を相対的にシフトさせる。この場合、構造照明の位相をシフトさせた一対の結像電場分布に相当する信号を取得することができる。
本発明のさらに別の側面によれば、構造照明部は、試料位置に一対の平面波を照射することによって構造照明を形成する。
本発明のさらに別の側面によれば、一対の斜め方向から照射する光は、強度が等しい。
本発明のさらに別の側面によれば、コヒーレント光源から通常照明用の光を分岐して対物レンズ越しに試料位置に照射する基本光照射部をさらに備える。この場合、一様照明に対応する低周波数成分に対応する光学応答分布を含めた対象像の再生が可能になる。
本発明のさらに別の側面によれば、基本光照射部は、構造照明部による構造照明がない状態で試料位置に平面波を照射する。この場合、一様強度分布の照明による光学応答分布を得ることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、構造照明部及び参照光照射部を動作させて光検出部によって検出した結像電場分布と、基本光照射部を動作させて光検出部によって検出した結像電場分布とに基いて、構造照明の空間周波数に対応させて空間周波数帯域を拡張した画像を再構成する演算処理部をさらに備える。この場合、構造照明を利用した高解像成分を含む対象画像を得ることができる。
上記目的を達成するため、本発明に係る顕微法は、コヒーレント光源からの光を分岐して略対称的な一対の斜め方向から試料位置に照射する構造照明部と、試料位置から射出された散乱光の分布を対物レンズを介して検出する光検出部と、コヒーレント光源から参照用の光を分岐して光検出部の検出面に照射する参照光照射部と、を備える顕微鏡を用いた顕微法であって、試料位置において一対の構造照明を照射して散乱光を取り出すとともに、光検出部の検出面で参照用の光を干渉させることによって一様な電場シフトを与え、結像電場分布に相当する信号を取得する工程と、一対の構造照明下で得た結像電場分布に相当する信号のフーリエ変換から拡張空間周波数情報を抽出し逆フーリエ変換することによって、試料像を再構成する。
上記顕微法では、試料位置において一対の構造照明を照射して散乱光を取り出すとともに光検出部の検出面で参照用の光を干渉させることによって一様な電場シフトを与えるので、構造照明下で結像電場分布に対応する空間周波数情報延いては光学応答分布の信号を取得することができ、コヒーレント光を用いるコヒーレント結像系であっても、高解像ながら高い信頼性で対象像を取得することができる。
本発明の具体的な側面によれば、上記顕微法において、顕微鏡がコヒーレント光源から通常照明用の光を分岐して対物レンズ越しに試料位置に照射する基本光照射部をさらに備え、拡張空間周波数情報と、通常照明下で検出した信号のフーリエ変換から得た基本空間周波数情報とを合成し、逆フーリエ変換することによって、試料像を再構成する。
実施形態の観察装置について基本構造を説明するブロック図である。 ステージの試料面の状態に関する概念的な平面図である。 (A)〜(C)は、結像電場分布の正負を含めた算出方法の具体例を説明するチャートである。 (A)〜(C)は、結像電場分布の正負を含めた算出方法の具体例を説明するチャートである。 図1等に示す顕微鏡の動作例の概要について説明する。 (A)〜(C)は、元のサンプルパターンと、比較例の通常照明による解像と、実施形態の顕微鏡で達成される超解像とを説明する図である。 (A)は、図6に示すサンプルパターンに対して構造照明や一様強度照明を行った場合の結像電場分布を説明するグラフであり、(B)は、再現されたサンプルの空間周波数成分を説明するグラフである。 (A)〜(H)は、第1の照明条件でサンプルの2点間隔を変化させつつ顕微鏡の分解能を計算した結果を示す。 (A)〜(H)は、第2の照明条件でサンプルの2点間隔を変化させつつ顕微鏡の分解能を計算した結果を示す。 (A)及び(B)は、第2の照明条件でサンプルの2点間隔を変化させつつ顕微鏡の分解能を計算した結果を示す。 (A)〜(G)は、第3の照明条件でサンプルの2点間隔を変化させつつ顕微鏡の分解能を計算した結果を示す。 (A)〜(G)は、第4の照明条件でサンプルの2点間隔を変化させつつ顕微鏡の分解能を計算した結果を示す。 (A)〜(F)は、第5の照明条件でサンプルの2点間隔を変化させつつ顕微鏡の分解能を計算した結果を示す。 (A)〜(C)は、元のサンプルパターンと、比較例の通常照明による解像と、実施形態の顕微鏡で達成される超解像とを説明する図である。
以下、図1等を参照して、本発明に係る一実施形態の顕微鏡について説明する。本顕微鏡100は、構造照明顕微鏡であり、コヒーレント光源10と、構造照明部20と、参照光照射部30と、基本光照射部40と、対物系50と、光検出部60と、制御部90とを備える。図示の顕微鏡100において、水平平面に対応するxy面は、ステージ88の試料面88aに平行になっている。
コヒーレント光源10は、半導体レーザその他のレーザ装置を備え、コヒーレント光としてのレーザ光L1を射出する。コヒーレント光源10は、詳細な構造の説明を省略するが、例えばコリメータ等の光学要素を付随させたものとすることができる。
構造照明部20は、ビームスプリッタ21と、可動ミラー22と、第1斜照明ミラー24と、第2斜照明ミラー25と、偏光ビームスプリッタ(PBS)82と、第1シャッター28とを備え、コヒーレント光源10から構造照明用の光L2を分岐することによって得た構造照明光L21,L22を、対称的な一対の斜め方向から試料位置であるステージ88の試料面88a上に照射する。ビームスプリッタ21は、偏光ビームスプリッタ82からの光L2を1:1の比で分岐する。可動ミラー22は、平面ミラーであり、ビームスプリッタ21からの光L22を反射して第2斜照明ミラー25に入射させる。第1斜照明ミラー24は、ステージ88の試料面88a又は試料面88a上の被検面OSつまりサンプルに対して傾斜角又は入射角θで斜め右上方向から光L21を入射させることで被検面OS等を照明する。第2斜照明ミラー25は、平面ミラーであり、試料面88a又は被検面(サンプル)OSに対して傾斜角又は入射角θで斜め左上方向から光L22を入射させることで被検面OS等を照明する。斜入射光である光L21,L22によって定在波である構造照明が形成される。構造照明を形成するための斜入射光である光L21,L22は、紙面に垂直なy方向に偏光した光であり、電場がy方向に平行に設定されている。可動ミラー22には、ピエゾ素子等からなるミラー駆動部23が付随しており、可動ミラー22を例えばx方向に微小移動させることで光L22に対して位相シフトを与えることができる。
偏光ビームスプリッタ82は、λ/2波長板81と協働して紙面に垂直でy方向に偏光した光L2を反射してビームスプリッタ21に導くとともに、紙面に平行なz方向に偏光した光L12を透過させてビームスプリッタ83に導く。ここで、λ/2波長板81の回転角の調整により、構造照明部20に入射させる構造照明用の光L2の相対的な強度を調整することができる。
参照光照射部30は、可動ミラー31と、ビームエキスパンダ33と、レンズ34と、ミラー35と、ビームスプリッタ83と、第2シャッター38とを備え、コヒーレント光源10から参照用の光L3を分岐して光検出部60の検出面DSに照射することによって検出面DS上の結像電場分布に対して一様な電場のシフトつまり光電界のシフトを与える。可動ミラー31は、平面ミラーであり、ビームスプリッタ83からの光L3を反射し、ビームエキスパンダ33及びレンズ34を介してミラー35に入射させる。ここで、ビームエキスパンダ33は、参照用の光L3のビーム径を拡大する。レンズ34は、対物系50に設けたレンズ53と協働して、参照用の光L3をコリメートして光検出部60の検出面DS上に平面波として垂直入射させる。可動ミラー31には、ピエゾ素子等からなるミラー駆動部32が付随しており、可動ミラー31を例えばx方向に微小移動させることで光L3に対して位相シフトを与えることができる。
ビームスプリッタ83は、紙面に平行でz方向に偏光した光L12を部分的に透過させ、参照用の光L3としてλ/2波長板84及び偏光板85に入射させるとともに、同様の偏光である光L4を基本光照射部40に導く。ここで、λ/2波長板81の回転角の調整により、可動ミラー31に入射させる参照用の光L3の相対的な強度を調整することができる。
基本光照射部40は、ビームエキスパンダ41と、λ/2波長板42と、レンズ43と、ビームスプリッタ51と、対物レンズ45と、第3シャッター48とを備える落射照明系であり、コヒーレント光源10から通常照明用の光L4を分岐して対物レンズ45越しに試料位置であるステージ88の試料面88a又は被検面OSに照射する。ビームエキスパンダ41は、通常照明用の光L4のビーム径を拡大する。λ/2波長板42は、その回転角の調整により、対物レンズ45に入射させる通常照明用の光L4の偏光方向を適宜設定することができる。レンズ43は、通常照明用の光L4を一旦集光する。ビームスプリッタ51は、レンズ43を経た通常照明用の光L4を透過させることによって対物レンズ45に入射させる。対物レンズ45から射出されステージ88の試料面88aに入射する光L4は、コリメートされ、試料面88a上に平面波として垂直入射する。つまり、通常照明用の光L4は落射照明として用いられる。
対物系50は、対物レンズ45と、ビームスプリッタ51と、偏光板52と、レンズ53とを備え、ステージ88の試料面88a又は被検面OSに形成された像を光検出部60の検出面DS上に投影する。具体的には、構造照明部20による構造照明の照明パターンによって照明された試料面88a上の被検面(サンプル)OSによる散乱光LO1の散乱パターンが、対物系50を介して検出面DSに投影される。この散乱光LO1に対して参照光照射部30によって参照用の光L3を照射することで、被検面(サンプル)OSによる散乱光LO1の散乱パターンと、参照用の一様な平面波である光L3とを検出面DS上で干渉させ、検出面DS上の散乱光LO1の散乱パターンに対して一様な電場シフトを与えることができる。また、基本光照射部40による一様照明によって照明された試料面88a上の被検面(サンプル)OSによる非構造照明型の散乱光LO2の散乱パターンが、対物系50を介して検出面DSに投影される。
光検出部60は、CCDセンサ、COMSセンサ等の2次元光センサ61で構成され、駆動回路63を付随させたものとなっている。
ステージ88は、駆動部89上に支持されており、xy面に沿って2次元的に移動可能であり、z方向に移動して対物レンズ45に対する位置合わせが可能になっている。
図2は、ステージ88の試料面88aの概念的な平面図であり、試料面88aの観察領域ARには、構造照明用の光L21,L22によってy方向に延びx方向に等間隔で周期的に配列されたストライプ状の強弱パターン又は波形である照明パターン(構造照明)IPが形成されている。
図1に戻って、制御部90は、コヒーレント光源10、構造照明部20、参照光照射部30、基本光照射部40、及び光検出部60の動作を統括的に制御している。制御部90は、コンピューターであり、演算処理部91を有している。演算処理部91は、光検出部(撮像部)60によって得た画像に対して各種のデジタル信号処理を行うことができ、特に得られた信号に対して必要な判定処理、フーリエ変換、逆フーリエ変換等を含む各種演算処理を行うことができ、超解像画像の再構築を行う。具体的には、制御部90は、第1〜第3シャッター28,38,48を適宜開閉動作させることにより照明状態を切り換えることができる。構造照明部20によって構造照明を行う場合、第1シャッター28を開状態にし、かつ、第2シャッター38及び第3シャッター48を閉状態にする。構造照明によって得た強度分布から符号を含めた結像電場分布を得る際には、第1シャッター28及び第2シャッター38を開状態にし、かつ、第3シャッター48を閉状態にする。また、基本光照射部40によって一様照明を行う場合、第3シャッター48を開状態にし、第1シャッター28及び第2シャッター38を閉状態にする。構造照明部20によって構造照明を行う場合、制御部90は、照明パターンIPに位相シフトを与える目的で、構造照明部20の可動ミラー22をシフトさせて構造照明用の光L21に位相シフトを与える。さらに、構造照明部20によって構造照明を行う場合、制御部90は、光検出部60の検出面DS上に形成される構造照明下の結像電場分布について正負の符号を含めて見積もる目的で、参照光照射部30の可動ミラー31をシフトさせて参照用の光L3に位相シフトを与える。演算処理部91は、構造照明部20及び参照光照射部30を動作させて光検出部60によって検出した一対の結像電場分布に対してフーリエ変換を行って、空間周波数領域において一様強度照明型の光学系の空間周波数帯域の外側に離間した一対の電場変換関数を算出する。さらに、演算処理部91は、基本光照射部40を動作させて光検出部60によって検出した結像電場分布に対してフーリエ変換を行って従来的光学系の空間周波数帯域で電場変換関数を算出する。演算処理部91は、構造照明由来の電場変換関数と一様強度照明による電場変換関数とを繋ぎ合わせた広帯域のフーリエ変換信号を合成し、合成された広帯域のフーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換を行って空間周波数帯域を拡張した画像を再構成する。
ここで、顕微鏡100による超解像の原理について説明する。実施形態の顕微鏡100のようなコヒーレント結像系では、結像過程で光波の電場レベルの干渉が起こるため、取得される結像強度分布から電場分布を推定することが必要である。インコヒーレント結像系におけるSIMでは、試料の光学応答が構造照明の光強度(電場の時間平均)に対して線形であると仮定するため、試料分布は(非負である)照明強度に対する係数として表現される。しかしコヒーレント結像系では、試料の発する光波の可干渉性のため、試料分布は(負値を取り得る)照明電場に対する係数として記述する必要がある。試料分布(散乱効率分布、すなわち照明電場に対する光学応答係数)をS(x)、コヒーレント光源による2光束干渉定在波照明の電場分布をI(x)、光学系の点像分布関数をH(x)とすると、試料からの散乱光が結像面に形成する電場分布D(x)は次式で表される。
Figure 2020067538
ここでI,p,x,φは、それぞれ電場の振幅、構造照明の空間周波数、位置、及び初期位相を表し、{I(x)・S(x)}とH(x)との間の演算記号は畳み込み積分を表す。定在波の電場分布の正確な記述は時間項を含むが、定在波の隣り合うピークに属する領域の電場の位相が各時刻でπだけ異なることを表すために、ここでは時間項を省略し定在波を静的に表現する。式(1)の両辺をフーリエ変換(FXはXのフーリエ変換を表す)して次式を得る。
Figure 2020067538
ここで、構造照明の位相をφだけシフトさせた画像を取得し式(2)を連立することで、2つの未知数FS(k+p)及びFS(k−p)について解くことができる。拡張空間周波数情報としてのFS(k+p)及びFS(k−p)と、一様強度分布照明による結像電場分布(結像強度分布の平方根)に基づいて得られる基本空間周波数情報としてのFS(k)とを周波数空間内で結合することにより、周波数pだけ帯域が拡大された超解像画像を得ることができる。
以上では、説明を簡単にするため、1次元的な試料パターン、つまり1次元的な光学応答パターンを有するサンプルを前提として説明を行ったが、2次元的な光学応答パターンを有するサンプルについても同様の処理が可能である。ただしこの場合、x方向及びy方向に関して結像電場分布のフーリエ変換を行って、x方向に拡張した一対の空間周波数情報を得る。さらに、x方向に拡張した一対の空間周波数情報と、一様強度分布照明による結像電場分布から得た空間周波数情報とを結合することにより、少なくともx方向に関して周波数pだけ帯域が拡大された2次元的な超解像画像を得ることができる。以上のような2次元のフーリエ変換処理については、公知の手法(例えば、Lal, Amit, Chunyan Shan, and Peng Xi. "Structured illumination microscopy image reconstruction algorithm." IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics 22.4 (2016): 50-63.)を用いることができる。
コヒーレント結像系において試料の光学応答係数等を扱う場合、上記のように試料面88a上の試料からの散乱光を、正負の値を取り得る電場分布として取り扱う必要がある。一般にCCDセンサ等の撮像素子による計測では、結像面である検出面DSで高速で変動する電場の時間平均(電場の自乗)が得られるが、電場そのものを得ることはできない。そこで、定在波による散乱光が2通りの位相しか取り得ないという性質に着目して検出面DSにおける電場分布を推定する。試料による散乱光の位相は照明の位相に依存するため、散乱光の干渉現象に着目すると、検出面DSにおける散乱光の位相は、定在波のそれに対応して0(正)またはπ(負)のいずれかの値をとるとみなすことができる。そこで、散乱光と同じ波長を持つ平面波(図1に光L3として示す参照光)を検出面DSに垂直に入射させ散乱光と干渉させることで、検出面DSにおける結像電場分布を推定することができる。散乱光の位相は2通りしかないため、上記参照光の位相を1回シフトさせ結像強度分布の増減をみることで結像面である検出面DS内の任意の位置の電場が推定可能になる。
図3(A)は、構造照明されている試料面88a上のサンプルからの散乱光によって光検出部60の検出面DS上に形成される光強度分布を説明するチャートであり、図3(B)は、構造照明されている試料面88a上のサンプルからの散乱光によって光検出部60の検出面DS上に形成される散乱パターンに対して参照光を干渉させて形成される光強度分布を説明するチャートである。図3(A)及び3(B)において、横軸は位置を示し、縦軸は光強度を示す。図3(C)は、構造照明されている試料面88a上のサンプルからの散乱光によって光検出部60の検出面DS上に形成される散乱パターンのみの結像電場分布であって、正負の符号を含むものを示している。図3(C)において、横軸は図3(A)及び3(B)と同様となっている。以上の具体例において、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、対物レンズ45のNAを0.4とし、構造照明の入射角度θを45度としている。試料面88a上のサンプルパターンは、ストライプパターンであって、間隔を100nm間隔から900nm間隔まで50nm単位で増加させたものとなっている(後述する図6(A)参照)。
図3(C)に示すような結像電場分布(曲線c1)について2次元光センサ61によって計測を行った場合、検出される信号は、図3(A)で示すように負の成分を反転させて自乗をとった光強度分布(曲線c2)となる。このような光強度分布(曲線c2)からは、図3(C)に示すような結像電場分布(曲線c1)の絶対値は得られても、曲線c1の符号を判断することができない。そこで、構造照明されている試料面88a上のサンプルからの散乱光によって光検出部60の検出面DS上に形成される散乱パターンのみの結像電場分布(曲線c1)に対して所定の一様な電場成分を与える参照光を付加又は干渉させた状態と、元の結像電場分布(曲線c1)に対して位相の異なる一様な電場分布を与える参照光を付加又は干渉させた状態とを比較する。図3(B)において、実線で示す曲線c21は、図3(C)に示す曲線c1に対して一様な電場成分を与える参照光、具体的には初期位相状態(便宜上位相ゼロとも呼ぶ)の平面波を干渉させた結像電場分布であり、破線で示す曲線c22は、図3(C)に示す曲線c1に対して曲線c21における参照光とは位相の異なる一様な電場成分を与える参照光、つまり初期位相状態とは異なる位相状態の平面波であって、具体的には元に対して位相π/2だけずらした平面波を干渉させた結像電場分布である。図からも明らかなように、位相0の場合の曲線c21に対して、位相π/2の場合の曲線c22を比較すると、ピークが高くなる箇所とピークが低くなる箇所が現れており、各ピークについて自乗前の元のピークの正負を判定し仕分けることができる。
図4(A)〜4(C)は、試料面88a上の構造照明の位置を位相シフトによって変更した場合を説明するものであり、図3(A)〜3(C)にそれぞれ対応する。図4(B)において、実線で示す曲線c21は、図4(C)に示す曲線c1に対して所定の一様な電場成分を与える参照光、具体的には初期位相状態(つまり位相ゼロ)の平面波を干渉させた結像電場分布であり、破線で示す曲線c22は、図4(C)に示す曲線c1に対して曲線c21における参照光とは位相の異なる一様な電場成分を与える参照光、つまり初期位相状態とは異なる位相状態の平面波であって、具体的には元に対して位相π/2だけずらした平面波を干渉させた結像電場分布である。図からも明らかなように、位相ゼロの場合の曲線c21に対して、位相π/2の場合の曲線c22を比較すると、ピークが高くなる箇所とピークが低くなる箇所が現れており、各ピークについて自乗前の元のピークの正負を判定し仕分けることができる。
以上から明らかなように、検出面DS上の散乱パターン(曲線c1)に重ねて一対の位相が異なる参照用の平面波を照射して曲線c21,c22が得られたとして、それらの各部の光強度の増減から、参照光のない状態で構造照明されている試料面88a上のサンプルからの散乱光によって光検出部60の検出面DS上に形成される散乱パターンのみの結像電場分布(散乱パターン)の正負の符号を判定することができ、検出面DSで検出された強度パターンの平方根の分布に対して上記手法で判定した正負の符号を付すことで、実際の結像電場分布(曲線c1に相当するもの)を正負の符号を含めて見積もることができる。
以上の手法は、結像電場分布(曲線c1)に加算する正の電場成分が結像電場分布(曲線c1)のピークに対して低い場合のみならず、結像電場分布(曲線c1)に加算する正の電場成分が結像電場分布(曲線c1)のピークよりも大きい場合であっても成立し、結像電場分布(曲線c1)を正負の符号を含めて見積もることができる。
図5を参照して、図1等に示す顕微鏡100の動作例の概要について説明する。まず、ステージ88の試料面88a上に試料を配置する(ステップS11)。その後、演算処理部80は、第1シャッター28を開状態にし、第2シャッター38及び第3シャッター48を閉状態として、構造照明部20によって第1の構造照明を行うとともに散乱パターンを計測する(ステップS12)。これにより、参照光を含まない散乱光LO1を検出面DSに入射させることになり、構造照明の影響を受けた試料について検出面DS上で結像パターンの強度分布を得ることができる。次に、第2シャッター38の状態のみを変更して開状態にして、構造照明部20及び参照光照射部30によって結像電場分布の符号チェックのための第1計測を行う(ステップS13)。この際、参照光照射部30によって照明された被検面(サンプル)OSによる散乱光LO1の散乱パターンと、参照用の一様な平面波である光L3とを検出面DS上で干渉させて干渉パターンの強度分布を得るが、光L3の位相を初期位相状態として元の散乱光LO1と同様のピークパターンを有する信号波形を得る。次に、参照光照射部30の可動ミラー31を動作させて参照用の一様な平面波である光L3に対して予め設定した任意の位相シフトΔを与えることで、散乱光LO1と位相が変化した光L3とを干渉させてピーク値に変化を与えた干渉パターンの強度分布を得る第2計測を行う(ステップS14)。以上の第1計測及び第2計測によって結像電場分布の符号の正負を判定するための情報を得ることができ、ステップS12で得た結像パターンの強度分布から正負の符号を含めた結像電場分布を算定することができる。次に、演算処理部80は、第2シャッター38の状態のみを変更して閉状態にするとともに、構造照明部20の可動ミラー22を動作させて構造照明用の光L21に位相シフトを与えるとともに散乱パターンを計測する(ステップS15)。位相シフト量は、例えばπ/2とするがこれに限るものではない。これにより、参照光を含まない散乱光LO1を検出面DSに入射させることになり、位相シフト後の第2の構造照明の影響を受けた試料について検出面DS上で結像パターンの強度分布を得ることができる。つまり、一対の構造照明のうちの一方である第1の構造照明から一対の構造照明のうちの他方である第2の構造照明に切り換えることによって、試料面88aに形成される光の空間的な照明パターンをシフトさせる。次に、第2シャッター38の状態のみを変更して開状態にして、及び参照光照射部30によって結像電場分布の符号チェックのための第3計測を行う(ステップS16)。この際、参照光照射部30によって照明された被検面(サンプル)OSによる散乱光LO1の散乱パターンと、参照用の一様な平面波である光L3とを検出面DS上で干渉させて干渉パターンの強度分布を得るが、光L3の位相を初期位相状態として元の散乱光LO1と同様のピークパターンを有する信号波形を得る。次に、参照光照射部30の可動ミラー31を動作させて参照用の一様な平面波である光L3に対して任意の位相シフトΔを与えることで、散乱光LO1と位相が変化した光L3とを干渉させてピーク値に変化を与えた干渉パターンの強度分布を得る第4計測を行う(ステップS17)。以上の第3計測及び第4計測によって結像電場分布の符号の正負を判定するための情報を得ることができ、ステップS15で得た結像パターンの強度分布から正負の符号を含めた結像電場分布を算定することができる。なお、後述するフーリエ変換に先立ってステップS14で得られる第1の構造照明による結像電場分布の符号の与え方(又は符号の定義)と、ステップS17で得られる第2の構造照明による結像電場分布の符号の与え方(又は符号の定義)とを簡易に一致させる手法として、ステップS16の動作開始前に例えば可動ミラー31の位置を元に戻してステップS16の第3計測での参照光の位相状態をテップS13の第1計測での参照光の位相状態と略一致させる。さらに、ステップS17の第4計測での位相シフトΔをステップS14の第2計測での位相シフトΔと略一致させる。その後、演算処理部80は、第3シャッター48を開状態にし、第1シャッター28及び第2シャッター38を閉状態として、基本光照射部40によって一様強度照明を行う(ステップS18)。この際、基本光照射部40によって照明された被検面(サンプル)OSによる非構造照明型の散乱光LO2の散乱パターンを検出面DS上に形成して結像パターンの強度分布を得る。散乱光LO2の強度分布は、結像電場分布に換算される。一様強度照明について結像電場分布を得る際には、例えば結像電場分布が正又は負に一様として処理できる。さらに、一様強度照明の結像電場分布については、例えば後述するフーリエ変換後において空間周波数の信号成分が重複する境界領域での波形の整合性又は連続性を判定して、ステップS14,S17で得た構造照明下での結像電場分布に対して正負の符号の整合性を確保することができる。なお、一様強度照明について結像電場分布を得る際にも、構造照明と同様に参照光を利用して正負の符号を判定することができ、符号を含む結像電場分布を算出することができる。演算処理部91は、ステップS14で取得した結像電場分布と、ステップS17で取得した結像電場分布とに対してフーリエ変換を行うとともに、ステップS18で取得した結像電場分布に対してフーリエ変換を行う(ステップS19)。ステップS14で取得した結像電場分布に対してフーリエ変換を行った電場変換関数FD1(k)と、ステップS17で取得した結像電場分布に対してフーリエ変換を行った電場変換関数FD2(k)とから、試料面88a上に試料の光学応答分布のフーリエ変換FS(k+p),FS(k−p)を得ることができ、ステップS18で取得した結像電場分布に対してフーリエ変換等を行って直接的に電場変換関数FS(k)が得られる。次に、演算処理部91は、ステップS19で得た関数FS(k+p),FS(k−p),FS(k)を空間周波数内で結合し、構造照明由来の結像電場分布と一様強度照明による結像電場分布とを繋ぎ合わせた広帯域のフーリエ変換信号を取得する(ステップS20)。具体的には、例えば空間周波数の境界領域で平均化や切り捨て処理を行う。最後に、演算処理部91は、合成された広帯域のフーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換を行って絶対値をとり空間周波数帯域を拡張した高解像の画像を再構成する(ステップS21)。
以上で説明した実施形態の顕微鏡100では、参照光照射部30がコヒーレント光源10から参照用の光L3を分岐して光検出部60の検出面DSに照射することによって一様な電場シフトを与えるので、構造照明下での結像電場分布に対応する空間周波数情報延いては光学応答分布の信号を取得することができ、コヒーレント光を用いるコヒーレント結像系であっても、高解像ながら高い信頼性で対象像を取得することができる。
以下、図6(A)〜6(C)、並びに、図7(A)及び7(B)を参照して、具体的な演算処理について説明する。
図6(A)は、元のサンプルパターンの具体例を示す図である。図6(B)は、顕微鏡100において構造照明を用いない場合に達成される解像の結果を説明する図であり、図6(C)は、実施形態の顕微鏡100において構造照明を用いて達成される超解像の結果を説明する図である。横軸は位置を示し、縦軸は散乱効率を示す。縦軸は試料の存在を示す指標として散乱のしやすさの度合いとしての散乱効率を表すが、一様強度照明下の観察像の曲線については、これに代えて像強度分布をプロットしている。元のサンプルパターン(図6(B)及び6(C)では破線)は、100nm間隔から900nm間隔まで50nm単位で間隔を増加させたものとなっている。
図7(A)は、図6(A)に示すサンプルパターンに対して構造照明や一様強度照明を行った場合の結像電場分布を説明するグラフである。横軸は位置を示し、縦軸は電場の値を示す。このシミュレーションにおいて、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、入射角度θを45度とし、対物レンズ45のNAを0.4としている。実線及び破線は、位相を変えた第1及び第2構造照明下で取得した画像に対応するものであり、点線又は薄い線は、一様強度照明で取得した画像に対応するものである。図7(B)は、再現されたサンプルの空間周波数成分を説明するグラフである。中央にピークを有する実線が一様強度照明によって得た空間周波数成分であり、左右にピークを有する破線が構造照明を利用して得た空間周波数成分であり、点線で表されたサンプルが本来持っている周波数成分が概ね復元されていることがわかる。
顕微鏡によって取得可能な最大空間周波数は、一般的な一様強度照明では、波長をλとして、NA/λとなる。一方、実施形態の顕微鏡100で達成される最小空間周波数は、NA/λ+sinθ/λとなる。波長λを488nmとし、入射角度θを45度とした場合、一般的な一様強度照明では、解像可能な間隔が1220nmとなり、実施形態の顕微鏡100では、解像可能な間隔が440nmとなることを意味する。一般的な一様強度照明によって再構成された画像(図6(B)の実線参照)と、実施形態の構造照明を用いて結像電場分布から再構成された画像(図6(C)の実線参照)とを比較すると、実施形態の構造照明によってサンプル間隔450nmあたりまで解像が可能であることが分かる。一方、一般的な一様強度照明では、900nmの間隔でさえ解像が容易でないことが分かる。
以下、近接する2点からなるサンプルの観察に関する解像(2点解像)について説明する。
図8(A)〜8(H)は、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、入射角度θを45度とし、対物レンズ45のNAを0.4とした場合の解像結果を示している。各グラフにおいて、横軸は位置を示し、縦軸は散乱効率を示す。ここで、一様強度照明下の観察像の曲線については、これに代えて像強度分布をプロットしている。各グラフにおいて、縦に延びる破線は、サンプルの2点ピークを示し、実線は、実施形態の構造照明を利用した解像を示し、点線又は薄い線は、一般的な一様強度照明を利用した解像を示す。以上の点は、以下の解像例でも同様であり、以下では重複説明を省略する。
図8(A)は、サンプルの2点間隔が300nmの場合を示し、図8(B)は、サンプルの2点間隔が320nmの場合を示し、図8(C)は、サンプルの2点間隔が350nmの場合を示し、図8(D)は、サンプルの2点間隔が400nmの場合を示し、図8(E)は、サンプルの2点間隔が450nmの場合を示し、図8(F)は、サンプルの2点間隔が500nmの場合を示し、図8(G)は、サンプルの2点間隔が800nmの場合を示し、図8(H)は、サンプルの2点間隔が900nmの場合を示す。解像の定義によるが、実施形態の構造照明では、図8(C)に示す350nm間隔の2点についての再構成で十分な解像が達成されているが、比較例の一様強度照明では、図8(H)に示す900nm間隔の2点についてさえ十分な分離ができていないことが分かる。なお、既述のように、一様強度照明では、理論的に解像可能な間隔が1220nmとなり、実施形態の顕微鏡100では、理論的に解像可能な間隔が440nmとなるので、上記図示の解像結果は理論的分解能と整合している。
図9(A)〜9(H)及び図10(A)及び10(B)は、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、入射角度θを60度とし、対物レンズ45のNAを0.5とした場合の解像結果を示している。図9(A)は、サンプルの2点間隔が200nmの場合を示し、図9(B)は、サンプルの2点間隔が250nmの場合を示し、図9(C)は、サンプルの2点間隔が300nmの場合を示し、図9(D)は、サンプルの2点間隔が320nmの場合を示し、図9(E)は、サンプルの2点間隔が350nmの場合を示し、図9(F)は、サンプルの2点間隔が400nmの場合を示し、図9(G)は、サンプルの2点間隔が500nmの場合を示し、図9(H)は、サンプルの2点間隔が600nmの場合を示す。また、図10(A)は、サンプルの2点間隔が700nmの場合を示し、図9(B)は、サンプルの2点間隔が800nmの場合を示す。各グラフにおいて、破線は、サンプルの2点ピークを示し、実線は、実施形態の構造照明を利用した解像を示し、点線又は薄い線は、一般的な一様強度照明を利用した解像を示す。実施形態の構造照明では、図9(C)に示す300nm間隔の2点についての再構成で十分な解像が達成されているが、比較例の一様強度照明では、図10(A)に示す700nm間隔の2点についてさえ十分な分離ができていないことが分かる。なお、上記波長λ、入射角度θ、NAを前提とした場合、一様強度照明では、理論的に解像可能な間隔が976nmとなり、実施形態の顕微鏡100では、理論的に解像可能な間隔が357nmとなるので、上記図示の解像結果は理論的分解能と整合している。
図11(A)〜11(G)は、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、入射角度θを80度とし、対物レンズ45のNAを0.6とした場合の解像結果を示している。図11(A)は、サンプルの2点間隔が200nmの場合を示し、図11(B)は、サンプルの2点間隔が250nmの場合を示し、図11(C)は、サンプルの2点間隔が300nmの場合を示し、図11(D)は、サンプルの2点間隔が400nmの場合を示し、図11(E)は、サンプルの2点間隔が500nmの場合を示し、図11(F)は、サンプルの2点間隔が600nmの場合を示し、図11(G)は、サンプルの2点間隔が700nmの場合を示す。各グラフにおいて、破線は、サンプルの2点ピークを示し、実線は、実施形態の構造照明を利用した解像を示し、点線又は薄い線は、一般的な一様強度照明を利用した解像を示す。実施形態の構造照明では、図11(B)に示す250nm間隔の2点についての再構成で十分な解像が達成されているが、比較例の一様強度照明では、図11(F)に示す600nm間隔の2点についてさえ十分な分離ができていないことが分かる。なお、上記波長λ、入射角度θ、NAを前提とした場合、一様強度照明では、理論的に解像可能な間隔が813nmとなり、実施形態の顕微鏡100では、理論的に解像可能な間隔が307nmとなるので、上記図示の解像結果は理論的分解能と整合している。
図12(A)〜12(G)は、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、入射角度θを80度とし、対物レンズ45のNAを0.7とした場合の解像結果を示している。図12(A)は、サンプルの2点間隔が200nmの場合を示し、図12(B)は、サンプルの2点間隔が250nmの場合を示し、図12(C)は、サンプルの2点間隔が300nmの場合を示し、図12(D)は、サンプルの2点間隔が400nmの場合を示し、図12(E)は、サンプルの2点間隔が500nmの場合を示し、図12(F)は、サンプルの2点間隔が550nmの場合を示し、図12(G)は、サンプルの2点間隔が600nmの場合を示す。各グラフにおいて、破線は、サンプルの2点ピークを示し、実線は、実施形態の構造照明を利用した解像を示し、点線又は薄い線は、一般的な一様強度照明を利用した解像を示す。実施形態の構造照明では、図12(B)に示す250nm間隔の2点についての再構成で十分な解像が達成されているが、比較例の一様強度照明では、図12(F)に示す550nm間隔の2点についてさえ十分な分離ができていないことが分かる。なお、上記波長λ、入射角度θ、NAを前提とした場合、一様強度照明では、理論的に解像可能な間隔が697nmとなり、実施形態の顕微鏡100では、理論的に解像可能な間隔が289nmとなるので、上記図示の解像結果は理論的分解能と整合している。
図13(A)〜13(F)は、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、入射角度θを80度とし、対物レンズ45のNAを0.95とした場合の解像結果を示している。図13(A)は、サンプルの2点間隔が150nmの場合を示し、図13(B)は、サンプルの2点間隔が180nmの場合を示し、図13(C)は、サンプルの2点間隔が200nmの場合を示し、図13(D)は、サンプルの2点間隔が300nmの場合を示し、図13(E)は、サンプルの2点間隔が350nmの場合を示し、図13(F)は、サンプルの2点間隔が400nmの場合を示す。各グラフにおいて、破線は、サンプルの2点ピークを示し、実線は、実施形態の構造照明を利用した解像を示し、点線又は薄い線は、一般的な一様強度照明を利用した解像を示す。実施形態の構造照明では、図13(C)に示す200nm間隔の2点についての再構成で十分な解像が達成されているが、比較例の一様強度照明では、図13(E)に示す350nm間隔の2点についてさえ分離があまり明確でないことが分かる。なお、上記波長λ、入射角度θ、NAを前提とした場合、一様強度照明では、理論的に解像可能な間隔が426nmとなり、実施形態の顕微鏡100では、理論的に解像可能な間隔が209nmとなるので、上記図示の解像結果は理論的分解能と整合している。
図14(A)〜14(C)は、図6(A)〜図6(C)に対応する2次元のシミュレーション結果を説明する図である。図14(A)は、図6(A)に対応し元のサンプルパターンの具体例を示す図であり、元のサンプルパターンは、x方向の間隔を徐々に増加させたストライプパターンである。図14(B)は、顕微鏡100において構造照明を用いない場合に達成される2次元解像の結果を説明する図であり、図14(C)は、実施形態の顕微鏡100において構造照明を用いて達成される2次元解像の結果を説明する図である。このシミュレーションにおいて、コヒーレント光源10から射出させるレーザ光L1の波長λを488nmとし、入射角度θを45度とし、対物レンズ45のNAを0.4としている。図14(C)から明らかなように、実施形態の構造照明によってサンプル間隔450nmあたりまで解像が可能であることが分かる。この結果は、実施形態の顕微鏡100によって理論的に解像可能な間隔が440nmであることと整合している。
以上では、実施形態の顕微鏡等について説明したが、本発明に係る顕微鏡等は上記のものには限られない。例えば、照明パターン(構造照明)IPの周期方向は、x方向に限らず任意の方向とでき、周期方向を任意の複数方向に設定した構造照明を行うこともでき、今回の手法を適用することで任意の方向(単一方向に限らない)の解像力を向上させることができる。具体的には例えば、x方向だけでなくy方向に関しても実施形態のような構造照明を行って、各方向の構造照明について結像電場分布のフーリエ変換から各方向に関して一対の空間周波数情報を得る。さらに、x方向及びy方向ごとに得た一対の空間周波数情報と、一様強度分布照明による結像電場分布から得た空間周波数情報とを結合することにより、x方向及びy方向に関して解像度を向上させた超解像画像を得ることができる。
以上の説明では、単一タイプの構造照明下で得た結像電場分布から算出した超解像の空間周波数の信号成分を、一様強度照明下で得た結像電場分布に対応する通常解像の空間周波数の信号成分に対して部分的に重複させることで局所的な途切れがない空間周波数情報又は空間周波数分布を得ているが、複数タイプの構造照明下で得た結像電場分布を組み合わせることもできる。つまり、空間周波数が大小異なる構造照明下で得た結像電場分布から算出した2段階の超解像の空間周波数の信号成分を繋ぎ合わせるとともに、一様強度照明下で得た結像電場分布に対応する通常解像の空間周波数の信号成分をさらに繋ぎ合わせることで、広範囲に亘って途切れがない空間周波数情報を得ることができる。
以上で説明した実施形態では、顕微鏡100に基本光照射部40を組み込んでいたが、基本光照射部40は、必須のものではなく省略することができる。
構造照明用の光L21,L22は、対物レンズ45を挟んで互いに反対側から入射させるもの、或いは対物レンズ45の光軸を挟んで互いに反対側から入射させるものであれば正確に対称に配置されたものでなくても足る。つまり、構造照明用の光L21,L22の入射角θは等しくなくてもよいが、光L21,L22の強度は解像の信頼性を高める観点から等しいことが望ましい。
また、構造照明については、斜入射させる光L21,L22の相対的位相をシフトさせるだけでなく、試料面88aとなるべきステージ88自体を強弱パターンが繰り返されるx方向にシフトさせることによっても達成可能である。
以上の説明では、参照用の光L3による電場シフトに対応して光検出部60によって検出される光強度の増減から結像電場分布を正負の符号を含めて見積もっているが(図3(A)〜3(C)参照)、電場シフトに対応して光検出部60によって検出される光強度の増減量の程度から結像電場分布を正負の符号を含めて見積もることもできる。
DS…検出面、 IP…照明パターン、 L1…レーザ光、 L2,L21,L22…照明用の光、 L3…参照用の光、 L4…通常照明用の光、 LO1,LO2…散乱光、 OS…被検面、 10…コヒーレント光源、 20…構造照明部、 21…ビームスプリッタ、 22…可動ミラー、 24,25…斜照明ミラー、 28,38,48…シャッター、 30…参照光照射部、 31…可動ミラー、 33…ビームエキスパンダ、 34…レンズ、 40…基本光照射部、 41…ビームエキスパンダ、 42…波長板、 43…レンズ、 45…対物レンズ、 50…対物系、 51…ビームスプリッタ、 52…偏光板、 53…レンズ、 60…光検出部、 61…2次元光センサ、 80…演算処理部、 81…波長板、 82…偏光ビームスプリッタ、 83…ビームスプリッタ、 84…波長板、 85…偏光板、 88…ステージ、 88a…試料面、 90…制御部、 91…演算処理部、 100…顕微鏡

Claims (13)

  1. コヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光源から構造照明用の光を分岐して略対称的な一対の斜め方向から試料位置に照射する構造照明部と、
    前記試料位置から射出された散乱光の分布を対物レンズを介して検出する光検出部と、
    前記コヒーレント光源から参照用の光を分岐して前記光検出部の検出面に照射することによって一様な電場シフトを与える参照光照射部と、
    を備える顕微鏡。
  2. 前記参照光照射部は、前記構造照明部によって照明された前記試料位置から射出され前記光検出部の前記検出面に形成された散乱パターンに位相の異なる参照用の光を干渉させる、請求項1に記載の顕微鏡。
  3. 前記参照光照射部は、前記光検出部の前記検出面上の前記散乱パターンに重ねて初期位相状態の平面波と、前記初期位相状態とは異なる位相状態の平面波とを順次照射する、請求項2に記載の顕微鏡。
  4. 前記一様な電場シフトに対応して前記光検出部によって検出される光強度の増減から結像電場分布を正負の符号を含めて見積もる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  5. 前記構造照明部は、前記試料位置に形成される光の空間的な照明パターンとしての前記構造照明をシフトさせる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  6. 前記構造照明部は、前記一対の斜め方向から照射する光の位相を相対的にシフトさせる、請求項5に記載の顕微鏡。
  7. 前記構造照明部は、前記試料位置に一対の平面波を照射することによって構造照明を形成する、請求項6に記載の顕微鏡。
  8. 前記一対の斜め方向から照射する光は、強度が等しい、請求項5〜7のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  9. 前記コヒーレント光源から通常照明用の光を分岐して前記対物レンズ越しに前記試料位置に照射する基本光照射部をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  10. 前記基本光照射部は、前記構造照明部による構造照明がない状態で前記試料位置に平面波を照射する、請求項9に記載の顕微鏡。
  11. 前記構造照明部及び前記参照光照射部を動作させて前記光検出部によって検出した結像電場分布と、前記基本光照射部を動作させて前記光検出部によって検出した結像電場分布とに基いて、前記構造照明の空間周波数に対応させて空間周波数帯域を拡張した画像を再構成する演算処理部をさらに備える、請求項9及び10のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  12. コヒーレント光源からの光を分岐して略対称的な一対の斜め方向から試料位置に照射する構造照明部と、前記試料位置から射出された散乱光の分布を対物レンズを介して検出する光検出部と、前記コヒーレント光源から参照用の光を分岐して前記光検出部の検出面に照射する参照光照射部と、を備える顕微鏡を用いた顕微法であって、
    前記試料位置において一対の構造照明を照射して散乱光を取り出すとともに、前記光検出部の検出面で前記参照用の光を干渉させることによって一様な電場シフトを与え、結像電場分布に相当する信号を取得する工程と、
    前記一対の構造照明下で得た結像電場分布に相当する信号のフーリエ変換から拡張空間周波数情報を抽出し、逆フーリエ変換することによって、試料像を再構成する、顕微法。
  13. 前記顕微鏡は、前記コヒーレント光源から通常照明用の光を分岐して前記対物レンズ越しに前記試料位置に照射する基本光照射部をさらに備え、
    前記拡張空間周波数情報と、通常照明下で検出した信号のフーリエ変換から得た基本空間周波数情報とを合成し、逆フーリエ変換することによって、試料像を再構成する、請求項12に記載の顕微法。
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