JP2018179785A - 目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記クレッチマン配置型SPRセンサでは、透明基板上に金や銀、アルミニウムなどの金属を蒸着して金属薄膜層を形成し、前記透明基板の前記金属薄膜層を形成した面と反対側の面に光学プリズムを密着させた構造からなり、光源から照射されるレーザ光を偏光板にて偏光し、前記光学プリズムを介して前記透明基板に照射する。入射光は、全反射となる条件で入射する。前記入射光の前記金属薄膜層の表面側に染み出すエバネセント波によって、特定の入射角度で表面プラズモン共鳴が発現する。前記表面プラズモン共鳴が起こると、前記エバネセント波は表面プラズモンによって吸収されるので、この入射角付近では反射光の強度が著しく減少する。前記表面プラズモン共鳴が発現する条件は、前記金属薄膜層表面近傍の誘電率によって変化することから、前記金属薄膜層の表面において物質の吸着や接近、離脱、変質が生じると、反射光の強度に変化が現れる。よって、前記金属薄膜層の表面上に目的物質が結合したり吸着して誘電率に変化が生じると、前記入射光の反射特性に変化が生じるため、前記金属薄膜層から反射される反射光の強度変化を光検出器によりモニターすることによって、前記目的物質を検出することができる。
クレッチマン配置と類似の配置を用いた導波モードセンサでは、透明基板と、その上に被覆した金属層又は半導体層で構成される薄膜層と、更にこの薄膜層上に形成される誘電体層とからなる検出板を用いる。前記検出板の前記誘電体層が形成されている面とは反対側の面に屈折率調節オイルを介して光学プリズムが密着される。光源から照射され、偏光板にて偏光された入射光は、前記光学プリズムを介して前記検出板に照射される。前記入射光は、前記検出板に対して全反射となる条件で入射する。特定の入射角度において、前記入射光が前記誘電体層内を伝搬する導波モード(漏洩モード、又はリーキーモードとも呼ばれる)と結合すると、前記導波モードが励起され、この入射角近傍で光の反射光強度が大きく変化する。このような導波モードの励起条件は、前記誘電体層の表面近傍における誘電率によって変化することから、前記誘電体層の表面において目的物質の吸着や接近、離脱、変質が生じると、反射光の強度に変化が現れる。この変化を光検出器により観測することにより、前記目的物質の吸着や接近、離脱、変質といった現象を検出することができる。
前記SPRセンサや前記導波モードセンサには、前記検出面に光散乱物質(例えばポリスチレンビーズや金ナノ粒子などの散乱体で構成されたナノ粒子)を付着又は近接させると、前記光散乱物質の散乱光を増強する効果もある。即ち、前記検出板の一の面に対して全反射条件で光を照射すると他の面上に増強電場が形成され、前記増強電場によって前記光散乱物質から強い散乱光を生じさせることができるため、輝度の高い散乱光観察を行うことができる(例えば、非特許文献20参照)。
光の全反射によって電場増強を生じさせ、増強電場を得る方法としては、様々な方法が提案され、本発明者は、シリカガラス基板上にシリコン層とSiO2層をこの順で積層した検出板をシリカガラス製の台形プリズム上に設置して、プリズムを介して検出板表面における全反射条件で光を照射し、増強電場を得る方法を提案している(非特許文献21参照)。
しかしながら、このマルチチャンネル型の検出プレートの提案では、前記検出チップの表面近傍に液体試料を導入するため、前記検出チップを収容する凹状の収容部や前記液体試料を前記検出チップに送液する流路などの前記増強電場の形成に直接関与しない構造を作製する必要がある。
そのため、現在では、部品点数を減らして、より小型で低コストに製造可能な新たな検出チップの開発が求められている状況にある。
<1> 光透過性基板と、前記光透過性基板上に形成され、一の面から全反射条件で光が照射されたときに表面プラズモン共鳴及び導波モードが励起可能とされる電場増強層と、前記光透過性基板の前記電場増強層が形成される面及び前記電場増強層の他の面のいずれかの面上に複数形成され、前記他の面上から視たときに前記電場増強層を取り囲む閉鎖図形で描画される形状の閉鎖撥水部と、が配されることを特徴とする目的物質検出チップ。
<2> 閉鎖図形が多角形状であり、隣接する閉鎖撥水部同士が前記多角形状の一辺を共有するように形成される前記<1>に記載の目的物質検出チップ。
<3> 閉鎖図形が正三角形、二等辺三角形、直角三角形、菱形、平行四辺形、長方形、正四角形、正六角形及び正八角形のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
<4> 複数の電場増強層が前記光透過性基板上に点在して形成されるとともに、閉鎖撥水部が前記光透過性基板の前記電場増強層が形成される面上に形成され、かつ、前記閉鎖撥水部の閉鎖図形内に1つの前記電場増強層が前記閉鎖図形の描線と離間して形成される前記<1>から<3>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
<5> 閉鎖図形の最大径が大きくとも5mmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の目的物質検出チップと、前記目的物質検出チップの閉鎖撥水部が形成される側の面を表面として裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射可能とされる光照射部と、前記目的物質検出チップの前記裏面側に配され、前記電場増強層から反射される反射光を検出可能とされる反射光検出部と、が配されることを特徴とする目的物質検出装置。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の目的物質検出チップと、前記目的物質検出チップの閉鎖撥水部が形成される側の面を表面として裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射可能とされる光照射部と、前記目的物質検出チップの前記表面側に配され、前記光の照射に基づき前記閉鎖撥水部内に保持される液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質から発せられる蛍光又は散乱光を検出可能とされる光検出部と、が配されることを特徴とする目的物質検出装置。
<8> 前記<1>から<5>に記載の目的物質検出チップを用いて目的物質を検出する目的物質検出方法であって、目的物質検出チップの閉鎖撥水部内に液体試料を導入する液体試料導入工程と、前記目的物質検出チップの裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射する光照射工程と、前記電場増強層から反射される反射光を検出する反射光検出工程と、を含むことを特徴とする目的物質検出方法。
<9> 前記<1>から<5>に記載の目的物質検出チップを用いて目的物質を検出する目的物質検出方法であって、目的物質検出チップの閉鎖撥水部内に液体試料を導入する液体試料導入工程と、前記目的物質検出チップの裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射する光照射工程と、前記光の照射に基づき前記液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質から発せられる蛍光又は散乱光を検出する光検出工程と、を含むことを特徴とする目的物質検出方法。
本発明の目的物質検出チップは、光透過性基板と電場増強層と閉鎖撥水部とが配されて構成される。
前記光透過性基板は、前記電場増強層を支持するとともに前記電場増強層に照射される光を透過させる部材である。
前記光透過性基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板やプラスチック基板等の公知の光透過性基板を用いることができる。
なお、本明細書において、「光透過性」とは、可視光透過率が0.5%以上であることを示す。
前記電場増強層は、一の面から全反射条件で光が照射されたときに表面プラズモン共鳴及び導波モードのいずれかが励起可能とされる層である。
前記電場増強層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の表面プラズモン励起層及び導波モード励起層を適用することができる。
前記金属層では、前記一の面に照射される前記光によって前記他の面上に表面プラズモン共鳴が励起され、前記他の面上に前記増強電場が得られる。
前記金属層の厚みとしては、構成材料及び照射する光の波長によって最適値が決定されるが、この値は、フレネルの式を用いた計算から算出可能であることが知られている。一般に、近紫外から近赤外域で前記表面プラズモン共鳴を励起させる場合、前記金属層の厚みは、数nm〜数十nmとなる。
そのため、密着性を向上させる観点から、前記光透過性基板の面上にニッケルやクロムを形成材料とする接着層を形成し、この接着層上に前記金属層を形成することが好ましい。
この場合、前記目的物質及び前記蛍光物質を前記金属層の表面から離間させる目的で、前記金属層の表面上に被覆層を形成すると、前記クエンチングが抑制され、発光効率の低下を抑制することができる。
前記被覆層としては、特に制限はなく、シリカガラス等のガラス材料、有機高分子材料等で形成される厚みが数nm〜数十nmの透明な層により形成することができる。
前記導波モード励起層では、前記一の面に照射される前記光によって前記誘電体層内に前記導波モードが励起され、前記他の面上に前記増強電場が得られる。
なお、前記導波モード励起層では、前記薄膜層が前記一の面側の層を構成し、前記誘電体層が前記他の面側を構成する。
また、前記半導体材料としては、特に制限はなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の半導体材料又は既知の化合物半導体材料が挙げられるが、中でも、安価で加工が容易なシリコンが好ましい。
前記薄膜層の厚みとしては、前記表面プラズモン励起層と同様で、構成材料及び照射する光の波長によって最適値が決定されるとともに、この値は、フレネルの式を用いた計算から算出可能であることが知られている。一般に、近紫外から近赤外域の波長帯の光を使用する場合、前記薄膜層の厚みは、数nm〜数百nmとなる。
なお、前記薄膜層及び前記誘電体層の形成方法としては、材料に応じて公知の形成方法から適宜選択することができる。
前記閉鎖撥水部は、前記光透過性基板の前記電場増強層が形成される面及び前記電場増強層の前記他の面のいずれかの面上に複数形成され、前記他の面上から視たときに前記電場増強層を取り囲む閉鎖図形で描画される形状とされる。
前者の場合、前記光透過性基板上に前記閉鎖撥水部を形成し、前記閉鎖撥水部の前記閉鎖図形内に前記電場増強層を形成することで構成することができる。形成する順番としては特に制限はなく、前記閉鎖撥水部を形成した後に前記電場増強層を形成してもよいし、前記電場増強層を形成した後に前記閉鎖撥水部を形成してもよい。
また、後者の場合、前記光透過性基板上に前記電場増強層を形成した後に前記電場増強層上に閉鎖撥水部を形成することで構成することができる。
前記撥水性インク中の前記各界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、0.5質量%〜20質量%程度である。
また、前記フッ素系界面活性剤としても、特に制限はなく、公知のものから適宜選択して用いることができ、例えば、パーフルオロアルキル基を持つモノマーと、各種反応性基を持つモノマーを反応させた、パーフルオロアルキル基を側鎖に持つポリマー、オリゴマーが挙げられる。
前記高分子化合物としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、塩素化ゴム、石油樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
例えば、前記撥水性インクの粘度を、1Pa・s〜20Pa・s程度に調製し、前記グラビア印刷方式を採用すると、前記パターン精度が20μm±5μm、膜厚が1.5μm〜2.5μm程度のパターン化された層を得ることができる。
前記閉鎖図形が前記多角形状であると、隣接する前記閉鎖撥水部同士が前記多角形状の一辺を共有するように形成され、限られた領域に多くの前記閉鎖撥水部を形成することができ、必要なチャンネル数を確保しつつ、小型化を図ることができる。
更に、前記多角形状が正三角形、二等辺三角形、直角三角形、菱形、平行四辺形、長方形、正四角形、正六角形及び正八角形のいずれかであると、限られた領域に複数の前記閉鎖撥水部を密に並べて配することができ、より一層多くの前記閉鎖撥水部を形成することができる。
なお、前記多角形状とは、最も大きな内角が180°未満であり、かつ、短くとも長さ1μmの直線を結んで描画される形状を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る前記目的物質検出チップの概略構成を示す断面図である。また、図2は、図1に示す前記目的物質検出チップの一部を前記電場増強層3の前記他の面上から拡大して視たときの様子を示す説明図である。
また、目的物質検出チップ1では、複数の電場増強層3が光透過性基板2上に点在して形成されるとともに、閉鎖撥水部4が光透過性基板2の電場増強層3が形成される面上に形成され、かつ、閉鎖撥水部4の前記閉鎖図形内に1つの電場増強層3が前記閉鎖図形の描線と離間して形成される。
したがって、目的物質検出チップ1では、限られた領域に複数の閉鎖撥水部4を密に並べて配することで、多くの閉鎖撥水部4が形成される。
また、閉鎖撥水部4の前記閉鎖図形内に1つの電場増強層3が前記閉鎖図形の描線と離間して形成されるように、電場増強層3としては、前記閉鎖図形の中心位置に配され、かつ、最大径L2がL1未満となるように形成されることが好ましい。
目的物質検出チップ1の閉鎖撥水部4内に液体試料5を滴下して導入すると、図3に示すように、閉鎖撥水部4の撥水性により液体試料5が閉鎖撥水部4内に保持される。
したがって、目的物質検出チップ1は、複数の閉鎖撥水部4により種類の異なる液体試料5を同時に保持し、それぞれの液体試料5を独立して観察可能なマルチチャンネル型の検出チップとされる。
本発明の前記目的物質検出チップとしては、前記電場増強層からの反射光を検出する目的物質検出装置及び前記目的物質検出チップ上に保持される前記液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質からの蛍光又は散乱光を検出する目的物質検出装置のいずれに対しても適用することができる。
本発明の第1の目的物質検出装置は、前者の態様として、本発明の前記目的物質検出チップと光照射部と反射光検出部とが配されて構成される。
本発明の第2の目的物質検出装置は、後者の態様として、本発明の前記目的物質検出チップと光照射部と光検出部とが配されて構成される。
先ず、本発明の第1の目的物質検出装置について説明する。
前記光照射部は、前記目的物質検出チップの前記閉鎖撥水部が形成される側の面を前記表面として前記裏面側から前記電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射可能とされる。
前記光照射部の光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のランプ、LED、レーザ等が挙げられる。
前記反射光検出部は、前記目的物質検出チップの前記裏面側に配され、前記電場増強層から反射される反射光を検出可能とされる。
前記反射光検出部としては、特に制限はなく、サーモパイルセンサ、ダイオードセンサ、CMOSセンサ、CCDセンサ等の公知の光検出装置を用いて構成することができ、CMOSセンサ、CCDセンサ等のイメージセンサを用いると、複数の閉鎖撥水部4を同時に観測することができ、好ましい。
ここで、前記光照射部からの光入射角を調整すると、特定の入射角度θにおいて前記エバネセント光が前記表面プラズモンに吸収される表面プラズモン共鳴が発現し、前記電場増強層からの反射光強度が著しく減少する。前記反射光強度は、前記反射光検出部により入射角ごとに検出される。
この入射角度θは、前記表面近傍における誘電率の変化に応じてシフト変化するため、入射角度θのシフト変化を通じて、前記表面上に保持される前記液体試料中の前記目的物質を検出することができる。
また、入射角度θを表面プラズモン共鳴が発現する角度付近に固定した状態で、前記反射光強度を前記反射光検出部にて観測すると、前記表面近傍における誘電率の変化に応じて前記反射光強度に変化が生じ、明暗の変化が観測される。よって、この明暗の変化を通じて、前記表面上に保持される前記液体試料中の前記目的物質を検出することもできる。
このとき、前記目的物質の吸着等を、単色光入射時の特定の入射角度θにおける急激な前記反射光強度の減少等を前記反射光検出部で捉えることで、前記表面上に保持される前記液体試料中の前記目的物質を検出することができる。
また、入射角度θを導波モードが励起される角度付近に固定した状態で、前記反射光強度を前記反射光検出部にて観測すると、前記表面近傍における誘電率の変化に応じて前記反射光強度に変化が生じ、明暗の変化が観測される。よって、この明暗の変化を通じて、前記表面上に保持される前記液体試料中の前記目的物質を検出することもできる。
前記光検出部は、前記目的物質検出チップの前記表面側に配され、前記光の照射に基づき前記閉鎖撥水部内に保持される前記液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質から発せられる蛍光又は散乱光を検出可能とされる。
前記光検出部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のフォトダイオード、光電子増倍管等の光検出器を用いることができる。
光信号の情報を2次元画像情報として取得することができると、複数の閉鎖撥水部4を同時に観測することができ、さらに光点として現れる2次元画像情報における光信号の位置情報や、2次元上で観察されるサイズ情報、光点における光信号強度の増減情報を時系列で観察することができる。このような2次元画像情報の取得を可能とするには、前記光検出部として撮像デバイスを選択すればよい。
前記撮像デバイスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等のイメージセンサを用いることができる。
前記標識物質としては、特に制限はなく、前記目的物質と特異的に吸着ないし結合して前記目的物質を標識化する蛍光標識物質や光散乱物質が挙げられる。
前記蛍光標識物質としては、例えば、蛍光色素、量子ドット、蛍光染色剤等の公知の蛍光物質を用いることができる。
また、前記光散乱物質としては、例えば、ナノ粒子、例えばポリスチレンビーズや金ナノ粒子などの公知の光散乱物質を用いることができる。
なお、前記目的物質と前記標識物質との結合方法としては、特に制限はなく、物理吸着、抗原−抗体反応、DNAハイブリダイゼーション、ビオチン−アビジン結合、キレート結合、アミノ結合などの公知の結合方法を適用することができる。
そのため、短時間での測定を行う場合、前記液体試料に前記目的物質と結合する磁性粒子を加えて結合体を形成させ、前記液体試料中を浮遊する前記結合体を前記目的物質検出チップの前記表面に引き寄せる磁場を印加することが有効となる。
したがって、前記第2の目的物質検出装置としては、更に、このような磁場を印加可能な磁場印加部が配されることが好ましい。具体的には、前記目的物質検出チップの前記裏面側に前記結合体を前記目的物質検出チップの前記表面に引き寄せる磁場を印加可能な磁場印加部が配されることが好ましい。
こうしたことから前記光検出部を用いて、前記目的物質に前記磁性粒子を結合させた結合体の様子を磁場印加部による磁場の印加前後で比較観察することで、前記磁場印加前における光信号に含まれるノイズ信号を排除した観察を行うことが有効となる。
即ち、前記結合体が前記磁場の印加により移動するのに対し、前記目的物質検出チップ表面のキズ等を原因とする前記ノイズ信号は、前記磁場の印加により移動しないことから、前記磁場の印加により移動する光信号に着目した検出を行うことで、前記ノイズ信号を排除することができる。
したがって、前記第2の目的物質検出装置としては、更に、このような磁場を印加可能な磁場印加部が配されることが好ましい。具体的には、前記目的物質検出チップの前記表面上に保持される前記液体試料に含まれる前記結合体を前記表面に平行な方向又は前記表面から遠ざける方向に移動させる第1磁場を印加可能とされる第1磁場印加部及び前記目的物質検出チップの前記裏面側に配されるとともに前記表面上に保持される前記液体試料中の前記結合体を前記表面上に引き寄せる第2磁場を印加可能とされるとともに前記第2磁場を印加させた状態で前記磁性粒子を前記表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動可能とされる第2磁場印加部のいずれかの磁場印加部が配されることが好ましい。中でも、短時間での測定を目的とした前記引き寄せ磁場を印加可能であることから、前記第2磁場印加部を配することが特に好ましい。
また、前記磁性粒子としては、特に制限はなく、公知の磁気ビーズ等を用いることができる。
本発明の前記目的物質検出チップとしては、前記電場増強層からの反射光を検出する目的物質検出方法及び前記目的物質検出チップ上に保持される前記液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質からの蛍光又は散乱光を検出する目的物質検出方法のいずれに対しても適用することができる。
本発明の第1の目的物質検出方法は、前者の態様として、本発明の前記目的物質検出チップの前記閉鎖撥水部内に前記液体試料を導入する液体試料導入工程と、前記目的物質検出チップの前記裏面側から前記増強電場層に対し全反射条件で光を照射する光照射工程と、前記電場増強層から反射される反射光検出工程とを含む。
本発明の第2の目的物質検出方法は、後者の態様として、本発明の前記目的物質検出チップの前記閉鎖撥水部内に前記液体試料を導入する液体試料導入工程と、前記目的物質検出チップの前記裏面側から前記増強電場層に対し全反射条件で光を照射する光照射工程と、前記光の照射に基づき前記液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質から発せられる蛍光又は散乱光を検出する光検出工程とを含む。
また、前記第2の目的物質検出方法としては、前記第2の目的物質検出装置について説明した事項により実施することができる。
光照射部11は、目的物質検出チップ1の閉鎖撥水部4が形成される側の面を表面として裏面側から前記電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射可能とされる。
反射光検出部13は、目的物質検出チップ1の前記裏面側に配され、前記電場増強層から反射される反射光を検出可能とされる。
次に、目的物質の検証を行う液体試料を閉鎖撥水部4に導入する。この際、複数の閉鎖撥水部4に対して、種類の異なる前記液体試料を導入し、保持させることで、マルチチャンネル化された前記目的物質の検出を行うことができる。光照射部11からの光が、複数の閉鎖撥水部4に同時に照射されるように光Lを照射し、イメージセンサなどの撮像デバイスによって、前記複数の閉鎖撥水部4からの反射光画像を取得して明暗を観測することで、それぞれの閉鎖撥水部4における前記目的物質の検出と、その量の判定を一度に行うことができる。
予め前記目的物質が存在しない場合には反射光が強く、前記目的物質が存在し前記目的物質が前記電場増強層表面に吸着すると反射光強度が弱くなるように設定した場合、反射光強度の減衰具合によって前記目的物質の検出と、その量の判定を行うことができる。
反対に、予め前記目的物質が存在しない場合には反射光が弱く、前記目的物質が存在し前記目的物質が前記電場増強層表面に吸着すると反射光強度が強くなるように設定した場合、反射光強度の増加具合によって前記目的物質の検出と、その量の判定を行うことができる。
光照射部21は、光照射部11に準じて構成される。
光検出部23は、目的物質検出チップ1の前記表面側に配され、光Lの照射に基づき閉鎖撥水部4内に保持される液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質から発せられる蛍光又は散乱光を検出可能とされ、撮像デバイス等で構成される。
次に、光照射部21から複数の閉鎖撥水部4における前記電場増強層に対し全反射条件で光Lを照射し、目的物質検出チップ1の前記表面近傍に前記増強電場を形成させる。
次に、前記増強電場により強められた光を励起光として、前記目的物質又は前記目的物質に結合して標識化する蛍光物質や光散乱物質などの標識物質から発せされる光の光信号Sを光検出部22で検出して、前記目的物質を検出する。
目的物質検出装置30では、磁場印加部34が配される点で目的物質検出装置20と異なり、光照射部31、光学プリズム32及び光検出部33は、目的物質検出装置20における光照射部21、光学プリズム22及び光検出部23と同様に構成することができる。以下では、磁場印加部34に着目した説明を行う。
閉鎖撥水部4に保持される前記液体試料は、前記目的物質と結合体を構成する前記磁性粒子が添加されて調製される。
このような磁場印加部34が配される目的物質検出装置30では、前記液体試料中を浮遊する前記結合体の重力沈降を待つことなく、磁場印加部34による磁場の印加によって前記結合体を目的物質検出チップ1の前記表面に引き寄せることができ、短時間での測定が可能とされる。
また、磁場印加部34の前記スライド移動に伴う前記結合体の移動の様子を前記スライド移動の前後で比較観察することで、前記磁場印加前における光信号に含まれるノイズ信号を排除した観察を行うことができる。
即ち、前記結合体が前記スライド移動により移動するのに対し、前記目的物質検出チップ表面のキズ等を原因とする前記ノイズ信号は、前記スライド移動により移動しないことから、前記スライド移動に伴って移動する光信号に着目した検出を行うことで、前記ノイズ信号を排除することができる。
2 光透過性基板
3 電場増強層
4 閉鎖撥水部
5 液体試料
10,20,30 目的物質検出装置
11,21,31 光照射部
12,22,32 光学プリズム
13 反射光検出部
23,33 光検出部
34 磁場印加部
Claims (9)
- 光透過性基板と、
前記光透過性基板上に形成され、一の面から全反射条件で光が照射されたときに表面プラズモン共鳴及び導波モードが励起可能とされる電場増強層と、
前記光透過性基板の前記電場増強層が形成される面及び前記電場増強層の他の面のいずれかの面上に複数形成され、前記他の面上から視たときに前記電場増強層を取り囲む閉鎖図形で描画される形状の閉鎖撥水部と、
が配されることを特徴とする目的物質検出チップ。 - 閉鎖図形が多角形状であり、隣接する閉鎖撥水部同士が前記多角形状の一辺を共有するように形成される請求項1に記載の目的物質検出チップ。
- 閉鎖図形が正三角形、二等辺三角形、直角三角形、菱形、平行四辺形、長方形、正四角形、正六角形及び正八角形のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
- 複数の電場増強層が前記光透過性基板上に点在して形成されるとともに、閉鎖撥水部が前記光透過性基板の前記電場増強層が形成される面上に形成され、かつ、前記閉鎖撥水部の閉鎖図形内に1つの前記電場増強層が前記閉鎖図形の描線と離間して形成される請求項1から3のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
- 閉鎖図形の最大径が大きくとも5mmである請求項1から4のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の目的物質検出チップと、
前記目的物質検出チップの閉鎖撥水部が形成される側の面を表面として裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射可能とされる光照射部と、
前記目的物質検出チップの前記裏面側に配され、前記電場増強層から反射される反射光を検出可能とされる反射光検出部と、
が配されることを特徴とする目的物質検出装置。 - 請求項1から5のいずれかに記載の目的物質検出チップと、
前記目的物質検出チップの閉鎖撥水部が形成される側の面を表面として裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射可能とされる光照射部と、
前記目的物質検出チップの前記表面側に配され、前記光の照射に基づき前記閉鎖撥水部内に保持される液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質から発せられる蛍光又は散乱光を検出可能とされる光検出部と、
が配されることを特徴とする目的物質検出装置。 - 請求項1から5に記載の目的物質検出チップを用いて目的物質を検出する目的物質検出方法であって、
目的物質検出チップの閉鎖撥水部内に液体試料を導入する液体試料導入工程と、
前記目的物質検出チップの裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射する光照射工程と、
前記電場増強層から反射される反射光を検出する反射光検出工程と、
を含むことを特徴とする目的物質検出方法。 - 請求項1から5に記載の目的物質検出チップを用いて目的物質を検出する目的物質検出方法であって、
目的物質検出チップの閉鎖撥水部内に液体試料を導入する液体試料導入工程と、
前記目的物質検出チップの裏面側から電場増強層の一の面に全反射条件で光を照射する光照射工程と、
前記光の照射に基づき前記液体試料に含まれる目的物質又は前記目的物質に結合した標識物質から発せられる蛍光又は散乱光を検出する光検出工程と、
を含むことを特徴とする目的物質検出方法。
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