図1は、本発明の一の実施の形態に係るハニカム構造体1を簡略化して示す図である。ハニカム構造体1は、一方向に長い筒状部材であり、図1では、ハニカム構造体1の長手方向における一方側の端面を示している。図2は、ハニカム構造体1を示す断面図であり、図2では、当該長手方向に沿う断面の一部を示している。ハニカム構造体1は、例えばDPF等のフィルタに用いられる。ハニカム構造体1は、フィルタ以外の他の用途に用いられてもよい。
ハニカム構造体1は、筒状外壁111と、隔壁112とを備える。筒状外壁111および隔壁112は、後述の多孔質材料により形成される。筒状外壁111は、長手方向に延びる筒状である。長手方向に垂直な筒状外壁111の断面形状は、例えば円形であり、多角形等であってもよい。隔壁112は、筒状外壁111の内部に設けられ、当該内部を複数のセル113に仕切る。隔壁112の厚さは、例えば、30μm(マイクロメートル)以上であり、好ましくは50μm以上である。隔壁112の厚さは、例えば1000μm以下であり、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは350μm以下である。
各セル113は、長手方向に延びる空間である。長手方向に垂直なセル113の断面形状は、例えば多角形(三角形、四角形、五角形、六角形等)であり、円形等であってもよい。複数のセル113は、原則として同じ断面形状を有する。複数のセル113には、異なる断面形状のセル113が含まれてもよい。セル密度は、例えば10セル/cm2(平方センチメートル)以上であり、好ましくは20セル/cm2以上であり、より好ましくは50セル/cm2以上である。セル密度は、例えば200セル/cm2以下であり、好ましくは150セル/cm2以下である。
ハニカム構造体1がDPFとして用いられる場合には、長手方向におけるハニカム構造体1の一端側を入口とし、他端側を出口として所定のガスが流れる。また、所定数のセル113において、入口側の端部に封止部114が設けられ、残りのセル113において、出口側の端部に封止部114が設けられる。したがって、ハニカム構造体1内に流入するガスは、入口側が封止されないセル113から、隔壁112を通過して、出口側が封止されないセル113へと移動する(図2中の矢印A1参照)。このとき、隔壁112においてガス中の粒子が効率よく捕集される。ハニカム構造体1の入口側の端部、および、出口側の端部のそれぞれでは、セル113の配列方向に沿って1つ置きに封止部114が設けられることが好ましい。ハニカム構造体1では、触媒が必要に応じて担持される。
図3は、ハニカム構造体1を形成する多孔質材料2の構造を示す図である。多孔質材料2は、多孔質の焼結体であり、骨材粒子3と、結合材4とを備える。結合材4は、細孔21を形成した状態で骨材粒子3間を結合する。結合材4は、コージェライト41と、ジルコン(ZrSiO4)粒子42とを含む。多孔質材料2において、骨材粒子3以外の物質は、原則として結合材4に含まれるものとする。
骨材粒子3は、粒子本体を含む。典型的には、粒子本体は、一種類の物質から構成される。粒子本体は、例えば、炭化珪素(SiC)の粒子である。当該粒子本体を構成する物質は、炭化珪素以外に、窒化珪素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、ムライト(Al6Si2O13)、アルミナ(Al2O3)、アルミニウムチタネート(Al2TiO5)、マグネシウムチタネート(MgTi2O5)、または、ジルコン等であってもよい。本実施の形態では、骨材粒子3の粒子本体は、ジルコン以外の物質により形成される。例えば、骨材粒子3の粒子本体は、多孔質材料2を構成する物質において、最も量が多い物質の粒子である。粒子本体に非酸化物を用いた場合、骨材粒子3は、粒子本体の表面または周囲に設けられる酸化膜を含んでもよい。好ましくは、各骨材粒子3は、粒子本体から構成される、または、粒子本体および酸化膜から構成される。ここで酸化膜とは、非酸化物を粒子本体に用いた際、酸化性雰囲気における熱処理を経て形成された、粒子本体表面の酸化物層を示す。骨材粒子3の粒子本体をSiC粒子またはSi3N4粒子とした場合、骨材粒子3は、上記酸化膜を含むことが好ましい。さらに、酸化膜としてはクリストバライト相を含有することが好ましく、SiO2を含有することが好ましい。粒子本体の周囲に酸化膜が設けられることにより、例えば、多孔質材料2を自動車排ガス浄化触媒担体として用いた場合、優れた耐酸化性が得られる。骨材粒子3および結合材4の合計質量に占める骨材粒子3の質量の比率は、50質量%以上である。換言すると、骨材粒子3および結合材4の合計質量に占める結合材4の質量の比率は、50質量%以下である。
ここで、多孔質材料2における、各構成結晶相(骨材粒子3、コージェライト41およびジルコン粒子42)の質量の比率は、例えば、簡易定量分析により算出することが可能である。簡易定量分析では、「RIR(Reference Intensity Ratio)法を用いて、X線回折データを解析することにより、各成分が定量される。X線回折データの解析には、例えば、MDI社製の「X線データ解析ソフトJADE7」が用いられる。X線回折分析に用いるX線回折装置としては、回転対陰極型X線回折装置(理学電機社製、RINT)を挙げることができる。
ハニカム構造体1に用いられる多孔質材料2では、高い気孔率(ここでは、開気孔率)、および、高い機械的強度が求められる。多孔質材料2において高気孔率を容易に実現するには、骨材粒子3の平均粒径は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。多孔質材料2において過度に大きい細孔21が多く存在することを避けるには、骨材粒子3の平均粒径は、100μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。典型的には、骨材粒子3の平均粒径は、結合材4におけるジルコン粒子42の平均粒径よりも大きい。骨材粒子3の平均粒径は、例えば、ジルコン粒子42の平均粒径の1.5倍以上であり、40倍以下である。平均粒径はレーザー回折法で測定可能である(以下同様)。
骨材粒子3および結合材4の合計質量に占める結合材4の質量の比率は、好ましくは8質量%以上、かつ、40質量%以下である。多孔質材料2における結合材4の比率が、8質量%以上であることにより、多孔質材料2においてある程度の機械的強度が確保される。本明細書では、機械的強度は、曲げ強度を意味する。多孔質材料2の機械的強度をさらに向上するには、多孔質材料2における結合材4の比率が10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。多孔質材料2における結合材4の比率が40質量%を超えると、多孔質材料2において高気孔率を実現するための困難性が増大する。多孔質材料2において高気孔率を容易に実現するには、多孔質材料2における結合材4の比率が30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
結合材4では、コージェライト41中に、ジルコン粒子42が含まれる。ジルコン粒子42は、コージェライト41中において分散した状態で存在する。ジルコン粒子42とコージェライト41とは互いに結合する。典型的には、各ジルコン粒子42は、その周囲がコージェライト41に囲まれた状態で存在している。例えば、結合材4においてき裂が生じた場合には、ジルコン粒子42によりき裂の進行が妨げられる。これにより、多孔質材料2の機械的強度が向上する。ジルコン粒子42は、多孔質材料2の機械的強度を向上する強化粒子として捉えることも可能である。また、ジルコン粒子42の熱膨張係数は、コージェライト41の熱膨張係数に近似する。これにより、温度変化によるコージェライト41とジルコン粒子42との界面におけるき裂の発生が抑制される。き裂の進行およびき裂の発生の抑制により、多孔質材料2では、耐熱衝撃性も向上する。
ここで、国際公開第WO2013/146953号(上記特許文献3)に記載の多孔質材料では、結合材においてムライト粒子が分散されている。一方、図3の多孔質材料2において結合材4に含まれるジルコン粒子42は、ムライト粒子よりも機械的強度が高い。したがって、多孔質材料2の機械的強度を、ムライト粒子を含む多孔質材料よりも高くすることが容易に実現される。また、ジルコン粒子42とコージェライト41との間における熱膨張係数の差は、ムライト粒子とコージェライトとの間における熱膨張係数の差よりも小さい。したがって、図3の多孔質材料2では、ムライト粒子を含む多孔質材料と比較して、温度変化によるき裂の発生も抑制される。
結合材4の質量に占めるジルコン粒子42の質量の比率は、好ましくは1質量%以上、かつ、50質量%以下である。結合材4におけるジルコン粒子42の比率が、1質量%以上であることにより、多孔質材料2においてある程度の機械的強度が確保される。多孔質材料2の機械的強度をさらに向上するには、結合材4におけるジルコン粒子42の比率が3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。結合材4におけるジルコン粒子42の比率が50質量%を超えると、骨材粒子3間の結合性に影響を与えるコージェライト41が少なくなり、多孔質材料2の機械的強度が低下する可能性がある。多孔質材料2においてある程度の機械的強度をより確実に確保するには、結合材4におけるジルコン粒子42の比率は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。多孔質材料2の一例では、結合材4におけるジルコン粒子42の比率が、30質量%以下である。
また、ジルコン粒子42の長径が、1.0μm以上であることが好ましい。ここで、ジルコン粒子42の長径は、多孔質材料2の任意の断面におけるジルコン粒子42の最大長さの平均値であり、ジルコン粒子42のサイズの指標と捉えられる。ジルコン粒子42の長径が、1.0μm以上であることにより、多孔質材料2の機械的強度をより確実に向上することができる。多孔質材料2の機械的強度をさらに向上するには、ジルコン粒子42の長径が、2.0μm以上であることが好ましく、2.5μm以上であることがより好ましい。ジルコン粒子42の長径は、10.0μm以下であることが好ましく、6.0μm以下であることがより好ましい。ジルコン粒子42の長径が、10.0μmより大きくなると粗大欠陥となり強度が低下する可能性がある。ジルコン粒子42の長径の測定では、例えば、鏡面研磨した多孔質材料2の断面が、走査型電子顕微鏡(SEM)により6000倍の倍率で撮影される。そして、得られた写真において各ジルコン粒子42の最大長さが求められ、複数のジルコン粒子42における最大長さの平均値(または中央値)がジルコン粒子42の長径として取得される。
結合材4では、結晶質成分および非晶質成分が含まれてよい。結合材4における結晶質成分は、50質量%よりも大きいことが好ましい。すなわち、結合材4における非晶質成分は、50質量%未満であることが好ましい。結合材4中の非晶質成分は、X線回折データを解析して定量することができる。具体的には、「六方晶コージェライトの(100)面の回折ピーク高さに対し、2θが20°〜30°の範囲におけるバックグラウンドの最大高さが25%である」ときの非晶質量を、結合材4の全体に対して50質量%であるものとする。そして、「六方晶コージェライトの(100)面の回折ピーク高さに対し、2θが20°〜30°の範囲におけるバックグラウンドの最大高さが2.8%である」ときの非晶質量を、結合材4の全体に対して0質量%であるものとする。そして、サンプルの測定結果を上記関係(検量線)に当てはめて結合材4中の非晶質量を求める。測定は、多孔質材料2を粉砕した粉末を測定試料とし、回転対陰極型X線回折装置(理学電気社製、RINT)を用いて行うことができる。
多孔質材料2の典型例では、骨材粒子3と結合材4と細孔21の交わる三相界面の表面が“滑らかに結合した”状態で形成されている。ここで、三相界面の表面が“滑らかに結合している”とは、骨材粒子3の間を結合する結合材4が、一方の骨材粒子3と結合材4と細孔21の交わる三相界面付近から、滑らかに、或いは、緩やかな曲線状(または曲面状)に変化しながら他方の骨材粒子3の方向に向かって伸びて形成されているものである。なお、図3では、多孔質材料2を概略的に図示しており、三相界面の表面が“滑らかに結合した”状態は明確ではない。
本実施形態の多孔質材料2において、“三相界面”とは、厳密に言えば、骨材粒子3と結合材4と細孔21とが交わる箇所に限定されるものの、本明細書において、骨材粒子3の表面が結合材4によって薄く覆われ、骨材粒子3の表面と細孔21とが近接した状態のものも含むものとする。
本実施形態の多孔質材料2の場合、骨材粒子3を固体、高温の焼成時の結合材4の少なくとも一部が液体の状態となると仮定すると、固体の骨材粒子3の表面(固相表面)に対し、液体の結合材4は接触角が小さな状態で付着し、係る状態を保ったままで焼成を完了し、冷却されることで、上記のような微構造とすることができる。
これにより、骨材粒子3の一部(若しくは大部分)が結合材4によって被覆された状態となる。その結果、骨材粒子3の角張ったエッジ部分が当該結合材4に被覆されることで、全体として幾分丸みを帯びた形状となる。更に、これらの骨材粒子3及び結合材4が接する細孔21のエッジ形状も曲線的なものとなる。このように、特に骨材粒子3、結合材4、及び細孔21の交わる三相界面で曲線部分を多く含んだ状態の構造を、本明細書中において、“滑らかに結合”した状態として表現するものとする。
図4は、比較例の多孔質材料10の構造を模式的に示す図である。比較例の多孔質材料10では、結合材12がジルコニウム成分(ジルコン粒子)を含まない点で、図3の多孔質材料2と相違する。比較例の多孔質材料10の断面微構造の場合、直線的な鋭いエッジを有する角張った骨材粒子11がそのまま観察され、更に、骨材粒子11同士を結合する結合材12は、骨材粒子11と結合材12と細孔13の交わる三相界面B付近(図4における矢印参照)において、直線的な形状で他方の骨材粒子11に向かって延びている。したがって、上記に定義したような“滑らかに結合”した状態のものではない。更に、骨材粒子11の表面の大部分(例えば、50%以上)は、細孔13と接しており、本実施形態の多孔質材料2のように、結合材4によって骨材粒子3の表面の大部分(例えば、50%以上)が被覆され、細孔21と結合材4とが接するものでない。
すなわち、比較例の多孔質材料10の場合、本実施形態の多孔質材料2と比較して、結合材12が骨材粒子11の界面付近で曲線的な形状を示すものではなく、その骨材粒子11及び細孔13の形状も丸みを帯びたものではなく、角張った部分や直線的に構成されたり、或いはいびつな形状で構成されたりしているものが多い。本実施形態の多孔質材料2は、微構造の点において比較例の多孔質材料10と大きく相違する。
本実施形態の多孔質材料2は、骨材粒子3と結合材4と細孔21の交わる三相界面が滑らかに結合し、骨材粒子3及び結合材4の接触面積が大となることが予想される。その結果、骨材粒子3及び結合材4の間の結合力を高くすることができ、多孔質材料2中のそれぞれの骨材粒子3及び結合材4のそれぞれの界面における結合力が増すことで、多孔質材料2の全体としての強度(機械的強度)が高くなる。
“滑らかに結合”した微構造を有する多孔質材料2は、鋭いエッジで構成される微構造の多孔質材料10(図4参照)と比較すると、エッジの部分に掛かる応力集中を曲線的な形状によって緩和することができる。そのため、多孔質材料2の全体としての強度が高くなる。
ここで、多孔質材料2の上記微構造の定量化について説明する。多孔質材料2では、鏡面研磨した断面を示す画像において、結合材4と細孔21との境界線(以下、単に「結合材のエッジという。)が丸みを帯びた形状となる。したがって、上記微構造の定量化の一例では、結合材4のエッジの丸みが数値化される。具体的には、まず、樹脂で包含した多孔質材料2を鏡面研磨して得られる断面を、走査型電子顕微鏡により1500倍の倍率で撮像することにより、反射電子像である画像が得られる。画像の倍率は、適宜変更されてよい。図5では、当該画像の一部を示している。
続いて、当該画像において、結合材4のエッジ上の測定位置P1が特定される。測定位置P1は、結合材4のエッジにおいて、曲率が局所的に最大となる位置である。多孔質材料2の上記微構造では、2つの骨材粒子3間を結合する結合材4のエッジが、一方の骨材粒子3における三相界面付近と、他方の骨材粒子3における三相界面付近との間で凹状となる。典型的には、これらの三相界面の間では、結合材4のエッジの傾きが連続的に変化し、角張った部分はほとんどない。測定位置P1の一例は、結合材4のエッジにおいて、これらの三相界面の間における最大の曲率の位置である。なお、比較例の多孔質材料10では、結合材12のエッジが丸みを帯びた形状とならないため、結合材12のエッジにおいて、窪んだ部位の頂部が測定位置P1として特定される。
続いて、図5に示すように、測定位置P1における結合材4のエッジに対する接線方向を示す直線が、基準線L1として設定される。また、測定位置P1の近傍において、測定位置P1から結合材4のエッジに沿って一方側に向かって立ち上がる直線が、立ち上がり線L2として設定される。立ち上がり線L2は、例えば、結合材4のエッジにおいて、測定位置P1から一方側に所定の微小距離(例えば、1〜5μm)だけ離れた位置と、測定位置P1とを結ぶ直線である。そして、基準線L1と立ち上がり線L2とがなす角度が、立ち上がり角θとして取得される。このように、立ち上がり角θは、多孔質材料2の任意の断面における結合材4のエッジにおいて、曲率が局所的に最大となる測定位置P1における接線方向に対して、結合材4のエッジが測定位置P1から立ち上がる角度を示す。
例えば、複数の測定位置P1を特定して複数の立ち上がり角θが求められ、これらの平均値が、エッジの立ち上がり角の代表値として求められる。上記微構造を有する多孔質材料2では、典型的には、立ち上がり角の代表値が、0度よりも大きく、かつ、25度以下となる。一方、比較例の多孔質材料10では、結合材12のエッジが丸みを帯びた形状とならず、結合材12のエッジにおいて窪んだ部位の頂部が測定位置P1として特定されるため、立ち上がり角の代表値が、25度よりも大きくなる。立ち上がり角の代表値は、平均値以外に、中央値等であってもよい。また、立ち上がり角の代表値を求める際に、特定される測定位置P1の個数は、好ましくは5個以上である(例えば、100個以下)。
本実施形態の多孔質材料2では、骨材粒子3同士を結合するために用いられる結合材4がジルコニウム成分(ジルコン粒子)を含むことにより、上記の微構造が得られている。多孔質材料2において、骨材粒子3と結合材4と細孔21の交わる三相界面の表面が滑らかに結合した状態は、必ずしも明確でなくてもよい。換言すると、多孔質材料2における結合材4の質量比率や、骨材粒子3の粒子径等によっては、上記三相界面の表面が滑らかに結合した状態が不明確となることも想定される。このような場合でも、上記ジルコニウム成分を結合材4に含む多孔質材料2では、機械的強度を向上することができる。
多孔質材料2では、ナトリウム(Na)が不純物等として含まれる場合に、多孔質材料2の全体の質量に占めるナトリウムの質量の比率が、0.1質量%未満(0質量%以上)であることが好ましい。後述するように、焼成によりジルコニア成分からジルコンが生成されるが、ナトリウム量を0.1質量%以上とすると、ジルコニウム成分を含む結合材成分の融点が低下し、非晶質層を形成しやすい。そのため焼成中に結晶質であるジルコンを生成しにくくなることがある。ナトリウム量を0.1質量%未満とすることで、結合材成分の融点を適切に保つことができ、結晶質であるジルコンを容易に生成することができる。また、ナトリウム量を0.1質量%未満とすることにより、多孔質材料2(ハニカム構造体1)にSCR触媒を担持して使用する場合に、高温でのエージングによるNOx浄化性能の低下を抑制することができる。ナトリウムの含有量は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)−AES(発光分光分析)法で測定可能である。
多孔質材料2の気孔率は、例えば40%以上であり、これにより、DPFとして用いられるハニカム構造体1において圧力損失が過度に高くなることが抑制される。既述のように、本明細書における気孔率は開気孔率である。圧力損失をさらに低減するには、気孔率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましい。また、気孔率は、例えば80%以下であり、これによりハニカム構造体1においてある程度の機械的強度が確保される。機械的強度をさらに高くするには、気孔率が70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましい。開気孔率は、例えば、純水を媒体としてアルキメデス法により測定可能である。なお、気孔率は、例えば、多孔質材料を製造する際に用いる造孔材の量や、焼結助剤の量、焼成雰囲気等により調整することができる。また、気孔率は、骨材粒子3と結合材4との比率によっても調整することができる。
多孔質材料2(ハニカム構造体1)がDPF等に用いられる場合に、細孔径10μm以下の細孔21は触媒を担持する際に詰まり易い。したがって、多孔質材料2では、細孔径10μm以下の細孔21の容積比率が、細孔21の全体に対して10%未満であることが好ましい。また、DPF等のフィルタ機能を向上するには、粒子状物質が通過し易い、細孔径40μm以上の細孔21の容積比率が、細孔21の全体に対して10%未満であることが好ましい。
多孔質材料2の曲げ強度は、例えば7.5MPa(メガパスカル)以上である。これにより、多孔質材料2の耐熱衝撃性をある程度向上することができる。多孔質材料2の曲げ強度は、10.0MPa以上であることが好ましく、12.0MPa以上であることがより好ましい。多孔質材料2における曲げ強度の上限は、40MPa程度と想定される。本明細書において、曲げ強度は、JIS R1601に準拠した曲げ試験により測定可能である。
図6は、多孔質材料2を製造する処理の流れを示す図である。ここでは、多孔質材料2の製造により、ハニカム構造体1が製造される。すなわち、多孔質材料2が、ハニカム構造体1として製造される。
まず、骨材粒子3となる骨材原料と、焼成により結合材4が生成する結合材原料と、造孔材とを混合し、必要に応じて、バインダ、界面活性剤、水等を添加することにより、成形原料が作製される。骨材原料は、炭化珪素(SiC)の粉末を含むことが好ましい。結合材原料は、例えば、コージェライト化原料とジルコニア(ZrO2)粒子とを含む。コージェライト化原料とは、焼成によりコージェライト結晶が生成する原料を意味する。コージェライト化原料は、酸化アルミニウム(Al2O3)成分と、二酸化珪素(SiO2)成分と、酸化マグネシウム(MgO)成分とを含むことが好ましい。成形原料において、骨材原料を100質量%とした場合、結合材成分の比率は、例えば9.0質量%以上であり、67.0質量%以下である。結合材成分における酸化アルミニウム成分の比率は、例えば30.0質量%以上であり、75.0質量%以下である。同様に、二酸化珪素成分の比率は、例えば28.0質量%以上であり、55.0質量%以下である。酸化マグネシウム成分の比率は、例えば5.0質量%以上であり、15.0質量%以下である。骨材原料に対するジルコニア粒子の比率は、例えば0.1質量%以上であり、5.0質量%以下である。
後述するように、コージェライト化原料およびジルコニア粒子を含む結合材原料を焼成することにより、コージェライト41およびジルコン(ZrSiO4)粒子42を含む結合材4が生成する。ジルコニア粒子の粒径が過度に大きい場合、焼成による反応が生じない、または、反応が不十分となり、欠陥となる可能性がある。したがって、ジルコニア粒子の平均粒径は、好ましくは、10μm以下であり、より好ましくは、5μm以下である。また、作業性等の観点では、ジルコニア粒子の平均粒径は、好ましくは、0.4μm以上であり、より好ましくは、1μm以上である。
ここで、酸化アルミニウム成分は、酸化アルミニウムのみならず、水酸化アルミニウム、カオリン、ベーマイト、長石等のアルミニウムおよび酸素を含有する原料中の、酸化アルミニウムの組成比となるアルミニウムおよび酸素も含む。酸化アルミニウム成分の質量は、酸化アルミニウム成分中のアルミニウムの酸化物換算質量(Al2O3の質量)のことである。酸化アルミニウム成分が酸化アルミニウムである場合、平均粒径は2.5μm以上であることが好ましく、15.0μm以下であることが好ましい。また、上記酸化アルミニウムはα−アルミナであることが好ましい。二酸化珪素成分は、二酸化珪素のみならず、タルク、カオリン、長石等の珪素および酸素を含有する原料中の、二酸化珪素の組成比となる珪素および酸素も含む。酸化マグネシウム成分は、酸化マグネシウムのみならず、水酸化マグネシウム、タルク等のマグネシウムおよび酸素を含有する原料中の、酸化マグネシウムの組成比となるマグネシウムおよび酸素を含む。
結合材原料には、アルミニウム成分の原料(アルミニウム(Al)源)として、Al−Siファイバー、Al2O3ファイバー、板状アルミナ、粗粒Al2O3、カオリン等が含有されていることが好ましい。Al−Siファイバーは、珪素成分の原料でもある。このとき、板状アルミナの長径が0.5μm以上であることが好ましい。また、板状アルミナの長径は15μm以下であることが好ましい。また、板状アルミナの短径(厚さ)が0.01μm以上であることが好ましい。また、板状アルミナの短径(厚さ)が1μm以下であることが好ましい。また、板状アルミナの幅が0.05μm以上であることが好ましい。また、板状アルミナの幅が70μm以下であることが好ましい。また、板状アルミナのアスペクト比が、5以上であることが好ましい。また、板状アルミナのアスペクト比が70以下であることが好ましい。また、アルミナファイバーは、長さが200μm以下であることが好ましい。また、アルミナファイバーは、短径が3μm以下であることが好ましい。また、アルミナファイバーは、アスペクト比が、3以上であることが好ましい。粗粒Al2O3の平均粒径は、2.5〜15μmであることが好ましい。短径および長径は、走査型電子顕微鏡を用いて測定した値である。具体的には、3000倍の倍率で観察し得た微構造写真中の全ての粒子の長径と短径を測定し、それぞれを粒子の個数で平均した値である。また、マグネシウム(Mg)成分の原料(マグネシウム(Mg)源)としては、MgOまたはMg(OH)2が好ましい。また、Si(珪素)成分の原料(珪素(Si)源)としては、カオリン、粉末シリカおよびコロイダルシリカが好ましい。
既述のように、骨材原料は、炭化珪素(SiC)粉末であることが好ましい。骨材原料の平均粒径は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。骨材原料の平均粒径は、100μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の有機バインダを挙げることができる。バインダの含有量は、成形原料全体に対して2〜10質量%であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、デンプン、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して40質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒径は10μm以上であることが好ましい。また、造孔材の平均粒径は70μm以下であることが好ましい。造孔材の平均粒径が10μmより小さい場合、気孔を十分に形成できないことがある。造孔材の平均粒径が70μmより大きい場合、例えば、本実施形態の多孔質材料をDPF等として用いたときに、排ガス中の粒子状物質の一部が捕集されずにDPF等を通過することがある。なお、造孔材が吸水性樹脂の場合、平均粒径は、吸水後の値である。水の含有量は、成形し易い坏土硬度となるように適宜調整されるが、成形原料全体に対して20〜80質量%であることが好ましい。
続いて、成形原料を混練することにより坏土が形成される。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。その後、坏土を押出成形することにより、ハニカム成形体(成形体)が形成される。なお、坏土も成形原料の概念に含まれる。押出成形には、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する筒状外壁とを有する構造である。ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、筒状外壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとするハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。以上のように、骨材原料、結合材原料および造孔材を混合した混合物を成形することにより、成形体が得られる(ステップS11)。
ハニカム成形体は、後述の焼成前に乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
また、ハニカム成形体のセルの延びる方向における長さが、所望の長さではない場合は、切断により所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
続いて、成形体を焼成することにより、焼成体である多孔質材料が、ハニカム構造体として得られる(ステップS12)。ここでは、焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼を行うことが好ましい。仮焼は、大気雰囲気において、200〜600℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。焼成は、非酸化雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下(酸素分圧は10−4気圧以下)で行うことが好ましい。焼成温度は、例えば1300℃以上である。成形体の焼成により、コージェライトを主成分とする結合材と、骨材粒子とを含む多孔質材料が製造される。このとき、焼成時の反応により、ジルコニア粒子からジルコン粒子が生成される。ジルコン粒子は、焼成により析出する析出粒子と捉えることもできる。
ジルコニア粒子の反応を適切に生じさせて、比較的大きいジルコン粒子をより確実に生成させるという観点では、焼成温度は、1410℃以上であることが好ましく、1430℃以上であることがより好ましい。焼成温度は、例えば1600℃以下であり、好ましくは1500℃以下である。焼成時の圧力は常圧であることが好ましい。焼成時間は、例えば1時間以上であり、20時間以下である。
多孔質材料は焼成工程の後、酸化性雰囲気下での熱処理が行われることが好ましい。酸化処理をすることで細孔に露出したSiC表面に酸化膜が形成されるため、多孔質材料を例えばDPF等の自動車排ガス浄化触媒担体に用いた場合、優れた耐酸化性が得られる。また、焼成工程で結合材中に未反応成分としてジルコニウム成分が残存する場合であっても、酸化処理によって生成したSiO2成分と反応してジルコンが形成されると考えられる。これにより、所望のジルコン量をより確実に生成することができ、多孔質材料においてより強度を保つことができる。酸化処理の温度は、例えば1100℃以上であり、1400℃以下である。酸化処理の時間は、例えば1時間以上であり、20時間以下である。仮焼、焼成および酸化処理は、例えば、電気炉、ガス炉等を用いて行うことができる。
次に、実施例について述べる。ここでは、実施例1〜9、並びに、比較例1〜4として、表1中に示す条件にて多孔質材料(ハニカム構造体)を作製した。
(実施例1〜9)
炭化珪素の質量を100質量%として、酸化アルミニウム12.2質量%、タルク9.8質量%、シリカ4.90質量%を炭化珪素と共に混合し、さらに、焼結助剤として酸化セリウム0.93質量%、造孔剤として吸水性樹脂6.3質量%、デンプン35.0質量%、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース8.8質量%を混合した。また、ジルコニア粒子0.6〜2.8質量%を混合物に加えた。詳細には、平均粒径が3μmであり、比表面積が10m2/gであるジルコニア粒子、または、平均粒径が1μmであり、比表面積が100m2/gであるジルコニア粒子を表1の比率にて混合した。続いて、無機原料の質量に対して、水70質量%を加えた。ニーダーで混合物を45分間混練し、可塑性の坏土とした。この可塑性の坏土を、真空土練機でシリンダー状に成形し、押出成形機によりハニカム状に成形して成形体を得た。成形体を、マイクロ波乾燥した後、熱風乾燥(80℃、12時間)で乾燥させ、その後、所定の寸法となるように両端部を切断した。得られた成形体を、大気雰囲気にて450℃で脱脂し、続いて、不活性雰囲気(アルゴン雰囲気)にて1400〜1450℃で焼成した。その後、大気中にて1230〜1270℃での酸化処理を行い、多孔質材料(ハニカム構造体)を得た。なお、実施例9では、酸化処理を行っていない。実施例1〜9の多孔質材料では、コージェライトを主成分とする結合材中にジルコン粒子が生成していることを確認した。
(比較例1〜4)
比較例1〜4の多孔質材料の作製は、混合物にジルコニア粒子を加えなかった点を除き、実施例1〜9と同じである。なお、比較例4では、酸化処理を行っていない。
(多孔質材料の各種測定)
作製した多孔質材料に対して、結合材の質量の比率、結合材におけるジルコン粒子の質量の比率、ジルコン粒子の長径、開気孔率、および、曲げ強度を測定した。実施例1〜9、並びに、比較例1〜4の多孔質材料に対する測定結果を表2に示す。表2では、骨材粒子における酸化膜の有無、多孔質材料におけるクリストバライトの比率、および、Na含有量も示している。
多孔質材料における、各構成結晶相(骨材粒子におけるSiCおよびクリストバライト、コージェライト、並びに、ジルコン粒子等)の質量の比率は、以下のようにして求めた。X線回折装置を用いて多孔質材料のX線回折パターンを得る。X線回折装置としては、回転対陰極型X線回折装置(理学電機製、RINT)を用いる。X線回折測定の条件は、CuKα線源、50kV、300mA、2θ=10〜60°とする。そして、RIR(Reference Intensity Ratio)法を用いて、得られたX線回折データを解析して各成分を定量する簡易定量分析により、各構成結晶相の質量の比率を算出する。X線回折データの解析は、例えば、MDI社製の「X線データ解析ソフトJADE7」を用いて行った。表2では、骨材粒子および結合材の合計質量に占める結合材の質量の比率を「多孔質材料における結合材の比率」として示し、結合材の質量に占めるジルコン粒子の質量の比率を「結合材におけるジルコン粒子の比率」として示している。また、上記合計質量に占めるクリストバライトの質量の比率を「多孔質材料におけるクリストバライトの比率」として示している。
ジルコン粒子の長径の測定では、走査型電子顕微鏡により6000倍の倍率で撮影した多孔質材料の断面写真において、各ジルコン粒子の最大長さを求め、複数のジルコン粒子における最大長さの平均値を求めた。開気孔率は、多孔質材料から20mm×20mm×0.3mmの大きさに切り出した板片を用いて、純水を媒体としてアルキメデス法により測定した。曲げ強度の測定では、多孔質材料(ハニカム構造体)をセルが貫通する方向を長手方向とした試験片(縦0.3mm×横4mm×長さ40mm)に加工し、JIS R1601に準拠した曲げ試験を行った。
骨材粒子における酸化膜(SiO2膜)の観察方法としては、樹脂にて包含した多孔質材料をダイヤモンドスラリー等を用いて鏡面研磨したものを観察試料とし、この断面研磨面を1500倍の倍率でSiCの周囲の酸化膜を観察した。表2では、上記観察条件で酸化膜が確認できたものを「有」として示し、確認できなかったものを「無」として示している。酸化処理を行った実施例1〜8、並びに、比較例1〜3の多孔質材料では、酸化膜が確認され、かつ、クリストバライトが検出されたのに対し、酸化処理を行わなかった実施例9および比較例4の多孔質材料では、酸化膜が確認されず、クリストバライトも検出されなかった。したがって、酸化膜はクリストバライトであるといえる。Na含有量の定量では、ICP(Inductively Coupled Plasma)−AES(発光分光分析)法によって、多孔質材料に含まれるNa含有量(多孔質材料の全体に対する質量比率)を分析した。実施例1〜9、並びに、比較例1〜4の全ての多孔質材料において、Na含有量が0.1質量%未満であった。
表2より、実施例1〜9の多孔質材料、および、比較例1〜4の多孔質材料では、いずれも開気孔率が50%以上であり、高い気孔率が得られている。また、結合材中にジルコン粒子を含む実施例1〜9の多孔質材料では、結合材中にジルコン粒子を含まない比較例1〜4の多孔質材料よりも曲げ強度が高いことが判る。実施例1〜9の多孔質材料では、多孔質材料における結合材の比率が、いずれも8質量%以上である。図7は、実施例1〜7の多孔質材料における結合材の比率と、曲げ強度との関係を示す図である。図7から、多孔質材料における結合材の比率が大きくなるに従って、曲げ強度が高くなることが判る。なお、図7では、ジルコン粒子の長径が2.0μm未満である実施例8、9は省いている(後述の図8において同様)。
図8は、実施例1〜7の多孔質材料の結合材におけるジルコン粒子の比率と、曲げ強度との関係を示す図である。図8から、結合材におけるジルコン粒子の比率が大きくなるに従って、曲げ強度が高くなることが判る。ここでは、結合材におけるジルコン粒子の比率がいずれも1質量%以上である。これにより、多孔質材料において十分な曲げ強度が得られている。また、結合材におけるジルコン粒子の比率が3質量%以上であることにより、多孔質材料の曲げ強度がより確実に向上し、結合材におけるジルコン粒子の比率が5質量%以上であることにより、多孔質材料の曲げ強度がより一層向上する。
図9は、実施例1〜9の多孔質材料のジルコン粒子の長径と、曲げ強度との関係を示す図である。図9から、ジルコン粒子の長径が大きくなるに従って、曲げ強度が高くなることが判る。ここでは、ジルコン粒子の長径が2.0μm以上であることにより、多孔質材料において十分な曲げ強度(12.0MPa以上)が得られている。表1および表2から、焼成温度を1430℃以上とすることにより、ジルコン粒子の長径が2.0μm以上となる多孔質材料が得られやすくなるといえる。ジルコン粒子の長径が2.5μm以上であることにより、多孔質材料の曲げ強度がさらに向上し、ジルコン粒子の長径が3.0μm以上であることにより、多孔質材料の曲げ強度がより一層向上する。
表2では、実施例1、3および6、並びに、比較例1および2の多孔質材料に対する、結合材のエッジの立ち上がり角の代表値も「立ち上がり角」の列に示している。結合材のエッジの立ち上がり角は、図5を参照して説明した手法にて求めた。ここでは、断面研磨面を1500倍の倍率で撮像した画像において、10個の測定位置を特定し、10個の立ち上がり角の平均値を求めた。結合材がジルコン粒子を含む実施例1、3および6の多孔質材料では、立ち上がり角の代表値が、25度以下であった。これらの多孔質材料では、結合材が、結合材の全体に対して、ジルコン粒子を3.9〜25.9質量%含む。これに対し、結合材がジルコン粒子を含まない比較例1および2の多孔質材料では、立ち上がり角の代表値が、25度よりも高くなった。
上記多孔質材料2およびハニカム構造体1では様々な変形が可能である。
多孔質材料2は、ハニカム構造体1以外の形態に形成されてよく、フィルタ以外の様々な用途に用いられてよい。多孔質材料2の用途によっては、骨材粒子3は、複数種類の物質の粒子を含んでもよい。
多孔質材料2およびハニカム構造体1の製造方法は、上述のものには限定されず、様々に変更されてよい。例えば、結合材原料にジルコン粒子を予め含めることにより、結合材がコージェライトおよびジルコン粒子を含む多孔質材料が製造されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。