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JP2006274079A - スラッシュ成形用粉体組成物 - Google Patents

スラッシュ成形用粉体組成物 Download PDF

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JP2006274079A
JP2006274079A JP2005096290A JP2005096290A JP2006274079A JP 2006274079 A JP2006274079 A JP 2006274079A JP 2005096290 A JP2005096290 A JP 2005096290A JP 2005096290 A JP2005096290 A JP 2005096290A JP 2006274079 A JP2006274079 A JP 2006274079A
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Akihisa Hirota
明久 廣田
Daichi Maruyama
大地 丸山
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Kaneka Corp
Toyota Motor Corp
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Kaneka Corp
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】 耐候性、耐薬品性、接着性、柔軟性、耐磨耗性、耐熱性および耐スクラッチ性のバランスに優れ、成形時の粉体流動性、粉体充填性および溶融流動性(成形性)に優れたスラッシュ成形用粉体組成物を得る。
【解決手段】 所定のメタアクリル系重合体ブロック(a)15〜50重量%と、酸無水物基および/またはカルボキシル基を有する所定のアクリル系重合体ブロック(b)85〜50重量%とからなり、所定の分子量を有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)と、所定の添加剤(C)からなる粒子径1〜1000μmの熱可塑性エラストマー組成物粉体(X)100重量部に対して、粒子径0.1〜30μmの無機粒子(Y)0.5〜20重量部を混合してなるスラッシュ成形用粉体組成物により達成される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、パウダースラッシュ成形用粉体組成物およびその組成物を用いたパウダースラッシュ成形品に関する。
自動車内装用表皮等の種々の内装材及び表皮材の成形方法として、軟質の粉末材料を用いたパウダースラッシュ成形法がある。この成形法によれば、皮シボやステッチ等を容易に製品に設けることができ、また、本成形法は、設計自由度が大きく、意匠性が良好である等の利点を有する。更に、本成形法により得られた製品は、ソフトな感触を有する。このため、当該方法は、インストルメントパネル、コンソールボックス、ドアートリム等の自動車内装品の表皮の成形に広く採用されている。
この成形方法は、他の射出成形や圧縮成形といった成形方法とは異なり、成形の際に賦形圧力をかけない。このため、成形時に粉末材料を複雑な形状の金型に均一に付着させる必要があり、粉体流動性に優れることが要求される。それと同時に、金型に付着した粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する必要から、溶融粘度が低いことも要求される。
このような特性を有する材料として、十分な使用表面硬度を有し、柔軟性に優れたポリ塩化ビニルシートが広く使用されている。しかし、ポリ塩化ビニル樹脂は、分子中に塩素を多量に含むため、環境に対する負荷が大きいことが懸念されており、有効な代替材料が求められている(特許文献1)。
そのため、近年、ポリ塩化ビニル樹脂の代替として、熱可塑性エラストマーのシート成形物の開発がなされて来た(特許文献2〜4)。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂や、スチレン系エラストマーを用いたシートでは、耐磨耗性や柔軟性や耐油性が不足している。また、熱可塑性ポリウレタンを用いたシートでは、成形性が悪く、コスト面でも問題があった。
特開平5−279485号公報 特開平7−82433号公報 特開平10−30036号公報 特開平2000−103957号公報
本発明の目的は、耐候性、耐薬品性、接着性、柔軟性、耐磨耗性、耐熱性および耐スクラッチ性のバランスに優れ、成形時の粉体流動性、粉体充填性および溶融流動性(成形性)に優れたスラッシュ成形用粉体組成物を得ることである。
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、所定のアクリル系ブロック共重合体を含有する組成物を固定刃と回転刃による剪断作用により粉砕したものに、所定の無機粒子を混合することにより、上記課題を効果的に解決できることを見出し、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明は、メタアクリル系重合体を主成分とし、ガラス転移温度が50〜130℃であるメタアクリル系重合体ブロック(a)15〜50重量%と、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%とこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステルおよび/又はビニル系単量体50〜0重量%からなり、酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系重合体ブロック(b)85〜50重量%とからなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が30,000〜200,000であるアクリル系ブロック共重合体(A)および1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)からなる熱可塑性エラストマー組成物(X)100重量部に対して、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルおよび金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)0〜20重量部を外添し、固定刃と回転刃による剪断作用により粉砕して得られた粒子径1〜1000μmの熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)と、該熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)100重量部に対して、0.5〜20重量部の粒子径0.1〜30μmの無機粒子(Z)とを混合してなるスラッシュ成形用粉体組成物に関する。
また、本発明の好ましい実施態様としては、熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)の空隙率が70%以下であるスラッシュ成形用粉体組成物に関する。
また、本発明の別の実施態様としては、スラッシュ成形用粉体組成物をパウダースラッシュ成形してなる自動車内装用表皮に関する。
本発明のスラッシュ成形用粉体組成物は、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)からなり、酸無水物基および/またはカルボキシル基をブロック(b)中に有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)とからなる熱可塑性エラストマー組成物(X)を固定刃と回転刃による剪断作用により粉砕して得られた熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)および粒子径0.1〜30μmの無機粒子(Z)を含有する。
アクリル系重合体(B)は、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有しており、このエポキシ基がアクリル系重合体ブロック(b)に存在する酸無水物基およびカルボキシル基と成形時に反応し、アクリル系ブロック共重合体(A)を高分子量化もしくは架橋させる。
無機粒子(Z)は、熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)の互着防止のため添加される。これにより、スラッシュ成形時にも粉体のブロッキングなどによる成形不良が生じにくいスラッシュ成形用粉体組成物が得られることとなる。
以下に、本発明に係るスラッシュ成形用粉体組成物の各成分について、さらに詳細に説明する。
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
熱可塑性エラストマー組成物(X)を構成するアクリル系ブロック共重合体(A)は、ハードセグメントであるメタアクリル系重合体ブロック(a)と、ソフトセグメントであるアクリル系重合体ブロック(b)から成り、メタアクリル系重合体ブロック(a)により成形時の形状保持性が、アクリル系重合体ブロック(b)により、エラストマーとしての弾性及び成形時の溶融性が生じることとなる。このような目的のため、アクリル系ブロック共重合体(A)において、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合を15〜50重量%、アクリル系重合体ブロック(b)の割合を85〜50重量%とする。メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が15重量%より小さく、アクリル系重合体ブロック(b)の割合が85重量%より大きいと、成形時に形状が保持されず、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が50重量%より大きく、アクリル系重合体ブロック(b)の割合が50重量%より小さいと、エラストマーとしての弾性および成形時の溶融性が低下することとなる。
なお、組成物の硬度の観点からは、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が少ないと硬度が低くなり、また、アクリル系重合体ブロック(b)の割合が少ないと硬度が高くなる傾向がある。このため、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比は、エラストマー組成物の必要とされる硬度を考慮して、適宜設定する必要がある。また加工性の観点からは、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が少ないと、粘度が低く、また、アクリル系重合体ブロック(b)の割合が少ないと、粘度が高くなる傾向がある。このため、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比は、必要とする加工特性も考慮して、適宜設定する必要がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が30,000〜200,000となるように調整する。分子量が30,000より小さいと、エラストマーとして充分な機械特性を発現出来ない場合があり、逆に分子量が200,000より大きいと、加工特性が低下する場合がある。特に、パウダースラッシュ成形を行う場合は、無加圧下でも流動する必要があるところ、分子量が大きいと、溶融粘度が高くなり成形性が悪くなる傾向にある。
また、アクリル系ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.8以下であることが好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。Mw/Mnが1.8をこえるとアクリル系ブロック共重合体の均一性が悪化する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)は、線状ブロック共重合体または分岐状(星状)ブロック共重合体であり、これらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性に応じて適宜選択されるが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。
なお、線状ブロック共重合体は、いずれの構造のものであってもよいが、線状ブロック共重合体の物性または組成物の物性の点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)をa、アクリル系重合体ブロック(b)をbと表現したとき、(a−b)型、b−(a−b)型および(a−b)−a型(nは1以上の整数、たとえば1〜3の整数)からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることが好ましい。これらの中でも、加工時の取り扱い容易性や組成物の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の関係は、メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度をTg、アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度をTgとすると、機械強度やゴム弾性発現等の点で下式の関係を満たすことが好ましい。
Tg>Tg
なお、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができる。
<メタアクリル系重合体ブロック(a)>
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%からなることが好ましい。メタアクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、メタアクリル酸エステルの特徴である耐候性などが損なわれる場合がある。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トリルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチル、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−トリフルオロエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらは少なくとも1種用いられる。これらの中でも、加工性、コストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。
マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
ビニル系単量体として挙げられたこれらの化合物は、それぞれ単独で又は二以上組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、後述するメタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度や、アクリル系重合体ブロック(b)との相溶性などを考慮して適宜選択される。
メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、50〜130℃となるように調整する。これは、パウダースラッシュ成形材料は、無加圧下でも流動する必要があり、メタアクリル系重合体ブロック(a)の凝集力やガラス転移温度Tgが上昇すると、溶融粘度が高くなり成形性が悪くなる傾向にある一方で、ガラス転移温度Tgが低すぎる場合には、樹脂組成物が常温でも流動性を有し、粉体としての性状を保持することが出来なくなるためである。
<アクリル系重合体ブロック(b)>
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステル50〜100重量%と、これと共重合可能な異種のアクリル酸エステルおよび/又はビニル系単量体0〜50重量%とからなり、酸無水物基および/またはカルボキシル基を含有する。
アクリル酸−n−ブチルを用いた場合、本発明に係る組成物から得られた成形体は、良好なゴム弾性および低温特性を示すようになる。アクリル酸エチルを用いた場合、良好な耐油性および引張強度等の機械特性を示すようになる。また、アクリル酸−2−メトキシエチルを用いた場合、良好な低温特性と耐油性を示し、また、樹脂の表面タック性が改善されることとなる。これらは要求特性に応じて、単独で又は二以上を組み合わせて使用する。なお、これらのアクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、柔軟性、耐油性が損なわれる場合がある。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルとは異種のアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体として例示したアクリル酸エステルと同様の単量体をあげることができる。これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができ、これらの具体例としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられる前記のものと同様のものをあげることができる。これらのビニル系単量体は、それぞれ単独で又は二以上組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(b)に要求されるガラス転移温度および耐油性、メタアクリル系重合体ブロック(a)との相溶性などのバランスを勘案して、適宜好ましいものを選択する。たとえば、組成物の耐油性の向上を目的とした場合、アクリロニトリルを共重合するとよい。
アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、組成物のゴム弾性の観点から、25℃以下であるのが好ましく、0℃以下であるのがより好ましく、−20℃以下であるのがさらに好ましい。アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度が、エラストマー組成物の使用される環境の温度より高いと、柔軟性やゴム弾性が発現されにくくなる。
<酸無水物基およびカルボキシル基>
本発明において、酸無水物基およびカルボキシル基は、通常、ブロック共重合体が高分子量化または架橋されるための反応点または架橋点として作用する。酸無水物基およびカルボキシル基は、酸無水物基およびカルボキシル基を適当な保護基で保護した形、または、酸無水物基およびカルボキシル基の前駆体となる形でブロック共重合体に導入し、そののちに公知の所定の化学反応で酸無水物基およびカルボキシル基を生成させることもできる。
酸無水物基およびカルボキシル基の含有数は、酸無水物基およびカルボキシル基の凝集力、反応性、アクリル系ブロック共重合体(A)の構造および組成、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロックの数、ガラス転移温度によって変化させ、その数は必要に応じて適宜設定する必要があるが、好ましくはブロック共重合体1分子あたり1.0個以上、より好ましくは2.0個以上とする。これは、1.0個より少なくなるとブロック共重合体の高分子量化や架橋による耐熱性向上が不十分になる傾向があるためである。
なお、酸無水物基やカルボキシル基を導入することによりアクリル系重合体ブロック(b)の凝集力やガラス転移温度Tgが上昇すると、柔軟性、ゴム弾性、低温特性が悪化する傾向にある。このため、酸無水物基やカルボキシル基は、アクリル系ブロック共重合体(A)の柔軟性、ゴム弾性、低温特性が悪化しない範囲で導入するのが好ましい。具体的には、酸無水物基やカルボキシル基を導入した後のアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度Tgが25℃以下になるような範囲で導入するのが好ましく、0℃以下になるようにするのがより好ましく、−20℃以下になるようにするのが更に好ましい。
以下に、酸無水物基およびカルボキシル基のそれぞれについて更に詳細に説明する。
<酸無水物基>
組成物中に活性プロトンを有する化合物を含有する場合、酸無水物基はエポキシ基等の官能基と容易に反応する。酸無水物基の導入位置は、特に限定されるものではなく、酸無水物基は、アクリル系重合体ブロック(b)の主鎖中に導入されていても良いし、側鎖に導入されていても良い。酸無水物基はカルボキシル基を無水物化したものであって、アクリル系重合体ブロック(b)への導入の容易性から、主鎖中へ導入されていることが好ましく、具体的には一般式(1)で表される。一般式(1):
Figure 2006274079
(式中、Rは水素またはメチル基で、2つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数、mは0または1の整数)で表される形で含有される。
一般式(1)中のnは0〜3の整数であって、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。nが4以上の場合は、重合が煩雑になったり、酸無水物基の環化が困難になる傾向にある。
酸無水物基の導入方法としては、酸無水物基の前駆体の形でアクリル系ブロック共重合体に導入し、そののちに環化させることが好ましい。特に、一般式(2):
Figure 2006274079
(式中、Rは水素またはメチル基を表わす。Rは水素、メチル基またはフェニル基を表わし、3つのRのうち少なくとも2つはメチル基および/またはフェニル基から選ばれ、3つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。)で表される単位を少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体を、溶融混練して環化導入することが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)への一般式(2)で表される単位の導入は、一般式(2)に由来するアクリル酸エステル、またはメタアクリル酸エステル単量体を共重合することによって行うことができる。単量体としては、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、(メタ)アクリル酸α−メチルベンジルなどがあげられるが、これらに限定するものではない。これらのなかでも、入手性や重合容易性、酸無水物基の生成容易性などの点から(メタ)アクリル酸−t−ブチルが好ましい。
酸無水物基の形成は、酸無水物基の前駆体を有するアクリル系ブロック共重合体を高温下で加熱することにより行うのが好ましく、その温度は、180〜300℃とするのが好ましい。180℃より低いと酸無水物基の生成が不十分となる傾向があり、300℃より高くなると、酸無水物基の前駆体を有するアクリル系ブロック共重合体自体が分解することがある。
<カルボキシル基>
カルボキシル基は、エポキシ基等の官能基と容易に反応する。カルボキシル基の導入位置は、特に限定されるものではなく、カルボキシル基は、アクリル系重合体ブロック(b)の主鎖中に導入されていても良いし、側鎖に導入されていても良いが、アクリル系重合体ブロック(b)への導入の容易性から、主鎖中へ導入されていることが好ましい。
カルボキシル基の導入は、カルボキシル基を有する単量体が重合条件下で触媒を被毒することがない場合は、直接、重合により導入することにより行うのが好ましく、カルボキシル基を有する単量体が重合時に触媒を失活させるおそれがある場合には、官能基変換によりカルボキシル基を導入する方法により行うのが好ましい。
官能基変換によりカルボキシル基を導入する方法では、カルボキシル基を適当な保護基で保護した形、または、カルボキシル基の前駆体となる官能基の形でアクリル系ブロック共重合体に導入し、そののちに公知の所定の化学反応で官能基を生成させることができる。
カルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)の合成方法としては、たとえば、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸トリメチルシリルなどのように、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むアクリル系ブロック共重合体を合成し、加水分解もしくは酸分解など公知の化学反応によってカルボキシル基を生成させる方法(特開平10−298248号公報、特開2001−234146号公報)や、一般式(2):
Figure 2006274079
(式中、Rは水素またはメチル基を表わす。Rは水素、メチル基またはフェニル基を表わし、3つのRのうち少なくとも2つはメチル基および/またはフェニル基から選ばれ、3つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。)で表わされる単位を少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体を、溶融混練して導入する方法がある。一般式(2)で示される単位は、高温下でエステルユニットが分解してカルボキシル基を生成し、そのカルボキシル基の一部が環化することにより生成する。これを利用して、一般式(2)で示される単位の種類や含有量に応じて、加熱温度や時間を適宜調整することでカルボキシル基を導入することができる。
また、上述の酸無水物基を加水分解することにより、カルボキシル基を導入することも可能である。
<アクリル系ブロック共重合体(A)の製法>
アクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法は、とくに限定するものではないが、開始剤を用いた制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いるラジカル重合、近年開発されたリビングラジカル重合があげられる。なかでも、アクリル系ブロック共重合体の分子量および構造の制御の点から、リビングラジカル重合により製造するのが好ましい。
リビングラジカル重合は、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合である。リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性をもち続ける重合のことを指すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。ここでの定義も後者である。リビングラジカル重合は、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、第116巻、7943頁)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、第27巻、7228頁)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちいずれの方法を使用するかはとくに制約はないが、制御の容易さの点などから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第7族、8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される(たとえば、マティジャスツェウスキー(Matyjaszewski)ら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、第117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、第28巻、7901頁、サイエンス(Science)、1996年、第272巻、866頁、または、澤本(Sawamoto)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、第28巻、1721頁参照)。
これらの方法によると、一般的に、非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭い(Mw/Mn=1.1〜1.5)重合体が得られ、分子量を単量体と開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができる。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、1官能性、2官能性、または、多官能性の化合物が使用できる。これらは目的に応じて使い分ければよいが、ジブロック共重合体を製造する場合は、開始剤の入手のしやすさの点から1官能性化合物が好ましく、a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体を製造する場合は、反応工程数、時間の短縮の点から2官能性化合物を使用するのが好ましく、分岐状ブロック共重合体を製造する場合は、反応工程数、時間の短縮の点から多官能性化合物を使用するのが好ましい。
また、開始剤として、高分子開始剤を用いることも可能である。高分子開始剤とは、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物のうち、分子鎖末端にハロゲン原子の結合した重合体からなる化合物である。このような高分子開始剤は、リビングラジカル重合法以外の制御重合法でも製造することが可能であるため、異なる重合法で得られる重合体を結合したブロック共重合体が得られるという特徴がある。
1官能性化合物としては、たとえば、
−CHX、
−C(H)(X)−CH
−C(X)(CH
−C(H)(X)−COOR
−C(CH)(X)−COOR
−C(H)(X)−CO−R
−C(CH)(X)−CO−R
−C−SO
で示される化合物などがあげられる。
式中、Cはフェニル基、Cはフェニレン基(オルト置換、メタ置換、パラ置換のいずれでもよい)を表わす。Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または、炭素数7〜20のアラルキル基を表わす。Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。Rは炭素数1〜20の一価の有機基を表わす。
1官能性化合物の具体例としては、2−臭化プロピオン酸エチル、2−臭化プロピオン酸ブチルが、アクリル酸エステル単量体の構造と類似しているために重合を制御しやすい点から好ましい。
2官能性化合物としては、たとえば、
X−CH−C−CH−X、
X−CH(CH)−C−CH(CH)−X、
X−C(CH−C−C(CH−X、
X−CH(COOR)−(CH−CH(COOR)−X、
X−C(CH)(COOR)−(CH−C(CH)(COOR)−X
X−CH(COR)−(CH−CH(COR)−X、
X−C(CH)(COR)−(CH−C(CH)(COR)−X、
X−CH−CO−CH−X、
X−CH(CH)−CO−CH(CH)−X、
X−C(CH−CO−C(CH−X、
X−CH(C)−CO−CH(C)−X、
X−CH−COO−(CH−OCO−CH−X、
X−CH(CH)−COO−(CH−OCO−CH(CH)−X、
X−C(CH−COO−(CH−OCO−C(CH−X、
X−CH−CO−CO−CH−X、
X−CH(CH)−CO−CO−CH(CH)−X、
X−C(CH−CO−CO−C(CH−X、
X−CH−COO−C−OCO−CH−X、
X−CH(CH)−COO−C−OCO−CH(CH)−X、
X−C(CH−COO−C−OCO−C(CH−X、
X−SO−C−SO−X
で示される化合物などがあげられる。
式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数の6〜20アリール基、または、炭素数7〜20のアラルキル基を表わす。nは0〜20の整数を表わす。C、C、Xは、前記と同様である。
の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基の具体例は、Rの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基の具体例と同じである。
2官能性化合物の具体例としては、ビス(ブロモメチル)ベンゼン、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジエチルが、原料の入手性の点から好ましい。
多官能性化合物としては、たとえば、
−(CH−X)
−(CH(CH)−X)
−(C(CH−X)
−(OCO−CH−X)
−(OCO−CH(CH)−X)
−(OCO−C(CH−X)
−(SO−X)
で示される化合物などがあげられる。
式中、Cは三価のフェニル基(3つの結合手の位置は1位〜6位のいずれであってもよく、その組み合わせは適宜選択可能である)、Xは前記と同じである。
多官能性化合物の具体例としては、たとえば、トリス(ブロモメチル)ベンゼン、トリス(1−ブロモエチル)ベンゼン、トリス(1−ブロモイソプロピル)ベンゼンなどがあげられる。これらのうちでは、トリス(ブロモメチル)ベンゼンが、原料の入手性の点から好ましい。
なお、重合を開始する基以外に、官能基をもつ有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を用いると、容易に末端または分子内に重合を開始する基以外の官能基が導入された重合体が得られる。このような重合を開始する基以外の官能基としては、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基などがあげられる。
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては、とくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、ならびに、2価のニッケルの錯体があげられる。
これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などがあげられる。その中でも塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御の観点から好ましい。1価の銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、2,2′−ビピリジル、その誘導体(たとえば4,4′−ジノリル−2,2′−ビピリジル、4,4′−ジ(5−ノリル)−2,2′−ビピリジルなど)などの2,2′−ビピリジル系化合物;1,10−フェナントロリン、その誘導体(たとえば4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリンなど)などの1,10−フェナントロリン系化合物;テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加してもよい。
使用する触媒、配位子および活性化剤の種類は、使用する開始剤、単量体および溶媒や、必要とする反応速度の関係から適宜決定すればよい。
同様に、使用する触媒、配位子の量は、使用する開始剤、単量体および溶媒の量や、必要とする反応速度の関係から決定すればよい。たとえば、分子量の高い重合体を得ようとする場合には、分子量の低い重合体を得る場合よりも、開始剤/単量体の比を小さくしなければならないが、そのような場合には、触媒、配位子を多くすることにより、反応速度を増大させることができる。また、ガラス転移点が室温より高い重合体が生成する場合、系の粘度を下げて撹拌効率を上げるために適当な有機溶媒を添加した場合には、反応速度が低下する傾向があるが、そのような場合には、触媒、配位子を多くすることにより、反応速度を増大させることができる。
原子移動ラジカル重合は、無溶媒中で(塊状重合)、または、各種の溶媒中で行うことができる。また、塊状重合、各種の溶媒中で行う重合において、重合を途中で停止させることもできる。
溶媒としては、たとえば、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒などを用いることができる。
重合は、20℃〜200℃の範囲で行うことができ、50〜150℃の範囲で行うのが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体を重合させる方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などがあげられる。これらの方法はいずれを用いてもよく、目的に応じて適宜選択する。なお、製造工程の簡便性の点からは単量体の逐次添加による方法が好ましい。
重合によって得られた反応液は、重合体と金属錯体の混合物を含有しており、これらを除去することで、アクリル系ブロック共重合体溶液を得ることができる。
このようにして得られた重合体溶液は、引き続き蒸発操作をおこない、重合溶媒及び未反応モノマーを除去する。これにより、アクリル系ブロック共重合体を単離することができる。
<アクリル系重合体(B)>
熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)を構成するアクリル系重合体(B)は、一分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を含有する重合体である。アクリル系重合体(B)は、組成物の成形時に可塑剤として流動性を向上させると同時に、成形時にアクリル系ブロック共重合体(A)中の酸無水物基やカルボキシル基とエポキシ基によって反応し、アクリル系ブロック共重合体(A)を高分子量化あるいは架橋させる。なお、ここでいうエポキシ基の個数は、アクリル系重合体(B)全体中に存在するエポキシ基の平均の個数を表す。
アクリル系重合体(B)中のエポキシ基は、アクリル系重合体(B)中に1.1個以上、好ましくは1.5個以上、更に好ましくは2.0個以上含有させる。その数は、エポキシ基の反応性、エポキシ基の含有される部位および様式、アクリル系ブロック共重合体(A)中の酸無水物基および/またはカルボキシル基の含有される数や部位および様式に応じて変化させる。エポキシ基の含有数が1.1個より少なくなると、ブロック共重合体の高分子量化反応剤あるいは架橋剤としての効果が低くなり、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性向上が不充分になる傾向がある。
アクリル系重合体(B)は、1種若しくは2種以上のアクリル系単量体を重合させるか、又は1種若しくは2種以上のアクリル系単量体とアクリル系単量体以外の単量体とを重合させることにより得られたものであることが好ましい。
アクリル系単量体としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)の項において記載したアクリル酸エステルやメタアクリル酸が挙げられる。このうち、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルのいずれか又はこれらの二以上を組み合わせて用いるのが好ましい。
アクリル系単量体以外の単量体としては、アクリル系単量体と共重合可能な単量体である限りにおいては特に制限はなく、例えば酢酸ビニル、スチレン等を用いることができる。
なお、アクリル系重合体(B)中の全単量体成分に対するアクリロイル基含有単量体成分の割合は、70重量%以上であることが好ましい。その割合が70重量%未満の場合、耐候性が低下し、アクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性も低下する傾向にある。また、その成形物に変色が生じやすくなる。
アクリル系重合体(B)の分子量は、特に制限はないが、平均重量分子量で30,000以下の低分子量のものが好ましく、500〜30,000のものがさらに好ましく、500〜10,000のものが特に好ましい。重量平均分子量が500未満の場合、成形体にべとつきが生じる傾向があり、一方、重量平均分子量が30,000を越えた場合、成形物の可塑化が不十分になりやすい。
アクリル系重合体(B)の粘度は、25℃においてコーン・プレート型の回転粘度計(E型粘度計)で測定した時、35,000mPa・s以下であるのが好ましく、10,000mPa・s以下であるのがより好ましく、5,000mPa・s以下であるのが特に好ましい。粘度が35,000mPa・sより高いと、組成物の可塑化効果が低下する傾向にある。好ましい粘度の下限は特にないが、アクリル系重合体の通常の粘度は10mPa・s以上である。
アクリル系重合体(B)のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量測定法(DSC)で測定した場合に100℃以下であるのが好ましく、25℃以下であるのがより好ましく、0℃以下であるのが更に好ましく、−30℃以下であるのが特に好ましい。ガラス転移温度Tgが100℃を超えると、可塑剤として流動性を向上させる効果が不十分になる傾向があり、また、得られる成形体の柔軟性が低下する傾向にある。
アクリル系重合体(B)は、公知の所定の方法で重合させることにより得られる。重合方法は必要に応じて適宜選択すればよく、例えば、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いる重合およびリビングラジカル重合等の制御重合等の方法により行うことができるが、耐候性や耐熱性が良好で比較的低分子量かつ分子量分布の小さい重合体が得られる制御重合が好ましく、以下に記載の高温連続重合を用いる方法がコスト面などの点でより好ましい。
アクリル系重合体(B)は、180〜350℃の温度での重合反応により得ることが好ましい。この重合温度では、重合開始剤や連鎖移動剤を使用することなく、比較的低分子量のアクリル系重合体が得られる。このため、そのアクリル系重合体は優れた可塑剤となり、耐候性も良好である。具体的には、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報及び国際公開第01/083619号パンフレットに記載された高温連続重合による方法、すなわち、所定の温度及び圧力に設定された反応器内に上記の単量体混合物を一定の供給速度で連続して供給し、その供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が例示される。
<アクリル系重合体(B)中のエポキシ基>
アクリル系重合体(B)へのエポキシ基の導入は、例えば、アクリル系重合体を構成する単量体と共重合可能なエポキシ基を有するビニル系単量体等を共重合することにより行うことが出来る。
エポキシ基を有するアクリル系重合体(B)としては、具体的には東亞合成(株)のARUFON(登録商標)XG4000、ARUFON UG4000、ARUFON XG4010、ARUFON UG4010、ARUFON XD945、ARUFON XD950、ARUFON UG4030、ARUFON UG4070などが好適に使用できる。これらは、オールアクリル、アクリレート/スチレン等のアクリル系重合体であって、エポキシ基を1分子中に1.1個以上含む。
<熱可塑性エラストマー組成物(X)>
本発明のスラッシュ成形用粉体組成物は、成形を行う際は溶融粘度が低く、溶融流動性(成形性)に優れる一方で、加熱時に熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)のブロック共重合体(A)中の酸無水物基やカルボキシル基と、アクリル系重合体(B)中のエポキシ基とが反応して、アクリル系ブロック共重合体(A)が高分子量化あるいは架橋することが好ましい。なお、耐熱性向上の点では、架橋することがより好ましい。
成形時の反応を促進させるために、熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)の原料である熱可塑性エラストマー組成物(X)には、必要に応じて、種々の添加剤や触媒を添加しても良い。たとえば、酸二無水物などの酸無水物系、アミン系、イミダゾール系等のエポキシ樹脂に一般に用いられる硬化剤を用いることが可能である。
熱可塑性エラストマー組成物(X)には、必要に応じて充填材を配合してもよい。充填材としては、特に限定されないが、機械特性の改善や補強効果、コスト面等から、無機充填材がより好ましく、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、タルクがより好ましい。
充填材を用いる場合、その添加量は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、5〜200重量部の範囲とするのが好ましく、10〜100重量部の範囲とするのがより好ましい。添加量が5重量部未満の場合には、得られる成形体の補強効果が充分でないことがあり、200重量部を超えると、得られる組成物の成形が低下する傾向にある。なお、充填材は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
必要に応じて成形性や金型からの離型性、得られる成形体の表面の低摩擦化のために、熱可塑性エラストマー組成物(X)には、必要に応じて各種滑剤を配合してもよい。
滑剤としては、たとえば、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸系ワックスなどのワックス類、低分子量ポリエチレンや低分子量ポリプロピレンなどの低分子量ポリオレフィン、ジメチルポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン、オクタデシルアミン、リン酸アルキル、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミドなどのアミド系滑剤、4フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、シリカなどを用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミドがコスト面や成形性に優れており好ましい。
滑剤を用いる場合、その添加量は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲とするのが好ましく、0.2〜10重量部の範囲とするのがより好ましい。添加量が0.1重量部未満の場合には、成形性の改善効果や得られる成形体の低摩擦化が不充分となることがあり、20重量部を超えると、得られる成形体の機械特性や耐薬品性などが悪化する傾向にある。滑剤は、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性エラストマー組成物および得られる成形体の諸物性の調整を目的として、熱可塑性エラストマー組成物(X)には、必要に応じて、上記以外の各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、安定剤、可塑剤、柔軟性付与剤、難燃剤、顔料、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤などが挙げられる。このうち、安定剤としては、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
<熱可塑性エラストマー組成物(X)の製造方法>
熱可塑性エラストマー組成物(X)の製造方法には特に制限はなく、バッチ式混錬装置や連続混錬装置を用いることにより、組成物を得ることができる。バッチ式混練装置としては、例えば、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、高剪断型ミキサーを使用できる。また、連続混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、KCK押出混練機などを用いることができる。さらに、機械的に混合し、ペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。
熱可塑性エラストマー組成物を製造するための混練時の温度は、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系重合体(B)とが反応し、成形性が低下しない温度が好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系重合体(B)とが反応して成形性が悪化する温度は、酸無水物基やカルボキシル基、エポキシ基の種類、導入量、アクリル系ブロック共重合体(A)やアクリル系重合体(B)の組成、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系重合体(B)の相溶性などによって決まる。ここで、組成物を得た後、その組成物の成形を可能とするため、混練時の温度は200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。混練時の温度が200℃を超えると、混練中に高分子量化や架橋反応が起こり、成形性が低下する傾向にある。ただし、一部に高分子量化や架橋が起こるような条件であっても、成形が可能な程度の温度であればよい。
<添加剤(C)>
熱可塑性エラストマー組成物(X)の粉砕物は、粉砕時の発熱による軟質化に伴い、互着が発生しやすくなる。また、熱可塑性エラストマー組成物(X)に限らず、粉砕物は比表面積が大きいため、一般に互着を招きやすい。互着が発生すると粉砕パウダーとして要求する特性である流動性が大幅に低下するばかりでなく、装置内での樹脂の付着等、安定運転上にも支障を来たすことが予想される。
熱可塑性エラストマー組成物(X)を粉砕する際は、粉砕前の組成物ペレット等の表面に、互着防止用の各種粉末(添加剤(C))を付着させるとよい。添加剤(C)としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルおよび金属石鹸等を用いることができる。これらは単独でまたは二以上を組み合わせて用いることができる。また、その量は、熱可塑性エラストマー組成物(X)100重量部に対して、0〜20重量部程度とする。これは、20重量部より多いと、得られる組成物粉末(Y)の機械特性に悪影響を与えるおそれがあるためである。用いる添加剤(C)の粒子径に関しては特に制限されるものではないが、粒子径が大きすぎる場合には、互着防止能力が低く、微細な場合ハンドリング性が低下することとなるため、平均粒子径0.5〜15μmのものを用いるのが好ましい。
なお、添加剤(C)は、粉砕により得られる熱可塑性エラストマー組成物粉体に大部分が残留するものの、一部は粉砕工程で脱離し、粉砕機内で分離する。
<熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)の製造方法>
熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)は、上記の方法で加工したブロック状態またはペレット状態の熱可塑性エラストマー組成物(X)に添加剤(C)を混合したものを、固定刃と回転刃による剪断作用を利用して粉砕を行う粉砕機等により粉砕することにより得る。これは、粉砕時の粉砕熱の発生を少なくして原料組成物の温度を低く保ち、粉砕を容易にするとともに、粉体同士の互着を防止するためである。
粉砕機において、固定刃又は回転刃を有する複数のディスクは、所定の間隙(クリアランス)を有した状態で設置され、固定刃と回転刃の速度差およびクリアランスのサイズにより剪断力が発生する。粉砕原料はディスク中心部より供給され、剪断作用により粉砕されながら遠心力を受けて外周方向へ移動し、ディスク外周部より取り出される。
粉砕においては、剪断力が大きいほど、またクリアランスが小さいほど粉砕能力が向上し、微小なサイズの粉砕物を得ることができる。従って、回転刃の回転数、およびクリアランス、特に最終粉砕物の最大径を決定する外周部のクリアランスを調整することにより、粉砕物の粒子径を1〜1000μmに調整する。粒子径1μm未満では粉体の凝集力が大きく、粉体の流動性が損なわれることに加え、粉塵となりやすいためハンドリングが困難となり、1000μmを超えると、粉体層内部に大きな気泡が残留しやすくなり、表皮としての意匠性が低下することとなる。
また、ディスク表面の刃の形状、配置を選択・調整することにより、粉砕物の形状をコントロールすることができる。特に刃断面をディスク中心から外周方向に配置した場合、刃の進行方向と刃断面が垂直になるため粉砕能力が低くなるため、刃断面は、ディスク中心から外周方向に対して平行に設置するよりも、ある程度傾斜をつけて設置することが好ましい。
なお、破砕を行う際は、摩擦熱が発生しないようにするか、又は摩擦熱を除去しながら破砕を行うのが望ましい。摩擦熱が蓄積した場合、ディスク表面で粉砕物の温度を上げるため、樹脂の軟化が起こる。樹脂の軟化が発生した場合、剪断作用により粉砕物が長い糸状に変化して、パウダースラッシュ用途には不向きな、流動性の低いパウダーとなる恐れがある。また、さらに温度が上がると、ディスク表面で樹脂が溶融、滞留して、粉砕が不可能となる。従って、粉砕時は、パウダーの品質を保持し、装置の運転の安定性を確保するために、温度管理を十分を行う必要がある。
摩擦熱の除去の手段としては、空冷が有効な手段となる。本方式における原料ペレットの粉砕機への供給方式としては、円筒管内の気流に乗せ移送する空気移送方式、その他コンベア方式、スクリューフィーダーなどが適用可能であり、特に制限はないが、空気を冷却媒体として使用可能な空気移送方式が最も好ましい。熱可塑性エラストマー組成物(X)は、温度が上昇すると樹脂が軟化しやすいが、空気を冷却媒体として熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)を移送することにより、温度上昇を抑制することが可能である。この場合、冷却能力は、空気の流量および温度により決定される。ただし、空気流量は、原料の供給安定性、粉砕物の移送の安定性より決定されるため、実運転では空気温度により管理が行われる。本発明のスラッシュ成形用粉体組成物を構成する熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)を粉砕する際の空気温度としては、10〜50℃とするのが好ましい。10℃未満では、冷却能力に問題はないものの、高価な冷却システムを必要とする。一方、50℃を超える温度領域では樹脂の溶融を防止できず、摩擦熱の発生を抑えるため、大幅に処理量を低下させる必要が生じる。
この他、原料ペレットに少量の水分を添加し、水の蒸発潜熱により温度上昇を防止することもできる。この場合、残存水分による製品への影響を避けるため、水分管理が必要になる。
後述するように、スラッシュ成形法では、原料粉体が無加圧下でも流動して溶融成形される必要があるため、粉砕された熱可塑性エラストマー組成物粉体(粉砕パウダー)は優れた伝熱性能を有する必要がある。粉体の伝熱性能を向上させるためには、前述した粒子径範囲で比表面積を大きくすると同時に、粉体同士の接触点を大きくする必要がある。粉体同士の接触点の大きさは、粉砕パウダーの空隙率(空隙率[%]=(1−嵩比重/粉砕パウダーの真比重)×100)でその大きさを表現した場合、70%以下であるのが好ましい。70%を超えると成形時の溶融性が悪くなり、その結果、成形体の均一性が低下したり、成形体表面および内部への気泡の残留が発生しやすくなる。すなわち、成形性が悪くなる。
<無機粒子(Z)>
本発明においては、スラッシュ成形用粉体組成物のハンドリング性の改良、耐ブロッキング性を付与するため、熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)に対して無機粒子(Z)を混合する。
無機粒子(Z)としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いる。その添加量は、0.5〜20重量部とする。0.5重量部未満では、効果が十分ではなく、また20重量部より多いと、得られるパウダーの機械特性に悪影響を与えることとなる。
無機粒子(Z)の添加方法は、特に限定するものではなく、ブレンダーで混合する方式、移送における気流中で添加する方式などを採用することができる。
用いる無機粒子(Z)に関しては、粒子径が大きすぎる場合には比表面積が小さいために添加効果が低く、微細な場合はかさ密度が低くなりすぎ、ハンドリング性が低下することとなる。このため、無機粒子(Z)は、粒子径が0.1〜30μmのものを用いる。
<スラッシュ成形用粉体組成物の成形方法>
パウダースラッシュ成形とは、組成物パウダーを高温に加熱された成形金型に流し込み、溶融成形させ、ある一定時間経過後に冷却固化された成形体を取り出す方法である。パウダースラッシュ成形では、無加圧下でも流動して溶融成形される必要がある一方、成形体は100℃以上の使用環境に曝される。このように、組成物は溶融流動性を有していなければならない一方で、成形体は高い耐熱性を有することが要求され、成形性と耐熱性とのバランスをとることが困難である。しかし、本発明のスラッシュ成形用粉体組成物は、成形前はアクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系重合体(B)が未反応の状態であり、アクリル系重合体(B)が可塑剤として効果的に働くこと、および粉体を固定刃と回転刃による剪断作用により粉砕しかつ粒子径を1〜1000μmとしたことで、良好な金型内での溶融性を示す一方で、冷却固化されるまでの一定時間内にアクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系重合体(B)が反応し、アクリル系ブロック共重合体(A)が高分子量化あるいは架橋されることによって成形後は高い耐熱性を有することとなる。このことから、パウダースラッシュ成形に好適な材料であるといえる。
本発明に係るスラッシュ成形用粉体組成物は、耐候性、耐薬品性、接着性、柔軟性、耐磨耗性、耐熱性および耐スクラッチ性のバランスに優れ、成形時の粉体流動性、粉体充填性および溶融流動性(成形性)に優れる。このため、本発明の組成物は、パウダースラッシュ成形に好適に使用することができる。また、良好なスクラッチ性を示すことから、自動車内装用表皮として好適に使用できる。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例におけるBA、MEA、MMA、TBAは、それぞれ、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸−t−ブチルを表わす。また、実施例中に記載した分子量や重合反応の転化率、各物性評価は、以下の方法に従って行った。
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex(登録商標)K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムSupelcowax−10、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度60℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約10倍に希釈し、酢酸ブチルまたはアセトニトリルを内部標準物質とした。
<ガラス転移温度>
アクリル系ブロック共重合体を構成するメタアクリル系重合体ブロックのガラス転移温度は、動的粘弾性測定において50℃から130℃における損失弾性率/貯蔵弾性率の比(Tanδ)の最大値を示す温度として測定した。
測定はJIS K−6394(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの動的性質試験方法)に準拠し、縦6mm×横5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御(株)製)を用い、測定周波数は0.5Hzとした。
<パウダーの粉体特性評価>
本実施例に示すパウダーの各粉体特性値は以下に示す分析装置で測定した。
使用機器:ホソカワミクロン(株)製パウダテスタPT−R
なお、スラッシュ成形用粉体組成物パウダーの空隙率は、パウダーの真比重(1.33)および実測して得られた嵩比重より以下の式で算出した。
空隙率[%]=(1−嵩比重/真比重)×100
<スクラッチ試験>
スラッシュ成形により得られたシートから10cm×10cmのサンプルを切り出し、台紙に貼り付けて、測定サンプルとした。以下の条件にて、スクラッチ試験を行った。
使用機器:テーバースクラッチテスタ((株)東洋精機製作所製)
回転数:0.5rpm
カッター:タングステンカーバイド、4.8mm角x19mm長、刃先半径12.7mm
カッターの向き:カッターの刃側が下になるように、カッターの長い面が上になるように取り付けた。
荷重1Nで試験を行い、目視で観察し、以下の規準で評価した。
正面から見て傷がよく分からないもの;○
正面から見て若干傷が認められるもの;△
白化やえぐれなど明らかに傷が認められるもの;×
<耐エタノール性試験>
本実施例および比較例に示す耐エタノール性は以下に示す条件で測定した。
実施例および比較例にて作成した、シボ模様のシートを平面に設置し、ピペットにてエタノール(和光純薬(株)製)を純水にて50重量%に希釈した溶液を1滴滴下し、24時間室温で放置した。その後表面を目視で観察し、以下の規準で評価した。
跡のないもの;○
跡がみとめられるが白化はないもの;△
白化がみとめられるもの;×
<耐油性試験>
本実施例および比較例に示す耐油性は以下に示す条件で測定した。
実施例および比較例にて作製したシボ模様のシートを平面に設置し、これにピペットにて流動パラフィン(ナカライテスク(株)製)を1滴滴下し、100℃で24時間放置した。その後、流動パラフィンをキムワイプ(登録商標)((株)クレシア製)でふき取り、表面を目視で観察し、以下の規準で評価した。
跡のないもの;○
跡がみとめられるが白化はないもの;△
白化がみとめられるもの;×
<耐熱性試験>
本実施例および比較例に示す耐熱性は以下に示す条件で測定した。
実施例および比較例にて作成した、シボ模様のシートを120℃で24時間放置した。その後、表面を目視で観察し、以下の規準で評価した。
シボ模様の変化が認められないもの;○
シボ模様の変化は明確でないものの、初期に比べ表面光沢が増したもの;△
シボ模様の変化が認められるもの;×
<ウレタン接着性試験>
実施例に従って組成物をスラッシュ成形して表皮材を、あらかじめ40℃に設定したウレタン発泡型(縦140mm×横200mm×高さ10mmの蓋付容器、SUS304製)に表皮材のシボ面を下にしてセットした。ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製 CEI−264)17gおよびポリオール(三洋化成工業(株)製、HC−150)34gを室温で10秒ハンドミキサーにより攪拌し、表皮材がセットされたウレタン発泡型に注入後、蓋をして2.5分間、発泡を行った。発泡終了後、発泡型からサンプルを取り出し、24時間室温で養生の後、発泡ウレタンから表皮材を手で剥離させて破壊の状態を観察し、以下の規準で評価した。
ウレタン材料で破壊が起こっているもの;○
一部シートとウレタンの界面で破壊が起こっているもの;△
シートとウレタンの界面で破壊が起こっているもの;×
<溶融性>
得られた成形シートのシボ面及び成形裏面観察を行い、以下の規準で評価した。
シボ転写性が良好で、ピンホール/気泡がないもの:○
シボ転写性が良好で、ピンホール/気泡がないが金型周辺部で一部認められるもの:△
シボ転写性が良好でないか、ピンホール/気泡が金型中心部でも認められるもの:×
<粉体流動性>
得られた成形シートの裏面観察を行い、以下の規準で評価した。
金型コーナー部及びリブ裏側への粉体充填性が良好なもの;○
金型コーナー部及びリブ裏側の一部で粉体充填性が不十分なもの;△
金型コーナー部及びリブ裏側の大部分で粉体充填性が不十分なもの;×
(製造例1)
アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体の合成
アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅688g(4.80モル)、BA78400g(612モル)およびTBA2870g(22.4モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1320g(3.69モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7140gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.2g(0.480モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBA、TBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計166g)添加した。
BAの転化率が99.1%、TBAの転化率が99.3%の時点で、MMA48300g(482モル)、EA7840g(78.3モル)、塩化銅475g(4.80モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン83.2g(0.480モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)104000gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
MMA、EAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、EAの転化率を決定した。MMA、EAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計499g)添加した。MMAの転化率が95.9%の時点でトルエン250000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは53100、分子量分布Mw/Mnは1.46であった。
得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を2190g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業(株)製ラヂオライト#3000を6570g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離した。
濾過後のブロック共重合体溶液約450kgに対し、キョーワード500SH1310gを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)675gを添加、溶解した。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発させた。蒸発機は(株)栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにしてアクリル系ブロック共重合体(A)前駆体のペレットを作製した。
(製造例2)
上記で得られたアクリル系ブロック共重合体(A)前駆体100重量部に対して、酸トラップ剤としてハイドロタルサイトDHT−4A−2(協和化学工業(株)製)1重量部を配合し、ベント付二軸押出機(44mm、L/D=42.25)((株)日本製鋼所製)を用い、150rpmの回転数、ホッパー設置部分のシリンダー温度を100℃とし、その他は全て260℃に温度設定で押出混練して、目的の酸無水物基およびカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体を得た。押出し時は、ベント口は塞いた。また、この時、二軸押出機の先端に水中カットペレタイザー(GALA INDUSTRIES INC.製CLS−6−8.1 COMPACT LAB SYSTEM)を接続し、水中カットペレタイザーの循環水中に防着剤としてアルフロー(登録商標)H−50ES(日本油脂(株)製)を添加することで、防着性のない球形状のアクリル系ブロック共重合体1(アクリル系ブロック共重合体(A))のペレットを得た。
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換効率測定は、280℃熱分解反応によりt−ブチル基から発生するイソブチレン量を定量することにより行った。測定の結果、得られた樹脂の変換効率は95%以上であった。得られたアクリル系ブロック共重合体1のメタアクリル系重合体ブロック(a)のTgは、101℃であった。
(製造例3)
試薬量を以下のように変更した以外は、製造例1に準じてアクリル系ブロック共重合体2を製造した。
BA80.5kg及び臭化第一銅0.648kgを仕込み、攪拌を開始した。その後、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル0.904kgをアセトニトリル7.06kgに溶解させた溶液を仕込み、ジャケットに温水を通水し、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間撹拌した。内温が75℃に到達した時点でペンタメチルジエチレントリアミン94.4mLを加えて、第一ブロックの重合を開始した。
BAの転化率が90%に到達したところで、トルエン80.0kg、塩化第一銅0.447kg、MMA43.2kg及びペンタメチルジエチレントリアミン94.4mLを加えて、第二ブロックの重合を開始した。MMAの転化率が92%、BAの転化率が98%に到達したところで、トルエン220kgを加えて反応溶液を希釈すると共に反応機を冷却して重合を停止させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnが68300、分子量分布Mw/Mnが1.37であった。
その後は製造例1と同様にして、アクリル系ブロック共重合体2の円柱状のペレットを得た(アクリル系ブロック共重合体(A))。得られたアクリル系ブロック共重合体2のメタアクリル系重合体ブロック(a)のTgは、96℃であった。
(実施例1)
製造例2で得られたアクリル系ブロック共重合体(A)としてのアクリル系ブロック共重合体1 100重量部(100Kg)に対し、アクリル系重合体(B)としてのARUFON XG4010(東亞合成(株)製、オールアクリルで、エポキシ基を1分子中に1.1個以上(概算値4個(カタログより))含有)10重量部、炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、ソフトン3200)43重量部、カーボンブラック(旭カーボン(株)製、旭#15)1.4重量部、滑剤(日本油脂(株)製、牛脂極度硬化油)の割合で、ベント付二軸押出機LABOTEX30HSS((株)日本製鋼所製)を使用して、シリンダー温度80℃、スクリュー回転数100rpmでストランドとして排出し、引き続きペレタイザーにより円柱状のペレットとした。
引き続きペレットの粉砕処理を実施した。試験設備の概略図を図1に示す。粉砕機は三井鉱山(株)製CUM300(ディスク径300mm、モーター出力18.5kW)を用いた。原料ペレットは、電磁フィーダー1を経由して、粉砕機2へ供給される。原料ペレット及び粉砕物は、ブロアー4により発生する気流により移送される。粉砕物はサイクロン3で捕捉され回収される。サイクロンを通過した微粒子はバグフィルター5により回収される。
粉砕機のディスク回転数を7000rpmに設定し、回転が安定した後、ペレット100重量部に対して6重量部のシリカ粉末(添加剤(C))((株)龍森製、マイクロ結晶性ソフトシリカA−10)をペレット表面に付着させ、粉砕処理を実施し、パウダー状サンプルを得た。得られたパウダーをさらにステンレス製のメッシュ(22メッシュ、710μm)を用いて篩い、均一なパウダー(熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y))を得た。なお、組成分析の結果、添加したシリカ粉末のうち、1重量部は粉砕パウダーから脱落していた。
得られたパウダーに、常温で無機粒子(Z)としてのシリカ粉末((株)龍森製、マイクロ結晶性ソフトシリカA−10、平均粒子径2.6μm)2重量部をブレンダーを用いてパウダーに添加し、スラッシュ成形用粉体組成物を得た。
得られたスラッシュ成形用粉体組成物を用いて、図2に示す自動車インストルメンタルパネル用小型スラッシュ成形品を成形評価した。なお、成形品に溝をつけるために金型側にリブが設けられており、スラッシュ成形においてパウダーが廻り込みにくくなっている。溝の形状は図3に示す。条件は、パウダーを6Kg投入し、260℃に加熱した自動車インストルメンタルパネル用小型スラッシュ成形用金型をスラッシュ成形機にセットした後、250℃まで冷却した。金型が250℃となった時点で、時計回りに7.6rpmで1回転させた後、すぐに同様の回転数で反転させた。この後、余剰の該組成物を振り落とし60秒間経過した時点で金型を冷却水で40秒冷却した。さらに空冷を行い、シート温度が50℃まで達した時点で、シートを金型から剥がし、成形シート(厚み1.0mm)を得た。得られた成形体シートを評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の無機粒子(Z)としてのシリカ粉末を添加しない以外は実施例1と同様に操作を行って粉体組成物を得て、同様にパウダースラッシュ成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
製造例3で得られたアクリル系ブロック共重合体(A)としてのアクリル系ブロック共重合体2(100重量部)に対し、炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、ソフトン3200)43重量部、カーボンブラック(旭カーボン(株)製、旭#15)1.4重量部の割合で、ベント付二軸押出機LABOTEX30HSS((株)日本製鋼所製)を使用して、シリンダー温度100℃、スクリュー回転数100rpmでストランドとして排出し、引き続きペレタイザーにより円柱状のペレットとした。
得られたペレット100重量部に対して、6重量部のシリカ粉末((株)龍森製、マイクロ結晶性ソフトシリカA−10)をペレット表面に付着させ、図1の粉砕機(三井鉱山(株)製UCM150)を用いて粉砕処理を実施し、パウダー状サンプルを得た。得られたパウダーをさらにステンレス製のメッシュ(22メッシュ、710μm)を用いて篩い、均一なパウダーを得た。
得られたパウダーを実施例1と同様にパウダースラッシュ成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006274079
実施例1と比較例2を比較してわかるように、パウダースラッシュ成形時に架橋反応する本発明のスラッシュ成形用粉体組成物は、スラッシュ成形時の溶融流動性および粉体流動性が良好であると同時に、耐薬品性および耐油性も優れている。また、ウレタンフォームとの接着性、耐磨耗性および耐スクラッチ性も良好な材料となっている。さらに、実施例1と比較例1とを比較することより、無機粒子を混合することで、粉体流動性が改善され、その結果、成形時の金型へのスラッシュ用パウダーの充填性が向上していることがわかる。これは、複雑な形状の表皮材であっても、形状発現性よく作製可能であることを示している。
以上のように、得られたシートは耐熱性、耐磨耗性、触感に優れるほか、ポリウレタン接着性にも優れており、自動車用表皮材として好適であることが分かる。
なお、固定刃と回転刃による剪断作用以外の方法で粉砕を行った場合、粒子径1〜1000μmの熱可塑性エラストマー組成物粉体を得るのは困難であり、得られた組成物は、スラッシュ成形時の溶融流動性および粉体流動性に劣っていた。
本発明の熱可塑性エラストマー粉体組成物から得られた成形体は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、接着性、柔軟性、耐磨耗性等に優れることから、表皮材料、タッチパネル等の触感材料、外観が重要視される材料、耐磨耗性材料、耐油性材料、制振材料、粘着材料のような目的を有する材料として、また、パネル類、ハンドル類、グリップ類、スイッチ類のような部品として、さらにそれ以外にもシーリング部材として用いることができる。形状はシート状、平板状、フィルム状等任意の形状とすることが可能である。用途としては、自動車内装用表皮に好適に使用される。
本発明に用いた粉砕機の概略構成図 自動車用インストルメンタルパネル用スラッシュ成形品の概略構成図 図2のスラッシュ成形品のA−A断面図
符号の説明
1…電磁フィーダー
2…粉砕機
3…サイクロン
4…ブロアー
5…バグフィルター

Claims (3)

  1. メタアクリル系重合体を主成分とし、ガラス転移温度が50〜130℃であるメタアクリル系重合体ブロック(a)15〜50重量%と、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%とこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステルおよび/又はビニル系単量体50〜0重量%からなり、酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系重合体ブロック(b)85〜50重量%とからなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が30,000〜200,000であるアクリル系ブロック共重合体(A)、および1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)からなる熱可塑性エラストマー組成物(X)100重量部に対して、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルおよび金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)0〜20重量部を混合し、固定刃と回転刃による剪断作用により粉砕して得られた粒子径1〜1000μmの熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)と、該熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)100重量部に対して、0.5〜20重量部の粒子径0.1〜30μmの無機粒子(Z)とを混合してなるスラッシュ成形用粉体組成物。
  2. 前記熱可塑性エラストマー組成物粉体(Y)の空隙率が70%以下である請求項1に記載のスラッシュ成形用粉体組成物。
  3. 請求項1または2に記載のスラッシュ成形用粉体組成物をパウダースラッシュ成形してなる自動車内装用表皮。
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