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JP2006063048A - 硫化アルケンの製造方法 - Google Patents

硫化アルケンの製造方法 Download PDF

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篤 石原
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衛華 銭
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利明 加部
Shigeru Yamada
滋 山田
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Abstract

【課題】 生成硫化アルケンとの分離が容易であり、かつ繰り返し使用可能であり従来の触媒と同一触媒量での対比において、短時間における反応での収率が飛躍的に高い硫化アルケンの製造方法を提供する。
【解決手段】 アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、水素イオンと、アルカリ金属イオンとを含有するX型またはY型ゼオライトを用いることを特徴とする硫化アルケンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、硫化アルケンを、アルケン、硫化水素および硫黄から製造する方法に関するものであり、より具体的には、触媒として、水素イオンと、アルカリ金属イオンとを含有する、イオン交換処理されたX型ゼオライトまたはY型ゼオライトを用いて硫化アルケンを製造する方法に関する。
ジアルキルポリスルフィドに代表される硫化アルケンは硫黄架橋数の異なるポリスルフィドの混合物からなり、硫黄架橋数の大きなものは脱硫触媒の予備硫化剤として、また硫黄架橋数の小さなものは金属どうしの摩擦面での磨耗減少および焼き付きを防止する硫黄系極圧添加剤として、切削油、塑性加工油、ギア―油、摺動面油、グリースなどに幅広く利用されている。
硫化アルケンを製造するための多くの方法が知られている。代表的なものとして塩基触媒存在下でメルカプタンと硫黄を反応させる方法がある。しかしながら、この方法では原料として、アルケンやアルコールから合成されるメルカプタン類を使用するため工業的には不利である。
上記したのと別の製造方法としてアルケン、硫化水素および硫黄を原料とする方法がある。この方法は安価なアルケンを原料とするため、メルカプタン類を使用する方法に比べて、工業的には有利である。
この方法では、触媒としてアミン、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物等の塩基性触媒が有効であり、特にアミン触媒が高活性であることが知られている(例えば、特許文献1、2、3、4、5、6、7及び8参照。)。
しかしながら、活性の高いアミン系均一触媒を用いる場合、反応操作後に生成した硫化アルケンからの触媒の分離が困難であり、この残存アミンは長期間貯蔵すると濁りや沈殿の原因となり、製品外観の透明性に悪影響を及ぼす。また、脱硫触媒の予備硫化剤として使用する際には触媒の被毒物質となることから、この方法では生成硫化アルケンからアミン触媒を分離することが大きな課題となる。
固体触媒を用いるアルケン、硫化水素および硫黄からのジアルキルポリスルフィドの合成法としては、X型、Y型、L型ゼオライトまたはモルデン沸石を用いる方法、固体塩基触媒と固体酸触媒の共存系での方法が知られている(特許文献9および10参照。)。しかしながら、X型ゼオライト等はジアルキルポリスルフィドの合成反応において、活性が不充分であった。しかも、これらの製造方法は長い反応時間を要し、かつポリスルフィドの硫黄架橋数分布についても検討されておらず、改良の余地を残しており、工業的には未だ満足すべきものではない。
米国特許第419549号明細書 特開昭53−52510号公報 特開昭55−38819号公報 特開昭62−240387号公報 特開昭63−245493号公報 特開昭63−500949号公報 特開平2−28145号公報 特開昭58−132089号公報 特開2001−354643公報 特開2001−354644公報
本発明は、アルケン、硫化水素および硫黄からの硫化アルケンの製造方法において、X型ゼオライト等と同様に生成硫化アルケンとの分離が容易であり、かつ繰り返し使用可能であり、同一触媒量においてX型ゼオライト等より更に高い活性を有するゼオライトを見い出し、短時間における反応での収率が飛躍的に高い硫化アルケンの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を進め、前記課題を解決するため固体触媒を用いてアルケン、硫化水素、および硫黄から硫化アルケンを製造する方法を見出した。
即ち本発明は、アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、水素イオンと、アルカリ金属イオンとを含有するX型またはY型ゼオライトを用いることを特徴とする硫化アルケンの製造方法を提供するものである。
本発明は、アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、水素イオンと、アルカリ金属イオンとを両方含有するX型またはY型ゼオライトを用いるので、X型ゼオライト等より更に高い活性を有し、X型ゼオライト等と同様に、生成硫化アルケンとの分離が容易であり、かつ繰り返し使用可能であり従来の触媒と同一触媒量での対比において、短時間における反応での収率を飛躍的に高く硫化アルケンを製造できるという格別顕著な効果を奏する。
本発明においては、水素イオンと、アルカリ金属イオンとを両方含有するX型またはY型ゼオライトを、触媒として、硫化アルケンの製造に適用する。
ゼオライトとは、一般式 M2/n・Al23・aSiO2・bH2O(Mはカチオン、nはその価数であり、bは結晶水の量を示し、aは整数である。)で表される化合物である。X型ゼオライトやY型ゼオライト自体は公知であり、例えば、R.Szostak,Van NostrandおよびReinholdの“Handbook of Molecular Sieves”(1992年、ニューヨーク)に記載されている。水和状態でのX型ゼオライトの基本単位は、通常、直径0.74nmの細孔を有するNa86・[(AlO86・(SiO106]・264Oの化学組成を有する。一方、水和状態でのY型ゼオライトの基本単位は、通常、直径0.74nmの細孔を有するNa56・[(AlO56・(SiO136]・264Oの化学組成を有する。
これら各ゼオライトとしては、カチオンMがNa+である各ゼオライトだけでなく、Li+、K+、Rb+、Cs+からなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属イオンを含有するゼオライトがある。
本発明で触媒として用いるゼオライトは、水素イオンと、アルカリ金属イオンとを含有するX型またはY型ゼオライトである。これは、水素イオンを含有しないがアルカリ金属イオンを含有するX型またはY型ゼオライトの前記カチオンMの少なくとも一部が水素イオンで置換されたX型またはY型ゼオライトである。
この様なX型またはY型ゼオライトのうち、カチオンMとして水素イオンを含有する(プロトンを含有する意味でプロトン型と言う。)X型またはY型ゼオライトは酸性を示し、カチオンMとしてLi+〜Cs+を含有するX型またはY型ゼオライトは塩基性を示す。
以下、本発明においては、これら水素イオンと、アルカリ金属イオンを含有するX型ゼオライトと、同Y型ゼオライトを総称して、特定ゼオライトと言うこととする。本発明では、この特定ゼオライトを触媒として用いる。
水素イオンと前記金属イオンとの両方を含有する特定ゼオライトは、前記両方の性質を持ち、酸および塩基の相乗的な効果が期待される反応の触媒に適している。特定X型または特定ゼオライトは、例えば、通常のX型またはY型ゼオライトとアンモニウム塩を含有する水溶液とを混合し加熱を行い、ゼオライト中のナトリウムイオンをアンモニウムイオンとなる様にイオン変換してアンモニウムイオン型ゼオライトとした後、これとゼオライト中のアンモニウムイオンの当量以上のナトリウム塩を含有する水溶液とを混合し濾別を行いアンモニウムイオンの適当量がナトリウムイオンとなったゼオライトを得て、次いでこれの焼成を行って、ゼオライト中のナトリウムイオンの適当量を水素イオンとなる様に変換することで調製することが出来る。
本発明で使用する特定ゼオライトを調製する際の原料のゼオライトは、市販のもので良く、粉末状のもの、またはアルミナなどのバインダーで成型したものの何れでも良い。イオン交換などの修飾処理は、公知慣用の方法で行うことができる。ゼオライト中のカチオンMを、水素イオンに変換する際に用いるアンモニウム塩やナトリウム塩は、目的とするイオン交換程度に応じてその使用量を調節すれば良い。また、イオン交換のための加熱や焼成は、ゼオライト中のイオン交換程度や分解如何の有無等を観察しながら行う様にする。勿論、1回の処理で意図した目的物が得られない場合には、同じ処理を繰り返して行ってもよいし、処理濃度や処理温度を高めたり、処理時間を延ばして調節することにより目的物を得ることが出来る。特定X型または特定Y型ゼオライトに含まれる水素イオンの含有率は、例えば、XRF(蛍光X線)分析や原子吸光分析により求めることが出来る。
特定ゼオライトとしては、それを触媒として用いた際の同一使用量の対比で、水素イオンと共に含まれるアルカリ金属イオンが、ナトリウムであるX型またはY型ゼオライトが、生成硫化アルケンの収率がより高いので好ましく、リチウムであるX型またはY型ゼオライトが、生成硫化アルケンの収率が最も高いので好ましい。水素イオンへのイオン交換に伴うX型またはY型ゼオライトの生成硫化アルケンの収率に与える影響は、アルカリ金属がナトリウムであってもリチウムであっても同じ傾向があるが、その絶対値をとってみれば、リチウムの方がより優れる傾向が見られる。
この様な特定ゼオライトとしては、そこに含まれる水素イオンとアルカリ金属イオンの比(H+/M+)が0.1〜4.0の範囲のX型またはY型ゼオライトは、生成硫化アルケンの収率がより高いので好ましい。
本発明おける硫化アルケンの製造方法は、アルケン、硫化水素および硫黄の反応が特定ゼオライトの存在下で一段で行われることを特徴とする。
本発明の製造方法ではアルケンを硫化して硫化アルケンを製造する。アルケンは少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有する化合物である。本発明で用いられるアルケンとしては、例えば、イソブチレン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレンまたはテトラプロピレンの鎖状アルケンのほか、シクロペンテン、シクロヘキセンの環状アルケンが挙げられる。しかしながら、アルケンとしては、例えば、イソブチレン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレンまたはテトラプロピレンからなる群から選ばれる一種の鎖状アルケンを用いることが好ましい。
硫黄は、ペレットまたは粉末状の固体形態または液状形態で用いてもよい。液状形態としては、溶媒に溶解した溶液状態やそれ自体の溶融状態が挙げられる。硫黄/アルケンのモル比は、0.3〜3.0好ましくは0.5〜2.5とすることができる。
硫化水素は、それ自体を用いても良いし、必要であれば、不活性ガスで希釈して用いても良い。硫化水素/アルケンのモル比は、0.3〜2.5好ましくは0.5〜2.0とすることができる。
硫化アルケンを製造するための本発明による反応は、各種の反応器、例えば、撹拌器を備えたバッチ式、硫黄を液状で供給する固定床流通式、または硫黄を硫化アルケンに溶解して液状で供給する固定床流通式のいずれの反応器でも操作することができる。特定ゼオライトは、この際に、硫化アルケンを製造する際の固定床に充填して用いることが好ましい。
バッチ式反応器を用いる場合、触媒としての特定ゼオライト量はアルケン量の0.2〜12重量%相当量で、好ましくは4〜10重量%相当量の範囲である。
反応は、硫黄が溶融して適度の粘性を持つ範囲の温度で行うことが好ましく、使用するアルケンに応じて調節すれば良いが、通常120〜140℃の範囲で行うことが好ましい。反応全圧は特に制限されるものではないが、0.2〜3.4MPaの範囲とすることが好ましい。
本発明で用いる特定ゼオライトは、アミン系均一触媒と異なり、著しい失活は起こらないので、繰り返し使用できる。そのため、上記したような流通式の反応器を用いることにより、触媒交換頻度等をより低減させた連続反応や循環反応を行うことができ、バッチ式反応器を用いる場合よりも硫化アルケンを生産性高く製造することができる。勿論、バッチ式反応器を用いる場合、反応操作終了後、触媒から、付着している生成物等を分離して再使用することもできる。
本発明で用いる特定ゼオライトは、アミン系均一触媒より優れた特徴を有しているX型ゼオライトやY型ゼオライト等の良い点を保持したまま、イオン交換サイトがより多く存在し、それらよりも更に高い活性を有している。そのため、特定ゼオライトを用いる本発明の製造方法では硫化アルケンがより高収率で得られる。
製造された硫化アルケンは、元素分析、硫黄分析、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)、FD−MS(電界脱離イオン化質量分析計)、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)および13C−NMR(炭素13核磁気共鳴スペクトル)、およびFT−IR(フーリエ変換赤外線吸収スペクトル)の測定から、総合的にその性状を調べることができる。
また、硫化アルケンの元素分析および硫黄分析から元素組成比を、HPLCとFD−MSの組み合わせで硫黄架橋数の範囲(定性的分布)を各々決めることができる。
13C−NMRおよびFT−IRの測定からは、ジアルキルポリスルフィドのアルキル基の構造を推測することができる。
原料アルケンとしてイソブテンを用いた場合に本発明の製造方法で得られる硫化アルケンである、ジ−tert−ブチルポリスルフィドは、生成ジ−tert−ブチルポリスルフィドのプロトンすべてがメチルプロトンであることから、1H−NMRスペクトル図の化学シフトδ1.31〜1.44ppmのシグナルが硫黄架橋数に対応し、GrantとWazerの帰属(Grant,D.,Van Wazer,J.R.,J. Am.Chem.Soc.,86,3012(1964))に準拠して、ジ−tert−ブチルポリスルフィドの硫黄架橋数分布を求めることができる。
本発明の製造方法により得られた硫化アルケンは、硫黄架橋数の異なるジアルキルポリスルフィドの混合物である場合が一般的である。触媒使用量一定の条件において、原料硫黄を減らすと、硫化アルケン全体の収率はやや低下するが、ジアルキルポリスルフィドの硫黄架橋数分布をよりシャープとすることができ、しかもジアルキルポリスルフィドの平均架橋数を低い方にシフトさせることができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<X型ゼオライト触媒の調製>
X型ゼオライトの基準触媒として市販のモレキュラシーブ13X(西尾工業(株)製MS13X)の1/16inch押出し成型体(以下、Na+Xと言う。)を用いた。Na+Xの比面積は485m2/gで、組成は重量基準で、SiO2:48.25、Al23:37.22、Na2O:12.82、K2O:0.75、Fe23:0.28、その他:0.68%であった。前記Na+Xの1g当たり20mlの2.5NのNH4NO3溶液を加え、100℃、3時間でイオン交換を行った。この操作を5回繰り返した後120℃、3時間乾燥してNH4 +(アンモニウムイオン)型MS13X(NH4 +X)とした。
Na+XのNa+の一部をH+で交換した特定ゼオライト(触媒)を以下のようにして調製した。前記NH4 +XにそのNH4 +量の1〜6倍相当量のNaNO3を含む2.5Nの水溶液を加え、常温で24時間撹拌した後濾別する操作を2回行った。ついで、120℃で3時間乾燥後、空気流通下400℃で3時間焼成した。こうして、Na+XのNa+の62%、28%、18%および7%をH+で交換した各触媒として、H+(62%)Na+X、H+(28%)Na+X、H+(18%)Na+XおよびH+(7%)Na+Xをそれぞれ得た。尚、Na+のH+への交換率は、触媒のXRF(蛍光X線)分析または原子吸光分析で確認した。
LiNO3水溶液を用いる以外は上記と同様にして、Li+XのLi+の一部をH+で交換した特定ゼオライトH+(30%)Li+Xを調製した。Li+のH+への交換率は、幾つかのイオン交換条件からの推算値である。
比較例1
<バッチ反応器による硫化アルケンの合成反応>
前記のX型ゼオライト触媒Na+X0.25gを用いて、バッチ式反応装置を用いてイソブテン、硫化水素および硫黄からの硫化アルケン合成反応を行った。反応器本体は50mlオートクレーブであり、硫化水素ボンベとはステンレス管で接続されている。反応操作は次の通りである。
オートクレーブ内に触媒Na+X、硫黄、撹拌子およびイソブテンを封入したアンプルを入れて閉じた。つぎに、オートクレーブに硫化水素を導入し、徐々に大気圧まで除圧して内部の空気を硫化水素で共洗いするかたちで除いた。 ついで硫化水素を所定圧力まで導入した。その後、オートクレーブを上下に激しく振り、アンプルの先端をオートクレーブ内の上部に当てて割り、封入したイソブテンを内部に開放した。つぎに、オートクレーブを電気炉に装着し昇温を始め、所定温度に達した時点で撹拌を開始して反応開始時間とした。主要な反応条件は、仕込み原料としてイソブテン3.03g、硫化水素約0.96g、硫黄3.20g、反応温度125℃、反応時間1時間である。
所定反応時間経過後オートクレーブを水に浸し急冷した。その後、未反応ガス、ポリスルフィドを含む液状生成物、液状生成物が付着した触媒、撹拌子、アンプル残骸および未反応の硫黄をそれぞれ分取した。使用した触媒の重量はNa+X基準の重量で表示した。 原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
使用したNa+Xを同量のH+(62%)Na+Xに変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。反応実験データを表−1に示した。
使用したNa+Xを同量のH+(28%)Na+Xに変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。反応実験データを表−1に示した。
使用したNa+Xを同量のH+(18%)Na+Xに変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。反応実験データを表−1に示した。
使用したNa+Xを同量のH+(7%)Na+Xに変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。反応実験データを表−1に示した。
使用したNa+Xを同量のH+(30%)Li+Xに変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。反応実験データを表−1に示した。
比較例2
比較例1の条件で、Na+Xに代えてジシクロヘキシルアミン(DCHA)触媒を用いた反応を実施した。使用したNa+Xを0.021gのDCHAに変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、実施例の結果と併せて表−1に示した。
表−1
Figure 2006063048
表−1からわかる通り、水素イオンとアルカリ金属イオンとを含有するX型またはY型ゼオライトからなる触媒は、水素イオンを含有しないアルカリ金属イオンだけを含有するX型またはY型ゼオライトからなる触媒やDCHA触媒を越える活性をもつ上、DCHA触媒で問題になる、繰り返し使用ができないこと、反応操作後に生成した硫化アルケンからの触媒の分離が困難であること、この残存触媒に起因する長期間貯蔵後の濁りや沈殿がなく、製品外観の透明性に悪影響を及ぼさないこと等が判る。
<生成ポリスルフィドの性状>
前記バッチ反応実験で得られた表−1の生成硫化アルケン(液状生成物)の元素分析および硫黄分析を実施し、HPLC、質量分析(電界脱離イオン化質量分析計)、13C−NMR、およびFT−IRの測定を実施して、各種触媒とアミン触媒DCHAでの同様の生成硫化アルケンの性状を比較した。特定ゼオライト系で得られた生成硫化アルケンはジ−tert−ブチルポリスルフィドの混合物であることが判った。1H−NMRの測定結果から算出した硫黄架橋数分布を表−2に示す。生成ポリスルフィドの硫黄架橋数はS〜Sに分布し、平均架橋数は3.4〜4.0の範囲にあることがわかる。
表−2
Figure 2006063048
<固定床流通式反応器による硫化アルケンの合成>
上記の実施例2の触媒と、固定床流通式反応器(内径7.4mm、長さ125mm)とを用いて硫化アルケンを得るべく、反応実験を行った。触媒を固定床に充填し、硫黄をポリスルフィド(硫黄架橋数分布:S〜S、平均硫黄架橋数:4.0)に120℃で溶解してポリスルフィド/硫黄(重量比)= 4となるようにし、これをポンプで供給し、イソブテンと硫化水素の流量をマスフローコントローラーで制御してそれぞれ供給する方式で、反応器内において硫化アルケンの合成反応を実施した。
主要な反応条件は、硫黄・ポリスルフィド供給速度5.2ml/時間、イソブテン供給速度20 STPml/分、硫化水素供給速度10 STPml/分、触媒量3.0g、反応温度130℃、反応圧力0.4MPaとした。そして、通液/通気期間を、1時間区切りで1時間超〜4時間まで反応のモニタリングを行った。反応の結果を表−3に示した。
表−3
Figure 2006063048
3つの各通液/通気時間帯において、硫黄、イソブテン、及び硫化水素と反応して、反応のために供給した硫化アルケンとほぼ同量の硫化アルケンが生成した。しかも、通液/通気時間が長くなっても、触媒は経時的に著しい失活は見られず、硫化アルケンの収率は高水準を保持しており、触媒の交換頻度を低下できることが判かった。しかも、触媒と生成物等との分離も容易である。これらの特徴は、DCHAのようなアミン系均一触媒では達成できない顕著なものである。

Claims (6)

  1. アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、水素イオンと、アルカリ金属イオンとを含有するX型またはY型ゼオライトを用いることを特徴とする硫化アルケンの製造方法。
  2. 前記X型またはY型ゼオライトが、そこに含まれる水素イオンとアルカリ金属イオンの比(H+/M+)が0.1〜4.0の範囲のX型またはY型ゼオライトである請求項1記載の製造方法。
  3. 硫黄/アルケンのモル比が0.5〜2.5の範囲である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 硫化水素/アルケンのモル比が0.5〜2.0の範囲である請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。
  5. アルケンが、イソブチレン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレンまたはテトラプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも一種の鎖状アルケンである請求項1〜4のいずれか一項記載の製造方法。
  6. 固定床に充填された請求項1または2記載のX型またはY型ゼオライトに、請求項3または4記載の条件で、硫化アルケンに溶解した硫黄と、アルケンおよび硫化水素を供給して反応させる硫化アルケンの製造方法。
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