JP2005011841A - 垂直接合型有機光起電力装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池セルで、照射した光がpn接合近傍の活性域で多く吸収され、かつ、内部抵抗が低くなるようにする。
【解決手段】電極16,18の間にp型有機半導体層12とn型有機半導体層14とからなるpn接合15が挟み込まれて形成されている。pn接合15は光照射面12a,14aに端辺を有し、光照射面12a,14aに対し垂直方向に形成されている。pn接合近傍で発生した正負キャリアは全て光のあたっているセル表層部分(表面から光が侵入できる厚さ部分)12a,14aを通って左右の電極16,18に収集される。
【選択図】 図1
【解決手段】電極16,18の間にp型有機半導体層12とn型有機半導体層14とからなるpn接合15が挟み込まれて形成されている。pn接合15は光照射面12a,14aに端辺を有し、光照射面12a,14aに対し垂直方向に形成されている。pn接合近傍で発生した正負キャリアは全て光のあたっているセル表層部分(表面から光が侵入できる厚さ部分)12a,14aを通って左右の電極16,18に収集される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機光エレクトロニクスデバイスに関し、特に光伝導性を持つ有機半導体を用いたpn接合型光起電力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機半導体を用いたpn接合型光起電力装置は有機太陽電池と呼ばれ、pn接合で生成させた光キャリアを電流として取り出している。典型的な例は、図13に示されるものであり、p型有機半導体層2としてのフタロシアニンH2Pcと、n型有機半導体層4としてのペリレン誘導体Me−PTCとが積層されてpn接合5を形成しており、電極6,8間に挟み込まれている。10は支持基板としての透明ガラス基板である。p型有機半導体層2に接する電極6としては金(Au)電極が使用され、n型有機半導体層4に接する電極8としてはITO(酸化インジウム錫)透明電極が使用されている。光は透明電極8を通してpn接合5に入射する(非特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、このように、光照射される光照射面に対してpn接合5が平行になるように配置されているタイプの有機太陽電池は、光キャリア生成の活性領域厚さが非常に薄く、pn接合5の両側に数十nmあるにすぎないだけでなく、素子の内部抵抗が非常に高いといった特性から、光電エネルギー変換効率は1%以下であり、実用化にはほど遠い値であった。
また、pn接合セルを2個以上積層したタンデム化セルの試みもある(非特許文献2参照。)が、変換効率の大幅な向上には結びついていなかった。
【0004】
【非特許文献1】
C. W. Tang, Appl. Phys.Lett., 48, 183 (1986).
【非特許文献2】
M. Hiramoto, M. Suezaki, M. Yokoyama, Chem. Lett.,1990, 327 (1990).
【非特許文献3】
M.Hiramoto, H. Fukusumi, M. Yokoyama, Appl. Phys. Lett., 61, 2580 (1992).
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機太陽電池の効率が悪い大きな原因は、先に述べたように、(1)光キャリア生成の活性領域厚さが非常に薄いことと、(2)内部抵抗が非常に高いことである。上記のことが図13の構造のセル特性に対して引き起こす深刻な影響を列挙すると、次の通りである。
【0006】
▲1▼pn接合近傍のみが光活性なため、活性層幅よりも厚い膜を作製すると、余分の厚い部分はすべて、光を吸収しても光電流を発生しない不活性層となり、光は不活性層でかなり吸収されてしまい、光電流を発生できる活性なpn接合には少しの光しか到達しない。これをマスキング効果と呼ぶ。そのため、小さな光電流しか流れない。
【0007】
▲2▼上記のマスキング効果を避けるためにセルを薄くして、例えば有機半導体層2,4を数十nmというような非常に薄い膜厚とすると、容易にセルの導通(上下の電極6,8が接触してしまうこと)が起こり、太陽電池として機能しなくなる。
【0008】
▲3▼また、セルを薄くできたとしても、入射光のかなりの部分が薄い活性層では吸収されずにセルを透過して逃げてしまい、光電変換効率が上がらない。
▲4▼有機半導体層が厚い場合、吸収によって光が侵入できない膜の奥の部分は暗状態である。有機半導体は暗状態では絶縁体に近く、セルを厚くして入射光をすべて吸収させようとすると、内部抵抗が非常に高くなる。一方、光電流はその高抵抗部分を通過しないと電極に到達できない。その結果、光電流密度、曲線因子(FF:フィルファクター)、光起電圧の極端な低下をもたらす。
【0009】
これらの問題を根本的に解決するには、照射した光がpn接合近傍の活性域で多く吸収され、かつ、内部抵抗が低くなるセルを実現する必要がある。
本発明は、これらの要請を満たす太陽電池セル構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機光起電力装置は、光起電力層としてp型有機半導体層とn型有機半導体層とからなるpn接合を備え、かつそのpn接合は光照射面に端辺を有し光照射面に対し垂直方向に形成されていることを特徴とする垂直接合型有機光起電力装置である。
【0011】
図1に示されるように、p型有機半導体層12とn型有機半導体層14とからなるpn接合15は、光照射面12a,14aに端辺を有し光照射面12a,14aに対し垂直方向に形成されている。16,18は電極である。
pn接合15は光照射面に対して垂直になっているので、pn接合近傍(pn接合を中央に挟んで100nm程度より狭い幅の領域)では有機半導体層中に侵入していった光全てが不活性層による吸収、すなわちマスキング効果による損失なしにすべて吸収されて光電流発生に寄与する。pn接合は有機半導体薄膜の積層体により実現することができ、その場合には有機半導体薄膜の端面に光を照射しているわけであるから、照射面から奥の方向は1mm又はそれ以上の高さで直立した有機膜が続いている状態にすることができ、吸収係数の小さな波長域でも事実上すべての光が吸収されてしまうことになる。
【0012】
また、このような縦型のpn接合15を、図2に示されるように、例えば100nm間隔で形成して複数の接合を有する垂直接合型有機光起電力電池を構成すれば、光照射面全てが活性層として働き、光の損失が本質的になく、入射したすべての光による光電流を有効に利用できる。この太陽電池セルの構造は、Pt/H2Pc層(厚さ50nm)/Me−PTC層(厚さ50nm)/Au層(厚さ1nm)/H2Pc層(厚さ50nm)/Me−PTC層(厚さ50nm)/Au層(厚さ1nm)/……H2Pc/Me−PTC/In/Agとなっている。なお、pn/pn/……/pnと多数接合したときにできるpn接合間の界面での逆方向np接合は、後述するように、金属の超薄膜(1nm程度)を挿入することで、なくすことができる。すなわち、本発明のセル構造とすることによって、上記の問題(1)を根本的に解決できる。
【0013】
また、図1に示されるように、pn接合近傍で発生した正負キャリアは全て光のあたっているセル表層部分(表面から光が侵入できる厚さ部分)12a,14aを通って左右の電極16,18に収集される。光照射下での伝導度、つまり光伝導度は、暗状態下の伝導度、つまり暗伝導度よりはるかに大きい、すなわち、抵抗がはるかに低い。その結果、セルの内部抵抗を根本的に低減できることになる。この現象は、図2のようにpn接合を複数段積層した場合でも同じである。すなわち、本発明のセル構造とすることによって、上記の問題(2)を根本的に解決できる。
このように、本発明の垂直接合型有機光起電力電池は、これまでの図13の構造のセルの大きな問題点を根本的に解決できる。
【0014】
pn接合を複数備え、それらのpn接合は互いに平行になるように金属層を介して積層されているpn接合の直列接続構造とすることができる。
p型有機半導体層は例えばフタロシアニン類及びキナクリドンからなる群から選ばれたものであり、n型有機半導体層は例えばペリレン誘導体、ナフタレン誘導体及びフラーレンからなる群から選ばれたものとすることができる。
【0015】
金属電極は、p型有機半導体と接触する電極の仕事関数が大きく、n型有機半導体と接触する電極の仕事関数が小さくなるように材質が選択されていることが好ましい。仕事関数の大きい金属としては例えばPt、仕事関数の小さい金属としては例えばInを挙げることができる。
p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は、階段エネルギー構造を作るようにバンド構造の異なる有機半導体層を積層した積層体としたり、光吸収特性の異なる有機半導体層を積層した積層体としてもよい。
【0016】
本発明の垂直接合型有機太陽電池を作製する本発明の製造方法は、基板上に第1の金属電極層を形成する工程と、第1の金属電極層上にp型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させてなるpn接合体層を形成する工程と、pn接合体層上に第2の金属電極層を形成する工程と、これらの工程により形成された積層体を膜面に対して垂直方向に切断して光照射面を形成する工程とを備えている。
【0017】
pn接合体層を形成する工程は、p型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させた後、金属層及びその上のpn接合体層を形成する工程を少なくとも1つ含むようにしてもよい。
【0018】
基板上の積層体を切断する1つの方法は、ミクロトームにより行なう方法である。その場合、基板として樹脂基板を用いるのが好ましい。また、第2の金属電極層上に、少なくとも樹脂基板上の積層体を切断する位置では積層体よりも広い領域にわたるように積層体を被う保護層を形成する工程を含んでいることが好ましい。
【0019】
ミクロトーム以外の方法により切断することもできる。また、基板としてガラス基板を用い、同様に電極、有機pn層、電極を蒸着法などにより形成した後、ガラス基板を切断して積層体の端面を露出させて作製することもできる。この場合は、有機保護層はなくてもよい。
p型有機半導体薄膜及びn型有機半導体薄膜の少なくとも一方は種類の異なる有機半導体薄膜を積層する工程を含んだものとすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の太陽電池セル構造の有効性を確かめるため、まず、図1に示されるように、1つの垂直pn接合を有するセルを作製した。
【0021】
このセルは次の手順で作製した。まず、表面が平坦なエポキシ樹脂基板上に金属電極層16として白金(Pt)を2000nmの厚さに真空蒸着により形成する。その上にp型有機半導体層12として無金属フタロシアニン(H2Pc)を250nmの厚さに真空蒸着により形成する。さらにその上にn型有機半導体層14としてペリレン顔料(Me−PTC)を250nmの厚さに真空蒸着により形成する。さらにその上に金属電極層18として、厚さが100nmのインジウム(In)膜とその上の厚さが100nmの銀(Ag)膜とからなる積層膜(In/Ag)を真空蒸着により形成する。さらにその上に、保護層としてIm−PTCを750nmの厚さに真空蒸着により形成する。保護層は、後でミクロトームなどによるスライス(切断)時に電極と有機半導体層の間の界面が剥離するのを防ぐ上で有効である。
【0022】
保護層としてIm−PTCを使っているが、このIm−PTC層は2枚の電極で挟まれていないので半導体としては機能せず、単なる有機保護膜である。保護層としては、種々の有機叉は無機の薄膜材料を用いることができる。
次に、ミクロトームを用いて蒸着面に垂直にスライスし、端面を出す。この端面が図1の光照射面12a,14aとなる。
【0023】
図3に、ミクロトームでスライスして得た接合部端面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を示す。金属層(Pt)/有機半導体層(H2Pc/Me−PTC)/金属層(In/Ag)が積層されているのが明瞭にわかる。このような、きれいな端面を得るにはミクロトームでダイヤモンドナイフを使用することが必要である。
【0024】
pn接合で発生した光電流を効率よく外部に取り出すためには、金属層と有機半導体層の間の接合は、オーミックであることが必要である。そのため、p型半導体であるH2Pc層に接触する電極層には仕事関数の大きなPt、n型半導体であるMe−PTCに接触する電極層には仕事関数の小さなInを用いた。
【0025】
2つの金属電極16,18に電気的コンタクトをとって外部リード線につなげるため、蒸着により積層体を図4のパターンに形成し、2つの電極16,18が重なっている部分で、スライスを行なった。これを具体的に説明すると、図4は得られた積層体をスライスした状態の平面図である。11はエポキシ樹脂基板であり、その上に電極のPt層16をL字形に形成し、その上にH2Pc層12とMe−PTC層14とからなる有機半導体層13を形成する。このとき、Pt層16の一部が有機半導体層13から露出するように有機半導体層13のパターンを設定する。その有機半導体層13上に他方の電極である(In/Ag)層18をI形に形成する。このとき、(In/Ag)層18の一部が有機半導体層13からはみ出すように(In/Ag)層18のパターンを設定する。有機半導体層13からはみ出した電極層16,18にそれぞれ銀ペースト22,26によりリード線24,28を接続する。その後、少なくともその後のスライスを行なう切断位置ではこの積層体を被う領域に保護層を形成する。保護層は例えば基板11の全面を被うように形成する。スライスは図のように2つの電極16,18が重なっている部分で行なう。20aはスライスにより切り離された部分を示しており、リード線24,28が接続されている部分がこの発明の太陽電池セルとなる。ライスした部分に切断面(光照射面)が露出し、その切断面が図3に示されたような積層構造になっている。太陽電池として機能するのは、上下のPt電極16とIn/Ag電極18が重なっている部分となる。
【0026】
p型とn型の有機半導体の代表的なものを図7に示し、それらの吸収スペクトルを図8に示す。図8で、横軸は波長、縦軸は任意単位で示した吸光度である。p型には無金属フタロシアニン(H2Pc)及びTiOPcなどの金属置換フタロシアニン(MPc)を含むフタロシアニン類、並びにキナクリドン(DQ)などがある。n型にはペリレン誘導体(Me−PTC,Im−PTCなど)、ナフタレン誘導体(NTCDAなど)及びフラーレン(C60)などがある。しかしこれらに限ったものではない。pn接合はこれらのp型とn型の有機半導体を組み合わせて得ることができる。
【0027】
また、有機半導体薄膜の作製方法は、蒸着法やスパッタリング法などの堆積法に限らず、材料に応じてスピンコートのような湿式法を用いてもよい。湿式法で形成できる有機半導体薄膜としては、ポリマー系の太陽電池系で使用されるような、PPV(ポリパラフェニレンにC60の誘導体を分散させた系などを挙げることができる。
【0028】
有機半導体薄膜としては、有機半導体を樹脂に分散させた樹脂分散有機半導体膜を使用することもできる。有機半導体を分散させる樹脂としては、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどの汎用ポリマー、ポリビニルカルバゾール、ポリメチルフェニルシラン、ポリジメチルシランなどの導電性ポリマーを挙げることができる。これらの樹脂のうちのいくつかの化学式を図12に示した。
【0029】
樹脂分散有機半導体膜は、有機半導体と樹脂を溶媒中で混合した液を電極基板上にスピンコート法やバーコート法(基板上に塗布した分散液を、溝のついた金属棒によって薄く引き延ばす方法)によって塗布して成膜することにより形成することができる。樹脂分散有機半導体膜は大面積化を図る際に好都合である。
【0030】
図5に図1に示したセルの示す電流−電圧(I−V)特性を示す。光は100mW/cm2(AM1.5)の擬似太陽光を照射している。左縦軸は光電流絶対値、右縦軸は光照射面積(1.25×10−6cm2)で光電流絶対値を割った1cm2あたりの光電流密度である。白丸は光照射時、黒丸は暗時である。有機半導体層12,14の合計幅が500nmとかなり大きいにもかかわらず、良好なフィルファクター(FF:0.46)、開放端電圧(Voc:0.3V)を観測した。FFがよいのは、光生成キャリアが光照射部分のみを通って電極に収集されるため、セルの内部抵抗が低いことが大きく寄与している。この結果は、問題点(2)を本発明で解決できることを意味している。同じ膜厚で図13の従来構造のセルとすると、FFは非常に悪くなる。
【0031】
観測された短絡光電流(Isc)は20nAである(縦軸左プロット)。絶対値では小さいが、このセルの面積は、光があたっている面積(図1の光照射面(12a,14a))[(有機半導体層12,14の幅:500nm)×(有機半導体層長さ)]で定義され、本セルでは1.25×10−6cm2となる。そのため、短絡光電流密度(Jsc)は、16mA/cm2と非常に大きな値となる(縦軸右プロット)。このような大きな光電流密度は、有機系太陽電池でこれまで観測されたことはない。また、この光電流密度は、無機系太陽電池と比較すると、アモルファスシリコンよりも大きく、多結晶シリコンに匹敵し、CdS/CdTe系にも近いものであるところから、通常の無機系太陽電池に充分匹敵する大きさである。なお、この時の光電エネルギー変換効率は、2.2%である。後述するように、この値は、pn接合を多数接合することで、大きく向上できる。
【0032】
図6に、Jscの波長依存性を黒四角ドットで示す。Me−PTCとH2Pcの吸収スペクトルもあわせて示してある。このように、Me−PTCとH2Pcの双方の吸収領域で光電流が発生し可視域全体に感度を持つことが分かる。図13の従来のセル構造では、H2Pc(250nm)/Me−PTC(250nm)の膜厚では、マスキング効果のため、照射面の反対側の、片方の有機半導体の吸収領域でしか光電流が発生しない。図6の結果は、垂直pn接合を持つセルにおいては、前述のマスキング効果が本質的にないことを意味している。直立したpn接合近傍では、不活性層がないため、吸収された光は損失されずに光電流に寄与する。さらに、吸収係数が低い波長領域(吸収スペクトルのすそなど)であっても、有機半導体層は光照射面から奥に向かって1mm又はそれ以上の厚さで存在しているため、照射された光は事実上すべて吸収されているといってよい(1μmの有機半導体層があれば有機半導体の吸収係数から考えて、光はほとんど吸収されてしまう。)。さらに、吸収された光は全て照射最表面層と同じように、照射面に対して垂直に立った電極に収集されるわけであるから、全て光電流発生に寄与することができる。
【0033】
以上のように、本発明の太陽電池セルは、光の利用効率が非常に高いため、16mA/cm2というこれまでにない大きなJscが得られたと云える。この結果は、問題点(1)を本発明のセル構造で解決できることを意味している。
【0034】
上記の光電流密度は、大きいけれども、まだ最適化された値ではない。その理由は、pn接合近傍(pn接合を挟んでその左右にそれぞれ50nm、合計で100nm程度の厚さの領域)でしか光電流を発生しておらず、図1のセルの例であれば、有機半導体層12,14の合計幅500nmのうち400nmは、光キャリヤ生成に寄与せず、キャリアが流れているに過ぎないからである。そのためセル膜厚を100nmまで薄くできれば、これよりもかなり大きなJscが得られると予想できる。なお、これまでに、有機半導体層幅の合計が1000nm(キャリア生成しない幅が900nm)のものでは、4mA/cm2、500nm(キャリア生成しない幅が400nm)のものでは上記で述べたように、16mA/cm2が得られている。すなわち、光照射面積は半分に減っているにもかかわらず、発生する光電流量の絶対値(面積で割った光電流密度ではない)は、2倍になっていることを意味する。光照射面積(有機半導体層の幅が1/2になっているので)が1/2になるにともない短絡光電流が4倍に増大していることが分かる。この結果から、100nm幅ではかなり光電流密度が増大すると考えられる。
【0035】
本発明の太陽電池セル構造において、これまで述べた以外の、注目すべき特長を述べる。
(1)図2に示されるように、多数のpn接合を直列につなげば、大きな電圧を取り出だせる。
仮に1つのpn接合セルの厚さを100nmとし、そのpn接合を5つ直列につないだセルを考える。pn/pn/pn/pn/pnという接合となるが、スラッシュ(/)に逆方向のpn接合ができて光起電圧を打ち消さないように、金属の超薄膜を挿入する。具体的には、pn接合の直列構造では、非常に薄い金属層(例えば、膜厚が1nm程度のAu、Agなどの薄膜)を挿入するだけで、逆方向の起電圧がなくなり、得られる全体の開放端電圧(Voc)が、pn接合の数と1つのpn接合が示すVocの積で表されることが分かっている(非特許文献2参照。)。図5のVocは0.3Vであるので、5つのpn接合をつなげば、同じ面積で0.3V×5=1.5Vの電圧が得られる。この構造では、いくつpn接合を接続してもかまわず、限度がない。図13の従来のセルにおいては、pn接合を重ねる(タンデム型)と、光照射側のpn接合の吸収によって、その後ろ側のpn接合まで届く光が減少するので、pn接合を重ねるにしても2,3個が限度である。変換効率としては5%程度が可能と考えられる。
【0036】
(2)太陽光スペクトルのほとんど又は全波長領域にわたって吸収して光電流発生できる。
本発明の太陽電池セル構造では、異なった吸収波長域を持つ有機半導体を積層すると、原理的に太陽光スペクトルの全域をカバーできる。図8のスペクトルからわかるように、上に示したMe−PTC/H2Pcの組合わせで可視光のほぼ全てをカバーしているが、例えば、赤外光に感度のあるTiOPcやIm−PTCを加えれば、太陽光スペクトルのほぼ全領域を吸収できる。これまで、有機系太陽電池の特質として、種々の吸収波長を持つ有機半導体の組み合わせで太陽光スペクトルを全て吸収できることがいわれてきたが、前述の2つの問題点(1),(2)によってそのような特長は帳消しにされてしまい、実際にその特長がセル特性としてあらわになったことはほとんどない。しかし、本発明の太陽電池セル構造ではその特長が明確に現れる。図6に示したように、マスキング効果のない波長依存性はその証拠である。これは本発明の構造の大きな利点である。
【0037】
無機半導体においては、そのバンドギャップ(例えば結晶シリコンでは1.1eV)よりも小さいエネルギーの光は吸収できない。これが、光電エネルギー変換効率の理論的限界を決めてしまうが、本発明の太陽電池セル構造ではその限界をこえる効率が得られる可能性もある。
【0038】
また、図9に示されるように、有機半導体のバンド構造を適切に組み合わせて、階段エネルギー構造を作り、光電流を生ずる量子効率をさらに向上させることも可能である(非特許文献3参照。)。階段エネルギー構造によって、光生成した電子とホールの分離が促進される。
【0039】
なお、有機半導体層中にこれらの半導体層を積層する時、各半導体層の膜幅はたとえ数十nmとかなり薄くても、太陽光の波長はそれよりもはるかに長い(300nm〜1800nm)ので、そのような薄い膜幅を識別することはできない(波長限界:波長よりも小さな構造、物体は識別できない)。例えば、図10に概略的に示すように、有機半導体層幅の合計を1μm(1000nm)とし、その幅内に特定の波長域を吸収する50nm膜幅の有機半導体層が数層あれば、それ以外の層にその波長域を吸収する半導体層が全くないとしても、1μm幅にきたその特定波長域の光はすべて吸収される。これは、量子的な集光効果と言ってもよい。というのは、上記の性質は、光は伝搬するときは波としてふるまい、半導体に吸収されるときは1つのフォトンとしてふるまう、粒子−波動二重性に由来するためである。
【0040】
(3)集光条件下での駆動が適する。
集光下では、光伝導度が上昇し、内部抵抗の影響が小さくなり大電流が流せる可能性がある。後述するように、この特長は大面積化するときに、威力を発揮する。
【0041】
(4)大面積化の方法:
本発明の太陽電池セルの面積は膜端面を利用しているため小さいが、多数のpn接合を積層して全膜厚を10μm程度まで厚くすれば、図11に示されるように、各セル30の端面部分をシリンドリカルレンズ32の末端にのせ、光を集めて発電することが可能になり、大面積化の問題も解決できる。
【0042】
本発明の垂直接合型有機光起電力電池は、太陽光スペクトル全域の有効利用という観点から、無機系太陽電池も凌駕する可能性を持つ。また、多数のpn接合の直列接合で、非常に大きな電圧を取り出せる(1000個つなげば、0.3×1000=300V。このとき有機層幅は100nm×1000=10μm。)。
【0043】
本発明により、少なくとも5%以上の光電エネルギー変換効率が得られる。実際、実施例では16mW/cm2ものこれまで有機系では観測し得なかった大きな光電流密度を得ている。大面積化もレンズによる集光を考えることで解決できる。本発明は、これまで困難であった、有機半導体による光電エネルギー変換、すなわち5%以上の実用的効率の有機系太陽電池を提供できるものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明の有機光起電力装置は、光起電力層としてp型有機半導体層とn型有機半導体層とからなるpn接合を備え、かつそのpn接合は光照射面に端辺を有し光照射面に対し垂直方向に形成されているものであるので、従来の有機半導体太陽電池に比べて大きな光電エネルギー変換効率を達成することができる。
pn接合を複数備え、それらのpn接合は互いに平行になるように金属層を介して積層されているpn接合の直列接続構造とすれば、大きな電圧を取り出すことができ、またこれまでの有機半導体では不可能とされてきた10%以上の光電エネルギー変換効率も実現できるようになる。
金属電極は、p型有機半導体と接触する電極の仕事関数が大きく、n型有機半導体と接触する電極の仕事関数が小さくなるように電極の金属材料を選択すれば、金属層と有機半導体層の間の接合をオーミックにすることができ、pn接合で発生した光電流を効率よく外部に取り出すことができるようになる。
p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は、階段エネルギー構造を作るようにバンド構造の異なる有機半導体層を積層した積層体とすれば、光電流を生ずる量子効率をさらに向上させることができるようになる。
p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は光吸収特性の異なる有機半導体層を積層した積層体とすれば、太陽光スペクトルのほとんど又は全波長領域にわたって吸収して光電流を発生できるようにすることができる。
本発明の製造方法は、基板上に第1の金属電極層を形成する工程と、第1の金属電極層上にp型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させてなるpn接合体層を形成する工程と、pn接合体層上に第2の金属電極層を形成する工程と、これらの工程により形成された積層体を膜面に対して垂直方向に切断して光照射面を形成する工程とを備えており、既存の技術の組合せで本発明の有機光起電力装置を製造することができる。
pn接合体層を形成する工程は、p型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させた後、金属層及びその上のpn接合体層を形成する工程を少なくとも1つ含むようにすれば、pn接合の直列接続構造を形成することができる。
第2の金属電極層上に、少なくとも樹脂基板上の積層体を切断する位置では積層体よりも広い領域にわたるように積層体を被う保護層を形成する工程を含むようにすれば、その保護層により積層体を切断するときに電極と有機半導体層の間の界面が剥離するのを効果的に防ぐことができる。
p型有機半導体薄膜及びn型有機半導体薄膜の少なくとも一方は種類の異なる有機半導体薄膜を積層する工程を含んだものとすれば、光電流を生ずる量子効率をさらに向上させたり、太陽光スペクトルのほとんど又は全波長領域にわたって吸収して光電流を発生できるようにすることのできる太陽電池セルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1つのpn接合を持つ一実施例の垂直接合型有機光起電力電池セルの構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のセル構造をさらに発展させたてpn接合を多数につないだ太陽電池セルの構造を示す斜視図である。
【図3】接合端面のSEM像である。
【図4】金属電極と有機半導体層のパターンを示す平面図である。
【図5】1つの垂直pn接合を持つ一実施例の垂直接合型有機光起電力電池セルの示す電流−電圧(I−V)特性である。
【図6】短絡光電流(Jsc)の波長依存性(黒四角のプロット)をMe−PTCとH2Pcの吸収スペクトル(点線)とともに示す図である。
【図7】主な有機半導体を示す化学構造式である。
【図8】図7に示されている有機半導体の吸収スペクトルを示す図である。
【図9】多段階エネルギー構造による光キャリア生成の原理を示す図である。
【図10】量子的集光効果を示す図である。
【図11】シリンドリカルレンズアレイに、一実施例の太陽電池セルの光照射端面を接続した、大面積化のためのレンズ系を示す図である。
【図12】本発明で有機半導体層を樹脂分散有機半導体膜とする場合に有機半導体を分散させるのに使用される樹脂のいくつかの例を示す化学式である。
【図13】光照射面に対して平行に配置されたpn接合をもつ従来の通常の有機光起電力装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
12 p型有機半導体層
14 n型有機半導体層
12a,14a 光照射面
15 pn接合
16,18 電極
【発明の属する技術分野】
本発明は有機光エレクトロニクスデバイスに関し、特に光伝導性を持つ有機半導体を用いたpn接合型光起電力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機半導体を用いたpn接合型光起電力装置は有機太陽電池と呼ばれ、pn接合で生成させた光キャリアを電流として取り出している。典型的な例は、図13に示されるものであり、p型有機半導体層2としてのフタロシアニンH2Pcと、n型有機半導体層4としてのペリレン誘導体Me−PTCとが積層されてpn接合5を形成しており、電極6,8間に挟み込まれている。10は支持基板としての透明ガラス基板である。p型有機半導体層2に接する電極6としては金(Au)電極が使用され、n型有機半導体層4に接する電極8としてはITO(酸化インジウム錫)透明電極が使用されている。光は透明電極8を通してpn接合5に入射する(非特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、このように、光照射される光照射面に対してpn接合5が平行になるように配置されているタイプの有機太陽電池は、光キャリア生成の活性領域厚さが非常に薄く、pn接合5の両側に数十nmあるにすぎないだけでなく、素子の内部抵抗が非常に高いといった特性から、光電エネルギー変換効率は1%以下であり、実用化にはほど遠い値であった。
また、pn接合セルを2個以上積層したタンデム化セルの試みもある(非特許文献2参照。)が、変換効率の大幅な向上には結びついていなかった。
【0004】
【非特許文献1】
C. W. Tang, Appl. Phys.Lett., 48, 183 (1986).
【非特許文献2】
M. Hiramoto, M. Suezaki, M. Yokoyama, Chem. Lett.,1990, 327 (1990).
【非特許文献3】
M.Hiramoto, H. Fukusumi, M. Yokoyama, Appl. Phys. Lett., 61, 2580 (1992).
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機太陽電池の効率が悪い大きな原因は、先に述べたように、(1)光キャリア生成の活性領域厚さが非常に薄いことと、(2)内部抵抗が非常に高いことである。上記のことが図13の構造のセル特性に対して引き起こす深刻な影響を列挙すると、次の通りである。
【0006】
▲1▼pn接合近傍のみが光活性なため、活性層幅よりも厚い膜を作製すると、余分の厚い部分はすべて、光を吸収しても光電流を発生しない不活性層となり、光は不活性層でかなり吸収されてしまい、光電流を発生できる活性なpn接合には少しの光しか到達しない。これをマスキング効果と呼ぶ。そのため、小さな光電流しか流れない。
【0007】
▲2▼上記のマスキング効果を避けるためにセルを薄くして、例えば有機半導体層2,4を数十nmというような非常に薄い膜厚とすると、容易にセルの導通(上下の電極6,8が接触してしまうこと)が起こり、太陽電池として機能しなくなる。
【0008】
▲3▼また、セルを薄くできたとしても、入射光のかなりの部分が薄い活性層では吸収されずにセルを透過して逃げてしまい、光電変換効率が上がらない。
▲4▼有機半導体層が厚い場合、吸収によって光が侵入できない膜の奥の部分は暗状態である。有機半導体は暗状態では絶縁体に近く、セルを厚くして入射光をすべて吸収させようとすると、内部抵抗が非常に高くなる。一方、光電流はその高抵抗部分を通過しないと電極に到達できない。その結果、光電流密度、曲線因子(FF:フィルファクター)、光起電圧の極端な低下をもたらす。
【0009】
これらの問題を根本的に解決するには、照射した光がpn接合近傍の活性域で多く吸収され、かつ、内部抵抗が低くなるセルを実現する必要がある。
本発明は、これらの要請を満たす太陽電池セル構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機光起電力装置は、光起電力層としてp型有機半導体層とn型有機半導体層とからなるpn接合を備え、かつそのpn接合は光照射面に端辺を有し光照射面に対し垂直方向に形成されていることを特徴とする垂直接合型有機光起電力装置である。
【0011】
図1に示されるように、p型有機半導体層12とn型有機半導体層14とからなるpn接合15は、光照射面12a,14aに端辺を有し光照射面12a,14aに対し垂直方向に形成されている。16,18は電極である。
pn接合15は光照射面に対して垂直になっているので、pn接合近傍(pn接合を中央に挟んで100nm程度より狭い幅の領域)では有機半導体層中に侵入していった光全てが不活性層による吸収、すなわちマスキング効果による損失なしにすべて吸収されて光電流発生に寄与する。pn接合は有機半導体薄膜の積層体により実現することができ、その場合には有機半導体薄膜の端面に光を照射しているわけであるから、照射面から奥の方向は1mm又はそれ以上の高さで直立した有機膜が続いている状態にすることができ、吸収係数の小さな波長域でも事実上すべての光が吸収されてしまうことになる。
【0012】
また、このような縦型のpn接合15を、図2に示されるように、例えば100nm間隔で形成して複数の接合を有する垂直接合型有機光起電力電池を構成すれば、光照射面全てが活性層として働き、光の損失が本質的になく、入射したすべての光による光電流を有効に利用できる。この太陽電池セルの構造は、Pt/H2Pc層(厚さ50nm)/Me−PTC層(厚さ50nm)/Au層(厚さ1nm)/H2Pc層(厚さ50nm)/Me−PTC層(厚さ50nm)/Au層(厚さ1nm)/……H2Pc/Me−PTC/In/Agとなっている。なお、pn/pn/……/pnと多数接合したときにできるpn接合間の界面での逆方向np接合は、後述するように、金属の超薄膜(1nm程度)を挿入することで、なくすことができる。すなわち、本発明のセル構造とすることによって、上記の問題(1)を根本的に解決できる。
【0013】
また、図1に示されるように、pn接合近傍で発生した正負キャリアは全て光のあたっているセル表層部分(表面から光が侵入できる厚さ部分)12a,14aを通って左右の電極16,18に収集される。光照射下での伝導度、つまり光伝導度は、暗状態下の伝導度、つまり暗伝導度よりはるかに大きい、すなわち、抵抗がはるかに低い。その結果、セルの内部抵抗を根本的に低減できることになる。この現象は、図2のようにpn接合を複数段積層した場合でも同じである。すなわち、本発明のセル構造とすることによって、上記の問題(2)を根本的に解決できる。
このように、本発明の垂直接合型有機光起電力電池は、これまでの図13の構造のセルの大きな問題点を根本的に解決できる。
【0014】
pn接合を複数備え、それらのpn接合は互いに平行になるように金属層を介して積層されているpn接合の直列接続構造とすることができる。
p型有機半導体層は例えばフタロシアニン類及びキナクリドンからなる群から選ばれたものであり、n型有機半導体層は例えばペリレン誘導体、ナフタレン誘導体及びフラーレンからなる群から選ばれたものとすることができる。
【0015】
金属電極は、p型有機半導体と接触する電極の仕事関数が大きく、n型有機半導体と接触する電極の仕事関数が小さくなるように材質が選択されていることが好ましい。仕事関数の大きい金属としては例えばPt、仕事関数の小さい金属としては例えばInを挙げることができる。
p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は、階段エネルギー構造を作るようにバンド構造の異なる有機半導体層を積層した積層体としたり、光吸収特性の異なる有機半導体層を積層した積層体としてもよい。
【0016】
本発明の垂直接合型有機太陽電池を作製する本発明の製造方法は、基板上に第1の金属電極層を形成する工程と、第1の金属電極層上にp型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させてなるpn接合体層を形成する工程と、pn接合体層上に第2の金属電極層を形成する工程と、これらの工程により形成された積層体を膜面に対して垂直方向に切断して光照射面を形成する工程とを備えている。
【0017】
pn接合体層を形成する工程は、p型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させた後、金属層及びその上のpn接合体層を形成する工程を少なくとも1つ含むようにしてもよい。
【0018】
基板上の積層体を切断する1つの方法は、ミクロトームにより行なう方法である。その場合、基板として樹脂基板を用いるのが好ましい。また、第2の金属電極層上に、少なくとも樹脂基板上の積層体を切断する位置では積層体よりも広い領域にわたるように積層体を被う保護層を形成する工程を含んでいることが好ましい。
【0019】
ミクロトーム以外の方法により切断することもできる。また、基板としてガラス基板を用い、同様に電極、有機pn層、電極を蒸着法などにより形成した後、ガラス基板を切断して積層体の端面を露出させて作製することもできる。この場合は、有機保護層はなくてもよい。
p型有機半導体薄膜及びn型有機半導体薄膜の少なくとも一方は種類の異なる有機半導体薄膜を積層する工程を含んだものとすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の太陽電池セル構造の有効性を確かめるため、まず、図1に示されるように、1つの垂直pn接合を有するセルを作製した。
【0021】
このセルは次の手順で作製した。まず、表面が平坦なエポキシ樹脂基板上に金属電極層16として白金(Pt)を2000nmの厚さに真空蒸着により形成する。その上にp型有機半導体層12として無金属フタロシアニン(H2Pc)を250nmの厚さに真空蒸着により形成する。さらにその上にn型有機半導体層14としてペリレン顔料(Me−PTC)を250nmの厚さに真空蒸着により形成する。さらにその上に金属電極層18として、厚さが100nmのインジウム(In)膜とその上の厚さが100nmの銀(Ag)膜とからなる積層膜(In/Ag)を真空蒸着により形成する。さらにその上に、保護層としてIm−PTCを750nmの厚さに真空蒸着により形成する。保護層は、後でミクロトームなどによるスライス(切断)時に電極と有機半導体層の間の界面が剥離するのを防ぐ上で有効である。
【0022】
保護層としてIm−PTCを使っているが、このIm−PTC層は2枚の電極で挟まれていないので半導体としては機能せず、単なる有機保護膜である。保護層としては、種々の有機叉は無機の薄膜材料を用いることができる。
次に、ミクロトームを用いて蒸着面に垂直にスライスし、端面を出す。この端面が図1の光照射面12a,14aとなる。
【0023】
図3に、ミクロトームでスライスして得た接合部端面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を示す。金属層(Pt)/有機半導体層(H2Pc/Me−PTC)/金属層(In/Ag)が積層されているのが明瞭にわかる。このような、きれいな端面を得るにはミクロトームでダイヤモンドナイフを使用することが必要である。
【0024】
pn接合で発生した光電流を効率よく外部に取り出すためには、金属層と有機半導体層の間の接合は、オーミックであることが必要である。そのため、p型半導体であるH2Pc層に接触する電極層には仕事関数の大きなPt、n型半導体であるMe−PTCに接触する電極層には仕事関数の小さなInを用いた。
【0025】
2つの金属電極16,18に電気的コンタクトをとって外部リード線につなげるため、蒸着により積層体を図4のパターンに形成し、2つの電極16,18が重なっている部分で、スライスを行なった。これを具体的に説明すると、図4は得られた積層体をスライスした状態の平面図である。11はエポキシ樹脂基板であり、その上に電極のPt層16をL字形に形成し、その上にH2Pc層12とMe−PTC層14とからなる有機半導体層13を形成する。このとき、Pt層16の一部が有機半導体層13から露出するように有機半導体層13のパターンを設定する。その有機半導体層13上に他方の電極である(In/Ag)層18をI形に形成する。このとき、(In/Ag)層18の一部が有機半導体層13からはみ出すように(In/Ag)層18のパターンを設定する。有機半導体層13からはみ出した電極層16,18にそれぞれ銀ペースト22,26によりリード線24,28を接続する。その後、少なくともその後のスライスを行なう切断位置ではこの積層体を被う領域に保護層を形成する。保護層は例えば基板11の全面を被うように形成する。スライスは図のように2つの電極16,18が重なっている部分で行なう。20aはスライスにより切り離された部分を示しており、リード線24,28が接続されている部分がこの発明の太陽電池セルとなる。ライスした部分に切断面(光照射面)が露出し、その切断面が図3に示されたような積層構造になっている。太陽電池として機能するのは、上下のPt電極16とIn/Ag電極18が重なっている部分となる。
【0026】
p型とn型の有機半導体の代表的なものを図7に示し、それらの吸収スペクトルを図8に示す。図8で、横軸は波長、縦軸は任意単位で示した吸光度である。p型には無金属フタロシアニン(H2Pc)及びTiOPcなどの金属置換フタロシアニン(MPc)を含むフタロシアニン類、並びにキナクリドン(DQ)などがある。n型にはペリレン誘導体(Me−PTC,Im−PTCなど)、ナフタレン誘導体(NTCDAなど)及びフラーレン(C60)などがある。しかしこれらに限ったものではない。pn接合はこれらのp型とn型の有機半導体を組み合わせて得ることができる。
【0027】
また、有機半導体薄膜の作製方法は、蒸着法やスパッタリング法などの堆積法に限らず、材料に応じてスピンコートのような湿式法を用いてもよい。湿式法で形成できる有機半導体薄膜としては、ポリマー系の太陽電池系で使用されるような、PPV(ポリパラフェニレンにC60の誘導体を分散させた系などを挙げることができる。
【0028】
有機半導体薄膜としては、有機半導体を樹脂に分散させた樹脂分散有機半導体膜を使用することもできる。有機半導体を分散させる樹脂としては、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどの汎用ポリマー、ポリビニルカルバゾール、ポリメチルフェニルシラン、ポリジメチルシランなどの導電性ポリマーを挙げることができる。これらの樹脂のうちのいくつかの化学式を図12に示した。
【0029】
樹脂分散有機半導体膜は、有機半導体と樹脂を溶媒中で混合した液を電極基板上にスピンコート法やバーコート法(基板上に塗布した分散液を、溝のついた金属棒によって薄く引き延ばす方法)によって塗布して成膜することにより形成することができる。樹脂分散有機半導体膜は大面積化を図る際に好都合である。
【0030】
図5に図1に示したセルの示す電流−電圧(I−V)特性を示す。光は100mW/cm2(AM1.5)の擬似太陽光を照射している。左縦軸は光電流絶対値、右縦軸は光照射面積(1.25×10−6cm2)で光電流絶対値を割った1cm2あたりの光電流密度である。白丸は光照射時、黒丸は暗時である。有機半導体層12,14の合計幅が500nmとかなり大きいにもかかわらず、良好なフィルファクター(FF:0.46)、開放端電圧(Voc:0.3V)を観測した。FFがよいのは、光生成キャリアが光照射部分のみを通って電極に収集されるため、セルの内部抵抗が低いことが大きく寄与している。この結果は、問題点(2)を本発明で解決できることを意味している。同じ膜厚で図13の従来構造のセルとすると、FFは非常に悪くなる。
【0031】
観測された短絡光電流(Isc)は20nAである(縦軸左プロット)。絶対値では小さいが、このセルの面積は、光があたっている面積(図1の光照射面(12a,14a))[(有機半導体層12,14の幅:500nm)×(有機半導体層長さ)]で定義され、本セルでは1.25×10−6cm2となる。そのため、短絡光電流密度(Jsc)は、16mA/cm2と非常に大きな値となる(縦軸右プロット)。このような大きな光電流密度は、有機系太陽電池でこれまで観測されたことはない。また、この光電流密度は、無機系太陽電池と比較すると、アモルファスシリコンよりも大きく、多結晶シリコンに匹敵し、CdS/CdTe系にも近いものであるところから、通常の無機系太陽電池に充分匹敵する大きさである。なお、この時の光電エネルギー変換効率は、2.2%である。後述するように、この値は、pn接合を多数接合することで、大きく向上できる。
【0032】
図6に、Jscの波長依存性を黒四角ドットで示す。Me−PTCとH2Pcの吸収スペクトルもあわせて示してある。このように、Me−PTCとH2Pcの双方の吸収領域で光電流が発生し可視域全体に感度を持つことが分かる。図13の従来のセル構造では、H2Pc(250nm)/Me−PTC(250nm)の膜厚では、マスキング効果のため、照射面の反対側の、片方の有機半導体の吸収領域でしか光電流が発生しない。図6の結果は、垂直pn接合を持つセルにおいては、前述のマスキング効果が本質的にないことを意味している。直立したpn接合近傍では、不活性層がないため、吸収された光は損失されずに光電流に寄与する。さらに、吸収係数が低い波長領域(吸収スペクトルのすそなど)であっても、有機半導体層は光照射面から奥に向かって1mm又はそれ以上の厚さで存在しているため、照射された光は事実上すべて吸収されているといってよい(1μmの有機半導体層があれば有機半導体の吸収係数から考えて、光はほとんど吸収されてしまう。)。さらに、吸収された光は全て照射最表面層と同じように、照射面に対して垂直に立った電極に収集されるわけであるから、全て光電流発生に寄与することができる。
【0033】
以上のように、本発明の太陽電池セルは、光の利用効率が非常に高いため、16mA/cm2というこれまでにない大きなJscが得られたと云える。この結果は、問題点(1)を本発明のセル構造で解決できることを意味している。
【0034】
上記の光電流密度は、大きいけれども、まだ最適化された値ではない。その理由は、pn接合近傍(pn接合を挟んでその左右にそれぞれ50nm、合計で100nm程度の厚さの領域)でしか光電流を発生しておらず、図1のセルの例であれば、有機半導体層12,14の合計幅500nmのうち400nmは、光キャリヤ生成に寄与せず、キャリアが流れているに過ぎないからである。そのためセル膜厚を100nmまで薄くできれば、これよりもかなり大きなJscが得られると予想できる。なお、これまでに、有機半導体層幅の合計が1000nm(キャリア生成しない幅が900nm)のものでは、4mA/cm2、500nm(キャリア生成しない幅が400nm)のものでは上記で述べたように、16mA/cm2が得られている。すなわち、光照射面積は半分に減っているにもかかわらず、発生する光電流量の絶対値(面積で割った光電流密度ではない)は、2倍になっていることを意味する。光照射面積(有機半導体層の幅が1/2になっているので)が1/2になるにともない短絡光電流が4倍に増大していることが分かる。この結果から、100nm幅ではかなり光電流密度が増大すると考えられる。
【0035】
本発明の太陽電池セル構造において、これまで述べた以外の、注目すべき特長を述べる。
(1)図2に示されるように、多数のpn接合を直列につなげば、大きな電圧を取り出だせる。
仮に1つのpn接合セルの厚さを100nmとし、そのpn接合を5つ直列につないだセルを考える。pn/pn/pn/pn/pnという接合となるが、スラッシュ(/)に逆方向のpn接合ができて光起電圧を打ち消さないように、金属の超薄膜を挿入する。具体的には、pn接合の直列構造では、非常に薄い金属層(例えば、膜厚が1nm程度のAu、Agなどの薄膜)を挿入するだけで、逆方向の起電圧がなくなり、得られる全体の開放端電圧(Voc)が、pn接合の数と1つのpn接合が示すVocの積で表されることが分かっている(非特許文献2参照。)。図5のVocは0.3Vであるので、5つのpn接合をつなげば、同じ面積で0.3V×5=1.5Vの電圧が得られる。この構造では、いくつpn接合を接続してもかまわず、限度がない。図13の従来のセルにおいては、pn接合を重ねる(タンデム型)と、光照射側のpn接合の吸収によって、その後ろ側のpn接合まで届く光が減少するので、pn接合を重ねるにしても2,3個が限度である。変換効率としては5%程度が可能と考えられる。
【0036】
(2)太陽光スペクトルのほとんど又は全波長領域にわたって吸収して光電流発生できる。
本発明の太陽電池セル構造では、異なった吸収波長域を持つ有機半導体を積層すると、原理的に太陽光スペクトルの全域をカバーできる。図8のスペクトルからわかるように、上に示したMe−PTC/H2Pcの組合わせで可視光のほぼ全てをカバーしているが、例えば、赤外光に感度のあるTiOPcやIm−PTCを加えれば、太陽光スペクトルのほぼ全領域を吸収できる。これまで、有機系太陽電池の特質として、種々の吸収波長を持つ有機半導体の組み合わせで太陽光スペクトルを全て吸収できることがいわれてきたが、前述の2つの問題点(1),(2)によってそのような特長は帳消しにされてしまい、実際にその特長がセル特性としてあらわになったことはほとんどない。しかし、本発明の太陽電池セル構造ではその特長が明確に現れる。図6に示したように、マスキング効果のない波長依存性はその証拠である。これは本発明の構造の大きな利点である。
【0037】
無機半導体においては、そのバンドギャップ(例えば結晶シリコンでは1.1eV)よりも小さいエネルギーの光は吸収できない。これが、光電エネルギー変換効率の理論的限界を決めてしまうが、本発明の太陽電池セル構造ではその限界をこえる効率が得られる可能性もある。
【0038】
また、図9に示されるように、有機半導体のバンド構造を適切に組み合わせて、階段エネルギー構造を作り、光電流を生ずる量子効率をさらに向上させることも可能である(非特許文献3参照。)。階段エネルギー構造によって、光生成した電子とホールの分離が促進される。
【0039】
なお、有機半導体層中にこれらの半導体層を積層する時、各半導体層の膜幅はたとえ数十nmとかなり薄くても、太陽光の波長はそれよりもはるかに長い(300nm〜1800nm)ので、そのような薄い膜幅を識別することはできない(波長限界:波長よりも小さな構造、物体は識別できない)。例えば、図10に概略的に示すように、有機半導体層幅の合計を1μm(1000nm)とし、その幅内に特定の波長域を吸収する50nm膜幅の有機半導体層が数層あれば、それ以外の層にその波長域を吸収する半導体層が全くないとしても、1μm幅にきたその特定波長域の光はすべて吸収される。これは、量子的な集光効果と言ってもよい。というのは、上記の性質は、光は伝搬するときは波としてふるまい、半導体に吸収されるときは1つのフォトンとしてふるまう、粒子−波動二重性に由来するためである。
【0040】
(3)集光条件下での駆動が適する。
集光下では、光伝導度が上昇し、内部抵抗の影響が小さくなり大電流が流せる可能性がある。後述するように、この特長は大面積化するときに、威力を発揮する。
【0041】
(4)大面積化の方法:
本発明の太陽電池セルの面積は膜端面を利用しているため小さいが、多数のpn接合を積層して全膜厚を10μm程度まで厚くすれば、図11に示されるように、各セル30の端面部分をシリンドリカルレンズ32の末端にのせ、光を集めて発電することが可能になり、大面積化の問題も解決できる。
【0042】
本発明の垂直接合型有機光起電力電池は、太陽光スペクトル全域の有効利用という観点から、無機系太陽電池も凌駕する可能性を持つ。また、多数のpn接合の直列接合で、非常に大きな電圧を取り出せる(1000個つなげば、0.3×1000=300V。このとき有機層幅は100nm×1000=10μm。)。
【0043】
本発明により、少なくとも5%以上の光電エネルギー変換効率が得られる。実際、実施例では16mW/cm2ものこれまで有機系では観測し得なかった大きな光電流密度を得ている。大面積化もレンズによる集光を考えることで解決できる。本発明は、これまで困難であった、有機半導体による光電エネルギー変換、すなわち5%以上の実用的効率の有機系太陽電池を提供できるものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明の有機光起電力装置は、光起電力層としてp型有機半導体層とn型有機半導体層とからなるpn接合を備え、かつそのpn接合は光照射面に端辺を有し光照射面に対し垂直方向に形成されているものであるので、従来の有機半導体太陽電池に比べて大きな光電エネルギー変換効率を達成することができる。
pn接合を複数備え、それらのpn接合は互いに平行になるように金属層を介して積層されているpn接合の直列接続構造とすれば、大きな電圧を取り出すことができ、またこれまでの有機半導体では不可能とされてきた10%以上の光電エネルギー変換効率も実現できるようになる。
金属電極は、p型有機半導体と接触する電極の仕事関数が大きく、n型有機半導体と接触する電極の仕事関数が小さくなるように電極の金属材料を選択すれば、金属層と有機半導体層の間の接合をオーミックにすることができ、pn接合で発生した光電流を効率よく外部に取り出すことができるようになる。
p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は、階段エネルギー構造を作るようにバンド構造の異なる有機半導体層を積層した積層体とすれば、光電流を生ずる量子効率をさらに向上させることができるようになる。
p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は光吸収特性の異なる有機半導体層を積層した積層体とすれば、太陽光スペクトルのほとんど又は全波長領域にわたって吸収して光電流を発生できるようにすることができる。
本発明の製造方法は、基板上に第1の金属電極層を形成する工程と、第1の金属電極層上にp型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させてなるpn接合体層を形成する工程と、pn接合体層上に第2の金属電極層を形成する工程と、これらの工程により形成された積層体を膜面に対して垂直方向に切断して光照射面を形成する工程とを備えており、既存の技術の組合せで本発明の有機光起電力装置を製造することができる。
pn接合体層を形成する工程は、p型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させた後、金属層及びその上のpn接合体層を形成する工程を少なくとも1つ含むようにすれば、pn接合の直列接続構造を形成することができる。
第2の金属電極層上に、少なくとも樹脂基板上の積層体を切断する位置では積層体よりも広い領域にわたるように積層体を被う保護層を形成する工程を含むようにすれば、その保護層により積層体を切断するときに電極と有機半導体層の間の界面が剥離するのを効果的に防ぐことができる。
p型有機半導体薄膜及びn型有機半導体薄膜の少なくとも一方は種類の異なる有機半導体薄膜を積層する工程を含んだものとすれば、光電流を生ずる量子効率をさらに向上させたり、太陽光スペクトルのほとんど又は全波長領域にわたって吸収して光電流を発生できるようにすることのできる太陽電池セルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1つのpn接合を持つ一実施例の垂直接合型有機光起電力電池セルの構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のセル構造をさらに発展させたてpn接合を多数につないだ太陽電池セルの構造を示す斜視図である。
【図3】接合端面のSEM像である。
【図4】金属電極と有機半導体層のパターンを示す平面図である。
【図5】1つの垂直pn接合を持つ一実施例の垂直接合型有機光起電力電池セルの示す電流−電圧(I−V)特性である。
【図6】短絡光電流(Jsc)の波長依存性(黒四角のプロット)をMe−PTCとH2Pcの吸収スペクトル(点線)とともに示す図である。
【図7】主な有機半導体を示す化学構造式である。
【図8】図7に示されている有機半導体の吸収スペクトルを示す図である。
【図9】多段階エネルギー構造による光キャリア生成の原理を示す図である。
【図10】量子的集光効果を示す図である。
【図11】シリンドリカルレンズアレイに、一実施例の太陽電池セルの光照射端面を接続した、大面積化のためのレンズ系を示す図である。
【図12】本発明で有機半導体層を樹脂分散有機半導体膜とする場合に有機半導体を分散させるのに使用される樹脂のいくつかの例を示す化学式である。
【図13】光照射面に対して平行に配置されたpn接合をもつ従来の通常の有機光起電力装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
12 p型有機半導体層
14 n型有機半導体層
12a,14a 光照射面
15 pn接合
16,18 電極
Claims (10)
- 一対の金属電極の間に光起電力層としてp型有機半導体層とn型有機半導体層とからなるpn接合を備え、かつそのpn接合は光照射面に端辺を有し光照射面に対し垂直方向に形成されていることを特徴とする垂直接合型有機光起電力装置。
- 前記pn接合を複数備え、それらのpn接合は互いに平行になるように金属層を介して積層されている請求項1に記載の垂直接合型有機光起電力装置。
- p型有機半導体層はフタロシアニン類及びキナクリドンからなる群から選ばれたものであり、n型有機半導体層はペリレン誘導体、ナフタレン誘導体及びフラーレンからなる群から選ばれたものである請求項1又は2に記載の垂直接合型有機光起電力装置。
- 前記金属電極は、p型有機半導体と接触する電極の仕事関数が大きく、n型有機半導体と接触する電極の仕事関数が小さくなるように材質が選択されている請求項1から3のいずれかに記載の垂直接合型有機光起電力装置。
- 前記p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は、階段エネルギー構造を作るようにバンド構造の異なる有機半導体層を積層した積層体となっている請求項1から4のいずれかに記載の垂直接合型有機光起電力装置。
- 前記p型有機半導体層及びn型有機半導体層の少なくとも一方は光吸収特性の異なる有機半導体層を積層した積層体となっている請求項1から4のいずれかに記載の垂直接合型有機光起電力装置。
- 基板上に第1の金属電極層を形成する工程と、
前記第1の金属電極層上にp型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させてなるpn接合体層を形成する工程と、
前記pn接合体層上に第2の金属電極層を形成する工程と、
これらの工程により形成された積層体を膜面に対して垂直方向に切断して光照射面を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする垂直接合型有機光起電力装置の製造方法。 - 前記pn接合体層を形成する工程は、p型又はn型の有機半導体薄膜とそれとは反対導電型の有機半導体薄膜とを積層させた後、金属層及びその上のpn接合体層を形成する工程を少なくとも1つ含んでいる請求項7に記載の垂直接合型有機光起電力装置の製造方法。
- 前記第2の金属電極層上に、少なくとも前記積層体を切断する位置では前記積層体よりも広い領域にわたるように前記積層体を被う保護層を形成する工程を含んでいる請求項7又は8に記載の垂直接合型有機光起電力装置の製造方法。
- 前記p型有機半導体薄膜及びn型有機半導体薄膜の少なくとも一方は種類の異なる有機半導体薄膜を積層する工程を含んでいる請求項7から9のいずれかに記載の垂直接合型有機光起電力装置の製造方法。
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