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JP2003261787A - 癌光線力学療法用増感色素 - Google Patents

癌光線力学療法用増感色素

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Publication number
JP2003261787A
JP2003261787A JP2002063676A JP2002063676A JP2003261787A JP 2003261787 A JP2003261787 A JP 2003261787A JP 2002063676 A JP2002063676 A JP 2002063676A JP 2002063676 A JP2002063676 A JP 2002063676A JP 2003261787 A JP2003261787 A JP 2003261787A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
compound
zinc
photodynamic
quaternary ammonium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002063676A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichi Sakamoto
恵一 坂本
Hiroshi Kato
拓 加藤
Eiko Okumura
映子 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon University
Original Assignee
Nihon University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon University filed Critical Nihon University
Priority to JP2002063676A priority Critical patent/JP2003261787A/ja
Publication of JP2003261787A publication Critical patent/JP2003261787A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Radiation-Therapy Devices (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 次の一般式(1) 【化1】 (式中、環A、環B、環C及び環Dのうち1〜3個はN
−アルキルピリジン環を示し、残余はジアルキルベンゼ
ン環を示し、Xはアニオンを示す)で表される亜鉛アル
キルベンゾピリドポルフィラジン類第四級アンモニウム
塩;及びこれを含有する光線力学治療又は診断剤。 【効果】 本発明化合物(1)は、660〜710nmに
極大吸収を有し、かつ3重項寿命が極めて長く、高い効
率で活性酸素を発生させる作用を有し、さらに両親媒性
であることから、細胞内への浸透性が良好であり、光線
力学治療又は診断用の光増感剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光線力学治療(Photo
dynamic Therapy:PDT)及び光線力学診断(Photodynamic
diagnosis:PDD)用の光増感剤として有用な亜鉛アルキル
ベンゾピリドポルフィラジン類第四級アンモニウム塩及
びこれを用いた光線力学治療剤及び診断剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、癌などの治療及び診断の一手段と
して光線力学治療及び光線力学診断が利用されている。
この光線力学治療は、光増感剤となる薬物を投与又は患
部に塗布することにより、該薬物自身又は該薬物の代謝
産物が患部に選択的に蓄積させ、蓄積された部分に特定
波長の光を照射することにより光化学反応を起こさせ、
活性酸素やラジカルを生成させ、患部の細胞を壊死させ
て癌の疾患等を治療しようとするものである。
【0003】このような治療や診断に用いられる光増感
剤としては、プロトポルフィリン、ヘマトポルフィリン
等のポルフィリン類が知られている(特許第27310
32号)。これらのポルフィリン類は、635nm付近の
波長の光の照射により1重項基底状態から励起3重項状
態となり、活性酸素を生成することにより癌細胞を壊死
させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のポルフィリン類は400nm付近に極大吸収域を有し、
赤色波長域の吸収が弱く、組織浸透性が低い等の点で未
だ十分満足できるものではなく、さらに優れた光増感剤
として有用な化合物が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は亜鉛
ジアルキルベンゾピリドポルフィラジン類を合成してそ
の光増感作用について検討してきたところ、亜鉛ジアル
キルベンゾピリドポルフィラジン類のピリジン環上の窒
素原子を四級化した化合物が、親油性及び親水性を有
し、かつ600〜850nmの赤外部に極大吸収域を有す
るとともに、組織浸透性に優れ、かつ3重項寿命が長く
高率で活性酸素を発生させることから光線力学治療又は
診断用光増感剤として有用であることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、次の一般式(1)
【0007】
【化2】
【0008】(式中、環A、環B、環C及び環Dのうち
1〜3個はN−アルキルピリジン環を示し、残余はジア
ルキルベンゼン環を示し、Xはアニオンを示す。)で表
される亜鉛アルキルベンゾピリドポルフィラジン類第四
級アンモニウム塩を提供するものである。
【0009】また、本発明は、上記一般式(1)で表さ
れる化合物を含有する光線力学治療用光増感剤、光線力
学診断用光増感剤、光線力学治療剤及び光線力学診断剤
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】一般式(1)中、環A、環B、環
C及び環Dのうち1〜3個はN−アルキルピリジン環で
ある。N−アルキルピリジン環は2又は3個、特に2個
であるのが好ましい。ここでN−アルキルピリジン環と
しては、N−C1−C6アルキルピリジン環が好ましく、
より具体的にはN−メチルピリジン、N−エチルピリジ
ン、N−n−プロピルピリジン、N−n−イソプロピル
ピリジン、n−イソブチルピリジン等が挙げられる。
【0011】また、環A〜Dの残余、すなわち1〜3個
は、ジアルキルベンゼン環である。ジアルキルベンゼン
環は、1又は2個、特に1個であるのが好ましい。ここ
で、ジアルキルベンゼン環としては、ジ(C1−C20
ルキル)ベンゼン環が好ましく、ジ(C4−C20アルキ
ル)ベンゼン環がより好ましく、ジ(C6−C16アルキ
ル)ベンゼン環がさらに好ましい。より具体的なジアル
キルベンゼンとしては、ジメチルベンゼン、ジエチルベ
ンゼン、ジヘキシルベンゼン、ジオクチルベンゼン、ジ
デシルベンゼン、ジドデシルベンゼン、ジテトラデシル
ベンゼン、ジヘキサデシルベンゼン等が挙げられる。な
お、このベンゼン環上のアルキル基は、直鎖だけでな
く、分岐鎖でもよい。またこれら2つのアルキル基は、
ベンゼン環上のパラ位に置換しているのが好ましい。
【0012】一般式(1)中のXはアニオンであり、ハ
ロゲンイオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン等が挙げ
られる。これらのアニオンは、N−アルキルピリジン環
が形成している第四級アンモニウム基の対イオンであ
り、当該アニオンの合計価数は、N−アルキルピリジン
環の数と同一である。
【0013】本発明化合物(1)としては、例えば次の
構造を有する化合物が挙げられる。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、R1〜R8はそれぞれアルキル基を
示し、Xはアニオンを示す。) 本発明には、これら(1a)、(1b)、(1c)の構
造において、ピリジン環上の窒素原子の位置の異なる位
置異性体、またピリジン環の位置の異なる位置異性体も
含まれる。
【0016】本発明化合物(1)は、例えば次の反応式
に従って製造することができる。
【0017】
【化4】
【0018】(式中、R4及びR5はそれぞれアルキル基
を示し、環Pはピリジン環を示し、環a〜環dのうち1
〜3個はピリジン環を示し、残余はジアルキルベンゼン
環を示し、環A〜環D及びXは前記と同じ。)
【0019】すなわち、ジアルキルフタロニトリル
(2)、ジアミノピリジン(3)及び塩化亜鉛とを触媒
の存在下に反応させて化合物(4)を得、次いでこれを
第四級アンモニウム化することにより本発明化合物
(1)が得られる。
【0020】原料化合物(2)と化合物(3)とのモル
比は、1:3、1:1又は3:1の所定のモル比にする
のが好ましい。触媒としては1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセ−7−エン(DBU)等が好ま
しい。この反応は、ペンタノール等の溶媒中、100〜
160℃に3〜8時間加熱することにより行うのが好ま
しい。
【0021】化合物(4)の第四級アンモニウム化は、
ジアルキル硫酸、アルキルハライド等を用いて行うこと
ができる。反応は、ジメチルホルムアミド等の溶媒中、
100〜160℃に1〜6時間加熱することにより行う
のが好ましい。
【0022】反応混合物からの目的物の単離、精製は、
洗浄、再結晶、各種クロマトグラフィー等によるのが好
ましい。なお、前記位置異性体の分離は各種クロマトグ
ラフィーにより行うのが好ましい。
【0023】かくして得られた本発明化合物(1)は、
いずれも660〜710nmに極大吸収を有し、かつ3重
項寿命が極めて長く、高い効率で活性酸素を発生させる
ことが判明した。また、本発明化合物(1)は、両親媒
性であることから、細胞内への浸透性が良好である。従
って、本発明化合物(1)は、光線力学治療又は診断用
の光増感剤として有用である。
【0024】本発明化合物(1)を光増感剤、すなわち
光線力学治療剤又は光線力学診断剤として使用するに
は、本発明化合物(1)を薬学上許容できる担体ととも
に医薬組成物又は診断薬組成物とするのが好ましい。薬
学上許容できる担体としては、例えば水、生理食塩液、
乳化剤、溶解剤、油剤等の静脈投与用媒体、局所投与用
媒体が挙げられる。これらの組成物中に本発明化合物
(1)は、例えば0.001〜50重量%含有させれば
よい。
【0025】本発明化合物(1)を用いて光線力学治療
を行うには、通常の方法、例えば本発明化合物(1)を
含有する光線力学治療剤を投与し、次いで600〜80
0nmの光を患部に照射することにより行われる。
【0026】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0027】実施例1A.方法 (1)下記実施例において、フーリエ変換赤外(IR)
スペクトルは島津製作所FT−IR 8100A分光計
で測定した。紫外−可視(UV−VIS)スペクトルは
島津製作所UV−2400PC分光計で測定した。各サ
ンプルは5.0×10-5mol・dm-3に調製した。蛍
光スペクトルはN,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)中で、日立製作所F−4500蛍光分光計を用いて
測定した。プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペク
トルはテトラメチルシラン(TMS)を内部標準とし、
ベンゼン−d6中、400MHzでブルカーアバンス(B
rukerAvance)400Sを用いて測定した。元素分析は
パーキン・エルマーの2400CHN装置で行なった。
【0028】(2)ジアルキルベンゾピリドポルフィラ
ジン第四級アンモニウム塩の合成 分子内のピリジン環数が異なる3種類のアルキルベンゾ
ピリドポルフィラジンを合成した。即ち、亜鉛1,4−
ジデシルベンゾ−トリス(3,4−ピリド)ポルフィラ
ジン(4A)、亜鉛ビス(1,4−ジデシルベンゾ)−
ビス(3,4−ピリド)ポルフィラジン(4B)及び亜
鉛トリス(1,4−ジデシルベンゾ)−3,4−ピリド
ポルフィラジン(4C)を、3,6−ジデシルフタロニ
トリルと3,4−ジシアノピリジンとの混合物から合成
した(原料比はそれぞれ、3(0.18g、0.30m
mol):1(0.02g、0.15mmol)、1
(0.12g、0.29mmol):1(0.04g、
0.29mmol)及び1(0.06g、0.15mm
ol):3(0.06g、0.45mmol))。各原
料混合物をペンタノール(7ml)に溶解し、塩化亜鉛
(0.05g)を添加した。その混合物を、触媒として
の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7
−エンの存在下で4時間加熱した。冷却後、反応液をト
ルエン(50ml)に溶解し、溶液を濾過した。濾液か
ら溶媒を留去した。生成物をクロマトグラフィーで精製
した(溶離液:トルエン)。また、亜鉛テトラ−3,4
−ピリドポルフィラジン(5)及び亜鉛オクタデシルフ
タロシアニン(6)は、それぞれ3,4−ジシアノピリ
ジン及び3,6−ジデシルフタロニトリルから合成し
た。
【0029】
【化5】
【0030】次いで、これらの化合物にジメチル硫酸を
反応させて、下記化合物を得た。すなわち、0.17g
(0.15mmol)の各化合物を5mlの乾燥ジメチ
ルホルムアミド中、0.2g(1.5mmol)のジメ
チル硫酸と140℃で2時間反応させることにより行っ
た。反応後、反応液にアセトン20mlを加え、室温ま
で冷却し、濾過後、暗青色液体は溶媒を留去した。黒色
の粗生成物はTHF−トルエン、8:2を展開溶媒とし
て、クロマトグラフィーを用いて精製した。展開後、単
一の青緑色成分をピリジンを用いて抽出後、溶媒を留去
した。
【0031】
【化6】
【0032】(3)位置異性体の分離 TLC(アルミニウム板上にメルクシリカゲル60F
254、溶離液:トルエン−ピリジン、7:3)によっ
て、化合物(4B)の位置異性体を、緑色ないし青色の
4フラクションに分離した。Rf値に従って、前記フラ
クションを1、2、3及び4とした。なお、Rf値はそ
れぞれ0.95、0.91、0.75及び0.65であ
った。各フラクションは、TLC板から剥離して回収
し、ピリジンに溶解後、溶液を濾過し、溶媒を除去し
た。フラクション1〜4の総量に対する百分率はそれぞ
れ26.1%、17.4%、17.4%及び39.1%
であった。フラクション1〜4を、それぞれD2h
2h、Cs及びC2vとした。
【0033】
【化7】
【0034】また、化合物(1A)、(1B)、(1
C)に対しても同様にして位置位体が分離できた。
【0035】(4)レーザーフラッシュフォトリシス 1.2μm厚のフォトポリマー膜をスピンコートした全
反射サファイアセル(10×30mm、1mm厚、両短
端を45°にカット)を用いて、膜内物質のレーザーフ
ラッシュフォトリシスを行なった。YAGレーザーの励
起光パルス(20ms、355nm、10mJ/パル
ス)を増幅し、試料セル全体に照射した。キセノンラン
プを光源とするモニター光は、フォトマルチプライヤー
を備えたモノクロメーター又はスペクトルマルチチャン
ネルアナライザーシステムに取り付けた光ファイバーの
先端に接続した多重反射セルを通過させた。ポリマー膜
は以下のように作成した。まず、ポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)のシクロヘキサノン溶液(10重量
%)を調製し、得られた溶液にアルキルベンゾピリドポ
ルフィラジンを添加・溶解した。この溶液をスピンコー
ティングによってサファイアセルに1.2ミクロン厚と
なるように塗布した。生成した皮膜を、さらにポリビニ
ルアルコール(PVA)溶液で被覆した。
【0036】B.結果 (1)化合物(5)、(4B)及び(6)のUV−VI
Sスペクトル(5.0×10-5mol・dm-3のピリジ
ン溶液)を図1に示す。ピリジン溶液中の化合物の極大
吸収は660〜710nm付近に現れた。上記生成物の
うち、化合物(4B)が最大の吸収強度を示した。化合
物(5)、(4B)及び(6)のUV−VISスペクト
ルはフタロシアニン誘導体に典型的な形状を有する。最
大ピークを、Qバンドと称するものとすると、このQバ
ンドは、フタロシアニン環のπ−π*許容遷移からくる
吸収であろう。PMMA膜中のアルキルベンゾピリドポ
ルフィラジンの一例としての化合物(4B)を、レーザ
ーフラッシュフォトリシスに付し、観測された三重項状
態の経時プロファイルを図2に示す。アルキルベンゾピ
リドポルフィラジン(4A)〜(4C)及び(6)の三
重項状態の寿命を表1にまとめた。
【0037】
【表1】
【0038】アルキルベンゾピリドポルフィラジンのう
ち、化合物(4A)及び(4B)は、化合物(4C)及
び(6)より長い三重項状態寿命を示すことがわかる。
アルキルベンゾピリドポルフィラジンの三重項状態寿命
は分子構造に依存する。分子内のピリジン環が増加する
と、アルキルベンゾピリドポルフィラジンの三重項状態
寿命が延長した。PVAコーティングしなかったPMM
A膜中の化合物(4A)及び(4B)光励起三重項状態
寿命は、それぞれ11.4μs及び10.1μsであっ
た。一方、PMMA膜がPVAでコートされている場合
は、化合物(4A)及び(4B)の光励起三重項状態寿
命はそれぞれ51.8μs及び46.9μsであった。
各種化合物についての結果を比較検討したところ、PV
AでコートされたPMMA膜における三重項状態寿命
は、PVAでコートされない場合より長いことが判明し
た。PMMA膜中のアルキルベンゾピリドポルフィラジ
ンのQバンドの吸収強度はピリジン溶液中で測定した強
度と同様であったが、化合物(6)を除いて、PMMA
膜中で測定したQバンドの吸収曲線はピリジン溶液中で
測定した場合よりブロードになり且つ長波長側に移動し
た。
【0039】PVAでコートした場合、アルキルベンゾ
ピリドポルフィラジン(4A)、(4B)、(4C)及
び(6)の光励起三重項状態寿命は、PVAでコートさ
れていない場合より長かった。PVAでコートされてい
ない場合に減衰時間が短い理由は、空気中に存在する酸
素によりM−PCが消光されると考えられた。一方PV
Aでコートした場合、空気からフォトポリマー層への酸
素浸透が抑制された。その結果、基底三重項状態の酸素
分子が、周囲から反応系に供給されることはなかった。
これらの結果から、PVAでコートした膜中のアルキル
ベンゾピリドポルフィラジンは、腫瘍細胞あるいは癌細
胞における実際の光増感剤のモデルとしての挙動を示
す。以上より、化合物(4B)は最大の吸収強度と長い
三重項寿命とを示すため、PDTの最も有用な増感剤で
あると考えられる。
【0040】(2)化合物(4B)を含むフラクション 化合物(4B)の位置異性体をTLCで分離し、緑色な
いし青色の4種のフラクションを得た。4種のフラクシ
ョンは、異なる1H−NMR、UV−VIS及び蛍光ス
ペクトルを示す。TLCで分離して得た4種のフラクシ
ョンは、化合物(4B)の存在可能な位置異性体5種の
うちの4種に帰属された。化合物(4B)の蛍光及び励
起スペクトルを図3に示す。化合物(4B)及び(4
B)を分離したフラクションの励起スペクトルは、ほぼ
同一のプロファイルである。また、化合物(4B)及び
(4B)を分離したフラクションの蛍光スペクトルに
は、顕著な差異は見られなかった。化合物(4B)のフ
ラクションのQバンドの波長及び蛍光極大値を表2に示
す。各フラクションのQバンドは、対称性とQバンドと
の関係の理論に基づいて帰属させた。
【0041】
【表2】
【0042】Qバンドは、最も高い対称性を有する異性
体に対応する2つのピークにスプリットし、このスプリ
ットするQバンドは減少機構(システム)によって減少
する。化合物(4B)の位置異性体の対称性はC2h、D
2h、C2v、Csの順に減少する。位置異性体(4B)の各
フラクション1、2、3及び4の分子構造の対称性は、
それぞれD2h、C2h、Cs及びC2vであった。2種のC
2v異性体は分離不可能であった。化合物(4B)から分
離したフラクションの光励起三重項状態寿命を表3に示
す。
【0043】
【表3】
【0044】Aコーティングの有無にかかわらず、三重
項状態寿命は位置異性体の対称性の減少にともない、即
ち各フラクション1、2、3及び4に対応するC2h、D
2h、C2vs及びCsの順で延長した。PVAコーティン
グが存在しない場合及び存在する場合のPMMA膜中の
フラクション3の光励起三重項寿命は、それぞれ14.
29μs及び25.97μsであった。フラクション3
以外の各フラクションの寿命は化合物(4B)より短か
く、三重項−三重項(T−T)吸収の感度は非常に低か
った。
【0045】フタロシアニン誘導体は水や非配位性溶媒
中で凝集することが良く知られている。長い側鎖を有す
る非周辺置換亜鉛フタロシアニン誘導体は、シクロヘキ
サン中10-5mol・dm-3以上の濃度になると凝集体
を形成した。本研究のレーザーフラッシュフォトリシス
における試料は、実験条件において凝集体を形成した可
能性が十分ある。化合物(4B)及びその異性体の凝集
の程度はそれぞれ異なる。しかも、化合物(4B)及び
各異性体についての凝集能は多様であり複雑である。化
合物(4A)及び(4B)は、それぞれ異性体の混合物
であるため、凝集状態及び試料と三重項酸素間のエネル
ギー準位の関係が複雑となった。このため、化合物(4
A)及び(4B)に関しては、比較的長い寿命が測定さ
れる可能性がある。フラクション3は、系内でのT−T
遷移に対応する吸収を起こすのに適した分子構造を有す
る。
【0046】光励起機序を推定するために、付加的な消
光剤としてのN,N'−テトラメチル−4,4'−ジアミ
ノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)存在下で各フラク
ションの三重項状態寿命を測定した。ミヒラーケトンを
用いると、PVAコーティングがない場合のフラクショ
ン3及び4の寿命は、それぞれ21.19μs及び1
4.03μsであった(表4)。これら寿命は、ミヒラ
ーケトン非存在下のもと比較して長いものであった。フ
ラクション1及び2の場合、T−T吸収は起こらなかっ
た。この結果より、各フラクションは、基底及び励起状
態の異なるエネルギー準位をもつと考えられた。T−T
吸収は、各フラクションの基底あるいは励起状態のエネ
ルギー準位と酸素あるいはミヒラーケトンの3重項のレ
ベルとの相互作用によって起こる。
【0047】
【表4】
【0048】(3)前記A.(2)で得られた化合物
(1A)、(1B)及び(1C)は、トルエン、クロロ
ホルム、ピリジン、メタノールおよび水を用いて溶解性
を評価した。評価は、試料5mgが溶媒0.5mlに溶
解するか否かで行った。その結果、これらの化合物は、
いずれの溶媒にも完全に溶解した。これに対し、化合物
(4B)は、有機溶媒には溶解したが、水には溶解しな
かった。
【0049】(4)また、前記A.(3)で得られたフ
ラクション1〜4の化合物についても、前記A.(2)
と同様にしてジメチル硫酸を用いて第4級アンモニウム
塩を合成した。これらの化合物も、トルエン、クロロホ
ルム、ピリジン、メタノールおよび水に対して完全に溶
解した。
【0050】
【化8】
【0051】(5)A.(2)で得られた化合物(1
A)、(1B)及び(1C)についてのUV−VISス
ペクトル及びレーザーフォトリシスを行った結果、前記
化合物(4A)−(4C)とほぼ同様の結果が得られ
た。
【0052】
【発明の効果】本発明化合物(1)は、660〜710
nmに極大吸収を有し、かつ3重項寿命が極めて長く、高
い効率で活性酸素を発生させる作用を有し、さらに両親
媒性であることから、細胞内への浸透性が良好であり、
光線力学治療又は診断用の光増感剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(5)、(4B)及び(6)のUV−V
ISスペクトルを示す図である。
【図2】化合物(4B)をレーザーフラッシュフォトリ
シスに付して観測された三重項状態の経時プロファイル
を示す図である。
【図3】化合物(4B)の蛍光(A)及び励起(B)ス
ペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 487/22 C07D 487/22 C09K 3/00 C09K 3/00 T (72)発明者 奥村 映子 千葉県鎌ヶ谷市南初富5−6−10−2− 203 Fターム(参考) 4C050 PA11 4C082 PA06 PC10 PL05 4C084 AA11 MA01 NA14 ZB261 4C086 AA01 AA02 AA03 CB04 MA01 MA04 NA14 ZB26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】 (式中、環A、環B、環C及び環Dのうち1〜3個はN
    −アルキルピリジン環を示し、残余はジアルキルベンゼ
    ン環を示し、Xはアニオンを示す。)で表される亜鉛ア
    ルキルベンゾピリドポルフィラジン類第四級アンモニウ
    ム塩。
  2. 【請求項2】 N−アルキルピリジン環が、N−C1
    6アルキルピリジン環であり、ジアルキルベンゼン環
    がジ(C1−C20アルキル)ベンゼン環である請求項1
    記載の亜鉛アルキルベンゾピリドポルフィラジン類第四
    級アンモニウム塩。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の亜鉛アルキルベン
    ゾピリドポルフィラジン類第四級アンモニウム塩を含有
    する光線力学治療用又は光線力学診断用光増感剤。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の亜鉛アルキルベン
    ゾピリドポルフィラジン類第四級アンモニウム塩を含有
    する光線力学治療剤。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の亜鉛アルキルベン
    ゾピリドポルフィラジン類第四級アンモニウム塩を含有
    する光線力学診断剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005077458A1 (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Fancl Corporation 化学発光利用化粧・美容方法、皮膚照射美容用発光体及び化粧・美容用具
JP2016065205A (ja) * 2014-09-25 2016-04-28 国立研究開発法人物質・材料研究機構 リンフタロシアニン錯体、その塩及びその水和物

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