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JP2001059175A - 酸化錫膜とその製造方法および酸化錫膜の製造装置 - Google Patents

酸化錫膜とその製造方法および酸化錫膜の製造装置

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JP2001059175A
JP2001059175A JP11231082A JP23108299A JP2001059175A JP 2001059175 A JP2001059175 A JP 2001059175A JP 11231082 A JP11231082 A JP 11231082A JP 23108299 A JP23108299 A JP 23108299A JP 2001059175 A JP2001059175 A JP 2001059175A
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oxide film
tin oxide
water
glass substrate
tin
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Kazuo Sato
一夫 佐藤
Naoki Taneda
直樹 種田
Makoto Fukawa
真 府川
Toru Ikeda
徹 池田
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Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Position Input By Displaying (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】シート抵抗が小さく、透過率が高く、かつ、ヘ
イズ率が高い酸化錫膜であって、表面に微細な凹凸を均
一に有する酸化錫膜の提供。 【解決手段】四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動
するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成
する酸化錫膜の製造方法であって、四塩化錫および水を
含有するガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成
させる際の雰囲気が、ガラス基板の移動方向の上流側の
方が下流側より水濃度が高い雰囲気であることを特徴と
する酸化錫膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化錫膜とその製
造方法に関し、詳しくは、太陽電池基板用透明導電膜等
として好適に用いられる酸化錫膜とその製造方法に関す
る。また、本発明は、前記製造方法に用いられる酸化錫
膜の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化錫膜の形成方法として、四塩化錫と
水との反応を利用して酸化錫膜を常圧CVD法により形
成する方法が知られている。この方法では、酸化性雰囲
気中で、加熱した基体表面に四塩化錫の蒸気を接触させ
て、基体表面での熱分解・酸化反応により基体表面に酸
化錫膜を形成させる。
【0003】酸化錫膜の主な用途の一つに、太陽電池基
板用透明導電膜がある。太陽電池基板用透明導電膜とし
て用いられる酸化錫膜は、太陽電池のエネルギー変換効
率(以下、単に「変換効率」ともいう。)を高くするた
め、シート抵抗が小さく、透過率が高く、かつ、ヘイズ
率が高く均一なものが望まれている。ここで、ヘイズ率
とは拡散透過光量を全透過光量で除した値である。ヘイ
ズ率が高いと、光が膜を通過する際の散乱が大きくなる
ため、太陽電池の光電変換層内の光路長が長くなる。し
たがって、ヘイズ率を高くすることができれば、光電変
換層での光吸収率が高くなり、太陽電池の変換効率が優
れたものになる。ヘイズ率を高くする手法としては、酸
化錫透明導電膜の表面を微細な凹凸を有する形状にし
て、散乱を大きくすることが知られている。現在では、
CVD法によれば表面を微細な凹凸を有する形状とする
ことができることから、酸化錫透明導電膜の形成にはC
VD法が用いられている。この場合、酸化錫膜全面にお
けるヘイズ率が不均一であると、酸化錫膜全面での変換
効率が低下する等の弊害が生じる。ヘイズ率が不均一と
なるのは、表面の凹凸が不均一である場合である。すな
わち、表面の凹凸が不均一である状態、具体的には、凸
部が大きい部分(凸部と凹部の高低差が大きい部分)が
存在する状態であると、変換効率が低下する等の弊害が
生じる。したがって、そのような弊害を防止するために
は、表面に凹凸を均一に有するものとする必要がある。
【0004】酸化錫膜をCVD法により形成する方法と
しては、有機錫化合物の反応を利用する方法と四塩化錫
と水との反応を利用する方法が知られている。有機錫化
合物の反応を利用する方法は、得られる酸化錫膜の透過
率が低いという欠点がある。一方、四塩化錫と水との反
応を利用する方法は、透過率を高くすることはできる
が、表面の凹凸が不均一になる、すなわち、ヘイズ率が
不均一になるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シート抵抗
が小さく、透過率が高く、かつ、ヘイズ率が高い酸化錫
膜であって、表面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラ
ス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化
錫膜の製造方法であって、四塩化錫および水を含有する
ガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる方
法により、シート抵抗が小さく、透過率が高く、ヘイズ
率が高く、表面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜を
得ることは、ガラス基板上への酸化錫膜の形成初期(す
なわち、酸化錫膜のガラス基板表面に近い部分の形成
時)において、四塩化錫に対する水の割合を大きくする
ことにより達成できることを見出し、本発明を完成し
た。
【0007】すなわち、本発明は、四塩化錫と水とを反
応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常
圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であっ
て、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に
吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気が、ガラス表
面に近い部分の酸化錫膜の形成時の四塩化錫に対する水
の割合がガラス表面から遠い部分の形成時より大きい雰
囲気であることを特徴とする酸化錫膜の製造方法を提供
する。
【0008】具体的には、四塩化錫と水とを反応させて
一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD
法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、四塩化
錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出して酸
化錫膜を形成させる際の雰囲気が、ガラス基板の移動方
向の上流側の方が下流側より水濃度が高い雰囲気である
ことを特徴とする酸化錫膜の製造方法を提供する。
【0009】本発明は、四塩化錫と水とを反応させて一
方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法
により形成する酸化錫膜の製造方法であって、ガラス基
板の移動方向に並ぶ複数個の吐出口から、水を含有し四
塩化錫を含有しないガス、および/または、四塩化錫お
よび水を含有するガスをガラス基板上に吐出し、その際
にガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側
の吐出口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴と
する酸化錫膜の製造方法を提供する。
【0010】また、本発明は、上記方法により得られる
酸化錫膜を提供する。
【0011】更に、本発明は、四塩化錫と水とを反応さ
せて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧C
VD法により形成する酸化錫膜の製造装置であって、水
を含有し四塩化錫を含有しないガス、および/または、
四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出
する吐出口をガラス基板の移動方向に複数個備え、ガラ
ス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の吐出
口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴とする酸
化錫膜の製造装置を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の酸化錫膜の製造方法は、
四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基
板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜
の製造方法であって、四塩化錫および水を含有するガス
をガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰
囲気が、ガラス基板の移動方向の上流側の方が下流側よ
り水濃度が高い雰囲気であることを特徴とするものであ
る。
【0013】四塩化錫および水を含有するガスをガラス
基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気にお
いて、ガラス基板の移動方向の上流側の方が下流側より
水濃度が高い雰囲気とする方法は、特に限定されない
が、ガラス基板の移動方向に並ぶ複数個の吐出口から、
水を含有し四塩化錫を含有しないガス、および/また
は、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に
吐出し、その際にガラス基板の移動方向の上流側の吐出
口の方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出す
る方法が挙げられる。前記方法の具体例としては、ガラ
ス基板の移動方向の最上流の吐出口から吐出するガス
が、四塩化錫および水を含有するガスである方法と、
水を含有し四塩化錫を含有しないガスである方法とが
例示される。これらの方法について、ガラス基板の移動
方向に並ぶ吐出口の数が2個である場合を例に挙げて説
明する。
【0014】の方法においては、一方向に移動してい
るガラス基板の表面に、まず上流側の第一の吐出口から
水濃度が高い四塩化錫および水を含有するガスが吹き付
けられ、次に下流側の第二の吐出口から水濃度が低いガ
スが吹き付けられ、酸化錫膜が生成する。酸化錫膜形成
の初期においては、第一の吐出口から吐出された水濃度
が高いガスの雰囲気で酸化錫膜が形成される。すなわ
ち、ガラス基板の移動方向の上流側で初期に形成され
る、酸化錫膜のガラス表面に近い部分は、四塩化錫に対
する水の割合が大きい状態で形成される。次に、第二の
吐出口から水濃度が低いガスが吹き付けられると、水濃
度が高いガスの雰囲気に水濃度が低いガスが混入してく
るため、酸化錫膜が形成される際の四塩化錫に対する水
の割合が、時間の経過とともに低下してくる。すなわ
ち、ガラス基板の移動方向の下流側で形成される、酸化
錫膜のガラス表面に遠い部分は、ガラス表面に近い部分
に比べて、水の割合が小さい状態で形成される。
【0015】の方法においては、一方向に移動してい
るガラス基板の表面に、まず第一の吐出口から水を含有
し四塩化錫を含有しないガスが吹き付けられ、次に第二
の吐出口から四塩化錫および水を含有するガスが吹き付
けられ、酸化錫膜が生成する。酸化錫膜形成の初期にお
いては、ガラス表面付近に多量に存在する水に、四塩化
錫および水を含有するガスに由来する四塩化錫が混入し
てくるため、酸化錫膜を形成する雰囲気における四塩化
錫に対する水の割合は大きい。すなわち、ガラス基板の
移動方向の上流側で初期に形成される、酸化錫膜のガラ
ス表面に近い部分は、水が多量に存在する雰囲気で形成
される。その後、四塩化錫の混入が進むため、時間の経
過とともに、酸化錫膜を形成する雰囲気における水の割
合は小さくなってくる。すなわち、ガラス基板の移動方
向の下流側で形成される酸化錫膜のガラス表面に遠い部
分は、ガラス表面に近い部分に比べて、水が少ない雰囲
気で形成される。上記の方法においては、インジェク
ターから連なる吐出口を通じて水を含有し四塩化錫を含
有しないガスを吐出してもよいが、四塩化錫および水を
含有するガスの流れを一定方向に向けるために用いられ
る、いわゆるエアカーテンの空気に水を含有させて吐出
することもできる。
【0016】後述するように、本発明においては、酸化
錫膜形成初期における雰囲気とガラス表面との親和性が
重要である。したがって、本発明においては、酸化錫膜
形成の初期段階における雰囲気の水の濃度が高く、初期
段階に続く段階における雰囲気の水の濃度が初期段階よ
り低ければよく、その後の段階における雰囲気の水の濃
度は、特に限定されない。具体的には、ガラス基板の移
動方向に並ぶ複数個の吐出口において、ガラス基板の移
動方向の最上流の吐出口が、その下流側の吐出口のうち
最も上流側にある吐出口(上流側から2番目の吐出口)
より水濃度が高いガスを吐出する方法であって、酸化錫
膜形成の初期段階における雰囲気の水の濃度がその後の
段階における雰囲気の水の濃度より低い方法であればよ
く、吐出口が3個以上ある場合には、更にその下流にあ
る吐出口(上流側から3番目以降の吐出口)の水濃度は
特に限定されない。
【0017】上述した本発明の酸化錫膜の製造方法によ
り得られる本発明の酸化錫膜は、シート抵抗が小さく、
透過率が高く、かつ、ヘイズ率が高い。これは、四塩化
錫の含有量に対して水の含有量の少ないガスを用いて酸
化錫膜をガラス表面に形成する場合よりも、酸化錫膜形
成初期においては水の量を多くして親和性を高めてお
き、その後水の量を少なくして酸化錫膜を形成していく
方が、ガラス表面上での酸化錫の結晶成長が安定的に行
われやすいからであると考えられる。また、本発明の酸
化錫膜は、全表面にわたり微細な凹凸を均一に有する形
状となり、その凸部の高さ(凸部と凹部の高低差)は、
100〜200nm程度である。このような形状になる
のは、酸化錫の結晶成長が安定的に行われるため、結晶
粒径が均一になるからである。酸化錫膜が前記形状にな
り、ヘイズ率が高く全表面にわたり均一となるので、変
換効率が高くなる。したがって、本発明の酸化錫膜は、
太陽電池基板用透明導電膜として用いる場合には高い変
換効率を実現することができ、極めて好適である。
【0018】本発明に用いられる四塩化錫および水(水
蒸気)を含有するガスは、例えば、四塩化錫を含有する
ガスと水を含有するガスとを混合して得られる。四塩化
錫を含有するガスは、例えば、バブラータンク中の液状
の四塩化錫に不活性気体(四塩化錫と反応しない気
体)、好ましくは窒素を吹き込み、四塩化錫を気化して
得ることができる。四塩化錫を含有するガスが窒素等の
不活性気体を含有する場合は、四塩化錫と水との反応が
より起こりにくくなるので、好ましい一態様である。水
を含有するガスは、例えば、水蒸気のみからなるもの、
水蒸気を含有する空気からなるものが挙げられる。
【0019】四塩化錫を含有するガスと水を含有するガ
スとは、好ましくは100〜240℃の範囲内の温度で
混合され、維持される。混合後のガスを上記温度範囲で
維持すると、四塩化錫と水との反応が抑制され、反応が
全く起こらないか、起こった場合でもわずかにしか起こ
らない。130〜170℃の範囲内の温度であるのがよ
り好ましい。
【0020】四塩化錫を含有するガスと水を含有するガ
スとは、混合すると気体分子の拡散現象により均一なガ
スになるが、ガスミキサー等により撹拌を行ってもよ
い。
【0021】の方法の場合には、四塩化錫および水を
含有するガスにおける四塩化錫と水の割合は、上流側の
第一の吐出口から吐出されるガスにおいては、四塩化錫
1molに対して、水が80〜200molであるのが
好ましく、100〜150molであるのがより好まし
い。下流側の第二の吐出口から吐出されるガスにおいて
は、四塩化錫1molに対して、水が30〜70mol
であるのが好ましく、40〜60molであるのがより
好ましい。上記範囲で、酸化錫膜生成初期において四塩
化錫と水の割合が適当になり、酸化錫の結晶成長が安定
的に行われる。この場合、第一の吐出口からの吐出量
と、第二の吐出口からの吐出量との割合を、(第一の吐
出口からの吐出量):(第二の吐出口からの吐出量)=
1:5〜1:20とするのが好ましく、1:10〜1:
15とするのがより好ましい。上記範囲で、酸化錫膜形
成初期における四塩化錫および水の量が適当となり、ま
た、製造コストを低廉化することができる。
【0022】また、の方法の場合には、下流側の第二
の吐出口から吐出される四塩化錫および水を含有するガ
スにおける四塩化錫と水の割合は、四塩化錫1molに
対して、水が30〜70molであるのが好ましく、4
0〜60molであるのがより好ましい。上記範囲で、
酸化錫膜生成初期において四塩化錫と水の割合が適当に
なり、酸化錫の結晶成長が安定的に行われる。この場
合、上流側の第一の吐出口から吐出される水を含有し四
塩化錫を含有しないガスの吐出量は、第二の吐出口から
吐出される四塩化錫1molに対して、第一の吐出口か
ら吐出される水が50〜150molとなるようにする
のが好ましく、60〜100molとなるようにするの
がより好ましい。上記範囲で、酸化錫膜形成初期におけ
る四塩化錫および水の量が適当となり、また、製造コス
トを低廉化することができる。
【0023】また、第一の吐出口と第二の吐出口との間
に排気管を設けることもできる。このようにすると、酸
化錫膜の形成時の四塩化錫に対する水の割合を容易に調
節することができるようになる。
【0024】各吐出口から吐出されるガスの流れる方向
は、ガラス基板の移動方向と同方向であってもよく、逆
方向であってもよい。
【0025】四塩化錫および水を含有するガスは、本発
明の目的を損なわない範囲で、他の物質を含有すること
ができる。例えば、塩化水素;フッ化水素、トリフルオ
ロ酢酸等のフッ素化合物;メタノール、エタノール等の
低級アルコール;窒素等の不活性気体を含有することが
できる。四塩化錫および水を含有するガスが塩化水素を
含有する場合は、四塩化錫と水との反応がより起こりに
くくなるので、好ましい一態様である。四塩化錫を含有
するガスと水を含有するガスの少なくとも一方が塩化水
素を含有する場合には、両者の混合は、好ましくは45
0℃以下の温度で行われる。塩化水素の含有量は、四塩
化錫1molに対して1mol以上であるのが好まし
く、3〜5molであるのがより好ましい。また、四塩
化錫および水を含有するガスがフッ素化合物を含有する
場合は、電導性が高くなるので、好ましい一態様であ
る。この場合、さらに低級アルコールを含有すると、フ
ッ素ドーピングが促進される。
【0026】本発明に用いられるガラスは、特に限定さ
れない。例えば、酸化物ガラスが挙げられる。酸化物ガ
ラスは、例えば、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホ
ウ酸塩ガラスが挙げられる。ケイ酸塩ガラスは、例え
ば、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸ガラス、ケイ酸アルカリ
ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、ホウ
ケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。
【0027】また、ガラス基板にスパッタリング、真空
蒸着等によって1層以上の薄膜を形成した後、該薄膜の
上に本発明により酸化錫膜を形成し、多層膜とすること
ができる。そのような薄膜としては、例えば、金属、合
金、これらの酸化物、窒化物、炭化物等の薄膜が挙げら
れる。具体的には、ソーダ石灰ガラスを基板として用い
る場合において、該基板からのアルカリ成分の拡散防止
のためのアンダーコート(以下「アルカリバリア層」と
いう。)として、シリカ(SiO2 )膜等を形成したも
のを用いる例が挙げられる。
【0028】ガラス基板の形状および大きさは、特に限
定されず、例えば、厚みが0.2〜5mmの板状とする
ことができる。板状のガラス基板は、幅10〜500c
mとすることができ、適当な長さに切断されていてもよ
く、また、切断されていない状態(リボン状)であって
もよい。アルカリバリア層の幾何学的膜厚(以下、単に
「膜厚」という。)は、例えば、2〜100nmとする
ことができる。ガラス基板の温度は、450〜620℃
であるのが好ましい。上記範囲で、四塩化錫と水との反
応が十分に起こり、成膜速度が大きいからである。ガラ
ス基板の温度は、500〜600℃であるのがより好ま
しい。
【0029】CVD法は、常圧(大気圧)で行うことが
好ましい。
【0030】本発明の酸化錫膜の膜厚(最大膜厚)は、
特に限定されず、用途に合わせて調節できるが、太陽電
池基板用透明導電膜(太陽電池用電極)として用いる場
合には、400〜1000nmであるのが好ましく、6
00〜800nmであるのがより好ましい。本発明の酸
化錫膜の膜厚(最大膜厚)の変動幅は、−15〜+15
%、特に−10〜+10%であるのが好ましい。
【0031】本発明の酸化錫膜のシート抵抗は、特に限
定されず、用途に合わせて調節できるが、太陽電池基板
用透明導電膜として用いる場合には、5〜15Ω/□で
あるのが好ましく、5〜10Ω/□であるのがより好ま
しい。
【0032】本発明の酸化錫膜の可視光線透過率(以
下、単に「透過率」という。)は、特に限定されず、用
途に合わせて調節できるが、太陽電池基板用透明導電膜
として用いる場合には、80〜95%であるのが好まし
く、85〜95%であるのがより好ましい。
【0033】本発明の酸化錫膜のヘイズ率は、特に限定
されず、用途に合わせて調節できるが、太陽電池基板用
透明導電膜として用いる場合には、平均3〜30%であ
るのが好ましく、平均10〜15%であるのがより好ま
しい。また、ヘイズ率の変動幅は、ヘイズ率の平均値に
対して、−20〜+20%であるのが好ましく、−10
〜+10%であるのがより好ましい。
【0034】本発明の酸化錫膜は、その用途を特に限定
されるものではないが、シート抵抗が小さく、透過率が
高く、ヘイズ率が高く、表面に微細な凹凸を均一に有す
るので、太陽電池基板用透明導電膜として極めて好適に
用いることができる。また、例えば、液晶ディスプレ
イ、ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチ
パネル等の透明電極;自動車用および建築用の熱線反射
膜;フォトマスクその他各種用途の帯電防止膜;CRT
表面の電磁遮蔽膜;冷凍ショーケース用等の各種の防曇
用の透明発熱体;調光ガラスとしてのエレクトロクロミ
ック素子用基板としても用いることができる。
【0035】本発明の酸化錫膜を太陽電池基板用透明導
電膜として用いる具体例を以下に示す。なお、本発明の
酸化錫膜を用いる太陽電池基板は、以下のものに限定さ
れない。本発明によりガラス基板上に酸化錫膜を形成す
る。次に、プラズマCVD法により、基板全面にアモル
ファスシリコン薄膜等のシリコン薄膜を形成する。アモ
ルファスシリコン薄膜は、酸化錫膜に近い方から、p層
のa−SiC膜(アモルファスシリコン・カーバイド
膜)(膜厚約10nm)、b層のa−SiC膜(膜厚約
10nm)、i層のa−Si膜(アモルファスシリコン
膜)(膜厚約350nm)、n層のa−Si膜(膜厚約
20nm)よりなる。さらに、スパッタリング法によ
り、基板全面に裏面電極として、酸化亜鉛透明導電膜
(膜厚約50nm)および銀膜(膜厚約200nm)を
形成する。
【0036】現在、太陽電池の光電変換層であるアモル
ファスシリコン薄膜等のシリコン薄膜を透明導電性基板
上に形成する方法としては、主にプラズマCVD法が用
いられている。本発明の酸化錫膜を太陽電池基板用透明
導電膜として用いる場合には、耐プラズマ性を付与する
ために、酸化亜鉛等の結晶性薄膜からなる透明導電膜を
本発明の酸化錫膜の上にオーバーコートして用いるのも
好ましい一態様である。したがって、上記例において、
アモルファスシリコン薄膜等のシリコン薄膜を形成する
前に、酸化錫膜の上に20〜200nmの酸化亜鉛膜等
を形成するのも好ましい一例である。
【0037】本発明の酸化錫膜を用いて30cm×30
cmの太陽電池基板を上記構成で作成した場合、太陽電
池の変換効率は、8〜11%、より好適には10〜11
%とすることができる。
【0038】本発明の酸化錫膜の製造装置は、四塩化錫
と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸
化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造装
置であって、水を含有し四塩化錫を含有しないガス、お
よび/または、四塩化錫および水を含有するガスをガラ
ス基板上に吐出する吐出口をガラス基板の移動方向に複
数個備え、ガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方
が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出すること
を特徴とするものである。以下、図1〜4を参照しつ
つ、具体的に説明する。なお、本発明の製造装置はこれ
らに限定されない。
【0039】図1は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一
例を示す概念図である。初めに、本発明の酸化錫膜の製
造装置の構成について説明する。本発明の酸化錫膜の製
造装置は、ガラス基板の移動方向の上流側の第一のイン
ジェクター1および下流側の第二のインジェクター2を
備える。図1においては、2つのインジェクターを備え
る酸化錫膜の製造装置を示したが、水濃度の異なるガス
を吐出する2つの吐出口に連なる1つのインジェクター
を備える製造装置であってもよいし、1つの吐出口に連
なるインジェクターを備え、かつ、いわゆるエアカーテ
ンを備え、そのエアカーテンから水を含有するガスを吐
出する製造装置であってもよい。第一のインジェクター
1は、気化した四塩化錫を含有するガスと水を含有する
ガスとが供給され、両者を混合するインジェクター本体
3と、混合したガスを吐出するインジェクター吐出部4
とを備える。インジェクター本体3は、内部に熱媒体
(油等)を通しインジェクター本体3を一定温度に保つ
ためのジャケット5を備えており、インジェクター吐出
部4は、内部に熱媒体(油等)を通しインジェクター吐
出部4を一定温度に保つためのジャケット6を備えてい
る。
【0040】インジェクター本体3は、バブラータンク
から四塩化錫を含有するガスが供給される導管7を備え
る。バブラータンクにおいては、液状の四塩化錫にボン
ベから窒素等の不活性気体が吹き込まれ、四塩化錫が気
化し、四塩化錫を含有するガスが発生する。バブラータ
ンクは、20〜100℃に保持される。四塩化錫を含有
するガスは、水を含有するガスと混合する前に130〜
170℃に加熱され、インジェクター本体3に供給され
る。
【0041】また、インジェクター本体3は、ボイラー
から気化した水(水蒸気)が供給される導管8を備え
る。水を供給するボイラーは、100℃以上に保持され
る。水を含有するガスは、四塩化錫を含有するガスと混
合する前に130〜170℃に加熱され、インジェクタ
ー本体3に供給される。
【0042】インジェクター本体3においては、バブラ
ータンクから導管7を介して供給される四塩化錫を含有
するガスと、ボイラーから導管8を介して供給される水
を含有するガスが混合される。インジェクター本体3の
内部温度は、ジャケット5に熱媒体(油等)を通すこと
により130〜170℃に保持される。このとき、図示
しないバルブ等の流量調節器で、導管7および8からそ
れぞれ供給される四塩化錫を含有するガスと水を含有す
るガスとの混合比が所望の値に設定できる。インジェク
ター吐出部4は、均一に混合されたガスを吐出する。イ
ンジェクター吐出部4の内部温度は、ジャケット6に熱
媒体(油等)を通すことにより130〜170℃に保持
される。
【0043】第二のインジェクターは、第一のインジェ
クターと同様の構造とすることができる。導管13およ
び14からそれぞれ供給される四塩化錫を含有するガス
と水を含有するガスとの混合比も所望の値に設定でき、
インジェクター本体3中のガスの水濃度はインジェクタ
ー本体9中のガスの水濃度より高い。
【0044】四塩化錫および水を含有するガスは、イン
ジェクター吐出部4および10から、それぞれガス流路
15および16を通って、ガラス基板17に吐出され
る。ガス流路15および16は、カーボンブロック1
8、19、20により形成されている。ガラス基板上に
吐出された四塩化錫および水を含有するガスは、ガラス
基板の移動方向と同方向に流れ、酸化錫膜の形成に用い
られない過剰の水は、排気管21から排出され、酸化錫
膜を形成する雰囲気における四塩化錫と水の割合が調整
される。インジェクターからガラス基板上に吐出される
四塩化錫および水を含有するガスにおける水濃度は、上
流側の第一のインジェクター1の方が下流側の第二のイ
ンジェクター2より高い。したがって、四塩化錫と水の
割合を、例えば、上流側の第一のインジェクター1で
は、mol比で、四塩化錫:水=1:100〜1:20
0とし、下流側の第二のインジェクター2では、mol
比で、四塩化錫:水=1:30〜1:60とすることが
できる。図1の酸化錫膜の製造装置においては、第一の
インジェクターから水を含有し四塩化錫を含有しないガ
スを吐出することもできる。この場合には、四塩化錫と
水の割合を、例えば、下流側の第二のインジェクター2
では、mol比で、四塩化錫:水=1:30〜1:60
とすることができる。
【0045】ガス流路15の下端にある吐出口と、ガラ
ス基板表面との距離は、1〜3cmとするのが好まし
い。吐出角度は、ガラス基板表面に対して45〜90度
(ガラス基板の移動方向を0度とする。)とするのが好
ましい。ガス流路16の下端にある吐出口と、ガラス基
板表面との距離は、1〜3cmとするのが好ましい。吐
出角度は、ガラス基板表面に対して45〜90度(ガラ
ス基板の移動方向を0度とする。)とするのが好まし
い。
【0046】ガス流路15の下端にある吐出口と、ガス
流路16の下端にある吐出口との距離は、ガラス基板の
移動速度との関係により変化するので限定されるもので
はないが、10〜100cmとするのが好ましく、20
〜80cmとするのがより好ましい。
【0047】四塩化錫および水を含有するガスの吐出量
は、第一のインジェクター1では、ガラス基板の幅1m
当たり、0.025〜1.4m3 /minとするのが好
ましく、第二のインジェクター2では、ガラス基板の幅
1m当たり、0.5〜7m3/minとするのが好まし
い。四塩化錫および水を含有するガスの吐出速度は、第
一のインジェクター1では、0.1〜10m/sとする
のが好ましく、第二のインジェクター2では、0.5〜
20m/sとするのが好ましい。第一のインジェクター
から水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出する場
合には、四塩化錫および水を含有するガスの吐出量は、
第二のインジェクター2では、ガラス基板の幅1m当た
り、0.5〜7m3 /minとするのが好ましい。ま
た、この場合には、ガスの吐出速度は、第一のインジェ
クター1では、0.1〜10m/sとするのが好まし
く、第二のインジェクター2では、0.5〜20m/s
とするのが好ましい。
【0048】ガラス基板の移動速度は、四塩化錫および
水を含有するガスの吐出量にもよるが、例えば、第一の
インジェクター1からのガラス基板の幅1m当たりの吐
出量を0.1m3 /min、第二のインジェクター2か
らのガラス基板の幅1m当たりの吐出量を1.0m3
minとする場合には、1.0〜2.0m/minとす
るのが好ましい。
【0049】四塩化錫および水を含有するガスは、層流
であってもよく、乱流であってもよい。
【0050】図2は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一
例を示す概念図である。図2の酸化錫膜の製造装置は、
ガラス基板の移動方向の上流側の第一のインジェクター
26および下流側の第二のインジェクター27を備える
点で、図1の装置と同様であるが、排気管28の位置が
2つのインジェクターの間にある点で異なる。第一のイ
ンジェクター26から吐出されたガスは、ガラス基板の
移動方向と同方向に流れ、第二のインジェクター27か
ら吐出されたガスは、ガラス基板の移動方向と逆方向に
流れ、排気管28から排気される。インジェクターから
吐出されるガスにおける水濃度が、上流側の第一のイン
ジェクター26の方が下流側の第二のインジェクター2
7より高いこと、第一のインジェクター26からは水を
含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出することができ
ることについては、図1の装置と同様である。その他の
条件等は、図1の装置に準ずる。なお、第二のインジェ
クター27より下流側に、排気管28とは別の排気管を
更に有していてもよい。
【0051】図3は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一
例を示す概念図である。図3の酸化錫膜の製造装置は、
図2の装置の第一のインジェクターの代わりにエアカー
テン29を用いるものである。エアカーテン29から
は、水を含有し四塩化錫を含有しないガス、例えば、水
蒸気を含有する空気を吐出する。前記ガスにおける水の
濃度は、例えば、1〜50%とすることができる。エア
カーテン29から吐出されたガスは、ガラス基板の移動
方向と同方向に流れ、インジェクター30から吐出され
たガスは、排気管31と排気管32から排気される。エ
アカーテン29から吐出された水を含有し四塩化錫を含
有しないガスは、排気管31から排気されるが、排気管
31の下端付近でインジェクター30から吐出された四
塩化錫および水を含有するガスと混合し、排気管31よ
り下流側の雰囲気よりも水濃度が高い雰囲気を生成す
る。これは、図2の装置において、第一のインジェクタ
ー26から水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出
する場合と同様である。その他の条件等は、図2の装置
と同様である。
【0052】図4は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一
例を示す概念図である。図4の酸化錫膜の製造装置は、
ガラス基板の移動方向の上流側の第一のインジェクター
33および下流側の第二のインジェクター34を備える
点で、図1の装置と同様であるが、排気管35の位置が
第一のインジェクター33の上流側にある点で異なる。
第一のインジェクター33および第二のインジェクター
34から吐出されたガスは、ガラス基板の移動方向と逆
方向に流れ、排気管35から排気される。インジェクタ
ーから吐出されるガスにおける水濃度が、上流側の第一
のインジェクター33の方が下流側の第二のインジェク
ター34より高いこと、第一のインジェクター33から
は水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出すること
ができることについては、図1の装置と同様である。そ
の他の条件等は、図1の装置に準ずる。なお、第二のイ
ンジェクター34より下流側に、排気管35とは別の排
気管を更に有していてもよい。
【0053】本発明の酸化錫膜の製造装置によれば、シ
ート抵抗が小さく、透過率が高く、ヘイズ率が高く、表
面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜を得ることがで
き、本発明の酸化錫膜の製造装置は、本発明の酸化錫膜
の製造方法の実施に最適なものの一例として挙げられ
る。
【0054】特許第2833797号明細書には、ガラ
ス面に沿うように四塩化錫からなる第一の反応ガスの流
れを作り、その流れ内に20%フッ化水素酸からなる第
二の反応ガスの乱流の流れを導入し、結合された乱流の
結合流により酸化錫層を付着する方法が記載されてい
る。そして、前記明細書には、第二の反応ガスを乱流と
して与えることにより、ガラスと既に接触している第一
の流れと十分な混合度で混合させ、十分均一な酸化錫層
を付着させることができる旨記載されている。しかし、
前記方法は、上流側の第一の流れの方が下流側の第二の
流れより水濃度が低いので、酸化錫の結晶成長が均一な
ものとならず、また、実際には、第一の流れと第二の流
れの混合が十分ではなく、得られる酸化錫膜は十分に均
一なものとはいえない。特に、太陽電池基板用透明導電
膜として用いられる酸化錫膜に要求されるような、高い
レベルでヘイズ率の均一性が満たされるものではない。
したがって、本発明のようなシート抵抗が小さく、透過
率が高く、ヘイズ率が高く、表面に微細な凹凸を均一に
有する酸化錫膜は得られない。
【0055】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.酸化錫膜の製造 (実施例1)ソーダライムガラス基板(30cm×30
cm×3mm)を用意し、十分に洗浄を行った後、アル
カリバリアー層として約50nmの膜厚のシリカ膜をC
VD法で形成し、その後図1に示す本発明の酸化錫膜の
製造装置を用い、CVD法により四塩化錫を主原料と
し、水との加水分解反応により酸化錫膜を形成した。具
体的には、以下の手順で行った。四塩化錫を55℃に保
持したバブラータンクに入れ、ボンベから窒素を導入し
て気化させた。水は100℃以上に保持したボイラーか
ら供給した。また、膜を低抵抗化するためのフッ化水素
ガスをボンベを約80℃に加熱して気化させた。さら
に、メタノールを30℃に保持したバブラータンクに入
れ、ボンベから窒素を導入して気化させた。四塩化錫お
よび水をそれぞれ150℃に加熱した後、150℃に保
温した導管7、8、13および14を経由して、第一の
インジェクター1および第二のインジェクター2に輸送
した。また、フッ化水素ガスおよびメタノールをそれぞ
れ150℃に加熱した後、それぞれ150℃に保温した
導管(図示せず)を経由して、第一のインジェクター1
および第二のインジェクター2に輸送した。四塩化錫、
水、フッ化水素ガスおよびメタノールをインジェクター
本体3および9で混合した。混合比(mol比)は、第
一のインジェクター1では、四塩化錫:水=1:10
0、第二のインジェクター2では、四塩化錫:水=1:
50とした。インジェクター本体3および9の温度は熱
媒体(油)により約150℃に保持した。
【0056】約500℃のガラス基板17を、第一のイ
ンジェクター1からの水濃度が高いガスが吐出するガス
流路15、ついで第二のインジェクター2からの水濃度
が低いガスが吐出するガス流路16の下を通過させ、ガ
ラス基板表面に酸化錫膜を形成させた。吐出量比は、
(第一のインジェクターからの吐出量):(第二のイン
ジェクターからの吐出量)=1:10とした。排気管2
1からは、過剰の水の排気を行った。
【0057】(実施例2)第一のインジェクター1から
吐出するガスとして、四塩化錫および水を含有するガス
の代わりに、水蒸気を用いた以外は、実施例1と同様の
方法により、ガラス基板表面に酸化錫膜を形成させた。
すなわち、約500℃のガラス基板17を、第一のイン
ジェクター1からの水蒸気が吐出するガス流路15、つ
いで第二のインジェクター2からの四塩化錫および水を
含有するガスが吐出するガス流路16の下を通過させ、
ガラス基板表面に酸化錫膜を形成させた。なお、四塩化
錫と水との混合比(mol比)は、第二のインジェクタ
ー2では、四塩化錫:水=1:50とした。また、吐出
量比は、(第一のインジェクターからの吐出量):(第
二のインジェクターからの吐出量)=1:5とした。
【0058】(比較例1)吐出口15からガスを吐出せ
ず、かつ、排気管21から排気しなかったこと以外は、
実施例1と同様の方法により、ガラス基板表面に酸化錫
膜を形成させた。
【0059】2.酸化錫膜の物性 得られた酸化錫膜について、以下の物性を測定し、評価
を行った。結果を第1表に示す。なお、実施例1とは別
に、図1の装置の代わりに図2または図4の装置を用い
て、同様の条件でガラス基板表面に酸化錫膜を形成させ
る試みを行い、それぞれ実施例1と同様の酸化錫膜を得
ることができた。また、実施例2とは別に、図1の装置
の代わりに図3の装置を用いて、同様の条件でガラス基
板表面に酸化錫膜を形成させる試みを行い、実施例2と
同様の酸化錫膜を得ることができた。以下、実施例1お
よび2で得られた酸化錫膜についての結果を示すが、図
2〜4の装置を用いて得られた酸化錫膜についての結果
も同様であった。
【0060】(1)膜厚 触針式表面あらさ計を用いて、膜厚(最大膜厚)を測定
した。実施例1の膜は800nm、実施例2の膜は70
0nm、比較例1の膜は600nmであった。
【0061】(2)シート抵抗 シート抵抗は、4端子法で測定した。実施例および比較
例で得られた表面に膜を有するガラス基板を約3cm角
に切り出し、対向する2辺に、長さ3cmの一対の電極
を電極間距離が3cmとなるように、膜の上に平行に取
り付けた。次に、テスターで電極間の抵抗(シート抵
抗)を測定した。実施例1の膜は7Ω/□、実施例2の
膜は8Ω/□、比較例1の膜は10Ω/□であった。
【0062】(3)透過率 波長400nm〜800nmでの分光透過率の平均値を
積分球を用いた分光光度計によって測定し、ヘイズによ
る透過率の測定値の低下を補正し、透過率を算出した。
実施例1の膜は84%、実施例2の膜は85%、比較例
1の膜は83%であった。
【0063】(4)ヘイズむらおよびヘイズ率 ヘイズむらを肉眼により観察した。また、基板全面に分
布する10箇所において、波長400nm〜800nm
の光に対するヘイズ率をヘイズメータで測定した。実施
例1の膜は基板全面においてヘイズむらは観察されず、
ヘイズ率は平均15%であり、高い部分では18%、低
い部分では12%であった。実施例2の膜は基板全面に
おいてヘイズむらは観察されず、ヘイズ率は平均12%
であり、高い部分では15%、低い部分では9%であっ
た。比較例1の膜は基板全面において縞模様のヘイズむ
らが観察され、ヘイズ率は平均7%であり、高い部分で
は18%、低い部分では4%であった。
【0064】(5)膜表面の凹凸形状 走査電子顕微鏡(SEM)により、膜表面の凹凸形状を
観察した。実施例1および2の膜は、表面に微細なピラ
ミッド状の凹凸を均一に有していた。凸部の高さ(凸部
と凹部の高低差)は、実施例1の膜が約150〜170
nm、実施例2の膜が約120〜150nmであった。
比較例1の膜は、表面の凹凸が不均一であり、凸部の高
さ(凸部と凹部の高低差)は、約80〜250nmと大
きくばらついていた。
【0065】(6)太陽電池基板用透明導電膜とした場
合の太陽電池基板のエネルギー変換効率 実施例1、2および比較例1で得られた酸化錫膜の形成
されたガラス基板(30cm×30cm)に、プラズマ
CVD法により、全面にアモルファスシリコン薄膜を形
成した。アモルファスシリコン薄膜は、酸化錫膜に近い
方から、p層のa−SiC膜(アモルファスシリコン・
カーバイド膜)(膜厚約10nm)、b層のa−SiC
膜(膜厚約10nm)、i層のa−Si膜(アモルファ
スシリコン膜)(膜厚約350nm)、n層のa−Si
膜(膜厚約20nm)より構成した。さらに、スパッタ
リング法により、基板全面に裏面電極として酸化亜鉛膜
(膜厚約50nm)および銀膜(膜厚約200nm)を
形成した。得られた太陽電池基板について、AM(Ai
r Mass)1.5のソーラーシミュレータを用い
て、エネルギー変換効率を測定した。実施例1の膜は1
0%、実施例2の膜は9.5%であった。一方、比較例
1の膜は7%であったが、比較例1により得られた膜の
中には、全く性能を発揮しないものもあった。これは表
面の凹凸が不均一であるので、凸部の高さ(凸部と凹部
の高低差)が大きい部分で短絡しているためであると考
えられる。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】本発明の酸化錫膜の製造方法によれば、
本発明は、シート抵抗が小さく、透過率が高く、かつ、
ヘイズ率が高くかつ均一な酸化錫膜であって、表面に微
細な凹凸を均一に有する酸化錫膜が得られる。前記本発
明の酸化錫膜は、太陽電池基板用透明導電膜に用いる
と、エネルギー変換効率が高い太陽電池が得られるの
で、極めて好適である。また、本発明の酸化錫膜の製造
装置は、前記方法の実施に好ましく用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図
である。
【図2】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図
である。
【図3】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図
である。
【図4】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図
である。
【符号の説明】
1 第一のインジェクター 2 第二のインジェクター 3、9 インジェクター本体 4、10 インジェクター吐出部 5、6、11、12 ジャケット 7、8、13、14 導管 15、16 ガス流路 17 ガラス基板 18、19、20、22、23、24 カーボンブロッ
ク 21、25 排気管 26 第一のインジェクター 27 第二のインジェクター 28 排気管 29 エアカーテン 30 インジェクター 31、32 排気管 33 第一のインジェクター 34 第二のインジェクター 35 排気管
フロントページの続き (72)発明者 府川 真 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 池田 徹 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4G059 AA01 AC12 EA02 EB01 4K030 AA03 BA45 CA06 EA06 LA01 LA11 5F051 BA14 CA15 CB27 FA03 FA19 FA24 GA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動
    するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成
    する酸化錫膜の製造方法であって、 四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出
    して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気が、ガラス基板の
    移動方向の上流側の方が下流側より水濃度が高い雰囲気
    であることを特徴とする酸化錫膜の製造方法。
  2. 【請求項2】四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動
    するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成
    する酸化錫膜の製造方法であって、 ガラス基板の移動方向に並ぶ複数個の吐出口から、水を
    含有し四塩化錫を含有しないガス、および/または、四
    塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出
    し、その際にガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の
    方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出するこ
    とを特徴とする酸化錫膜の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の方法により得ら
    れる酸化錫膜。
  4. 【請求項4】四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動
    するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成
    する酸化錫膜の製造装置であって、 水を含有し四塩化錫を含有しないガス、および/また
    は、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に
    吐出する吐出口をガラス基板の移動方向に複数個備え、
    ガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の
    吐出口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴とす
    る酸化錫膜の製造装置。
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