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WO2021192452A1 - 捺染用処理液、捺染用希釈処理液、インクセット、およびインクジェット印刷方法 - Google Patents

捺染用処理液、捺染用希釈処理液、インクセット、およびインクジェット印刷方法 Download PDF

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WO2021192452A1
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有哉 渡辺
竜太 野田
正樹 村上
将博 植木
聡史 平川
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Abstract

捺染用処理液であって、前記捺染用処理液は、水性インクジェット用インク組成物に対して互いに液体状態で接すように用いられ、1気圧下における沸点が120℃以下である有機酸Aと、1気圧下における沸点が140℃以上である有機酸Bを含み、前記有機酸Aと前記有機酸Bの質量比(有機酸A/有機酸B)が、0.4以上2.5以下である捺染用処理液。当該捺染用処理液は、処理された布帛における捺染用処理液に対して、水性インクジェット用インク組成物を、互いに液体状態(ウエット・オン・ウエット)で接するように印刷することができる。

Description

捺染用処理液、捺染用希釈処理液、インクセット、およびインクジェット印刷方法
 本発明は、捺染用処理液、捺染用希釈処理液、インクセット、およびインクジェット印刷方法に関する。
 布帛の捺染方法としては、水性インクジェット用インク組成物を用いたインクジェット印刷方法が適用されている(特許文献1-6)。
 上記の特許文献で開示されたインクジェット印刷方法は、水溶性多価金属塩、樹脂成分、界面活性剤および水性媒体等を含有する捺染用処理液で布帛を処理し、さらに、加熱乾燥した後、上記の水性インクジェット用インク組成物を印刷(印字)する方法である。
特開2011-105915号公報 再表2009-084600号公報 特開2009-149774号公報 特開2008-266853号公報 特開2008-266527号公報 特開2008-195767号公報
 一方、市場では、生産性の向上の観点から、捺染用処理液で布帛を処理した後、特段の加熱乾燥を必要とすることなく、水性インクジェット用インク組成物を印刷(印字)する方法が求められている。
 本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、処理された布帛における捺染用処理液に対して、水性インクジェット用インク組成物を、互いに液体状態(ウエット・オン・ウエット)で接するように印刷することができる捺染用処理液を提供することを目的とする。
 また、本発明は、上記の捺染用処理液が水で希釈された捺染用希釈処理液、上記の捺染用処理液と水溶性インクジェット用インク組成物とを有するインクセット、および上記の捺染用処理液を用いたインクジェット印刷方法を提供することを目的とする。
 すなわち、本発明は、捺染用処理液であって、前記捺染用処理液は、水性インクジェット用インク組成物に対して互いに液体状態で接すように用いられ、1気圧下における沸点が120℃以下である有機酸Aと、1気圧下における沸点が140℃以上である有機酸Bを含み、前記有機酸Aと前記有機酸Bの質量比(有機酸A/有機酸B)が、0.4以上2.5以下である捺染用処理液に関する。
 また、本発明は、前記捺染用処理液が水で希釈されており、前記有機酸Aと前記有機酸Bの合計の濃度が、1.5質量%以上10質量%以下である捺染用希釈処理液に関する。
 また、本発明は、前記捺染用処理液または前記捺染用希釈処理液と、水性インクジェット用インク組成物とを有するインクセットに関する。
 また、本発明は、前記捺染用処理液、または前記捺染用希釈処理液で布帛を処理する工程と、水性インクジェット用インク組成物を、処理された布帛における前記捺染用処理液または前記捺染用希釈処理液に対して、互いに液体状態で接するように印刷するインクジェット印刷方法に関する。
 本発明の捺染用処理液における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定されるものではない。
 本発明の捺染用処理液は、水性インクジェット用インク組成物に対して互いに液体状態で接すように用いられ、1気圧下における沸点が120℃以下である有機酸Aと、1気圧下における沸点が140℃以上である有機酸Bを含み、前記有機酸Aと前記有機酸Bの質量比(有機酸A/有機酸B)が、0.4以上2.5以下である。前記有機酸Aと前記有機酸Bは、揮発性であり、アルカリ成分の凝集を促進させることから、水性インクジェット用インク組成物に対して互いに液体状態で接すように用いられることで、アルカリ可溶樹脂で分散された顔料の凝集を促進し、布帛に適度に浸透した状態で塗膜を形成することで、耐裏移り性、耐にじみ性、および洗濯堅牢度のバランスが良好な印刷物(捺染物)が得られる。
<捺染用処理液>
 本発明の捺染用処理液は、水性インクジェット用インク組成物に対して互いに液体状態で接すように用いられ、1気圧下における沸点が120℃以下である有機酸Aと、1気圧下における沸点が140℃以上である有機酸Bを含む。上記の「水性インクジェット用インク組成物に対して互いに液体状態で接すように用いられ」とは、前記捺染用処理液で処理した布帛に対して、後述する水性インクジェット用インク組成物を印刷する際、処理された布帛における捺染用処理液に対して、水性インクジェット用インク組成物を、互いに液体状態(ウエット・オン・ウエット)で接するように印刷することを意味する。
 前記有機酸Aは、1気圧下における沸点が120℃以下である。前記有機酸Aとしては、例えば、ギ酸、酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。前記有機酸Aは、1気圧下における沸点が、通常、40℃以上であり、80℃以上であることが好ましい。前記有機酸Aは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記有機酸Bは、1気圧下における沸点が140℃以上である。前記有機酸Bとしては、例えば、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、乳酸等のカルボン酸等が挙げられる。前記有機酸Bは、1気圧下における沸点が、通常、400℃以下であり、300℃以下であることが好ましい。前記有機酸Bは、有機酸Aと組み合わせて布帛からの揮発性を調整する観点から、1気圧下における沸点が、160℃以上であることが好ましく、200℃以上であることが好ましい。前記有機酸Bは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記有機酸Aと前記有機酸Bの質量比(有機酸A/有機酸B)は、0.4以上2.5以下である。前記有機酸Aと前記有機酸Bの質量比(有機酸A/有機酸B)は、耐にじみ性の観点から、0.45以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、そして、耐裏移り性の観点から、2.2以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。
 前記捺染用処理液は、危険物の等級や運搬上の観点から、水を含んでいてもよい。この場合、前記捺染用処理液中、前記有機酸Aと前記有機酸Bの合計の割合は、10質量%以上であることが好ましく、そして、20質量%以下であることが好ましい。
 前記捺染用処理液は、水で希釈され、前記有機酸Aと前記有機酸Bの合計の濃度が、1.5質量%以上10質量%以下である捺染用希釈処理液として、使用することが好ましい。前記捺染用処理液は、耐裏移り性の観点から、前記有機酸Aと前記有機酸Bの合計の濃度が、3質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
 前記水は、水溶性溶剤を含む水であってもよく、前記水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;グリセリン等の多価アルコール類;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコールとそのアルキルエーテル類等が挙げられる。前記水溶性溶剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記捺染用処理液および/または前記捺染用希釈処理液中、前記有機酸Aと前記有機酸Bと前記水の合計の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
 また、前記捺染用処理液および前記捺染用希釈処理液には、必要に応じ、公知の樹脂、界面活性剤、防腐剤、粘度調整剤、防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保存性向上剤、消泡剤、pH調整剤等を含んでいてもよい。前記界面活性剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤が挙げられる。前記界面活性剤の具体例としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤等が挙げられる。
<水性インクジェット用インク組成物>
 本発明の水性インクジェット用インク組成物は、顔料、アルカリ可溶性樹脂、樹脂エマルジョン、界面活性剤、水溶性溶剤、および水を含む。
<顔料>
 前記顔料は、インクジェット用インク組成物に使用される有機顔料や無機顔料を特に制限なく使用することができる。前記有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジコ系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料、ニトロソ系顔料、フラバンスロン系顔料、キノフタロン系顔料、ピランスロン系顔料、インダンスロン系顔料等が挙げられる。また、前記無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。前記顔料は、公知の表面処理剤により表面処理されたものであってもよい。前記顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記顔料の代表的な色相ごとの具体例としては、以下のものが挙げられる。
 イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、108、109、114、120、128、129、138、139、150、151、155、166、180、184、185、213等が挙げられる。
 マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、12、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57、57:1、63:1、101、102、112、122、123、144、146、149、168、177、178、179、180、184、185、190、202、209、224、242、254、255、270、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられる。
 シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、18、22、27、29、60等が挙げられる。
 ブラック顔料としては、例えば、カーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)等が挙げられる。
 ホワイト顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、アルミナ、シリカ等の種々の材料で表面処理されていてもよい。
<アルカリ可溶性樹脂>
 前記アルカリ可溶性樹脂は、通常のインクや塗料の顔料分散用やバインダーとして利用できるアルカリ可溶性樹脂であって、塩基性化合物の存在下で水性媒体中に溶解できるものであれば特に制限はないが、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基(-P(=O)(OH))等のアニオン性基の1種または2種以上を含有する樹脂が好ましい。
 前記アルカリ可溶性樹脂は、さらに、主に顔料との吸着性を向上させるための疎水性部分を分子中に有することが好ましい。分子内に導入する疎水性部分としては、例えば、長鎖アルキル基、脂環族、芳香族の環状炭化水素基等の疎水性基が挙げられる。
 前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、水性媒体への溶解性を高める観点から、100mgKOH/g以上であることが好ましく、140mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、印刷物の耐水性を向上させる観点から、300mgKOH/g以下であることが好ましく、250mgKOH/g以下であることがより好ましい。なお、前記酸価は、アルカリ可溶性樹脂を合成するために用いる単量体の組成に基づいて、アルカリ可溶性樹脂1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数を算術的に求めた理論酸価である。
 前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、インク組成物の保存安定性および吐出安定性を向上させる観点から、0℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、印刷物の風合いを向上させる観点から、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
 前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、アルカリ可溶性樹脂がアクリル系共重合体樹脂の場合、下記のwoodの式により求めた理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・+Wx/Tgx
[式中、Tg1~Tgxはアルカリ可溶性樹脂を構成する単量体1、2、3・・・xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1~Wxは単量体1、2、3・・・xのそれぞれの重合分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である。]
 前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、アルカリ可溶性樹脂がアクリル系共重合体樹脂以外の場合、熱分析により求めた理論ガラス転移温度である。熱分析の方法としては、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準じ、一例として、パーキンエルマー社製Pyris1 DSCを用いて、昇温速度20℃/分、窒素ガス流速20ミリリットル/分の条件下でガラス転移温度を測定することができる。
 前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、印刷物の耐水性を向上させる観点から、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、水性媒体への溶解性を高める観点から、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。
 前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel、5μ、MIXED-D(Polymer Laboratories社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度25℃、流速1ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/ミリリットル、注入量100マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
 前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系共重合樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、縮重合反応によって得られるポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。この様なアルカリ可溶性樹脂を合成するための材料については、例えば、特開2000-94825号公報に開示されており、該公報に記載されている材料を使用して得られるアクリル系共重合樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が利用可能である。さらには、これら以外のその他の材料を用いて得られた樹脂も利用可能である。前記アルカリ可溶性樹脂は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記アクリル系共重合樹脂としては、例えば、アニオン性基含有単量体と共重合可能な他の単量体の混合物を通常のラジカル発生剤(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等)の存在下、溶媒中で重合して得られるものが使用できる。
 前記アニオン性基含有単量体としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性基を有する単量体が挙げられ、これらの中でも、カルボキシル基を有する単量体が特に好ましい。
 前記カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、無水フマール酸、マレイン酸ハーフエステル等が挙げられる。また、前記スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、スルホエチルメタクリレート等が挙げられる。また、前記ホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、ホスホノエチルメタクリレート等が挙げられる。
 前記アニオン基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、顔料との吸着性を向上させる観点から、疎水性基含有単量体を含むことが好ましい。
 前記疎水性基含有単量体としては、例えば、長鎖アルキル基を有する単量体として、(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸の炭素数が8以上のアルキルエステル類(例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等)、炭素数が8以上のアルキルビニルエーテル類(例えば、ドデシルビニルエーテル等)、炭素数が8以上の脂肪酸のビニルエステル類(例えば、ビニル2-エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、ビニルステアレート等);脂環族炭化水素基を有する単量体として、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等;芳香族炭化水素基を有する単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体等が挙げられる。前記疎水性基含有単量は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記アニオン性基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、水性媒体中でアルカリ可溶性樹脂の凝集を抑制する観点から、親水性基含有単量体を含むことができる。
 前記親水性基含有単量体としては、例えば、(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する単量体として、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸とのエステル化物や、(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸へのエチレンオキシド付加物及び/又はプロピレンオキシド付加物等;塩基性基含有単量体として、例えば、1-ビニル-2-ピロリドン、1-ビニル-3-ピロリドン等のビニルピロリドン類、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等のビニルピリジン類、1-ビニルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール等のビニルイミダゾール類、3-ビニルピペリジン、N-メチル-3-ビニルピペリジン等のビニルビペリジン類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸第3ブチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシ(メタ)アクリルアミド、N-エトキシ(メタ)アクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の含窒素誘導体類等;水酸基を有する単量体として、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類等;エポキシ基を有する単量体として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記親水性基含有単量体は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記疎水性基含有単量体、および親水性基含有単量体以外の共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸の炭素数が8未満のアルキルエステル類等が挙げられる。前記疎水性基含有単量体、および親水性基含有単量体以外の共重合可能な他の単量体は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記アルカリ可溶性樹脂は、当該樹脂を適度に架橋して、顔料の凝集を抑制させる観点から、2官能以上の架橋剤を使用してもよい。
 前記2官能以上の架橋剤は、アルカリ可溶性樹脂が有する官能基と反応するために、分子内に2つ以上の反応性官能基を有するものであればよい。当該反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、アミノ基、アジリジン基等が挙げられる。前記2官能以上の架橋剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
<樹脂エマルジョン>
 前記樹脂エマルジョンは、樹脂成分が水に分散したエマルジョンであり、アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれも使用できるが、アニオン性、ノニオン性が好ましい。前記樹脂エマルジョンは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記樹脂エマルジョンは、水性インクジェット用インク組成物に使用される公知の樹脂エマルジョンを使用でき、例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、ポリエステル系樹脂エマルジョン、ポリオレフィン系樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、ポリ塩化ビニル系樹脂エマルジョン等が挙げられる。前記樹脂エマルジョンは、耐水性や洗濯堅牢度を向上させる観点からは、熱により架橋する架橋成分を有する自己架橋性の樹脂エマルジョンであることが好ましい。
 前記樹脂エマルジョンは、含有する樹脂のガラス転移温度が、インク組成物の吐出安定性を高める観点から、-50℃以上が好ましく、-40℃以上がより好ましく、-30℃以上がさらに好ましい。エマルジョンの樹脂のガラス転移温度は、印刷物の風合いを向上させる観点から、20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、0℃以下がさらに好ましい。
<界面活性剤>
 前記界面活性剤は、水性インクジェット用インク組成物に使用される公知の界面活性剤を使用でき、例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤が挙げられる。前記界面活性剤の具体例としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤等が挙げられる。前記界面活性剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
<水溶性溶剤>
 前記水溶性溶剤は、水性インクジェット用インク組成物に使用される公知の水溶性溶剤を使用でき、例えば、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;グリセリン等の多価アルコール類;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコールとそのアルキルエーテル類等が挙げられる。前記水溶性溶剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
<水>
 前記水性インクジェット用インク組成物における水は、後述する顔料分散液中に含有する水性媒体としての水、前記樹脂エマルジョン中に含有する水、および本発明の水性インクジェット用インク組成物の濃度調製のために加える水、等を含むものである。前記水は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 以下、前記水性インクジェット用インク組成物中の各成分の割合について説明する。
 前記水性インクジェット用インク組成物中の前記顔料の割合は、印刷物の印画濃度を向上させる観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、そして、吐出安定性を向上させる観点から、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。ただし、前記顔料がホワイト顔料である場合、前記水性インクジェット用インク組成物中の前記ホワイト顔料の割合は、4質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、そして、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
 前記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、前記顔料100質量部に対して、顔料の分散性を高める観点から、5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、前記顔料100質量部に対して、水性インクジェット用組成物の粘度を低下させる観点から、100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましい。
 前記水性インクジェット用インク組成物中の前記樹脂エマルジョンの(樹脂)固形分の割合は、印刷画質および耐擦過性を向上させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが好ましく、そして、印刷画質および保存安定性を向上させる観点から、25質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましい。
 前記水性インクジェット用インク組成物中の前記界面活性剤の割合は、ドット拡張性、印刷物のベタ均一性を向上させる観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、そして、保存安定性を向上させる観点から、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
 前記水性インクジェット用インク組成物中の前記水溶性溶剤の割合は、吐出安定性を向上させる観点から、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、そして、塗膜乾燥性を向上させる観点から、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
 前記水性インクジェット用インク組成物中の前記水(各成分に含有する水を含む)の割合は、塗膜乾燥性を向上させる観点から、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、そして、吐出安定性を向上させる観点から、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
 前記水性インクジェット用インク組成物中、前記顔料、前記アルカリ可溶性樹脂、前記樹脂エマルジョン、前記界面活性剤、前記水溶性溶剤、および前記水の合計の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
<塩基性化合物>
 前記水性インクジェット用インク組成物には、アルカリ可溶性樹脂を溶解させる観点から、塩基性化合物を含むことが好ましい。前記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、N、N-ジメチルエタノールアミン、N、N-ジエチルエタノールアミン、N、N-ジブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等の有機塩基性化合物等が挙げられる。前記塩基性化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 前記水性インクジェット用インク組成物中の前記塩基性化合物の割合は、前記アルカリ可溶性樹脂を媒体中に溶解させる量であればよいが、通常、アルカリ可溶性樹脂の分散安定性を高める観点から、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、そして、印刷物の耐水性を高める観点から、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
 前記水性インクジェット用インク組成物には、さらに、目的に応じて公知の樹脂、顔料分散剤、防腐剤、防黴剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保存性向上剤、消泡剤、pH調整剤等の添加剤を添加することができる。
<水性インクジェット用インク組成物の調製方法>
 前記水性インクジェット用インク組成物を調製(製造)する方法としては、特に限定されず、上記の成分を順番に、あるいは同時に添加して、混合すればよいが、例えば、(1)前記塩基性化合物の存在下にアルカリ可溶性樹脂を水に溶解した水性樹脂ワニス、顔料、必要に応じて顔料分散剤等を混合した後、各種分散機、例えばボールミル、アトライター、ロールミル、サンドミル、アジテーターミル等を利用して顔料分散液(インクベース)を調製し、さらに残りの材料を添加して、水性インクジェット用インク組成物を調製する方法や、(2)上記の方法で顔料を分散した後、酸析法や再公表特許WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段等により、顔料表面にアルカリ可溶性樹脂を析出させた樹脂被覆顔料を得、次いで得られた樹脂被覆顔料を塩基性化合物で中和し、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて水に再分散し、さらに残りの材料を添加して、水性インクジェット用インク組成物を調製する方法等が挙げられる。
 前記水性インクジェット用インク組成物は、製造後の初期粘度が2.0~25.0mPa・s、好ましくは5.0~20.0mPa・sの範囲である。粘度は、例えば、E型粘度計(商品名「RE100L型粘度計」、東機産業社製)により測定できる。
<インクセット>
 本発明のインクセットは、前記捺染用処理液または前記捺染用希釈処理液と、前記水性インクジェット用インク組成物とを有する。
<インクジェット印刷方法>
 また、本発明のインクジェット印刷方法は、前記捺染用処理液、または前記捺染用希釈処理液で布帛を処理する工程(以下、工程1ともいう)と、前記水性インクジェット用インク組成物を、処理された布帛における前記捺染用処理液または前記捺染用希釈処理液に対して、互いに液体状態で接するように印刷する工程(以下、工程2ともいう)を含む。
 前記布帛は、従来から使用されている、例えば、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。また、これらの2種以上からなる布帛等が挙げられる。
 前記工程1において、布帛を処理する方法としては、布帛を処理液に浸漬する方法、処理液を布帛の全面または部分(水性インクジェット用インクの印字領域)に各種塗工機、インクジェット記録装置等で塗布する方法等が挙げられる。処理液の付与量は塗布重量で200~600g/m程度であることが好ましい。
 前記工程2において、印刷方法としては、インクジェット記録装置を用いて、前記水性インクジェット用インク組成物を記録信号に対応した印字を行うことにより画像を形成した後、加熱乾燥する方法等が挙げられる。画像を鮮明にする観点から、例えば、ホワイト顔料を有する水性インクジェット用インク組成物を用いて、白い画像を形成した後、さらに、その白い画像の上に、ホワイト顔料以外の顔料を有する水性インクジェット用インク組成物を用いて、画像を形成してもよい。
 また、画像が形成された布帛の加熱乾燥は、画像を布帛に定着させる観点から、例えば、150~180℃程度で30~120秒間程度行えばよい。加熱は、ヒートプレス機、ドライヤー、乾燥器等の公知の加熱手段を適宜用いて行うことができる。
 以下に本発明を実施例等によって説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
<実施例1>
<捺染用処理液の調製>
 水80.46質量部に、有機酸Aとして酢酸9.6質量部、有機酸Bとして乳酸9.6質量部、界面活性剤としてサーフィノール440(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、日信化学社製)0.14質量部、防腐剤としてBIT-20(3D Bio Chem社製)0.2質量部を加えて攪拌し、捺染用処理液を調製した。
<顔料分散液(ホワイトインクベース)の製造>
 アルカリ可溶性樹脂(アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体)、重量平均分子量30,000、酸価185mgKOH/g、ガラス転移温度55℃)25質量部を、水酸化カリウム4.9質量部と水70.1質量部との混合溶液に溶解させて、アルカリ可溶性樹脂の固形分が25質量%の水性樹脂ワニスを得た。次に、上記の水性樹脂ワニス36質量部に水19質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。この顔料分散用樹脂ワニスに、更に顔料としてタイペークCR-960(酸化チタン、石原産業社製)45質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、ホワイト顔料分散液(ホワイトインクベース)を製造した。
<顔料分散液(ブラックインクベース(1))の製造>
 上記の水性樹脂ワニス32質量部に水48質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。この顔料分散用樹脂ワニスに、更に顔料としてプリンテックス90(カーボンブラック、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)20質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、ブラック顔料分散液(ブラックインクベース)を製造した。
<水性白色インクジェット用インク組成物(W1)の調製>
 上記のホワイト顔料分散液(ホワイトインクベース)20質量部に、ガラス転移温度-30℃の自己架橋性のスチレン-アクリル系樹脂エマルジョンとして、モビニール966A(ジャパンコーティングレジン社製、固形分45質量%)44.4質量部、水4.9質量部、水溶性溶剤(グリセリン20質量部、プロピレングリコール10質量部)、界面活性剤としてオルフィンE1010(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、日信化学社製)0.2質量部およびシルフェイスSAG503A(変性ポリシロキサン、日信化学社製)0.5質量部を添加して、水性白色インクジェット用インク組成物(W1)を調製した。
<水性黒色インクジェット用インク組成物(K1)の調製>
 上記の顔料分散液(ブラックインクベース(1))の7.5質量部に、ガラス転移温度-30℃の自己架橋性のスチレン-アクリル系樹脂エマルジョンとして、モビニール966A(ジャパンコーティングレジン社製、固形分45質量%)23.3質量部、水23.5質量部、水溶性溶剤(グリセリン35質量部、プロピレングリコール10質量部)、界面活性剤としてオルフィンE1010(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、日信化学社製)0.2質量部およびシルフェイスSAG503A(変性ポリシロキサン、日信化学社製)0.5質量部を添加して、水性黒色インクジェット用インク組成物(K1)を調製した。
<実施例2-9、比較例1-9>
 各実施例および各比較例において、使用する各成分を、表1または表2に記載の原料および配合量に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、各実施例および各比較例の捺染用処理液、および水性インクジェット用インク組成物を調製した。なお、表1および表2中の、水性黒色インクジェット用インク組成物(K2)の調製方法は以下の通りである。
<顔料分散液(ブラックインクベース(2))の製造>
 上記のブラックインクベース(1)を顔料濃度が5質量%となるように水で希釈した後、希釈液に対して陽イオン交換樹脂(DOWEX MONOSPHERE(H)650C、ダウケミカル社製)を5質量%添加し撹拌して、pHが4未満となるまでイオン交換し、樹脂被膜顔料を得た。その後、イオン交換樹脂をメッシュで濾過した後、吸引濾過し、樹脂被覆顔料を含有する含水ケーキ(固形分25%)を得た。この樹脂被覆顔料を含有する含水ケーキに、アルカリ可溶性樹脂の酸基の65%を中和する水酸化ナトリウムと顔料濃度が16質量%となるように水を加えた後、高圧乳化分散装置ゴーリンホモジナイザー(A.P.V. GAULIN INK製)で撹拌し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液の93.8質量部に、架橋剤としてエポライト1600(2官能エポキシ化合物、共栄化学社製)2.1質量部と水4.1質量部を加え、60℃で24時間加熱し、架橋樹脂被覆顔料を含むブラックインクベース(2)を得た。
<水性黒色インクジェット用インク組成物(K2)の調製>
 上記の橋樹脂被覆顔料を含むブラックインクベース(2)10質量部に、ガラス転移温度-30℃の自己架橋性のスチレン-アクリル系樹脂エマルジョンとして、モビニール966A(ジャパンコーティングレジン社製、固形分45質量%)23.3質量部、水21質量部、水溶性溶剤(グリセリン35質量部、プロピレングリコール10質量部)、界面活性剤としてオルフィンE1010(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、日信化学社製)0.2質量部およびシルフェイスSAG503A(変性ポリシロキサン、日信化学社製)0.5質量部を添加して、水性黒色インクジェット用インク組成物(K2)を調製した。
 上記で得られた捺染用処理液、および水性インクジェット用インク組成物を用い、以下の評価方法にしたがって、各項目を評価した。結果を表1および表2に示す。
[耐裏移り性の評価]
 綿100%の黒色布帛に、各実施例および各比較例の捺染用処理液と水とを1:3で希釈した捺染用希釈処理液を、A4サイズあたり28g塗布した後、25℃で4分間放置後および8分間放置後に、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、上記で調製した水性白色インクジェット用インク組成物(W1)を、ベタ印字が4回重なるように印字した。その後コンベアオーブンを用いて150℃で8分間加熱して、布帛の裏までインクが移っているかどうかを目視観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、比較例1については、捺染用希釈処理液を塗布した後、コンベアオーブンを用いて150℃で8分間加熱した後に、上記で調製した水性白色インクジェット用インク組成物(W1)を上記の方法にて印字して評価した。また、比較例1以外の各実施例および各比較例におけるインク組成物の印刷時の布帛上の処理液の状態は、液体状態であることを確認した。
 ○:インクが布帛の裏まで移っていないもの。
 △:インクがわずかに布帛の裏まで移っているもの。
 ×:インクが布帛の裏に大量に移っているもの。
[耐にじみ性の評価]
 綿100%の黒色布帛に、各実施例および各比較例の捺染用処理液と水とを1:3で希釈した捺染用希釈処理液を、A4サイズあたり28g塗布した後、25℃で8分間放置後に、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、上記で調製した水性白色インクジェット用インク組成物(W1)を、ベタ印字が4回重なるように印字した。その後コンベアオーブンを用いて150℃で8分間加熱して、ベタ部との境界部分のにじみの有無を目視観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、比較例1については、捺染用希釈処理液を塗布した後、コンベアオーブンを用いて150℃で8分間加熱した後に、上記で調製した水性白色インクジェット用インク組成物(W1)を上記の方法にて印字して評価した。また、比較例1以外の各実施例および各比較例におけるインク組成物の印刷時の布帛上の処理液の状態は、液体状態であることを確認した。
 ○:にじみなし。
 △:わずかににじみが発生している。
 ×:にじみが大きい。
[洗濯堅牢度の評価]
 綿100%の黒色布帛に、各実施例および各比較例の捺染用処理液と水とを1:3で希釈した捺染用希釈処理液を、A4サイズあたり28g塗布した後、次いで、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、上記で調製した水性白色インクジェット用インク組成物(W1)を、ベタ印字が4回重なるよう印字し、さらに、その上に上記で調製した水性黒色インクジェット用インク組成物(K1)または水性黒色インクジェット用インク組成物(K2)をベタ印字で1回印字し、その後コンベアオーブンを用いて印字を行った部分を150℃の温度で8分間加熱して、インクジェットインクを布帛に定着させ捺染物を得た。得られた捺染物を、家庭用洗濯機で通常の洗濯(洗濯条件:通常モードでの洗濯・脱水・乾燥)を5回実施し、各捺染物の洗濯前と洗濯後の退色度合いを変退色グレースケールを用いて、JIS 0804に準じ、下記評価基準に従って評価した。なお、比較例1については、捺染用希釈処理液を塗布した後、コンベアオーブンを用いて150℃で8分間加熱した後に、上記で調製した水性白色インクジェット用インク組成物(W1)と水性黒色インクジェット用インク組成物(K2)を上記の方法にて印字して評価した。
 ○:4級~4-5級である。
 △:3級~3-4級である。
 ×:3級以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2中、FLOQUAT4440(株式会社SNF社製)は、有効成分40%のカチオン樹脂を示す。
 上記の[耐裏移り性の評価]、[耐にじみ性の評価]、および[洗濯堅牢度の評価]において、△の結果が2つ以上であるもの、または×があるものを、不良であるとした。

Claims (7)

  1.  捺染用処理液であって、
     前記捺染用処理液は、水性インクジェット用インク組成物に対して互いに液体状態で接すように用いられ、
     1気圧下における沸点が120℃以下である有機酸Aと、1気圧下における沸点が140℃以上である有機酸Bを含み、
     前記有機酸Aと前記有機酸Bの質量比(有機酸A/有機酸B)が、0.4以上2.5以下であることを特徴とする捺染用処理液。
  2.  請求項1記載の捺染用処理液が水で希釈されており、
     前記有機酸Aと前記有機酸Bの合計の濃度が、1.5質量%以上10質量%以下であることを特徴とする捺染用希釈処理液。
  3.  請求項1記載の捺染用処理液または請求項2記載の捺染用希釈処理液と、水性インクジェット用インク組成物とを有することを特徴とするインクセット。
  4.  前記水性インクジェット用インク組成物は、顔料、アルカリ可溶性樹脂、樹脂エマルジョン、界面活性剤、水溶性溶剤、および水を含むことを特徴とする請求項3記載のインクセット。
  5.  前記顔料が、前記アルカリ可溶性樹脂に被覆されている樹脂被覆顔料であることを特徴とする請求項4記載のインクセット。
  6.  前記樹脂被覆顔料が、架橋剤によって架橋されたアルカリ可溶性樹脂に被覆されている架橋樹脂被覆顔料であることを特徴とする請求項5記載のインクセット。
  7.  請求項1記載の捺染用処理液、または請求項2記載の捺染用希釈処理液で布帛を処理する工程と、
     水性インクジェット用インク組成物を、処理された布帛における前記捺染用処理液または前記捺染用希釈処理液に対して、互いに液体状態で接するように印刷することを特徴とするインクジェット印刷方法。
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