WO2018116372A1

WO2018116372A1 - 電動内視鏡制御装置および電動内視鏡システム

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Publication number: WO2018116372A1
Application number: PCT/JP2016/087928
Authority: WO
Inventors: 直也畠山
Original assignee: Olympus Corp
Current assignee: Olympus Corp
Priority date: 2016-12-20
Filing date: 2016-12-20
Publication date: 2018-06-28
Anticipated expiration: 2019-06-20
Also published as: US20190274517A1

Abstract

操作者の操作に応じて湾曲部を滑らかに動作させることを目的として、本発明に係る電動内視鏡制御装置（３）は、操作量に応じてモータ（９）を駆動し内視鏡（２）の湾曲部（４）の湾曲角度を変化させる電動内視鏡制御装置（３）であって、内視鏡（２）の湾曲部（４）の動作状態を判定する動作状態判定部（１３）と、異なる動作状態に応じた操作量とモータ（９）の回転角度との関係を表す複数のテーブルを記憶する記憶部（１４）と、動作状態判定部（１３）により判定された動作状態に応じて、記憶部（１４）に記憶されているいずれかのテーブルに基づいてモータの駆動信号を生成する駆動信号生成部（１５）とを備える。

Description

電動内視鏡制御装置および電動内視鏡システム

　本発明は、電動内視鏡制御装置および電動内視鏡システムに関するものである。

　湾曲部の湾曲量（以下、単に湾曲角度という。）と、湾曲部を湾曲させるための操作トルクとの関係を表す湾曲特性情報と、定数パラメータとに基づいて、湾曲角度が目標の湾曲角度と一致するために必要な補助トルクを推定し、推定された補助トルクに基づいて駆動モータのモータ駆動電力を補正して駆動モータを制御する電動内視鏡システムが知られている（例えば、特許文献１参照。）。

特許第５３９６１７８号公報

　しかしながら、内視鏡は湾曲状態が進行すると、患者の内蔵物および内視鏡を被覆するチューブの反力により、湾曲部を所定の湾曲角度まで湾曲させるために必要なワイヤの張力が増加して、ワイヤと挿入部内面との摩擦の状態が変化する。湾曲角度と駆動モータのトルクが単一のテーブルによって動作させているため、ワイヤと挿入部内面との摩擦の状態が変化すると滑らかに動作をさせることが困難となる場合がある。

　すなわち、ワイヤと挿入部内面との摩擦力が一定の場合には、ワイヤに加わる牽引力が静止摩擦力を超えたときにワイヤが移動を開始し、その牽引力をキープしていれば、ワイヤを動かし続けることができる。しかし、湾曲角度の増大に伴い、ワイヤと挿入部内面との摩擦力が増大する過程では、動摩擦力が増大して牽引力を超え、ワイヤが停止してしまうことがあり、その場合には、牽引力がさらに大きな静止摩擦力を超えるまでワイヤが停止してしまい、湾曲部の動作がぎくしゃくしてしまうという不都合がある。また、湾曲部の動作方向によってワイヤと挿入部内面との摩擦力が増大していく過程と増大しない過程とがあり、同一の制御方式では滑らかな動作を実現することができないという不都合がある。

　本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、操作者の操作に応じて湾曲部を滑らかに動作させることができる電動内視鏡制御装置および電動内視鏡システムを提供することを目的としている。

　本発明の一態様は、操作量に応じてモータを駆動し内視鏡の湾曲部の湾曲角度を変化させる電動内視鏡制御装置であって、前記内視鏡の前記湾曲部の動作状態を判定する動作状態判定部と、異なる前記動作状態に応じた前記操作量と前記モータの回転角度との関係を表す複数のテーブルを記憶する記憶部と、前記動作状態判定部により判定された前記動作状態に応じて、前記記憶部に記憶されているいずれかの前記テーブルに基づいて前記モータの駆動信号を生成する駆動信号生成部とを備える電動内視鏡制御装置である。

　本態様によれば、操作者によって内視鏡の湾曲部を湾曲させる操作が行われると、その操作量に応じてモータが駆動される。この場合に、動作状態判定部により湾曲部の動作状態が判定され、動作状態に応じて記憶部に記憶されている複数のテーブルのいずれかから、操作量に応じたモータの回転角度が求められ、当該回転角度を達成するためのモータの駆動信号が駆動信号生成部により生成される。これにより、湾曲部が異なる動作状態にあっても動作状態に応じた駆動信号を出力して、湾曲部を滑らかに動作させることができる。

　上記態様においては、前記動作状態判定部が、前記動作状態として前記内視鏡の前記湾曲部が、湾曲を増大させる方向に動作しているか否かを判定してもよい。
　湾曲を増大させる方向に湾曲部が動作している場合には、内視鏡に発生する摩擦力が増大する傾向にあるため、湾曲を減少させる方向に湾曲部が動作している場合と比較して、操作量に応じたモータの回転角度を大きくする必要がある。このようにすることで、摩擦力が増大する動作状態と摩擦力が増大しない動作状態とで、操作量に応じたモータの回転角度の関係を表すテーブルを切り替えることができ、いずれの動作状態においても湾曲部を滑らかに動作させることができる。

　また、上記態様においては、前記動作状態判定部が、前記動作状態として前記内視鏡の前記湾曲部が、停止しているか否かを判定してもよい。
　内視鏡の湾曲部が停止している場合には、静止摩擦力に打ち勝つ力を作用させる必要があり、内視鏡の湾曲部が動作している場合には、静止摩擦力より小さい動摩擦力に打ち勝つ力を作用させればよい。このようにすることで、同じ操作量に対して、湾曲部が停止している場合と湾曲部が動作している場合とで、異なるテーブルに基づいてモータを作動させることができ、いずれの動作状態においても湾曲部を滑らかに動作させることができる。

　また、上記態様においては、前記記憶部に記憶された一のテーブルは、前記湾曲部が停止している状態から湾曲を増大させる方向に動作するために必要な前記操作量と前記モータの回転角度との関係を表し、前記記憶部に記憶された他の一のテーブルは、前記湾曲部が動作している状態で動作し続けるために必要な前記操作量と前記モータの回転角度との関係を表してもよい。

　内視鏡の湾曲部が停止している場合には、静止摩擦力に打ち勝つ力でモータを動作させる必要があり、内視鏡の湾曲部が動作している場合には、静止摩擦力より小さい動摩擦力に打ち勝つ力でモータを動作させる必要がある。このようにすることで、同じ操作量に対して、湾曲部が停止している場合には湾曲部が動作している場合よりも大きくモータを回転させて、いずれの動作状態においても湾曲部を滑らかに動作させることができる。

　また、本発明の他の態様は、前記内視鏡と、上記いずれかの電動内視鏡制御装置とを備える電動内視鏡システムである。
　本態様によれば、前記内視鏡が、前記モータにより回転駆動されるプーリと、該プーリによって前記湾曲部を湾曲させる牽引力を発生させるワイヤと、前記プーリの回転角度を検出する角度センサとを備え、前記動作状態判定部が前記角度センサにより検出された回転角度に基づいて前記動作状態を判定してもよい。

　このようにすることで、モータが回転駆動されるとプーリが回転させられ、プーリに巻き掛けられているワイヤに発生した牽引力により内視鏡の湾曲部が湾曲させられる。プーリに設けられた角度センサにより検出されたプーリの回転角度に基づいて、動作状態判定部が湾曲部の動作状態を容易に判定することができる。

　また、上記態様においては、前記湾曲部の形状を検出する形状センサを備え、前記動作状態判定部が、前記形状センサにより検出された前記湾曲部の形状に基づいて前記動作状態を判定してもよい。
　このようにすることで、形状センサにより検出された湾曲部の形状に基づいて、動作状態判定部により、湾曲部の動作状態を直接的に判定することができる。

　また、上記態様においては、前記内視鏡が前記モータと前記プーリとの間で動力を伝達するトルクシャフトを備え、前記記憶部に記憶された一のテーブルが、前記トルクシャフトの回転方向に応じてそれぞれ備えられていてもよい。
　このようにすることで、トルクシャフトの回転方向に依存して剛性が異なる場合においても、トルクシャフトの回転方向毎に別々のテーブルを使用することで、適正な駆動信号を生成することができる。

　また、上記態様においては、前記トルクシャフトの両端における回転角度の差分を検出する角度差検出部と、該角度差検出部により検出された差分が所定の閾値以上である場合に、前記モータの動作を制限する制限部とを備えていてもよい。
　このようにすることで、トルクシャフトの両端に係るトルクが過大となる場合を容易に検出し、モータが過大なトルクを加えないように制限することができる。

　本発明によれば、操作者の操作に応じて湾曲部を滑らかに動作させることができるという効果を奏する。

本発明の第１の実施形態に係る電動内視鏡システムを示す全体構成図である。図１の電動内視鏡システムに備えられる電動内視鏡制御装置内の記憶部に記憶されている第１のテーブルの一例を示す図である。第２のテーブルの一例を示す図である。本発明の第２の実施形態に係る電動内視鏡システムを示す全体構成図である。図４の電動内視鏡システムの電動内視鏡制御装置内の記憶部に記憶されている第１のテーブルおよび第２のテーブルの一例を示す図である。図５の第２のテーブルに沿って湾曲部が湾曲を増大させる方向に動作している状態を示す図である。湾曲部が停止した場合の、図５の第２のテーブルから第１のテーブルへの切替を説明する図である。湾曲部が動作した場合の、図５の第１のテーブルから第２のテーブルへの切替を説明する図である。図５の第２のテーブルに沿って湾曲部が湾曲を緩める方向に動作している状態を示す図である。

　本発明の第１の実施形態に係る電動内視鏡制御装置３および電動内視鏡システム１について、図面を参照して以下に説明する。
　本実施形態に係る電動内視鏡システム１は、図１に示されるように、電動内視鏡（内視鏡）２と、該電動内視鏡２を制御する電動内視鏡制御装置３とを備えている。

　電動内視鏡２は、先端に湾曲部４を有する細長い挿入部５と、挿入部５の基端に設けられた操作部６と、挿入部５の長手方向に沿って配置され、湾曲部４を湾曲させる牽引力を伝達するワイヤ７と、操作部６に配置されワイヤ７を巻き掛けるプーリ８と、モータ９と、モータ９のトルクをプーリ８まで伝達するトルクシャフト１０とを備えている。

　操作部６には、操作者によって操作されるレバー１１と、該レバー１１の回転角度を検出するポテンショメータ１２とが設けられている。ポテンショメータ１２によって検出されたレバー１１の回転角度は図示しないケーブルによって電動内視鏡制御装置３に送信されるようになっている。

　本実施形態に係る電動内視鏡制御装置３は、図１に示されるように、ポテンショメータ１２によって検出されたレバー１１の回転角度（操作入力信号）に基づいて操作方向（動作状態）を判定する操作方向判定部（動作状態判定部）１３と、操作方向に応じて２種類のテーブルを記憶する記憶部１４と、操作方向判定部１３により判定された操作方向に応じていずれかのテーブルを記憶部１４から選択し、選択されたテーブルに基づいてレバー１１の回転角度に対応するモータ９の駆動信号を生成する駆動信号生成部１５とを備えている。

　記憶部１４に記憶されている２種類のテーブルとしては、図２および図３に示されるように、レバー１１の回転角度とモータ９の回転角度指令とを対応づけた２種類のテーブルを挙げることができる。第１のテーブルは、図２に示されるように、大部分の領域においてレバー１１の回転角度とモータ９の回転角度指令とが正比例する直線であるが、特定のレバー１１の回転角度において、瞬間的にモータ９を大きく回転させるようにパルス状に突出する特性を有している。

　特定のレバー１１の回転角度は、レバー１１の回転角度を増大させていく過程で湾曲部４が停止してしまう回転角度を予備的に検出して設定しておけばよい。
　第２のテーブルは、図３に示されるように、第１のテーブルからパルス状の部分を取り除いた単純な直線状の特性を有している。

　駆動信号生成部１５は、操作方向判定部１３により判定されたレバー１１の操作方向が、湾曲部４の湾曲をさらに増大させる方向である場合に第１のテーブルを選択し、湾曲部４の湾曲を緩める方向である場合には第２のテーブルを選択するようになっている。

　このように構成された本実施形態に係る電動内視鏡制御装置３および電動内視鏡システム１の作用について以下に説明する。
　本実施形態に係る電動内視鏡システム１によれば、電動内視鏡２の挿入部５を体内に挿入し、挿入部５の先端を患部近傍に配置して電動内視鏡２を作動させることにより、患部の画像を取得することができる。

　この場合に、操作者が操作部６のレバー１１を操作することにより、ポテンショメータ１２によって検出されたレバー１１の回転角度に応じて、駆動信号生成部１５によりモータ９の駆動信号が生成され、生成された駆動信号に従ってモータ９が駆動されることにより、モータ９により発生したトルクがトルクシャフト１０を介してプーリ８に伝達され、プーリ８の回転によりワイヤ７に発生した牽引力により、挿入部５の先端に設けられた湾曲部４がレバー１１の操作方向に応じた方向に湾曲させられて、電動内視鏡２の視野を変更することができる。

　本実施形態においては、レバー１１の操作によって湾曲部４が湾曲させられる際に、ポテンショメータ１２によって時間間隔をあけて検出されたレバー１１の回転角度によって、操作方向判定部１３により操作方向が判定される。湾曲部４が一方向に湾曲させられ続ける場合には、操作方向判定部１３は、湾曲部４の湾曲が増大する方向であると判定する。

　これにより、駆動信号生成部１５によって、操作方向判定部１３による判定結果に基づいて記憶部から第１のテーブルが読み出される。
　そして、駆動信号生成部１５は、第１のテーブルから操作部６のレバー１１の回転角度に対応するモータ９の回転角度指令を読み出して駆動信号を生成し、モータ９に出力する。これにより、モータ９が回転駆動される。

　この場合において、本実施形態によれば、第１のテーブルは、レバー１１の特定の回転角度においてモータ９への回転角度指令をパルス状に増大させる特性を有しているので、大部分のレバー１１の回転角度では、該レバー１１の回転角度に正比例する回転角度指令がモータ９に出力される一方、特定の回転角度に達した場合には、瞬間的にパルス状に増大させられた回転角度指令がモータ９に出力される。

　本実施形態においては、特定の回転角度として、ワイヤ７と挿入部５との間の摩擦が増大してレバー１１の回転角度が変化しても湾曲部４の動作が停止してしまうことが予備的に検出された回転角度が設定されているので、そのような特定の回転角度にレバー１１の回転角度が達したときに、モータ９への回転角度指令を一時的にパルス状に増大させることにより、モータ９のトルクを一時的に増大させて、静止摩擦力を超える牽引力をワイヤ７に発生させることができる。

　一方、操作方向判定部１３による判定の結果、レバー１１が湾曲部４の湾曲を緩める方向に操作されていると判定された場合には、駆動信号生成部１５は、記憶部１４から読み出した第２のテーブルから操作部６のレバー１１の回転角度に対応するモータ９の回転角度指令を読み出して駆動信号を生成し、モータ９に出力する。
　第２のテーブルは、単純な直線上の特性を有しており、この操作方向の動作中には、ワイヤ７と挿入部５との間の摩擦が増大することはないので、レバー１１の回転角度に比例するモータ９の回転角度指令をモータ９に出力することにより、モータ９を滑らかに動作させ続けることができる。

　すなわち、本実施形態に係る電動内視鏡制御装置３によれば、摩擦が増大していく方向に湾曲部４を湾曲させる場合には、特定角度でパルス状に変化させる第１のテーブルの特性によって湾曲部４の湾曲動作が摩擦によって静止してしまうことを防止し、湾曲部４の湾曲動作がぎくしゃくすることを簡易に防止することができる。その一方で、摩擦が増大しない方向への湾曲部４の動作については、パルス状の変化のない第２のテーブルの特性によって、湾曲動作の不要な変動を防止して滑らかに湾曲動作を実施させることができるという利点がある。

　次に、本発明の第２の実施形態に係る電動内視鏡制御装置２１および電動内視鏡システム２０について図面を参照して以下に説明する。
　本実施形態の説明において、上述した第１の実施形態に係る電動内視鏡制御装置３および電動内視鏡システム１と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。

　本実施形態に係る電動内視鏡制御装置２１は、図４に示されるように、動作状態判定部２２を備えている点において第１の実施形態に係る電動内視鏡制御装置３と相違している。
　また、本実施形態に係る電動内視鏡システム２０に備えられた電動内視鏡２が、操作部６に備えられたプーリ８の回転角度を検出するプーリ角度検出部（角度センサ）２３を備えている点においても第１の実施形態に係る電動内視鏡システム１と相違している。

　動作状態判定部２２は、プーリ角度検出部２３により検出されたプーリ８の回転角度に基づいて、湾曲部４が静止しているか否かの動作状態を判定するようになっている。
　また、記憶部１４には、図５に示されるように、湾曲部４が静止している場合に使用する第１のテーブルと、湾曲部４が動作している場合に使用する第２のテーブルとが記憶されている。

　本実施形態においては、駆動信号生成部１５は、操作方向判定部１３から出力される操作方向の判定結果と、動作状態判定部２２から出力される動作状態の判定結果とに基づいて、第１のテーブルまたは第２のテーブルのどちらを使用するのかを決定し、記憶部１４から読み出したテーブルに規定されている特性に従って、モータ９の回転角度指令、すなわち駆動信号を生成するようになっている。

　さらに具体的には、駆動信号生成部１５は、動作状態判定部２２により湾曲部４が動作していると判定され、操作方向判定部１３により、湾曲を増大させる方向に操作されていると判定された場合には、図６に矢印Ａで示されるように、第２のテーブルの特性に従うレバー１１の回転角度とモータ９の回転角度指令との関係が維持されるように駆動信号を生成するようになっている。

　そして、駆動信号生成部１５は、動作状態判定部２２により湾曲部４が静止していると判定されたときには、操作方向判定部１３による操作方向の判定結果に基づいて、第１のテーブルと第２のテーブルとを切り替えるようになっている。すなわち、操作方向判定部１３により湾曲を増大させる方向に操作されていると判定された場合には、図７に矢印Ｂで示されるように、使用するテーブルを第１のテーブルに切り替えるようになっている。

　そして、第２のテーブルから第１のテーブルへの切替によって、動作状態判定部２２により湾曲部４が動作していると判定された場合には、図８に矢印Ｃで示されるように、使用するテーブルを再度、第２のテーブルに切り替えるようになっている。
　一方、操作方向判定部１３により、湾曲部４の湾曲を緩める方向に操作されていると判定された場合には、駆動信号生成部１５は、図９に矢印Ｄで示されるように、使用するテーブルとして第２のテーブルを選択し、第２のテーブルの特性に従って駆動信号を生成するようになっている。

　このように構成された本実施形態に係る電動内視鏡制御装置２１および電動内視鏡システム２０の作用について、以下に説明する。
　本実施形態に係る電動内視鏡システム２０によれば、電動内視鏡２の挿入部５を体内に挿入し、挿入部５の先端を患部近傍に配置して電動内視鏡２を作動させることにより、患部の画像を取得することができる。

　この場合に、操作者が操作部６のレバー１１を操作することにより、挿入部５の先端に設けられた湾曲部４がレバー１１の操作方向に応じた方向に湾曲させられて、電動内視鏡２の視野を変更することができる。

　また、レバー１１の操作によってモータ９が駆動され、モータ９のトルクがトルクシャフト１０を介してプーリ８に伝達され、プーリ８の回転によりワイヤ７に発生した牽引力により、挿入部５の先端に設けられた湾曲部４がレバー１１の操作方向に応じた方向に湾曲させられて、電動内視鏡２の視野を変更することができる。この場合において、プーリ８に備えられたプーリ角度検出部２３からの信号によりプーリ８が回転しているか否かによって湾曲部４が動作しているか静止しているかを表す動作状態を判定することができる。

　動作状態判定部２２による判定の結果、湾曲部４が動作していると判定されたときには、より低いトルクを発生する第２のテーブルに従って、モータ９への回転角度指令が算出され、湾曲部４が停止していると判定されたときには、操作方向判定部１３により判定された操作方向が、湾曲部４をより大きく湾曲させる方向であるか否かによって、テーブルが切り替えられる。すなわち、湾曲部４が停止しており、かつ、湾曲部４をより大きく湾曲させる方向に操作されている場合には、テーブルが第１のテーブルに切り替えられる。

　第１のテーブルに従えば、レバー１１の回転角度が同じであっても第２のテーブルよりも大きくモータ９を回転させるように回転角度指令が出力されるので、ワイヤ７に加わる牽引力は、ワイヤ７と挿入部５との静止摩擦を容易に乗り越えることができる。すなわち、第１のテーブルに従う回転角度指令によってモータ９が動作開始された瞬間に、湾曲部４の停止状態は解消されるので、駆動信号生成部１５は、テーブルを第２のテーブルに切り替える。

　このように、本実施形態に係る電動内視鏡制御装置２１および電動内視鏡システム２０によれば、テーブルとして湾曲部４が静止しているときに使用される第１のテーブルと、湾曲部４が動作している時に使用される第２のテーブルとを切り替えて、実質的には、第１の実施形態における図２のテーブルと同様にして、湾曲部４が静止したときにはパルス状にトルクを増大させることにより、静止摩擦によって停止している状態を解消して、湾曲部４のぎくしゃくした動作を防止し、滑らかに動作させることができるという利点がある。

　なお、本実施形態においては、プーリ角度検出部２３により湾曲部４が停止状態であるか作動状態であるかを判定することとしたが、これに代えて、湾曲部４の湾曲状態に応じたワイヤ７と挿入部５との摩擦状態を表す物理モデルを構築できる場合には、当該物理モデルを用いて湾曲部４の動作状態を判定することにしてもよい。これにより、プーリ角度検出部２３が不要となり、電動内視鏡２の構造をより簡易にすることができる。

　また、プーリ角度検出部２３により湾曲部４の動作状態を判定することに代えて、湾曲部４の形状を検出する形状センサを用いて動作状態を判定してもよい。形状センサとして、電動内視鏡２に挿入した光ファイバセンサや、電動内視鏡２の外部に配置した内視鏡挿入形状観察装置（ＵＰＤ）等により、湾曲部４の形状を直接検出して、湾曲部４の動作状態を検出することにしてもよい。

　また、上述したように、湾曲部４が静止している場合に、一時的にモータ９のトルクを増大させて静止摩擦に打ち勝つ牽引力を発生させることとしたが、湾曲部４の先端が患部近傍の組織に接触して静止している場合等には、大きな牽引力を発生させない方がよい場合がある。このような場合を想定して、発生する牽引力を所定値以下に制限することにしてもよい。例えば、電動内視鏡システム２０が、トルクシャフト１０の両側における回転角度の差分を検出する角度差検出部と、該角度差検出部により検出された回転角度の差分が所定の閾値より小さくなるようにモータ９の動作を制限する制限部とを備える。そして、角度差検出部により検出されたモータ９の回転角度とプーリ８の回転角度の差分が所定の閾値より小さくなるように、制限部によってモータ９により発生するトルクが制限されることにすればよい。

　また、本実施形態においては、湾曲部４の湾曲をより増大させる方向であるか否かによってテーブルを切り替えることとし、湾曲部４の湾曲方向にかかわらず、２つのテーブルを切り替えることとしたが、これに代えて、３以上のテーブルを切り替えることにしてもよい。
　例えば、モータ９のトルクをプーリ８に伝達するトルクシャフト１０は、その回転方向に応じて剛性が異なる場合がある。そのような場合には、湾曲部４の湾曲方向、すなわち、トルクシャフト１０の回転方向に応じて異なるテーブルを備えていることが好ましく、湾曲部４の湾曲をより増大させる方向である場合のテーブルをトルクシャフト１０の回転方向に応じて別々に備えていることにしてもよい。

　１，２０　電動内視鏡システム
　２　電動内視鏡（内視鏡）
　３，２１　電動内視鏡制御装置
　４　湾曲部
　７　ワイヤ
　８　プーリ
　９　モータ
　１０　トルクシャフト
　１３　操作方向判定部（動作状態判定部）
　１４　記憶部
　１５　駆動信号生成部
　２２　動作状態判定部
　２３　プーリ角度検出部（角度センサ）

Claims

　操作量に応じてモータを駆動し内視鏡の湾曲部の湾曲角度を変化させる電動内視鏡制御装置であって、
　前記内視鏡の前記湾曲部の動作状態を判定する動作状態判定部と、
　異なる前記動作状態に応じた前記操作量と前記モータの回転角度との関係を表す複数のテーブルを記憶する記憶部と、
　前記動作状態判定部により判定された前記動作状態に応じて、前記記憶部に記憶されているいずれかの前記テーブルに基づいて前記モータの駆動信号を生成する駆動信号生成部とを備える電動内視鏡制御装置。
　前記動作状態判定部が、前記動作状態として前記内視鏡の前記湾曲部が、湾曲を増大させる方向に動作しているか否かを判定する請求項１に記載の電動内視鏡制御装置。
　前記動作状態判定部が、前記動作状態として前記内視鏡の前記湾曲部が、停止しているか否かを判定する請求項２に記載の電動内視鏡制御装置。
　前記記憶部に記憶された一のテーブルは、前記湾曲部が停止している状態から湾曲を増大させる方向に動作するために必要な前記操作量と前記モータの回転角度との関係を表し、
　前記記憶部に記憶された他の一のテーブルは、前記湾曲部が動作している状態で動作し続けるために必要な前記操作量と前記モータの回転角度との関係を表す請求項２または請求項３に記載の電動内視鏡制御装置。
　前記内視鏡と、
　請求項１から請求項４のいずれかに記載の電動内視鏡制御装置とを備える電動内視鏡システム。
　前記内視鏡が、前記モータにより回転駆動されるプーリと、該プーリによって前記湾曲部を湾曲させる牽引力を発生させるワイヤと、前記プーリの回転角度を検出する角度センサとを備え、
　前記動作状態判定部が前記角度センサにより検出された回転角度に基づいて前記動作状態を判定する請求項５に記載の電動内視鏡システム。
　前記湾曲部の形状を検出する形状センサを備え、
　前記動作状態判定部が、前記形状センサにより検出された前記湾曲部の形状に基づいて前記動作状態を判定する請求項５に記載の電動内視鏡システム。
　前記内視鏡が、前記モータと前記プーリとの間で動力を伝達するトルクシャフトを備え、
　前記記憶部に記憶された一のテーブルが、前記トルクシャフトの回転方向に応じてそれぞれ備えられている請求項６に記載の電動内視鏡システム。
　前記トルクシャフトの両端における回転角度の差分を検出する角度差検出部と、
　該角度差検出部により検出された差分が所定の閾値以上である場合に、前記モータの動作を制限する制限部とを備える請求項８に記載の電動内視鏡システム。