WO2018168797A1 - 血圧測定装置、血圧測定方法及びプログラム - Google Patents

Abstract

座位と仰臥位を同じ判定条件で測定姿勢を判定しても、正しい測定位置か否か判定することは適切ではない。 血圧測定装置は、座位と仰臥位と血圧測定において、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定した際に、測定姿勢判定部が仰臥位における血圧測定装置の位置と被測定者の心臓位置の高さの差を考慮した測定姿勢判定を行い、血圧値を取得する。

Description

[規則37.2に基づきISAが決定した発明の名称]　血圧測定装置、血圧測定方法及びプログラム

　本発明は、被測定者の測定姿勢を検出し、その測定姿勢に応じた血圧測定を行う血圧測定装置及び血圧測定方法に関する。

　一般に、血圧測定装置は、血圧測定時に被測定者の心臓の位置と同じ高さにすることで測定された血圧値が心臓における血圧値に近似するといわれている。例えば、日本国特開２００７－５４６４８号公報においては、血圧値が重力に影響され、心臓の位置に近い高さで測定することで、測定誤差が少なくなることが確認されている。このため、カフを上腕に巻回する上腕式血圧測定装置では、机上に腕の肘を曲げて乗せた姿勢で測定することが一般に行われている。

　また血圧測定装置として、手首（前腕）に装着する小型化された手首式血圧測定装置も利用されている。この手首式血圧測定装置は、上腕よりも心臓の位置から離れるため、精度を高く測定するには、装着している手首を胸に当てるように心臓に近づけて測定することが推奨されている。また血圧測定のタイミングは、朝晩だけではなく、近年、閉塞性睡眠時間無呼吸(obstructive sleep apnea:OSP)等の疾患に関心が高まると共に、睡眠中の血圧測定が行われるようになっている。

　前述した血圧測定において、被測定者が覚醒している状態であれば、椅子等に座った座位の姿勢で測定することができるが、睡眠中は、被測定者の姿勢が仰臥位、又は伏臥位の姿勢となる。この座位と仰臥位における血圧測定装置の位置と心臓の位置との高さの差は、上腕式血圧測定装置を装着した姿勢の差に比べて、移動範囲が大きい手首式血圧測定装置における姿勢の差の方が大きくなる場合がある。つまり、手首式血圧測定装置で測定された血圧値の方が高さによる影響が受けやすくなっている。

　しかしながら、姿勢が座位と仰臥位とでは、血圧測定装置の位置と心臓の位置とに高さの差が生じることとなる。このため、座位と仰臥位を同じ判定条件で測定姿勢を判定しても、正しい測定位置か否か判定することは適切ではない。　
　そこで本発明は、夜間（睡眠）血圧測定モードを搭載し被測定者の血圧測定時の測定姿勢に好適する血圧測定を行う血圧測定装置及び血圧測定方法を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明の第１の態様の血圧測定装置は、少なくとも前記血圧測定を間欠的に行う夜間血圧測定モードを含む測定モードを有する測定モード部と、前記被測定者の座位の姿勢における前記血圧測定装置の位置と前記被測定者の心臓位置との高さの差に基づく第１判定条件と、前記被測定者の仰臥位の姿勢における前記血圧測定装置の位置と前記被測定者の心臓位置との高さの差に基づく第２判定条件と、で血圧測定姿勢の良否を判定する測定姿勢判定部と、を具備し、前記測定モード部により前記夜間血圧測定モードが設定された際に、前記測定姿勢判定部の判定条件を前記第２判定条件に切り替える。

　本発明の第２の態様の血圧測定方法は、前記夜間血圧測定モードに設定された際に、前記測定姿勢判定部の判定機能を無効にして血圧測定を行う。　
　本発明の第３の態様の血圧測定方法は、前記夜間血圧測定モードに設定され、血圧測定を行った際に、前記測定姿勢判定部が前記血圧測定の測定時の測定姿勢が悪いと判定され、前記血圧値に測定誤差を含むと推定される血圧値には、識別情報が付帯される。

　本発明の第４の態様の血圧測定方法は、前記夜間血圧測定モードに設定した際に、仰臥位の姿勢用の第２パラメータに変更し、前記第２パラメータに基づく血圧測定により血圧値を取得する。　
　本発明の第５の態様の血圧測定方法は、予め前記血圧測定装置の位置と前記被測定者の心臓の位置との間の高さの差に基づく補正値を算出し、前記夜間血圧測定モードによる血圧測され、前記測定姿勢判定部により姿勢が悪いと判定された血圧値に対して、前記補正値により補正する。

　本発明の第６の態様の血圧測定方法は、前記夜間血圧測定モードによる血圧測定時に、前記測定姿勢判定部により測定姿勢が悪いと判定された血圧測定期間の血圧値を取得せず、前記血圧測定期間に続く血圧測定期間以外の期間内で、測定姿勢が正しいと判断されているときに、再度、血圧測定を行う。　

　本発明の第１の形態によれば、座位と仰臥位と血圧測定において、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定した際に、仰臥位における血圧測定装置の位置と被測定者の心臓位置の高さの差を考慮した測定姿勢判定を行い、規定された測定時の高さの差（測定された血圧値の測定誤差）の許容範囲内に測定された血圧値を取得することができる。

　本発明の第２の形態によれば、夜間血圧測定モードに設定された際に、自動で測定姿勢判定の機能を無効にして、夜間の血圧測定を実行し、測定姿勢判定部の判定による血圧測定の一時停止や測定された血圧値の無効となることが防止される。　
　本発明の第３の形態によれば、夜間、睡眠している被測定者は、自身で姿勢を調整することができないので、測定姿勢が悪くとも血圧測定を中断せずに、継続させることを優先する。血圧測定結果において、劣る姿勢の時に取得された血圧値には、その旨を示す識別情報が付帯されているため、適正な血圧値だけを選択して、診断に用いることができる。

　本発明の第４の形態によれば、夜間（睡眠）血圧測定モードの設定により、自動で仰臥位用の第２パラメータが選択され設定される。第２パラメータに沿った血圧測定により正しい血圧値を求めることができる。　
　本発明の第５の形態によれば、第４の血圧測定方法によれば、測定姿勢判定部２により姿勢が悪いと判定された時に測定された血圧値に対して補正を行うことで、正しい血圧値を取得することができる。　
　本発明の第６の形態によれば、測定姿勢が悪く問題となる測定誤差を含んでいる可能性があると判定された場合に再度行う血圧測定において、正しい姿勢と判定された時に、血圧測定を行うことで、不要な血圧測定を減らすことができる。

図１は、一実施形態に係る測定姿勢判定部を有する血圧測定装置の構成例を示すブロック図である。 図２は、一実施形態の血圧測定装置を用いた第１の血圧測定方法について説明するためのフローチャートである。 図３は、一実施形態の血圧測定装置を用いた第２の血圧測定方法について説明するためのフローチャートである。 図４は、一実施形態の血圧測定装置を用いた第３の血圧測定方法について説明するためのフローチャートである。 図５は、一実施形態の血圧測定装置を用いた第４の血圧測定方法について説明するためのフローチャートである。 図６は、一実施形態の血圧測定装置を用いた第５の血圧測定方法について説明するためのフローチャートである。 図７は、一実施形態の血圧測定装置を用いた第６の血圧測定方法について説明するためのフローチャートである。 図８は、一実施形態の血圧測定装置を用いた第７の血圧測定方法について説明するためのフローチャートである。

　以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。　
　［第１の実施形態］
　本発明の一実施形態に係る血圧測定装置について説明する。図１は、測定姿勢判定部を有する血圧測定装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、装着先の部位として、手首に装着される手首式血圧測定装置を一例に挙げて説明する。勿論、装着先の部位が手首に限定されるものではなく、上腕でもよく、一体式の上腕血圧測定装置であれば、同様に適用することが可能である。

　この血圧測定装置１は、血圧測定のための主たるものとして、装着した被測定者の部位の血管に圧を与えるためのカフ１１と、気体（空気）の送気を行うエアーポンプ１２と、エアーポンプ１２からカフ１１への送気とカフ１１から外部への排気を行うための弁１３と、カフ内圧と血圧を測定する圧力センサ１４と、装置全体を制御し、血圧測定を実行するための例えばコンピュータで構成される制御部１５と、を備える。

　さらに、血圧測定装置１は、検出された血圧情報や操作内容等を表示する表示部１７と、測定設定や種々の入力を行う操作ボタンやタッチパネル等からなる操作部１６と、外部機器と通信を行うための通信部１８と、充電池や一次電池等からなる電源１９と、記憶部２０とで構成される。

　これらのうち、記憶部２０は、測定されて制御部１５により時間情報が関係づけられた血圧値が随時記憶される。また、通信部１８は、主として測定した血圧情報を外部機器等に送信するために用いられる。通信方法としては、外部機器と直接、無線通信により血圧情報を送信してもよいし、無線ＬＡＮ等のネットワークを利用した通信であってもよい。
　他にも通信方式としては、例えば、Bluetooth（登録商標）を利用してもよい。尚、無線だけではなく、他にも光通信や有線接続も可能である。また、図示していないが、カード用記録装置を搭載して、小型メモリカード等の記録媒体を利用して血圧情報を伝達してもよい。

　さらに、血圧測定装置１には、複数の測定モード、例えば、夜間（睡眠）血圧測定モード（又は、夜間血圧測定モード）３ａ及び通常血圧測定モード３ｂを有する測定モード部３、選択部５及び高さ検出部６が設けられている。本実施形態では、代表的に２つの測定モードを提示しているが、使用目的等により様々な測定モードを構築することは可能である。選択部５は、上述のいずれかの測定モードを測定者又は被測定者による操作部１６の操作に従い選択する。

　通常血圧測定モードは、例えば、日中や朝晩に測定する際に用いられる測定モードであり、開始・停止を操作して、その間、連続的に測定する手動測定や、測定期間を設定する時間設定測定がある。また夜間（睡眠）血圧測定モード３ａは、被測定者の睡眠中に任意に設定した時間間隔を空けて複数回測定する。この設定においては、血圧測定期間の設定と、測定タイミングの設定があり、測定タイミングにおいては、０時、１時、…、のように時刻で設定してもよいし、測定回数と血圧測定期間の間の時間間隔で設定してもよい。
　この夜間（睡眠）血圧測定モードは、電源の消費電力を低く抑えることができ、長時間に渡る測定を可能にする。時間設定においては、制御部１５内に設けられている時計機能を利用する。

　高さ検出部６は、血圧測定装置の位置を検出する。高さ検出は、公知な技術を用いることができ、例えば、３軸加速度センサを用いて、動きにより発生した加速度信号を計測して、座標変換してベクトルを求め、座標位置の変化から高さを検出することができる。座標原点を心臓の位置に設定すると、血圧測定装置１の位置と被測定者の心臓位置との高さの差が算出できる。座標原点への設定は、起動時に血圧測定装置１を心臓の位置に置いた状態でリセットすることで可能である。

　測定姿勢判定部２は、高さ検出部６が検出した被測定者の姿勢の良否を判定する。本実施形態では、血圧測定を行う姿勢に対して判定するものであるため、大きく分けて、被測定者が座位の姿勢か、仰臥位（又は伏臥位）の姿勢かを判定する。ここで、被測定者の座位の姿勢における血圧測定装置１の位置と被測定者の心臓位置との高さの差を第１判定条件とする。また、被測定者の仰臥位の姿勢における血圧測定装置の位置と被測定者の心臓位置との高さの差を第２判定条件とする。尚、これらの高さの差を血圧値で表すと測定時に発生する測定誤差となる。尚、本実施形態では、仰臥位と伏臥位とは、血圧測定装置の位置と心臓の位置との高さの差については、同様であるものとして扱う。

　本実施形態における測定姿勢において、血圧測定装置の位置と心臓の位置との高さの差の大きさが、測定された血圧値に対する測定誤差の大きさとして影響する。正しい姿勢とは、血圧測定装置の位置と心臓の位置との高さの差が小さく、血圧測定装置により測定された血圧値が心臓の位置で測定されるべき血圧値との測定誤差が小さく、その血圧値が医師の診察の根拠となる数値として許容範囲内であることを意味する。反対に悪い姿勢とは、仰臥位においては、前記高さの差が大きく、即ち測定誤差が大きくなり、医師の診察の根拠となる数値として許容範囲外であることを意味する。要は、測定されたとしても利用できない血圧値である。

　手首式血圧測定装置であれば、座位における高さの差は、仰臥位における高さの差よりも大きいものとなる。このため、座位の姿勢で測定した血圧値は、第１判定条件では正しい姿勢と判定されるが、第２の判定条件で判定している被測定者が仰臥位の姿勢で測定した血圧値に対して、悪い姿勢（劣る姿勢）と判定される場合がある。このように判定条件（判定基準）が異なっている。以下に説明する血圧測定方法においては、夜間血圧測定モードに設定すると、仰臥位の姿勢となり、前述した第２判定条件により姿勢判定を行う。

　本実施形態では、測定姿勢判定部２の判定を利用する場合、血圧測定前と血圧測定後の両方に適用することができる。つまり、測定姿勢判定部２が血圧測定前に姿勢判定を行い、姿勢が悪いと判定されたならば、血圧測定を行わない。また、血圧測定後の姿勢判定で姿勢が悪いと判定されたならば、記憶部２０の該当する血圧値を記憶しない。また、測定姿勢判定部２は、制御部１５の制御により血圧測定期間毎の少し手前から姿勢判定を開始することで、電源１９の消費電力を低減している。

　パラメータ記憶部４は、座位の姿勢用のパラメータと仰臥位の姿勢用パラメータとを記憶している。仰臥位の姿勢用パラメータは、前述した第２判定条件に適用されるパラメータであり、座位の姿勢用パラメータは、前述した第１判定条件に適用されるパラメータである。これらのパラメータは、具体的には前述した血圧測定装置１の位置と被測定者の心臓位置との高さの差に基づく、適正な血圧値と判定される閾値又は、血圧値に対して診断に用いて許容される測定誤差である。

　以上本実施形態の血圧測定装置は、座位と仰臥位と血圧測定において、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定した際に、仰臥位における血圧測定装置の位置と被測定者の心臓位置の高さの差を考慮した測定姿勢判定を行い、規定された測定時の高さの差（測定された血圧値の測定誤差）の許容範囲内に測定された血圧値を取得することができる。

　次に、このように構成された血圧測定装置による種々の血圧測定方法について説明する。図２に示すフローチャートを参照して、血圧測定装置を用いた第１の血圧測定方法について説明する。　
　この第１の血圧測定方法は、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定した際に、自動で測定姿勢判定部の機能を無効にして血圧測定を行う方法である。この第１の血圧測定方法では、前述した第１，第２パラメータは使用しない。

　まず、測定者又は被測定者は、血圧測定装置１を起動させて、操作部１６を操作し選択部５により、測定モード部３から夜間（睡眠）血圧測定モードを選択して設定する（ステップＳ１）。夜間（睡眠）血圧測定モードの設定においては、まず、血圧測定期間を指定し、測定開始時間（又は、開始時刻）と測定終了時間（又は、終了時刻）を設定する。さらに、任意の時間間隔（例えば１時間）を空けた時刻設定を行う、又は血圧測定期間の間の時間間隔を設定する。この夜間（睡眠）血圧測定モードの設定に従い、制御部１５は、測定姿勢判定部２から出力された測定姿勢の検出及び判定機能を無効にする（ステップＳ２）。その後、測定開始時間から血圧測定が開始され、血圧測定期間に至った毎に（ステップＳ３）、血圧測定を行う（ステップＳ４）。

　次に、血圧測定が設定された血圧測定回数に達したか、又は設定された測定終了時刻に達したかを判定する（ステップＳ５）。このステップＳ５の判定で、血圧測定回数に達しない、又は測定終了時刻に達しない場合には（ＮＯ）、ステップＳ３に戻り、血圧測定を継続する。一方、血圧測定回数に達した、又は測定終了時刻に達した場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を終了する。繰り返し測定により取得された血圧測定値は、測定された度に制御部１５により時間情報と関係づけられて記憶部２０に記憶される。

　この第１の血圧測定方法によれば、この測定姿勢判定部の判定機能を無効にすることで、被測定者が仰臥位した姿勢であっても姿勢判定の影響を受けなくなる。従って、夜間（睡眠）血圧測定モードにおける仰臥位に影響されずに血圧測定を実施できる。

　次に、図３に示すフローチャートを参照して、血圧測定装置を用いた第２の血圧測定方法について説明する。尚、第２の血圧測定方法において、前述した第１の血圧測定方法と同等の手順には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。

　この第２の血圧測定方法は、夜間（睡眠）血圧測定モードで血圧測定を行った際に、その測定時の測定姿勢が悪い、即ち、血圧測定装置１の位置と心臓の位置との間の高さの差による測定誤差が生じていた場合であっても、血圧測定を引き続き行い、劣る測定姿勢と判定され測定誤差を含むと推定される血圧値には、識別情報が付帯される方法である。

　まず、血圧測定装置１を起動し、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定する（ステップＳ１）。そして、測定開始時間から血圧測定が開始され、血圧測定期間に至った毎に（ステップＳ３）、血圧測定を行う（ステップＳ４）。

　測定姿勢判定部２は、ステップＳ４の測定時の測定姿勢に対して良否の判定を行う（ステップＳ１１）。この測定姿勢の良否の判定において、測定姿勢が正しい（ＹＥＳ）、即ち、血圧測定装置１の位置と心臓の位置との間の高さの差が無く、又は高さの差が許容範囲内であり、測定誤差は問題ないと判定されると、制御部１５により測定された血圧値に測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　一方、ステップＳ１１の判定で測定姿勢が悪い（ＮＯ）、即ち、血圧測定装置１の位置と心臓の位置との間の高さの差が大きく、又は高さの差が許容範囲内を越えており、問題となる測定誤差が生じている可能性があると判定されると、制御部１５により該当する血圧値に劣る姿勢を示す識別情報を付帯し（ステップＳ１２）、さらに測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　次のステップＳ５では、設定された血圧測定回数に達したか、又は設定された測定終了時刻に達したか判定する。このステップＳ５の判定で、血圧測定回数に達しない、又は測定終了時刻に達しない場合には（ＮＯ）、ステップＳ３に戻り、血圧測定を継続する。一方、血圧測定回数に達した、又は測定終了時刻に達した場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を終了する。

　この第２の血圧測定方法によれば、夜間、睡眠している被測定者は、自身で姿勢を調整することができないので、測定姿勢が悪くとも血圧測定を中断せずに、継続させることを優先する。血圧測定結果において、劣る姿勢の時に取得された血圧値には、その旨を示す識別情報が付帯されているため、適正な血圧値だけを選択して、診断に用いることができる。

　次に、図４に示すフローチャートを参照して、血圧測定装置を用いた第３の血圧測定方法について説明する。尚、第３の血圧測定方法において、前述した第１、第２の血圧測定方法と同等の手順には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。　
　この第３の血圧測定方法は、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定した際に、自動で仰臥位の姿勢用の第２パラメータに設定変更し、この第２パラメータを姿勢判定に用いる方法である。

　まず、血圧測定装置１を起動し、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定する（ステップＳ１）。この夜間（睡眠）血圧測定モードの設定に伴い、制御部１５は、第２パラメータに変更する（ステップＳ２１）。　
　そして、測定開始時間から血圧測定が開始され、血圧測定期間に至った毎に（ステップＳ３）、第２パラメータに沿った血圧測定により血圧値を取得する（ステップＳ４）。測定された血圧値は、測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　次に、設定された血圧測定回数に達したか、又は設定された測定終了時刻に達したか判定する（ステップＳ５）。このステップＳ５の判定で、血圧測定回数に達しない、又は測定終了時刻に達しない場合には（ＮＯ）、ステップＳ３に戻り、血圧測定を継続する。一方、血圧測定回数に達した、又は測定終了時刻に達した場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を終了する。

　この第３の血圧測定方法によれば、夜間（睡眠）血圧測定モードの設定により、自動で仰臥位用の第２パラメータが選択され設定される。第２パラメータに沿った血圧測定により正しい血圧値を求めることができる。

　次に、図５に示すフローチャートを参照して、血圧測定装置を用いた第４の血圧測定方法について説明する。尚、第４の血圧測定方法において、前述した第１、第２の血圧測定方法と同等の手順には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。

　この第４の血圧測定方法は、予め血圧測定装置１の位置と心臓の位置との間の高さの差に基づく補正値を求める。この補正値は、水頭圧を用いた公知な算出方法で求めることができる。そして、夜間（睡眠）血圧測定モードで血圧測定を行った際に、測定姿勢判定部２により姿勢が悪いと判定された場合には、該当する血圧値に対して、前記高さの差に基づく補正値により補正する方法である。尚、高さの差は、好ましくは、被測定者の実測値がよいが、平均的な体型から算出された値でもよい。この補正値は、異なる高さ毎に区分されて、それぞれに設定されている。

　まず、血圧測定装置１を起動し、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定する（ステップＳ１）。そして、測定開始時間から血圧測定が開始され、血圧測定期間に至った毎に（ステップＳ３）、血圧測定を行う（ステップＳ４）。測定姿勢判定部２は、ステップＳ４の測定時の測定姿勢に対して良否の判定を行う（ステップＳ１１）。この測定姿勢の良否の判定において、測定姿勢が正しい（ＹＥＳ）、即ち、測定誤差は問題ないと判定されると、制御部１５において、補正値による補正は行わずに、測定された血圧値に測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　一方、ステップＳ１１の判定で測定姿勢が悪い（ＮＯ）、即ち、問題となる測定誤差が生じている可能性があると判定されると、制御部１５により補正値を用いて該当する血圧値を補正する（ステップＳ３１）。補正された血圧値は、制御部１５により測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　次のステップＳ５では、設定された血圧測定回数に達したか、又は設定された測定終了時刻に達したか判定する。このステップＳ５の判定で、血圧測定回数に達しない、又は測定終了時刻に達しない場合には（ＮＯ）、ステップＳ３に戻り、血圧測定を継続する。一方、血圧測定回数に達した、又は測定終了時刻に達した場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を終了する。　
　第４の血圧測定方法によれば、測定姿勢判定部２により姿が悪い勢と判定された時に測定された血圧値に対して補正を行うことで、正しい血圧値を取得することができる。

　次に、図６に示すフローチャートを参照して、血圧測定装置を用いた第５の血圧測定方法について説明する。尚、第５の血圧測定方法において、前述した第１、第２の血圧測定方法と同等の手順には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。

　この第５の血圧測定方法は、間欠的に血圧測定を行う夜間（睡眠）血圧測定モードによる血圧測定時に、測定姿勢が悪いと判定された場合に、血圧測定期間に続く血圧測定期間以外の期間内で、設定時間の経過後に再度、血圧測定を行う方法である。

　まず、血圧測定装置１を起動し、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定する（ステップＳ１）。そして、測定開始時間から血圧測定が開始され、血圧測定期間に至った毎に（ステップＳ３）、血圧測定を行う（ステップＳ４）。測定姿勢判定部２は、ステップＳ４の測定時の測定姿勢に対して良否の判定を行う（ステップＳ１１）。この測定姿勢の良否の判定において、測定姿勢が正しい（ＹＥＳ）、即ち、測定誤差は問題ないと判定されると、制御部１５において、補正値による補正は行わずに、測定された血圧値に測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　一方、ステップＳ１１の判定で測定姿勢が悪い（ＮＯ）、即ち、問題となる測定誤差が生じている可能性があると判定されると、血圧測定期間後の予め設定した時間経過後で、血圧測定期間以外に再度、血圧を測定し（ステップＳ４１）、測定された血圧値に測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　次のステップＳ５では、設定された血圧測定回数に達したか、又は設定された測定終了時刻に達したか判定する。このステップＳ５の判定で、血圧測定回数に達しない、又は測定終了時刻に達しない場合には（ＮＯ）、ステップＳ３に戻り、血圧測定を継続する。一方、血圧測定回数に達した、又は測定終了時刻に達した場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を終了する。

　第５の血圧測定方法によれば、測定された血圧値が高さ差による測定誤差を含んでいる可能性があると判定された場合には、その血圧測定期間から予め設定した時間経過後で、血圧測定期間以外に再度、血圧測定を実施することで、測定姿勢が正しい状態における測定血圧値のデータ数を増やすことができる。

　次に、図７に示すフローチャートを参照して、血圧測定装置を用いた第６の血圧測定方法について説明する。尚、第６の血圧測定方法において、前述した第１、第２の血圧測定方法と同等の手順には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。　
　この第６の血圧測定方法は、間欠的に血圧測定を行う夜間（睡眠）血圧測定モードによる血圧測定時に、測定姿勢が悪いと判定された場合に、血圧測定期間以外の期間において、測定姿勢が正しいと判断されているときに、再度、血圧測定を行う方法である。

　まず、血圧測定装置１を起動し、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定する（ステップＳ１）。そして、測定開始時間から血圧測定が開始され、血圧測定期間に至った毎に（ステップＳ３）、血圧測定を行う（ステップＳ４）。測定姿勢判定部２は、ステップＳ４の測定時の測定姿勢に対して良否の判定を行う（ステップＳ１１）。この測定姿勢の良否の判定において、測定姿勢が正しい（ＹＥＳ）、即ち、測定誤差は問題ないと判定されると、制御部１５において、補正値による補正は行わずに、測定された血圧値に測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　一方、ステップＳ１１の判定で測定姿勢が悪い（ＮＯ）、即ち、問題となる測定誤差が生じていると判定されると、制御部１５により血圧測定期間以外も測定姿勢判定部２を駆動させて測定姿勢判定を実行させる（ステップＳ５１）。この姿勢判定で正しい測定姿勢が得られか（ステップＳ５２）、ステップＳ４２の判定で正しい測定姿勢が得られた場合（ＹＥＳ）、再度、血圧を測定し、測定された血圧値に測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。一方、ステップＳ５２の判定で正しい測定姿勢が得られなかった場合（ＮＯ）、測定姿勢判定を継続し、設定時間を経過したか判定し（ステップＳ５４）、設定時間が経過したならば（ＹＥＳ）、ステップＳ３に戻る。

　次のステップＳ５では、設定された血圧測定回数に達したか、又は設定された測定終了時刻に達したか判定する。このステップＳ５の判定で、血圧測定回数に達しない、又は測定終了時刻に達しない場合には（ＮＯ）、ステップＳ３に戻り、血圧測定を継続する。一方、血圧測定回数に達した、又は測定終了時刻に達した場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を終了する。

　第６の血圧測定方法によれば、測定姿勢が悪く問題となる測定誤差を含んでいる可能性があると判定された場合に再度行う血圧測定において、正しい姿勢と判定された時に、血圧測定を行うことで、不要な血圧測定を減らすことができる。

　次に、図８に示すフローチャートを参照して、血圧測定装置を用いた第７の血圧測定方法について説明する。尚、第７の血圧測定方法において、前述した第１、第２の血圧測定方法と同等の手順には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。　

　この第７の血圧測定方法は、夜間（睡眠）血圧測定モードによる間欠的な血圧測定を行い、血圧測定期間以外の期間においても、測定姿勢判定を行い、測定姿勢が正しいと判断されているときに、血圧測定を行う方法である。

　まず、血圧測定装置１を起動し、夜間（睡眠）血圧測定モードに設定する（ステップＳ１）。この時、測定姿勢判定部２が常時駆動され、血圧測定期間以外の期間も測定姿勢に対して良否の判定を行う（ステップＳ６１）。このステップＳ６１の姿勢判定で、測定姿勢判定部２が得られるまで待機し（ＮＯ）、正しい測定姿勢が得られた場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を行い（ステップＳ４）、測定された血圧値に測定時間情報が関係づけられて記憶部２０に記憶されて、次のステップＳ５に移行する。

　次のステップＳ５では、設定された血圧測定回数に達したか、又は設定された測定終了時刻に達したか判定する。このステップＳ５の判定で、血圧測定回数に達しない、又は測定終了時刻に達しない場合には（ＮＯ）、ステップＳ５１に戻り、血圧測定を継続する。
　一方、血圧測定回数に達した、又は測定終了時刻に達した場合には（ＹＥＳ）、血圧測定を終了する。

　第６の血圧測定方法では、ステップＳ４の血圧測定において、測定姿勢判定部２が正しい測定姿勢である旨の連絡信号を連続的に受けた場合、その都度、測定した血圧情報を記憶部２０に記憶すると、血圧情報のデータ量が増大してしまい、メモリ容量に大きく影響を及ぼし、また、血圧測定回数で測定終了を設定していた場合には、予定していた時刻よりも早く終了してしまう事態が想定される。そこで、制御部１５は、連続して入力された血圧情報については、単位時間当たりの記憶量を設定しておき、過剰な場合には、記憶部２０に送出せずに無効にして、間引きによる情報量の減少を図り、記憶部２０が記憶する血圧情報のデータ量の適正化を実現する。その間引きを行う際に、記憶部２０に記憶すべき血圧値は、データ上で血圧値が他の隣接する血圧値よりも特徴（例えば、数値が大きい）を持つものを優先的に記憶させる。

　第７の血圧測定方法によれば、血圧測定期間を設けずに、適正な測定姿勢が検出されたときに血圧測定を行うことで、問題となる測定誤差が生じている可能性がある血圧情報は除外され、正しい測定姿勢のみの血圧情報を取得することができる。

　上述の実施形態では、カフ１１を使用して例えば、オシロメトリック方式によりユーザの血圧値を測定している。しかしながら、血圧値を測定するだけの場合にはこれに限らなくてもよい。例えば、圧脈波を心拍ごとに検出する圧脈波センサを備え、被測定部位（例えば、左手首）を通る橈骨動脈の圧脈波を検出して血圧値（収縮期血圧値と拡張期血圧値）を測定してもよい（トノメトリ方式）。圧脈波センサは、被測定部位（例えば、左手首）を通る橈骨動脈の脈波をインピーダンスの変化として検出して血圧値を測定してもよい（インピーダンス方式）。圧脈波センサは、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて光を照射する発光素子と、その光の反射光（または透過光）を受光する受光素子とを備えて、動脈の脈波を容積の変化として検出して血圧値を測定してもよい（光電方式）。また、圧脈波センサは、被測定部位に当接された圧電センサを備えて、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈の圧力による歪みを電気抵抗の変化として検出して血圧値を測定してもよい（圧電方式）。さらに、圧脈波センサは、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて電波（送信波）を送る送信素子と、その電波の反射波を受信する受信素子とを備えて、動脈の脈波による動脈とセンサとの間の距離の変化を送信波と反射波との間の位相のずれとして検出して血圧値を測定してもよい（電波照射方式）。なお、血圧値を算出することができる物理量を観測することができれば、これらの以外の方式を適用してもよい。

　以上説明した本発明の実施形態は、以下の発明の要旨を含んでいる。　
　（１）被測定者の部位に装着されて血圧測定を行う血圧測定装置であって、
　少なくとも前記血圧測定を間欠的に行う夜間血圧測定モードを含む測定モードを有する測定モード部と、
　前記夜間血圧測定モードの設定時に、前記血圧測定装置の位置と前記被測定者の心臓の位置との高さの差を検出し、前記高さの差により想定される血圧値の測定誤差が許容範囲内か否かにより前記血圧測定に適した姿勢か否かを判定する測定姿勢判定部と、
　前記測定姿勢判定部により正しい姿勢と判定された血圧値を選択して記憶する記憶部とを具備する。

　なお、本発明は、上記実施形態に記載されるにもの限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変形してもよい。更に、開示される複数の構成要件を選択し又は組み合わせにより上記課題を解決する種々の発明が抽出される。

Claims (7)

1. 　被測定者の血圧測定を行う血圧測定装置であって、
   　少なくとも前記血圧測定を間欠的に行う夜間血圧測定モードを含む測定モードを有する測定モード部と、
   　前記被測定者の座位の姿勢における前記血圧測定装置の位置と前記被測定者の心臓位置との高さの差に基づく第１判定条件と、前記被測定者の仰臥位の姿勢における前記血圧測定装置の位置と前記被測定者の心臓位置との高さの差に基づく第２判定条件と、で血圧測定姿勢の良否を判定する測定姿勢判定部と、
   を具備し、
   　前記測定モード部により前記夜間血圧測定モードが設定された際に、前記測定姿勢判定部の判定条件を前記第２判定条件に切り替える血圧測定装置。
2. 　請求項１に記載される前記血圧測定装置における第１の血圧測定方法であって、
   　前記夜間血圧測定モードに設定された際に、前記測定姿勢判定部の判定機能を無効にして血圧測定を行う第１の血圧測定方法。
3. 　請求項１に記載される前記血圧測定装置における第２の血圧測定方法であって、
   　前記夜間血圧測定モードに設定され、血圧測定を行った際に、前記測定姿勢判定部が前記血圧測定の測定時の測定姿勢が悪いと判定され、測定された血圧値に測定誤差を含むと推定される血圧値には、識別情報が付帯される第２の血圧測定方法。
4. 　請求項１に記載される前記血圧測定装置における第３の血圧測定方法であって、
   　前記夜間血圧測定モードに設定した際に、仰臥位の姿勢用の第２パラメータに変更し、前記第２パラメータに基づく血圧測定により血圧値を取得する第３の血圧測定方法。
5. 　請求項１に記載される前記血圧測定装置における第４の血圧測定方法であって、
   　予め前記血圧測定装置の位置と前記被測定者の心臓の位置との間の高さの差に基づく補正値を算出し、
   　前記夜間血圧測定モードによる血圧測定時に、前記測定姿勢判定部により姿勢が悪いと判定された血圧値に対して、前記補正値により補正する第４の血圧測定方法。
6. 　請求項１に記載される前記血圧測定装置における第５の血圧測定方法であって、
   　前記夜間血圧測定モードによる血圧測定時に、前記測定姿勢判定部により測定姿勢が悪いと判定された血圧測定期間の血圧値を取得せず、前記血圧測定期間に続く血圧測定期間以外の期間内で、測定姿勢が正しいと判断されているときに、再度、血圧測定を行う第５の血圧測定方法。
7. 　コンピュータに、請求項１に記載の各部として機能させるためのプログラム。

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