WO2014136572A1

WO2014136572A1 - 着用物品およびその製造方法

Info

Publication number: WO2014136572A1
Application number: PCT/JP2014/053845
Authority: WO
Inventors: 哲郎大窪; 橋本　達也
Original assignee: Unicharm Corp
Current assignee: Unicharm Corp
Priority date: 2013-03-08
Filing date: 2014-02-19
Publication date: 2014-09-12
Anticipated expiration: 2015-09-08
Also published as: SA515360996B1; KR102222098B1; CN105007877B; AU2014227191A1; JP2014171690A; EP2965733A1; JP6088298B2; BR112015020983A2; US20160015574A1; US10265222B2; EP2965733A4; BR112015020983B1; AU2014227191B2; EP2965733B1; CN105007877A; KR20150128655A

Abstract

着用中に臀部が露出せず、レッグ開口縁部を着用者の身体にフィットさせることによって体液の漏れを防止する着用物品およびその製造方法の提供。前ウエストパネル（１８）と、後ウエストパネル（１９）と、吸収構造体（１１）を有するクロッチパネル（１３）とを含み、前後ウエストパネルの各内端縁（１８ａ，１９ａ）とクロッチパネルの縦方向両側縁とで一対のレッグ開口縁部（２３）が形成される着用物品（１０）であって、クロッチパネルが吸収構造体の両側縁に連結され縦方向に延びる一対の弾性化レッグシート（４３）を備え、弾性化レッグシートが、吸収構造体側に隣接する非弾性化域（５７ａ）と、非弾性化域に隣接する弾性化域（５７ｂ）とを有し、非弾性化域が吸収構造体の側縁で吸収構造体に対し起立してレッグ開口縁部に至り、弾性化域が着用物品の横方向外側へ延出してレッグ開口縁部を形成する。

Description

着用物品およびその製造方法

　この発明は、着用物品およびその製造方法に関し、より詳しくは、ウエスト弾性体を有するパンツ型の使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ等の着用物品およびその製造方法に関する。

　従来、ウエスト弾性体を有する使い捨て着用物品は公知である。例えば、特許文献１には、クロッチ域から前後ウエスト域に延び、両側に複数条のストランド状又はストリング状のレッグ弾性体を有する吸収構造体と、前後ウエスト域において横方向へ延びる複数条のストランド状又はストリング状のウエスト弾性体を有する前後ウエストパネルとを含む使い捨て着用物品が開示されている。

特開２０１１－９８０５２号公報

　特許文献１に開示された使い捨て着用物品によれば、吸収構造体のレッグ弾性体を有する弾性レッグカフスが、前ウエスト域において横方向の内側に倒伏した状態で吸収構造体に固定されており、かつ、後ウエスト域側において横方向の外側に倒伏した状態で後ウエストパネルに固定されていることから、弾性レッグカフスとウエスト弾性体との伸張応力によって前ウエスト域からの体液の漏れが生じ難い一方、後ウエスト域においては、弾性レッグカフス間の距離が大きくなり、吸収構造体の幅寸法は小さくならないので、着用中に臀部が大きく露出することはない。

　しかし、後ウエスト域において弾性レッグカフスを横方向の外側に倒伏した状態で吸収構造体に固定しているので、クロッチ域の幅寸法が前方から後方へ向かって次第に大きくなる形状を有し、前後ウエスト域を引き上げたときに、クロッチ域の後方側が十分に引き上げられず、着用者の身体とクロッチ域との間に隙間が生じて体液の漏れを生じるおそれがある。また、無理に引き上げようとするとレッグ開口縁部が着用者の臀裂間に挟まれて臀部の一部が露出するおそれがある。

　本発明の目的は、従来の使い捨て着用物品の改良にあり、着用中に臀部が露出することなく、かつ、レッグ開口縁部を着用者の身体にフィットさせることによって体液の漏れを防止することのできる着用物品およびその製造方法の提供にある。

　前記課題を解決するために、本発明は、縦方向及びそれに直交する横方向と、肌対向面及び非肌対向面とを有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含み、前後ウエスト域を連結することにより環状の弾性ウエストパネルが形成され、クロッチ域に、前後ウエスト域間にクロッチパネルが配置され、クロッチパネルの肌対向面中央部に吸収構造体が配置される着用物品およびその製造方法に関する。

　本発明に係る着用物品は、クロッチパネルが有するベース層の両側縁に沿って、縦方向に延びる一対の弾性化レッグシートが接合され、弾性化レッグシートはそれぞれ、サイドシートと、サイドシートに固定された第１レッグ弾性体及び第２レッグ弾性体とを含み、ベース層に接合され縦方向に延びる近位側縁と、近位側縁に対向して縦方向に延びる遠位側縁とを有するとともに、近位側縁に沿って延びる接合域と、遠位側縁に沿って延びる弾性化域と、接合域と弾性化域との間に位置して弾性体を備えない非弾性化域とに区分され、弾性化レッグシートの接合域に沿って第２レッグ弾性体が伸長下で縦方向に収縮可能に配置されるとともに、弾性化域に第１レッグ弾性体が伸長下で縦方向に収縮可能に配置され、弾性化レッグシートは、サイドシートを第１レッグ弾性体及び第２レッグ弾性体とともに収縮させ、かつ、第１レッグ弾性体及び第２レッグ弾性体の伸長倍率が１より大きく、接合域に横方向へ互いに並行して延びる多数のギャザーが形成された状態で、ベース層に接合されていることを特徴とする。

　本発明に係る着用物品を製造する方法は、機械方向に供給されてサイドシートとなる第１ウエブに対し、第１連続レッグ弾性体と第２レッグ弾性体とを機械方向に連続的に供給して第１ウエブに伸長下で収縮可能に固定した後、第１ウエブを機械方向に延びる折り返し予定線に沿って折り返して内面どうしを接合し、折り返した第１ウエブの間に第１及び第２連続弾性体を挟み込む工程であって、第１連続弾性体を折り返し予定線に沿って配置し、第２連続弾性体を第１連続弾性体から離間した位置に配置する工程と、折り返した第１ウエブを、収縮後の第１及び第２連続弾性体の伸長倍率が１より大きくなるようにして機械方向に収縮させる工程と、クロッチパネルのベース層となる第２ウエブを機械方向に連続的に供給して、第１ウエブの収縮状態を維持したままで、第１ウエブの第２連続弾性体に沿って延びる接合域を、第２ウエブの両側縁に同時または順次接合する工程と、第２ウエブの両側縁に第１ウエブが接合される複合ウエブを、機械方向と直交する方向に切断する工程と、切断された複合ウエブ片を、別工程で製造された、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有する着用物品のシャーシのクロッチ域に接合する工程とを含むことを特徴とする。

　本発明に係る着用物品では、弾性化レッグシートが、クロッチ域においてクロッチパネルが有するベース層の側縁に接合される接合域と、弾性体を備えない非弾性化域と、第１レッグ弾性体が伸長下で収縮可能に配置される弾性化域とを有する。また、弾性化レッグシートは、第２レッグ弾性体及び第１レッグ弾性体とともに収縮させ、かつ、第２レッグ弾性体及び第１レッグ弾性体の伸長倍率が１より大きい状態で、ベース層に接合されている。後述するように、前後ウエスト域を連結して環状の弾性ウエストパネルを形成したとき、クロッチ域において弾性化レッグシートの非弾性化域が吸収構造体の側縁に対し起立し、弾性化域が着用物品の横方向外方に突き出して、一対のレッグ開口縁部が形成される。レッグ開口縁部には、伸長倍率が１より大きい状態の第１レッグ弾性体が取り付けられているので、着用物品が使用されるとき、レッグ開口縁部が着用者の大腿部に沿って大きく伸長・収縮してフィットすることができる。これにより、体液の横漏れを防止することができるだけでなく、着用時において、レッグ開口縁部が着用者の臀裂間に挟み込まれて臀部の一部が外部に露出することもない。

　さらに、本発明に係る着用物品は、クロッチパネルのベース層と弾性化レッグシートとの接合域に沿って、第２レッグ弾性体が伸長下で前記縦方向に収縮可能に配置されている。本発明では、弾性化レッグシートを収縮させてベース層に接合するので、第２レッグ弾性体が無い場合には、弾性化レッグシートとベース層との接合予定部に大きな皺がよる。このため、ホットメルト接着剤等で接合したとき、弾性化レッグシートとベース層との間に隙間が生じ、吸収構造体の両側から体液が漏れ出す原因となるおそれがある。第２レッグ弾性体を用いた場合、第２レッグ弾性体により弾性化レッグシートとベース層との接合予定部において、横方向へ互いに並行して延びる多数のギャザーが生じ、大きな皺は接合予定部にまでは延びない。このため、弾性化レッグシートとベース層とを隙間なく接合することができ、漏れをより有効に防止することができる。

　本発明に係る着用物品の製造方法によれば、着用物品のクロッチパネルに位置するベース層の両側縁に収縮状態で接合された一対の弾性化レッグシートを備え、さらにベース層と弾性化レッグシートとの接合部において横方向へ互いに並行して延びる多数のギャザーが形成され、弾性化レッグシートとベース層との間に隙間を生じさせない第２レッグ弾性体を備える着用物品を製造することが可能になる。これにより、着用中に臀部が露出することなく、かつ、レッグ開口縁部を着用者の身体にフィットさせることによって体液の漏れを防止することのできる着用物品を製造する方法が提供される。

　図面は、本発明の特定の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
本発明に係る着用物品の一例として示す、使い捨ておむつの斜視図。平面状に伸展したおむつの一部破断展開平面図。おむつの分解斜視図。クロッチパネルの分解斜視図。図２のＶ－Ｖ線に沿った断面の模式図。弾性化レッグシートを備えるおむつの製造工程を表す模式図。加工時において収縮されたシートの状態を表す模式図。

　本発明について、着用物品がパンツ型の使い捨ておむつ１０である場合について説明する。図１～３を参照すると、使い捨ておむつ１０は、縦方向Ｙ及び横方向Ｘと、着用者の肌に対向する肌対向面及びその反対側に位置する非肌対向面とを有し、前ウエスト域１４と、後ウエスト域１５と、前後ウエスト域１４，１５間に位置するクロッチ域１６とを含む。おむつ１０は、基本的構造として、ウエスト回り方向へ延びる環状の弾性ウエストパネル１２と、弾性ウエストパネル１２と、クロッチパネル１３と、クロッチパネル１３の肌対向面に配置された吸収構造体１１とを含む。

　弾性ウエストパネル１２は、吸収構造体１１を着用者の股下間に支持するための弾性ベルト機能を有し、前ウエスト域１４を形成する前ウエストパネル１８と、後ウエスト域１５を形成する後ウエストパネル１９とを含む。前ウエストパネル１８は、横方向Ｘに延びる内端縁１８ａ及び外端縁１８ｂと、内外端縁１８ａ，１８ｂ間で縦方向Ｙに延びる両側縁１８ｃ，１８ｄとによって画定された横長方形状を有する。後ウエストパネル１９もまた、横方向Ｘに延びる内端縁１９ａ及び外端縁１９ｂと、内外端縁１９ａ，１９ｂ間で縦方向Ｙに延びる両側縁１９ｃ，１９ｄとによって画定された横長方形状を有する。互いに対応する前ウエストパネル１８の両側縁１８ｃ，１８ｄと後ウエストパネル１９の両側縁１９ｃ，１９ｄのそれぞれを、公知の手段、例えば、熱エンボス／デボス加工、ソニックなどによる熱溶着手段で、縦方向へ断続するシーム部２０によって接合することにより環状の弾性ウエストパネル１２が形成され、外端縁１８ｂ，１９ｂによりウエスト開口２２が画定される。また、前後ウエストパネル１８，１９の内端縁１８ａ，１９ａと、クロッチパネル１３に位置する弾性化レッグシート４３とにより、一対のレッグ開口縁部２３が画定される。

　前後ウエストパネル１８，１９は、主パネル２６，２７と補助パネル２４，２５とを含む。補助パネル２４，２５は、主パネル２６，２７よりも縦方向Ｙの幅寸法が小さく、主パネル２６，２７の肌対向面において内端縁１８ａ，１９ａ寄りに重なっている。

　主パネル２６，２７には、単位面積当り質量約１５～３０ｇ／ｍ^２のＳＭＳ（スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド）繊維不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、プラスチックシート、または、前記いずれかの繊維不織布とプラスチックシートとのラミネートシートなどを用いることができる。補助パネル２４，２５と主パネル２６，２７とは、例えば、少なくとも一方の内面に塗布されたホットメルト接着剤または公知の熱溶着手段によって接合される。

　補助パネル２４，２５には、弾性繊維不織布を用いることができ、例えば、スパンボンド繊維不織布、メルトブローン繊維不織布、ヒートロール繊維不織布、ＳＭＳ繊維不織布、エアレイド繊維不織布及びエアスルー繊維不織布など公知の弾性を有する繊維不織布を単独又はそれらを組み合わせたものから形成することができる。弾性不織布は、例えば、ポリエチレン系、ポリウレタン系等からなるエラストマー樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル等からなる熱可塑性樹脂などから形成することができる。補助パネル２４，２５としては、非弾性繊維不織布を用いることもできるが、少なくとも補助パネル２４は弾性繊維不織布であることが好ましい（段落００２３参照）。

　図２及び３を参照すると、補助パネル２４，２５と主パネル２６，２７との間には、前後ウエスト域１４，１５の横方向Ｘの中央部において、非肌対向面の外部から視認可能なグラフィック（図示せず）などが表示されている、プラスチック材料から形成されたグラフィックパッチ２８，２９が配置されている。前後ウエストパネル１８，１９において、補助パネル２４，２５の外端縁から縦方向Ｙの外方へ延出する主パネル２６，２７の延出部分は、内側へ向かって折り返されており、折り返しによって形成された折曲部２６ａ，２７ａ内には、複数条のストランド状又はストリング状の第１及び第２ウエスト弾性体３１，３２が例えばホットメルト接着剤を介して伸長下に収縮可能に固定されている。また、主パネル２６，２７の内端部２６ｂ，２７ｂには、繊維不織布から形成された細長状の固定シート３０が配置されており、固定シート３０と内端部２６ｂ，２７ｂとの間において、ストランド状又はストリング状の第３及び第４ウエスト弾性体３３，３４が例えばホットメルト接着剤を介して伸長下に収縮可能に固定されている。

　前ウエスト域１４は、第１ウエスト弾性体３１が配置された外端域３５と、第３ウエスト弾性体３３が配置された内端域３６と外内端域３５，３６間に位置する中間域３７と有する。後ウエスト域１５は、第２ウエスト弾性体３２が配置された外端域３８と、第４ウエスト弾性体３４が配置された内端域３９と、外内端域３８，３９間に位置する中間域４０とを有する。各ウエスト弾性体が配置されていない中間域３７，４０には、弾性を有する補助パネル２４，２５が配置される。したがって、着用時において、前後ウエスト域１４，１５の外端域３５，３８と内端域３６，３９とは、各ウエスト弾性体３１，３２，３３，３４の収縮力によって安定的に着用者の身体にフィットするとともに、中間域３７，４０は補助パネル２４，２５の収縮力によって着用者の身体にフィットするので、おむつ１０が着用中に排泄物の漏れを生じる程の大きな位置ずれを生じるおそれはない。

クロッチ域１６に位置するクロッチパネル１３は、横方向Ｘの中央部に位置するベース層４２と、ベース層４２の肌対向面の両側部に接合された一対の弾性化レッグシート４３とを含む。ベース層４２は、肌対向面側に位置する内面シート４４と、非肌対向面側に位置する外面シート４５とから形成される。内外面シート４４，４５には、各種公知の繊維不織布または透湿性プラスチックフィルムを用いることができる。後記するように、内面シート４４は吸収構造体１１と対向して位置するので、液不透過性かつ透湿性のプラスチックフィルムから形成することが好ましく、外面シート４５は、おむつ１０の外面の一部を形成するので、プラスチックフィルムに比して肌触りの良い繊維不織布から形成することが好ましい。

　クロッチパネル１３は、前後端部４６，４７と、前後端部４６，４７間に位置する中間部とを有する。前後端部４６，４７は、その非肌対向面側に位置する、例えばホットメルト接着剤を塗布してなる接合域を介して前後ウエストパネル１８，１９の内端縁１８ａ，１９ａに隣接する肌対向面に固定される。第１～第４ウエスト弾性体３１，３２，３３，３４には、例えば、繊度４７０～９４０ｄｔｅｘの弾性材を、伸長倍率２．０～３．５倍において用いることができる。

　吸収構造体１１は、縦長のパッド形状を有し、前後端部５４，５５と、中間部５６と、少なくともクロッチ域１６において縦方向Ｙへ延びる吸収性コア５８と、吸収性コア５８の肌対向面側に位置する身体側ライナー５９と吸収性コア５８の非肌対向面側に位置する外カバー６０とを含む。吸収構造体１１には、その非肌対向面のほぼ全体にホットメルト接着剤が公知のパターンで塗布されている。前後端部５４，５５は、それぞれ、該ホットメルト接着剤を介して前後ウエストパネル１８，１９の肌対向面に固定されており、中間部５６も該ホットメルト接着剤を介してクロッチパネル１３の肌対向面に固定される。図３に示すとおり、吸収構造体１１の前端部５４は、前ウエストパネル１８の補助パネル２４の肌対向面に固定されており、後端部５５は、後ウエストパネル１９の補助パネル２５と主パネル２７との間において主パネル２７の肌対向面に固定される。吸収構造体１１の前端部５４が補助パネル２４の肌対向面に固定されることによって、補助パネル２４が弾性を有する場合、吸収構造体１１の前端部５４が着用者に圧接されるので、体液の漏れにつながる体液の流動を防止することができる。一方、後端部５５が補助パネル２５と主パネル２７との間に固定されることによって、吸収構造体１１の後端部５５に拡散しても、体液が直接着用者の肌に触れるのを防止することができる。

　吸収性コア５８は、質量約４００～６００ｇ／ｍ^２であって、木材フラッフパルプと、超吸収性ポリマー粒子（ＳＡＰ）と、オプションとして含まれる熱溶着性ステープル繊維との混合から形成された芯材と、これを覆う液透過性のティッシュペーパー又は繊維不織布とを含む。身体側ライナー５９には、質量約１０～３０ｇ／ｍ^２の透液性のスパンボンド不織布やＳＭＳ不織布等の各種公知の繊維不織布を用いることができる。外カバー６０には、質量約１０～３０ｇ／ｍ^２の不透液性のスパンボンド不織布、ＳＭＳ不織布、プラスチックシートまたは繊維不織布とプラスチックシートとのラミネートシート等を用いることができる。図示してないが、身体側ライナー５９と外カバー６０とが、吸収性コア５８の両側縁からさらに横方向Ｘの外側に延びる延出部を有し、該延出部に複数条のストランド状又はストリング状の弾性体を伸縮可能に固定することによって、着用時において着用者の股下に向かって起立するレッグカフスを設けてもよい。

　図２～５を参照すると、弾性化レッグシート４３は、略矩形の形状を有し、ベース層４２に接合され縦方向Ｙに延びる近位側縁４３ｄと、近位側縁４３ｄに対向して縦方向Ｙに延びる遠位側縁４３ｃとを有するサイドシート５１と、サイドシート５１に固定された第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１と、細長い補強シート５２とを含む。弾性化レッグシート４３は、近位側縁４３ｄに沿って延びる接合域５７ｃと、遠位側縁４３ｃに沿って延びる弾性化域５７ｂと、接合域５７ｃと弾性化域５７ｂとの間に位置する非弾性化域５７ａとに区分される。非弾性化域５７ａの寸法は典型的には１０ｍｍ～２５ｍｍの範囲であり、弾性化域５７ｂの寸法は典型的には２０ｍｍ～３５ｍｍの範囲で、接合域５７ｃの寸法は典型的には２ｍｍ～５ｍｍの範囲である。

　弾性化レッグシート４３の接合域５７ｃに沿って１条の第２レッグ弾性体６１が伸長下で縦方向Ｙに延びており、弾性化域５７ｂでは複数条の第１レッグ弾性体５０が伸長下で縦方向Ｙに延びる。本実施形態では、第２レッグ弾性体６１は接合域５７ｃ内に配置されている。第１レッグ弾性体５０と第２レッグ弾性体６１は、サイドシート５１を半分に折り返した内側に、補強シート５２とともにホットメルト接着剤により固定され、第１レッグ弾性体５０はサイドシート５１の折り返し線側に位置し、第２レッグ弾性体６１は折り返したサイドシート５１の開放端部側に位置する。

　サイドシート５１は、おむつ１０のレッグ開口縁部２３を画定し、ほぼ矩形の繊維不織布から形成される。補強シート５２は、ほぼ矩形のプラスチックシートから形成され、その内面に第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１が配置されている。第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１には、繊度３１０～７８０ｄｔｅｘの弾性材を、伸長倍率２．０～４．０倍において用いることができるが、これに限定されない。第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１は、サイドシート５１に例えばホットメルト接着剤をスパイラル状やドット状等の公知のパターンで塗布して、伸長下で収縮可能に固定される。

　複数の第１レッグ弾性体５０の伸長倍率を、同じにするか、または、非弾性化域５７ａとの境界に位置する第１レッグ弾性体５０の伸長倍率よりも、残余の第１レッグ弾性体５０の伸長倍率の方を低くすることが好ましい。複数の第１レッグ弾性体５０の伸長倍率をこのように設定すれば、おむつ１０の着用時に、非弾性化域５７ａとの境界に位置する第１レッグ弾性体５０が収縮することにより、図１に示すように非弾性化域５７ａが吸収構造体１１の側縁１１ｃ，１１ｄに沿って起立する。さらに、弾性化域５７ｂ中の残余の第１レッグ弾性体５０が、非弾性化域５７ａとの境界に位置する第１レッグ弾性体５０と同程度収縮する結果、弾性化域５７ｂがおむつ１０の横方向外方に突き出す形状となって、一対のレッグ開口縁部２３を形成する。おむつ１０が着用されたとき、このレッグ開口縁部２３が着用者の大腿部に沿って大きく伸長してフィットする。これにより体液の横漏れが防止されるだけでなく、レッグ開口縁部２３が着用者の臀裂間に挟み込まれて臀部の一部が外部に露出することもない。

　弾性化レッグシート４３は、伸長下で取り付けた第２レッグ弾性体６１及び第１レッグ弾性体５０とともにサイドシート５１を収縮させて、縦方向Ｙにおける寸法が、第２レッグ弾性体６１及び第１レッグ弾性体５０が固定される前のサイドシート５１の寸法より短く、かつ、第２レッグ弾性体６１及び第１レッグ弾性体５０の伸長倍率が１より大きい状態で、縦方向Ｙに延びるベース層４２の両側縁に接合される。本実施形態では、ベース層４２を形成する内面シート４４及び外面シート４５の内面全体に例えばホットメルト接着剤６９を塗布して、弾性化レッグシート４３の接合域５７ｃが内面シート４４と外面シート４５との間に挟み込まれた状態で接合されている。

　弾性化レッグシート４３をベース層４２に取り付けるために収縮させる際、第１レッグ弾性体５０の収縮により、サイドシート５１の弾性化域５７ｂに規則的で細かい皺（以下、ギャザーと呼ぶ）が生じる。一方、弾性化域５７ｂに隣接する非弾性化域５７ａは弾性体を有さないため、サイドシート５１が大きく波うった状態、別言すればギャザーより大きな皺が生じた状態となる。仮に接合域５７ｃに沿った第２レッグ弾性体６１が無いとすると、この大きな皺は接合域５７ｃにまで及び、弾性化レッグシート４３をベース層４２にホットメルト接着剤等で接合したとき、弾性化レッグシート４３とベース層４２との間に隙間が生じ、吸収構造体１１の両側において体液が漏れ出す原因となるおそれがある。

　しかし、接合域５７ｃに沿って延びる第２レッグ弾性体６１を用いた場合、第２レッグ弾性体６１の収縮によりギャザーが生じ、大きな皺は接合域５７ｃにまでは延びない。別言すれば、大きな皺は、第２レッグ弾性体６１によって遮断される。したがって、大きな皺が生じていない接合域５７ｃをホットメルト接着剤等でベース層４２に接合して、弾性化レッグシート４３とベース層４２とを隙間なく接合することが可能になり、体液の漏れ出しを有効に防止することができる。このようにしてベース層４２の両側に接合された弾性化レッグシート４３では、第２レッグ弾性体６１及び第１レッグ弾性体５０に沿って多数のギャザーが形成され、第２レッグ弾性体６１と第１レッグ弾性体５０との間には、第２レッグ弾性体６１及び第１レッグ弾性体５０により形成されるギャザーよりも起伏の間隔が大きい複数の皺が形成されている。

　弾性化レッグシート４３の縦方向Ｙにおいて、弾性化レッグシート４３を収縮させた後の寸法に対する、弾性化レッグシート４３を収縮させる前の寸法の比（すなわち、収縮前の寸法／収縮後の寸法）が、１．０５～１．５の範囲であることが好ましい。弾性化レッグシート４３の収縮前後の寸法比がこの範囲にあれば、着用時において弾性化レッグシート４３が着用者の大腿部に沿って伸長されて安定的にフィットするとともに、漏れ防止に必要な収縮力を発揮する。弾性化レッグシート４３の収縮前後の寸法比が１．５より大きいと、ベース層４２に接合したとき、第１レッグ弾性体５０の伸長倍率が低くなりすぎ、着用者の大腿部に対する収縮力が不足する。弾性化レッグシート４３の収縮前後の寸法比が１．０５より小さいと、着用時に弾性化レッグシート４３が伸長可能な長さが不足して、着用者の大腿部に沿って安定的にフィットし難くなる。

　弾性化レッグシート４３をベース層４２に接合するときの収縮前後の比の調節は、サイドシート５１を形成する一枚の平坦なシート材に、第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１を伸長下で接合した後、サイドシート５１を第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１とともに収縮させる際、収縮前のサイドシート５１の長さに対する収縮後のサイドシート５１の長さを制御することにより容易に行うことができる。

　また、製品となったおむつ１０に含まれる弾性化レッグシート４３の収縮前後の寸法比は、クロッチ域１６においてベース層４２の側縁に接合された弾性化レッグシート４３を、ベース層４２とともに切り出したサンプルを用いて求めることができる。具体的には、おむつ１０のクロッチ域１６において縦方向に延びる接合域５７ｃに隣接する部位のベース層４２及び弾性化レッグシート４３から、接合域５７ｃを含めて、縦方向Ｙに沿って任意の長さ（例えば１０ｃｍ）のサンプルを切り出す。このサンプルは、矩形形状になるように調製する。次に、ベース層４２及び弾性化レッグシート４３を形成するシート材（すなわち、内面シート４４及び外面シート４５と、サイドシート５１）の接合域５７ｃに隣接する部位を、それぞれ所定の幅（例えば５ｍｍ）で切り取り、それぞれの縦方向Ｙの寸法を測定する。このとき、弾性化レッグシート４３は収縮された状態でベース層４２の側縁に接合されているため、弾性化レッグシート４３を形成するシート材（すなわちサイドシート５１）の寸法の方が、ベース層４２を形成するシート材（すなわち内面シート４４及び外面シート４５）よりも大きくなり、弾性化レッグシート４３の収縮前後の寸法比を、弾性化レッグシート４３を形成するシート材とベース層４２を形成するシート材との寸法比から算出することができる。なお、切り出したベース層４２及び弾性化レッグシート４３を形成するシート材に、第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１が含まれないようにすることは言うまでもない。

　サイドシート５１に第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１を固定するとき、第１レッグ弾性体５０の伸長倍率を、第２レッグ弾性体６１の伸長倍率よりも高くすることが好ましい。第１レッグ弾性体５０及び第２レッグ弾性体６１の伸長倍率をこのように設定すれば、第２レッグ弾性体６１に沿って生じるギャザーの数は、第１レッグ弾性体５０により生じるギャザーの数より少なくなり、接合域５７ｃが相対的に平坦になる。したがって、弾性化レッグシート４３をベース層４２に接合したとき隙間が殆ど生じず、体液の漏れを有効に防止することができる。

　また、弾性化レッグシート４３の弾性化域５７ｂにプリーツ加工を施すことが好ましい。プリーツ加工は、弾性化レッグシート４３の弾性化域５７ｂを一対の噛み合い型歯付ロールの間を通過させることにより行うことができる。弾性化レッグシート４３の弾性化域５７ｂは、レッグ開口縁部２３において着用者の大腿部に沿って伸長するので、プリーツ加工することによりレッグ開口縁部２３の肌触りを向上させることができる。
　なお、上記の実施形態では、おむつ１０が、いずれも矩形のクロッチパネル１３、前ウエストパネル１８、及び後ウエストパネル１９で形成される例に基づき説明したが、本発明はこれに限定されず、前ウエスト域１４、後ウエスト域１５、及びクロッチ域１６の形状に関わらず実施することができる。また、第２レッグ弾性体６１を接合域５７ｃ内に配置する例について説明したが、大きな皺が接合域５７ｃにまで延びない限り、第２レッグ弾性体６１を接合域５７ｃに隣接して配置することもできる。

　図６，７を参照して、本発明に係る弾性化レッグシート４３を備えるおむつ１０の製造工程の一実施形態を説明する。以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、図６（ａ）に示すように、本実施形態の製造工程を、機械方向ＭＤに沿って順に、取付工程Ｓ１、被覆工程Ｓ２、折曲工程Ｓ３、第１切断工程Ｓ４、収縮・接合工程Ｓ５、第２切断工程Ｓ６、及び組立工程Ｓ７に分けて説明する。図６（ｂ）は、図６（ａ）の各製造工程における加工中のウエブの状態を平面視で表す模式図である。なお、交差方向ＣＤは、機械方向ＭＤに直交する方向であり、弾性化レッグシート４３の製造に用いられるウエブ及び弾性体は、機械方向ＭＤに沿って搬送される。

＜取付工程Ｓ１＞
　この工程では、サイドシート５１となる第１ウエブ７１に対し、第２レッグ弾性体６１となる１条の第２連続弾性体７０と、第１レッグ弾性体５０となる複数条の第１連続弾性体７６とを、交差方向ＣＤにおいて互いに離間させて連続的に供給して、第２及び第１連続弾性体７０，７６を第１ウエブ７１に伸長下で固定する。本実施形態では、第１ウエブ７１の交差方向寸法ＣＤを二等分する仮想中心線Ｍに関し対称に、一対の第２連続弾性体７０及び一対の第１連続弾性体７６を供給し、一対の第２連続弾性体７０を第１ウエブ７１の仮想中心線Ｍの両側において、仮想中心線Ｍに隣接させて接合する。仮想中心線Ｍと第２連続弾性体７０との距離は、例えば２～５ｍｍである。第１連続弾性体７６は、仮想中心線Ｍと第１ウエブ７１の両側縁との間で機械方向ＭＤに延びる２本の折り返し予定線Ｒと、仮想中心線Ｍとの間に、第２連続弾性体７０から離間させて接合する。第１連続弾性体７６は、折り返し予定線Ｒに隣接するようにして配置することが好ましい。第２連続弾性体７０と第１連続弾性体７６との離間距離は、典型的には１０ｍｍ～２５ｍｍである。

　この工程では、第１ウエブ７１の第２連続弾性体７０及び第１連続弾性体７６が固定される部分、並びに、折り返し予定線Ｒと第１ウエブ７１との側縁の間の部分に、ホットメルト接着剤７４を予め塗布し、このホットメルト接着剤７４を塗布した第１ウエブ７１を回転ドラム７５に供給する。これと並行して、第２連続弾性体７０と第１連続弾性体７６を、所定の伸長倍率になるようにしながら、第１ウエブ７１とともに回転ドラム７５に供給して、第１ウエブ７１に第２連続弾性体７０及び第１連続弾性体７６を固定する。第２連続弾性体７０と第１連続弾性体７６の伸長倍率は、それぞれの供給速度を調節することにより制御できる。

＜被覆工程Ｓ２＞
　この工程では、第２及び第１連続弾性体７０，７６を、補強シート５２の基材となる第３ウエブ７８で被覆する。具体的には、第２及び第１連続弾性体７０，７６との固定面に予めホットメルト接着剤を塗布した第３ウエブ７８と、第２及び第１連続弾性体７０，７６が接合された第１ウエブ７１とを、一対のニップローラ７９の間に供給する。第３ウエブ７８は、プラスチックフィルムウエブであることが好ましい。第３ウエブ７８の交差方向ＣＤにおける寸法は、２本の折り返し予定線Ｒ間の交差方向ＣＤにおける離間距離よりも僅かに小さいことが好ましい。

＜折曲工程Ｓ３＞
　この工程では、折曲案内板であるセーラー８１を用いて、第１ウエブ７１の両側部８２，８３を折り返し予定線Ｒに沿って仮想中心線Ｍに向けて折り返し、折り返した第１ウエブ７１の内面どうしを予め塗布しておいたホットメルト接着剤７４により接合することにより、折り返した第１ウエブの間に第２連続弾性体７０及び第１連続弾性体７６を挟み込む。このとき、折り返した第１ウエブ７１の両側部８２，８３は互いに接近しているが、重なり合わないようにすることが好ましい。また、折り返した第１ウエブ７１の内面どうしを確実に接合するために、一対のニップローラ（図示せず）の間を通過させることができる。

＜第１切断工程Ｓ４＞
　この工程では、折曲工程Ｓ３で折り返された第１ウエブ７１を、互いに対向配置されたカッター８４とアンビルローラ８５との間を通過させることにより、仮想中心線Ｍに沿って切断して二分し、弾性化レッグシート４３となる一対の第４ウエブ８７を形成する。すなわち、第４ウエブ８７において、カッター８４による切断面８６に沿って第２連続弾性体７０が延在するとともに、第２連続弾性体７０から離間した位置に第１連続弾性体７６が延在する。第４ウエブ８７は、第２連続弾性体７０の存在によりギャザーが形成される接合域７１ｃと、第１連続弾性体７６が存在する弾性化域７１ｂと、接合域７１ｃと弾性化域７１ｂとの間に位置して連続弾性体が存在しない非弾性化域７１ａとに区分される。

＜収縮・接合工程Ｓ５＞
　この工程では、第４ウエブ８７を、一対の供給ローラ８８と、供給ローラ８８の機械方向ＭＤ下流側に設けられ、周速度が供給ローラ８８よりも低い一対の周速調整ロール９０との間で収縮させるとともに、周速調整ローラ９０において、それぞれがベース層４２を形成する内面シート４４及び外面シート４５となる、第２ウエブ９１，９２を連続的に供給して、第２ウエブ９１，９２の両側縁に江合４ウエブ８７を接合する。

　供給ローラ８８の周速度Ｖ１は、周速調整ローラ９０の周速度Ｖ２よりも高速であって、周速度Ｖ２に対する周速度Ｖ１の比率（Ｖ１／Ｖ２×１００）は、１０５～１５０％、好ましくは、１１０～１４０％である。すなわち、供給ローラ８８は、周速調整ローラ９０の周速度Ｖ２に対して、１．０５～１．５倍、好ましくは、１．１～１．４倍の周速度で回転する。供給ローラ８８の周速度Ｖ１と、周速調整ローラ９０の周速度Ｖ２をこのように調節することにより、第４ウエブ８７の収縮前後の比を制御することができ、また収縮後の第２連続弾性体７０及び第１連続弾性体７６の伸長倍率を１より大きい値に保つことができる。

　図７は、弾性化レッグシート４３となる第４ウエブ８７を製造工程において収縮させたときの状態を表す模式図であり、図７（ａ）は第２連続弾性体７０が無いと仮定した場合を表し、図７（ｂ）は第２連続弾性体７０を用いた場合を表す模式図である。

　図７（ａ）に示すように、第４ウエブ８７に第１連続弾性体７６が固定された弾性化域７１ｂには、第１連続弾性体７６の収縮によりギャザーが生じる。また、第１連続弾性体７６は張力が加えられた状態で搬送されるため、第４ウエブ８７の弾性化域７１ｂは、水平に保たれたままで安定的に搬送される。第４ウエブ８７において連続弾性体が存在しない非弾性化域７１ａは、第１ウエブ７１の間に挟み込まれた第３ウエブ７８に張力が加えられているため、垂れ下がることなく安定して搬送される。しかし、第１連続弾性体７６の収縮の影響を受け、第４ウエブ８７の非弾性化域７１ａが、機械方向ＭＤに対し上下方向に波打つように変形する。仮に、この状態で第４ウエブ８７を第２ウエブ９１，９２の両側縁に接合しようとすると、接合域７１ｃに相当する部分に大きな皺がよった状態で接合することになるため、接合したときに隙間が生じて体液が漏れ出す原因となるおそれがある。

　これに対し、図７（ｂ）に示すように第２連続弾性体７０を用いた場合、第２連続弾性体７０に沿って延びる接合域７１ｃには、おむつ１０の製造工程において伸長倍率が１より大きい状態に保たれる第２連続弾性体７０の収縮によりギャザーが生じ、第４ウエブ８７の非弾性化域７１ａに生じる大きな皺は、接合域７１ｃにまでは及ばない。また、第１ウエブ７１の搬送中は、第２連続弾性体７０に張力が加えられているため、第２連続弾性体７０に沿って延びる接合域７１ｃ、すなわち弾性化レッグシート４３の接合域５７ｃとなる部分は、水平に保たれたままで安定的に搬送される。したがって、第４ウエブ８７を第２ウエブ９１，９２の両側縁に接合する際、接合域７１ｃに大きな皺がよることはなく、接合域７１ｃに隙間が生じて体液が漏れ出すことを有効に防止することができる。

　第２ウエブ９１，９２は、第４ウエブ８７との接合面にホットメルト接着剤を塗布した後、周速調整ローラ９０に供給される。周速調整ローラ９０では、収縮した状態の第４ウエブ８７において第２連続弾性体７０に沿って延びる接合域７１ｃが、第２ウエブ９１，９２の両側縁に接合される。これにより、第４ウエブ８７の収縮状態を維持したままで、第２ウエブ９１，９２の両側縁に第４ウエブ８７を接合することができる。この工程により、第２ウエブ９１，９２の両側縁に第１ウエブ７１が接合されて複合ウエブ９７が形成される。

＜第２切断工程Ｓ６＞
　この工程では、複合ウエブ９７を、カッター９４とアンビルロール９５との間に連続的に供給し、交差方向ＣＤに延びるカットラインに沿って切断する。これにより、両側縁に弾性化レッグシート４３を有するベース層４２を備えたクロッチパネル１３が形成される。

＜組立工程Ｓ７＞
　この工程では、第２切断工程Ｓ６で製造されたクロッチパネル１３を、吸引やローラ搬送等の公知の手段により、弾性化レッグシート４３の収縮状態を維持したままで、別工程で製造された前後ウエスト域１４，１５、及び前後ウエスト域１４，１５の間に位置するクロッチ域１６を有するおむつ１０のシャーシ９３のクロッチ域１６に接合する。さらに後の工程で、クロッチパネル１３に吸収構造体１１（図示せず）を接合することにより、おむつ１０を得ることができる。

　以上の説明から当業者に明らかなように、本発明のおむつ１０の製造工程では各基材に張力が加えられているので、収縮前後の第２連続弾性体７０及び第１連続弾性体７６の伸長倍率は１より大きい値に保たれる。また、収縮後の第２連続弾性体７０の伸長倍率が１より大きいことにより、収縮・接合工程Ｓ５において、第４ウエブ８７にギャザーが生じ、第４ウエブ８７の非弾性化域７１ａに生じる大きな皺は、第２連続弾性体７０に沿って延びる接合域７１ｃにまでは及ばない。したがって、第４ウエブ８７を第２ウエブ９１，９２の両側縁に接合する際、接合域７１ｃに大きな皺がよることはなく、接合域７１ｃに隙間が生じて体液が漏れ出すことを有効に防止することができる。さらに、第１連続弾性体７６の伸長倍率が１より大きいことにより、おむつ１０のレッグ開口縁部２３に取り付けられる第１レッグ弾性体５０の伸長倍率が１より大きくなり、着用物品が使用されるとき、レッグ開口縁部２３が着用者の大腿部に沿って大きく伸長・収縮してフィットする。これにより、体液の横漏れを防止することができるだけでなく、着用時において、レッグ開口縁部２３が着用者の臀裂間に挟み込まれて臀部の一部が外部に露出することも防止される。

　上記の実施形態は本発明の製造方法の一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、第１ウエブ７１を折り返し予定線Ｒに沿って仮想中心線Ｍに向けて折り返した後、第１ウエブ７１において第１連続弾性体７６が存在する弾性化域７１ｂ（弾性化レッグシート４３の弾性化域５７ｂとなる部分）を一対の噛み合い型歯付ロールの間を通過させて、プリーツ加工を施すこともできる。上記のように、プリーツ加工により、弾性化レッグシート４３で形成されるレッグ開口縁部２３の肌触りを向上させることができる。また、１枚の第１ウエブ７１から２本の第４ウエブ８７を同時に製造する例について説明した。この製造方法により、弾性化レッグシート４３を備え、レッグ開口縁部２３を着用者の身体にフィットさせて体液の漏れを防止することのできる着用物品を効率よく製造することができる。しかし、１枚の第１ウエブ７１から第４ウエブ８７を１本だけ製造し、第２ウエブ９１，９２の両側縁に同時または順次接合する場合も本発明の範囲に含まれる。

　使い捨ておむつ１０を構成する各構成部材には、特に明記されていない限り、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種公知の材料を制限なく用いることができる。例えば各連続弾性体は、弾性糸のほかに、所定の幅及び厚さを有するウレタン等からなるシート状弾性材料から形成することもできる。また、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている「第１」、「第２」、「第３」及び「第４」の用語は、序数を示すものではなく、同様の要素、位置等を単に区別するために用いている。

　以上に記載した本発明の着用物品に関する開示は、少なくとも下記事項に整理することができる。
　本発明の着用物品は、縦方向及びそれに直交する横方向と、肌対向面及び非肌対向面とを有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含み、前後ウエスト域を連結することにより環状の弾性ウエストパネルが形成され、クロッチ域に、前後ウエスト域間にクロッチパネルが配置され、クロッチパネルの肌対向面中央部に吸収構造体が配置される着用物品において、クロッチパネルが有するベース層の両側縁に沿って、縦方向に延びる一対の弾性化レッグシートが接合され、弾性化レッグシートはそれぞれ、サイドシートと、サイドシートに固定された第１レッグ弾性体及び第２レッグ弾性体とを含み、ベース層に接合され縦方向に延びる近位側縁と、近位側縁に対向して縦方向に延びる遠位側縁とを有するとともに、近位側縁に沿って延びる接合域と、遠位側縁に沿って延びる弾性化域と、接合域と弾性化域との間に位置して弾性体を備えない非弾性化域とに区分され、弾性化レッグシートの接合域に沿って第２レッグ弾性体が伸長下で縦方向に収縮か可能に配置されるとともに、弾性化域に第１レッグ弾性体が伸長下で縦方向に収縮可能に配置され、弾性化レッグシートは、サイドシートを第１レッグ弾性体及び第２レッグ弾性体とともに収縮させ、かつ、第１レッグ弾性体及び第２レッグ弾性体の伸長倍率が１より大きく、接合域に横方向へ互いに並行して延びる多数のギャザーが形成された状態で、ベース層に接合されていることを特徴とする。

　上記に開示した本発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
（１）第２レッグ弾性体が、接合域内に配置される。
（２）縦方向において、弾性化レッグシートを収縮させた後の寸法に対する、弾性化レッグシートを収縮させる前の寸法の比が、１．０５～１．５の範囲である。
（３）第１レッグ弾性体が、第２レッグ弾性体よりも高い伸長倍率でサイドシートに接合される。
（４）弾性化レッグシートがさらに、第１レッグ弾性体及び第２レッグ弾性体を覆う補強シートを含む。
（５）弾性化レッグシートの弾性化域がプリーツ加工されている。

　以上に記載した本発明の着用物品の製造方法に関する開示は、少なくとも下記事項に整理することができる。
　本発明の着用物品を製造する方法であって、機械方向に供給されてサイドシートとなる第１ウエブに対し、第１連続弾性体と、第２レッグ弾性体とを機械方向に連続的に供給して第１ウエブに伸長下で収縮可能に固定した後、第１ウエブを機械方向に延びる折り返し予定線に沿って折り返して内面どうしを接合し、折り返した第１ウエブの間に第１及び第２連続弾性体を挟み込む工程であって、第１連続弾性体を折り返し予定線に沿って配置し、第２連続弾性体を第１連続弾性体から離間した位置に配置する工程と、折り返した第１ウエブを、収縮後の第１及び第２連続弾性体の伸長倍率が１より大きくなるようにして機械方向に収縮させる工程と、ベース層となる第２ウエブを機械方向に連続的に供給して、第１ウエブの収縮状態を維持したままで、第１ウエブの第２連続弾性体に沿って延びる接合域を、第２ウエブの両側縁に同時または順次接合する工程と、第２ウエブの両側縁に第１ウエブが接合されて成る複合ウエブを、機械方向と直交する方向に切断する工程と、切断された複合ウエブ片を、別工程で製造された、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有する着用物品のシャーシのクロッチ域に接合する工程とを含むことを特徴とする着用物品の製造方法。

　上記に開示した本発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
（１）第１ウエブを折り返す工程の前に、第１及び第２連続弾性体を、第３ウエブで被覆する工程をさらに有する。
（２）折り返した第１ウエブを収縮させる工程において、第１ウエブの方向における寸法の収縮前後の収縮比が１．０５～１．５の範囲である。
（３）一対の第１連続弾性体及び一対の第２連続弾性体を、第１ウエブの機械方向に直交する方向における寸法を二等分する仮想中心線に関し対称に供給し、一対の第２連続弾性体を、第１ウエブの仮想中心線の両側に隣接させて固定し、第１連続弾性体を、仮想中心線と第１ウエブの両側縁との間に機械方向に延びる折り返し予定線と、仮想中心線との間に、第２連続弾性体から離間させて固定し、第１ウエブを折り返す工程において、第１ウエブの両側縁を折り返し予定線に沿って仮想中心線に向けて折り返して、第１及び第２連続弾性体を折り返した第１ウエブの間に挟み込んで接合した後、仮想中心線に沿って切断して二分し、第１及び第２連続弾性体を含んで二分された第１ウエブのそれぞれを、機械方向に直交する方向に離間させ、次いで、二分された第１ウエブのそれぞれを同じ収縮比で収縮させた後、第２ウエブの両側縁に接合する。
（４）第２連続弾性体が、接合域内に位置して機械方向に延びる。
（５）第１ウエブを折り返した後、第１ウエブにおいて第１連続弾性体が存在する弾性化域をプリーツ加工する工程をさらに含む。

１０　　着用物品（使い捨ておむつ）
１１　　吸収構造体
１２　　弾性ウエストパネル
１３　　クロッチパネル
１４　　前ウエスト域
１５　　後ウエスト域
１６　　クロッチ域
４２　　ベース層
４３　　弾性化レッグシート
４３ｃ　遠位側縁
４３ｄ　近位側縁
５０　　第１レッグ弾性体
５１　　サイドシート
５２　　補強シート
５７ａ　非弾性化域
５７ｂ　弾性化域
５７ｃ　接合域
６１　　第２レッグ弾性体
７０　　第２連続弾性体
７１　　第１ウエブ
７１ａ　非弾性化域
７１ｂ　弾性化域
７１ｃ　接合域
７６　　第１連続弾性体
９１　　第２ウエブ
９２　　第２ウエブ
９７　複合ウエブ
Ｘ　　横方向
Ｙ　　縦方向
ＭＤ　機械方向
Ｒ　　折り返し予定線

Claims

　縦方向及びそれに直交する横方向と、肌対向面及び非肌対向面とを有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含み、前記前後ウエスト域を連結することにより環状の弾性ウエストパネルが形成され、前記クロッチ域に、前記前後ウエスト域間にクロッチパネルが配置され、前記クロッチパネルの肌対向面中央部に吸収構造体が配置される着用物品において、
　前記クロッチパネルが有する前記ベース層の両側縁に沿って、前記縦方向に延びる一対の弾性化レッグシートが接合され、
　前記弾性化レッグシートはそれぞれ、サイドシートと、前記サイドシートに固定された第１連続弾性体及び第２連続弾性体とを含み、
　前記ベース層に接合され前記縦方向に延びる近位側縁と、前記近位側縁に対向して前記縦方向に延びる遠位側縁とを有するとともに、前記近位側縁に沿って延びる接合域と、前記遠位側縁に沿って延びる弾性化域と、前記接合域と前記弾性化域との間に位置して弾性体を備えない非弾性化域とに区分され、
　前記弾性化レッグシートの前記接合域に沿って前記第２レッグ弾性体が伸長下で前記縦方向に収縮可能に配置されるとともに、前記弾性化域に第１レッグ弾性体が伸長下で前記縦方向に収縮可能に配置され、
　前記弾性化レッグシートは、前記サイドシートを前記第１レッグ弾性体及び前記第２レッグ弾性体とともに収縮させ、かつ、前記第１レッグ弾性体及び前記第２レッグ弾性体の伸長倍率が１より大きく、前記接合域に前記横方向へ互いに並行して延びる多数のギャザーが形成された状態で、前記ベース層に接合されていることを特徴とする前記着用物品。
　前記第２レッグ弾性体が、前記接合域内に配置される請求項１に記載の着用物品。
　前記縦方向において、前記弾性化レッグシートを収縮させた後の寸法に対する、前記弾性化レッグシートを収縮させる前の寸法の比が、１．０５～１．５の範囲である請求項１または２に記載の着用物品。
　前記第１レッグ弾性体が、前記第２レッグ弾性体よりも高い伸長倍率で前記サイドシートに接合される、請求項１～３のいずれかに記載の着用物品。
　前記弾性化レッグシートがさらに、前記第１レッグ弾性体及び前記第２レッグ弾性体を覆う補強シートを含む、請求項１～４のいずれかに記載の着用物品。
　前記弾性化レッグシートの前記弾性化域がプリーツ加工されている、請求項１～５のいずれかに記載の着用物品。
　請求項１に記載の着用物品の製造方法であって、
　機械方向に供給されて前記サイドシートとなる第１ウエブに対し、第１連続弾性体と、第２連続弾性体とを前記機械方向に連続的に供給して前記第１ウエブに伸長下で収縮可能に固定した後、前記第１ウエブを前記機械方向に延びる折り返し予定線に沿って折り返して内面どうしを接合し、折り返した前記第１ウエブの間に前記第１及び第２連続弾性体を挟み込む工程であって、前記第１連続弾性体を前記折り返し予定線に沿って配置し、前記第２連続弾性体を前記第１連続弾性体から離間した位置に配置する工程と、
　折り返した前記第１ウエブを、収縮後の前記第１及び前記第２連続弾性体の伸長倍率が１より大きくなるようにして前記機械方向に収縮させる工程と、
　前記クロッチパネルの前記ベース層となる第２ウエブを前記機械方向に連続的に供給して、前記第１ウエブの収縮状態を維持したままで、前記第１ウエブの前記第２連続弾性体に沿って延びる接合域を、前記第２ウエブの両側縁に同時または順次接合する工程と、
　前記第２ウエブの両側縁に前記第１ウエブが接合されて成る複合ウエブを、前記機械方向と直交する方向に切断する工程と、
　切断された前記複合ウエブ片を、別工程で製造された、前記前ウエスト域と、前記後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置する前記クロッチ域とを有する前記着用物品のシャーシの前記クロッチ域に接合する工程とを含むことを特徴とする前記製造方法。
　前記第１ウエブを折り返す工程の前に、前記第１及び第２連続弾性体を、前記第３ウエブで被覆する工程をさらに有する、請求項７に記載の製造方法。
　折り返した前記第１ウエブを収縮させる工程において、前記第１ウエブの前記方向における寸法の収縮前後の収縮比が１．０５～１．５の範囲である、請求項７または８に記載の製造方法。
　一対の前記第１連続弾性体及び一対の前記第２連続弾性体を、前記第１ウエブの前記機械方向に直交する方向における寸法を二等分する仮想中心線に関し対称に供給し、
　一対の前記第２連続弾性体を、前記第１ウエブの前記仮想中心線の両側に隣接させて固定し、
　前記第１連続弾性体を、前記仮想中心線と前記第１ウエブの両側縁との間に前記機械方向に延びる折り返し予定線と、前記仮想中心線との間に、前記第２連続弾性体から離間させて固定し、
　前記第１ウエブを折り返す工程において、前記第１ウエブの両側縁を前記折り返し予定線に沿って前記仮想中心線に向けて折り返して、前記第１及び第２連続弾性体を折り返した前記第１ウエブの間に挟み込んで接合した後、前記仮想中心線に沿って切断して二分し、前記第１及び第２連続弾性体を含んで二分された前記第１ウエブのそれぞれを、前記機械方向に直交する方向に離間させ、次いで、二分された前記第１ウエブのそれぞれを同じ収縮比で収縮させた後、前記第２ウエブの両側縁に接合する、請求項７～９のいずれかに記載の製造方法。
　前記第２連続弾性体が、前記接合域内に位置して前記機械方向に延びる、請求項７～１０のいずれかに記載の製造方法。
　前記第１ウエブを折り返した後、前記第１ウエブにおいて前記第１連続弾性体が存在する弾性化域をプリーツ加工する工程をさらに含む、請求項７～１１のいずれかに記載の製造方法。