WO2013042609A1

WO2013042609A1 - シガレット

Info

Publication number: WO2013042609A1
Application number: PCT/JP2012/073473
Authority: WO
Inventors: 古賀　和弘; 敏隆梅津
Original assignee: Japan Tobacco Inc
Current assignee: Japan Tobacco Inc
Priority date: 2011-09-20
Filing date: 2012-09-13
Publication date: 2013-03-28
Anticipated expiration: 2014-03-20
Also published as: JP2014230489A

Abstract

　たばこ充填材および該たばこ充填材の周囲を巻装するたばこ巻紙を含むたばこロッドと、フィルター部材および該フィルター部材の周囲を巻装する巻取紙を含むフィルターと、該たばこロッドと該フィルターとを接続するように該たばこロッドと該フィルター上に接着されたチップペーパーとを備え、吸煙時に空気を流入させるための貫通孔が、該フィルター部のチップペーパーおよび該巻取紙を貫通する形で形成されたシガレットであって、３．０～６．０ｍｍの直径を有し、シガレット吸口から吸い出される全空気量に対するチップペーパーの貫通孔から流入する空気量の割合が１０～６０％であり、フィルター部材が、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを含むことを特徴とするシガレット。

Description

シガレット

　本発明は、細巻きサイズのシガレットに関する。

　細巻きサイズのシガレットとして、たとえば、「スーパースリム」と呼ばれる直径５．４ｍｍのシガレットなどが市販されている。また、これより細い「マイクロスリム」と呼ばれるシガレットも知られている。このような細巻きサイズのシガレットは、細さに起因する特有の問題を有している。すなわち、細巻きサイズのシガレットは、その細さのために、シガレットの通気抵抗が上昇しやすい。シガレットの通気抵抗は、喫煙者の吸いやすさと相関しており、通気抵抗が高すぎるシガレットは吸いにくく、一般にシガレットの通気抵抗は、８０～１５０ｍｍＨ_２Ｏが望ましいといわれている。

　所望の低いシガレット通気抵抗を有するシガレットを設計するために、
(1)フィルターの通気抵抗を下げること、
(2)たばこロッドの通気抵抗を下げること、および
(3)チップペーパーの貫通孔からの空気流入量（Ｑｆ）を増やしてシガレット先端からの空気流入量（Ｑｔ）を減らすこと
が一般に行われている。フィルターの通気抵抗は、フィルター製造機の製造条件を変更して、フィルターロッドへのアセテートトウの充填量を減らすことにより低下させることができるが、アセテートトウをフィルターロッドに均一に充填する場合、アセテートトウの充填量の低減には限界がある。とりわけ、直径６．０ｍｍ以下の細いシガレットにおいて、その細さに起因する通気抵抗の上昇を、アセテートトウの充填量の低減のみで抑えることは困難である。同様に、たばこロッドへのたばこ充填材の充填量を減らすことにより通気抵抗を低減することには限界がある。そこで、シガレット通気抵抗を下げるために、チップペーパーの貫通孔からの空気流入量（Ｑｆ）を増やしてシガレット先端からの空気流入量（Ｑｔ）を減らすことが行われているが、この場合、たばこ刻みの燃焼に供給される空気の量が減り、燃焼により生成するタールの量が減少する。

　このため、シガレット通気抵抗が上昇しやすい細巻きサイズのシガレットにおいて、所望の低いシガレット通気抵抗と高いタール量を両立させることは困難であった。実際、市販される直径５．４ｍｍのシガレットは、所望の低いシガレット通気抵抗を達成するために、チップペーパーの貫通孔からの空気流入量（Ｑｆ）を増やしており、タール量は一般に１～８ｍｇ程度であり、コンベンショナルなサイズのシガレットが１～２０ｍｇ程度であるのに対し、低めのタール量となっている。たとえば、特許文献１は、１ｍｇ以下のタール量を有し、かつデュアルセグメントフィルターを備えた細巻きサイズ（直径５～７ｍｍ）のシガレットを開示する。実際、本発明者らは、細巻きサイズの市場品を幾つか分析したが、シガレット通気抵抗が１５０ｍｍＨ_２Ｏ以下で、主流煙中のタール値が８ｍｇ以上のシガレットを確認することはできなかった。

　また、チャコールフィルターをシガレットに採用した場合、アセテートトウに分散されている活性炭の粒が、その添加量に従ってフィルターの通気抵抗を押し上げる要因としてはたらくため、アセテートトウのみからなるフィルターと比べてフィルター通気抵抗が上昇する。活性炭以外の吸着材や香料カプセルをフィルターに添加した場合も同様に、フィルターの通気抵抗は増大する。また、ＩＳＯの標準喫煙条件（ＩＳＯ３３０８、ＩＳＯ３４０２）に基づいて、１吸煙は３５ｍＬを２秒間で行うことは巻サイズに関係しないため、とりわけ、細巻きサイズのシガレットでは、コンベンショナルサイズのシガレットよりも煙がフィルターを通過する流速が早く、多くの活性炭量が必要である。このため、細巻きサイズのシガレットでチャコールフィルターを採用した場合、フィルターの通気抵抗はとりわけ大きくなる。

　さらに、マルチセグメントフィルターをシガレットに採用した場合、複数のセグメントを有している点で、プレーンフィルターと比べてフィルター通気抵抗が上昇する。すなわち、マルチセグメントフィルターは、まず各フィルターセグメントの濾材を素材紙（インナープラグラップ）で巻いてフィルターセグメントをつくり、次いでフィルターセグメントを連結するように巻取紙（アウタープラグラップ）で巻くことにより製造される。このように、マルチセグメントフィルターは、プレーンフィルターと比べて濾材を取巻く紙が多いため、濾材をより小さな直径とする必要がある。このため、細巻きサイズのシガレットでマルチセグメントフィルターを採用した場合、フィルターの通気抵抗はとりわけ大きくなる。

　このように、チャコールフィルターやマルチセグメントフィルターは、フィルター通気抵抗が上昇しやすく、かかるフィルターを備えた細巻きサイズのシガレットでは、所望の低いシガレット通気抵抗と高いタール量を両立させることは更に困難である。

　一方、フィルターの通気抵抗を大きく低減しうる別の既存の技術として、以下の方法がある：
(1)フィルター全体あるいはフィルターの一部セグメント（たとえばトリプルフィルターの中央セグメント）の内部に、フィルターの長手方向に沿って一または複数の貫通孔（円柱状の中空部）を設ける方法（特許文献２～４参照）；
(2)フィルターの一部セグメント（たとえばトリプルフィルターの中央セグメント）を空隙として開けておく方法（特許文献５～７参照）。

　これらの方法を用いた場合、通気抵抗１５０ｍｍＨ_２Ｏ以下、タール８ｍｇ以上の、細巻きサイズのシガレットを設計する事も可能であるが、以下の弊害を伴う：
・シガレットのフィルター部の強度が弱くなる；
・咥え心地（適度な硬さ感や、しっかりしている感じなど）や、喫煙時の取り扱い（パッケージからのシガレット取り出す時、喫煙中にシガレットを軽く叩いて灰落としをする時、喫煙終了時に灰皿に火種を押し付けて消化する時などの、応力が加わる時の取り扱い）を悪化させる。

　特に細巻きサイズのシガレットの場合は、細いことで強度が削がれるので、上記(1)および(2)の技術を適用するのは困難である。

　また、上記(1)および(2)のように吸口側に貫通孔や空隙部を設けたシガレットの場合は、濾過されていない煙を吸煙することになるという嫌悪感をいだく喫煙者が居ることもわかっている。したがって、これら弊害を伴わない技術が求められる。

特表２００１－５２０８７４号公報国際公開第２０１１／０４２１７５号パンフレット英国特許出願公開第２０９１０７８号明細書国際公開第９３／０８７０７号パンフレット米国特許第５０５８６０８号明細書特表２００６－５０３５７２号公報米国特許第４２７３１４１号明細書

　上記事情に鑑み、本発明は、細巻きサイズのシガレットの強度を損なうことなく、低いシガレット通気抵抗と高いタール量を有する細巻きサイズのシガレットを提供することを目的とする。とりわけ、本発明は、細巻きサイズのシガレットの強度を損なうことなく、低いシガレット通気抵抗と高いタール量を有し、かつマルチセグメントフィルターを備えた細巻きサイズのシガレットを提供することを目的とする。

　本発明者らは、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度（Filament denier）および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度（Total denier）を有するアセテートトウを濾材として使用することにより、細巻きサイズのシガレットの強度を損なうことなく、所望の低いシガレット通気抵抗と高いタール量を両立させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。

　すなわち、本発明によれば、
　たばこ充填材および該たばこ充填材の周囲を巻装するたばこ巻紙を含むたばこロッドと、フィルター部材および該フィルター部材の周囲を一体的に巻装する巻取紙を含むフィルターと、該たばこロッドと該フィルターとを接続するように該たばこロッドと該フィルター上に接着されたチップペーパーとを備え、吸煙時に空気を流入させるための貫通孔が、該フィルター部のチップペーパーおよび該巻取紙を貫通する形で形成されたシガレットであって、
　前記シガレットが、３．０～６．０ｍｍの直径を有し、
　前記シガレットの吸口から吸い出される全空気量（Ｑ）が、シガレット先端から流入する空気量（Ｑｔ）とたばこ巻紙を透過して流入する空気量（Ｑｐ）とチップペーパーの貫通孔から流入する空気量（Ｑｆ）から構成される場合に、全空気量（Ｑ）に対するチップペーパーの貫通孔から流入する空気量（Ｑｆ）の割合が１０～６０％であり、
　前記フィルター部材が、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを含む
ことを特徴とするシガレットが提供される。

　とりわけ、本発明によれば、上記シガレットであって、前記フィルターが、複数のフィルターセグメントを含むマルチセグメントフィルターであり、フィルターセグメントの少なくとも一つが、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを含むことを特徴とするシガレットが提供される。

　本発明によれば、細巻きサイズのシガレットの強度を損なうことなく、所望の低いシガレット通気抵抗と高いタール量を有する細巻きサイズのシガレットが提供される。とりわけ、本発明によれば、細巻きサイズのシガレットの強度を損なうことなく、所望の低いシガレット通気抵抗と高いタール量を有し、かつマルチセグメントフィルターを備えた細巻きサイズのシガレットが提供される。

本発明のシガレットの一例を示す分解斜視図。本発明のシガレットにおける空気流入量を説明するための説明図。本発明のシガレットで使用され得るデュアルフィルターの構造を示す分解斜視図。チャンネル・ベンチレーション・ダムフィルターの構造を示す分解斜視図。

　以下、本発明を図面を参照して説明するが、以下の説明は、本発明を詳説することを目的とし、本発明を限定することを意図しない。

　図１は、本発明の細巻きサイズのシガレットの一例を示す。図１は、たばこロッド１０の内部が見えるように、たばこロッド１０の一端が切り取られている。

　本発明のシガレットは、３．０～６．０ｍｍの直径を有し、細巻きサイズを有する。本発明のシガレットは、たとえば４．５ｍｍまたは５．４ｍｍの直径を有する。本発明のシガレットは、小さい直径を有する以外は、通常のフィルター付きシガレットと同様の構造を有する。すなわち、本発明のシガレットは、たばこロッド１０とフィルター２０とを備え、たばこロッド１０とフィルター２０は、チップペーパー３０により接続されている。本発明のシガレットの全長は、たとえば８０～１００ｍｍとすることができる。

　たばこロッド１０は、通常のシガレットと同様、たばこ充填材１１とその周囲を巻装するたばこ巻紙１２からなり、３．０～６．０ｍｍの直径を有し、例えば、５０～７５ｍｍの長さを有することができる。たばこ巻紙１２は、１０～１００μｍの厚さであり得、通気性を有する紙を使用するのが一般的である。

　フィルター２０は、たばこロッド１０の一端に配置され、フィルター部材２１とその周囲を巻装する巻取紙２２からなる。フィルター２０は、たばこロッド１０とほぼ同じ直径を有し、長さは、例えば２５～３０ｍｍであり得る。図１に示すフィルター部材２１は、単一のいわゆるプレーンフィルター構造を有する。フィルター部材２１の周囲を一体に巻装する巻取紙２２は、１０～１００μｍの厚さであり得、その通気性の有無は問わない。巻取紙２２は、チップペーパー３０の貫通孔３１と同じ位置で、貫通孔３１と連通するように貫通孔２３を有する。

　フィルター部材２１は、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度（Filament denier）および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度（Total denier）を有するアセテートトウから構成される。フィルター部材２１のアセテートトウは、一般に、８．０ｇ／９０００ｍより大きく、１５ｇ／９０００ｍ以下の単繊度を有し、好ましくは１０ｇ／９０００ｍ～１３ｇ／９０００ｍの単繊度を有する。また、フィルター部材２１は、一般に、１００００ｇ／９０００ｍ以上、１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有し、好ましくは１１０００ｇ／９０００ｍ～１３０００ｇ／９０００ｍの総繊度を有する。アセテートトウを構成するアセテート繊維の断面は、任意の形状、たとえばＹ字や円の形状を有することができ、フィルターの通気抵抗を低減する目的のためには、円形が好ましい。本発明のシガレットは、フィルター部材２１のなかに、活性炭などの吸着材や香料カプセルなどの香味放出材を更に備えていてもよい。

　チップペーパー３０は、巻取紙２２の全体とたばこ巻紙１２の一部とを覆うように、接着剤で接着されている。チップペーパー３０のうち巻取紙２２を覆っている部分を「フィルター部のチップペーパー」という。チップペーパー３０は、例えば、たばこロッドの軸方向の長さ（幅）が３０～３７ｍｍ、厚さが１０～１００μｍであり得る。通常のフィルター付シガレットと同様、チップペーパーは、吸煙時に外部からシガレット内部（フィルター部材２１）へ空気を流入させるための貫通孔３１を有する。この通気用の貫通孔（ベンチレーション孔）は、喫煙時にここから空気を流入させ、シガレット先端から流入する空気量を減少させ、シガレットの通気抵抗を低下させる機能を有する。この通気用の貫通孔（ベンチレーション孔）は、図１では、シガレットの円周方向に沿って一列に穿設されているが、シガレットの円周方向に沿って複数列で穿設されていてもよいし、あるいは不規則に多数穿設されていてもよい。貫通孔３１は、フィルター部のチップペーパーおよび巻取紙２２を貫通する形で形成されている。　図２に示すとおり、一般にシガレットにおいて、シガレットの吸口から吸い出される全空気量（Ｑ）は、シガレット先端から流入する空気量（Ｑｔ）とたばこ巻紙１２を透過して流入する空気量（Ｑｐ）とチップペーパー３０の貫通孔３１から流入する空気量（Ｑｆ）から構成される。シガレット先端から流入する空気量（Ｑｔ）の割合（Ｖｔ）は、１００×Ｑｔ/Ｑ（％）で表され；たばこ巻紙を透過して流入する空気量（Ｑｐ）の割合（Ｖｐ）は、１００×Ｑｐ/Ｑ（％）で表され；チップペーパーの貫通孔から流入する空気量（Ｑｆ）の割合（Ｖｆ）は、１００×Ｑｆ/Ｑ（％）で表される。これら空気量の割合（Ｖｔ、ＶｐおよびＶｆ）は、シガレット品質測定器を用いて、ＩＳＯ標準法に従って標準喫煙条件下で測定することにより求めることができる（ＩＳＯ９５１２）。

　本発明のシガレットの目標タール量は８ｍｇ以上であるが、本発明で使用する上記アセテートトウをフィルターに用いた場合、全空気量（Ｑ）に対するチップペーパーの貫通孔から流入する空気量の割合（Ｖｆ）は、目標タール量を実現するために１０～６０％とすることができ、好ましくは２０～５０％とすることができる。本発明のシガレットでは、全空気量（Ｑ）に対するシガレット先端から流入する空気量の割合（Ｖｔ）は、一般に２８～９０％であり、全空気量（Ｑ）に対するたばこ巻紙を透過して流入する空気量の割合（Ｖｐ）は、一般に０～１２％である。

　上述のＶｆ値は、シガレット製造機に搭載されたレーザー開孔装置の出力やパルス長を変更することで、チップペーパーの貫通孔の大きさや数を調整することにより得ることができる。

　本発明では、上述のとおり、巻取紙２２は、チップペーパー３０の貫通孔３１と同じ位置で、貫通孔３１と連通するように貫通孔２３を有する。したがって、これら貫通孔の穿設は、レーザー開孔装置により、チップペーパーだけでなく巻取紙も貫通して開孔することにより行うことができる。このため、巻取紙の通気度は問わない。

　上述のＶｐ値を得るために、たばこ巻紙１２の原料として、５～１００ＣＵの通気度を有する紙を使用することが好ましい。

　このように、本発明のシガレットは、チップペーパーの貫通孔から流入する空気量の割合（Ｖｆ）が１０～６０％と低いため、たばこ刻みの燃焼に供給される空気の量が増え、高いタール値（すなわち８ｍｇ以上）を達成することができる。また、本発明のシガレットは、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウをフィルター部材として使用することにより、低いフィルター通気抵抗、好ましくは５０～９０ｍｍＨ_２Ｏのフィルター通気抵抗を達成することができる。加えて、本発明のシガレットは、上述の特定の単繊度および総繊度を有するアセテートトウを使用したにもかかわらず、アセテートフィルターを備えた既存の細巻きサイズのシガレットと比べて、シガレットのフィルター部の強度が損なわれておらず、咥え心地や喫煙時の応力が加わる際の取り扱いに支障がなかった。これにより、本発明のシガレットは、細巻きサイズのシガレットの強度を損なうことなく、低いシガレット通気抵抗（すなわち１５０ｍｍＨ_２Ｏ以下）と高いタール値（すなわち８ｍｇ以上）を達成することができる。本発明において、「低いシガレット通気抵抗」とは、１５０ｍｍＨ_２Ｏ以下であり、一般的には１００～１５０ｍｍＨ_２０である。また、本発明において、「高いタール値」とは、８ｍｇ以上であり、一般的には８～１３ｍｇである。

　本発明において、「フィルター通気抵抗」は、ＩＳＯ標準法（ＩＳＯ６５６５）に従って、例えば「通気抵抗メーターＡ１１（Ｂｕｒｇｈａｒｔ社製）」を使用して測定された値を指し、「シガレット通気抵抗」は、ＩＳＯ標準法（ＩＳＯ６５６５）に従って、例えば「ＮＣＱＡ（ＪＴトーシ株式会社製）」を使用して測定された値を指す。また、「タール値」は、ＩＳＯの標準喫煙条件（ＩＳＯ３３８０、ＩＳＯ３４０２）に従って測定された値を指す。

　本発明のシガレットにおいて、フィルターは、複数のフィルターセグメントを含むマルチセグメントフィルター、たとえばデュアルフィルター、トリプルフィルターとすることができる。この場合、フィルターセグメント（濾材と濾材を巻装する素材紙からなる）の少なくとも一つが、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウからなる濾材を有し、好ましくは、フィルターセグメントのすべてが、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウからなる濾材を有する。

　たとえば、本発明のシガレットにおいて、フィルターは、たばこ充填材側に配置された第１のフィルターセグメントと、吸口側に配置された第２のフィルターセグメントとから構成されるデュアルセグメントフィルターであり、第１のフィルターセグメントが、吸着材（たとえば活性炭）を含有するアセテートトウのフィルターであり、第２のフィルターセグメントが、アセテートトウのフィルターであり、第１および第２のフィルターセグメントの濾材が、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウからなる。

　このように、本発明のシガレットにマルチセグメントフィルターを採用した場合も同様に、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを、少なくとも一つのフィルターセグメントの濾材として使用することにより、本発明のシガレットは、低いシガレット通気抵抗（すなわち１５０ｍｍＨ_２Ｏ以下）と高いタール値（すなわち８ｍｇ以上）を有することができる。

　本発明のシガレットにマルチセグメントフィルターを採用した場合、フィルターは、「８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウ」以外の濾材を用いた他のフィルターセグメントを含んでいてもよく、たとえば、上記以外のアセテートフィルター、紙フィルター、または天然パルプの不織布シートを使用したネオフィルターなどを濾材として用いた他のフィルターセグメントを含んでいてもよい。これら他のフィルターセグメントとして、低い通気抵抗を有しているものが好ましい。紙フィルターやネオフィルターの場合、シートの幅、シートの坪量、シートの密度等を調整して、低い通気抵抗のものを得ることができる。

　本発明のシガレットにおいて採用可能なデュアルフィルターの構造を図３に示し、デュアルフィルターの具体例を以下に挙げる。

　図３において、デュアルフィルターは、刻み側のフィルターセグメント２１ａと吸口側のフィルターセグメント２１ｂから構成される。フィルターセグメント２１ａおよび２１ｂは、それぞれ濾材（たとえばアセテートトウ）が素材紙（インナープラグラップ）により巻かれている。これらフィルターセグメントは、更に、巻取紙（アウタープラグラップ）２２により巻かれて連結され、デュアルフィルターになる。デュアルフィルターは、更に、チップペーパー３０により巻かれ、（たばこ充填材１１とたばこ巻紙１２からなる）たばこロッド１０と連結される。

　［第１の例］
　デュアルフィルターの第１の例において、刻み側のフィルターセグメントは、活性炭を添着したアセテートフィルター（すなわちチャコールフィルター）であり、吸口側のフィルターセグメントは、アセテートトウから構成されるフィルター（すなわちアセテートフィルター）である。刻み側のフィルターセグメントでは、通常のチャコールフィルターと同様、活性炭の粒がアセテート繊維間に分散されている。

　［第２の例］
　第２の例において、刻み側のフィルターセグメントは、グルカン膜で覆われた活性炭粒子を吸着材として添着したアセテートフィルターであり、吸口側のフィルターセグメントは、香料（たとえばメンソール）を添着したアセテートフィルターである（WO 2009/116417を参照）。この例では、活性炭粒子をグルカン膜で覆うことにより、非喫煙時には、香料の活性炭への吸着を抑制することができ、喫煙時には、シガレット主流煙がグルカン膜を溶解することにより、主流煙成分を活性炭に吸着させることができる。

　［第３の例］
　第３の例において、刻み側のフィルターセグメントは、グルカン膜で覆われた活性炭粒子を吸着材として添着したアセテートフィルターであり、吸口側のフィルターセグメントは、香料を含浸させたスレッド（糸）をフィルターの中心に貫通するように含むアセテートフィルターである（WO 2009/116417および特公昭63-38187を参照）。この例の刻み側のフィルターセグメントは、第２の例のものと同じである。吸口側のアセテートフィルターは、香料を含浸させたスレッドを含むことにより、吸煙時にフィルターを通過する煙に香料が加わり、喫煙者は、香気成分を味わうことができる。

　［第４の例］
　第４の例において、刻み側のフィルターセグメントは、活性炭を添着したアセテートフィルター（すなわちチャコールフィルター）であり、吸口側のフィルターセグメントは、チャンネル・ベンチレーション・ダム（CVD; Channel Ventilation Dam）フィルターと呼ばれるフィルターセグメントである。

　チャンネル・ベンチレーション・ダムフィルターの例を図４に示す。図４に示されるとおり、このフィルターは、表面に溝を有するアセテート濾材４１を備える。アセテート濾材４１は、アセテートトウ（芯部）の外周に、波形のテープ状のアセテートトウを巻き付けることにより形成されるため、その表面に溝を有している。このため、アセテート濾材４１が巻紙４２で巻かれると、アセテート濾材４１の表面の溝と巻紙４２との間に、ベンチレーション空気の流路４３、４４が形成される。この流路を通って、吸煙時に開孔部４６から外気を取り込むことができる。この流路は閉塞部（ダム）４５により遮断されており、この閉塞部（ダム）４５は、吸引されるタバコ煙とベンチレーション空気の割合を制御する役割を有する（特開昭62-29958を参照）。このフィルターは、シガレット外周より一回り小さい外周を有するアセテート濾材４１を備えているため、かかるフィルターセグメントの採用は、シガレット通気抵抗を顕著に増大させる。したがって、このようなチャンネル・ベンチレーション・ダムフィルターを本発明において使用する場合、吸口側のフィルターセグメントと刻み側のフィルターセグメントの両方において、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを使用することが望ましい。

　［第５の例］
　第５の例において、刻み側のフィルターセグメントは、アセテートトウから構成されるフィルター（すなわちアセテートフィルター）であり、吸口側のフィルターセグメントは、チャンネル・ベンチレーション・ダムフィルターである。チャンネル・ベンチレーション・ダムフィルターについては、第４の例を参照することができる。

　［第６の例］
　第６の例において、刻み側のフィルターセグメントは、活性炭を添着したアセテートフィルター（すなわちチャコールフィルター）であり、吸口側のフィルターセグメントは、アセテート繊維間に１つの香料カプセルを埋め込んだアセテートフィルターである（WO 2011/024068を参照）。香料カプセルは、フィルターセグメントの中央部に配置され、喫煙者が、喫煙前に指でつぶすことにより、香気成分を味わうことができる。

　［第７の例］
　第７の例において、刻み側のフィルターセグメントは、アセテートトウから構成されるフィルター（すなわちアセテートフィルター）であり、吸口側のフィルターセグメントは、アセテート繊維間に１つの香料カプセルを埋め込んだアセテートフィルター（第６の例と同じ）である。

　本発明のシガレットにおいて採用可能なマルチセグメントフィルターは、上記具体例に限定されず、他の公知のデュアルフィルターやトリプルフィルターであってもよい。

　上記具体例においても、上述のとおり、フィルターセグメントの少なくとも一つが、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウからなる濾材を有していればよく、好ましくは、フィルターセグメントのすべてが、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウからなる濾材を有する。

　このように、本発明では、チップペーパーの貫通孔から流入する空気量の割合（Ｖｆ）が低い細巻きサイズのシガレットに、シガレット通気抵抗が上昇しやすいフィルターの構成（たとえば、チャコールフィルター、チャンネル・ベンチレーション・ダムフィルター、香料カプセル入りフィルターの少なくとも一つを含むマルチセグメントフィルター）を採用した場合であっても、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを濾材として使用することにより、本発明の効果（すなわち、低いシガレット通気抵抗と高いタール量）を奏することができる。

１０・・・たばこロッド
１１・・・たばこ充填材
１２・・・たばこ巻紙
２０・・・フィルター
２１・・・フィルター部材
２１ａ・・・刻み側のフィルターセグメント
２１ｂ・・・吸口側のフィルターセグメント
２２・・・巻取紙
２３・・・貫通孔
３０・・・チップペーパー
３１・・・貫通孔
４１・・・アセテート濾材
４２・・・巻紙
４３、４４・・・流路
４５・・・閉塞部（ダム）
４６・・・開孔部

Claims

　たばこ充填材および該たばこ充填材の周囲を巻装するたばこ巻紙を含むたばこロッドと、フィルター部材および該フィルター部材の周囲を一体的に巻装する巻取紙を含むフィルターと、該たばこロッドと該フィルターとを接続するように該たばこロッドと該フィルター上に接着されたチップペーパーとを備え、吸煙時に空気を流入させるための貫通孔が、該フィルター部のチップペーパーおよび該巻取紙を貫通する形で形成されたシガレットであって、
　前記シガレットが、３．０～６．０ｍｍの直径を有し、
　前記シガレットの吸口から吸い出される全空気量（Ｑ）が、シガレット先端から流入する空気量（Ｑｔ）とたばこ巻紙を透過して流入する空気量（Ｑｐ）とチップペーパーの貫通孔から流入する空気量（Ｑｆ）から構成される場合に、全空気量（Ｑ）に対するチップペーパーの貫通孔から流入する空気量（Ｑｆ）の割合が１０～６０％であり、
　前記フィルター部材が、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを含む
ことを特徴とするシガレット。
　前記フィルターが、複数のフィルターセグメントを含むマルチセグメントフィルターであり、フィルターセグメントの少なくとも一つが、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを含むことを特徴とする請求項１に記載のシガレット。
　前記フィルターが、たばこ充填材側に配置された第１のフィルターセグメントおよび吸口側に配置された第２のフィルターセグメントを含むデュアルセグメントフィルターであり、フィルターセグメントの少なくとも一つが、８．０ｇ／９０００ｍより大きい単繊度および１５０００ｇ／９０００ｍより小さい総繊度を有するアセテートトウを含むことを特徴とする請求項１に記載のシガレット。
　主流煙中のタール値が、８ｍｇ以上であり、シガレットの通気抵抗が１５０ｍｍＨ_２Ｏ以下であることを特徴とする、請求項１～３の何れか１項に記載のシガレット。