WO2012017861A1

WO2012017861A1 - 内視鏡

Info

Publication number: WO2012017861A1
Application number: PCT/JP2011/066953
Authority: WO
Inventors: 聡志牧山; 小板橋　正信; 卓郎堤; 雄治進藤; 慎一齋藤
Original assignee: Olympus Medical Systems Corp
Current assignee: Olympus Medical Systems Corp
Priority date: 2010-08-02
Filing date: 2011-07-26
Publication date: 2012-02-09
Anticipated expiration: 2013-02-02

Abstract

　前側レンズ枠３１と、レンズ枠３１の外周に被覆された、先端面に位置決め孔が形成された先端硬質部材１０と、先端硬質部材１０及びレンズ枠３１の外周に被覆されるとともに、先端面１０ｓに被覆される、被覆後、位置決め孔に嵌入される位置決め部材を有するカバー部材１５と、を具備し、カバー部材１５とレンズ枠３１の外周面との間の第１の間隙ａ１は、カバー部材１５と先端硬質部材１０の外周面との間の第２の間隙ａ２よりも大きく設定されている。

Description

内視鏡

　本発明は、挿入部の先端部を構成する先端部本体にカバー部材が被覆された内視鏡に関する。

　近年、被検体内に挿入される内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。内視鏡は、細長い挿入部を被検体内に挿入することによって、被検体内を観察することができる。

　また、内視鏡の挿入部の挿入方向先端側（以下、単に先端側と称す）に設けられた先端部内には、被検体内を撮像する撮像ユニットが設けられている。撮像ユニットは、該撮像ユニットを構成する複数の対物レンズの内、最も先端側に位置する対物レンズ（以下、観察窓と称す）が先端部の先端面から露出するよう設けられている。

　尚、先端面には、被検体内に対して照明光を照明する照明窓や、既知の処置具挿通用管路の先端開口や、被検体内に液体を供給する前方送水管路の先端開口や、先端面から露出する観察窓に気体または液体を供給する送気送水管路（以下、ＡＷ管路と称す）のノズル等が設けられている。

　ここで、先端部は、通常、先端部本体である先端硬質部材と、該先端硬質部材の外周面及び先端面を覆うカバー部材とから主要部が構成されている。

　尚、先端硬質部材内には、上述した撮像ユニットが設けられている他、処置具挿通用管路、前方送水管路、ＡＷ管路がそれぞれ形成され、さらに照明用窓に照明光を供給するライトガイドが挿通されており、先端硬質部材の先端面に、上述した観察窓及び照明用窓や、処置具挿通用管路の先端開口や、前方送水管路の先端開口や、ＡＷ管路のノズル等が設けられている。

　また、カバー部材は、先端硬質部材の先端面から、上述した観察窓、照明窓、処置具挿通用管路の先端開口、前方送水管路の先端開口、ＡＷ管路のノズルが露出されるよう先端面を被覆するとともに、被覆後、先端硬質部材の外周面及び先端面に対して接着固定される。

　尚、先端硬質部材にカバー部材を接着固定する際は、カバー部材は、先端硬質部材に位置精度良く取り付けなければならない。これは、先端硬質部材に対して、カバー部材がＸ－Ｙ方向、または先端硬質部材の回転方向にずれて組み付けられてしまうと、カバー部材によって、上述した処置具挿通用管路の先端開口、前方送水管路の先端開口、ＡＷ管路の先端開口の一部が遮られてしまうためである。

　ところが、作業者の感覚でカバー部材を組み付ける手法では、カバー部材を位置精度良く組み付けることは難しいといった問題があった。

　このような問題に鑑み、例えば先端カバーのＡＷ管路のノズルが貫通する開口とＡＷ管路の先端開口とを介して、ＡＷ管路内に位置決めピンを挿入することにより、該位置決めピンによって、先端硬質部材に対するカバー部材の位置決めを精度良く行う手法も周知である。

　また、日本国特開２００７－２０２８３６号公報には、先端硬質部材の先端面から、先端側部位が前方に突出するよう複数の対物レンズを保持する対物レンズ枠が先端硬質部材に固定されており、先端硬質部材にカバー部材を被覆させた際、カバー部材と突出する先端側部位との間に間隙が形成されることによって、間隙が先端硬質部材とカバー部材との寸法誤差を吸収することにより、カバー部材の位置決めを精度良く行う構成が開示されている。

　また、カバー部材と対物レンズ枠の先端側部位との間に間隙が形成されておれば、先端部に対して側方から衝撃が不意に付与されてしまったとしても、間隙により、衝撃力が、カバー部材から該カバー部材が接着された対物レンズ枠を介して観察窓に伝達され難くなるため、観察窓が破損し難くなるといった効果もある。

　しかしながら、位置決めピンを用いる手法では、別途、位置決めピンをＡＷ管路内に挿入する工程が必要となることから、製造工程数が増えてしまうといった問題があった。

　また、日本国特開２００７－２０２８３６号公報に記載の構成では、先端硬質部材にカバー部材を被覆させた際、カバー部材と先端側部位との間に形成される間隙により、各部材の寸法誤差を吸収する構成であることから、単に間隙だけでは、位置精度良く先端硬質部材にカバー部材を被覆させることはできないといった問題があった。

　さらに、先端硬質部材に対してカバー部材の位置がずれて被覆されていると、先端部に対して側方から衝撃が不意に付与されてしまった際、カバー部材と対物レンズ枠の先端側部位との間に間隙が形成されていたとしてもカバー部材が変形しやすくなってしまい、該変形に伴い、観察窓が破損しやすくなってしまうといった問題があった。

　よって、先端硬質部材にカバー部材を被覆するのみで、簡単に先端硬質部材に対してカバー部材を、寸法誤差を吸収して位置精度良く組み付けることのできる構成が望まれていた。

　本発明は、以上の上記事情に鑑みなされたものであり、位置精度良く簡単に先端部本体にカバー部材が組み付けられる先端部の構成を具備する内視鏡を提供することを目的とする。

　本発明の一態様における内視鏡は、被検体内を観察するレンズを保持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に被覆された、前記挿入部の挿入方向の先端側に位置する先端部を構成する、前記挿入方向先端側の先端面に位置決め孔が形成された先端部本体と、前記先端部本体及び前記レンズ枠の外周面、並びに前記先端部本体の前記先端面に、該先端面から前記レンズが露出するよう被覆され、被覆後、前記位置決め孔に嵌入される位置決め部材を有するカバー部材と、を具備し、前記カバー部材と前記レンズ枠の前記外周面との間の第１の間隙は、前記カバー部材と前記先端部本体の前記外周面における嵌合部位との間の第２の間隙よりも大きく設定されており、前記第２の間隙が無くなるよう、前記嵌合部位に前記カバー部材の一部が嵌合され、前記位置決め孔に前記位置決め部材が嵌入されていることにより、前記先端部本体に対して前記カバー部材が位置決めされている。

本実施の形態の内視鏡を示す斜視図図１の挿入部の先端部を図１中のII方向からみた平面図図２中のIII-III線に沿う先端部の断面図図３中のIV線で囲った部位を拡大して示す断面図図３の先端カバーを、図３中のV方向からみた図図５中のVI-VI線に沿う位置決め部材の断面図図３の先端硬質部材のみを、図３中のVII方向からみた図図７中のVIII-VIII線に沿う位置決め孔の断面図図７の位置決め孔を、図７中のIX方向からみた側面図

　以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。

　図１は、本実施の形態の内視鏡を示す斜視図、図２は、図１の挿入部の先端部を図１中のII方向からみた平面図、図３は、図２中のIII-III線に沿う先端部の断面図、図４は、図３中のIV線で囲った部位を拡大して示す断面図である。

　また、図５は、図３の先端カバーを、図３中のV方向からみた図、図６は、図５中のVI-VI線に沿う位置決め部材の断面図、図７は、図３の先端硬質部材のみを、図３中のVII方向からみた図、図８は、図７中のVIII-VIII線に沿う位置決め孔の断面図、図９は、図７の位置決め孔を、図７中のIX方向からみた側面図である。

　図１に示すように、内視鏡１は、被検体内に挿入される挿入部２と、該挿入部２の挿入方向Ｓの基端側（以下、単に基端側と称す）に設けられた操作部６と、該操作部６から延出されたユニバーサルコード７と、該ユニバーサルコード７の延出端に設けられたコネクタ８とを具備して主要部が構成されている。

　尚、コネクタ８が、既知の図示しない光源装置等に接続自在なことにより、内視鏡１は、周辺装置に接続自在となっている。

　挿入部２は、先端側から順に、先端部３と湾曲部４と可撓管部５とを具備して主要部が構成されている。湾曲部４は、操作部６に設けられた湾曲操作ノブ６ｎにより、少なくとも２方向に湾曲操作されるものであり、先端部３と可撓管部５との間に設けられている。

　図２に示すように、先端部３の先端面３ｓに、後述する複数のレンズ４１ａ～４１ｄからなる前側レンズ４１（いずれも図３参照）の内、最も先端側（以下、単に先端側と称す）に位置する、被検体内の観察部位を観察する観察窓４１ａが設けられている。

　また、先端部３の先端面３ｓに、観察部位に向けて液体を供給する前方送水管路８４の先端開口と、処置具挿通用管路２０（図３参照）を構成するチャンネルパイプ２０ｐの先端開口２０ｋと、例えば２つの照明窓８１、８２と、観察窓４１ａに気体または液体を供給することにより、観察窓４１ａに付着した汚れを除去する図示しないＡＷ管路の先端開口に接続されたノズル８３とが設けられている。

　尚、チャンネルパイプ２０ｐの先端開口２０ｋからは、操作部６の吸引操作釦の釦操作により、挿入部２内に操作部６の処置具挿入口６ａ（図１参照）から先端開口２０ｋまで設けられた処置具挿通用管路２０を介して、体腔内の粘液等が選択的に回収される他、処置具挿入口６ａから挿入された各種処置具が、観察部位に向けて突出される。

　照明窓８１、８２は、光源装置に接続されたコネクタ８から、ユニバーサルコード７内、操作部６内及び挿入部２内を介して先端部３内の照明窓８１、８２に近接する位置まで挿通された図示しないライトガイドによって光源装置から供給された照明光を、観察部位に拡開照射するものである。

　図３に示すように、挿入部２の先端部３は、例えば、硬質な金属から形成された先端部本体である先端硬質部材１０を具備しており、図７に示すように、先端硬質部材１０に、挿入方向Ｓに沿って複数の貫通孔１０ｈ１～１０ｈ５が形成されている。

　図２に示すように、貫通孔１０ｈ１には、先端面３ｓから観察窓４１ａが露出されるように、撮像ユニット２００が挿通されている。尚、図２～図４に示すように、先端硬質部材１０には、先端面１０ｓにおける貫通孔１０ｈ１の外周を囲む位置において、先端面１０ｓよりも前方にＬ字状に突出する突出部１０ｔが形成されている。

　また、２つの貫通孔１０ｈ２には、先端面３ｓから２つの照明窓８１、８２が露出されるように、２つの照明窓８１、８２と、各照明窓８１、８２に照明光を供給する上述したライトガイドが挿通されている。

　さらに、貫通孔１０ｈ３には、上述したＡＷ管路が挿通されており、貫通孔１０ｈ４には、前方送水管路８４が挿通されており、また、貫通孔１０ｈ５には、処置具挿通用管路２０が挿通されている。

　図３に示すように、処置具挿通用管路２０は、先端硬質部材１０の貫通孔１０ｈ５に挿通されたチャンネルパイプ２０ｐと、該チャンネルパイプ２０ｐの基端側の外周に、糸巻き等により先端側が嵌合固定された柔軟なチューブ２１とから主要部が構成されている。処置具挿通用管路２０は、チャンネルパイプ２０ｐ及びチューブ２１の内部の空間に、処置具が挿通自在であるとともに吸引された液体や固体が通過可能な通路が形成されている。尚、処置具挿通用管路２０の基端は、操作部６の処置具挿入口６ａ（図１参照）において開口されている。

　前方送水管路８４、ＡＷ管路は、挿入部２、操作部６及びユニバーサルコード７内に挿通されており、各管路の基端は、コネクタ８に設けられた図示しない口金に接続されている。

　図３に示すように、撮像ユニット２００において、複数のレンズ４１ａ～４１ｄから構成された前側レンズ４１を保持する前側レンズ枠３１の挿入方向Ｓの略半部に形成された段部３１ｄ２の外周に、後側レンズ枠３５の先端側が固定されている。尚、後側レンズ枠３５の先端側の外周には、枠体３９が嵌合されている。

　また、前側レンズ枠３１は、貫通孔１０ｈ１内において、先端側が先端硬質部材１０の先端面１０ｓや突出部１０ｔよりも挿入方向Ｓの前方（以下、単に前方と称す）に突出するよう固定されている。

　尚、前側レンズ枠３１の外周において、段部３１ｄ２よりも前方であって、先端面１０ｓよりも前方に突出した部位の一部には、図４に示すように段部３１ｄ１が形成されている。また、図３に示すように、前側レンズ枠３１の段部３１ｄ１よりも先端側に突出した部位３１ｔの内周に、観察窓４１ａが固定されている。また、段部３１ｄ１の外周に、先端硬質部材１０の先端面１０ｓから前方にＬ字状に突出した上述した突出部１０ｔが嵌合されている。

　後側レンズ枠３５の内周において、前側レンズ４１のレンズ４１ｄよりも挿入方向Ｓの後方（以下、単に後方と称す）に、移動レンズ４４を保持する移動レンズ枠３４が嵌入されている。

　移動レンズ枠３４は、該移動レンズ枠３４の脚部３４ａに先端が接続された移動部材であるシャフト部材７０によって、後側レンズ枠３５内において、挿入方向Ｓに平行な光軸方向の前後に移動自在な構成を有している。

　具体的には、シャフト部材７０の先端は、脚部３４ａにおいて挿入方向Ｓに沿って形成されたネジ孔３４ａｋに対してネジ固定された後、接着されており、基端は、挿入部２、操作部６内に挿通された牽引ワイヤ７１の先端に接続されている。

　尚、シャフト部材７０は、牽引ワイヤ７１よりも大径であってかつ剛性を有するよう構成されている。また、脚部３４ａに対するシャフト部材７０の先端の固定はネジ固定に限定されず、例えば接着剤を用いた固定であっても構わない。

　また、シャフト部材７０は、貫通孔１０ｈ１内において挿入方向Ｓに沿って延在されたパイプ部材６３内に、シャフト部材７０とパイプ部材６３との間の間隙が小さくなるよう挿通されている。

　尚、組立の際、シャフト部材７０は、枠体３９のシャフト部材に対向する部位に設けられた蓋体６０が開成されることにより、先端側から脚部３４ａのネジ孔３４ａｋにネジ固定される。

　牽引ワイヤ７１は、操作部６に設けられた図示しないズームレバー６ｚ（図１参照）の操作によって牽引弛緩される。その結果、牽引ワイヤ７１の先端に固定されたシャフト部材７０も、牽引ワイヤ７１を介してズームレバー６ｚの操作によって牽引弛緩される。この牽引弛緩により、シャフト部材７０の先端が脚部３４ａにネジ固定された移動レンズ枠３４に保持された移動レンズ４４が、図３に示すように、位置Ｌ１と位置Ｌ２の間において、光軸方向の前後に移動する。

　尚、位置Ｌ１は、脚部３４ａが枠体３９に当接することにより規定され、位置Ｌ２は、脚部３４ａが、パイプ部材６３の先端６３ｓに当接することにより規定される。

　また、シャフト部材７０は、上述したように、牽引ワイヤ７１よりも大径であってかつ剛性を有するよう構成されている。このことから、牽引ワイヤ７１のみにより脚部３４ａを牽引弛緩する場合と違って、シャフト部材７０を押し進めて移動レンズ４４を位置Ｌ１に移動させたとしても、シャフト部材７０が撓んでしまうことがない。

　これは、牽引ワイヤ７１のみにより脚部３４ａを牽引弛緩する場合、牽引ワイヤ７１を押し進めて、移動レンズ４４を位置Ｌ１に移動させた際、牽引ワイヤ７１が脚部３４ａとパイプ部材６３の先端６３ｓとの間から撓んだ状態で移動レンズ枠３４側に飛び出してしまい、移動レンズ枠３４を傾けてしまうといった問題があった。

　ところが、移動レンズ４４の移動に大径であってかつ剛性を有するシャフト部材７０を用いれば、移動レンズ４４を位置Ｌ１まで押し進めても、シャフト部材７０が撓んでしまうことがないため、移動レンズ枠３４が傾いてしまうことはない。

　また、上述したように、シャフト部材７０は、パイプ部材６３内において、シャフト部材７０とパイプ部材６３との間の間隙が小さくなるよう挿通されている。このことから、牽引ワイヤ７１の牽引弛緩に伴い、ガタ付きなく、パイプ部材６３内をスムーズに前後に移動するため、シャフト部材７０の前後移動に伴い、移動レンズ枠３４が傾いてしまうことがない。

　これは、パイプ部材６３内において、シャフト部材７０とパイプ部材６３との間に大きな間隙が形成されていると、シャフト部材７０を前後に移動させた際、シャフト部材７０がパイプ部材６３内において傾いてしまい、その結果、移動レンズ枠３４が傾いてしまう可能性があるためである。

　また、後側レンズ枠３５の内周において、移動レンズ４４よりも後方に、複数のレンズから構成された後側レンズ４５が固定されている。

　さらに、後側レンズ枠３５の基端側の内周において、後側レンズ４５よりも後方に、先端側から順に、レンズ４６、カバーガラス４７を保持する素子枠３６の先端側が嵌入固定されている。尚、素子枠３６の基端側の外周には、シールド材５５の先端側が固定されている。

　さらに、素子枠３６の外周には、素子枠３６の挿入方向Ｓに沿った後半部及びシールド材５５の外周を覆う熱収縮チューブ５６の先端側が固定されている。熱収縮チューブ５６の基端側は、保護チューブ５２の先端側の外周に固定されている。尚、保護チューブ５２は、信号ケーブル５１の外周を被覆して信号ケーブル５１を保護している。

　ＣＣＤ等の撮像素子４９は、シールド材５５及び熱収縮チューブ５６によって閉塞された気密な空間に、熱可塑性樹脂５７とともに配設されている。

　撮像素子４９の撮像面には、該撮像面を保護するカバーガラス４８が貼着されており、カバーガラス４８の先端側の面に、カバーガラス４７が貼着されている。

　尚、上述したように、カバーガラス４７は、外周が素子枠３６の内周に固定されている。その結果、カバーガラス４８、撮像素子４９は、カバーガラス４７を介して素子枠３６に固定されている。

　撮像素子４９の背面には、複数の電子部品が搭載された基板５０が設けられており、該基板５０に、信号ケーブル５１の先端から延出した複数のリード線５３が電気的に接続されている。

　信号ケーブル５１は、先端部３から挿入部２内、操作部６内及びユニバーサルコード７内を介して、コネクタ８内の電気接点部まで挿通されている。信号ケーブル５１は、撮像素子４９によって撮像された観察部位の像の電気信号を、上述した光源装置に電気的に接続された図示しないビデオプロセッサへと伝達するものである。

　また、図７に示すように、先端硬質部材１０の先端面１０ｓに、後述するカバー部材１５のリブ９０が嵌入される位置決め孔１００が形成されている。尚、位置決め孔１００の構成は、後述する。

　図３に戻って、先端硬質部材１０の挿入方向Ｓの外周面１０ｇ２における基端側には、円環状の湾曲管１２の先端側が固定されている。さらに、外周面１０ｇ２の後半部には、先端部３、湾曲部４、可撓管部５の外表面を構成する外皮１１の先端側が、補強管１２の先端側を覆うように、例えば糸巻き接着等により固定されている。

　また、先端硬質部材１０の外周面１０ｇ２における外皮１１よりも先端側と、突出部１０ｔの嵌合部位Ｋである外周面１０ｇ１（図４参照）と、先端面１０ｓと、突出部１０ｔの先端面１０ｔｓ（図４参照）と、前側レンズ枠３１の突出部１０ｔが嵌合された段部３１ｄ１よりも先端側の部位３１ｔの外周には、図２に示すように、観察窓４１ａと、２つの照明窓８１、８２と、ノズル８３と、前方送水管路８４の先端開口と、チャンネルパイプ２０ｐの先端開口２０ｋとが先端面３ｓから露出されるよう、例えば樹脂から形成されたカバー部材１５が被覆されて、接着剤等によって固定されている。

　尚、被覆後、図４に示すように、前側レンズ枠３１の段部３１ｄ１よりも先端側部位３１ｔの外周面３１ｇと、カバー部材１５との間の第１の間隙ａ１は、先端硬質部材１０の突出部１０ｔの外周面１０ｇ１と、カバー部材１５の段部１５ｄとの間の第２の間隙ａ２よりも大きくなるよう設定されている（ａ１＞ａ２）。

　これは、図３、図４に示すように、カバー部材１５は、被覆後、第２の間隙ａ２が無くなるよう、突出部１０ｔの外周面１０ｇ１にカバー部材１５の段部１５ｄが嵌合され、該嵌合により先端硬質部材１０に対してカバー部材１５が位置決めされる。ここで、第１の間隙ａ１が第２の間隙ａ２よりも大きく形成されていることにより、外周面１０ｇ１または該外周面１０ｇ１に嵌合するカバー部材１５の段部１５ｄに寸法誤差が生じていたとしても、該誤差を、第１の間隙ａ１が、所定公差内に吸収するためである。

　即ち、逆に、第１の間隙ａ１が、第２の間隙ａ２よりも小さく形成されていると、前側レンズ枠３１の先端側部位３１ｔの外周面３１ｇと、カバー部材１５とが嵌合されてしまって、該位置にて位置決めがなされてしまうことから、カバー部材１５の組み付け位置に誤差が発生してしまうためである。

　尚、突出部１０ｔの外周面１０ｇ１と、該外周面１０ｇ１に嵌合されるカバー部材１５の段部１５ｄとは位置決めに利用されるため、高い寸法精度にて形成されている。

　反面、カバー部材１５の先端側部位３１ｔの外周面３１ｇに対向する部位を形成する際は、第１の間隙ａ１を確保するため、精密な寸法精度を必要としない。

　また、第１の間隙ａ１と同様の理由により、先端硬質部材１０の外周面１０ｇ２とカバー部材１５との間の第３の間隙ａ３も、第２の間隙ａ２よりも大きくなるよう形成されている（ａ３＞ａ２）。尚、第１の間隙ａ１、第３の間隙ａ３には、カバー部材１５の組み付け後、接着剤が注入されている。

　さらに、第１の間隙ａ１が形成されていることにより、先端部３に対して、不意に側方から衝撃力が付与されてしまった際、カバー部材１５に付与された力は、第１間隙ａ１によって、前側レンズ枠３１に直接伝達されないことから、観察窓４１ａが破損してしまうことを防止することができる。

　ここで、図５に示すように、カバー部材１５における先端硬質部材１０の先端面１０ｓを覆う面１５ａの内面１５ａｎの一部と、先端硬質部材１０の外周面１０ｇ２を覆う面１５ｂの内面１５ｂｎの一部とにおいて、図６に示すように、内面１５ａｎと内面１５ｂｎとを繋ぐように、一定面積を具備する傾斜面９０ｋを有する、位置決め部材である三角柱状のリブ９０が形成されている。

　尚、リブ９０は、内面１５ａｎ及び内面１５ｂｎに対して、一体的に形成されていても構わないし、別体に形成されていても構わない。また、リブ９０を、内面１５ａｎ及び内面１５ｂｎに対して一体的に形成する場合、リブ９０は、内面１５ａｎと内面１５ｂｎとを繋ぐよう形成されることから、カバー部材１５を構成する樹脂の流動性も良いため、リブ９０を容易に形成することができる。

　また、位置決め部材は、リブ９０に限らず、カバー部材１５に形成されたピン状の部材であっても構わないが、カバー部材は、樹脂から形成されているとともに、ピンは小径であって細長い形状を有するため、カバー部材１５に一体的にピンを成形する際、樹脂がうまく流れず、精度良く形成することができないことから、位置決め部材をピンとすることは好ましくない。尚、位置決め部材をピンによって形成する場合には、先端面１０ｓには、ピンが嵌入される孔が形成される。

　リブ９０は、先端硬質部材１０に対してカバー部材１５を被覆した後、先端硬質部材１０の先端面１０ｓに形成された位置決め孔１００（図７参照）に対して、図８に示すように、矢印Ｑの方向から嵌入される。

　位置決め孔１００は、リブ９０に対向する位置において、先端面１０ｓと外周面１０ｇ２との間において、リブ９０の形状に沿って、リブ９０と同じ大きさに形成されている。

　詳しくは、図８に示すように、リブ９０の側面（不図示）が面接触するよう、内側面１００ｎが形成されて形成されている。尚、位置決め孔１００にリブ９０が嵌合後、リブ９０は、外周面１０ｇ２の一部を構成する。

　また、位置決め孔１００には、図８、図９に示すように、位置決め孔１００にリブ９０が嵌入しやすくなるよう、面取り部１００ｍが形成されている。

　位置決め孔１００にリブ９０が嵌入されるとともに、上述したように、先端硬質部材１０の突出部１０ｔの外周面１０ｇ１にカバー部材１５の一部が嵌合されることにより、先端硬質部材１０に対するカバー部材１５の精度の良い位置決めがなされる。

　尚、この際、リブ９０の一定面積を有する側面（不図示）が、位置決め孔１００の内側面１００ｎに面接触するため、ピンを用いる場合よりも接触面積が大きくなることから、より、精度良くカバー部材１５の位置決めを行うことができる。

　このように、本実施の形態においては、前側レンズ枠３１の先端側部位３１ｔの外周面３１ｇと、カバー部材１５との間の第１の間隙ａ１は、先端硬質部材１０の突出部１０ｔの外周面１０ｇ１と、カバー部材１５の段部１５ｄとの間の第２の間隙ａ２よりも大きくなるよう設定されている（ａ１＞ａ２）と示した。

　このことによれば、カバー部材１５を被覆した後、第２の間隙ａ２が無くなるよう、突出部１０ｔの外周面１０ｇ１にカバー部材１５の段部１５ｄが嵌合されることにより、先端硬質部材１０に対してカバー部材１５を位置決めした際、第１の間隙ａ１が第２の間隙ａ２よりも大きく形成されていることから、外周面１０ｇ１または該外周面１０ｇ１に嵌合するカバー部材１５の段部１５ｄに寸法誤差が生じていたとしても、該誤差を、第１の間隙ａ１が所定公差内に吸収するため、カバー部材１５を、ずれ無く位置精度良く被覆することができる。

　また、本実施の形態においては、先端硬質部材１０の突出部１０ｔの外周面１０ｇ１にカバー部材１５の段部１５ｄが嵌合することに加え、先端硬質部材１０にカバー部材１５を被覆した後、先端硬質部材１０の先端面１０ｓに形成された位置決め孔１００にカバー部材１５に形成されたリブ９０が嵌入することにより、先端硬質部材１０に対してカバー部材１５が位置決めされると示した。

　このことによれば、突出部１０ｔの外周面１０ｇ１に加え、リブ９０により先端硬質部材１０のＸ－Ｙ方向及び回転方向に、カバー部材１５の位置が精度良く規定される。このことから、先端硬質部材１０の突出部１０ｔの外周面１０ｇ１にカバー部材１５の段部１５ｄが嵌合されるのみの構成よりもよりも、位置精度良くカバー部材１５を被覆させることができる。

　さらに、単に、先端硬質部材１０にカバー部材１５を被覆するのみの簡単な工程により、先端硬質部材１０に対してカバー部材１５を位置精度良く被覆することができる。よって、先端硬質部材１０にカバー部材１５を被覆後のガタ付きを、所望の組立精度を満足する範囲に抑えることができる。

　以上から、位置精度良く簡単に先端硬質部材１０にカバー部材１５が組み付けられる先端部３の構成を具備する内視鏡１を提供することができる。

　尚、上述した本実施の形態においては、先端部３内に、複数のレンズ４１、４４、４５、４６が設けられた構成を示したが、この構成に限定されないことは勿論である。即ち、レンズが１つのみ設けられた構成に適用しても構わないし、移動レンズ４４を有さない構成に適用しても構わないということは云うまでもない。

　また、上述した本実施の形態においては、先端部３内に、撮像素子４９が設けられた電子内視鏡を例に挙げて示したが、電子内視鏡の構成に限定されないことも勿論である。

　さらに、上述した本実施の形態においては、貫通孔１０ｈ２に、ライトガイドと照明窓８１、８２が設けられた構成を示したが、これに限らず、ライトガイドを用いずに、先端部３の先端面３ｓにＬＥＤ等の発光素子が設けられた構成であっても構わないということは云うまでもない。

　［付記］
　以上詳述した如く、本発明の実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
　（１）被写体を観察する対物レンズ群における少なくとも１つのレンズが、前記対物レンズ群の光軸方向に対して前後に移動自在な移動レンズを構成することにより、前記対物レンズ群の観察倍率を可変できる内視鏡において、
　前記移動レンズを保持する移動レンズ枠と、
　前記移動レンズ枠を前記光軸方向の前後に移動させる移動部材と、
　を具備し、
　前記移動部材は、ワイヤの牽引弛緩に伴い前記光軸方向の前後に移動自在なシャフト部材であり、該シャフト部材は、前記ワイヤよりも大径であって前記ワイヤよりも剛性を有することを特徴とする内視鏡。

　（２）前記シャフト部材の先端は、前記移動レンズ枠から延出された脚部にネジ固定されていることを特徴とする付記１に記載の内視鏡。

　（３）前記シャフト部材の基端に前記ワイヤの先端が接続されていることを特徴とする付記１または２に記載の内視鏡。

　（４）前記シャフトは、前記光軸方向に沿ったパイプ部材内に挿通されており、該パイプ部材内において前記光軸方向の前後に移動自在となっていることを特徴とする付記１～３のいずれか１項に記載の内視鏡。

　ところで、近年、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。内視鏡は、細長い挿入部を被検体内に挿入することによって、被検体内を観察することができる。

　また、内視鏡、例えば電子内視鏡の挿入部における挿入方向先端側の先端部内には、被検体内を観察する用の複数の対物レンズからなる対物光学系及びＣＣＤ等の固体撮像素子から構成された撮像ユニットが設けられているのが一般的であり、電子内視鏡は、固体撮像素子により、対物光学系によって結像された被検体内の観察部位の像が撮像される構成になっている。

　さらに、対物光学系における複数の対物レンズ群の内、少なくとも１つのレンズを、対物光学系の光軸方向に対して移動自在な移動レンズとすることにより、移動レンズを光軸方向に移動させて、対物光学系の観察部位に対する焦点深度や、結像倍率、視野角等の光学特性を可変できる、例えば１倍～１００倍までの観察部位の表面に対する通常観察～拡大観察までが可能な構成を具備するズーム内視鏡も周知である。

　ズーム内視鏡を用いて観察を行えば、例えば医療用の内視鏡であれば、体腔内の観察部位における粘膜や毛細血管の構造等の観察を行うことができる。

　ここで、上述したような移動レンズを光軸方向に移動させる機構は、種々提案されている。

　例えば日本国特開２０００－２９２７１２号公報には、内視鏡が、移動レンズを保持するレンズ枠と、該レンズ枠から移動レンズの径方向外側に突出して形成された脚部と、該脚部に光軸方向の先端が固定されるとともに基端が内視鏡の操作部に設けられた焦点調整レバー（以下、ズームレバーと称す）に固定されたワイヤとを具備することにより、ズームレバーの操作に応じて、ワイヤを牽引弛緩してレンズ枠、即ち移動レンズを光軸方向に移動させる構成が開示されている。

　尚、ワイヤは、パイプ部材内に挿通されており、パイプ部材の先端に脚部が当接することにより、移動レンズの最も後方の移動位置が規定される構成となっている。

　しかしながら、日本国特開２０００－２９２７１２号に開示された構成においては、ワイヤを押し進めて、移動レンズを最も前方の移動位置へと移動させた際、ワイヤは小径かつ柔軟に形成されていることから、前方に移動した脚部とパイプ部材との間の空間からワイヤが撓んだ状態で飛び出してしまう結果、レンズ枠が傾いてしまう。

　よって、この状態で、移動レンズを後方に移動させるためワイヤを牽引すると、傾いてしまったレンズ枠が、該レンズ枠を移動自在に保持する枠体内で動きづらくなることがあることから、レンズ枠の移動性が低下してしまうといった問題があった。

　本付記は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ワイヤを用いて移動レンズを保持するレンズ枠を前後に移動させる構成において、レンズ枠の移動性の低下を防ぐことのできる構成を具備する内視鏡を提供することにある。

　本出願は、２０１０年８月２日に日本国に出願された特願２０１０－１７３８６３号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。

Claims

　被検体内に挿入される挿入部と、
　前記被検体内を観察するレンズを保持する、挿入部の挿入方向の先端側に位置する先端部内に設けられたレンズ枠と、
　前記レンズ枠の外周に被覆された、前記先端部を構成する、前記挿入方向先端側の先端面に位置決め孔が形成された先端部本体と、
　前記先端部本体及び前記レンズ枠の外周に被覆されるとともに、前記先端部本体の前記先端面に該先端面から前記レンズが露出するよう被覆される、被覆後、前記位置決め孔に嵌入される位置決め部材を有するカバー部材と、
　を具備し、
　前記カバー部材と前記レンズ枠の外周面との間の第１の間隙は、前記カバー部材と前記先端部本体の外周面における嵌合部位との間の第２の間隙よりも大きく設定されており、
　前記第２の間隙が無くなるよう、前記嵌合部位に前記カバー部材の一部が嵌合され、前記位置決め孔に前記位置決め部材が嵌入されていることにより、前記先端部本体に対して前記カバー部材が位置決めされて被覆されている内視鏡。
　前記レンズ枠の前記挿入方向の先端側は、前記先端部本体の前記先端面より前記挿入方向の前方に突出して位置しており、
　前記レンズ枠の突出した部位の外周に、前記カバー部材が前記第１の間隔を有して被覆されている請求項１に記載の内視鏡。
　前記レンズ枠の前記突出した部位の外周の一部に、段部が形成されており、該段部に、前記先端部本体の前記先端面より前記前方に突出した突出部が嵌合されており、
　前記突出部の外周面に、前記嵌合部位が構成されている請求項２に記載の内視鏡。
　前記位置決め部材は、前記カバー部材の内面において、前記カバー部材における前記先端部本体の前記先端面を覆う面と、前記先端部本体の前記外周面を覆う面とを繋ぐよう設けられた傾斜面を有するリブである請求項１～３のいずれか１項に記載の内視鏡。
　前記リブは、前記カバー部材に一体的に形成されている請求項４に記載の内視鏡。
　前記先端部本体の前記外周面において、前記嵌合部位を除く部位と、前記カバー部材との間の第３の間隙は、第２の間隙よりも大きく設定されている請求項１～５のいずれか１項に記載の内視鏡。