WO2008038671A1 - procÉdÉ de fabrication de lames de verre - Google Patents
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Description
明 細 書
ガラス条の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、厚肉板状の母材ガラス板を加熱延伸して薄肉棒状のガラス条を製造す るガラス条の製造方法に関するものである。
背景技術
[0002] 従来から、半導体素子の基板、電界効果型のフラットパネルディスプレイに用いる スぺーサゃ磁気ディスク基板等に使用されるガラス板は、平坦度、表面粗さを良くす ること力^!重要である。し力もながら、現状ガラス板の製法として一般的に用いられて いるフロート法や成型法では、厚さの薄いガラス板を製造する場合、でき上がるガラ ス板の平坦度が悪いため、上記用途に適応した平坦度に仕上げるために、ガラス板 の表面の相当な量を研肖!ト研磨しなければならなかった。このため、研削後のガラス 板は、その表面粗さが非常に悪くなつてしまうという問題がある。
[0003] この問題を解決するため、研削後のガラス板に対して 2回のポリッシュを行うのが一 般的であり、表面粗さを、 1次ポリッシュ後に 0. 5nm、 2次ポリッシュ後に 0. Inm程度 としている。さらに、次世代には、一層精度の高いものが要求されてくることから、これ に加えてさらに 3次ポリッシュが必要になってくると予想される。したがって、研削'研 磨のみによってガラス板の平坦度を上げようとすると、研肖 IJ ·研磨の時間と労力とがか かり、結果的に、設備コストがかかってしまう。
[0004] そこで、所定の厚みを有して且つ表面粗さを良くした母材ガラス板を用いて、これを 加熱軟化させ、軟化した状態のガラス板に延伸することによって、所望の厚さの薄ガ ラス板を作製する方法が考案されてレ、る(特許文献;!〜 3参照)。
[0005] 特許文献 1:特開平 11 199255号公報
特許文献 2:特開平 8— 183627号公報
特許文献 3:特開 2004— 67393号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] しかしながら、たとえば母材ガラス板を加熱軟化させて延伸し、厚さが 0. 7mm以下 の薄いガラス条を成形する場合、ガラス条が弓状に反り易ぐ平坦度が悪化してしまう という問題点があった。
[0007] 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、母材ガラス板を加熱炉内で加熱し て軟化させて所望の厚さに延伸してガラス条を成形する場合に、反りの発生を抑制し 、平坦度の優れた薄肉棒状のガラス条を製造することができるガラス条の製造方法を 提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0008] 上述した課題を解決し、 目的を達成するために、本発明に係るガラス条の製造方 法は、母材ガラス板を加熱炉内で加熱して軟化させ、所望の厚さに延伸してガラス条 を成形する加熱延伸工程を含み、前記母材ガラス板は、該母材ガラス板を透過する 間に吸収される輻射熱が該母材ガラス板内において局所的に蓄熱する前に拡散す る程度の透過率を有することを特徴とする。
[0009] また、本発明に係るガラス条の製造方法は、上記の発明にお!/、て、前記母材ガラス 板は、波長 800nm〜2200nmにおける透過率の最小値が厚さ 3mmにおいて 86% 〜95%であることを特徴とする。
[0010] また、本発明に係るガラス条の製造方法は、上記の発明にお!/、て、前記母材ガラス 板は、断面アスペクト比が 50以上であることを特徴とする。
[0011] また、本発明に係るガラス条の製造方法は、上記の発明において、前記加熱延伸 工程は、前記ガラス条の厚さが 0. 7mm以下になるように延伸することを特徴とする。 発明の効果
[0012] 本発明によれば、母材ガラス板力 吸収される輻射熱が母材ガラス板内において 局所的に蓄熱する前に拡散する程度の透過率を有することにより、母材ガラス板内 で温度むらが発生しにくぐガラスの熱膨張量のむらが小さいため、ガラス条の反りを 抑制でき、平坦度の優れたガラス条を製造できるとレ、う効果を奏する。
図面の簡単な説明
[0013] [図 1]図 1は、本発明の実施の形態に係るガラス条の製造方法に用いる加熱延伸装 置の斜視図である。
[図 2]図 2は、図 1に示す加熱炉の平面図および断面図である。
[図 3]図 3は、実施例;!〜 3および比較例 1、 2に係る母材ガラス板の透過率のスぺタト ルを示す図である。
[図 4]図 4は、反り量について説明するための説明図である。
[図 5]図 5は、実施例;!〜 6、比較例 1〜3について、用いた母材ガラス板および製造 したガラス条の諸特性を示す図である。
[図 6]図 6は、母材ガラス板の透過率とガラス条の反り量との関係を示す図である。 符号の説明
[0014] 1 母材ガラス板
5 ガイドロール
7 外形測定器
8 保護膜被覆装置
9 テンション測定器
10 加熱炉
11 ガラス条
11a 反り量
l ib 単位長さ
11c 厚さ方向の中心線
13、 14 フィードバック経路
15a~ 15c ヒータ
16 炉体
17 炉心管
20 母材送り機構
21 カッター
30 引き取り機構
50 加熱延伸装置
発明を実施するための最良の形態
[0015] 以下に、図面を参照して本発明に係るガラス条の製造方法の実施の形態を詳細に
説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[0016] (実施の形態)
図 1は、本発明の実施の形態に係るガラス条の製造方法に用いる加熱延伸装置の 斜視図である。図 1に示すように、加熱延伸装置 50は、母材ガラス板 1を加熱する電 気抵抗炉である加熱炉 10と、この加熱炉 10に母材ガラス板 1を送り込む母材送り機 構 20と、この加熱炉 10からガラス条 11を引き出す引き取り機構 30とを有している。 加熱炉 10には、母材ガラス板 1を加熱する加熱手段として、複数のヒータが設けられ る。また、加熱炉 10の下部には、ガラス条 11の外形を測定するための外形測定器 7 、ガラス条 11の表面に保護膜を形成する保護膜被覆装置 8、ガラス条 11を引き取る テンションを測定するテンション測定器 9、ガラス条 11のよじれを防止するガイドロー ノレ 5が設けられる。また、引き取り機構 30の下部には、ガラス条の表面に溝を形刻し て、所定の長さに折るためのカッター 21が設けられる。外形測定器 7の計測した計測 値は、フィードバック経路 13を経由して母材送り機構 20にフィードバックされる。母材 送り機構 20は、このフィードバック値に基づいて母材送り速度をコントロールする。ま た、この計測値は、フィードバック経路 14を経由して引き取り機構 30にもフィードバッ クされる。引き取り機構 30は、このフィードバック値に基づいて引き出し速度をコント口 一ノレする。
[0017] 図 2は、図 1に示す加熱炉 10の平面図および断面図である。図 2に示すように、炉 体 16の内部において、母材ガラス板 1の周囲は矩形の炉心管 17で囲まれ、炉心管 1 7の外側には複数のヒータ 15a〜15cが母材ガラス板 1の両側に設置されている。ヒ ータとしては、例えばカーボン抵抗発熱体を用いることができる。また、ヒータが腐食 しな!/、ように、ヒータの周囲を不活性ガスで保護することが好まし!/、。
[0018] 本実施の形態に係るガラス条の製造方法では、加熱延伸装置 50に母材ガラス板 1 をセットし、ヒータ 15a〜; 15cに通電する。すると、ヒータ 15a〜; 15cから輻射熱が放出 され、この輻射熱が母材ガラス板 1を透過する間に一部が吸収されることによって母 材ガラス板 1が加熱する。母材ガラス板 1は軟化点以上の温度に加熱すると軟化して 溶け始め、その幅が収縮して所望の厚さに延伸される。この加熱延伸工程によって、 所望の厚さと幅とを有するガラス条 11が形成される。
[0019] そして母材ガラス板 1は、母材ガラス板 1に吸収された輻射熱が母材ガラス板 1内に おいて局所的に蓄熱する前に拡散する程度の透過率を有する。その結果、母材ガラ ス板 1が吸収する輻射熱の量が制限され、吸収した輻射熱が局所的にガラスの温度 を上昇させるよりも速く母材ガラス板内に拡散するので、母材ガラス板内で熱が局所 的に蓄熱して温度むらが発生しにくい。その結果、母材ガラス板内でのガラスの熱膨 張量にもむらが発生しにくいので、ガラス条の反りが抑制される。
[0020] なお、加熱延伸装置 50のように矩形の加熱炉を用いてガラス条を製造する場合、ヒ ータから放出される輻射熱量に関して母材ガラス板の表側と裏側とで差が生じること がある。しかし、本実施の形態に係る母材ガラス板は、上記の輻射熱量の差が発生し ても母材ガラス板の表側と裏側とで温度差が発生しにくぐガラス条の反りが抑制され
[0021] また、母材ガラス板の波長 800nm〜2200nmにおける透過率の最小値が厚さ 3m mにおいて 86%以上であれば、母材ガラス板が吸収した上記波長範囲内の赤外線 が局所的に温度を上昇させるよりも速く母材ガラス板内に拡散するので、ガラス条の 反りが確実に抑制される。
[0022] ただし、母材ガラス板の上記波長範囲における透過率が高すぎる場合、ヒータの熱 輻射による加熱が少なくなり、加熱炉内の雰囲気ガス等から母材ガラス板への熱伝 導による加熱が相対的に大きな量となる。しかし、この伝導加熱は、輻射加熱と比較 して空間分布を一様にすることが難しい。その結果、伝導加熱の割合が大きくなると 母材ガラス板内での温度むらが大きくなり、反り等が発生して安定した形状を保った まま延伸加工を行うことが難しくなる。したがって、輻射加熱を所定の割合以上に保 つために上記波長範囲における透過率の最小値は 95%以下であることが好ましい。
[0023] (実施例;!〜 6、比較例;!〜 3)
本発明の実施例 1として、ホウ珪酸ガラス(ショット社製テンパックス フロート (登録 商標))からなる、幅 308mm、厚さ 2. 8mm、長さ約 1. 15m、断面アスペクト比 1 10 の母材ガラス板を用意した。なお、断面アスペクト比とは、ガラス板の断面における幅 と厚さとの比である。図 3は実施例 1および後述する実施例 2、 3ならびに比較例 1、 2 に係る母材ガラス板の透過率のスペクトルを示す図である。図 3に示すように、実施
例 1に係る母材ガラス板の波長 800nm〜2200nmにおける透過率の最小値は厚さ 3mmにおいて 92%であった。そして、図 1に示す加熱延伸装置を用いて上記の母 材ガラス板を加熱延伸してガラス条を製造した。
[0024] なお、本実施例 1では、加熱延伸装置の加熱炉に設置するヒータとして、長さ 620 mm、幅 256mmのカーボンヒータを使用し、これらのヒータを図 2に示す酉己置でヒー タ中心線の距離が互いに 277mmとなるように設置した。ヒータ温度は、中央に配置 したヒータについては 900°C、両端に配置したヒータについては 1100°Cとした。この ようにヒータの温度設定をすることによって母材ガラス板が幅方向に凹型の温度分布 を有するように加熱され、その結果ガラス条の幅方向の厚さが均一になる。また、延 伸条件としては、引き出し速度を 4mm/minとし、延伸後のガラス条を幅 42mm、厚 さ 0. 4mm、断面アスペクト比 105とした。このようにガラス条の断面アスペクト比が 50 以上であるか、または、厚さが 0. 7mm以下である場合、あるいはその両方である場 合には、わずかな反りであっても全体の形状に与える影響が大きいため、本発明の 平坦度を改善するという効果がより顕著なものとなる。
[0025] つぎに、上記のように製造したガラス条の反りについて反り量を指標として評価した 。図 4は、反り量について説明するための説明図であり、加熱延伸したガラス条 11を 所望の形状に加工したガラス基板の断面を示す図である。反り量 11aは、ガラス条 1 1を必要な面積の基板として切り取った後、その基板を水平面上に置いた時、基板 面状の任意の単位長さ l ibだけ離れた二点間でのガラス条の厚さ方向の中心線 11 cの垂直方向における最高点と最低点の差を指す。なお、反り量の測定は表面性状 測定機(ミツトヨ製 CS5000)にて行い、上述の二点間の距離は 20mmとした。
[0026] 上記測定を行ったところ、実施例 1に係るガラス条は反り量が 1. 5 mであり、極め て平坦度の優れたガラス条が製造できたことが確認された。
[0027] 一方、比較例 1として、アルミノシリケート系ガラスからなる、幅 308mm、厚さ 2· 8m m、長さ約 1. 15m、断面アスペクト比 110の母材ガラス板を用意した。図 3に示すよう に、比較例 1に係る母材ガラス板の波長 800nm〜2200nmにおける透過率の最小 値は厚さ 3mmにおいて 80%であった。そして、実施例 1と同様にガラス条を製造し たところ、製造したガラス条はその断面が凸状となり、反り量は 15 inと極めて大きか
つた。
[0028] さらに、実施例 2〜6、比較例 2、 3として、異なる特性の母材ガラス板を用いて実施 例 1および比較例 1と同様にガラス条を製造した。なお、ヒータ温度は、各ガラス種の 軟化点に対応した温度に設定し、実施例 1および比較例 1と同様に母材ガラス板が 幅方向に凹型の温度分布を有するように加熱した。
[0029] 図 5は実施例;!〜 6、比較例 1〜3について、用いた母材ガラス板および製造したガ ラス条の諸特性を示す図である。一方、図 6は、母材ガラス板の透過率とガラス条の 反り量との関係を示す図である。図 5、 6に示すように、実施例;!〜 6に係る母材ガラス 板は、波長 800nm〜2200nmにおける透過率の最小値が厚さ 3mmにおいて 86 % 〜92 %であるため、製造したガラス条の反り量は 3· 0 m以下と良好であった。一方 、比較例;!〜 3に係る母材ガラス板は、上記波長範囲における透過率の最小値が 70 %〜80 %であるため、製造したガラス条の反り量は 15 m以上であり極めて大きか つた。
[0030] 特に、実施例 4、 5の場合は、母材ガラス板の熱膨張係数が 100 X 10— 7/°Cと高い にもかかわらず、これより熱膨張係数が低い比較例 1〜3の場合よりも製造したガラス 条の反り量が著しく小さかった。すなわち、実施例 4、 5に係る母材ガラス板は、吸収 された輻射熱が母材ガラス板内において局所的に蓄熱する前に拡散する程度の透 過率を有するので、母材ガラス板内で熱膨張量のむらが生じにくいため、熱膨張係 数が高くてもガラス条の反り量が良好であったと考えられる。
[0031] 以上説明したように、本発明によれば、加熱延伸工程において母材ガラス板内で 温度むらが発生しにくぐガラスの熱膨張量にむらが発生しにくいため、ガラス条の反 りを抑制でき、平坦度の優れたガラス条を製造できる。
[0032] なお、本発明にお!/、て用いる母材ガラス板の種類、サイズ、厚さなどは特に制限さ れない。また、ガラスの材質としては、たとえば、アルミノシリケートガラス、ソーダライム ガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、アルミノポロシリケートガラス、ポロシリケートガラス 、風冷または液冷等の処理を施された物理強化ガラス、化学強化ガラスなどを用いる こと力 Sでさる。また、母材ガラス板に含まれる Fe Oが多いほどガラスは青くなり、上記 波長範囲における透過率の最小値が小さくなるが、 Fe Oの含有量を調整することに
よって所望の透過率を実現できる。
[0033] また、石英ガラスを用いた場合は、その高温耐性を利用して、熱 CVDなどによって 表面に機能性膜を堆積して使用することもできる。さらに、多成分ガラスを用いた場 合は、低温プロセスを用いて表面に機能性膜を堆積して使用することもできる。さら に、 目的用途に合わせて、本発明のガラス条を多角形、円形、あるいは円盤状に切り 取り、ガラス基板として用いても良ぐさらに得られた基板を研磨して用いても良い。 産業上の利用可能性
[0034] 本発明に係るガラス条の製造方法によって製造されたガラス条は、その平坦性と表 面性を活力もた商品群に展開可能である。たとえば半導体素子、電界効果型のフラ ットパネルディスプレイに用いるスぺーサゃ回路基板の材料に有用であり、特に、半 導体素子の基板、電界効果型のフラットパネルディスプレイに用いるスぺーサゃ小型 の磁気ディスク基板、液晶ディスプレイ用カバーガラス、 LED用基板等に好適なもの である。
[0035] また、本発明のガラス条を用いて作製されたガラス基板は、医療分析等に用いられ る DNAチップのガラス基板にも好適なものである。さらに、本発明のガラス条を平面 状に並べることにより、どのようなサイズの二次元基板にも拡張できる。
Claims
[1] 母材ガラス板を加熱炉内で加熱して軟化させ、所望の厚さに延伸してガラス条を成 形する加熱延伸工程を含み、
前記母材ガラス板は、該母材ガラス板を透過する間に吸収される輻射熱が該母材 ガラス板内において局所的に蓄熱する前に拡散する程度の透過率を有することを特 徴とするガラス条の製造方法。
[2] 前記母材ガラス板は、波長 800nm〜2200nmにおける透過率の最小値が厚さ 3m mにおいて 86%〜95%であることを特徴とする請求項 1に記載のガラス条の製造方 法。
[3] 前記母材ガラス板は、断面アスペクト比が 50以上であることを特徴とする請求項 1ま たは 2に記載のガラス条の製造方法。
[4] 前記加熱延伸工程は、前記ガラス条の厚さが 0. 7mm以下になるように延伸するこ とを特徴とする請求項 1〜3のいずれ力、 1つに記載のガラス条の製造方法。
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