明 細 書
リン酸エステル化合物およびその金属塩、歯科用材料および歯科用組成 物
技術分野
[0001] 本発明は、リン酸エステル化合物およびその金属塩、歯科用材料および歯科用組 成物に関する。
背景技術
[0002] 天然歯のう蝕(虫歯)によって失われた歯牙または歯冠部分を補うための人工歯や 歯冠材料、う蝕(虫歯)等によって生じた歯の欠陥部分を充填し補修するためのコン ポジットレジン、ボンディング材などのコンポジットレジンシステム材料、人工歯冠を天 然歯に装着する際などに使用するレジンセメント等の接着材料として、(メタ)アクリル 酸エステル化合物などのラジカル重合性を有する化合物(以下、重合性化合物と称 する)を用いて得られる樹脂組成物を主成分とする歯科用材料、歯科用組成物が実 用化されている。
[0003] 従来、歯科用接着材において歯質への十分な接着力を得るには、酸性化合物 (例 えば、リン酸、クェン酸など)力もなるエッチング剤を用いて象牙質などの歯質へ前処 理をする必要があった。しかしながら、このような前処理によって歯髄に対する刺激が 生じてしまったり、あるいは、接着強度の面で未だ十分な性能を有しているとは言え ないなどの問題点を有していた。また、エッチング剤による前処理を行なわない場合 には、象牙質への十分な接着力を得ることが困難である等の問題があった。
[0004] これら問題を解決するために、特開昭 54— 11149号公報には重合性化合物として 4ーメタクリロイルォキシェチルォキシカルボニルフタル酸無水物(トリメリット酸 4 メタクリロイルォキシェチルエステル)、ならびに、重合開始剤としてトリブチルボラン 部分酸化物を含有する接着性組成物が提案されており、歯質に対して良好な接着 性を有することから歯科用接着材として用いられて!/、る。
[0005] また、接着性向上のためにリン酸基を有する特定構造のメタクリル酸エステル化合 物(例えば、 10—メタクリロイルォキシデカニルホスフェートなど)が提案され実用化さ
れているが、このような化合物を含有する材料では強酸性基のリン酸基により加水分 解が生じてしまうため、材料としての保存安定性に問題があった。特開 2003— 8961 3号公報、特開 2004— 131468号公報では、力、かる問題を解決するために新規な 構造を有する重合性モノマーを用いた歯科用材料が提案されているが、保存安定性 、取り扱い性、重合性、接着性などの面で所期の性能を十分に満たしていないことが 判明している。
[0006] 現在では、歯質と種々の修復材料 (例えば、金属、陶質またはコンポジットレジンな ど)をより簡便により確実に接着するために、保存安定性に優れ、操作が簡便で、か つ、さらに高い接着性および接着耐久性を有する歯科用材料が求められており、開 発が行われている。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明の課題は、歯科用材料または歯科用組成物における上記の問題点を解決 した、保存安定性、取り扱い性、重合性、接着性に優れた歯科用材料および歯科用 組成物を提供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、不飽和二重結合を 含有する特定構造を有するリン酸エステル化合物およびその金属塩を歯科用材料 および歯科用組成物に用いることにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明 に到達した。
すなわち、前記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
[0009] < 1〉一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物であ つて、但し 4 -アタリロイルァミノフエニルホスフェートおよび 4—メタクリロイルァミノフエ ニルホスフェートを除くリン酸エステル化合物、または一般式(1)で表される不飽和二 重結合を含有するリン酸エステル化合物の金属塩。
[式中、 Ruおよび R12は各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、 R 、 R 、 R15および R16は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ァラルキル基、 ァリール基またはハロゲン原子を表し、 X11は、
[化 2]
基、—O 基、—S 基または S〇一基を表し、基中、 R
17および R
18は各々独立 に水素原子、アルキル基またはァリール基を表し、 nは 0または 1の整数を表し、 Y
11 および Y
12は各々独立に、水素原子または式 (a)
[化 3]
(式中、 RU〜RlQ及び X11は前記と同じ意味を表し、 mは 0または 1の整数を表し、一 般式(1)における nが 0のとき mは 0であり、 nが 1のとき mは 1である。)で表される基を
表す。 ]
[0010] < 2〉一般式(1)における R11が、水素原子または炭素数 1〜4のアルキル基である < 1 >に記載のリン酸エステル化合物または金属塩。
[0011] < 3〉一般式(1)における R12が、水素原子または炭素数 1〜4のアルキル基である < 1〉またはく 2〉に記載のリン酸エステル化合物または金属塩。
[0012] < 4〉一般式(1)における X11が、メチレン基、 1 , 1ーェチリデン基、 1 , 2 ジメチレ ン基、 1 , 1 プロピリデン基、イソプロピリデン基、 1 , 1ーブチリデン基、 2, 2—ブチリ デン基、 4ーメチノレー 2, 2 ペンチリデン基、 1 , 1ーシクロへキシリデン基、 O 基 、—S 基または SO—基である < 1〉〜< 3〉のいずれ力、 1項に記載のリン酸ェ
2
ステル化合物または金属塩。
[0013] < 5〉一般式(1)における Y11および Y12の少なくとも一つは水素原子である < 1〉〜 < 4〉の!/、ずれ力、 1項に記載のリン酸エステル化合物または金属塩。
[0014] < 6〉前記リン酸エステル化合物または金属塩力 S、 4 [1 '一(4" アタリロイルァミノ フエニル) 1 'ーメチルェチノレ]フエニルホスフェート、 4 - [1 ' - (4"ーメタクリロイル ァミノフエ二ル)一 1 '—メチルェチノレ]フエニルホスフェート、 4—メタクリロイルアミノフ ェニルホスフェート、 3—アタリロイルァミノフエニルホスフェート、 3—メタクリロイルアミ ノフエニルホスフェート、 4— (4'—アタリロイルァミノフエニルォキシ)フエニルホスフエ ート、 4一(4'ーメタクリロイルァミノフエニルォキシ)フエニルホスフェート、 4一(4'一 アタリロイルァミノフエ二ルチオ)フエニルホスフェート、 4— (4'—メタクリロイルアミノフ ェニルォチォ)フエニルホスフェート、 4— (4'—アタリロイルァミノフエニルスルホニル )フエニルホスフェート、 4— (4'—メタクリロイルァミノフエニルスルホニノレ)フエニルホ スフェートから選択されるリン酸エステル化合物またはその金属塩である < 1〉〜く 5 >の!/、ずれ力、 1項に記載のリン酸エステル化合物または金属塩。
[0015] < 7〉前記金属塩が、 Li塩、 Na塩、 K塩、 Cu塩、 Ag塩、 Mg塩、 Ca塩、 Sr塩、 Zn塩 、 Ba塩、 A1塩、 Ti塩、 Zr塩、 Sn塩、 Fe塩、 Ni塩または Co塩であるく 1〉〜く 6〉の いずれか 1項に記載のリン酸エステル化合物または金属塩。
[0016] < 8 >前記一般式(1 )で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 またはその金属塩を含有する歯科用材料。
[0017] < 9〉前記金属塩が、 Li塩、 Na塩、 K塩、 Mg塩、 Ca塩または Ba塩である、 < 8〉に 記載の歯科用材料。
[0018] < 10〉重合性化合物および重合開始剤を含有する歯科用組成物であって、該重合 性化合物が前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物またはその金属塩を含 む歯科用組成物。
[0019] < 11〉前記金属塩力 Li塩、 Na塩、 K塩、 Mg塩、 Ca塩または Ba塩である、 < 10
>に記載の歯科用組成物。
[0020] < 12〉さらに、重合性化合物として (メタ)アクリル酸エステル化合物または (メタ)ァク リル酸アミド化合物を含む、 < 10〉または < 11〉に記載の歯科用組成物。
[0021] < 13〉さらに、重合性化合物として酸性基含有モノマーを含む < 10〉〜< 12〉の いずれか 1項に記載の歯科用組成物。
[0022] < 14〉さらに、充填剤を含む < 10〉〜< 13〉のいずれ力、 1項に記載の歯科用組 成物。
[0023] < 15 >前記重合開始剤が、熱重合開始剤、常温重合開始剤または光重合開始剤 である < 10〉〜< 14〉の!/、ずれか 1項に記載の歯科用組成物。
[0024] < 16〉前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物またはその金属塩を含有す る (メタ)アクリル系樹脂の改質剤。
[0025] < 17〉前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物またはその金属塩を含有す るコーティング材料。
[0026] < 18〉前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物またはその金属塩を含有す る接着材料。
[0027] < 19〉前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物またはその金属塩を含有す る成型材料。
発明の効果
[0028] 本発明の特定構造を有するリン酸エステル化合物および/またはその金属塩を用 いることにより、保存安定性、取り扱い性、重合性に優れ、取り扱いが簡便で、かつ、 さらに高い接着性および接着耐久性を有する歯科用材料および歯科用組成物を提 供すること力 S可倉 となる。
発明を実施するための最良の形態
[0029] 以下、本発明につ!/、てより詳しく説明する。
[0030] 本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物
(およびその金属塩)とは、分子内に重合性の(メタ)アクリルアミド基などの不飽和二 重結合を有し、かつ、特定の芳香環構造に結合したリン酸エステル基を有することが 構造上の特徴である新規化合物である。
[0031] 本発明の化合物は、上記のように、酸性基としてリン酸基を有することにより高接着 性を有するとともに、重合性基として (メタ)アクリルアミド基などの窒素原子および不 飽和二重結合を含む基を有することにより、良好な重合性および耐加水分解性 (保 存安定性)をも有する。
[0032] 以下、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物について説明する。
[0033] [化 4コ
(1 )
[0034] 一般式(1)において、 R11および R12は各々独立に、水素原子またはアルキル基を 表す。
[0035] アルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、ェチル基、 η—プロピル基、ィ ソプロピル基、 η—ブチル基、イソブチル基、 η—アミノレ基、イソアミノレ基、へキシル基
、ォクチル基、シクロへキシル基などが挙げられる。
[0036] 該 R11として、好ましくは、重合性の点で水素原子または炭素数 1〜4のアルキル基 であり、より好ましくは、水素原子またはメチル基である。
[0037] R12として、好ましくは、水素原子または炭素数 1〜4のアルキル基であり、より好まし くは、水素原子またはメチル基である。
本発明の歯科用材料および歯科用組成物としての使用を考慮すると、 R12基が水 素原子であることは特に好まし!/、。
[0038] 一般式(1)において、 R13、 R14、 R15および R16は各々独立に、水素原子、アルキル 基、アルコキシ基、ァラルキル基、ァリール基またはハロゲン原子を表す。
[0039] アルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、ェチル基、 n プロピル基、ィ ソプロピル基、 n ブチル基、イソブチル基、 tert ブチル基、 n ァミル基、イソアミ ル基、へキシル基、ォクチル基などが挙げられる。
[0040] アルコキシ基としては、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、 n—プロポキシ 基、 iso プロポキシ基、 n ブトキシ基、 iso ブトキシ基、 tert ブトキシ基、 n ぺ ンチルォキシ基、 iso ペンチルォキシ基、 n へキシルォキシ基、 n ォクチルォキ シ基などが挙げられる。
[0041] ァラルキル基としては、具体的には、例えばべンジル基、 4 メチルベンジル基、 4
クロ口べンジル基、フエネチル基、フエニルプロピル基、ナフチルェチル基などが 挙げられる。
[0042] ァリール基としては、具体的には、例えばフエニル基、ナフチル基、アンスラニル基 、 4 メチノレフエ二ノレ基、 2 メチノレフエ二ノレ基、 4 クロ口フエ二ノレ基、 2 クロ口フエ ニル基、 4 フエユルフェニル基が挙げられる。
[0043] ハロゲン原子としては、具体的には、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ョ ゥ素原子などが挙げられる。
[0044] R13〜R16基として、好ましくは、水素原子、炭素数 1〜; 10のアルキル基、炭素数 1 〜10のアルコキシ基、炭素数 5〜20のァラルキル基または炭素数 4〜20のァリール 基を表し、より好ましくは、水素原子、炭素数 1〜4のアルキル基、炭素数 1〜4のアル コキシ基、ベンジル基、フエニル基、ナフチル基を表し、さらに好ましくは、水素原子 またはメチル基を表す。
本発明の歯科用材料および歯科用組成物としての所望の効果を考慮すると、 R13 〜R16基が水素原子であることは特に好まし!/、。
[0045] 一般式(1)において、 nは 0または 1の整数を表す。
[0046] 一般式(1)において、 X11は、
[0047] [化 5]
基、—o—基、—s—基または—SO—基を表す。
2
[0048] 基中、 R17および R18は各々独立に水素原子、アルキル基またはァリール基を表す
〇
[0049] アルキル基及びァリール基の具体例としては、前述したものと同様のものが挙げら れる。
[0050] 好ましくは、水素原子、炭素数 1〜6のアルキル基または炭素数 4〜20のァリール 基を表し、より好ましくは、水素原子、メチル基またはフエ二ル基を表す。
[0051] 該 X11基として、好ましくは、メチレン基、 1 , 1ーェチリデン基、 1 , 2—ジメチレン基、 1 , 1 プロピリデン基、イソプロピリデン基、 1 , 1ーブチリデン基、 2, 2—ブチリデン 基、 4ーメチノレー 2, 2 ペンチリデン基、 1 , 1—シクロへキシリデン基、 O 基、 - S 基または SO—基を表し、より好ましくは、メチレン基、イソプロピリデン基、 O
2
一基、 S 基または SO—基を表す。
2
[0052] 一般式(1)において、 Y11および Y12は各々独立に、水素原子または式 (a)で表さ れる基を表す。
[化 6]
(a)
[0053] 一般式(a)において、 R 〜R 及び X は前記と同じ意味を表し、 mは 0または 1の 整数を表し、一般式(1)における nが 0のとき mは 0であり、 nが 1のとき mは 1である。
[0054] 本発明の歯科用材料および歯科用組成物として所望の効果を最大限に得るため には、好ましくは、 γ11および Y12の少なくとも は水素原子であり、より好ましくは、 Y11および Y12がともに水素原子である。
[0055] 本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 の具体例としては、
[0056] 4ーメタクリロイルァ:ミノ:フエ- .ノレホスフエ一 -ト、
3—メタクリロイルァ:ミノ:フエ- .ノレホスフエ一 -ト、
2—メタクリロイルァ:ミノ:フエ- .ノレホスフエ一 -ト、
3—メタクリロイルァ:ミノ- -4 -メチノレフ 二ノレホスフェート、
3—メタクリロイルァ:ミノ- -4 -クロ口フエ二.レホスフェート、
[0057] ビス(4ーメタクリロイ 'ル: ミノ:フエニル)ホ エート、
ビス(3—メタクリロイ 'ル: ミノ:フエニル)ホ エート、
ビス(2—メタクリロイ 'ル: ミノ:フエニル)ホ エート、
[0058] トリス(4 メタタリ fル 'ァミノフエニノレ)ホスフェート、
トリス(3—メタタリ fル 'ァミノフェニノレ)ホスフェート、
トリス(2—メタタリ fル 'ァミノフェニノレ)ホスフェート、
[0059] 4一(4,ーメタクリロィル 'ァミノ 'フエ二ルメチ -ノレ)フエ二ノレホスフェート、
4— [ — (4"—メ 7ク i J口イノレアミノフエ二ル)ーェチル]フエニルホスフェート、
4— [ — (4"—メ 7ク i J口イノレアミノフエ二ル) 1,ーメチルェチル]フエ二ルホク '、フエ ート、
4一(4,ーメタクリロィル 'ァミノ 'フエ二ルォ -「シ)フエニノレホスフエート、
4一(4,ーメタクリロィル 'ァミノ 'フエニノレチス h)フエ二ノレホスフェート、
4一(4,ーメタクリロィル 'ァミノ 'フエニノレスノ 1ホニノレ)フエニノレホスフェート、
3— ,一(4"—メ 7ク i J口イノレアミノフエ二ル) 1,ーメチルェチル]フエ二ルホク '、フエ ート、
[0060] ビス [4一(4 '—メタ:ク!;ロイノレ 'ァミノフエニノ 'レメチノレ)フエニル]ホスフェート、
ビス {4- -[1' -(4"-;タク 'リロィノレ了 ノ ェニ:ル) - -ェチル]フエ二ル}ホスフェート、 ビス {4- -[1' -(4"-;タク 'リロィノレ了 ノ ェニ :ル) - -1'ーメチルェチル]フエ二ル}ホ スフエート、
ビス [4- -(4' メタタリ口イノ 'レアミノ: 7ェ- レオ ン):フエニル]ホスフェート、 ビス [4- -(4' メタタリ口イノ 'レアミノ: 7ェ-ルチ )フエニル]ホスフェート、
ビス [4- -(4' メタタリ口イノ 'レアミノ: 7ェ- レスノ 1レホニ .ノレ)フエニル]ホスフェート、 ビス {3- -[1' -(4"-;タク 'リロィノレ了 ノ ェニ :ル) - -1'ーメチルェチル]フエ二ル}ホ スフエート、
[0061] トリス [4- -(4; 'ーメタク i Jnィルァミノ'フエ:二ルメ fル)フエ二ノレ]ホスフェート、
トリス {4- '一(4,,—メタ:クリロイ Λアミノフエ:ニル)ーェチル]フエ二ル}ホスフェート
、
トリス {4- '一(4,,—メタ:クリロイ Λアミノフエ:ニル) —1'ーメチルェチル]フエ二ル} ホスノエート、
トリス [4- -(4; 'ーメタク i Jnィルァミノ'フエ:ニルォキシ)フエ二ノレ]ホスフェート、 トリス [4- -(4; 'ーメタク i Jnィルァミノ'フエ:ニルチォ)フェニノレ]ホスフェート、 トリス [4- -(4; '一メタァ ίリ ィ 'ルァミノフエ-ニノレスルホこ二ノレ)フエニル]ホスフェート、 トリス {3- '一(4,,—メタ:クリロイ Λアミノフエ:ニル) —1'ーメチルェチル]フエ二ル} ホスノエート、
[0062] 4 ァク:リロイルアミノフ 'ェ- .ノレホスフ 'エー -ト、
3—ァク:リロイルアミノフ 'ェ- .ノレホスフ 'エー -ト、
2—ァク:リロイルアミノフ 'ェ- .ノレホスフ 'エー -ト、
[0063] 3 ァク:リロイルアミノー -4-メチルフ 'ェ- .ノレホフ '、フエ'ート、
3—ァク:リロイルアミノー -4- 'クロロフェニノ ホスフエ一 -ト、
[0064] ビス(4- -ァクリロイルァ 'ミノ:フエニノレ: )ホスフエ一 -ト、
ビス(3- -ァクリロイルァ 'ミノ:フエニノレ: )ホスフエ一 -ト、
ビス(2- -ァクリロイルァ 'ミノ:フエニノレ: )ホスフエ一 -ト、
[0065] トリス(4- —了 ィノレァ ノフエニル ,)ホ:スフエート、
トリス(3- —了 ィノレァ ノフエニル ,)ホ:スフエート、
トリス(2.—アタリロイルアミ,ノフエ-ル)ホ:スフェート、
[0066] 4一(4, アタリロイルアミノフエ-ルメ F レ)フエ二ノレホスフェート、
4 [1, -(4"- -アタリロイ 'ルァ ヮェこニル)ーェチル]フエニルホスフェート、
4 [1, -(4"- -アタリロイ 'ルァ ヮェこニル) 1,ーメチルェチル]フエニルホスフエ一
K
4一(4, アタリロイルアミノフエ-ルォ: シ)フエ二ノレホスフェート、
4一(4, アタリロイルアミノフエ-ルチ:す)フエ二ノレホスフェート、
4一(4, アタリロイルアミノフエ-ルスノ 'レホニノレ)フエ二ノレホスフェート、
3 [1, -(4"- -アタリロイ 'ルァ ヮェこニル) 1,ーメチルェチル]フエニルホスフエ一
K
[0067] ビス [4- -(4'-アタリ口イノレアミノ:フエ二ルメチノレ)フエニル]ホスフェート、
ビス {4- -[1'- (4"ーァク 'リロイルァミノフエニル)一ェチル]フエ二ル}ホスフェート、 ビス {4- -[1'- (4"ーァク 'リロイルァミノフエニル) 1'ーメチルェチル]フエ二ル}ホス フェートゝ
ビス [4- -(4'-アタリ口イノレアミノ:フエ二ルォキシ)フエニル]ホスフェート、
ビス [4- -(4'-アタリ口イノレアミノ:フエ二ルチオ)フエニル]ホスフェート、
ビス [4- -(4'-アタリ口イノレアミノ:フエ二ルスルホニノレ)フエニル]ホスフェート、 ビス {3- -[1'- (4"ーァク 'リロイルァミノフエニル) 1'ーメチルェチル]フエ二ル}ホス フェートゝ
[0068] トリス [4. -(4'- -アタリロイルァミノ 'フエ二二ルメチノレ)フエニル]ホスフェート、
トリス {4. -[1'- - (4"ーァ リ口イノレアミノフエ二ル)一ェチル]フエ二ル}ホスフェート、 トリス {4. -[1'- - (4"ーァ リ口イノレアミノフエ二ル) 1'ーメチルェチル]フエ二ル}ホ スフエー .ト、
トリス [4. -(4'- -アタリロイルァミノ 'フエ二ニルォキシ)フエニル]ホスフェート、 トリス [4. -(4'- -アタリロイルァミノ 'フエ二二ルチオ)フエニル]ホスフェート、
トリス [4. -(4'- -アタリロイルァミノ 'フエ二ニルスルホニノレ)フエニル]ホスフェート、 トリス {3. -[!' - - (4"ーァ リ口イノレアミノフエ二ル) 1'ーメチルェチル]フエ二ル}ホ スフェート
などが例示される。
[0069] 上記具体例のうち、 4- [1 ' - (4"ーメタクリロイルァミノフエニル) 1 'ーメチルェチ ノレ]フエニルホスフェート、 4- [1 ' - (4 "—アタリロイルァミノフエ二ル)一 1 '—メチル ェチノレ]フエニルホスフェート、 4—メタクリロイルァミノフエニルホスフェート、 3—アタリ ロイルァミノフエニルホスフェート、 3—メタクリロイルァミノフエニルホスフェート、 4— (4 '—アタリロイルァミノフエニルォキシ)フエニルホスフェート、 4— (4'—メタクリロイルァ ミノフエニルォキシ)フエニルホスフェート、 4一(4'—アタリロイルァミノフエ二ルチオ) フエニルホスフェート、 4— (4'—メタクリロイルァミノフエニルォチォ)フエニルホスフエ ート、 4— (4'—アタリロイルァミノフエニルスルホニノレ)フエニルホスフェート、 4— (4, ーメタクリロイルァミノフエニルスルホニル)フエニルホスフェートは、性能の点で好まし い。
[0070] 本発明のある実施形態においては、一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有 するリン酸エステル化合物の具体例は、 4 アタリロイルァミノフエニルホスフェートお よび 4ーメタクリロイルァミノフエニルホスフェート以外である。
[0071] 本発明のリン酸エステル化合物の金属塩は、一般式(1)において Y11または Y12の 少なくとも一方が水素原子である化合物(リン酸モノエステル化合物またはリン酸ジェ ステル化合物)が金属化合物と作用することにより製造される。
[0072] 該金属塩としては、例えば、 Li塩、 Na塩、 K塩、 Cu塩、 Ag塩、 Mg塩、 Ca塩、 Sr塩 、 Zn塩、 Ba塩、 A1塩、 Ti塩、 Zr塩、 Sn塩、 Fe塩、 Ni塩、 Co塩などが挙げられる。歯 科用材料および歯科用組成物として用いる場合には、これらの金属塩の中でも、好 ましくは Li塩、 Na塩、 K塩、 Mg塩、 Ca塩、 Ba塩である。
[0073] 本発明は上述したような化合物に限定されるものではない。
[0074] 本発明における一般式(1) (メタ)アクリル基を含有するリン酸エステル化合物は、 反応それ自体は公知である方法に従って合成される。
[0075] すなわち、一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 は代表的には、例えば下記反応式に示すように、一般式(2— i)で表されるァミノフエ ノール化合物を一般式(3)で表される化合物 [例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ )アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ェチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ルなど]と作用させることにより一般式(2— ii)で表される化合物を得た後、該化合物 を公知の各種リン酸誘導体 (例えば、鎖状ポリリン酸、環状トリメタリン酸、塩化ホスホ リルなど)と作用させてリン酸エステル化することにより製造される。
[0076] [化 7]
(1)
[0077] (上式中、 R 〜R 、 X 、 n、 Yuおよび Y は前記に同じであり、 Ζ11はヒドロキシ基、 炭素数 1〜4のアルコキシ基、塩素原子または臭素原子を表す)
[0078] 原料化合物の一般式(2— i)で表されるァミノフエノール化合物は、公知の方法、例 えば、 Journal of American Chemical Society, 68巻, 2600頁(1946年)、 英国特許第 1028156号公報、特開昭 62— 1 14942号公報、特開昭 62— 116546 号公報、特開平 1— 172364号公報、 Pharmaceutical Bulletin, 5卷, 397頁(1 952年)、有機合成化学協会誌, 24巻, 44頁(1966年)、米国特許第 3240706号 公報、 Indian Journal of Chemistry, 15B巻, 661頁(1977年)、米国特許第 3
443943号公報、特開平 5— 306373号公報、特開平 6— 72036号公報などに記載 の方法に従って製造される。
[0079] 以下、一般式(2 i)で表される化合物に対して一般式(3)で表される化合物を作 用させる方法について詳しく述べる。
[0080] 当該方法としては、公知の方法、例えば、第 4版実験化学講座(日本化学会編) 22 巻, 137頁〜(1992年)、特開 2004— 43467号公報などに記載の方法などが挙げ られる。
[0081] 力、かる反応における、一般式(2— i)で表される化合物に対して、作用させる一般式
(3)で表される化合物の使用量は、特に限定するものではないが、通常、一般式(2 —i)の化合物 1モルに対して、 0. ;!〜 100モルである。力、かる使用量として好ましくは 、 0. 5モノレ〜 50モノレであり、より好ましく (ま、 0. 9モノレ〜 10モノレである。
[0082] 反応は、無溶媒で行なってもよぐあるいは反応に対して不活性溶媒中で行なって もよい。かかる溶媒としては、例えば、 n へキサン、ベンゼンまたはトノレェン等の炭 化水素系溶媒、アセトン、メチルェチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン 系溶媒、酢酸ェチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジェチルエーテル、テ トラヒドロフランまたはジォキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロ口ホルム、 四塩化炭素、 1 , 2—ジクロロェタンまたはパークレン等のハロゲン系溶媒などが挙げ られる。これらの溶媒は 2種類以上を併用しても差し支えない。
[0083] 反応温度は特に制限はないが、反応生成物が重合、分解などしない温度であって 、通常、 78〜; 150°Cの範囲であり、好ましくは、 20〜; 100°Cであり、より好ましく は、 0〜80°Cである。
[0084] 反応時間は反応温度にも依存するが、通常、数分〜 100時間であり、好ましくは、 3 0分〜 50時間であり、より好ましくは、;!〜 20時間である。また、公知の分析手段(例 えば、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、 IRなど)により反応率を確認し ながら、任意の反応率で反応を停止することも可能である。
[0085] また、一般式(3)の化合物として (メタ)アクリル酸ハロゲン化物を用いる場合には、 ハロゲン化水素(例えば、塩化水素など)が副生するので、例えば、トリェチルァミン、 ピリジン、ピコリン、ジメチルァニリン、ジェチルァニリン、 1 , 4ージァザビシクロ [2. 2.
2]オクタン(DABCO)、 1 , 8—ジァザビシクロ [5· 4. 0]ゥンデカー 7—ェン(DBU) 等の有機塩基、あるいは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リ チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の 無機塩基を脱ハロゲン化水素剤として使用してもよい。
[0086] 力、かる脱ハロゲン化水素剤の使用量としては、特に制限はないが、一般式(2— i) で表される化合物 1モルに対して、 0. 01〜; 10モルであり、好ましくは、 0. ;!〜 5モル であり、より好ましく (ま、 0. 5〜3モノレで る。
[0087] 製造中間体の一般式 (2— ii)で表される化合物は、上記反応終了後、公知の操作
、処理方法 (例えば、中和、溶媒抽出、水洗、分液、溶媒留去など)によって後処理さ れて単離される。さらに所望に応じて、得られた(2— ii)で表される化合物は公知の 方法 (例えば、クロマトグラフィー、活性炭や各種吸着剤による処理など)等により分 離、精製されて、より高純度の化合物として単離される。
[0088] 次に、一般式(2— ii)の化合物にリン酸化合物を作用させてリン酸エステル化する 方法について詳しく述べる。
[0089] 当該方法としては、公知の方法、例えば、第 4版実験化学講座(日本化学会編) 22 巻, 311頁〜(1992年)、特開 2001— 39992号公報などに記載の方法などが挙げ られる。
[0090] 力、かる反応において、一般式(2— ii)で表される化合物に対して、作用させるリン酸 誘導体 (例えば、鎖状ポリリン酸、環状トリメタリン酸、塩化ホスホリルなど)の使用量は 、特に限定するものではないが、通常、一般式(2— ii)の化合物 1モルに対して、 0. ;!〜 100モノレである。力、力、る使用量として好ましくは、 0. 3モノレ〜 10モノレで り、より 好ましくは、 0. 5モノレ〜 5モノレである。
[0091] 本反応では、力、かる使用量を調整することによって、本発明の一般式(1)で表され る化合物の中に包含されるリン酸モノエステル、リン酸ジエステルまたはリン酸トリエス テルを所望に応じて作り分けることが可能である。
[0092] 反応は、無溶媒で行なってもよぐあるいは、水中または反応不活性な溶媒中で行 なってもよい。かかる溶媒としては、例えば、 n—へキサン、ベンゼンまたはトノレェン等 の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルェチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等の
ケトン系溶媒、酢酸ェチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジェチルエーテ ル、テトラヒドロフランまたはジォキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホ ルム、四塩化炭素、 1 , 2—ジクロロェタンまたはパークレン等のハロゲン系溶媒、ァ セトニトリル、ジメチルホルムアミド、 N, N ジメチルァセトアミド、 m タレゾール等の その他の極性溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は 2種類以上を併用しても差し支 えない。
[0093] 反応温度は特に制限はないが、反応生成物が重合、分解などしない温度であって 、通常、 78〜; 150°Cの範囲であり、好ましくは、 20〜; 100°Cであり、より好ましく は、 0〜80°Cである。
[0094] 反応時間は反応温度にも依存するが、通常、数分〜 100時間であり、好ましくは、 3 0分〜 50時間であり、より好ましくは、;!〜 20時間である。また、公知の分析手段(例 えば、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、 IRなど)により反応率を確認し ながら、任意の反応率で反応を停止することも可能である。
[0095] 本反応において、リン酸誘導体として塩化ホスホリルを用いる際には、塩基および /または水の共存下に行なうことが好ましい。かかる塩基としては、例えば、トリェチ ルァミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルァニリン、ジェチルァニリン、 1 , 4ージァザビシ クロ [2. 2. 2]オクタン(DABCO)、 1 , 8 ジァザビシクロ [5· 4. 0]ゥンデカー 7 ェ ン (DBU)等の有機塩基、あるいは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸力リウ ム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネ シゥム等の無機塩基が使用される。
[0096] 該塩基の使用量としては、特に制限はないが、一般式(2— ii)で表される化合物 1 モノレ ίこ対して、 0. 01〜; 100モノレで り、好ましく (ま 0· ;!〜 10モノレで り、 り好ましく は、 0. 5〜5モノレである。
[0097] 上述したように、リン酸誘導体の使用量を調整するほか、温度、反応時間、有機溶 媒の種類または量、塩基の種類または量などの反応条件を調整することによって本 発明の一般式(1)で表される化合物の中に包含されるリン酸モノエステル、リン酸ジ エステルまたはリン酸トリエステルを所望に応じて作り分けることが可能である。
[0098] 本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物
またはその金属塩を製造する際に、反応中あるいは反応後において生成物の重合 を防止するために、重合禁止剤を使用することは好ましいことである。かかる重合禁 止剤としては、例えば、 4ーメトキシフエノール、ハイドロキノン、フエノチアジン等の公 知の各種化合物を例示することができる。重合禁止剤の使用量は特に制限はないが 、反応系中の原料混合物あるいは反応生成物に対して、通常、 0. 0;!〜 5重量%で あり、好ましくは、 0. 05〜3重量0 /0である。
[0099] 本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 は上記反応終了後、公知の操作、処理方法 (例えば、中和、溶媒抽出、水洗、分液 、溶媒留去など)によって後処理されて単離される。さらに所望に応じて、得られたリ ン酸エステル化合物は公知の方法 (例えば、クロマトグラフィー、活性炭や各種吸着 剤による処理など)等により分離、精製されて、より高純度の化合物として単離される
〇
[0100] さらに、溶液時に濾過などを行!/、不溶物、不溶性粒子、塵、粉塵、異物などの不純 物の含有量が少なく高い透明性を有していることは好ましぐ例えば、一般式(1)で 表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物を、例えば、クリーンルー ムなどの施設内でフィルターを用いて濾過する方法により、前記不純物を除去するこ とが可能である。
[0101] また必要に応じて、一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステ ル化合物を製造する際に、製造中間体において前記操作、処理方法を行なうことに より純度を高めることもできる。
[0102] 本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 の金属塩は、このように得られた一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリ ン酸エステル化合物を、リン酸金属塩を製造する公知の方法に従って各種金属化合 物と作用させることにより、製造される。
[0103] 分子内に不飽和二重結合として (メタ)アクリル基と、リン酸エステル基とを有するい くつかの化合物が既知化合物として知られている。例えば、特開 2003— 89613号 公報、特開 2004— 131468号公報には、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステル化 合物を用いてなる歯科用材料が開示されている。し力、しながら、該歯科用材料は歯
科用接着剤として要求される性能、例えば、保存安定性、取り扱い性、重合性、接着 性または接着耐久性などの面にお!/、て十分な性能を有して!/、ると言えなレ、。
[0104] 本発明の、特定構造を有するリン酸エステル化合物を含有してなる歯科用材料が、 取り扱い性、重合性、接着性または接着耐久性などの面で優れた性能を有すること は、まさに予想し得ない驚くべき結果であり、これによつて従来では到底考えられな い有用な歯科用材料を提供することが可能となる。
[0105] 本発明の歯科用材料は、歯科用材料を構成する有機材料の成分として一般式(1) で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物および/またはその金 属塩の少なくとも一種を含有することを特徴とするものである。
[0106] 本発明の歯科用材料とは、下記の歯科用組成物を含む広く歯科治療において使 用される有機系の歯科材料全般を包含するものであり、例えば、歯冠用レジン、人工 歯などの歯冠用材料、コンポジットレジン、根管充填材、ボンディング材などの歯科 充填用材料、レジンセメント、矯正用接着材などの歯科用接着材'合着材、フイツシャ ーシーラント、コーティング材、クラウン 'ブリッジ 'インレー用レジン、支台築造材、義 歯床用レジン、義歯床補修用レジンなどが包含される。
[0107] <歯科用組成物〉
本発明の歯科用組成物とは必須構成成分として重合性化合物の他に、重合開始 剤を含有してなるものであり、これには重合、硬化を行なう前の重合性組成物と該重 合性組成物を重合、硬化して得られる硬化物が包含される。
[0108] 本発明の歯科用組成物は、重合性化合物および重合開始剤を必須構成成分とし て含有してなる重合性組成物であって、該重合性化合物として、一般式(1)で表され る不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物および/またはその金属塩を含 有することを特徴とする。
[0109] (重合性化合物)
本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 および/またはその金属塩を含有する歯科用組成物において、一般式(1)で表され る化合物および/またはその金属塩は単独で用いられてもよぐあるいは、一般式(1 )で表される化合物であって互いに異なる複数が併用されても差し支えない。
[0110] 一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物および/またはその金属塩は、本発明 の歯科用組成物中の全ての重合性化合物 100質量部中、通常 1〜; 100質量%の範 囲で使用される。
[0111] 本発明の歯科用組成物は、必須構成成分の一つである重合性化合物として、一般 式(1)で表されるリン酸エステル化合物および/またはその金属塩を含有する他に、 本発明の所望の効果を損なわない程度で、一般式(1)で表されるリン酸エステル化 合物および/またはその金属塩以外の他の重合性化合物を含有してもよい。
[0112] かかる重合性化合物としては、特に限定されるものではなぐ歯科用材料分野で使 用されている各種公知の重合性化合物(重合性モノマーまたは重合性オリゴマーな ど)が使用される。
[0113] 一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物および/またはその金属塩以外の他 の重合性化合物として、重合性、硬化性などを考慮すると、好ましくは、(メタ)アタリ ル酸エステル化合物または (メタ)アクリル酸アミド化合物である。
[0114] 低毒性で重合が速やかに達成され、加水分解を受けにくぐ製造が比較的容易で ある (メタ)アクリル酸エステル化合物は、より好まし!/、化合物である。
[0115] 力、かる(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル (メタ)アタリレート、 ェチル (メタ)アタリレート、ブチル (メタ)アタリレート、へキシル (メタ)アタリレート、 2- ェチルへキシル(メタ)アタリレート、ドデシル(メタ)アタリレート、ラウリル(メタ)アタリレ ート、シクロへキシル(メタ)アタリレート、ベンジル(メタ)アタリレート、イソボルニル(メ タ)アタリレート、ァダマンチル (メタ)アタリレート等のアルキル (メタ)アタリレート化合 物; 2—ヒドロキシェチル(メタ)アタリレート、 2—または 3—ヒドロキシプロピル(メタ)ァ タリレート、 4ーヒドロキシブチル(メタ)アタリレート、 5—ヒドロキシペンチル(メタ)アタリ レート、 6—ヒドロキシへキシル(メタ)アタリレート、 1 , 2—または 1 , 3—ジヒドロキシプ ロピノレモノ(メタ)アタリレート、エリスリトーノレモノ(メタ)アタリレート等のヒドロキシアル キル (メタ)アタリレート化合物;ジエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、トリエチレ ングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリ プロピレングリコールモノ(メタ)アタリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)ァク リレート化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アタリレート、エチレング
リコーノレモノェチノレエーテノレ(メタ)アタリレート、ジエチレングリコーノレモノメチノレエー テル(メタ)アタリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アタリレート、 ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコー ルモノアルキルエーテル(メタ)アタリレート等の(ポリ)グリコールモノアルキルエーテ ノレ(メタ)アタリレート;パーフルォロォクチル(メタ)アタリレート、へキサフルォロブチル
(メタ)アタリレート等の(メタ)アクリル酸フルォロアルキルエステル化合物; γ — (メタ) アタリロキシプロピルトリメトキシシラン、 γ — (メタ)アタリロキシプロピルトリ(トリメチル シロキシ)シラン等の (メタ)アタリロキシアルキル基を有するシラン化合物; /3—メタタリ ロイルォキシェチルハイドロジェンフタレート、 βーメタクリロイルォキシェチルハイド口 ジェンサクシネート、 βーメタクリロイルォキシェチルマレエート等のカルボン酸含有( メタ)アタリレート化合物; 3—クロ口一 2—ヒドロキシプロピルメタタリレートなどのハロゲ ン含有 (メタ)アタリレート、ならびに、テトラフルフリル (メタ)アタリレート等の複素環を 有する(メタ)アタリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アタリレート、プロピレン グリコールジ(メタ)アタリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アタリレート、ネオペンチ ルグリコールジ(メタ)アタリレート、へキシレングリコールジ(メタ)アタリレート、トリメチ ロープロパントリ(メタ)アタリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アタリレート等のァ ルカンポリオールのポリ(メタ)アタリレート化合物;ジエチレングリコールジ(メタ)アタリ レート、トリエチレングリコールジ(メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)ァ タリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールジ(メ タ)アタリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アタリレート、ジペンタエリスリトールへ キサ (メタ)アタリレート等のポリオキシアルカンポリオールのポリ(メタ)アタリレート化合 物;
[0116] 下記一般式 (4)で表わされる脂肪族、脂環族または芳香族の (メタ)アタリレート化 合物;
[0118] (上記式において、 R は水素原子またはメチル基を示し、 mおよび nは 0または正の 整数を示し、 R12は二価の有機連結基である。 )
下記一般式(5)で表される脂環族または芳香族エポキシジ (メタ)アタリレート; [0119] [化 9]
R 13
R 13
.0-CH2CHCH20-R14-OCH2CHCH2-(0— R14-OCH2CHCH2)n-0.
O OH OH OH O
(5)
[0120] (上記式にぉレ、て、 R は水素原子またはメチル基を示し、 nは 0または正の数を示し
、 R14は二価の有機連結基である)
さらに、下記一般式(6)で表される分子内にウレタン結合を有する(メタ)アタリレート 化合物;
[0121] [化 10]
(6)
[0122] (上記式にぉレ、て、 R15は水素原子またはメチル基を表し、 R16は二価の有機連結基 を表す)などの単官能もしくは多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物が例示される。
[0123] 上記一般式 (4)または(5)における、二価の有機連結基 R12または R14はそれぞれ、 一 (CH ) 一、 一 (CH ) 一、 一 (CH ) 一、
2 2 2 4 2 6
[0124] [化 11]
[0125] を表す。
[0126] また前記一般式(6)における、二価の有機連結基 R16は、一(CH ) —、 一(CH ) 一、 一(CH ) 一、
2 4 2 6
[0127] [化 12]
[0128] を表す。
[0129] 上記重合性化合物の例示中、メチルメタタリレート、ェチルメタアタリレート、 2—ヒド ロキシェチルメタタリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、 テトラエチレンダリコールモノメチルエーテルメタタリレート、エチレングリコールジメタ タリレート、トリエチレングリコ一ルジメタタリレートならびに下記一般式(7)、(8)および (9)で表される化合物は、さらに好ましい。
[0130] [化 13]
(7)
[0131] (上記式にぉレ、て、 R17は水素原子またはメチル基を表す)
(8)
[0133] (上記式において、 R1Sは水素原子またはメチル基を表し、 m + nは平均 2. 6である) [0134] [化 15]
(9)
[0135] (上記式にお!/ヽて、 R19は水素原子またはメチル基を表す)
[0136] このような一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物および/またはその金属塩 以外の他の重合性化合物は、本発明の歯科用組成物中の全ての重合性化合物 10 0質量部中、通常、 5〜90質量%の範囲で使用され、好ましくは、 5〜80質量%、より 好ましくは、 10〜70質量%、さらに好ましくは、 10〜50質量%の範囲内の量で使用 される。
[0137] さらに本発明の歯科用組成物は、本発明の所望の効果を損なわなレ、程度にお!/ヽ て、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物および/またはその金属塩以外の、 公知の他の酸性基含有モノマーなどを含有してもよい。前記の酸性基としては、具体 的には例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が好ましいものとして挙げ られる。
[0138] 力、かる酸性基含有の重合性モノマーのうち、 1分子中に少なくとも 1個のカルボキシ ル基を有するモノマーとしては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およ びテトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げることができる。
[0139] 例えば (メタ)アクリル酸、マレイン酸、 p—ビュル安息香酸、 11— (メタ)アタリロイル ォキシ—1 , 1 ゥンデカンジカルボン酸(MAC— 10)、 1 , 4ージ(メタ)アタリロイル
—トリカルボン酸、 4— (メタ)アタリロイルォキシメチルトリメリット酸およびその無水物、 4— (メタ)アタリロイルォキシェチルトリメリット酸およびその無水物、 4— (メタ)アタリ口 ィルォキシブチルトリメリット酸およびその無水物、 4— [2—ヒドロキシ一 3— (メタ)ァク リロイルォキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物、 2, 3—ビス(3, 4—ジカルボキ
ン、 N— (メタ)アタリロイルォキシフエ二ルァラニン、 N— (メタ)アタリロイルー p—ァミノ 安息香酸、 N- (メタ)アタリロイルー o—ァミノ安息香酸、 N— (メタ)アタリロイルー 5— アミノサリチノレ酸、 N— (メタ)アタリロイル一 4—ァミノサリチル酸、 2または 3または 4— (メタ)アタリロイルォキシ安息香酸、 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレートとピロメリッ ト酸ニ無水物の付加生成物(PMDM)、 2—ヒドロキシェチル(メタ)アタリレートと無 水マレイン酸または 3, 3' , 4, 4'—べンゾフエノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA )または 3, 3' , 4, 4'—ビフエニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物、 2—(3 , 4ージカルボキシベンゾィルォキシ)1 , 3—ジ(メタ)アタリロイルォキシプロパン、 N —フエニルグリシンまたは N—トリルグリシンとグリシジル(メタ)アタリレートとの付加物 、 4— [ (2—ヒドロキシ一 3— (メタ)アタリロイルォキシプロピル)ァミノ]フタル酸、 3また は 4—[N—メチルー N— (2—ヒドロキシー3—(メタ)アタリロイルォキシプロピノレ)アミ ノ]フタル酸などを挙げることができる。
また、 1分子中に少なくとも 1個のリン酸基を有するモノマーとしては、例えば 2—(メ タ)アタリロイルォキシェチルァシドホスフェート、 2および 3—(メタ)アタリロイルォキシ
ォクチルァシドホスフェート、 10- (メタ)アタリロイルォキシデシルァシドホスフェート、 12 - (メタ)アタリロイルォキシドデシルァシドホスフェート、ビス { 2—(メタ)アタリロイル ォキシェチル }ァシドホスフェート、ビス { 2または 3—(メタ)アタリロイルォキシプロピル }ァシドホスフェート、 2—(メタ)アタリロイルォキシェチルフエニルァシドホスフェート、 2—(メタ)アタリロイルォキシェチル p—メトキシフエニルァシドホスフェートなどを挙げ ること力 Sできる。これらの化合物におけるリン酸基は、チォリン酸基に置き換えることが
できる。
[0141] また、 1分子中に少なくとも 1個のスルホン酸基を有するモノマーとして、例えば 2— スルホェチル(メタ)アタリレート、 2—スルホ— 1—プロピル(メタ)アタリレートまたは 1
、または 3 スルホ 2 ブチル(メタ)アタリレート、 3 ブロモ 2 スルホ 2 プロ ピル(メタ)アタリレート、 3 メトキシ 1ースルホー 2 プロピル(メタ)アタリレート、 1 , 1 ジメチルー 2—スルホェチル (メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
[0142] このような酸性基含有モノマーは、本発明の歯科用組成物中の重合性化合物 100 質量部に対して、通常は 0. 01〜; 100質量部の範囲で使用され、好ましくは 0. ;!〜 5 0質量部、より好ましくは、 0. 5〜20質量部、さらに好ましくは、;!〜 10質量部の範囲 内の量で使用される。
[0143] 一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物および/またはその金属塩、ならびに 、これら以外の他の重合性化合物から調製される重合性化合物全体の粘度としては 、特に制限するものではないが、通常、 10〜; 1 , 000, OOOcP (mPa ' s)であり、好ま しくは、混合時の取り扱い性の点で 100〜; 1 , 000, OOOcP (mPa' s)であり、より好ま しくは、 100—100, OOOcP (mPa- s)である。
[0144] 本発明の歯科用組成物中における必須構成成分である重合性化合物の全ての含 有量は、歯科用組成物の総重量中、 5〜50重量%の範囲内にあることが好ましぐよ り好ましくは、 10〜30重量%の範囲内である。
[0145] (重合開始剤)
本発明の歯科用組成物において使用される重合開始剤としては、特に限定される ものではなぐ公知の各種重合開始剤 (例えば、熱重合開始剤、常温重合開始剤ま たは光重合開始剤など)が好適に使用される。
[0146] 該熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、ジァゾ系化合物などが挙げられる 。これらの熱重合開始剤の中で有機過酸化物として、例えば、ジァセチルバーォキ サイド、ジイソブチルパーオキサイド、ジデカノィルパーオキサイド、ベンゾィルバーオ キサイド、スクシン酸パーオキサイドなどのジァシルバーオキサイド類;ジイソプロピル パーォキシジカーボネート、ジー 2—ェチルへキシノレパーォキシジカーボネート、ジ
ァリノレパーォキシジカーボネートなどのパーォキシジカーボネート類; tert ブチノレ パーォキシイソブチレート、 tert ブチノレネォデカネート、クメンバーォキシネオデカ ネートなどのパーォキシエステル類;ァセチルシクロへキシルスルホニルパーォキシ ドなどの過酸化スルホネート類等が挙げられる。
[0147] またジァゾ系化合物としては、 2, 2,ーァゾビスイソブチロニトリル、 4, 4'ーァゾビス
(4ーシァノ吉草酸)、 2, 2,ーァゾビス(4ーメトキシー 2, 4 ジメトキシバレロ二トリル) 、 2, 2'—ァゾビス(2—シクロプロピルプロピオ二トリル)などを挙げることができる。
[0148] 重合を短時間で行うことができる等の利点から、 80°Cでの分解半減期が 10時間以 下である化合物は好ましぐ上記化合物の中でも、ベンゾィルパーオキサイド、 2, 2' —ァゾビスイソブチロニトリルは、より好ましい化合物である。
[0149] 常温重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤と還元性化合物を組み合せて作 用させることによって常温で重合を開始する、いわゆるレドックス系重合開始剤、なら びに、単独で重合可能なトリアルキルホウ素誘導体などが具体例として挙げられる。
[0150] 力、かるレドックス系重合開始剤として、特に限定はなぐ公知の熱重合開始剤と還 元性化合物が使用される。すなわち、該レドックス系重合開始剤として使用される還 元性化合物として、例えば、 N, N ジメチルァニリン、 p— N, N ジヒドロキシェチ ノレァニリン、 N, N ジベンジルァ二リン、 N, N ジメチル一 p トルイジン、 N, N— ジェチルー p—トルィジン、 N, N ジヒドロキシ p トルイジン、 N, N ジメチルー p tert ブチルァニリン、 N, N ジメチルァニシジン、 N, N ジェチノレー p—クロ ルァニリン、 p— N, N ジメチルァミノ安息香酸、 p— N, N ジメチルァミノ安息香酸 メチル、 p— N, N ジェチルァミノ安息香酸メチル、 p— N, N ジェチルァミノ安息 香酸、 P— N, N ジメチルァミノ安息香酸ェチル、 p— N, N ジェチルァミノ安息香 酸ェチル、 p— N, N ジメチルァミノ安息香酸 2— n—ブトキシェチル、 p— N, N— ジェチルァミノ安息香酸 2— n—ブトキシェチル、 p— N, N ジメチルァミノべンズァ ノレデヒド、 p— N, N ジメチルァミノべンゾニトリル、 p— N, N ジェチルァミノべンゾ 二トリノレ、 p ジメチルァミノフエネチルアルコ一ノレ、 N, N ジメチルアミノエチルメタ クリレー卜、卜リエチノレ 7 "ミン、卜リフ"チノレ 7 "ミン、卜リプロピノレ 7 "ミン、 N ェチノレエタノ一 ノレアミン、 N フエニルグリシン、 N トリノレグリシン、 N— (3 メタクリロイルォキシ一 2
ーヒドロキシプロピル)フエニルグリシンなどのアミン化合物;ベンゼンスルフィン酸、 o トルエンスルフィン酸、 p トルエンスルフィン酸、ェチルベンゼンスルフィン酸、デ シルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン 酸などの芳香族スルフィン酸またはその塩類; 5—ブチルアミノバルビツール酸、 1 ベンジルー 5—フエ二ルバルビツール酸などのバルビツール酸誘導体;亜硫酸、重 亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チォ硫酸、 1亜 2チオン酸、次亜硫 酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩類 (例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、水素ナトリウ ム塩、水素カリウム塩など);等の有機または無機化合物が例示される。
[0151] また、前述の単独で重合可能な常温重合開始剤としては、例えば、トリプロピルホウ 素、トリイソプロピルホウ素、トリ一 n ブチルホウ素、トリー n アミノレホウ素、トリイソァ ミルホウ素、トリー sec—ァミルホウ素またはこれらの一部が部分酸化されたトリアルキ ルホウ素酸化物などが挙げられる。
[0152] 光重合開始剤は、可視光あるいは紫外線光の照射で励起されて重合を開始する 化合物であり、例えば、ベンジル、カンファーキノン、 α ナフチル、 ρ, ρ'ージメトキ シベンジル、ペンタジオン、 1 , 4 フエナントレンキノン、ナフトキノン、トリメチルベン ゾィルジフエニルフォスフィンォキシドなどの α—ジケトン化合物類またはリン原子含 有化合物などが例示される。
[0153] これらの化合物は単独で使用されてもよぐあるいは、 2種類以上を混合して使用さ れても差し支えない。
[0154] 重合開始剤として光重合型開始剤を使用する場合に重合性を向上させる目的で 光重合促進剤と組み合わせて使用することは好ましいことである。
[0155] 力、かる光重合促進剤としては、前述したようなレドックス系重合開始剤で用いられる 還元性化合物(例えば、ァミン化合物、芳香族スルフィン酸またはその塩類、バルビ ツール酸誘導体など)が使用される。
[0156] これらの化合物を光重合促進剤として使用する際には、単独で使用してもよぐある いは、 2種類以上を混合して使用しても差し支えなレ、。
[0157] これら化合物の中でも光重合促進剤として、 ρ— Ν, Ν ジメチルァミノ安息香酸ェ チル、 ρ— Ν, Ν ジメチルァミノ安息香酸メチル、 ρ— Ν, Ν ジメチルァミノ安息香
酸 2— n ブトキシェチル、 N, N ジメチルアミノエチルメタタリレートなどは、好まし い化合物である。
[0158] 光重合開始剤と光重合促進剤を併用する組み合わせの中でも、例えば、光重合開 始剤として、カンファーキノンまたはトリメチルベンゾィルジフエニルフォスフィンォキシ ドを使用し、光重合促進剤として、 p— N, N ジメチルァミノ安息香酸ェチルまたは p N, N ジメチルァミノ安息香酸 2— n ブトキシェチルを使用する組み合わせは、 さらに好ましい。
[0159] これらの重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、重合性化 合物 100質量部に対して、 0. 001〜; 10質量部であり、好ましくは 0. 00;!〜 5質量部 であり、より好まし <は、 0. 005〜2質量部である。
[0160] (充填材)
本発明の歯科用組成物はさらに必要に応じて、機械的強度の確保、 X線造影性の 付与などの目的で、充填材が添加されてよい。
[0161] 本発明に使用される充填材としては、特に限定するものではなぐ通常、公知の無 機または有機充填材が使用される。
[0162] 力、かる無機充填材として、例えば、周期律表第 I、 II、 III、 IV族、遷移金属またはこ れらの酸化物、塩化物、亜硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ケィ酸、あるいは、これらの混 合物が挙げられる。より具体的には、例えば、二酸化ケイ素、ランタンガラス、バリウム ガラス、ストロンチウムガラスなどのガラス粉末;石英粉末;硫酸バリウム、酸化アルミ二 ゥム、酸化チタン、ノ リウム塩、ガラスビーズ、ガラス繊維、フッ化バリウム、鉛塩、タル クを含有するガラスフィラー;シリカゲル、コロイダルシリカ、ジルコニウム酸化物、スズ 酸化物、炭素繊維、その他セラミックス粉末などが挙げられる。また無機充填材の中 でも、カチオン溶出性の充填材として、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチ ゥムなどの水酸化物; 酸化亜鉛、ケィ酸塩ガラス、フルォロアルミノシリケートガラス 等の酸化物などの無機化合物が挙げられる。
[0163] 有機充填材として、例えば、ポリメチルメタアタリレート、ポリェチルメタアタリレート、 ポリメチルメタアタリレート ポリェチルメタアタリレート共重合体、架橋型ポリメチルメ タアタリレート、架橋型ポリェチルメタアタリレート、エチレン 酢酸ビュル共重合体、
スチレン ブタジエン共重合体、アクリロニトリル スチレン共重合体、アクリロニトリル スチレン ブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、単独で使用されてもよく 、または、二種類以上を併用してもよい。
[0164] これらのほかに本発明に使用される充填材として、前記無機充填材に重合性化合 物を添加してペースト状にした後、重合された後で粉砕して得られる有機 無機複 合充填材が挙げられ、好適に使用される。
[0165] これらの充填材の中でも、無機充填材は好ましぐ前述したような各種ガラスを微粉 砕して得られるガラス粉末は、より好ましい。
[0166] 本発明において使用される充填材は、一般に、臨床治療においては充填物の存 在が X線写真で明瞭に確認できることが重要であるため、 X線造影性を有することが 好ましい。ガラス粉末に X線造影性を付与するためには、ガラス構成元素として、通 常ノ リウム、ストロンチウム、ジノレコニゥム、ビスマス、タングステン、ゲノレマニウム、モリ ブデン、ランタニド等の X線造影性を有する元素(重金属元素)が添加される。
[0167] 充填材の粒径、形状に、特に制限はなぐ充填材の平均粒子径は、通常、 0. 0;!〜
100〃mであり、好ましく (ま、 0. 0;!〜 50〃 mであり、より好ましく (ま、 0. 01— l O ^ m であり、さらに好ましくは、 0. 1〜3 111である。
[0168] また、充填材の屈折率は 1. 53— 1. 67であり、より好ましくは、 1. 54—1. 65であ
[0169] 本発明の歯科用組成物においては、重合性化合物の硬化物(レジンマトリックス) の屈折率と充填材の屈折率の差が 0. 05以下であるように重合性化合物の配合を調 整する力、、そのような屈折率を有する充填材を選択することが
好ましぐ該屈折率の差が 0. 02以下であることがより好ましい。
[0170] 本発明の歯科用組成物において含まれる充填材の含有量は、重合性化合物 100 質量部に対して、通常、 5〜2000質量部であり、好ましくは、 100〜; 1000質量部で あり、より好ましくは、 100〜700質量部である。
[0171] 本発明の歯科用組成物は、必須構成成分として一般式(1)で表されるリン酸エステ ル化合物および/またはその金属塩を含む重合性化合物および重合開始剤、なら びに必要に応じて充填材を含有している力 S、所望の効果を損なわない限りにおいて
、公知の各種添加剤を含有していてもよい。力、かる添加剤として、例えば、色素、顔 料、染料、安定剤、ポリマー粉末、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、溶媒( 例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、トノレェン、ジクロロメタン、メタノーノレ、エタノー ノレ、酢酸ェチル等の有機溶媒、水など)、増粘剤(例えば、ポリビュルピロリドン、カル ボキシメチルセルロース、ポリビュルアルコールなど)、殺菌剤、消毒剤、安定化剤、 保存剤等が挙げられる。
[0172] 本発明の歯科用組成物の製造方法としては、特に制限されるものではなぐ従来か ら公知の方法により好適に実施される。すなわち、例えば、歯科修復用のコンポジッ トレジンの場合では、重合性化合物、重合開始剤、充填材、さらに所望に応じて各種 添加剤を所定量秤り取り、これらを混合、混鍊してペースト状の組成物を調製する方 法などが挙げられる。
[0173] 重合性化合物を使用する際に不溶物または異物を除去するために、重合前に濾 過などの操作によって精製することは好ましい。また、硬化物中での気泡の生成を防 止する目的で、該組成物を減圧下で充分に脱気、脱泡することは好ましい。
[0174] 本発明の歯科用組成物の使用法として、例えば、歯科修復用のコンポジットレジン では、上記の方法で製造されたペースト状の組成物を、直接患者の窩洞内に充填し て歯科治療に用いられる照射光を照射することにより硬化される方法、成形されるべ き歯冠力インレーやクラウンの場合には、患者の口腔内印象から作成された窩洞歯、 支台歯の模型上に、上記ワンペースト状の組成物を、歯冠形態を再現するように築 盛した後、同様に活性光線を照射することにより硬化する方法が例示される。
[0175] 本発明の歯科用組成物の重合、硬化は、紫外線または可視光線などの活性光線 の照射により、好適に実施される。活性光線の光源として、例えば、蛍光灯、各種水 銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプまたは太陽光などが使用さ れる。
[0176] 活性光線の照射時間は、活性光線の波長、強度、充填時の歯科用組成物の形状 などにも影響されるので、特に限定するものではないが、通常、 1秒〜 5分である。重 合、硬化の際の温度は、通常 0〜; 100°C、好ましくは 5〜60°Cの範囲である。重合、 硬化は、歯科治療面での都合および患者への影響、負担など考慮して、常温付近(
20〜40°C)で、なるべく短時間で完了するのが好ましぐ特に;!〜 30分間で終了さ せるように、組成を調整してもよい。
[0177] また、例えば、硬質メタタリルレジン系人工歯の製造方法としては、重合性化合物、 重合開始剤および充填材の各々所定量を秤り取り、必要に応じて、着色剤、顔料な どを添加して均一になるまで混鍊してペースト状の組成物を調製する。次いで、該組 成物を人工歯金型に揷入して加圧成形する。すなわち、例えば、該組成物を金型内 で加圧したまま金型を加熱することにより重合成形させる。重合触媒としては、前述し たような熱重合開始剤が好適に用いられる。重合終了後、該金型より成形物を取り出 して人工歯が得られる。
[0178] 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例 に限定されるものではない。
[0179] [合成例 1]
<不飽和二重結合含有化合物 2— ϋ 1の製造〉
2— (4, 一ァミノフエ二ル)一 2— (4, 一ヒドロキシフエ二ノレ)プロパン 168· 2g (0. 7 4モル)と N, N ジメチルァセトアミド 350gを混合、溶解して得られた溶液に対して 、 40。Cでメタクリノレ酸クロリド 77. 0g (0. 74モノレ)を 2日寺間力、けて滴下した。 50。Cで さらに 1時間加熱した後、液体クロマトグラフィーで反応がほぼ完結していることを確 認した上で、室温まで冷却した。酢酸ェチル 300mlを加えて希釈した後、水相が中 性になるまで水洗、分液を行い、その後、有機相を取り出した。減圧下、溶媒を留去 して濃縮した時点で析出した固体を濾過して集めた。これをメタノール/水混合溶媒 でスラッジ精製して、無色粉末状結晶の 2— (4'—メタクリロイルァミノフエニル) 2— (4,ーヒドロキシフエニル)プロパン [下記式(2— ii 1)の化合物] 180· 7g (0. 62 モル)を得た。
収率 82%、純度(HPLC面積法) 99%。
[0181] <リン酸エステル化合物 1 1の製造〉
塩化ホスホリル 73.6g(0.48モル)、テトラヒドロフラン 100mlを秤取、混合して得 られた溶液を 5°Cに冷却した。該溶液に対して、合成例 1で製造した化合物 118 • 2g(0.40モノレ)、トリエチノレアミン 48.6g(0.48モノレ)およびテトラヒドロフラン 20 Omlの混合溶液を 2時間かけて滴下した後、さらに同温度で 1時間攪拌して液体クロ マトグラフ分析により原料の消失を確認した。ついで、 0°Cで該反応液に対して、水 2 5.2g(l.4モノレ)、トリエチノレアミン 80.9g(0.8モノレ)およびテトラヒドロフラン 5. 7gの混合液を滴下して加水分解した。
[0182] 反応液に n ブタノール 300mlを加えて抽出して、水洗、分液した後、有機相を取 り出して減圧下に溶媒を留去して、微黄色透明粘稠液体の 4 [1'一(4" メタァク リロイルァミノフエニル)ー1,ーメチルェチノレ]フエニルホスフェート、 [下記式(1— 1) の化合物] 148.2gを得た。
収率 90%、純度(HPLC面積法) 92%。
[0183] 得られた化合物のスペクトルデータ、質量分析の結果は以下の通りである。
•H1-NMR 6 (DMSO-d6): 1.58 (s、 6H)、 1.92 (s、 3H)、 2.05 (s、 2H) 、 5.46(m、 1H)、 5.78(m、 1H)、 7.00〜7.20(m、 6H)、 7.50〜7.60(d、 2 H)、 8.00—8.05(br、 1H)
•IR(cm—丄): 1661、 1219、 971
•FD-MS(m/e): 376(M+1)、 375(M)、 295(M— 80)
[0184] [化 17]
<不飽和二重結合含有化合物 2— ϋ 2の製造〉
ρ ァミノフエノーノレ 32. 7g (0. 30モノレ)と N, N ジメチノレアセトアミド 80gを混 合、溶解して得られた溶液に対して、 50°Cでメタクリル酸クロリド 29. 8g (0. 285モ ル)を 2時間かけて滴下した。 50°Cでさらに 2時間加熱した後、液体クロマトグラフィー で反応がほぼ完結していることを確認した上で、室温まで冷却した。酢酸ェチル 75 Ogおよび蒸留水 1300gをカロえて水洗、分液を行い、さらに有機相を NaHCO水で
3 洗浄した。その後、有機相にトルエン 200gを加えて減圧下、溶媒を留去した。途中 トルエン 400gを 2回に分けて追加しながら濃縮を行い、固体が析出した時点で終 了した。得られた固体にトルエン 500gを加えてスラッジングした後、濾過、洗浄して 湿体を得た。窒素気流下 40°Cにて乾燥し粉末状結晶の 4ーメタクリロイルアミノフエノ ール [下記式(2 ii 2)の化合物] 36· 7g (0. 207モル)を得た。
収率 72· 6%、純度(HPLC面積法) 98. 2%。
[0186] <リン酸エステル化合物 1 2の製造〉
塩化ホスホリノレ 44. 9g (0. 29モノレ)、テトラヒドロフラン 40. Ogを秤取、混合して得 られた溶液を 5°Cに冷却した。該溶液に対して、合成例 2で製造した化合物 [2— ii 2] 34. 6g (0. 195モノレ)、トリエチノレアミン 29. 6g (0. 29モノレ)およびテトラヒド 口フラン 80gの混合溶液を 5°C〜0°Cを維持しながら 2時間かけて滴下した後、さら に 3°Cで 1. 5時間攪拌して液体クロマトグラフ分析により原料の消失を確認した。つ レヽで、 3。Cで該反応 ί夜 ίこ対して、水 125· 0g (6. 9モノレ)、トリエチノレアミン 39. 5g (0 . 39モル)およびテトラヒドロフラン 0· 3gの混合液を滴下して 25時間加水分解した
[0187] 次いで、反応液に酢酸ェチル 75. Og、トルエン 75. 0gおよび蒸留水 100
加え、洗浄、分液して有機相を除去した。得られた水相を 300gの n ブタノールで、 抽出操作を 2回実施した。得られた有機相に 10wt%塩酸水を添加した。水相を除去 した後、トルエン 200gを加えて、減圧下、共沸脱水を行い、その後トルエンを追加 して n-ブタノールを置換しつつ濃縮した。途中、固体が析出した時点で濃縮を終了 し、濾過、トルエン洗浄後に窒素気流下 40°Cで乾燥し、 4ーメタクリロイルァミノフエ二 ルホスフェート、 [下記式(1 2)の化合物] 38. lgを得た。
収率 76. 0%、純度(HPLC面積法) 95. 0%
[0188] 得られた化合物のスペクトルデータ、質量分析の結果は以下の通りである。
•H1 -NMR δ (DMSO-d6): 1. 94(3H CH )、 5. 50および 5. 80 (2H、
3
=CH )、 7. 01— 7. 63 (4H、芳香環)、 9· 77(1Η、— ΝΗ— )
2
•IR (cm— : 3343および 1530(— NHCO— )、 1650 (C = C)、 1212 (P = 0)、 9 84 (P— OH)
•FD-MS : 258 (M + H)、 515 (2M + H)
[0190] [合成例 3]
<不飽和二重結合含有化合物 2— ϋ 3の製造〉
m—ァミノフエノーノレ 32. 7g (0. 30モノレ)と N, N ジメチノレアセトアミド 80gを混 合、溶解して得られた溶液に対して、 50°Cでメタクリル酸クロリド 29. 8g (0. 285モ ノレ)を 2時間かけて滴下した。 50°Cでさらに 2時間加熱した後、液体クロマトグラフィー で反応がほぼ完結していることを確認した上で、室温まで冷却した。酢酸ェチル 15 Ogを加えて抽出、分液を行った。得られた有機相を一夜放置し、析出した固体を濾 取、トルエン洗浄し、窒素気流下 40°Cにて乾燥して 3 メタクリロイルァミノフエノール [下記式(2 ii 3)の化合物] 26· 0g (0. 147モル)を得た。
収率 51 · 6%、純度(HPLC面積法) 99. 3%
[0191] [化 20]
[0192] <リン酸エステル化合物 1 3の製造〉
塩化ホスホリノレ 32· 2g (0. 21モノレ)、テトラヒドロフラン 30. Ogを秤取、混合して得 られた溶液を 5°Cに冷却した。該溶液に対して、合成例 3で製造した化合物 [2— ii 3] 34. 6g (0. 195モノレ)、トリエチノレアミン 21. 3g (0. 21モノレ)およびテトラヒド 口フラン 60gの混合溶液を 5°C 0°Cに維持しながら 2時間かけて滴下した後、さら に 3°Cで 1. 5時間攪拌して液体クロマトグラフ分析により原料の消失を確認した。つ レヽで、 3 Cで該反応 ί夜 ίこ対して、水 90· 0g (5. 0モノレ)、卜リエチノレアミン 28. 3g (0 . 28モル)およびテトラヒドロフラン 0· 3gの混合液を滴下して 25時間加水分解した
[0193] 次いで、反応液を 200gの n ブタノールで、 2回抽出し、得られた有機相に 10wt %塩酸水を添加した。水相を除去した後、トルエン 200gを加えて、減圧下、共沸脱 水を行い、その後トルエンを追加して n ブタノールを置換しつつ濃縮した。最終的 に 3—メタクリロイルァミノフエニルホスフェート [下記式(1 3)の化合物]の結晶 27. 2gを得た。
収率 75. 8%、純度(HPI 面積法) 98. 0%
[0194] 得られた化合物のスペクトルデータ、質量分析の結果は以下の通りである。
•H1 -NMR δ (DMSO-d6): 1. 96(3H、 _CH )、 5. 52および 5. 83 (2H =
3
CH )、 6. 90—7. 66 (4H、芳香環)、 9. 90(1H NH―)、 11. 4(2H、 P— OH)
2
•IR (cm— : 3384および 1605(— NHCO— )、 1655 (C = C)、 1189 (P = 0)、 1 000 900 (P— OH)
•FD-MS : 258 (M + H)、 515 (2M + H)
[0196] [合成例 4]
<不飽和二重結合含有化合物 2— ϋ 4の製造〉
m—ァミノフエノーノレ 32. 7g (0. 30モノレ)と N, N ジメチノレアセトアミド 80gを混 合、溶解して得られた溶液に対して、 50°Cでアクリル酸クロリド 25. 8g (0. 285モル )を 2時間かけて滴下した。 50°Cでさらに 2時間加熱した後、液体クロマトグラフィーで 反応がほぼ完結して!/、ることを確認した上で、室温まで冷却した。
[0197] 酢酸ェチル 200gおよび蒸留水 200gを加えて水洗、分液を行い、さらに有機相 を NaHCO水で洗浄した。その後、有機相にトルエン 200gを加えて減圧下、溶媒
3
を留去した。途中トルエン 400gを 2回に分けて追加しながら濃縮を行い、固体が析 出した時点で終了した。得られた固体にトルエン 500gを加えてスラッジングした後 、濾過、洗浄して湿体を得た。窒素気流下 40°Cにて乾燥し、粉末状結晶の 3—アタリ ロイルァミノフエノール [下記式(2 ii 4)の化合物] 28· 9g (0. 177モル)を得た
〇
収率 62. 1 %、純度(HPLC面積法) 99. 2%。
[0198] [化 22]
<リン酸エステル化合物 1 4の製造〉
塩化ホスホリノレ 39· lg (0. 255モノレ)、テトラヒドロフラン 30. Ogを秤取、混合して 得られた溶液を 5°Cに冷却した。該溶液に対して、合成例 4で製造した化合物 [2 ii 4] 27. 7g (0. 17モノレ)、 卜リュチノレ ミン 25. 8g (0. 255モノレ)およびテ卜ラ ヒドロフラン 60gの混合溶液を 5°C〜0°Cに維持しながら 2時間かけて滴下した後、
さらに 3°Cで 1. 5時間攪拌して液体クロマトグラフ分析により原料の消失を確認した。 っレヽで、 3。Cで該反応 ί夜 ίこ対して、水 110· 0g (6. 1モノレ)、卜リエチノレアミン 34. 4g (0. 34モル)およびテトラヒドロフラン 0· 3gの混合液を滴下して 25時間加水分解し た。
[0200] 次いで、反応液を 200gの n ブタノールで、 2回抽出し、得られた有機相に 10wt %塩酸水を添加した。水相を除去した後、トルエン 200gを加えて、減圧下、共沸脱 水を行い、その後トルエンを追加して n-ブタノールを置換しつつ濃縮した。最終的に 3 アタリロイルァミノフエニルホスフェート [下記式( 1 4)の化合物]の粘稠水溶液 4 2. 2gを得た。水分は 24wt%であった。
収率 72· 6%、純度(HPLC面積法) 97. 7%。
[0201] 得られた化合物のスペクトルデータ、質量分析の結果は以下の通りである。
•H1 -NMR δ (DMSO-d6) : 5. 70〜5. 73および 6. 22〜6. 26 (2H、 =C H )、 6. 36— 6. 44 (1H、 =CH)、 6. 87—7. 61 (4H、芳香環)、 10. 30(1H、 -
2
NH-)
•IR (cm— : 1600(C = O)、 1659 (C = C)、 1215 (P = 0)、 951 (P— OH) •FAB -MS : 242 (M— H)、 485 (2M— H)
[0202] [化 23]
[0203] [合成例 5]
<不飽和二重結合含有化合物 2— ϋ 5の製造〉
ρ 二卜口クロ口ベンゼン 31. 5g (0. 20モノレ)、ノヽイドロキノン 44. 04g(0. 40モ ル)をジメチルホルムアミド 150gに溶解した後、炭酸カリウム 13. 8g (0. 10モル) を添加、昇温して 120°Cで反応を行った。 13時間後に原料 p 二トロクロ口ベンゼン が消失したのを確認し冷却した。
[0204] 反応液に蒸留水 300g、トルエン 500gを添加し抽出、分液を行った。得られた有
機相を濃縮して得られた残渣をエタノールに溶解した後、蒸留水を添加して再沈殿、 濾過、乾燥を行い、 4- (4'一二トロフエノキシ)フエノールの褐色結晶 40· 2gを得た( 粗収率 87· 0%)。該結晶 20· 0gをエタノール 120gに溶解し、 5%Pd/C触媒の 存在下、接触水素化還元を実施した。反応終了後、触媒を濾別して得られた溶液に 蒸留水を添加して再沈殿を行い、濾過、乾燥して 4一(4' アミノフエノキシ)フエノー ルの結晶 14. 8gを得た。粗収率 85. 0%、純度(HPLC面積法) 98. 0%であった
[0205] 得られた 4— (4 '―アミノフエノキシ)フエノール 13. 5g (0. 065モノレ)と N, N ジ メチルァセトアミド 40. 0gを混合、溶解して得られた溶液に対して、 50°Cでメタタリ ノレ酸クロリド 7. 81g ( 0. 0748モノレ)を 1. 5日寺間力、けて滴下した。 50。Cでさらに 2 時間加熱した後、液体クロマトグラフィーで反応がほぼ完結して!/、ることを確認した上 で、室温まで冷却した。反応マスに酢酸ェチル 100gおよび蒸留水 100gを加えて希 釈、水相を除去した後に、 5%重曹水で洗浄し、得られた有機相にトルエンを加えつ つ減圧下で溶媒を留去し、析出した固体を濾取し、さらにトルエンでスラッジ洗浄、乾 燥し粉末状結晶の 4一(4'ーメタクリロイルアミノフエノキシ)フエノール [下記式(2— ii 5)のィ匕合物] 15. 9g (0. 059モノレ)を得た。
収率 90. 8%、純度(HPLC面積法) 97. 6%。
<リン酸エステル化合物 1 5の製造〉
塩化ホスホリル 12· 7g (0. 083モル)、テトラヒドロフラン 12gを混合して得られた 溶液を 5°Cに冷却した。該溶液に対して、合成例 5で製造した化合物 [2— ii 5] 15. 9g (0. 059モノレ)、トリエチノレアミン 8. 36g (0. 083モノレ)およびテトラヒドロフラ ン 24gの混合溶液を 0°C以下に保持しつつ 1. 5時間かけて滴下した後、さらに 0°C〜 3°Cにて 1時間攪拌して反応を完結させた。ついで、 0°Cで該反応液に対して、水 41
g (2. 28モノレ)、 トリュチノレ ミン 11. 9g (0. 118
10gの混合液を滴下して 3°Cで 20時間加水分解した。
[0208] 得られた反応液に n ブタノール 200gおよび蒸留水 100gを加えて抽出して、水洗
、分液した後、有機相を取り出して減圧下に溶媒を留去して、得られた残渣を、メタノ ール/水で再結晶して 4 (4"ーメタクリロイルアミノフエノキシ)フエニルホスフェート
、 [下記式(1 5)の化合物] 14· 8gを得た。
収率 72%、純度(HPLC面積法) 95%
[0209] 得られた化合物のスペクトルデータ、質量分析の結果は以下の通りである。
•H1 -NMR δ (DMSO— d6) : 1. 96 (3H CH )、 5. 51および 5. 82 (2H
3
=CH )、 6. 97—7. 72 (8H、芳香環)、 9. 83(1H NH―)、 10. 34 (P— OH)
2
•IR (cm— : 1500 (C =〇)、 1644 (C = C)、 1201 (P = O)、 985 (P— OH) •FD-MS : 350 (M + H)、 699 (2M + H)
[0211] [実施例 1]
<重合性組成物 1の調製〉
合成例 1で製造した式( 1 1 )の不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物
ボニルァミノ)へキサン [ UDMA;新中村化学工業 (株)製] 80重量部、ネオペンチ ルグリコールジメタタリレート [NPG;新中村化学工業 (株)製] 20重量部、微粉末シリ 力 [RM— 50 ;日本エアロジル(株)製] 80重量部およびメトキシハイドロキノン 0· 01 重量部をそれぞれ秤取して、めのう製乳鉢で均一なペースト状になるまでよく混合し た。こうして無色半透明ペースト状の重合性組成物 1を得た。
[実施例 2 5]
<重合性組成物 2 5の調製〉
合成例 1で製造した式( 1 1 )の不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 の代わりに、合成例 2〜5で製造した式(1 2)〜(; 1 5)の不飽和二重結合を含有 するリン酸エステル化合物をそれぞれ用いた以外は実施例 1と同様にして、無色半 透明ペースト状の重合性組成物 2〜5を得た。
[0213] [実施例 6〜; 10]
<重合性組成物:!〜 5の硬化、ならびに、硬化物の物性評価〉
文献記載の公知の方法 (特開平 2— 117906号公報など)に従って接着性試験を fiなった。すなわち、ステンレスま岡板(SUS304、 10mm X 10mm X 3mm)の表面を エメリーペーパー # 600にて研磨した後、超音波洗浄器を用いてアセトン中で 10分 間超音波洗浄した。その表面に直径 5mmの穴を有する厚さ 2mmのポリテトラフルォ 口エチレンからなるモールドを両面テープにて接着した。
[0214] 実施例 1〜 5で調製した重合性組成物 1〜 5をそれぞれ該モールド内に充填して、 窒素雰囲気のイナートオーブン中で、 50°Cで 3時間、 60°Cで 3時間、 70°Cで 1時間 、 80°Cで 1時間、 90°Cで 3時間の条件で順次加熱して、重合、硬化を行なった。
[0215] 硬化終了後、試料からモールドを取り外して、ステンレス鋼板と樹脂硬化物との接 着力を調べたところ、良好な接着力を示しており実用上何ら問題ない物性であった。 産業上の利用可能性
[0216] 本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル化合物 および/またはその金属塩を用いることにより、保存安定性に優れ、操作が簡便で、 かつ、さらに高い接着性および接着耐久性を有するボンディング材、接着材 '合着材 などの歯科用材料および歯科用組成物を提供することが可能となる。
[0217] 本発明の歯科用材料としては、歯科治療において使用される有機材料を用いた歯 科材料全般、例えば、歯冠用レジン、人工歯などの歯冠用材料、コンポジットレジン、 根管充填材、ボンディング材などの歯科充填用材料、レジンセメント、矯正用接着材 などの歯科用接着材'合着材、フィッシャーシーラント、コーティング材、クラウン ·プリ ッジ 'インレー用レジン、支台築造材、義歯床用レジン、義歯床補修用レジンなどが 挙げられる。
[0218] さらに、本発明の一般式(1)で表される不飽和二重結合を含有するリン酸エステル
化合物および/またはその金属塩は (メタ)アクリル系樹脂の改質剤として有用であり 、歯科用材料以外の各種コーティング材料、接着材料、成型材料などにも使用され