明 細 書
プロピレンの製造方法
技術分野
[0001] 本発明は炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少 なくとも 1つを含む原料混合物からプロピレンを製造する方法に関するものである。 背景技術
[0002] プロピレンを製造する方法としては、従来からナフサゃェタンのスチームクラツキン グ、減圧軽油の流動接触分解が一般的に実施されており、近年ではエチレンと 2— ブテンを原料としたメタセシス反応、炭素数 4以上のォレフィンの接触クラッキング、さ らにメタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを原料とした MTOプロセ スも注目を浴びている。一方、炭素数 4以上のォレフィンとメタノール等の含酸素化合 物を原料として低級ォレフィンを製造する方法も知られている(特許文献 1)。
特許文献 1 :米国特許第 6888038号
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] 従来、プロピレンを製造する方法としては、数多くの提案がなされており、そのほと んどは反応と精製それぞれにつ!/、て方法が開示されて!/、る力 炭素数 4以上のォレ フィンとメタノール等の含酸素化合物を原料とする方法につ!/、ては、反応自体の提案 はなされているものの、反応器より後流側の精製系を含めたプロセスについては提案 されていなかった。
そこで本発明は、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテル のうち少なくとも 1つを反応させてプロピレンを製造するための新規で経済的なプロセ スを提供することを第 1の目的とする。
[0004] 一方、現在エチレンやプロピレンの製造法としての主流であるスチームクラッキング プロセスでは、製造するエチレンとプロピレンの割合を大きく変えられないが、本発明 のプロセスをスチームクラッキングプロセスと統合することにより、エチレンとプロピレン の割合を著しく大きく変えることが可能である。さらに、この二つのプロセスを統合する
ことにより、互いのプロセスで不要となる流体の有効利用が可能となるため、その相乗 効果により著しく効率的なプロセス構築が期待される。
よって、本発明は、本プロセスとスチームクラッキングを統合した新規で経済的なプ 口セスを提供することを第 2の目的とする。
課題を解決するための手段
[0005] 炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1 つとを反応させてプロピレンを得る反応について本発明者らが検討したところ、次の ような知見を得た。
[0006] 反応によって消費されるォレフイン量が多すぎると芳香族化合物やパラフィンなど の望ましくない化合物の副生が顕著になり、一方、消費されるォレフイン量が少なす ぎるとプロピレンの収率が低すぎるものとなる。温度、圧力、分圧、空間速度などの反 応条件を適切に設定し、消費されるォレフイン量をある特定の範囲に制御することに より、高選択率且つ高収率でプロピレンが得られる。このような条件で反応を行う場合 、反応器出口流体中には反応原料と成り得る炭素数 4以上のォレフィンが多く含まれ ることから、それらの化合物は反応器にリサイクルすることが好ましレ、。
[0007] 一方、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なく とも 1つとの反応では微量ながら芳香族化合物やパラフィンも生成し、反応器出口流 体中に含まれる。特に、炭素数 4以上のォレフィン原料としてパラフィンを含有する 原料を使用した場合には、反応器出口流体中のパラフィン濃度は増大する。ノ ラフィ ン類は反応器内でほとんど反応しないため、炭素数 4以上のォレフィンと共に反応器 にリサイクルした場合には系内にパラフィンが濃縮し、蓄積されていく。このため、パラ フィン類を含む流体の一部を系内から抜き出すことが好ましい。この場合、抜き出す 流体は、有効利用できるような組成の流体にすることが好ましい。
[0008] また、リサイクルされる炭素数 4以上のォレフィン流体中に芳香族化合物が特定の 濃度以上存在すると、それらの芳香族化合物と炭素数 4以上のォレフィンとの反応や 、芳香族化合物とメタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つとの反応が 顕著になり、供給した炭素数 4以上のォレフィンやメタノールおよびジメチルエーテル のうち少なくとも 1つが必要以上に消費されてしまい好ましくない。
さらに、芳香族化合物が反応器に供給された場合には、前記炭素数 4以上のォレ フィンとの反応で生成した化合物が触媒の孔を閉塞させることにより触媒の劣化も促 進されるため、反応器出口流体中に存在する芳香族化合物はできるだけ系内から抜 き出し、反応器にリサイクルする流体中の芳香族化合物濃度を低くすることが好まし い。この場合にも抜き出す流体は、有効利用できるような組成の流体にすることが好 ましい。
[0009] このように、本発明者らは、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチル エーテルのうち少なくとも 1つを原料としてプロピレンを製造する方法における種々の 課題を見出し、それらの課題を解決できるプロセスを構築することにより、少ない原料 を用いて、触媒の劣化を抑えながら高い収率でプロピレンを製造できることを見出し た。
さらに、本プロセスから抜き出す流体をスチームクラッキングプロセスに供給し、また スチームクラッキングプロセスにおける流体を本プロセスに供給することにより、価値 の低い流体の有効利用を可能とし、著しく効率的なプロセスを実現できることを見出 した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[0010] [1]炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを含む原料を触媒の存在下、反応器中で接触させてプロピレンを製造する方法 において、
該反応器出口流出ガス(反応器出口ガス)中において含まれる芳香族化合物の少な くとも一部は抜き出すと共に、該反応器出口流出ガス(反応器出口ガス)中にお!/、て 含まれる炭素数 4以上のォレフィンの少なくとも一部を該反応器にて再度触媒と接触 させることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[2] [1]において、前記炭素数 4以上のォレフィン原料が、炭素数 4以上のパラフィン 類を含有することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[3] [2]において、前記パラフィン類がノルマルブタンおよびイソブタンのうち少なくと も 1つを含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[4] [1]ないし [3]のいずれかにおいて、前記反応器に供給される原料中にブタジ
ェンを含有することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[5] [1]ないし [4]のいずれかにおいて、前記反応器に供給される全原料に含まれ る芳香族化合物の合計量が、該全原料に含まれる炭素数 4以上のォレフィンの合計 量に対してモル比で 0. 05未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[6] [1]から [5]のいずれかにおいて、前記反応器に供給する炭素数 4以上のォレフ インの量力、該反応器に供給するメタノールのモル数とジメチルエーテルのモル数の 2倍との合計に対して、モル比で 0. 2以上 10以下であることを特徴とするプロピレン の製造方法。
[7] [1]から [6]のいずれかにおいて、前記反応器に供給される全原料に含まれる炭 素数 4以上のォレフィンとメタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)を 20 体積%以上 80体積%以下に制御することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[8]炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つとを含む原料を、触媒の存在下、反応器中で接触させてプロピレンを製造する方 法において、以下の工程(1) , (2)および(3A)を含むプロセスよりなることを特徴とす るプロピレンの製造方法。
工程(1):炭素数 4以上のォレフィン原料、工程 (3A)からリサイクルされた炭化水素 流体(D)、並びに、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを反応器 に供給し、反応器出口の炭素数 4以上のォレフィンのモル流量が反応器入口の該ォ レフインのモル流量に対して 20%以上 90%未満になるような反応条件で前記触媒と 接触させ、反応器出口から、プロピレンと、その他のォレフィン、パラフィン類、芳香族 化合物および水を含有するガス(反応器出口ガス)を得る工程
工程(2):前記工程(1)からの反応器出口ガスを、炭素数 3以下の炭化水素に富ん だ流体、炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A)、および水に富んだ流体に分 離する工程
工程 (3A):前記工程(2)における流体 (A)の少なくとも一部の流体(C)を、芳香族化 合物濃度が該流体 (C)より低!/、流体 (D)と炭素数 4の炭化水素濃度が該流体 (C)よ り低い流体 (E)とに分離し、前記流体 (D)は反応器にリサイクルし、前記流体 (E)を 該プロセスから抜き出す工程
[9] 炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくと も 1つとを含む原料を、触媒の存在下、反応器中で接触させてプロピレンを製造する 方法において、以下の工程(1) , (2)および (3A)を含むプロセスよりなることを特徴と するプロピレンの製造方法。
工程(1):炭素数 4以上のォレフィン原料、工程 (3A)からリサイクルされた炭化水素 流体(D)、並びに、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを反応器 に供給し、反応器出口の炭素数 4以上のォレフィンのモル流量が反応器入口の該ォ レフインのモル流量に対して 20%以上 90%未満になるような反応条件で前記触媒と 接触させ、反応器出口から、プロピレンと、その他のォレフィン、パラフィン類、芳香族 化合物および水を含有するガス(反応器出口ガス)を得る工程
工程(2):前記工程(1)からの反応器出口ガスを、炭素数 3以下の炭化水素に富ん だ流体、炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A)、および水に富んだ流体に分 離する工程
工程 (3A):前記工程(2)における流体 (A)の一部(B)を該プロセスから抜き出し、残 りの流体 (C)を、芳香族化合物濃度が該流体 (C)より低!/ヽ流体 (D)と炭素数 4の炭 化水素濃度が該流体(C)より低!/、流体 (E)とに分離し、前記流体 (D)は反応器にリ サイクルし、前記流体 (E)を該プロセスから抜き出す工程
[10] [8]または [9]において、前記反応器が直列に接続された二つ以上の反応部 力、らなり、前記反応器に供給する炭素数 4以上のォレフィン原料; メタノールおよび ジメチルエーテルのうち少なくとも 1つ; 並びに、リサイクルされた炭化水素含有流体 (D)のうち少なくとも一つを、第 1段目の反応部と第 2段目以降の反応部とに分割し て供給することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[11] [8]から [10]のいずれかにおいて、前記流体(B)をスチームクラッキングプロ セスに供給し、クラッカー原料として利用することを特徴とするプロピレンの製造方法
[12] [11]において、前記流体 (B)の少なくとも一部を水素添加触媒と接触させた 後、スチームクラッキングプロセスに供給することを特徴とするプロピレンの製造方法
[13] [8]ないし [12]のいずれかにおいて、前記流体 (B)に含まれる芳香族化合物 濃度の合計が 5. 0体積%未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[14] [8]ないし [13]のいずれかにおいて、前記流体(E)をスチームクラッキングプ 口セスの分解ガソリン留分に混合することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[15] [8]ないし [14]のいずれかにおいて、前記流体 (E)に含まれる炭素数 4の炭 化水素の合計濃度が 5重量%未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[16] [8]ないし [15]のいずれかにおいて、前記流体(B)および前記流体(E)の流 量を制御することにより、前記反応器に供給される全原料に含まれる炭素数 4以上の ォレフインとメタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)を 20体積%以上 80体積%以下に制御することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[17]炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくと も 1つとを含む混合物を、触媒の存在下、反応器中で接触させてプロピレンを製造す る方法において、以下の工程(1) , (2)および (3B)を含むプロセスよりなることを特徴 とするプロピレンの製造方法。
工程(1):炭素数 4以上のォレフィン原料、工程 (3B)からリサイクルされた炭化水素 流体(I)並びに、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを反応器に 供給し、反応器出口の炭素数 4以上のォレフィンのモル流量が反応器入口の該ォレ フィンのモル流量に対して 20%以上 90%未満になるような反応条件で触媒と接触さ せ、反応器出口から、プロピレンと、その他ォレフィン、パラフィン類、芳香族化合物 および水を含有するガス(反応器出口ガス)を得る工程
工程(2) :前記工程(1)からの反応器出口ガスを炭素数 3以下の炭化水素に富んだ 流体、炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A)、および水に富んだ流体に分離 する工程工程 (3B):前記工程(2)における流体 (A)を、芳香族化合物濃度が流体( A)より低!/、流体 (G)と炭素数 4の炭化水素濃度が流体 (A)より低!/、流体 (F)とに分 離し、前記前記流体 (G)の少なくとも一部(I)は反応器にリサイクルし、残りの流体 (H )を該プロセスから抜き出す工程
[18] 炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なく とも 1つとを含む混合物を、触媒の存在下、反応器中で接触させてプロピレンを製造
する方法において、以下の工程(1) , (2)および(3B)を含むプロセスよりなることを特 徴とするプロピレンの製造方法。
工程(1):炭素数 4以上のォレフィン原料、工程 (3B)からリサイクルされた炭化水素 流体(I)並びに、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを反応器に 供給し、反応器出口の炭素数 4以上のォレフィンのモル流量が反応器入口の該ォレ フィンのモル流量に対して 20%以上 90%未満になるような反応条件で触媒と接触 させ、反応器出口から、プロピレンと、その他ォレフィン、パラフィン類、芳香族化合物 および水を含有するガス(反応器出口ガス)を得る工程
工程(2) :前記工程(1)からの反応器出口ガスを炭素数 3以下の炭化水素に富んだ 流体、炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A)、および水に富んだ流体に分離 する工程工程 (3B):前記工程(2)における流体 (A)を、芳香族化合物濃度が流体( A)より低!/、流体 (G)と炭素数 4の炭化水素濃度が流体 (A)より低!/、流体 (F)とに分 離し、前記流体 (F)を該プロセスから抜き出すと共に、前記流体 (G)の一部(I)は反 応器にリサイクルし、残りの流体 (H)を該プロセスから抜き出す工程
[19] [17]または [18]において、前記反応器が直列に接続された二つ以上の反応 部からなり、前記反応器に供給する炭素数 4以上のォレフィン原料; メタノールおよ びジメチルエーテルのうち少なくとも 1つ; 並びに、リサイクルされた炭化水素含有流 体 (I)のうち少なくとも一つを、第 1段目の反応部と第 2段目以降の反応部とに分割し て供給することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[20] [17]ないし [19]において、前記流体(H)をスチームクラッキングプロセスに供 給し、クラッカー原料として利用することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[21] [20]において、前記流体 (H)の少なくとも一部を水素添加触媒と接触させた 後、スチームクラッキングプロセスに供給することを特徴とするプロピレンの製造方法
〇
[22] [17]ないし [21]のいずれかにおいて、前記流体 (H)に含まれる芳香族化合 物濃度の合計が 5. 0体積%未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[23] [17]ないし [22]のいずれかにおいて、前記流体(F)をスチームクラッキング プロセスの分解ガソリン留分に混合することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[24] [17]から [23]のいずれかにおいて、前記流体 (F)に含まれる炭素数 4の炭 化水素の合計濃度が 5重量%未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[25] [17]から [24]のいずれかにおいて、前記流体(F)および流体(H)の流量を 制御することにより、前記反応器に供給される全原料に含まれる炭素数 4以上のォレ フィンとメタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)を 20体積%以上 80体 積%以下に制御することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[26] [8]から [25]のいずれかにおいて、前記工程(2)が、前記反応器出口ガスか ら、冷却および圧縮工程により水分を凝縮除去した後に、蒸留により炭素数 2以下の 炭化水素に富んだ流体と炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体とに分離し、前記 炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体を、蒸留により炭素数 3の炭化水素に富んだ 流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体とに分離する工程を含むことを特徴と するプロピレンの製造方法。
[27] [8]から [25]のいずれかにおいて、前記工程(2)が、前記反応器出口ガスか ら、冷却および圧縮工程により水分を凝縮除去した後に、蒸留により炭素数 3以下の 炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体とに分離し、前記 炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体を、蒸留により炭素数 2以下の炭化水素に富 んだ流体と炭素数 3の炭化水素に富んだ流体とに分離する工程を含むことを特徴と するプロピレンの製造方法。
[28] [8]から [25]に記載のいずれ力、 1項において、前記工程(2)が、前記反応器 出口ガスから、冷却および圧縮工程により水分を凝縮除去した後に、蒸留により炭 素数 2以下の炭化水素および炭素数 3の炭化水素を含む流体と炭素数 3以上の炭 化水素に富んだ流体とに分離し、前記炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体を、蒸 留により炭素数 3の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 とに分離する工程を含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[29] [8]から [25]に記載のいずれかにおいて、前記工程(2)が、前記反応器出口 ガスから、冷却および圧縮工程により水分を凝縮除去した後に、蒸留により炭素数 3 以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体とに分離し 、前記炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体を、蒸留により炭素数 2以下の炭化水
素および炭素数 3の炭化水素を含む流体と炭素数 3の炭化水素に富んだ流体とに 分離する工程を含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[30] [8]ないし [29]のいずれかにおいて、前記炭素数 4以上のォレフィン原料が、 炭素数 4以上のパラフィン類を含有することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[31 ] [30]において、前記パラフィン類がノルマルブタンおよびイソブタンのうち少な くとも 1つを含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[32] [8]ないし [31]のいずれ力、 1項において、前記反応器に供給される原料中に ブタジエンを含有することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[33] [8]ないし [32]のいずれ力、 1項において、前記反応器に供給される全原料に 含まれる芳香族化合物の合計量が、該全原料に含まれる炭素数 4以上のォレフィン の合計量に対してモル比で 0. 05未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法
[34] [8]ないし [33]のいずれ力、 1項において、前記反応器に供給する炭素数 4以 上のォレフィンの量力 S、該反応器に供給するメタノールのモル数とジメチルエーテル のモル数の 2倍との合計に対して、モル比で 0. 2以上 10以下であることを特徴とする プロピレンの製造方法。
[35] [8]ないし [34]のいずれ力、 1項において、前記反応器に供給する炭素数 4以 上のォレフィン原料力 S、スチームクラッキングプロセスで得られる炭素数 4の炭化水素 流体を含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[36]炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくと も 1つとを含む混合物を、触媒の存在下、反応器中で接触させてプロピレンを製造す る方法において、以下の工程(1C) , (2C) , (3C)および(4C)を含むプロセスよりな ることを特徴とするプロピレンの製造方法。
工程(1C):炭素数 4以上のォレフィン原料、工程 (4C)からリサイクルされた炭化水 素流体(Q)、並びに、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを反応 器に供給し、反応器出口の炭素数 4以上のォレフィンのモル流量が反応器入口の該 ォレフィンのモル流量に対して 20%以上 90%未満になるような反応条件で触媒と接 触させ、反応器出口から、プロピレンと、その他のォレフィン、パラフィン類、芳香族化
合物および水を含有するガス(反応器出口ガス)を得る工程
工程(2C):前記工程(1C)からの反応器出口ガスを冷却し、ガス流体 (L)、炭素数 4以上の炭化水素に富み、芳香族化合物を含んだ液流体 (M)、および水に富んだ 流体に分離する工程
工程(3C):前記工程(2C)におけるガス流体 (L)を炭素数 3以下の炭化水素に富 んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離する工程
工程 (4C):前記流体 (N)の少なくとも一部の流体(Q)を反応器にリサイクルするェ 程
[37]炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくと も 1つとを含む混合物を、触媒の存在下、反応器中で接触させてプロピレンを製造す る方法において、以下の工程(1C) , (2C) , (3C)および(4C)を含むプロセスよりな ることを特徴とするプロピレンの製造方法。
工程(1C):炭素数 4以上のォレフィン原料、工程 (4C)からリサイクルされた炭化水 素流体(Q)、並びに、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを反応 器に供給し、反応器出口の炭素数 4以上のォレフィンのモル流量が反応器入口の該 ォレフィンのモル流量に対して 20%以上 90%未満になるような反応条件で触媒と接 触させ、反応器出口から、プロピレンと、その他のォレフィン、パラフィン類、芳香族化 合物および水を含有するガス(反応器出口ガス)を得る工程
工程(2C):前記工程(1C)からの反応器出口ガスを冷却し、冷却後のガス流体 (K )を圧縮によりガス流体 (L)、炭素数 4以上の炭化水素に富み、芳香族化合物を含ん だ液流体 (M)、および水に富んだ流体に分離する工程
工程(3C):前記工程(2C)におけるガス流体 (L)を炭素数 3以下の炭化水素に富 んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離する工程
工程 (4C):前記流体(N)の一部(P)を該プロセスから抜き出し、残りの流体(Q)を 反応器にリサイクルする工程
[38] [36]または [37]において、前記液流体 (M)を、蒸留により、芳香族化合物濃 度が液流体 (M)中よりも低!/、流体 (R)と炭素数 4の炭化水素濃度が液流体 (M)より も低い流体(S)とに分離することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[39] [38]において、前記流体(R)を、前記流体(K)、 (L)、 (M)、 (P)、および(Q) から選ばれるいずれ力、 1または 2以上の流体の流通箇所に戻すことを特徴とするプロ ピレンの製造方法。
[40] [36]ないし [39]のいずれかにおいて、前記工程(3C)が、前記ガス流体(L) を、蒸留により、炭素数 2以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 3以上の炭化水素 に富んだ流体とに分離し、さらに、炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体を、蒸留に より、炭素数 3の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N )とに分離する工程を含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[41] [36]ないし [39]のいずれか 1項において、前記工程(3C)が、前記ガス流体( L)を、蒸留により、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水 素に富んだ流体 (N)とに分離し、さらに、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体を、 蒸留により、炭素数 2以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 3の炭化水素に富んだ 流体とに分離する工程を含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[42] [36]ないし [39]のいずれ力、 1項において、前記工程(3C)が、前記ガス流体( L)を、蒸留により、炭素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含んだ流体と 炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体とに分離し、さらに、炭素数 3以上の炭化水 素に富んだ流体を、蒸留により、炭素数 3の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上 の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離する工程を含むことを特徴とするプロピレンの 製造方法。
[43] [36]ないし [39]のいずれ力、 1項において、前記工程(3C)が、前記ガス流体( L)を、蒸留により、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水 素に富んだ流体 (N)とに分離し、さらに、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体を、 蒸留により、炭素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含んだ流体と炭素数 3 の炭化水素に富んだ流体とに分離する工程を含むことを特徴とするプロピレンの製 造方法。
[44] [36]ないし [43]のいずれ力、 1項において、前記反応器が直列に接続された二 つ以上の反応部からなり、前記反応器に供給する炭素数 4以上のォレフィン原料; メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つ; 並びに、リサイクルされた炭
化水素含有流体のうち少なくとも一つを、第 1段目の反応部と第 2段目以降の反応部 とに分割して供給することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[45] [36]ないし [44]のいずれ力、 1項において、前記炭素数 4以上のォレフィン原 料が、炭素数 4以上のパラフィン類を含有することを特徴とするプロピレンの製造方 法。
[46] [45]において、前記パラフィン類がノルマルブタンおよびイソブタンのうち少な くとも 1つを含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[47] [36]ないし [46]のいずれか 1項において、前記反応器に供給される原料中に ブタジエンを含有することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[48] [36]ないし [47]のいずれ力、 1項において、前記反応器に供給される全原料に 含まれる芳香族化合物の合計量が、該全原料に含まれる炭素数 4以上のォレフィン の合計量に対してモル比で 0. 05未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法
[49] [36]ないし [48]のいずれ力、 1項において、前記流体(M)および前記流体(P) のうち少なくとも 1つをスチームクラッキングプロセスに供給し、クラッカー原料として利 用することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[50] [49]において、前記流体(M)および前記流体(P)のうち少なくとも 1つの少な くとも一部を水素添加触媒と接触させた後、スチームクラッキングプロセスに供給する ことを特徴とするプロピレンの製造方法。
[51] [36]ないし [50]のいずれか 1項において、前記流体(M)および前記流体(P) のうち少なくとも 1つに含まれる芳香族化合物濃度の合計が 5. 0体積%未満であるこ とを特徴とするプロピレンの製造方法。
[52] [36]ないし [51]のいずれか 1項において、前記流体(M)をスチームクラツキン グプロセスの分解ガソリン留分に混合することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[53] [36]ないし [52]のいずれ力、 1項において、前記流体(M)に含まれる炭素数 4 の炭化水素の合計濃度が 5重量%未満であることを特徴とするプロピレンの製造方 法。
[54] [36]ないし [53]のいずれ力、 1項において、前記流体(M)および前記流体(P)
の流量を制御することにより、前記反応器に供給される全原料に含まれる炭素数 4以 上のォレフィンとメタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)を 20体積% 以上 80体積%以下に制御することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[55] [38]ないし [54]のいずれ力、 1項において、前記流体(R)をスチームクラツキン グプロセスに供給し、クラッカー原料として利用することを特徴とするプロピレンの製 造方法。
[56] [55]にお!/、て、前記流体 (R)の少なくとも一部を水素添加触媒と接触させた後 、スチームクラッキングプロセスに供給することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[57] [38]ないし [56]のいずれ力、 1項において、前記流体 (R)に含まれる芳香族化 合物濃度の合計が 5. 0体積%未満であることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[58] [38]ないし [57]のいずれ力、 1項において、前記流体(S)をスチームクラツキン グプロセスの分解ガソリン留分に混合することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[59] [38]ないし [58]のいずれか 1項において、前記流体(S)に含まれる炭素数 4 の炭化水素の合計濃度が 5重量%未満であることを特徴とするプロピレンの製造方 法。
[60] [38]ないし [59]のいずれ力、 1項において、前記流体(P)、流体(R)および流 体(S)の流量を制御することにより、前記反応器に供給される全原料に含まれる炭素 数 4以上のォレフィンとメタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)を 20体 積%以上 80体積%以下に制御することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[61] [38]ないし [60]のいずれかにおいて、前記流体(R)を、前記流体(K)、 (L)、 (N)、 (P)、および(Q)から選ばれるいずれ力、 1または 2以上の流体の箇所に戻すに あたり、前記流体 (R)の返送箇所およびその流量を制御することにより、前記反応器 に供給される全原料に含まれる炭素数 4以上のォレフィンとメタノールとジメチルエー テルの合計濃度 (基質濃度)を 20体積%以上 80体積%以下に制御することを特徴と するプロピレンの製造方法。
[62] [36]ないし [61]のいずれか 1項において、前記反応器に供給する炭素数 4以 上のォレフィンの量力 S、該反応器に供給するメタノールのモル数とジメチルエーテル のモル数の 2倍との合計に対して、モル比で 0. 2以上 10以下であることを特徴とする
プロピレンの製造方法。
[63] [36]ないし [62]のいずれ力、 1項において、前記反応器に供給する炭素数 4以 上のォレフィン原料力 S、スチームクラッキングプロセスで得られる炭素数 4の炭化水素 流体を含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。
発明の効果
[0013] 本発明によれば、触媒の存在下に、炭素数 4以上のォレフィン原料とメタノールおよ びジメチルエーテルのうち少なくとも 1つとを反応させてプロピレンを製造する方法に おいて、原料を高度に利用して、触媒の劣化を抑えながら高い収率でプロピレンを 製造すること力 Sでさる。
また、本発明の方法をスチームクラッキングプロセスと統合して経済的なプロセスを 提供すること力でさる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]本発明のプロピレンの製造方法の実施形態の一例を示す系統図である。
[図 2]本発明のプロピレンの製造方法の実施形態の他の例を示す系統図である。
[図 3]本発明のプロピレンの製造方法の実施形態の他の例を示す系統図である。 符号の説明
[0015] 10 反応器
20 第 1の分離精製系
30A, 30B 第 2の分離精製系
13 反応器
23 圧縮機
33 ノックアウトドラム
43 油水分離機
53 第 1の分離精製系
63 第 2の分離精製系
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明は
その要旨を超えな!/、限り、以下の態様に限定されるものではなレ、。
本発明のプロピレンの製造方法は、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよび ジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを含む原料を触媒の存在下、反応器中で接触 させてプロピレンを製造する方法にぉレ、て、該反応器出口流出ガス中にぉレ、て含ま れる芳香族化合物の少なくとも一部は抜き出すと共に、該反応器出口流出ガス中に おいて含まれる炭素数 4以上のォレフィンの少なくとも一部を該反応器にて再度触媒 と接触させることを特徴とするものである。
より具体的な第一、第二、の実施態様として、前述したような 3つの工程(1) , (2) , ( 3A)または(1)、(2)、(3B)を含むもの、また第 3の態様として前述したような 4つのェ 程(1C) , (2C) , (3C)および (4C)を含むものである力 S、本発明の課題を解決すると いう目的に従う限り、それ以外の工程の存在を排除するものではなぐ 4つの工程の 前後に他の工程が存在していてもよぐ各工程の間に他の工程が存在していてもよ い。
なお、本発明において「富んだ」とは、 目的物の純度が 50モル%以上、好ましくは 7 0モル0 /0以上、より好ましくは 90モル0 /0以上、さらに好ましくは 95モル0 /0以上であるこ とを意味する。例えば、「炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)」とは、「炭素数 4以上の炭化水素」を 50モル%以上、好ましくは 70モル%以上、より好ましくは 90モ ル%以上、さらに好ましくは 95モル%以上含む流体である。
[0017] [触媒]
まず、本発明で用いる触媒について説明する。
本発明に係る反応に用いられる触媒としては、ブレンステッド酸点を有する固体状 のものであれば特に限定されず、従来公知の触媒が用いられ、例えば、カオリン等の 粘土鉱物;粘土鉱物等の担体に硫酸、燐酸等の酸を含浸 ·担持させたもの;酸性型 イオン交換樹脂;ゼォライト類;燐酸アルミニウム類; A1— MCM41等のメソポーラス シリカアルミナ等の固体酸触媒が挙げられる。
[0018] これらの固体酸触媒のうちでも、分子篩効果を有するものが好ましぐまた、酸強度 があまり高くなレ、ものが好ましレ、。
[0019] 前記固体酸触媒のうち、分子篩効果を有するゼォライト類や燐酸アルミニウム類の
構造としては、 International Zeolite Association (IZA)が規定するコードで表すと、 例えば、 AEI、 AET、 AEL、 AFI、 AFO、 AFS、 AST, ATN、 BEA、 CAN, CHA 、 EMT、 ERI、 EUO、 FAU、 FER、 LEV, LTL、 MAZ、 MEL、 MFI、 MOR、 MT T、 MTW、 MWW、 OFF, PAU、 RHO、 STT、 TON等が挙げられる。その中でも 触媒のフレームワーク密度が 18. OT/nm3以下である触媒が好ましぐこのようなも のとしては、好ましくは、 MFI、 MEL、 MOR、 MWW、 FAU、 BEA、 CHAで、より好 ましくは、 MFI、 MEL、 MOR、 MWW、 CHA、特に好ましくは MFI、 MEL、 MWW 、 CHAが挙げられる。
ここで、フレームワーク密度(単位: T/nm3)とは、ゼォライトの単位体積(lnm3)当 たりに存在する T原子(ゼオライトの骨格を構成する原子のうち、酸素以外の原子)の 個数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。
[0020] 更に、該固体酸触媒としてより好ましくは、細孔径が 0. 3〜0. 9nmのミクロ細孔を 有し、 BET比表面積が 200〜700m2/g、細孔容積が 0. ;!〜 0. 5g/mlである結晶 性アルミノシリケート類、メタ口シリケート類又は結晶性燐酸アルミニウム類等が好まし い。なお、ここで言う細孔径とは、 International Zeolite Association (IZA)が定める 結晶'ギ白勺7 dチヤネノレ DiL径(Crystaliographic free diameter of the channels)を不 し、細孔(チャネル)の形状が真円形の場合は、その直径をさし、細孔の形状が楕円 形の場合は、短径をさす。
[0021] また、アルミノシリケートの中では、 SiO /Al Oのモル比が 10以上のものが好まし
2 2 3
い。 SiO /Al Oモル比が低すぎると触媒の耐久性が低下するため好ましくない。 S
2 2 3
i〇 /Al〇のモル比の上限は通常 10000以下である。 Si〇 /Al〇のモル比がこ
2 2 3 2 2 3 れより高すぎると触媒活性が低下してしまうため好ましくない。上記モル比は、蛍光 X 線や化学分析法などの常法により求めることができる。
触媒中のアルミニウム含量は触媒調製の際の原料仕込み量でコントロールすること ができ、また、調製後にスチーミング等により A1を減らすこともできる。また、 A1の一部 をホウ素やガリウム等の他の元素に置き換えても良ぐ特にホウ素で置換することが 好ましい。
[0022] これらの触媒は 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上を混合して用いてもよい。
[0023] 本発明においては、上述のような触媒活性成分を、そのまま触媒として反応に用い ても良いし、反応に不活性な物質やバインダーを用いて、造粒'成型して、或いはこ れらを混合して反応に用いても良い。該反応に不活性な物質やバインダーとしては、 アルミナまたはアルミナゾル、シリカ、シリカゲル、石英、およびそれらの混合物等が 挙げられる。
[0024] なお、上記した触媒組成は、これらの反応に不活性な物質やバインダー等を含まな い触媒活性成分のみの組成である。しかして、本発明に係る触媒とは、これらの反応 に不活性な物質やバインダー等を含む場合は、前述の触媒活性成分とこれらの反 応に不活性な物質やバインダー等とを合わせて触媒と称し、これらの反応に不活性 な物質やバインダー等を含まな!/、場合は、触媒活性成分のみで触媒と称す。
[0025] 本発明で用いる触媒活性成分の粒径は合成時の条件により異なるが、通常、平均 粒径として 0. 01 m〜 500 mである。触媒の粒径が大き過ぎると、触媒活性を示 す表面積が小さくなり、小さ過ぎると取り扱い性が劣るものとなり、いずれの場合も好 ましくない。この平均粒径は、 SEM観察等により求めることができる。
[0026] 本発明で用いる触媒の調製方法は特に限定されず、一般的に水熱合成と呼ばれ る公知の方法により調製することが可能である。また、水熱合成後にイオン交換、脱 アルミニウム処理、含浸や担持などの修飾により組成を変えることも可能である。 本発明で使用する触媒は、反応に供する際に、上記物性ないし組成を有している ものであれば良ぐいずれの方法によって調製されたものであっても良い。
[0027] [反応原料]
次に、本発明で反応原料とする炭素数 4以上のォレフィン、メタノール、ジメチルェ 一テルについて説明する。
[0028] <ォレフイン原料〉
反応の原料として用いる炭素数 4以上のォレフィンとしては、特に限定されるもので はない。例えば、石油供給原料力 接触分解法またはスチームクラッキング等により 製造されるもの(BB留分、 C4ラフイネ一トー 1、 C4ラフイネ一トー 2等)、石炭のガス化 により得られる水素/ CO混合ガスを原料として FT (フィッシャートロプシュ)合成を行 うことにより得られるもの、エチレンの二量化反応を含むオリゴマー化反応により得ら
れるもの、炭素数 4以上のパラフィンの脱水素法または酸化脱水素法により得られる もの、 MTO反応によって得られるもの、アルコールの脱水反応によって得られるもの 、炭素数 4以上のジェン化合物の水素化反応により得られるもの等の、公知の各種 方法により得られる、炭素数 4以上、特に炭素数 4〜; 10のォレフインを任意に用いる ことができ、このとき各製造方法に起因する炭素数 4以上のォレフィン以外の化合物 が任意に混合した状態のものをそのまま用いても良いし、精製したォレフィンを用い ても良い。
[0029] この中でも、炭素数 4以上のパラフィン類を含んだォレフィン原料を使用する場合、 ノ ラフィンが希釈ガスの役割を果たすため反応温度の制御が容易になり、さらにパラ フィン含有の原料は安価に入手可能であることが多いため好ましい。さらに好ましく
これらの好ましい原料としては上記の BB留分、 C4ラフイネ一トー 1や C4ラフイネ一 トー 2が挙げられる。これらの原料には通常ブタジエンが含まれる。ブタジエンは反応 により芳香族化合物に変換されやすいため、本発明のように、生成した芳香族化合 物の少なくとも一部を反応器にリサイクルせずに抜き出すことは非常に重要である。 尚、 BB留分についてはブタジエンを多く含むため、水素添加触媒に接触させてブタ ジェン濃度を低下させた流体を原料とするのが好ましい。
[0030] <メタノール、ジメチルエーテル〉
反応の原料として用いるメタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つの 製造由来は特に限定されない。例えば、石炭および天然ガス、ならびに製鉄業にお ける副生物由来の水素/ COの混合ガスの水素化反応により得られるもの、植物由 来のアルコール類の改質反応により得られるもの、発酵法により得られるもの、再循 環プラスチックや都市廃棄物等の有機物質から得られるもの等が挙げられる。このと き各製造方法に起因するメタノールおよびジメチルエーテル以外の化合物が任意に 混合した状態のものをそのまま用いても良!/、し、精製したものを用いても良レ、。
[0031] [反応操作 ·条件:第 1〜3の態様における工程(1) (1C) ]
以下に、前述の触媒および反応原料を用いる本発明のプロピレン製造反応の操作
•条件について説明する。
[0032] <反応器〉
本発明における、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテル のうち少なくとも 1つとの反応は、気相反応である。この気相反応器の形態に特に制 限はないが、通常、連続式の固定床反応器や流動床反応器から選ばれる。好ましく は固定床反応器である。
[0033] なお、固定床反応器に前述の触媒を充填する場合には、触媒層の温度分布を小さ く抑えるために、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ—アルミナ等の反応に不活性な粒 状物を、触媒と混合して充填しても良い。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒 状物の使用量は特に制限はない。なお、この粒状物は、触媒との均一混合性の面か ら、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
[0034] また、反応器は直列に接続された二つ以上の反応部からなるものであっても良い。
この場合、一つの反応器内を複数の反応室に仕切ったものであっても良ぐ 2以上の 反応器を直列に連結したものであっても良い。
このように 2以上の反応器を直列に連結したものである場合、反応に伴う発熱を除 去することを目的として反応器と反応器の間に熱交換器を配置しても良い。
また、発熱を分散させることを目的に、反応基質 (反応原料)を分割して供給しても 良い。好ましくはメタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つを 1段目の反 応部(反応器または反応室)と 2段目以降の反応部(反応器または反応室)に分割し て供給する。
[0035] 本発明で用いる反応条件においては、触媒はコーキングが少なぐ触媒劣化の速 度は遅いが、 1年以上の連続運転を行う場合には運転中に触媒再生を行う必要があ 例えば、固定床反応器を選択する場合、反応器を少なくとも並列に二つ以上設置 し、反応と再生を切り替えながら運転することが望ましい。固定床反応器の形態として は、多管式の反応器または断熱型の反応器が選ばれる。
一方、流動床反応器を選択する場合、触媒を連続的に再生槽に送り、再生槽にお いて再生された触媒を連続的に反応器に戻しながら反応を行うことが好ましい。
[0036] ここで、触媒の再生操作としては、コーキングにより劣化した触媒を、酸素を含有し た窒素ガスや水蒸気などで処理することにより再生する方法が挙げられる。固定床反 応器における再生操作としては、好ましくは窒素ガスで触媒に付着している揮発性有 機化合物を除去した後、低濃度の酸素を含有する窒素ガスでコーク分を燃焼除去し 、その後窒素ガスで処理することにより触媒層に含まれる分子状酸素を除去する方 法が挙げられる。
[0037] <反応器に供給するォレフインとメタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1 つの濃度比〉
本発明においては、反応器に供給する炭素数 4以上のォレフィンの量は、反応器 に供給するメタノールのモル数とジメチルエーテルのモル数の 2倍との合計に対して 、モル比で 0. 2以上、好ましくは 0. 5以上であって、 10以下、好ましくは 5以下である
〇
即ち、炭素数 4以上のォレフィンの供給モル量を Mc4、メタノールの供給モル量を Mm、ジメチルエーテルの供給モル量を Mdmとした場合、 Mc4は(Mm+ 2Mdm) の 0· 2〜; 10倍、好ましくは 0. 5〜5倍である。
この供給濃度比が低すぎても高すぎても反応が遅くなり好ましくなぐ特に、この供 給濃度比が低すぎると、原料のォレフィンの消費量が減少するため好ましくなレ、。
[0038] ここで、供給濃度比は、反応器に供給するそれぞれの流体または混合した後の流 体の組成をガスクロマトグラフィーなどの一般的な分析手法で定量することにより知る こと力 Sでさる。
なお、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なく とも 1つとを反応器に供給する際には、これらを別々に供給しても、予め一部または 全部を混合した後に供給してもよい。
[0039] <反応器に供給する基質濃度〉
本発明において、反応器に供給する全供給原料中の、炭素数 4以上のォレフィンと メタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)は、好ましくは 20体積%以上 8 0体積%以下、より好ましくは 30体積%以上 70体積%以下である。
ここで基質濃度は、反応器に供給するそれぞれの流体または混合した後の流体の
組成をガスクロマトグラフィーなどの一般的な分析手法で定量することにより知ること ができる。
[0040] この基質濃度が高すぎると芳香族化合物やパラフィン類の生成が顕著になりプロピ レンの選択率が低下する傾向がある。逆に、この基質濃度が低すぎると、反応速度が 遅くなるため多量の触媒が必要となり、さらに生成物の精製コストや反応設備の建設 費も大きくなり経済的でない。
本発明では、このような基質濃度となるように、以下に記載する希釈ガスで反応基 質を希釈する。この場合において、基質濃度を制御する方法としては、プロセスから 抜き出される流体の流量を制御する方法が挙げられる。即ち、プロセスから抜き出さ れる流体の流量を変えることにより、反応器にリサイクルされる希釈ガスの流量が変化 し、基質濃度を変えることが可能である。
[0041] <反応器に供給するガス中の不純物濃度〉
本発明において、炭素数 4以上のォレフィン原料中および/またはリサイクルされる 後述の炭化水素含有流体中にブタジエンを含有している場合があるが、反応器に供 給される全供給原料中のブタジエンの濃度としては、 2. 0体積%以下が好ましい。原 料中のブタジエン濃度が高いと芳香族化合物の生成が増加すると共に触媒のコーキ ングによる劣化が速くなるため、好ましくない。
[0042] ここでブタジエン濃度は、反応器に供給するそれぞれの流体または混合した後の 流体の組成をガスクロマトグラフィーなどの一般的な分析手法で定量することにより知 ること力 Sでさる。
原料中のブタジエン濃度を低下させる方法としては、該流体を水素添加触媒と接 触させてォレフィン類に変換する部分水添法が挙げられる。
[0043] また、反応器にリサイクルされる後述の炭化水素含有流体中に芳香族化合物を含 有して!/、る場合があるが、反応器に供給される全原料に含まれる芳香族化合物の合 計量が、反応器に供給される全原料に含まれる炭素数 4以上のォレフィンの合計量 に対してモル比で 0. 05未満であることが好ましい。原料中の芳香族化合物濃度が 高いと、反応器内で芳香族化合物と炭素数 4以上のォレフィンとの反応や、芳香族 化合物とメタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つとの反応が顕著にな
り、必要以上に炭素数 4以上のォレフィンやメタノールおよびジメチルエーテルのうち 少なくとも 1つを消費してしまうため好ましくない。
さらに、芳香族化合物が反応器に供給された場合には、前記炭素数 4以上のォレ フィンとの反応で生成した化合物が触媒の孔を閉塞させることにより触媒の劣化も促 進されるため、反応器出口流体中に存在する芳香族化合物はできるだけ系内から抜 き出し、反応器にリサイクルする流体中の芳香族化合物濃度を低くすることが好まし い。
[0044] ここで上記の芳香族化合物の合計量と炭素数 4以上のォレフィンの合計量の比は、 反応器に供給するそれぞれの流体または混合した後の流体の組成をガスクロマトグ ラフィーなどの一般的な分析手法で定量することにより知ることができる。
原料中の芳香族化合物濃度を低下させる方法としては、蒸留による分離法が挙げ られる。
[0045] <希釈ガス〉
反応器内には、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルの うち少なくとも 1つの他に、パラフィン類、芳香族類、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭 素、窒素、アルゴン、ヘリウム、および、それらの混合物といった、反応に不活性な気 体を存在させること力できる。なお、これらの希釈ガスのうち、パラフィン類や芳香族 類は、反応条件によっては若干反応することがある力 反応量が少ないことから、希 釈ガスとして定義する。
このような希釈ガスとしては、反応原料に含まれている不純物をそのまま使用しても 良レ、し、別途調製した希釈ガスを反応原料と混合して用いても良レ、。
また、希釈ガスは反応器に入れる前に反応原料と混合しても良いし、反応原料とは 別に反応器に供給しても良い。
好ましい希釈ガスとしては、炭素数 4以上のパラフィン類である。さらに好ましくはノ レフイン原料に含まれるものを利用することができると共に、熱容量が比較的大きレ、 化合物であることから反応温度の制御が容易になる。
[0046] <空間速度〉
ここで言う空間速度とは、触媒 (触媒活性成分)の重量当たりの反応原料である炭 素数 4以上のォレフィンの流量であり、ここで触媒の重量とは触媒の造粒 ·成型に使 用する不活性成分やバインダーを含まない触媒活性成分の重量である。また、流量 は炭素数 4以上のォレフィンの流量(重量/時間)である。
[0047] 空間速度は、 0. lHr— 1から 500Hr— 1の間が好ましぐ 1. OHr— 1から lOOHr— 1の間 が更に好ましい。空間速度が高すぎると原料のォレフィンとメタノールおよびジメチル エーテルのうち少なくとも 1つの転化率が低ぐまた、十分なプロピレン選択率が得ら れない。また、空間速度が低すぎると、一定の生産量を得るのに必要な触媒量が多く なり反応器が大きくなりすぎると共に、芳香族化合物やパラフィン等の好ましくなレ、副 生成物が生成し、プロピレン選択率が低下するため好ましくない。
[0048] <反応温度 >
反応温度の下限としては、反応器入口のガス温度として通常約 300°C以上、好まし くは 400°C以上であり、反応温度の上限としては、通常 700°C以下、好ましくは 600 °C以下である。反応温度が低すぎると、反応速度が低ぐ未反応原料が多く残る傾向 となり、更にプロピレンの収率も低下する。一方で反応温度が高すぎるとプロピレンの 収率が著しく低下する。
[0049] <反応圧力〉
反応圧力の上限は通常 2MPa (絶対圧、以下同様)以下好ましくは IMPa以下であ り、より好ましくは 0. 7MPa以下である。また、反応圧力の下限は特に制限されない ヽ通常 lkPa以上、好ましくは 50kPa以上である。反応圧力が高すぎるとパラフィン 類や芳香族化合物等の好ましくなレ、副生成物の生成量が増え、プロピレンの収率が 低下する傾向がある。反応圧力が低すぎると反応速度が遅くなる傾向がある。
[0050] <反応による原料の消費量〉
反応器に供給するメタノールのモル流量とジメチルエーテルのモル流量の 2倍との 合計に対して、反応器出口のメタノールのモル流量とジメチルエーテルのモル流量 の 2倍との合計は 1 %未満が好ましい。さらに好ましくは 0. 1 %未満である。
反応器におけるメタノールとジメチルエーテルの消費量が少なぐ反応器出口のメ タノールゃジメチルエーテルの量が増えすぎると、製品ォレフィンの精製が困難にな
メタノールとジメチルエーテルの消費量を多くする方法としては、反応温度を上げた り、空間速度を下げたりする方法が挙げられる。
[0051] また、本発明において、反応器に供給する炭素数 4以上のォレフィンのモル流量に 対して、反応器出口の炭素数 4以上のォレフィンのモル流量は 20%以上 90%未満 とする。このモル流量割合は好ましくは 20%以上 70%未満、より好ましくは 25%以 上 60 %未満である。反応器における炭素数 4以上のォレフィンの消費量が少なすぎ ると、未反応のォレフィンが多くなり、反応器にリサイクルする流体の流量が大きくなり すぎて好ましくない。逆に消費量が多すぎると、パラフィンや芳香族化合物など望ま しくな!/、化合物が副生し、プロピレン収率が低下するため好ましくな!/、。
反応器における炭素数 4以上のォレフィンの消費量を調整する方法としては、反応 温度や空間速度などを適切に設定する方法が挙げられる。
[0052] ここで反応器に供給するメタノールとジメチルエーテルならびに炭素数 4以上のォ レフインの流量は、反応器に供給するそれぞれの流体または混合した後の流体の組 成をガスクロマトグラフィーなどの一般的な分析手法で定量し、それぞれの流体の流 量を測定することにより知ることができ、反応器出口のメタノールとジメチルエーテル ならびに炭素数 4以上のォレフィンの流量は、反応器出口流体の組成をガスクロマト グラフィーなどの一般的な手法で定量し、反応器出口流体の流量を測定または計算 することにより失口ること力 Sでさる。
[0053] <反応生成物〉
反応器出口ガス(反応器流出物)としては、反応生成物であるプロピレン、未反応 原料、副生成物および希釈剤を含む混合ガスが得られる。該混合ガス中のプロピレ ン濃度は通常 5〜95重量%である。
未反応原料は、通常炭素数 4以上のォレフィンである。反応条件によってはメタノー ルおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つが含まれる力 S、メタノールおよびジメチ ルエーテルのうち少なくとも 1つが残らないような反応条件で反応を行うのが好ましい
。それにより、反応生成物と未反応原料との分離が容易になる。
副生成物としてはエチレン、炭素数が 4以上のォレフィン類、パラフィン類、芳香族
化合物および水が挙げられる。
[0054] [分離工程]
第 1および第 2の態様における分離工程
<炭素数 3以下の炭化水素および水の分離:工程(2) >
反応器出口ガスは冷却、圧縮および蒸留等の一般的な分離工程により、炭素数 3 以下の炭化水素に富んだ流体と、炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A)と、水 に富んだ流体とに分離される。
[0055] 上記の一般的な分離工程の第 1の態様として、冷却および圧縮工程により水分を 凝縮除去した後に、蒸留により炭素数 2以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 3以 上の炭化水素に富んだ流体とに分離し、炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体を 蒸留により炭素数 3の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流 体 (A)とに分離する工程を含む方法が適用される。
[0056] 一般的な分離工程の第 2の態様として、冷却および圧縮工程により水分を凝縮除 去した後に、蒸留により炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭 化水素に富んだ流体 (A)とに分離し、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体を蒸 留により炭素数 2以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 3の炭化水素に富んだ流体 とに分離する工程を含む方法が適用される。
[0057] 一般的な分離工程の第 3の態様として、冷却および圧縮工程により水分を凝縮除 去した後に、蒸留により炭素数 2以下の炭化水素および炭素数 3の炭化水素を含む 流体と炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体とに分離し、炭素数 3以上の炭化水素 に富んだ流体を蒸留により炭素数 3の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化 水素に富んだ流体 (A)とに分離する工程を含む方法が適用される。
[0058] 一般的な分離工程の第 4の態様として、冷却および圧縮工程により水分を凝縮除 去した後に、蒸留により炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭 化水素に富んだ流体 (A)とに分離し、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体を蒸 留により炭素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含む流体と炭素数 3の炭 化水素に富んだ流体とに分離する工程を含む方法が適用される。
[0059] 上記した一般的な分離工程の第 1〜第 4の態様において、必要に応じてタエンチ、
アルカリ洗浄、脱水等の処理を行うのが好ましい。反応器出口ガスに含酸素化合物 が含まれる場合には、クェンチェ程により、含酸素化合物の少なくとも一部が除去さ れる。反応器出口ガスに二酸化炭素などの酸性ガスが含まれる場合には、アルカリ 洗浄により、酸性ガスの少なくとも一部が除去される。
水の分離は主に圧縮と冷却により凝縮することにより可能である。残った水分はモ レキユラ一シーブ等の吸着剤で除去するのが好ましレ、。凝縮および/または吸着に より除去した水は活性汚泥等の廃水処理工程に供しても良いが、プロセス水等に使 用することあでさる。
本発明のプロセス(以下、「本プロセス」と称する場合がある)がスチームクラッキング プロセスの近くにある場合には、反応器出口ガスから回収した水はクラッカーのスチ ーム源として利用することが好ましい。また、本プロセスの反応器にリサイクルして希 釈ガスとして用いても良い。
[0060] また、反応器出口ガスから得られた炭素数 2以下の炭化水素や炭素数 3の炭化水 素は、さらに蒸留等の精製工程により純度の高いエチレンおよびプロピレンをそれぞ れ得るのが好ましい。エチレンの純度としては 95%以上であり、 99%以上が好ましい 。さらに好ましくは 99. 9%以上である。プロピレンの純度としては 95%以上であり、 9 9%以上が好ましい。さらに好ましくは 99. 9%以上である。
[0061] このようにして得られるエチレンおよびプロピレンは、不純物量などの品質的観点か らみても、一般的に製造されるエチレンおよびプロピレン誘導体の原料として使用で き、エチレンは例えば酸化反応によりエチレンオキサイド、エチレングリコール、ェタノ ールァミン、グリコールエーテル等の製造に、塩素化により塩化ビュルモノマー、 1 , 1 , 1 トリクロルェタン、塩化ビュル樹脂、塩化ビニリデンの製造に、また、エチレンの 重合により αォレフィン、低密度、或いは高密度のポリエチレンの製造に、ベンゼン のェチル化によりェチルベンゼン等の製造にそれぞれ用いることができる。
[0062] エチレン力、ら製造されたエチレングリコールからはさらにこれを原料としてポリェチレ ンテレフタレートを製造することができ、 αォレフィンを原料としてォキソ反応およびそ れに続く水素化反応により高級アルコールが、ェチルベンゼンを原料としてスチレン モノマー, ABS樹脂等が製造できる。また、酢酸との反応により酢酸ビュル、ヮッカー
反応によりァセトアルデヒドおよびその誘導品である酢酸ェチル等も製造できる。
[0063] また、プロピレンは例えばアンモ酸化によりアクリロニトリルの製造に、選択酸化によ りァクロレイン、アクリル酸およびアクリル酸エステルの製造に、ォキソ反応によりカレ マルブチルアルコール、 2—ェチルへキサノール等のォキソアルコールの製造に、プ ロピレンの重合によりポリプロピレンの製造に、プロピレンの選択酸化によりプロピレン オキサイドおよびプロピレングリコール等の製造に適用することができる。また、ヮッカ 一反応によりアセトンが製造でき、更にアセトンよりメチルイソプチルケトンを製造する こと力 Sできる。アセトンからはまたアセトンシアンヒドリンが製造でき、これは最終的にメ チルメタタリレートに転換される。またプロピレン水和によりイソプロピルアルコールも 製造できる。また、ベンゼンをアルキル化することにより製造したキュメンを原料に、フ ェノール,ビスフエノール A,ポリカーボネート樹脂を製造することができる。
[0064] また、上記の一般的な分離工程の第 3の態様および第 4の態様にお!/、て得られた 炭素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含む流体は、本プロセス以外のェ チレンとプロピレンの製造プロセスに供給して精製するのが好ましい。本プロセス以 外のエチレンとプロピレンの製造プロセスとしてはナフサゃェタンなどのスチームクラ ッキングプロセスが挙げられる。このことにより本プロセスの設備投資を著しく削減す ることが可能である。
一方、本プロセスで生成したエチレンを含む流体を本プロセス以外のエチレンとプ ロピレンの製造プロセスに供給できない場合には、本プロセスにおいてエチレンを精 製する必要があるため、その場合には上記の第 1の態様または第 2の態様を採用す ることが好ましい。
[0065] 第 3の態様における分離工程
[分離工程]
<ガス成分、液成分および水の分離:工程(2C) , (3C) >
本発明では、反応器出口ガスは冷却し、冷却後のガス流体 (K)を圧縮によりガス流 体 (L)、炭素数 4以上の炭化水素に富み、芳香族化合物を含む液流体 (M)および 水に富んだ流体に分離し(工程 (2C) )、その後、ガス流体 (Uを蒸留等の一般的な 分離工程により、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4以上の炭化水素
に富んだ流体 (N)とに分離する(工程 (3C) )。
[0066] 工程(2C)において、反応器出口ガスは通常 300〜600°C程度の温度である力 こ の反応器出口ガスを 20〜200°C程度に冷却する。この冷却は通常熱交換器で行わ れるカ S、該ガスよりも低温の流体と混合することにより直接冷却を行ってもよい。冷却 された流体 (K)は、圧縮機、ノックアウトドラムあるいは油水分離器等を用いて、圧縮 により炭素数 6以下の炭化水素に富んだガス流体 (L)と、炭素数 4以上の炭化水素 に富み、芳香族化合物を含んだ液流体 (M)と、水に富んだ流体とに分離される。な お、上記の熱交換器において反応器出口ガスと熱交換する相手の流体は特に限定 されな!/、が、反応器に供給される一つまたは複数の流体であることが好まし!/、。
[0067] この工程(2C)で分離された炭素数 6以下の炭化水素に富んだガス流体 (L)は炭 化水素を含むものであり、工程(3C)において、蒸留等の一般的な分離工程により、 炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と、炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体( N)とに分離される。
[0068] 上記の一般的な分離工程の第 1の態様として、蒸留により炭素数 2以下の炭化水 素に富んだ流体と炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体とに分離し、炭素数 3以上 の炭化水素に富んだ流体を蒸留により炭素数 3の炭化水素に富んだ流体と炭素数 4 以上の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離する工程を含む方法が適用される。
[0069] 分離工程の第 2の態様として、蒸留により炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と 炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離し、炭素数 3以下の炭化水素に 富んだ流体を蒸留により炭素数 2以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 3の炭化水 素に富んだ流体とに分離する工程を含む方法が適用される。
[0070] 分離工程の第 3の態様として、蒸留により炭素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭 化水素を含んだ流体と炭素数 3以上の炭化水素に富んだ流体とに分離し、炭素数 3 以上の炭化水素に富んだ流体を蒸留により炭素数 3の炭化水素に富んだ流体と炭 素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離する工程を含む方法が適用され
[0071] 分離工程の第 4の様態として、蒸留により炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と 炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離し、炭素数 3以下の炭化水素に
富んだ流体を蒸留により炭素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含んだ流 体と炭素数 3の炭化水素に富んだ流体とに分離する工程を含む方法が適用される。
[0072] 上記のプロセスにおいて、必要に応じてタエンチ、アルカリ洗浄、脱水等の処理を 行うのが好ましい。反応器出口ガスに含酸素化合物が含まれる場合には、タエンチ 工程により、含酸素化合物の少なくとも一部が除去される。反応器出口ガスに二酸化 炭素などの酸性ガスが含まれる場合には、アルカリ洗浄により、酸性ガスの少なくとも 一部が除去される。
水の分離は主に圧縮と冷却により凝縮することにより可能である。残った水分はモ レキユラ一シーブ等の吸着剤で除去するのが好ましレ、。凝縮および/または吸着に より除去した水は活性汚泥等の廃水処理工程に供しても良いが、プロセス水等に使 用することあでさる。
本発明のプロセス(以下、「本プロセス」と称する場合がある)がスチームクラッキング プロセスの近くにある場合には、反応器出口ガスから回収した水はクラッカーのスチ ーム源として利用することが好ましい。また、本プロセスの反応器にリサイクルして希 釈ガスとして用いても良い。
[0073] また、反応器出口ガスから得られた炭素数 2以下の炭化水素や炭素数 3の炭化水 素は、さらに蒸留等の精製工程により純度の高いエチレンおよびプロピレンをそれぞ れ得るのが好ましい。エチレンの純度としては 95%以上であり、 99%以上が好ましい 。さらに好ましくは 99. 9%以上である。プロピレンの純度としては 95%以上であり、 9 9%以上が好ましい。さらに好ましくは 99. 9%以上である。
[0074] このようにして得られるエチレンおよびプロピレンは一般的に製造されるエチレンお よびプロピレン誘導体すべてに使用でき、エチレンは例えば酸化反応によりエチレン オキサイド、エチレングリコール、エタノールァミン、グリコールエーテル等の製造に、 塩素化により塩化ビュルモノマー、 1 , 1 , 1 トリクロルェタン、塩化ビュル樹脂、塩化 ビニリデンの製造に、また、エチレンの重合により αォレフイン、低密度、或いは高密 度のポリエチレンの製造に、ベンゼンのェチル化によりェチルベンゼン等の製造にそ れぞれ用いることができる。
[0075] エチレン力、ら製造されたエチレングリコールからさらにこれを原料としてポリエチレン
テレフタレートを製造することができ、 aォレフィンを原料としてォキソ反応およびそれ に続く水素化反応により高級アルコール力 ェチルベンゼンを原料としてスチレンモ ノマー, ABS樹脂等が製造できる。また、酢酸との反応により酢酸ビュル、ヮッカー反 応によりァセトアルデヒドおよびその誘導品である酢酸ェチル等も製造できる。
[0076] また、プロピレンは例えばアンモ酸化によりアクリロニトリルの製造に、選択酸化によ りァクロレイン、アクリル酸およびアクリル酸エステルの製造に、ォキソ反応によりカレ マルブチルアルコール、 2—ェチルへキサノール等のォキソアルコールの製造に、プ ロピレンの重合によりポリプロピレンの製造に、プロピレンの選択酸化によりプロピレン オキサイドおよびプロピレングリコール等の製造に適用することができる。また、ヮッカ 一反応によりアセトンが製造でき、更にアセトンよりメチルイソプチルケトンを製造する こと力 Sできる。アセトンからはまたアセトンシアンヒドリンが製造でき、これは最終的にメ チルメタタリレートに転換される。またプロピレン水和によりイソプロピルアルコールも 製造できる。また、ベンゼンをアルキル化することにより製造したキュメンを原料に、フ ェノール,ビスフエノール A,ポリカーボネート樹脂を製造することができる。
[0077] また、上記の分離工程の第 3の態様および第 4の態様において得られた炭素数 2 以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含む流体は、本プロセス以外のエチレンと プロピレンの製造プロセスに供給して精製するのが好ましい。本プロセス以外のェチ レンとプロピレンの製造プロセスとしてはナフサゃェタンなどのスチームクラッキング プロセスが挙げられる。このことにより本プロセスの設備投資を著しく削減することが 可能である。
一方、本プロセスで生成したエチレンを含む流体を本プロセス以外のエチレンとプ ロピレンの製造プロセスに供給できない場合には、本プロセスにおいてエチレンを精 製する必要があるため、その場合には上記の第 1の態様または第 2の態様を採用す ることが好ましい。
[0078] 第 1および第 2の態様
<炭素数 4以上の炭化水素の分離およびリサイクル:工程 (3A) , (3B) >
反応器出口ガスから分離された炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A) (以下 炭素数 4以上の炭化水素流体 (A)と称す。)の少なくとも一部は反応器にリサイクルさ
れ、残りの流体は本プロセスから抜き出される。
ここで、「本プロセスから抜き出される」とは、本プロセスの反応器にリサイクルされな いことを意味しており、配管を通して他のプロセスに直接供給しても良いし、配管を通 して一度タンクに貯蔵したものを他のプロセスに供給しても良い。また、他のプロセス に供給せずに燃料として使用しても良い。
[0079] 炭素数 4以上の炭化水素流体 (A)を反応器にリサイクルする方法の第 1の態様とし て、炭素数 4以上の炭化水素流体 (A)の一部(B)を該プロセスから抜き出し、残りの 流体 (C)を蒸留等の一般的な分離手法により芳香族化合物濃度 (重量%)が流体( C)より低!/、流体 (D)と炭素数 4の炭化水素濃度が流体 (C)より低!/、流体 (E)とに分 離し、流体 (D)は反応器にリサイクルし、流体 (E)を該プロセスから抜き出す工程を 含む方法が適用される。
[0080] 第 2の態様として、炭素数 4以上の炭化水素流体 (A)を蒸留等の一般的な分離手 法により、芳香族化合物濃度が流体 (A)より低!/、流体 (G)と炭素数 4の炭化水素濃 度が流体 (A)より低!/、流体 (F)とに分離し、流体 (F)の少なくとも一部を該プロセスか ら抜き出すと共に、流体 (G)の少なくとも一部の流体 (I)は反応器にリサイクルし、残 りの流体 (H)を該プロセスから抜き出す工程を含む方法が適用される。
[0081] 炭素数 4以上のォレフィン原料として、炭素数 4以上のパラフィンを含有した原料を 用いる場合には、上記の第 1の態様における流体 (B)または第 2の態様における流 体 (H)は、パラフィンを多く含んだ組成流体であることから、ブテン等の有効成分を分 離精製するのは難しい。そのため、該プロセスがスチームクラッキングプロセスの近く にある場合には、スチームクラッキングプロセスに供給し、クラッカー原料として有効 利用することが好ましい。
[0082] これにより、これらの流体(B) , (H)はスチームクラッキングにおけるエチレンやプロ ピレン製造用の原料と成り得る。この際、流体 (B)または流体 (H)の少なくとも一部を 水素添加触媒と接触させ、パラフィン濃度を流体 (B)または流体 (H)より増加させた 流体をスチームクラッキングプロセスに供給するのが好ましい。ォレフィン濃度の高い 流体をスチームクラッキングプロセスのクラッカーに供給するとクラッカー内でカーボ ン析出が起こりやすレ、ため好ましくなレ、。
[0083] また、この場合、流体 (B)または流体 (H)に含まれる芳香族化合物濃度の合計が 5 . 0体積%未満であることが好ましぐさらに好ましくは 3. 0体積%未満である。芳香 族化合物濃度が高いとクラッカーに供給した場合にカーボン析出が多いと共に、ェ チレン収率が低下する傾向があるため好ましくない。
[0084] また、上記の第 1の態様における流体 (E)または第 2の態様における流体 (F)は、 スチームクラッキングプロセス等の分解ガソリン留分に混合することが好ましレ、。このこ とにより、流体 (E)または流体 (F)を有効利用することが可能である。
[0085] ここでいう分解ガソリンとは、炭素数 5以上 10以下のパラフィン、ォレフィン、ジェン、 芳香族化合物を主に含む流体であり、必要に応じて分解ガソリンから有効成分を回 収すること力 Sできる。有効成分としては、例えば炭素数 5の炭化水素やベンゼン、トル ェン、キシレンなどの芳香族化合物が挙げられる。
[0086] 分解ガソリンに炭素数 4の炭化水素が含まれていると、分解ガソリンから回収される 炭素数 5の炭化水素流体中に炭素数 4の炭化水素が混入してしまうため好ましくない 。そのため、分解ガソリン留分に混合する流体 (E)または流体 (F)中の炭素数 4の炭 化水素は 5重量%未満であることが好ましい。さらに好ましくは 2重量%未満である。
[0087] 第 1の態様の特徴としては、流体 (B)を抜き出すことにより蒸留等の分離工程の負 荷を低減させることができるため、用役費用と設備投資費用の両面で第 2の態様より も有利である。し力もながら、流体 (B)は流体 (A)と同じ組成の流体であり、第 2の態 様で得られる流体 (H)と比べると芳香族化合物の濃度が高くなる。よって、抜き出さ れる流体の用途に応じてプロセスは選定される。
[0088] 第 3の態様
<炭素数 4以上の炭化水素のリサイクル:工程 (4C) >
工程 (3C)で分離された炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N) (以下「炭素数 4以上の炭化水素流体(N)と称す。)の一部(P)は本プロセスから抜き出され、残りの 流体(Q)は反応器にリサイクルされる。また、圧縮工程において凝縮した炭素数 4以 上の炭化水素に富み、芳香族化合物を含んだ液流体 (M)の少なくとも一部は本プ ロセスから抜き出される。
ここで、「本プロセスから抜き出される」とは、本プロセスの反応器にリサイクルされな
いことを意味しており、配管を通して他のプロセスに直接供給しても良いし、配管を通 して一度タンクに貯蔵したものを他のプロセスに供給しても良い。また、他のプロセス に供給せずに燃料として使用しても良い。
[0089] 液流体 (M)は蒸留により、芳香族化合物濃度(重量%)が液流体 (M)より低!/ヽ流 体 (R)と炭素数 4の炭化水素濃度が液流体 (M)より低レ、流体 (S)とに分離しても良 い。この場合、流体 (R)は流体 (K)、(L)、(N)、(P)、 (Q)から選ばれるいずれか 1 箇所または複数の流体の流通箇所に戻すことが好ましい。液流体 (M)の中に炭素 数 4以下の炭化水素が多く含まれる場合には、この蒸留操作を行うことが特に好まし い。
[0090] 炭素数 4以上のォレフィン原料として、炭素数 4以上のパラフィンを含有した原料を 用いる場合には、上記の流体 (M)、(P)、(R)は、パラフィンを多く含んだ組成流体 であることから、ブテン等の有効成分を分離精製するのは難しい。そのため、該プロ セスがスチームクラッキングプロセスの近くにある場合には、これらの流体(M)、(P)、 (R)のいずれ力、 1以上の流体をスチームクラッキングプロセスに供給し、クラッカー原 料として有効利用することが好ましレ、。
[0091] これによりスチームクラッキングおけるエチレンやプロピレン製造用の原料と成り得る 。この際、流体 (M)、(P)、(R)の少なくとも一部を水素添加触媒と接触させ、パラフィ ン濃度を流体 (M)、(P)、(R)より増加させた流体をスチームクラッキングプロセスに 供給するのが好ましレ、。ォレフィン濃度の高レ、流体をスチームクラッキングプロセスの クラッカーに供給するとクラッカー内でカーボン析出が起こりやすいため好ましくない
〇
[0092] また、この場合、流体 (M)、 (P)、 (R)に含まれる芳香族化合物濃度の合計が 5. 0 体積%未満であることが好ましい。さらに好ましくは 3. 0体積%未満である。芳香族 化合物濃度が高いとクラッカーに供給した場合にカーボン析出が多いと共に、ェチレ ン収率が低下する傾向があるため好ましくない。
[0093] また、上記の流体(S)は、スチームクラッキングプロセス等の分解ガソリン留分に混 合することが好ましい。このことにより、流体(S)を有効利用することが可能である。ま た、流体 (M)の中の炭素数 4以下の炭化水素濃度が低い場合には、流体 (M)を直
接分解ガソリン留分に混合しても良い。
[0094] ここでいう分解ガソリンとは、炭素数 5以上 10以下のパラフィン、ォレフィン、ジェン、 芳香族化合物を主に含む流体であり、必要に応じて分解ガソリンから有効成分を回 収すること力 Sできる。有効成分としては、例えば炭素数 5の炭化水素やベンゼン、トル ェン、キシレンなどの芳香族化合物が挙げられる。
[0095] 分解ガソリンに炭素数 4の炭化水素が含まれていると、分解ガソリンから回収される 炭素数 5の炭化水素流体中に炭素数 4の炭化水素が混入してしまうため好ましくない
。そのため、分解ガソリン留分に混合する流体 (M)または流体(S)中の炭素数 4の炭 化水素は 5重量%未満であることが好ましい。さらに好ましくは 2重量%未満である。
[0096] <反応器入口の基質濃度の制御〉
上記の第 1の態様において、流体 (B)および流体 (E)の流量を制御することにより、 反応器にリサイクルされる流体 (D)に含まれるパラフィンなどの希釈ガス流量を制御 することが可能である。
また、第 2の態様においては、流体 (F)と流体 (H)の流量を制御することにより、反 応器にリサイクルされる流体 (I)に含まれるパラフィンなどの希釈ガス流量を制御する ことが可能である。
[0097] 上記の第 3の態様にお!/、て、流体(M)および流体(P)、あるいは流体(P)、流体 (R )および流体(S)の流量、更には、流体 (K)、 (L)、 (N)、(P)、および(Q)から選ば れるいずれ力、 1または 2以上の流体の箇所に戻す流体 (R)の流量やその返送箇所を 制御することにより、反応器にリサイクルされる流体(Q)に含まれるパラフィンなどの 希釈ガス流量を制御することが可能である。
これにより、反応器に供給する全供給原料中の、炭素数 4以上のォレフィンとメタノ 一ルとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)を 20体積%以上 80体積%以下に 制御することが好ましい。
[0098] [スチームクラッキングプロセスとの統合]
スチームクラッキングプロセスにおいては、得られる炭素数 4の炭化水素流体 (BB 留分)から必要成分を除去した価値の低!/、流体(主に C4ラフイネ一トー 2)を水添して クラッカーに戻して!/、ること力 S多レ、。
本プロセスでは、この価値の低い流体を原料とすることが可能であり、さらに本プロ セスで不要となる流体をスチームクラッキングプロセスで利用が可能であるという点で 、お互いの低価値流体の有効利用が可能な極めて効率の良いプロセスである。
[0099] [プロセスの実施態様]
以下に、本発明プロセスの実施態様について図面を参照して説明する。 図 1は本発明プロセスの第 1の態様を示し、図 2は第 2の態様を示す。
[0100] 図 1 , 2において、 10は反応器、 20は第 1の分離精製系、 30A, 30Bは第 2の分離 精製系である。 10;!〜 114はそれぞれ配管を示す。
[0101] <第 1の態様(図 1)の説明〉
炭素数 4以上のォレフィン原料、第 2の分離精製系 30Aからの炭素数 4以上の炭化 水素流体(D)、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つはそれぞれ配 管 101、 102、 103および配管 104を経て反応器 10に供給される。反応器 10に供給 される炭素数 4以上のォレフィン原料には炭素数 4以上のパラフィン類、例えばカレ マルブタンやイソブタンなどが含まれていても良い。また、配管 104を経て反応器 10 に供給される原料流体にはブタジエンや芳香族化合物が含まれていても良い。前述 の如ぐ原料流体中のブタジエン濃度としては通常 2. 0体積%以下であり、芳香族 化合物の合計量は配管 104の原料流体に含まれる炭素数 4以上のォレフィンの合計 量に対してモル比で通常 0. 05未満である。なお、原料流体は、配管 101、 102およ び 103を経て供給される流体の合計を意味している力 S、これらは必ずしも反応器 10 に入る前に合流する必要は無ぐ別々に反応器 10に供給されても良い。反応器 10 に供給された原料ガスは反応器 10内で触媒と接触して反応し、プロピレン、その他 のォレフイン、パラフィン類、芳香族化合物および水を含有した反応器出口ガスが得 られる。
[0102] 反応器出口ガスは配管 105を経て冷却、圧縮、蒸留などの一般的な分離精製系 2 0に送給され、この分離精製系 20で炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体、炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A)および水に富んだ流体に分離され、それぞれ 配管 106、 108、 107を経て取り出される。ここで、炭素数 3以下の炭化水素に富ん だ流体は一つ以上の流体を示す。例えば、炭素数 3以下の炭化水素を全て含んだ
一つの流体でも良いし、炭素数 2以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 3の炭化水 素に富んだ流体や、炭素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含む流体と炭 素数 3の炭化水素に富んだ流体のような二つの流体でも良い。さらには三つ以上の 流体でも良い。
[0103] 炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (A)の一部は配管 109よりプロセス外へ抜 き出され、残りの流体 (C)は配管 110を経て蒸留等の一般的な分離精製系 30Aに 供給される。流体 (A)の一部の流体 (B)はプロセス外へ抜き出しても良い。この際、 抜き出し流体 (B)は、スチームクラッキングプロセスのクラッカー原料として利用しても 良い。その場合には、抜き出し流体 (B)を水素添加触媒に接触させてパラフィン濃度 を高めた流体としてスチームクラッキングプロセスに供給するのが好ましい。このとき の抜き出し流体 (B)の芳香族化合物濃度の合計は 5. 0体積%未満であることが好ま しい。
[0104] 分離精製系 30Aでは、芳香族化合物濃度が流体 (C)より低!/ヽ流体 (D)と炭素数 4 以上の炭化水素濃度が流体 (C)より低い流体 (E)とに分離され、流体 (D)の少なくと も一部は配管 102を経て反応器 10にリサイクルされ、流体 )は配管 111より該プロ セスから抜き出される。抜き出し流体 (E)は、スチームクラッキングプロセス等の分解 ガソリン留分に混合しても良い。その場合には、流体 (E)に含まれる炭素数 4の炭化 水素の合計濃度力 ¾重量%未満であることが好ましい。
流体 (D)の一部の流体(以下、「流体 (X)」)はプロセス外へ抜き出しても良い。この 際、抜き出し流体 (X)は、スチームクラッキングプロセスのクラッカー原料として利用し ても良い。その場合には、抜き出し流体 (X)を水素添加触媒に接触させてパラフィン 濃度を高めた流体としてスチームクラッキングプロセスに供給するのが好ましい。この ときの抜き出し流体 (X)の芳香族化合物濃度の合計は 5. 0モル%未満であることが 好ましい。
[0105] 前記流体 (D)と流体 (X)は必ずしも必要では無いが、ノ ラフィン類の蓄積を防止す るために少なくともいずれかの流体をプロセスから抜き出すことが好ましい。
[0106] <第 2の態様(図 2)の説明〉
炭素数 4以上のォレフィン原料、第 2の分離精製系 30Bからの炭素数 4以上の炭化
水素流体(I)、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つはそれぞれ配 管 101、 102、 103および配管 104を経て反応器 10に供給される。この後、第 1の分 離精製系 20において、反応器 10の出口ガスから、炭素数 3以下の炭化水素に富ん だ流体、炭素数 4以上の炭化水素流体 (A)、および水に富んだ流体に分離されるま での工程は図 1と同様であるので説明を省略する。
[0107] 炭素数 4以上の炭化水素流体 (A)は、配管 108より、蒸留等の一般的な分離精製 系 30Bに供給される。分離精製系 30Bでは、芳香族化合物濃度が流体 (A)より低い 流体 (G)と、炭素数 4以上の炭化水素濃度が流体 (A)より低!/、流体 (F)とに分離され る。流体 (F)は、配管 112より該プロセスから抜き出される。抜き出し流体 (F)は、スチ ームクラッキングプロセス等の分解ガソリン留分に混合しても良い。その場合には、流 体 (F)に含まれる炭素数 4の炭化水素の合計濃度が 5重量%未満であることが好まし い。
[0108] 流体(G)は配管 113より取り出され、その一部(H)は配管 114を経て該プロセスか ら抜き出され、残りの流体 (I)は配管 102を経て反応器 10にリサイクルされる。抜き出 し流体 (H)は、スチームクラッキングプロセスのクラッカー原料として利用しても良い。 その場合には、流体 (H)を水素添加触媒に接触させてパラフィン濃度を高めた流体 としてスチームクラッキングプロセスに供給されるのが好ましい。このときの流体(H)の 芳香族化合物濃度の合計は 5. 0体積%未満であることが好ましい。
[0109] 前記流体(H)のプロセス外への抜き出しは、必ずしも必要ではないが、パラフィン 類の蓄積を防止するために、少なくともいずれかの流体の一部をプロセスから抜き出 すことが好ましい。
[プロセスの実施態様]
<第 3の実施態様(図 3)〉
以下に、本発明プロセスの実施態様について図面を参照して説明する。
図 3は本発明プロセスの一態様を示す。
[0110] 図 3において、 13は反応器、 23は圧縮機、 33はノックアウトドラム、 43は油水分離 機、 53は第 1の分離精製系、 63は第 2の分離精製系である。 30;!〜 315はそれぞれ 配管を示す。
[0111] 炭素数 4以上のォレフィン原料、第 1の分離精製系 53からの炭素数 4以上の炭化 水素流体(Q)、メタノールおよびジメチルエーテルのうち少なくとも 1つはそれぞれ配 管 301 , 302、 303および配管 304を経て反応器 13に供給される。反応器 13に供給 される炭素数 4以上のォレフィン原料には炭素数 4以上のパラフィン類、例えばカレ マルブタンやイソブタンなどが含まれていても良い。また、配管 304を経て反応器 13 に供給される原料流体にはブタジエンや芳香族化合物が含まれていても良い。前述 の如ぐ原料流体中のブタジエン濃度としては通常 2. 0体積%以下であり、芳香族 化合物の合計量は配管 304の原料流体に含まれる炭素数 4以上のォレフィンの合計 量に対してモル比で通常 0. 05未満である。なお、原料流体は、配管 301 , 302、お よび 303を経て供給される流体の合計を意味して!/、る力 これらは必ずしも反応器 1 3に入る前に合流する必要は無ぐ別々に反応器 13に供給されても良い。反応器 13 に供給された原料ガスは反応器 13内で触媒と接触して反応し、プロピレン、その他 のォレフイン、パラフィン類、芳香族化合物および水を含有した反応器出口ガスが得 られる。
[0112] 反応器出口ガスは、例えば熱交換器を通じて冷却され、冷却後のガス流体 (K)は 配管 305より圧縮機 23により昇圧される。圧縮機 23は 1つでも良いが、複数の方が 好ましい。各圧縮機 23の後には熱交換器およびノックアウトドラム 33を設置し、圧縮 後のガスを冷却した後にガス流体 (L)と凝縮成分とに分離する。凝縮成分は配管 30 8を経て油水分離器 43に送給され炭素数 4以上の炭化水素に富んだ液流体 (M)と 水に富んだ流体とに分離され、水に富んだ流体は配管 310より抜き出され、炭素数 4 以上の炭化水素に富んだ液流体 (M)は配管 309より第 2の分離精製系 63に送給さ れる。
[0113] ノックアウトドラム 33で分離されたガス流体 (L)は配管 307を経て蒸留などの一般 的な第 1の分離精製系 53に送給され、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体と、炭 素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)とに分離され、それぞれ配管 313, 314を 経て取り出される。ここで、炭素数 3以下の炭化水素に富んだ流体は一つ以上の流 体を示す。例えば、炭素数 3以下の炭化水素を全て含んだ一つの流体でも良いし、 炭素数 2以下の炭化水素に富んだ流体と炭素数 3の炭化水素に富んだ流体や、炭
素数 2以下の炭化水素と炭素数 3の炭化水素を含む流体と炭素数 3の炭化水素に富 んだ流体のような二つの流体でも良い。さらには三つ以上の流体でも良い。
[0114] 炭素数 4以上の炭化水素に富んだ流体 (N)の一部(P)は、配管 315を経て該プロ セスから抜き出され、残りの流体(Q)は配管 302を通して反応器 13にリサイクルされ る。流体 (P)は、スチームクラッキングプロセスのクラッカー原料として利用しても良い 。その場合には、流体 (P)を水素添加触媒に接触させてパラフィン濃度を高めた流 体としてスチームクラッキングプロセスに供給されるのが好ましい。このときの流体 (P) の芳香族化合物濃度の合計は 5. 0体積%未満であることが好まし!/、。
[0115] 一方、油水分離機 43で分離された液流体 (M)は、炭素数 4以上の炭化水素に富 み、芳香族化合物を含んだ液成分であるが、これはそのまま該プロセスから抜き出し ても良く、この場合、液流体 (M)は、スチームクラッキングプロセスのクラッカー原料と して利用しても良い。その場合には、流体 (M)を水素添加触媒に接触させてパラフィ ン濃度を高めた流体としてスチームクラッキングプロセスに供給されるのが好ましい。 このときの流体 (M)の芳香族化合物濃度の合計は 5. 0体積%未満であることが好ま しい。
[0116] また、液流体 (M)の中の炭素数 4の炭化水素濃度が低い場合にはスチームクラッ キングプロセス等の分解ガソリン留分に混合しても良い。その場合には、流体 (M)に 含まれる炭素数 4の炭化水素の合計濃度が 5重量%未満であることが好ましい。
[0117] また、液流体 (M)の少なくとも一部は蒸留等の一般的な分離工程である第 2の分 離精製系 60で、芳香族化合物濃度が液流体 (M)より低!/、流体 (R)と炭素数 4の炭 化水素濃度が液流体 (M)より低レ、流体(S)とに分離することが好ましレ、。ここで分離 された流体 (R)は配管 111より抜き出されるが、流体 (R)は流体 (K)、流体 (L)、流 体(N)、流体(P)、流体(Q)カ流通する酉己管 305, 307, 314, 315, 302のうちの 1 箇所または複数の箇所に戻すことが好ましレ、。
[0118] 一方、流体(S)は配管 312より抜き出され、この流体(S)はスチームクラッキングプ ロセス等の分解ガソリン留分に混合しても良い。その場合には、流体(S)に含まれる 炭素数 4の炭化水素の合計濃度が 5重量%未満であることが好ましい。
前記流体(P)のプロセス外への抜き出しは、必ずしも必要ではないが、パラフィン類
の蓄積を防止するために、少なくともいずれかの流体の一部をプロセスから抜き出す ことが好ましい。
実施例
[0119] 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例 に何ら限定されるものではなレ、。
[0120] [触媒調製]
以下の実施例、比較例で用いた触媒は、次のようにして調製した。
<触媒調製例 >
臭化テトラー n—プロピルアンモニゥム(TPABr) 26. 6gおよび水酸化ナトリウム 4· 8gを順次、水 280gに溶角早し、次にコロイダノレシリカ(SiO =40重量0 /0、Α1< 0· 1重 i%) 75gと水 35gとの混合液をゆっくり加え、十分攪拌して水性ゲルを得た。次に、 このゲルを 1000mlのオートクレーブに仕込み、自圧下、 300rpmで攪拌しな力 Sら; 17 0°Cで 72時間、水熱合成を行った。生成物は加圧濾過により固体成分を分離し、十 分水洗を行った後に 100°Cで 24時間乾燥した。乾燥後の触媒は、空気流通下 550 °Cで 6時間焼成を行い、 Na型のアルミノシリケートを得た。
[0121] この Na型のアルミノシリケート 2. Ogを 1Mの硝酸アンモニゥム水溶液 40mlに懸濁 させ、 80°Cで 2時間攪拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十 分水洗を行った後、再度 1Mの硝酸アンモニゥム水溶液 40mlに懸濁させ、 80°Cで 2 時間攪拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った 後、 100°Cで 24時間乾燥した。乾燥後の触媒は、空気流通下 500°Cで 4時間焼成を 行い、 H型のアルミノシリケートを得た。
[0122] この触媒は、 XRD (X線回折)によりゼォライトの構造が MFI型であることを確認した 。 触媒の組成を化学分析により定量したところ、 SiO /Al O = 1100 (モル比)であ
2 2 3
つた。
[0123] [プロピレンの製造]
以下に上記触媒を用いたプロピレンの製造実施例及び比較例を示す。
[0124] <実施例 1〉
前記の触媒を用いてプロピレンの製造を行った。
反応には常圧固定床流通反応装置を用い、内径 6mmの石英製反応管に、上記 触媒 0. 10gと、石英砂 1. Ogの混合物を充填した。この反応器に本発明における反 応器入口ガス(図 1または図 2の配管 104)組成に相当する模擬ガスとしてイソブテン (40体積0 /0)、メタノール(20体積0 /0)、ベンゼン(0. 8体積0 /0)、ブタジエン(0. 1体 積%)およびイソブタン (39. 1体積%)に調製したガスを蒸発器を通して供給した。 反応温度(反応器入口ガス温度)は 550°Cとした。反応開始後、 70分後にガスクロマ トグラフィ一で生成物の分析を行った。 その時の反応条件および反応結果を表 1に 示した。
プロピレンの選択率は 54. 8%であり、非常に高いレベルであった。
さらに反応を継続し、メタノールの転化率が 99%を下回るまでの時間を触媒寿命と して評価した。その結果、触媒寿命は 312時間であった。
[0125] <実施例 2〉
反応器に供給するベンゼン濃度を 1. 6体積%とし、イソブタン濃度を 38. 3体積% にした以外は実施例 1と同様の方法で反応を行った。反応開始後、 70分後にガスク 口マトグラフィ一で生成物の分析を行った。 その時の反応条件および反応結果を表
1に示した。
プロピレンの選択率は 54. 4%であり、非常に高いレベルであった。
さらに反応を継続し、メタノールの転化率が 99%を下回るまでの時間を触媒寿命と して評価した。その結果、触媒寿命は 305時間であった。
[0126] <比較例 1〉
反応器に供給するベンゼン濃度を 3. 2体積%とし、イソブタン濃度を 36. 7体積% にした以外は実施例 1と同様の方法で反応を行った。反応開始後、 70分後にガスク 口マトグラフィ一で生成物の分析を行った。 その時の反応条件および反応結果を表
1に示した。
プロピレンの選択率は 51. 4%であり、実施例 1および 2と比較して非常に低いレべ ノレであった。
これは、原料のブテンおよび/またはメタノールとベンゼンとが反応し、アルキル化 ベンゼンが生成したことにより、本来プロピレン生成に使用されるべきブテンおよび/
またはメタノールを無駄に消費したことによるものである。
さらに反応を継続し、メタノールの転化率が 99%を下回るまでの時間を触媒寿命と して評価した。その結果、触媒寿命は 221時間であり、実施例 1および 2と比較して非 常に短い結果となった。これは前記アルキル化ベンゼンが触媒の細孔を塞ぐと共に コーキングを促進しているためであると推定される。
このように、本発明の方法に従って、芳香族化合物の少なくとも一部をリサイクルせ ずに抜き出すことにより反応器入口の芳香族化合物濃度を下げることは高いプロピレ ン収率の達成および触媒コーキング劣化の抑制に非常に効果的である。
[表 1]
« 1:炭素数 5以上のォレフィンの選択率
« 2 :芳香族化合物とパラフィンの合計の選択率
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら 力、である。
本出願は、 2006年 9月 21日出願の日本特許出願(特願 2006-255503)、 2006年 9月 2 1日出願の日本特許出願(特願 2006-255504)、に基づくものであり、その内容はここ に参照として取り込まれる。
産業上の利用可能性
本発明は、炭素数 4以上のォレフィンと、メタノールおよびジメチルエーテルのうち 少なくとも 1つを反応させてプロピレンを製造するための新規で経済的なプロセス、及 び本プロセスとスチームクラッキングを統合した新規で経済的なプロセスを提供する こと力 Sでさる。