明 細 書
モーションキヤプチャ
技術分野
[0001] 本発明は、モーションキヤプチヤに関する。より詳しくは、被測定物の位置データ等 を精度良く測定することができるとともに、小型化や軽量ィ匕が容易なモーションキヤプ チヤに関する。
背景技術
[0002] 従来、生体等の被測定物の動作解析において、複数の角度から撮影された画像 情報を比較することが行われて 、る。
し力しながら、画像情報を得るための画像処理は高価であるばかりか、大規模な画 像処理システムが必要とされ、野外スポーツ、運動機能リハビリテーション、車両など の移動体、生産ラインにおける人や機械の動作解析等においては、実質的に困難で あるという問題が見られた。
そこで、加速度センサや角速度センサを組み合わせて、生体等の被測定物の動作 解析をするためのモーションキヤプチヤが検討されている。
し力しながら、センサ誤差、座標変換誤差、および積分誤差等に加えて、 3軸回転 という非線形要素を含むため、初めはわずかな誤差であっても、時間経過とともに力 ォス的に変化してしまい、実際の値と大きくずれてしまうという問題が見られた。
[0003] そのため、モーションキヤプチヤとして、各種改良品が提案されており、例えば、ど のような姿勢でも精度を下げな 、アルゴリズムを有し、このアルゴリズムによってデー タ処理する姿勢角度検出装置 (モーションキヤプチヤの一種)が開示されている(例え ば、特許文献 1参照)。
より具体的には、図 15に示すように、 3個のジャイロスコープ 311, 312, 313と、該 ジャイロスコープの角速度に応じた出力に基づいて単位時間に移動した角度を 2種 類のオイラー角で演算する運動角演算装置 (図示せず)と、 2軸の加速度を検出する 加速度センサ 314, 315, 316と、 2軸の地磁気を検出する地磁気センサ 317, 318 , 319と、加速度センサ及び地磁気センサの出力に基づいて、 X軸、 Y軸、 Z軸回りの
回転角を 2種類のオイラー角で演算する静止角演算装置 (図示せず)と、演算結果の 真偽を判別する判別装置 (図示せず)と、該判別装置の演算結果に応じて、姿勢角 を 2種類のオイラー角で演算する姿勢角演算装置(図示せず)と、 2種類のオイラー 角力 誤差力 、さく使用するべきオイラー角を選択し、もう一方のオイラー角に変換 するオイラー角変換演算装置 (図示せず)とから構成された姿勢角度検出装置である
[0004] また、慣性センサによる視点位置の測定誤差を補正すること。特に時間経過に伴つ て生じる蓄積誤差の補正を行 、、位置ずれの少な!、位置姿勢測定装置 (モーション キヤプチヤの一種)が開示されて!ヽる(例えば、特許文献 2参照)。
より具体的には、図 16に示すように、測定対象の回転によって生じる角速度を測定 する角速度測定部 (高精度姿勢センサ) 401と、測定対象の移動および回転によつ て生じる加速度を測定する加速度測定部 (加速度センサ群) 402と、角速度測定部 4 01の出力に基づ ヽて加速度測定部 402の出力に含まれる誤差を推定する誤差推 定手段 (誤差推定モジュール) 403と、角速度測定部 401の出力に基づ 、て測定対 象の姿勢を算出する姿勢算出手段 (姿勢算出モジュール) 404と、加速度測定部 40 2の出力および誤差推定手段 403による誤差推定結果および姿勢算出手段 404〖こ よる姿勢算出結果に基づいて、測定対象の位置を算出する位置算出手段 (位置算 出モジュール) 405と、を備えた位置姿勢測定装置 400である。そして、加速度測定 部 402の出力誤差は、比例定数を掛けたり、時間平均の比例定数を掛けたりして、 補正するものである。
[0005] さらに、 3軸加速度計及び 3軸角速度計から得られた 6軸データの静止状態の零点 誤差を補正することにより、動作を正確に測定することを目的としたリハビリ用姿勢モ ユタリング装置 (モーションキヤプチヤの一種)が開示されている(例えば、特許文献 3 参照)。
より具体的には、図 17に示すように、姿勢モニタ部 561に設けた 3軸加速度計及び 3軸角速度計力も得た 6軸データを慣性演算部 563に入力し、 6軸データの静止状 態 (M、 N)の零点誤差を補正して高精度に生体 550の動作を測定する生体のリハビ リ用姿勢モニタリング装置である。
特許文献 1:特開 2005— 331265号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 2:特開 2005 - 114452号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 3:特開 2005— 34343号公報 (特許請求の範囲)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] しかしながら、特許文献 1に開示された姿勢角度検出装置は、実際の動作状態とは 異なる経路で回転変換を施しており、被測定物の実際の動作状態と合致せず、信頼 性に欠けるばかりか、 2種類のオイラー角力も姿勢角度を演算するために、演算処理 量が多ぐデータ処理に時間が力かるという問題が見られた。また、被測定物の 6軸 データ以外に、地磁気センサを用いて、所定の地磁気を測定しなければならず、セ ンサ部分の小型化や軽量ィ匕が困難であるという問題が見られた。
また、特許文献 2に開示された位置姿勢測定装置は、加速度測定部の出力誤差が 大きい場合には実質的に対応できず、さらに、数個の加速度測定部の出力誤差が 均一でなければ、実質的に誤差補正ができな 、という問題が見られた。
さらに、特許文献 3に開示されたリハビリ用姿勢モニタリング装置は、カルマンフィル タ等を用いて、被測定物の動作前後における 6軸データの静止状態の零点誤差を補 正するのみであった。したがって、動作を観測する座標系としての基準座標系、例え ば、大地座標系において、被測定物の正確な位置を検知できないという問題が見ら れた。
[0007] そして、特許文献 1〜3に開示された位置姿勢測定装置等は、いずれも測定精度 が低いという問題が見られた。特に、被測定物が円運動をしたような場合に、測定誤 差が大きくなつて、それを防止するために、センサ部分を大きくしょうとすると、装置の 小型化や軽量ィ匕が困難となるばかりか、消費電力が大きくなつたり、さらには、回路 基板等への実装が困難になったりするという問題が見られた。
一方、一般的なモーションセンサ (加速度センサ、角速度センサ)は、オフセットや ゲインの温度変化 (ドリフト)による出力誤差が顕著であり、例えば、図 18に示すような 補正を行っており、様々な温度補償回路を付加して使用されている。しかしながら、 センサや回路特性のバラツキが大きぐ EPROMなどに書き込まれた固定の補償回
路では、十分な精度が得られな!/、と 、う問題が見られた。
[0008] そこで、本発明者等は、このような問題を鋭意検討した結果、被測定物が円運動を したような場合であっても、あるいは、例えば、測定間隔が 5〜50msという比較的粗 いサンプリングを行った場合であっても、比較的小型の 6軸センサと、所定のデータ 処理のアルゴリズム (角速度を積分した微小角に基づぐ 3軸一括回転変換技術)に よって、被測定物の位置を精度良く検出できることを見出したものである。
すなわち、本発明は、被測定物の位置データ等を精度良く測定することができると ともに、小型化や軽量ィ匕が容易なモーションキヤプチャを提供することを目的としたも のである。
課題を解決するための手段
[0009] 本発明によれば、被測定物の加速度 (G 、G 、G )を測定する 3軸加速度センサ xn yn zn
および角速度(ω 、 ω 、 ω )を測定する 3軸角速度センサをそれぞれ備えた 6軸 xn yn ζη
センサによって、被測定物の位置または姿勢を検出するためのモーションキヤプチャ であって、 3軸加速度センサおよび 3軸角速度センサの各出力データから、下記数式 (1)で表される逆スキューマトリクス (R(n)—1)、あるいは、下記数式(2)で表される変 形逆スキューマトリクス ( (n)"1)に基づいて、下記数式 (3)で表される基準座標系 の加速度 (A 、A 、A )を算出するためのデータ処理工程を含むモーションキヤ
Xn Yn Ζη
プチヤである。
すなわち、被測定物が基準座標系において円運動等をしたような場合であっても、 角速度を積分した微小角に基づぐ 3軸一括回転変換技術により、被測定物の位置 を精度良く検出できるとともに、小型化や軽量ィ匕が容易なモーションキヤプチャを提 供することができる。
なお、下記数式(1)において、個々の逆スキューマトリクスの積になっており、下記 数式(2)において、個々の逆変形スキューマトリクスの積になっている力 それらもま た、単純ィ匕して、逆スキューマトリクスおよび逆変形スキューマトリクスと呼ぶものとす る。
(数式(1)中、 Atは、被測定物の測定間における微小時間である。 )
[0013] (数式(2)中、 Atは、被測定物の測定間における微小時間である。 )
[0014]
(3)
[0015] (数式 (3)中、 G は、それぞれ測定開始時における基準座標上での重力
加速度である。 )
[0016] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、基準座標系の加速度が、 大地座標系の加速度であることが好まし 、。
すなわち、被測定物が、基準座標系として、大地座標系において円運動をしたよう な場合であっても、被測定物の位置を精度良く検出することができる。
[0017] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、 3軸加速度センサおよび
3軸角速度センサの各出力データから、大地座標系の加速度 (A A A )を算
Xn Yn Ζη 出し、この大地座標系の加速度をもとに、被測定物の位置データを算出することが好 ましい。
このように構成することにより、被測定物の位置をさらに迅速に検出することができる 。なお、大地座標系の加速度をもとに、被測定物の位置データのみならず、被測定 物の速度や傾斜角度等についても、精度良く算出することができる。
[0018] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、 3軸加速度センサの出力 データを、データ処理工程前に、オフセット補正処理することが好ましい。
このように構成することにより、被測定物の位置をさらに迅速かつ精度良く検出する
ことができる。
[0019] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、 3軸加速度センサおよび 3軸角速度センサ、あるいはいずれか一方のセンサに、既知の調整電圧を印加して 、検出レベルを調整することが好ましい。
このように構成することにより、被測定物の計測範囲(レンジ)を拡大し、かつ大きな オフセットが生じたとしても、被測定物の位置をさらに迅速かつ精度良く検出すること ができる。
[0020] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、第 1のモーションキヤプチ ャと、第 2のモーションキヤプチヤと、を含み、それぞれ被測定物の離れた位置に配置 されているとともに、第 1のモーションキヤプチヤによる位置データと、第 2のモーション キヤプチヤによる位置データと、から、被測定物の構成部位における相対位置を算出 することが好ましい。
このように構成することにより、被測定物の構成部位における相対位置であっても、 精度良く検出することができ、それから被測定物の状態についても推定することがで きる。
なお、モーションキヤプチヤによる被測定物の位置データのみならず、被測定物の 傾斜角度データからも、被測定物の構成部位における相対角度湘対位置)を算出 することができる。
したがって、第 1のモーションキヤプチャを車両に取り付けるとともに、第 2のモーショ ンキヤプチャを運転手に取り付けることにより、被測定物の構成部位における相対角 度 (相対位置)を算出できることから、移動する車両の中で、車両に固定された座標で 人の動作を推測することが可能となる。
[0021] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、電源を含むとともに、当 該電源が、モーションキヤプチヤの筐体の外部に電気接続してあり、モーションキヤプ チヤの筐体の内部に搭載された 6軸センサとは、隔離してあることが好ましい。
このように構成することにより、比較的重量のある電源の影響を排除して、被測定物 の位置をさらに精度良く検出することができる。
[0022] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、 6軸センサが、フレキシブ
ル基板の上に積層されたリジッド基板の上に、搭載してあることが好ましい。
このように構成することにより、 6軸センサの実装が容易になるばかりか、 6軸センサ の動作を保証して、被測定物の位置をさらに精度良く検出することができる。
[0023] また、本発明のモーションキヤプチャを構成するにあたり、フレキシブル基板の上に 、リジッド基板が、複数積層されており、当該複数のリジッド基板が所定間隔をあけて 積層してあることが好まし!/、。
このように構成することにより、 6軸センサの実装が容易になるばかりか、リジッド基 板の間に露出したフレキシブル基板を利用して、折り曲げたり、変形させたりすること ができる。したがって、モーションキヤプチヤの取り付けや取り扱いの自由度を飛躍的 に向上させることができる。
[0024] また、本発明のモーションキヤプチヤの別の態様は、被測定物の加速度 (G 、 G
xn yn
、G )を測定する 3軸加速度センサおよび角速度(ω 、 ω 、 ω )を測定する 3軸 zn xn yn ζη
角速度センサをそれぞれ備えた 6軸センサによって、被測定物の位置または姿勢を 検出するためのモーションキヤプチヤであって、 3軸加速度センサおよび 3軸角速度 センサの各出力データから、被測定物が非慣性運動をしていると判断された場合に は、下記数式 (4)で表されるスキューマトリクス (R (n) )、あるいは、下記数式(5)で表 される変形スキューマトリクス (IT (n) )に基づいて、被測定物にかかる基準重力べク トルカ 傾斜角を算出するためのデータ処理工程を含むモーションキヤプチヤである
すなわち、被測定物が非慣性運動をしている場合であっても、被測定物の加速度 を精度良く測定することができる。
なお、下記数式 (4)において、個々のスキューマトリクスの積になっており、下記数 式(5)において、個々の変形スキューマトリクスの積になっている力 それらもまた、 単純ィ匕して、スキューマトリクスおよび変形スキューマトリクスと呼ぶものとする。
[0026] (数式 (4)中、 A tは、被測定物の測定間における微小時間である。)
[0028] (数式(5)中、 A tは、被測定物の測定間における微小時間である。 )
図面の簡単な説明
[0029] [図 1] (a)〜(c)は、本発明のモーションキヤプチヤにおける概略断面図、平面図およ び側面図である。
[図 2]本発明のモーションキヤプチヤにおける別の概略断面図である。
[図 3]3軸加速度センサのおよび 3軸角速度センサの補正方法を説明するために供 する図である。
[図 4] (a)〜 (b)は、 3軸加速度センサの一例を説明するために供する図である。
[図 5] (a)〜 (b)は、 3軸角速度センサの一例を説明するために供する図である。
[図 6]3軸角速度センサの電極関係を説明するために供する図である。
[図 7] (a)〜 (d)は、 3軸角速度センサの動作を説明するために供する図である(その
D o
[図 8] (a)〜 (d)は、 3軸角速度センサの動作を説明するために供する図である(その
2)。
[図 9] (a)〜 (d)は、 3軸角速度センサの動作を説明するために供する図である(その
3)。
[図 10]3軸加速度センサおよび 3軸角速度センサの補正方法を実施するためのフロ 一チャートである。
[図 l l] (a)〜(b)は、アルゴリズムとして、スキューマトリクスを用いた円運動の際の軌 跡と、その経過時間および誤差との関係を示す図である。
[図 12] (a)〜(b)は、アルゴリズムとして、変形スキューマトリクスを用いた円運動の際 の軌跡と、その経過時間および誤差との関係を示す図である。
[図 13] (a)〜(d)は、フレキシブル回路基板と、リジッド基板とを含む複合基板である。
[図 14] (a)〜 (b)は、練習用の野球バットへの応用例を説明するために供する図であ
る。
[図 15]従来の姿勢角度検出装置を説明するために供する図である (その 1)。
[図 16]従来の位置姿勢測定装置を説明するために供する図である (その 2)。
[図 17]従来のリハビリ用姿勢モニタリング装置を説明するために供する図である (その
3)。
[図 18]従来の 3軸加速度センサのおよび 3軸角速度センサの補正方法を説明するた めに供する図である。
発明を実施するための最良の形態
[0030] 本発明の実施形態は、図 1 (a)〜(c)あるいは図 2に示すように、被測定物の加速 度 (G 、G 、G )を測定する 3軸加速度センサ 16aおよび角速度(ω 、 ω 、 ω ) を測定する 3軸角速度センサ 16bをそれぞれ備えた 6軸センサ 16によって、被測定 物の位置または姿勢を検出するためのモーションキヤプチャ 10であって、 3軸加速度 センサ 16aおよび 3軸角速度センサ 16bの各出力データから、逆スキューマトリクス( R (n) あるいは変形逆スキューマトリクス (R' (n)"1)に基づいて、基準座標系の加 速度 (A 、A 、A )を算出するためのデータ処理工程を含むモーションキヤプチャ
10である。
また、本発明のモーションキヤプチヤの別の実施態様は、同様の 6軸センサによつ て、被測定物の位置または姿勢を検出するためのモーションキヤプチヤであって、 3 軸加速度センサおよび 3軸角速度センサの各出力データから、被測定物が非慣性運 動をしていると判断された場合には、スキューマトリクス (R(n) )、あるいは、変形スキ ユーマトリクス (IT (n) )に基づいて、被測定物に力かる基準重力ベクトルから傾斜角 を算出するためのデータ処理工程を含むモーションキヤプチヤである。
なお、図 1 (a)は、モーションキヤプチャ 10の概略断面図であり、図 1 (b)は、その概 略平面図であり、図 1 (c)は、その概略側面図である。また、図 2は、別のモーションキ ャプチヤ 1(Τの概略断面図である。
[0031] 1.基本的構成
(1) 3軸加速度センサ
3軸加速度センサは、図 4に示すように、内部に埋込 SiO層を有するとともに、平面
形状が矩形状である質量体 43と、この質量体 43と、枠部 42と、を四箇所で連結する ビーム部 45〜48と、この 45〜48の所定箇所に複数設けてある抵抗素子 49と、から なるピエゾ抵抗型の三次元加速度センサ 40であることが好ましい。
また、図示した構造以外でも、静電容量型に代表されるような、重力などの静加速 度を検出できる 3軸加速度センサであれば、適用することができる。
すなわち、力かる 3軸加速度センサによって、被測定物における三次元方向の加速 度をモニタするとともに、当該三次元方向の加速度成分 (G、 G、 G )をフィルタ処理 しながら、所定方向成分の合成ベクトル G (G 、G 、G )を定めることができる。し
0 Ox Oy Oz
たがって、三次元方向の加速度成分 (G、 G、 G )から、重力方向成分の合成べタト ル G (G 、G 、G )を正確に定めることができる。
0 Ox Oy Oz
[0032] (2) 3軸角速度センサ
また、図 5は、 3軸角速度センサ 50の一例を説明するために供する図である。また、 図 6は、 3軸角速度センサ 50の電極関係を説明するために供する図であり、図 7〜図 9は、 3軸角速度センサ 50の動作を説明するために供する図である。
したがって、 3軸角速度センサは、振動子に対して、圧電素子が積層してあり、 3軸 周りの角速度が変化した場合に発生するコリオリカを検知する構成であることが好ま しい。
この理由は、コリオリカを検知する構成であれば、モニタした角速度成分(ω 、 ω 、 χ y ω )を比較的大きな値として測定することができ、それをフィルタ処理して、被測定物 が等角速度運動状態に近似できるように効果的に補正することができるためである。 また、コリオリカを検知するのであれば、消費電力が少なぐ小型化、軽量化が容易 な 3軸角速度センサを提供することができるためである。
[0033] より具体的には、図 5に示す 3軸角速度センサ 50の場合であれば、 3つの振動脚 5 2a、 52b、 52cを固定するための基咅 56と、各振動脚 52a、 52b、 52cに対応して連 なる 3つの質量体 53a、 53b、 53cと、各振動脚 52a、 52b、 52cを振動させるための 発振回路部(図示せず)と、各質量体 53a、 53b、 53cについて発生したコリオリカを 検出するための検出部(図示せず)と、を有している。
そして、各振動脚 52a、 52b、 52cを含む平面において、直交する二軸を X軸及び
Y軸とし、かつ平面に垂直方向に Ζ軸をとつたときに、第 1振動脚 52bが Υ軸方向に一 致させてあるとともに、第 2振動脚 52a及び第 3振動脚 52cが、それぞれ Y軸力も互い に離れるように斜め方向に延びる延設部 54a、 54cを備えて 、る。
また、角速度センサ 50の検出部において、それぞれの質量体 53a、 53b、 53cにつ いて発生したコリオリカを検出するに際して、各質量体 53a、 53b、 53cの振動モード として、第 2振動脚 52a及び第 3振動脚 52cが、 Y軸方向に対して、同時に開閉する HSモード、あるいは第 2振動脚 52a及び第 3振動脚 52cが、 Y軸方向に対して、同時 に同方向に変位するとともに、第 1振動脚 52bが、その反対方向に変位する HAモー ドの動作を、平面的になしている。
[0034] また、図 5に示す 3軸角速度センサは、図 6に示すような電極を所定場所に備えて おり、図 7に示すようにして、角速度を測定することができる。
すなわち、図 6に示すように、 3軸角速度センサ 50の発振回路部 80は、各振動脚 5 2a、 52b、 52cを所定の振動モードで振動させるための振動回路を含む部位である。 したがって、力かる発振回路部 80は、発振回路、 AGC回路、インピーダンス変換 回路、位相補正回路、コンパレータ等力も構成してあることが好ましい。
ここで、図 6に、発振回路部 80の一部として、周波数信号発振装置 (発振回路) 77 と、各出力端子 71、 73、 75と、グランド (あるいは基準電位) 72、 74、 76と、所定の 配線とから構成されている振動回路を示す。
この発振回路部 80において、各振動脚 52a、 52b、 52cに駆動用信号を入力すベ く、各振動脚 52a、 52b、 52cに、複数の電極70 (70&〜7011)カ設けられてぃる。そ して、例えば、第 2振動脚 52a及び第 3振動脚 52cの電極は、側面の一つにおいて は、それぞれ分割された形で 2つの電極 70a、 70b、 70k、 701が設けられ、側面のも う一つの面においては、それぞれ全面的に、 1つの電極 70eが設けられている。また 、第 2振動脚 52a及び第 3振動脚 52cの上下面には、それぞれ側面の電極を補助す るために、ほぼ全面的に、一対の補助電極 70c、 70dが設けてある。
一方、第 1振動脚 52bの電極 70f、 70g、 70h、 70iは、振動脚の周囲である 4面に 対応して、それぞれ設けられている。
[0035] すなわち、振動脚を、例えば、水晶材の Zカット板を用いて構成した場合には、図 6
に示すように、第 2振動脚 52a及び第 3振動脚 52cの側面に分割して設けた電極 70a 、 70b、 70k、 701は、それぞれ垂直方向の振動に寄与するため、 Tモードの駆動や 検出に適している。一方、各振動脚 52a、 52b、 52cの側面に全面的に設けた電極 7 0e、 70f、 70g、 70jは、それぞれ水平方向の振動に寄与するため、 HSモードや HA モードの駆動や検出に適していると言える。
なお、発振回路部における回路構成については、種々変更することができる。例え ば、任意の回路場所に、小範囲の位相調節のための論理回路や、 L、 C、 R等のアナ ログ要素を挿入したり、さらには駆動用信号の増幅を行うためのフィルタを設けたりす ることも好まし 、。
[0036] また、各質量体の振動動作として、第 2振動脚及び第 3振動脚が、 Y軸方向に対し て、同時に開閉する HSモード、あるいは、第 2振動脚及び第 3振動脚が、 Y軸方向 に対して、同時に同方向に変位するとともに、第 1振動脚が、その反対方向に変位す る HAモードの動作を、平面的になすことが好ましい。
この理由は、振動モードとして、 HSモードを採用した場合には、 X軸方向の検出モ ードを Vモード、 Y軸方向の検出モードを Tモード、 Z軸方向の検出モードを HAモー ドとして、感度良くコリオリカを検出することができるためである。
[0037] すなわち、図 7 (a)〜(d)に示すように、角速度センサ(3脚タイプ)において、
HSモードの振動動作を行うとともに、 X軸方向において角速度が作用した場合、コリ オリ力が所定方向に発生し、それが、振動モードにノイズレベルで含まれる Vモード の振動と結合することにより、共振して大きな値のコリオリカを検出することができる。
[0038] また、図 8 (a)〜(d)に示すように、角速度センサ(3脚タイプ)において、 HSモード の振動動作を行うとともに、 Y軸方向において角速度が作用した場合、コリオリカが 所定方向に発生し、それが、振動モードにノイズレベルで含まれる Tモードの振動と 結合することにより、共振して大きな値のコリオリカを検出することができる。
[0039] さらに、図 9 (a)〜(d)に示すように、角速度センサ(3脚タイプ)において、 HSモー ドの振動動作を行うとともに、 Z軸方向において角速度が作用した場合、コリオリカが 所定方向に発生し、それが、振動モードにノイズレベルで含まれる HAモードの振動 と結合することにより、共振して大きな値のコリオリカを検出することができる。
[0040] なお、振動モードとして、 HAモードを採用した場合であっても、 X軸方向の検出モ ードを Tモード、 Y軸方向の検出モードを Vモード、 Z軸方向の検出モードを HSモー ドとして、感度良くコリオリカを検出することができる。
さらに、振動モードとして、例えば、 Tモードを採用した場合には、 X軸方向の検出 モードを HAモード、 Y軸方向の検出モードを HSモードとして検出できるものの、 Z軸 方向においては、回転方向と、振動方向とがー致することから、感度良くコリオリカを 検出することは困難である。
[0041] 2.データ処理工程
図 10に示すデータ処理工程のフローチャートに沿って、加速度データおよび角速 度データのデータ処理工程を説明する。
また、力かるデータ処理工程を説明するに際して、図 11及び図 12に言及しながら、 本実施形態の補正方法を、従来の補正方法と比較するものとする。
[0042] (1)加速度データのオフセット補正(自律調整補正)
図 10に、 S1で示されるように、加速度センサを用いて、加速度ベクトルデータ G(G 、 G、 G )を測定した後、 S2で示されるように、加速度ベクトルデータのオフセット補正
(加速度データの自律調整補正)を行う。
すなわち、被測定物につき、加速度センサを用いて測定した 3次元の重力加速度 ベクトル(G 、 G 、 G )を、本来の重力加速度ベクトル (G、 G、 G )と、各軸のオフセ ットベクトル (G 、G 、G )に分解する。すると、下記数式 (6)が成立する。
[0043]
Gx2 + Gy2十 Gz2 = (Gxi - GxO)2 + (Gyi - GyO)2 + (Gzi - GzO)2 = 9.82 [m/s 2 ] (6) [0044] ここで、加速度ベクトルデータのオフセットは、一般的には、比較的緩やかに値が変 化するので、比較的短時間の間に、加速度センサが搭載されている被測定物の異な る方位において、上記測定を 3回 (測定数 (i) = 1、 2、 3と表す。)行った場合、下記 数式 (7)が成立する。
(7)
[0046] したがって、数式(6)中の変数は、 の 3つであり、これを 3次元の加速
度空間で考えると、半径が重力加速度に等しい球方程式と考えられる。
すなわち、点 (G 、G 、G )、点 、G 、G )および点 (G 、G 、G )から重力
xl l zl x2 y2 z2 x3 y3 z3
加速度に相当する距離にある 2点のうち、 1方の座標力 加速度センサのオフセット ベクトル (G を表すことになる。
また、もう一つの異なる重力加速度ベクトル (G 、G 、G )を測定して、このべタト
x4 y4 z4
ルからも重力加速度に相当する距離に近い側のオフセットベクトルを用いて、キヤリ ブレーシヨン (測定値力 オフセットベクトル成分を差し引く校正)を行うと、さらに正確 な補正をすることができる。
よって、異なる方位において、 4点以上測定することによって、しばしば姿勢を変え る被測定物の加速度センサによる測定において、さらに適切な位置になるように、加 速度センサのオフセット補正をすることができる。
[0047] 但し、放置しておけば姿勢をほとんど変えないか、またはセンサを中心として重力 ベクトルの廻りの回転運動のみを行っている被測定物の場合には、上述したように、 異なる 3方位において、加速度を測定することで、加速度センサのオフセット補正を することができない。
したがって、そのような場合には、加速度センサにおいて、測定している静加速度 のベクトル長が、重力加速度力もずれてきた場合には、強制的に姿勢を 3回変えて 測定し、上述した方法でキャリブレーションを行うように、被測定物を制御せしめること が好ましい。
[0048] なお、図 3に示すように、センサ出力に大きなオフセットが生じた場合であっても、増 幅器 A2の出力または AZDコンバータの値 Dcが飽和しないよう、 DZAコンバータ に強制的にオフセット Da、 Dbを与えることができる。
すなわち、センサの実際の出力は Da + Db + Dcとして得られることから、この値を 使用して、補正した値を D/ Aコンバータへ Dd、または Dd— Dcとして出力すること ができる。そのため、センサのオフセットが、温度ドリフト等の原因により変化したとし ても、適時センサの補正を自動的に行うため、常に安定した正しい値を出力する加 速度センサおよび角速度センサを提供できる。
[0049] (2)加速度データのゲインの補正(自律調整補正)
次いで、図 10に、 S3で示されるように、加速度ベクトルデータ G(G、 G、 G )のゲイ ンの補正 (加速度ベクトルデータの自律調整補正)を行う。
すなわち、測定した 3次元の重力加速度ベクトル (G 、 G 、 G )を本来の重力加速 度 (G、 G、G )と、各軸のオフセット出力 (G 、G 、 G )に分解すると、下記数式 (8) yO
が成立する。なお、 A、 A、 Aは、それぞれセンサアンプにおける正しいゲインであ る。
[0050] 2 2
Gx 2 + Gy + Gz =
Ax (Gxi - GxO) + Ay (Gyi - GyO) + Az (Gzi - GzO) _ = 9.82[m/s2 ] (8)
[0051] ここで、数式(3)の場合と同様に、今度は 6つの異なる姿勢にぉ 、て、重力加速度 ベクトルを測定することにより、下記数式(9)で表される 6つの方程式を作ることができ る。
これを、変数 (A、 A、 A、 G 、 G 、G )について解くと、補正すべきゲインとオフ
^0
セットを求めることができる。すなわち、得られたゲインとオフセットから、さらに正しい 加速度の値を算出することができる。
[0052]
Ax 2 (Gxl - GxO)2 + Ay (Gyl - GyO) 2 + Az2 (Gzl - GzO) 2 = 9.8 2 、
Ax (Gx2 - GxO)2 + Ay2 (Gy2 - GyO) 2 + Az2 (Gz2 - GzO) 2 = 9.8 ^
Ax (Gx3 - GxO) 2 + Ay2 (Gy3 - GyO) 2 + Az (Gz3 - GzO) 2 = 9.82
, 2 9 9 (9) Ax (Gx4 - GxO) 2 + Ay (Gy4 - GyO) + Az (Gz4 - GzO) = 9.82
Ax 2(Gx5 - GxO) 2 + Ay2 (Gy5 - GyO) + Az (Gz5 - GzO) 2 = 9.8 ^
Ax 2(Gx6 - GxO) 2 + Ay 2(Gy6 - GyO) + Az2 (Gz6 - GzO)2 = 9.8^ ノ
[0053] (3)加速度データ力 の傾斜角の測定
次いで、加速度データから傾斜角を測定するにあたり、図 10中に、 S4で示されるよ うに、補正された加速度ベクトルデータ G (G 、G 、G )から、被測定物が慣性運動 をしている力、否かの判断を行う。
この場合、以下の条件 1)〜3)を満足する場合に、被測定物が慣性運動をしている
と判断することができる。
1)補正された加速度ベクトルデータ Geの絶対値力 重力加速度の値と等しいか、あ るいは重力加速度 +所定値( δ 1)の範囲内の場合
2)補正された加速度ベクトルデータ Gの絶対値力 経時的に変化しないか、あるい は重力加速度 +所定値( δ 2)の範囲内の場合
3)被測定物の角速度変化が無いか、あるいは角速度 +所定値( δ 3)の範囲内の場
[0054] 次いで、被測定物が慣性運動をしていると判断した場合には、図 10中に、 S5で示 されるように、補正された加速度ベクトルデータ G (G、 G、 G )から、基準重力べタト ル Gを決定する。なお、図 10中に、 S6で示されるように、基準重力ベクトル Gのうち
P P
、初期値を Gとして記憶し、被測定物の位置を測定する際に用いる。
S
[0055] 一方、補正された加速度ベクトルデータ Gの絶対値が、重力加速度の値と大きく異 なり、重力加速度 +所定値( δ )の範囲外の場合には、慣性運動をしていないと判断 して、図 10中、 5で示されるように、下記数式 (4)で表されるスキューマトリクス (R ( n) )、あるいは、下記数式(5)で表される変形スキューマトリクス ( (n) )に基づいて 、加速度ベクトル Gの座標逆回転処理 (動的処理)を行うことが好ましい。
[0057] (数式 (4)中、 A tは、被測定物の測定間における微小時間である。 )
[0059] (数式(5)中、 A tは、被測定物の測定間における微小時間である。 )
[0060] 次いで、図 10中に、 S7で示されるように、基準重力ベクトル Gを、現在の重力べク
P
トルとして、図 10中に、 S8で示されるように、被測定物の傾斜角度(0 、 0 、 0 )を 算出する。
すなわち、 Z軸が鉛直方向(基準重力ベクトル Gの逆向き)になっているときを基準
P
とし、下記数式(10)から、被測定物の傾斜角度(Θ 、 0 、 0 )を求めることができる ここで、傾斜角度 0 は、 Y軸の水平面となす角度であり、傾斜角度 0 は、 X軸の水 平面となす角度であり、傾斜角度 Θ は、 Z軸の鉛直面となす角度である。
[0061] ey = SIII-1 (GPX/|GP |) (10)
ez = c。s- GPノ |GF
[0062] (4)角速度センサにおけるオフセット補正
次いで、図 10に、 で示される同一箇所に取り付けられた角速度データのオフセ ット補正について説明する。
なお、角速度データのゲイン補正についても、同様に行うことができる。すなわち、 図 10中、 S' lで示されるよう〖こ、角速度データを取得し、それを 2で示される工程 において、 LPフィルタ処理して、高周波の衝撃成分 (ノィ )を除去することにより、簡 易的なゲイン補正を行うことができる。
[0063] (4) 1 角速度センサにおける簡易的なオフセット調整
角速度センサにおける角速度(ω 、 ω 、 ω )の簡易的なオフセット調整は、図 10 に、 S' 3で示されるように、ジャイロセンサからの出力力も LPフィルタなどによって高 周波の衝撃成分 (ノィ )を除去して得られる。
[0064] (4) - 2 角速度センサにおけるオフセット補正
次いで、図 10中の 〜 7で示される工程に沿って、角速度センサにおける簡 易的なオフセット調整のみならず、初期化直前での差分の値に基づく角速度センサ におけるオフセット補正をすることもできる。
すなわち、下記数式(11)および数式(12)で表されるように、前回のキヤリブレーシ ヨンからの経過時間 (T1 TO)で割った値を、初期化直前での差分として、角速度セ ンサのオフセット誤差とみなすことができる。
[0065]
(θ
Χι -θ
Χο )/Τ1-ΤΟ (11)
[0067] したがって、数式(11)および数式(12)で表される値から、角度のキヤリブレーショ ンだけでなぐ同時に角速度センサのオフセット補正も、以下に示す方法で可能であ る。
[0068] Α:第 1の補正方法
基準重力ベクトル Gの大きさが変化しないで、安定している場合には、角速度(ω
Ρ
、 ω、 ω ) =(0、 0、 0)になるようオフセットを調整する。
[0069] B:第 2の補正方法
基準重力ベクトル Gの大きさおよび方向が変化しないで安定している場合には、 G
P
を Gへ強制的に代入するが、その時の差分 (G — G )が、角速度(ω)の誤差によ c P c Ρ
つて、前回の慣性運動検出時(時間 TOにおけるキャリブレーション)からの時間分だ け累積されたと考えられる。
、直前の Gpによって求められた時間 T1における傾斜角度(0 、 0 、 0 )との差
xl yl zl
分から、角速度(ω)の誤差を調整し、オフセットを調整する。具体的には、式(11)で 表される(Θ — Θ
xl xO )Z(T1— TO)、および式(12)で表される(0 — θ )/(Τ1-Τ
yl yO
O)だけ、角速度(ω、 ω )のオフセットを減じることになる。
[0070] (5)角速度データ力 の位置測定
次 、で、角速度データからの位置測定の方法を説明する。
次いで、図 10中、 で示されるように、被測定物の回転成分に関して、以下の(1 3)式から、微小回転角度(Δ θ ' , Δ θ ' , Δ θ ' )を求めることができる。
[0071]
A Q' x= ∑ (ωχ+ωχβ; -Δ^ —Έω t +ω β∑ ί
Α Θ' y= ∑ (ωγ+ωγβ) - At =∑ iy t+wye∑ lt (13)
Α Θ' z= ∑ (ωζ+ωζβ) -At
ωζβΣ ί
[0072] 但し、微小回転角度(Δ θ ' , Δ θ ' , Δ 0 , )には、数式(13)に示すように、角速 度(ω、 ω )の誤差積分も含まれるので、積分時間の上限を定め、古いデータを捨 てることによって、正しい処理をすることができる。従って、角度(Δ 0 '、 Δ 0 ' )につ
いて、常時、積分定数の補正をすることが好ましい。
[0073] より具体的に説明すると、図 10中、 S3〜S'4に向力つて矢印(点線)で示されるよう に、補正された加速度ベクトルデータ G (G、 G、 G )を利用し、図 10に、 S'4〜S'9 に示されるように、下記数式(1)の逆スキューマトリクス (R(n)— に基づいて、下記数 式 (3)で表される基準座標系の加速度 (A 、A 、A )を算出することができる。
xn yn zn
すなわち、 S,4で、逆スキューマトリクス (R (n)—1)に基づいて、補正された加速度べ タトルデータ G (G、 G、 G )の基準座標を逆回転させる。
なお、補正された加速度ベクトルデータ G (G、 G、 G )と、計測データである G(G 、 G、 G )とを、便宜的に、同様の表記とする。
[0075] (数式(1)中、 A tは、被測定物の測定間における微小時間である。 )
[0076]
(3)
[0077] (数式 (3)中、 G は、それぞれ測定開始時における基準座標上での重力
加速度である。 )
[0078] 一方、逆スキューマトリクス (R(n)—1)の代わりに、下記数式(2)の変形逆スキューマ トリタス (IT (n)—1)に基づいて、大地座標系の加速度 A(A 、A 、A )を求めるべく
Xn Yn Ζη
、 3次元座標系の回転によるベクトル変換を行うことも好ましい。 sinlro At )
[0080] (数式(2)中、 A tは、被測定物の測定間における微小時間である。 )
[0081] したがって、逆スキューマトリックス (R(n)—1)によってデータ処理すると、図 11 (a)
(b)に示すように、被測定物 (長さ lmの練習用の野球バット)を円運動させた場合、
スタート地点(S)と、円運動の終点 (T)とが、若干位置がずれているものの、その間に お!、ては、比較的良!、一致を示して!/、ることが理解できる。
また、変形スキューマトリックス (R' (η) "1)によってデータ処理すると、図 12 (a)〜(b )に示すように、同被測定物を円運動させた場合、スタート地点 (S)と、円運動の終点 (T)が、ほぼ一致しているばかりか、その間においても、被測定物の軌跡と、算出さ れた位置データと、がほとんど良 、一致を示して!/、る。
すなわち、データ処理において、逆スキューマトリックス (R (n)—1)、あるいは変形逆 スキューマトリクス (IT (n)— を用いることにより、被測定物の位置をより精度良く測定 できることが理解される。
[0082] 但し、被測定物が慣性運動をしている場合であって、 で、算出された加速度 (A
、A 、A )から、重力加速度の初期値 Gを除去して得られる運動加速度 (D 、D
Xn Yn Ζη S Χη
、 D )が 0にならない場合、あるいは所定値( δ 4)より大きい場合には、オフセット'
Yn Zn
ゲインにおける処理が不十分であると判断して、再度、図 10に示す S ^で、オフセッ ト ·ゲイン補正することが好まし 、。
すなわち、基準重力ベクトル G (大きさおよび方向)が変化しないで安定していると
P
き、運動加速度 Dは 0となるはずだから、逆スキューマトリクス (R (n)— 等を用いて、 A = Gとなるように角速度( ω )を補正することが好ま 、。
S
したがって、逆スキューマトリクス (R (n)—1)等の計算において、仮に、(ω χί、 co yi、 co zi)〖こ、常に、オフセット誤差(co xe、 co ye、 co ze)が存在していた場合には、下式( 14)で表される誤差が累積されることになる。
その結果、被測定物が慣性運動をしている場合であっても、 Aが 0にならない状況 となる。よって、下式(14)において、オフセット誤差(co xe、 co ye、 co ze)について解き 、それをもとに角速度(ω )を補正することになる。
[0084] 次いで、 で、基準座標系の加速度 (A 、A 、A )を算出する。
Xn Yn Zn
次いで、 で、算出された加速度 (A 、A 、A )から、重力加速度の初期値 G
を除去して、運動加速度 (D 、D 、D )とする。
Xn Yn Ζη
次いで、 S ^で、運動加速度 (D 、D 、D )を積分し、基準座標系の速度を算出 xn Yn Zn
し、さらに、 で、その速度を積分して、基準座標系における被測定物の位置を検 出する。
[0085] 6.その他
(1)電源
図 1に示すように、電源 22は、電源制御用半導体素子 27によって制御されながら、 モーションキヤプチャ 10の筐体 12の内部にあって、 6軸センサ 16や、無線送信モジ ユール等を動作させることが好まし 、。
但し、電源 22を、モーションキヤプチャ 10の外部端子に電気接続してあり、モーシ ヨンキヤプチャ 10の筐体 12の内部に搭載された 6軸センサ 16等と、隔離してあること も好ましい。
この理由は、比較的重量のある電源 22の影響を排除して、 6軸センサ 16による被 測定物の位置を、さらに精度良く検出することができるためである。
また、電源の数としては、単数であっても良いが、重量的な左右バランスをとるため に、複数個とすることが好ましい。
さらに、電源として、二次電池を採用することにより、廃棄等の問題を回避して、環 境への影響を少なくすることができるばかりか、外部からの充電が可能となって、電源 の交換の手間を省略することができる。
その他、電源の長寿命化のために、スリープ機能を備えることが好ましい。すなわち 、センサが、所定時間動作を検出しな力 たような場合に、自動的に電源をオフとし、 衝撃等によって、再び電源をオンさせることが好ま 、。
[0086] (2)基板
また、図 2に示すように、 6軸センサ 16 (16a、 16b)を搭載する基板としては、少なく ともフレキシブル基板 18bの上に積層されたリジッド基板 18aであることが好まし 、。さ らに言えば、フレキシブル基板 18bを上下方向から挟み込むように、上下面にそれぞ れリジッド基板 18aが積層してある複合基板 18 'を用いることが好ましい。
この理由は、リジッド基板 18aの上に、 6軸センサ 16を実装するため、ハンダリフロ
一法等を用いて、容易かつ精度良く実装することができるためである。そればかりか、 リジッド基板 18aが、 6軸センサ 16の動作を保証して、被測定物の位置をさらに精度 良く検出することができるためである。
[0087] また、図 2や図 13 (a)〜(d)に示すように、フレキシブル基板 18bの上に、複数のリ ジッド基板 19aが、積層されており、当該複数のリジッド基板 19aが所定間隔をあけて 積層してある複合基板 19 'を用いることが好ましい。
この理由は、比較的小さなリジッド基板 19aの上に、 6軸センサ 16を実装するため、 ハンダリフロー法等を用いて、容易かつ精度良く実装することができるためである。ま た、複数のリジッド基板 19aの間に露出したフレキシブル基板 18bを利用して、折り曲 げたり、変形させたりすることができるためである。したがって、モーションキヤプチャ の取り付けや取り扱いの自由度を飛躍的に向上させることができる。
なお、図 13 (a)〜(d)に、複合基板の数態様を示す。例えば、図 13 (a)に示す複合 基板 1 ^の場合、十字状に露出したフレキシブル基板 18bを利用して、長手方向に も、横方向にも折り曲げたり、変形させたりすることができる。
また、図 13 (b)に示す複合基板 1 ^の場合、斜線状に露出したフレキシブル基板 1 8bを利用して、比較的大きな実装エリアを確保することができるとともに、斜め方向に 折り曲げたり、変形させたりすることができる。
また、図 13 (c)に示す複合基板 18,の場合、スリット状に露出したフレキシブル基板 18bを利用して、ロール状に変形させて、巻いた状態にすることができる。
さら〖こ、図 13 (d)に示す複合基板 18,の場合、波状に露出したフレキシブル基板 1 8bを利用して、折り曲げる場合に、過度に変形するのを防止することができる。
[0088] (3)データ送信
また、図 1 (a)に示すように、得られたデータを、モーションキヤプチヤの外部に設け てある計算機にデータ送信するための無線送受信モジュール 26や、アンテナ 24を 設けることが好ましい。
また、図 1 (a)に示すように、無線送受信モジュール 26に電気的に連なり、外部との データ通信のためのチップアンテナ 24は、折り曲げたもう一方の基板 18と重ならな V、位置に存在することが好まし 、。
この理由は、上下方向に位置する基板 18と、基板 19とを、垂直方向に眺めた場合 に、チップアンテナ 24の実装箇所において重なっていると、電波障害となって、デー タ通信の妨げになる場合があるためである。したがって、上下方向に位置する基板 1 8と、基板 19との長さを異ならせ、チップアンテナ 24の実装箇所においては、重なら な 、ように構成することが好ま 、。
[0089] (4)複合モーションキヤプチャ
また、第 1のモーションキヤプチヤと、第 2のモーションキヤプチヤと、を含んで複合 モーションキヤプチャを構成し、それぞれ被測定物の離れた位置に配置されて!、ると ともに、第 1のモーションキヤプチヤによる位置データと、第 2のモーションキヤプチャ による位置データと、から、被測定物の構成部位における相対位置を算出することが 好ましい。
この理由は、このように構成することにより、被測定物の構成部位における相対位置 であっても、精度良く検出することができ、それから被測定物のさらなる状態について も推定することができるためである。
したがって、手の上腕と下腕に、それぞれ第 1のモーションキヤプチヤおよび第 2の モーションキヤプチャを取り付け、手の上腕と下腕の位置を検出することにより、その 相対位置を算出して、それ力 手の上腕と下腕の折り曲げ角度等を測定することが 可能となる。
また、一部上述したように、第 1のモーションキヤプチャを車両の一部、例えば、ハン ドルやドアに取り付けるとともに、第 2のモーションキヤプチャを運転手の体に取り付け ることにより、被測定物の構成部位における相対角度湘対位置)を算出できることか ら、移動する車両の中であっても、リアルタイムで、人の動作を推測し、居眠り運転防 止や運転状況の把握等に役立てることも可能となる。 産業上の利用可能性
[0090] 本発明のモーションキヤプチヤによれば、被測定物が円運動をしたような場合であ つても、あるいは、比較的粗いサンプリングを行った場合であっても、比較的小型の 6 軸センサと、所定のデータ処理のアルゴリズム (角速度を積分した微小角に基づぐ 3 軸一括回転変換技術)によって、被測定物の位置や姿勢等を精度良く測定すること
ができるとともに、小型化や軽量ィ匕が容易になった。
[0091] 例えば、従来、長さ(LI) 10cm,横幅 (L3) 8cm、厚さ(L2) 2cm程度の矩形状の モーションキヤプチヤが、長さ(LI) 5cm、横幅(L3) 4cm、厚さ(L2) 1cm程度の矩 形状のモーションキヤプチヤとすることができる。
また、モーションキヤプチヤの重量についても、従来、 500g以上あつたのを、本発 明のモーションキヤプチヤによれば、測定精度等が向上し、センサの小型化が図れる こと力も、 10〜300g程度、より好ましくは、 10〜: LOOg程度に軽量ィ匕することができる
[0092] したがって、本発明のモーションキヤプチャを、例えば、テニスのラケット、卓球のラ ケット、ノ トミントンのラケット、野球バット、ゴルフクラブ、 自動車、オートバイ、ロボット 、携帯電話、腕時計、パーソナルコンピュータ等へ応用することが期待される。
より具体的には、図 14 (a)〜(b)に示すように、本発明のモーションキヤプチャ 10を 、練習用の野球バット 100の内部に装着し、プレーヤー 101による練習用の野球バッ ト 100のスイングの際における位置検出を図ることができる。したがって、プレーヤー 101は、それを画像情報として参考にすることができ、プレーヤー 101において、軌 跡 (K)が示すように、正確なバットスイングの習得に寄与することができる。
また、本発明のモーションキヤプチャを、スキー板や、それを用いるスキージャンプ の選手に適用して、空中姿勢や飛行軌跡を計測し、ブレなどを強調描画するとともに 、それを TV映像にスーパーインポーズすることによって、スキー競技等の分野にお ける視聴者をさらに感動させたりすることが期待される。