明 細 書
トリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩の製造方法
技術分野
[0001] 本発明はトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩の製造方法に関する
〇
発明の背景
[0002] トリス(パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩は有機合成や電池電解質等の 分野において、ルイス酸触媒やイオン伝導材として有用な物質である。本発明で対 象とするトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩の製造方法としては従来 から多く知られており、例えば、非特許文献 1では、トリフルォロメタンスルホニルフロリ ドをメチルマグネシウムハライド(グリニャール試薬)と反応させることによりトリス (パー フルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩を得られることが開示されている。
[0003] また、特許文献 1にお!/、て、パーフルォロアルカンスルホ二ルノヽライドとアルカリ金 属メタンとの反応を、有機溶媒中で行うことによりメチド酸塩を得る方法が開示されて いる。
非特許文献 l : Inorg.Chem., 27巻、 2135— 2137頁、 1988年
特許文献 1 :特開 2000— 226392号公報
発明の概要
[0004] 非特許文献 1の方法は以下のスキームに示すように、グリニャール試薬とトリフルォ ロメタンスルホニルフロリドの反応により生成したメチド酸マグネシウムブロミド塩を、一 且硫酸によってメチド酸とし、更にこれを金属炭酸塩 (ここでは炭酸セシウム)によりメ チド酸塩として得るものである(スキーム 1)。
[化 1コ
(スキーム 1 )
4CH3MgBr + 3CF3S02F MgBr+C(S02CF3>3- + 3CH4 + 3MgBiF
MgBr+C(S02CF3)3- H2S04 " HC(S02CF + BrMgHS04
HC(SO,CF3)3 + 1/2C C03 ^ CsC(S02CF3)3 + 1/2H20 + 1/2C02
[0005] しかしながら、この方法では反応の工程が長いことや、硫酸を用いる為、廃棄物の 処理に時間力 Sかかることから、生産性にも負荷がかかり、工業的にいくぶん難があつ た。
[0006] 一方、特許文献 1においては、非特許文献 1とは異なり、一段階でメチド酸塩を得ら れる製造方法であり、非常に有用な方法である。し力、しながら、この方法は、アルキル 金属メタンが高価であること、反応後に塩酸で処理をする為に廃棄物の問題があるこ とや、 55°C付近で反応を行うことなどから、工業的に生産するには難があった。
[0007] 本発明の目的は、上記問題点に鑑み、トリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メ チド酸塩を従来の製造法よりも工業的に容易にかつ安価に製造する方法を提供する ことである。
[0008] 本発明に依れば、式 [1]で表されるトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド 酸塩
[化 2]
[RfSOa]3CnM [ 1 ]
[式中、 Rfは炭素数 1〜9の直鎖又は分岐鎖のパーフルォロアルキル基であり、 nは 該当する陽イオンの価数と同数の整数を、 Mは陽イオンでアルカリ金属、(R1) Nで表
4 される 4級アンモニゥム、又は (R1) Pで表される 4級ホスモニゥムを表す。ここで R1は炭
4
素数 1〜9の同一又は異なる直鎖、分岐鎖の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素 基又はァリール基 (ここで水素原子の一部または全てはハロゲン (フッ素、塩素、臭素 、ヨウ素)、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、ァセチル基、シァノ基もしくはヒドロキシル 基で置換されていても良い)を表す。 ]
の製造方法であって、
式 [2]で表されるメチルマグネシウムハライド
[化 3コ
CH3MgX [ 2 ]
[式中、 Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す。 ]
を、式 [3]で表されるパーフルォロアルカンスルホニルフロリド
[化 4コ fSOaF [ 3 ]
[式中、 Rfは炭素数 1〜9の直鎖又は分岐鎖のパーフルォロアルキル基を表す。 ] と反応させて反応混合物を得る工程 (a)と、
得られた反応混合物をそのままアルカリ金属ハロゲン化物、 4級アンモニゥム塩、 4級 ホスホニゥム塩のみからなる群より選ばれる少なくとも 1つと反応させる工程 (b)を含 む、トリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩の製造方法が提供される。
[0009] この方法によって、短工程で、かつ高純度、高収率でトリス(パーフルォロアルカンス ルホニル)メチド酸塩が得られることを見い出し、本発明を完成した。
[0010] 非特許文献 1に記載の方法では、メチルマグネシウムハライドとパーフルォロアルカ ンスルホニルフロリドを反応させた後、得られた反応混合物である、メチド酸マグネシ ゥムブ口ミド塩等の、式 [4]で表されるトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド 酸マグネシウムハライド
[式中、 Rfは前記に同じ。 Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す。 ]
を、硫酸と反応させて式 [5]で表されるトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチ ド酸
[化 6]
[RfS02]3CH [ 5 ]
[式中、 Rfは前記に同じ。 ]
とし、更にこれを金属炭酸塩 (ここでは炭酸セシウム)により式 [1]で表される、トリス( パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩として得るものである力 この方法では 生産性に負荷がかかり、さらに該目的物の純度及び収率が低下してしまい、工業的 に製造する上でも難があった。
[0011] し力、しながら、本発明者らは、トリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸を経
由することなぐトリス(パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸マグネシウムハライ ドを、そのままアルカリ金属ハロゲン化物(塩化セシウム、塩化カリウム等)、 4級アンモ 二ゥム塩(テトラメチルアンモニゥムブロミド等) 又は 4級ホスホニゥム塩(テトラブチル ホスホニゥムブロミド等)と反応させることで、短工程で、容易に、高選択率かつ高収 率で該目的物を得ること力 Sできると!/、う驚くべき知見を得た (スキーム 2)
[化 7]
(スキーム 2 )
H2S04
[RfS02]3C(MgX) 酸処理工程 後処理工程 精製工程 [RfS02]3CH
[ 4 ] ' [ 5 ]
•アルカリ金属ハロゲン化物
• 4級アンモ-ゥム塩 金属灰酸塩 ;
• 4級ホスホニゥム塩 (Cs2C03)
, ろ過工程 再結晶工程 , ^ h t
T [ fS02]3CnM
[ 1 ] 非特許文献 1 のルー ト
» 本発明を用いたルート
[0012] 本発明を用いたルートでは、従来と比べて工程が大幅に短縮できることや、硫酸等 の酸を用いないため、後処理工程で排出される廃有機溶媒、廃水等の廃液が大幅 に軽減でき、さらに、ろ過、再結晶といった、工業的にも簡便な方法で該目的物が容 易に得られることとなった。
[0013] このように、工程及び製造時間の大幅な簡略化ができることから、操作に手間をか けずに容易に該目的物を供給することも可能であり、工業的規模で製造する上で非 常に優れた方法である。
詳細な説明
[0014] 本発明の方法によれば、有機合成や電池電解質として有用なトリス (パーフルォロ アルカンスルホニル)メチド酸塩を、従来よりも容易に且つ高純度、高収率で製造す ること力 Sでき、さらに製造の際に排出される廃有機溶媒、廃水等の廃液が大幅に軽 減できると!/、う効果を奏する。
[0015] 以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。式 [2]で表されるメチルマグネシウム
ハライドの具体的な化合物としてはメチルマグネシウムョージド、メチルマグネシウム
い。
[0016] 原料となるメチルマグネシウムハライドは、従来公知の方法により製造することがで きる力 製品として市販されているものを用いることもでき、当業者が適宜選択するこ と力 Sできる。
[0017] 使用できる有機溶媒としては、反応工程中で原料および生成物と反応しない不活 性溶媒が好ましぐたとえばジェチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、 t ブトキシ メタン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジォキサン等のエー テル類等が挙げられる。溶媒の使用量は、式 [2]で表されるメチルマグネシウムハラ イドに対して通常 0. 5〜; 10倍容量、好ましくは 5〜7倍容量の範囲から適宜選択され
[0018] 式 [3]で表されるパーフルォロアルカンスルホニルフロリドは、炭素数;!〜 9の直鎖 又は分岐鎖のパーフルォロアルキル基が通常用いられる力、炭素数 1〜6が好ましく
、炭素数 1 (トリフルォロメチル基)が特に好ましい。具体的な化合物としては、トリフル ォロメタンスノレホニノレフロリド、ペンタフノレォロエタンスノレホニノレフロリド、ヘプタフノレォ 口プロパンスルホニルフロリド、ノナフルォロブタンスルホニルフロリド、ゥンデカフルォ 口ペンタンスルホニルフロリド、トリデカフルォ口へキサンスルホニルフロリド、ペンタデ カフノレォロヘプタンスノレホニノレフロリド、ヘプタデカフノレォロオクタンスノレホニノレフロリ ド、ノナデカフルォロノナンスルホニルフロリドなどが挙げられる力 トリフルォロメタン スノレホニノレフロリド、ペンタフノレォロエタンスノレホニノレフロリド、ヘプタフノレォロプロノ ンスルホニルフロリド、ノナフルォロブタンスルホニルフロリド、ゥンデカフルォロペンタ ンスルホニルフロリド、トリデカフルォ口へキサンスルホニルフロリドが好ましぐトリフル ォロメタンスルホニルフロリドが特に好ましい。
[0019] パーフルォロアルカンスルホニルフロリドの量は、通常メチルマグネシウムハライド 1 モノレに対し 0. 75〜2. 0モノレで り、 0. 75モノレ〜 1. 20モノレカ好ましく、 0. 8モノレ〜 1. 0モルが特に好ましい。
[0020] 本反応は 78°Cから 100°Cの温度範囲で可能であり、 10°Cから 60°Cが好まし
い。低沸点のパーフルォロアルカンスルホニルフロリドを用いる場合は、加圧下で行 つたり、反応器を低温に保つか、又は低温の凝縮器を用いておこなうのが好ましい。
[0021] 加圧下で反応を行う場合、反応器に、式 [2]で表されるメチルマグネシウムハライド 溶媒を仕込んだ後、反応器を密閉し、パーフルォロアルカンスルホニルフロリドを添 加する。添加は圧力を制御する為に副生するメタンを適宜パージしながら行なう。
[0022] 圧力は、通常、 0. ;!〜 lOMPa (絶対圧。以下、同じ)であるが、好ましくは 0. ;!〜 5 MPa、さらに好ましくは 0. ;!〜 2MPaとするのがよい。
[0023] 加圧下で反応を行う際の使用する反応器については、ステンレス鋼、ノ、ステロイ、 モネルなどの金属製容器を用いて行うことができる。また、常圧下で反応を行う場合、 反応器に関しても、当業者が適宜選択することができる。
[0024] 本発明では、得られた反応混合物を、アルカリ金属ハロゲン化物、 4級アンモニゥム 塩、 4級ホスホニゥムからなる群より選ばれる少なくとも 1つと反応させることにより、式 [ 1]のトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩が得られる。
[0025] なお、アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジゥ ム(Rb)、セシウム(Cs)力もなる群より選ばれる少なくとも 1つが挙げられる。
[0026] 本発明で用いるアルカリ金属ハロゲン化物の具体的な化合物は、フッ化リチウム、 塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナ トリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、 フッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、フッ化セシゥ ム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウムからなる群より選ばれる少なくとも 1 つが挙げられるが、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム 、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、フッ化ルビジウム、塩化 ノレビジゥム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化 セシウム、ヨウ化セシウムが好ましぐフッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ 化カリウム、フッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、 フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウムが特に好ましい。
[0027] また、本発明で用いられる 4級アンモニゥム塩は、(R1) Ν+·Χ— (式中、 R1は炭素数 1
4
〜9の同一又は異なる直鎖、分岐鎖の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は
ァリール基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン (フッ素、塩素、臭素、ヨウ 素)、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、ァセチル基、シァノ基もしくはヒドロキシル基で 置換されていても良い)を表し、 Xはハロゲン (フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ァセテ一 ト、ハイドロスルホネート、アルカンスルホネート、ァリールスルホネート(ここで水素原 子の一部または全てはハロゲン (フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルキル基、アミノ基 、ニトロ基、ァセチル基、シァノ基もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)を 表す)が挙げられるが、これらのうち炭素数 1〜7が好ましぐ炭素数 1〜4が特に好ま しい。
[0028] 4級アンモニゥム塩としては、上述した式に該当する、任意に組み合わせたものを 使用すること力でき、それらの中でも、テトラメチルアンモニゥムフロリド、テトラメチル アンモニゥムクロリド、テトラメチルアンモニゥムブロミド、テトラメチルアンモニゥムョー ジド、テトラエチルアンモニゥムフロリド、テトラエチルアンモニゥムクロリド、テトラエチ ノレアンモニゥムブロミド、テトラエチルアンモニゥムョージド、テトラプロピルアンモニゥ ムフロリド、テトラプロピルアンモニゥムクロリド、テトラプロピルアンモニゥムブロミド、テ トラプロピルアンモニゥムョージド、テトラプチルアンモニゥムフロリド、テトラブチルァ ンモニゥムクロリド、テトラプチルアンモニゥムブロミド、テトラプチルアンモニゥムョー ジドを使用するのが好ましレ、。
[0029] また、本発明で用いられる 4級ホスホニゥム塩は、(R1) Ρ+ ·Χ— (式中、 R1は炭素数 1
4
〜9の同一又は異なる直鎖、分岐鎖の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は ァリール基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン (フッ素、塩素、臭素、ヨウ 素)、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、ァセチル基、シァノ基もしくはヒドロキシル基で 置換されていても良い)を表し、 Xはハロゲン (フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ァセテ一 ト、ハイドロスルホネート、アルカンスルホネート、ァリールスルホネート(ここで水素原 子の一部または全てはハロゲン (フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルキル基、アミノ基 、ニトロ基、ァセチル基、シァノ基もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)を 表す)が挙げられるが、これらのうち炭素数 1〜7が好ましぐ炭素数 1〜4が特に好ま しい。
[0030] 4級ホスホニゥム塩としては、上述した式に該当する、任意に組み合わせたものを使
用すること力 Sでき、それらの中でも、テトラフェニルホスホニゥムフロリド、テトラフェニル ホスホニゥムクロリド、テトラフエニノレホスホニゥムブ口ミド、テトラフエニノレホスホニゥム ョージド、テトラブチルホスホニゥムフロリド、テトラブチルホスホニゥムクロリド、テトラブ チノレホスホニゥムブ口ミド、テトラブチノレホスホニゥムョ一ジド、ブチノレトリフエニノレホス ホニゥムフロリド、ブチルトリフエニルホスホニゥムクロリド、ブチルトリフエニルホスホニ ゥムブ口ミド、ブチノレトリフエニノレホスホニゥムョ一ジド、トリオクチノレェチノレホスホニゥ ムフロリド、トリオクチルェチルホスホニゥムクロリド、トリオクチルェチルホスホニゥムブ 口ミド、トリオクチノレェチノレホスホニゥムョージド、ベンジノレトリフエニノレホスホニゥムフ口 リド、ベンジノレトリフエ二ノレホスホニゥムクロリド、ベンジノレトリフエニノレホスホニゥムブ口 ミド、ベンジルトリフエニルホスホニゥムョージド、ェチルトリフエニルホスホニゥムフロリ ド、ェチルトリフエニルホスホニゥムクロリド、ェチルトリフエニルホスホニゥムブロミド、 ェチルトリフエニルホスホニゥムョージドを使用するのが好ましい。
[0031] 本発明では、式 [2]で表されるメチルマグネシウムハライドと、式 [3]で表されるパー フルォロアルカンスルホニルフロリドを反応させた後、得られた反応混合物を、そのま まアルカリ金属ハロゲン化物、 4級アンモニゥム塩、 4級ホスホニゥム塩からなる群より 選ばれる少なくとも 1つを溶解した水溶液中に添加して反応させ、反応後に用レ、た溶 媒を留去することで、 目的とするトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩 が析出する。
[0032] 本発明では、詳細は実施例にて後述するが、ろ過及び再結晶という、工業的にも 簡便な方法で該メチド酸塩が高純度で容易に得ることができる。
[0033] 次に、ろ過工程について説明する。ろ過工程に関しては、特に制限はない。この時 、水への溶解度が低いトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩の場合、 溶媒を留去した後に結晶が析出するので、ろ過することで単離すること力 Sできる。
[0034] 一方、溶解度が高い塩の場合、トリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩 に対して溶解度が高い溶媒、例えば酢酸ェチル、イソプロピルエーテル、ジェチルェ 一テルなどの有機溶媒を用いて抽出し、溶媒を留去した後に、後述の再結晶操作を することで高純度のトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩を得ることが 出来る。
[0035] ろ過工程を行うことにより、該メチド酸塩に含まれている、メチルマグネシウムハライ ド、アルカリ金属ハロゲン化物由来の無機塩を容易に除去することができる。
[0036] 次に、再結晶工程について説明する。再結晶工程に関しても、特に制限はなぐ用 いる再結晶溶媒としては、有機溶媒又は水が挙げられる。有機溶媒としては、例えば ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジォキサン、ブチルメチルエーテル、ジイソプ 口ピノレエーテノレ、エチレングリコーノレジメチノレエーテノレ等のエーテノレ類、メタノーノレ、 エタノール、 n—プロピルアルコール、 iso—プロピルアルコール、 n—ブチルアルコー ノレ、 iso—ブチノレアノレコーノレ、 sec—ブチノレアノレコーノレ、 tert—ブチノレアノレコーノレ等 のアルコール類、 n—ペンタン、 n—へキサン、 n—ヘプタン、 n—オクタン等のアル力 ン類、アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類、ジ クロロメタン、クロ口ホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン 等の芳香族類などが例示できる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で用いてもよぐ 複数の有機溶媒を組み合わせてもよレ、。
[0037] これらのうち、後述の実施例に示されているように、水を溶媒として再結晶した場合 でも、十分に高純度のトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩を得ること が出来ることから、水を用いて再結晶することは、本発明の工業的な製造方法におけ る特に好ましレ、態様の一つとして挙げられる。
[0038] 再結晶によって、トリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩が析出する。
これを単離するには、通常の有機化学の操作で行えばよぐ「ろ過操作」(なお、ここ で言う「ろ過操作」とは、再結晶工程におけるろ過操作を示す。以下、同じ。)を施す ことで、前述のろ過工程と比べてもさらに高純度のトリス (パーフルォロアルカンスル ホニル)メチド酸塩を得ることが出来る。
[0039] また、ろ過操作により得られた溶液には、メチド酸塩が一部溶解して!/、ることから、 本発明者らは、得られたろ液を回収し、再結晶工程における溶媒として再利用が可 能である知見を得た(後述の表 1参照)。再利用することにより、トリス (パーフルォロア ルカンスルホニル)メチド酸塩の収率をさらに向上させること、また、後述の参考例と 比べても廃有機溶媒、廃水等の廃液が大幅に削減できることから、格段と生産性が 向上することとなった。
[0040] 再結晶操作によって得られた固体を減圧乾燥することにより、有機溶媒または水が 除去され、式 [1]で表されるトリス (パーフルォロアルカンスルホニル)メチド酸塩が高 純度で得られる。
[0041] 以下に、本発明を、実施例をもって説明する力 本発明はこれらの実施例により限 定されない。ここで、組成分析値の「%」とは、反応混合物を核磁気共鳴分析装置 (N MR、特に記述のない場合、測定核は19 F)によって測定して得られた組成の「モル% 」を表す。
実施例 1
[0042] コンデンサーを付した 300mlの硝子製反応容器に 2M-メチルマグネシウムクロリド —テトラヒドロフラン溶液 203gを窒素気流下加えて氷冷した後、トリフノレオロメタンス ルホニルフロリドを内温 0〜20°Cにて 33g導入した。一旦 35— 50°Cに昇温した後、 再度トリフルォロメタンスルホニルフロリド 17gを添加した。添加終了後、終夜室温に て熟成し、反応を行った (選択率 71 %)。
[0043] 500mlのナスフラスコに 300mlの純水を加え、塩化セシウム 17. 3gを添加して完 全に溶解した。ここに得られた反応液を添加し、エバポレーターにて反応系内のテト ラヒドロフランを減圧留去した(ここで廃有機溶媒 170gが副生)ところ、セシウムトリス( トリフルォロメタンスルホニル)メチドが析出した。析出した結晶を濾別し (ここで無機 塩を含む廃水 320gが副生)、 350gの水で再結晶を行ない、析出した結晶を濾別し た。再度 260gの水で再結晶し、析出した結晶を濾別した。得られた結晶を乾燥した ところ、収量 29· 7g、収率 53%そして純度 99%でセシウムトリス(トリフルォロメタンス ルホニル)メチドを得た。
実施例 2
[0044] 塩化セシウムの代わりに塩化ルビジウムを使用した他は、実施例 1と同様の条件で 反応を行った (選択率 76%)。結果、ルビジウムトリス(トリフルォロメタンスルホニル)メ チドを収率 58%、純度 99%で得た。
実施例 3
[0045] 塩化セシウムの代わりに塩化カリウムを使用した他は、実施例 1と同様の条件で反 応を行った (選択率 81 %)。結果、カリウムトリス(トリフルォロメタンスルホニル)メチド
を収率 52%、純度 99%で得た。
実施例 4
[0046] トリフルォロメタンスルホニルフロリドと塩化セシウムの代わりにそれぞれペンタフル ォロエタンスルホニルフロリドと塩化カリウムを使用した他は、実施例 1と同様の条件 で反応を行った (選択率 64%)。結果、カリウムトリス(ペンタフルォロエタンスルホニ ノレ)メチドを収率 46%、純度 99%で得た。
実施例 5
[0047] コンデンサーを付した 1000mlの硝子製反応容器に 1. 6M-メチルマグネシウムク 口リド一テトラヒドロフラン溶液 494gを窒素気流下加えて氷冷した後、トリフノレオ口メタ ンスルホニルフロリドを内温 0〜20°Cにて 64g導入した。一旦 35— 50°Cに昇温した 後、再度トリフルォロメタンスルホニルフロリド 32gを添加した。添加終了後、終夜室温 にて熟成し、反応を行った (選択率 75%)。
[0048] 1000mlのナスフラスコに 500mlの純水を加え、テトラプロピルアンモニゥムクロリド
53. 2gを添加して完全に溶解した。ここに得られた反応液を添加し、エバポレーター にてテトラヒドロフランを減圧留去し、残った溶液に酢酸ェチル 800mlを加えて抽出 した。得られた有機層をエバポレートし、析出した結晶をエタノール 200mlにて再結 晶を行なった。析出した結晶を濾別し、得られた結晶を乾燥したところ、収量 73. 6g ニル)メチドを得た。
実施例 6
[0049] コンデンサーを付した 300mlの硝子製反応容器に 1. 6M-メチルマグネシウムクロ リド—テトラヒドロフラン溶液 124gを窒素気流下加えて氷冷した後、トリフルォロメタン スルホニルフロリドを内温 0〜20°Cにて 16g導入した。一旦 35— 50°Cに昇温した後 、再度トリフルォロメタンスルホニルフロリド 8gを添加した。添加終了後、終夜室温に て熟成し、反応を行った (選択率 75. 4%)。
[0050] 500mlのナスフラスコに 250mlの純水を加え、テトラメチルアンモニゥムブロミド 9· 2gを添加して完全に溶解した。ここに得られた反応液を添加し、エバポレーターにて テトラヒドロフランを減圧留去し、残った溶液に酢酸ェチル 200mlを加えて抽出した。
得られた有機層をエバポレートし、析出した結晶を水 300mlにて再結晶を行なった。 析出した結晶を濾別し、得られた結晶を乾燥したところ、収量 26. 8g、収率 48%、純
[0051] 実施例 1 6に明らかなように、後述する参考例 1と比べて、短工程で、ろ過、再結 晶といった工業的に簡便な方法により高収率で該目的物が容易に得ることが可能で ある。
[0052] [参考例 1]
コンデンサーを付した 300mlの硝子製反応容器に 2M-メチルマグネシウムクロリド— テトラヒドロフラン溶液 200gを窒素気流下加えて氷冷した後、トリフルォロメタンスル ホニルフロリドを内温 0〜20°Cにて 32g導入した。一旦 35— 50°Cに昇温した後、再 度トリフルォロメタンスルホニルフロリド 16gを添加した。添加終了後、終夜室温にて 熟成し、反応を行った。
[0053] 500mlの分液ロートに 200gの 10%塩酸をカロえた後、反応液 225g、イソプロピル エーテル 72gを添加し分液操作を行なった (ここで廃塩酸が 232g副生)。得られた有 機層を 450gの水で 2回、 150gの水で洗浄、分液を行なった(ここで有機溶媒を含む 廃水が 1365g副生)。その後、有機層を 500mlのナスフラスコに加え、エバポレート した (廃有機溶媒が 123g副生)。得られた粗メチド酸に 200gの水を添加し、トルエン 44g X 2を加えて分液ロートにて分液操作を 2回行なった (廃有機溶媒 94g副生)。得 られた水層に 50%の水酸化セシウム水溶液を 20g加えて中和析出した後、水を 60g 添加して再結晶を行ない、析出した結晶を濾別した。再度 290gの水で再結晶し、析 出した結晶を濾別した。得られた結晶を乾燥したところ、収量 27. 6g、収率 52%でセ シゥムトリス(トリフルォロメタンスルホニル)メチドを得た。
[0054] このように、参考例 1では、実施例 1 6と比べて後処理工程で大量に有機物及び 排水が排出される為、工業的な実施には負担力かかる。
[0055] ここで実施例 1と参考例 1の廃液量の比較を、表 1として以下にまとめる。
[表 1]
廃液量比較 (廃液又は再結晶後ろ液 g Iメチド酸塩 lg)
実施例 1 参考例 1
廃有機溶媒 0 7.9 (IPE+トルエン)
THFを含む麂水 5.7 57.9
無機塩を含む廃水 10.8 0
廃液合計 (g/g) 16.5 65.8
再結晶後ろ液 (再利用)' 20.8 19.6
I PE ジイソプロピルエーテル
丁^1?=テトラヒドロフラン
'再結晶工程時、 ろ過後に回収したろ液 (次反応の再結晶溶媒として利用可能) 量を示す。 表 1に示すように、実施例 1は参考例 1と比べて廃液を格段に削減できることがわか