明 細 書
液体薬品の分配装置及び分配方法
技術分野
[0001] 本発明は、液体薬品の分配装置及び分配方法に関する。特に、本発明は、電子ェ 業用薬品などの流体を貯蔵し、運搬し、かつ分配する液体薬品の分配装置及び分 配方法に関する。
背景技術
[0002] 例えば、ホトレジストなどの電子工業用薬品は、運搬用の薬品容器に貯蔵されて製 造工場に納入される。このような薬品容器は、同じ容器を繰返し使用するリンク方式と 、毎回新しい容器を使用するワンウェイ方式がある。特に、高純度薬品の純度に影響 を与えぬためには、ワンウェイ方式の容器を使用することが好ましいが、経済的では ないという欠点がある。近年では、前記両方式を複合した複式格納型の容器が普及 している。
[0003] 一般に、複式格納型の容器は、予め洗浄された可撓性フィルムからなるバッグ (袋 体)を有している。このフィルム.バッグは、不活性材料から形成され、外側容器の中 に設けられている。フィルム 'バッグから薬品を排出した後に、このフィルム 'バッグは 廃棄され、新たなフィルム 'バッグに薬品が充填される。そして、継手などを含む外側 容器は繰返し使用される。
[0004] このような複式格納型の容器として、安全、確実に液体薬品を排出できる液体薬品 用容器、及びディスペンサからなる液体薬品の分配装置が発明されている(例えば、 特許文献 1参照)。
特許文献 1:特開平 6— 100087号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 図 15は、特許文献 1による容器及びディスペンサからなる液体薬品の分配装置の 正面図であり、要部を断面としている。本願の図 15は、特許文献 1の図 1に相当して いる。
[0006] 図 15において、特許文献 1による液体薬品の分配装置は、容器 7及びディスペン サ 8を備えている。容器 7は、外側容器 716と、ポート(以下、取付体という) 718と、リ テーナ 719を備えている。又、容器 7は、可撓性のバッグ 720と、液出しチューブ 722 と、カップリング 724と、を備えている。更に、容器 7は、蓋 726と、破断可能なシール 膜 727と、キャップ 728と、を備えている。
[0007] 図 15において、外側容器 716は、雄ねじを形成する口部 730を有し、口部 730の 中には、リテーナ 719及び取付体 718が取り付けられている。ノ ッグ 720は、取付体 718に取り付けられ、外側容器 716の中に設けられている。又、カップリング 724は、 取付体 718の中に設けられ、バッグ 720の内部の中へ下がっている液出しチューブ 722に接続されている。
[0008] 図 15において、蓋 726は、取付体 718、カップリング 724及び外側容器 716の口 部 730を包囲すると共に、破断可能なシール膜 727によって取付体 718及び外側容 器 716を封止している。そして、キャップ 728は、蓋 726の頂部をねじ止めしている。
[0009] 図 15において、外側容器 716は、スチール製のドラム缶であって、地板 732、胴体 734、傾斜した天板 736を備えている。又、外側容器 716は、天板 736に口部 730を 有し、胴体 734は、成形された一対のハンドル 738を有している。
[0010] 図 15において、デイスペンサ 8は、下部コネクタ 842と、リテーナ 844と、プローブ 8 46と、上きコネクタ 848と、を備えている。リテーナ 844は、下きコネクタ 842の中に 入れ子式に収容されている。プローブ 846は、リテーナ 844を貫通し、リテーナ 844 によって支持されている。上部コネクタ 848は、リテーナ 844及び下部コネクタ 842に 接続され、プローブ 846を包囲している。
[0011] 図 15にお!/、て、バッグ 720が装着された取付体 718を口部 730に取り付けた後に 、 ノ ッグ 720に液体薬品が充填される前に、好ましくは窒素によって膨張される。その 後、ノ^グ 720は取付体 718を介して液体薬品で充填される。次に、液出しチューブ 722及びカップリング 724を取付体 718に揷入する。蓋 726は、破断可能なシール 膜 727を取付体 718の頂端部上に置き、空所 776を封止する。又、容器 7の口部 73 0にキャップ 728を設けて破断可能なシール膜 727を覆うことができる。
[0012] 容器 7を運搬及びノ、ンドリングの間に、可撓性のバッグ 720の中に発生した気体は
全て、液出しチューブ 722のカップリング 724によって形成された気体通路を通って 流れ、液出しチューブ 722のカップリング 724の上端に設けられた空所 776に溜まる こと力 Sでさる。
[0013] 特許文献 1による容器 7は、破断可能なシール膜 727を備えており、デイスペンサ 8 に設けられるプローブ 846がシール膜 727を突き破ることにより、プローブ 846は空 所 790の中に揷入することができる。容器 7にデイスペンサ 8を接続し、デイスペンサ 8 及び空所 782を介して、バッグ 720内を窒素で加圧することにより、プローブ 846から 液体薬品を排出できる。
[0014] 特許文献 1による容器 7は、液出しチューブ 722付きカップリング 724を内蔵して運 搬される構成となっている。液出しチューブをデイスペンサ側に配置する構成とすれ ば、液体薬品用容器の製造原価を引き下げることも可能である。
[0015] 又、特許文献 1による容器 7は、完全密封容器である、いわゆるキヤニスター缶であ り、厚肉の金属板を成形加工した堅牢な構造であるが、製造原価が高価であるという 問題がある。高価なキヤニスター缶に換えて、薄肉の金属板を成形加工することによ り、廉価に製造できる液体薬品用のペール缶が求められる。
[0016] 更に、特許文献 1による容器 7は、液体薬品が排出された可撓性のバッグ 720は廃 棄され、液出しチューブ 722が洗浄された後に、新たなバッグ 720に装着される。ヮ ンウェイ方式のペール缶であれば、液出しチューブ 722の洗浄の手間や、外側容器 716へのバッグ 720の詰め替えの手間が省け、総合的にはむしろ経済的であるとい X·る。
[0017] 例えば、成形された耐薬合成樹脂製の内側容器を金属製の外側容器で囲う二重 構造の液体薬品用のペール缶とすることにより、特許文献 1による容器と比較して、 廉価であり簡易な構成の液体薬品用容器を提供できる。又、特許文献 1によるデイス ペンサは、複雑な流体通路を経由して液体薬品を分配しているが、液体薬品をぺー ル缶に収容することにより、このペール缶を直接加圧して液体薬品を分配できる。す なわち、デイスペンサの構成も簡易にできる。このような液体薬品用のペール缶、及 びこの液体薬品用のペール缶に接続可能な簡易な構成のデイスペンザが組み合わ される液体薬品の分配装置が求められる。
[0018] 又、特許文献 1によるキヤニスター缶は、底面が外部に向かって突出する曲面を形 成しており、かつ、液出しチューブがこの底面の中心に位置するように組み立て可能 である。したがって、特許文献 1によるキヤニスター缶は、液体薬品が容器内部に殆 ど残らない、いわゆる残液特性に優れた容器となっている。一方、ペール缶は、底面 が平らであり、液出しチューブがこの底面の周縁に位置するように組み立てられるの で、液体薬品が容器内部に残り易いという問題がある。液体薬品用のペール缶に液 体薬品が残り難い、残液特性に優れた液体薬品の分配装置が求められる。そして、 以上のことが本発明の課題と!/、つてよ!/、。
[0019] 本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、廉価に製造できる液体薬 品用のペール缶、この液体薬品用のペール缶に接続可能な簡易な構成のディスぺ ンサからなる残液特性に優れた液体薬品の分配装置及び分配方法を提供すること を目的とする。
課題を解決するための手段
[0020] 本発明者は、液体薬品用の容器を成形された耐薬合成樹脂製の内側容器を金属 製の外側容器で囲う二重構造のペール缶とすることにより、デイスペンサが簡易に構 成されることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな液体薬品の分配装置及 び分配方法を発明するに至った。
[0021] (1) 筒状に形成されて液体薬品を注入可能に開口する口部を有する耐薬合成樹 脂製の内側容器、及びこの内側容器の外殻を構成する金属製の外側容器、を備え る液体薬品用のペール缶と、前記ペール缶の前記口部に接続するデイスペンサと、 備える液体薬品の分配装置であって、前記ディスペンサは、前記口部に密封可能に 締結する円筒状のプラグ本体と、前記プラグ本体の外部から前記口部に向かって貫 通する開口を有し、前記内側容器の内部に圧縮流体を通気可能な通気手段と、一 端は前記内側容器の底面に到達し、他端は前記プラグ本体から突出し、前記プラグ 本体に密封可能に装着される液出しパイプと、を備え、前記通気手段を介して前記 内側容器の空気層に前記圧縮流体が加圧されることにより、液体薬品が前記液出し パイプの他端から排出される液体薬品の分配装置。
[0022] (1)の発明による液体薬品の分配装置は、液体薬品用のペール缶とディスペンサ
を備えている。液体薬品用のペール缶は、耐薬合成樹脂製の内側容器と金属製の 外側容器を備えている。内側容器は、筒状に形成されており、液体薬品を注入可能 に開口する口部を有している。外側容器は、内側容器の外殻を構成している。デイス ペンサは、ペール缶の口部に接続する。
[0023] 又、(1)の発明による液体薬品の分配装置は、デイスペンザが、円筒状のプラグ本 体と、通気手段と、液出しパイプと、を備えている。プラグ本体は、 口部に密封可能に 締結する。通気手段は、プラグ本体の外部から口部に向かって貫通する開口を有し 、内側容器の内部に圧縮流体を通気可能である。液出しパイプは、一端が内側容器 の底面に到達し、他端がプラグ本体から突出し、プラグ本体に密封可能に装着され る。そして、通気手段を介して、内側容器の空気層に圧縮流体が加圧されることによ り、液体薬品が液出しパイプの他端から排出される。
[0024] 内側容器が筒形に形成されているとは、内側容器が直円柱状に形成される形状を 含み、内側容器が上面の面積が底面の面積より大きい直円すい台状に形成される 形状を含んでいる。又、内側容器が筒形に形成されているとは、内側容器の上面に 口部が突出することを排除しない。液体薬品用のペール缶は、内側容器が角筒形に 形成されることを必ずしも排除しない。し力、し、内側容器の製作の容易性や、内部圧 力による膨張などの変形に抗するためには、内側容器は角筒よりも円筒が好ましい。
[0025] 耐薬合成樹脂製の内側容器とは、内側容器が耐薬合成樹脂で製造されることであ つてよく、内側容器がプラスチック成形されることにより大量生産できる。更に、耐薬合 成樹脂製の内側容器とは、この内側容器に収容される薬品、すなわち化学物質が内 側容器と接触して化学反応、例えばイオンによる汚染が困難である合成樹脂から成 る内側容器を意味している。耐薬合成樹脂は、耐酸合成樹脂を含み、耐アルカリ合 成樹脂を含み、耐腐蝕合成樹脂を含み、例えば、ポリエチレン (PE)やポリプロピレン (PP)などを含むポリオレフインが好ましレ、。
[0026] 外側容器は、内側容器を覆うべく金属板が製缶されてよぐ内側容器の外殻を構成 している。外側容器は、内側容器を保護し、又は、内側容器の力学的強度を補強し、 吊手やつる状の取っ手など必要な付属品が取り付けられる構造を有している。
[0027] 外側容器は内側容器の外殻を構成するとは、内側容器の外周全てに亘り、外側容
器が当接することを必ずしも意味しなレ、。外側容器自体の力学的強度を増加させる ために、内側容器の外周を囲う胴体に輪帯を設けてよぐ天板に同心円状に輪帯を 設けてよぐこれらの輪帯が内側容器と部分的に当接又は離反してもよい。又、口部 が突出する穴を天板に設けてよぐこの穴に引張り応力が集中して亀裂が生じないよ うに、この穴の周囲に円環状の段差を設けて補強してもよい。
[0028] そして、内側容器は、液体薬品を注入可能に開口する口部を有しており、この口部 力、ら液体薬品が排出することができる。 口部は、筒状に形成された内側容器の本体と 一体に成形されてよぐ別体の口部を内側容器の本体に溶着してもよい。又、 口部の 根元と外側容器との間に輪環状のパッキンを介装してよぐ内側容器と外側容器との 間に液体薬品が侵入しないように防水できる。
[0029] 例えば、外側容器は、平板状の鋼板を円筒状に形成して胴体を製作し、天板及び 地板を巻締めにより胴体に固着する、いわゆる天板固着式のペール缶であってよぐ 天板がバンドにより胴体に締め付けられて!/、る、 V、わゆる天板取り外し式バンドタイプ のペール缶であってもよぐ天板は周縁に複数の爪を有し、この天板が複数の爪によ り胴体に締め付けられている、いわゆる天板取り外し式ラグタイプのペール缶であつ てもよい。又、天板、及び/又は地板は、必要に応じて胴体の終端にシーム溶接さ れてもよい。
[0030] このように、薄肉の鋼板が成形加工されたペール缶は、厚肉の鋼板が成形加工さ れたキヤニスター缶と比較して、製造が容易であり、廉価に製造できるというメリットが ある。
[0031] 液体薬品用のペール缶は、 口部の外周に雄ねじを設けてよぐ 口部の開口をキヤッ プで封止し、更に口部を蓋で螺合することにより、液体薬品用のペール缶が密閉さ れる。そして、液体薬品をこぼすことなく搬送できる。又、外周に雄ねじを設ける口部 を利用して、デイスペンサを着脱容易に取り付けることができる。
[0032] デイスペンサのプラグ本体は、一端が円形に開口されてよぐこの開口の内周に雌 めじを形成することにより、プラグ本体を液体薬品用のペール缶の口部にねじ結合で きる。プラグ本体の外周に筋目ローレットを形成してもよぐプラグ本体を口部に確実 にねじ結合できる。又、プラグ本体の開口にシールリングを内装してよぐプラグ本体
を口部に締結することにより口部を密封できる。
[0033] 例えば、通気手段は、プラグ本体の外部から口部に向かって貫通する開口を含み 、このプラグ本体の開口に接続する L字形 (エルボ形)の合成樹脂製の第 2ジョイント を含むことができる。そして、第 2ジョイントをプラグ本体の開口に接続して、内側容器 の内部に圧縮流体を通気できる。圧縮流体は、不活性ガスが好ましぐこの不活性ガ スは、例えば、窒素ガスを利用できる。
[0034] 液出しパイプは、一端が内側容器の底面に到達し、他端がプラグ本体から突出し、 プラグ本体に密封可能に装着される。液出しパイプの一端は斜めにカットされてよぐ 液出しパイプの他端に L字形のジョイント (継手)を接続してもよ!/ヽ。
[0035] 例えば、プラグ本体は、カップリングリングとプラグシェルとシールリングを備えて構 成することもできる。カップリングリングは、口部の外周に螺合する。プラグシェルは、 カップリングリングと回転可能に連結する。シールリングは、カップリングリングの内部 に保持され、口部の端面に密着してカップリングリングとプラグシェルとの境界の通気 を封止する。そして、プラグシェルは、通気手段と、液出しパイプを着脱自在に固定 する合成樹脂製の第 1ジョイントと、を配置してよぐプラグシェルがカップリングリング と回転可能に連結しているので、通気手段の供給口、又は液出しパイプの排出口を 任意の向きに配置できる。又、プラグ本体及び液出しパイプはポリオレフインで構成さ れることが好ましい。
[0036] 第 1ジョイントは、市販のストレートタイプのホルダを利用できる。このホルダは、液出 しパイプをプラグ本体にスライド自在に保持できる。又、このホルダは、液出しパイプ を着脱自在に固定できる。例えば、このホルダは、ボルト状の中空の本体と、中心が 開口された袋ナットと、で構成されている。ボルト状の本体は、液出しパイプをスライド 自在に保持でき、プラグ本体に締結可能な雄ねじ部を一端側に有し、円錐状のスリ 一ブを他端側に有している。そして、袋ナットをボルト状の本体の他端側に締結する と、スリーブが縮径して、液出しパイプをホルダに固定できる。袋ナットをボルト状の本 体の他端側から開放すると、スリーブが復帰して、液出しパイプを引き抜くことができ
[0037] このように、ホルダを用いて、液出しパイプの一端が内側容器の底面に到達するよ
うに位置調整できる。そして、通気手段を介して、内側容器の空気層に圧縮流体が 加圧されることにより、液体薬品が液出しパイプの他端力も排出される。この液体薬 品には、感光性樹脂組成物を含んでいる。
[0038] (1)の発明による液体薬品の分配装置は、成形された耐薬合成樹脂製の内側容器 を金属製の外側容器で囲う二重構造のペール缶とすることにより、液体薬品用の容 器を廉価に提供できる。又、デイスペンサは、円筒状のプラグ本体、通気手段、及び 液出しパイプからなる、簡易な構成であり、デイスペンザに備わる通気手段を介して、 液体薬品用のペール缶を直接加圧することにより液体薬品を分配できる。更に、傾 斜台を用いて、液体薬品用のペール缶を傾斜配置することにより、液体薬品用のぺ ール缶に液体薬品が残り難くできる。
[0039] (2) 前記口部を当該内側容器の周縁近傍に配置し、前記液出しパイプの一端を 当該口部に対向する当該内側容器の底面の部位に到達させ、前記口部に対向する 部位が下方になるように当該ペール缶を傾斜配置する(1)記載の液体薬品の分配 装置。
[0040] (2)の発明による液体薬品の分配装置は、液体薬品用のペール缶を傾斜配置する ことにより、液体薬品用のペール缶に液体薬品が残り難い、残液特性に優れた液体 薬品の分配装置となっている。
[0041] (3) 斜面を形成する本体と、この斜面の低い方に立設する一対の転倒防止ポー ルと、を備える傾斜台を更に備え、前記ペール缶を傾斜配置する(2)記載の液体薬 品の分配装置。
[0042] 傾斜台の本体は、展開された金属板の四周囲が折り曲げられた略台形の箱状に形 成されてよぐ展開された金属板の三周囲が折り曲げられた略三角体の箱状に形成 されてもよい。箱状に形成される本体の内部にリブを設けて、斜面を補強してもよい。 又、傾斜台の本体は、上面に斜面を形成するブロック体でもよい。
[0043] 転倒防止ポールは、中空の丸パイプでもよぐ丸棒でもよい。転倒防止ポールの一 端は、傾斜台の本体に溶接されてもよぐ傾斜台の本体にねじ止めされてもよい。転 倒防止ポールの一端に雄ねじを設け、傾斜台の本体の雌ねじを設け、転倒防止ポ ールと傾斜台の本体を結合してよぐ転倒防止ポールの一端に雌ねじを設け、傾斜
台の本体のねじ部材の入る穴を設け、このねじ部材で転倒防止ポールと傾斜台の本 体を結合してもよい。
[0044] 一対の転倒防止ポールは、液体薬品用のペール缶の直径より小さ!/、距離に離間さ れて配置されることが好ましぐ本体の斜面に載置された液体薬品用のペール缶の 転倒が防止される。一対の転倒防止ポールは、液体薬品用のペール缶の高さより低 いことが好ましぐ液体薬品が充填されたペール缶の重心より高いことが好ましい。
[0045] (4) 前記ペール缶は、水平面に対して 12度以上、 30度以下に傾斜配置される(2 )又は(3)記載の液体薬品の分配装置。
[0046] 12度未満にペール缶を傾斜配置すると、液体薬品がペール缶の内部に残り易くな り、 30度を超えてペール缶を傾斜配置すると、傾斜配置の当初に液体薬品が口部 力 溢れる可能性がある。
[0047] (5) 筒状に形成されて液体薬品を注入可能に開口する口部を有する耐薬合成樹 脂製の内側容器、及びこの内側容器の外殻を構成する金属製の外側容器、を備え る液体薬品用のペール缶と、前記ペール缶の前記口部に接続するデイスペンサと、 を用いて、前記液体薬品を分配する方法であって、前記ディスペンサは、前記口部 に密封可能に締結する円筒状のプラグ本体と、前記プラグ本体の外部から前記口部 に向かって貫通する開口を有し、前記内側容器の内部に圧縮流体を通気可能な通 気手段と、一端は前記内側容器の底面に到達し、他端は前記プラグ本体から突出し 、前記プラグ本体に密封可能に装着される液出しパイプと、を備え、前記通気手段を 介して前記内側容器の空気層に前記圧縮流体が加圧されることにより、液体薬品が 前記液出しパイプの他端から排出される液体薬品の分配方法。
[0048] (6) 前記口部を当該内側容器の周縁近傍に配置し、前記液出しパイプの一端を 当該口部に対向する当該内側容器の底面の部位に到達させ、前記口部に対向する 部位が下方になるように当該ペール缶を傾斜配置する(5)記載の液体薬品の分配 方法。
[0049] (7) 斜面を形成する本体と、この斜面の低い方に立設する一対の転倒防止ポー ルと、を備える傾斜台を用いて、前記ペール缶を傾斜配置する(6)記載の液体薬品 の分配方法。
[0050] (8) 前記ペール缶は、水平面に対して 12度以上、 30度以下に傾斜配置される(6 )又は(7)記載の液体薬品の分配方法。
[0051] (9) 筒状に形成された耐薬合成樹脂製の内側容器と、この内側容器の外殻を構 成する金属製の外側容器、を備える液体薬品用のペール缶であって、前記内側容 器は、液体薬品を注入可能に開口する口部を有し、前記外側容器は、前記口部が 突出する穴を有する天板と、前記内側容器の外周を囲う胴体と、前記内側容器の底 面に当接する地板と、を有し、前記外側容器は、前記内側容器に加わる内圧に対し て、当該内側容器の変形を防止するように剛性を有している液体薬品用のペール缶
[0052] (9)の発明による液体薬品用のペール缶は、耐薬合成樹脂製の内側容器と金属 製の外側容器を備えている。内側容器は、筒状に形成されている。外側容器は、内 側容器の外殻を構成している。内側容器は、液体薬品を注入可能に開口する口部 を有している。外側容器は、天板と胴体と地板を有している。天板は、口部が突出す る穴を有している。胴体は、内側容器の外周を囲っている。地板は、内側容器の底面 に当接している。そして、外側容器は、内側容器に加わる内圧に対して、内側容器の 変形を防止するように剛性を有してレ、る。
[0053] (9)の発明による液体薬品用のペール缶は、内側容器が窒素などの圧縮流体で加 圧されて、液体薬品が排出される。ここで、外側容器は、内側容器に加わる内圧に対 して、内側容器の変形を防止するように剛性を有している。剛性を有しているとは、外 側容器が剛性を有する金属板で形成されていることを含んでよぐ内側容器が膨張 などで変形しないように、外側容器が力学的構造を備えていることを含むことができる
[0054] (9)の発明による液体薬品用のペール缶は、液体薬品用のペール缶が液出しチュ ーブ付きカップリングを内蔵して運搬される構成となっておらず、デイスペンサ側に液 出しチューブを備える構成となっているので、液体薬品用容器の製造原価を引き下 げることあ可能である。
[0055] 又、(9)の発明による液体薬品用のペール缶は、液体薬品用のペール缶が液体薬 品を排出された後に廃棄されるワンウェイ方式の容器であるが、液出しチューブの洗
浄の手間や、外側容器へのバッグの詰め替えの手間が省け、複式格納型の液体薬 品用容器と比較して、総合的には経済的であるというメリットがある。
[0056] 更に、(9)の発明による液体薬品用のペール缶は、液体薬品用のペール缶におけ る金属缶の内壁が合成樹脂フィルムでコーティングされておらず、合成樹脂から成る 内側容器を金属製の外側容器が外殻を構成して!/、る。このような二重構造のペール 缶は、金属と合成樹脂とが容易に分離及び解体でき、資源の再利用に役立つことが できる。
[0057] (10) 前記天板及び前記地板は、巻締めにより前記胴体に固着されている(9)記 載の液体薬品用のペール缶。
[0058] (11) 前記天板は、バンドにより前記胴体に締め付けられている(9)記載の液体薬 品用のペール缶。
[0059] (12) 前記天板は周縁に複数の爪を有し、当該天板は前記複数の爪により前記 胴体に締め付けられて!/、る (9)記載の液体薬品用のペール缶。
[0060] (13) 前記天板に吊手を備える(10)記載の液体薬品用のペール缶。
[0061] 例えば、吊手を回動自在に支持する取付金具が天板にスポット溶接で接合されて もよい。吊手は、天板の略中心に配置されることが好ましい。
[0062] (14) 前記胴体の前記天板側に設けられた一対のィヤーと、当該一対のィヤーと 回動可能に連結するつる状の取っ手と、を備える(11)又は(12)記載の液体薬品用 のペール伍。
[0063] 例えば、つる状の取っ手を回動自在に支持するィヤーとなる一対の取付金具が、 胴体の天板側にスポット溶接で接合されてもよい。
[0064] (15) 前記胴体は、直円柱状に形成される(9)記載の液体薬品用のペール缶。
[0065] (16) 前記胴体は、前記天板側の面積が前記地板側の面積より大きい直円すい 台状に形成される(9)記載の液体薬品用のペール缶。
[0066] (17) 前記天板の周縁、又は前記地板の周縁のいずれか一方、又は前記天板の 周縁と前記地板の周縁の双方に損傷保護体を設けている(9)記載の液体薬品用の ぺ一ル缶
[0067] 天板の周縁、又は地板の周縁のいずれか一方、又は天板の周縁と地板の周縁の
双方に損傷保護体を設けることにより、移送中の損傷を防止できる。
[0068] (18) 筒状に形成されて液体薬品を注入可能に開口する口部を有する耐薬合成 樹脂製の内側容器と、この内側容器の外殻を構成する金属製の外側容器、を備える 液体薬品用のペール缶前記口部に接続するデイスペンサであって、前記口部に密 封可能に締結する円筒状のプラグ本体と、前記プラグ本体の外部から前記口部に向 力、つて貫通する開口を有し、前記内側容器の内部に圧縮流体を通気可能な通気手 段と、一端は前記内側容器の底面に到達し、他端は前記プラグ本体から突出し、前 記プラグ本体に密封可能に装着される液出しパイプと、を備え、前記通気手段を介し て前記内側容器の空気層に前記圧縮流体が加圧されることにより、液体薬品が前記 液出しパイプの他端力も排出されるデイスペンサ。
[0069] (18)の発明によるディスペンサは、液体薬品用ペール缶の口部に接続する。液体 薬品用ペール缶は、耐薬合成樹脂製の内側容器と金属製の外側容器を備えている 。内側容器は、筒状に形成されており、液体薬品を注入可能に開口する口部を有し ている。外側容器は、内側容器の外殻を構成している。
[0070] 又、(18)の発明によるディスペンサは、円筒状のプラグ本体と、通気手段と、液出 しパイプと、を備えている。プラグ本体は、口部に密封可能に締結する。通気手段は 、プラグ本体の外部から口部に向かって貫通する開口を有し、内側容器の内部に圧 縮流体を通気可能である。液出しパイプは、一端が内側容器の底面に到達し、他端 がプラグ本体から突出し、プラグ本体に密封可能に装着される。そして、通気手段を 介して、内側容器の空気層に圧縮流体が加圧されることにより、液体薬品が液出しパ イブの他端力 排出される。
[0071] (18)の発明によるディスペンサは、円筒状のプラグ本体、通気手段、及び液出しパ イブからなる、簡易な構成であり、デイスペンザに備わる通気手段を介して、液体薬 品用ペール缶を直接加圧することにより液体薬品を分配できる。
[0072] (19) 前記プラグ本体は、前記口部の外周に螺合するカップリングリングと、この力 ップリングリングと回転可能に連結するプラグシェルと、前記力ップリングリングの内部 に保持され、前記口部の端面に密着して当該カップリングリングと当該プラグシェルと の境界の通気を封止するシールリングと、を備え、前記プラグシェルは、前記通気手
段と、前記液出しパイプを着脱自在に固定する合成樹脂製の第 1ジョイントと、を配置 して!/、る(18)記載のディスぺンサ。
[0073] (19)の発明によるディスペンサは、ディスぺンサにおけるプラグシェルがカップリン グリングと回転可能に連結しているので、通気手段の供給口、又は液出しパイプの排 出口を任意の向きに配置できる。
[0074] (20) 前記通気手段は、前記プラグ本体の開口に接続する L形の合成樹脂製の 第 2ジョイントを含んで!/、る( 18)又は( 19)記載のディスぺンサ。
発明の効果
[0075] 本発明による液体薬品の分配装置は、液体薬品用のペール缶と、このペール缶の 口部に接続されるデイスペンサで構成されている。液体薬品用のペール缶は、成形 された耐薬合成樹脂製の内側容器を金属製の外側容器で囲う二重構造としており、 製造が容易であり、廉価に製造できるというメリットがある。
[0076] 又、本発明による液体薬品の分配装置は、デイスペンザに備わる通気手段を介し て、液体薬品用のペール缶を直接加圧することにより液体薬品を分配できる。更に、 傾斜台を用いて、液体薬品用のペール缶を傾斜配置することにより、液体薬品用の ペール缶に液体薬品が残り難くできる。
[0077] 本発明による液体薬品用のペール缶は、成形された耐薬合成樹脂製の内側容器 を金属製の外側容器で囲う二重構造のペール缶としており、廉価に製造でき、金属 と合成樹脂とが容易に分離及び解体できるワンウェイ方式の液体薬品用ペール缶を 提供できる。
[0078] 本発明によるディスペンサは、円筒状のプラグ本体、通気手段、及び液出しパイプ 力もなる、簡易な構成であり、デイスペンザに備わる通気手段を介して、液体薬品用 のペール缶を直接加圧することにより液体薬品を分配できる。
図面の簡単な説明
[0079] [図 1]本発明による液体薬品の分配装置に備わる液体薬品用のペール缶の一実施 形態を示す斜視外観図である。
[図 2]前記実施形態による液体薬品用のペール缶に接続するデイスペンサの一実施 形態を示す正面図であり、要部を断面で示している。
園 3]前記実施形態によるディスペンザの分解組立図であり、液体薬品用のペール 缶が接続された状態図である。
園 4]前記実施形態による液体薬品用のペール缶の斜視外観図であり、天板取り外 し式バンドタイプの液体薬品用のペール缶を示している。
園 5]前記実施形態による液体薬品用のペール缶の斜視外観図であり、天板取り外 し式ラグタイプの液体薬品用のペール缶を示している。
園 6]前記実施形態による液体薬品用のペール缶の斜視外観図であり、天板の周縁 、及び地板の周縁に損傷保護体を設け、胴体がテーパに形成される T型の液体薬 品用のペール缶を示している。
園 7]前記実施形態による液体薬品用のペール缶の斜視外観図であり、天板の周縁 、及び地板の周縁に損傷保護体を設け、胴体がストレートに形成される S型の液体薬 品用ペール缶を示している。
園 8]前記実施形態によるディスペンサを液体薬品用のペール缶に接続する直前の 状態を示す斜視外観図である。
園 9]前記実施形態によるディスペンサのプラグ本体を液体薬品用のペール缶の口 部に締結している状態を示す斜視外観図である。
園 10]前記実施形態によるディスペンサを液体薬品用のペール缶に接続した状態を 示す斜視外観図である。
園 11]前記実施形態による液体薬品用のペール缶を 12度に傾斜配置する第 1実施 例による傾斜台の斜視外観図である。
園 12]前記実施形態による液体薬品用のペール缶を 30度に傾斜配置する第 2実施 例による傾斜台の斜視外観図である。
園 13]前記第 1実施例による傾斜台に液体薬品用のペール缶を配置した斜視外観 図である。
園 14]前記第 2実施例による傾斜台に液体薬品用のペール缶を配置した斜視外観 図である。
[図 15]従来技術による容器及びディスペンサからなる液体薬品の分配装置の正面図 であり、要部を断面としている。
符号の説明
[0080] 1 内側容器
2 外側容器
10 液体薬品用のペール缶(容器)
11 口部
40 デイスペンサ
41 プラグ本体
42 通気手段
42b 開口
43 液出しパイプ
発明を実施するための形態
[0081] 以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[0082] 図 1は、本発明による液体薬品の分配装置に備わる液体薬品用のペール缶の一 実施形態を示す斜視外観図である。図 2は、前記実施形態による液体薬品用のぺー ル缶に接続するデイスペンサの一実施形態を示す正面図であり、要部を断面で示し ている。図 3は、前記実施形態によるディスペンザの分解組立図であり、液体薬品用 のペール缶が接続された状態図である。
[0083] 図 4は、前記実施形態による液体薬品用のペール缶の斜視外観図であり、天板取 り外し式バンドタイプの液体薬品用のペール缶を示している。図 5は、前記実施形態 による液体薬品用のペール缶の斜視外観図であり、天板取り外し式ラグタイプの液 体薬品用のペール缶を示している。
[0084] 図 6は、前記実施形態による液体薬品用のペール缶の斜視外観図であり、天板の 周縁、及び地板の周縁に損傷保護体を設け、胴体がテーパに形成される T型の液 体薬品用のペール缶を示している。図 7は、前記実施形態による液体薬品用のぺー ル缶の斜視外観図であり、天板の周縁、及び地板の周縁に損傷保護体を設け、胴 体がストレートに形成される S型の液体薬品用ペール缶を示している。
[0085] 図 8は、前記実施形態によるディスペンサを液体薬品用のペール缶に接続する直 前の状態を示す斜視外観図である。図 9は、前記実施形態によるディスペンザのブラ
グ本体を液体薬品用のペール缶の口部に締結して!/、る状態を示す斜視外観図であ る。図 10は、前記実施形態によるディスペンサを液体薬品用のペール缶に接続した 状態を示す斜視外観図である。
[0086] 図 11は、前記実施形態による液体薬品用のペール缶を 12度に傾斜配置する第 1 実施例による傾斜台の斜視外観図である。図 12は、前記実施形態による液体薬品 用のペール缶を 30度に傾斜配置する第 2実施例による傾斜台の斜視外観図である 。図 13は、前記第 1実施例による傾斜台に液体薬品用のペール缶を配置した斜視 外観図である。図 14は、前記第 2実施例による傾斜台に液体薬品用のペール缶を 配置した斜視外観図である。
[0087] 最初に、本発明による液体薬品の分配装置に備わる液体薬品用のペール缶の構 成を説明する。図 1において、液体薬品用のペール缶 10 (以下、容器 10という)は、 耐薬合成樹脂製の内側容器 1と金属製の外側容器 2を備えている。内側容器 1は、 筒状に形成されている。外側容器 2は、内側容器 1の外殻を構成している。内側容器 1は、液体薬品を注入可能に開口する口部 11を有して!/、る。
[0088] 図 1において、外側容器 2は、天板 21と胴体 22と地板 23を有している。天板 21は、 口部 11が突出する穴 2aを有している。胴体 22は、内側容器 1の外周を囲っている。 地板 23は、内側容器 1の底面に当接している。
[0089] 図 1に示された内側容器 1は、上面の面積が底面の面積より大きい直円すい台状 に形成されている。内側容器 1は、耐薬合成樹脂で成形されている。内側容器 1は、 口部 11がー体でプラスチック成形されて!/、る。
[0090] 図 1において、外側容器 2は、内側容器 1を覆うべく金属板が製缶されており、内側 容器 1の外殻を構成している。外側容器 2は、内側容器 1の外周全てに亘り、必ずし も当接していない。図 4又は図 5において、内側容器 1 (図示せず)の外周を囲う胴体 22には、輪帯 22aが設けられており、外側容器 2自体の力学的強度を増加させてい る。輪帯 22aは、内側容器 1と部分的に離反している。
[0091] 図 1において、天板 21には、同心円状に複数の輪帯 21aが設けられおり、外側容 器 2自体の力学的強度を増加させている。輪帯 21aは、内側容器 1と部分的に当接し ている。又、穴 2aの周囲に円環状の段差 21bが設けられ、穴 2aに引張り応力が集中
して亀裂が生じな!/、ように補強されて!/、る(図 2参照)。
[0092] 図 1において、口部 11の外周には雄ねじ 11aが形成されている(図 2参照)。 口部 1 1の開口をキャップ 31で封止し、更に口部 11を蓋 32で螺合することにより、容器 10 が密閉される。そして、液体薬品をこぼすことなく運搬できる。
[0093] 図 1に示された外側容器 2は、平板状の鋼板を円筒状に形成して胴体 22を製作し 、天板 21及び地板 23を巻締めにより胴体に固着する、いわゆる天板固着式のぺー ル缶となっている。又、図 1に示された外側容器 2は、天板 21に吊手 24を備えている 。そして、吊手 24を回動自在に支持する取付金具 24aは、天板 21にスポット溶接で 接合されている。吊手 24は、天板 21の略中心に配置されている。
[0094] 図 4に示された外側容器 2は、平板状の鋼板を円筒状に形成して胴体 22を製作し 、天板 21がバンド 2bにより胴体 22に締め付けられている、いわゆる天板取り外し式 バンドタイプのペール缶となっている。又、図 4に示された外側容器 2は、胴体 22の 天板 21側に設けられた一対のィヤー 25a ' 25bと、一対のィヤー 25a ' 25bと回動可 能に連結するつる状の取っ手 25と、を備えている。そして、一対のィヤー 25a ' 25bと なる取付金具は、胴体 22の天板 21側にスポット溶接で接合されて!/、る。
[0095] 図 5に示された外側容器 2は、天板 21の周縁に複数の爪 2cを有している。そして、 平板状の鋼板を円筒状に形成して胴体 22を製作し、天板 21が複数の爪 2cにより月同 体 22に締め付けられている、いわゆる天板取り外し式ラグタイプのペール缶となって いる。又、図 5に示された外側容器 2は、胴体 22の天板 21側に設けられた一対のィ ヤー 25a .25bと、一対のィヤー 25a ' 25bと回動可能に連結するつる状の取っ手 25 と、を備えている。そして、一対のィヤー 25a ' 25bとなる取付金具は、胴体 22の天板 21側にスポット溶接で接合されて!/、る。
[0096] 図 4に示されるように、外側容器 2は、平板状の鋼板を円筒状に形成して胴体 22を 製作し、天板 21がバンド 2bにより胴体 22に締め付けられている、いわゆる天板取り 外し式バンドタイプのペール缶としてもよい。又、図 5に示されるように、この天板取り 外し式バンドタイプのペール缶は、胴体 22の天板 21側に一対のィヤー 25a ' 25bを 設け、一対のィヤー 25a ' 25bと回動可能に連結するつる状の取っ手 25を備えてもよ い。
[0097] 又、図 5に示されるように、外側容器 2は、平板状の鋼板を円筒状に形成して胴体 2 2を製作し、天板 21が複数の爪 2cにより胴体 22に締め付けられている、いわゆる天 板取り外し式ラグタイプのペール缶としてもよい。そして、天板取り外し式ラグタイプの ペール缶につる状の取っ手 25を備えることもできる。
[0098] 図 1又は図 6に示されるように、胴体 22は、天板 21側の面積が地板 23側の面積よ り大きい直円すい台状に形成されてもよぐ図 7に示されるように、胴体 22は、直円柱 状に形成されてもよい(図 4及び図 5参照)。このように、薄肉の鋼板が成形加工され たペール缶は、厚肉の鋼板が成形加工されたキヤニスター缶と比較して、製造が容 易であり、廉価に製造できる。
[0099] 又、図 6及び図 7に示されるように、天板 21の周縁と地板 23の周縁と両方に、損傷 保護体 26を設けることにより、移送中の容器 10の損傷を防止できる。例えば、損傷 保護体 26は、長手方向に溝を形成する屈曲自在な合成樹脂帯であり、前記溝を天 板 21の周縁と地板 23の周縁に嵌合させて取り付ける。図 6に示された円錐体の容器 10であれば、天板 21側のみに損傷保護体 26を設けてもよい。円錐体の容器 10を 縦横に並設配置したときに、天板 21の周囲の損傷を防止できる。
[0100] 次に、本発明による液体薬品の分配装置に備わるデイスペンザの構成を説明する 。図 2又は図 3において、外周に雄ねじ 11aを設ける口部 11を利用して、デイスペン サ 40を容器 10に着脱容易に取り付けることができる。そして、デイスペンサ 40は、円 筒状のプラグ本体 41と、内側容器の内部に圧縮流体を通気可能な通気手段 42と、 液出しパイプ 43と、を備えている。
[0101] 図 2又は図 3において、プラグ本体 41は、一端が円形に開口されており、この開口 の内周に雌めじ 411を形成することにより、プラグ本体 41を口部 11にねじ結合できる 。プラグ本体 41の外周には、筋目ローレット 412が形成されており、プラグ本体 41を 口部 11に確実にねじ結合できる。又、プラグ本体 41の開口には、シールリング 41a が内装されており、プラグ本体 41を口部 1 1に締結することにより口部 11を密封でき
[0102] 図 2又は図 3において、通気手段 42は、プラグ本体 41の外部から口部 11に向かつ て貫通する開口 42bを含み、開口 42bに接続する L字形 (エルボ形)の合成樹脂製
の第 2ジョイント 42aを含むことができる。第 2ジョイント 42aは、市販のエルボ形クイツ ク継手を使用できる。そして、第 2ジョイント 42aをプラグ本体 41の開口 42bに接続し て、内側容器 1の内部に圧縮流体を通気できる。
[0103] 図 2において、液出しパイプ 43は、一端が内側容器 1の底面に到達し、他端がブラ グ本体 41から突出し、プラグ本体 41に密封可能に装着される。液出しパイプ 43の一 端 431は斜めにカットされており、液出しパイプ 43の他端 432に L字形のジョイント( 継手) 45が接続されている。ジョイント 45は、市販のエルボ形クイック継手を使用でき
[0104] 図 2又は図 3において、ジョイント 45は、ジョイント本体 45aと、中心が開口された袋 ナット 45bと、で構成されている。液出しパイプ 43の他端 432は、円錐体状の段差が 形成され、袋ナット 45bをジョイント本体 45aに締結することにより、シール接続できる
[0105] 図 2又は図 3において、プラグ本体 41は、カップリングリング 41rとプラグシェル 41s とシールリング 41aで構成されている。カップリングリング 41rは、口部 11の外周に螺 合できる。プラグシェル 41sは、カップリングリング 41rと回転可能に連結している。
[0106] 図 2又は図 3において、プラグシェル 41 sは、一端側にフランジを形成しており、カツ プリングリング 41rの他端側の開口力、ら離脱困難となっている。プラグシェル 41sは、 カップリングリング 41rの一端側の開口から揷入されて組み込まれるが、シールリング 41 aに阻止されて、カップリングリング 41rの一端側の開口力、らも離脱困難となってい
[0107] 図 2又は図 3において、シールリング 41aは、カップリングリング 41rの内部に保持さ れ、口部 11の端面に密着して、カップリングリング 41rとプラグシェル 41sとの境界の 通気を封止する。そして、プラグシェル 41sは、通気手段 42と、液出しパイプ 43を着 脱自在に固定する合成樹脂製の第 1ジョイント 44と、を配置して!/、る。
[0108] 図 2又は図 3において、第 1ジョイント 44は、市販のストレートタイプのホルダを利用 できる。第 1ジョイント 44は、液出しパイプ 43をプラグ本体 41にスライド自在に保持で きる。又、第 1ジョイント 44は、液出しパイプ 43を着脱自在に固定できる。
[0109] 図 2又は図 3において、第 1ジョイント 44は、ボルト状の中空の本体 44aと、中心が
開口された袋ナット 44bと、で構成されている。ボルト状の本体 44aは、液出しパイプ 43をスライド自在に保持でき、プラグシェル 41sに締結可能な雄ねじ部 441を一端側 に有し、円錐状のスリーブ 442を他端側に有している。袋ナット 44bをボルト状の本体 44aの他端側に締結すると、スリーブ 442が縮径して、液出しパイプ 43を第 1ジョイン ト 44に固定できる。袋ナット 44bをボルト状の本体 44aの他端側から開放すると、スリ ーブ 442が復帰して、液出しパイプ 43を引き抜くことができる。
[0110] このように、第 1ジョイント 44を用いて、液出しパイプ 43の一端が内側容器 1の底面 に到達するように位置調整できる。そして、通気手段 42を介して、内側容器 1の空気 層に圧縮流体が加圧されることにより、液体薬品が液出しパイプ 43の他端から排出 される。
[0111] 次に、本発明による液体薬品の分配装置に備わる傾斜台の構成を説明する。図 11 において、第 1実施例による傾斜台 50は、本体 51と一対の転倒防止ポール 52 · 52 を備えている。本体 51は、水平面となる床面に対して 12度に傾斜する斜面 51aを形 成している。一対の転倒防止ポール 52 · 52は、斜面 51aの低い方に立設している。
[0112] 図 11において、本体 51は、ステンレス板などの金属板からなり、展開された金属板 の四周囲が折り曲げられて、斜面 51aの対向面が開口された略台形の箱状に形成さ れている。転倒防止ポール 52は、ステンレスなどの金属製丸棒からなり、転倒防止ポ ール 52の一端に雌ねじ(図示せず)が設けられている。一方、本体 51には、ボルトな どのねじ部材の入る穴(図示せず)が設けられている。そして、転倒防止ポール 52が 本体 51にこのボノレト(図示せず)で固定されて!/、る。
[0113] 図 12において、第 2実施例による傾斜台 60は、本体 61と一対の転倒防止ポール 6 2 · 62を備えている。本体 61は、水平面となる床面に対して 30度に傾斜する斜面 61 aを形成している。一対の転倒防止ポール 62 · 62は、斜面 6 l aの低い方に立設して いる。
[0114] 図 12において、本体 61は、ステンレス板などの金属板からなり、展開された金属板 の三周囲が折り曲げられて、斜面 61aの対向面が開口された三角体の箱状に形成さ れている。転倒防止ポール 62は、ステンレスなどの金属製丸棒からなり、転倒防止ポ ール 62の一端に雌ねじ(図示せず)が設けられている。一方、本体 61には、ボルトな
どのねじ部材の入る穴(図示せず)が設けられている。そして、転倒防止ポール 62が 本体 61にこのボノレト(図示せず)で固定されて!/、る。
[0115] 次に、本発明による液体薬品用のペール缶の作用を説明する。
[0116] 本発明による容器 10は、内側容器 1が窒素などの圧縮流体で加圧されて、液体薬 品が排出される。外側容器 2は、内側容器 1に加わる内圧に対して、内側容器 1の変 形を防止するように剛性を有している。剛性を有しているとは、外側容器 2が剛性を 有する金属板で形成されていることを含んでよぐ内側容器 1が膨張などで変形しな いように、外側容器 2が力学的構造を備えていることを含むことができる。
[0117] 例えば、図 1に示された容器 10は、定格容量が 20リットルのペール缶であり、耐カ が 0· 5kgf/cm2となっている。内側容器 1は、ポリエチレン (PE)やポリプロピレン (P P)などのポリオレフインで成形されてよぐ感光性樹脂組成物を含む液体薬品を収容 すること力 Sでさる。
[0118] 本発明による液体薬品用のペール缶は、外側容器が薄肉の鋼板で成形加工され たペール缶となっており、厚肉の鋼板が成形加工されたキヤニスター缶と比較して、 製造が容易であり、廉価に製造できるというメリットがある。
[0119] 本発明による液体薬品用のペール缶は、液出しチューブ付きカップリングを内蔵し て運搬される構成となっておらず、デイスペンサ側に液出しチューブを備える構成と なっているので、液体薬品用容器の製造原価を引き下げることも可能である。
[0120] 又、本発明による液体薬品用のペール缶は、液体薬品が排出された後に廃棄され るワンウェイ方式の容器であるが、液出しチューブの洗浄の手間や、外側容器への ノ ッグの詰め替えの手間が省け、複式格納型の液体薬品用容器と比較して、総合的 には経済的であるというメリットがある。
[0121] 更に、本発明による液体薬品用のペール缶は、金属缶の内壁が合成樹脂フィルム でコーティングされておらず、合成樹脂から成る内側容器を金属製の外側容器が外 殻を構成している。このような二重構造のペール缶は、金属と合成樹脂とが容易に分 離及び解体でき、資源の再利用に役立つことができる。
[0122] 本発明による液体薬品用のペール缶と特許文献 1による容器のそれぞれにホトレジ ストを収容し、このホトレジストに含有される水分(%)と金属原子量 (ppb)との径時変
化を比較した結果を表 1に示す。なお、表 1において、丸番 1は、本発明による液体 薬品用ペール缶に収容されたホトレジストを示し、丸番 2は、特許文献 1による容器に
[表 1]
[0123] 表 1に示されるように、 3ヶ月経過した段階においても、本発明による液体薬品用ぺ ール缶と特許文献 1による容器とでは、収容される液体薬品の品質にほとんど違いが ないことが実証された。
[0124] その他にも、ホトレジストの感度、粘度、膜厚などの径時変化を比較してみた力 本 発明による液体薬品用ペール缶と特許文献 1による容器とでは、収容される液体薬 品の品質にほとんど違いがないことが実証された。液体薬品が空気層に触れる面積 が大きいペール缶であっても、収容される液体薬品の品質に影響を及ぼさないことが 実証されたことから、廉価に提供できる本発明による液体薬品用のペール缶の普及 が期待される。
[0125] 次に、本発明によるディスペンザの作用を説明する。
[0126] 図 2に示されるように、デイスペンサ 40は、第 1ジョイント 44、液出しパイプ 43、及び 第 2ジョイント 42aが予めプラグ本体 41に組み込まれている。又、液出しパイプ 43に は、ジョイント 45が接続されている。このように、各要素が一体となったデイスペンサ 4 0は、液出しパイプ 43を先頭に容器 10の口部 11に揷入される(図 8参照)。
[0127] 次に、図 9に示されるように、プラグ本体 41を回転して、容器 10の口部 11に締結す
ることにより、デイスペンサ 40を容器 10に固定できる(図 8参照)。図 10に示された接 続状態では、袋ナット 44bを弛めることにより、液出しパイプ 43の先端位置を調整す ることもできる。又、カップリングリング 41r (図 2参照)を弛めることにより、プラグシェル 41 s (図 2参照)を任意の角度に回転できる。
[0128] 図 10において、第 2ジョイント 42aにチューブ 42cを接続し、チューブ 42cの縁端か ら窒素ガスなどの不活性ガスを供給することにより、通気手段を介して、内側容器 1の 空気層に圧縮流体が加圧され、液体薬品が液出しパイプ 43を介してジョイント 45か ら排出される(図 2参照)。
[0129] 本発明によるディスペンサは、円筒状のプラグ本体、通気手段、及び液出しパイプ 力もなる、簡易な構成であり、デイスペンザに備わる通気手段を介して、液体薬品用 のペール缶を直接加圧することにより液体薬品を分配できる。
[0130] 又、本発明によるデイスペンサは、プラグ本体及び液出しパイプをポリオレフインで 構成し、液体薬品の品質に影響を与えないように考慮している。各種のジョイントも同 様にポリオレフインで構成して!/、る。
[0131] 次に、本発明による液体薬品の分配装置に備わる傾斜台の作用を説明する。
[0132] 図 15において、特許文献 1によるキヤニスター缶となる外側容器 716は、底面が外 部に向かって突出する曲面を形成しており、かつ、液出しチューブ 722がこの底面の 中心に位置するように組み立て可能である。したがって、特許文献 1による外側容器 716は、液体薬品が容器内部に殆ど残らない、いわゆる残液特性に優れた容器とな つている。
[0133] 一方、図 1に示されたペール缶となる容器 10は、内側容器 1の底面及び地板 23が 平らであり、液出しパイプ 43が内側容器 1の底面の周縁に位置するように組み立てら れる(図 2参照)。したがって、容器 10を床面に設置しただけでは、液体薬品が容器 内部に残り易くなつている。内側容器 1は、底面が外部に向かって突出する曲面を成 形することは容易であるが、この内側容器 1に密着するように、外側容器 2を製缶する ことは困難であるという製造上の事情もある。
[0134] ここで、容器 10を傾斜配置することにより、残液特性の改善を試みた。図 13は、水 平面に対して 12度に傾斜する斜面 51aを形成する傾斜台 50を用いて、容器 10を傾
斜配置している(図 11参照)。図 13において、容器 10を傾斜配置した当初に液体薬 品が口部 11から溢れないことが確認された(図 2参照)。そして、デイスペンサ 40を容 器 10に接続して(図 10参照)、容器 10に充填された水溶液を分配した結果、残液は 約 100gとなり、特許文献 1によるキヤニスター缶の残液と略同じの残液特性となった 。 12度未満にペール缶を傾斜配置すると、液体薬品がペール缶の内部に残り易くな る。なお、図 9において、容器 10は直円錐台状に形成されている。
[0135] 図 14は、水平面に対して 30度に傾斜する斜面 61aを形成する傾斜台 60を用いて 、容器 10を傾斜配置している(図 11参照)。図 14において、 30度を超えて容器 10を 傾斜配置すると、傾斜配置の当初に液体薬品が口部 11から溢れる可能性があること が確認された(図 2参照)。そして、デイスペンサ 40を容器 10に接続して(図 10参照) 、容器 10に充填された水溶液を分配した結果、残液は約 100gとなり、特許文献 1に よるキヤニスター缶の残液と略同じの残液特性となった。なお、図 14において、容器 10は直円柱状に形成されて!/、る。
[0136] 本発明による液体薬品の分配装置は、液体薬品用のペール缶と、このペール缶の 口部に接続されるデイスペンサで構成されている。液体薬品用のペール缶は、成形 された耐薬合成樹脂製の内側容器を金属製の外側容器で囲う二重構造としており、 製造が容易であり、廉価に製造できるというメリットがある。
[0137] 又、本発明による液体薬品の分配装置は、デイスペンザに備わる通気手段を介し て、液体薬品用のペール缶を直接加圧することにより液体薬品を分配できる。更に、 傾斜台を用いて、液体薬品用のペール缶を傾斜配置することにより、液体薬品用の ペール缶に液体薬品が残り難くできる。
[0138] 本発明による液体薬品用のペール缶は、成形された耐薬合成樹脂製の内側容器 を金属製の外側容器で囲う二重構造のペール缶としており、廉価に製造でき、金属 と合成樹脂とが容易に分離及び解体できるワンウェイ方式の液体薬品用ペール缶を 提供できる。
[0139] 本発明によるディスペンサは、円筒状のプラグ本体、通気手段、及び液出しパイプ 力もなる、簡易な構成であり、デイスペンザに備わる通気手段を介して、液体薬品用 のペール缶を直接加圧することにより液体薬品を分配できる。