明 細 書
新規化合物及びそれを含む組成物並びに重合性アミドの製造方法 技術分野
[0001] 本発明は、重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有する化合物及びそれを含 む組成物に関する。また、トリアジン系縮合剤を用いてカルボン酸とアミンを縮合反応 させ、重合性アミドを製造する方法に関する。
背景技術
[0002] 歯の欠損部に修復物を充填又は被覆する際には、通常、歯科用接着剤が用いら れる。歯科用接着剤としては、重合性基及びリン酸基を有する化合物を配合したもの が知られている。
[0003] 例えば、特開 2006— 76973号公報(特許文献 1)には、 2—メタクリロイルォキシェ チルリン酸のようなメタクリロイル基及びリン酸基を有する酸性基含有ラジカル重合性 単量体を配合した歯質接着用の光重合型接着剤が、エナメル質及び象牙質に対し て高い歯質接着性能を有することが報告されている。し力、しながら、必ずしも接着強 度が十分であると!/、うわけではなかった。
[0004] また、歯科材料'器械 Vol.17 No.2 120-125 (1998) (非特許文献 1)には、分子内に メタクリロイル基を有し、メチレン鎖長の異なるアミノ酸誘導体である N—メタクリロイル — ω—アミノ酸(以下「ΝΜ ω Ajと略記すること力 Sある)につ!/、て記載されて!/、る。こ の NM ω Αをプライマーとして象牙質コラーゲンに作用させると、 NM ω Αのメチレン 鎖長が長くなるにつれて、 ΝΜ ω Aと象牙質コラーゲンとの相互作用が増大するとと もに、象牙質とコンポジットレジンとの接着強度が良好となるとされている。し力もなが ら、接着強度に関してさらなる材料の改良が望まれていた。
[0005] ここで、象牙質に対してこのような歯科用接着剤を作用させた場合には、象牙質表 面を酸性成分で溶かす脱灰作用、モノマー成分が象牙質のコラーゲン層に浸透す る浸透作用、及び浸透したモノマー成分が固まってコラーゲンとのハイブリッド層(以 下、「樹脂含浸層」と呼ぶこと力 Sある)を形成する硬化作用を有することが重要である。
[0006] 現在までに上記脱灰作用、上記浸透作用、及び上記硬化作用を順に適用する 3液
3ステップ型から、上記脱灰作用と上記浸透作用を統一した 2液 2ステップ型、さらに 上記脱灰作用、上記浸透作用、及び上記硬化作用を全て集約した 1液 1ステップ型 へと歯科用接着剤の使用態様を簡略化する検討が行われて!/、る。レ、ずれの使用態 様においても接着性に優れた歯科用接着剤として使用可能な化合物が求められて いる。
[0007] また、歯科用接着剤として使用可能な上記化合物を含め、アミド結合やエステル結 合を有する化合物は機能的に重要である場合が多い。そのような化合物を合成する 方法として、例えば、ジシクロへキシルカルポジイミド(以下「DCC」と略すことがある) に代表されるカルポジイミド系の縮合剤を用いて、カルボン酸とァミンからアミド結合 を有する化合物を製造する方法や、カルボン酸とアルコールからエステル結合を有 する化合物を製造する方法等が報告されて!/、る。
[0008] 例えば、特開 2004— 131468号公報(特許文献 2)には、 DCCを用いてカルボン 酸とアルコールを脱水縮合してアクリル酸エステルホスホン酸を製造する方法が記載 されている。
[0009] しかしながら、上記 DCCに代表されるカルポジイミド系の縮合剤を用いた方法では 以下のような問題があった。 (1)反応系内に水が多量に存在する場合には、反応の 進行が阻害される。 (2)反応溶媒としてアルコールを用いた場合には、アルコールと カルボン酸が縮合するという副反応が生じる。 (3)カルボン酸ゃァミンが遊離のヒドロ キシ基を有する場合、その遊離のヒドロキシ基とカルボン酸が縮合するという副反応 力 S起こる。 (4) DCCはカルボン酸とァミンの双方と反応するため、通常、 DCCと力ノレ ボン酸とを反応させてからアミンを添加する力 添加のタイミングによっては得られる アミド結合を有する化合物の収率が低下してしまう。 (5)カルポジイミド系の縮合剤は 皮膚かぶれ等を引き起こしゃすく取り扱いには注意が必要である。
[0010] 特許文献 1 :特開 2006— 76973号公報
特許文献 2:特開 2004— 131468号公報
非特許文献 1 :歯科材料'器械 Vol.17 No.2 120-125 (1998)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] 本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、歯科用組成物に好適な 重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有する新規化合物(I)を提供することを目 的とするものである。また、カルボン酸とァミンの縮合反応を容易に進行させることが でき、安全性が優れた重合性アミドの製造方法を提供することを目的とするものであ 課題を解決するための手段
[0012] 上記課題は、下記一般式(1)で示される化合物 (I)を提供することによって解決さ れる。
[化 1]
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1 20の炭化水素基であり、(A)及び (B)は任意の構成単位であり、 A は、 CONH COO OCO O— - S - -CH 0- CH S—
2 2
C H O C H CONH- C H NHCO- C H COO- -C H O
6 4 6 4
CO—及び CONHCO 力、らなる群から選択される 1種であり、 Bは、 CONH— NHCO COO 及び OCO 力、らなる群力、ら選択される 1種であり、 mは ;! 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数;!〜 40の有機基であり、 R5は、置換基を有してもよい炭素数 1 20の炭化水素基であり R6及び R7は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数;!〜 20の 炭化水素基、又は金属原子である。 ]
[0013] このとき、 R1及び R2が水素原子であり、 R3が水素原子又はメチル基であることが好 適であり、 Aが、 CONH 又は COO であることが好適であり、 Bが、 CON
H であることが好適である。 R5が、 -CH -Ph- CH (CH ) 及び 力、らなる群から選択される 1種であることが好適である。また、化合物(I)を含む組成 物であることが好適な実施態様である。化合物(I)と、前記化合物(I)以外の、前記化
合物 (I)と共重合可能な重合性単量体 (Π)を含むことが好適であり、前記重合性単量 体 (II)が(メタ)アタリレート化合物であることが好適である。重合開始剤(III)を含むこ とが好適であり、重合促進剤(IV)を含むことが好適である。フィラー (V)を含むことが 好適であり、溶媒 (VI)を含むことが好適であり、溶媒 (VI)が水 (VII)を含むことが好適 である。
[0014] このような化合物(I)を含む組成物の好適な実施態様は歯科用組成物であり、特に プライマー、ボンディング材、セメント又はコンポジットレジンとして好適である。
[0015] また、化合物(I)の製造方法としては、下記一般式(2)で示されるカルボン酸 (a 1) と、下記一般式(3)で示されるァミン (bl)とを縮合反応させる方法が好適なものとし て提供される。
[化 2]
2
[式
中、 R
4、(A)、 m及び nは、前記式(1 )と同じである。 ]
[式中、 R5、 R6及び R7は、前記式(1)と同じである。 ]
[0016] このとき、カルボン酸 (al)力 S、(メタ)アクリル基を含むことが好適であり、前記縮合 反応に用いる縮合剤が、トリアジン系縮合剤であることが好適である。
[0017] また、下記一般式 (4)で示される酸ハライド (a2)と、下記一般式 (3)で示されるアミ ン (bl)とを反応させて得る化合物 (I)の製造方法を提供することが好適である。
[式中、
R
2、 R
3、 R
4、(A)、 m及び nは、前記式(1)と同じであり、 Xはハロゲン原 子である。 ]
[式中、 R5、 R6及び R7は、前記式(1)と同じである。 ]
[0018] このとき、酸ノ、ライド(a2)力 (メタ)アクリル基を含むことが好適であり、ァミン (bl)
ヽアミノ酸のリン酸エステルであることが好適であり、ァミン(bl)力 ホスホセリン、ホ スホスレオニン及びホスホチロシンからなる群から選択される 1種であることが好適で ある。
[0019] また、上記課題は、下記一般式(5)で示される化合物 (VIII)を提供することによって も解決される。
[化 6]
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1〜20の炭化水素基であり、(A)及び (B)は任意の構成単位であり、 A は、 CONH- COO OCO- O S - 、 -CH 0- CH S—
2 2
C H O C H CONH- C H NHCO- C H COO- -C H O
6 4 6 4
CO—及び CONHCO 力、らなる群から選択される 1種であり、 Bは、 CONH— 、 一NHCO 、 一COO 及び OCO 力、らなる群力、ら選択される 1種であり、 mは ;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数;!〜
40の有機基であり、 R5は、置換基を有してもよい炭素数 1〜20の炭化水素基である
。コ
[0020] また、上記化合物 (VIII)の製造方法としては、下記一般式(2)で示されるカルボン 酸 (al)と、下記一般式 (6)で示されるァミン (b2)とを縮合反応させる方法が好適なも のとして提供される。
[化 7]
[式中、
R
2、 R°, R
4、(A)、 m及び nは、前記式(5)と同じである。 ]
[式中、 R5は、前記式(5)と同じである。 ]
[0021] このとき、ァミン (b2)力 アミノ酸であることが好適であり、ァミン (b2)力 セリン、スレ ォニン及びチロシンからなる群から選択される 1種であることが好適である。
[0022] また、上記課題は、カルボン酸とアミンを縮合反応させてアミド結合を形成させる重 合性アミドの製造方法であって、前記カルボン酸及び前記ァミンの少なくとも一方が 重合性基を有し、かつ下記一般式(7)で示されるトリアジン系縮合剤 (K)を用いて縮 合反応を行うことを特徴とする重合性アミドの製造方法を提供することによつても解決 される。
[化 9]
[式中、 R"及び R
ldは、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基であり、 R
14 R
15及び R
16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよ い炭素数 1 20の炭化水素基であり、 Xはハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシ ラート又はクロロメタンスルホナートであり、 R
14 R
15及び R
16は互いに結合して環を形 成していてもよい。 ]
このとき、下記一般式(2)で示されるカルボン酸 (al)と、下記一般式(9)で示される ァミン (b4)とを縮合反応させて、下記一般式(10)で示される重合性アミド (X)を得る ことが好適である。
[化 10]
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1 20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、 Aは、 - C ONH COO OCO O S -- CCHH OO CH S C
2
H O - C H CONH - C H NHCO - C H COO - C H OCO -
4 6 4 6 4
及び CONHCO からなる群力、ら選択される 1種であり、 mは;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数 1 40の有機基である。 ]
[化 11]
R18— NH2 ( 9 )
[式中、 R18は、置換基を有してもよい炭素数;!〜 200の有機基である。 ]
[化 12]
[式中、
R (A)、 m及び nは、上記式(2)及び上記式(9)と同じで
ある。 ]
[0024] また、前記カルボン酸 (al)力 (メタ)アタリロイル基を含むことが好適であり、前記 ァミン (b4)力 アミノ酸であることが好適であり、前記アミン (b4)力 アミノ酸のリン酸 エステルであることが好適である。
[0025] さらに、下記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)と、下記一般式(12)で示され るァミン (b3)とを縮合反応させて、下記一般式( 13)で示される重合性アミド (XI)を得 ることが好適である。
[化 13]
R19— COOH ( " )
[式中、 R19は、置換基を有してもよい炭素数;!〜 200の有機基である。 ]
[化 14]
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1 20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、 Aは、 - C ONH COO OCO O S -- CCHH OO CH S C
2
H O - C H CONH - C H NHCO - C H COO - C H OCO -
4 6 4 6 4
及び CONHCO からなる群力、ら選択される 1種であり、 mは;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数 1 40の有機基である。 ]
[化 15]
[式中、
R
4 R
19 (A)、 m及び nは、上記式(11)及び上記式(12)と同じ である。 ]
[0026] また、前記アミン (b3)が、(メタ)アタリロイル基を含むことが好適であり、前記カルボ ン酸(a3)力 S、アミノ酸であることが好適であり、前記カルボン酸(a3)力 アミノ酸のリ ン酸エステルであることが好適である。
[0027] さらに、前記トリアジン系縮合剤(K)が下記一般式(8)で示されるものであることが 好適である。
[化 16]
[式中、 R1 R "及び Xは前記式(7)と同じであり、 R1'は置換基を有してもよい炭素 数 1〜20の炭化水素基である。 ]
[0028] また、縮合反応に用いる反応溶媒が水を含むことが好適であり、縮合反応に用いる 反応溶媒が水及びアルコールの混合溶媒であることも好適である。
発明の効果
[0029] 本発明の新規化合物(I)は、重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有するもの である。本発明の化合物(I)を含む組成物を歯科用途に用いた場合には、良好な接 着強度を示す。したがって、歯科用組成物として適しており、特にプライマー、ボンデ イング材、セメント及びコンポジットレジンとして適している。また、本発明の重合性アミ ドの製造方法によれば、カルボン酸とァミンの縮合反応を容易に進行させることがで き、安全性が優れている。
発明を実施するための最良の形態
[0030] 本発明の化合物(I)は、重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有するものであ り、それを含む組成物は歯科用組成物として有用である。
[0031] 本発明の化合物(I)は、下記一般式(1)で示されるものであり、重合性基を有する。
重合性基を有することによりラジカル重合が可能となるとともに、他の単量体との共重
合が可能となる。重合性基の例としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビ ニル(チォ)エーテル基、ァリル(チォ)エーテル基、ビュルエステル基、スチリル基等 が挙げられる。これらの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アタリノレ 基、又は (メタ)アクリルアミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ましくは歯 科用組成物の成分として用いられるが、口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解 などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場 合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱 離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタタリ ルアミド基を用いることが好ましレ、。
[0032] [化 17]
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1〜20の炭化水素基であり、(A)及び (B)は任意の構成単位であり、 A は、 CONH- COO OCO- O S - 、 -CH 0- CH S—
2 2
C H O C H CONH- C H NHCO- C H COO- -C H O
6 4 6 4
CO—及び CONHCO 力、らなる群から選択される 1種であり、 Bは、 CONH— 、 一 NHCO 、 一 COO 及び一 OCO からなる群から選択される 1種であり、 mは ;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数;!〜 40の有機基であり、 R5は、置換基を有してもよい炭素数 1〜20の炭化水素基であり 、 R6及び R7は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数;!〜 20の 炭化水素基、又は金属原子である。 ]
[0033] 上記一般式(1)において、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ 基又は置換基を有してもよい炭素数;!〜 20の炭化水素基である。置換基を有しても よい炭素数 1〜20の炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基 、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基 を有してもよいァリール基、置換基を有してもよいァリールアルキル基、置換基を有し
てもよぃァリールアルケニル基、置換基を有してもよいァリールアルキニル基、置換 基を有してもよ!/、シクロアルキル基等が挙げられる。
[0034] ここで、本発明にお!/、て、置換基を有してもよ!/、アルキル基とは、直鎖又は分岐鎖 のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキル基としては、例えば、 メチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル基、イソブチル基、 sec ブチル基、 tert ブチル基、 n ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチノレ 基、 tert ペンチル基、 n へキシル基、イソへキシル基、 2—ェチルへキシル基、 n 一へプチル基、 n ォクチル基、 n ノエル基、 n デシル基等が挙げられる。
[0035] 本発明にお!/、て、置換基を有してもよ!/、アルケニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアル ケニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルケニル基としては、例えば、ビ 二ノレ基、ァリノレ基、メチルビュル基、プロぺニル基、ブテュル基、ペンテュル基、へキ セニル基、シクロプロぺニル基、シクロブテュル基、シクロペンテュル基、シクロへキ セニル基等が挙げられる。
[0036] 本発明にお!/、て、置換基を有してもよ!/、アルキニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアル キニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキニル基としては、例えば、ェ チニノレ、 1—プロピニノレ、 2—プロピニノレ、 1—ブチニノレ、 1—メチノレ一 2—プロピニノレ 、 2—ブチュル、 3—ブチュル、 1 ペンチュル、 1ーェチルー 2—プロビュル、 2—ぺ ンチュル、 3 ペンチュル、 1ーメチルー 2 ブチュル、 4 ペンチュル、 1ーメチルー 3 ブチュル、 2 メチルー 3 ブチュル、 1一へキシュル、 2 へキシュル、 1ーェチ ノレ 2 ブチュル、 3 へキシュル、 1ーメチルー 2 ペンチュル、 1ーメチルー 3— ペンチュル、 4ーメチルー 1 ペンチュル、 3—メチルー 1 ペンチュル、 5—へキシ ニル、 1ーェチルー 3—ブチュル等が挙げられる。
[0037] 本発明にお!/、て、置換基を有してもよ!/、ァリール基とは、芳香族炭化水素基が置換 基を有していてもよいものであり、ァリール基としては、例えば、フエニル基、ナフチノレ 基、アントリル基、フエナントリル基等が挙げられる。
[0038] 本発明において、置換基を有してもよいァリールアルキル基とは、ァリール基によつ て置換された直鎖又は分岐鎖のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、 ァリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フエネチル基、 3—フエニルプロ
ピル基、トリチル基、 1 ナフチルメチル基、 2 (1 ナフチル)ェチル基、 2—(2— ナフチル)ェチル基、 3—(2 ナフチル)プロピル基等が挙げられる。
[0039] 本発明にお!/、て、置換基を有してもょレ、ァリールアルケニル基とは、ァリール基によ つて置換された直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が置換基を有して!/、てもよ!/、もので あり、ァリールアルケニル基としては、例えば、スチリル基等が挙げられる。
[0040] 本発明にお!/、て、置換基を有してもょレ、ァリールアルキニル基とは、ァリール基によ つて置換された直鎖又は分岐鎖のアルキニル基が置換基を有して!/、てもよ!/、もので あり、ァリールアルキニル基としては、例えば、フエニルェチュル基等が挙げられる。
[0041] 本発明にお!/、て、置換基を有してもよ!/、シクロアルキル基とは、環状のアルキル基 が置換基を有していてもよいものであり、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプ 口ピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプタニル 基、シクロォクタ二ル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基 、シクロドデカニル基等が挙げられる。
[0042] 上記一般式(1)において、 R1及び R2が水素原子であることが好ましぐこのことによ り重合性に優れるという利点がある。また、上記一般式(1)において、 R3が水素原子 又はメチル基であることが好ましぐこのことにより重合性に優れるという利点がある。 特に、 R1及び R2が水素原子であって、かつ R3がメチル基である場合は、上述の通り 、本発明の化合物が加水分解等の作用を受け重合性基が脱離した場合においても 、生体に対する刺激性が小さ!/、と!/、う利点を有する。
[0043] ここ R
2及び R
3の炭化水素基が有する置換基の数及び種類は特に限定さ れず、
及び R
3と、二重結合性の炭素との間に置換基を有する場合も含まれる 。 R
3ではこのような置換基がエステル結合であることが好ましい。 R
3の例としては、以 下に示されるものが挙げられる。
[0044] [化 18]
[式中、 R
8は置換基を有してもよいアルキル基であり、 R
9 R
1()及び R
11は、それぞれ 独立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基である。 ]
[0045] 上記エステル結合を有する炭化水素基において、 R
8は、
R
2及び の説明のと ころで例示されたアルキル基を採用することができる。 R
8がアルキル基である場合は 、化合物の重合性の観点からは炭素数 4以下のアルキル基であることが好ましぐメ チル基又はェチル基であることがより好ましい。また、 R
9 R
1()及び R
11は、それぞれ 独立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基であり、置換基を有しても よいアルキル基としては、
R
2及び R
3の説明のところで例示されたものを採用する こと力 Sでさる。 R
9 R
1Q及び R
11がアルキル基である場合は、化合物の重合性の観点 力、らは炭素数 4以下のアルキル基であることが好ましぐメチル基、ェチル基又は tert ブチル基であることがより好ましい。
[0046] 上記一般式(1 )において、(A)は任意の構成単位である。 Aは、 CONH C OO OCO O S— - CH O— - CH S C H O C H
2 2 6 4 6
CONH— - C H NHCO C H COO C H OCO 及び CONHC
4 6 4 6 4 6 4
O からなる群から選択される 1種である力 ラジカル重合が容易である観点からは、 Aは CONH 又は COO であることが好ましい。また、本発明の化合物が、特 に加水分解への耐性が要求される実施態様に用いられる場合は、 Aは CONH— 又は CH O であることが好ましい。
2
[0047] 上記一般式(1 )において、(B)は任意の構成単位である。 Bは、 CONH N HCO COO 及び一 OCO 力、らなる群から選択される 1種である。本発明の 化合物が、特に加水分解への耐性が要求される実施態様に用いられる場合は、 Bは CONH であることが好まし!/、。
[0048] 上記一般式(1 )において、 R4は置換基を有してもよい炭素数 1 40の有機基であ る。ここで、有機基とは、 2 6価の置換基である。前記有機基は、その構造中にエー テル結合、エステル結合、アミド結合、スルホニル結合、ウレタン結合、チォエーテル 結合等の炭素 炭素結合以外の結合が含まれていてもよい。また、芳香環、 2重結 合、 3重結合又は脂環式炭化水素基を含んでもよい。さらにはハロゲン原子、水酸基 、アミノ基、シァノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。このような有機基を具
体的に例示すると、以下のようなものが挙げられる。ここで、式中の i j k 1 m n o p q r s及び tは正の整数である。
[化 19]
— (-CH2-)— -{-CH2-)— CH—
CH2 CH一 CH2 CH2 CH一 CH2一 CH一 CH2"
CH3 CH2—
CH3
— CH - C— CH2— — CH,— C— CH2—
CH3 CH3
CH3 CH2—
— CH,— C-CH2— — CH C— CH2— CH2 CH2 CH一 CH
CH2— CH2— CH3
CH2CH3 CH3 5Hl 1
CH2 C一 CH2 — CH2— C— CH2— CH2 CH2~
CH2CH3 CH2CH2CH3 C3H7 H2CH CH2CH
CH2 C一 CH2 _CH CH CH CH2 CH CH2 CH2一 CH CH2CH3 'H2CH3 CH3 Cn^
CH2 o l一 CH一 CH2一 H— CH一 CH2一 CH2
し H CH3
— CH2一 CH2一 CH CH— CH2— C— —— CH— CH—
CH3 CH3 CH2CH3
CH2 CH2 CH一 CH2一 CH2 — "CH一 CH2一 CH一 CH2一 CH
CH3 CH2—
[化 21]
OCH2CH2— — (-CH2 ^-COO-(-CH2 ^-
— CH2CH2— O-C -C-O— CH2CH2- II O
CH
— CH2— CH— CH2— O- -O— CH2— CH— CH2—
— CH2CH2OCOCH2CH2COOCH2CHCH2—
本発明の化合物(I)のように酸性基及び重合性を含有し、かつ有機基をスぺーサ 一として有する化合物を接着剤として用いた場合に、接着力が発現する機構につい ては必ずしも明らかではない。一般的に、酸性基が被着体と化学的に結合した後に 、重合性基が(共)重合し、塗膜を形成することが接着性の発現のために必要である と考えられている。また、高い接着力を得るためには、酸性基及び重合性を含有する 化合物が、被着体と結合する際に規則正しく配列し、被着面に対して高密度に作用
することが重要であると考えられている。前記化合物を規則正しく配列させるために は、スぺーサ一として用いられる前記有機基の選択が重要である。
[0053] かかる観点からは、有機基は直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましぐこの ような置換基としてはアルキレン基が例示される。接着性を向上させる観点からは、 前記酸性基及び前記重合性基は、分子内においてある程度離れた位置にある方が 好ましぐ R4の炭素数の下限は、好ましくは 4以上であり、より好ましくは 6以上である 。さらに、本発明の化合物(I)の好適な実施態様は歯科用組成物であり、かかる用途 に用いる場合、口腔内は湿潤な環境であるため、 R4の炭素数の下限は、さらに好ま しくは 7以上であり、特に好ましくは 8以上である。 R4の炭素数を力、かる範囲に設定す ることで、化合物全体の疎水性が向上し、口腔内のような湿潤環境においても加水 分解を受けにくくなり、高い接着力をより長期間維持できるようになる。
[0054] また、上述のように歯科用組成物を用いて歯質に接着する場合は、歯質表面を酸 性成分で溶解させる脱灰工程が必要になる力 S、R4の炭素数を上述の範囲に設定す ることで、脱灰工程で生じた前記化合物(I)のカルシウム塩の水に対する溶解性が小 さくなり、このことによりさらに接着性が向上するという利点がある。 R4の炭素数の上限 は特に限定されないが、炭素数がある程度以上になると、それ以上炭素数を増やし ても接着性への改善効果は見られなくなる傾向がある。このため、原料の入手が容 易である等の観点から、 R4の炭素数の上限は 30以下であることが好ましぐ 20以下 であること力 Sより好ましく、 18以下であること力 Sさらに好ましく、 16以下であること力 S特 に好ましい。
[0055] 上記一般式(1)において、 R5は置換基を有してもよい炭素数;!〜 20の炭化水素基 であり、上述に例示される置換基を採用することができる。上記一般式(1)において、 R5が、 - CH Ph CH (CH )—及び一 CH—からなる群から選択される 1種
2 3 2
であることが好ましい。 R5がこのような置換基から選択される 1種であることにより、分 子内におけるカルボキシル基及びリン酸基の配置力 カルシウムイオンとの相互作用 に適した状態となり、接着性の向上に寄与する。かかる観点からは、 R5がー CH (CH )—及び一 CH—力、らなる群力、ら選択される 1種であること力 Sより好ましく、 CH -
3 2 2 力、らなることがさらに好ましい。 R5はまた、本発明の化合物(I)は、ホスホセリン、ホス
ホスレオニン又はホスホチロシンのようなアミノ酸のリン酸エステルを原料の 1つとして 用いて製造されることが好ましぐホスホセリンを用いた場合には、 R5は CH—であ
2 り、ホスホスレオニンを用いた場合には、 R5は一 CH (CH )—であり、ホスホチロシン
3
を用いた場合には、 R5は CH—Ph である。
2
[0056] 上記一般式(1)において、 R
6及び R
7は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有 してもよい炭素数;!〜 20の炭化水素基、又は金属原子である。置換基を有してもよい 炭素数 1〜20の炭化水素基としては、
R
2及び R
3の説明のところで例示された置 換基を採用すること力できる。また、金属原子としては、周期律表第 1族又は第 2族の 金属原子であることが好ましぐ具体的にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシ ゥム等が挙げられる。化合物(I)の酸性度の観点からは、 R
6及び R
7は、水素原子、又 は置換基を有してもよい炭素数;!〜 6の炭化水素基であることが好ましぐ水素原子、 メチル基、ェチル基又はフエニル基であることがより好ましぐ水素原子であることがさ らに好ましい。
[0057] 上記一般式(1)において mは;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数である。上述の ように、被着体に結合した化合物(I)を規則正しく配列させるためには、 m= lであり、 かつ n= lであることが好ましい。 m= lかつ n= lの場合は、合成に要する工程が短 くなり、コスト的に有利になるという点も優れている。一方、被着体と化学的に相互作 用する作用点を増やしたい場合は、 nは 2又は 3であることが好ましい。特に、被着体 が金属又は陶材である場合に有効である。さらに、化合物(I)に架橋性を持たせるこ とで、塗膜強度を向上させたい場合も、 mは 2又は 3であることが好ましい。以上のよう に、実施態様によって適切な m及び nの値は異なり、実施態様に応じて任意に選択 すること力 Sでさる。
[0058] 本発明の化合物 (I)の製造方法は特に限定されない。好適には、下記一般式 (2) で示されるカルボン酸 (al)と、下記一般式(3)で示されるァミン (bl)とを縮合反応さ せることにより得ること力 Sでさる。
[式中、
R
2、 R°, R
4、(A)、 m及び nは、前記式(1)と同じである。 ]
[化 23]
[式中、 R5、 R6及び R7は、前記式(1)と同じである。 ]
[0060] 上記一般式(2)で示されるカルボン酸 (al)は、重合性基を含む。重合性基として は特に限定されず、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビュル (チォ)エーテル 基、ァリル(チォ)エーテル基、ビュルエステル基、スチリル基等が挙げられる力 これ らの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は (メタ)アタリ ルアミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ましくは歯科用組成物の成分と して用いられる力 口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が 脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として 、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生 体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いるこ とが好ましい。
[0061] 上記一般式(3)で示されるァミン (bl)は、アミノ酸のリン酸エステルであることが好 ましい。アミノ酸のリン酸エステルとは、ヒドロキシ基を有するアミノ酸のヒドロキシ基に リン酸基が結合したものである。ァミン (bl)がアミノ酸のリン酸エステルであることによ り、ァミン (bl)が有するァミノ基と上記カルボン酸(al)のカルボキシル基が縮合反応 して、得られる本発明の化合物(I)がカルボキシル基を有するとともに、リン酸基を有 することとなる。
[0062] 本発明の化合物(I)の製造方法において用いられるァミン (bl)力、ホスホセリン、ホ スホスレオニン及びホスホチロシンからなる群から選択される 1種であることが好まし い。アミノ酸は生体内に広く存在しており、ヒドロキシ基を有するアミノ酸は生体内でリ
ン酸化され、アミノ酸のリン酸エステルの形で存在するケースが多く見られる。このた め、本発明の化合物 (I)が生体内に長期間適用された結果、加水分解などの作用で 分解物が生成された場合であっても、ァミン (bl)として上述のようなアミノ酸のリン酸 エステルを用いることで、分解により元々生体内に含まれている物質が放出されるこ とになる。したがって、安全性の観点から非常にメリットが大きい。上記一般式(3)に おいて、 R5が— CH—であり、 R6及び R7が水素原子である場合がホスホセリンであり
2
、上記一般式(3)において、 R5がー CH (CH )一であり、 R6及び R7が水素原子であ
3
る場合がホスホスレオニンであり、上記一般式(3)において、 R5がー CH— Ph—で
2 あり、 R6及び R7が水素原子である場合がホスホチロシンである。
[0063] 上記本発明の化合物(I)の製造方法において用いられる縮合剤は特に限定されな いが、トリアジン系縮合剤であることが好ましい。トリアジン系縮合剤を用いることにより
、縮合反応を温和な条件で行うことができるとともに、カルポジイミド系の縮合剤のよう に皮膚かぶれ等を引き起こさな!/、ため安全性が優れて!/、る。
[0064] このようなトリアジン系縮合剤としては、例えば、下記一般式(7)で示されるようなも のが挙げられる。
[0065] [化 24]
[式中、 R"及び Rldは、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基であり、 R14、 R15及び R16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよ い炭素数 1〜20の炭化水素基であり、 Xはハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシ ラート又はクロロメタンスルホナートであり、 R14、 R15及び R16は互いに結合して環を形 成していてもよい。 ]
[0066] 上記一般式(7)において、トリァジン環に結合している置換基 R12及び R13は、それ ぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基である。アルコキシ基としては、直鎖又は
分岐鎖の炭素数 1〜20のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、 n—プロポキシ基、イソプロポキシ基、 n—ブトキシ基、イソブトキシ基、 sec—ブトキシ 基、 tert—ブトキシ基、 n—ペンチルォキシ基、イソペンチルォキシ基、ネオペンチノレ ォキシ基、 n—へキシルォキシ基、イソへキシルォキシ基、 2—ェチルへキシルォキシ 基、 n—へプチルォキシ基、 n—ォクチルォキシ基、 n—ノニルォキシ基、 n—デシル ォキシ基基等が挙げられる。得られる縮合剤の反応性の観点からは、メトキシ基、エト シキ基又はイソプロポキシ基が好ましぐメトキシ基がより好ましい。アルキル基として は、 R2及び R3の説明のところで例示されたアルキル基を採用することができ、得 られる縮合剤の反応性の観点からはメチル基、ェチル基又は tert—ブチル基が好ま しい。これらの中でも、製造が容易であることと、縮合剤の反応性との兼ね合いから、 置換基 R12及び R13がメトキシ基であることが特に好ましい。
[0067] 上記一般式(7)において、 R14、 R15及び R16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒 素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数;!〜 20の炭化水素基であり、好適には 炭素数 1〜; 10の炭化水素基である。 R14、 R15及び R16は互いに結合して環を形成し ていてもよぐ隣接する置換基同士が結合して環を形成してもよいし、離れた置換基 同士が結合して環を形成してもよい。
[0068] 上記一般式(7)において、 Xは、ハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又 はクロロメタンスルホナートである。上記トリアジン系縮合剤は、 Xが結合したトリァジン 環と 3級ァミンが反応することにより得られるものであることが好ましい。このような反応 により Xは脱離してトリアジン系縮合剤においてカウンターァニオンとして存在するこ とになる。 Xは脱離基として用いられる官能基であることが好ましぐハロゲン原子又 はトリフラートが好適に用いられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ 素等が挙げられ、縮合剤の反応性と保存安定性のバランスを考慮すると、塩素が好 適に採用される。
[0069] 上記一般式(7)で示されるトリアジン系縮合剤は、下記一般式(8)で示されるように モルホリン環を有していることが好ましい。このことにより前記縮合剤の反応性が適切 なものとなり、かつ、結晶性が向上して粉体として扱えるようになるため、精製や保存 安定性及びノ、ンドリング性などの点で大きなメリットが得られる。
[0070] [化 25]
[式中、 R12、 R13、及び Xは、前記式(7)と同じであり、 R17は、置換基を有してもよい 炭素数 1〜20の炭化水素基である。 ]
[0071] 上記一般式(8)においてモルホリン環の Nに結合している R
17は、置換基を有しても ょレ、炭素数 1〜20の炭化水素基であり、置換基を有してもょレ、アルキル基であること が好ましい。アルキル基としては、
R
2及び R
3の説明のところで例示されたアルキ ル基を採用することができ、縮合剤の製造のし易さ及び得られた縮合剤の保存安定 性の観点からは、炭素数 1〜4のアルキル基であることが好ましぐメチル基であること がより好ましい。
[0072] 本発明の化合物 (I)の製造方法において、トリアジン系縮合剤の使用量は特に限 定されないが、原料である一般式(2)で示されるカルボン酸(al) lモルに対して、トリ アジン系縮合剤を 0. 5〜2モル用いることが好ましい。トリアジン系縮合剤の使用量 が 0. 5モル未満の場合、縮合反応が進行しにくくなり反応収率が低下するおそれが ある。トリアジン系縮合剤の使用量は、カルボン酸 (al) lモルに対してより好適には 0 . 6モル以上であり、さらに好ましくは 0· 7モル以上であり、特に好ましくは 0· 8モル以 上である。一方、トリアジン系縮合剤の使用量力 カルボン酸 (al) lモルに対して 2モ ルを超える場合、反応性が過剰となり、本発明の化合物(I)の分子内のカルボン酸に 、さらにアミノ基含有化合物(具体的にはァミン (bl) )が反応してしまうおそれがあり、 その結果、反応収率が低下するおそれがある。かかる観点から、トリアジン系縮合剤 の使用量はカルボン酸(al) lモルに対してより好適には 1. 8モル以下であり、さらに 好ましくは 1. 6モル以下であり、特に好ましくは 1. 4モル以下である。
[0073] 本発明の化合物(I)の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる方法は 特に限定されないが、攪拌しながら反応させることが好ましい。その際、トリアジン系
縮合剤、カルボン酸及びアミンを添加するタイミング等は特に限定されず、反応系に 同時に添加して混合してもよいし、順次添加して混合してもよい。 DCCのような力ノレ ポジイミド系の縮合剤を用いた場合には、カルボン酸とァミンの双方と反応するため、 最初にカルボン酸と縮合剤とを反応させてからアミンを添加する必要があり、このアミ ンを添加するタイミングによっては収率が低下する場合がある。これに対し、本発明 で用いられるトリアジン系縮合剤は、カルボン酸とのみ選択的に反応し、ァミンとは反 応しないため、添加するタイミングを考慮しなくてよい利点があり、高収率で本発明の 化合物(I)を得ること力 Sできる。上記トリアジン系縮合剤を添加する際には、カルボン 酸及びァミンが反応溶媒に完全に溶解していることが好ましぐこのことにより縮合反 応が速やかに進行する。
[0074] 本発明の製造方法では、上述のようにトリアジン系縮合剤を反応系中に添加して力 ルボン酸とアミンを反応させるような実施態様でもよいが、例えば、 2—クロロー 4, 6 ージメトキシ—1 , 3, 5—トリァジン(CDMT)のようなトリァジン化合物と、ジメチルダリ シンェチルエステル(DMGE)のような 3級ァミンを反応系中に添加し、反応系中でト リアジン系縮合剤を生じさせた後に、カルボン酸とアミンを反応させるような実施態様 でもよい。上記トリァジン化合物に、上記 3級ァミンを添加することで縮合反応が速や かに進行する。
[0075] トリアジン系縮合剤を製造する際の上記トリァジン化合物の使用量は特に限定され ないが、カルボン酸 1モルに対してトリァジン化合物を 0. 5〜2モル用いることが好ま しぐ 0. 7〜; 1. 5モル用いることがより好ましい。また、上記 3級ァミンの使用量は特に 限定されないが、上記 3級ァミンは反応系中において触媒として機能し、必ずしもトリ ァジン化合物と等モルで配合する必要はない。このため、コスト的なメリットを考慮し た場合、トリァジン化合物 1モルに対して 3級ァミンを 0. 05-0. 5モル用いることが好 ましく、 0. ;!〜 0· 3モル用いることがより好ましい。
[0076] 前記トリアジン系縮合剤を用いた本発明の化合物 (I)を製造する際の反応温度は 特に限定されず、用いられるカルボン酸ゃァミンの種類、及び反応溶媒によって適宜 調整すればよい。上述のトリアジン系縮合剤を用いた場合は室温でも反応を円滑に 進行させること力 Sでき、きわめて穏やかな条件で反応を行えるという利点がある。反応
温度としては、通常、 10〜60°Cの温度が採用され、好適には 15〜45°Cである。
[0077] 本発明の化合物(I)を製造する際の反応時間は特に限定されず、用いられるカル ボン酸ゃァミンの種類、及び反応溶媒によって適宜調整すればよぐ通常 10分〜 24 時間であり、好適には 20分〜 16時間である。
[0078] 前記トリアジン系縮合剤を用いた本発明の化合物 (I)の製造方法では、中性条件 下で反応させることが好ましい。酸性条件下では反応が進行しないおそれがあり、ま た、塩基性条件下では、得られる本発明の化合物(I)におけるアミド結合が加水分解 されるおそれがある。したがって、前記トリアジン系縮合剤を用いた本発明の化合物( I)の製造方法では、反応系の pHは 6. 5〜8であることが好ましぐ 7〜8であることが より好ましぐ 7〜7. 6であることが特に好ましい。
[0079] 本発明の化合物 (I)の製造方法で用いられる反応溶媒は特に限定されないが、上 記トリアジン系縮合剤を用いる際には反応溶媒が水を含むことが好ましい。通常、ェ ステル結合やアミド結合を形成するような縮合反応では、水は取り除く対象であり、水 が存在すると反応効率が低下する場合が多い。これに対し、本発明の化合物 (I)の 製造方法では、反応効率が低下することなく反応が進行し、水以外の他の有機溶媒 には難溶である化合物、例えば、リン酸基を有するアミノ酸等を用いてアミド化するこ とができるとともに、環境保護の面でも優れている。
[0080] 反応溶媒として用いられる有機溶媒としては、塩化メチレン、クロ口ホルムのような含 ハロゲン溶媒;へキサン、トルエンのような炭化水素系溶媒;酢酸ェチルのようなエス テル系溶媒;ジェチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランのような エーテル系溶媒;ァセトニトリル;ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド (DMSO);メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒 などが挙げられる。これらの中でも、前記トリアジン系縮合剤を安定的に存在させるこ とができる観点から、エステル系溶媒、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒からな る群から選択される少なくとも 1種であることが好ましぐ特にアルコール系溶媒を用 いることが好ましい。反応溶媒としてアルコールを用いた場合には、溶媒であるアル コールとカルボン酸とがエステルを形成する競合反応が起こるため、アルコールは水 以上に利用が困難であることが知られている。本発明の化合物(I)の製造方法にお
いて、上記トリアジン系縮合剤を用いた際には、エステル形成と比較してアミド形成の 選択性が非常に高いため、反応溶媒としてアルコールを用いることができる。アルコ ールを用いる場合、水と比較して様々な化合物が可溶であったり、沸点が低いので 溶媒除去が容易であったり、安価である点等から DMFや DMSOのような比較的沸 点の高い有機溶媒よりも有用である。
[0081] 本発明の化合物(I)の製造方法で用いられるアルコールは特に限定されず、メタノ 一ノレ、エタノール、 n—プロパノール、 2—プロパノーノレ、 n—ブタノール、 2—ブタノ一 ル、シクロプロパノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール等の脂肪族アルコ ール;フエノール、 m—クレゾール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコールを挙 げること力 Sでき、これらのアルコールは単独で用いてもよぐ 2種以上を混合して用い てもよい。反応溶媒として水及びアルコールの混合溶媒を用いる場合は、水との混和 性の観点から、メタノール、エタノール、 n—プロパノール及び 2—プロパノールからな る群から選択される少なくとも 1種を用いることが好ましぐ原料化合物であるカルボン 酸を溶解させやすぐ沸点が低いため溶媒の除去が容易である観点からは、メタノー ルを用いることが特に好ましレ、。
[0082] 本発明の化合物(I)の製造方法において、上記トリアジン系縮合剤を用いる際には 、反応溶媒が水及びアルコールの混合溶媒であることが好ましい。基質の溶解性に 応じて水とアルコールの混合比率を適宜調整して用いることができ、水とアルコール の混合比率(アルコール/水)は、 9/;!〜 1/9であることが好ましぐ 8/2〜2/8 であること力 り好ましく、 8/2〜5/5であることがさらに好ましい。
[0083] 本発明の化合物 (I)の製造方法は、一般式 (8)で示されるトリアジン系縮合剤、一 般式(2)で示されるカルボン酸及び一般式(3)で示されるアミンを用いて、 m= l、 n = 1、 Xが塩素原子である場合を例として反応式で示すと、以下に示されるように 2段 階で反応が進行する。すなわち、 1段階目として、一般式(2a)で示されるカルボン酸 が式(8a)で示されるトリァジン環に付加し、一般式(2b)で示されるエステル中間体 が生成されるとともに、一般式(8b)で示されるモルホリン、及び塩酸が生成される。 続いて、 2段階目として、一般式(2b)で示されるエステル中間体に一般式(3)で示さ れるァミンが作用して、一般式(la)で示される本発明の化合物(I)が得られるととも
に、一般式(8c)で示されるヒドロキシトリアジンが生成される。このときの反応で生じた 塩酸を中和するために中和剤等が添加されていてもよいが、 1段階目で生じた一般 式(8b)で示されるモルホリンによって塩酸が捕捉されるため、特に中和剤を添加す る必要がなく反応が進行する。
[化 26]
[0085] 本発明の化合物 (I)の製造方法としては、下記一般式 (4)で示される酸ハライド (a2 )と、下記一般式(3)で示されるァミン (bl)とを縮合反応させることにより得ることもで きる。
[式中、
R
2、 R
3、 R
4、 (A)、 m及び nは、前記式(1)と同じであり、 Xはハロゲン原 子である。 ]
[化 28]
[式中、 R5、 及び R'は、前記式(1)と同じである。 ]
[0087] 上記一般式(4)において、 Xは、ハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素 、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、酸ハライド(a2)の安定性及び調製の容易さの観 点からは、塩素が好適に採用される。
[0088] 上記一般式 (4)で示される酸ハライド(a2)は、重合性基を含む。重合性基としては 特に限定されず、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビュル (チォ)エーテル基 、ァリル(チォ)エーテル基、ビュルエステル基、スチリル基等が挙げられる力 これら の中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は (メタ)アクリル アミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ましくは歯科用組成物の成分とし て用いられる力 口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が 脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として 、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生 体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いるこ とが好ましい。
[0089] 上記一般式 (4)で示される酸ハライド(a2)と、上記一般式(3)で示されるァミン (bl )とを反応させる方法は特に限定されな!/、が、アルカリ存在下で反応させるショッテン —バウマン反応を採用することができる。この方法では、ァミン (M)が均一に溶解し ている反応系に対して水酸化ナトリウム等を加えて反応系の pHを塩基性にし、これ に酸ハライド(a2)を滴下する。滴下後に反応液を酸性にすることにより沈殿が生じ、
この沈殿物を精製することにより本発明の化合物(I)が得られるものである。この方法 で反応させることにより、温和な条件下で本発明の化合物(I)を得ることができる。
[0090] 上記酸ハライド(a2)と上記アミン (M)の使用量は特に限定されないが、ァミン (bl) 1モルに対して酸ハライド(a2)を 0· 5〜3モル用いること力 S好ましく、 0. 6〜2モル用 いること力 Sより好ましい。上述の使用量は、上記酸ハライド(a2)と上記アミン (bl)のそ れぞれの入手の容易さにも依存する。すなわち、上記酸ハライド(a2)の方が上記アミ ン (bl)と比較して入手が困難であれば、上記酸ハライド(a2)の使用量をァミン (bl) 1モル以下とし、上記酸ハライド(a2)を総て反応させた方が経済的に有利である。上 記ァミン (bl)の方が入手が困難である場合は、その逆となる。
[0091] 上記酸ハライド(a2)と上記アミン (bl)を反応させる際の反応温度は特に限定され ない。好ましくは、上記アミン (bl)を含む溶液を攪拌しながら、上記酸ハライド(a2)を 徐々に滴下する製造方法が採用される。前記酸ハライド(a2)はニートで滴下してもよ いし、溶媒で希釈してから滴下してもよい。滴下の際の温度は特に限定されないが、 好ましくは— 10〜; 10°Cであり、より好ましくは— 5〜5°Cである。滴下終了後、反応が 完結するまで攪拌を行うが、その際の反応温度は通常、 10〜60°Cの温度が採用さ れ、好適には 15〜45°Cである。
[0092] 上記酸ハライド(a2)と上記アミン (bl)を反応させる際の反応時間は特に限定され ず、通常、 1〜6時間であり、好適には 2〜4時間である。また、本反応においては反 応系の pHの維持が重要であり、酸性条件下では前記アミン (bl)のァミノ基の反応 性が低下するために、反応が進行しないおそれがある。一方、反応系の塩基性が強 すぎる場合は、得られる本発明の化合物(I)におけるアミド結合が加水分解されるお それがある。このため、本反応を実施する際には、反応系の pHは 8〜9であることが 好ましい。前記酸ノヽライド(a2)の滴下や反応の進行に伴って、系内の pHは小さくな り酸性側にシフトするため、 pHメーター等を用いて系内の pHを観測しながら、塩基 性の溶液を添加して適宜反応系の pHを調整することが好ましレ、。塩基性の溶液とし ては特に限定されないが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの溶液が好適に用い られる。
[0093] 本発明の化合物(I)は、重合性基、リン酸基及びカルボキシル基をそれぞれ少なく
とも lつ有するものである力、以下の一般式(5)で示される化合物 (vm)にリン酸基を 導入することにより製造すること力 sできる。この化合物 (vm)は新規化合物である。
[化 29]
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1 20の炭化水素基であり、(A)及び (B)は任意の構成単位であり、 A は、 CONH COO OCO O S CH O CH S—
2 2
C H O C H CONH— - C H NHCO C H COO - - C H O
6 4 6 4
CO CONHCO から選択される 1種であり、 Bは、 CONH - NHCO - —COO— —OCO から選択される 1種であり、 mは 1 3の整数であり、 nは 1 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数 1 40の有機基であり、 R5は、 置換基を有してもよい炭素数;!〜 20の炭化水素基である。 ]
上記ー般式(5)で示される化合物0 111)にぉぃて、 、 、 、1^4 R5 (A)、 (B) m及び nは、上記一般式(1 )と同じであり、上記一般式(1 )のところで説明したのと 同様のものが採用される。上記一般式(5)で示される化合物 (VIII)は、重合性基、ヒ ドロキシ基及びカルボキシル基をそれぞれ少なくとも 1つ有するものである。化合物( VIII)が重合性基を有することにより、ラジカル重合が可能となるとともに、他の単量体 との共重合が可能となる。重合性基の例としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルァ ミド基、ビュル(チォ)エーテル基、ァリル(チォ)エーテル基、ビュルエステル基、スチ リル基等が挙げられる力 S、これらの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ )アクリル基、又は (メタ)アクリルアミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ま しくは歯科用組成物の成分として用いられる力 S、口腔内は湿潤な環境であるため、加 水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮 した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さら に、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又は メタクリルアミド基を用いることが好ましい。また、化合物 (VIII)がヒドロキシ基を有する
ことにより、リン酸基と脱水縮合することで本発明の化合物(I)を得ることができる。ま た、化合物 (VIII)がカルボキシル基を有することにより、得られた化合物(I)を歯科用 組成物として用いた場合には、歯質を脱灰させることが可能であり、プライマー、ボン ディング材等の接着剤等の用途に用いることができる。
[0096] 上記一般式(5)で示される化合物 (VIII)の製造方法は特に限定されないが、下記 一般式(2)で示されるカルボン酸(al)と、下記一般式(6)で示されるァミン (b2)とを 縮合反応させることにより得ること力でさる。
[0097] [化 30]
[式中、
R
2、 R°, R
4、(A)、 m及び nは、前記式(1)と同じである。 ]
[式中、 R5は、前記式(5)と同じである。 ]
[0098] 上記一般式(2)で示されるカルボン酸 (a 1)においては、一般式(1)のところで説明 したのと同様の重合性基が好適に採用される。上記一般式(6)で示されるァミン (b2 )は、アミノ酸であること力 S好ましく、特に、ヒドロキシ基を有するアミノ酸であることが好 ましい。ァミン (b2)がアミノ酸であることにより、ァミン (b2)のァミノ基とカルボン酸(al )のカルボキシル基が縮合反応して得られる化合物 (VIII)がカルボキシル基を有する とともに、ヒドロキシ基を有することとなる。
[0099] 上記アミン (b2)は、セリン、スレオニン及びチロシンからなる群から選択される 1種 であることが好ましい。ァミン (b2)がこのようなアミノ酸から選択されることにより、アミ ン (bl)としてアミノ酸のリン酸エステルを用いた場合と同様のメリットが得られる。上記 一般式(6)において、 R5が— CH—である場合がセリンであり、上記一般式(6)にお
2
いて、 R5が— CH (CH )—である場合がスレオニンであり、上記一般式(6)において
、R5がー CH—Ph—である場合がチロシンである。
2
[0100] 上記一般式(5)で示される化合物 (VIII)の製造方法は特に限定されず、上述にあ る本発明の化合物(I)の製造方法と同様の方法を採用することができる。このようにし て得られた化合物 (VIII)は、本発明の化合物(I)を得るための中間体として好適に用 いられる。
[0101] 上述のような方法で得られる本発明の化合物(I)は、単独で用いることもできるが、 他の成分を混合して組成物として用いることが好ましい。組成物として用いる際には、 本発明の化合物 (I)と、前記化合物 (I)以外の、前記化合物 (I)と共重合可能な重合 性単量体 (II)を含むことが好ましレ、。このような共重合可能な重合性単量体 (Π)として は、特に限定されないが、(メタ)アタリレート化合物であることが好ましい。 (メタ)アタリ レート化合物の具体例を以下に示す。
[0102] 酸性基を持たな!/、一官能性単量体(=重合性基を 1個含む重合性単量体)の例と しては、メチル (メタ)アタリレート、ェチル (メタ)アタリレート、プロピル (メタ)アタリレー ート、ベンジル(メタ)アタリレート、ラウリル(メタ)アタリレート、テトラヒドロフルフリル(メ タ)アタリレート、グリシジル(メタ)アタリレート、 2— (N, N—ジメチルァミノ)ェチル(メ タ)アタリレート、 2, 3—ジブロモプロピル(メタ)アタリレート、 3—クロロー 2—ヒドロキシ 挙げられる。また、酸性基を持たず水酸基を含有する一官能性単量体(=水酸基を 含有する重合性単量体)としては、 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレート、 3—ヒドロ キシプロピル(メタ)アタリレート、 6—ヒドロキシへキシル(メタ)アタリレート、 10—ヒドロ キシデシル(メタ)アタリレート、グリセロールモノ(メタ)アタリレート、エリスリトールモノ( メタ)アタリレート、 2, 3—ジヒドロキシブチル(メタ)アタリレート、 2, 4—ジヒドロキシブ チル(メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシメチルー 3—ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレー ト、 2, 2—ビス(ヒドロキシメチル)ー3—ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、 2, 3, 4 , 5—テトラヒドロキシペンチル(メタ)アタリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)ァク リレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、テトラエチレンダリコールモノ( メタ)アタリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、 N—メチロール(メ
タ)アタリノレアミド、 N ヒドロキシェチル(メタ)アクリルアミド、 N, N— (ジヒドロキシェ チル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。化合物の入手のしゃすさや適度な親水 性を有することから、これらの中でも 2 ヒドロキシェチル (メタ)アタリレート、 3 ヒドロ キシプロピル(メタ)アタリレート、グリセロールモノ(メタ)アタリレート及びエリスリトール モノ (メタ)アタリレートがより好ましぐ 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレートが特に好 ましい。本発明の化合物(I)を含む組成物を、後述する「プライマー組成物」または「1 液型 1ステップ接着システムに用いられるボンディング材」として使用する場合は、上 述の水酸基を含有する重合体を組成物中に配合することが特に好ましい。
[0103] また、分子内に 1つのカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有する一官能性 単量体の例としては、例えば (メタ)アクリル酸、 N— (メタ)アタリロイルグリシン、 N— ( メタ)アタリロイルァスパラギン酸、 N— (メタ)アタリロイル一 5 ァミノサリチル酸、 2— ( メタ)アタリロイルォキシェチルハイドロジェンサクシネート、 2- (メタ)アタリロイルォキ シェチルハイドロジェンフタレート、 2—(メタ)アタリロイルォキシェチルハイドロジェン マレート、 6 (メタ)アタリロイルォキシェチルナフタレン 1 , 2, 6 トリカルボン酸、 ルフエ二ルァラニン、 N— (メタ)アタリロイル— p ァミノ安息香酸、 N— (メタ)アタリ口 ィル—0—ァミノ安息香酸、 p—ビュル安息香酸、 2— (メタ)アタリロイルォキシ安息香 酸、 3— (メタ)アタリロイルォキシ安息香酸、 4— (メタ)アタリロイルォキシ安息香酸、 N— (メタ)アタリロイル— 5—ァミノサリチル酸、 N— (メタ)アタリロイル— 4—アミノサリ チル酸等及び上記ラジカル重合性単量体の酸無水物あるいは酸ハロゲン化物が挙 げられる。
[0104] 分子内に複数のカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有する一官能性単量 体としては、例えば 11— (メタ)アタリロイルォキシゥンデカン一 1 , 1—ジカルボン酸、 10—(メタ)アタリロイルォキシデカン 1 , 1ージカルボン酸、 12—(メタ)アタリロイル ォキシドデカン—1 , 1ージカルボン酸、 6—(メタ)アタリロイルォキシへキサン 1 , 1 ージカルボン酸、 2 (メタ)アタリロイルォキシェチルー 3'—メタクリロイルォキシ 2 '一(3, 4 ジカルボキシベンゾィルォキシ)プロピルサクシネート、 4一(2 (メタ)ァ クリロイルォキシェチル)トリメリテートアンハイドライド、 4— (2- (メタ)アタリロイルォキ
シェチル)トリメリテート、 4— (メタ)アタリロイルォキシェチルトリメリテート、 4— (メタ)
チルトリメリテート、 6 (メタ)アタリロイルォキシェチルナフタレン 1 , 2, 6 トリカル ボン酸無水物、 6 (メタ)アタリロイルォキシェチルナフタレン 2, 3, 6 トリカルボ ン酸無水物、 4 (メタ)アタリロイルォキシェチルカルポニルプロピオノィルー 1 , 8— ナフタル酸無水物、 4 (メタ)アタリロイルォキシェチルナフタレン 1 , 8—トリカルボ ン酸無水物、 9 (メタ)アタリロイルォキシノナン 1 , 1ージカルボン酸、 13 (メタ) アタリロイルォキシトリデカン— 1 , 1—ジカルボン酸、 11— (メタ)アクリルアミドウンデ カン 1 , 1ージカルボン酸などが挙げられる。
[0105] 分子内にホスフィエルォキシ基又はホスホノォキシ基を有する一官能性単量体(一 官能性ラジカル重合性酸性リン酸エステルと呼ぶことがある)の例としては、例えば、 2—(メタ)アタリロイルォキシェチルジハイドロジェンフォスフェート、 2—(メタ)アタリ口 ィルォキシェチルフエニルハイドロジェンフォスフェート、 10- (メタ)アタリロイルォキ シデシルジハイドロジェンフォスフェート、 6 - (メタ)アタリロイルォキシへキシルジハイ ドロジェンフォスフェート、 2—(メタ)アタリロイルォキシェチルー 2—ブロモェチルハイ ドロジェンフォスフェート、 2— (メタ)アクリルアミドエチルジハイドロジェンフォスフエ一 ト等が挙げられる。
[0106] その他の酸性基を有する一官能性単量体として、 2 (メタ)アクリルアミドー 2 メチ ルプロパンスルホン酸、 10—スルホデシル (メタ)アタリレート等の分子内にスルホ基 を有する一官能性単量体などが挙げられる。
[0107] 二官能性単量体は、芳香族化合物系のものと、脂肪族化合物系のものとの大きく 二つに分けられる。芳香族化合物系の二官能性単量体の例としては、 2, 2—ビス(( メタ)アタリロイルォキシフエ二ノレ)プロパン、 2, 2 ビス〔4一(3 (メタ)アタリロイルォ キシ)ー2—ヒドロキシプロポキシフエ二ノレ〕プロパン(通称「: Bis— GMA」)、 2, 2—ビ ス(4 (メタ)アタリロイルォキシフエ二ノレ)プロパン、 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリロイ ノレォキシポリエトキシフエ二ノレ)プロパン、 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリロイルォキシジ エトキシフエ二ノレ)プロパン)、 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリロイルォキシテトラエトキシ
フエ二ノレ)プロパン、 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリロイルォキシペンタエトキシフエ二ノレ) プロノ ン、 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリ口イノレオキシジプロポキシフエニノレ)プロパン、 2 - (4 - (メタ)アタリロイルォキシジエトキシフエニル) 2—(4 (メタ)アタリロイルォ キシジエトキシフエニル)プロパン、 2—(4 (メタ)アタリロイルォキシジエトキシフエ二 ノレ)ー2—(4 (メタ)アタリロイルォキシジトリエトキシフエ二ノレ)プロパン、 2—(4—(メ エトキシフエ二ノレ)プロパン、 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリロイルォキシプロポキシフエ ニノレ)プロパン、 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリロイノレォキシイソプロポキシフエニノレ)プ 口パン、 1 , 4 ビス(2 (メタ)アタリロイルォキシェチル)ピロメリテートなどが挙げら れる。これらの中でも 2, 2 ビス〔4 (3 (メタ)アタリロイルォキシ)ー2 ヒドロキシ プロポキシフエニル〕プロパン(通称「: Bis— GMA」 )及び 2, 2 ビス(4 (メタ)アタリ ロイルォキシポリエトキシフエニル)プロパンが好まし!/、。本発明の化合物(I)を含む 組成物を、後述する「1液型 1ステップ接着システムに用いられるボンディング材」とし て使用する場合は、上述の芳香族化合物系の二官能性単量体を組成物中に配合 すること力 S好ましく、特に 2, 2 ビス〔4— (3— (メタ)アタリロイルォキシ)一 2 ヒドロ キシプロポキシフエニル〕プロパン(通称「: Bis— GMA」 )を配合することが好まし!/、。 脂肪族化合物系の二官能性単量体の例としては、エチレングリコールジ (メタ)ァク リレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アタリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)ァ タリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アタリレート、ブチレングリコールジ(メタ)ァク リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ )アタリレート、 1 , 3—ブタンジオールジ(メタ)アタリレート、 1 , 5—ペンタンジオール ジ(メタ)アタリレート、 1 , 6—へキサンジオールジ(メタ)アタリレート、 1 , 10—デカン ジオールジ(メタ)アタリレート、 1 , 2—ビス(3—メタクリロイルォキシー2—ヒドロキシプ ロポキシ)ェタン、 2, 2, 4 トリメチルへキサメチレンビス(2 力ルバモイルォキシェ チノレ)ジメタタリレート(通称「UDMA」 )、ビス〔2—(メタ)アタリロイルォキシェチノレ〕ハ イドロジェンホスフェート、ビス(6—(メタ)アタリロイルォキシへキシル)ハイドロジェン フォスフェート、ビス(10— (メタ)アタリロイルォキシデシル)ハイドロジェンフォスフエ ート及びビス { 2—(メタ)アタリロイルォキシー(1ーヒドロキシメチル)ェチルレ、イド口
ジェンフォスフェート等が挙げられる。これらの中でも、トリエチレングリコールジ (メタ) アタリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アタリレート、 1 , 6—へキサンジオール ジ(メタ)アタリレート、 1 , 10 デカンジオールジ (メタ)アタリレート、 1 , 2 ビス(3 メ タクリロイルォキシー 2 ヒドロキシプロポキシ)ェタン及び 2, 2, 4 トリメチルへキサ メチレンビス(2—力ルバモイルォキシェチノレ)ジメタタリレート(通称「UDMA」 )が好 ましい。プライマー組成物等の親水性が要求される用途に用いる場合は、トリエチレ ングリコールジ(メタ)アタリレート及び 1 , 2—ビス(3—メタクリロイルォキシー2—ヒドロ キシプロポキシ)ェタンがさらに好ましぐ 1 , 2 ビス(3 メタクリロイルォキシー2 ヒ ドロキシプロポキシ)ェタンが特に好ましレ、。
[0109] 三官能性以上の単量体の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アタリレート、 トリメチロールェタントリ(メタ)アタリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アタリレート、 ペンタエリスリトールトリ(メタ)アタリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アタリレート 、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アタリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アタリ レート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アタリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ )アタリレート、 N, N- (2, 2, 4 トリメチルへキサメチレン)ビス〔2—(ァミノカルボキ シ)プロパン 1 , 3—ジオール〕テトラメタタリレート、及び 1 , 7 ジァクリロイルォキシ - 2, 2, 6, 6 テトラアタリロイルォキシメチルー 4 ォキシヘプタン等が挙げられる。
[0110] 上記 (メタ)アタリレート化合物は、単独で 1種類のみ用いてもよぐ複数種類を組み 合わせて用いてもよい。また、(メタ)アタリレート化合物とともに、 α —シァノアクリル酸 ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、ィタコン酸 等の不飽和有機酸のエステル類、ビュルエステル類、ビュルエーテル類、モノー N— ビュル誘導体、スチレン誘導体等を必要に応じて併用してもよい。
[0111] 前記化合物 (I)と前記重合性単量体 (Π)の配合量比は特に限定されな!/、。好まし い実施態様では、前記 (I)及び前記 (Π)の合計を 100重量部とした場合に、配合量 比は前記(I);! 99重量部及び前記(II) ;!〜 99重量部である。前記配合量比は、前 記(I) 2 90重量部及び前記(Π) 10 98重量部であることがより好ましぐ前記(I) 3 80重量部及び前記(Π) 20 97重量部であることがさらに好ましい。
[0112] 本発明に用いられる重合開始剤(III)としては、一般工業界で使用されている重合
開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ま しく用いられる。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤を、単独又は 2種以上適 宜組み合わせて使用される。
[0113] 本発明に用いられる重合開始剤(III)のうち光重合開始剤としては、(ビス)ァシルホ スフインオキサイド類、水溶性ァシルホスフィンオキサイド類、チォキサントン類又はチ ォキサントン類の第 4級アンモニゥム塩、ケタール類、 a—ジケトン類、クマリン類、ァ ントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、 α アミノケトン系化合物な どが挙げられる。
[0114] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれる(ビス)ァシルホスフィンオキサイド類 のうち、ァシルフォスフィンオキサイド類としては、 2, 4, 6 トリメチルベンゾィルジフ ェニルホスフィンオキサイド、 2, 6 ジメトキシベンゾィルジフエニルホスフィンォキサ イド、 2, 6 ジクロ口べンゾィルジフエニルホスフィンオキサイド、 2, 4, 6 トリメチノレ ベンゾィルメトキシフエニルホスフィンオキサイド、 2, 4, 6 トリメチルベンゾィルエト キシフエニルホスフィンオキサイド、 2, 3, 5, 6 テトラメチルベンゾィルジフエニルホ スフインオキサイド、ベンゾィルジー(2, 6 ジメチルフエニル)ホスホネートなどが挙 げられる。ビスァシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス一(2, 6 ジクロロべンゾ ィノレ)フエニルフォスフィンオキサイド、ビス一(2, 6 ジクロロベンゾィル) 2, 5 ジ メチルフエニルフォスフィンオキサイド、ビス一(2, 6 ジクロロべンゾィル) 4 プロ ピルフエニルフォスフィンオキサイド、ビス一(2, 6 ジクロロベンゾィル) 1—ナフチ ノレフォスフィンオキサイド、ビス一(2, 6 ジメトキシベンゾィノレ)フエニルフォスフィン オキサイド、ビス一(2, 6 ジメトキシベンゾィル) 2, 4, 4 トリメチルペンチルフォ スフインオキサイド、ビス一(2, 6 ジメトキシベンゾィル) 2, 5 ジメチルフエニルフ ォスフィンオキサイド、ビス一(2, 4, 6 トリメチルベンゾィノレ)フエニルフォスフィンォ キサイド、 (2, 5, 6 トリメチルベンゾィル) 2, 4, 4 トリメチルペンチルフォスフィ ンオキサイドなどが挙げられる。
[0115] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれる水溶性ァシルフォスフィンオキサイド 類は、ァシルフォスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属 イオン、ピリジニゥムイオン又はアンモニゥムイオンを有することが好ましい。例えば、
水溶性ァシルフォスフィンオキサイド類は、ヨーロッパ特許 No. 0009348号又は特 開昭 57— 197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
上記水溶性ァシルフォスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルァセチル フォスフォネート'ナトリウム、モノメチル(1—ォキソプロピル)フォスフォネート'ナトリウ ム、モノメチルベンゾィルフォスフォネート'ナトリウム、モノメチル(1ーォキソブチル) フォスフォネート'ナトリウム、モノメチル(2—メチルー 1 ォキソプロピル)フォスフォネ ート 'ナトリウム、ァセチルフォスフォネート'ナトリウム、モノメチルァセチルフォスフォ ネート.ナトリウム、ァセチルメチルフォスフォネート.ナトリウム、メチル 4— (ヒドロキシメ トキシフォスフィニル)ー4ーォキソブタノエート 'ナトリウム塩、メチルー 4ーォキソーフ ォスフオノブタノエート 'モノナトリウム塩、ァセチルフエニールフォスフィネート'ナトリ ゥム塩、 (1—ォキソプロピル)ペンチルフォスフィネート'ナトリウム、メチル 4— (ヒド ロキシペンチルフォスフィニル)ー4ーォキソブタノエート 'ナトリウム塩、ァセチルペン チルフォスフィネート'ナトリウム、ァセチルェチルフォスフィネート'ナトリウム、メチル( 1 , 1—ジメチル)メチルフォスフィネート'ナトリウム、 (1 , 1—ジエトキシェチル)メチル フォスフィネート'ナトリウム、 (1 , 1—ジエトキシェチル)メチルフォスフィネート'ナトリ ゥム、メチルー 4 (ヒドロキシメチルフォスフィニル)ー4ーォキソブタノエート 'リチウム
塩、メチル(2 メチル 1 , 3 ジォキソラン一 2 ィル)フォスフィネート'ナトリウム塩 、メチル(2—メチル 1 , 3—チアゾリディン一 2—ィル)フォスフォナイト'ナトリウム塩 、 (2 メチルパーヒドロ一 1 , 3 ディアジン一 2 ィル)フォスフォナイト'ナトリウム塩 、ァセチルフォスフィネート'ナトリウム塩、 (1 , 1—ジエトキシェチル)フォスフォナイト' ナトリウム塩、 (1 , 1—ジエトキシェチル)メチルフォスフォナイト'ナトリウム塩、メチル( 2 メチルォキサチオラン一 2 ィル)フォスフィネート'ナトリウム塩、メチル(2, 4, 5 —トリメチル 1 , 3 ジォキソラン一 2 ィル)フォスフィネート'ナトリウム塩、メチル(1 , 1—プロポキシェチル)フォスフィネート'ナトリウム塩、 (1—メトキシビュル)メチルフ ォスフィネート.ナトリウム塩、(1—ェチルチオビュル)メチルフォスフィネート'ナトリウ ム塩、メチル(2 メチルパーヒドロー 1 , 3 ジァジンー2 ィル)フォスフィネート'ナト リウム塩、メチル(2 メチルパーヒドロー 1 , 3 チアジンー2 ィル)フォスフィネート'
ナトリウム塩、メチル(2—メチル 1 , 3—ジァゾリジン一 2—ィル)フォスフィネート'ナ トリウム塩、メチル(2 メチル 1 , 3 チアゾリジン一 2 ィル)フォスフィネート'ナトリ ゥム塩、 (2, 2—ジシァノ一 1—メチルェチュル)フォスフィネート'ナトリウム塩、ァセチ ルメチルフォスフィネートォキシム'ナトリウム塩、ァセチルメチルフォスフィネート一 O -ベンジルォキシム 'ナトリウム塩、 1— [ (N—エトキシィミノ)ェチル]メチルフォスフィ ネート.ナトリウム塩、メチル —フエ二ルイミノェチル)フォスフィネート.ナトリウム塩、 メチル(1—フエ二ルイヒドラゾンェチル)フォスフィネート'ナトリウム塩、 [—(2, 4 ジ ニトロフエニルヒドラゾノ)ェチル]メチルフォスフィネート.ナトリウム塩、ァセチルメチル フォスフィネートセミカルバゾン 'ナトリウム塩、 (1—シァノ 1—ヒドロキシェチル)メチ ルフォスフィネート'ナトリウム塩、 (ジメトキシメチル)メチルフォスフィネート'ナトリウム 塩、フォーミルメチルフォスフィネート'ナトリウム塩、 (1 , 1—ジメトキシプロピル)メチ ルフォスフィネート'ナトリウム塩、メチル(1 ォキソプロピル)フォスフィネート'ナトリウ ム塩、 (1 , 1ージメトキシプロピル)メチルフォスフィネート'ドデシルグァ二ジン塩、 (1 , 1—ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート'イソプロピルアミン塩、ァセチルメチ ルフォスフィネートチォセミカルバゾン 'ナトリウム塩、 1 , 3, 5—トリブチル 4—メチ ノレアミノー 1 , 2, 4 トリアゾリゥム(1 , 1ージメトキシェチノレ)ーメチノレフォスフィネート 、 1ープ、チノレー 4ープ、チノレアミノメチノレアミノー 3, 5 ジプロピノレー 1 , 2, 4 トリアゾリ ゥム(1 , 1ージメトキシェチル) メチルフォスフィネート、 2, 4, 6 トリメチルベンゾィ ノレフエニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩、 2, 4, 6 トリメチルベンゾィルフエ二 ノレフォスフィンオキサイドカリウム塩、 2, 4, 6 トリメチルベンゾィルフエニルフォスフィ ンオキサイドのアンモニゥム塩などが挙げられる。さらに、特開 2000— 159621号公 報に記載されてレ、る化合物も挙げられる。
[0117] これら(ビス)ァシルフォスフィンオキサイド類及び水溶性ァシルフォスフィンォキサイ ド類の中でも、 2, 4, 6 トリメチルベンゾィルジフエニルフォスフィンオキサイド、 2, 4 , 6 トリメチルベンゾィルメトキシフエ二ルフォスフィンオキサイド、ビス(2, 4, 6 トリ メチルベンゾィノレ)ァシルフォスフィンオキサイド及び 2, 4, 6 トリメチルベンゾィルフ ェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
[0118] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるチォキサントン類又はチォキサントン
類の第 4級アンモニゥム塩としては、例えば、チォキサントン、 2 クロルチオキサンセ ンー9 オン、 2 ヒドロキシー3—(9 ォキシ 9H チォキサンテンー4 ィルォ キシ) N, N, N トリメチル一プロパンアミニゥムクロライド、 2 ヒドロキシ一 3— (1 —メチル一 9—ォキシ 9H—チォキサンテン一 4—ィルォキシ) N, N, N トリメ チループロパンアミニゥムクロライド、 2 ヒドロキシー3—(9 ォキソ 9H チォキ サンテン 2—ィルォキシ) N, N, N—トリメチループロパンアミニゥムクロライド、 2 ーヒドロキシー3—(3, 4 ジメチルー 9 ォキソ 9H チォキサンテンー2 ィルォ キシ) N, N, N トリメチル 1—プロパンアミニゥムクロライド、 2 ヒドロキシ一 3— (3, 4 ジメチルー 9H チォキサンテン一 2 ィルォキシ) N, N, N トリメチノレ —1—プロパンアミニゥムクロライド、 2 ヒドロキシ一 3— (1 , 3, 4 トリメチル 9 ォ キソ 9H チォキサンテンー2 ィルォキシ) N, N, N—トリメチルー 1 プロパン アミニゥムクロライドなどが使用できる。
[0119] これらチォキサントン類又はチォキサントン類の第 4級アンモニゥム塩の中でも、特 に好適なチォキサントン類は、 2 クロルチオキサンセン 9 オンであり、特に好適 なチォキサントン類の第 4級アンモニゥ厶塩は、 2 ヒドロキシ一 3— (3, 4 ジメチル — 9H チォキサンテン一 2 ィルォキシ) N, N, N トリメチル 1—プロパンアミ ニゥムクロライドである。
[0120] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるケタール類の例としては、ベンジルジ メチルケタール、ベンジルジェチルケタール等が挙げられる。
[0121] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれる α—ジケトン類としては、例えば、ジ ァセチル、ジベンジル、カンファーキノン、 2, 3 ペンタジオン、 2, 3 ォクタジオン、 9, 10 フエナンスレンキノン、 4, 4 ' ォキシベンジル、ァセナフテンキノン等が挙げ られる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノ ンが特に好ましい。
[0122] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるクマリン化合物の例としては、 3, 3' カルボニルビス(7—ジェチルァミノ)クマリン、 3—(4ーメトキシベンゾィノレ)クマリン 、 3—チエノイルクマリン、 3—ベンゾィル 5, 7—ジメトキシクマリン、 3—ベンゾィル —7—メトキシクマリン、 3—ベンゾィル 6—メトキシクマリン、 3—ベンゾィル 8—メ
トキシクマリン、 3—ベンゾイルクマリン、 7—メトキシ一 3— (p ニトロべンゾィル)クマ リン、 3— (p ニトロべンゾィル)クマリン、 3—ベンゾィル 8—メトキシクマリン、 3, 5 —カルボニルビス(7—メトキシクマリン)、 3—ベンゾィル 6—ブロモクマリン、 3, 3, —カルボニルビスクマリン、 3—ベンゾィル 7—ジメチルァミノクマリン、 3—ベンゾィ ルベンゾ [f]クマリン、 3—カルボキシクマリン、 3—カルボキシ 7—メトキシクマリン、 3—エトキシカルボ二ルー 6—メトキシクマリン、 3—エトキシカルボ二ルー 8—メトキシ クマリン、 3—ァセチルベンゾ [f]クマリン、 7—メトキシ一 3— (p ニトロべンゾィル)ク マリン、 3— (p ニトロべンゾィル)クマリン、 3—ベンゾィル 8—メトキシクマリン、 3 一べンゾィルー 6—二トロクマリン、 3—べンゾィルー 7—ジェチルァミノクマリン、 7— ジメチルアミノー 3—(4ーメトキシベンゾィル)クマリン、 7—ジェチルアミノー 3—(4 メトキシベンゾィル)クマリン、 7—ジェチルアミノー 3—(4ージェチルァミノ)クマリン、 7—メトキシー3—(4ーメトキシベンゾィノレ)クマリン、 3—(4一二トロべンゾィノレ)ベン ゾ [f]クマリン、 3— (4—エトキシシンナモイル)一 7—メトキシクマリン、 3— (4—ジメチ
[ (3 ジメチルベンゾチアゾール 2 イリデン)ァセチル]クマリン、 3— [ ( 1 メチル ナフト [1 , 2— d]チアゾールー 2—イリデン)ァセチノレ]クマリン、 3, 3,一カルボ二ルビ ス(6—メトキシクマリン)、 3, 3 '—カルボニルビス(7—ァセトキシクマリン)、 3, 3'— カルボニルビス(7 ジメチルァミノクマリン)、 3—(2 べンゾチアゾィル) 7 (ジェ チルァミノ)クマリン、 3—(2 べンゾチアゾィル) 7 (ジブチルァミノ)クマリン、 3— (2 べンゾイミダゾィル) 7 (ジェチルァミノ)クマリン、 3—(2 べンゾチアゾィル )一 7—(ジォクチルァミノ)クマリン、 3—ァセチルー 7—(ジメチルァミノ)クマリン、 3, 3—カルボニルビス(7—ジブチルァミノクマリン)、 3, 3,—カルボ二ルー 7—ジェチル ァミノクマリン 7 ' ビス(ブトキシェチル)アミノクマリン、 10— [3— [4 (ジメチノレア ミノ)フエ二ノレ] 1一才キソー 2 プロぺニノレ] 2, 3, 6, 7- 1 , 1 , 7, 7 テトラメチ ノレ 1H, 5H, 11H— [1]ベンゾピラノ [6, 7, 8— ij]キノリジン一 11—オン、 10— (2— ベンゾチアゾィノレ) 2, 3, 6、 7 テトラヒドロー 1 , 1 , 7, 7 テトラメチノレ 1H, 5H, 1 1H— [1]ベンゾピラノ [6, 7, 8— ij]キノリジン一 11—オン等の特開平 9— 3109号公 報、特開平 10— 245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
[0123] 上述のクマリン化合物の中でも、特に、 3, 3 ' カルボニルビス(7 ジェチルァミノ クマリン)及び 3, 3 '—カルボニルビス(7—ジブチルァミノクマリン)が好適である。
[0124] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるアントラキノン類の例としては、アント ラキノン、 1 クロ口アントラキノン、 2—クロ口アントラキノン、 1 ブロモアントラキノン、
[0125] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるベンゾインアルキルエーテル類の例 としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインェチルエーテル、ベンゾインイソプロ ピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
[0126] 本発明に用いられる光重合開始剤に含まれる α—アミノケトン類の例としては、 2— メチルー 1 [4 (メチルチオ)フエニル ]ー2 モルフォリノプロパン 1 オン等が 挙げられる。
[0127] これらの光重合開始剤の中でも、 (ビス)ァシルフォスフィンオキサイド類及びその塩 、 aージケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも 1種を用い ることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲン ランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光 硬化性を示す化合物 (I)を含む接着性組成物が得られる。
[0128] 本発明に用いられる重合開始剤 (III)のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化 物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に 限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、 ケトンパーオキサイド、ハイド口パーオキサイド、ジァシルバーオキサイド、ジアルキル パーオキサイド、パーォキシケターノレ、パーォキシエステノレ、パーォキシジカーボネ ート等が挙げられる。
[0129] 上記ケトンパーオキサイドとしては、メチルェチルケトンパーオキサイド、メチルイソ ブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロへキサノンパーオキサイド及びシクロへキ サノンパーオキサイド等が挙げられる。
[0130] 上記ハイド口パーオキサイドとしては、 2, 5 ジメチルへキサン 2, 5 ジハイド口 パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイド口パーオキサイド、クメンハイド口パー
オキサイド及び t プチルノ、イド口パーオキサイド等が挙げられる。
[0131] 上記ジァシルバーオキサイドとしては、ァセチルパーオキサイド、イソブチリルパー オキサイド、ベンゾィルパーオキサイド、デカノィルパーオキサイド、 3, 5, 5—トリメチ ルへキサノィルパーオキサイド、 2, 4 ジクロ口ベンゾィルパーオキサイド及びラウ口 ィルパーオキサイド等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、ジ— t ブ チルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、 t ブチルタミルパーオキサイド、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ジ(t ブチルパーォキシ)へキサン、 1 , 3 ビス(tーブチルバ 一ォキシイソプロピル)ベンゼン及び 2, 5 ジメチルー 2, 5 ジ(t ブチルパーォキ シ) 3—へキシン等が挙げられる。
[0132] 上記パーォキシケタールとしては、 1 , 1 ビス(t ブチルパーォキシ)ー 3, 3, 5— トリメチルシクロへキサン、 1 , 1 ビス(t ブチルパーォキシ)シクロへキサン、 2, 2— ビス(t ブチルパーォキシ)ブタン、 2, 2—ビス(t ブチルパーォキシ)オクタン及び 4, 4 ビス(t ブチルパーォキシ)バレリックアシッド n ブチルエステル等が挙げ られる。
[0133] 上記パーォキシエステルとしては、 α タミルパーォキシネオデカノエー K tーブ チノレバーォキシネオデカノエート、 tーブチノレパーォキシビバレート、 2, 2, 4 トリメ チノレペンチノレパー才キシ 2—ェチノレへキサノエート、 t アミノレパー才キシ 2—ェ チノレへキサノエート、 tーブチノレパー才キシ 2—ェチノレへキサノエート、ジー tーブ チルパーォキシイソフタレート、ジー t ブチルパーォキシへキサヒドロテレフタラート 、 t ブチルパーォキシ 3, 3, 5—トリメチルへキサノエ一ト、 t ブチルパーォキシ アセテート、 t ブチルパーォキシベンゾエート及び t ブチルパーォキシマレリック アシッド等が挙げられる。
[0134] 上記パーォキシジカーボネートとしては、ジー 3 メトキシバーオキシジカーボネー ト、ジー 2 ェチノレへキシノレパーォキシジカーボネート、ビス(4 tーブチノレシクロへ キシノレ)パーォキシジカーボネート、ジイソプロピノレバーオキシジカーボネート、ジー n プロピノレバーオキシジカーボネート、ジー 2—ェトキシェチノレパーォキシジカーボ ネート及びジァリルパーォキシジカーボネート等が挙げられる。
[0135] これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総
合的なバランスから、ジァシルバーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもべンゾ ィルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
[0136] 前記重合開始剤(III)の配合量は特に限定されな!/、。得られる組成物の硬化性等 の観点からは、前記化合物(I)と前記重合性単量体 (Π)の合計 100重量部に対して 、前記重合開始剤(ΠΙ)が 0. 01〜; 15重量部配合されることが好ましぐ 0. 03〜; 10重 量部配合されることがより好ましレ、。
[0137] 好まし!/、実施態様では、上述の重合開始剤(III)は重合促進剤(IV)と共に用いられ る。本発明に用いられる重合促進剤(IV)としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩 、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリァジン化合物、銅化合物、スズ化合物 、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物などが挙げら れる。
[0138] 本発明に用いられる重合促進剤 (IV)に含まれるアミン類は、脂肪族ァミン及び芳 香族ァミンに分けられる。脂肪族ァミンとしては、例えば、 n ブチルァミン、 n へキ シルァミン、 n ォクチルァミン等の第 1級脂肪族ァミン;ジイソプロピルァミン、ジブチ ルァミン、 N メチルジェタノールァミン等の第 2級脂肪族ァミン; N メチルジェタノ ールァミン、 N ェチルジェタノールァミン、 N— n ブチルジェタノールァミン、 N— ラウリルジエタノールァミン、 2—(ジメチルァミノ)ェチルメタタリレート、 N メチルジェ タノールアミンジメタタリレート、 N ェチルジェタノールアミンジメタタリレート、トリエタ ノールァミンモノメタタリレート、トリエタノールアミンジメタタリレート、トリエタノールアミ ントリメタクリレート、トリユタノーノレ ミン、トリメチノレ ミン、トリュチノレ ミン、トリフ"チノレ ァミン等の第 3級脂肪族ァミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及 び保存安定性の観点から、第 3級脂肪族ァミンが好ましぐその中でも N メチルジ エタノールァミン及びトリエタノールァミンがより好ましく用いられる。
[0139] また、芳香族ァミンとしては、例えば、 N, N—ビス(2 ヒドロキシェチル) - 3, 5— ジメチルァニリン、 N, N ジ(2—ヒドロキシェチル) p—トルィジン、 N, N—ビス(2 ーヒドロキシェチル) 3, 4 ジメチルァニリン、 N, N—ビス(2 ヒドロキシェチル) —4 ェチルァニリン、 N, N ビス(2 ヒドロキシェチル) 4 イソプロピルァニリン 、 N, N ビス(2 ヒドロキシェチル) 4— t ブチルァニリン、 N, N ビス(2 ヒド
口キシェチル) 3, 5 ジーイソプロピルァニリン、 N, N ビス(2 ヒドロキシェチル )—3, 5—ジ一 t ブチルァニリン、 N, N ジメチルァニリン、 N, N ジメチルー p— トルイジン、 N, N ジメチルー m—トルィジン、 N, N ジェチルー p—トルィジン、 N , N ジメチル— 3, 5—ジメチルァニリン、 N, N ジメチル— 3, 4—ジメチルァニリン 、 N, N ジメチルー 4ーェチルァニリン、 N, N ジメチルー 4 イソプロピルァニリン 、 N, N ジメチルー 4— tーブチルァニリン、 N, N ジメチルー 3, 5—ジ—tーブチ ルァニリン、 4— N, N ジメチルァミノ安息香酸ェチルエステル、 4— N, N ジメチ ルァミノ安息香酸メチルエステル、 N, N ジメチルァミノ安息香酸 n ブトキシェチ ルエステル、 4-N, N ジメチルァミノ安息香酸 2 (メタクリロイルォキシ)ェチルェ ステル、 4— N, N ジメチルァミノべンゾフエノン、 4ージメチルァミノ安息香酸ブチル 等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、 N , N ジ(2 ヒドロキシェチル)—p トルイジン、 4— N, N ジメチルァミノ安息香酸 ェチルエステル、 N, N ジメチルァミノ安息香酸 n—ブトキシェチルエステル及び 4 —N, N ジメチルァミノべンゾフエノンからなる群から選択される少なくとも 1種が好 ましく用いられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるスルフィン酸及びその塩としては、 例えば、 p トルエンスルフィン酸、 p トルエンスルフィン酸ナトリウム、 p トルエンス ノレフィン酸カリウム、 p トルエンスルフィン酸リチウム、 p トルエンスルフィン酸カル シゥム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸 カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、 2, 4, 6— トリメチルベンゼンスルフィン酸、 2, 4, 6 トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、 2, 4, 6 トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、 2, 4, 6 トリメチルベンゼンスル フィン酸リチウム、 2, 4, 6 トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、 2, 4, 6 トリ ェチルベンゼンスルフィン酸、 2, 4, 6 トリェチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、 2 , 4, 6 トリェチルベンゼンスルフィン酸カリウム、 2, 4, 6 トリェチルベンゼンスルフ イン酸リチウム、 2, 4, 6 トリェチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、 2, 4, 6 イソ プロピルベンゼンスルフィン酸、 2, 4, 6 イソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウ ム、 2, 4, 6 イソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、 2, 4, 6 イソプロピルベン
ゼンスルフィン酸リチウム、 2, 4, 6—イソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等 が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、 p—トルエンスルフィン酸ナトリウム、 2, 4, 6—イソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
[0141] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるボレート化合物は、好ましくはァリ 一ルポレート化合物である。好適に使用されるァリールポレート化合物を具体的に例 示すると、 1分子中に 1個のァリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフ ェニルホウ素、トリアルキル(p—クロ口フエ二ノレ)ホウ素、トリアルキノレ(p—フロロフエ二 ル)ホウ素、トリアノレキノレ(3, 5—ビストリフロロメチル)フエニルホウ素、トリアノレキノレ [3 , 5—ビス(1 , 1 , 1 , 3, 3, 3—へキサフロロ一 2—メトキシ一 2—プロピノレ)フエ二ノレ] ホウ素、トリアルキル(p—二トロフエ二ノレ)ホウ素、トリアルキル(m—二トロフエ二ノレ)ホ ゥ素、トリアルキル(p—ブチルフエ二ノレ)ホウ素、トリアルキル(m—ブチルフエ二ノレ)ホ ゥ素、トリアルキル(p—ブチルォキシフエニル)ホウ素、トリアルキル(m—ブチルォキ シフエ二ノレ)ホウ素、トリアルキル(p—ォクチルォキシフエ二ノレ)ホウ素及びトリアルキ ノレ(m—ォクチルォキシフエニル)ホウ素(アルキル基は n—ブチル基、 n—ォクチル 基及び n—ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも 1種である)のナトリウム 塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラプチルアンモニゥム塩、テトラメチ ノレアンモニゥム塩、テトラエチルアンモニゥム塩、メチルピリジニゥム塩、ェチルピリジ ユウム塩、ブチルピリジニゥム塩、メチルキノリニゥム塩、ェチルキノリニゥム塩及びブ チルキノリニゥム塩等を挙げることができる。
[0142] また、 1分子中に 2個のァリール基を有するボレート化合物としては、ジアルキルジ フエニルホウ素、ジアルキルジ(p—クロ口フエ二ノレ)ホウ素、ジアルキルジ(p—フロロ フエニル)ホウ素、ジアルキルジ(3, 5—ビストリフロロメチル)フエニルホウ素、ジアル キルジ [3, 5—ビス(1 , 1 , 1 , 3, 3, 3—へキサフロロ一 2—メトキシ一 2—プロピル)フ ェニノレ]ホウ素、ジアルキルジ(p—二トロフエ二ノレ)ホウ素、ジアルキルジ(m—二トロフ ェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p—ブチルフエニル)ホウ素、ジアルキルジ(m—ブチ ノレフエ二ノレ)ホウ素、ジアルキルジ(p—ブチルォキシフエ二ノレ)ホウ素、ジアルキルジ (m—ブチルォキシフエ二ノレ)ホウ素、ジアルキルジ(p—ォクチルォキシフエ二ノレ)ホ ゥ素及びジアルキルジ(m—ォクチルォキシフエニル)ホウ素(アルキル基は n—ブチ
ル基、 n—ォクチル基及び n—ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも 1種 である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラプチルアンモ ユウム塩、テトラメチルアンモニゥム塩、テトラエチルアンモニゥム塩、メチルピリジニゥ ム塩、ェチルピリジニゥム塩、ブチルピリジニゥム塩、メチルキノリニゥム塩、ェチルキ ノリ二ゥム塩及びブチルキノリニゥム塩等が挙げられる。
[0143] さらに、 1分子中に 3個のァリール基を有するボレート化合物としては、モノアルキル トリフエニルホウ素、モノアルキルトリ(p—クロ口フエ二ノレ)ホウ素、モノアノレキノレトリ(p —フロロフエニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3, 5—ビストリフロロメチノレ)フエニルホウ 素、モノアノレキノレトリ [3, 5—ビス(1 , 1 , 1 , 3, 3, 3—へキサフロロ一 2—メトキシ一 2 —プロピノレ)フエニル]ホウ素、モノアノレキノレトリ(p—ニトロフエニル)ホウ素、モノアル キノレトリ(m—ニトロフエ二ノレ)ホウ素、モノアノレキノレトリ(p—ブチルフエ二ノレ)ホウ素、 モノアルキルトリ(m—ブチルフエ二ノレ)ホウ素、モノアルキルトリ(p—ブチルォキシフ ェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m—ブチルォキシフエニル)ホウ素、モノアルキルト リ(p—ォクチルォキシフエニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m—ォクチルォキシフエ ニル)ホウ素(アルキル基は n—ブチル基、 n—ォクチル基又は n—ドデシル基等から 選択される 1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラ ブチルアンモニゥム塩、テトラメチルアンモニゥム塩、テトラエチルアンモニゥム塩、メ チルピリジニゥム塩、ェチルピリジニゥム塩、ブチルピリジニゥム塩、メチルキノリニゥム 塩、ェチルキノリニゥム塩、ブチルキノリニゥム塩等が挙げられる。
[0144] さらに 1分子中に 4個のァリール基を有するボレート化合物としては、テトラフェニル ホウ素、テトラキス(p—クロ口フエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(p—フロロフエ二ノレ)ホウ素、 テトラキス(3, 5—ビストリフロロメチル)フエニルホウ素、テトラキス [3, 5—ビス(1 , 1 , 1 , 3, 3, 3—へキサフロロー2—メトキシー 2—プロピル)フエニル]ホウ素、テトラキス( p—二トロフエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(m—二トロフエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(p—ブ チルフエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(m—ブチルフエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(p—ブチル ォキシフエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(m—ブチルォキシフエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(p ーォクチルォキシフエ二ノレ)ホウ素、テトラキス(m—ォクチルォキシフエ二ノレ)ホウ素、 (p—フロロフエニル)トリフエニルホウ素、(3, 5—ビストリフロロメチノレ)フエニルトリフエ
ニルホウ素、 (p 二トロフエ二ノレ)トリフエニルホウ素、 (m ブチルォキシフエ二ノレ)トリ フエニルホウ素、 (p ブチルォキシフエ二ノレ)トリフエニルホウ素、 (m ォクチルォキ シフエ二ノレ)トリフエニルホウ素及び(p ォクチルォキシフエ二ノレ)トリフエニルホウ素 のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラプチルアンモニゥム塩 、テトラメチルアンモニゥム塩、テトラエチルアンモニゥム塩、メチルピリジニゥム塩、ェ チルピリジニゥム塩、ブチルピリジニゥム塩、メチルキノリニゥム塩、ェチルキノリニゥム 塩及びブチルキノリュウム塩等が挙げられる。
[0145] これらァリールポレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、 1分子中に 3個又 は 4個のァリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これら ァリールポレート化合物は 1種又は 2種以上を混合して用いることも可能である。
[0146] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるバビツール酸誘導体としては、 , ノレビツール酸、 1 , 3—ジメチルバルビツール酸、 1 , 3—ジフエ二ルバルビツール酸、 1 , 5—ジメチルバルビツール酸、 5—ブチルバルビツール酸、 5—ェチルバルビツー ノレ酸、 5—イソプロピルバルビツール酸、 5—シクロへキシルバルビツール酸、 1 , 3, 5 ートリメチルバルビツール酸、 1 , 3—ジメチルー 5—ェチルバルビツール酸、 1 , 3— ジメチルー n ブチルバルビツール酸、 1 , 3—ジメチルー 5—イソブチルバルビツー ノレ酸、 1 , 3—ジメチルバルビツール酸、 1 , 3—ジメチルー 5—シクロペンチルバルビ ツール酸、 1 , 3—ジメチルー 5—シクロへキシルバルビツール酸、 1 , 3—ジメチルー 5—フエ二ルバルビツール酸、 1—シクロへキシル—1—ェチルバルビツール酸、 1— ベンジルー 5—フエ二ルバルビツール酸、 5—メチルバルビツール酸、 5—プロピルバ ノレビツール酸、 1 , 5—ジェチルバルビツール酸、 1ーェチルー 5—メチルバルビツー ノレ酸、 1ーェチルー 5—イソブチルバルビツール酸、 1 , 3—ジェチルー 5—ブチルバ ノレビツール酸、 1ーシクロへキシルー 5—メチルバルビツール酸、 1ーシクロへキシル 5—ェチルバルビツール酸、 1ーシクロへキシルー 5—オタチルバルビツール酸、 1 シクロへキシル 5—へキシルバルビツール酸、 5—ブチル 1 シクロへキシノレ ノ ノレビツール酸、 1一べンジルー 5—フエ二ルバルビツール酸及びチォバルビツー ル酸類、ならびにこれらの塩 (特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい) が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、 5—ブチルバルビツル
酸ナトリウム、 1, 3, 5—トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び 1ーシクロへキシルー 5—ェチルバルビツール酸ナトリウム等が例示される。
[0147] 特に好適なバルビツール酸誘導体としては、 5—ブチルバルビツール酸、 1, 3, 5 ートリメチルバルビツール酸、 1ーシクロへキシルー 5—ェチルバルビツール酸、 1 ベンジルー 5—フエ二ルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム 塩が挙げられる。
[0148] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるトリァジン化合物としては、例えば 、 2, 4, 6 トリス(トリクロロメチノレ) s トリアジン、 2, 4, 6 トリス(トリフ、、口モメチノレ) —s トリァジン、 2 メチルー 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリァジン、 2 メチ ノレ 4, 6 ビス(トリブ口モメチル)一 s トリアジン、 2 フエニル一 4, 6 ビス(トリク 口ロメチル) s トリアジン、 2— (p メトキシフエ二ル)一 4, 6 ビス(トリクロロメチル )— s トリアジン、 2— (p メチルチオフエ二ル)一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s— トリアジン、 2— (p クロ口フエ二ル)一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリァジン、 2 - (2, 4 ジクロロフエ二ル)一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリアジン、 2— (p —ブロモフエ二ル)一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリアジン、 2— (p トリル)一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリアジン、 2— n プロピル一 4, 6 ビス(トリクロ ロメチノレ) s トリアジン、 2—(a, a, /3—トリクロロェチノレ) 4, 6 ビス(トリクロ口 メチル)一 s トリァジン、 2 スチリル一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリァジン、 2— [2— (p メトキシフエニル)ェテュル]—4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリア ジン、 2— [2—(o メトキシフエニル)ェテュル] 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s— トリアジン、 2— [2— (p—ブトキシフエニル)ェテュル ]—4, 6 ビス(トリクロロメチル) —s トリァジン、 2— [2— (3, 4 ジメトキシフエニル)ェテュル]— 4, 6 ビス(トリク 口ロメチル) s トリァジン、 2— [2— (3, 4, 5 トリメトキシフエニル)ェテュル]— 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリァジン、 2— (1—ナフチル) 4, 6 ビス(トリクロ ロメチル) s トリァジン、 2— (4 ビフエ二リル)一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリアジン、 2-[2-{N, N—ビス(2 ヒドロキシェチノレ)アミノ}エトキシ ]—4, 6- ビス(トリクロロメチル) s—トリァジン、 2— [2— {N ヒドロキシェチルー N ェチル アミノ}エトキシ]—4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリァジン、 2— [2— {N ヒドロ
キシェチル一 N メチルアミノ}エトキシ]—4, 6—ビス(トリクロロメチル) s トリアジ ン、 2— [2— {N, N ジァリルアミノ}エトキシ]—4, 6 ビス(トリクロロメチル) s ト リアジン等が例示される。
[0149] 上記で例示したトリァジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で 2, 4 , 6 トリス(トリクロロメチル) s トリァジンであり、また保存安定性の点で、 2 フエ 二ノレ一 4, 6 ビス(トリクロロメチル) s トリアジン、 2— (p クロ口フエ二ル)一 4, 6 —ビス(トリクロロメチル) s トリァジン、及び 2— (4 ビフエ二リル) 4, 6 ビス(ト リク口ロメチル) s—トリァジンである。上記トリァジン化合物は 1種又は 2種以上を混 合して用いても構わない。
[0150] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれる銅化合物としては、例えば、ァセ チルアセトン銅、酢酸第 2銅、ォレイン酸銅、塩化第 2銅、臭化第 2銅等が好適に用 いられる。
[0151] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるスズ化合物としては、例えば、ジー n ブチル錫ジマレート、ジー n ォクチル錫ジマレート、ジー n ォクチル錫ジラウレ ート、ジー n プチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ n ォクチル錫ジラウレート及びジー n ブチル錫ジラウレートである。
[0152] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるバナジウム化合物は、好ましくは I V価及び/又は V価のバナジウム化合物類である。 IV価及び/又は V価のバナジゥ ム化合物類としては、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムァセチルァ セトナート(IV)、シユウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、ォキソビス(1 フエ二 ノレ 1 , 3—ブタンジォネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)ォキソバナジウム(
IV)、五酸化バナジウム (V)、メタバナジン酸ナトリウム (V)、メタバナジン酸アンモン(
V)等の特開 2003— 96122号公報に記載されている化合物が挙げられる。
[0153] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるハロゲン化合物としては、例えば、 ジラウリルジメチルアンモニゥムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニゥムクロ ライド、ベンジルトリメチルアンモニゥムクロライド、テトラメチルアンモニゥムクロライド、 マイド等が好適に用いられる。
[0154] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるアルデヒド類としては、例えば、テ レフタルアルデヒドやべンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘 導体としては、ジメチルァミノべンズアルデヒド、 p メチルォキシベンズアルデヒド、 p ェチルォキシベンズアルデヒド、 p— n ォクチルォキシベンズアルデヒドなどが挙 げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、 p— n ォクチルォキシベンズアルデ ヒドが好ましく用いられる。
[0155] 本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるチオール化合物としては、例えば 、 3 メルカプトプロビルトリメトキシシラン、 2 メルカプトべンゾォキサゾール、デカン チオール、チォ安息香酸等が挙げられる。
[0156] 前記重合促進剤 (IV)の配合量は特に限定されない。得られる組成物の硬化性等 の観点からは、前記化合物(I)と前記重合性単量体 (Π)の合計 100重量部に対して 、前記重合促進剤(IV)が 0. 01〜; 15重量部配合されることが好ましい。
[0157] 本発明の化合物(I)を含む組成物は、実施態様によっては、さらにフィラー (V)を配 合することが好ましい。このようなフイラ一は、通常、有機フィラー、無機フィラー及び 有機-無機複合フィラーに大別される。有機フイラ一としては、例えばポリメタクリル酸 メチル、ポリメタクリル酸ェチル、メタクリル酸メチルーメタクリル酸ェチル共重合体、架 橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸ェチル、ポリアミド、ポリ塩化ビニ ノレ、ポリスチレン、クロロプレンゴム、二トリノレゴム、エチレン 酢酸ビュル共重合体、 スチレン ブタジエン共重合体、アクリロニトリル スチレン共重合体、アクリロニトリル スチレン ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上の混合 物として用いること力 Sできる。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子 径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械 強度などの観点から、前記有機フィラーの平均粒子径は 0. 00;!〜 50 mであること が好ましぐ 0. 001〜; 10 mであること力 Sより好ましい。
[0158] 無機フイラ一としては、石英、シリカ、アルミナ、シリカ一チタニア、シリカ一チタニア 一酸化バリウム、シリカ ジルコユア、シリカ アルミナ、ランタンガラス、ホウケィ酸ガ ラス、ソーダガラス、ノ リウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシ リケートガラス、ノ リウムポロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムポロアルミノシリケ
ートガラス、フルォロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルォロアルミノシリケートガ ラス、ストロンチウムフルォロアルミノシリケートガラス、ノ リウムフルォロアルミノシリケ ートガラス、ストロンチウムカルシウムフルォロアルミノシリケートガラス等が挙げられる 。これらもまた、単独又は 2種以上を混合して用いることができる。無機フィラーの形 状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得ら れる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記無機フィラーの平均 粒子径は 0. 00;!〜 50〃 mであること力 S好ましく、 0. 001〜; 10〃 mであること力 Sより好 ましい。
[0159] 無機フィラーの形状としては、不定形フイラ一及び球状フィラーが挙げられる。組成 物の機械強度を向上させる観点からは、前記無機フイラ一として球状フィラーを用い ること力 S好ましい。さらに、前記球状フィラーを用いた場合、本発明の化合物 (I)を含 む組成物を歯科用コンポジットレジンとして用いた場合に、表面滑沢性に優れたコン ポジットレジンが得られるという利点もある。ここで球状フィラーとは、走査型電子顕微 鏡(以下、 SEMと略す)でフイラ一の写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子 が丸みをおびており、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で割った 平均均斉度が 0. 6以上であるフィラーである。前記球状フィラーの平均粒子径は好 ましくは 0. 1〜5 111である。平均粒子径が 0. 1 m未満の場合、組成物中の球状 フィラーの充填率が低下し、機械的強度が低くなるおそれがある。一方、平均粒子径 力 ^ πιを超える場合、前記球状フィラーの表面積が低下し、高い機械的強度を有 する硬化体が得られなレ、おそれがある。
[0160] 前記無機フイラ一は、組成物の流動性を調整するため、必要に応じてシランカップ リング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面 処理剤としては、例えば、ビュルトリメトキシシラン、ビュルトリエトキシシラン、ビュルト リクロロシラン、ビュルトリ(/3—メトキシエトキシ)シラン、 Ίーメタクリロイルォキシプロ
ミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
[0161] 本発明で用いられる有機 無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーに重合性単
量体を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるもの である。前記有機 無機複合フィラーとしては、例えば、 TMPTフィラー(トリメチロー ルプロパンメタタリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などを 用いること力 Sできる。前記有機 無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フイラ 一の粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性 及び機械強度などの観点から、前記有機 無機複合フィラーの平均粒子径は 0. 00 ;!〜 50 であること力 S好ましく、 0. 001〜; 10 であること力 Sより好ましい。
[0162] 前記フィラー (V)の配合量は特に限定されな!/、。好ましレ、実施態様では、前記化合 物(I)と前記重合性単量体 (Π)の合計 100重量部に対して、前記フィラー (V)が 0. 1 〜2000重量部配合される。フィラー (V)の好適な配合量は、用いられる実施態様に よって大幅に異なるので、後述する本発明の化合物(I)の具体的な実施態様の説明 と併せて、各実施態様に応じたフィラー (V)の好適な配合量を示すこととする。
[0163] 本発明の化合物(I)を含む組成物は、その具体的な実施態様によっては、溶媒 (VI )を含むことが好ましい。溶媒 (VI)としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール 、ブタノーノレ、アセトン、メチルェチルケトン、へキサン、トルエン、クロ口ホルム、酢酸 ェチル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、生体に対する安全性と、揮発 性に基づく除去の容易さの双方を勘案した場合、水、エタノール及びアセトンからな る群から選択される少なくとも 1種が好ましく用いられる。中でも、本発明の化合物(I) を含む組成物は、水 (VII)をさらに含むことが好ましい。水 (VII)を含むことにより、本 発明の化合物 (I)を含む組成物を歯科用組成物として用いた場合には、歯質の脱灰 作用を促進させることができるなどの利点がある。水 (VII)としては、悪影響を及ぼす ような不純物を含有して!/、な!/、こと力 S好ましく、蒸留水又はイオン交換水が好まし!/、。 上記水 (VII)は単独で用いてもよ!/、し、水 (VII)と水 (VII)以外の溶媒 (VI)との混合溶 媒として用いてもよい。前記溶媒 (VI)の配合量は特に限定されず、実施態様によつ ては前記溶媒 (VI)の配合を必要としな!/、ものもある。前記溶媒 (VI)を用いる実施態 様においては、前記化合物(I)と前記重合性単量体 (Π)の合計 100重量部に対して 、前記溶媒 (VI)が;!〜 5000重量部配合される。前記溶媒 (VI)の好適な配合量は、 用いられる実施態様によって大幅に異なるので、後述する本発明の化合物(I)の具
体的な実施態様の説明と併せて、各実施態様に応じた前記溶媒 (VI)の好適な配合 量を示すこととする。
[0164] この他、本発明の化合物(I)を含む組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲 で重合禁止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、着色剤、抗菌剤、香料等を配合してもよい。
[0165] 本発明の化合物(I)を含む組成物は、歯科用組成物として好適に用いられる。本発 明の化合物(I)を含む歯科用組成物は、プライマー、ボンディング材、コンポジットレ ジン、セメント(レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、レジン強化型グラスアイォ ノマーセメント)、小窩裂溝填塞材、義歯床用レジン等として用いることができ、中でも 、本発明の化合物(I)を含む歯科用組成物は、プライマー、ボンディング材、コンポジ ットレジン、又はセメントとして好適に用いられる。以下、それぞれの実施態様につい て詳細に説明する。
[0166] 上述の通り、歯の欠損部に修復物を充填又は被覆する際には、通常、歯科用接着 剤が用いられる。典型的には、前記歯科用接着剤は象牙質に対して作用させられる 。ここで、象牙質に対してこのような歯科用接着剤を作用させた場合には、象牙質表 面を酸性成分で溶かす脱灰作用、モノマー成分が象牙質のコラーゲン層に浸透す る浸透作用、及び浸透したモノマー成分が固まってコラーゲンとのハイブリッド層(以 下、「樹脂含浸層」と呼ぶこと力 Sある)を形成する硬化作用を有することが重要である。 これらの「脱灰」、「浸透」及び「硬化」の三工程を別々に行う接着システムは、通常、「 3ステップ接着システム」と呼ばれている。基本的には、浸透工程に用いられる製品 がプライマーであり、硬化工程に用いられる製品がボンディング材である。
[0167] 近年では作業工程の簡素化のため、前記脱灰工程と前記浸透工程とを併せて一 段階で行う製品が開発され、実用化されており、前記製品は「セルフエッチングプライ マー」と呼ばれて!/、る。セルフエッチングプライマーとボンディング材とを用いた接着 システムは、通常、「2ステップ接着システム」と呼ばれている。本発明の化合物(I)は 、リン酸基を有するため高い酸性を示し、優れた脱灰能力を有する。また、リン酸基及 びカルボキシル基を分子内に有するため、象牙質のコラーゲン層に対して高い浸透 性を示す。このため、本発明の化合物(I)を含む組成物は、歯科用プライマーとして 用いることが好ましぐ歯科用セルフエッチングプライマーとして用いることが好ましい
。実際に、後述する実施例における実施例 1と、比較例 1及び 2との対比から明らかな ように、本発明の化合物(I)を用いることにより、接着力が格段に向上しており、セル フェツチンダプライマ一として優れた性能を示すことが明らかである。
[0168] 本発明の化合物(I)を含むプライマーは、化合物(1)、重合性単量体 (11)、重合開 始剤 (ΙΠ)、重合促進剤 (IV)及び溶媒 (VI)を含む組成物であることが好ましい。各成 分の配合量は、前記 (I)及び前記 (II)の合計を 100重量部とした場合に、(1) 5〜50 重量部及び(II) 50〜95重量部であることが好ましぐ (I) 10〜45重量部及び(II) 55 〜90重量部であることがより好ましぐ(I) 15〜45重量部及び(II) 55〜85重量部で あることがさらに好ましい。また、前記 (I)及び前記 (II)の合計 100重量部に対して、 ( 111) 0. ;!〜 5重量部、(IV);!〜 30重量部及び (VI) 20〜300重量部含むことが好まし く、(III) 0. 2〜4重量部、(1¥) 2〜25重量部及び0 1) 30〜250重量部含むことがょ り好ましく、(111) 0. 3〜3重量部、(1¥) 3〜20重量部及び0 1) 40〜200重量部含む ことがさらに好ましい。
[0169] 組成物の親水性を高め、象牙質のコラーゲン層への浸透性を向上させる観点から は、用いられる重合性単量体 (Π)としては、分子内に水酸基を有するものがより好ま しい。用いられる前記 (Π)としては、水酸基を含有する重合性単量体 (Π— a)と重合性 基を 2個以上含む重合性単量体 (II— b)との混合物であることがより好ましぐ重合性 基を 2個以上含む重合性単量体 (II b)としては、脂肪族化合物系の二官能性単量 体がより好ましい。各成分の配合量は(1)、(Π— a)及び (Π b)の合計を 100重量部 とした場合に、(1) 5〜50重量部、(Π— a) 35〜90重量部及び(II b) 5〜60重量部 であること力 S好ましく、(1) 10〜45重量部、(II a) 40〜83重量部及び(Π b) 7〜5 0重量部であることがより好ましぐ(1) 15〜45重量部、(Π— a) 45〜75重量部及び(I I— b) 10〜40重量部であることがさらに好ましい。同様に、重合促進剤(IV)としては ァミン類が好ましぐ溶媒 (VI)が水 (VII)を含むことが好ましい。溶媒 (VI)中の水 (VII )の含有量は、 50重量%以上であることがより好ましぐ 70重量%以上であることがさ らに好ましぐ 90重量%以上であることが特に好ましぐ前記溶媒 (VI)が実質的に水 (VII)のみからなることが最も好まし!/、。
[0170] 本発明の化合物(I)は、分子内にリン酸基及びカルボキシル基を有するため、歯質
を構成するハイドロキシアパタイト中のカルシウムと強く相互作用する。このため、本 発明の化合物(I)を含む組成物はボンディング材として好ましく用いられる。上述の「 2ステップ接着システム」におけるボンディング材としては、前述の(1)、 (Π)、 (ΠΙ)、 (I V)及び (V)を含む組成物であることが好ましい。各成分の配合量は、前記 (I)及び前 記(II)の合計を 100重量部とした場合に、(I);!〜 30重量部及び (Π) 70〜99重量部 であること力 S好ましく、(1) 2〜20重量部及び(11) 80〜98重量部でぁることがょり好ま しぐ(1) 3〜; 15重量部及び(Π) 85〜97重量部であることがさらに好ましい。硬化物 の機械強度を高める観点からは、用いられる前記 (Π)としては、重合性基を 2個以上 含む重合性単量体がより好ましい。また、前記 (I)及び前記 (Π)の合計 100重量部に 対して、(ΙΠ) 0.;!〜 10重量部、(IV) 0.;!〜 20重量部及び (V);!〜 30重量部含むこ とが好ましく、 (111) 0. 2〜8重量部、 (IV) 0. 5〜; 15重量部及び (V) 3〜20重量部含 むこと力 Sより好ましく、(111) 0. 3〜6重量部、(IV);!〜 10重量部及び (V) 4〜; 15重量 部含むことがさらに好ましい。
また、近年ではさらなる作業の簡素化が求められていることから、「脱灰」、「浸透」及 び「硬化」の三工程を併せて一段階で実施する製品も開発されており、「1ステップ接 着システム」と呼ばれている。力、かる 1ステップ接着システムに用いられるボンディング 材としては、 A液及び B液に分けられた 2液を使用直前に混和して用いるボンディン グ材と、最初から 1液の形で提供されている、いわゆる 1液型 1ステップ接着システム のボンディング材の二種類が代表的な製品である。この中でも、 1液型の方がよりェ 程が簡素化されるため、使用上のメリットは大きい。本発明の化合物(I)を含む組成 物を前記 1液型 1ステップ接着システムのボンディング材として用いる場合、前記組成 物は(1)、 (11)、 (111)、 (IV)、(V)及び (VI)を含む組成物であることが好ましい。各成 分の配合量は、前記 (I)及び前記 (II)の合計を 100重量部とした場合に、(I);!〜 30 重量部及び(II) 70〜99重量部であることが好ましぐ (I) 5〜25重量部及び(Π) 75 〜95重量部であることがより好ましぐ(1) 7〜20重量部及び(11) 80〜93重量部でぁ ることがさらに好ましい。なお、 1液型 1ステップ接着システムでは、「浸透」及び「硬化 」を一度に行うことから、用いられる前記 (Π)としては、水酸基を含有する重合性単量 体 (ΙΙ— a)と重合性基を 2個以上含む重合性単量体 (Π— b)との混合物であることがよ
り好ましぐ重合性基を 2個以上含む重合性単量体 (Π— b)としては、芳香族化合物 系の二官能性単量体がより好ましい。各成分の配合量は (1)、(Π— a)及び (Π の 合計を 100重量部とした場合に、(I);!〜 30重量部、(Π— a) 10〜89重量部及び (II b) 10〜89重量部であることが好ましぐ(1) 5〜25重量部、(Π a) 15〜80重量 部及び(II— b) 15〜80重量部であることがより好ましぐ(1) 7〜20重量部、(II a) 2 0〜63重量部及び(Π b) 20〜63重量部であることがさらに好ましい。また、前記(I) 及び前記(Π)の合計 100重量部に対して、(111) 0. 5〜20重量部、(IV) 0.;!〜 20重 量部、(V);!〜 40重量部及び (VI) 5〜70重量部含むことが好ましぐ(III);!〜 17重 量部、(IV) 0. 5〜; 15重量部、(¥) 3〜30重量部及び0 1) 10〜65重量部含むことが より好ましく、(III) 3〜; 15重量部、(IV);!〜 10重量部、(V) 5〜25重量部及び (VI) 2 0〜60重量部含むことがさらに好ましい。
[0172] 本発明の化合物(I)は、分子内にリン酸基及びカルボキシル基を有するため、歯質 を構成するハイドロキシアパタイト中のカルシウムと強く相互作用する。このため、本 発明の化合物(I)を含む組成物はコンポジットレジンとして好ましく用いられる。本発 明の化合物(I)を含む組成物をコンポジットレジンとして用いる場合、前記組成物は( 1)、(Π)、(111)、(IV)及び (V)を含む組成物であることが好ましい。コンポジットレジン は通常、う蝕発生部位を切削し窩洞を形成した後に、前記窩洞に充填される形態で 用いられる。その後、充填されたコンポジットレジンは、通常、光重合によって硬化さ せる。このため、前記 (III)としては、光重合開始剤を用いることが好ましい。また、上 述のように充填 '硬化したコンポジットレジンは口腔内において咬合圧を受けるため、 優れた機械強度を求められる。このため、前記組成物は、前記(I)及び前記(II)の合 計 100重量部に対して、フィラー(V)を 200〜2000重量部含むことが好ましぐ 250 〜; 1500重量部含むことがより好ましぐ 300〜; 1200重量部含むことがさらに好まし い。フィラー (V)の含有量が 200重量部未満の場合、硬化物の機械強度が不充分と なるおそれがある。一方、フィラー (V)の含有量が 2000重量部を超える場合は、前 記 (I)及び前記 (II)中にフイラ一 (V)を均一に分散させることが難しくなり、機械強度 及びノ、ンドリング性の面で不充分な組成物となるおそれがある。
[0173] また、本発明の化合物(I)を、その歯質との強い相互作用を活かし、歯科用セメント
として用いることも好適な実施態様の一つである。前記セメントとしては、レジンセメン ト、グラスアイオノマーセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメントなどが好適な ものとして例示される。本発明の化合物(I)を含む組成物をレジンセメントとして用い る場合、前記組成物は(1)、 (11)、 (III)、 (IV)及び (V)を含む組成物であることが好ま しい。歯科用セメントは、例えば、インレーやクラウンと呼ばれる金属やセラミックス製 の歯冠用修復材料を歯牙に固定する際の合着材として好ましく用いられる。したがつ て、咬合圧などに耐えるために優れた機械強度が求められる。かかる観点から、前記
(II)としては、重合性基を 2個以上含む重合性単量体がより好ましい。また、上述のよ うな使用形態の場合、前記歯冠用修復材料の多くは光不透過性であるため、前記セ メントを光重合により硬化させることは容易ではない。このため、前記 (III)として化学 重合開始剤を用いることが好ましい。そして、化学重合開始剤を用いて化合物 (I)を 重合させる際に、その反応性を高めるためには、前記 (IV)としてアミン類及び/又は スルフィン酸及びその塩を用いることが好ましぐァミン類とスルフィン酸及びその塩と を同時に用いることがより好ましい。また、用いられるフィラー (V)としては特に限定さ れない。前記セメントにフッ素徐放性を付与したい場合は、前記フィラー (V)として、 フルォロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルォロアルミノシリケートガラス、スト口 ンチウムフルォロアルミノシリケートガラス、バリウムフルォロアルミノシリケートガラス及 びストロンチウムカルシウムフルォロアルミノシリケートガラスからなる群から選択され る少なくとも 1種を用いることが好ましぐフルォロアルミノシリケートガラス及び/又は ノ リウムフルォロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。一方、前記セメ ントに X線造影性を付与したい場合は、前記フィラー (V)として、ノ リウムガラス、スト口 ンチウムガラス、ノ リウムポロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムポロアルミノシリケ ノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも 1種を用いることが好ましぐノ リ ゥムガラス及び/又はバリウムフルォロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ま しい。
また、化学重合開始剤を用いる場合は、保存安定性の観点から、前記 (III)と前記( IV)とを、それぞれ別々の容器に保存することが好ましい。すなわち、好ましい実施態
様では、前記レジンセメントは 2剤型の形態で用いられる。また、好適な実際態様で は、フィラー (V)を配合する場合は、本発明の化合物 (I)を含む組成物 (液状)とフィ ラー (V) (粉末)とを混練してペースト化する。このため、より好ましい実施態様では、 前記レジンセメントは 2ペースト型の形態で用いられる。それぞれのペーストをペース ト同士が隔離された状態で保存し、使用直前にその 2つのペーストを混練し、化学重 合を進行させて硬化させることが好ましい。また、本発明の化合物(I)は分子内にリン 酸基を有し、強い酸性を示すため、前記(IV)としてアミン類及び/又はスルフィン酸 及びその塩を用いた場合は、保存安定性の観点から、前記 (I)と前記 (IV)とは別々 の容器に保存することが好まし!/、。上述の 2つのペーストをそれぞれ Aペースト及び B ペーストと称した場合、前記 Aペーストが(1)、 (Π)、 (III)及び (V)を含み、前記 Bぺー ストが (Π)、 (IV)及び (V)を含む実施態様が特に好ましく用いられる。
[0175] 本発明の化合物(I)を含む組成物を歯科用セメントとして用いる場合の各成分の配 合量は特に限定されないが、前記 (I)及び前記 (II)の合計を 100重量部とした場合 に、(1) 0· 〜 30重量き及び(ΙΙ) 70〜99 · 9重量きであることカ好ましく、(1) 0· 3〜 20重量部及び(Π) 80〜99. 7重量部であることがより好ましく、(1) 0. 5〜; 10重量部 及び(11) 90〜99. 5重量部であることがさらに好ましい。また、前記(III)及び前記 (V )の配合量としては、適切な硬化時間が得られることを考慮した場合、前記 (I)及び前 記(II)の合計 100重量部に対して、(111) 0.;!〜 10重量部及び(IV) 0.;!〜 10重量部 を含むことが好ましぐ (111) 0. 3〜8重量部及び(IV) 0. 3〜8重量部を含むことがより 好ましく、(111) 0. 5〜6重量部及び(IV) 0. 5〜6重量部を含むことがさらに好ましい。
[0176] さらに、前記(I)及び前記(II)の合計 100重量部に対して、フィラー(V)を 20〜; 100 0重量部含むことが好ましぐ 40〜600重量部含むことがより好ましぐ 70〜400重量 部含むことがさらに好ましい。フィラー (V)の含有量が 20重量部未満の場合は、硬化 物の機械強度が不充分となるおそれがある。一方、フィラー (V)の含有量が 1000重 量部を超える場合は、前記レジンセメントをその好適な実施態様である 2ペースト型 のセメントとして用いたときに、前記ペーストの流動性が不足し、充分な混和を行うこと が困難となるため、硬化物の強度が低下するおそれがある。
[0177] また、本発明の化合物(I)を含む組成物は、グラスアイオノマーセメントとして用いる
こと力 S好ましく、より好ましくはレジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いられ る。グラスアイオノマーセメントは、典型的にはフルォロアルミノシリケートガラスのよう な無機フィラーと、ポリアクリル酸のようなポリアルケン酸とが酸一塩基反応によって反 応、硬化し、かつ、前記ポリアクリル酸と歯質を構成するハイドロキシアパタイト中の力 ルシゥムとが相互作用することにより、接着機能が発現すると考えられている。ここで 、本発明の化合物(I)は上述の通りカルシウムと非常に強い相互作用を示すため、グ ラスアイオノマー用途に用いることが適して!/、ると考えられる。本発明の化合物(I)を 含む組成物をグラスアイオノマーセメント、特に好ましくはレジン強化型グラスアイオノ マーセメントとして用いる場合は、前記組成物が(1)、(11)、(111)、(IV)、(V)、(VI)及 びポリアルケン酸を含む組成物であることが好ましい。
[0178] 前記ポリアルケン酸とは、不飽和モノカルボン酸あるいは不飽和ジカルボン酸の重 合体である。前記ポリアルケン酸の具体的な例示としては、アクリル酸、メタクリル酸、 2—クロ口アクリル酸、 2—シァノアクリル酸、アコ二チン酸、メサコン酸、マレイン酸、ィ タコン酸、フマル酸、ダルタコン酸、シトラコン酸、ゥトラコン酸等の単独重合体、ある いはこれらの不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体を挙げることが できる。共重合体の場合には、不飽和カルボン酸単位の割合は、全構造単位に対し て 50モル%以上であることが好まし!/、。共重合可能な単量体としてはエチレン性不 飽和重合性単量体が好ましぐ例えばスチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタ クリル酸メチル、アクリル酸塩類,塩化ビュル,塩化ァリル,酢酸ビュル、 1 , 1 , 6—トリ メチルへキサメチレンジメタタリレートエステルなどを挙げることができる。これらポリア ルケン酸の中でも、アクリル酸又はマレイン酸の単独重合体又は共重合体が好まし い。これらのポリアルケン酸は、重量平均分子量が 5, 000未満の場合には、歯科用 セメント組成物の硬化物の強度が低くなり、耐久性が劣る場合がある。一方、重量平 均分子量が 40, 000を超える場合には、歯科用セメント組成物の練和時の稠度が硬 くなり、操作性が低下する場合がある。したがって、好ましいポリアルケン酸の重量平 均分子量は、 5, 000—40, 000である。
[0179] 用いられるフィラー (V)としては、酸-塩基反応における硬化性及び組成物のフッ 素徐放性の観点から、フルォロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルォロアルミノ
シリケートガラス、ストロンチウムフルォロアルミノシリケートガラス、ノ リウムフルォロア 力もなる群から選択される少なくとも 1種を用いることが好ましぐフルォロアルミノシリ ケートガラス及び/又はバリウムフルォロアルミノシリケートガラスを用いることがより好 ましい。
[0180] また、用いられる溶媒 (VI)としては、酸—塩基反応を円滑に進行させる観点から、 前記溶媒 (VI)が水 (VII)を含むことが好ましい。前記溶媒 (VI)中の水 (VII)の含有量 は、 50重量%以上であることがより好ましぐ 70重量%以上であることがさらに好まし ぐ 90重量%以上であることが特に好ましぐ前記溶媒 (VI)が実質的に水 (VII)のみ 力、らなること力 S最も好ましい。
[0181] 本発明の化合物(I)を含む組成物をグラスアイオノマーセメント、特に好ましくはレ ジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いる場合の各成分の配合量は特に限 定されないが、前記 (I)及び前記 (Π)の合計を 100重量部とした場合に、(I);!〜 99 重量部及び(II);!〜 99重量部であることが好ましぐ(1) 3〜90重量部及び(11) 10〜 97重量部であることがより好ましい。また、前記(III)及び前記 (V)の配合量としては、 適切な硬化時間が得られることを考慮した場合、前記 (I)及び前記 (Π)の合計 100重 量部に対して、(III) 0. ;!〜 10重量部及び(IV) 0. ;!〜 10重量部を含むことが好ましく 、 (111) 0. 3〜8重量き及び(IV) 0. 3〜8重量きを含むことカより好ましく、(111) 0. 5〜 6重量部及び (IV) 0. 5〜6重量部を含むことがさらに好ましい。さらに、前記(I)及び 前記(II)の合計 100重量部に対して、フィラー(V)を 10〜; 1000重量部含むことが好 ましぐ 20〜600重量部含むことがより好ましぐ 25〜400重量部含むことがさらに好 ましい。フィラー (V)の含有量が 10重量部未満の場合は、硬化物の機械強度が不充 分となるおそれがある。一方、フィラー (V)の含有量が 1000重量部を超える場合は、 組成物ペーストの流動性が低下して充分な混和を行うことが困難となるため、酸一塩 基反応が円滑に進行しなくなる場合がある。その結果、硬化物の強度が低下するお それがある。
[0182] また、前記(I)及び前記(II)の合計 100重量部に対して、溶媒 (VI)を 10〜300重 量部含むことが好ましぐ 20〜250重量部含むことがより好ましぐ 30〜200重量部
含むことがさらに好ましい。溶媒 (VI)を力、かる範囲で含有することで、酸-塩基反応 を円滑に進行させることができ、かつ、得られる硬化物の機械強度及び歯質への接 着性が良好なものとなる。
[0183] 前記(I)及び前記(Π)の合計 100重量部に対して、前記ポリアルケン酸を 10〜300 重量部含むことが好ましぐ 20〜250重量部含むことがより好ましぐ 30〜200重量 部含むことがさらに好ましい。ポリアルケン酸を力、かる範囲で含有することで、酸一塩 基反応による硬化が円滑に進行し、かつ、得られる硬化物の口腔内での加水分解な どによる崩壊を小さくすることができる。
[0184] 上述の通り、グラスアイオノマーセメントでは酸一塩基反応の進行により硬化が起こ るため、保存安定性の観点からは、フィラー (V)とポリアルケン酸とが別々の容器に 包装され、使用直前に混和されて用いられることが好ましい。製品の形態としては、 いわゆる粉 液型の製品形態も好ましく用いられる力 S、ハンドリング性を向上させる 観点から、 2種類のペーストを含む!/、わゆる 2ペースト型グラスアイオノマーセメントの 形態をとること力 Sより好ましい。 2ペースト型の製品形態の場合は、上述の 2つのぺー ストをそれぞれ Aペースト及び Bペーストと称した場合、前記 Aペーストが(1)、(Π)、 (I V)、(V)、(VI)及びポリアルケン酸を含み、前記 Bペーストが(Π)、(III)及び (V)を含 む実施態様が好ましい。また、前記 Aペーストが(1)、(Π)、(111)、(V)、(VI)及びポリ アルケン酸を含み、前記 Bペーストが(Π)、(IV)及び (V)を含む実施態様も同様に好 ましく用いられる。いずれの実施態様においても、前記 Aペースト側にポリアルケン酸 を含有するため、前記 Bペーストに含まれるフィラー(V)として、フルォロアルミノシリ ルミノシリケートガラス、ノ リウムフルォロアルミノシリケートガラス及びストロンチウム力 ルシゥムフルォロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも 1種を用 いること力 S好ましく、フルォロアルミノシリケートガラス及び/又はバリウムフルォロアル ミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。一方、前記 Aペーストに含まれるフィ ラー (V)としては、ポリアルケン酸に対して反応性を示さな!/、ものを用いることが好ま しぐ石英が特に好ましく用いられる。
[0185] 以上、本発明の化合物(I)及びそれを含む組成物、並びにカルボン酸とァミンとをト
リアジン系縮合剤を用いて縮合反応させることによる化合物 (I)の製造方法や、酸ノ、 ライドとァミンとを反応させることによる化合物(I)の製造方法について説明した。カル ボン酸とァミンとをトリアジン系縮合剤を用いて縮合反応させる重合性アミドの製造方 法は新規な製造方法であり、化合物(I)のみならず、他の重合性アミドを得るための 製造方法としても有用である。
[0186] すなわち、本発明の製造方法は、カルボン酸とアミンを縮合反応させてアミド結合を 形成させる重合性アミドの製造方法であって、前記カルボン酸及び前記ァミンの少な くとも一方が重合性基を有し、かつトリアジン系縮合剤 (IX)を用いて縮合反応を行う ことを特徴とする重合性アミドの製造方法である。
[0187] 本発明の製造方法では、カルボン酸とァミンの少なくとも一方が重合性基を有する 。したがって、カルボン酸とアミンを縮合反応させて得られる重合性アミドも重合性基 を有するものである。得られる重合性アミドが重合性基を有することにより重合が可能 となるとともに、他の単量体との共重合が可能となる。重合性基の例としては、(メタ) アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビュル(チォ)エーテル基、ァリル(チォ)エーテル 基、ビュルエステル基、スチリル基等が挙げられる。これらの中でも、ラジカル重合が 容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は (メタ)アクリルアミド基が好ましい。
[0188] 本発明の製造方法では、カルボン酸とアミンを縮合反応させてアミド結合を形成さ せる際にトリアジン系縮合剤 (IX)を用いる。このことにより、縮合反応を温和な条件で 行うこと力 Sできるとともに、カルポジイミド系の縮合剤のように皮膚かぶれ等を引き起こ さないため安全性が優れている。以下に、本発明の製造方法で用いられる下記一般 式(7)で示されるトリアジン系縮合剤 (K)について説明する。
[0189] [化 32]
[式中、 及び Ri dは、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基であり、 Ri4、
R15及び Rlbは、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよ い炭素数 1〜20の炭化水素基であり、 Xはハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシ ラート又はクロロメタンスルホナートであり、 R14、 R15及び R16は互いに結合して環を形 成していてもよい。 ]
[0190] 上記一般式(7)において、トリァジン環に結合している置換基 R12及び R13は、それ ぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基である。アルコキシ基としては、直鎖又は 分岐鎖の炭素数 1〜20のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、 n プロポキシ基、イソプロポキシ基、 n ブトキシ基、イソブトキシ基、 sec ブトキシ 基、 tert ブトキシ基、 n ペンチルォキシ基、イソペンチルォキシ基、ネオペンチノレ ォキシ基、 n へキシルォキシ基、イソへキシルォキシ基、 2—ェチルへキシルォキシ 基、 n へプチルォキシ基、 n ォクチルォキシ基、 n ノニルォキシ基、 n デシル ォキシ基基等が挙げられる。得られる縮合剤の反応性の観点からは、メトキシ基、エト シキ基又はイソプロポキシ基が好ましぐメトキシ基がより好ましい。
[0191] また、本発明において、アルキル基とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数;!〜 20のアル キル基が挙げられ、例えば、メチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル基、イソブチル基、 sec ブチル基、 tert ブチル基、 n ペンチル基、イソ ペンチル基、ネオペンチル基、 tert ペンチル基、 n へキシル基、イソへキシル基 、 2—ェチルへキシル基、 n へプチル基、 n ォクチル基、 n ノニル基、 n デシ ル基等が挙げられる。得られる縮合剤の反応性の観点からはメチル基、ェチル基又 は tert ブチル基が好ましい。これらの中でも、製造が容易であることと、縮合剤の 反応性との兼ね合レ、から、置換基 R12及び R13がメトキシ基であることが特に好まし!/ヽ
〇
[0192] 上記一般式(7)において、 R14、 R15及び R16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒 素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数;!〜 20の炭化水素基であり、好適には 炭素数 1〜; 10の炭化水素基である。 R14、 R15及び R16は互いに結合して環を形成し ていてもよぐ隣接する置換基同士が結合して環を形成してもよいし、離れた置換基 同士が結合して環を形成してもよい。
[0193] 上記一般式(7)において、 Xは、ハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又
はクロロメタンスルホナートである。上記トリアジン系縮合剤は、 Xが結合したトリァジン 環と 3級ァミンが反応することにより得られるものであることが好ましい。このような反応 により Xは脱離してトリアジン系縮合剤においてカウンターァニオンとして存在するこ とになる。 Xは脱離基として用いられる官能基であることが好ましぐハロゲン原子又 はトリフラートが好適に用いられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ 素等が挙げられ、縮合剤の反応性と保存安定性のバランスを考慮すると、塩素が好 適に採用される。
[0194] 本発明で用いられるトリアジン系縮合剤(K)は、下記一般式(8)で示されるようにモ ルホリン環を有していることが好ましい。このことにより前記縮合剤の反応性が適切な ものとなり、かつ、結晶性が向上して粉体として扱えるようになるため、精製や保存安 定性及びノ、ンドリング性などの点で大きなメリットが得られる。
[0195] [化 33]
[式中、 R1 R"及び Xは前記式(7)と同じであり、 R1'は置換基を有してもよい炭素 数 1〜20の炭化水素基である。 ]
[0196] 上記一般式(8)にお!/、てモルホリン環の Nに結合して!/、る R17は、置換基を有しても ょレ、炭素数 1〜20の炭化水素基であり、置換基を有してもょレ、アルキル基であること が好ましい。アルキル基としては、 R12及び R13の説明のところで例示されたアルキル 基を採用することができ、縮合剤の製造のし易さ及び得られた縮合剤の保存安定性 の観点からは、炭素数 1〜4のアルキル基であることが好ましぐメチル基であることが より好ましい。
[0197] 本発明の好適な製造方法では、上述のトリアジン系縮合剤(K)を用いることにより 重合性基を有するカルボン酸とアミンを縮合反応させて重合性アミド (X)を得ること力 S できる。重合性基を有するカルボン酸としては下記一般式(2)で示されるカルボン酸
(al)が好適に用いられる
一 C\ 2
R (A)- R4-kcOOH
m n
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1 20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、 Aは、 - C ONH COO OCO O S -- CCHH OO CH S C
2
H O - C H CONH - C H NHCO - C H COO - C H OCO -
4 6 4 6 4
及び CONHCO からなる群力、ら選択される 1種であり、 mは;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数 1 40の有機基である。 ]
[0199] 上記一般式(2)において、
R
2及び R
3は、本発明の縮合反応を阻害しないもの であれば特に限定されず、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有し てもよい炭素数;!〜 20の炭化水素基を採用することができる。置換基を有してもよい 炭素数;!〜 20の炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置 換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有 してもよいァリール基、置換基を有してもよいァリールアルキル基、置換基を有しても よいァリールアルケニル基、置換基を有してもよいァリールアルキニル基、置換基を 有してもよ!/、シクロアルキル基等が挙げられる。
[0200] ここで、本発明において、置換基を有してもよいアルキル基とは、直鎖又は分岐鎖 のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキル基としては、 R12及び R13の説明のところで例示されたアルキル基を採用することができる。
[0201] 本発明において、置換基を有してもよいアルケニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアル ケニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルケニル基としては、例えば、ビ 二ノレ基、ァリノレ基、メチルビュル基、プロぺニル基、ブテュル基、ペンテュル基、へキ セニル基、シクロプロぺニル基、シクロブテュル基、シクロペンテュル基、シクロへキ セニル基等が挙げられる。
[0202] 本発明にお!/、て、置換基を有してもよ!/、アルキニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアル キニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキニル基としては、例えば、ェ チニノレ、 1—プロピニノレ、 2—プロピニノレ、 1—ブチニノレ、 1—メチノレ一 2—プロピニノレ 、 2—ブチュル、 3—ブチュル、 1 ペンチュル、 1ーェチルー 2—プロビュル、 2—ぺ ンチュル、 3 ペンチュル、 1ーメチルー 2 ブチュル、 4 ペンチュル、 1ーメチルー 3 ブチュル、 2 メチルー 3 ブチュル、 1一へキシュル、 2 へキシュル、 1ーェチ ノレ 2 ブチュル、 3 へキシュル、 1ーメチルー 2 ペンチュル、 1ーメチルー 3— ペンチュル、 4ーメチルー 1 ペンチュル、 3—メチルー 1 ペンチュル、 5—へキシ ニル、 1ーェチルー 3—ブチュル等が挙げられる。
[0203] 本発明にお!/、て、置換基を有してもよ!/、ァリール基とは、芳香族炭化水素基が置換 基を有していてもよいものであり、ァリール基としては、例えば、フエニル基、ナフチノレ 基、アントリル基、フエナントリル基等が挙げられる。
[0204] 本発明において、置換基を有してもよいァリールアルキル基とは、ァリール基によつ て置換された直鎖又は分岐鎖のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、 ァリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フエネチル基、 3—フエニルプロ ピル基、トリチル基、 1 ナフチルメチル基、 2 (1 ナフチル)ェチル基、 2—(2— ナフチル)ェチル基、 3—(2 ナフチル)プロピル基等が挙げられる。
[0205] 本発明にお!/、て、置換基を有してもょレ、ァリールアルケニル基とは、ァリール基によ つて置換された直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が置換基を有して!/、てもよ!/、もので あり、ァリールアルケニル基としては、例えば、スチリル基等が挙げられる。
[0206] 本発明にお!/、て、置換基を有してもょレ、ァリールアルキニル基とは、ァリール基によ つて置換された直鎖又は分岐鎖のアルキニル基が置換基を有して!/、てもよ!/、もので あり、ァリールアルキニル基としては、例えば、フエニルェチュル基等が挙げられる。
[0207] 本発明にお!/、て、置換基を有してもょレ、シクロアルキル基とは、環状のアルキル基 が置換基を有していてもよいものであり、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプ 口ピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプタニル 基、シクロォクタ二ル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基 、シクロドデカニル基等が挙げられる。
[0208] 上記一般式(2)において、 R1及び R2が水素原子であることが好ましぐこのことによ り重合性に優れるという利点がある。また、上記一般式(2)において、 R3が水素原子 又はメチル基であることが好ましぐこのことにより重合性に優れるという利点がある。 特に、 R1及び R2が水素原子であって、かつ R3がメチル基である場合は、本発明の製 造方法により得られる化合物が加水分解等の作用を受け重合性基が脱離した場合 にお!/、ても、生体に対する刺激性が小さ!/、と!/、う利点を有する。
[0209] ここ R
2及び R
3の炭化水素基が有する置換基の数及び種類は特に限定さ れず、
及び R
3と、二重結合性の炭素との間に置換基を有する場合も含まれる R
3ではこのような置換基がエステル結合であることが好ましい。 R
3の例としては、以 下に示されるものが挙げられる。
[0210] [化 35]
[式中、 R°は置換基を有してもよいアルキル基であり、 R9 R1()及び R11は、それぞれ 独立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基である。 ]
[0211] 上記エステル結合を有する炭化水素基において、 R8は、 R12及び R13の説明のとこ ろで例示されたアルキル基を採用することができる。 R8がアルキル基である場合は、 化合物の重合性の観点からは炭素数 4以下のアルキル基であることが好ましぐメチ ル基又はェチル基であることがより好ましい。また、 R9 R1()及び R11は、それぞれ独 立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基であり、置換基を有してもよ いアルキル基としては、 R12及び R13の説明のところで例示されたものを採用すること ができる。 R9 R1Q及び R11がアルキル基である場合は、化合物の重合性の観点から は炭素数 4以下のアルキル基であることが好ましぐメチル基、ェチル基又は tert— ブチル基であることがより好ましレ、。
[0212] 上記一般式(2)において、(A)は任意の構成単位である。 Aは、—CONH— —C OO— OCO— O— S— -CH O— -CH S— C H O— C H
CONH— -C H NHCO C H COO C H OCO 及び CONHC
4 6 4 6 4 6 4
O からなる群から選択される 1種である力 ラジカル重合が容易である観点からは、 Aは CONH 又は COO であることが好ましい。また、本発明の製造方法によ り得られる化合物が、特に加水分解への耐性が要求される実施態様に用いられる場 合は、 Aは一 CONH 又は一 CH O であることが好ましい。
2
[0213] 上記一般式(2)において、 R4は置換基を有してもよい炭素数 1 40の有機基であ る。上記一般式(2)における R4としては、上記一般式(1)における R4の説明のところ で例示されたものと同様の有機基を用いることができる。
[0214] 本発明の製造方法により得られる化合物が酸性基及び重合性を含有し、かつ有機 基をスぺーサ一として有するものである場合に、該化合物を接着剤として用いた際に 接着力が発現する機構については必ずしも明らかではない。一般的に、酸性基が被 着体と化学的に結合した後に、重合性基力 S (共)重合し、塗膜を形成することが接着 性の発現のために必要であると考えられている。また、高い接着力を得るためには、 酸性基及び重合性を含有する化合物が、被着体と結合する際に規則正しく配列し、 被着面に対して高密度に作用することが重要であると考えられている。前記化合物を 規則正しく配列させるためには、スぺーサ一として用いられる前記有機基の選択が重 要である。
[0215] かかる観点からは、有機基は直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましぐこの ような置換基としてはアルキレン基が例示される。接着性を向上させる観点からは、 前記酸性基及び前記重合性基は、分子内においてある程度離れた位置にある方が 好ましぐ R4の炭素数の下限は、好ましくは 4以上であり、より好ましくは 6以上である 。さらに、本発明の製造方法により得られる化合物を歯科用組成物の成分として用い る場合、口腔内は湿潤な環境であるため、 R4の炭素数の下限は、さらに好ましくは 7 以上であり、特に好ましくは 8以上である。 R4の炭素数を力、かる範囲に設定することで 、化合物全体の疎水性が向上し、 口腔内のような湿潤環境においても加水分解を受 けに《なり、高い接着力をより長期間維持できるようになる。
[0216] また、上述のように本発明の製造方法により得られる化合物を歯科用組成物の成 分として用いて歯質に接着する場合は、歯質表面を酸性成分で溶解させる脱灰工程
が必要になるが、 R4の炭素数を上述の範囲に設定することで、脱灰工程で生じた前 記化合物のカルシウム塩の水に対する溶解性が小さくなり、このことによりさらに接着 性が向上するという利点がある。 R4の炭素数の上限は特に限定されないが、炭素数 力 る程度以上になると、それ以上炭素数を増やしても接着性への改善効果は見ら れなくなる傾向がある。このため、原料の入手が容易である等の観点から、 R4の炭素 数の上限は 30以下であることが好ましぐ 20以下であること力 り好ましく、 18以下で あることがさらに好ましぐ 16以下であることが特に好ましい。
[0217] 上記一般式(2)において、 mは;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数である。上述の ように、被着体に結合した化合物を規則正しく配列させるためには、 m= lであり、か つ n= lであることが好ましい。 m= lかつ n= lの場合は、合成に要する工程が短く なり、コスト的に有利になるという点も優れている。一方、被着体と化学的に相互作用 する作用点を増やしたい場合は、 nは 2又は 3であることが好ましい。特に、被着体が 金属又は陶材である場合に有効である。さらに、本発明の製造方法により得られる化 合物に架橋性を持たせることで、塗膜強度を向上させたい場合も、 mは 2又は 3であ ること力 S好ましい。以上のように、実施態様によって適切な m及び nの値は異なり、実 施態様に応じて任意に選択することができる。
[0218] 本発明の製造方法において、上記一般式(2)で示されるカルボン酸 (al)が (メタ) アクリル基又は (メタ)アクリルアミド基を含むことが好まし!/、。 (メタ)アクリル基又は (メ タ)アクリルアミド基を含むことにより、ラジカル重合が容易となる。また、本発明の製造 方法により得られる化合物を歯科用組成物の成分として用いた場合には、口腔内は 湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前 記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用 いること力 Sより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場 合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。
[0219] 本発明の製造方法において、カルボン酸が、上記一般式(2)で示されるカルボン 酸 (al)である場合には、縮合反応させる際に用いられるアミンは、下記一般式(9)で 示されるァミン (b4)であることが好まし!/、。
[0220] [化 36]
R18— NH2 ( 9 )
[式中、 R18は、置換基を有してもよい炭素数;!〜 200の有機基である。 ]
[0221] 上記一般式(9)で示されるァミン (b4)において、 R18は置換基を有してもよい炭素 数 1〜200の有機基である。前記有機基は、その構造中にエーテル結合、エステノレ 結合、アミド結合、スルホニル結合、ウレタン結合、チォエーテル結合等の炭素 炭 素結合以外の結合が含まれていてもよい。また、芳香環、 2重結合、 3重結合、脂環 式炭化水素基、又は複素環を含んでもよい。さらにはハロゲン原子、水酸基、ァミノ 基、シァノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。例えば、キトサンのようなビラ ノース環が多数連結したアミンを基質として用いることができる。
[0222] 本発明の製造方法において、上記一般式(9)で示されるァミン (b4)がアミノ酸であ ること力 S好ましく、特にヒドロキシ基を有するアミノ酸であることが好ましい。このような アミノ酸としては、セリン、スレオニン及びチロシン等が挙げられる。
[0223] また、上記一般式(9)で示されるァミン (b4)がアミノ酸のリン酸エステルであることが 好ましい。アミノ酸のリン酸エステルとしては、ヒドロキシ基を有するアミノ酸のヒドロキ シ基にリン酸基が結合したものが好ましぐアミノ酸としては上述の各種アミノ酸を採 用すること力でき、具体的には、ホスホセリン、ホスホスレオニン及びホスホチロシン等 力 S挙げられる。また、上記一般式(9)で示されるァミン (b4)として、キトサンに代表さ れるようなアミノ基を有する多糖類を用いることもできる。
[0224] アミノ酸、アミノ酸のリン酸エステル及びアミノ基を有する多糖類は、 自然界に広く存 在している。特に、アミノ酸は生体内にも広く存在し、ヒドロキシ基を有するアミノ酸は 生体内でリン酸化され、アミノ酸のリン酸エステルの形で存在するケースが多く見られ る。したがって、上記アミン (b4)を用いて本発明の重合性アミドの製造方法により得 られる化合物は、加水分解などの作用で分解物を生成することが起こった場合でも、 分解により放出される物質の安全性が高!/、と!/、う利点がある。
[0225] 上記一般式(2)で示されるカルボン酸(a 1)と上記一般式(9)で示されるァミン (b4) とを上述のトリアジン系縮合剤 (IX)を用いて縮合反応させることによって、下記一般 式(10)で示される重合性アミド (X)が得られる。
[式中、
R
4、 R
18、(A)、 m及び nは、上記式(2)及び上記式(9)と同じで ある。 ]
[0227] 本発明の重合性アミドの製造方法は、一般式 (8)で示されるトリアジン系縮合剤 (K )、一般式(2)で示されるカルボン酸及び一般式(9)で示されるアミンを用いて、 m= 1、 n= l、 Xが塩素原子である場合を例として反応式で示すと、以下に示されるように 2段階で反応が進行する。すなわち、 1段階目として、下記一般式(2a)で示される力 ルボン酸が式(8a)で示されるトリァジン環に付加し、下記一般式(2b)で示されるェ ステル中間体が生成されるとともに、下記一般式(8b)で示されるモルホリン、及び塩 酸が生成される。続いて、 2段階目として、下記一般式(2b)で示されるエステル中間 体に一般式(9)で示されるァミンが作用して、下記一般式(10a)で示される重合性ァ ミドカ S得られるとともに、下記一般式(8c)で示されるヒドロキシトリアジンが生成される 。このときの反応で生じた塩酸を中和するために中和剤等が添加されていてもよいが 、 1段階目で生じた下記一般式(8b)で示されるモルホリンによって塩酸が捕捉される ため、特に中和剤を添加する必要がなく反応が進行する。
[0228] [化 38]
[0229] 本発明の好適な製造方法では、上述のトリアジン系縮合剤(K)を用いることにより カルボン酸と重合性基を有するアミンを縮合反応させて重合性アミド (XI)を得ること 力できる。重合性基を有するァミンとしては下記一般式(12)で示されるァミン (b3)が 好適に用いられる。
[0230] [化 39]
[式中、
R
2及び R
3は、それぞれ独立して水素原子、シァノ基又は置換基を有して もよい炭素数 1 20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、 Aは、 - C ONH— COO— OCO— O— S— - CH O— CH S— C
H O— - C H CONH— - C H NHCO C H COO C H OCO—
4 6 4 6 4 6 4 6 4 及び CONHCO からなる群力、ら選択される 1種であり、 mは;!〜 3の整数であり、 nは;!〜 3の整数であり、 R4は、置換基を有してもよい炭素数 1 40の有機基である。 ]
[0231] 上記一般式(12)で示されるァミン(b3)において、
(A) m及び n は、上記一般式(2)と同じであり、上記一般式(2)のところで説明したのと同様のもの が採用される。
[0232] 本発明の製造方法において、上記一般式(12)で示されるァミン (b3)が (メタ)ァク リル基又は (メタ)アクリルアミド基を含むことが好まし!/ (メタ)アクリル基又は (メタ)ァ クリルアミド基を含むことにより、ラジカル重合が容易となる。また、本発明の製造方法 により得られる化合物を歯科用組成物の成分として用いた場合には、口腔内は湿潤 な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加 水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いる こと力 Sより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、 特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。
[0233] 本発明の製造方法において、ァミンが、上記一般式(12)で示されるァミン (b3)で ある場合には、縮合反応させる際に用いられるカルボン酸は、下記一般式(11)で示 されるカルボン酸(a3)であることが好まし!/、。
[0234] [化 40]
R19— COOH ( )
[式中、 R19は、置換基を有してもよい炭素数;!〜 200の有機基である。 ]
[0235] 上記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)において、 R19は置換基を有してもよ い炭素数 1 200の有機基である。前記有機基は、その構造中にエーテル結合、ェ ステル結合、アミド結合、スルホニル結合、ウレタン結合、チォエーテル結合等の炭 素-炭素結合以外の結合が含まれていてもよい。また、芳香環、 2重結合、 3重結合 、脂環式炭化水素基、又は複素環を含んでもよい。さらにはハロゲン原子、水酸基、 アミノ基、シァノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
[0236] 上記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)と上記一般式(12)で示されるァミン(
b3)とをトリアジン系縮合剤 (K)を用いて縮合反応させることによって、下記一般式 ( 13)で示される重合性アミド (XI)が得られる。
[0237] [化 41]
R1\
/C
R2
[式中、
R
4、 R
19、(A)、 m及び nは、上記式(11)及び上記式(12)と同じ である。 ]
[0238] 本発明の重合性アミドの製造方法は、一般式 (8)で示されるトリアジン系縮合剤 (K )、一般式(11)で示されるカルボン酸及び一般式(12)で示されるアミンを用いて、 m = 1、 n= l、 Xが塩素原子である場合を例として反応式で示すと、以下に示されるよう に 2段階で反応が進行する。すなわち、 1段階目として、一般式(11)で示されるカル ボン酸が式(8a)で示されるトリァジン環に付加し、下記一般式(11a)で示されるエス テル中間体が生成されるとともに、下記一般式(8b)で示されるモルホリン、及び塩酸 が生成される。続いて、 2段階目として、下記一般式(11a)で示されるエステル中間 体に一般式(12a)で示されるァミンが作用して、下記一般式(8a)で示される重合性 アミドカ S得られるとともに、下記一般式(8c)で示されるヒドロキシトリアジンが生成され る。このときの反応で生じた塩酸を中和するために中和剤等が添加されていてもよい 1S 1段階目で生じた下記一般式(8b)で示されるモルホリンによって塩酸が捕捉さ れるため、特に中和剤を添加する必要がなく反応が進行する。
[0239] [化 42]
本発明の製造方法において、 系縮合剤 (IX)の使用量は特に限定されな いが、力ノレボン酸 1モノレ ί 系縮合剤(IX)を 0. 5〜2モル用いることが 好ましい。トリアジン系縮合剤 (IX)の使用量が 0. 5モル未満の場合、縮合反応が進 行しに《なり反応収率が低下するおそれがある。トリアジン系縮合剤(K)の使用量 は、カルボン酸 1モルに対してより好適には 0. 6モル以上であり、さらに好ましくは 0. 7モル以上であり、特に好ましくは 0. 8モル以上である。一方、トリアジン系縮合剤(IX )の使用量が、カルボン酸 1モルに対して 2モルを超える場合、反応性が過剰となり、 得られる化合物の分子内のカルボン酸に、さらにアミノ基含有化合物が反応してしま うおそれがあり、その結果、反応収率が低下するおそれがある。かかる観点から、トリ アジン系縮合剤(IX)の使用量はカルボン酸 1モルに対してより好適には 1. 8モル以 下であり、さらに好ましくは 1 · 6モル以下であり、特に好ましくは 1 · 4モル以下である
[0241] 本発明の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる方法は特に限定され ないが、攪拌しながら反応させることが好ましい。その際、トリアジン系縮合剤(IX)、力 ルボン酸及びアミンを添加するタイミング等は特に限定されず、反応系に同時に添カロ して混合してもよいし、順次添加して混合してもよい。 DCCのようなカルポジイミド系 の縮合剤を用いた場合には、カルボン酸とァミンの双方と反応するため、最初にカル ボン酸と縮合剤とを反応させてからアミンを添加する必要があり、このアミンを添加す るタイミングによっては収率が低下する場合がある。これに対し、本発明で用いられる トリアジン系縮合剤(IX)は、カルボン酸とのみ選択的に反応し、ァミンとは反応しない ため、添加するタイミングを考慮しなくてよい利点があり、高収率で重合性アミドを得 ること力 Sできる。上記トリアジン系縮合剤(IX)を添加する際には、カルボン酸及びアミ ンが反応溶媒に完全に溶解していることが好ましぐこのことにより縮合反応が速やか に進行する。
[0242] 本発明の製造方法では、上述のようにトリアジン系縮合剤(IX)を反応系中に添加し てカルボン酸とアミンを反応させるような実施態様でもよいが、例えば、 2—クロロー 4 , 6—ジメトキシ—1 , 3, 5—トリァジン(CDMT)のようなトリァジン化合物と、ジメチル グリシンェチルエステル(DMGE)のような 3級ァミンを反応系中に添加し、反応系中 でトリアジン系縮合剤(IX)を生じさせた後に、カルボン酸とアミンを反応させるような 実施態様でもよい。上記トリァジン化合物に、上記 3級ァミンを添加することで縮合反 応が速やかに進行する。
[0243] トリアジン系縮合剤 (IX)を製造する際の上記トリァジン化合物の使用量は特に限定 されないが、カルボン酸 1モルに対してトリァジン化合物を 0· 5〜2モル用いることが 好ましぐ 0. 7〜; 1. 5モル用いることがより好ましい。また、上記 3級ァミンの使用量は 特に限定されないが、上記 3級ァミンは反応系中において触媒として機能し、必ずし もトリァジン化合物と等モルで配合する必要はない。このため、コスト的なメリットを考 慮した場合、トリァジン化合物 1モルに対して 3級ァミンを 0. 05-0. 5モル用いること 力好ましく、 0. 1〜0· 3モル用いることがより好ましい。
[0244] 本発明の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる際の反応温度は特 に限定されず、用いられるカルボン酸ゃァミンの種類、及び反応溶媒によって適宜調
整すればよい。上述のトリアジン系縮合剤を用いた場合は室温でも反応を円滑に進 行させること力 Sでき、きわめて穏やかな条件で反応を行えるという利点がある。反応温 度としては、通常、 10〜60°Cの温度が採用され、好適には 15〜45°Cである。
[0245] 本発明の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる際の反応時間は特 に限定されず、用いられるカルボン酸ゃァミンの種類、及び反応溶媒によって適宜調 整すればよぐ通常 10分〜 24時間であり、好適には 20分〜 16時間である。
[0246] 本発明の製造方法では、中性条件下で反応させることが好ましい。酸性条件下で は反応が進行しないおそれがあり、また、塩基性条件下では、得られる化合物におけ るアミド結合が加水分解されるおそれがある。したがって、本発明の製造方法では、 反応系の pHは 6. 5〜8であることが好ましぐ 7〜8であることがより好ましぐ 7〜7. 6 であることが特に好ましい。
[0247] 本発明の製造方法で用いられる反応溶媒は特に限定されないが、反応溶媒が水 を含むことが好ましい。通常、エステル結合やアミド結合を形成するような縮合反応で は、水は取り除く対象であり、水が存在すると反応効率が低下する場合が多い。これ に対し、本発明の製造方法では、反応効率が低下することなく反応が進行し、水以 外の他の有機溶媒には難溶である化合物、例えば、ジカルボン酸等を用いてアミド 化することができるとともに、環境保護の面でも優れている。
[0248] 反応溶媒として用いられる有機溶媒としては、塩化メチレン、クロ口ホルムのような含 ハロゲン溶媒;へキサン、トルエンのような炭化水素系溶媒;酢酸ェチルのようなエス テル系溶媒;ジェチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランのような エーテル系溶媒;ァセトニトリル;ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド (DMSO);メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒 などが挙げられる。これらの中でも、トリアジン系縮合剤(K)を安定的に存在させるこ とができる観点から、エステル系溶媒、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒からな る群から選択される少なくとも 1種であることが好ましぐ特にアルコール系溶媒を用 いることが好ましい。反応溶媒としてアルコールを用いた場合には、溶媒であるアル コールとカルボン酸とがエステルを形成する競合反応が起こるため、アルコールは水 以上に利用が困難であることが知られている。本発明の製造方法において、トリアジ
ン系縮合剤 (IX)を用いた際には、エステル形成と比較してアミド形成の選択性が非 常に高いため、反応溶媒としてアルコールを用いることができる。アルコールを用いる 場合、水と比較して様々な化合物が可溶であったり、沸点が低いので溶媒除去が容 易であったり、安価である点等から DMFや DMSOのような比較的沸点の高い有機 溶媒よりも有用である。
[0249] 本発明の製造方法で用いられるアルコールは特に限定されず、メタノール、ェタノ 一ノレ、 n—プロパノール、 2—プロパノール、 n—ブタノール、 2—ブタノール、シクロプ ロパノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール等の脂肪族アルコール;フエノー ル、 m—クレゾール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコールを挙げることができ 、これらのアルコールは単独で用いてもよぐ 2種以上を混合して用いてもよい。反応 溶媒として水及びアルコールの混合溶媒を用いる場合は、水との混和性の観点から 、メタノール、エタノール、 n—プロパノール及び 2—プロパノールからなる群力、ら選択 される少なくとも 1種を用いることが好ましぐカルボン酸を溶解させやすぐ沸点が低 V、ため溶媒の除去が容易である観点からは、メタノールを用いることが特に好ましレヽ
〇
[0250] 本発明の製造方法では、縮合反応に用いる反応溶媒が水及びアルコールの混合 溶媒であることが好ましレ、。基質の溶解性に応じて水とアルコールの混合比率を適 宜調整して用いることができ、水とアルコールの混合比率(アルコール/水)は、 9/ 1〜; 1/9であることが好ましぐ 8/2〜2/8であることがより好ましぐ 8/2〜5/5 であることがさらに好ましい。
[0251] 本発明の製造方法により得られる重合性アミドは、歯科用組成物の原料として用い ること力 Sできる。得られる重合性アミドが、リン酸基やカルボキシル基等を有する場合 に特に好適に用いることができる。上記歯科用組成物としては、プライマー、ボンディ ング材、コンポジットレジン、セメント(レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、レジ ン強化型グラスアイオノマーセメント)、小窩裂溝填塞材、義歯床用レジン等が挙げら れる。中でも、本発明の製造方法で得られた重合性アミドが上記一般式(1)で示され る化合物(I)である場合、上述で説明したように化合物(I)を含む歯科用組成物は、 プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、又はセメントとして好適に用いられる
[0252] また、本発明の製造方法により得られる重合性アミドは、骨セメント、建築用接着剤 、陶磁器用接着剤、封止材、コーティング材など、歯科用途以外の用途にも有用で ある。 実施例
[0253] 以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
[0254] [N—メタタリロイルー 12—アミノドデカン酸の合成]
5000mLビーカーに水 1700mLを加え、次いで水酸化ナトリウム 1 lgを加えて攪 拌し、前記水酸化ナトリウムを完全に溶解させた後、 12—アミノドデカン酸 (和光純薬 工業株式会社製) 26. 9gを反応系に加え、 30分間攪拌を行うことにより均一な溶液 を得た。続いて、氷-食塩浴を用いて、反応系の内温を— 5°Cまで冷却した。前記冷 却処理後、反応系を攪拌しながら、滴下ロートを用いて、メタクリロイルクロリド(和光 純薬工業株式会社製) 14. 3gを 15分間掛けて滴下した。滴下の際には、反応系の 内温が 0°Cを超えないように冷却を行った。滴下終了後、浴を氷浴に移し変えて、反 応系を 0°Cで 1時間攪拌した。 1時間攪拌後、濃度 6mol/Lの塩酸水溶液を添加し て、反応液の pHを 3以下にした。前記の塩酸水溶液の添加に伴い、反応系中に白 色の沈殿が生成した。当該溶液中に塩化ナトリウム 600gを添加した後、酢酸ェチル 800mLを用いて 3回抽出した。得られた酢酸ェチル溶液を飽和塩化ナトリウム水溶 液で洗浄した後、酢酸ェチル層に硫酸マグネシウムを添加して脱水を行った。脱水 後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸ェチルを減圧留去することで、白色の粗 結晶を得た。得られた粗結晶を用いて酢酸ェチルから再結晶することで、 N—メタタリ ロイル— 12 -アミノドデカン酸の白色結晶 24gを得た(融点 73 - 74°C)。本実施例 の化学反応式を以下に示す。
[重合性アミドである化合物(I)の合成]
lOOOmLビーカーに上述の方法により得られた N メタクリロイルー 12—アミノドデ カン酸 10gと、ホスホセリン (東京化成工業株式会社製) 6. 3gを加えた。続いて、メタ ノールと水の混合溶媒(メタノールと水の体積比(メタノール/水) = 7/3) 500mlを 加え攪拌子を用いて混合した。上記溶液中に pHメーター (株式会社堀場製作所製「 pHメーター F— 55」)をセットし、 2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 20mLを加えた ところ、無色透明の均一な溶液となり、このときの pHは 6. 4であり、さらに、 6mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 3. 5mLを加えたところ、 pHは 7. 4であった。続いて、 4 (4, 6 ジメトキシ一 1 , 3, 5 トリァジン一 2 ィル) 4 メチルモルホリニゥムクロリ ド(国産化学株式会社製「DMT— MM」(含水率 12%);以下「DMT— MM」と略す ことがある) 10· 67gをスパーテルを用いて少しずつ添加し、室温化で 16時間攪拌し た。前記 DMT— MMの添加量は、 N メタクリロイルー 12—アミノドデカン酸 1モル に対して 0. 96モルである。続いて、重合禁止剤としてメチルエーテルヒドロキノン(以 下「MEHQ」と略すことがある) 50mgを加えた後に、反応液を 2000mLナスフラスコ に移し、ロータリーエバポレータを用いてバス温度 25°Cで反応液中のメタノールを減 圧留去した。減圧留去後の濃縮液を lOOOmL分液ロートへ移した後に水を 200mL 追加して水層の全量を約 400mLとした。酢酸ェチル lOOmLを分液ロートに添加し て水層を 3回洗浄した。 lmol/Lの塩酸水溶液 150mLを分液ロート中の水層に添 加し、分液ロートを振盪することで白色の乳化液が得られた。このときの水層の pHは 1. 3であった。上記のようにして得られた水層約 550mLを酢酸ェチル 400mLで 5回 抽出することにより目的化合物を含む有機層を得た (水層の pHを強酸性にすること
で、 目的化合物が有機層に抽出されるようになる)。得られた有機層に MEHQ50mg を添加した後、ロータリーエバポレータを用いて前記有機層をバス温度 25°Cで減圧 濃縮した。濃縮終了後、白色油状物質がフラスコ底部に沈着した。前記油状物質に メタノール 75mLを添加して溶解させた後、前記メタノール溶液を綿栓ろ過した。次い で、ろ液をロータリーエバポレータを用いて温度 25°Cで減圧濃縮することで、 目的と する重合性アミドである本発明の化合物(I)を 8.8g得た。本実施例の化学反応式を 以下に示す。
[0257] [化 44]
[0258] 上記方法により得られた化合物(I)の1 H— NMRスぺクトノレ(400MHz、 CD OD)
3 を測定したところ、化学シフト δ (ppm、 TMS)は、以下のとおりであった。
δ =1.31(s;14H)、 1.53(t;2H)、 1.62(t;2H)、 1.93(s;3H)、 2.27(m;2 H)、 3.21(t;2H)、 4. ll(m;lH)、 4.23(m;lH)、 4.57(t;lH)、 5.34(s;lH )、 5.65(s;lH)
[0259] また、上記方法により得られた化合物(I)の13 C— NMRスペクトル(100MHz、 CD
3
OD)を測定したところ、化学シフト δ (ppm)は、以下のとおりであった。
δ =18.9、 26.8、 28.0、 30.2、 30.3、 30.4、 30.5、 30.6、 36.8、 40.6、 52.8、 54.9、 65.5、 120.0、 141.3、 151.4、 171.0、 171.7、 176.2
[0260] 以下で用いる略記号は次のとおりである。
[0261] [酸性モノマー]
A— 1 :化合物 (I)
A— 2 : N メタクリロイル一 12—アミノドデカン酸
[0262] [水溶性を有する重合性単量体]
HEMA: 2—ヒドロキシェチルメタタリレート
[0263] [架橋性を有する重合性単量体]
BisGMA:ビスフエノーノレ Aジグリシジルメタタリレート
# 801: 1 , 2 ビス(3 メタクリロイルォキシ 2 ヒドロキシプロピルォキシ)ェタン
NPG:ネオペンチルグリコールジメタタリレート
[0264] [光重合開始剤]
TMDPO : 2, 4, 6 トリメチルベンゾィルジフエニルホスフィンオキサイド
CQ :カンファーキノン
[0265] [ァミン類]
ァミン 1 : N, N ジメチルァミノ安息香酸 n—ブトキシェチルエステル
ァミン 2:トリエタノールァミン
[0266] [無機フィラー]
無機フィラー 1 :日本ァエロジル製「R972」
無機フィラー 2 :日本ァエロジノレ製「Ar380」
[0267] [2液型歯科用組成物の調製]
(実施例 1)
下記の各成分を常温下で混合してプライマー組成物及びボンディング材組成物を 調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。 プライマー組成物:
A- 1 15重量部
HEMA 40重量部
水 40重量部
# 801 10重量部
エタノール 8重量部
TMDPO 0. 5重量部
[0268] ボンディング材組成物:
BisGMA 40重量部
HEMA 40重量部
NPG 20重量部
TMDPO 3重量部
無機フィラー 1 5. 5重量部
無機フィラー 2 1. 5重量部
[0269] [牛歯エナメル質及び牛歯象牙質との接着評価方法]
[0270] ゥシ下顎前歯の唇面を流水下にて # 80シリコン 'カーバイド紙(日本研紙株式会社 製)で研磨して、エナメル質の平坦面を露出させたサンプル及び象牙質の平坦面を 露出させたサンプルをそれぞれ得た。得られたそれぞれのサンプルを流水下にて # 1000のシリコン 'カーバイド紙(日本研紙株式会社製)でさらに研磨した。研磨終了 後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径 3mmの丸 穴を有する厚さ約 150 mの粘着テープを貼着し、接着面積を規制した。
[0271] 上記作製したプライマー組成物を上記の丸穴内に筆を用いて塗布し、 20秒間放置 した後、表面をエアブローすることで、塗布したプライマー組成物の流動性が無くなる まで乾燥した。次いで、上述のボンディング材組成物を、前記プライマーを塗布'乾 燥した歯面に重ね塗りした。続いて、歯科用可視光線照射器「JETライト 3000」 Q. Morita USA製)にて 20秒間光照射することにより、塗布したプライマー組成物及 びボンディング材組成物を硬化させた。
[0272] 得られたボンディング材組成物の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレジン( クラレメディカル株式会社製、商品名「クリアフィル AP— X」(登録商標))を塗布し、離 型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライドガラ スを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。続い て、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「JETラ イト 3000」を用いて 20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
[0273] 得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レ ジンセメント(クラレメディカル株式会社製、商品名「パナビア 21」)を用いてステンレス 製円柱棒 (直径 7mm、長さ 2. 5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、 当該サンプルを 30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。得られた蒸留水に 浸漬したサンプルを、 37°Cに保持した恒温器内に 24時間静置することで、接着試験 供試サンプルを作製した。接着試験供試サンプルは全部で 5個作製した。
[0274] [接着強度の測定]
上記の 5個の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機 (株式会社島 津製作所製)にてクロスヘッドスピードを 2mm/分に設定して測定し、平均値を引張 接着強度とした。牛歯エナメル質との接着強度は 25. OMPaであり、牛歯象牙質との 接着強度は 18. 4MPaであった。得られた結果を表 1にまとめて示す。
[0275] (比較例 1)
実施例 1において、酸性モノマーである「A— 1」を 15重量部用いる代わりに、 ΓΑ- 2」を 15重量部用いた以外は実施例 1と同様にしてプライマー組成物及びボンディン グ材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を 測定した。得られた結果を表 1にまとめて示す。
[0276] (比較例 2)
実施例 1において、酸性モノマーである「A— 1」を 15重量部用いる代わりに、 ΓΑ- 3」を 15重量部用いた以外は実施例 1と同様にしてプライマー組成物及びボンディン グ材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を 測定した。得られた結果を表 1にまとめて示す。
[0277] [1液型歯科用組成物の調製]
(実施例 2)
下記の各成分を常温下で混合して 1液型歯科用組成物である 1液型ボンディング 材組成物を調製し、牛歯象牙質との接着強度を測定した。
1液型ボンディング材組成物:
A- 1 10重量部
BisGMA 30重量部
HEMA 30重量部
水 15重量部
エタノール 15重量部
TMDPO 5重量部
無機フィラー 1 5重量部
[0278] [牛歯エナメル質及び牛歯象牙質との接着評価方法]
[0279] ゥシ下顎前歯の唇面を流水下にて # 80シリコン 'カーバイド紙(日本研紙株式会社 製)で研磨して、エナメル質の平坦面を露出させたサンプル及び象牙質の平坦面を 露出させたサンプルを得た。得られたそれぞれのサンプルを流水下にて # 1000の シリコン 'カーバイド紙(日本研紙株式会社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面 の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径 3mmの丸穴を有す る厚さ約 150 mの粘着テープを貼着し、接着面積を規制した。
[0280] 上記作製した 1液型ボンディング材組成物を上記の丸穴内に筆を用いて塗布し、 2 0秒間放置した後、表面をエアブローすることで、塗布した 1液型ボンディング材組成 物の流動性が無くなるまで乾燥した。次いで、歯科用可視光線照射器「JETライト 30 00」(J. Morita USA製)にて 20秒間光照射することにより、塗布した 1液型ボンデ イング材組成物を硬化させた。
[0281] 得られた 1液型ボンディング材組成物の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレ ジン (クラレメディカル株式会社製、商品名「クリアフィル AP— X」(登録商標))を塗布 し、離型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライ ドガラスを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。 続いて、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「JE Tライト 3000」を用いて 20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
[0282] 得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レ ジンセメント(クラレメディカル株式会社製、商品名「パナビア 21」)を用いてステンレス 製円柱棒 (直径 7mm、長さ 2. 5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、 当該サンプルを 30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。得られた蒸留水に 浸漬したサンプルを、 37°Cに保持した恒温器内に 24時間静置することで、接着試験
供試サンプルを作製した。接着試験供試サンプルは全部で 5個作製した。
[0283] [接着強度の測定]
上記の 5個の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機 (株式会社島 津製作所製)にてクロスヘッドスピードを 2mm/分に設定して測定し、平均値を引張 接着強度とした。牛歯エナメル質との接着強度は 16. 8MPaであり、牛歯象牙質との 接着強度は 20. 7MPaであった。得られた結果を表 2にまとめて示す。
[0284] (比較例 3)
実施例 2において、酸性モノマーである「A— 1」を 10重量部用いる代わりに、 ΓΑ- 2」を 10重量部用いた以外は実施例 2と同様にして 1液型ボンディング材組成物を調 製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。得ら れた結果を表 2にまとめて示す。
[0285] (比較例 4)
実施例 2において、酸性モノマーである「A— 1」を 10重量部用いる代わりに、 ΓΑ- 3」を 10重量部用いた以外は実施例 2と同様にして 1液型ボンディング材組成物を調 製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。得ら れた結果を表 2にまとめて示す。
[0286] [表 1]
[0287] [表 2]
(実施例 3)
実施例 2において、 1液型ボンディング材組成物の組成を以下のように変更した以 外は、実施例 2と同様にして 1液型ボンディング材組成物を調製し、牛歯エナメル質
との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。牛歯エナメル質との接着強 度は 16. IMPaであり、牛歯象牙質との接着強度は 21. 4MPaであった。
1液型ボンディング材組成物:
A- 1 10重量部
BisGMA 30重量部
HEMA 30重量部
水 15重量部
エタノール 15重量部
CQ 3重量部
ァミン 1 1重量部
ァミン 2 1. 5重量部
無機フィラー 1 5重量部
[0289] 表 1より、「A— 1」である本発明の化合物(I)を酸性モノマーとして用いた実施例 1で は、コンポジットレジンとエナメル質との接着強度が 25. 0MPa、コンポジットレジンと 象牙質との接着強度が 18. 4MPaと、接着性が良好であり、 2液型歯科用接着剤とし て有用であることが分かる。これに対し、リン酸基を有しない「A— 2」を酸性モノマー として用いた比較例 1、及びカルボキシル基を有しな!/、「A— 3」を酸性モノマーとして 用いた比較例 2では、コンポジットレジンとエナメル質との接着強度、及びコンポジット レジンと象牙質との接着強度がいずれも大きく劣った。
[0290] 表 2より、「A— 1」である本発明の化合物(I)を酸性モノマーとして用いた実施例 2で は、コンポジットレジンとエナメル質との接着強度が 16. 8MPa、コンポジットレジンと 象牙質との接着強度が 20. 7MPaと、接着性が良好であり、 1液型歯科用組成物とし て有用であることが分かる。これに対し、リン酸基を有しない「A— 2」を酸性モノマー として用いた比較例 1、及びカルボキシル基を有しな!/、「A— 3」を酸性モノマーとして 用いた比較例 2では、コンポジットレジンと象牙質との接着強度が大きく劣った。また 、重合開始剤 (ΠΙ)単独ではなぐ重合開始剤 (III)及び重合促進剤 (IV)を併用した実 施例 3においても良好な接着性を示しており、 1液型歯科用組成物として有用である ことが分かる。