WO2008041688A1 - Slide adjuster for belt and buckle - Google Patents

Description

技術分野

[0001] この発明は、バンドをバックルに対してスライドさせ、バンドの長さを調節して固定す るためのスライドアジヤスタに関するものである。

背景技術

[0002] 従来、バンドほたはベルト）に係合溝を設け、この溝にバックルのフックを弹性的に 係合し、随時、この係止状態を解放可能とするバックルとバンドとからなるスライドアジ ヤスタが知られている。

[0003] 本発明者らは、特開 2000— 135103号公報（特許文献 1)において、製作が容易 で、軽量な合成樹脂製バックルとして、対向する底板と天井枠および両者を接続する 両側板とからなり、内部が係合溝を有するバンドの揷通空間とされたバックル本体と、 前記天井枠の内側に水平設置され、一端部下面に前記バンドの係合溝に係合可能 な係合爪を有し、他端部上面を押圧部とする操作板とから構成され、該操作板を前 記係合爪と前記押圧部の中間点にて、対向する天井枠の二辺に各々連結すること により、該中間点を支点として揺動自在とした合成樹脂製バックルであって、前記バ ンドの外表面と前記天井枠に、前記バックル本体に該バンドを片手の指先で引き寄 せることのできる一対の掛止突起を設けた合成樹脂製バックルを提案している。

[0004] 前記合成樹脂製バックルは機能的に非常に優れ、ヘルメットのヘッドバンド用バッ クルとしては最適である力 帽子、ズボンまたはスカート等の外観デザインが極めて 重要視される服飾品に用いるバンドとバックルのスライドアジヤスタとしては、更に軽 量でシンプルな構成であって、バックル部の目立たない外観を有するものの開発が 嘱望されている。特に、合成樹脂製の簡易な構造で、一体成形可能なスライドアジャ スタが求められている。

なお、特許文献 1記載の合成樹脂製バックルは片手指先操作用の掛止突起を、バ ックル本体を構成する天井枠に設けるために、バックル本体を帽子、ズボン等の外観 力、ら隠すことは容易ではな力 た。 [0005] 一方、本発明者らは、特開 2001— 204518号公報（特許文献 2)において、バンド の一端部を他端部に設けた筒状のバックル内に揷通して周囲長を調節しつつ環状 に接続されるバックル付きバンドであって、前記一端部の縁部に沿って鋸歯状の係 合凹部を形成すると共に、前記バックルの揷通空間内に係合凸部を設け、該係合凸 部と前記係合凹部が係止した状態では、前記バンドの一端部は前記揷通空間を進 出自在であるが後退不能とし、さらに、該揷通空間の少なくとも前記係合凸部に近接 する位置に、バンドの進出方向と直交する平面内におけるバンドの揺動を規制する ガイドを設けてなり、前記揷通空間に前記バンドの進出方向と略平行に前記係合凸 部を有する操作片を配装し、該操作片を操作することにより前記係合凹部と係合凸 部との係合を解除可能としたバックル付きバンドを提案している。

[0006] このバックル付きバンドは、バックル厚を薄くすることができるので、腕時計等のスラ イドアジヤスタとしては好適であるが、バックル部分が完全に露出する構造であること から、前記要請に沿うものではない。

[0007] 特許文献 1：特開 2000— 135103号公報

特許文献 2：特開 2001— 204518号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] 前記係合解除ボタンを有するバックルを、帽子、ズボンまたはスカート等の内側に 隠して外観の露出を抑えようとすると、ノ ックル本体の上方から底面側に向けた押圧 力によりベルトとの係合を解除する機構を採用していることから、係合解除ボタン以外 の操作板に指先等が誤って接触してバックルとベルトが係合解除される虞がある。

[0009] 一方、当該部分をフード等で覆うことにより不測の係合解除を回避することは可能と なる力 S、それでは金型による一体成型を行うことはできない。

本発明者らは、前記片手の指先操作によるスライド調節機能を保持しつつバックノレ を表に露出させない為には、掛止突起と係合解除ボタンを端部に集中させることが 重要であるとの知見に基づき本発明を完成したものである。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明は、バンド外表面に形成した鋸歯状の係合溝にバックルの係合爪を係合さ せ該係止状態においてバンドはバックルに接近自在であるが後退不能としたバンドと ノ ックルのスライドアジヤスタにおいて、前記バックルを、対向する底板と天井枠およ び両者を接続する両側板とからなり内部をバンドの揷通空間としたバックル本体と、 前記天井枠の内側に水平設置され、一端部下面に前記バンドの係合溝に係合可能 な係合爪を有し、他端部を前記係合を解除するための押圧部とする操作板とから構 成すると共に、該操作板を前記係合爪と前記押圧部の中間点にて前記両側板を結 ぶ連結軸で支承することにより該中間点を支点として揺動自在とし、前記バンドの外 表面と前記押圧部に、前記バックルとバンドとを片手の指先で引き寄せることのでき る一対の掛止突起を設けてなることを特徴とするものである。

[0011] 前記スライドアジヤスタは、前記連結軸から掛止突起に至る操作板に対して、該掛 止突起以外の部分に垂直方向の押圧力が直接作用するのを規制する部材がバック ル本体に設けられたものであることが好ましい。

前記規制部材は、前記天井枠から前記操作板方向へ水平に張出した張出部であ ることが好ましい。

前記操作板の一端部近傍と、前記天井枠の少なくとも一辺、または対向する前記 両側板とを連結することが好ましレヽ。

発明の効果

[0012] 請求項 1記載のスライドアジヤスタでは、特に、片手指先操作用の掛止突起を、操 作板の押圧部とした側の端部に解除ボタンとして設けたので、バンドのスライド調整 を片手の指先だけで行うことができ、迅速、容易に係合動作を行うことができることは 勿論、前記した従来のバンドとバックルのスライドアジヤスタに比べて構成される部品 点数が少なぐ軽量であり、製造コストも廉価である。

[0013] 請求項 1記載のスライドアジヤスタは、帽子、ズボンまたはスカート等の内側に隠し て外観の露出を抑えることができる。これを図 3を参照して説明すれば、従来のバック ル付バンドは服飾品 40、 40の間に介在して外観的に目立っていた（図 3 (2) )。本発 明のスライドアジヤスタは、掛止突起 15Bを除くバックル 20を帽子等の服飾品 40の 内側に収めることができるので、帽子の外観として現れるのは、バンド 10と 2つの掛止 突起 15A、 15Bのみであり、バンド 10だけのものと殆ど変わらない（図 3 (1) )。更に、 バンド 10のスライド部が左右対称になり、すっきりとしたデザインとなると共に、この部 分の意匠上の自由度が増すことになる。

[0014] 請求項 2記載のスライドアジヤスタには規制部材が設けられているので、不用意なま たは突発的なロック解除の虞がなレ、。

請求項 3記載のスライドアジヤスタは一体成型可能な構造をとっていることから、製 作が容易であり、また製作コストも低廉である。

[0015] 請求項 4記載のスライドアジヤスタは、揺動させた操作板の復元力が高ぐ確実な係 合-解除動作を保証し、信頼性を向上させることができる。

発明を実施するための最良の形態

[0016] 以下、本発明に係る合成樹脂製スライドアジヤスタの最良の実施形態を、図面に基 づいて説明する。

図 1にはバンド 10とバックル 20からなる本発明のスライドアジヤスタが示されており、 図 1 (1)はその平面図、図 1 (2)は図 1 (1)の z— z切断線における縦断側面図である

〇

[0017] これらの図において、所要の長さ、幅、厚みを有するバンド 10の外表面には、先端

(バックル 20に近い部分)から末端にかけて鋸歯状の係合溝 12が形成され、係合溝 12の末端寄りには、指先が掛カ、る程度の大きさ ·高さの掛止突起 15Aが設けられて いる。また、バンド 10において掛止突起 15Aの更に末端寄りには、バンド 10を図示 してない帽子等に固定するための多数の取付穴 16が穿設されている。

[0018] ノ ックル 20は、底板 21、これに対向する天井枠 22、および底板 21と天井枠 22とを 接続する側板 23、 23とからなる偏平かつ筒状のバックル本体 24により主体が構成さ れている。バックル本体 24はバンド 10のスライド方向が揷通口として開口され、その 内部はバンド 10の揷通空間 26となる。本実施形態では、底板 21の長手方向（バンド 10のスライド方向）の長さを天井枠 22の長手方向の長さよりも長くすることにより、底 板 21に形成した取付穴 27により帽子等への取付を容易にすると共に、バンド 10の 揷通がスムーズに行われるようにして!/、る。

[0019] 天井枠 22の内側には、その内に納まる大きさの操作板 30が水平に設置される。操 作板 30の一端部下面には、バンド 10の係合溝 12に係合可能な係合爪 31を突設し 、他端部の上面は係合解除用の押圧部 32となる。

[0020] 操作板 30の長手方向の中間地点には、連結軸 35が形成され、この連結軸 35は両 側板 23、 23の上部内壁に連結されている。連結軸 35の断面形状は、円形、楕円形 、その他種々の形状とすることができる。連結軸 35は操作板 30を揺動自在に軸支す ると共に、反復的な揺動により破損しない形状であれば差し支えない。なお、連結軸 35は両側板 23、 23に限らず、操作板 30と対向する天井枠 22の二辺に支承されて いても、後述する作用と同じ作用を発揮することができる。

[0021] 操作板 30の他端部（押圧部 32)には掛止突起 15Bが上方へ突設されている。掛 止突起 15Bも前記バンド 10の外表面に設けた掛止突起 15Aと同様に、双方に指先 を掛けることによりバンド 10をバックル 20に片手で引き寄せることができるようにする ものであるから、指先に掛けられる程度の大きさと形状を有していればよい。また、衣 服用途に適用する場合には、小形の掛止突起とするのが良い。

[0022] 本発明の操作板 30において、押圧部 32と連結軸 35間の横幅 Wは、操作板 30の 揺動と強度を満たす限りにおいてなるべく狭く設定されると共に、バックル本体 24に おいては、対向する天井枠 22、 22から、規制部材としての張出部 28、 28が内側に 向かって水平方向に伸出して!/、る。

この規制部材は、連結軸 35から掛止突起 15B寄りの操作板 30において、掛止突 起 15B以外の部分に垂直方向の押圧力が直接作用するのを規制するための部材で あり、掛止突起 15Bを操作する際に誤って指先が作用したり、或いは、当該部分が 帽子の内側に隠れているが為に、不用意に押し下げられることを確実に防止すること ができる。

[0023] 従って、図 2にバックル 20の変形例として示すように、張出部 28、 28は、水平方向 への伸出長を長くした張出部 28、 28 (図 2 (1) )や、先端を曲線状とした張出部 28、 2 8 (図 2 (2) )とすることもできる。なお、図 2において図 1に示す実施形態と同じ部材に は同じ符号を付して、その説明を省略する。

[0024] 図 1に示す実施形態では、操作板 30の一端部 (係合爪 31の設けられた側）を、対 向する両側板 23、 23の内壁に連結している。当該連結は、操作板 30の隅角部から 延びる屈曲した連結部材 36、 36によりなされており、押圧部 32を押し下げた後、押 圧部 32から指を離した時点で操作板 30が元の水平状態に復元し易くしたものである 。従って、連結部材 36の形状としてはこの他にも、波板等、種々のものを適用するこ とができる。換言すれば、連結部材 36は操作板 30の揺動動作に対するダンパーとし ての機能を有するものである。

なお、操作板 30と側板 23との連結は、連結軸 35を挟んで押圧部 32の反対側であ れば良ぐ前記一端部以外である操作板 30の側縁部でも良いし、側板 23に代えて 天井枠 12に連結しても良!/、。

[0025] 操作板 30の一端部 (係合爪 31の設けられた側）に設けた突起 33は、係合解除時 に操作板 30の掛止突起 15Bが必要以上に押し下げられるのを防止するためのストッ パである。

また、符号 34も掛止突起 15Bの押し下げ時に張出部 28の側面に当接して（図 1 (3 )参照）、掛止突起 15Bが必要以上に押し下げられ、操作板 30がバンド 10の上面に 当たるのを防止するためのストッパである。これらのストッパ 33、 34はいずれか一方を 備えれば十分であり、前記図 2に示す実施形態では、ストツバ 34を設けていない。

[0026] ノ ックル 20は、可撓性を有する合成樹脂により成型することができ、特に、操作板 3 0を連結軸 35の周囲に揺動させる必要から、ポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポ リアミド、ポリカーボネートなどの弾性を有する合成樹脂により成型することが好ましい 。このバックル 20は、僅かな部品により構成され、かつ、簡易な構造の故に、金型で 容易に一体成型することができる。

[0027] 続いて、上記スライドアジヤスタの作用を説明する。図 1 (2)は、バックル 20の揷通 空間 26内にバンド 10が揷入され、バンド 10の外表面に形成された係合溝 12に、バ ックル 20の係合爪 31が係合した状態を示している。係合溝 12はスライド方向の断面 形状が鋸歯状、即ち、バンド 10の進行方向に向けて漸次深くなるテーパ面と、この 最深位置より略垂直に立上る壁面とからなつている。

[0028] バンド 10を押圧部 32側（図 1 (2)において左側）からバックル本体 24の揷通空間 2 6内に進入させていくと、バンド 10の上面が操作板 30の係合爪 31に接触して、操作 板 30の一端部 (係合爪 31が形成された側）を押し上げながら前進し、バックル 20に 対するバンド 10の接近 ·離隔位置が調節される。この状態では、図 1 (2)に示すよう に、係合爪 31が所定の係合溝 12と嚙み合って係止しているので、バンド 10はバック ノレ 20に対して進出自在である力 後退不能である。

[0029] 他方、バックル 20からバンド 10を後退させたり、引き抜いたりするには、操作板 20 の押圧部 32 (掛止突起 15B)を軽く指で押し下げれば、図 1 (3)に示すように、連結 軸 35を中心として操作板 30が回転する結果、反対側に位置する係合爪 31が持ち上 がり、係合爪 31が係合溝 12から外れるので、バンド 10を自由にスライドさせることが できる。押圧部 32から指を離せば、押圧部 32は合成樹脂の弾性により元の水平状 態に復帰する。

産業上の利用可能性

[0030] 本発明のバンドとバックルのスライドアジヤスタは、帽子、ズボンまたはスカート、腕 時計等の服飾品、各種へルメット、靴などに適用することができる。また、本発明のス ライドアジヤスタは、本来的に、結束具として用いること力 Sできる。

図面の簡単な説明

[0031] [図 1]本発明のスライドアジヤスタの平面図（図 1 (1) )と、同図の z— z切断線における 縦断側面図（図 1 (2)、 （3) )である。

[図 2]バックルの変形例を示す平面図である。

[図 3]帽子等の服飾品に本発明のスライドアジヤスタを適用したときの外観を、従来例 と対比して示す正面図である。

符号の説明

[0032] 10 バンド

12 係合溝

15A バンドの掛止突起

15B バックルの掛止突起

20 ノ ックノレ

21 底板

22 天井枠

23 側板

24 バックル本体 張出部 操作板 係合爪 押圧部 連結軸 連結部材

Claims

請求の範囲

バンド外表面に形成した鋸歯状の係合溝にバックルの係合爪を係合させ該係止状 態においてバンドはバックルに接近自在であるが後退不能としたバンドとバックルの

前記バックルを、対向する底板と天井枠および両者を接続する両側板とからなり内 部をバンドの揷通空間としたバックル本体と、前記天井枠の内側に水平設置され、一 端部下面に前記バンドの係合溝に係合可能な係合爪を有し、他端部を前記係合を 解除するための押圧部とする操作板とから構成すると共に、該操作板を前記係合爪 と前記押圧部の中間点にて前記両側板を結ぶ連結軸で支承することにより該中間点 を支点として揺動自在とし、

前記バンドの外表面と前記押圧部に、前記バックルとバンドとを片手の指先で引き 寄せることのできる一対の掛止突起を設けてなるバンドとバックルのスライドアジヤスタ 前記連結軸から掛止突起に至る操作板に対して、該掛止突起以外の部分に垂直 方向の押圧力が直接作用するのを規制する部材がバックル本体に設けられた請求

前記規制部材が前記天井枠から前記操作板方向へ水平に張出した張出部である

前記操作板の一端部近傍と、前記天井枠の少なくとも一辺、または対向する前記 両側板とを連結した請求項 1〜請求項 3の!/、ずれか記載のスライドアジヤスタ。