WO2006131965A1 - インクジェットヘッド送液装置及びインクジェットヘッドワイピング装置 - Google Patents

Abstract

　インクジェットヘッドに液状材料を送給するに際して、管路の複雑化を招くことなく送液管路に気体が残存しないようにし、且つ各インクジェットヘッドに送給される液状材料の液圧の均一化を図る。 　複数台のインクジェットヘッド４にそれぞれ通じる液状材料送給用の各個別送液管路３を、一種類の液状材料を貯留する一個のインクタンク１に通じる共通送液管路２に接続すると共に、共通送液管路２と各個別送液管路３との各接続部または各インクジェットヘッド４もしくはそれらの各両者間にそれぞれ通じる気体流通可能な各個別流気管路１９を、大気に対して開放及び閉鎖可能なバイパス管路18a（共通流気管路18）に接続する。

Description

明 細 書

インクジェットヘッド送液装置及びインクジェットヘッドワイビング装置 技術分野

[0001] 本発明は、インクタンクからインクジェットヘッドに液状材料を送給するように構成し たインクジェットヘッド送液装置、及びインクジェットヘッドの液状材料噴出口やその 周辺に付着した異物を適切に吸い取り除去するためのインクジェットヘッドのワイピン グ装置に関する。

背景技術

[0002] 近年においては、紙等のプリント媒体にインクによる印刷を行なう場合、液晶表示器 等の基板 (透明基板）上に配向膜の形成や UVインクの塗布を行なう場合、或いは有 機 EL表示器の基板上にカラーフィルタを塗布する場合には、インクジェットヘッドを 用いた所謂インクジェット法が広く採用されるに至っている。

[0003] このインクジェット法を採用したインクジェット式プリンタ（配向膜形成装置や塗布装 置等を含む。以下同様。 )には、インクタンクからインクジェットヘッド（詳しくは、インク ジェットヘッド内の液溜り部）に液状材料を送給するための送液装置が設けられる。こ の場合、大型のインクジェット式プリンタは、複数台のインクジェットヘッドを備えてい るのが通例であるため、その送液装置には、インクタンク力、ら複数台のインクジェット ヘッドに液状材料を送給するための複数本の送液管路を配設する必要がある。

[0004] この種のインクジェットヘッド送液装置は、一例として、図 12に示すように、インクタン ク 50に直接通じる複数本の送液管路 51の下流端にそれぞれインクジェットヘッド 52を 接続し、各送液管路 51の途中に、インクタンク 50から各インクジェットヘッド 52にそれ ぞれ液状材料を圧送するための送液ポンプ 53を設置する構成とされる。このような構 成によれば、インクタンク 50と各インクジェットヘッド 52とを直接連通する送液管路 51 、インクジェットヘッド 52の個数だけ必要になると共に、送液ポンプ 53もインクジヱッ トヘッド 52の個数だけ必要になり、送液装置が大型且つ複雑になるば力りでなぐコス トの高騰をも招来する。

[0005] また、他の例として、図 13に示すように、インクタンク 60に直接通じる複数本の送液 管路 61の下流端にそれぞれインクジェットヘッド 62を接続すると共に、送液ポンプに 代えて、インクタンク 60内を加圧する圧力源 63を備えた構成のインクジェットヘッド送 液装置も一般に知られている。このような構成によっても、インクタンク 60と各インクジ エツトヘッド 62とを直接連通する送液管路 61力 S、インクジェットヘッド 62の個数だけ必 要になり、送液装置の大型化やコスト高などを招くば力 でなぐ各インクジェットへッ ド 62に対して均一な圧力で液状材料を送給するために、複数本の送液管路 61の長さ を同一にする必要があり、これによつても送液装置の大型化やコスト高などを招く。

[0006] これらの基本的な不具合を回避すべく創案された送液装置として、例えば下記の 特許文献 1、 2によれば、インクタンクに通じる主管路と、該主管路から分岐した複数 の分岐管路とを備え、この各分岐管路の下流端にそれぞれインクジェットヘッドを接 続した構成が開示されている。詳述すると、特許文献 1には、メインタンクに通じる管 路を複数に分岐し、その各分岐管路にそれぞれサブタンクを介してインクジェットへッ ドを接続した構成が開示されている。また、特許文献 2には、溶液タンクに通じる主管 路を複数に分岐し、その各分岐管路の下流端にそれぞれ隣り合うインクジェットへッ ドが密接した状態となるように接続した構成が開示されている。

[0007] また、上述のように、この種のインクジェットヘッドには、インクタンクカも該インクジヱ ットヘッド (詳しくは、インクジェットヘッド内の液溜り部）に液状材料を送給する送液経 路が設けられる。この場合、送液経路を通過してインクジェットヘッドに送給される液 状材料中の溶存気体の量が許容値（例えば 4ml/1000ml)以上であると、インクジエツ トヘッド内の液溜り部に気泡が生成されることから、液溜り部から吐出ノズノレを介して 液状材料が噴出する際には、その気泡がクッションとなって適切な液状材料の噴出 が阻害される。

[0008] そこで、インクジェットヘッドの送液経路の途中には、液状材料の溶存気体の量を 許容値未満とするための脱気ユニットが配備される。この場合、従来における脱気ュ ニットには、ポリテトラフルォロエチレン等の気体透過膜からなる多数本の中空糸を束 状に集合させてなる中空糸膜が使用される（例えば、下記の特許文献 3〜5参照）。

[0009] 具体的には、この脱気ユニットは、液状材料をインクタンクからインクジェットヘッドに 送給するための送液管の途中に、上述の中空糸膜を配設すると共に、この中空糸膜 の外周側を包囲体としての容器で覆い、この容器の内部を減圧して真空状態とする ことにより、中空糸膜を通過する液状材料力 溶存気体或いは気泡を除去してその 脱気を行なうように構成したものである。

[0010] この場合、中空糸膜は、各単位中空糸の内径が 20〜30 z m程度とされているのが 通例であり（特許文献 4では内径が 50〜500 z m)、この中空糸膜の全体の径は、そ の上流側及び下流側にそれぞれ接続される送液管の径よりも遥かに大きくなつてい る。そして、脱気ユニットの容器は、中空糸膜の外周面のみならずその上流側端面及 び下流側端面をも覆っており、したがって中空糸膜はその全周囲 (全長）が完全に容 器により覆われている。

[0011] 更に、この種のインクジェットヘッドには、一端面にインクや膜材料を噴出させるため の液状材料噴出口が開口しており、この液状材料噴出口から、紙等のプリント媒体に インクが噴出供給され、或いは表示器の透明基板等に液状の膜材料が噴出供給さ れる。

[0012] この種のインクジェットヘッドにおいては、極めて開口面積の小さな液状材料噴出 口力 インクや膜材料が噴出されることから、その液状材料自体或いはその液状材 料中の例えば顔料等が固化するなどして液状材料噴出口及びその周辺に付着する と共に、外気中のゴミ等の異物も液状材料噴出口及びその周辺に付着するという事 態を招く。そして、これが原因となって、液状材料の噴出不良が生じ、プリント媒体へ の印刷や配向膜の形成に支障を来たすことになる。

[0013] そこで、この種のインクジェットヘッドには、これらの問題が生じる前に、適当な時間 間隔で、インクジェットヘッドの液状材料噴出機能を良好な状態に復帰させる目的を もって、液状材料噴出口及び/又はその周辺を洗浄する洗浄移動ユニットが配備さ れる。そして、この洗浄移動ユニットとしては、液状材料噴出口及び Z又はその周辺 に付着している固化材料や異物を負圧による吸引力によって吸い取り除去するため の負圧吸引手段を備えたものが公知となっている。

[0014] その一例として、下記の特許文献 6によれば、インクジェットヘッド（プリントヘッド）の 材料噴出口が開口する一端面に、洗浄移動ユニットの真空フードを直接接触させ、 材料噴出口のみならずその内部に対しても真空フードを通じて負圧吸引を行なう技 術が開示されている。また、下記の特許文献 7及び特許文献 8によれば、洗浄移動ュ ニットに真空ノズノレを設けると共に、インクジェットヘッドの材料噴出口が開口する一 端面に対して真空ノズル自体を非接触とした構成が開示されている。

特許文献 1 :特開 2002— 307708号公報

特許文献 2 :特開 2003— 88778号公報

特許文献 3 :特開平 5— 17712号公報

特許文献 4 :特開平 10— 298470号公報

特許文献 5 :特開平 11一 209670号公報

特許文献 6 :特開 2000— 190514号公報

特許文献 7 :特開平 6— 126972号公報

特許文献 8 :特開平 8— 118668号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0015] 上記の特許文献 1、 2に開示されたインクジェットヘッド送液装置は、基本的には、ィ ンクタンクから各インクジェットヘッドに至る液状材料送給用の主管路及び各分岐管 路を有しているに過ぎず、換言すれば、液体を流通させる送液管路のみを有してい るに過ぎない。したがって、これらの送液管路に空気等の気体が存在していても、こ の気体を積極的に外部に放出することができず、送液管路内に気体が残存するおそ れがあり、このように気体が送液管路内に残存していたならば、インクジェットヘッドか らの液状材料の噴出阻害につながるという難点がある。

[0016] また、同文献に開示されたインクジェットヘッド送液装置は、インクタンクから各分岐 管路を通じて各インクジェットヘッドに個別的に送給される液状材料の液圧を均一に することが困難である。このような問題の招来は、各インクジェットヘッドの相互間で、 液状材料の送液管路長さが相違していること等に由来していると考えられる。それに も拘わらず、同文献によれば、各インクジェットヘッドへの個々の液圧を均一にするた めの対策が、何ら講じられていないばかりでなぐそのような問題意識すらも開示及び 示唆されておらず、適切な対応が望まれてレ、るのが実情である。

[0017] そこで、本発明の第 1の技術的課題は、複数台のインクジェットヘッドに液状材料を 送給するに際して、管路の複雑化を招くことなく送液管路に気体が残存しないように し、且つ各インクジェットヘッドに送給される液状材料の液圧を均一にすることにある

[0018] また、上記の特許文献 3〜5に開示されているように、インクジェットヘッドに送給さ れる液状材料の脱気を行なうために中空糸膜を使用していたのでは、上述のように 中空糸膜の径が送液管の径よりも遥かに大きく且つ各単位中空糸の径が送液管の 径よりも遥かに小さいことから、中空糸膜を有する脱気ユニットに送液管から液状材 料が流入する際には、液状材料の流れがよどむ部位に攪拌流或いは乱流等が生じ 、これが原因となって気泡が生成される。そして、この気泡は、その生成部位に残存 するため、液状材料の溶存気体量を増加させる要因となり、インクジェットヘッドから の液状材料の噴出阻害にもつながりかねないという難点がある。

[0019] また、この中空糸膜を使用する手法では、各単位中空糸の流通抵抗ひいては中空 糸膜全体の流通抵抗が大きいことから、高圧で液状材料を送給する必要性が生じる 。このため、送液経路を高強度に製作せねばならず、製作コストの高騰を招くばかり でなぐ送液経路に破損が生じ易くなると共に、圧力損失が高くなり、大きな無駄が生 じる。したがって、この手法は、粘度の低い液状材料 (例えば粘度が 5cp未満の液状 材料）については適用可能であるものの、粘度の高い液状材料 (例えば粘度が 5cp 以上或いは 6cp以上の液状材料）については送液阻害等の致命的な問題を招くお それがある。

[0020] 更に、この中空糸膜が送液経路に配備されていると、中空糸膜の存在によって送 液経路の洗浄が困難となり、そのため送液経路の洗浄後においても、中空糸膜の各 単位中空糸の内部通路等に液状材料や異物或レ、はこれらの固化物が付着した状態 となり、その後の液状材料の送給に支障を来たす。したがって、これによつても、イン クジェットヘッドからの液状材料の噴出阻害を招くおそれがある。

[0021] し力、も、送液経路に脱気ユニットを取り付ける際には、中空糸膜の全周囲（全長）を 包囲体で覆う必要があるため、脱気ユニットは、中空糸膜が存在している箇所に配設 せざるを得なくなり、脱気ユニットの配設箇所が一義的に決まってしまい、レイアウトの 自由度が制限されるという不具合をも招く。 [0022] そこで、本発明の第 2の技術的課題は、液状材料が脱気ユニット内に流入する際に おける気泡の発生を可及的に低減して溶存気体量の増加を抑制すると共に、低圧 であっても液状材料を円滑に送給しつつ脱気を行なうことを可能とした上で、洗浄作 業の確実化並びに容易化を図り、更には脱気ユニットのレイアウトの自由度を増大さ せることにある。

[0023] 一方、上記の特許文献 6に開示された技術によれば、洗浄移動ユニットの真空フー ドがインクジェットヘッドに接触することに起因して、その接触部分に傷が付くため、長 期使用が困難となって耐久性の低下を招く。しかも、この両者の接触によって摩耗粉 塵或いは摩滅粉塵等の異物が発生し、この異物がインクジェットヘッドの液状噴出口 やその周辺に付着することにより、液状材料の噴出不良を招くと共に、印刷や配向膜 形成、更には負圧吸引に支障を来たすことになる。

[0024] また、上記の特許文献 7に開示された技術によれば、真空ノズノレはインクジェットへ ッドに対して非接触に維持されているものの、この真空ノズノレを支持する支持部材は 、バネによりインクジェットヘッド側に押圧付勢されて該インクジェットヘッドのレツジ面 に接触している。したがって、この技術によるにしても、洗浄移動ユニットの支持部材 力 Sインクジェットヘッドに接触することから、その接触部分に傷が付くことによる耐久性 の低下、摩耗粉塵等の異物の発生、及びこれに起因する液状材料の噴出不良、印 刷不良や配向膜形成不良、更には負圧吸引不良等を招くという問題が生じる。

[0025] 更に、上記の特許文献 8に開示された技術によれば、洗浄移動ユニットに設けられ た真空ノズルは、インクジェットヘッドに対して非接触とされているものの、洗浄移動ュ ニットに設けられた超音波液状ワイパ装置の洗浄ノズルは、その先端に形成される洗 浄液の液柱（同文献ではメニスカス）を介してインクジェットヘッドのノズノレ面に接触し ており、印加電圧による励振がその液柱を通じてインクジェットヘッドのノズル面に転 送される構成である。このような構成であると、洗浄ノズルとインクジェットヘッドとの間 に、適切な液柱を形成する必要があるため、この両者の位置関係は厳格でなければ ならず、その位置決め精度を極めて高精度とする必要がある。このため、構造が複雑 になると共に、各構成要素の組み付け精度も高精度とする必要性が生じ、組立作業 が面倒且つ煩雑になるば力 でなぐコスト面においても不利となる。 [0026] し力も、上記のように洗浄液を用いる手法によれば、インクジェットヘッドの液状材料 噴出口を通じてその内部に洗浄液が浸入し、液状材料中に洗浄液が混入するという 事態を招くため、液状材料の濃度が低下して、正常な印刷や配向膜形成を行なう上 で大きな妨げとなる。

[0027] そこで、本発明の第 3の技術的課題は、洗浄移動ユニットとインクジェットヘッドとの 位置関係が不当に厳格な制約を受けないようにした上で、両者の接触に起因する耐 久性の低下、摩耗粉塵等の異物の発生、印刷不良や配向膜形成不良、更には負圧 吸引不良等を回避することにある。また、本発明の第 4の技術的課題は、ワイビング 装置の使用時に、インクジェットヘッドの液状材料噴出口を通じてその内部に洗浄液 が浸入して液状材料中に洗浄液が混入することにより液状材料の濃度が低下すると レ、う不具合を回避した上で、負圧吸引による洗浄能力をより高めることにある。 課題を解決するための手段

[0028] 上記第 1の技術的課題を解決するためになされた本発明は、インクタンクから複数 台のインクジェットヘッドに液状材料を送給するように構成したインクジェットヘッド送 液装置にぉレ、て、複数台のインクジェットヘッドにそれぞれ通じる液状材料送給用の 各個別送液管路を、一種類の液状材料を貯留する一個のインクタンクに通じる共通 送液管路に接続すると共に、前記共通送液管路と各個別送液管路との接続部また は各インクジェットヘッドもしくはそれらの各両者間にそれぞれ通じる気体流通可能な 各個別流気管路を、大気に対して開放及び閉鎖可能な共通流気管路に接続したこ とを特徴とするものである。ここで、上記の「インクジェットヘッド」とは、詳細には、イン クジェットヘッドの内部で吐出ノズル (例えば、複数の吐出ノズル）に通じている液溜り 部を意味する。

[0029] このような構成によれば、一個のインクタンクに貯留されている液状材料は、共通送 液管路から各個別送液管路を通過してそれぞれ各インクジェットヘッドに送給される 、この液状材料が送給されていく過程において、共通送液管路に空気等の気体が 存在していたならば、この気体は、各個別流気管路から共通流気管路を通過して大 気中に放出され得ることになる。詳述すると、インクタンクから液状材料が共通送液管 路に流れ始める初期の段階においては、共通送液管路内に気体が存在している場 合が多々あり、この気体は液状材料と共に各個別送液管路に流入し、更には各イン クジェットヘッドに流入するという事態が生じ得る。し力しながら、共通送液管路と各個 別送液管路との接続部、または各インクジェットヘッド、もしくはそれらの各両者間に は、それぞれ各個別流気管路が通じており、これらの個別流気管路は、大気に対し て開放及び閉鎖可能な共通流気管路に接続されている。したがって、液状材料が気 体と共に共通送液管路から各個別送液管路を通過して各インクジェットヘッドに流入 することが可能な時期に、共通流気管路を大気開放状態としておけば、上記の気体 は各個別流気管路から共通流気管路を通じて大気中に放出され得ることになる。こ の結果、気体が液状材料と共に各共通送液管路ゃ各インクジェットヘッドに溜め置か れるという事態が回避され、気体が存在することによるインクジェットヘッドからの液状 材料の噴出阻害を効果的に防止することが可能となる。

[0030] しかも、液状材料が共通送液管路から各個別送液管路を流れて各インクジェットへ ッドに溜め置かれるまでの間に、気体が各個別流気管路を通じて共通流気管路から 迅速に逃げていくことになるので、各インクジェットヘッドに溜め置かれる液状材料に 気体が悪影響を及ぼすことが有効に回避される。この結果、各インクジェットヘッドに それぞれ溜め置かれる液状材料は、流入後において相互間で均一な圧力になり、各 インクジェットヘッドからの液状材料の吐出にバラツキが生じなくなると共に、良好な 応答性を確保した状態で各インクジェットヘッドからの液状材料の吐出が可能となる。

[0031] 更に、各個別送液管路は、一個のインクタンクに通じる共通送液管路に接続され、 且つ各個別流気管路は、大気開放状態となり得る共通流気管路に接続されているこ とから、液状材料及び気体が流通する全ての管路の簡素化が図られる。カロえて、イン クタンクから各インクジェットヘッドに対する液状材料の送給及び停止を制御するバ ルブ手段等からなる制御手段を少数にすることができると共に、大気に対して気体を 開放及び閉鎖するバルブ手段等からなる制御手段も少数にすることができ、送液装 置の構成の簡素化及び製作コストの低廉化が図られる。

[0032] この場合、前記共通送液管路と最下流端の個別流気管路との接続部またはその近 傍力 前記共通流気管路に気体を排出させるように構成することが好ましい。

[0033] このようにすれば、共通送液管路を流れる気体が、確実に共通流気管路に排出さ れて、大気中に放出されることになるので、気体が共通送液管路に残留したり或いは 共通送液管路から各インクジェットヘッドに流入するという不具合が生じ難くなる。

[0034] そして、前記共通送液管路と各個別送液管路との接続部に、前記各個別流気管路 を接続した場合には、インクタンクから共通送液管路を液状材料と共に通過した気体 は、各個別送液管路に流入する直前で、それら個別送液管路と共通送液管路との 接続部から各個別流気管路及び共通流気管路を通過して大気中に放出されること になる。なお、各インクジェットヘッド内に既に残存している気体は、各インクジェット ヘッドの吐出ノズルから大気中に放出される。

[0035] また、前記各インクジェットヘッドに前記各個別流気管路を接続した場合には、各ィ ンクジヱットヘッド内に流入した気体及び各インクジェットヘッド内に残存している気体 は、該各インクジェットヘッドに接続された各個別流気管路及び共通流気管路を通過 して大気中に放出されることになる。

[0036] 更に、前記各両者間、すなわち前記各接続部と各インクジェットヘッドとの間の各個 別送液管路の途中に、前記各個別流気管路を接続した場合には、インクタンクから 共通送液管路を液状材料と共に通過した気体は、各個別送液管路に流入した後で あっても、各個別流気管路及び共通流気管路を通過して大気中に放出されることに なる。なお、この場合にも、各インクジェットヘッド内に既に残存している気体は、各ィ ンクジェットヘッドの吐出ノズルから大気中に放出される。

[0037] 以上の構成において、前記共通流気管路に、負圧源に通じる負圧管路を接続する ことが好ましい。

[0038] このようにすれば、各インクジェットヘッドに液状材料を流入させた後に、共通流気 管路を大気に対して閉鎖状態とした上で、負圧源からの負圧を、負圧通路を介して 共通流気管路及び各個別流気管路並びにこれらに通じる各インクジェットヘッドに作 用させることにより、各インクジェットヘッドの液状材料の内圧が下がり、吐出ノズル先 端からのいわゆる液垂れが効率良く防止されると共に、各インクジェットヘッドの相互 間で均一に内圧を下げることができるため、バラツキを生じることなく良好に液状材料 を噴出させることが可能となる。

[0039] この場合、前記共通流気管路は、負圧管路に通じるバイパス管路を有し、該バイパ ス管路に、前記各個別流気管路を所定間隔おきに接続することが好ましい。

[0040] このようにすれば、負圧管路からの負圧がバイパス管路を介して所定間隔おきに配 歹 IJされた各個別流気管路に作用することになるため、各インクジェットヘッド内の液状 材料に対しては、応答性良く均一に且つ安定的に負圧をかけることが可能となる。

[0041] 以上の構成において、前記インクタンクの内部空間に、気体圧源からの圧力気体を 圧送するように構成されてレ、ることが好ましレ、。

[0042] このようにすれば、気体圧源からの圧力空気をインクタンクの内部空間に流入させ ることにより、インクタンクに貯留されている液状材料が、圧力空気によって共通送液 管路に押し流されると共に、各個別送液管路を通過して各インクジェットヘッドに充填 される。これにより、均一な圧力で各インクジェットヘッドに液状材料を送液することが 可能になると共に、極めて短時間でインクタンクから各インクジェットヘッドに液状材 料が充填されることになり、充填作業の迅速化及びその作業効率の改善が図られる

[0043] 以上の構成において、前記共通流気管路は、前記インクタンクの液面よりも上方位 置を水平方向に延び、且つ該共通送液管路から下方に向かって前記各個別流気管 路が延びると共に、前記共通送液管路は、前記共通流気管路よりも下方位置であつ て前記各インクジェットヘッドの上方位置を水平方向に延び、且つ該共通送液管路 力 下方に向かって前記各個別送液管路が延びていることが好ましい。

[0044] このようにすれば、気体を大気中に放出するためのポンプ等を設けなくても、気体 が液状材料中を上方に向かって浮上するという自然現象に基づいて、共通送液管 路ゃ各インクジェットヘッドから気体を的確に且つ効率良く大気中に放出することが 可能となる。

[0045] また、上記第 2の技術的課題を解決するためになされた本発明は、インクタンクから インクジェットヘッドに液状材料を送給する送液経路を有すると共に、該送液経路の 途中に、その外表面側を覆う包囲体を有し且つ該包囲体の内部を減圧して液状材 料の脱気を行なう脱気ユニットを配備したインクジェットヘッド送液装置において、前 記送液経路は、気体透過性を有し且つ内部流路が単一とされた合成樹脂製の脱気 チューブを有し、該脱気チューブの送液方向の一部分が、前記脱気ユニットの包囲 体により覆われてレ、ることを特徴とするものである。

[0046] このような構成によれば、気体透過性を有する合成樹脂製の脱気チューブは、その 送液方向の一部分のみが脱気ユニットの包囲体により覆われており、その脱気チュ 一ブの全周囲（全長）が包囲体により覆われているわけではなレ、。カロえて、その脱気 チューブの内部流路は単一であることから、液状材料が脱気チューブを通じて脱気 ユニットに流入する際には、液状材料は単に脱気チューブの内部流路に沿って流れ てレ、くに過ぎないことになる。したがって、液状材料が脱気ユニットに流入する際に、 液状材料の流れによどみが生じて攪拌流や乱流等が発生することはないため、脱気 チューブ内の液状材料中に気泡が生成されて溶存気体量が増加するという事態も生 じなくなる。この結果、気泡が原因となってインクジェットヘッドの吐出ノズルから液状 材料が円滑に噴出されなくなるという不具合が可及的に抑制されることになる。

[0047] また、上記の脱気チューブの内径は、従来の中空糸膜の各単位中空糸ほどまでに 小径とする必要がないことから、その流通抵抗を小さくすることができ、低圧であって も液状材料を円滑に送給することが可能となる。これにより、送液経路をさほど高強 度としなくても充分に使用に耐え得ることになり、製作コストを削減できることに加えて 、送液経路に破損が生じ難くなり、更には圧力損失が低くなることから、可及的に無 駄が生じなくなる。この結果、粘度の高い液状材料であっても、円滑な送給を維持し つつ脱気を行なうことが可能となる。

[0048] 更に、脱気チューブの流路内面と液状材料との接触面積は、従来の中空糸膜の流 路内面と液状材料とのトータル接触面積に比して大幅に小さくなると共に、脱気チュ ーブの内部流路は滑らかに連続していることから、脱気チューブの内面が汚れ難い ばかりでなぐ洗浄時においては洗浄液の流通が円滑になる。したがって、脱気ュニ ット内の洗浄を容易且つ確実に行なえるようになり、内部流路等に液状材料や異物 或いはこれらの固化物が付着して液状材料の送給に支障を来たすという不具合が生 じ難くなる。

[0049] しかも、送液経路に脱気ユニットを取り付ける際には、脱気チューブの全長を包囲 体で覆う必要はなぐ脱気チューブの任意の一部分を包囲体で覆えばよいことになる ため、脱気ユニットの配設箇所が一義的に決まってしまうという不具合が回避され、 脱気ユニットを設置する際におけるレイアウトの自由度が増大する。

[0050] 上記の構成において、一本の脱気チューブについて一個または直列に複数個の 脱気ユニットを配備することが好ましレ、。

[0051] すなわち、二本または三本の脱気チューブを束にしてこれらの送液方向の一部分 に一個または直列に複数個の脱気ユニットを配備することも可能であるが、一本の脱 気チューブについて当該脱気ユニットを配備すれば、脱気ユニットの小型化ひいて は送液経路のコンパクトィ匕ゃ製作コストの低廉化が図られるば力、りでなぐ脱気チュ ーブの合流部や分岐部を形成する必要がなくなるため、液状材料の攪拌流或いは 乱流が生じ難くなり、溶存気体の不当な増加を抑制することが可能となる。このような 作用効果は、従来のように中空糸膜を使用した場合と比較すれば、より一層顕著に 現れる。

[0052] 以上の構成において、一種類の液状材料を一台のインクジェットヘッドに送給する 経路の少なくとも下流側部位を一本の脱気チューブで構成することが好ましい。

[0053] このようにすれば、脱気チューブの本数を必要最小限とすることができ、送液経路 の簡素化及び製作コストの低廉化が図られるば力りでなぐ下流側部位で脱気チュ 一ブに脱気ユニットを配備すれば、脱気をした後に脱気チューブの周壁を通じて外 部から液状材料に溶存気体が混入されてインクジェットヘッド（その内部の液溜り部） に持ち運ばれる度合が少なくなり、液状材料の噴射時における気泡による悪影響を 可及的に回避することが可能となる。この場合、インクジェットヘッドと脱気ユニットとを 一体化することが好ましい。

[0054] 以上の構成において、脱気チューブは、内径が 1. 0〜4. Ommの範囲内であり、 外径が 1. 2〜5. Ommの範囲内であることが好ましレ、。なお、内径及び外径は上記 の範囲内にあって、且つ外径は内径よりも当然の事ながら大きくされている。そして、 脱気チューブの肉厚は、 0.：!〜 0. 5mm,具体的には 0. 2mm程度であることが好ま しい。

[0055] すなわち、脱気チューブの内径が 1. Omm未満であると、その流路の通路抵抗が 増大して、大きな圧力損失を招くと共に、低圧で液状材料を送給できなくなり、また脱 気チューブの内径が 4. Ommを超えると、インクジェットヘッドに対する液状材料の送 給量或いは送給圧を、時間遅れを生じることなく微調整することが困難となる。したが つて、脱気チューブの内径が上記の数値範囲内にあれば、これらの不具合は生じ難 くなる。一方、脱気チューブの外径が 1. 2mm未満であると、脱気チューブの内径も 必然的に小さくなるため、上述の通路抵抗増大の問題等が生じると共に、脱気チュ ーブを曲げたときに折れて液状材料の流れが阻害されるという難点があり、また脱気 チューブの外径が 5. Ommを超えると、送液経路が大型になると共に、脱気チューブ の配設スペースやレイアウト上の問題が生じる。したがって、脱気チューブの外径が 上記の数値範囲内にあれば、これらの不具合は生じなレ、。

[0056] 以上の構成において、脱気ユニットの包囲体により覆われている部分の脱気チュー ブ長さが、包囲体の送液方向長さの 1. 5倍以上となるように、脱気チューブを橈ませ て包囲体の内部に収納することが好ましい。

[0057] このようにすれば、包囲体の内部に収納されて減圧による脱気作用を受ける脱気チ ユーブ長さ力 仮に脱気チューブを包囲体の内部に一直線上に延びるように収納し た場合と比較して、 1. 5倍以上となることから、脱気ユニットを送液方向に長尺にしな くても充分且つ確実な脱気を行なうことができ、脱気効率が大幅に向上する。このよう な点を勘案すれば、当該脱気チューブ長さの当該倍率は、 2倍以上、或いは 3倍以 上であることがより好ましい。また、包囲体の内部に収納されて減圧による脱気作用 を受ける脱気チューブ長さは、 200〜800mm、或レ、は 300〜700mm、具体的には 500mmであることが好ましぐ包囲体の送液方向長さは、 50〜200mm程度である ことが好ましい。

[0058] 以上の構成において、液状材料は、粘度が 5〜： 18cpであることが好ましい。このよ うな粘度の材料としては、基板 (例えば液晶表示装置の透明基板）上に膜 (例えば配 向膜)を形成する際に使用される膜材料 (例えば配向膜材料)を一例として挙げるこ とができる。

[0059] この場合、例えば通常の印字用のインクジェット式プリンタに使用される液状材料（ インク）の粘度は、 2. 5cp程度であるため、従来の中空糸膜のように通路抵抗や圧力 損失が大きくなるチューブ構造であっても、全く使用不能となるものではないが、粘度 力 〜 18cpであれば、通路抵抗や圧力損失の増大が従来の中空糸膜では致命的 な問題となる。これに対して、既述の構成を備えた本発明に係る脱気チューブ及び 脱気ユニットは、通路抵抗や圧力損失が小さいため、このように粘度の高い液状材料 であっても、円滑な送給が可能であって殆ど問題にはならない。なお、このように本 発明に係る送液装置で円滑に送給し得る高粘度の液状材料、例えば配向膜材料の 表面張力は、 30〜40dyn/cmである。

[0060] カロえて、本発明に係る送液装置は、複数のインクジェットヘッドを有する大型のプリ ンタに適用することにより、特にコンパクトィ匕に寄与することができると共に、メンテナ ンス作業も容易に行なうことが可能となる。

[0061] 更に、上記第 3の技術的課題を解決するためになされた本発明は、インクジヱットへ ッドの液状材料噴出口及び Z又はその周辺を洗浄するインクジェットヘッドワイビング 装置において、前記液状材料噴出口及び/又はその周辺に負圧による吸引力を発 生させる真空ノズノレを有し且つインクジェットヘッドに対して相対移動可能な洗浄移 動ユニットを、その全ての構成要素がインクジェットヘッドから完全に分離して非接触 に維持されるように構成したことを特徴とするものである。

[0062] この場合、洗浄移動ユニットの「全ての構成要素」とは、洗浄移動ユニットを構成し ている各部品のみならず、洗浄液の液柱をも含む。したがって、洗浄移動ユニットの 全ての構成要素がインクジェットヘッドから完全に分離して非接触に維持されるとうい うことは、洗浄移動ユニットの何れかの部品とインクジェットヘッドとが接触している場 合を排除するのみならず、洗浄移動ユニットとインクジェットヘッドとが例えば洗浄液 の液柱を介して接触している場合をも排除するものである。

[0063] このような構成によれば、洗浄移動ユニットを構成している各部品がインクジェットへ ッドに接触しなくなることから、これらが接触することによる傷の発生及びこれに起因 する耐久性低下等の不具合が生じなくなると共に、インクジェットヘッドの液状噴出口 やその周辺への摩耗粉塵等の異物の付着、及びこれに起因する液状材料の噴出不 良、並びに印刷不良や配向膜形成不良、更には負圧吸引不良等の不具合も生じな くなる。カロえて、洗浄移動ユニットとインクジェットヘッドとが洗浄液の液柱を介して接 触するという事態も生じないことから、この両者の位置関係を厳格にする必要がなぐ 位置決めに要する構造が簡素化されると共に、組立作業を容易に行なえるようになり 、製造コストの低廉化が図られる。

[0064] なお、前記真空ノズルによる吸引力は、前記液状材料噴出口を通じてその内部の 液状材料の内圧に影響を与えることがない程度の強さに設定されていることが好まし レ、。

[0065] また、上記第 4の技術的課題を解決するためになされた本発明は、インクジェットへ ッドの液状材料噴出口及び Z又はその周辺を洗浄するインクジェットヘッドワイビング 装置において、前記液状材料噴出口及び/又はその周辺に負圧による吸引力を発 生させる真空ノズルと前記液状材料噴出口及び Z又はその周辺に気体を噴射供給 する気体噴射ノズルとを有し且つインクジェットヘッドに対して相対移動可能な洗浄 移動ユニットを備えたことを特徴とするものである。ここで、上記の「気体」としては、例 えば、空気、窒素、アルゴン等が使用される。

[0066] このような構成によれば、インクジェットヘッドの液状材料噴出口及び Z又はその周 辺を洗浄する際には、気体噴射ノズルから洗浄部位に気体を噴射させることにより、 その洗浄部位に付着している液状材料の固化物ゃゴミ等の異物を剥離させつつ、真 空ノズノレによりその洗浄部位からそれらの異物等が吸引される。したがって、真空ノズ ルの吸引力のみによって洗浄部位から異物等を吸引する場合に比して、より一層確 実に洗浄部位を清浄な状態とすることが可能となる。カロえて、真空ノズルにより吸引さ れる気体の全量または略全量を、気体噴射ノズルから噴射された気体とすることがで きるため、周辺の汚れた空気やゴミ等を真空ノズルが吸引するという不具合が回避さ れる。しかも、従来のように洗浄液を用いた場合に生じる不具合、すなわちインクジェ ットヘッドの液状材料噴出口を通じてその内部に洗浄液が浸入して、液状材料中に 洗浄液が混入することにより、液状材料の濃度が低下するという不具合が、効果的に 回避される。

[0067] この場合においても、前記真空ノズルと気体噴射ノズルとを有する洗浄移動ュニッ トを、その全ての構成要素がインクジェットヘッドに非接触に維持されるように構成す ることが好ましい。

[0068] このようにすれば、上記第 3の技術的課題に対応する発明による作用効果と、第 4 の技術的課題に対応する発明による作用効果との双方を享受することができる。 [0069] また、この第 4の課題に対応する発明においては、前記気体噴射ノズルの気体噴 射口を、前記インクジェットヘッドの液状材料噴出口に対面する位置から偏倚した位 置に配置させるように構成することができる。

[0070] このようにすれば、気体噴射ノズルの気体噴射口 インクジェットヘッドの液状材 料噴出口に対面しなくなることから、気体噴射ノズルの気体噴射口から噴射された気 体力 直接的にインクジェットヘッドの液状材料噴出口を通じてその内部に浸入して 、液状材料を押圧するという事態が生じなくなる。これにより、インクジェットヘッドの内 部の液状材料が不当な押圧力或いは吹き付け力を受けることによる液状材料内圧の 不当な変化或いは液状材料の外部への飛散等の不具合が回避される。

[0071] 以上の構成を備えたインクジェットヘッドワイビング装置を、基板上に配向膜を形成 するためのインクジヱットヘッドに設けることにより、配向膜形成装置を構成することが できる。

[0072] すなわち、以上の構成を備えたインクジェットヘッドワイビング装置は、用紙に印字 等を行なうインクジェット式プリンタや、有機 EL表示器の基板 (透明基板）上にカラー フィルタを塗布する装置等に使用することも可能であるが、液晶表示器の基板 (透明 基板）上に配向膜を形成する配向膜形成装置に使用することが好適である。この場 合に使用される液状材料は、例えば、粘度が 5〜： 16cpとされ、また表面張力が 30〜 40dyn/cmとされる。

発明の効果

[0073] 以上のように、第 1の技術的課題に対応する本発明に係るインクジェットヘッド送液 装置によれば、一個のインクタンクからの液状材料が、共通送液管路内を気体と共に 流れた場合であっても、この気体は、個別流気管路から大気開放状態の共通流気管 路を通過して大気中に放出されるため、気体が液状材料と共に各個別送液管路を 流れて各インクジェットヘッドに溜め置かれるという事態が回避され、各インクジェット ヘッドからの液状材料の噴出阻害が効果的に防止される。しかも、液状材料が共通 送液管路から各個別送液管路を流れて各インクジェットヘッドに溜め置かれるまでの 間に、気体が各個別流気管路を通じて共通流気管路から迅速に逃げていくことにな るので、各インクジェットヘッドにそれぞれ流入する液状材料が相互間で均一な圧力 になり、各インクジェットヘッドからの液状材料の吐出にバラツキが生じなくなると共に 、良好な応答性を確保した状態で各インクジェットヘッドからの液状材料の吐出が可 能となる。更に、各個別送液管路は、一個のインクタンクに通じる共通送液管路に接 続され、且つ各個別流気管路は、大気開放状態となり得る共通流気管路に接続され ていることから、液状材料及び気体が流通する全ての管路の簡素化が図られる。カロ えて、インクタンクから各インクジェットヘッドに対する液状材料の送給及び停止を制 御するバルブ手段等からなる制御手段を少数にすることができると共に、大気に対し て気体を開放及び閉鎖するバルブ手段等からなる制御手段も少数にすることができ 、送液装置の構成の簡素化及び製作コストの低廉化が図られる。

また、第 2の技術的課題に対応する本発明に係るインクジェットヘッド送液装置によ れば、気体透過性を有する合成樹脂製の脱気チューブの送液方向の一部分のみが 、脱気ユニットの包囲体により覆われ、且つその脱気チューブの内部流路は単一で あることから、液状材料が脱気ユニットに流入する際に、液状材料の流れによどみが 生じて攪拌流や乱流等が発生することがなくなるため、脱気チューブ内の液状材料 に気泡が生成されて溶存気体量が増加するという事態が生じなくなり、気泡を原因と する液状材料の噴出阻害が可及的に抑制される。また、脱気チューブの内径を、従 来の中空糸膜の各単位中空糸ほどまでに小径とする必要がないことから、その流通 抵抗を小さくすることができ、低圧であっても液状材料を円滑に送給することが可能と なるため、製作コストの削減、送液経路の破損防止、及び圧力損失の低減に寄与す ることができると共に、粘度の高い液状材料であっても、円滑に送給をしつつ脱気を 行なうことが可能となる。しかも、送液経路の洗浄時においては、滑らかに連続する 脱気チューブの内部流路を洗浄するだけで済むため、従来のように中空糸膜を使用 した場合と比較して、脱気ユニット内の洗浄を容易且つ確実に行なえるようになり、内 部流路等に液状材料や異物或いはこれらの固化物が付着して液状材料の送給に支 障を来たすという不具合が生じ難くなる。カロえて、送液経路に脱気ユニットを取り付け る際には、脱気チューブの任意の一部分を包囲体で覆えばよいことになるため、脱 気ユニットの配設箇所が一義的に決まってしまうという不具合が回避され、脱気ュニ ットを設置する際のレイアウトの自由度が増大する。更に、複数のインクジェットヘッド を有する大型のプリンタに適用すれば、コンパクトィヒに寄与することができると共に、 メンテナンス作業も容易に行なうことが可能となる。

[0075] 更に、第 3の技術的課題に対応する本発明に係るインクジェットヘッドワイビング装 置によれば、真空ノズノレを有する洗浄移動ユニットを、その全ての構成要素がインク ジェットヘッドから完全に分離して非接触に維持されるように構成したから、洗浄移動 ユニットを構成している各部品の何れ力、がインクジェットヘッドに接触することによる傷 の発生及びこれに起因する耐久性低下等の不具合が生じなくなると共に、インクジェ ットヘッドの液状噴出口やその周辺への摩耗粉塵等の異物の付着、及びこれに起因 する液状材料の噴出不良、並びに印刷不良や配向膜形成不良、更には負圧吸引不 良等の不具合も生じなくなる。カロえて、洗浄移動ユニットとインクジェットヘッドとが洗 浄液の液柱を介して接触するという事態も生じないことから、この両者の位置関係を 厳格にする必要がなぐ位置決めに要する構造が簡素化されると共に、組立作業を 容易に行なえるようになり、製造コストの低廉化が図られる。

[0076] また、第 4の技術的課題に対応する本発明に係るインクジェットヘッドワイビング装 置によれば、真空ノズルと気体噴射ノズルとを有する洗浄移動ユニットを備えたことか ら、真空ノズルの吸引力のみによって洗浄部位から異物等を吸引する場合に比して

、より一層確実に洗浄部位を清浄な状態にできると共に、真空ノズノレにより吸引され る気体の全量または略全量を、気体噴射ノズルから噴射された気体とすることができ るため、周辺の汚れた空気やゴミ等を真空ノズノレが吸引するという不具合が回避され る。しかも、従来のように洗浄液を用いた場合に生じる不具合、すなわちインクジエツ トヘッドの液状材料噴出口を通じてその内部に洗浄液が浸入して、液状材料中に洗 浄液が混入することにより、液状材料の濃度が低下するという不具合が効果的に回 避される。

図面の簡単な説明

[0077] [図 1]図 1は、本発明の第 1実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置の全体構成 を示す概略図である。

[図 2]図 2は、本発明の第 2実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置の全体構成 を示す概略図である。 園 3]図 3は、本発明の第 3実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置の全体構成 を示す概略図である。

[図 4]図 4は、本発明の第 3実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置の構成要素 である第 1脱気ユニットを示す拡大概略図である。

園 5]図 5は、本発明の第 3実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置の構成要素 である第 2脱気ユニットを示す拡大概略図である。

園 6]図 6は、本発明の第 4実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置の全体構成 を示す概略図である。

園 7]図 7(a)は、本発明の第 5実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を示 す概略正面図、図 7(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図 である。

[図 8]図 8(a)は、本発明の第 6実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を示 す概略正面図、図 8(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図 である。

園 9]図 9(a)は、本発明の第 7実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を示 す概略正面図、図 9(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図 である。

園 10]図 10(a)は、本発明の第 8実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を 示す概略正面図、図 10(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側 面図である。

園 11]図 11(a)は、本発明の第 9実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を 示す概略平面図、図 11(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略正 面図、図 11(c)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図である。 園 12]従来例に係るインクジェットヘッド送液装置の全体構成を示す概略図である。 園 13]従来例に係るインクジェットヘッド送液装置の全体構成を示す概略図である。 符号の説明

1 インクタンク

2 共通送液管路 3 個別送液管路

4 インクジェットヘッド

8 回収タンク

18 共通流気管路

18a バイパス管路

19 個別流気管路

30 気体圧源

41 負圧ポンプ (負圧源）

発明を実施するための最良の形態

[0079] 以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。

[0080] [第 1実施形態]

図 1は、本発明の第 1実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置を例示するもの である。同図に示すように、この第 1実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置は、 液状材料を貯留するインクタンク 1に、該インクタンク 1の下方位置を水平方向に延び る共通送液管路 2が通じていると共に、この共通送液管路 2には、等間隔おきに複数 本の個別送液管路 3が接続されている。これらの個別送液管路 3は、共通送液管路 2 力 下方に向かって延びると共に、各個別送液管路 3の下端は、それぞれインクジヱ ットヘッド 4 (その内部の液溜り部）に接続され、且つそれらの上下方向途中には、そ れぞれ液状材料中の空気等の気泡を脱気するための脱気手段 5が設置されている。 なお、インクジェットヘッド 4は、図例では 6台が設置されている力 それ以上の n台で あってもよレ、。また、各インクジェットヘッド 4と各脱気手段 5とは、一体化されていても よぐ或いは図示のように別体として分離されていてもよレ、。また、インクタンク 1は、一 種類の液状材料 (例えば、配向膜材料)を貯留するために、一個だけ備えられている

[0081] 前記共通送液管路 2における最上流端に位置する個別送液管路 3との接続部 6よ りも上流側には、開閉機能を有する送液バルブ 7が設置されている。一方、前記共通 送液管路 2の下流端は、該共通送液管路 2を余分に流れた液状材料を回収する回 収タンク 8に通じており、この回収タンク 8は、共通送液管路 2の下方位置に配備され ている。そして、前記共通送液管路 2における最下流端に位置する個別送液管路 3と の接続部 9よりも下流側には、開閉機能を有する回収バルブ 10が設置され、更にそ の上流側には、液状材料の通過または存在を検出する回収センサ 11が設置されて いる。

[0082] また、インクタンク 1の下方位置には、液状材料を貯留するための相対的に容量の 大きな供給タンク 12が配備されると共に、この供給タンク 12とインクタンク 1とは初期供 給管路 13を介して連通しており、この初期供給管路 13の途中には、開閉機能を有す る供給バルブ 14と、それよりも供給タンク 12側に位置する供給ポンプ 15とが設置され ている。なお、インクタンク 1には、その中に貯留されている液状材料の液面の位置を 制御するレベルスィッチ 16と、その液面の上部空間の内圧を測定する内圧用圧力計 17とが設置されている。

[0083] 一方、このインクジェットヘッド送液装置は、インクタンク 1の上方位置、詳しくはイン クタンク 1の最高液位よりも上方位置を水平方向に延びるバイパス管路 18aを有する 共通流気管路 18が張り渡されてレ、る。この共通流気管路 18のバイパス管路 18aには、 複数本の個別流気管路 19が接続されると共に、これらの個別流気管路 19は、バイパ ス管路 18aから下方に向かって延びている。そして、各個別流気管路 19の下端は、そ れぞれインクジェットヘッド 4 (その内部の液溜り部）に接続されている。また、最下流 端に位置する個別送液管路 3と共通送液管路 2との接続部 9には、バイパス管路 18a (共通流気管路 18)から下方に向かって延びる送液流気管路 20が連通しており、この 送液流気管路 20の上下方向所定位置には、液充填確認センサ 21が設置されている 。更に、バイパス管路 18a (共通流気管路 18)の一端は、共通送液管路 2の下流側端 部に合流して回収タンク 8に通じると共に、このバイパス管路 18aにおける送液流気管 路 20との接続部 22よりも回収タンク 8側には、開閉機能を有する気体抜きバルブ 23が 設置されている。したがって、共通流気管路 18の一端は、大気に対して開放及び閉 鎖されるように構成されてレヽる。

[0084] 更に、共通流気管路 18のバイパス管路 18aの中間部 24は、圧力可変基管路 25を介 してインクタンク 1内の液面の上方空間に通じており、この圧力可変基管路 25の途中 には、インクタンク 1側から順に、タンクバルブ 26と、バイパスバルブ 27とが設置されて いる。そして、この圧力可変基管路 25における両バルブ 26、 27の設置位置の中間部 28には、圧力制御管路 29の基端が接続されている。この圧力制御管路 29の先端部 には、先端から順に、窒素等の気体圧源 30と、パージ圧レギユレータ (30Kpa)31と、パ 一ジ圧用圧力計 32と、パージバルブ 33とが設置されている。また、圧力制御管路 29 におけるパージバルブ 33の基端側から分岐した帰還管路 34の先端は、圧力制御管 路 29における気体圧源 30とパージ圧レギユレータ 31との間に帰還して接続されてい る。そして、この帰還管路 34には、先端側から順に、大気開放レギユレータ (lKpa)35と 、大気開放用圧力計 36と、大気開放バルブ 37とが設置されている。また、この帰還管 路 34における大気開放レギユレータ 35と大気開放用圧力計 36との間から分岐した補 助分岐管路 38の先端は、大気開放部 39に通じている。したがって、大気開放バルブ 37から補助分岐 38までの間は、略大気圧状態となっている。更に、圧力制御管路 29 における帰還管路 34よりも基端側から分岐した分岐管路 39には、先端から順に、大 気開放部 40と、負圧ポンプ 41と、負圧バルブ 42とが設置されている。

[0085] 次に、上記の第 1実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置の作用を説明する。

[0086] インクタンク 1内における液状材料の貯留量の制御に関しては、供給ポンプ 15の作 動により、大容量の液状材料を貯留している供給タンク 12から、開弁状態にある供給 バルブ 14を通じてインクタンク 1に液状材料を供給する。この場合、インクタンク 1内に おける液状材料の液面の高低は、レベルスィッチ 16により制御されることから、インク タンク 1内は常に所定量の液状材料が貯留された状態に維持される。

[0087] 次に、インクタンク 1から複数台のインクジェットヘッド 4に液状材料を送液する場合 には、圧力制御管路 29上のパージバルブ 33と、圧力可変基管路 25上のタンクバルブ 26とを開弁させた状態で、インクタンク 1内における液面の上部空間に窒素等の気体 を圧送して、その内圧を上昇させる。このような状態の下で、共通送液管路 2上の送 液バルブ 7及び回収バルブ 10と、ノ ィパス管路 18a (共通流気管路 18)上の気体抜き バルブ 23とを開弁させて、インクタンク 1内の液状材料を、共通送液管路 2及び各個 別送液管路 3を通じて各インクジェットヘッド 4に送液する。この際に、共通送液管路 2内を液状材料と共に送給される気体は、回収バルブ 10を通じてバイパス管路 18a ( 共通流気管路 18)に流入して大気中に放出されると共に、各インクジェットヘッド 4内 の気体は、各個別流気管路 19を通過してバイパス管路 18aに流入し、気体抜きバル ブ 23を通じて大気中に放出される。

[0088] この後、液状材料が送給され続けることにより、各インクジェットヘッド 4に液状材料 が充填されるが、この時点においては、共通流気管路 18のバイパス管路 18aの存在 によって各インクジェットヘッド 4の内圧が均一化されることから、液状材料は各インク ジェットヘッド 4に均一に充填される。そして、液状材料が共通送液管路 2から回収バ ルブ 10を通じて回収センサ 11に達した時点で、回収バルブ 10を閉弁させる。更に、 液状材料が送液流気管路 20内を所定位置まで上昇したことを、液充填確認センサ 2 1が検出した時点で、気体抜きバルブ 23が閉じられると共に、各インクジェットヘッド 4 に充填された液状材料が各インクジェットヘッド 4の吐出ノズノレに達して滴下した時点 で、パージバルブ 33と送液バルブ 7とが閉じられることにより、インクタンク 1から各イン クジェットヘッド 4への送液動作が終了する。この場合、インクタンク 1の液面位置と、 液充填確認センサ 21の設置位置とは、同一又は略同一の高さ位置となるように設定 されているため、各個別流気管路 19内には、液状材料が液充填確認センサ 21の設 置位置と同一又は略同一の高さ位置まで上昇した状態となる。

[0089] この時点においては、各インクジェットヘッド 4とインクタンク 1との内部が加圧状態と なっているため、先ず大気開放バルブ 37を開いてそれらの内圧を大気圧状態にする 。この場合、大気が逆流しないように、大気開放レギユレータ 35は 0. lkPaで常に補 助分岐管路 38を通じて大気に窒素が放出されているため、補助分岐管路 38は略大 気圧状態にあり、大気開放バルブ 37を通じて大気圧状態に減圧されることになる。そ の後、大気開放バルブ 37を閉じると共に、負圧バルブ 42とタンクバルブ 26とバイパス バルブ 27と送液バルブ 7とを開くことにより、負圧ポンプ 41の動作によって各インクジ ヱットヘッド 4の内圧を所定の負圧まで下げ、これによりインクジェットヘッド 4の吐出ノ ズルから液状材料が適切に噴出できる状態とする。この時点において、各インクジェ ットヘッド 4内の液状材料は、インクタンク 1内の液面の上部空間に作用する負圧と、 バイパス管路 18aに作用する負圧との影響を受けていることになる。したがって、これ らの各インクジェットヘッド 4内の液状材料に対しては、均一に且つ応答性良くしかも 安定的に負圧が作用することになる。 [0090] [第 2実施形態]

図 2は、本発明の第 2実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置を例示するもの である。この第 2実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置が上述の第 1実施形態 に係るインクジェットヘッド送液装置と相違している点は、共通流気管路 18のバイパス 管路 18aから下方に延びてレ、る各個別流気管路 19の各下端が、共通送液管路 2と各 個別送液管路 3との各接続部に通じている点と、最下流端の個別流気管路 19が送液 流気管路 20を兼ねている点とである。その他の構成要件については、上述の第 1実 施形態に係るインクジェットヘッド送液装置と同一であるので、この両者に共通の構 成要件については同一符号を使用し、重複した説明を省略する。

[0091] この第 2実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置によれば、共通送液管路 2を 流れる気体は、各接続部から個別流気管路 19を経て共通流気管路 18に流入した後 に大気中に放出されると共に、バイパス管路 18aの存在によって各インクジェットへッ ド 4の内圧が均一化される。また、負圧ポンプ 41の動作により発生する負圧は、バイ パス管路 18aから各個別流気管路 19を通じて各個別送液管路 3に均一に作用するた め、各インクジェットヘッド 4から液状材料を効率良く噴出できることになる。これ以外 の作用効果は、上述の第 1実施形態と同一であるので、その説明を省略する。

[0092] なお、上記第 1実施形態及び第 2実施形態の構成において、各個別流気管路 19の 下端を、共通送液管路 2と各個別送液管路 3との各接続部から各インクジェットヘッド 4に至るまでの途中、つまり各個別送液管路 3の途中又は脱気手段 5の入口若しくは 出口に接続するようにしてもょレ、。

[0093] [第 3実施形態]

図 3〜図 5は、本発明の第 3実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置を例示す るものである。図 3に示すように、この第 3実施形態に係るインクジェットヘッド送液装 置は、液状材料を貯留するインクタンク 1からインクジェットヘッド 2 (内部の液溜り部） に液状材料を送給する送液経路 3を有し、この送液経路 3の途中における二箇所に 、第 1脱気ユニット 4と第 2脱気ユニット 5とが配備されている。送液経路 3は、気体透 過性を有し且つ内部流路が単一とされた合成樹脂製の二本の脱気チューブ（以下、 第 1、第 2脱気チューブ 6、 7という）と、気体透過性を有さず且つ内部流路が単一とさ れた金属製等の三本の送液チューブ（以下、第 1〜第 3送液チューブ 8、 9、 10という） とを接続して構成されている。この場合、第 1、第 2脱気チューブ 6、 7は、 SMC株式 会社製のチューブ {商品名：テフロンチューブ (型式： TL 0403— 20) }を、所定長 さ（例えば 500mm)に切断したものであって、この第 3実施形態では、内径が 3. 0m m，外径が 4. Omm, 肉厚が 0. 5mmのものが使用されている。

[0094] 詳述すると、送液経路 3は、インクジェットヘッド 2に接続された下流端の第 1送液チ ユーブ 8と、その上流端部に接続され且つ第 1脱気ユニット 4を構成する要素である第 1脱気チューブ 6と、その上流端部に接続された中間の第 2送液チューブ 9と、その上 流端部に接続され且つ第 2脱気ユニット 5を構成する要素である第 2脱気チューブ 7 と、その上流端部とインクタンク 1とに接続された上流端の第 3送液チューブ 10とを有 する。

[0095] 第 1脱気ユニット 4は、第 1脱気チューブ 6の外表面側を第 1包囲体 11が覆うことによ り構成され、第 2脱気ユニット 5は、第 2脱気チューブ 7の外表面側を第 2包囲体 12が 覆うことにより構成されると共に、第 1包囲体 11には、第 1真空チューブ 13が接続され 、第 2包囲体 12には、第 2真空チューブ 14が接続されている。そして、第 1真空チュー ブ 13と第 2真空チューブ 14とは、集合真空チューブ 15に合流して真空タンク 16に接 続され、真空タンク 16には、真空ポンプ 17が接続されている。なお、インクジェットへッ ド 2には、その吐出ノズルからの液状材料の吐出制御及びその他の各種動作の制御 をするための電気信号ケーブル 18が接続されている。

[0096] 詳述すると、第 1脱気ユニット 4は、図 4に示すように、箱状 (矩形）の容器からなる第 1包囲体 11が第 1脱気チューブ 6の外表面側を覆っており、第 1脱気チューブ 6は、第 1包囲体 11を送液方向（a— a方向）に貫通してその上流側と下流側とに延出されて いる。すなわち、第 1包囲体 11は、第 1脱気チューブ 6の送液方向の中間における一 部分を覆っている。そして、第 1脱気チューブ 6は、第 1包囲体 11の内部収容空間 21 において複数回（例えば 5回）に亘つて卷回されてコイル状に橈んだ形態とされてお り、これにより第 1脱気チューブ 6の内部収容空間 21内におけるチューブ長さは、第 1 包囲体 11の送液方向長さの 1. 5倍から 15倍、好ましくは 8倍から 12倍程度とされて おり、また内部収容空間 21内におけるチューブ長さの上限は、 500mm力ら 1000m m,好ましくは 800mmとされている。この場合、第 1包囲体 11の送液方向長さは、 50 〜200mm程度とされている。

[0097] 更に、第 1包囲体 11の内部収容空間 21は、外気と遮断されており、真空タンク 16か らの負圧が第 1真空チューブ 13を介して導入されることにより内部収容空間 21が減圧 され、これにより第 1脱気チューブ 6の内部流路を流れている液状材料の脱気が行な われる構成とされている。この脱気が行なわれる場合の内部収容空間 21の真空度は 、一 97〜一 lOOKPaとされており、脱気が行なわれることによって液状材料中の溶存 気体の量は、例えば 2ml/1000ml程度となっている。

[0098] また、図 5に示すように、第 2脱気ユニット 5は、管状（円筒形）の容器からなる第 2包 囲体 12が第 2脱気チューブ 7の外表面側を覆っており、第 2脱気チューブ 7は、第 2包 囲体 12を送液方向（a_a方向）に貫通してその上流側と下流側とに延出されている。 この場合にも、第 2包囲体 12は、第 2脱気チューブ 7の送液方向の中間における一部 分を覆っているが、この第 2脱気チューブ 7は、第 2包囲体 12の内部収容空間 22を一 直線上に延びている。また、第 2包囲体 12の内部収容空間 22も、外気と遮断されて おり、真空タンク 16からの負圧が第 2真空チューブ 14を介して導入されることにより内 部収容空間 22が減圧され、これにより第 2脱気チューブ 7の内部流路を流れている液 状材料の脱気が行なわれる構成とされている。この場合にも、内部収容空間 22の真 空度は、 97〜一 lOOKPaとされており、脱気が行なわれることによって液状材料中 の溶存気体の量は、例えば 2ml/1000ml程度となっている。

[0099] なお、この第 3実施形態で使用される液状材料は、液晶表示装置のガラスパネルの 原板であるガラス基板に形成される配向膜の材料であって、粘度が 5〜： 18cpであり 且つ表面張力が 30〜40dyn/cmとレ、う特性を有してレ、る。

[0100] 以上のような第 3実施形態の構成によれば、液状材料は、インクタンク 1から、第 1送 液チューブ 8、第 1脱気チューブ 6、第 2送液チューブ 9、第 2脱気チューブ 7、及び第 3送液チューブ 10の内部流路を通過して、インクジェットヘッド 2内の液溜り部に送給 され、ピエゾ素子の動作によってその吐出ノズルから噴射される。このように液状材料 が送液経路 3を通過してインクジェットヘッド 2に導かれる間においては、その途中の 二箇所で、第 1脱気ユニット 4と第 2脱気ユニット 5とによって溶存気体の脱気が行な われるため、インクジェットヘッド 2には許容値（4ml/1000ml)以下の溶存気体を含有 する液状材料が供給される。

[0101] この場合、第 1、第 2脱気ユニット 4、 5により脱気が行なわれる部位には、気体透過 性を有する第 1、第 2脱気チューブ 6、 7が配設され、その他の露出部位には、気体透 過性を有しない第 1〜第 3送液チューブ 8、 9、 10が配設されていることから、これらの 各チューブのチューブ壁を通じて空気が液状材料に溶存気体として混入されること による不都合は生じなくなる。すなわち、各送液チューブ 8、 9、 10のチューブ壁を通 じて空気が液状材料に溶存気体として混入されることは有り得ず、また各脱気チュー ブ 6、 7の各包囲体 11、 12からの露出部分のチューブ壁を通じて液状材料に混入さ れる空気は僅かながら存在するものの、各脱気ユニット 4、 5の動作により溶存気体の 量は許容値よりも遥かに少なくなることから、上記の僅かな空気の混入によって溶存 気体の量が増加しても、それは微量であることから、上記の許容値を超えることは有り 得ない。したがって、液状材料の溶存気体がインクジェットヘッド 2からの液状材料の 噴出等に悪影響を与えるとレ、う事態は生じなレ、。

[0102] なお、上記第 3実施形態では、形態の相違する第 1、第 2脱気ユニット 4、 5を送液 経路 3に直列に配設したが、形態が同一の二個の脱気ユニット、または何れか一方 の一個の脱気ユニットを送液経路に配設するようにしてもよぐ或いは形態が同一ま たは相違する三個以上の脱気ユニットを送液経路 3に直列に配設するようにしてもよ レ、。

[0103] [第 4実施形態]

図 6は、本発明の第 4実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置を例示するもの である。同図に示すように、この第 4実施形態に係る送液装置は、複数台のインクジ エツトヘッド 2aを搭載した大型のプリンタ（配向膜形成装置）に装備されるものであり、 その送液経路 3aは、インクタンク laに接続される一本の主経路 3bと、この主経路 3bか ら分岐して複数台のインクジェットヘッド 2aに接続される複数本の分岐経路 3cとを有 する。

[0104] 複数本の分岐経路 3cにおける送液方向の途中には、それぞれ脱気ユニット 4aが配 備されているが、これらの脱気ユニット 4aの構造ゃ配設状態は、既述の第 3実施形態 に係るものと同一である。そして、各分岐経路 3cにおける脱気ユニット 4aの内部及び その周辺部は、気体透過性を有し且つ内部流路が単一とされた合成樹脂製の脱気 チューブ 6aで構成されると共に、各分岐経路 3cにおける主経路 3bからの分岐位置周 辺部 3d及びインクジェットヘッド 2aへの接続位置周辺部 3eは、気体透過性を有さず 且つ内部流路が単一とされた金属製等の送液チューブで構成され、また主経路 3b は、同様の送液チューブで構成されている。したがって、この送液装置によるにしても 、既述の第 3実施形態と同様に、液状材料の溶存気体が各インクジェットヘッド 2aか らの液状材料の噴出等に悪影響を与えるという事態は生じなくなる。

[0105] なお、上記の第 3、第 4実施形態では、送液経路の下流側部位に配設された脱気 ユニットとインクジェットヘッド 2とを別体として構成した力 S、この両者を一体として構成 してもよレ、。また、この第 3、第 4実施形態では、一本の脱気チューブについて一個の 脱気ユニットを配備したが、これとは別に、一本の脱気チューブについて複数個の脱 気ユニットを直列に配備するようにしてもょレ、。

[0106] [第 5実施形態]

図 7(a)、（b)は、本発明の第 5実施形態に係るインクジェットヘッド送液装置を例示す るものである。同図に示すように、この第 5実施形態に係るインクジェットヘッドワイピン グ装置は、インクジェットヘッド（プリントヘッド） 1の一端面つまりノズル面 2に所定のピ ツチで縦方向（図 7(a)の左右方向）に複数配列された噴出ノズノレの液状材料噴出口 3及び/又はその周辺を洗浄する洗浄移動ユニット 4を備えている。なお、図 7(a)、 (b )では、便宜上、各液状材料噴出口 3 (噴出ノズル）をインクジェットヘッド 1の一端面 2 力 突出させている力 これらの液状材料噴出口 3は、この第 5実施形態では、インク ジェットヘッド 1の一端面 2に開口しており、この一端面 2からは突出していなレ、（以下 の第 6〜第 9実施形態についても同様)。但し、本発明は、これらの液状材料噴出口 3がインクジェットヘッド 1の一端面 2から突出してなるものを排除するものではない。

[0107] 前記洗浄移動ユニット 4は、真空ノズル 5を有すると共に、矢印 Xで示す縦方向すな わち液状材料噴出口 3の配列方向に対して移動するように構成されている。そして、 この洗浄移動ユニット 4の真空ノズル 5を含む全ての構成要素は、その使用時に、ィ ンクジェットヘッド 1から完全に分離して非接触に維持されるように構成されている。こ の場合、インクジェットヘッド 1の一端面 2と洗浄移動ユニット 4との離間寸法 Sは、 0. 2mm〜： 1. 0mmの範囲内、好ましくは 0. 3mm〜0. 7mmの範囲内、この第 5実施 形態では、概ね 0. 5mmに設定されている（以下の第 6〜第 9実施形態についても同 様)。また、真空ノズノレ 5は、吸引通路 6を介して図外の負圧源に連通されており、こ の真空ノズル 5の内部及び吸引通路 6の内部では、矢印 Al、 A2で示す方向に吸引 エアが流れるように構成されてレ、る。

[0108] 前記真空ノズル 5の吸引口 7は、縦方向に短尺であり、且つ、横方向すなわちインク ジェットヘッド 1の一端面 2に対向する面内で縦方向と直交する横方向（図 7(b)の左 右方向）に長尺なスリット状に形成されている。すなわち、真空ノズル 5の吸引口 7に おける縦方向寸法については、 0. 2mm〜： 1. 0mmの範囲内、好ましくは 0. 3mm〜 0. 7mmの範囲内、この第 5実施形態では、概ね 0. 5mmに設定されており（第 6〜 第 9実施形態についても、吸引口 7の短尺側寸法は、この場合と同様）、横方向につ いては、インクジェットヘッド 1の一端面 2の横方向寸法と同一又は略同一とされてい る。したがって、この真空ノズル 5を矢印 Xで示す縦方向に移動させることのみをもつ て、インクジェットヘッド 1の一端面 2の全領域に対する洗浄作業を行なうことが可能 に構成されている。

[0109] 更に、この第 5実施形態では、真空ノズル 5の吸引口 7の横方向中間位置に、インク ジェットヘッド 1の各液状材料噴出口 3と吸引口 7とが直接対面しないようにするため の邪魔部 8が形成されている。すなわち、洗浄移動ユニット 4の縦方向 Xに対する移 動時においては、真空ノズル 5の邪魔部 8とインクジェットヘッド 1の液状材料噴出口 3 とが対面した状態に維持されるように構成されている。したがって、インクジェットへッ ド 1の液状材料噴出口 3に対しては、真空ノズル 5の吸引口 7から直接的に負圧によ る吸引力が作用しない構成とされており、これにより真空ノズル 5による吸引力が、液 状材料噴出口 3を通じてその内部の液状材料の内圧に不当な影響を与えること、及 びこれに起因して液状材料の噴出ノズルの内部に空気が混入することを回避できる ように配慮がなされている。なお、真空ノズル 5による吸引力を、液状材料噴出口 3を 通じてその内部の液状材料の内圧に影響を与えることがない程度の強さに設定して おけば、上記の邪魔部 8を設けなくてもよい。 [0110] 以上のように、この第 5実施形態の構成によれば、インクジェットヘッド 1の一端面 2 つまり液状材料噴出口 3及びその周辺に付着している膜材料の固化物ゃゴミ等の異 物力 洗浄移動ユニット 4の真空ノズル 5から作用する負圧によって真空ノズル 5内に 吸引され、洗浄作業が行われる。そして、この洗浄移動ユニット 4が、このような動作 を行ないつつ、矢印 Xで示す縦方向に移動していくことにより、インクジェットヘッド 1 の一端面（ノズル面） 2の全域又は略全域の洗浄が行われる。

[0111] そして、洗浄移動ユニット 4を構成している各部の全てはインクジェットヘッド 1に対 して完全非接触とされていることから、これらが接触することによる傷の発生及びこれ に起因する耐久性の低下等が生じなくなる。しかも、インクジェットヘッド 1の液状材料 噴出口 3やその周辺への摩耗粉塵等の異物の付着、及びこれに起因する液状材料 の噴出不良、印刷不良又は配向膜形成不良、更には負圧吸引不良等も生じなくなる 。カロえて、洗浄移動ユニット 4とインクジェットヘッド 1とが洗浄液の液柱を介して接触 するという事態も生じないことから、この両者の位置関係を厳格にする必要がなぐ位 置決めに要する構造が簡素化されると共に、組立作業を容易に行なえるようになる。

[0112] [第 6実施形態]

図 8(a)は、本発明の第 6実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を示す 概略正面図、図 8(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図で ある。なお、図 8(a)、（b)に基づくこの第 6実施形態に係るインクジェットヘッドワイピン グ装置の説明において、上述の第 5実施形態と共通の構成要件については同一符 号を使用して、その詳細な説明を省略する。

[0113] 図 8(a)、（b)に示すように、このインクジェットヘッドワイビング装置は、インクジェットへ ッド 1の液状材料噴出口 3が形成された一端面 2に対して、完全非接触で縦方向に 移動可能な洗浄移動ユニット 4が、真空ノズル 5に加えて、空気や窒素等の気体をィ ンクジェットヘッド 1の一端面 2に噴射供給するための気体噴射ノズル 9を有している 。そして、インクジェットヘッド 1の一端面 2における気体噴射ノズル 9による気体噴射 領域と真空ノズル 5による吸引領域とは略一致しており、詳しくは、気体噴射領域は 吸引領域の全てを包含してレ、る。

[0114] 真空ノズル 5の吸引口 7は、縦方向に短尺で且つ横方向に長尺なスリット状に形成 されると共に、気体噴射ノズル 9の気体噴射口 10も同様に、縦方向に短尺で且つ横 方向に長尺なスリット状に形成され、且つ、単一の吸引口 7を中心してその縦方向両 側に 2つの気体噴射口 10が形成されている。この 2つの気体噴射口 10は、吸引口 7 から隔離されていると共に、吸引口 7の邪魔部 8と同様に、それぞれの気体噴射口 10 の横方向中間位置には、インクジェットヘッド 1の各液状材料噴出口 3と気体噴射口 1 0とが直接対面しないようにするための邪魔部 8が形成されている。すなわち、インク ジェットヘッド 1の液状材料噴出口 3に対して、気体噴射口 10から直接的に気体が噴 射供給されない構成とされており、これにより気体噴射口 10から噴射供給された気体 力 液状材料噴出口 3を通じてその内部の液状材料の内圧に不当な影響を与えるこ と、或いは液状材料を飛散させること等を回避できるように配慮がなされている。

[0115] この場合、 2つの気体噴射口 10を先端に有する気体噴射ノズル 9は、 1本の送給通 路 11を介して図外の気体圧源に通じていると共に、気体噴射ノズル 9における 2つの 気体噴射口 10に通じる噴射通路は、インクジェットヘッド 1側に移行するにしたがって 漸次相接近するようにそれぞれが傾斜している。そして、気体噴射ノズル 9の内部及 び送給通路 11の内部では、矢印 Bl、 B2で示す方向に気体が流れるように構成され ている。なお、送給通路 11から気体噴射口 10に至る気体流通経路と、吸引口 7から 吸引通路 6に至る吸引エア流通経路とは、完全に隔離された状態にある。また、各気 体噴射口 10の縦方向寸法は、吸引口 7の縦方向寸法よりも長尺とされているのに対 して、各気体噴射口 10の横方向寸法と、吸引口 7の横方向寸法とは、同一又は略同 一とされている。

[0116] 以上のように、この第 6実施形態の構成によれば、インクジェットヘッド 1の一端面 2 つまり液状材料噴出口 3及びその周辺に付着している膜材料の固化物ゃゴミ等の異 物力 洗浄移動ユニット 4の気体噴射ノズル 9から噴射される気体によって、それらの 異物等の剥離が促進されつつ、真空ノズル 5から作用する負圧によって、それらの異 物等が真空ノズル 5内に吸引される。そして、この洗浄移動ユニット 4力 このような動 作を行ないつつ、矢印 Xで示す縦方向に移動していくことにより、インクジェットヘッド 1の一端面（ノズル面） 2の全域又は略全域の洗浄が行われる。この場合、真空ノズル 5内には、気体噴射ノズル 9から噴射された気体のみ又は略その気体のみと異物等と が吸引され得ることになるので、周辺の汚れた空気ゃゴミ等が真空ノズル 5内に吸引 されることを防止すること力 Sできる。なお、その他の作用効果は、上述の第 5実施形態 と同様である。

[0117] [第 7実施形態]

図 9(a)は、本発明の第 7実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を示す 概略正面図、図 9(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図で ある。なお、図 9(a)、（b)に基づくこの第 7実施形態に係るインクジェットヘッドワイピン グ装置の説明において、上述の第 5実施形態と共通の構成要件については同一符 号を使用して、その詳細な説明を省略する。

[0118] 図 9(a)、（b)に示すように、このインクジェットヘッドワイビング装置は、洗浄移動ュニ ット 4が矢印 Yで示すように横方向に移動するように構成されており、その関係上、洗 浄移動ユニット 4の縦方向寸法力、インクジェットヘッド 1の縦方向寸法と略同一また は僅かにそれよりも長尺とされている。そして、この洗浄移動ユニット 4に設けられてい る真空ノズル 5の吸引口 7は、横方向が短尺側とされ、且つ縦方向がインクジェットへ ッド 1の全ての液状材料噴出口 3の配列領域と略同一又はそれよりも僅かに長い長 尺側とされたスリット状の形成されている。なお、この吸引口 7には、邪魔部が形成さ れていない。

[0119] したがって、この第 7実施形態の洗浄移動ユニット 4の詳細な構成は、図 9(b)に示す 側面図については、図 7(a)に示す正面図における「縦方向」と「横方向」とを相互に変 換した場合における既述の説明と同一であり、また図 9(a)に示す正面図については、 図 7(b)に示す側面図における「縦方向」と「横方向」とを相互に変換した場合における 既述の説明（邪魔部 8の説明を除く）と同一である。

[0120] この第 7実施形態の構成によれば、インクジェットヘッド 1の一端面 2 (液状材料噴出 口 3及びその周辺）に付着している膜材料の固化物ゃゴミ等の異物が、洗浄移動ュ ニット 4の真空ノズル 5から作用する負圧によって真空ノズル 5内に吸引され、洗浄作 業が行われる。そして、この洗浄移動ユニット 4は、このような動作を行ないつつ、矢 印 Yで示す横方向に移動していくことにより、インクジェットヘッド 1の一端面（ノズノレ面 ) 2の全域又は略全域の洗浄が行われる。 [0121] この場合、洗浄移動ユニット 4が矢印 Yで示す横方向に移動している途中において 、真空ノズル 5の吸引口 7とインクジェットヘッド 1の液状材料噴出口 3とが対面した時 点では、真空ノズル 5による吸引が一時的に停止される。これにより、インクジェットへ ッド 1の液状材料噴出口 3に対しては、真空ノズル 5の吸引口 7から直接的に負圧に よる吸引力が作用しなくなって、真空ノズル 5による吸引力が、液状材料噴出口 3を 通じてその内部の液状材料の内圧に不当な影響を与えること、及びこれに起因して 液状材料の噴出ノズルの内部に空気が混入することが回避される。なお、真空ノズル 5による吸引力を、液状材料噴出口 3を通じてその内部の液状材料の内圧に影響を 与えることがない程度の強さに設定しておけば、上記の一時停止を行なわなくてもよ レ、。その他の作用効果については、上述の第 5実施形態と同一である。

[0122] [第 8実施形態]

図 10(a)は、本発明の第 8実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を示す 概略正面図、図 10(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図 である。なお、図 10(a)、（b)に基づくこの第 8実施形態に係るインクジェットヘッドワイピ ング装置の説明において、上述の第 5実施形態と共通の構成要件については同一 符号を使用して、その詳細な説明を省略する。

[0123] 図 10(a)、（b)に示すように、このインクジェットヘッドワイビング装置も、洗浄移動ュニ ット 4が矢印 Yで示すように横方向に移動するように構成されており、その関係上、洗 浄移動ユニット 4の縦方向寸法力 S、インクジェットヘッド 1の縦方向寸法と略同一また は僅かにそれよりも長尺とされている。そして、この洗浄移動ユニット 4に設けられてい る真空ノズル 5の吸引口 7は、横方向が短尺側とされ、且つ縦方向がインクジェットへ ッド 1の全ての液状材料噴出口 3の配列領域と略同一又はそれよりも僅かに長い長 尺側とされたスリット状に形成されている。なお、この吸引口 7には、邪魔部が形成さ れていない。

[0124] 更に、この洗浄移動ユニット 4は、真空ノズル 5に加えて、空気や窒素等の気体をィ ンクジェットヘッド 1の一端面 2に噴射供給するための気体噴射ノズル 9を有している 。そして、インクジェットヘッド 1の一端面 2における気体噴射ノズル 9による気体噴射 領域と真空ノズル 5による吸引領域とは略一致しており、詳しくは、気体噴射領域は 吸引領域の全てを包含している。気体噴射ノズル 9の気体噴射口 10は、横方向に短 尺で且つ縦方向に長尺なスリット状に形成され、且つ、単一の吸引口 7を中心してそ の横方向両側に 2つの気体噴射口 10が形成されている。なお、この真空ノズル 5の吸 引口 7にも、邪魔部は形成されていない。

[0125] そして、この第 8実施形態の洗浄移動ユニット 4の詳細な構成は、図 10(b)に示す側 面図については、図 8(a)に示す正面図における「縦方向」と「横方向」とを相互に変換 した場合における既述の説明と同一であり、また図 10(a)に示す正面図については、 図 8(b)に示す側面図における「縦方向」と「横方向」とを相互に変換した場合における 既述の説明（邪魔部 8の説明を除く）と同一である。

[0126] この第 8実施形態の構成によれば、インクジェットヘッド 1の一端面 2つまり液状材料 噴出口 3及びその周辺に付着している膜材料の固化物ゃゴミ等の異物が、洗浄移動 ユニット 4の気体噴射ノズル 9から噴射される気体によって、それらの異物等の剥離が 促進されつつ、真空ノズル 5から作用する負圧によって、それらの異物等が真空ノズ ノレ 5内に吸引される。そして、この洗浄移動ユニット 4力 このような動作を行ないつつ 、矢印 Yで示す横方向に移動していくことにより、インクジェットヘッド 1の一端面（ノズ ル面） 2の全域又は略全域の洗浄が行われる。

[0127] この場合、洗浄移動ユニット 4が矢印 Yで示す横方向に移動している途中において 、真空ノズル 5の吸引口 7及び気体噴射ノズル 9の気体噴射口 10と、インクジェットへ ッド 1の液状材料噴出口 3とが対面した時点では、真空ノズル 5による吸引及び気体 噴射ノズル 9による噴射が一時的に停止される。これによる利点は、真空ノズル 5に関 しては既に述べた通りである力 気体噴射ノズル 9に関しては、インクジェットヘッド 1 の液状材料噴出口 3に対して、気体噴射口 10から直接的に気体が噴射供給されなく なることにより、気体噴射口 10から噴射供給された気体が、液状材料噴出口 3を通じ てその内部の液状材料の内圧に不当な影響を与えること、或いは液状材料を飛散さ せることを回避できることになる。なお、真空ノズル 5による吸引力を、液状材料噴出 口 3を通じてその内部の液状材料の内圧に影響を与えることがない程度の強さに設 定しておけば、真空ノズル 5の吸引については、上記の一時停止を行なわなくてもよ レ、。その他の作用効果については、上述の第 6実施形態と同一である。 [0128] [第 9実施形態]

図 11(a)は、本発明の第 9実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置を示す 概略平面図、図 11(b)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略正面図、 図 11(c)は、そのインクジェットヘッドワイビング装置を示す概略側面図である。この第 9実施形態は、複数個のインクジェットヘッド 1を縦方向に千鳥状に配設してなる大型 プリンタ或いは大型配向膜形成装置に係るものである。なお、図 l l(a)、（b)、（c)に基づ くこの第 9実施形態に係るインクジェットヘッドワイビング装置の説明において、上述 の第 5実施形態と共通の構成要件については同一符号を使用して、その詳細な説 明を省略する。

[0129] 図 11(b)に示すように、このインクジェットヘッドワイビング装置は、矢印 Xで示すよう に縦方向に移動可能な洗浄移動ユニット 4を備え、この洗浄移動ユニット 4に設けら れている真空ノズノレ 5の正面視形態については、図 7(a)の正面図に基づいて既に説 明した内容と同一である。そして、この第 9実施形態では、図 l l(a)、（c)に示すように、 洗浄移動ユニット 4が 2列のインクジェットヘッド 1に跨るように配置されると共に、この 洗浄移動ユニット 4には、インクジェットヘッド 1の 2列配列に伴って、 2つの真空ノズノレ 5が並列に設けられている。この場合、 2つの真空ノズル 5は、 1本の吸引通路 6に合 流された上で図外の負圧源に通じている。そして、個々の真空ノズノレ 5の吸引口 7の 構成、及びこれらと各列毎のインクジェットヘッド 1との相対関係については、既述の 第 5実施形態と同一である。

[0130] この第 9実施形態の構成によれば、 2列に配列された複数のインクジェットヘッド 1に 対して、単一の洗浄移動ユニット 4を矢印 Xで示す縦方向に移動させるだけで、全て のインクジェットヘッド 1の一端面 2に対する負圧吸引による洗浄を一挙に行なうこと が可能となる。なお、この場合には、単一の洗浄移動ユニット 4を縦方向 Xに移動させ ていく間に、洗浄移動ユニット 4とインクジェットヘッド 1とが対面しない箇所が交互に 出現する関係上、 2つの真空ノズル 5による吸引を交互に一時停止させることが好ま しい。その他の作用効果については、既述の第 5実施形態と同様である。

[0131] なお、この第 9実施形態では、洗浄移動ユニット 4に、真空ノズル 5のみを並列に 2 つ設ける構成としたが、図 8に示す構成を利用して、真空ノズル 5と気体噴射ノズル 9 とを並列に 2セットずつ設けるようにしてもよい。そして、 2列に千鳥状に配列された複 数のインクジェットヘッド 1のそれぞれに対して、図 7または図 8に示す洗浄移動ュニ ット 4を個別に配設して洗浄をするように構成してもよレ、。

産業上の利用可能性

紙、布、樹脂、或いはセラミック等からなる基材上に印刷を行う場合のみならず、液 晶表示機器等のフラットパネルディスプレイにおける透明ガラス基板上に配向膜を形 成する場合や、有機 EL表示器における透明ガラス基板上にカラーフィルタを塗布す る場合等に使用されるインクジェットプリンタに有効に適用できる。特に、液晶表示機 器用のガラス基板については、配向膜の材料である透明 PIインク（透明ポリイミドイン ク）や透明 UVインクをガラス基板上に吐出して塗布する場合に使用されるインクジェ ットプリンタに有効に適用でき、また有機 EL表示機器のガラス基板については、コー ティング材料である透明 UVインクをガラス基板上に吐出して塗布するインクジェット プリンタに有効に適用できる。

Claims

請求の範囲

[1] インクタンクから複数台のインクジェットヘッドに液状材料を送給するように構成した インクジェットヘッド送液装置において、

複数台のインクジェットヘッドにそれぞれ通じる液状材料送給用の各個別送液管路 を、一種類の液状材料を貯留する一個のインクタンクに通じる共通送液管路に接続 すると共に、前記共通送液管路と各個別送液管路との各接続部または各インクジェ ットヘッドもしくはそれらの各両者間にそれぞれ通じる気体流通可能な各個別流気管 路を、大気に対して開放及び閉鎖可能な共通流気管路に接続したことを特徴とする インクジェットヘッド送液装置。

[2] 前記共通送液管路と最下流端の個別流気管路との接続部またはその近傍から前 記共通流気管路に気体を排出させるように構成したことを特徴とする請求項 1に記載 のインクジェットヘッド送液装置。

[3] 前記共通流気管路に、負圧源に通じる負圧管路を接続したことを特徴とする請求 項 1に記載のインクジェットヘッド送液装置。

[4] 前記共通流気管路は、前記負圧管路に通じるバイパス管路を有し、該バイパス管 路に、前記各個別流気管路を所定間隔おきに接続したことを特徴とする請求項 3に 記載のインクジェットヘッド送液装置。

[5] 前記インクタンクの内部空間に、気体圧源からの圧力気体を圧送するように構成し たことを特徴とする請求項 1に記載のインクジェットヘッド送液装置。

[6] 前記共通流気管路は、前記インクタンクの液面よりも上方位置を水平方向に延び、 且つ該共通送液管路から下方に向かって前記各個別流気管路が延びると共に、前 記共通送液管路は、前記共通流気管路よりも下方位置であって前記各インクジェット ヘッドの上方位置を水平方向に延び、且つ該共通送液管路から下方に向かって前 記各個別送液管路が延びてレ、ることを特徴とする請求項 1に記載のインクジェットへ ッド送液装置。

[7] インクタンクからインクジェットヘッドに液状材料を送給する送液経路を有すると共に 、該送液経路の途中に、その外表面側を覆う包囲体を有し且つ該包囲体の内部を 減圧して液状材料の脱気を行なう脱気ユニットを配備したインクジェットヘッド送液装 置において、

前記送液経路は、気体透過性を有し且つ内部流路が単一とされた合成樹脂製の 脱気チューブを有し、該脱気チューブの送液方向の一部分が、前記脱気ユニットの 包囲体により覆われていることを特徴とするインクジェットヘッド送液装置。

[8] 一本の脱気チューブについて一個または直列に複数個の脱気ユニットを配備した ことを特徴とする請求項 7に記載のインクジェットヘッド送液装置。

[9] 一種類の液状材料を一台のインクジェットヘッドに送給する経路の少なくとも下流 側部位を一本の脱気チューブで構成したことを特徴とする請求項 7に記載のインクジ エツトヘッド送液装置。

[10] 脱気チューブは、内径が 1. 0〜4. Ommの範囲内であり、外径が 1. 2〜5. Omm の範囲内であることを特徴とする請求項 7に記載のインクジェットヘッド送液装置。

[11] 脱気ユニットの包囲体により覆われている部分の脱気チューブ長さ力 包囲体の送 液方向長さの 1. 5倍以上となるように、脱気チューブを撓ませて包囲体の内部に収 納したことを特徴とする請求項 7に記載のインクジェットヘッド送液装置。

[12] 液状材料は、粘度が 5〜： 18cpであることを特徴とする請求項 7に記載のインクジェ ットヘッド送液装置。

[13] インクジェットヘッドの液状材料噴出口及び/又はその周辺を洗浄するインクジエツ トヘッドワイビング装置にぉレ、て、

前記液状材料噴出口及び/又はその周辺に負圧による吸引力を発生させる真空 ノズノレを有し且つインクジェットヘッドに対して相対移動可能な洗浄移動ユニットを、 その全ての構成要素がインクジェットヘッドから完全に分離して非接触に維持される ように構成したことを特徴とするインクジェットヘッドワイビング装置。

[14] インクジェットヘッドの液状材料噴出口及び Z又はその周辺を洗浄するインクジエツ トヘッドワイビング装置にぉレ、て、

前記液状材料噴出口及び/又はその周辺に負圧による吸引力を発生させる真空 ノズルと前記液状材料噴出口及び/又はその周辺に気体を噴射供給する気体噴射 ノズノレとを有し且つインクジェットヘッドに対して相対移動可能な洗浄移動ユニットを 備えたことを特徴とするインクジェットヘッドワイビング装置。

[15] 前記真空ノズノレと気体噴射ノズルとを有する洗浄移動ユニットを、その全ての構成 要素がインクジェットヘッドに非接触に維持されるように構成したことを特徴とする請 求項 14に記載のインクジェットヘッドワイビング装置。

[16] 前記気体噴射ノズルの気体噴射口を、前記インクジェットヘッドの液状材料噴出口 に対面する位置力 偏倚した位置に配置させるように構成したことを特徴とする請求 項 14に記載のインクジェットヘッドワイビング装置。

[17] 請求項 13に記載のインクジェットヘッドワイビング装置が、基板上に配向膜を形成 するためのインクジェットヘッドに設けられるものであることを特徴とする配向膜形成 装置のインクジェットヘッドワイビング装置。

[18] 請求項 14に記載のインクジェットヘッドワイビング装置が、基板上に配向膜を形成 するためのインクジェットヘッドに設けられるものであることを特徴とする配向膜形成 装置のインクジェットヘッドワイビング装置。