WO2006129340A1

WO2006129340A1 - 鉛蓄電池

Info

Publication number: WO2006129340A1
Application number: PCT/JP2005/009872
Authority: WO
Inventors: Yoshiaki Yamaguchi; Hiroyasu Kawada; Takashi Akimoto
Original assignee: GS Yuasa Corp
Current assignee: GS Yuasa Corp
Priority date: 2005-05-30
Filing date: 2005-05-30
Publication date: 2006-12-07
Anticipated expiration: 2007-11-30
Also published as: CN101185183A; HK1120929A1; CN100576606C

Abstract

　本発明は、一括排気方式を採用した鉛蓄電池であって、ガスの排出機能、電解液の逸出防止機能に優れ、さらに電池を横転させたときにも電解液が漏出することのない鉛蓄電池を提供せんとするものである。そこで、一括排気する機構を備えた鉛蓄電池において、電解液還流口３３とガス排出口３４とで構成された開口をとり囲む隔壁を配置し、該隔壁によって排気室３７、３７′、３７″と区画したセル連通小室３５を備え、該セル連通小室３５を隔壁に設けた切り欠き３６を介して排気室３７、３７′、３７″に連通させ、該切り欠き３６以外は隔壁によってセル連通小室３５と排気室３７、３７′、３７″を隔離する。

Description

明細書

鉛蓄電池

技術分野

[0001] 本発明は、電解液の逸出を防止しながら、ガスを排出させる排気構造を備えた鉛蓄電池に関するものである。

背景技術

[0002] 複数のセルを備えるモノブロック式の鉛蓄電池の排気構造には、大別して、各セル毎に排気栓を設けた個別排気方式と、各セルカゝら排出されたガスを一旦排気室に導き、該排気室カゝらガスを集中して外部に排出する一括排気方式とがある。個別排気方式に比べて、一括排気方式は部品点数が少なくて済むこと、極板の上部空間の容積を小さくすることが可能であって、電池の容量を減らすことなくして電池の小型化が図れること、電解液の逸出量などの利点があるところから、車載用の鉛蓄電池に広く採用されるようになった。

[0003] 従来、鉛蓄電池の一括排気に関しては、電解液がミストまたは蒸気の形で電池外へ逸出するのを防ぎ、電池の内圧が上昇しないようにガスをスムースに排出させる点で幾つかの提案がされている。例えば、排気室内で電解液のミストや蒸気を含んだガスを水平方向に流し、この間に電解液のミストや蒸気を結露させることによりガスと電解液を分離、ガスを外部に排出すると共に、結露した電解液をセル内に還流する構造となっている (特許文献 1、特許文献 2参照)。

特許文献 1：米国特許第 4486516号明細書

特許文献 2 :日本国特開平 8— 22815号公報

[0004] また、ガスと電解液の分離の効率を高めるために、ガスが水平方向に流れる距離を出来るだけ長くした一括排気の構造が提案されてヽる (特許文献 3参照)。

特許文献 3 :日本国特開 2001— 84981号公報

[0005] また、排気室力電池外部に至るガス排出口に多孔性フィルターを配置し、電解液のミストや蒸気が排出されるのを防ぐと共に、フィルターの下側に空間を設けてフィルターが電解液で濡れて目詰まりするのを防、だ排気構造が提案されて、る (特許文献 4参照)。

特許文献 4 :日本国特開平 6— 176748号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] 車載用鉛蓄電池においては、車が振動したときに電解液面が波打ったり、車を登坂させるときに電解液面が傾いたりする。前記特許文献 1〜3に提案の方式では、電解液面が波打ったり、傾いたりしたときに、電解液がセルと排気室を連通するガス排出口を通って、セル内の電解液力 S排気室に飛び出る虞があった。また、誤って電池を横転させたときに電解液力 S排気室力も電池外部に溢れ出る虞があった。また、集中排気室の上蓋側に空間が確保されずに、ガス排出機能が損なわれたり、フィルタ一が集中排気室の床面に落下してフィルターの機能が発揮できない虞があった。

[0007] そこで、本発明は、一括排気方式を採用した従来の鉛蓄電池の欠点に鑑みなされたものであって、ガスの排出機能、電解液の逸出防止機能に優れ、さらに電池を横転させたときにも電解液が漏出することのない鉛蓄電池を提供せんことを第一の目的とする。

[0008] また、一括排気を図るための構造には、排気室とは別に各セルに直結する排気用通路を設ける方法もあるが、セル数と同じ数だけ配置した排気室の少なくともいずれカゝ一個の排気室に隣接して集中排気室を設け、排気ガスを排気室間を横断的に移行させ、集中排気室に導いた後、集中排気室を経由して電池の外へ排気する方式力構造が簡単で排気経路のスペースが小さくて済む点力も好ましい。従来の一括排気方式の電池においては、電槽内および中蓋の下面 (セルに面する側）に等間隔に配置されれたセル間隔壁の位置に一致させて（セル間隔壁の真上に）、セル数と同数の排気室を形成するための排気室間隔壁を配置してヽた。該従来の排気構造では集中排気室に隣接する排気室の容積が小さくなり、排気室をガスが通過する間に電解液の結露が十分に行われな力つたり、電池が傾いたときに電解液が漏出する虞があった。また、中蓋の側辺に懸支用フックを設けた場合には電池の両端部に位置する排気室の容積が小さくなり、前記集中排気室と隣接する排気室と同様の欠点かあつた。 [0009] そこで、本発明は、一括排気方式を採用した従来の鉛蓄電池の欠点に鑑みなされたものであって、ガスの排出、電解液の回収機能に優れ、電池が傾いたりした時にも電解液が漏出することのない、漏出防止機能に優れた鉛蓄電池を提供せんことを第二の目的とする。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明においては、鉛蓄電池の排気構造を以下の構成とすることによって前記第一の目的を達成する。

(1)本発明に係る鉛蓄電池は、複数のセルを収納する電槽 2と、該電槽 2の上面を覆う中蓋 3と、該中蓋 3の凹部 31を覆う上蓋 4に囲まれた空間に、該空間を排気室間隔壁 43 44 45で分割して前記セル数と同数の排気室 37 37' 37"を設け、隣合う排気室 37 37' 37" 同士を前記排気室間隔壁 43 44 45に設けた切り欠きまたは透孔 67を介して連通させ、排気室 37 37' 37〃とセルを中蓋 3の床壁 32に設けた電解液還流口 33とガス排出口 34とで構成された開口を介して連通し、該排気室 37 37' 37 に連通する集中排気室 41を備え、前記セル力も発生するガスを、前記排気室 37 37' 37〃に導いた後、前記集中排気室 41を経由して電池外へ一括排気する機構を備えた鉛蓄電池にぉヽて、前記電解液還流口 33とガス排出口 34とで構成された開口をとり囲む隔壁を配置し、該隔壁によって前記排気室 37 37' 37" と区画したセル連通小室 35を備え、該セル連通小室 35を隔壁に設けた切り欠き 36を介して排気室 37 37' 37〃に連通させ、該切り欠き 36以外は隔壁によってセル連通小室 35と排気室 37を隔離したことを特徴とする鉛蓄電池である。

(2)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（1)に記載の蓄電池において、前記排気室 37 37' 37 の床壁 32が、セル連通小室 35との連通部からの距離が小さい程低ぐセル連通小室 35との連通部力もの距離が大きくなるに従って高くなるように傾斜を備え、前記気室 37 37' 37 は、少なくとも 2つの隔壁 46 47によって、 3つ以上の気/ J、室 38 39 40に分害 ijされ、該隔壁 46 47は少なくとも 1個の切り欠き 48 49を備えており、隣合う排気小室 38 39 40同士は、前記隔壁 46 47に設けた切り欠き 48 49によって連通し、該切り欠き 48 49以外は前記隔壁 46 47によって隔離され、隣合う隔壁 46 47に設けた前記切り欠き 48 49を、床壁 32の傾斜に対してジグザグの位置に配置したことを特徴とする鉛蓄電池である。

(3)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（2)に記載の蓄電池において、前記排気室 37、 37' 、 37"を排気小室 38、 39、 40に分割する隔壁 46、 47が、床面の傾斜に対して斜行しており、該隔壁 46、 47と前記排気室間隔壁 43、 44、 45とのなす角度 Θが鋭角であり、該隔壁 46、 47のうち床壁 32の最も低い位置に前記切り欠き 48、 49を設けたことを特徴とする鉛蓄電池である。

(4)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（2)に記載の蓄電池において、前記複数の排気室 37、 37' 、 37グのうち、電池の両端部に位置する排気室 37の少なくとも一つの排気室と隣接する位置に集中排気室 41を配置し、前記排気室 37と集中排気室 41 を隔壁 50で区画し、該隔壁 50に設けた切り欠きまたは透孔 51によって、前記セル連通小室 35と最も離れた排気小室 40と集中排気室 41を連通させ、該切り欠きまたは透孔 51以外は隔壁 50によって排気室 37と集中排気室 41を隔離したことを特徴とする鉛蓄電池である。

(5)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（1)に記載の蓄電池において、前記集中排気室 41は、多孔性フィルター 71を内蔵し、該多孔性フィルター 71によって上蓋 4側と中蓋 3側の上下 2つの空間に区画されており、前記上蓋 4側の空間が排気路 73を介して電池の外と連通しており、集中排気室 41の床面は、排気室 37との連通部力も遠くなるに従い高くなるように傾斜を有し、前記排気路 73を、集中排気室 41と排気室 3 7の連通部に近い位置に配置したことを特徴とする鉛蓄電池である。

(6)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（5)に記載の蓄電池において、前記集中排気室 41を形成する上蓋 4の内面に凸部 72を設け、前記多孔性フィルター 71を、上蓋 4 に設けた集中排気室区画用筒状隔壁 50に嵌着させて、前記上蓋 4側の空間を形成したことを特徴とする鉛蓄電池である。

(7)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（1)に記載の蓄電池において、前記中蓋 3の床壁 32に、セル数と同数の各セルに開ヽた注液用開口 54を設け、該注液用開口 54を囲む隔壁 53と上蓋 4によって注液室 52を区画し、該注液室 52と前記排気室 37および電池の外とを気密に封鎖したことを特徴とする鉛蓄電池である。

(8)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（1)に記載の蓄電池において、前記中蓋 3および上蓋 4が熱可塑性榭脂成形体力なり、前記中蓋 3の上面および上蓋 4の内面の両方に外周側壁 65、前記排気室間隔壁 43、 44、 45、前記セル連通小室 35の隔壁、前記集中排気室 41の隔壁 50、前記排気小室 38、 39、 40に分割する隔壁 46、 47 を設け、中蓋 3と上蓋 4に設けた外周側壁 65同士を熱融着することによって、電池の内と外を隔離し、中蓋 3と上蓋 4に設けた排気室間隔壁 43、 44、 45同士を熱融着すること〖こよって、セル数と同数の排気室 37、 37' 、 37グを形成し、セル連通小室 35 、排気小室 38、 39、 40、集中排気室 41を形成したことを特徴とする鉛蓄電池である

(9)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（8)に記載の蓄電池において、集中排気室 41と排気室 37を区画する隔壁 50のうち、上蓋 4の内面に設けた隔壁 50の厚さを中蓋 3 の上面に設けた隔壁 50の厚さに比べて大きくしたことを特徴とする鉛蓄電池である。

(10)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（9)に記載の蓄電池において、前記上蓋 4の内面に設けた隔壁 50の外側面に、該隔壁 50の高さ方向に伸びるリブ状突起 74を設けたことを特徴とする鉛蓄電池である。

(11)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（8)に記載の蓄電池において、前記中蓋 3に、上蓋 4と重ねるときの位置合わせ用ピン 55を設け、上蓋 4に該位置合わせ用ピン 55 と嵌合させるための筒状穴 66を設けたことを特徴とする鉛蓄電池である。

本発明においては、鉛蓄電池の排気構造を以下の構成とすることによって同じく前記第一の目的を達成する。

(12)本発明に係る鉛蓄電池は、複数のセルを収納する電槽 2と、該電槽 2の上面を覆う中蓋 3、該中蓋 3の凹部 31を覆う上蓋 4で囲まれれた空間に排気室間隔壁 43、 4 4、 45で区画された前記セルと同数の排気室 37、 37' 、 37"および該排気室 37、 37' 、 37" に連通する少なくとも 1個の集中排気室 41を備え、排気室 37、 3 、3 Ί" の床壁 32に前記セルと排気室 37、 37, 、 37,,を連通する電解液還流口 33とガス排気口 34を備え、前記セル力も発生するガスを前記排気室 37、 37' 、 - 1"および集中排気室 41を経由して電池外へ一括排気する機構を備えた鉛蓄電池において、前記排気室 37、 37' 、 37〃の床壁 32のセルに面する壁面に前記電解液還流口 33を囲みセル内に向かって伸びる筒状体 62とガス排出口 34を囲みセル内に向かって伸びる筒状体 63を設け、前記ガス排出口 34を囲みセル内に向力つて伸びる筒状体 63の壁面に切り欠きまたは透孔 75を設けたことを特徴とする鉛蓄電池である

(13)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（12)に記載の蓄電池において、前記ガス排出口 34を長円形又は長方形の開口としたことを特徴とする鉛蓄電池である。

(14)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（12)に記載の蓄電池において、前記排気室 3 Ί、 1, 、 37グの床壁 32のうち、前記ガス排出口 34を設けた局所床壁 32' を、その周囲床壁に比べてセルの電解液面力遠い位置に配置したことを特徴とする鉛蓄電池である。

本発明においては、鉛蓄電池の排気構造を以下の構成とすることによって前記第二の目的を達成する。

(15)本発明に係る鉛蓄電池は、等間隔に配置されたセル間隔壁 57、 58、 59によつて互いに隔離された複数のセルを収容する電槽 2と、該電槽 2の上面を覆う中蓋 3と

、該中蓋 3の凹部 31を覆う上蓋 4を備え、前記中蓋 3は、セルに面する壁面に前記セル間隔壁 57、 58、 59を備え、上蓋 4に面する壁面に前記中蓋 3の凹部 31と上蓋 4に囲まれた空間をセルと同数の排気室 37、 37' 、 37" に区画する排気室間隔壁 43、 44、 45を備え、隣合う排気室 37、 37' 、 37^ff 同士を前記排気室間隔壁 43、 44、 4 5に設けた切り欠きまたは透孔 67を介して連通させ、排気室 37、 37' 、 37" とセルを中蓋 3の床壁 32に設けた開口 33、 34を介して連通し、前記気室 37、 37' 、 37 "のうち少なくとも 1個の排気室 37に隣接して該排気室 37に連通する集中排気室 4 1を備え、前記セル力発生するガスを前記排気室 37、 3 、37" に導いた後、前記集中排気室 41を経由して電池外へ一括排気する機構を備えた鉛蓄電池において、少なくとも集中排気室 41と隣接する排気室 37と該排気室 37と隣合う排気室 37 ' とを区画する排気室間隔壁 43の一部又は全部を、該 2つの排気室 37、 37' と開口 33、 34を介して連通する 2つのセルを区画するセル間隔壁 57に比べて位置をずらせたことを特徴とする鉛蓄電池である。

(16)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（15)に記載の蓄電池において、前記集中排気室 41を電池端部に位置する排気室 37に隣接して配置し、前記排気室間隔壁 43 の一部または全部をセル間隔壁 57に比べて電池の中心側にずらせたことを特徴とする鉛蓄電池である。

(17)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（16)に記載の蓄電池において、電池の側辺のうち短辺 11に平行にセル間隔壁 57、 58、 59を設け、前記集中排気室 41を両短辺 11側の端部に位置する排気室 37に隣接して設けたことを特徴とする鉛蓄電池である。

(18)本発明に係る鉛蓄電池は、前記（15)に記載の蓄電池において、前記中蓋 3の両短辺の中央に懸支用フック 42を設け、該短辺に隣接する排気室 37と隣合う排気室 37^ とを区画する排気室間隔壁 43の一部又は全部を、該 2つの排気室 37、 37

' と開口 33、 34を介して連通する 2つのセルを区画するセル間隔壁 57に比べて位置をずらせたことを特徴とする鉛蓄電池である。

発明の効果

前記（1)に記載の本発明電池によれば、電池を転倒させた場合にも電解液の漏出の虞の小さい一括排気方式の鉛蓄電池とすることができる。

前記（2)、（4)に記載の本発明電池によれば、排気ガスとそれに含まれる電解液のミストや蒸気の分離機能に優れた鉛蓄電池とすることができる。また、電池を転倒させた場合にも電解液の漏出の虞がさらに小さい一括排気方式の鉛蓄電池とすることができる。

前記（3)に記載の本発明電池によれば、排気室内で結露した電解液の還流がスムースに行われる鉛蓄電池とすることができる。

前記（5)に記載の本発明電池によれば、フィルターが目詰まりして、ガスの排出が妨げられるのを抑制することがでさる。

前記（6)に記載の本発明電池によれば、集中排気室内に配置したフィルターと上蓋内面の間に確実に空間を確保することができる。

前記（7)、（8)に記載の本発明電池によれば、中蓋を装着した後で電解液の注液が可能であり、かつ、電池を転倒させた場合にも電解液が漏出する虞のない鉛蓄電池とすることができる。

前記（9)、（10)に記載の本発明電池によれば、上端を中蓋に熱融着するときに、フィルタを嵌着させた隔壁が変形して、フィルターがはずれれるのを防ぐことができる前記（11)に記載の本発明電池によれば、中蓋の上に位置ずれを起こさずに上蓋を装着することができ、かつ位置合わせ用嵌合部に水や異物が嚙み込むのを抑制することができる。

[0014] 前記（12)および（14)に記載の本発明電池によれば、セル内の電解液面が波打つたり、電池が傾いたりした場合にも電解液の漏出の虞の小さい一括排気方式の鉛蓄電池とすることができる。

前記（13)、（14)に記載の本発明電池によれば、ガス排出口が電解液や異物で塞がれ難くでき、セル力も排気室にスムースにガスを移行させることのできる鉛蓄電池とすることができる。

[0015] 前記（15)に記載の本発明電池によれば、隔壁によってセル数と同じ数だけ形成した排気室のうち、いずれかの排気室に隣接して集中排気室を設けたときにも、該集中排気室に隣接する排気室についても、該排気室内をガスが流れる間に、排気ガスに混入した電解液のミストや蒸気が結露するのに必要な十分な大きさを有する排気室を形成すことができる。また、電池が傾いてセル内の電解液力 S排気室に侵入したときでも、排気室に侵入した電解液を収容し、外部に漏出しないだけの十分な大きさを有する排気室を形成することができる。

前記（16)に記載の本発明電池によれば、集中排気室から電池の外に通じる排気路を短く設定することができる。

前記（17)に記載の本発明電池によれば、一方の集中排気室に目詰まりが生じても、もう一方の集中排気室を経由してガスを電池の外へ排出することができる。

前記（18)に記載の本発明電池によれば、持ち運びに便利な懸支用フックを備え、且つ、 (15)に係る鉛蓄電池と同様に十分な大きさを有する排気室を形成した鉛蓄電池とすることができる。

図面の簡単な説明

[0016] [図 1]本実施形態に係る鉛蓄電池の上蓋を外した状態を斜め上から見た斜視図である。 [図 2]同実施形態に係る鉛蓄電池の中蓋を上力も見た平面図である。

[図 3]同実施形態に係る鉛蓄電池の中蓋をセル側から見た平面図である。

[図 4]同実施形態に係る鉛蓄電池の上蓋の内面を示す平面図である。

[図 5]同実施形態に係る鉛蓄電池の中蓋の凹部に上蓋を装着した状態であって、図

2、図 4の A— A線断面図である。

[図 6]同実施形態に係る鉛蓄電池の集中排気室の上蓋部分の断面および側面を示す図である。

[図 7]同実施形態に係る鉛蓄電池の中蓋の凹部に上蓋を装着した状態であって、図 3の B— B線断面図である。

[図 8] (a)は、図 7の C C線断面図であり、（b)は、（a)の変形例である。

符号の説明

[0017] 1…鉛蓄電池、 2…電槽、 3…中蓋、 4…上蓋、 5…正極端子、 6…負極端子、 11··· 短辺、 21···側壁、 31···凹部、 32…床壁、 32^ …局所床壁、 33···電解液環流口、 3 4···ガス出口、 35···セノレ連通/ J、室、 36···切り欠き、 37、 37' 、 37グ … 気室、 3 8、 39、 40···排気小室、 41···集中排気室、 42···懸支用フック、 43、 44、 45···排気室間隔壁、 46、 47···隔壁、 48、 49···切り欠き、 50···隔壁、 51···切り欠きまたは透孔、 52···注液室、 53···隔壁、 54···開口（注液口）、 55···位置合わせ用ピン (ピン状凸部）、 56…接合用凸部、 57、 58、 59···セル間隔壁、 60…側壁、 61···隔壁、 62、 63…筒状体、 64…下端、 65···外周隔壁、 66···筒状穴、 67···切り欠きまたは透孔、 68···邪魔板、 69···切り欠き、 70···邪魔板、 71···多孔体 (フィルター）、 72···凸部、 7 3···排気路、 74···リブ状突起、 75…切り欠きまたは透孔

発明を実施するための最良の形態

[0018] 以下、本発明の詳細について、一実施形態により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

[0019] 図 1は、本発明の一実施形態に係る 6セルモノブロック型の鉛蓄電池 1を斜め上から見た斜視図である。図 1の 2は、電槽で、その内部は、電池の側辺のうち短辺に平行に配置された 5個の隔壁（図示せず）によって 6セルに分割されており、それぞれのセルに 1組の正極板、負極板およびセパレータカなる極板群と希硫酸力なる電解液（図示せず)を収納している。図 1の 3は、電槽 2の上に装着した中蓋で、 4は、中蓋 3の凹部に装着する上蓋である。電槽 2、中蓋 3、上蓋 4は、何れもポリプロピレン製の成形体であり、電槽 2の側壁上端 (図示せず)と中蓋 3の側壁下端 (図示せず)および中蓋 3の凹部に設けた隔壁の上端と上蓋 4の隔壁の下端 (図示せず)は熱融着されて、それぞれ気密に接合されている。なお、 5は、鉛合金製の正極端子、 6は、鉛合金製の負極端子である。

[0020] 図 1において、中蓋 3に設けた排気室のうち、電池の短側辺に近い端部排気室に隣接して 2個の集中排気室 41を設け、さらに、中蓋 3の両短側辺の中央にそれぞれ 1個づっ懸支用フック 42を設けている。該懸支用フック 42に吊り下げ用帯を係止することにより、電池を吊り下げた状態で運搬できるので運搬が容易である。

[0021] 図 2は、中蓋 3を上から見た図である。中蓋 3に設けた凹部 31は、隔壁 (斜線を施した部分）によって、電池の内側空間と外側空間に区画され、さらに電池の内側空間がセル数と同じ 6個に区画され、それぞれが排気室 37、 37' 、 37〃（左半分では 3個、左右対称なので右半分に符号を付するのを省略する、以下、関連する構成も同様）となる。

[0022] 一括排気を図るための構造には、排気室とは別に各セルに直結する排気用通路を設ける方法もある力集中排気室 41を電池の端部に配置し、各セルに対応する 6個の排気室 37、 3 、37〃を横断的に移行させて排気ガスを集中排気室 41に導き、集中排気室 41から電池の外へ排気する方が構造が簡単で排気経路のスペースが小さくて済む点から好ましい。この方式においては、前記隔壁によって形成された 6 個の区画を排気ガスが横断的に移行できるように連通させる必要がある。しかし、電池の使用中にセル間に電解液量の差が生じな、ようにするためには、各セルに対応する排気室 37、 37' 、 37〃内で結露した電解液が区画を横断的に移行することなぐ対応するセルに還流させる必要がある。そのため、電解液が 6個の区画間を横断的に移行するのを防止すベぐ前記隔壁のうち排気室間隔壁 43、 44、 45は障壁として設けることが好ましい。

[0023] 後記のように上蓋 4の内面にも中蓋 3の排気室間隔壁 43、 44、 45に対応して電池の内側空間を 6個の室に区画する排気室隔壁が設けられており、該排気室隔壁には 6個の室内を横断的にガスが移行できるように切り欠きが設けられる。これに対して、中蓋 3の場合、室を 6に分割する排気室間隔壁 43、 44、 45には切り欠きを設けず、該排気室間隔壁 43、 44、 45をして電解液が 6個の区画を横断的に移行するのを防ぐための障壁とすることが好ま、。

[0024] 排気室 37、 37' 、 37''のうち 1個の排気室 37を例に採って説明すると、 35は、セル連通小室で、該セル連通小室 35とセルとは、排気室 37で結露した電解液をセル内に還流する電解液還流口 33、セルで発生したガスをセル連通小室 35に排出するガス排出口 34を介してセルと連通している。セル連通小室 35は、隔壁によって排気室 37と区画され、隔壁に設けた切り欠き 36を介して排気室 37と連通しており、該切り欠き 36以外は隔壁によって排気室 37と隔離されている。

[0025] また、気室 37は、 2つの隔壁 46、 47によって 3つの気/ J、室 38、 39、 40に区画されており、該隔壁 46、 47にはそれぞれ 1個の切り欠き (48、 49)を設け、隣合う排気/ J、室（38、 39、 40)同士は、隔壁 46、 47に設けた切り欠き 48、 49を介して連通している。後記の如く排気室 37の床面はセル連通小室 35に近い側ほど低ぐセル連通小室 35からの距離が大きくなるほど高くなるように、中蓋 3の短辺に沿って傾斜を持たせている。隔壁 46、 47に設けた切り欠き 48、 49は、排気室 37の床面に設けた傾斜に平行な直線上に重ならな、ように配置して（図ではジグザグの位置にある）排気室 37を通過するガスの流路を長くしている。このこと〖こよって、排気室 37を通過する間に排気ガスに混入する電解液のミストや蒸気を効率良く結露させ、排気ガスから除去する。

[0026] 前記集中排気室 41は、隔壁 50によって排気室 37 (図では排気小室 39)と区画されており、隔壁 50に設けた切り欠き 51によって、 3つの気/ J、室 38、 39、 40のうち、セル連通小室 35から最も離れたところに位置する排気小室 40に連通している。

[0027] 52は、注液室で、セルに開いた開口 54を備え、周囲を隔壁 53によって排気室 37 ( 図では排気小室 40)と区画されている。 55は、中蓋 3の凹部 31に上蓋 4を装着するときの位置合わせ用ピンで、上蓋 4に設けた後記の筒状穴と嵌合する。 56は、上蓋 4 との接合を強固にするための接合用凸部である。

[0028] 図 2の破線で囲まれた 57、 58、 59は、中蓋 3の下面（セル側壁面）に設けたセル間隔壁を表しており、排気室 37とそれと隣接する集中排気室 41との間の排気室間隔壁 43は、前記排気室 37と 3 と中蓋 3の床壁 32に設けた開口（電解液還流口 33 ガス排出口 34)を介して連通している 2つのセル間に配置したセル間隔壁 57の位置力電池の中心側にずらせている。もし、排気室間隔壁 43の位置をセル間隔壁 57 の位置に一致させたならば、排気室 37の空間容積が他の排気室 3 や 37〃に比ベて極端に小さくなり、前記排気室 37内において電解液の結露が十分に行われなかったり、排気室 37内から電解液が電池の外へ漏出する虞があり、電解液の回収機能や漏出防止機能に劣ったものとなる虞がある。これに対して、本実施形態によれば、集中排気室 41に隣接する排気室 37の空間容積を他の排気室 3 や 37 に比ベて同等にするかないしは極短に小さくなるのを防ぐことができる。本実施形態においては、また、排気室間隔壁 43を電池の中心側にずらせたことに伴い、排気室間隔壁 44もセル間隔壁 58に比べて電池の中心側にずらせている。このように排気室間隔壁 43 44をセル間隔壁 57 58と比べて位置をずらせることによって、 3個の排気室 37 37' 37 の空間容積をほぼ同等にすることができる。

[0029] 図 3は、中蓋 3をセルに面する方向力見た図である。斜線を施した部分は図示しない電槽 2の側壁およびセル間隔壁の開口端面と熱融着によって接合される側壁 6 0の端面とセル間隔壁 57 58 59の端面である。電池は 5個のセル間隔壁によって 6個のセルに区画されている。前記のように中蓋 3の床壁 32にはセル数と同数の電解液還流口 33およびガス排出口 34からなる開口を設け、該開口を介してセルと排気室が連通している。

[0030] また、中蓋 3の床壁 32のセルに面する壁面には、電解液還流口 33を囲みセルに向かって伸びる筒状体 62、およびガス排出口 34を囲みセルの方向に向かって伸びる筒状体 63を配置している。

[0031] 図 4は、上蓋 4を内面から見た図であり、中蓋 3の上面に設けた隔壁 (排気室間隔壁および外周隔壁）と重なる位置に排気室間隔壁 43 44 45および外周隔壁 65を備え、さらに、中蓋 3に設けた前記位置合わせ用ピン 55に嵌合する筒状穴 66を備える。電池内空間を 6個に分割する排気室間隔壁 43 44 45には、それぞれ切り欠き 67を設け、排気ガス力 S排気室間で横断的な移行を可能にするための経路を形成している。また、該切り欠き 67に対向する位置に電解液の移行を抑制するための邪魔板 68を配置して、る。さらにセル連通小室 35の電解液還流口 33側とガス排気口 34 側とを区画する隔壁に切り欠き 69を設け、セル力も排出されたガス力排気室 37へ移行するための経路を形成し、該切り欠き 69と対向する位置に邪魔板 70を配置してガスに混じってセル力も排出される電解液力 S排気室 37へ移行するのを抑制している。

[0032] 上蓋 4を中蓋 3の凹部 31の上に装着したときに、中蓋 3の隔壁と上蓋 4の隔壁はピッタリ重なる位置に配置されており、中蓋 3の隔壁の上端と上蓋 4の隔壁の下端は、熱融着によって接合される。このように中蓋 3の隔壁と上蓋 4の隔壁を接合することによって、セル連通小室 35と排気室 37、隣り合う排気小室（38、 39、 40)同士、排気室 37と集中排気室 41は隔壁に設けた切り欠きを除いて隔離される。

[0033] また、図 2および図 4に示すように注液室 52を取り囲む隔壁 53には切り欠きを設けず、上蓋 4の隔壁と中蓋 3の隔壁を接合することによって、注液室 52と排気室 37、注液室 52と電池外空間は気密に隔離する。

[0034] 図 5は、中蓋 3の凹部 31に上蓋 4を装着し、中蓋 3の凹部 31に設けた隔壁と上蓋 4 の内面に設けた隔壁を接合させた状態を示す図であって、図 2、図 4の A— A線で示した部分の断面図である。中蓋 3の凹部 31の床壁 32は、セル連通小室 35に近い程低ぐセル連通小室 35から遠い位置程高くなるように傾斜を持たせている。また、図 2 に示したように、排気室 37を 3個の排気小室 38、 39、 40に分割する隔壁 46、 47を床壁 32の傾斜に対して斜行させ、排気室間隔壁 43、 44、 45と隔壁 46、 47のなす角度 Θを鋭角にし、かつ、隔壁 46、 47の切り欠き 48、 49を前記傾斜した床面の最も低い位置に配置しているので、電池が通常の状態 (水平に置かれた状態)では、排気室 37内で結露した電解液力 S排気室の床壁 32に設けた傾斜に沿って電解液還流口 33側に移行し、滞留する虞がない。

[0035] セルの内部空間は、セル連通小室 35と排気室 37を連通させるために設けた隔壁の切り欠き 36を除いて排気室 37、さらには電池の外部空間と気密に封鎖されている。誤って電池を横転させた場合、電解液はセルカゝらセル連通小室 35に溢れ出て該セル連通小室 35を満たし、電解液面はセル連通小室 35と排気室 37を連通させるために設けた隔壁の切り欠き 36に至る。前記のようにセルの内部空間は該切り欠き 36 を除いて電池の外部空間と気密に隔離されているので、切り欠き 36が電解液で塞がれている状態では空気がセル内に侵入することができず、切り欠き 36に至った電解液面に大気圧が加わるので、セル連通小室 35を下側になるように転倒させた場合、セル連通小室 35が上側になるように転倒させた場合いずれの場合にも、セル内の電解液力 S排気室 37に侵入するのをくい止めることができる。

[0036] また、セル連通小室 35が下側になるように転倒させた場合、排気室 37中に結露した電解液は排気室 37を排気小室 38、 39、 40に分割する隔壁 46、 47に設けた切り欠き 48、 49を通ってセル連通小室 35側に移行するので、集中排気室 41に電解液が侵入するのを防ぐことができる。他方、セル連通小室 35が上側になるように横転させた場合でも、図 2、図 4に示すように、排気室 37に少なくとも 2つの (本実施形態では 2つ）隔壁 46、 47を配置し、各々の隔壁 46、 47〖こ設けた切り欠き 48、 49を排気室 37の床面の傾斜に対してジグザグに配置し、傾斜に平行な直線状に重ならな、ように配置しているので、電池を横転させた場合にも隔壁同士が上下方向に重なることがないので、セル連通小室 35に近い排気小室 38で結露した電解液が中間の排気小室 39を素通りするのを防ぐことができる。また、排気室 37を分割する隔壁 46、 47 を斜行させ、排気室間隔壁 43、 44、 45と隔壁 46、 47のなす角度 Θを鋭角とすることにより、各排気小室（38、 39、 40)が液溜空間を形成し、排気室 37内で結露した電解液が集中排気室 41へ移行するのを防ぐ。液溜空間を大きくするためには、隔壁 4 6、 47の切り欠き 48、 49に接する端部を図 2、図 4に示すように、セル連通小室 35の方向（排気室 37の床壁 32が低い方向）に向力つて屈曲させておくことが好ましい。

[0037] また、集中排気室 41を上蓋 4の短辺のほぼ中央に位置させ、集中排気室 41がセル連通小室 35から最も離れた排気小室 40に連通し、セル連通小室 35が下側になるように横転した状態にぉ、ては、セル連通小室 35が該排気小室 40の上側に位置するようにすることによって排気室 37中で結露した電解液が集中排気室 41へ移行するのを防ぐことができるのでさらに好ましい。

[0038] セルカゝら排出された排気ガス中に混入した電解液のミストや蒸気は排気室 37を通る間に結露し、その殆どが集中排気室 41に至る迄に除去される。しかし、集中排気室 41に至った排気ガスの中にも微量の電解液が含まれる虞がある。該微量の電解液を除去するため、図 5に示した如ぐ集中排気室 41を囲む上蓋 4の隔壁 50の内側にフィルタ一としてポリプロピレン製やセラミックス製の多孔体 71を嵌合させる。排気室 37内の圧力を高めることなくスムースに排気するためには、排気ガスはフィルター 71の厚み方向に通過することが好ましい。そのためには、フィルター 71と上蓋 4の内壁面との間に空間を設ける必要がある。該フィルター 71は集中排気室 41の筒状隔壁 50に嵌合して係止しているので位置決めが難しいが、上蓋 4の内面に凸部 72を設けることによって上蓋 4の内壁面とフィルター 71の間に間隔を設けることができる。該方法は簡便であり、且つ、一定の間隔を確保できる点で好ましい方法である。凸部 72の形状や数量は特に限定されるものではないが、フィルター 71と上蓋 4の内壁面の間隔を平行にするには、上蓋 4の内壁面の集中排気室 41の内周部分に設けた環状の段差とするか、少なくとも 3つの凸部 72を等間隔に配置することが好ましい。該構成とすることによって、集中排気室 41に移行したガスは、フィルター 71内をその厚さ方向に移行し、集中排気室 41の上蓋 4側空間に至り、排気路 73を通って外部に排出される。

[0039] 集中排気室 41の床面には、集中排気室 41と排気小室 40を連通させるための隔壁 50に設けた切り欠き（図 2の 51)に近い程低ぐ切り欠き 51から遠くなるほど高くなるように傾斜を設けることが好ましい。また、ガスを電池外へ排出するための排気路 73 を切り欠き 51に近、位置に設けることが好まし、。セル力排出されるガスによって排気室 37内の圧力が上昇した状態では、排気室 37内のガス圧によってガスが排気室 37から集中排気室 41に移行する際、ガスの流れは集中排気室 41への入り口（切り欠き 51に相当）から離れた奥の部分に集中し易い。従って、排気室 37で結露せずにガスに混入した微量の電解液のミストや蒸気の流れも集中排気室 41の奥の方に集中し易ぐ集中排気室 41の奥の部分で電解液が結露してフィルター 71が目詰まりを起こす虞がある。集中排気室 41の床の傾斜、集中排気室 41から電池の外へ通じるガス排気路 73の配置を前記の構成とすることによって排気ガスが均等にフィルター 71を通過するようにすることができる。

[0040] 排気路 73の長さを小さくするためには集中排気室 41を電池の端部に位置する排気室 37に隣接して設けることが好ましい。また、前記のように、集中排気室 41には、排気室 37内で結露しきれなかった電解液が電池の外へ排出するのを防ぐための多孔性フィルター 71を配置しているが、集中排気室 41が 1個の場合、万一集中排気室 41のフィルター 71に目詰まりが生じた場合、排気に支障を来す虞がある。該虡を回避得るために図 2〜図 4に示したように、集中排気室 41を左右 2個設け、全排気室 3 7、 37' 、 37グを上蓋 4の内面の気室間隔壁 43、 44、 45に設けた切り欠き 67を通して連通させておくことが好まし、。

[0041] 中蓋 3と上蓋 4の隔壁同士を熱融着によって接合する際、隔壁を加熱して軟化させた状態で中蓋 3と上蓋 4の隔壁同士を押圧するので隔壁が変形する虞がある。上蓋 4 の集中排気室 41に装着したフィルター 71は、上蓋 4の内面に設けた集中排気室形成用の筒状隔壁 50の中に嵌合して係止めしているので、上蓋 4の隔壁 50が変形して隔壁 50の内寸に変化が起きるとフィルター 71がはずれてしまう虞がある。このような不具合の発生を防ぐため、中蓋 3の隔壁 50に比べて、上蓋 4の隔壁 50の機械的強度を高くして、両者を接合した時に上蓋 4の隔壁 50に変形が生じ難くすることが好ましい。具体的には、図 5に示した如ぐ中蓋 3の隔壁 50の厚さに比べて、上蓋 4の隔壁 50の厚さを大きくすることが好ましい。両者の厚さの比率は特に限定されるものではないが、上蓋 4の隔壁 50の厚さを中蓋 3の隔壁 50の厚さの 1. 5〜3倍に設定するのが好ましい。また、上蓋 4の隔壁 50の厚さを大きく設定し、該上蓋 4の隔壁 50の外周面に隔壁の高さ方向にリブ状突起 74を設けることが更に好ましい。該リブ状突起 7 4の形状、寸法、数量は特に限定されるものではないが、少なくとも 3箇所、隔壁 50の外周に沿って等間隔に配置されることが好ま、。

[0042] 図 2に示したように、中蓋 3には注液口 54を設ける。注液口 54を設けることによって、電槽 2上に中蓋 3を装着した後に注液することが可能となり、注液後の電池組立ェ程において、電池に揺れや振動が加わっても電解液があふれ出る虞がなくハンドリングが容易となる。注液後中蓋 3の凹部 31に上蓋 4を装着し中蓋 3と上蓋 4の隔壁を熱融着することによって気密に接合し、前記注液口 54を囲む隔壁 53と上蓋 4の壁面で排気室 37と気密に隔離した注液室 52を形成することによって、電池を横転させた場合でも注液口 54を通ってセル内の電解液力 S排気室 37や電池の外に漏出するのを防ぐことができる。 [0043] 図 6は、集中排気室 41のうち上蓋 4側の構造と排気路 73を示す図である。集中排気室 41の下方力も流れてきたガスは、隔壁 57に嵌着したフィルタ 71を通過して、上蓋 4の内面に当接する空間に移行し、排気路 73を経由して電池の外へ排出される。なお、上蓋 4の内面に設けた凸部 72により上蓋 4の内面に一定の大きさを有する空間が確保される。

[0044] 図 7は、図 3に示した中蓋 3を図の B— B線で切断したときの断面図である。なお、理解し易いように、図 7には、電槽 2の側壁 21、セル間隔壁 57、 58の開口端部と上蓋 4 の一部を図示した。中蓋 3の床壁 32のうちセルに面する壁面に設けた隔壁の端面と電槽 2の側壁 21、セル間隔壁 57、 58の開口端部とは熱融着により気密に接合される。また、中蓋 3の床壁 32の上面凹部に設けた隔壁と上蓋 4の内面（図では下側の面）に設けた隔壁とは熱融着により気密に接合され、中蓋 3と上蓋 4とで囲まれた排気室 37が形成される。前記のように、セルカゝら発生したガスは、ガス排出口 34を通つてセル連通小室 35に至り、上蓋 4の排気室間隔壁 (43、 44、 45)に設けた切り欠き 6 7を通って排気室（37、 37' 、 37" )に移行した後、排気室 37に連通する集中排気室（図示せず）に導かれ、集中排気室を経由して電池の外へ排出される。ガス力排気室 37内を移行している間にガスに混入した電解液のミストや蒸気が結露して液体となり、電解液還流口 33を通って排気室 37からセル内に還流される。

[0045] 前記のように、中蓋 3の床壁 32には、電解液還流口 33を囲みセルに向かって伸びる筒状体 62とガス排出口 34を囲みセルに向力つて伸びる筒状体 63とを設けている。該筒状体 62、 63は、セル内の電解液面が波打ったときには波の頂点（波頭)や波が電槽 2の壁面に衝突する事によって生じる電解液の飛沫が電解液還流口 33やガス排出口 34に至るのを防ぐ働きをする。

[0046] また、筒状体 62、 63の下端 64をセルの電解液に浸る（筒状体 62、 63の下端 64が電解液面の下にある状態)ように設定することによって、電解液面を小面積に区画し、電池が傾いたときに電解液が電解液還流口 33やガス排出口 34に至るのを抑制する働きがある。筒状体 62および筒状体 63の太さや断面形状は特に限定されるものではないが、電池が傾いたときに電解液が電解液還流口 33やガス排出口 34に至るのを抑制するためには、電解液面をできるだけ小面積に区画することが望ましぐそれには筒状体 62、 63の太さが小さ、ほうが好ま U、。

[0047] 本実施形態においては、ガス排出口 34を囲みセルに向かって伸びる筒状体 63の壁面に切り欠きや透孔を設けることが好ましい。該切り欠きや透孔の大きさや位置は特に限定されるものではないが、前記のように電解液が波打ったときに電解液がガス排出口 34に至るのを防ぐには、小さい方が好ましい。ただし、セル力もガスをスムースに排出させるには、セル内の電解液が波打ったり、電池が傾いたりした場合にも切り欠きの上端が電解液面の上にあることが望ましい。さらに、筒状体 63が電解液で濡れたときに電解液が液膜を形成して切り欠きや透孔を塞がない大きさにすることが好ましい。このような条件を満たすには、筒状体 63に設ける切り欠きや透孔は縦長の形状にすることが好ましい。このことによって、切り欠きや透孔の上端を電解液面の上に設定し、かつ、できるだけ細くして電解液が波打ったときに電解液がガス排出口 34に至るのを防ぐと同時に切り欠きや透孔が電解液の液膜で塞がれるのを抑制することができる。

[0048] 図 8は、図 7の C— C線で示した部分の断面図である。前記のように筒状体 63の壁面には縦長の切り欠きゃ透孔 75を設けている。

[0049] 本実施形態においては、前記のようにガス排出口 34を囲みセルに向かって伸びる筒状体 63の壁面に切り欠きゃ透孔 75を設けるので電解液還流口 33に比べて電解液面が波打った時に電解液飛沫がガス排出口 34に到達し易い。ガス排出口 34に至つた電解液飛沫は、ガス排出口 34に液膜を形成し塞ぐことがある。ガス配排出口が液膜で塞がれ、その上に結露した電解液が溜まるとガス排出口 34を通ってセルからガスが排出するのを阻害する虞がある。液膜の形成を防ぐためには、図 7に示したようにガス排出口 34の形状を円や正方形ではなく細長い長円形や長方形とすることが好ましい。

[0050] また、ガス排出口 34に液膜が形成してガス排出口 34が塞がれることやガス排出口 34に電解液面に浮遊してヽる異物 (極板から脱落したスポンジ状鉛等)詰まると!ヽぅ弊害を避けるために、図 7および図 8に示したようにガス排出口 34を含む局所床壁 3 2' を中蓋 3の床壁 32に比べて高い位置に配置してガス排出口 34と電解液面との距離を大きくすることがさらに好ましい。 [0051] また、中蓋 3の床壁 32に設けたガス排出口 34を備える前記局所床壁 32^ を取り囲むように隔壁を設け、セル連通小室 35を区画し、排気室 37内で結露した電解液がセル連通小室 35に入り込まないようにすると同時に、セル力も排出されたガスが上蓋 4の排気室間隔壁 (43、 44、 45)に設けた切り欠き 67を通って排気室（37、 37' 、 3 Ί" )に移行させることが好ましい。

[0052] 本実施形態の構成に関する説明は以上のとおりであり、前記のように、中蓋 3の凹部 31には上蓋 4との位置合わせ用のピン状凸部 55を設け、上蓋 4の内面には、ピン状凸部 55と嵌合させるための筒状穴 66を設ける。中蓋 3の位置合わせ用部材をピン状凸部 55とすることによって、電槽 2に中蓋 3を装着し、電解液を注液したあと電槽 2 外面を洗浄する工程で中蓋 3上面が洗浄水で濡れた場合でも嵌合部に水が残溜したり、異物を嚙み込む虞がなくする利点がある。

[0053] 電池を安定 (電池が傾かないように）に懸支するためには、電池の側辺のうち両短辺の中央に前記懸支用フック 42を設けることが好ましい。また、たとえ電池が傾いても、電槽 2壁面に対する電解液面の傾きの影響をできるだけ小さくするには、電池の側辺のうち短辺（図 2の 11)に平行に前記セル間隔壁 57、 58、 59を配置することが好ましい。しかし、中蓋 3の短辺 11に懸支用フック 42を設けると、懸支用フック 42を設けた短辺 11に隣接する排気室 37の空間容積が極端に小さくなる。本実施形態によれば、図 2に示したように電池の側辺のうち短辺 11に平行にセル間隔壁 57、 58、 5 9を配置し、中蓋 3の短辺 11の中央に懸支用フック 42を配置した電池であっても、セル間隔壁 57、 58、 59の位置に無関係に排気室間隔壁 43、 44, 45を配置することによって、懸支用フック 42を設けた辺に隣接する排気室 37の空間容積を他の（電池の中心側に位置する)排気室 37' 、37" と比べて遜色ない大きさを有する排気室 3 7とすることができる。

[0054] 以上、一実施形態により本発明の詳細を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明においては、たとえば集中排気室 41の位置は特に限定されるものではなぐセル間隔壁 57、 58、 59の位置に関係なく集中排気室 41に隣接する排気室 37を区画する排気室間隔壁 43の位置を設定することによって本願の目的を達成することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 複数のセルを収納する電槽 (2)と、該電槽 (2)の上面を覆う中蓋 (3)と、該中蓋 (3) の凹部（31)を覆う上蓋 (4)に囲まれた空間に、該空間を排気室間隔壁 (43、 44、 4 5)で分割して前記セル数と同数の排気室 (37、 3 、37〃）を設け、隣合う排気室（ 37, 37' 、37" )同士を前記排気室間隔壁 (43、 44、 45)に設けた切り欠きまたは透孔（67)を介して連通させ、排気室（37、 37^ 、37" )とセルを中蓋（3)の床壁（3 2)に設けた電解液還流口（33)とガス排出口（34)とで構成された開口を介して連通し、該排気室（37、 37' 、 37" )に連通する集中排気室 (41)を備え、前記セルから発生するガスを、前記排気室 (37、 37' 、 37" )に導いた後、前記集中排気室 (41) を経由して電池外へ一括排気する機構を備えた鉛蓄電池において、

前記電解液還流口（33)とガス排出口（34)とで構成された開口をとり囲む隔壁を配置し、該隔壁によって前記排気室（37、 37' 、 37" )と区画したセル連通小室（35) を備え、該セル連通小室（35)を隔壁に設けた切り欠き（36)を介して排気室（37、 3 7' 、 37" )に連通させ、該切り欠き（36)以外は隔壁によってセル連通小室（35)と排気室 (37)を隔離したことを特徴とする鉛蓄電池。

[2] 前記排気室（37、 37' 、 37" )の床壁（32)力セル連通小室（35)との連通部からの距離が小さい程低ぐセル連通小室（35)との連通部力もの距離が大きくなるに従って高くなるように傾斜を備え、前記排気室（37、 37' 、 37" )は、少なくとも 2つの隔壁 (46、 47)によって、 3つ以上の排気小室（38、 39、 40)に分割され、該隔壁（ 46、 47)は少なくとも 1個の切り欠き (48、 49)を備えており、隣合う排気小室（38、 3 9、 40)同士は、前記隔壁 (46、 47)に設けた切り欠き（48、 49)によって連通し、該切り欠き (48、 49)以外は前記隔壁 (46、 47)によって隔離され、隣合う隔壁 (46、 47 )に設けた前記切り欠き (48、 49)を、床壁（32)の傾斜に対してジグザグの位置に配置したことを特徴とする請求項 1に記載の鉛蓄電池。

[3] 前記排気室 (37、 37' 、 37" )を排気小室 (38、 39、 40)に分割する隔壁 (46、 4 7)が、床面の傾斜に対して斜行しており、該隔壁 (46、 47)と前記排気室間隔壁 (43 、 44、 45)とのなす角度 Θが鋭角であり、該隔壁 (46、 47)のうち床壁（32)の最も低い位置に前記切り欠き (48、 49)を設けたことを特徴とする請求項 2に記載の鉛蓄電池。

[4] 前記複数の排気室（37、 37' 、 37" )のうち、電池の両端部に位置する排気室（3 7)の少なくとも一つの排気室と隣接する位置に集中排気室 (41)を配置し、前記排気室 (37)と集中排気室 (41)を隔壁 (50)で区画し、該隔壁 (50)に設けた切り欠きまたは透孔（51)によって、前記セル連通小室（35)と最も離れた排気小室 (40)と集中排気室 (41)を連通させ、該切り欠きまたは透孔（51)以外は隔壁（50)によって排気室 (37)と集中排気室 (41)を隔離したことを特徴とする請求項 2に記載の鉛蓄電池。

[5] 前記集中排気室 (41)は、多孔性フィルター（71)を内蔵し、該多孔性フィルター（7 1)によって上蓋 (4)側と中蓋 (3)側の上下 2つの空間に区画されており、前記上蓋（ 4)側の空間が排気路（73)を介して電池の外と連通しており、集中排気室 (41)の床面は、排気室（37)との連通部力遠くなるに従い高くなるように傾斜を有し、前記排気路 (73)を、集中排気室 (41)と排気室 (37)の連通部に近、位置に配置したことを特徴とする請求項 1に記載の鉛蓄電池。

[6] 前記集中排気室 (41)を形成する上蓋 (4)の内面に凸部 (72)を設け、前記多孔性フィルター (71)を、上蓋 (4)に設けた集中排気室区画用筒状隔壁 (50)に嵌着させて、前記上蓋 (4)側の空間を形成したことを特徴とする請求項 5に記載の鉛蓄電池。

[7] 前記中蓋（3)の床壁（32)に、セル数と同数の各セルに開いた注液用開口（54)を設け、該注液用開口（54)を囲む隔壁（53)と上蓋 (4)によって注液室（52)を区画し、該注液室（52)と前記排気室（37)および電池の外とを気密に封鎖したことを特徴とする請求項 1に記載の鉛蓄電池。

[8] 前記中蓋 (3)および上蓋 (4)が熱可塑性榭脂成形体からなり、前記中蓋 (3)の上面および上蓋 (4)の内面の両方に外周側壁（65)、前記排気室間隔壁 (43、 44、 45 )、前記セル連通小室 (35)の隔壁、前記集中排気室 (41)の隔壁 (50)、前記排気小室 (38、 39、 40)に分割する隔壁 (46、 47)を設け、中蓋 (3)と上蓋 (4)に設けた外周側壁 (65)同士を熱融着することによって、電池の内と外を隔離し、中蓋 (3)と上蓋 (4)に設けた排気室間隔壁 (43、 44、 45)同士を熱融着することによって、セル数と同数の排気室（37、 37' 、 37" )を形成し、セル連通小室（35)、排気小室（38、 3 9、 40)、集中排気室 (41)を形成したことを特徴とする請求項 1に記載の鉛蓄電池。

[9] 集中排気室 (41)と排気室 (37)を区画する隔壁 (50)のうち、上蓋 (4)の内面に設けた隔壁 (50)の厚さを中蓋 (3)の上面に設けた隔壁（50)の厚さに比べて大きくしたことを特徴とする請求項 8に記載の鉛蓄電池。

[10] 前記上蓋 (4)の内面に設けた隔壁（50)の外側面に、該隔壁（50)の高さ方向に伸びるリブ状突起 (74)を設けたことを特徴とする請求項 9に記載の鉛蓄電池。

[11] 前記中蓋 (3)に、上蓋 (4)と重ねるときの位置合わせ用ピン (55)を設け、上蓋 (4) に該位置合わせ用ピン (55)と嵌合させるための筒状穴 (66)を設けたことを特徴とする請求項 8に記載の鉛蓄電池。

[12] 複数のセルを収納する電槽 (2)と、該電槽 (2)の上面を覆う中蓋 (3)、該中蓋 (3) の凹部（31)を覆う上蓋 (4)で囲まれれた空間に排気室間隔壁 (43、 44、 45)で区画された前記セルと同数の排気室（37、 3 、 37グ）および該排気室（37、 3 、 37 " )に連通する少なくとも 1個の集中排気室 (41)を備え、排気室 (37、 3 、37" ) の床壁（32)に前記セルと排気室（37、 37' 、 37" )を連通する電解液還流口（33) とガス排気口（34)を備え、前記セルカゝら発生するガスを前記排気室（37、 37' 、 37 " )および集中排気室 (41)を経由して電池外へ一括排気する機構を備えた鉛蓄電池において、

前記排気室（37、 3 、 37" )の床壁（32)のセルに面する壁面に前記電解液還流口（33)を囲みセル内に向力つて伸びる筒状体 (62)とガス排出口（34)を囲みセル内に向力つて伸びる筒状体 (63)を設け、前記ガス排出口（34)を囲みセル内に向力つて伸びる筒状体 (63)の壁面に切り欠きまたは透孔（75)を設けたことを特徴とする鉛蓄電池。

[13] 前記ガス排出口（34)を長円形又は長方形の開口としたことを特徴とする請求項 12 に記載の鉛蓄電池。

[14] 前記排気室（37、 37' 、 37" )の床壁（32)のうち、前記ガス排出口（34)を設けた局所床壁（32^ )を、その周囲床壁に比べてセルの電解液面力遠い位置に配置したことを特徴とする請求項 12に記載の鉛蓄電池。

[15] 等間隔に配置されたセル間隔壁（57、 58、 59)によって互いに隔離された複数のセルを収容する電槽 (2)と、該電槽 (2)の上面を覆う中蓋 (3)と、該中蓋 (3)の凹部（ 31)を覆う上蓋 (4)を備え、前記中蓋（3)は、セルに面する壁面に前記セル間隔壁（ 57、 58、 59)を備え、上蓋 (4)に面する壁面に前記中蓋（3)の凹部（31)と上蓋 (4) に囲まれた空間をセルと同数の排気室（37、 3 、37" )に区画する排気室間隔壁 (43、 44、 45)を備え、隣合う排気室 (37、 37' 、 37〃 )同士を前記排気室間隔壁（ 43、 44、 45)に設けた切り欠きまたは透孔（67)を介して連通させ、排気室（37、 37 ' 、 37" )とセルを中蓋 (3)の床壁（32)に設けた開口（33、 34)を介して連通し、前記排気室 (37、 37^ 、37" )のうち少なくとも 1個の排気室 (37)に隣接して該排気室（37)に連通する集中排気室 (41)を備え、前記セル力発生するガスを前記排気室 (37、 37^ 、37" )に導いた後、前記集中排気室 (41)を経由して電池外へ一括排気する機構を備えた鉛蓄電池にぉ、て、

少なくとも集中排気室 (41)と隣接する排気室 (37)と該排気室 (37)と隣合う排気室 (37' )とを区画する排気室間隔壁 (43)の一部又は全部を、該 2つの排気室（37、 3 T )と開口（33、 34)を介して連通する 2つのセルを区画するセル間隔壁（57)に比ベて位置をずらせたことを特徴とする鉛蓄電池。

[16] 前記集中排気室 (41)を電池端部に位置する排気室 (37)に隣接して配置し、前記排気室間隔壁 (43)の一部または全部をセル間隔壁（57)に比べて電池の中心側にずらせたことを特徴とする請求項 15に記載の鉛蓄電池。

[17] 電池の側辺のうち短辺（11)に平行にセル間隔壁（57、 58、 59)を設け、前記集中排気室 (41)を両短辺（11)側の端部に位置する排気室 (37)に隣接して設けたことを特徴とする請求項 16に記載の鉛蓄電池。

[18] 前記中蓋（3)の両短辺の中央に懸支用フック (42)を設け、該短辺に隣接する排気室 (37)と隣合う排気室 (37' )とを区画する排気室間隔壁 (43)の一部又は全部を、該 2つの排気室（37、 37' )と開口（33、 34)を介して連通する 2つのセルを区画するセル間隔壁（57)に比べて位置をずらせたことを特徴とする請求項 15に記載の鉛蓄電池。