明 細 書
メモリ装置および半導体集積回路
技術分野
[0001] 本発明は、与えられるパルス電圧に応じてその抵抗値が変化する状態変化材料を 用いたメモリ装置および半導体集積回路に関する。
背景技術
[0002] 近年、電子機器におけるデジタル技術の進展に伴 ヽ、画像などのデータを保存す るために、不揮発性記憶素子の要望が大きくなつてきており、さらに記憶素子の大容 量化、書き込み電力の低減、書き込み Z読み出し時間の高速化、長寿命化の要求 力 Sますます高まりつつある。こうした要求に対し、与えられる電気的パルスに応じてそ の抵抗値が変化するぺロブスカイト材料(例えば、 Pr Ca MnO (PCMO)、 LaSrMnO
(l-X) X 3
(LSMO)、 GdBaCo O (GBCO)など)を用いて不揮発性記憶素子を構成する技術が、
3 X Y
米国特許第 6,204,139号公報 (特許文献 1)に開示されている。この特許文献 1に開 示された技術は、これらの材料 (以下、可変抵抗材料と記す。 )に所定の電気的パル スを与えてその抵抗値を増大もしくは減少させ、その結果変化した抵抗値を異なる数 値の記憶に用いることにより、記憶素子として用いると 、うものである。
[0003] また、米国特許第 6,673,691号公報 (特許文献 2)には電気的パルスのパルス幅を 変えることにより、可変抵抗材料の抵抗値を変化させる方法が開示されている。さら に、特許文献 2には、これらの可変抵抗材料をメモリセルとして用い、メモリセル選択 素子としてダイオードを用いた 1D1R(1ダイオード Z1レジスタ)タイプのメモリアレイ セルを構成する例が記載されている。この構成は、メモリセル選択素子としてトランジ スタを用いる場合に比べ、メモリセルサイズが小さくなる特徴を有している。
[0004] ここで、特許文献 2に開示された従来の可変抵抗材料を用いたメモリ装置(1D1R 型不揮発性記憶装置) 900を図 21に示す。この従来例では、基板 901上に PZN接 合のダイオード(N型 Si領域 902, P型 Si領域 903— 1, 903— 2)を形成し、ダイォー ドの P型 Si領域 903— 1上に下部電極 904— 1を形成し、ダイオードの P型 Si領域 90 3— 2上に下部電極 904— 2を形成し、ダイオードの N型 Si領域 902上にコンタクトプ
ラグ 905を形成し、下部電極 904—1, 904— 2上に可変抵抗材料 906を形成し、可 変変化材料 906上に上部電極 907— 1, 907— 2を形成している。この従来例の場 合、下咅電極 904—1, 904— 2および上咅電極 907—1, 907— 2はともに Ptを用 い、可変抵抗材料 906としては P Ca MnOを用いている。
0.7 0.3 3
[0005] 図 21に示したメモリ装置 900では、上部電極 907—1と下部電極 904—1との間に 所定のパルス電圧が印加されると、可変抵抗材料 906のうち上部電極 907— 1と下 部電極 904— 1との間に挟まれた領域 (可変領域 906 a )の抵抗値が変化する。また 、上部電極 907— 2と下部電極 904— 2との間に所定のパルス電圧が印加されると、 可変抵抗材料 906のうち上部電極 907— 2と下部電極 904— 2との間に挟まれた領 域 (可変領域 906 |8 )の抵抗値が変化する。つまり、このメモリ装置では、可変領域 9 06 aおよび可変領域 906 βの各々は、 1つのメモリセルとして利用される。
[0006] また、図 21に示したメモリ装置 900では、メモリセル選択用のダイオードとして基板 901上に形成した Ρ/Ν接合のダイオードを使用している。そのため、上部電極 907 1 (907— 2)力も下部電極 904— 1 (904— 2)へ向力 方向(順方向)には電流は 流れるが、下部電極 904— 1 (904— 2)力ら上部電極 907— 1 (907— 2)へ向力う方 向(逆方向)または上部電極 907— 1と上部電極 907— 2との間には電流は流れない
[0007] 図 21に示したメモリ装置 900の等価回路を図 22に示す。図 22において、ワード線 W1は上部電極 907—1に対応し、ワード線 W2は上部電極 907— 2に対応し、ビット 線 B1はコンタクトプラグ 905に対応する。また、メモリセル MC911は可変抵抗領域 9 06 aに対応し、ダイオード D911はダイオード(N型 Si領域 902, P型 Si領域 903— 1 )に対応し、メモリセル MC912は可変抵抗領域 906 βに対応し、ダイオード D912は ダイオード (Ν型 Si領域 902, P型 Si領域 903— 2)に対応する。
[0008] <動作 >
次に、図 21に示したメモリ装置 900による動作について図 22を参照しつつ説明す る。ここでは、メモリセル MC911に対する処理について説明する。
[0009] 〔セット (記憶) Zリセット〕
記憶時では、ワード線 W2およびビット線 B1をグランドに落とし、ワード線 W1に所定
の電気的パルスを印加する。これにより、メモリセル MC911の抵抗値は、低抵抗状 態 (リセット)あるいは高抵抗状態 (セット)に変化する。例えば、特許文献 2によると、 電圧値が「 +4V」でありパルス幅が「100nsec」であるパルス電圧を印加するとメモリ セル MC911の抵抗値は高抵抗状態力ゝら低抵抗状態に変化し、電圧値が「 + 2. 5V 」でありパルス幅が「10 μ sec」であるパルス電圧を印加するとメモリセル 911の抵抗 値は低抵抗状態から高抵抗状態に変化する。
[0010] 〔再生〕
再生時では、ワード線 W2およびビット線 B1をグランドに落とし、ワード線 W1に所定 の再生電圧 (例えば、電圧値が「 + 0. 5V」である電圧)を印加する。これにより、メモ リセル MC911に流れる電流がビット線 B1に流出する。一方、メモリセル MC912に は電流が流れない。また、メモリセル MC912に対してダイオード D912 (図 21では、 N型 Si領域 902, P型 Si領域 903— 2)が設けられているので、ワード線 W1からヮー ド線 W2へ電流は流れない。よって、メモリセル MC911の抵抗値だけを検出すること ができる。
[0011] このような手法により、従来のメモリ装置(1D1R型不揮発性記憶装置) 900は、各 々のメモリセルへの記録 Z再生を行って 、る。
[0012] さらに、米国特許第 6,531,371号公報 (特許文献 3)には、可変抵抗材料を用いてク ロスポイントタイプのメモリ装置を構成することにより、メモリ装置の大容量ィ匕を実現し ている。具体的には、図 23のように、ワード線 Wl, W2とビット線 Bl, B2とが交差す る箇所(クロスポイント)の各々にメモリセル 90— 11, 90- 12, 90- 21, 90— 22を 設けることによって、クロスポイント型のメモリ装置を実現している。メモリセル 90— 11 〜90— 22は、可変抵抗材料によって形成される。
[0013] しかし、図 23のメモリ装置では、情報を読み出したいメモリセル (例えば、可変抵抗 材料 90— 21)に隣接するメモリセル(可変抵抗材料 90— 11, 90- 12, 90— 22)の 抵抗値が低い場合、図 23のように情報を読み出したいメモリセルだけでなく隣接する メモリセルを介して電流が流れてしま 、、情報を読み出した 、メモリセルの抵抗状態 を判別できない可能性がある。そこで、特表 2002-530850号公報 (特許文献 4)に開 示されて!/、るように、メモリセルとなる状態変化部とステアリング部と呼ばれるダイォー
ドとを直列に接続することによって構成されるクロスポイント型のメモリ装置も提案され ている。
特許文献 1:米国特許第 6,204, 139号公報
特許文献 2 :米国特許第 6,673,691号公報
特許文献 3 :米国特許第 6,531 ,371号公報
特許文献 4:特表 2002-530850号公報
非特許文献 1 : 2002 IEDM,論文番号 7.5,Dec.2002
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0014] し力しながら、ダイオードを用いるタイプ (1D1R型不揮発性記憶装置)においては、 図 21のように、基板 901上に PZN接合力もなるダイオードを形成しなければならず 、さらにメモリセルを構成するために下部電極 904— 1 , 904— 2および可変抵抗材 料 906をそのダイオード上に形成する必要がある。このような構成は、製造プロセス 上複雑であり、実用化に適していない。また、図 21に示したメモリ装置 900では、ダイ オードが形成されているので、上部電極 907— 1 (907— 2)力下部電極 904— 1 (90 4 - 2)に対して「一」になるパルス電圧を与えても可変領域 906 a (906 β )に所定の パルス電圧が印加されたことにはならない。つまり、図 21に示したメモリ装置 900では 、可変領域 906 α (906 j8 )の抵抗値を変化させるためには、上部電極 907— 1 (90 7 - 2)が下部電極 904 - 1 (904 - 2)に対して「 +」になるパルス電圧を印加する必 要がある。このように、可変抵抗材料に印加するパルス電圧の極性が制限される。
[0015] また、図 21に示したメモリ装置では、メモリセルの抵抗状態を高抵抗状態力も低抵 抗状態に変化させる(セットする)ためには「100nsec」の期間を要し、メモリセルの抵 抗状態を低抵抗状態力 高抵抗状態に変化させる(リセットする)ためには「10 sec 」の期間を要する。このメモリセルへのセット Zリセットを素早く実行するためには、印 加するパルス電圧のパルス幅を短くする必要がある。
[0016] さらに、特許文献 4に示されたクロスポイント型のメモリ装置は、製造プロセスが非常 に複雑であり、また、多層化して 3次元構造にする上でも製造プロセスが複雑である。 課題を解決するための手段
[0017] この発明の 1つの局面に従うと、メモリ装置は、第 1電極層と、状態変化層と、第 2電 極層とを備える。第 1電極層は、互いに平行に延びる複数の第 1の電極線を含む。状 態変化層は、上記第 1電極層の上に形成され、かつ、ダイオード特性と可変抵抗特 性とを示す複数の状態変化体 (状態変化部)を含む。第 2電極層は、上記状態変化 層の上に形成され、かつ、互いに平行に延びる複数の第 2の電極線を含む。上記複 数の第 1の電極線と上記複数の第 2の電極線とは、積層方向から見たときに上記状 態変化層を挟んで互いに交差している。上記複数の状態変化体の各々は、上記複 数の第 1の電極線のうちいずれ力 1つと上記複数の第 2の電極線のうちいずれか 1つ とが交差する位置において、その第 1の電極線とその第 2の電極線との間に形成され る。上記複数の状態変化体の各々は、その第 1の電極線およびその第 2の電極線の うちいずれか一方力 他方へ向力 方向を順方向とし他方を逆方向とするダイオード 特性を示す。上記複数の状態変化体の各々は、その第 1の電極線とその第 2の電極 線との間に印加される所定のパルス電圧に応じて、その状態変化体の順方向におけ る抵抗値が増加 Z減少する可変抵抗特性を示す。
[0018] 上記メモリ装置では、従来の 1R1D型不揮発性記憶素子の構成と比較すると、ダイ オードを設ける必要がないので、製造プロセスを簡単にすることができる。また、状態 変化体が「ダイオード特性」を有して!/ヽるので、処理対象の状態変化体に隣接する状 態変化体の抵抗値が低くても、その隣接する状態変化体には余計な電流が流れな い。これにより、処理対象の状態変化体の抵抗値を正確に判別することができる。
[0019] 好ましくは、上記メモリ装置は、前記複数の状態変化体に対応する複数の第 1の電 極および複数の第 2の電極とをさらに備える。前記複数の第 1の電極の各々は、当該 第 1の電極に対応する状態変化体と当該状態変化体に対応する第 1の電極線との 間に介在する。前記複数の第 2の電極の各々は、当該第 2の電極に対応する状態変 化体と当該状態変化体に対応する第 2の電極線との間に介在する。前記複数の状 態変化体の各々は、対応する第 1の電極および第 2の電極のうちいずれか一方から 他方へ向かう方向を順方向とし他方を逆方向とするダイオード特性を示す。前記複 数の状態変化体の各々は、対応する第 1の電極と第 2の電極との間に印加される所 定のパルス電圧に応じて、当該状態変化体の順方向における抵抗値が増加 Z減少
する可変抵抗特性を示す。
[0020] この発明のもう 1つの局面に従うと、メモリ装置は、第 1電極層と、状態変化層と、第 2電極層とを備える。第 1電極層は、互いに平行に延びる複数の第 1の電極線を含む 。状態変化層は、上記第 1電極層の上に形成され、かつ、ダイオード特性と可変抵抗 特性とを示す状態変化材料からなる。第 2電極層は、上記状態変化層の上に形成さ れ、かつ、互いに平行に延びる複数の第 2の電極線を含む。上記複数の第 1の電極 線と上記複数の第 2の電極線とは、積層方向から見たときに上記状態変化層を挟ん で互いに交差している。上記複数の状態変化層のうち、上記複数の第 1の電極線の うちいずれ力 1つと上記複数の第 2の電極線のうちいずれ力 1つとの間に挟まれた可 変領域 (状態変化部)は、その第 1の電極線およびその第 2の電極線のうちいずれか 一方から他方へ向かう方向を順方向とし他方を逆方向とするダイオード特性を示す。 上記可変領域は、その第 1の電極線とその第 2の電極線との間に印加される所定の パルス電圧に応じて、その領域の順方向における抵抗値が増加 Z減少する可変抵 抗特性を示す。
[0021] 上記メモリ装置では、従来の 1R1D型不揮発性記憶素子の構成と比較すると、ダイ オードを設ける必要がないので、製造プロセスを簡単にすることができる。また、状態 変化層が「ダイオード特性」を有しているので、処理対象の可変領域に隣接する可変 領域の抵抗値が低くても、その隣接する可変領域には余計な電流が流れない。これ により、処理対象の可変領域の抵抗値を正確に判別することができる。
[0022] 好ましくは、前記複数の第 1の電極線の各々の仕事関数は、前記複数の第 2の電 極線の各々の仕事関数と異なる。
[0023] 上記メモリ装置では、第 1の電極の仕事関数と第 2の電極の仕事関数とが互いに異 なる場合、状態変化材料はダイオード特性および可変抵抗特性を示すことがわかつ た。したがって、第 1の電極の仕事関数と第 2の電極の仕事関数とが互いに異なるよ うにすれば、状態変化材料が「ダイオード特性」および「可変抵抗特性」を示す状態 変化部を構成することができる。
[0024] 好ましくは、前記複数の第 1の電極の各々の仕事関数は、前記複数の第 2の電極 の各々の仕事関数と異なる。
[0025] 好ましくは、前記複数の状態変化体の各々における状態変化材料の結晶性は、不 均一である。
[0026] 上記メモリ装置では、状態変化材料の結晶性が不均一である場合、状態変化材料 はダイオード特性および可変抵抗特性を示すことがわ力つた。したがって、状態変化 材料の結晶性を不均一にすれば、状態変化材料が「ダイオード特性」および「可変 抵抗特性」を示す状態変化部を構成することができる。
[0027] 好ましくは、前記状態変化層における状態変化材料の結晶性は、不均一である。
[0028] 好ましくは、上記メモリ装置は、前記複数の第 1の電極線に所定の電圧を印加する 第 1の電極線駆動部と、前記複数の第 2の電極線に所定の電圧を印加する第 2の電 極線駆動部とをさらに備える。
[0029] 上記メモリ装置では、状態変化部が「ダイオード特性」を有しているので、ある第 1の 電極線力 別の第 1の電極線に電流が流れることはない。このように、ダイオード素子 を別に設けることなぐメモリ装置を構成することができる。
[0030] 好ましくは、前記複数の状態変化部のうちいずれか 1つに情報を記憶するときには 、前記第 1の電極線駆動部は、前記複数の第 1の電極線のうち前記情報を記憶しょう とする状態変化部に対応する第 1の電極線に第 1のパルス電圧を印加する。前記第 2の電極線駆動部は、前記複数の第 2の電極線のうち前記情報を記憶しょうとする状 態変化部に対応する第 2の電極線に第 2のパルス電圧を印加する。
[0031] 上記メモリ装置では、情報を記憶した!/、状態変化部には所定のパルス電圧が印加 される力 他の状態変化部には所定のパルス電圧が印加されない。これにより、情報 を記憶したい状態変化部の抵抗状態のみを変化させることができる。つまり、任意の 状態変化部を選択して、その選択した状態変化部に情報を記憶することができる。
[0032] 好ましくは、前記複数の状態変化部のうちいずれか 1つに記憶された情報を再生す るときには、前記第 1の電極線駆動部は、前記複数の第 1の電極線のうち前記情報を 読み出そうとする状態変化部に対応する第 1の電極線に再生電圧を印加する。前記 第 2の電極線駆動部は、前記複数の第 2の電極線のうち前記情報を読み出そうとす る状態変化部に対応しない第 2の電極線に前記再生電圧を印加する。
[0033] 上記メモリ装置では、情報を読み出したい状態変化部では順方向に電流が流れる
力 他の状態変化部では順方向に電流が流れない。これにより、情報を読み出した い状態変化部に流れる電流のみを読み取ることができる。つまり、任意の状態変化部 を選択して、その選択した状態変化部に記憶された情報を読み出すことができる。
[0034] この発明のさらにもう 1つの局面に従うと、半導体集積回路は、上記メモリ装置と、所 定の演算を行う論理回路とを備える。上記論理回路は、記憶モードおよび処理モー ドを有する。論理回路は、上記記憶モードのときにはビットデータを上記メモリ装置に 記憶する。論理回路は、上記処理モードのときには上記メモリ装置に記憶されたビッ トデータを読み出す。
[0035] この発明のさらにもう 1つの局面に従うと、半導体集積回路は、上記メモリ装置と、プ ログラム実行モードとプログラム書換モードとを有するプロセッサとを備える。上記プロ セッサは、上記プログラム実行モードでは上記メモリ装置に記憶されたプログラムに 従って動作する。プロセッサは、上記プログラム書換モードでは上記メモリ装置に記 憶されたプログラムを外部力も入力した別の新たなプログラムに書き換える。
[0036] 好ましくは、上記状態変化材料は、スピネル構造を有する金属酸化物である。
[0037] 好ましくは、上記状態変化材料は、金属が添加された酸ィ匕物強誘電体である。
[0038] 好ましくは、上記酸化物強誘電体は、ィルメナイト構造を有する。
[0039] 好ましくは、上記状態変化材料は、ベロブスカイト構造を有する金属酸化物である。
[0040] 好ましくは、上記金属酸化物は、 CMR (Colossal Magneto-Resistance:巨大磁気抵 抗)特性あるいは高温超伝導特性のうち少なくとも 1つの特性を有する材料である。
[0041] 好ましくは、上記状態変化材料は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属を含まな い。
発明の効果
[0042] 以上のように、状態変化部が「ダイオード特性」を有して!/ヽるので、別にダイオード 素子を用いることなく電流の向きを規定することができる。さらに状態変化部が「可変 抵抗特性」を有しているので、例えば、 1R1D型不揮発性記憶素子として利用するこ とができる。このように利用した場合、従来の 1R1D型不揮発性記憶素子の構成と比 較すると、ダイオードを設ける必要がないので、製造プロセスを簡単にすることができ る。また、パルス電圧の極性によって抵抗値を変化させる方法では、従来のパルス印
加方法 (パルス電圧のパルス幅を調整することによって可変抵抗材料の抵抗値を変 化させる方法)と比較すると、印加するパルス電圧のパルス幅が短い。つまり、記憶 Z リセットに要する時間を短縮することができる。
図面の簡単な説明
[図 1]図 1は、電気素子の基本構成を示す図である。
[図 2]図 2は、印加するパルス電圧を示す波形図である。
[図 3]図 3Aは、電気素子に一方の極性を示す測定電圧を印加したときの、極性の異 なるパルス電圧による抵抗値の変化を示す図である。図 3Bは、電気素子に他方の極 性を示す測定電圧を印加したときの、極性の異なるパルス電圧による抵抗値の変化 を示す図である。
[図 4]図 4Aは、電気素子に一方の極性を示すパルス電圧を印加した後の電流 電 圧特性を示す図である。図 4Bは、電気素子に他方の極性を示すパルス電圧を印加 した後の電流 電圧特性を示す図である。
[図 5]図 5Aは、電気素子に一方の極性を示すパルス電圧を印加した後の電流 電 圧特性を示す図である。図 5Bは、電気素子に他方の極性を示すパルス電圧を印加 した後の電流 電圧特性を示す図である。
[図 6]図 6は、電気素子に測定電圧を印加したときの、極性の異なるパルス電圧による 抵抗値の変化を示す図である。
[図 7]図 7Aは、電気素子に一方の極性を示すパルス電圧を印加した後の電流 電 圧特性を示す図である。図 7Bは、電気素子に他方の極性を示すパルス電圧を印加 した後の電流 電圧特性を示す図である。
[図 8]図 8Aは、電気素子に一方の極性を示す測定電圧を印加したときの、極性の異 なるパルス電圧による抵抗値の変化を示す図である。図 8Bは、電気素子に他方の極 性を示す測定電圧を印加したときの、極性の異なるパルス電圧による抵抗値の変化 を示す図である。
[図 9]図 9は、電気素子にパルス電圧を印加したときの抵抗値の変化を示す図である [図 10]図 10は、電気素子の回路記号を示す図である。
[図 11]図 11は、この発明の第 2の実施形態によるメモリ装置の全体構成を示す図で ある。
[図 12]図 12は、この発明の第 3の実施形態による半導体集積回路の全体構成を示 す図である。
[図 13]図 13は、この発明の第 4の実施形態による半導体集積回路の全体構成を示 す図である。
[図 14]図 14は、この発明の第 5の実施形態によるメモリ装置の構造を示す図である。
[図 15]図 15は、図 14に示したメモリ装置の等価回路を示す図である。
[図 16]図 16は、図 14に示したメモリ装置の等価回路を示す図である。
[図 17]図 17は、この発明の第 6の実施形態によるメモリ装置の構造を示す図である。
[図 18]図 18は、図 17に示したメモリ装置の等価回路を示す図である。
[図 19]図 19は、この発明の第 6の実施形態によるメモリ装置の変形例を示す図である
[図 20]図 20は、この発明の第 6の実施形態によるメモリ装置の変形例を示す図である
[図 21]図 21は 従来のメモリ装置の構造を示す図である。
[図 22]図 22は 図 21に示したメモリ装置の等価回路を示す図である c
[図 23]図 23は 従来のクロスポイント型のメモリ装置を示す図である。
符号の説明
1 上部電極
2 状態変化材料
3 下部電極
4
5
101 - 1, 101 - 2 端子
102 電気素子
200, 500 メモジ装置
201 メモリアレイ
202 アドレスバッファ
203 制御部
204 行デコーダ
205 ワード線ドライバ
206 列デコーダ
207 ビット線ドライバ
MC211, MC212, MC221, MC222, MC511, MC512 メモジセル
Wl, W2 ワード線
Bl, B2 ビット線
300 半導体集積回路
301 論理回路
400 半導体集積回路
401 プロセッサ
402 インターフェイス
501 基板
502 下部電極
503 状態変化材料
503 α , 503 |8 状態変化領域
504 コンタクトプラグ
505- 1, 505- 2 上部電極
60— 11〜60— 22 状態変化体
60 α— 11〜60 α— 22 状態変化領域
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一ま たは相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(電気素子の基本構成および基本特性)
まず、本発明の実施形態において用いられる電気素子の基本構成および基本特 性について説明する。
[0046] 電気素子の基本構成を図 1に示す。電気素子では、基板 4上に下部電極 3が形成 され、下部電極 3上に状態変化材料 2が形成され、状態変化材料 2上に上部電極 1 が形成される。電源 5は、上部電極 1および下部電極 3間に所定の電圧を印加する。
[0047] 本発明の電気素子に用いられる状態変化材料 2は、順方向には電流が流れやす いが逆方向には電流が流れにくい特性 (ダイオード特性)と、所定のパルス電圧が印 カロされることによって抵抗値が増加 Z減少する特性 (可変抵抗特性)とを示す。状態 変化材料 2は、スピネル構造の金属酸ィ匕物材料,ィルメナイト構造の金属が添加され た酸化物強誘電体, CMR特性および高温超伝導特性のうち少なくとも 1つの特性を 有するぺロブスカイト構造の材料であり、具体的には、 CoFe 0 , CuFe O , NiCr Ο ,
2 4 2 4 2 4
Fe Ο , Cr-SrTiO , Sr- LiNbO , Mg-LiNbO , Pr Ca ΜηΟ (0<Χ<0.5), LaSrMnO ,
3 4 3 3 3 (1-Χ) X 3 3
GdBaCo Ο (0<Χ<2, 0〈Υ〈7)等である。
X Υ
[0048] 次に、上記特性 (可変抵抗特性およびダイオード特性)を示す状態変化材料 2を実 現する方法にっ 、て説明する。
[0049] (実施例 1)
上記特性 (可変抵抗特性およびダイオード特性)を有する状態変化材料 2を実現す るために、互いに仕事関数が異なる 2つの材料を図 1に示した上部電極 1および下部 電極 3として用いて電気素子を構成した。以下に、その理由について説明する。
[0050] <実験対象 >
ここでは、次の 3種類の電気素子に対して実験を行った。
試料 (Α) :上部電極 1の仕事関数が下部電極 3の仕事関数よりも小さい電気素子。 試料 (Β):上部電極 1の仕事関数が下部電極 3の仕事関数よりも大き 、電気素子。 試料 (C):上部電極 1の仕事関数と下部電極 3の仕事関数とが等 ヽ電気素子。
[0051] なお、試料 (Α)〜試料 (C)を形成した後に、上部電極 1が下部電極 3に対して「 +」 になるパルス電圧(電圧値: + 3V,パルス幅: 10 sec (マイクロセカンド) )を印加す ること〖こよって、形成直後の抵抗値 (約 1M Ω )よりも約一桁強低 、抵抗値を初期の抵 抗値として設定した (この初期化は、特願 2003-421374等に記載の方法と同様の方法 により行った)。
[0052] <実験内容 >
本実施例では、試料 (A)〜試料 (C)の各々に対して次のような実験を行った。
[0053] 〔実験 1〕
上部電極 1が下部電極 3に対して「 +」になるパルス電圧(以下、「パルス電圧(+極 性)」と記す。)と上部電極 1が下部電極 3に対して「一」になるパルス電圧(以下、「パ ルス電圧(一極性)」と記す。)とを 1回ずつ交互に印加する(図 2参照)。ここで、パル ス電圧の印加が 1回終了する毎に、状態変化材料 2の抵抗値を測定するために、上 部電極 1が下部電極 3に対して「 +」になる電圧(以下、「測定電圧( +極性)」と記す 。)を印加する。
[0054] 〔実験 2〕
「パルス電圧(+極性)」と「パルス電圧(一極性)」とを 1回ずつ交互に印加する(図 2 参照)。ここで、パルス電圧の印加が 1回終了する毎に、状態変化材料 2の抵抗値を 測定するために、上部電極 1が下部電極 3に対して「一」になる電圧(以下、「測定電 圧(一極性)」と記す。)を印加する。
[0055] 〔実験 3〕
「パルス電圧(+極性)」と「パルス電圧(一極性)」とを 1回ずつ交互に印加する(図 2 参照)。ここで、パルス電圧の印加が 1回終了する毎に、状態変化材料 2の電流ー電 圧特性を測定する。
[0056] なお、ここでは、
ノ ルス電圧(+極性):電圧値「 + 3V」,パルス幅「50nsec」
ノ ルス電圧(一極性):電圧値「— 3V」,パルス幅「50nsec」
測定電圧(+極性):電圧値「 + 0. 5V」
測定電圧(一極性):電圧値「ー0. 5V」
とした。
[0057] <試料 (A)に対する実験 >
まず、試料 (A)に対する実験について図 3A,図 3B,図 4A,図 4Bを参照しつつ説 明する。なお、図 3A,図 3Bにおいて、縦軸は、測定値 Rを初期化直後の抵抗値 RO によって規格ィ匕した値を示す(図 6,図 8A,図 8B,図 9においても同様)。
[0058] 〔用いた材料〕
上部電極 l : Ag (膜厚約 0. 2 μ ηι,仕事関数 4. 3eV(=electron volt)) 状態変化材料 2 : CuFe O (膜厚約 0. l ^ m)
2 4
下部電極 3 : Pt (膜厚約 0. 2 μ ΐη,仕事関数 5. 7eV)
〔実験 1の結果〕
試料 (A)に対して実験 1を行った。その実験結果を図 3Aに示す。測定値は、パル ス電圧(+極性)が印加された後では高抵抗状態 (抵抗値が他方の状態に比べて高 V、状態)から低抵抗状態 (抵抗値が他方の状態に比べて低 、状態)へと変化し、パ ルス電圧(一極性)が印加された後では低抵抗状態力ゝら高抵抗状態へと変化した。こ のように、印加されるパルス電圧に応じて、上部電極 1から下部電極 3へ向かう方向 に対する抵抗値 (状態変化材料 2の抵抗値)が増加 Z減少することがゎカゝつた。
[0059] 〔実験 2の結果〕
また、試料 (A)に対して実験 2を行った。その実験結果を図 3Bに示す。測定値は、 パルス電圧(+極性)を印加した後でも、低抵抗状態には変化せず高抵抗状態であ つた。このように、印加されるパルス電圧にかかわらず、下部電極 3から上部電極 1へ 向カゝぅ方向に対する抵抗値 (状態変化材料 2の抵抗値)は常に高抵抗状態であること がわかった。
[0060] 〔実験 3の結果〕
また、試料 (A)に対して実験 3を行った。パルス電圧(+極性)を印加した後に測定 された電流 電圧特性を図 4Aに示す。図 4Aのように、パルス電圧(+極性)を印加 した後では、測定電圧(+極性)を印加するとその測定電圧(+極性)の絶対値が大 きくなるのに従って流れる電流値は増加し、電流が流れやすいことがわ力つた。一方 、測定電圧(一極性)を印加するとその測定電圧(一極性)の絶対値を大きくしても流 れる電流値は増加せず、実験を行った範囲では流れる電流の絶対値は 20 A以下 であり、電流が流れにくい結果となった。このように、パルス電圧(+極性)を印加した 後では、上部電極 1から下部電極 3へ向カゝぅ方向へは電流 (状態変化材料 2を流れる 電流)が流れやすぐ下部電極 3から上部電極 1へ向力 方向へは電流が流れにくく なることがわかった。
[0061] 一方、パルス電圧(一極性)を印加した後に測定された電流 電圧特性を図 4B〖こ
示す。図 4Bのように、パルス電圧(一極性)を印加した後では、測定電圧(+極性)を 印加したときでも電流が流れにくくなつた。このように、パルス電圧(一極性)を印加し た後では、パルス電圧(+極性)を印加した後と比較すると、上部電極 1から下部電 極 3へ向力 方向へ電流が流れに《なることがわ力つた。すなわち、試料 (A)は上 部電極 1から下部電極 3へ向力 順方向に電圧を印加すると、流れる電流が指数関 数的に増大するが(図 4Aでは横軸の右方向)、下部電極 3から上部電極 1へ向かう 逆方向に電圧を印加しても電流がほとんど流れな 、(図 4Aでは横軸の左方向)。換 言すると、上部電極 1から下部電極 3へ向力 順方向において、下部電極 3から上部 電極 1へ向力う逆方向よりも十分に大きな電流が流れるという、一方向にのみ電流が 流れる整流作用を有するダイオード特性を示すことがわ力つた。
[0062] 〔検証結果〕
以上の実験により、試料 (A)は、次のような特性を示すことがわ力つた。
( 1)上部電極 1から下部電極 3へ向力 方向を順方向とし、下部電極 3から上部電極 1へ向カゝぅ方向を逆方向とするダイオード特性。
(2)印加されるパルス電圧に応じてその順方向における抵抗値が増減する特性 (可 変抵抗特性)。詳しくは、その順方向における抵抗値は、パルス電圧(+極性)が印 カロされると減少し、パルス電圧(-極性)が印加されると増加する。
[0063] <試料 (B)に対する実験 >
次に、試料 (B)に対する測定結果について図 3A,図 3B,図 5A,図 5Bを参照しつ つ説明する。
[0064] <用いた材料 >
上部電極 l : Pt (膜厚約 0. 仕事関数 5. 7eV)
状態変化材料 2 : CuFe O (膜厚約 0. l ^ m)
2 4
下部電極 3 : Ti (膜厚約 0. 2 μ ΐη,仕事関数 4. 3eV)
<実験結果 >
〔実験 1の結果〕
試料 (B)に対して実験 1を行った。その実験結果は、図 3Bのようになった。測定値 は、パルス電圧( +極性)を印加した後でもパルス電圧(-極性)を印加した後でも、
低抵抗状態に変化せず高抵抗状態であった。このように、印加されるパルス電圧に かかわらず、上部電極 1から下部電極 3へ向力う方向に対する抵抗値 (状態変化材 料 2の抵抗値)は常に高抵抗状態であることがわ力つた。
[0065] 〔実験 2の結果〕
また、試料 (B)に対して実験 2を行った。その実験結果は、図 3Aのようになった。測 定値は、パルス電圧(+極性)が印加された後では高抵抗状態 (抵抗値が他方の状 態に比べて高 、状態)から低抵抗状態 (抵抗値が他方の状態に比べて低 、状態)へ と変化し、パルス電圧(一極性)が印加された後では低抵抗状態力ゝら高抵抗状態へと 変化した。このように、印加されるパルス電圧に応じて、下部電極 3から上部電極 1へ 向カゝぅ方向に対する抵抗値 (状態変化材料 2の抵抗値)が増加 Z減少することがわか つた o
[0066] 〔実験 3の結果〕
また、試料 (B)に対して実験 3を行った。パルス電圧(+極性)を印加した後に測定 された電流 電圧特性を図 5Aに示す。図 5Aのように、パルス電圧(+極性)を印加 した後では、測定電圧(+極性)を印加したときには電流が流れにくぐ測定電圧(一 極性)を印加したときには電流が流れやすい結果となった。このように、パルス電圧( +極性)を印加した後では、上部電極 1から下部電極 3へ向力う方向へは電流 (状態 変化材料 2を流れる電流)が流れにくぐ下部電極 3から上部電極 1へ向かう方向へ は電流が流れやすくなることがわ力つた。
[0067] 一方、パルス電圧(一極性)を印加した後に測定された電流 電圧特性を図 5B〖こ 示す。図 5Bのように、パルス電圧(-極性)を印加した後では、測定電圧(—極性)を 印加したときでも電流が流れにくくなつた。このように、パルス電圧(一極性)を印加し た後では、パルス電圧(+極性)を印加した後と比較すると下部電極 3から上部電極 1 へ向力 方向へ電流が流れに《なることがわ力つた。
[0068] 〔検証結果〕
以上の実験により、試料 )は、次のような特性を示すことがわ力つた。
(1)下部電極 3から上部電極 1へ向力 方向を順方向とし、上部電極 1から下部電極 3へ向かう方向を逆方向とするダイオード特性。
(2)印加されるパルス電圧に応じてその順方向における抵抗値が増減する特性 (可 変抵抗特性)。詳しくは、その順方向における抵抗値は、パルス電圧(+極性)が印 カロされる減少し、パルス電圧(一極性)が印加されると増加する。
[0069] <試料 (C)に対する実験 >
次に、試料 (C)に対する実験結果について図 6,図 7A,図 7Bを参照しつつ説明す る。
[0070] <用いた材料 >
上部電極 l : Pt (膜厚約 0. 仕事関数 5. 7eV)
状態変化材料 2 : CuFe O (膜厚約 0. l ^ m)
2 4
下部電極 3 : Pt (膜厚約 0. 2 μ να,仕事関数 5. 7eV)
<実験結果 >
〔実験 1の結果〕
試料 (C)に対して実験 1を行った。その実験結果は図 6のようになった。測定値は、 パルス電圧(+極性)が印加された後では高抵抗状態力ゝら低抵抗状態へと変化し、 パルス電圧(一極性)が印加された後では低抵抗状態から高抵抗状態へと変化した 。このように、印加されるパルス電圧に応じて、上部電極 1から下部電極 3へ向かう方 向に対する抵抗値 (状態変化材料 2の抵抗値)が増加 Z減少した。
[0071] 〔実験 2の結果〕
また、試料 (C)に対して実験 2を行った。その実験結果は図 6のようになった。このよ うに、印加されるパルス電圧に応じて、下部電極 3から上部電極 1へ向カゝぅ方向に対 する抵抗値 (状態変化材料 2の抵抗値)が増加 Z減少した。
[0072] 〔実験 3の結果〕
また、試料 (C)に対して実験 3を行った。パルス電圧(+極性)を印加した後に測定 された電流 電圧特性を図 7Aに示し、パルス電圧(一極性)を印加した後に測定さ れた電流 電圧特性を図 7Bに示す。図 7Aと図 7Bとを比較すると、パルス電圧(+ 極性)を印加した後の方がパルス電圧(一極性)を印加した後よりも電流が流れやす Vヽ (状態変化材料 2の抵抗値が小さ 、)ことがわ力つた。
[0073] 〔検証結果〕
以上の実験により、試料 (C)は、次のような特性を示すことがわ力つた。
(1)パルス電圧(+極性)が印加されると抵抗値が減少し、パルス電圧(-極性)が印 加されると抵抗値が増加する特性 (可変抵抗特性)。
[0074] くまとめ〉
試料 (A)では、上部電極 1の仕事関数は、下部電極 3の仕事関数よりも小さい。一 方、試料 (B)では、上部電極 1の仕事関数は、下部電極 3の仕事関数よりも大きい。 試料 A〜試料 Cの実験結果より、状態変化材料 2は、次のような特性を示すことがわ かった。
(1)仕事関数の小さ 、電極力 仕事関数の大き 、電極へ向力 方向を順方向とし、 仕事関数の大きい電極力 仕事関数の小さい電極へ向力う方向を逆方向とするダイ オード特性。
(2)印加されるパルス電圧に応じてその順方向における抵抗値が増減する特性 (可 変抵抗特性)。詳しくは、その順方向における抵抗値は、下部電極 3に対して上部電 極 1が「 +」になるパルス電圧が印加されると減少し、下部電極 3に対して上部電極 1 力^—」になるパルス電圧が印加されると増加する。
[0075] また、試料 (A)〜試料 (C)では、上部電極 1が下部電極 3に対して「 +」になるノ ル ス電圧を各々の試料を形成した後に印加することによって、状態変化材料 2の抵抗 値を形成直後の抵抗値 (約 1M Ω )よりも約一桁強低 ヽ抵抗値に初期化した。しかし 、試料 (A)〜(C)の中には、上部電極 1が下部電極 3に対して「―」になるパルス電 圧 (電圧値:— 3V,パルス幅 10 sec)を各々の試料を形成した後に印加することに よって、状態変化材料 2の抵抗値を形成直後の抵抗値 (約 1M Ω )よりも約一桁強低 V、抵抗値に設定したものもあった (このような試料 (A)〜試料 (C)を試料 (Α' ) ,試料 (Β,),試料 (C,)とする)。
[0076] 試料 (A)〜試料 (C)と同様の実験 (実験 1〜実験 3)を試料 (Α' )〜試料 (C )に対 して行った。
[0077] <試料 (Α' )に対する実験 >
試料 (Α' )に対する実験について図 8Α,図 8Β,図 4Α,図 4Βを参照しつつ説明す る。
[0078] 〔実験 1の結果〕
試料 (Α' )に対する実験 1の結果は、図 8Αのようになった。測定値は、パルス電圧( +極性)が印加された後では低抵抗状態から高抵抗状態へと変化し、パルス電圧( —極性)が印加された後では高抵抗状態力 低抵抗状態へと変化した。このように、 印加されるパルス電圧に応じて、上部電極 1から下部電極 3へ向力う方向に対する抵 抗値 (状態変化材料 2の抵抗値)が増加 Ζ減少することがわ力つた。
[0079] 〔実験 2の結果〕
試料 (Α' )に対する実験 2の結果は、図 8Βのようになった。測定値は、パルス電圧( —極性)を印カロした後でも、低抵抗状態に変化せず高抵抗状態であった。このように 、印加されるパルス電圧にかかわらず、下部電極 3から上部電極 1へ向力 方向に対 する抵抗値は常に高抵抗状態であることがわ力 た。
[0080] 〔実験 3の結果〕
試料 (Α' )に対する実験 3の結果について述べる。パルス電圧(+極性)を印加した 後に測定された電流 電圧特性は図 4Βのようになった。また、パルス電圧(一極性) を印加した後に測定された電流 電圧特性は図 4Αのようになった。
[0081] <試料 (Β' )に対する実験 >
試料 (Β' )に対する実験について図 8Α,図 8Β,図 5Α,図 5Βを参照しつつ説明す る。
[0082] 〔実験 1の結果〕
試料 (Β' )に対する実験 1の結果は、図 8Βのようになった。このように、印加される パルス電圧にかかわらず、上部電極 1から下部電極 3へ向カゝぅ方向に対する抵抗値 は、常に高抵抗状態であることがわ力つた。
[0083] 〔実験 2の結果〕
試料 (Β' )に対する実験 2の結果は、図 8Αのようになった。このように、印加される パルス電圧に応じて、下部電極 3から上部電極 1へ向カゝぅ方向に対する抵抗値が増 加 Ζ減少することがわ力つた。
[0084] 〔実験 3の結果〕
試料 (Β' )に対する実験 3の結果について述べる。パルス電圧(+極性)を印加した
後に測定された電流—電圧特性は、図 5Bのようになった。また、パルス電圧(一極性 )を印加した後に測定された電流 電圧特性は、図 5Aのようになった。
[0085] <試料 (C ' )に対する実験 >
〔実験 1,実験 2の結果〕
また、試料 (C' )の実験 1,実験 2の結果は図 9のようになった。このように、印加され るパルス電圧に応じて、上部電極 1から下部電極 3へ向カゝぅ方向に対する抵抗値およ び下部電極 3から上部電極 1へ向カゝぅ方向に対する抵抗値のどちらも増加 Z減少す ることがわかった。
[0086] 〔実験 3の結果〕
試料 (C ' )の実験 3の結果につ ヽて述べる。パルス電圧( +極性)を印加した後に 測定された電流—電圧特性は、図 7Bのようになった。また、パルス電圧(-極性)を 印加した後に測定された電流 電圧特性は、図 7Aのようになった。
[0087] くまとめ〉
つまり、試料 (Α' )〜試料 (C )の実験結果より、状態変化材料 2は、次のような特性 を示すことがわ力つた。
(1)仕事関数の小さ 、電極力 仕事関数の大き 、電極へ向力 方向を順方向とし、 仕事関数の大きい電極力 仕事関数の小さい電極へ向力う方向を逆方向とするダイ オード特性。
(2)印加されるパルス電圧に応じてその順方向における抵抗値が増減する特性 (可 変抵抗特性)。詳しくは、その順方向における抵抗値は、下部電極 3に対して上部電 極 1が「 +」になるパルス電圧が印加されると増加し、下部電極 3に対して上部電極 1 力^—」になるパルス電圧が印加されると減少する。
[0088] 以上の試料 (試料 (Α)〜試料 (C) ,試料 (Α' )〜試料 (C' ) )の実験結果より、状態 変化材料 2は、次のような特性を示すことがわ力つた。
(1)上部電極 1の仕事関数と下部電極 2の仕事関数とが互いに異なる場合、一方の 電極力 他方の電極へ向力 方向(第 1の方向)を順方向とし第 2の方向(第 1の方向 に対して逆向き)を逆方向とするダイオード特性。
(2)所定のパルス電圧が印加されると、ダイオード特性の順方向に対する抵抗値が
増加 z減少する特性 (可変抵抗特性)。
[0089] また、抵抗値を変化させるために印加するパルス電圧に関しては、従来のパルス電 圧のパルス幅(1 μ sec以上)よりも本実施例におけるパルス電圧のパルス幅(50nsec
)の方が短 、ことが確認できた。
[0090] 以上のような特性を確認することができたので、互いに仕事関数が異なる 2つの材 料を図 1に示した上部電極 1および下部電極 3として用いて電気素子を構成した。
[0091] (実施例 2)
また、上記特性 (可変抵抗特性およびダイオード特性)を有する状態変化材料を実 現するために、結晶性が不均一である状態変化材料 2を用いて図 1の電気素子を構 成した。その理由について説明する。
[0092] <状態変化材料 2の結晶性 >
〔状態変化材料の形成方法 1〕
下部電極 3を形成した基板 4の温度を状態変化材料 2の結晶化温度付近 (例えば、 CuFe 0では約 600°C付近)まで上げて状態変化材料 2を形成した。このように形成さ
2 4
れた状態変化材料 2に対して X線回折を行 、結晶構造の歪みを調査したところ、そ の状態変化材料 2は、結晶格子面間隔 Dを示す位置に鋭い分布を有する回折ピー ク(強度の大きい回折ピーク)を有していることがわ力つた。つまり、このように形成され た状態変化材料 2の結晶性は、基本的に、膜厚方向で均一になることがわ力つた。
[0093] 〔状態変化材料の形成方法 2〕
一方、下部電極 3を形成した基板 4の温度を状態変化材料 2の結晶化温度付近ま で上げずに状態変化材料 2を形成した。このように形成された状態変化材料 2に対し て X線回折を行い結晶構造の歪みを調査したところ、その状態変化材料 2は、結晶 構造の面間隔がバラツキを有している(強度の小さいブロードな回折ピークを有して いる)ことがわ力つた。つまり、このように形成された状態変化材料 2には、結晶構造の 歪が発生して 、ることがわ力つた。
[0094] 〔状態変化材料の形成方法 3〕
そこで、下部電極 3を形成した基板 4の温度を 600°C位力 徐々に低下させながら 状態変化材料 2を形成し、さらに状態変化材料 2上に上部電極 1を形成した。このよう
に形成された状態変化材料 2に透過電子顕微鏡による電子線回折を行うと、下部電 極 3近傍の状態変化材料 2では結晶性の良 、状態を示す電子線回折図形 (ある周 期での斑点模様)が観測され、上部電極 1近傍の状態変化材料 2では結晶性の悪い 状態 (アモルファスに近 、状態)を示す電子線回折図形 (ハローパターン)が観察さ れた。つまり、下部電極 2近傍の状態変化材料 2では、結晶格子面間隔がほぼ均一 な数値を示しており、結晶構造の歪の少ない結晶性の良い状態となっている。一方、 上部電極 1近傍の状態変化材料 2では、結晶格子面間隔が下部電極 3近傍と比較 するとバラツキを持った分布を有しており、結晶構造の歪みが多くなつた結晶性の悪 V、状態となって 、ることがわ力つた。
[0095] さらに、この状態変化材料 2に対して透過電子顕微鏡による断面 TEM観察を行つ て状態変化材料 2の結晶粒径を測定した結果、下部電極 3近傍の状態変化材料 2の 結晶粒径は、上部電極 1近傍の状態変化材料 2の結晶粒径の 2倍以上の値を示して いた。このように、下部電極 3近傍の状態変化材料 2の結晶性の方が上部電極 1近傍 の状態変化材料 2の結晶性よりも良いことが確認できた。
[0096] 以上より、下部電極 3を形成した基板 4の温度を 600°C位力も徐々に低下させながら 状態変化材料 2を形成すれば、下部電極 3近傍にお ヽては結晶性が良 ヽが上部電 極 1近傍にぉ 、ては結晶性が悪 、と 、つた結晶性が不均一な状態変化材料 2 (すな わち下部電極 3から上部電極 1に向力つて結晶性の均一性が減少する状態変化材 料 2)を形成できることがわ力つた。
[0097] <試料 (D)に対する実験 >
上記〔状態変化材料の形成方法 3〕に従って、下部電極 3上に状態変化材料 2を形 成しさらに状態変化材料 2上に上部電極 1を形成して「試料 (D)」を作成した。
[0098] 〔試料 (D)〕
上部電極 l : Pt (膜厚約 0. 仕事関数 5. 7eV)
状態変化材料 2 : CuFe O (膜厚約 0. l ^ m)
2 4
下部電極 3 : Pt (膜厚約 0. 2 μ να,仕事関数 5. 7eV)
なお、試料 (D)を形成した後、上部電極 1が下部電極 3に対して「 +」になるパルス 電圧(電圧値: + 3V,パルス幅: 10 sec)を試料 (D)に印加することによって、形成
直後の抵抗値 (約 1M Ω )よりも約一桁強低 、抵抗値に初期化した。
[0099] 〔実験 1〜実験 3〕
次に、この試料 (D)に対して実施例 1と同様の実験 (実験 1〜実験 3)を行ったところ 、実施例 1の試料 (A)と同様の実験結果(図 3A,図 3B,図 4A,図 4B)になった。試 料 (D)の実験結果より、状態変化材料 2は、次のような特性を示すことがわ力つた。
(1)結晶性の悪い領域力 結晶性の良い領域へ向力う方向を順方向とし、結晶性の 良い領域力 結晶性の悪い領域へ向力う方向を逆方向とするダイオード特性。
(2)印加されるパルス電圧に応じてその順方向における抵抗値が増減する特性 (可 変抵抗特性)。詳しくは、その順方向における抵抗値は、下部電極 3に対して上部電 極 1が「 +」になるパルス電圧が印加されると減少し、下部電極 3に対して上部電極 1 力^—」になるパルス電圧が印加されると増加する。
[0100] また、試料 (D)の中には、形成後に、上部電極 1が下部電極 3に対して「一」になる パルス電圧(電圧値: 3V,パルス幅 10 sec)を印加することによって、形成直後の 抵抗値 (約 1M Ω )よりも約一桁強低 、抵抗値に初期化したものもあった (このような 試料 (D)を試料 (D' )とする)。
[0101] 試料 (D)と同様の実験 (実験 1〜実験 3)を試料 (D' )に対して行った。
[0102] <試料 (D' )に対する実験 >
試料 (D' )の実験 1の結果は図 8Aのようになり、試料 (D' )の実験 2の結果は図 8B のようになった。さらに、試料 (D' )の実験 3の結果 (電流 電圧特性)は、パルス電 圧(+極性)を印加した後では図 4Bのようになりパルス電圧(一極性)を印加した後で は図 4Aのようになることが確認できた。試料 (D' )の実験結果より、状態変化材料 2 は、次のような特性を示すことがわ力つた。
(1)結晶性の悪い領域力 結晶性の良い領域へ向力う方向を順方向とし、結晶性の 良い領域力 結晶性の悪い領域へ向力う方向を逆方向とするダイオード特性。
(2)印加されるパルス電圧に応じてその順方向における抵抗値が増減する特性 (可 変抵抗特性)。詳しくは、その順方向における抵抗値は、下部電極 3に対して上部電 極 1が「 +」になるパルス電圧が印加されると増加し、下部電極 3に対して上部電極 1 力^—」になるパルス電圧が印加されると減少する。
[0103] 以上の試料 (試料 (D) ,試料 (D' ) )の実験結果より、状態変化材料 2は、次のような 特性を示すことがわ力つた。
(1)状態変化材料 2の結晶性が均一でない場合、一方の電極から他方の電極へ向 力 方向(第 1の方向)を順方向とし第 2の方向(第 1の方向に対して逆向き)を逆方向 とするダイオード特性。
(2)所定のパルス電圧が印加されると、ダイオード特性の順方向に対する抵抗値が 増加 Z減少する特性 (可変抵抗特性)。
[0104] また、抵抗値を変化させるために印加するパルス電圧に関しては、従来のパルス電 圧のパルス幅(1 μ sec以上)よりも本実施例におけるパルス電圧のパルス幅(50nsec
)の方が短 、ことが確認できた。
[0105] 以上のような特性を確認することができたので、結晶性が不均一である状態変化材 料 2を用いて図 1の電気素子を構成した。
[0106] また、実施例 1,実施例 2にお 、て、状態変化材料 2として、スピネル構造の金属酸 化物材料である CuFe 0を用いた例を示したが、それ以外のスピネル構造の金属酸
2 4
化物材料や、ィルメナイト構造の金属が添加された酸化物強誘電体、あるいはぺロ ブスカイト構造の CMR材料、高温超伝導材料でも、同様の特性を確認することがで きた。具体的に述べると、例えば、 CoFe 0、 NiCr O , Fe O , Cr- SrTiO , Sr- LiNbO
2 4 2 4 3 4 3 3
, Mg-LiNbO , Pr Ca MnO , LaSrMnO , GdBaCo Oでも同様の特性を確認するこ
3 (1-X) X 3 3 X Y
とができた。
[0107] また、上部電極 1および下部電極 3の材料として別の電極材料を用いても構わない
(第 1の実施形態)
<回路記号の定義 >
この発明の第 1の実施形態による電気素子について説明する。なお、本実施形態 で用いられる電気素子の回路記号を図 10のように定義する。図 10に示した電気素 子 102では、端子 101— 2に対して端子 101— 1が「 +」になるパルス電圧を印加す ると電気素子 102の抵抗値は減少し、端子 101— 2に対して端子 101— 1が「―」に なるパルス電圧を印加すると電気素子 102の抵抗値は増加する。また、図 10に示し
た電気素子 102は、端子 101— 1から端子 101— 2へ向力 方向を「順方向」とし、端 子 101— 2から端子 101— 1へ向力 方向を「逆方向」とするダイオード特性を示す。
[0108] <動作 >
次に、図 10に示した電気素子 102による動作について説明する。ここでは、電気素 子 102は、メモリとして使用され、 1ビットデータの処理を行う。なお、電気素子 102の 抵抗値 (状態変化材料 2の抵抗値)は、高抵抗状態に初期化されているものとする。 また、電気素子 102の抵抗値が「高抵抗状態」であるときを「0」とし、電気素子 102の 抵抗値が「低抵抗状態」であるときを「1」とする。
[0109] 〔記憶〕
電気素子 102に「1」を示す 1ビットデータを書き込む場合、端子 101— 2をグランド に落とし、端子 101— 1に記憶電圧を印加する。記憶電圧は、例えば、電圧値が「 + 3VJでありパルス幅が「50nsec」であるパルス電圧(パルス電圧( +極性))である。電 気素子 102にはパルス電圧(+極性)が印加されるので、電気素子 102の抵抗値 (状 態変化材料の抵抗値)は、低抵抗状態になる。このように、電気素子 102は「1」を示 す 1ビットデータを記憶したことになる。
[0110] 〔リセット〕
電気素子 102の記憶状態を初期の状態に戻す場合、端子 101— 2をグランドに落 とし、端子 101— 1にリセット電圧を印加する。リセット電圧は、例えば、電圧値が「― 3 V」でありパルス幅が「50nsec」であるパルス電圧(パルス電圧(一極性) )である。電 気素子 102にはノルス電圧(—極性)が印加されるので、電気素子 102の抵抗値は 、高抵抗状態に戻る。このように、電気素子 102の記憶状態は初期状態に戻ったこと になる。
[0111] 〔再生〕
次に、端子 101— 2をグランドに落とし、端子 101— 1に再生電圧を印加する。再生 電圧は、例えば、電圧値が「 + 0. 5V」を示す電圧である。電気素子 102には再生電 圧(=測定電圧(+極性) )が印加されるので、電気素子 102の抵抗値に応じた電流 値を有する電流が端子 101— 1から端子 101— 2へ向力 方向(順方向)に流れる。 ここで、電気素子 102の抵抗値が「高抵抗状態」であるときに流れる電流を「0」とし、
電気素子 102の抵抗値が「低抵抗状態」であるときに流れる電流を「1」とすれば、電 気素子 102から 1ビットデータを再生したことになる。
[0112] このように、電気素子 102をメモリとして利用することができる。
[0113] <効果>
以上のように、電気素子が「ダイオード特性」を有しているので、特別にダイオード 素子を用いることなく電流の向きを規定することができる。さらに電気素子が「可変抵 抗特性」を有しているので、例えば、 1R1D型不揮発性記憶素子として利用すること ができる。このように利用した場合、従来の 1R1D型不揮発性記憶素子の構成と比較 すると、ダイオードを設ける必要がないので、製造プロセスを簡単にすることができる
[0114] また、ダイオードが設けられて 、な 、ので、状態変化材料に印加するパルス電圧の 極性が制限されない。よって、状態変化材料に「 +」, 「一」の両方の極性のパルス電 圧を印加することができる。このようなパルス印加方法 (パルス電圧の極性によって抵 抗値を変化させる方法)では、従来のパルス印加方法 (パルス電圧のパルス幅を調 整することによって可変抵抗材料の抵抗値を変化させる方法)と比較すると、印加す るパルス電圧のパルス幅が短い (本実施形態では、 50nsec)。つまり、記憶 Zリセット に要する時間を短縮することができる。
[0115] また、本実施形態において電気素子 102の状態変化材料 2としては、スピネル構造 である CuFe 0 , CoFe O , NiCr Ο , Fe Οや、ィルメナイト構造の金属が添カ卩された
2 4 2 4 2 4 3 4
酸化物強誘電体、さらには、ぺロブスカイト構造の CMR材料および高温超伝導材料 等でも同様な効果を得ることができる。具体的には Cr- SrTiO , Sr- LiNbO , Mg-LiNb
3 3
O , Pr Ca MnO , LaSrMnO , GdBaCo O等でも同様の効果が得られる。
3 (1-X) X 3 3 X Y
[0116] また、 CMOSプロセスにおいて、高温による破壊等を防ぐために成膜時の温度は 4 50°C以下であることが望ま 、。ぺロブスカイト構造を有する材料を成膜するために は、通常、基板の温度を 700°C以上にする必要がある。一方、スピネル構造を有する 材料を成膜するためには基板の温度が約 400°C程度であればよい。したがって、ス ピネル構造を有する材料を図 1の状態変化材料 2として用いることによって、成膜時 の温度を低くすることができる。このように、スピネル構造を有する材料は、ぺロブス力
イト構造を有する材料よりも半導体プロセスとの整合性が良好である。
[0117] また、一般的に、高温超伝導材料や CMR材料は、アルカリ金属および Zまたはァ ルカリ土類金属を含む酸ィ匕物である。このような材料を用いて図 1の電気素子を形成 する場合、半導体プロセスの洗浄工程にぉ 、てこの材料に含まれるアルカリ金属お よび Zまたはアルカリ土類金属が溶出してしまうので、記憶素子としての特性が劣化 する。このような特性劣化を防ぐためには、アルカリ金属およびアルカリ土類金属を含 まな 、材料を状態変化材料 2として用いることが好ま 、。
[0118] また、本実施形態では 1ビットデータを高抵抗状態と低抵抗状態の 2個の状態とし て保持することによりメモリとして動作させている力 電気的パルスの幅および振幅を 変えることにより、 4個もしくはそれ以上の抵抗状態を 2ビットもしくは 3ビット以上の情 報として記憶させる不揮発性記憶素子として動作させることも可能である。
(第 2の実施形態)
<全体構成 >
この発明の第 2の実施形態によるメモリ装置 200の全体構成を図 11に示す。この装 置 200は、メモリアレイ 201と、アドレスノッファ 202と、帘 U御咅 203と、行デコーダ 20 4と、ワード線ドライバ 205と、列デコーダ 206と、ビット線ドライバ 207とを備える。
[0119] メモリアレイ 201には、ワード線 Wl, W2と、ビット線 Bl, B2と、メモリセル MC211 〜MC222とが設けられている。メモリセル MC211〜MC222の各々は、図 10に示 した電気素子 102である。メモリセル MC211の一端はワード線 W1に接続され、メモ リセル MC 211の他端はビット線 B 1に接続される(順方向: W1→B 1 )。メモリセル M C212の一端はワード線 W2に接続され、メモリセル MC212の他端はビット線 B1に 接続される(順方向: W2→B1)。メモリセル MC221の一端はワード線 W1に接続さ れ、メモリセル MC221の他端はビット線 B2に接続される(順方向: W1→B2)。メモリ セル MC222の一端はワード線 W2に接続され、メモリセル MC222の他端はビット線 B2に接続される (順方向: W2→B2)。
[0120] アドレスバッファ 202は、外部からのアドレス信号 ADDRESSを入力して、行ァドレ ス信号 ROWを行デコーダ 204に出力するとともに、列アドレス信号 COLUMNを列 デコーダ 206に出力する。アドレス信号 ADDRESSは、メモリセル MC211〜MC22
2のうち選択されるメモリセルのアドレスを示す。行アドレス信号 ROWは、アドレス信 号 ADDRESSに示されたアドレスのうち行のアドレスを示す。列アドレス COLUMN は、アドレス信号 ADDRESSに示されたアドレスのうち列のアドレスを示す。
[0121] 制御部 203は、外部からのモード選択信号 MODEに応じて、記憶モード,リセット モード,および再生モードのうちいずれか 1つになる。記憶モードでは、制御部 203 は、外部からの入力データ Dinに応じて、「記憶電圧印加」を指示する制御信号 CO NTをワード線ドライバ 205およびビット線ドライバ 207に出力する。再生モードでは、 制御部 203は、「再生電圧印加」を指示する制御信号 CONTをワード線ドライバ 205 およびビット線ドライバ 207に出力する。さらに、再生モードでは、ビット線ドライバ 20 7からの信号 I に応じたビット値を示す出力データ Doutを外部へ出力する。信号 I
READ
は、ビット線 Bl, B2を流れる電流の電流値を示す。また、リセットモードでは、制
READ
御部 203は、メモリセル MC211〜MC222の記憶状態を確認し、その記憶状態に応 じて、「リセット電圧印力!]」を指示する制御信号 CONTをワード線ドライバ 205および ビット線ドライバ 207に出力する。
[0122] 行デコーダ 204は、アドレスバッファ 202からの行アドレス信号 ROWに応じて、ヮー ド線 Wl, W2のうちいずれ力 1つを選択する。
[0123] ワード線ドライバ 205は、制御部 203から「記憶電圧印加」を指示する制御信号 CO NTを受けると、行デコーダ 204によって選択されたワード線に記憶電圧 VI を印
WRITE
加する。また、ワード線ドライバ 205は、制御部 203から「再生電圧印加」を指示する 制御信号 CONTを受けると、行デコーダ 204によって選択されたワード線に再生電 圧 VI を印加する。また、ワード線ドライバ 205は、制御部 203から「リセット電圧印
READ
カロ」を指示する制御信号 CONTを受けると、行デコーダ 204によって選択されたヮー ド線にリセット電圧 VI を印加する。
RESET
[0124] 列デコーダ 206は、アドレスバッファ 202からの列アドレス信号 COLUMNに応じて 、ビット線 Bl, B2のうちいずれか 1つを選択する。
[0125] ビット線ドライバ 207は、制御部 203から「記憶電圧印加」を指示する制御信号 CO NTを受けると、列デコーダ 206によって選択されたビット線に記憶電圧 V2 を印
WRITE
加する。また、ビット線ドライバ 207は、制御部 203から「再生電圧印加」を指示する
制御信号 CONTを受けると、列デコーダ 206によって選択されな力つたビット線に再 生電圧 V2 を印加した後、ビット線 Bl, B2を流れる電流の電流値を示す信号 I
READ READ
を制御部 203に出力する。また、ビット線ドライバ 207は、制御部 203から「リセット電 圧印加」を指示する制御信号 CONTを受けると、列デコーダ 206によって選択された ビット線にリセット電圧 V2 を印加する。
RESET
[0126] なお、記憶電圧 VI は、例えば、電圧値が「 + 1. 5V」でありパルス幅が「50nsec
WRITE
」であるパルス電圧であり、記憶電圧 V2 は、例えば、電圧値が「ー1. 5V」であり
WRITE
パルス幅が「50nsec」であるパルス電圧である。ここでは、記憶電圧 VI と記憶電
WRITE
圧 V2 との電位差は「3V」である。
WRITE
[0127] また、再生電圧 VI , V2 は、例えば、電圧値が「 + 0. 5V」を示す電圧である
READ READ
。ここでは、再生電圧 VI , V2 は、互いに等しい電圧である。
READ READ
[0128] また、リセット電圧 VI は、例えば、電圧値が「― 1. 5V」でありパルス幅が「50ns
RESET
ec」であるパルス電圧であり、リセット電圧 V2 は、例えば、電圧値が「 + 1. 5V」で
RESET
ありパルス幅が「50nsec」であるパルス電圧である。ここでは、リセット電圧 VI とリ
RESET
セット電圧 V2 との電位差は「3V」である。
RESET
[0129] <動作 >
次に、図 11に示したメモリ装置 200による動作について説明する。この装置 200に よる動作には、メモリセルに入力データ Dinを書き込む記憶モードと、メモリセルに書 き込まれた情報をリセットするリセットモードと、メモリセルに書き込まれた情報を出力 データ Doutとして出力(再生)する再生モードとが存在する。なお、メモリセル MC21 1〜MC222は、高抵抗状態に初期化されているものとする。また、アドレス信号 AD DRESSは、メモリセル MC211のアドレスを示すものとする。
[0130] 〔記憶モード〕
まず、記憶モードにおける動作にっ 、て説明する。
[0131] 制御部 203は、入力データ Din力「1」を示す場合、「記憶電圧印加」を示す制御信 号 CONTをワード線ドライバ 205およびビット線ドライバ 207に出力する。また、制御 部 203は、入力データ Dinが「0」を示す場合、制御信号 CONTを出力しない。
[0132] 次に、ビット線ドライバ 207は、制御部 203から「記憶電圧印力!]」を示す制御信号 C
ONTを受けると、列デコーダ 206によって選択されたビット線 B1に記憶電圧 V2
WRITE
を印加し、他のビット線 B2 (選択されな力つたビット線)をグランドに落とす。
[0133] 一方、ワード線ドライバ 205は、制御部 203から「記憶電圧印カロ」を示す制御信号 C ONTを受けると、行デコーダ 204によって選択されたワード線 W1に記憶電圧 VI
WRIT
を印加し、他のワード線 W2 (選択されな力つたワード線)をグランドに落とす。
E
[0134] メモリセル MC211では、電圧値が「 + 3V」でありパルス幅が「50nsec」であるパル ス電圧 (パルス電圧(+極性) )が印加されたことになるので、メモリセル MC211の抵 抗値は低抵抗状態になる。
[0135] メモリセル MC212では、電圧値が「一 1. 5V」でありパルス幅が「50nsec」であるパ ルス電圧 (パルス電圧(一極性) )が印加されたことになる力 その電圧値が所定のレ ベル(ここでは、「― 3V」)に達していないのでメモリセル MC212の抵抗状態は変化 しない。
[0136] メモリセル MC221では、電圧値が「 + 1. 5V」でありパルス幅が「50nsec」であるパ ルス電圧 (パルス電圧(+極性) )が印加されたことになる力 その電圧値が所定のレ ベル(ここでは、「 + 3V」)に達していないのでメモリセル MC221の抵抗状態は変化 しない。
[0137] メモリセル MC222では、メモリセル MC222の両端の電位差は「0V」であるので、メ モリセル MC222の抵抗状態は変化しな 、。
[0138] このように、メモリセル MC211の抵抗状態だけが「低抵抗状態」に変化するので、メ モリセル MC211に「1」を示す 1ビットデータが書き込まれたことになる。
[0139] 次に、メモリセル MC211への書き込みが完了すると、アドレスバッファ 202に新た なアドレス信号 ADDRESSが入力されて、上述の記憶モードにおける動作が繰り返 される。
[0140] 〔再生モード〕
次に、再生モードにおける動作について説明する。
[0141] 制御部 203は、「再生電圧印加」を指示する制御信号 CONTをワード線ドライバ 20
5およびビット線ドライバ 207に出力する。
[0142] 次に、ビット線ドライバ 207は、制御部 203から「再生電圧印加」を示す制御信号 C
ONTを受けると、列デコーダ 206によって選択されな力つたビット線 B2に再生電圧 V 2 を印加し、他のビット線 B1 (選択されたビット線)をグランドに落とす。
READ
[0143] 一方、ワード線ドライバ 205は、制御部 203から「再生電圧印加」を示す制御信号 C ONTを受けると、行デコーダ 204によって選択されたワード線 W1に再生電圧 VI
READ
を印加し、他のワード線 W2 (選択されなカゝつたワード線)をグランドに落とす。
[0144] メモリセル MC211では、測定電圧(+極性)が印加されたことになるので、メモリセ ル MC211の抵抗値に応じた電流値を有する電流力メモリセル MC211に流れ、そ の電流がビット線 B1に流出する。
[0145] メモリセル MC212の両端の電位差は「0V」であるので、メモリセル MC212には電 流が流れない。また、メモリセル MC212においてビット線 B1からワード線 W2へ向か う方向は「逆方向」であるので、ビット線 B 1を流れる電流がワード線 W2に流れ込むこ とはない。
[0146] メモリセル MC221の両端の電位差は「0V」になるので、メモリセル MC221には電 流が流れない。
[0147] メモリセル MC222では、測定電圧(一極性)が印加されたことになるので、メモリセ ル MC222には電流が流れない。
[0148] 次に、ビット線ドライバ 207は、ビット線 Bl, B2を流れる電流の電流値を測定し、そ の測定値を示す信号 I を制御部 203に出力する。次に、制御部 203は、その信号
READ
I に示された電流値に応じた出力データ Doutを外部に出力する。例えば、低抵
READ
抗状態のときに流れる電流の電流値であるならば、制御部 203は、「1」を示す出力 データ Doutを出力する。
[0149] このように、メモリセル MC211にのみ電流が流れ、その電流がビット線 B1に流出す るので、メモリセル MC211から 1ビットデータを読み出したことになる。
[0150] 次に、メモリセル MC211からの読み出しが完了すると、アドレスバッファ 202に新た なアドレス信号 ADDRESSが入力されて、上述の再生モードにおける動作が繰り返 される。
[0151] 〔リセットモード〕
次に、リセットモードにおける動作について説明する。
[0152] まず、制御部 203は、再生モードにおける処理を行うことによってメモリセル MC21 1の記憶状態を調べる。
[0153] 次に、制御部 203は、メモリセル MC211が「1」を示すビットデータを記憶していると 判断すると (メモリセル MC211が低抵抗状態であると判断すると)、「リセット電圧印 カロ」を示す制御信号 CONTをワード線ドライバ 205およびビット線ドライバ 207に出力 する。また、制御部 203は、メモリセル NC211が「0」を示すビットデータを記憶してい る場合 (メモリセル MC211が高抵抗状態である場合)には、制御信号 CONTを出力 しない。
[0154] 次に、ビット線ドライバ 207は、制御部 203から「リセット電圧印カロ」を示す制御信号 CONTを受けると、列デコーダ 206によって選択されたビット線 B1にリセット電圧 V2
R
を印加し、他のビット線 B2 (選択されな力つたビット線)をグランドに落とす。
ESET
[0155] 一方、ワード線ドライバ 205は、制御部 203から「リセット電圧印加」を示す制御信号 CONTを受けると、行デコーダ 204によって選択されたワード線 W1にリセット電圧 V 1 を印加し、他のワード線 W2 (選択されな力つたワード線)をグランドに落とす。
RESET
[0156] メモリセル MC211では、電圧値が「― 3V」でありパルス幅が「50nsec」であるパル ス電圧 (パルス電圧(一極性) )が印加されたことになるので、メモリセル MC211の抵 抗値は高抵抗状態になる。
[0157] メモリセル MC212では、電圧値が「 + 1. 5V」でありパルス幅が「50nsec」であるパ ルス電圧 (パルス電圧(+極性) )が印加されたことになる力 電圧値が所定のレベル (ここでは、「 + 3V」)に達していないのでメモリセル MC212の抵抗状態は変化しな い。
[0158] メモリセル MC221では、電圧値が「― 1. 5V」でありパルス幅が「50nsec」であるパ ルス電圧 (パルス電圧(一極性) )が印加されたことになる力 電圧値が所定のレベル (ここでは、「— 3V」)に達していないのでメモリセル MC221の抵抗状態は変化しな い。
[0159] メモリセル MC222では、メモリセル MC222の両端の電位差は「0V」であるので、メ モリセル MC222の抵抗状態は変化しな 、。
[0160] このように、メモリセル MC211の抵抗状態だけが「高抵抗状態」に変化するので、メ
モリセル MC211に記憶された 1ビットデータをリセットしたことになる。
[0161] 次に、メモリセル MC211のリセットが完了すると、アドレスバッファ 202に新たなアド レス信号 ADDRESSが入力されて、上述のリセットモードにおける動作が繰り返され る。
[0162] <効果 >
以上のように、電気素子 (メモリセル)が「ダイオード特性」を有して ヽるので、あるヮ ード線力 別のワード線に電流が流れることはない。このように、ダイオード素子を別 に設けることなぐメモリ装置を構成することができるので、製造プロセスを簡単にする ことができる。
[0163] また、情報を記憶したい電気素子には所定のパルス電圧が印加される力 他の電 気素子には所定のパルス電圧が印加されない。これにより、情報を記憶したい電気 素子の抵抗状態のみを変化させることができる。つまり、任意の電気素子を選択して 、その選択した電気素子に情報を記憶することができる。
[0164] また、情報を読み出したい電気素子では順方向に電流が流れるが、他の電気素子 では順方向に電流が流れない。これにより、情報を読み出したい電気素子に流れる 電流のみを読み取ることができる。つまり、任意の電気素子を選択して、その選択し た電気素子に記憶された情報を読み出すことができる。
[0165] なお、図 11では、メモリセル力 つしか存在しないがこれに限らず、 5つ以上のメモ リセルをマトリックス状に配置することも可能である。
(第 3の実施形態)
<構成>
この発明の第 3の実施形態による半導体集積回路 (Embedded-RAM) 300の構成を 図 12に示す。この回路 300は、図 11に示したメモリ装置 200と、論理回路 301とを備 え、 1つの半導体チップ上に形成される。図 11に示したメモリ装置 200は、データ RA Mとして使用される。論理回路 301は、所定の演算(例えば、音声データ'画像デー タの符号化 Z復号化)を行う回路であり、その演算の際に、メモリ装置 200を利用す る。論理回路 301は、メモリ装置 200にアドレス信号 ADDRESSおよびモード選択信 号 MODEを制御して、メモリ装置 200へのデータの書き込み Z読み出しを行う。
[0166] <動作 >
次に、図 12に示した半導体集積回路(Embedded-RAM) 300による動作について 説明する。この回路 300による動作には、メモリ装置 200に所定のデータ(ビットデー タ)を書き込む書込処理と、メモリ装置 200に書き込んだデータを読み出す読出処理 と、メモリ装置 200に書き込んだデータをリセットするリセット処理とが存在する。
[0167] 〔書込処理〕
まず、書込処理について説明する。
[0168] 論理回路 301は、メモリ装置 200に所定のデータ (例えば、符号化動画像データ等 )を書き込むために、「記憶モード」を示すモード選択信号 MODEをメモリ回路 200 の制御部 203に出力する。
[0169] 次に、論理回路 301は、その所定のデータを書き込むメモリセルを選択するために 、アドレス信号 ADDRESSをメモリ装置 200のアドレスバッファ 202に順次出力する。 これにより、メモリ装置 200では、アドレス信号 ADDRESSに応じたメモリセルが順次 選択される。
[0170] 次に、論理回路 301は、その所定のデータを 1ビットずつ 1ビットデータ Dinとしてメ モリ装置 200の制御部 203に出力する。
[0171] 次に、メモリ装置 200では、第 2の実施形態の記憶モードと同様の動作が行われる
。これにより、メモリ装置 200にその所定のデータが 1ビットずつ書き込まれる。
[0172] 〔読出処理〕
次に、読出処理について説明する。
[0173] 論理回路 301は、メモリ装置 200に書き込んだデータを読み出すために、「再生モ ード」を示すモード選択信号 MODEをメモリ回路 200の制御部 203に出力する。
[0174] 次に、論理回路 301は、書き込まれたデータを読み出すメモリセルを選択するため に、アドレス信号 ADDRESSをメモリ装置 200のアドレスバッファ 202に順次出力す る。これにより、メモリ装置 200では、アドレス信号 ADDRESSに応じたメモリセルが 順次選択される。
[0175] 次に、メモリ装置 200では、第 2の実施形態の再生モードと同様の動作が行われる 。これにより、メモリ装置 200に記憶されたデータが 1ビットずつ出力データ Doutとし
て読み出される。
[0176] 〔リセット処理〕
次に、リセット処理について説明する。
[0177] 論理回路 301は、メモリ装置 200に記憶されたデータをリセットすために、「リセット モード」を示すモード選択信号 MODEをメモリ回路 200の制御部 203に出力する。
[0178] 次に、論理回路 301は、メモリ装置 200に記憶されたデータをリセットするメモリセル を選択するために、アドレス信号 ADDRESSをメモリ装置 200のアドレスバッファ 202 に順次出力する。これにより、メモリ装置 200では、アドレス信号 ADDRESSに応じ たメモリセルが順次選択される。
[0179] 次に、メモリ装置 200では、第 2の実施形態のリセットモードと同様の動作が行われ る。これにより、メモリ装置 200に記憶されたデータが 1ビットずつリセットされる。
[0180] <効果 >
以上のように、メモリ装置 200に大量の情報を高速に記憶することが可能となる。 (第 4の実施形態)
<構成>
この発明の第 4の実施形態による半導体集積回路 (reconfigurable LSI) 400の構 成を図 13に示す。この回路 400は、図 11に示したメモリ装置 200と、プロセッサ 401 と、インターフェイス 402を備え、 1つの半導体チップ上に形成される。図 11に示した メモリ装置 200は、プログラム ROMとして使用され、プロセッサ 401の動作に必要な プログラムを記憶する。プロセッサ 401は、メモリ装置 200に記憶されたプログラムに 従って動作し、メモリ装置 200およびインターフェイス 402を制御する。インターフェイ ス 402は、外部から入力されたプログラムをメモリ装置 200に順次出力する。
[0181] <動作 >
次に、図 13に示した半導体集積回路 (reconfigurable LSI) 400による動作につい て説明する。この回路 400による動作には、記憶されたプログラムに従って動作する プログラム実行処理と、メモリ装置 200に記憶されたプログラムを別の新たなプロダラ ムに書き換えるプログラム書換処理とが存在する。
[0182] 〔プログラム実行処理〕
まず、プログラム実行処理について説明する。
[0183] プロセッサ 401は、メモリ装置 200に記憶されたプログラムを読み出すために、「再 生モード」を示すモード選択信号 MODEをメモリ回路 200の制御部 203に出力する
[0184] 次に、プロセッサ 401は、その必要なプログラムが書き込まれたメモリセルを示すァ ドレス信号 ADDRESSをメモリ装置 200のアドレスバッファ 202に順次出力する。こ れにより、メモリ装置 200では、アドレス信号 ADDRESSに応じたメモリセルが順次選 択される。
[0185] 次に、メモリ装置 200では、第 2の実施形態の再生モードと同様の動作が行われる 。これにより、メモリ装置 200に記憶されたプログラムが出力データ Doutとして 1ビット ずつ読み出される。
[0186] 次に、プロセッサ 401は、読み出したプログラムに従って、所定の演算を行う。
[0187] 〔プログラム書換処理〕
次に、プログラム書換処理について説明する。
[0188] プロセッサ 401は、メモリ装置 200に記憶されたプログラム(書換対象となるプロダラ ム)を消去するために、「リセットモード」を示すモード選択信号 MODEをメモリ装置 2
00の制御部 203に出力する。
[0189] 次に、プロセッサ 401は、書換対象となるプログラムを記憶するメモリセルの位置を 示すアドレス信号 ADDRESSをメモリ装置 200のアドレスバッファ 202に順次出力す る。これにより、メモリ装置 200では、アドレス信号 ADDRESSに応じたメモリセルが 順次選択される。
[0190] 次に、メモリ装置 200では、第 2の実施形態のリセットモードと同様の動作が行われ る。これにより、メモリセルに記憶されたプログラムが 1ビットずつリセットされる。
[0191] 次に、プロセッサ 401は、メモリセルのリセットが完了すると、新たなプログラムを書き 込むために、「記憶モード」を示すモード選択信号 MODEをメモリ装置 200の制御部 203に出力する。
[0192] 次に、プロセッサ 401は、新たなプログラムを記憶すべきメモリセルの位置を示すァ ドレス信号 ADDRESSをメモリ装置 200のアドレスバッファ 202に順次出力する。こ
れにより、メモリ装置 200では、アドレス信号 ADDRESSに応じたメモリセルが順次選 択される。
[0193] 次に、プロセッサ 401は、外部からインターフェイス 402を介して 1ビットずつメモリ装 置 200の制御部 203に出力する。メモリ装置 200では、第 2の実施形態の記憶モード と同様の処理が行われる。これにより、新たなプログラム力メモリ装置 200に 1ビットず つ記憶される。
[0194] このように、メモリ装置 200は書き換え可能な不揮発性メモリであるため、記憶する プログラムの内容を書き換えることが可能である。つまり、プロセッサ 501において実 現される機能を代えることができる。また、複数のプログラムをメモリ装置 200に記憶し ておき、読み出すプログラムに応じてプロセッサ 401で実現される機能を代えることも できる。
[0195] <効果 >
以上のように、 1つの LSIで異なる機能を実現することが可能( 、わゆる re- configura ble)となる。
(第 5の実施形態)
<構造 >
この発明の第 5の実施形態によるメモリ装置 500の構造を図 14に示す。このメモリ 装置 500では、基板 501上に下部電極 502が形成され、下部電極 502上に状態変 化材料 503およびコンタクトプラグ 504が形成され、状態変化材料 503上に上部電 極 505— 1, 505— 2が形成されている。ここでは、下部電極 502として Pt (仕事関数: 5. 7eV)を用!/、、上咅電極 505— 1, 505— 2として Ag (仕事関数: 4. 3eV)を用!/、、 状態変化材料 503として CuFe 0 (膜厚: 0.: L m)を用いている。また、コンタクトプ
2 4
ラグ 504には A1を用いて!/、る。
[0196] <状態変化材料 >
ここで、図 14に示した上部電極 505— 1と下部電極 502との間に所定のパルス電 圧を印加すると、状態変化材料 503のうち上部電極の直下に存在する領域 (状態変 化領域 503ひ)の抵抗値が変化する。また、図 14に示した上部電極 505— 2と下部 電極 502との間に所定のパルス電圧を印加すると、状態変化材料 503のうち上部電
極 505— 2の直下に存在する領域 (状態変化領域 503 β )の抵抗値が変化する。
[0197] また、図 14に示した上部電極 505— 1と下部電極 502との間に測定電圧(+極性) を印加すると、コンタクトプラグ 504からは、状態変化領域 503 αの抵抗値に応じた 電流値を有する電流が流れる。また、図 14に示した上部電極 505— 1と下部電極 50 2との間に測定電圧(一極性)を印加しても、電流は流れない。同様に、図 14に示し た上部電極 505— 2と下部電極 502との間に測定電圧(+極性)を印加すると、コン タクトプラグ 504からは、状態変化領域 503 βの抵抗値に応じた電流値を有する電 流が流れる。また、図 14に示した上部電極 505— 2と下部電極 502との間に測定電 圧(一極性)を印加しても、電流は流れない。
[0198] <等価回路 >
図 14に示したメモリ装置 500の等価回路を図 15に示す。図 15では、ワード線 W1 は上部電極 505— 1に対応し、ワード線 W2は上部電極 505— 2に対応し、下部電極 502およびコンタクトプラグ 504はビット線 B1に対応する。また、メモリセル MC511は 状態変化領域 503 aに対応し、メモリセル MC512は状態変化領域 503 βに対応す る。
[0199] <動作 >
次に、図 14に示したメモリ装置 500による動作について、図 15に示した等価回路 を用いて説明する。図 14に示したメモリ装置 500よる動作には、メモリセルに 1ビット データを記憶する記憶モードと、メモリセルに記憶された 1ビットデータをリセットするリ セットモードと、メモリセルに記憶された 1ビットデータを再生する再生モードとが存在 する。
[0200] 〔記憶モード〕
まず、ビット線 B1 (下部電極 502およびコンタクトプラグ 504)およびワード線 W2 (上 部電極 505— 2)をグランドに落とし、ワード線 W1 (上部電極 505— 1)に記憶電圧を 印加する。記憶電圧は、例えば、電圧値が「 + 3V」でありパルス幅が「50nsec」である パルス電圧である。これにより、メモリセル MC511 (状態変化領域 503 a )の抵抗状 態が「高抵抗状態」から「低抵抗状態」に変化する。
[0201] 〔リセットモード〕
次に、ビット線 Blおよびワード線 W2をグランドに落とし、ワード線 W1にリセット電圧 を印加する。リセット電圧は、例えば、電圧値が「― 3V」でありパルス幅が「50nsec」で あるパルス電圧である。これにより、メモリセル MC511の抵抗状態が「低抵抗状態」 から「高抵抗状態」に変化する。
[0202] 〔再生モード〕
次に、ビット線 B1およびワード線 W2をグランドに落とし、ワード線 W1に再生電圧を 印加する。再生電圧は、例えば、電圧値が「 + 0. 5V」を示す電圧である。これにより 、メモリセル MC511の抵抗状態に応じた電流がビット線 B1から流出する。一方、メモ リセル MC512においてビット線 B1からワード線 W2へ向力 方向は「逆方向」である ので、ビット線 B1からワード線 W2 (上部電極 505— 1から下部電極 502を介して上 部電極 505— 2)へは電流は流れな!/、。
[0203] <効果 >
以上のように、状態変化材料力 ^ダイオード特性」を有しているので、特別にダイォ ードを形成することなく電流の向きを規定することができる。さらに状態変化材料が「 可変抵抗特性」を有しているので、例えば、 1R1D型不揮発性記憶装置として利用 することができる。このように利用した場合、従来の 1R1D型不揮発性記憶装置の構 成と比較すると、ダイオードを形成する必要がないので、製造プロセスを簡単にする ことができる。
[0204] また、ダイオードが形成されて!ヽな 、ので、状態変化材料に印加するパルス電圧の 極性が制限されない。よって、状態変化材料に「 +」, 「一」の両方の極性のパルス電 圧を印加することができる。このようなパルス印加方法 (パルス電圧の極性によって抵 抗値を変化させる方法)では、従来のパルス印加方法 (パルス電圧のパルス幅を調 整することによって可変抵抗材料の抵抗値を変化させる方法)と比較すると、印加す るパルス電圧のパルス幅が短い (本実施形態では、 50nsec)。つまり、記憶 Zリセット に要する時間を短縮することができる。
[0205] なお、本実施形態では、上部電極 505— 1, 505— 2の仕事関数と下部電極 502の 仕事関数とが互いに異なる場合について説明したが、実施例 2において説明したよう に、状態変化材料 503の結晶性が不均一である場合も同様の効果を得ることができ
ることは言うまでもない。
[0206] なお、本実施形態では、下部電極 502が上部電極 505 - 1 (505 - 2)に対して「 + 」になるノ ルス電圧を印加すると状態変化領域 503 a (503 β )の抵抗状態が「低抵 抗状態」に変ィ匕し、かつ、上部電極 505— 1 (505— 2)力ら下部電極 502へ向力う方 向を「順方向」とする状態変化材料について説明したが、実施例 1 ,実施例 2で説明 したように、下部電極 502が上部電極 505 - 1 (505 - 2)に対して「 」になるパルス 電圧を印加すると状態変化領域 503 a (503 β )の抵抗状態が「低抵抗状態」に変化 し、かつ、上部電極 505— 1 (505— 2)から下部電極 502へ向力う方向を「逆方向」と する状態変化材料も存在する (例えば、実施例 1の「試料 (Α' )等」)。状態変化材料 503がこのような特性を示す場合、図 14に示したメモリ装置 500の等価回路は図 16 のようになる。また、この場合、記憶モードでは電圧値が「一 3V」でありパルス幅が「5 OnsecJである記憶電圧をワード線 W1に印加し、リセットモードでは電圧値が「 + 3VJ でありパルス幅が「50nsec」であるリセット電圧をワード線 W1に印カロし、再生モードで は電圧値が「一 0. 5V」を示す再生電圧をワード線 W1に印加すれば、同様の効果を 得ることができる。
[0207] また、本実施形態では、上部電極が 2つ形成されて 、る例にっ 、て説明した力 上 部電極が 3つ以上形成されている場合も同様の効果を得ることが可能である。
(第 6の実施形態)
<構造 >
この発明の第 6の実施形態によるメモリ装置の構造を図 17に示す。この装置は、ビ ッ卜線 Bl , B2の上に状態変ィ匕体 60— 1 1 , 60 - 12, 60— 21 , 60— 22力 S形成され、 状態変化体 60— 11〜60— 22の上にワード線 Wl , W2が形成されている。ビット線 Bl , B2は、互いに平行に延びている。ワード線 Wl , W2は、互いに平行に延びてい る。ビット線 Bl , B2とワード線 Wl , W2とは互いに交差しており、その交差する位置( クロスポイント)の各々に状態変化体が配置されている。状態変化体 60— 11〜60— 22の各々は、図 1に示した状態変化材料 2である。ワード線 Wl , W2の各々は、図 1 の上部電極 1に相当する。ビット線 Bl , B2の各々は図 1の下部電極 3に相当する。こ の装置では、状態変化体 60— 11〜60— 22の各々の抵抗変化を利用して、 1ビット
または多ビットのデータを記憶,再生する。
[0208] なお、ここでは、ワード線 Wl, W2として Ag (仕事関数: 4. 3eV)を用い、ビット線 B1 , B2として Pt (仕事関数: 5. 7eV)を用い、状態変化体 60— 11〜60— 22として CuFe 0を (膜厚 0. : m)用いている。
2 4
[0209] <動作 >
次に、図 17に示したメモリ装置による動作について、図 18に示した等価回路を用 いて説明する。なお、ここでは、状態変化体 60— 11に対して記憶,リセット,再生を 実行する例について説明する。また、状態変化体 60— 11〜60— 22の抵抗状態は「 高抵抗状態」に設定されているものとする。なお、第 2の実施の形態と同様、記憶電 圧 VI は、例えば、電圧値が「 + 1. 5V」でありパルス幅が「50nsec」であるパルス
WRITE
電圧であり、記憶電圧 V2 は、例えば、電圧値が「― 1. 5V」でありパルス幅が「5
WRITE
Onsec」であるパルス電圧とする。また、再生電圧 VI , V2 は、例えば、電圧値
READ READ
力 S「+0. 5VJを示す電圧とする。また、リセット電圧 VI は、例えば、電圧値が「一
RESET
1. 5V」でありパノレス幅が「50nsec」であるパノレス電圧であり、リセット電圧 V2 は、
RESET
例えば、電圧値が「 + 1. 5V」でありパルス幅が「50nsec」であるパルス電圧とする。
[0210] 〔記憶〕
まず、処理対象である状態変化体 60— 11に接続されたワード線 W1に記憶電圧 V 1 が印加され、処理対象である状態変化体 60— 11に接続されたビット線 B1に記
WRITE
憶電圧 V2 が印加される。また、状態変化体 60— 11に接続されて!ヽな ヽワード
WRITE
線 W2およびビット線 B2はグランドに落とされる。
[0211] このとき、状態変化体 60— 11では、電圧値が「 + 3V」でありパルス幅が「50nsec」 であるパルス電圧 (パルス電圧(+極性) )が印加されたことになるので、状態変化体
60— 11の抵抗状態は低抵抗状態になる。
[0212] また、状態変化体 60— 12, 60- 21, 60— 22の各々では、抵抗変化を生じさせる のに十分なパルス電圧 (ここでは、「 + 3V」)が印加されな 、ので、抵抗状態は変化し ない。
[0213] このように、状態変化体 60— 11の抵抗状態だけが「低抵抗状態」に変化するので、 状態変化体 60— 11に「1」を示す 1ビットデータが書き込まれたことになる。
[0214] 〔リセット〕
次に、処理対象である状態変化体 60— 11に接続されたワード線 Wlにリセット電圧 VI が印加され、処理対象である状態変化体 60— 11に接続されたビット線 B1〖こ
RESET
記憶電圧 V2 が印加される。また、状態変化体 60— 11に接続されて!、な 、ヮー
RESET
ド線 W2およびビット線 B2はグランドに落とされる。
[0215] このとき、状態変化体 60— 11では、電圧値が「― 3V」でありパルス幅が「50nsec」 であるパルス電圧 (パルス電圧(一極性) )が印加されたことになるので、状態変化体
60— 11の抵抗状態は高抵抗状態になる。
[0216] また、状態変化体 60— 12, 60- 21, 60— 22の各々では、抵抗変化を生じさせる のに十分なパルス電圧が印加されな 、ので、抵抗状態は変化しな!、。
[0217] このように、状態変化体 60— 11の抵抗状態だけが「高抵抗状態」に変化するので、 状態変化体 60— 11に記憶された 1ビットデータをリセットしたことになる。
[0218] 〔再生モード〕
次に、処理対象である状態変化体 60— 11に接続されたワード線 W1に再生電圧 V
1 が印加され、処理対象である状態変化体 60— 11が接続されて ヽな ヽビット線 B
READ
2に再生電圧 V2 が印加される。また、状態変化体 60— 11が接続されていないヮ
READ
ード線 W2および状態変化体 60— 11に接続されて!、な 、ビット線 B2をグランドに落 とす。
[0219] このとき、状態変化体 60— 11では、測定電圧(+極性)が印加されたことになるの で、状態変化体 60— 11の抵抗値に応じた電流値を有する電流が状態変化体 60— 11に流れ、その電流がビット線 B1に流出する。
[0220] 状態変化体 60— 12の両端の電位差は「OV」であるので、状態変化体 60— 12に は電流が流れない。また、状態変化体 60— 12においてビット線 B1からワード線 W2 へ向力う方向は「逆方向」であるので、状態変化体 60— 11を経由してビット線 B 1を 流れる電流がワード線 W2に流れ込むことはな 、。
[0221] 状態変化体 60— 21の両端の電位差は「OV」になる力 ビット線 B2からワード線 W 2へ向かう方向は「逆方向」であるので、状態変化体 60— 21には電流が流れな 、。
[0222] 状態変化体 60— 22では、測定電圧(—極性)が印加されたことになるので、状態
変化体 60 - 22には電流が流れな ヽ。
[0223] このように、状態変化体 60— 11にのみ電流が流れ、その電流がビット線 B1に流出 するので、状態変化体 60— 11から 1ビットデータを読み出したことになる。
[0224] <効果 >
以上のように、状態変化体がダイオード特性を有しているので、処理対象のセルに 隣接するセルの抵抗値が低くてもその隣接セルに余計な電流が流れな ヽ。これによ り、所望のセルの抵抗値を判別することができる。
[0225] また、本実施形態のメモリ装置は、単層の 2次元構造であるが、 2次元構造だけに 特定するものではなぐ 3次元構造にすることも可能である。つまり、ビット線 Bl, B2 からなる層,状態変化体 60— 11〜60— 22からなる層,ワード線 Wl, W2からなる層 によって 1つのメモリ装置が形成されている力 ワード線 Wl, W2からなる層の上に絶 縁層を形成すれば、その絶縁層の上に新たなメモリ装置を形成することができる。ま た、絶縁層を形成しない場合でも、再生電圧、記憶電圧、リセット電圧の印加方法を 工夫することによって、ワード線 Wl, W2からなる層の上に新たなメモリ装置を形成 することができる。この場合、特表 2002-530850号公報に開示されているような 3次元 構造のメモリ装置と比較すると、本実施形態のメモリ装置は構造が容易であるので製 造プロセスが容易である。これにより、メモリ装置の大容量ィ匕を実現することができる。
[0226] なお、本実施形態では、ワード線 Wl, W2とビット線 Bl, B2とが交差するポイントに 状態変化体が個別に形成されている力 図 19のように、各々のクロスポイントに上部 電極 1,状態変化材料 2,下部電極 3からなるメモリセルが形成されている場合も同様 の効果を得ることができる。この場合、例えば、ワード線 Wl, W2およびビット線 B1, B2として Cuが用いられ、上部電極 1として Agが用いられ、状態変化材料 2として CuFe 0下部電極 3として Ptが用いられる。
2 4
[0227] また、図 20のように、ワード線 Wl, W2とビット線 Bl, B2との間に状態変化材料 2 がベタ膜で形成されていても良い。この場合、各々のクロスポイントに位置する領域( 状態変ィ匕領域) 60 α— 11, 60 α - 12, 60 α— 21, 60 α— 22力 Sメモリセノレとして動 作する。
[0228] さらに、本実施形態のメモリ装置は、当然、図 11,図 12,図 13に示したメモリアレイ
として使用することが可能である。
[0229] 以上の説明において、この電気素子の抵抗状態を変化させるためには、印加する パルス電圧が所定の条件を満たせば良い。よって、記憶時 Zリセット時にその条件を 満たすパルス電圧が電気素子に印加されるようにし、再生時にはその条件を満たさ ない電圧が電気素子に印加されるようにすれば、同様の効果を得ることができる。つ まり、電圧値が「 + 3VJでありパルス幅が「50nsec」であるパルス電圧を印加すると電 気素子の抵抗状態が「高抵抗状態」力も「低抵抗状態」に変化する例につ 、て説明し た力 このパルス電圧の電圧値およびパルス幅が他の数値であっても同様の効果を 得ることは可會である。
[0230] また、実施例の説明において、抵抗変化を規格ィ匕した値 (RZRO)は、必ずしも図 中の値と同一の値になるとは限らない。
産業上の利用可能性
[0231] 本発明にかかるメモリ装置は、低電力、高速書き込み '消去、大容量化が可能であ る次世代の不揮発性メモリ等として有用である。