明 細 書
含フッ素撥水撥油剤組成物
技術分野
[0001] 本発明は、被処理物に優れた撥水撥油性を付与することが可能な撥水撥油剤組 成物に関する。
背景技術
[0002] 従来、ポリフルォロアルキル基(以下、ポリフルォロアルキル基を Rf基と記す。 )を含 有する付加重合性単量体 (以下、付加重合性単量体を単にモノマと記す。)を重合 単位として有するホモ重合体や共重合体 (以下、ホモ重合体及び共重合体の意味で ポリマという語を用いる。)を有機溶媒溶液または水系分散液として繊維製品や紙等 に処理し、それらの表面に撥水撥油性を付与する技術が知られている。
[0003] その中でも、式(1)の構造を有するモノマを重合単位として含むポリマを水系媒体( 水または水と水溶性有機溶剤等の混合溶媒)に分散させた水系媒体分散液が撥水 撥油剤組成物として広く用いられている。
CH =CR1COOCH CH (NR2SO ) (CF ) F (1)
2 2 2 2 m 2 n
(ただし、式中、 mは 0または 1、 nは 6〜: 12程度の整数、 R1は水素原子またはメチル 基、 R2は水素原子、メチル基またはェチル基をそれぞれ表す。)
[0004] この水系媒体分散液の製造方法としては、乳化重合により製造する方法や、ポリマ を界面活性剤の存在下で水系媒体に乳化分散して製造する方法等が知られている 通常使用されている撥水撥油剤において、式(1)中の n、すなわちパーフルォロア ルキル基の炭素数は実質的に 8以上である。このような炭素数が 8以上のパーフルォ 口アルキル基(以下、炭素数が 8以上のパーフルォロアルキル基を長鎖 RF基と記す。 )を側鎖として有するポリマには、長鎖 RF基に由来する微結晶融点が存在することが 知られている。この長鎖 基の強い結晶性によって長鎖 基が効果的に表面配向 すること力 式(1)の構造を有するモノマを重合単位として含むポリマが優れた撥水 撥油性能を有する主要な要因であるとされている。
[0005] しかしながら、長鎖 RF基を側鎖として含有するモノマ (以下、長鎖 RF基を側鎖として 含有するモノマを結晶性 RF基含有モノマと記す。)は一般的に他のモノマとの相溶性 が極めて悪いため、均質な共重合体を得るためには多くの有機溶剤を必要とする。 また、それらを含むポリマで繊維製品等を処理した場合、おそらく長鎖 基の強い側 鎖結晶性のため、被処理物の柔軟な風合いが損なわれることが知られている。
[0006] 従来の撥水撥油剤において、洗濯、ドライクリーニング、摩擦等に対する高い耐久 性を付与するためには、結晶性 RF基含有モノマのうちでも RF基の微結晶に由来する 融点が高い(通常の場合 70°C以上)結晶性 RF基含有モノマを用いることが不可欠と されている力 撥水撥油性の高い均質なコーティング処理をおこなうには微結晶の融 点以上の高温処理が一般的に必要で、このことは、繊維製品の処理において、染色 堅牢性の低下、風合いの硬化、変色等の問題を生じる可能性があり、好ましくない。
[0007] また、近年 EPA (米国環境保護庁)は環境保全や安全衛生の視点から、式(1)の 構造を有する化合物をはじめとする炭素数 8以上のパーフルォロアルキル基を含有 する化合物が環境 ·生体中で分解して生成する可能性のある化合物であるところの P 蓄積性等の懸念を表明し、 PFOAに関する科学的調査を強化すると発表している (EPAレポート" PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL T OXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID A ND ITS SALTS (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf) '照)。
[0008] また、近年、作業環境および地球環境に対する配慮から、撥水撥油剤の媒体として 水を主体とする媒体、アルコール系溶剤、弱溶剤と呼ばれる石油系溶剤またはハイド 口フルォロカーボン等のオゾン層への影響が少ないフッ素系溶剤の使用が求められ ている。し力しながら、従来の結晶性 基含有モノマからなるポリマを主要成分とする 撥水撥油剤の場合、溶解性、分散性等の点から、芳香族系、ケトン系、エステル系等 のいわゆる強溶剤、塩素系溶剤、クロ口フルォロカーボン等のオゾン層への影響が大 きいフッ素系溶剤を使用する必要があるという問題点があった。
[0009] このようなこと等から、長鎖 RF基を含まない撥水撥油剤として、以下のような技術が 提案されている。たとえば、パーフルォロポリエーテル鎖を有するポリアタリレートポリ
マ(W〇02_ 103103、 W〇03 _ 99904)。炭素数 6以下の Rf基(以下、炭素数 6以 下の Rf基を「短鎖の Rf基」と記す。)を含むモノマからなるポリマとして、側鎖結晶性を 有するフッ素を含まないモノマとの共重合体 (WO02— 83809)、架橋しうる官能基 を有する Rf基を含まないモノマとの共重合体 (WO04— 35708)、炭素数力 以下の Rf基を含有するスルホンアミドアタリレートのポリマ(特表 2003— 513123)、及び塩 化ビニリデンまたは塩化ビュルとの共重合体 (WO03— 62521)等がある。しかしな がら、撥水撥油剤として満足な実用性能を与えるものは見いだされていない。
[0010] 一方、高い耐久性の付与等、撥水撥油剤としての性能向上や経済性を目的として 、複数のポリマを混合して用いる技術や、複数のポリマの複合粒子を利用する技術 が公知である。たとえば、他のフッ素を含まないポリマと同時に用いることによって、耐 久性ゃ定着性を向上するものとして、ブロック化されたイソシァネート基を含む架橋性 ポリマをブレンダもしくはポリマエキステンダとして用いるもの(特開昭 54— 128992、 特表平 10— 501306)、ポリアミン重合体などカチオン性高分子を混合するもの(特 開平 6— 49319、特開 2002— 220539)等力 S挙げられる。
[0011] また、フッ素を含むポリマとフッ素を含まないポリマの組み合わせ(特公昭 49 428 78、特開昭 61— 264081、米国特許 3378609号、米国特許 4043964号)、フッ素 含有モノマ量またはフッ素含有量の異なるポリマの組み合わせ(特開昭 49— 24890 、特開平 5— 279541、特開 2000— 160148、特開 2002—201463、米国特許: 33 47812号)、塩素原子や水酸基といった基材との親和性、結合性に関与すると思わ れる構造を有するモノマ量を限定するもの(特開 2000— 282015、特開 2003— 13 364)等を挙げることができる。これらは基本的に、フッ素含有量が多く表面に偏析す ることによって被処理物の表面エネルギーを低下させる効果の高いポリマと、フッ素 含有量が少ないためまたは特定の官能基の存在によって被処理物との親和性や結 合性がより高いと考えられるポリマとの組み合わせになっている。このようなポリマの 組み合わせによって撥水撥油性能を損なうことなぐその耐久性を向上させることが 可能である理由としては、フッ素含有量の違い等によって最表面部と基材との界面部 とで何らかのポリマ組成分布が生じ、最表面部に多く存在すると考えられる(フッ素量 の多レ、)ポリマによって高い撥水撥油性が発現し、基材との親和性のより高い(フッ素
量のより少なレ、)ポリマが基材との界面部に多く存在することによって、その耐久性が 実現されたものと考えることが合理的である。これら公知例に代表される当分野の技 術は、基本的に Rf基、特に結晶性 基を有するポリマが本来有する撥水撥油性を損 なうことなぐそれ以外に要求される機能の面からの改良をおこなうものであり、単独 重合体において結晶性 RF基含有モノマを含むポリマに比べ撥水撥油性能が劣るとさ れている短鎖の Rf基のみを含むポリマの撥水撥油性能を向上させる効果は報告され ていない。
[0012] また、高い耐久性を付与することや低温造膜性等といった撥水撥油剤としての性能 向上を目的として、単独重合体が特定のガラス転移温度 (T )を有する非フッ素系モ
g
ノマを含む共重合体とする技術が公知である。たとえば、単独重合体の τが特定の
g
温度以下であるような非フッ素系モノマを重合単位として含む共重合体(特開昭 60 152585、特開平 9 328677)、単独重合体の Tが特定の温度以上であるような
g
非フッ素系モノマを重合単位として含む共重合体(特開昭 62— 577、特開昭 63— 2 7585)、また単独重合体の Tが特定の温度以上であるような非フッ素系モノマと単
g
独重合体の Tが特定の温度以下であるような非フッ素系モノマの両者を重合単位と
g
して含む共重合体(特開昭 53— 50078)等が公知である。さらには、単独重合体の Tが特定温度以上のモノマを重合単位として含む複合粒子を含む撥水撥油剤が温 g
和な熱処理条件でも基材に高い撥水撥油性を付与できることが知られている(特開 平 7— 278442)。しかしながら、当該明細書の本文、及び実施例に開示されている 高 Tのモノマはすべてフッ素を含まないものであり、含フッ素モノマの Tに着目し、そ g g の効果を示したものではない。また、その効果はあくまでも複合粒子においてのみ発 現するとされている。これらは、いずれも基本的にポリマを構成する非フッ素系モノマ の選択に注目したものといえる。
[0013] また、含フッ素モノマーの Tと繊維に対する撥水撥油剤としての性能の関係につい
g
て、 Roitmanらの研究によれば、その T力 25°C以上である含フッ素(メタ)アタリレー
g
トのホモ重合体の撥油性は T力^ 5°C未満であるそれに比べ著しく劣ることが指摘さ
g
れてレ、る(J. N. Roitmanら, Textile Res. J., 43, 500 (1973) )。したカつて、そ のホモ重合体の Tが 25°C以上である含フッ素モノマを含むポリマは、これまで撥水
撥油剤として実用的に用いられたことはなかった。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0014] 本発明の目的は、上記式(1)の構造の化合物を重合単位として含む撥水撥油剤の 代替物として利用可能な撥水撥油剤組成物を提供することにある。すなわち、ポリマ 成分としては結晶性 RF基含有モノマを重合単位として含まないポリマのみから構成さ れるにもかかわらず、基材に優れた撥水撥油性を与えることが可能な撥水撥油剤組 成物を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0015] 本発明は、
(A)ホモポリマのガラス転移温度 (T )が 50°C以上である含フッ素単量体(a1)、およ
g
びホモポリマの Tが 50°C未満である必要により存在する含フッ素単量体(a2)を重合
g
単位として有するポリマであって、(a1)の量が(a1)と(a2)の合計に対して 50質量0 /0 以上であるポリマ、ならびに
(B)ホモポリマの Tが 50°C以上である必要により存在する含フッ素単量体(a1)、およ
g
びホモポリマの Tが 50°C未満である含フッ素単量体(a2)を重合単位として有するポ
g
リマであって、(a2)の量が(a1)と(a2)の合計に対して 50質量0 /0を越えるポリマ を含んでなる含フッ素撥水撥油剤組成物
を提供する。
[0016] 本発明者は、撥水撥油性の発現機構およびその強化方法について詳細に検討し た。その結果、そのホモポリマの T (ガラス転移温度)が 50°C以上である含フッ素モノ
g
マ(以下、そのホモポリマの T力 0。C以上である含フッ素モノマを「高 Tg含 Fモノマ」
g
と記す。)を主要構成成分 (例えば、共重合体の 50質量%以上、例えば 55質量%以 上、特に 60質量%以上、特別には 80質量%以上、 100質量%以下)とする共重合 体と、そのホモポリマの T力 0°C未満である含フッ素モノマ(以下、そのホモポリマの
g
Tが 50°C未満である含フッ素モノマを「低 T含 Fモノマ」と記す。)を主要構成成分( g g
例えば、共重合体の 50質量%超、例えば 55質量%以上、特に 60質量%以上、特 別には 80質量%以上、 100質量%以下)とする共重合体を組み合わせて用いること
により、撥水性や、撥水性と撥油性のバランスなどにおいて、それぞれ単独で用いた 場合を超える性能を基材に付与しうることを見出し、結晶性 基含有モノマを使用す ることなく優れた撥水撥油性を被処理物に与えるという上記課題を解決し、発明を完 成させるに至った。なぜ、上記のようなポリマブレンドによって撥水撥油性が向上する のかという理由については必ずしも全てが明らかになつている訳ではなレ、が、最も合 理的と思われる説明は以下のようなものである。
[0017] たとえば、布に対して撥水撥油剤を処理する場合、布を構成する繊維の表面には、 (a)繊維同士で接触してレ、る領域、および (b)繊維同士で接触してレ、なレ、領域とレ、う 2 種類の領域がある。
[0018] 撥水撥油剤によって処理された表面における水の接触角は一般に大きいので、撥 水試験などにおいて十分撥水性が発揮されている状態では、布の表面の一部しか 水に触れておらず、主に (b)の領域が水と接触していると考えられる。高い撥水性を 発現させるためには、水との接触によってポリマ分子内の親水部が表面に移動 ·配向 するといつた環境応答性を押さえる必要があり、高分子鎖のミクロブラウン運動性の 尺度である Tが高いことが望ましい。またこの際に重要なのは、高分子鎖の中で撥水
g
性に対する寄与が大きい部分、すなわち、含フッ素モノマが連続したドメインの運動 性を押さえることであり、フッ素を含まない高 Tモノマ(そのホモポリマの T力 ¾o°c以
g g
上であるモノマ)との共重合によってポリマ全体の Tを高くすることよりも、高 Τ含フッ
g g 素モノマを主要構成成分とするポリマとすることが効果的である。
[0019] 一方、撥水撥油剤によって処理された表面における油の接触角は水のそれに比べ て小さぐ撥油試験において油は布の表面に一様に接触していると考えられる。した 力 Sつて、繊維上に形成された撥水撥油剤ポリマ被膜の微小な欠陥の有無がその撥 油性能に大きく影響する。特に、繊維と繊維が接触する(a)の領域は、機械的負荷が 力かりやすいためにポリマ被膜の欠陥が生じやす 欠陥が生じた場合、毛細管現 象によって空隙に液体が侵入しやすいといった理由により、この領域におけるポリマ 被膜の欠陥を少なくすることが撥油性を向上させるために重要である。一般的に、非 晶質ポリマは T以下の温度では硬い半面、脆くなるため、 Tの高いポリマで布を処
g g
理した場合、機械的負荷の力かりやすい領域でポリマ被膜に欠陥が生じ易ぐ十分
な撥油性を発揮できないものと考えられる。したがって、撥油性を向上させるために は、特に(a)領域に存在するポリマはあまり高い Tのものは望ましくなぐある程度柔
g
軟性を有する状態が望ましレ、。
[0020] このことは、側鎖結晶性を持たず、フッ素含有量がそれほど変わらなレ、含フッ素ァク リレートホモポリマー間の比較において、 Tが高いものは撥水性が高いが撥油性が
g
悪ぐ一方、 τが低レ、ものは撥油性が高いが撥水性が低い傾向があるという実験事
g
実をよく説明している。また、低 T含 Fモノマを主要構成成分とするポリマは高 T含 F
g g モノマを主要構成成分とするポリマに比べ流動性が高いと考えられるために、布など を撥水撥油剤で処理する過程、特に熱処理時において、毛細管現象によって移動し 、布上の(a)の領域に多く存在するようになると考えられ、逆に、高 T含 Fモノマを主
g
要構成成分とするポリマは流動性が低いため、相対的にその多くが(b)の領域にとど まると考えられる。すなわち、高 T含 Fモノマを主要構成成分とするポリマと低 T含 F
g g モノマを主要構成成分とするポリマを混合して布に処理を施した場合、適切な熱処 理などによって撥油性に重要な影響をもっと思われる繊維表面の(a)領域には低 T
g 含 Fモノマを主要構成成分とするポリマが、撥水性に重要な影響をもっと思われる(b )領域には高 T含 Fモノマを主要構成成分とするポリマが多く存在するようになると考
g
えられる。このことが、該ポリマをブレンドすることによって、それぞれ単独で使用した り、共重合したりしたときと比べて顕著な性能の向上が可能になるという、通常の予想 を越えた効果が生じる理由であると考えられる。
[0021] 撥水撥油剤において異なるポリマを組み合わせて用いる従来の技術は、前述の通 り、撥水撥油剤ポリマ被膜における最表面部と基材との界面部での役割分担という考 え方で多くの場合が説明できるのに対し、本発明ではそのような説明は困難であり、 上記のような全く新しい原理を想定することによりはじめて理解することが可能になる
[0022] ポリマを構成する含 Fモノマのホモポリマにおける Tは、ポリマ鎖において撥水撥油
g
性に大きく寄与すると思われる含 Fモノマが連続したドメインにおける分子運動の尺 度として適切なものである。ただ、界面におけるポリマ分子の運動性はバルタ状態と 異なるために、最表面に存在する含 Fモノマが連続したドメインのミクロブラウン運動
が室温で凍結されるためには該ホモポリマの Tが室温以上ある必要があり、本発明
g
において高 Tgモノマと低 Tgモノマを分ける 50°Cという温度はその点で合理的なもの と考免られる。
[0023] 上記の考察による撥水撥油性の発現モデルは、本発明におけるポリマブレンドによ る撥水撥油性の向上を合理的に説明するものではあるが、あくまでも現時点におい て現象を説明するために単純化されたモデルに過ぎず、修正や変更などが今後なさ れる可能性がある。し力 ながら、そのことが本発明に影響を与えるものでないことは 言うまでもない。
発明の効果
[0024] 本発明における撥水撥油剤組成物は、十分な撥水撥油性能を得るために従来必 須とされてレ、た長鎖の RF基を有しなレ、ために、側鎖結晶性による風合レ、の低下など の懸念がなく、優れた撥水撥油性を基材に与えることができる。特に、繊維製品に対 して撥水性と撥油性の両立を達成することが可能である。
発明を実施するための最良の形態
[0025] 本発明の撥水撥油剤組成物は、ポリマ (A)およびポリマ(B)を必須成分とし、必要 に応じて、水系媒体 (C)、界面活性剤 (D)、有機溶剤 (E)、熱硬化剤 (F)、他のポリ 7 (G) (例えば、非フッ素ポリマ)、添加剤などからなる群から選択された少なくとも 1 種の成分を含む。
[0026] 撥水撥油剤組成物におけるポリマ (A)とポリマ(B)の割合は、ポリマ (A)とポリマ(B )の合計量に対するポリマ (A)の割合が 5〜95質量%、例えば 10〜90質量%、特に 20〜80質量%となるようなものであってよレ、。なお、以下において部または%は特記 しない限り、質量部または質量%を表す。また、ポリマ (A)とポリマ(B)はそれぞれ単 一のポリマである必要はなぐ 2種類以上のポリマの組み合わせであっても良い。 ポリマ (A)は、分子内にフッ素を含むモノマ(a)を含み、分子内にフッ素原子を含ま なレ、モノマ(b)を必要に応じて含むポリマであり、モノマ(b)の割合は 40質量0 /0未満 、例えば 20質量%未満である。ポリマ (A)におけるモノマ(b)の割合は 0質量%であ つてもよレ、。ポリマ (A)におけるモノマ(b)の割合の下限は、 0. 1質量0 /0、特に 1質量 %であってよい。
ポリマ(B)は、分子内にフッ素を含むモノマ(a)を含み、分子内にフッ素原子を含ま ないモノマ(b)を必要に応じて含むポリマであり、モノマ(b)の割合は 70%未満、例え ば 50質量%未満、特に 30質量%未満である。ポリマ(B)におけるモノマ(b)の割合 は 0質量%であってもよい。ポリマ(A)におけるモノマ(b)の割合の下限は、 0. 1質量 %、特に 1質量%であってよい。
[0027] ポリマ(A)に含まれるモノマ(a)は、高 T含 Fモノマ(a1)、および必要に応じて低 T g g 含 Fモノマ(a2)力 なる。ポリマ (A)を構成するモノマ(a)に占めるモノマ(a2)の割合 は、 50質量%未満、例えば 35質量%未満、特に 20質量%未満である。ポリマ (A)を 構成するモノマ(a)に占めるモノマ(a2)の割合は、 0質量%以上、例えば 5質量%以 上、特に 10質量0 /0以上であってよい。ポリマ(B)に含まれるモノマ(a)は、低 T含 F g モノマ(a2)、および必要に応じて高 T含 Fモノマ(a1)からなる。ポリマ(B)を構成する
g
モノマ(a)に占めるモノマ(a1)の割合は、 50質量%未満、例えば 35質量%未満、特 に 20質量%未満である。ポリマ(B)を構成するモノマ(a)に占めるモノマ(a1)の割合 は、 0質量%以上、例えば 5質量%以上、特に 10質量%以上であってよい。
ポリマ(A)もしくはポリマ(B)に用いられるモノマ(a1)、モノマ(a2)、モノマ(b)はそれ ぞれ単一のモノマであっても 2種以上のモノマ力 構成されていてもよい。また、ポリ マ(B)に用いられるモノマ(a1)、モノマ(a2)、モノマ (b)はポリマ (A)に用いられるもの と同じであっても、部分的に同じでも、異なっていても構わない。
[0028] また、ポリマ (A)およびポリマ(B)が共重合体である場合、ランダム共重合体に限定 されず、ブロック、グラフト共重合体等であっても良い。この場合、上記モノマ組成は 重合体の平均値が上記条件を満たすものとする。
なお、ホモポリマの Tは、示差熱量測定 tiIS _K_ 7121 _ 1987に記載の DSC g
測定法)により測定されたものである。ここでいうホモポリマの分子量はおよそ 10, 00 0以上である。なぜなら、ホモポリマの分子量が 10, 000以上であれば、ホモポリマの Tは分子量にほとんど依存しないからである。
g
[0029] モノマ (a1)およびモノマ (a2)としては、側鎖非晶性含フッ素モノマ(aa)の中から、その ホモポリマの T力 0°C以上のモノマもしくはそのホモポリマの T力 0°C未満である
g g
モノマをそれぞれ 1種もしくは複数を選択して用いることができる
側鎖非晶性含フッ素モノマ(aa)とは、 1価または 2価の重合性不飽和基と、 1個また は複数の非晶性 Rf基 (Rfa基)が、直接あるいは結合基を介して間接的に結合してい る化合物であり、間接的に結合している場合が好ましい。重合性不飽和基としては、 アルキレン基、特にエチレン基が好ましい。
[0030] ここでいう非晶性 Rf基 (Rfa基)とは、一般に、炭素数 6以下のパーフルォロアルキル 基、もしくは炭素数 30以下、例えば炭素数 20以下、特に炭素数 10以下のパーフル ォロ(ポリ)エーテル基、もしくはこれらの構造に含まれる全フッ素原子数の 20。/0を超 えない範囲でフッ素原子が水素原子に置き換えられた構造を表す。パーフルォロア ルキル基の炭素数は、 1以上、例えば、 2以上であってよい。パーフルォロ(ポリ)エー テル基の炭素数は、 3以上、例えば 5以上であってよい。
パーフルォロ(ポリ)エーテル基は以下の式(2)の構造で表されることが好ましい。 F-RfPFPE-[CF(CF )] - (CF ) - (2)
3 e 2 f
[式中、 eは 0〜1の整数、 fは 1〜2の整数を表す。 RfPFPEはパーフルォロポリエーテ ル鎖構造、 [CF(CF )CF〇] [CF CF CF〇] [CF CF O] [CF O]を表す。ただ
3 2 a 2 2 2 b 2 2 c 2 d
し、 a、 b、 c、 dはそれぞれ 0〜6の整数を表す。また、 a + b + c + d= 1〜6であり、そ れぞれの繰り返し単位の出現順序は任意である。 ]。
[0031] 好ましい側鎖非晶性含フッ素モノマ(aa)は以下の一般式(3)で表すことができる。
(Rfa-Y-) X (3)
[式中、 nは 1または 2、 Xは重合性不飽和基であって、 nが 1の場合は— CRa=CH 、
2
-Q-COCRa=CH 、 -Q- (CH ) - φ— CRa=CH 、 -Q-CRa=CHまたは
2 2 m 2 2
— C〇— Q— CRa=CHであり、 nが 2の場合は— Q— C〇Ra=CRaCO— Q—または
2
-Q-COC(CH CO— Q— )=CHを表す(ここで、 mは 0〜3の整数。 Qは—〇—
2 2
、 _S—または _NRb_を表す。 (ί>は置換または無置換のフエ二レン基を表す。 は 水素原子、ハロゲン原子、シァノ基、炭素数 1〜6のアルキル基、炭素数:!〜 6のハロ ゲン置換アルキル基、フエニル基またはべンジノレ基を表す。 Rbは水素原子、炭素数 :!〜 6のアルキル基またはフエ二ル基を表す。)。また、 Rfaは前述の非晶性 Rf基、 Yは 2価の有機基または単結合である。 ]
[0032] 2価の有機基である Yの好ましい構造は、以下の式 (4)で表すことができる。
- (CH ) T (CH ) (CHRa) - (4)
2 p 2 q r
[式中、 p及び qは、独立に 0以上の整数を示し、 p + qは 0〜22の整数である。 rは 0ま たは 1である。 Raは前述のものと同様である。 Tは単結合、 _CH = CH―、 -CONR b- 、 -OCONRb- 、 - SO NRb—、 - SO 一、一 NHCONH—、 -CH (OH) -
2 2
、 _CH (〇CORa )―、 _〇C〇0_、 _CO〇_、 _OCO_、 _〇_、 _S―、 _C HRa―、一 CHC1—、一 CHBr―、一 CHI—、シクロへキセニレン基、フエ二レン基、 ビフエ二レン基、 -CH[ (CH ) Rfa]—を表す。ただし、 sは 0〜2の整数。 ]
2 s
[0033] 一般的に側鎖非晶性含フッ素モノマ(aa)の中でも側鎖が短ぐもしくは枝分かれが あるために側鎖の運動性が制限されている化合物、特にそのメタタリレート体や αハ ロゲン置換アタリレート体はそのホモポリマの Τが 50°C以上になる。また、側鎖非晶 g
性含フッ素モノマ(aa)の中でも側鎖として分子運動性の大きいパーフルォロ(ポリ)ェ 一テル構造を含む化合物、特にそのアタリレート体はホモポリマの T力 S50°C未満で ある。
また、ポリマに融点 (T )が存在する場合、ガラス転移温度 Tは T よりも低いので、 m g m
50°C未満の T を有するホモポリマの Τも 50°C未満であるといえる。さらには、室温 m g
で明らかな流動性を有するポリマについては上記 DSC測定法で明らかな転移点が 見られない場合でも Tが 50°C以下であるとみなすことができる。
g
[0034] モノマ(a1)の T力 5。C以上、例えば 60〜: 160。Cであってよレ、。モノマ(a2)の Tが g g
45°C以下、例えばモノマ(a2)のホモポリマが室温で溶融状態をとるようなものであつ てもよレ、。モノマ(a2)の Tは、例えば、 _ 100。C〜 + 45。C、特に _80。C〜 + 40。Cで g
あってよい。
[0035] モノマ(a1)の具体例としては、
F (CF ) (CH ) OCOCCl = CH (T : 65。C)、
2 4 2 2 2 g
F (CF ) CH OCOC (CH ) =CH (T : 77
2 2 2 3 2 g 。C)、
(CF ) CHOCOC (CH ) =CH (T : 91
3 2 3 2 g 。C)および
C (CH ) (CF ) CH OCOCH = CH (T : 133°C)等が挙げられる。
3 3 2 2 2 g
モノマ(a2)の具体例としては、
F (CF ) (CH ) OCOCCl = CH (T : 45°C)、
F (CF ) (CH ) OCOCH = CH (T : 42°C)、
2 4 2 2 2 m
F (CF ) (CH ) OCOCH = CH (T : _ 30。C)、
2 6 2 2 2 g
(CF ) CHOCOCH=CH (T : 15°C)、
3 2 2 g
F (CF ) (CH ) OCOC (CH ) =CH (T : 37°C)、
2 4 2 2 3 2 g
CF CF CF OCFCF CF OCFCF CH OCOC (CH ) =CH (T :— 34°C)等が
3 2 2 3 2 3 2 3 2 g
挙げられる。
[0036] ポリマ (A)及びポリマ(B)は、モノマ(a)以外のフッ素原子を含まなレ、共重合可能な モノマ (b)を必要に応じて単独でまたは複数を組み合わせて用いた共重合体とする ことも可能である。
[0037] 共重合可能なモノマ (b)の例としては以下のようなものが挙げられる(なお、以下に おいて、アタリレート、メタクレート及び αハロゲン(例えばクロ口)置換アタリレートを総 称してアタリレート類縁体と記す。アクリルアミド類縁体、アクリル酸類縁体等の表記に おいても同様である。)。すなわち、アタリレート類縁体;アクリルアミド類縁体 (b1);ァ タリロニトリル類縁体; 2—クロ口ェチルビュルエーテルの如き(ハロゲン化アルキル) ビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブテン、ドデシルエチレン、へ キセン、ブタジエンの如きォレフィンおよびジェン類;塩化ビエル、臭化ビニル、塩化 ビニリデン、クロ口プレンの如きハロゲン置換エチレン類; 2—クロロー 1 , 3—ブタジェ ン、 2, 3—ジクロ口一1 , 3 _ブタジエンの如きハロゲン置換ブタジエン類;スチレン及 びひ一メチルスチレン、 p—メチルスチレンの如きスチレン類;酢酸ビュル、プロピオン 酸ビュル、力プリル酸ビュル、ラウリル酸ビュル、オクタン酸ビュル、ドデカン酸ビュル 、ステアリン酸ビュルの如き脂肪酸のビュルエステル類;ヘプタン酸ァリル、カプリノレ 酸ァリル、力プロン酸ァリル、オクタン酸ァリル、へキサン酸ァリルの如き脂肪族ァリノレ エステル類;ビュルメチルケトン、ビュルェチルケトンの如きビュルアルキルケトン類; N -シクロへキシルマレイミド、 N _メチルマレイミドの如き N -アルキルマレイミド類; マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の(ジ)アルキルエステ ル等である。
[0038] また、アタリレート類縁体の具体例としては、フエニルアタリレート類縁体、ベンジル アタリレート類縁体の如きベンゼン環を有するアタリレート類縁体及び、これらのベン
ゼン環にメチル基、メトキシ基、塩素原子等が結合した化合物;シクロへキシノレアタリ レート類縁体、シクロドデシルアタリレート類縁体、ジシクロペンチルアタリレート類縁 体の如きシクロアルキルアタリレート類縁体;メチルアタリレート類縁体、ェチルアタリ レート類縁体、プロピルアタリレート類縁体、イソプロピルアタリレート類縁体、ブチル アタリレート類縁体、イソブチルアタリレート類縁体、 t_ブチルアタリレート類縁体、 3 , 3—ジメチル _ 2 _ブチルアタリレート類縁体、へキシルアタリレート類縁体、ォクチ ルアタリレート類縁体、 2 _ェチルへキシルアタリレート類縁体、デシルアタリレート類 縁体、ラウリルアタリレート類縁体の如き炭素数 1〜: 12の飽和アルキル基を有するァ ルキルアタリレート類縁体;ドデシルアタリレート類縁体、セチル (メタ)アクレート、へキ サデシルアタリレート類縁体、ステアリルアタリレート類縁体、イソステアリルアタリレー ト類縁体、ベへニルアタリレート類縁体、ィコシルアタリレート類縁体、ドコシルアタリレ ート類縁体、テトラコシルアタリレート類縁体の如き炭素数 13〜25の飽和アルキル基 を有するアタリレート類縁体;ジエチレングリコールモノアクリレートモノメチルエーテ ル類縁体、ポリエチレングリコールモノアクリレートモノメチルエーテル類縁体、ポリプ ロピレングリコールモノアクリレートモノメチルエーテル類縁体、ポリエチレングリコー ポリプロピレングリコールモノアクリレートモノメチルエーテル類縁体、ポリエチレンダリ コールモノアタリレート類縁体(2—ェチルへキシル)エーテルの如きエーテル構造を 有するアタリレート類縁体;イソボルニルアタリレート類縁体、ァダマンチルアタリレート 類縁体の如き脂環式構造を有するアタリレート類縁体;ポリジメチルシロキサン基を有 するアタリレート類縁体;クロ口ェチルアタリレート;ウレタン結合を有するアタリレート類 縁体等が好ましく挙げられる。
アクリルアミド類縁体 (b1)の具体例としては、アクリルアミド類縁体、 N_メチルアタリ ルアミド類縁体、 N—ステアリルアクリルアミド、 N—セチルアクリルアミド、 N, N—ジメ チルアクリルアミド類縁体、 N, N—ジェチルアクリルアミド類縁体、 N, N—ジイソプロ ピルアクリルアミド類縁体、 N—メトキシメチルアクリルアミド類縁体、 N—ェトキシメチ ルアクリルアミド類縁体、 N—ブトキシメチルアクリルアミド類縁体、 N—メチロールァク リルアミド類縁体、 N—ブトキシメチロールアクリルアミド類縁体、 N—ブチロールアタリ ルアミド類縁体、ジアセトンアクリルアミド類縁体、メチロールィ匕ジアセトンアクリルアミ
ド類縁体等が好ましく挙げられる。
モノマ (b)は、上記アクリルアミド類縁体をはじめとする、重合性不飽和結合以外の 反応性基を有するモノマであってもよぐこのような反応性基としては、エポキシ基、ヒ ドロキシノレ基、カルボシキル基、酸無水物基、アミド基、アミノ基、アルコキシシリル基
、 N—メチロール基、 N—アルキルォキシ基、イソシァネート基、アタリロイル基、ブロッ ク化されたイソシアナート、イミノ基、シァノ基、基等が挙げられる。これらの反応性基 含有モノマを共重合させることによって、繊維など基材に対する付着性が強固になり 、耐久性、耐洗濯性、耐ドライクリーニング性等が向上する効果がみられ、また一般 的に乳化重合時の重合安定性も向上するという副次的効果もある。
重合性不飽和結合以外の反応性基を有するモノマとしては、ブロック化イソシァネ ート基含有アタリレート類縁体 (b2) ; 3—クロロー 2—ヒドロキシプロピルアタリレート類 縁体、 2—ヒドロキシェチルアタリレート類縁体、 2—ヒドロキシプロピルアタリレート類 縁体、 4ーヒドロキシブチルアタリレート類縁体、グリセリンモノアタリレート類縁体、トリ メチロールプロパンモノアタリレート類縁体、グリセリンモノアタリレート類縁体、 2—ヒド 口キシー 3—フエノキシプロピルアタリレート類縁体の如き水酸基を有するアタリレート 類縁体;グリシジルアタリレート類縁体、アジリジニルアタリレート類縁体、アジリジニル ェチルアタリレート類縁体の如きエポキシ基を有するアタリレート類縁体; N, N, N- ステアリルジメチルアンモニゥムアタリレート類縁体、 N, N, N—セチルジメチルアン モニゥムアタリレート類縁体、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニゥムクロ ライドの如き四級アンモニゥム構造を有するアタリレート類縁体;ジエチレングリコール モノアタリレート類縁体、ポリエチレングリコールモノアタリレート類縁体、ポリプロピレ ングリコールモノアタリレート類縁体、ポリエチレングリコーポリプロピレングリコールモ ノアクリレート類縁体の如きエーテル構造を有するアタリレート類縁体; N—ステアァリ ルアミノエチルアタリレート類縁体、 N—セチルアミノエチルアタリレート類縁体、 N, N —ジメチルアミノエチルアタリレート類縁体、 N, N—ジェチルアミノエチルアタリレート 類縁体、 N, N—ステアリルメチルアミノエチルアタリレート類縁体、 N, N—セチルメ チルアミノエチルアタリレート類縁体の如き置換アミノアルキルアタリレート類縁体;ァ リルアタリレート類縁体の如き炭素数 3以上の直鎖不飽和アルキル基を有するアタリ
レート類縁体; 2 -アタリロイ口キシェチルへキサヒドロフタル酸、 2 -アタリロイロキシ ェチルフタル酸、 2—アタリロイロキシェチル _ 2—ヒドロキシェチルフタル酸、 β—了 クリロイルォキシェチルハイドロジェンサクシネート、 β—メタクリロイルォキシェチル ハイドロジヱンフタレートの如きカルボン酸基を有するアタリレート類縁体; Ί—トリメト キシシリルプロピルアタリレート類縁体の如き反応性シリル基を有するアタリレート類 縁体;エチレングリコールジアタリレート類縁体、ジエチレングリコールジアタリレート類 縁体、ネオペンチルグリコールジアタリレート類縁体、 1 , 4_ブタンジオールジアタリ レート類縁体、 1, 6—へキサンジオールジアタリレート類縁体、グリセリンジァクリレー ト類縁体、 2 ヒドロキシ 3 ァクロイロキシプロピルメタタリレート、ネオペンチルグリ コールビスアタリレート類縁体、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアタリレ ート類縁体、ポリオキシエチレンジアタリレート類縁体、ポリプロピレンジアタリレート類 縁体の如きポリアタリレート類縁体;アクリル酸類縁体、ィタコン酸、マレイン酸、クロト ン酸、無水マレイン酸の如き不飽和カルボン酸類及び酸無水物;その他、ァセトァセ トキシェチルアタリレート類縁体、 2— (メタ)アタリロイロキシェチルアシッドホスフエ一 ト、 2 アクリルアミドー 2 メチルプロパンスルホン酸、 4 シァノフエニルアタリレート 類縁体、アミ二ミド基(― CO— NNI^I^R3)含有アタリレート類縁体、 N ビニルカル バゾール、トリァリルシアヌレート、ァリルグリシジルエーテル、ビエルピロリドン等が挙 げられる。
また、ブロック化イソシァネート基含有アタリレート類縁体(b2)としては、 2 _イソシァ ネートェチルアタリレート類縁体、または、イソシァネート基と結合しうる官能基を有す るアタリレート類縁体とポリイソシァネート類 (b3)とを 1個以上のイソシァネート基が残 る割合で反応させて得られる反応生成物が好ましレ、。
イソシァネート基と結合しうる官能基を有するアタリレート類縁体としては、水酸基を 有するアタリレート類縁体が好ましぐアクリル酸類縁体と多価アルコールとのモノまた はジエステルが特に好ましレ、。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリオ キシエチレングリコーノレ、プロピレングリコーノレ、ポリオキシプロピレングリコーノレ、グリ セリン、トリメチロールプロパン一アルキレンォキシド付加物、ペンタエリスリトール等が ある。
[0042] ポリイソシァネート類(b3)としては、 4, 4'—ジフエニルメタンジイソシァネート、トリレ ンジイソシァネート等の芳香族ポリイソシァネート類、へキサメチレンジイソシァネート 、リジンジイソシァネート等の脂肪族ポリイソシァネート類、イソホロンジイソシァネート
、ビス(イソシァネートメチル)シクロへキサン、ノルボルネンジイソシァネート等の脂環 族ポリイソシァネート類、及びそれらのヌレート変性体、プレポリマー変性体、ビュレツ ト変性体等の変性体が好ましぐ特に脂肪族イソシァネート類、脂環族イソシァネート 類、及び、そのヌレート変性体、プレポリマー変性体、ビュレット変性体が好ましい。
[0043] イソシァネート基のブロック化剤(b4)としては、ォキシム類、アルキルケトォキシム類 、フエノール類、アル力ノール類、 β—ジケトン類、マロン酸エステル類、ラタタム類等 が好ましぐたとえば具体例として、ピラゾール、 3—メチルビラゾール、 3, 5—ジメチ ルビラゾール、インダゾール、メチルェチルケトォキシム、シクロへキサノンォキシム、 ε—力プロラタタム、ァセト酢酸ェチル、ァセチルアセトン、フエノール、クレゾール、メ タノール、ジェチルマロネート、マレイン酸イミド、重亜硫酸塩 2—ブタノンォキシム、 マロン酸ジェチル、イソプロピルアルコール、 t ブチルアルコール、マレイミド、重亜 硫酸ナトリウム等を挙げることができる。特に、安定性または反応性のバランスの点か ら、 2 ブタノンォキシム、 3—メチルビラゾール、 3, 5 ジメチルピラゾール、シクロへ キサンォキシム、メチルェチルケトォキシム、ァセト酢酸ェチル、 ε—力プロラタタム、 ジェチルマロネート、ピラゾールが好ましい。
[0044] ブロック化イソシァネート基含有アタリレート類縁体の具体例としては、以下のもの 等が挙げられる。 2 _イソシァネートェチルアタリレート類縁体のイソシァネート基をメ チルェチルケトォキシムでブロックした化合物、 2_イソシァネートェチルアタリレート 類縁体のイソシァネート基を ε—力プロラタタムでブロックした化合物、イソホロンジィ ソシァネートと 2—ヒドロキシェチルアタリレート類縁体との 1: 1 (モル比)反応物のイソ シァネート基をメチルェチルケトォキシムでブロックした化合物、イソホロンジイソシァ ネートと 2—ヒドロキシプロピルアタリレート類縁体との 1: 1 (モル比)反応物のイソシァ ネート基をメチルェチルケトォキシムでブロックした化合物、ノルボルネンジイソシァネ ートと 2—ヒドロキシェチルアタリレート類縁体との 1: 1 (モル比)反応物をメチルェチ
ルケトォキシムでブロックした化合物。
[0045] 本発明の撥水撥油剤組成物において、有効成分となるポリマ (A)とポリマ(B)の調 製方法は特に限定されず、たとえば、有機溶媒を用いた溶液重合法、非水分散重合 法、水を分散媒体とする分散重合法、乳化重合法、縣濁重合法、塊状重合法等通 常の重合手法を採用できる。
[0046] 水系媒体中で重合をおこなう場合、乳化重合法または分散重合法を適用すること が好ましぐ特に乳化重合法が好ましい。また、乳化重合法では高圧乳化機等を用 レ、てモノマを十分乳化した後に重合を開始することが好ましい。たとえば、モノマ、界 面活性剤及び水系媒体からなる混合物を、重合開始前にホモミキサーまたは高圧乳 化機等であらかじめ混合分散させることにより、最終的に得られる重合体の収率を向 上させることが可能である。
[0047] 乳化重合等により、ポリマ (A)が水系媒体中に粒子として分散した状態の液 (分散 体ともいう)及びポリマ(B)の分散体、またはその混合物が得られる。得られた共重合 体の溶液、分散液、乳化液は、そのまままたは希釈して組成物として使用できる。溶 液重合、乳化重合、その他の重合法によって得られた共重合体を分離し、必要に応 じて溶媒や分散媒体、乳化媒体に溶解、分散、乳化して組成物としてもよい。
[0048] 乳化重合では水系媒体 (C)を重合媒体として用いる。水系媒体 (C)は水を含む媒 体であり、水単独であっても所望により重合補助溶剤として有機溶剤を含ませてもよ レ、。
有機溶剤としては、ケトン、エーテル、アルコール(特に、 1価アルコールおよび飽 和多価アルコール)、窒素化合物からなる群から選ばれた 1種以上の水溶性有機溶 剤(c)が好ましい。ケトンでは、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン 等が好ましぐエーテルでは、飽和多価アルコールのモノアルキルエーテル、ジアル キルエーテル、モノアルキルエーテルモノァシルエステル、ジォキサン等が好ましく、 窒素化合物では、 N—メチルピロリドン、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチ ルァセトアミド等が好ましい。これらのうち、引火性が低い等の点からエーテル系の有 機溶剤が最も好ましい。
[0049] 水溶性有機溶剤(c)は、単独または混合して用いることができる。水系媒体中の水
溶性有機溶剤(c)の量は、ポリマ (A)とポリマ(B)の合計量 100質量部に対して 5〜1 00質量部が好ましぐ 10〜50質量部が特に好ましい。水溶性有機溶剤(c)が多す ぎると洗濯に対する撥水撥油性の耐久性を低下させるおそれがある。また、水系媒 体の量は、重合するポリマ 100質量部に対して、 10〜5000質量部、例えば 100〜1 000質量部であってよレ、。
[0050] 水系媒体に用いられる 1価アルコールの具体例としてはエチルアルコール、イソプ 口ピルアルコールを挙げることができる。
飽和多価アルコールとしては、 2〜4個の水酸基を有する化合物が好ましぐ具体 例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリェチ レングリコール、テトラエチレンダリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ ール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、へキシレングリコール、グ リセリン、トリメチロールェタン、トリメチロールプロパンを挙げることができる。
[0051] 飽和多価アルコールの(モノまたはポリ)アルキルエーテル類の具体例として、ェチ レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノェチルエーテル、ェチレ ングリコールモノプロピルエーテル、及びそれらのアセテート;ジエチレングリコールモ ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノェチルエーテル、ジエチレングリコール モノプロピルエーテル、及びそれらのアセテート;トリエチレングリコールモノメチルェ ーテノレ、トリエチレングリコーノレモノェチノレエーテノレ、トリエチレングリコーノレモノプロピ ノレエーテル、及びそれらのアセテート;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロ ピレングリコーノレモノェチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノプロピノレエーテノレ、 及びそれらのアセテート;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング リコーノレモノェチノレエーテノレ、ジプロピレングリコーノレモノプロピノレエーテノレ、及びそ れらのアセテート;トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコー ノレモノェチルエーテル、及びそれらのアセテート;エチレングリコールジメチルエーテ ノレ、エチレングリコーノレジェチノレエーテノレ、エチレングリコーノレジプロピノレエーテノレ、 ジエチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレジェチノレエーテノレ、ジ エチレングリコーノレジプロピノレエーテノレ、トリエチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、ト リエチレングリコールジェチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、
プロピレングリコーノレジメチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレジェチノレエーテノレ、プ ロピレングリコーノレジプロピノレエーテノレ、ジプロピレングリコーノレジメチノレエーテノレ、ジ プロピレングリコーノレジェチノレエーテノレ、ジプロピレングリコーノレジプロピノレエーテノレ 、トリプロピレングリコーノレジメチノレエーテノレ、トリプロピレングリコーノレジェチノレエーテ ノレ等を挙げることができる。
[0052] そのなかでジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメ チルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが特に好ましレ、。飽和多価 アルコールとエチレンォキシド及び/またはプロピレンォキシドとの反応物としては、 ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ォキシ プロピレン基が 5個以上連なったポリプロピレングリコールが好ましい。
[0053] ポリマ (A)及びポリマ(B)を得る重合反応は、熱、光、放射線、ラジカル性重合開始 剤、イオン性重合開始剤等によって開始することができるが、水溶性または油溶性の ラジカル重合開始剤を用いておこなうことが好ましぐァゾ系、過酸化物系、過硫酸塩 、レドックス系等の汎用の開始剤が重合温度に応じて使用でき、特にァゾ系化合物 及びその塩が好ましい。
[0054] 油溶性重合開始剤の具体例としては、 2, 2'—ァゾビス(2—メチルプロピオ二トリル )、 2, 2,一ァゾビス(2—メチルブチロニトリル)、 2, 2 '—ァゾビス(2、 4—ジメチルバ レロニトリル)、 2, 2,一ァゾビス(2、 4—ジメチル 4—メトキシバレロ二トリル)、 1 , 1 ' _ ァゾビス(シクロへキサン一 1 _カルボ二トリル)、ジメチノレ 2, 2,一ァゾビス(2—メチル プロピオネート)、 2, 2,一ァゾビス(2—イソブチロニトリル)、ベンゾィルパーォキシド 、ジ一第三級一ブチルパーォキシド、ラウリルパーォキシド、タメンヒドロパーォキシド 、 t_ブチルパーォキシビバレート、ジイソプロピルパーォキシジカーボネート、過ピ バル酸 t_ブチル等が好ましく挙げられる。
[0055] また、水溶性重合開始剤の具体例としては、 2, 2'—ァゾビスイソブチルアミジン 2 塩酸塩、 2, 2'—ァゾビス(2_メチルプロピオナミジン)塩酸塩、 2, 2'—ァゾビス [2 _ (2—イミダゾリン _ 2_ィル)プロパン]塩酸塩、 2, 2'—ァゾビス [2— (2—イミダゾ リン _ 2_ィル)プロパン]硫酸塩水和物、 2, 2'—ァゾビス [2— (5—メチル _ 2_イミ ダゾリンー2—ィル)プロパン]塩酸塩、 1ーヒドロキシシクロへキシルヒドロ過酸化物、
3 _カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化ァセチル、過酸化ナトリウム、過硫酸 カリウム、過硫酸バリウム、過硫酸アンモニゥム、過酸化水素等が好ましく挙げられる
[0056] 乳化重合における重合温度は特に限定されなレ、が、 20〜: 150°Cが好ましぐ 30〜 80°Cが特に好ましい。
上記ポリマの分子量は、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー法によるポリスチレ ン換算値等で求めることができる。ポリマ (A)及びポリマ(B)の質量平均分子量は、 それぞれ5,000〜500,000の範囲内にぁることカ 子ましく、特に 10,000〜250,000 であることが好ましい。ポリマの平均分子量が 5,000〜500,000の範囲内にある場 合には、ポリマが基材を十分に被覆できるので、高い撥水撥油性を付与でき、高い 耐久性が得られる。
[0057] 分子量は連鎖移動剤を用いることにより調節することができ、一般的に連鎖移動剤 の使用が望ましい。連鎖移動剤としてはアルキルチオールやアルキレンジチオール 、チオシァヌル酸等のメルカブタン類または芳香族系化合物が好ましぐアルキルチ オールが特に好ましい。連鎖移動剤の具体例としては、 n—ォクチルメルカプタン、 n ードデシルメルカプタン、 tードデシルメルカプタン、 2—ヒドロキシェチルメルカプタン 、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン(ォクタデシルメルカプタン)または α —メチルスチレンダイマー(CH =CPhCH C (CH ) Ph [ただし Phはフエニル基で
2 2 3 2
ある] )等が好ましく挙げられる。また、 SH基含有シリコーン類を用いることも可能であ る。
[0058] 乳化重合は、界面活性剤 (D)を用いておこなうことが好ましい。使用される界面活 性剤に特に制限はなぐノニオン性界面活性剤 (dn)、カチオン性界面活性剤 (dc)、 ァニオン性界面活性剤(da)、両性界面活性剤 (db)の公知ないしは周知の界面活性 剤の 1種以上が採用され得るが、ノニオン性界面活性剤(dn)、カチオン性界面活性 剤(cf)または両性界面活性剤が好ましぐ特にノニオン性界面活性剤(dn)が好まし レ、。イオン性の異なる界面活性剤を併用する場合には、ノニオン性界面活性剤(dn) とカチオン性界面活性剤 (dc)、またはノニオン性界面活性剤(dn)と両性界面活性剤 (db)の組み合わせが好ましい。また、高分子界面活性剤を用いることも可能である。
[0059] 界面活性剤(D)の量はポリマ (A)及びポリマ(B)の合計量 100質量部に対して 0. 0:!〜 30質量部が好ましぐ特に 0. 5〜: 15質量部程度が好ましい。界面活性剤 ) の量が少なすぎると分散液の安定性が低下するおそれがあり、多すぎると撥水撥油 性能の耐久性が低下することや力卩ェ浴相溶性の低下、染色堅牢度を損ねるおそれ がある。ただし、重合体を構成するモノマ (b)として自己乳化性のあるモノマを含んで レ、る場合には、界面活性剤の量を減らしてもよい。
[0060] ノニオン性界面活性剤 (dn)としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、 ンモノアルケニルエーテル、またはポリオキシアルキレンモノアルキルポリェニルエー テル、ポリオキシエチレンモノ(置換フエニル)エーテルの縮合物、ポリオキシエチレン モノ(置換フエニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシアルキレン、アルキルァ ミンポリオキシエチレン、アルキルアミドポリオキシエチレン、アルキルアミンォキシド、 アルカン(C — C )チオール、エチレンォキシドとアルキル(C — C )ァミンとの縮
12 18 12 18
合生成物、エチレンォキシドとォレイン酸との縮合生成物、エチレンォキシドとソルビ タンモノ脂肪酸 (C C )との縮合生成物等が挙げられる。
7 18
[0061] ノニオン界面活性剤 (dn)の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、 ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンォクチルエーテル、ポリオ キシエチレンへキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンォクチルフエニルエーテル
、ポリオキシエチレンイソォクチルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンへキシルフ ェニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシ プロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシェチ レンォレイルエーテル、ポリオキシエチレンノユルフェニルエーテル、ポリオキシェチ レンォクチルフエ二ルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシェチレ ンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノォレエート、ソルビタンモノラウレート、ソル ビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソル ビタンモノォレエート、ソルビタンセスキォレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキ ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノォレ
エート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリグリセリン脂肪 酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名: SH3746、 SH3748、 SH3 749、 SH3771 (東レ'ダウコーユング 'シリコーン(株)製))、パーフルォロアルキルェ チレンォキシド付加物 (商品名:ュニダイン DS— 401、 DS— 403(ダイキン工業 (株)製 )、フルォロアルキルエチレンォキシド付加物 (商品名:ュニダイン DS_406(ダイキン 工業 (株)製)、パーフルォロアルキルオリゴマー (商品名:ュニダイン DS— 451 (ダイキ ン工業 (株))等を挙げることができる。
[0062] カチオン性界面活性剤 (dc)としては、置換アンモニゥム塩からなるカチオン性界面 活性剤を用いるのが好ましい。置換アンモニゥム塩からなるカチオン性界面活性剤と しては、アンモニゥム塩の窒素原子に結合する水素原子の 1個以上が、アルキル基、 アルケニル基、または末端が水酸基であるポリオキシアルキレン基に置換された化合 物からなるカチオン性界面活性剤が好ましぐたとえば、モノ(長鎖アルキル)アミン塩 酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルァミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルァミン 酢酸塩、モノ(長鎖ァルケニル)ジメチルァミン塩酸塩、ジ(長鎖アルキル)モノメチル ァミン塩酸塩等のアミン塩ゃモノ(長鎖アルキル)トリメチルアンモニゥムクロリド、ジ( 長鎖アルキル)ジメチルアンモニゥムクロリド、モノ(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリ ォキシエチレン)アンモニゥムクロリド、ジ(長鎖アルキル)モノメチルモノ(ポリオキシェ チレン)アンモニゥムクロリド、モノ(長鎖アルキル)ジベンジルドデシルジ(ヒドロポリオ キシエチレン)アンモニゥムクロライド、メチルァミン'ェチル硫酸塩等の第 4級アンモ ニゥム塩が挙げられる。対イオンとしては、塩素イオン、ェチル硫酸イオン、または酢 酸イオンが好ましい。長鎖アルキルおよび長鎖アルケニルの炭素数は、 8〜50、例え ば 12〜22であってよレヽ。
[0063] カチオン界面活性剤 (dc)の具体例としては、ジメチルモノココナッツァミン酢酸塩、 テトラデシルァミン酢酸塩、ォクタデシルァミン酢酸塩、牛脂アルキルプロピレンジアミ ン酢酸塩、 N- [2- (ジェチルァミノ)ェチル]ォレアミド塩酸塩、ォクタデシルトリメチ ルアンモニゥムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニゥムアセテート、トリメチルテトラ デシルアンモニゥムクロリド、へキサデシルトリメチルアンモニゥムクロライド、トリメチル ォクタデシルアンモニゥムクロリド、ベへニルトリメチルアンモニゥムクロライド、 (ドデシ
ニゥムクロライド、ベンジルテトラデシルジメチルアンモニゥムクロライド、ベンジルオタ タデシルジメチルアンモニゥムクロライド、ビフヱニルトリメチルアンモニゥムクロライド、 ォクタデシルジメチルベンジルアンモニゥムクロライド、ォクタデシルジメチルモノェチ ルアンモニゥム硫酸塩、メチルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニゥムクロ ムクロライド、ジォレイルジメチルアンモニゥムクロライド、アルキル(牛脂)ジメチルべ ンジルアンモニゥムクロライド、アルキル(牛脂)トリメチルアンモニゥムクロライド、テト ラデシルメチルベンジルアンモニゥムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチ ルアンモニゥムクロライド、ポリオキシエチレンラウリルモノメチルアンモニゥムクロライ ド、アルキル (牛脂)イミダゾリン 4級塩、 1ーヒドロキシェチルー 2—アルキル(牛脂)ィ ミダゾリン 4級塩、疎水基としてシロキサン基を有するシリコーン系カチオン界面活性 剤、疎水基としてフルォロアルキル基を有するフッ素系カチオン界面活性剤(商品名 :ュニダイン DS— 202(ダイキン工業 (株)製))等が挙げられ、その中でも特にォクタデ シルトリメチルアンモニゥムクロリド、ォクタデシルジメチルモノェチルアンモニゥム硫 酸塩、モノ(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリエチレングリコール)アンモニゥムクロリド 、ジ (牛脂アルキル)ジメチルアンモニゥムクロリド、ジメチルモノココナッツァミン酢酸 塩等が好ましい。
[0064] 両性界面活性剤(db)を含む場合には、ァラニン類、イミダゾリニゥムベタイン類、了 ミドベタイン類、または酢酸べタイン等からなる両性界面活性剤(db)が好ましい。両 性界面活性剤(db)の具体例としては、ドデシルベタイン、ォクタデシルべタイン、ドデ シルカルボキシメチルヒドロキシェチルイミダゾリニゥムベタイン、ドデシルジメチルアミ ノ酢酸べタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルァミノ酢酸べタイン等が挙げられる。
[0065] ァニオン界面活性剤 (da)の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ト リエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシェ チレンノユルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫 酸トリエタノールァミン、ココイルサルコシンナトリウム、ナトリウム N—ココイルメチルタ ゥリン、ポリオキシエチレンヤシアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ジエーテルへキシ
ルスルホコハク酸ナトリウム、 ひ一ォレフインスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリ ゥム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、パーフルォロアルキル力 ルボン酸塩 (商品名ュニダイン DS— 101、 102 (ダイキン工業 (株)製) )等を挙げるこ とがでさる。
[0066] 本発明の撥水撥油剤組成物は、ポリマ (A)とポリマ(B)以外に媒体としての有機溶 媒または水系媒体 (C)を含むことができる。水系媒体 (C)は前述の乳化重合用媒体 と同様のものを用いることができる。ポリマ (A)とポリマ(B)が乳化重合など水系媒体( C)中で製造された場合は重合に用いた媒体をそのまま用いることができるが、重合 後に水または水溶性有機溶媒(c)の片方または両者を追加しても良ぐこの場合に 使用される水溶性有機溶媒 (c)は重合時に用レヽられたものと同じであつても異なって いても部分的に異なっていてもよレ、。また、ポリマ (A)とポリマ(B)またはその溶液を 界面活性剤 (D)とともに水系媒体 (C)に分散、乳化して撥水撥油剤組成物としてもよ レ、。この場合、前述の乳化重合と同様の界面活性剤(D)を用いることができる。また 、乳化重合で得られた水系分散体に界面活性剤 (D)を追加することも可能である。 水系媒体 (C)の含有量は、撥水撥油剤組成物に対して、 40〜98質量%が好ましく 、 70〜90質量%がより好ましい。
[0067] 本発明に用いられる短鎖の Rf基を有するモノマは、結晶性 RF基含有モノマに比べ フッ素を含まない他のモノマとの相溶性が一般的に高いため、乳化重合において水 溶性有機溶媒 (c)の量が少なくても均質なポリマを得られやすぐ水溶性有機溶媒 (c )を全く含まないために、揮発性有機物による環境負荷が少ない撥水撥油剤組成物 を得ることも可能である。
[0068] 水系媒体(C)を用いる場合、ポリマ (A)及びポリマ(B)は、媒体中で微粒子として 分散して存在することが好ましい。通常、微粒子の平均粒子径は 10〜: !OOOnmであ る力 10〜300nm力 S好ましく、特に好ましい粒子径の範囲は 10〜200nmである。 粒子径が小さすぎる場合は、安定な分散液を得るために多量の乳化剤または自己 乳化性のあるモノマが必要となり、撥水撥油性能が低下したり、染色された布帛類に 処理した場合に色落ちが発生したりする恐れがある。また、粒子径が大きすぎる場合 は、媒体中で分散粒子が安定して存在することが困難になり、沈降するおそれがある
ために好ましくない。本発明において、平均粒子径は、動的光散乱装置、電子顕微 鏡等により測定することができる。
[0069] 本発明の撥水撥油剤組成物において、ポリマ (A)とポリマ(B)は、同一の粒子内に 存在していても、同一の粒子内に存在せず、それぞれ別々の粒子を形成してもよぐ その中間的なものであってもよい。ポリマ (A)とポリマ(B)が同一の粒子内に存在せ ず、それぞれ別々の粒子を形成している撥水撥油剤組成物を得るには、たとえば、 ポリマ (A)とポリマ(B)を得るためにそれぞれについて別々に重合反応を行って、異 なる種類のポリマ粒子からなる複数の分散体を得た後、それぞれの分散体を混合し て調製する手法が好ましく用いられる。また、ポリマ (A)とポリマ(B)が同一の粒子内 に存在している撥水撥油剤組成物を得るには、ポリマ (A)の乳化分散体にポリマ(B) を重合するためのモノマを一括、または数段階に分割して加え、次に重合開始剤を 加えて重合をおこなう、いわゆるシード重合等の多段階重合をおこなう方法、または、 ポリマ(B)の乳化分散体にポリマ (A)を重合するためのモノマ及び開始剤等をカロえ てシード重合等の多段階重合をおこなう方法等によって可能である。ポリマ (A)とポリ マ(B)が同一の粒子内に存在する場合、その相構造についての制限はなぐ均質な 構造をとつていてもよいし、いわゆるコア シェル型層分離構造、海一島型相分離構 造、スピノーダル型相分離構造等の相分離構造を自由にとることができる。
[0070] 本発明の撥剤撥油組成物は、熱硬化剤(F)を含んでいてもよい。熱硬化剤(F)とし ては、ブロック化イソシァネートイ匕合物(f1)、ァミノ樹脂化合物(f2)、架橋性モノマを 必須重合単位とする含フッ素モノマを含まないポリマ (f3)、ウレタン樹脂化合物等が 挙げられる。ブロック化イソシァネートイ匕合物(f およびァミノ樹脂化合物(f2)が好ま しい。
[0071] ここで、ブロック化イソシァネートイ匕合物(f1)は、重合性不飽和基を有しない化合物 であり、前述のポリイソシァネート類(b3)のイソシァネート基を前述のブロック化剤(b4 )で完全にブロックした構造の化合物が好ましい。また、架橋性モノマを必須重合単 位とする含フッ素モノマを含まなレ、ポリマ(f3)を構成するモノマとしては、アクリルアミ ド類縁体 (b1)またはブロック化イソシァネート基含有アタリレート類縁体 (b2)が好まし く、特に N—メチロールアクリルアミド、 2—イソシァネートェチルメタタリレートのブロッ
ク化体が好ましい。
[0072] ァミノ樹脂化合物 (f 2)は、アミノ基含有化合物とァミノ基と反応性の基を有する化合 物とを付加縮合させた化合物であり、メラミン、グアナミン、または尿素等と、アルコー ル類、アミン類、ホルムアルデヒドとの付加縮合物および、メラミン、グアナミン、尿素 等とホルムアルデヒドとの付加縮合物に、アルコール類、アミン類をさらに付加縮合し た化合物、または、これらの誘導体が挙げられる。ァミノ樹脂化合物 (f2)の具体例とし ては、尿素樹脂;ブチル化尿素樹脂等のアルキル化尿素樹脂;トリメチロールメラミン 、へキサメチロールメラミン等のメラミン樹脂;メチル化メラミン樹脂、 n—ブチル化メラミ ン樹脂、メチル化 n ブチル化メラミン樹脂、 i-ブチル化メラミン樹脂等のアルキル ィ匕メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂; n ブチル化べンゾグアナミン樹脂、 i プチ ルイ匕べンゾグアナミン樹脂、メチル化 n プチルイ匕べンゾグアナミン樹脂等のアルキ ルイ匕べンゾグアナミン樹脂;プチルイ匕尿素メラミン樹脂;ァセトグアナミン樹脂等が挙 げられる。
[0073] また、本発明におけるァミノ樹脂化合物 (f2)は、常温状態で実質的に水に可溶であ るものが好ましい。このようなアミノ榭脂化合物(f2)のなかには市販されているものが 数多くあり、たとえば、住友化学社製 (たとえば商品名スミテックスレジン)、大日本ィ ンキ社製、三井化学社製等のものが入手可能である。熱硬化剤(F)の量は、ポリマ( A) +ポリマ(B) 100質量部に対して、 5〜: 100質量部が好まし 特に 5〜70質量部 とすることが好ましい。
[0074] 本発明の撥水撥油剤組成物には、プレンダーゃ増量剤として、または被処理物品 に種々の物性を発現させるため、ポリマ (A)、ポリマ (B)、及び前述の高分子熱硬化 剤(f2、 f3)以外のポリマ (G)を配合することができる。他のポリマ (G)は、非フッ素ポリ マであってよい。他のポリマ(G)は水溶性ポリマやオルガノポリシロキサン類などの Rf 基を含まないポリマである。水溶性ポリマとしてはポリアクリルアミド、ポリビュルアルコ ールおよびそれらの誘導体が挙げられる。
[0075] オルガノポリシロキサン類としては、シリコーン系撥水剤に代表されるメチルノヽイド口 ジエンポリシロキサン、末端 OH基封鎖ジメチルポリシロキサン、ビュル基含有ポリシ口 キサンや、シリコーン柔軟剤に代表される側鎖にアミノ基、エポキシ基、ポリエーテル
基、カルボキシル基、水酸基、トリフロロアルキル基、アルコールエステル基、アルキ ル基等を導入して変性させた各種の変性シリコーンオイル等がある。また、シリコーン デイスパージヨンは重合初期状態にあるシリコーン樹脂やシリコーンゴムを溶剤に溶 解したもので、加熱すると縮合をおこして三次元網状構造の皮膜を形成するものであ る。本発明では以上に挙げたものに限らず各種のオノレガノポリシロキサンを使用する ことが出来る。これらのオノレガノポリシロキサンには、多くの種類の市販品がある。巿 販品の ί列としては、 SH200, PRX413, SH8011, SD8000 (東レ'タ、、ゥコーユング' シリコーン社製品名)、 KP— 801M、 KPN— 3504 (信越化学工業社製品名)等が 例示できる。ポリマ(G)の量、例えばオルガノポリシロキサンの量としては、本発明の 撥水撥油剤組成物に対して、約 0. 05〜約 10質量%、好ましくは約 0.5〜5質量% 程度が好ましい。
本発明における撥水撥油剤組成物は必要に応じて消泡剤を含有する。特に界面 活性剤を含有させることにより泡立ちが大きくなることが懸念される場合は、消泡剤を 含有させる必要がある。消泡剤としては、各種水性用のものが使用でき、たとえば、メ タノール、エタノール、ブタノール等の如き低級アルコール;ァミルアルコール、ポリプ ロピレンダリコール及びその誘導体等の如き高級アルコール;ォレイン酸、トール油、 ミネラルオイル、石鹼等の如き油脂;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコー ル脂肪酸エステル、プノレロニック型ノニオン界面活性剤等の如き界面活性剤;シロキ サン、シリコーン樹脂等の如きシリコーン系界面活性剤が挙げられ、単独あるいは、 併用して使用される。代表的な消泡剤の市販品としては、アデ力ネート B、アデカネ ート B1068等の B—シリーズ(旭電化工業社製);フォーマスター DL、ノプコ NXZ、 S Nデフォーマー 113, 325, 308, 368等の SNデフォーマーシリーズ;デヒドラン 129 3、デヒドラン 1513〔サンノプコ(株)製〕;フロノン SB_ 110N、 SB_ 210、 510、 551 、アクアレン 800、 805、アクアレン 1488〔共栄社化学(株)製〕;サーフィノール 104E (エアプロダクト &ケミカル社製アセチレン系消泡剤); KS— 607A〔信越化学社 (株) 製〕; FSアンチフォーム(ダウコーユング社製); BYK_020、 031、 073、 W (ビッグ ケミ一社製);デヒドラン 981 (ヘンケノレ白水社製);ェパン一 410、 710、 720〔第一ェ 業製薬 (株)製〕; Tego Foamexシリーズ (テゴ 'ゴールドシュミット社製);フォームレツ
タス— 747、 TY_ 10、 ΕΡシリーズ(日華化学社製)等が挙げられる。消泡剤の含有 量は、撥水撥油剤組成物(例えば水性樹脂エマルシヨン)に対して、 0. 01〜: 10質量 %が好ましぐ 0. 05〜5質量%が特に好ましい。
[0077] また、重合体を溶解、膨潤または軟化させ、少量の熱量で重合体を造膜させる作 用があると考えられる化合物、いわゆる造膜助剤を使用してもよい。造膜助剤として は、一般に使用されるアルコール類、グリコールエーテル類、直鎖状または環状シリ コーン類、エステル類、ジエステル類、ケトン類、エーテル類から選ばれる 1種または 2種以上の化合物を制限なく用いることができる。これらの化合物は分子内にフッ素 原子を含んでいてもよい。具体的な造膜助剤の例としては、酢酸メチル、酢酸ェチル 、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、 1ーメトキシー 2—プロパ ノール、酢酸ジエチレングリコールモノェチルエーテル、アジピン酸ジー η—ブチル、 ブチルカルビトールアセテート、オタタメチルトリシロキサン、デカメチルシクロペンタン シロキサン、フタル酸ジメチル、コハク酸ジェチル等を挙げることができる。通常、造 膜助剤の使用量は重合体 100質量部当たり、 0.:!〜 70質量部の範囲であり、特に 5 〜60質量部が好ましい。また、これらの化合物を乳化重合時に水系媒体 (C)とともに 用いることによって、組成分布の少ない均質な共重合体を得ることもできる。
[0078] さらに、必要に応じて他の添加成分を配合することができる。たとえば、他の撥水剤 や撥油剤、スティンブロッカー、柔軟剤、架橋を促進させる触媒、風合い調節剤、浸 透剤、防虫剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、つや出し剤、防皺剤、吸水剤、防縮 剤、染料、顔料、染料安定剤、酸化防止剤、除酸剤、 ΡΗ調整剤等を適宜添加併用 することが可能である。
[0079] ただし、ポリマ (Α)および (Β)の合計量に対して撥水撥油剤組成物中に含まれる不 揮発性成分の量が多すぎると撥水撥油剤としての十分な性能を阻害するおそれがあ る。したがって、本発明における撥水撥油剤組成物においてポリマ (Α)およびポリマ (Β)の合計量は全固形分の 50質量%以上、好ましくは 75質量%以上である。
[0080] 本発明の撥水撥油剤組成物は、 目的や用途等に応じて任意の濃度に希釈し、被 処理物品の種類や組成物の調製形態等に応じて、任意の方法で被処理物品に適 用される。たとえば、浸漬、塗布、吹きつけ、パッデイング、ロール被覆、スピンコーテ
イングあるいはこれらの方法の組み合わせによって被処理物品の表面に付着させ乾 燥する方法が採用される。物品への加工方法としては、物品をポリマ (A)とポリマ(B) とを含む撥水撥油剤処理液に浸漬する方法が好ましいが、ポリマ(B)を含みポリマ( A)を含まなレ、組成物に物品を浸漬した後、ポリマ (A)を含みポリマ(B)を含まなレ、撥 水撥油剤処理液に浸漬する方法やポリマ (A)を含みポリマ (B)を含まなレ、撥水撥油 剤処理液に物品を浸漬した後、ポリマ (B)を含みポリマ (A)を含まなレ、撥水撥油剤 処理液に浸漬する方法も好ましい。繊維製品を処理する場合、ポリマ (A)とポリマ(B )の合計量が 0. 01〜: 10質量%、好ましくは 0.:!〜 3質量%になるように調製された 処理液に浸漬させた後、ロール等で過剰の処理液を除き、乾燥することにより処理す る方法が効果的である。 0. 01〜: 10質量%とすることによって、繊維の確実な被覆お よび結合が可能であり、性能付与が十分となり、繊維の風合いも良好である。また必 要ならば適当な架橋剤とともに適用し、キュアリングをおこなってもよい。この他にも、 ポリプロピレン、ナイロン等と混合して成型、繊維化することにより、それらに撥水撥油 性を付与することも可能である。
本発明の撥水撥油剤組成物で処理される物品としては、特に限定はなぐ繊維、繊 維織物、繊維編み物、不織布等の繊維製品、ガラス、石膏、石綿、レンガ、セメント、 コンクリート等の窯業製品、毛皮等の皮革製品、木、紙、パルプ製品、金属及びその 酸化物、石材、樹脂、塗面及びプラスター等が挙げられる。本発明の撥水撥油剤組 成物を用いて処理された物品は、優れた撥水性と撥油性を兼ね備え、その耐久性に も優れる。これら物品の用途としては、スポーツウエア、コート、ブルゾン、手術着、作 業服、ユニフォーム等の衣料物品、防塵マスク、靴、鞫、傘、力一^ iット、カーテン、 壁紙、テント、建築材料、濾過材料、エレクトロニクスまたは光学系の部品や素子等 力 S挙げられる。特に繊維製品に処理した場合、皮膜が柔軟であるために、風合いを 損なうことなく耐洗濯性に優れた高品位な撥水撥油機能が付与された布帛類を得る ことが可能であるため、本発明の撥水撥油剤組成物は繊維製品の処理に適している 。繊維製品の例としては、綿、麻、羊毛、絹等の動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリ エステル、ポリビュルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩ィ匕ビュル、ポリプロピレン 等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ァス
ベスト繊維等の無機繊維、またはこれらの混紡繊維が好ましく挙げられ、繊維、糸、 布帛、不織布等、いずれの形態であってもよい。
実施例
[0082] 以下に重合例(1〜7)、実施例(1〜6)及び比較例(1〜10)をもって本発明をさら に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでないことはいう までもない。なお、実施例及び比較例における各種評価は以下に示す方法及び基 準にしたがって実施した。なお、表においてモノマ名の後の符号(a1) , (a2)、(b)は 前記したモノマ(a1)、 (a2)、 (b)のどの範疇のモノマであるかを表す。
[0083] [撥水性の評価]
撥水性は JIS— L— 1092のスプレー法による撥水度(下記表 1参照)をもって示した
[0084] [表 1]
[0085] [撥油性の評価]
撥油性は AATCC _TM118 - 1966に従レ、、下記表 2に示す試験溶液を試験布 上、 2箇所に数滴たらし、 30秒後の浸透状態を観察し、浸漬を示さない試験溶液が 与える撥油性の最高点を撥油性ナンパとして示した。
[0086] [表 2]
表面張力
撥油性
試験溶液 mN/Ίη
ナンパ
(25°C)
8 n—ヘプタン 20. 0
7 n—オクタン 21. 8
6 π—丁カン
5 π—ドデカン 25. 0
4 n— r フ丁カン 6. フ
3 π—へキサデカン 27. 3
ヌジヨール 65咅 13
2 /へキサデカン 35部 29, 6
1 ヌジヨール ¾J 1 , £^
0 1におよばないもの
[0087] 重合例 1
温度計、冷却管、攪拌翼を備えた 200mLガラス製四つ口反応器に(CF CF CH
3 2 2
〇COC(CH )=CH )を 16.7g、酢酸ェチル 100mlを仕込み、窒素置換をおこな
3 2
つた。窒素雰囲気下 60°Cに昇温し、 t_ブチルペルォキシピバレート(日本油脂製パ 一ブチル PV)1.63gをカ卩え、反応液の温度を 60°Cに保ったまま 5時間攪拌を続け た。反応液を冷却後、メタノール 300mLに注ぎ、沈殿物をろ過、 60°Cにて 1晚真空 乾燥し、ポリマ(ポリマ P1) 13.7gを得た。得られたポリマの Tは 77°Cであった。
g
[0088] 重合例 2〜7
重合例 2〜7では、重合例 1と同様にして、以下の表 3に示すモノマ組成で重合を おこない、それぞれポリマ P2〜P7を得た。
[0089] [表 3]
重合組成(質量 ¾)
ポリ
例 5F A(a1 HFIP-MA(a1 9FMA(a2 6FOMA1(a2 t A(
マ
) ) ) ) b)
重合例
1 P1 100
重合例
2 P2 100
重合例
3 P3 70 30
重合例
4 P4 100
重合例
5 P5 100
重合例
6 P6 70 30
重合例
フ Pフ 85 15
[0090] 表 3における略号は以下の意味を表す。
5FMA:CF CF CH OCOC(CH ) =CH (T :77°C)
3 2 2 3 2 g
HFIP-MA: (CF ) CHOCOC(CH )=CH (T :91°C)
3 2 3 2 g
9FMA:F(CF ) (CH ) OCOC(CH ) =CH (T :37。C)
2 4 2 2 3 2 g
6FOMAl:CF CF CF OCFCF CF OCFCF CH OCOC (CH )=CH (T:-
3 2 2 3 2 3 2 3 2 g
34°C)
StA:ステアリルアタリレート
[0091] 実施例:!〜 6および比較例:!〜 10
上記の方法で得られたポリマ P1〜P7を表 4に示す割合 (質量%)で混合し、フッ素 系溶剤 HCFC— 225の 1質量%溶液として処理液を調製した。ナイロンタフタ布(力 ネボウ製ナチュレーヌ、ナイロン 6、紺色染色布)を処理液に浸漬し、遠心分離機にて 500rpmで 18秒処理し、室温で 1晚風乾した後、 150°Cで 5分間熱処理した後の処 理布の撥水撥油性を評価した。結果を表 5に示す。なお、表中の +印は、それぞれ に示された性能よりわずかに良好であることを示す。
[0092] [表 4]
混合ポリマ組成(質量%) 例
P1 P2 P 3 P4 P5 P6 P7 実施例 1 85 15 実施例 2 85 15 実施例 3 85 15 実施例 4 50 50
実施例 5 70 30
実施例 6 85 15
10
比較例 1 0
10
比較倒 2 0
10 比較例 3 0
10
比較例 4 0
10 比較例 5 0
10 比較倒 6 0
1 0 比較倒 7 0 比較例 8 50 50
比較例 9 50 50
比較例 1
0 50 50 表 5]
例 撥水性 撥油性 実施例 1 90 + 2
実施例 2 90 2
実施例 3 90 + 2
実施例 4 90 + 4
実施例 5 90 + 3
実施例 6 1 00 2
比較例 1 90 + 1
比較例 2 90 0
比較例 3 80 + 0
比較例 4 90 4
比較例 5 50 0
比較例 6 80 + 2
比較例 7 90 1
比較例 8 80 + 0
比較例 9 80十 0
比較例 1 0 80 + 2