明 細 書
HLA_ Al 1拘束性 Tax抗腫瘍ェピトープ
技術分野
[0001] 本発明は、成人 T細胞白血病 (ATL)等のヒト T細胞白血病ウィルス I型 (HTLV— I )腫瘍に対して抗腫瘍効果を有する細胞傷害活性 T細胞 (CTL)を誘導することがで きる HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドや、該ペプチドをコードする DNAや、 これらを利用した免疫応答誘導用ワクチン並びに免疫機能検査診断薬等に関する。 背景技術
[0002] 成人 T細胞白血病 (ATL)はヒト T細胞白血病ウィルス I型 (HTLV— I)感染者の約 5%が発症する T細胞悪性腫瘍であり、主に CD4+及び CD25+成熟 Tリンパ球表現 型をもつこと、中年又はそれ以降の発症、免疫抑制、及び予後が悪いことを特徴とし ている(例えば、非特許文献 1、 2参照。;)。 ATLに対して化学療法を併用した臨床使 用により 4年生存率は 8〜12%に高まったものの、白血病の他のタイプと比べると依 然として低率である(例えば、非特許文献 3、 4参照。;)。最近になって、造血幹細胞 移植 (HSCT)がー部の ATL患者に適用されるようになってきた。自己 HSCTの初期 の研究は ATL再発が頻繁に起きることを明らかにした (例えば、非特許文献 5参照。 )。し力しながら、より最近の報告によると、移植片対宿主病 (GVHD)の危険性は同 様にあるものの、同種 HSCTの方がより良い結果を生じうることが明らかになった (例 えば、非特許文献 6参照。 )0以上の報告は、他のタイプの白血病で観察されたように 、レシピエントに対するドナーの細胞性免疫応答、つまり移植片対白血病(GVL)効 果が ATL細胞根絶に貢献することを強く示唆している。
[0003] ヒト白血球抗原 (HLA)がー致する同胞から受けた同種 HSCTはある程度の GVH Dを起こすことが示され、レシピエントのマイナー組織適合抗原(mHA)が GVHDの 標的抗原と考えられてきた (例えば、非特許文献 7参照。 )0男性特異的 H— Y移植 抗原 (例えば、非特許文献 8参照。)、 HA—1抗原 (例えば、非特許文献 9参照。)、 CD31分子 (例えば、非特許文献 10、 11参照。)、及びヒト血小板抗原 (HPA) (例え ば、非特許文献 11、 12参照。)を含むいくつかの mHAが GVHDに関与すると示唆
されてきた。同種 HSCT後の白血病再発の可能性は、移植片から T細胞を除去した 場合又はドナーが遺伝学的に一卵性双生児の場合に増加することが知られており、 GVL効果が白血病再発を防ぐ為に重要であることを示して 、る(例えば、非特許文 献 13参照。 )0従って、レシピエントの非造血細胞にではなく造血細胞において発現 する mHA特異的なドナー T細胞応答を増加することが、 GVHDを引き起こさずに G VL効果を誘導できる戦略の一つとして提案されてきた (例えば、非特許文献 14参照 。;)。腫瘍細胞特異的又は腫瘍細胞において過剰発現する bcrZabl融合タンパク質 及び WT— 1等の腫瘍抗原もまた、 GVL効果の標的抗原の候補である(例えば、非 特許文献 15、 16参照。)。
[0004] HTLV-Iに対する宿主細胞性免疫応答、特に細胞傷害性 T細胞の増殖は、無症 候性 HLTV— 1キャリア及び HTLV I随伴脊髄症 Z熱帯性痙性対麻痺 (HAM/ TSP)患者の PBMC培養液からは頻繁に見い出される力 ATL患者から見 、出さ れることは稀である(例えば、非特許文献 17、 18参照。 ) 0 env、 gag, pol、 pX遺伝子 産物等の HTLV— I抗原のうち、 pX遺伝子産物である Taxが HTLV— I特異的な細 胞傷害性リンパ球 (CTL)の優位な標的抗原であることが知られて ヽる (例えば、非特 許文献 19、 20参照。 ) 0 Taxはまた、細胞成長を促進しアポトーシスを抑制すること によって HTLV— Iの白血病化における重要な役割を果たしていることも知られてい る(例えば、非特許文献 21、 22参照。 )0以上の発見から Tax特異的 CTLが HTLV I感染細胞の白血病化の免疫的監視の役割を果たしうることが示唆されている。
[0005] 本発明者らは以前にヒト HLA— A2に拘束される CTLの主要ェピトープを既に見 い出している(例えば、非特許文献 23参照。)が、 HLA—A2は日本人の 30〜40% のみに陽性である。また、最近樹立した HTLV— I感染 T細胞リンパ腫瘍のモデル動 物にお 、て、本発明者らはインビボでの Tax特異的 CTLの抗腫瘍効果を明らかにし た (例えば、特許文献 1、非特許文献 24、 25参照。 ) 0このモデルにおいては、 Tax をコードする DNA又は CTLェピトープに対応するペプチドのいずれかを用いたワク チン接種を受けた同系免疫担当ラットから新鮮な T細胞を移植することにより、同系 H TLV— I感染細胞を接種したヌードラットにおける無処置では致命的となる T細胞リン パ腫が根治し得た (例えば、非特許文献 26、 27参照。 )0し力しながら、末梢血での
ヒト ATL細胞における HTLV— I発現は非常に低いので、実験動物における上記の 観察がヒトに適用できるかどうかは不明である(例えば、非特許文献 28〜30参照。) 特許文献 1:特開 2002— 372532号公報
非特許文献 1: Int. J. Cancer 45, 237-243, 1990; Blood 50, 481-492, 1977 非特許文献 2:Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 6476-6480, 1981
非特許文献 3: J. Clin. Oncol 6, 128-141, 1988
非特許文献 4: J. Clin. Onco 6, 1088-1097, 1988
非特許文献 5: Bone Marrow Transplant 23, 87-89, 1999
非特許文献 6: Bone Marrow Transplant 27, 15-20, 2001
非特許文献 7: N. Engl. J. Med.334, 281-285, 1996
非特許文献 8: Science 269, 1588-1590, 1995
非特許文献 9: Science 279, 1054-1057, 1998
非特許文献 10: N. Engl. J. Med.334, 286-291, 1996
非特許文献 11: Br. J. Haematol 106, 723-729, 1999
非特許文献 12: Blood 92, 2169-2176, 1998
非特許文献 13: Blood 75, 552-562, 1990
非特許文献 14: Blood 93, 2336-2341, 1999
非特許文献 15: Blood 95, 1781-1787, 2000
非特許文献 16: Blood 96, 1480-1489, 2000
非特許文献 17: Leukemia 8 Suppl 1, S54- 59, 1994
非特許文献 18: J. Immunol.133, 1037-1041, 1984
非特許文献 19: Nature 348, 245-248, 1990
非特許文献 20: Int. Immunol.3, 761-767, 1991
非特許文献 21: Lancet 1, 1085-1086, 1987
非特許文献 22: J. Virol.73, 7981-7987, 1999
非特許文献 23: J. Virol.66, 2928-2933, 1992
非特許文献 24: J. Virol.74, 428-435, 2000
非特許文献 25 : J. Virol. 73, 6031-6040, 1999
非特許文献 26 : J. Virol. 74, 9610-9616, 2000;
非特許文献 27 : J. Natl. Cancer Inst. 93, 1775-1783, 2001
非特許文献 28 : Gann 73, 341-344, 1982
非特許文献 29 : Int. J. Cancer 54, 582-588, 1993
非特許文献 30 : Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 5620-5624, 1989
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] ATLは、日本に多くの保有率を持つ HTLV— Iの感染によって引き起こされる腫瘍 性疾患であるが、化学療法剤に抵抗性であるため、極めて予後の悪い悪性腫瘍とさ れてきた。種々の臨床的観察や動物実験結果から、宿主細胞性免疫、特に CTLの 抗腫瘍効果が示唆されている力 CTLの主要な標的抗原である HTLV—I Tax〖こ は腫瘍ィ匕促進機能があることが分力 ている。従って、より特異的で安全性の高いヮ クチン開発のためには、 CTL認識ェピトープを特定する必要がある。しかし、ヒト AT L患者にお 、て抗腫瘍効果を持つ CTLェピトープは特定されて 、な力つた。本発明 の課題は、 ATL等の HTLV-I腫瘍に対して抗腫瘍効果を有する CTLを誘導するこ とができる HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドや、該ペプチドをコードする DN Aや、これらを利用した免疫応答誘導用ワクチン並びに抗腫瘍免疫能検査診断薬等 を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは、 HSCT前の ATL患者に由来する HTLV— I感染 T細胞に対する、 HSCT後の同じ患者の細胞性免疫応答を調査した。これらの HTLV— I感染細胞は GVL効果の標的を含む、レシピエント由来の抗原を所有すると考えられていた。本 発明者らは HSCT後の PBMCが実際にレシピエント由来細胞に応答することを見い 出した。し力しながら、応答細胞の大部分は HTLV— I抗原、特に限られた数の Tax ェピトープに強く反応した。以上の観察力も移植片対 HTLV— I応答が HSCT後の ATL患者に生じたことが明らカゝとなった。かかる研究の過程で、 HLA—A11に拘束 される 2つの CTLの主要ェピトープを見い出し、本発明を完成するに至った。
[0009] すなわち本発明は、(1)配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列力 なる HTLV I特異的 CTL誘導活性ペプチドや、(2)配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列 において、 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列か らなる HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドや、(3)上記(1)又は(2)記載の HT LV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドと、マーカータンパク質及び Z又はペプチドタ グとを結合させた融合ペプチドや、(4) HLA— Al 1と上記(1)又は(2)記載の HTL V— I特異的 CTL誘導活性ペプチドとが結合したタンパクーペプチド結合体や、(5) HLA— Al 1と上記(1)又は(2)記載の HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドと が結合したタンパク ペプチド結合体の 4量体や、 (6)上記 (4)記載のタンパク ぺ プチド結合体又は請求項 5記載のタンパクーペプチド結合体の 4量体と、マーカータ ンパク質及び Z又はペプチドタグとを結合させた融合タンパク質や、(7)以下の(a) 又は(b)のペプチドをコードする DNA。
(a)配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列力 なる HTLV— I特異的 CTL誘導活 性ペプチド
(b)配列番号 3又は 4のいずれかに示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個の アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列力もなる HTLV-I特異的 CT L誘導活性ペプチドや、(8)配列番号 7又は 8に示される塩基配列若しくはその相補 的配列からなる DNAや、(9)上記 8記載の DNAとストリンジェントな条件下でハイブ リダィズし、かつ HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドをコードする DNAに関す る。
[0010] また本発明は、(10)配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列を有する HTLV— I 特異的 CTL誘導活性ペプチドからなる HLA— Al 1拘束性 Taxェピトープゃ、(11) 配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列からなる HTLV— I特異的 CTL誘導活性べ プチドを有効成分として含有する免疫応答誘導用ワクチンや、 (12)配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付 加されたアミノ酸配列からなる HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドを有効成分と して含有する免疫応答誘導用ワクチンや、 (13)上記(7)〜(9)の 、ずれか記載の D NAを発現させることができるベクターを有効成分として含有する免疫応答誘導用ヮ
クチンや、(14)さらに、 HTLV— I特異的 CTL誘導活性を増強するアジュバントが含 まれている、上記(8)〜(10)のいずれか記載の免疫応答誘導用ワクチンや、(15) 上記(11)〜(14)の 、ずれか記載の免疫応答誘導用ワクチンを有効成分として含有 する医薬組成物や、 (16)配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列力 なる HTLV I特異的 CTL誘導活性ペプチドを有効成分として含有する免疫機能検査診断薬 や、(17)配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個のァミノ 酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列カゝらなる HTLV— I特異的 CTL誘導 活性ペプチドを有効成分として含有する免疫機能検査診断薬に関する。
さらに本発明は、(18)上記(7)〜(9)のいずれか記載の DNAを発現させることが できるベクターを有効成分として含有する免疫機能検査診断薬や、 (19) HLA-A1 1と上記(1)又は(2)記載の HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドとが結合したタ ンパクーペプチド結合体を有効成分として含有する免疫機能検査診断薬や、 (20) HLA— Al 1と上記(1)又は(2)記載の HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドと が結合したタンパクーペプチド結合体の 4量体を有効成分として含有する免疫機能 検査診断薬や、 (21)上記(7)〜(9)の 、ずれか記載の DNAを有効成分として含有 する HTLV-I腫瘍の診断薬や、(22)上記(1)又は(2)記載の HTLV-I特異的 C TL誘導活性ペプチドに特異的に結合する抗体や、 (23)抗体がモノクローナル抗体 である上記(22)記載の抗体や、 (24)上記(22)又は(23)記載の HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドに特異的に結合する抗体を有効成分として含有する HTLV -I腫瘍の診断薬や、(25)上記(1)又は(2)記載の HTLV-I特異的 CTL誘導活性 ペプチドを発現することができる発現ベクターや、(26)上記(1)又は(2)記載の HT LV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドを発現することができる発現系を含んでなる宿 主細胞や、 (27) HLA— Al 1と上記(1)又は(2)記載の HTLV— I特異的 CTL誘導 活性ペプチドとの結合体を発現することができる発現ベクターや、(28) HLA-A11 と上記(1)又は(2)記載の HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドとの結合体を発 現することができる発現系を含んでなる宿主細胞や、(29) SCT前の ATL患者に由 来する HTLV— I感染 T細胞を用いて、同種の HLAタイプのドナー由来の HSCT後 の同じ患者の PBMCを刺激することを特徴とする HTLV— I認識 CTLの誘導方法や
、 (30)上記(1)又は(2)記載の HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドを用いて、 HLA-A11陽性の ATL患者の PBMCを刺激することを特徴とする HTLV— I認識 CTLの誘導方法や、 (31)上記(7)〜(9)の 、ずれか記載の DNAを発現させること ができるベクターを用いて、 HLA— Al l陽性の ATL患者の PBMCを刺激すること を特徴とする HTLV-I認識 CTLの誘導方法に関する。
図面の簡単な説明
[図 1]HSCT後の患者 # 156 (図 1)の PBMC中の ILT # 156細胞に対する CTL 誘導を示す図である。 IL-2存在下で ILT— # 156細胞で 2回刺激をカ卩ぇ 17日間培 養した HSCT後の患者 # 156の PBMCを、 ILT— # 156 (參)、 LCL- # 156 (〇)、 HLA- Al lを共有する TCL- Kan(A)、 LCL- Kan (A)、 HLA- A26を共有する IL T—Nkz- 2 (國)、 LCL- Nkz (口)、あるいは無刺激( X )で 18時間インキュベーショ ンした後、上清中の IFN— y量を ELISA分析により測定した。値は 2個のサンプル の検定結果の平均値である。
[図 2]HSCT後の患者 # 156から誘導された CTLの HTLV— Iの Tax特異的細胞傷 害活性を示す図である。 HSCT後の患者 # 156の PBMC培養液をホルマリンで固 定ィ匕した ILT— # 156で 3回刺激し、その細胞傷害性を51 Cr放出分析を 6時間行い 調査した。使用した標的細胞は HLAがー致する ILT— # 156 (參)、 LCL— # 156 ( 〇)、 HLA— Al lがー致する TCL— Kan(A)及び LCL— Kan(A)、及び HLA— A26がー致する ILT Nkz- 2 (國)及び LCL Nkz (口)であった。黒色の記号は H TLV— I感染細胞を表し、白色の記号は EBV感染細胞を表す。値は 3個のサンプル で検定された細胞傷害性(% Lysis)の平均を表す。
[図 3]HSCT後の患者 # 156から誘導された CTLが認識する 1111^ 1の111^\ー八 11拘束性 Taxェピトープのマッピングの結果を示す図である。 LCL- # 156細胞を 10mMの Tax蛋白全域にわたるアミノ酸配列に対応する 15〜24塩基長の合成オリ ゴペプチド 36種類でパルスし、エフェクターである HSCT後の患者 # 156CTL (培 養 31日)と標的細胞の割合を 10 : 1として混合し、 18時間インキュベーションした後、 上清液中の IFN— yを ELISA分析により測定した。値は 2個のサンプルの検定結果 の平均値である。
[図 4]HSCT後の患者 # 156から誘導された CTLが認識する HTLV— Iの HLA—A 11拘束性 Taxェピトープのより詳細なマッピングの結果を示す図である。図 3に示さ れた実験の結果陽性と判明した 15〜24塩基長のペプチドに加え、 BIMASでの検索 によって HLA— Al 1拘束性 Taxェピトープである可能性が高!、と予測された 6種の 9塩基長の合成オリゴペプチド 10mMで LCL # 156細胞をパルスし、エフェクター である HSCT後の患者 # 156CTL (培養 41日)と標的細胞の割合を 10: 1として混 合し、 18時間インキュベーションした後、上清液中の IFN— yを ELISA分析により 測定した。 TCL— Kan及び LCL— Kanは患者 # 156と HLA— Al lが、 ILT— Nkz -2及び LCL— Nkzは患者 # 156と HLA— A26がー致する細胞株である。値は 2個 のサンプルの検定結果の平均値である。
[図 5]ILT— # 156で刺激された PBMCを HLA— A*110lZTax88- 96あるいは H LA— A*110lZTax272- 280の 4量体(フィコエリスリン標識、縦軸)と CD8 (PE- C y5標識、横軸)で二重染色しフローサイトメトリー分析を行った結果を示す。 HSCT 後の患者 # 156の PBMC培養液は 41日間培養したものを使用した。右上の数字は 4量体に結合し且つ CD8陽性である PBMCの割合を示す。各ケースとも全部で 100 , 000の現象を示している。
発明を実施するための最良の形態
本発明の HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチド、すなわち、 HTLV— I腫瘍に 対して特異的に抗腫瘍効果を有する CTLを誘導することができるペプチドとしては、 配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列力 なるペプチドや、配列番号 3又は 4に示 されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加さ れたアミノ酸配列力 なり、 HTLV— I特異的に CTL誘導活性を有するペプチドであ れば特に制限されるものではなく(以下、配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列か らなるペプチド及びこれらアミノ酸配列において、 1若しくは複数個のアミノ酸が置換 、欠失若しくは付カ卩により改変され、かつ HTLV— I特異的に CTL誘導活性を有する ペプチドをあわせて「本件ペプチド類」ということがある)、ここで、「1若しくは数個のァ ミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、例えば 1〜20個、好ましく は 1〜15個、より好ましくは 1〜10個、さらに好ましくは 1〜5個の任意の数のアミノ酸
が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を意味し、アミノ酸の「置換、欠失若しく は付加」の程度及びそれらの位置などは、改変されたペプチドが、配列番号 3又は 4 に示されるアミノ酸配列からなるペプチドと同様に HTLV— I特異的 CTL誘導活性を 有する同効物であれば特に制限されず、アミノ酸配列の改変 (変異)は、例えば突然 変異や翻訳後の修飾などにより生じることもあるが、人為的に改変することもできる。 本発明においては、このような改変 ·変異の原因及び手段などを問わず、上記特性 を有する全ての改変ペプチドを包含する。例えば、複数個のアミノ酸が付加された本 件ペプチド類として、配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列を含む、配列番号 1又 は 2で表されるアミノ酸配列力もなるペプチドを挙げることができる。
[0014] 本発明の本件ペプチド類は、化学的又は遺伝子工学的手法により製造することが できる。化学的方法には、通常の液相法及び固相法によるペプチド合成法が包含さ れる。かかるペプチド合成法は、より詳しくは、アミノ酸配列情報に基づいて、各ァミノ 酸を 1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させて 、くステップワイズエロゲーシヨン法と、ァ ミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次 、で各フラグメントをカップリング反応 させるフラグメント'コンデンセーシヨン法とを包含する。本発明の配列番号 3又は 4に 示されるアミノ酸配列力もなるペプチド類の合成は、その 、ずれによることもできる。
[0015] 上記ペプチド合成に採用される縮合法も、公知の各種方法に従うことができる。そ の具体例としては、例えばアジド法、混合酸無水物法、 DCC法、活性エステル法、 酸化還元法、 DPPA (ジフエ-ルホスホリルアジド)法、 DCC +添カ卩物 (1ーヒドロキシ ベンゾトリァゾール、 N ヒドロキシサクシンアミド、 N ヒドロキシ 5—ノルボルネン — 2,3 ジカルボキシイミド等)、ウッドワード法等を例示できる。これら各方法に利用 できる溶媒もこの種ペプチド縮合反応に使用されることがよく知られている一般的な ものから適宜選択することができる。その例としては、例えばジメチルホルムアミド (D MF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、 へキサホスホロアミド、ジォキサン、テトラヒド 口フラン (THF)、酢酸ェチル等及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
[0016] なお、上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸及至ペプチドに おけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、ェチ ルエステル、第三級ブチルエステル等の低級アルキルエステル、例えばベンジルェ
ステル、 p—メトキシベンジルエステル、 p 二トロべンジルエステルァラルキルエステ ル等として保護することができる。また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えば Tyr の水酸基は、ァセチル基、ベンジル基、ベンジルォキシカルボ-ル基、第三級プチ ル基等で保護されてもよいが、必ずしもカゝかる保護を行う必要はない。更に例えば Ar gのグァ-ジノ基は、ニトロ基、トシル基、 2—メトキシベンゼンスルホ-ル基、メチレン 2—スルホ-ル基、ベンジルォキシカルボ-ル基、イソボル-ルォキシカルボ-ル 基、ァダマンチルォキシカルボ-ル基等の適当な保護基により保護することができる 。上記保護基を有するアミノ酸、ペプチド及び最終的に得られる本発明の本件ぺプ チド類におけるこれら保護基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還 元法や、液体アンモニア Zナトリウム、フッ化水素、臭化水素、塩化水素、トリフルォ 口酢酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸等を用いる方法等に従って、実施することがで きる。
[0017] 本発明の本件ペプチド類は、上記のように化学合成により得られる他、遺伝子工学 的手法を用いて常法により製造することもできる。このようにして得られた本発明の本 件ペプチド類は、通常の方法に従って、例えばイオン交換榭脂、分配クロマトグラフィ 一、ゲルクロマトグラフィー、ァフィ-ティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフ ィー (HPLC)、向流分配法等のペプチド化学の分野で汎用されている方法に従って 、適宜その精製を行うことができる。
[0018] 本発明の融合ペプチドとしては、本件ペプチド類とマーカータンパク質及び Z又は ペプチドタグとが結合しているものであればどのようなものでもよぐマーカータンパク 質としては、従来知られているマーカータンパク質であれば特に制限されるものでは なぐ例えば、アルカリフォスファターゼ、抗体の Fc領域、 HRP、 GFPなどを具体的 に挙げることができ、またペプチドタグとしては、 HA、 FLAG, Myc等のェピトープタ グゃ、 GST、マルトース結合タンパク質、ピオチン化ペプチド、オリゴヒスチジン等の 親和性タグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。 かかる融合ペプチド類は、常法により作製することができ、 Ni— NTAと Hisタグの親 和性を利用した本件ペプチド類の精製や、本件ペプチド類の検出や、本件ペプチド 類に対する抗体の定量や、その他当該分野の研究用試薬としても有用である。
[0019] 本発明のタンパクーペプチド結合体としては、 HLA— Al lと本件ペプチド類との 結合体であれば特に制限されるものではなぐ例えば HLA— Al 1分子と配列番号 3 又は 4に示されるアミノ酸配列力もなるペプチドとの結合体など、力かる結合体を認識 する CTLに結合できる形態のものが好ましい。また、本発明のタンパクーペプチド結 合体の 4量体としては、 HLA— Al lと本件ペプチド類とが結合したタンパクーペプチ ド結合体の 4量体であれば特に制限されるものではなく、上記タンパク ペプチド結 合体を、ストレプトアビジンを核として 4量体 (テトラマー)としたものを例示することがで き、例えば HLA—A11の C末端に酵素 Bir-Aの基質を発現させておき、 Bir-A-depe ndent ^ ½ 法でビォチン化した111^\ー八11と、フィコエリトリン(PE)標識脱グ リコシル化アビジンを 4 : 1で混合することにより得ることができる(Altaian, J.D., et al.: Science 274, 94-96, 1996)。これらタンパクーペプチド結合体及びその 4量体は、化 学合成された本件ペプチド類と、 HLA— Al l遺伝子(ァクセッションナンバー P13 746)や β— 2ミクログロブリン遺伝子(ァクセッションナンバー ΝΜ_004048)を利 用した遺伝子工学的手法を用いて常法により作製した HLA— Al lの aドメイン及び β 2ミクログロブリンとをリフォールデイングバッファ一中でインビトロで結合させる(G arboczi et al.Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 89: 3429—3433, 1992)ことにより、あるいは 本件ペプチド類をコードする DNAと HLA— Al 1遺伝子や β 2ミクログロブリン遺 伝子とをそれぞれ利用した遺伝子工学的手法を用いて常法により本件ペプチド類と HLA— Al lの αドメインや j8—2ミクログロブリンとを同一宿主細胞内で共発現させ 、精製後にこれらを結合させることにより作製することができる。
[0020] 本発明の融合タンパク質としては、上記タンパク—ペプチド結合体又はタンパク— ペプチド結合体の 4量体とマーカータンパク質及び Z又はペプチドタグとが結合して いるものであればどのようなものでもよぐマーカータンパク質としては、従来知られて いるマーカータンパク質であれば特に制限されるものではなぐ例えば、蛍光色素、 アルカリフォスファターゼ、抗体の Fc領域、 HRP、 GFPなどを具体的に挙げることが でき、またペプチドタグとしては、 HA、 FLAG, Myc等のェピトープタグや、 GST、マ ルトース結合タンパク質、ピオチンィ匕ペプチド、オリゴヒスチジン等の親和性タグなど の従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。かかる融合タン
ノ ク質類は、常法により作製することができ、 Ni-NTAと Hisタグの親和性を利用し たタンパクーペプチド結合体の精製や、 CTLの検出や、その他当該分野の研究用 試薬としても有用である。
[0021] 本発明の本件ペプチド類に特異的に結合する抗体としては、モノクローナル抗体、 ポリクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体等の免疫特異的な抗体を 具体的に挙げることができ、これらは上記本件ペプチド類を抗原として用いて常法に より作製することができる力 その中でもモノクローナル抗体がその特異性の点でより 好ま 、。力かるモノクローナル抗体等の本件ペプチド類に特異的に結合する抗体 は、例えば、 ATL等の HTLV— I腫瘍の診断に有用であるばカゝりでなぐ本件べプチ ド類の HTLV-I特異的 CTL誘導の活性機構や分子機構を明らかにする上で有用 である。
[0022] 本件ペプチド類に対する抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物 (好ましくはヒ ト以外)に、該本件ペプチド類、該本件ペプチド類と免疫原性を有するタンパク質と の複合体、該本件ペプチド類を膜表面に提示した細胞等を投与することにより産生さ れ、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される 抗体をもたらす、ハイプリドーマ法(Nature 256, 495-497, 1975)、トリオ一マ法、ヒト B 細胞ハイプリドーマ法(Immunology Today 4, 72, 1983)及び EBV—ハイブリドーマ法 (MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77- 96, Alan R.Liss, Inc., 1985)など任意の方法を用いることができる。
[0023] また、本発明の DNAとしては、上記本件ペプチド類をコードする DNAや、(配列番 号 3又は 4に示されるアミノ酸配列力もなる HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチド をコードする)配列番号 7又は 8に示される塩基配列若しくはその相補的配列力もな る DNAや、力かる配列番号 7又は 8に示される塩基配列若しくはその相補的配列か らなる DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダィズし、かつ HTLV— I特異的 CT L誘導活性ペプチドをコードする DNAであれば特に制限されるものではな ヽ(以下、 上記の本発明の DNAを総称して「本件 DNA群」ということがある。 ) o上記「ストリンジ ェントな条件下でノ、イブリダィズする」条件としては、例えば、 42°Cでのハイブリダィゼ ーシヨン、及び 1 X SSC、 0. 1%の SDSを含む緩衝液による 42°Cでの洗浄処理を挙
げることができ、 65°Cでのハイブリダィゼーシヨン、及び 0. 1 X SSC、0. 1%の SDS を含む緩衝液による 65°Cでの洗浄処理をより好ましく挙げることができる。なお、ハイ ブリダィゼーシヨンのストリンジエンシーに影響を与える要素としては、上記温度条件 以外に種々の要素があり、当業者であれば、種々の要素を組み合わせて、上記例示 したハイブリダィゼーシヨンのストリンジエンシーと同等のストリンジエンシーを実現する ことが可能である。これら本発明の DNA群には、例えば、(配列番号 1又は 2に示さ れるアミノ酸配列からなる HTLV— I特異的 CTL誘導活性ペプチドをコードする)配 列番号 5又は 6に示される塩基配列若しくはその相補的配列力 なる DNA等も含ま れる。また、本発明の DNA群は、本件ペプチド類を遺伝子工学的手法を用いて常 法により作製するときに有利に用いることができる他、特に本発明の DNA群のアンチ センス鎖は、 ATL等の HTLV— I腫瘍の診断用プローブとして有用である。
[0024] 本発明の HLA— Al l拘束性 Taxェピトープとしては、インビボゃインビトロにおい て CTLを誘導することができる、上記配列番号 3又は 4に示されるアミノ酸配列を有 する HTLV-I特異的 CTL誘導活性ペプチドからなるェピトープであれば特に制限 されるものではな 、。かかる HLA— Al 1拘束性 Taxェピトープを含めた本件べプチ ド類や、本件 DNA群を発現させることができるベクターは、細胞性免疫や体液性免 疫等の本発明の免疫応答誘導用ワクチンにおける有効成分として用いることができ る。本発明の免疫応答誘導用ワクチンは ATL等の HTLV— I腫瘍の治療に用いるこ とがでさる。
[0025] また、本発明の免疫応答誘導用ワクチンとしては、さらに細胞性の又は局所的な免 疫を増強する種々のアジュバントを含むものがより好ましぐ力かるアジュバントとして は、例えば、効率よくペプチド特異的な CTLを誘導することができる榭状細胞、 CpG モチ ~~フを含む ISs― ODN (Immunostimulatory DNAsequences- oligoaeoxynucleoti de ;Nat. Med. 3, 849-854, 1997)、細胞傷害性 T細胞を刺激する QS21 (Quillaia sa ponaria、 Cambridge Biotech, Worcester, MAより商業的に入手可能)、水酸化アルミ ユウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、油性ェマルジヨン、サポニン、ビタミン E溶解物等を具体的に挙げることができる。アジュバントを用いる場合、アジュバントと なる種々の菌体成分や毒素等と、前記本発明の本件ペプチド類とを連続してコード
する DNAから作製した組換え融合タンパクある 、は組換え融合ペプチドとして用い ることちでさる。
[0026] また、上記本発明の免疫応答誘導用ワクチンを有効成分として含有する本発明の 医薬組成物は、医薬的に容認可能な担体又は希釈剤、免疫賦活剤、添加剤等を含 んでいてもよぐ力かる担体又は希釈剤としては、例えば、 SPGAなどの安定化剤や 、ソルビトール、マン-トール、澱粉、スクロース、グルコース、デキストラン等の炭水化 物や、アルブミン、カゼイン等のタンパク質や、ゥシ血清、スキムミルク等のタンパク質 含有物質や、リン酸緩衝液、生理食塩水、水等の緩衝液などを具体的に挙げること ができる。免疫賦活剤としては、インターロイキン一 2 (IL— 2)、インターロイキン一 12 (IL— 12)、腫瘍壊死因子 a (THF—ひ)等のサイト力インを具体的に例示すること ができ、添加剤としては、低分子量のポリペプチド (約 10残基未満)、タンパク質、アミ ノ酸、グルコース又はデキストランを含む炭水化物、 EDTAなどのキレート剤、蛋白 質安定化剤、微生物増殖阻止若しくは抑制剤等を例示することができるがこれらに 限定されるものではない。
[0027] また、本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、腹腔内、鼻腔内、皮内、皮下、筋肉 内等により投与することができる形態のものが好ましい。投与すべき有効量は、医薬 品や医薬組成物の種類,組成、投与方法、患者の年齢や体重等を考慮して適宜決 定することができ、これらを 1日あたり 1〜数回投与することが好ましい。また、経口投 与する場合、通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。この際、 製剤に用いることができる担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の ペプチドと反応しない物質が用いられる。また、剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆 粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤 、注射剤等を具体的に例示することができ、これらの製剤は常法に従って調製され、 特に液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形態 とすることもできる。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射 剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生 理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加して もよい。またこれらの製剤は、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
[0028] さらに、本発明の本件ペプチド類は、 HTLV— Iの感染予防及び Z又は HTLV— I 関連疾患の症状改善用食品素材として、プリン、クッキー、パン、ケーキ、ゼリー、煎 餅などの焼き菓子、羊羹などの和菓子、冷菓、チューインガム等のパン'菓子類や、う どん、そば等の麵類や、力まぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、ョー ダルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、煎茶、ウー ロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、甘 味料等の調味類や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ等の各種 総菜へ配合し、機能性食品として摂取することもできる。
[0029] 本発明の免疫機能検査診断薬としては、本件ペプチド類、本件 DNA群を発現さ せることができるベクター、 HLA— Al 1と本件ペプチド類とが結合したタンパク ぺ プチド結合体、又は該タンパクーペプチド結合体の 4量体を有効成分とし、免疫機能 、特に HTLV— Iに対する免疫機能を検査,診断しうるものであれば特に制限される ものではないが、通常は、本件ペプチド類の標識体、発現産物が標識体となる本件 DNA群を発現させることができるベクター、 HLA— Al lと本件ペプチド類とが結合 したタンパク ペプチド結合体の標識体、又は該タンパク ペプチド結合体の 4量体 の標識体を用いることが好まし 、。標識体とするために用いられる標識ィ匕物質しては 、上記のマーカータンパク質やペプチドタグの他、放射性同位元素を用いることがで きる。本発明の免疫機能検査診断薬を用いた免疫機能検査診断は、対象被験者の 末梢血白血球 (リンパ球)に本発明の免疫機能検査診断薬を接触させ、本件べプチ ド類等におけるェピトープを認識する T細胞と結合させることにより HTLV— I Tax特 異的 T細胞を識別することができる。免疫機能検査診断薬の中でも、上記タンパク— ペプチド結合体の 4量体の PE等の蛍光標識体はフローサトメトリーによる CTLの検 出'定量を可能にするため、免疫機能検査診断薬の他、ワクチン効果判定に特に有 用である。例えば、へパリン末梢血検体から単核球分画を分離し、 PE標識テトラマー (タンパクーペプチド結合体の 4量体)と、 FITCや PE- Cy5で標識した CD8抗体等 の活性ィ匕マーカー抗体とで 2重染色し、フローサイトメーターで CD8陽性テトラマー 陽性の細胞数を計算することにより、対象被験者の免疫機能の検査'診断を行うこと ができる。また、新鮮血液検体ではテトラマー陽性細胞数が非常に少ないことがよく
あることから、新鮮血液検体だけでなぐ本件ペプチド類やその発現細胞などで一回 刺激をした後、数日〜1週間培養後に同様の染色解析をすることもできる。
[0030] 本発明の発現ベクターとしては、本件ペプチド類や、 HLA-A11 ( aドメイン及び Z又は j8—2ミクログロブリン)と本件ペプチド類との結合体を発現することができるも のであればどのようなものでもよぐ使用される発現系としては、上記本件ペプチド類 を細胞内で発現させることができる発現系であればどのようなものでもよぐ染色体、 ェピソ一ム及びウィルスに由来する発現系、例えば、細菌プラスミド由来、酵母プラス ミド由来、 SV40のようなパポバウィルス、ワクシニアウィルス、アデノウイルス、鶏痘ゥ ィルス、仮性狂犬病ウィルス、レトロウイルス由来のベクター、ノ クテリオファージ由来 、トランスポゾン由来及びこれらの糸且合せに由来するベクター、例えば、コスミドゃファ 一ジミドのようなプラスミドとバタテリオファージの遺伝的要素に由来するものを挙げる ことができるが、中でもウィルス系ベクターが好ましい。これら発現系は、発現を起こさ せるだけでなぐ発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。また、読み枠を変え て翻訳することができる発現ベクターシリーズも有利に用いることができる。本発明の 発現ベクターは、本発明の免疫応答誘導用ワクチンにおける有効成分として有用で ある。
[0031] 本発明の宿主細胞としては、本件ペプチド類や、 HLA-A11 ( aドメイン及び Z又 は j8—2ミクログロブリン)と本件ペプチド類との結合体を発現することができる発現系 を含む細胞であればどのようなものでもよぐ使用される宿主細胞としては、大腸菌、 ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフイロコッカス等の細菌原核細胞や、 酵母、ァスペルギルス等の真核細胞や、ドロソフイラ S 2、スポドプテラ Sf 9等の昆虫細 胞ゃ、 L細胞、 CHO細胞、 COS細胞、 HeLa細胞、 C 127細胞、 BALBZc3T3細 胞 (ジヒドロ葉酸レダクターゼゃチミジンキナーゼなどを欠損した変異株を含む)、 BH K21細胞、 HEK293細胞、 Bowesメラノーマ細胞、卵母細胞等の動植物細胞など を挙げることができる。また、本件ペプチド類を発現することができる発現系の宿主細 胞への導入は、 Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及 び Sambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., C old Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)などの多くの
標準的な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフエ クシヨン、 DEAE—デキストラン媒介トランスフエクシヨン、トランスべクシヨン (transvecti on)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフエクシヨン、エレクトロポ レーシヨン、开質導入、スクレープローデイング(scrape loading),弾丸導入 (ballistic i ntroduction),感染等により行うことができる。これら本発明の宿主細胞は、本件ぺプ チド類の HTLV-I特異的 CTL誘導の活性機構や分子機構を明らかにする上で有 用である。
[0032] 本発明の HTLV— I認識 CTLの誘導方法としては、 HSCT前の ATL患者に由来 する HTLV—I感染 T細胞を用いて、同種の HLAタイプ、すなわち HLA— Al lタイ プのドナー由来の HSCT後の同じ患者の PBMCをインビトロ、インビボ又はエタスビ ボで刺激する CTLを誘導する方法や、本件ペプチド類を用いて、 HLA— Al l陽性 の ATL患者の PBMCをインビトロ、インビボ又はエタスビボで刺激する HTLV— I認 識 CTLの誘導方法や、本件 DNA群を発現させることができるベクターを用いて、例 えば PBMC中の抗原提示細胞に遺伝子工学的にペプチドを発現させるなど、 HLA -A11陽性の ATL患者の PBMCをインビトロ、インビボ又はエタスビボで刺激する H TLV— I認識 CTLの誘導方法であれば特に制限されるものではなぐ力かる誘導方 法により得られる HTLV— I認識 CTLは、養子免疫療法として ATL等の HTLV— I 腫瘍の治療に用いることができる他、 HTLV— I特異的 CTL誘導の活性機構や分子 機構を明らかにする上で有用である。
実施例
[0033] 以下に、実施例を揚げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の範囲は これらの例示に限定されるものではない。
A [方法と材料]
A- 1 (レシピエント Zドナー組み合わせ及び血液サンプル)
HLAがー致する同胞ドナーカゝら HSCTを受けた急性型 ATL患者並びにドナーか ら末梢血サンプルを得た。患者は HSCT後 3ヶ月で完全寛解を得て、以後それを維 持している。へノ^ン処置した血液を、移植 147日後に採取し末梢血単核細胞 (PB MC)をフイコール 'ハイパックプラス勾配遠心法により単離し、使用するまで一部を液
体窒素で保存した。
[0034] A— 2 (細胞株)
HSCT前の患者に由来する HTLV— I感染 T細胞株である ILT # 156を、下記 の手順で榭立した。 PBMCから CD8+細胞を除去した後に 1 μ gZmlのフイトへマグ ルチニン (PHA)—Pで刺激し、次に 10%熱不活性ゥシ胎児血清 (FCS)と、 30U/ mlの組換えヒト IL— 2又は lOngZmlの組換えヒト IL— 15を含む RPMI— 1640培地 で 5%の二酸ィ匕炭素と共に 37°Cで 2ヶ月以上維持した。また、ェプスタイン'バールゥ ィルス(EBV)形質転換 B細胞株である LCL # 156は、 EBVを含む B95— 8細胞 の上清を用いて感染させたドナーの CD19+PBMCからインビトロで樹立した。
[0035] A— 3 (HTLV— I特異的 CTLの誘導)
HSCT後の患者の全細胞又は CD8+細胞を豊富に含む 260万個の PBMCを、 1 μ gZmlの ΡΗΑ—Ρで刺激し、次に 1%ホルムアルデヒド ZPBSで前処理した同数 の ILT # 156細胞と混合した。これらの T細胞を 10%FCS及び lOOUZmlの組換 ぇヒト IL— 2を添カ卩した AIM— V™培地 (GIBCO- Invitrogen社製)で維持し、 14日間 隔にて定期的に ILT— # 156細胞で刺激をあたえた。
[0036] A— 4 (合成ペプチド)
本発明者らは HTLV— Iの Taxタンパク質の配列すベてを網羅するために 15〜24 塩基長のペプチドを用意した。これにカ卩え、コンピュータ予測プログラムである BIMA S(http:〃 bimas.dcrt.nih.gOv/molbil/hla#bind/)を文献 (J. Immunol. 152, 163-175, 19 94; J. Immunol. 152, 3913-3924, 1994)記載の方法に従い使用し、 HLA-A11と結 合する可能性のある 9塩基長の HTLV— I Taxペプチドを用意した。
[0037] A— 5 (CTL分析)
様々なエフェクター細胞対標的細胞 (EZT)割合にお ヽて51 Cr放出分析を 6時間 行い、細胞傷害活性を測定した。特異的細胞傷害性を式([実験により得られた51 Cr 放出量 自発性の51 Cr放出量] Z [最大51 Cr放出量 自発性の51 Cr放出量] X 100 %)により算出した。エフェクター細胞が産生する IFN— γを測定するために、様々 な ΕΖΤ割合において標的細胞と 18時間インキュベーションした後に、 ELISA法 (ヒ ト IFN— y ELISAキット, Biosource社製、 Camarillo, California)を用いて二重測定
した。
[0038] A— 6 (4量体染色)
フィコエリトリン (PE)複合型 HLA— A* 1101 /Tax88-96 (KVLTPPITH;配列番 号 3)並びに HLA— A*l 101/Tax272-280 (QSSSFIFHK;配列番号 4) 4量体は、 NIAID Tetramer Facility, Emory Univ. Vaccine し enter at Yerks (Atlanta, Georgia) に合成を委託し提供を受けた。リンパ球を、 PE- Cy5複合型抗 CD8抗モノクロナー ル抗体(BD Pharmingen社製)を用いて 30分間染色した後、 4量体を用いてさらに 60 分間 4°Cで染色し、次に CellQuestソフトウェア (Beckton Dickinson社製)を用いて FAC SCal¾urで 2色解析を行った。
[0039] B [結果]
B- 1 (HSCT前の HTLV— I感染細胞と反応する HSCT後のレシピエントからの CT L誘導)
HSCT前のレシピエント由来の造血細胞に対する HSCT後のレシピエントの免疫 応答を調べるために、本発明者らは HSCT前の患者から、 IL— 2又は IL— 15の存 在下で PHAの刺激を受けた PBMCを 2ヶ月以上維持することにより、 T細胞株である ILT- # 156を榭立した。この細胞株は CD4陽性で、 HTLV— Iの Tax、 pl9等の H TLV-I抗原に陽性であった。
[0040] ILT- # 156細胞に対する HSCT後の患者の PBMCにおける T細胞応答を、造 血細胞がドナー由来の造血細胞に完全に置換された HSCT147日後に調べた。ィ ンビトロで IL— 2の存在下においてホルムアルデヒド処理した ILT # 156で 2回刺 激した HSCT後の患者の PBMCの ILT # 156及び LCL # 156細胞に対するィ ンターフェロンガンマ (IFN- y )産生能力を培養 17日後に測定した。ー晚インキュ ベーシヨンした後、 ILT— # 156に対しては IFN— yが産生された力 LCL— # 15 6細胞に対しては産生されなかった(図 1)。また HLA-A11を共有する同種 HTLV- I感染 TCL- Kan細胞に対しても IFN— yが産生された力 HLA-A11を共有する L CL - Kan, HLA- A26を共有する HTLV- 1感染 ILT - Nkz- 2や LCL - Nkzに対し ては IFN— yは産生しなかった。
[0041] B- 2 (HSCT後の患者力も誘導した CTLの HTLV— I特異性)
次に、 HSCT後の患者 PBMC力も ILT— # 156に対して増殖したエフェクター細 胞の細胞傷害特異性を51 Cr放出分析により調べた。このエフェクター細胞はほとんど 力 SCD8陽性であり、 ILT- # 156に対して顕著なレベルの細胞傷害性を示すととも に(図 2)、 HLA— Al lを共有する同種 HTLV— I感染 TCL- Kan細胞を効果的に死 滅させたが、 HLA-A11を共有する LCL— Kan、 HLA-A26を共有する HTLV-I感 染 ILT— Nkz-2や LCL— Nkzに対しては死滅させなかった。以上の結果は、 ILT— # 156に応答して HSCT後の患者 PBMC力も増殖した細胞株力 HLA-A11に拘 束される HTLV-I抗原特異的 CD8+細胞傷害性 Tリンパ球 (CTL)を含むことを強く 明示した。
[0042] 本発明者らは、 HTLV— I特異的 CTLの主要認識抗原が Taxであることから、榭立 された CTLも Taxを認識する可能性が最も高 ヽと考え、 Taxアミノ酸配列に対応する 15〜24塩基長のオリゴペプチドのパネルを用いて HSCT後の患者由来 CTL株の 認識ェピトープを調べた。オリゴペプチド Tax 81-104 (QRTSKTLKVLTPPITHTTP NIPPS;配列番号 1)及び Tax271- 285 (LQSSSFIFHKFQTKA;配列番号 2)でパル スされた LCL # 156細胞は、 HSCT後の患者の CTL株によって選択的に死滅さ せられた(図 3)。続いて、 Taxのアミノ酸配列の中で、 HLA— Al l拘束性ェピトープ である可能性が最も高いとコンピュータプログラムが予測した 5種の 9塩基長のオリゴ ペプチドを用いたところ、 Tax 88-96 (KVLTPPITH ;配列番号 3)及び Tax272- 280 (QSSSFIFHK;配列番号 4)が応答細胞と選択的に反応した(図 4)。 Tax 88-96は T ax81— 104【こ含まれ、 Tax 272— 280ίま Tax271— 285【こ含まれて!/ヽる。以上の結果 は、 HSCT後の患者由来 CTL株の中に、 2種類の HTLV— Iの Tax特異的 CTLクロ ーンが優位な集団を占めており、 CTLクローンの一つは HLA— Al l拘束性 Tax88 -96ェピトープを、もう一つの CTLクローンは HLA— Al l拘束性 Tax272- 280ェピ トープを認識することを示して 、る。
[0043] C [考察]
本発明者らは以前、 ATL患者において、 HLAがー致する同胞からの骨髄非破壊 性 HSCT後に、限られた数のェピトープに対する HTLV— Iの Tax特異的 CTL応答 がおこることを見い出した(Cancer Res. 64, 391-399, 2004) 0今回、新たな HSCT後
の ATL患者由来 PBMCから、 HLA-A11に拘束される 2個の Taxェピトープに対 する CTL応答を見い出した。これらの CTLは、 HLA-A*110lZTax88-96ならび に HLA-A*1101/Tax272-280の 4量体で染色される CTLを多数含有していた( 図 5)。
GVL効果の正確な標的抗原及び GVL効果に対する HTLV— Iの Tax特異的 CT Lの貢献度は充分には解明されていない。しかし、 HAMZTSP患者において観察 されたのと同様の、強力で選択的な HTLV— I特異的 CTL応答力 HLA—致の同 胞からの同種 HSCT後に ATL患者に榭立されたことは、患者体内で CTLェピトープ が強く発現されていたことを意味し、本発明の CTLェピトープがワクチン抗原として 有用であることを示す。このワクチン抗原を用いると、 HTLV— I感染細胞の増殖をィ ンビボで抑制する CTLを誘導できる可能性がある。
産業上の利用可能性
(1)本発明により、日本人で HLA遺伝子頻度が 9.3%である HLA— Al lに拘束 される CTLの主要ェピトープが見出された。 HTLV— Iに対する免疫応答の検査に 本ェピトープ部位のペプチドを使用することによって、これまでに見出した HLA— A
2, HLA— A24に拘束される Taxェピトープと合わせ、 日本人集団のかなりの部分を カバーできることになる。
(2)現在では、それぞれの HLAにつ!/、て親和性のあるアミノ酸アンカーモチーフか らェピトープの予測が可能である。し力しながら、生体内の病原体に対する宿主の免 疫反応は必ずしもこの予測と一致しな 、。本発明により同定されたェピトープは感染 個体力も得られたものであり、しかも他のェピトープよりも非常に強い選択性を持って 認識されている。
(3) ATL患者カゝら HTLV— I特異的 CTLが誘導されることは稀だ力 幹細胞移植後 に完全寛解に入った ATL症例から、本発明により同定されたェピトープに対する CT Lが選択的に誘導された。これは、患者体内でこのェピトープが強く発現されていた ことを意味し、本ェピトープがワクチン抗原として有用であることを示して 、る。