明 細 書
光波長分岐挿入装置
技術分野
[0001] この発明は、光通信ネットワークのノード位置に配置される光波長分岐挿入装置に 関するものである。
背景技術
[0002] 光波長分岐挿入装置は、各種の光通信ネットワークにおけるノード位置において、 1波長以上の光信号をその波長に応じて分岐、挿入、通過させるノード装置として使 用されて 、る。このような光波長分岐挿入装置を用いた光通信ネットワークにお ヽて 、接続する光波長分岐挿入装置数の増大、並びに伝送距離の延伸を行うためには、 各光波長分岐挿入装置が、通過する波長多重光信号における各波長光信号レベル の波長特性を抑圧し、できるだけ平坦な光信号レベルにして後段の光伝送路に出力 することが望ましい。光信号出力レベルを平坦ィ匕することができれば、光信号出カレ ベルの波長偏差によって生じるクロストークの影響、非線形光学効果の影響、信号対 雑音電力比の低下などが抑圧でき、その結果、長距離伝送、多ノード伝送が可能と なる。
[0003] この光波長分岐挿入装置における光信号出力レベルの制御方法に関し、例えば、 特許文献 1では、波長数情報を元に各通過チャネルの光信号レベルを可変光減衰 器によって一定制御する技術が開示されている。また、特許文献 2— 4では、光波長 分岐挿入装置の分岐動作時や通過動作時、異常発生時などの状態に応じて通過す る光信号レベルを可変光減衰器によって制御する技術が開示されて 、る。例えば、 特許文献 2では、上流にて光信号に異常が発生した場合、ゲートスィッチにて通過光 信号を遮断することで下流に簡易な警報転送が可能な技術を開示している。なお、 ここでのゲートスィッチの動作は、可変光減衰器に非減衰動作状態と減衰動作状態 の二値動作状態を行わせた場合と等価である。また、特許文献 3には、分岐動作時 には可変光減衰器の減衰量を充分大きな値とすることで、分岐光が通過してきた場 合でも光信号の漏洩を阻止して下流への影響を防ぎ、また通過動作時には光信号
レベル一定制御を行うことによって光信号レベル変動を抑圧することで、信頼性の高 V、光通信ネットワークの構築が可能な技術が開示されて 、る。
[0004] 特許文献 1:特開 2002— 246986号公報
特許文献 2:特開平 11 55700号公報
特許文献 3:特開 2000 - 354006号公報
特許文献 4:特開 2002-156667号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 上記のように、伝送距離の延伸、通過ノード数の増大を可能にする光通信ネットヮ ークで用いる光波長分岐挿入装置では信号波長毎に光信号レベル一定制御を行う 必要がある。しかし、この制御をシステム立ち上げ時に直ちに開始した場合は、制御 が収束するまでの過渡応答によって後段に過大な光パワーを送出する可能性がある ため、波長増設などの際には運用中の他チャネルの信号品質劣化、もしくは、光過 入力による光受信器の破損などが発生するおそれがある。したがって、信号波長毎 の光信号レベル一定制御をシステムの立ち上げ時力 信頼性よく実施できるようにす るには、システム立ち上げ時に光信号レベル一定制御を開始するためのトリガ信号 が必要である。
[0006] 装置構成の複雑化を回避するために、このトリガ信号を各光波長分岐挿入装置に 外部のシステム監視制御装置から入力するような場合は、各光波長分岐挿入装置で は、外部のシステム監視制御装置力 の指示を待って各波長それぞれに対応する可 変光減衰器の動作を個別にスタートさせることになるので、システム立ち上げ時から 通常動作状態に移行するまでの時間が増大し、システム動作の高速ィ匕が図れないと いう問題がある。
[0007] この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、通過光である各チャネルの光信号 レベルを平坦ィ匕する光出力パヮ一一定制御を、特別なトリガ信号を必要としない簡 易な構成によって、システムの立ち上げ時等力も信頼性よぐしかも高速に行うことが できる光波長分岐挿入装置を得ることを目的とする。
課題を解決するための手段
[0008] 上述した目的を達成するために、この発明は、光通信ネットワークにおけるノード位 置において、 1波長以上の光信号をその波長に応じて分岐、挿入、通過させる光波 長分岐挿入装置において、上流側光伝送路から入力する前記光信号である波長多 重光信号における各光波長信号に与える減衰量をそれぞれ独立に可変制御可能な 可変光減衰手段と、前記可変光減衰手段が出力する波長多重光信号をそのまま下 流側光伝送路に向けて送出するとともに、その波長多重光信号における各光波長信 号の光信号レベルをそれぞれモニタする光信号レベルモニタ手段と、出力光パワー 一定制御を開始するための閾値情報を前記光波長信号毎に記憶する閾値記憶手 段と、前記光信号レベルモニタ手段のモニタ結果が前記閾値情報を超えるまでは入 力する波長多重光信号における各光波長信号に固定減衰量を与えるように前記可 変光減衰手段を制御し、前記モニタ結果が前記閾値情報を超えると下流側光伝送 路に送出する波長多重光信号のレベルを平坦化する出力光パヮ一一定制御の目標 値に到達するのに必要な可変減衰量を入力する波長多重光信号における各光波長 信号に与えるように前記可変光減衰手段を制御する動作を開始する制御手段とを備 えたことを特徴とする。
[0009] この発明によれば、システムの運用開始時もしくは動作変更時に光信号レベルモニ タ手段が取得するモニタ結果に対して適切な閾値を設け、閾値に光信号レベルが達 した力否かに応じて波長多重光信号における各光波長信号の光出力パヮ一一定制 御への移行の可否を決定するようにしたので、光出力パヮ一一定制御を、特別なトリ ガ信号を必要としない簡易な構成でシステムの立ち上げ時等力 信頼性よぐしかも 高速に行うことができる。また簡易な構成であることから低コストィ匕を図ることができる
発明の効果
[0010] この発明によれば、通過光である各チャネルの光信号レベルを平坦化する光出力 ノ ヮ一一定制御を、特別なトリガ信号を必要としない簡易な構成で、システムの立ち 上げ時等力 信頼性よぐし力も高速に行うことができるという効果を奏する。 図面の簡単な説明
[0011] [図 1]図 1は、この発明の実施の形態 1による光波長分岐挿入装置の構成を示すプロ
ック図である。
[図1—
〇 2]図 2は、この発明の実施の形態 2による光波長分岐挿入装置の構成を示すプロ ック図である。
[図 3]図 3は、この発明の実施の形態 3による光波長分岐挿入装置の構成を示すプロ ック図である。
[図 4]図 4は、図 3に示す光波長分岐挿入装置での可変減衰手段の制御方法の一例 を説明するフローチャートである。
[図 5]図 5は、この発明の実施の形態 4による光波長分岐挿入装置の構成を示すプロ ック図である。
[図 6]図 6は、この発明の実施の形態 5による光波長分岐挿入装置の構成を示すプロ ック図である。
符号の説明
可変減衰手段
11 光信号レベルモニタ手段
12, 12-1-12 光出力パワー制御部
13, 35 監視制御装置
20, 36 光出力パヮ一一定制御閾値を記憶する記憶手段
21 動作モードテーブルを記憶する記憶手段
22 比較器
23, 45 動作モード判定手段
24 インタフ ース部 (IZF)
25 光減衰量制御手段
30 波長分波手段
31 可変光減衰手段
32 光信号レベルモニタ手段
33 波長合波手段
40 光経路切替手段
41, 42, 57 光合波手段
44, 44 - 1一 44 - n 光波長分岐挿入制御機能部
46 光経路切替器制御手段
50 波長群分波手段
55a, 55b 光波長分岐挿入機能部
60, 61 光増幅手段
発明を実施するための最良の形態
[0013] 以下に図面を参照して、この発明にかかる光波長分岐挿入装置の好適な実施の形 態を詳細に説明する。
[0014] 実施の形態 1.
図 1は、この発明の実施の形態 1による光波長分岐挿入装置の構成を示すブロック 図である。この実施の形態 1では、通過光信号レベルを平坦化する光出力パヮ一一 定制御に関わる部分の構成例(その 1)が示されて 、る。
[0015] 図 1において、この実施の形態 1による光波長分岐挿入装置は、通過光信号レべ ルを平坦ィ匕する光出力パヮ一一定制御に関わる部分の構成として、可変光減衰手 段 10と光信号レベルモニタ手段 11と光出力パワー制御部 12とを備えている。監視 制御装置 13は、当該光波長分岐挿入装置を統括する装置であるが、この実施の形 態による光出力パヮ一一定制御に関わる構成として、光出力パワー制御部 12に対し て、動作モードを指定する機能を備えている。
[0016] 可変光減衰手段 10は、光出力パワー制御部 12の制御下に、入力する波長多重光 信号の各光波長信号に対してそれぞれ独立に減衰制御が可能な構成になっている 。この可変光減衰手段 10の出力光 (波長多重光信号)を受ける光信号レベルモニタ 手段 11は、光分岐手段とパワーモニタ手段とで構成されている。光分岐手段は、可 変光減衰手段 10の出力光を 2分岐し、一方の分岐光を出力波長多重光信号として 下流の光伝送路へ送出し、他方の分岐光をパワーモニタ手段に与える。パワーモ- タ手段は、他方の分岐光 (波長多重光信号)を受けて波長多重光信号を構成する各 光波長信号の光信号レベルをそれぞれモニタし、その各モニタ結果を光出力パワー 制御部 12に与える。
[0017] なお、パワーモニタ手段は、 1チャネルをモニタするモニタ手段をチャネル数分並
ベた構成である力 図 1では、各モニタ結果がいわゆるシリアル信号として光出力パ ヮー制御部 12に入力するとしている。これは、パワーモニタ手段と光出力パワー制御 部 12との間に設けた図示しないインタフェース部にて、プロセッサを用いてチャネル 数分のモニタ結果をシリアル信号に変換し、特定のプロトコル (例えば、 RS— 232な ど)によるシリアル通信を光出力パワー制御部 12との間で実施し、光出力パワー制御 部 12側に各モニタ結果をシリアルに取り込めるようにしていることによる。
[0018] 光出力パワー制御部 12は、記憶手段 20, 21と比較器 22と動作モード判定手段 2 3とインタフェース部 (I/F) 24と光減衰量制御手段 25とを備え、監視制御装置 13が 指定する動作モード下において、可変光減衰手段 10での減衰量を制御する動作を 行うようになっている。
[0019] 記憶手段 20には、図 1に示す例では、各チャネル信号に対して共通に用いる光出 カパヮ一一定制御開始閾値が格納されている。この光出力パヮ一一定制御開始閾 値は、設定したい動作に応じた複数の閾値で構成することができる。
[0020] また、記憶手段 21には、定常時の光出力パヮ一一定制御モード、非定常時の光出 力断の動作モードやアラームを発生する動作モードなど、各種の動作モードの一覧 である動作モードテーブルと、光出力パヮ一一定制御の目標値とが格納されている。
[0021] 比較器 22は、記憶手段 20に格納される光出力パヮ一一定制御開始閾値と光信号 レベルモニタ手段 11におけるパワーモニタ手段が出力する各モニタ結果との大小関 係を比較し、その比較結果を動作モード判定手段 23に与える。
[0022] 動作モード判定手段 23は、 IZF部 24を介して監視制御装置 13から入力する動作 モード指定と比較器 21から入力する比較結果とに基づき、記憶手段 21に格納される 動作モードテーブル力 最適な動作モードを選択し、選択した動作モードに合わせ た指示を光減衰量制御手段 25に与える。このとき、光出力パヮ一一定制御モードで は、動作モード判定手段 23は、比較器 21からの比較結果が記憶手段 21に格納され る光出力パヮ一一定制御の目標値と一致するように、光減衰量制御手段 25に指示 を与える。光減衰量制御手段 25は、動作モード判定手段 23の指示に従って可変光 減衰手段 10における各チャネル信号に対する減衰量を制御する。
[0023] ここで、以上の基本構成によって実現できる代表的な 2つの動作例について説明
する。システムの立ち上げ時や動作変更時に、監視制御装置 13から通常動作モー ドの指定が入力した場合、光出力パワー制御部 12では、光信号レベルモニタ検出 結果が光出力パワーモニタ一定制御開始閾値を超えないときは、上流に接続された 光分岐挿入装置の動作がまだ安定していないと判断し、可変光減衰手段 10に対し て下流に過大な光信号パワーを出力することがない程度の固定減衰量の設定を行う ことができる。
[0024] その後、光出力パワー制御部 12では、光信号レベルモニタ検出結果が光出力パ ヮーモニタ一定制御開始閾値を超えたことを検出したときには、下流側光伝送路に 送出する波長多重光信号のレベルを平坦化する出力光パヮ一一定制御の目標値に 到達するのに必要な可変減衰量を、入力する波長多重光信号における各光波長信 号に与えるように可変光減衰手段 10を制御する光出力パヮ一一定制御モードに移 行することができる。
[0025] 上記の動作を行うことで、光出力パワー制御部 12では、光出力パヮ一一定制御に 移行するタイミングを監視制御装置 13からの指示を待つことなく自律的に決定するこ とができる。同時に、移行前では下流や他のチャネルに悪影響を及ぼさない程度に 通過光信号レベルを抑圧できる。
[0026] つまり、図 1に示すように、光パワーモニタの検出結果に対して適切な閾値を設け、 その閾値に光信号レベルが達したカゝ否かを判断し、その判断結果を元に各チャネル の光出力パヮ一一定制御への移行の可否を決定するという簡易な構成によって、光 出力パヮ一一定制御の開始時間を短縮できるのみならず、高!、制御信頼性をも得る ことができる。
[0027] また、出力パヮ一一定制御動作をチャネル毎に独立に行うので、波長多重光信号 の各チャネル信号レベルを平坦ィ匕することが容易であり、長距離伝送、多ノード伝送 を行う上で最適なチャネル平坦性を得ることが容易になる。
[0028] 次に、他の動作例として、監視制御装置 13から例えば光出力断の動作モード指定 が入力した場合は、光出力パワー制御部 12では、光信号レベルモニタ検出結果に よらず可変光減衰手段 10を最大通過損失に設定することで、上流から入力される信 号の状態によらず下流に光信号を転送しない設定とすることができる。このような動
作を行うことで、上流にて異常が発生している状態などで下流に悪影響が及ばない ようにすることできる。したがって、光通信ネットワーク全体の信頼性を向上させること ができる。
[0029] 次に、記憶手段 20には、光出力パヮ一一定制御開始閾値として、設定したい動作 に応じて複数の閾値をチャネル毎に格納することができるので、より細かな動作設定 が可能となる。例えば、あるレベルよりも出力パワーが過剰となり、信号品質レベルが 非線形光学効果やクロストークによって劣化する可能性がある場合にその出力パヮ 一過剰の発生を検知するための閾値などである。これによれば、例えば、過大出力 や過小出力をモニタすることで、光信号の断検出や、可変光減衰手段 10の制御異 常などがモニタでき、それらに応じて、光出力を断にする、あるいは、アラームを発生 するなどの動作モード設定を行うことで、光通信ネットワークの信頼性を一層高めるこ とがでさる。
[0030] なお、図 1の構成では、光出力パヮ一一定制御開始閾値は、各チャネル信号に対 して同じ閾値とする場合であるが、各チャネル信号に対して同じ閾値とするか異なる 閾値とするかは、用途や光部品の波長特性などによって決められる。
[0031] 例えば、チャネル毎に光信号レベルのばらつき範囲が大きく異なる光通信システム での用途では、閾値をチャネル毎に異ならせることになる。また、例えば、光信号レべ ルモニタ手段 11におけるパワーモニタ手段の感度がチャネル毎に異なる場合、その 感度のばらつきを補償するため異なる閾値を持たせることが考えられる。
[0032] このように、チャネル毎に異なる閾値を設定したい場合には、記憶手段 20に光出力 パワーモニタ一定制御開始閾値を複数用意し、また比較器 22を複数用意することで 対応することができる。この場合、光信号レベルモニタ手段 11におけるパワーモニタ 手段が出力する各モニタ結果は、図 1では、いわゆるシリアル信号であるので、その シリアル通信ラインに複数の比較器を並列に接続する構成となる。但し、上記した図 示しないインタフェース部を取り払い、つまり、チャネル数分の通信手段を設け、チヤ ネル数分のモニタ結果の信号ラインと複数の比較器とを 1対 1の関係で接続すること でもよい。
[0033] 以上のように、この実施の形態 1によれば、可変光減衰手段に与える減衰量を固定
減衰量から可変減衰量に変更して光出力パヮ一一定制御に移行する動作に関して 外部の監視制御装置力 特別の信号を受けることなぐ簡易な構成によって自律的 動作が可能となるので、光出力パヮ一一定制御への移行速度を高速ィ匕でき、信頼性 の高 ヽ光通信ネットワーク構築を低コストで容易に実現可能な光波長分岐挿入装置 を得ることが可能となる。
[0034] また、設定したい動作に応じて複数の閾値をチャネル毎に用意することができるの で、光通信ネットワークの信頼性を高めるより細かな動作設定が可能となる。
[0035] 実施の形態 2.
図 2は、この発明の実施の形態 2による光波長分岐挿入装置の構成を示すブロック 図である。この実施の形態 1では、通過光信号レベルを平坦化する光出力パヮ一一 定制御に関わる部分の構成例(その 2)が示されている。
[0036] 図 2において、この実施の形態 2による光波長分岐挿入装置は、通過光信号レべ ルを平坦ィ匕する光出力パヮ一一定制御に関わる部分の構成として、波長分波手段 3 0と可変光減衰手段 31と光信号レベルモニタ手段 32と波長合波手段 33と光出力パ ヮー制御部 12— 1一 12— nとを備えている。監視制御装置 35は、当該光波長分岐挿 入装置を統括する装置であるが、この実施の形態による光出力パヮ一一定制御に関 わる構成として、光出力パワー制御部 12— 1一 12— nに対して、動作モードを指定す る機能を備えている。
[0037] 波長分波手段 30は、入力する波長多重光信号を光波長信号 (Ch. 1— Ch. N)に 分波し、それぞれを並列に可変光減衰手段 31に与える。
[0038] 可変光減衰手段 31は、波長分波手段 30が並列に出力する光波長信号と 1対 1の 関係を持つ可変光減衰手段を備え、各可変光減衰手段は、光出力パワー制御部 12 1一 12— nにおける対応する光出力パワー制御部の制御下に、入力する光波長信 号に対してそれぞれ独立に減衰制御が可能な構成になっている。
[0039] 可変光減衰手段 31が並列の出力する光波長信号 (Ch. 1— Ch. N)を受ける光信 号レベルモニタ手段 32は、光分岐手段とパワーモニタ手段とで構成されている。光 分岐手段は、可変光減衰手段 31から並列に入力する光波長信号 (Ch. 1— Ch. N) を個別に 2分岐し、一方の分岐光を波長合波手段 33に与え、他方の分岐光をパヮ
一モニタ手段に与える。パワーモニタ手段は、他方の分岐光である光波長信号 (Ch . 1一 Ch. N)と 1対 1の関係を持つパワーモニタ手段を備え、各パワーモニタ手段は 、入力する光波長信号の光信号レベルをそれぞれモニタし、それぞれそのモニタ結 果を光出力パワー制御部 12— 1一 12— nにおける対応する光出力パワー制御部に与 える。
[0040] 波長合波手段 33は、光信号レベルモニタ手段 32の光分岐手段から入力する光波 長信号 (Ch. 1— Ch. N)を波長多重光信号に合波し下流の光伝送路に送出する。
[0041] 光出力パワー制御部 12— 1一 12— nは、実施の形態 1にて説明した光出力パワー 制御部 12を扱う光波長信号 (Ch. 1— Ch. N)の個数分並列に配置した構成となつ ている。相違点は、この実施の形態 2では、図 2に示すように、実施の形態 1にて説明 した光出力パワー制御部 12での記憶手段 20に代えて記憶手段 36となっている点で ある。この実施の形態 2では、光出力パワー制御部 12— 1一 12— nの各光出力パワー 制御部における記憶手段 36には、対応する波長光信号に対する光出力パヮ一一定 制御開始閾値が格納されている。なお、対応する波長光信号に対して複数の閾値を 持つことは当然可能である。
[0042] この実施の形態 2においても実施の形態 1と同様の作用 ·効果を得ることできる。加 えて、この実施の形態 2では、チャネル毎に個別の可変光減衰手段および光信号レ ベルモニタ手段を設けるので、扱うチャネル数が少ない場合や、必要に応じてチヤネ ル数を増減するような場合に、必要最小限の部品数のみで装置を構成でき、装置コ ストを低減することが可能であるという利点が生じる。
[0043] 実施の形態 3.
図 3は、この発明の実施の形態 3による光波長分岐挿入装置の構成を示すブロック 図である。この実施の形態 3では、光波長分岐挿入装置の分岐、挿入、通過の本来 的な 3機能を実現する構成例が示されている。なお、図 3では、図 2 (実施の形態 2) に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されてい る。ここでは、実施の形態 3に関わる部分を中心に説明する。
[0044] すなわち、図 3に示すように、実施の形態 3による光波長分岐挿入装置では、図 2 ( 実施の形態 2)に示した構成において、光経路切替手段 40が波長分波手段 30と可
変減衰手段 31との間に設けられ、光出力パワー制御部 12— 1一 12— nに代えて光波 長分岐挿入制御機能部 44 1一 44 nが設けられている。
[0045] 光経路切替手段 40は、波長分波手段 30が並列に出力する光波長信号と 1対 1の 関係を持つ光経路切替器を備え、各光経路切替器は、光波長分岐挿入制御機能部 44 - 1一 44 - nの対応する光波長分岐挿入制御機能部の制御下に、入力する光波 長信号に対してそれぞれ独立に分岐動作と通過動作とが可能な構成になっている。
[0046] 光波長分岐挿入制御機能部 44 - 1一 44 - nの各光波長分岐挿入制御機能部では 、光出力パワー制御部 12— 1一 12— nの各光出力パワー制御部において、光経路切 替器制御手段 46が追加され、動作モード設定手段 23に代えて動作モード設定手段 45が設けられている。
[0047] 動作モード設定手段 45は、実施の形態 1にて説明した光出力パヮ一一定制御の 判定動作に加えて、監視制御装置 35からの動作モード指定の内容によって光経路 の切替を判定し、それに基づき光経路切替器制御手段 46に指示を発行する動作を 行うようになっている。光経路切替器制御手段 46は、動作モード設定手段 45の指示 に従って、光経路切替手段 40における対応する光経路切替器を分岐動作状態と通 過動作状態とに制御する。
[0048] また、チャネルの挿入を行う構成として、複数の挿入チャネルを合波する光合波手 段 41と、光合波手段 41の出力光信号と波長合波手段 33の出力光信号とを合波して 下流側に波長多重光信号を出力する光合波手段 42とが追加されている。
[0049] なお、挿入チャネルの光信号レベルは、通過チャネルの光信号レベルと概略同等 にするため、図示しない可変光減衰手段もしくは光増幅手段によって調整する、もし くは光合波手段 42の合波パワー比を非対称な設定とするなどの方策をとることが望 ましい。この光合波手段 42の合波パワー比を非対称な設定とするケースとしては、例 えば、通過チャネルのパワーに対して挿入チャネルのパワーが低い場合に、揷入チ ャネルの挿入損失が小さくなる合波パワー比に設定する。具体的には、光合波手段 42の入力において通過チャネルと挿入シャネルのパワー比が 2 : 1である場合、光合 波手段 42の合波パワー比を 1 : 2に設定する。このようにすれば、光合波手段 42の出 力では、通過チャネルと挿入シャネルの光信号レベルを同等にすることができる。
[0050] 以上の構成によって、各通過チャネルの光信号レベルが一定制御され、且つ、特 定チャネルの分岐もしくは挿入が可能な光波長分岐挿入装置を得ることができる。次 に、図 4を参照して、可変減衰手段 31の制御方法について説明する。なお、図 4は、 図 3に示す光波長分岐挿入装置での可変減衰手段の制御方法の一例を説明するフ ローチャートである。
[0051] 図 4において、装置の立ち上げ、もしくはチャネルの増減設が実施された場合、可 変光減衰手段 31は通過チャネルを遮断した状態で立ち上がる (ステップ ST1)。以 降のステップ ST2— ST6の動作は、監視制御装置 35からの動作モード指定と光信 号レベルモニタ手段 32の検出結果と光出力パヮ一一定制御開始閾値とに基づき行 われる。
[0052] すなわち、監視制御装置 35からの動作モード指定が光経路切替手段を分岐動作 設定する指定である場合 (ステップ ST2 : Yes)には、他チャネル、もしくは、挿入チヤ ネルに悪影響を与えな ヽために通過する漏れ光を遮断するように可変光減衰手段 3 1は遮断設定のままとする (ステップ ST1)。
[0053] また、監視制御装置 35からの動作モード指定が光経路切替手段を通過動作設定 する指定である場合 (ステップ ST2 : No)には、後段の光信号レベルモニタ手段 32に て有意な光信号レベルが検出でき、且つ下流に過大光パワーを出力しないように、 可変光減衰手段 31の減衰量を決められた固定減衰量に設定する (ステップ ST3)。 この状態で、光信号レベルモニタ手段 32の検出結果が光出力パヮ一一定制御開始 閾値を超えた場合 (ステップ ST4: Yes)のみ、通過チャネルの光出力パヮ一一定制 御を開始するように可変光減衰手段 31を制御する (ステップ ST5)。
[0054] 監視制御装置 35から光経路切替手段を分岐動作設定する動作モード指定がない 限り(ステップ ST6 :No)、通過チャネルの光出力パヮ一一定制御を継続し (ステップ ST5)、監視制御装置 35から光経路切替手段を分岐動作設定する動作モード指定 が入力すると (ステップ ST6: Yes)、改めて可変光減衰手段 31を遮断設定とする (ス テツプ ST1)。
[0055] 以上のように、実施の形態 3によれば、光経路切替手段の動作設定と光信号レべ ルモニタ手段の検出結果と光出力パヮ一一定制御開始閾値とに基づき光経路切替
手段と可変光減衰手段の両方を最適制御することで、分岐設定時には下流に悪影 響を及ぼさず、且つ通過設定時には通過チャネルの光信号レベルの平坦化が可能 となり、高速動作、高信頼性に優れた光波長分岐挿入装置を簡易に得ることが可能 となる。
[0056] 実施の形態 4.
図 5は、この発明の実施の形態 4による光波長分岐挿入装置の構成を示すブロック 図である。この実施の形態 4では、この実施の形態による光波長分岐挿入装置をチヤ ネルブロック毎に用意する場合の構成例が示されている。なお、図 5では、図 3 (実施 の形態 3)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が 付されている。ここでは、実施の形態 4に関わる部分を中心に説明する。
[0057] 図 5において、符号 55a, 55bは、光波長分岐挿入機能部であり、図 3 (実施の形態 3)に示した光波長分岐挿入装置である。したがって、図 3 (実施の形態 3)に示した光 波長分岐挿入制御機能部 44 - 1一 44 - nは、単に光波長分岐挿入制御機能部 44と して示してある。
[0058] 光波長分岐挿入機能部 55a, 55bに対して、入力段に波長群分波手段 50が設け られている。波長群分波手段 50は、波長多重光信号を少なくとも二波以上を一つの 波長群として異なる複数の波長群へ分波する機能を持つものであり、その一例として 、この実施の形態 4では、波長多重光信号を偶数チャネルと奇数チャネルとに分波 するとしている。図 5では、光波長分岐挿入機能部 55aが偶数チャネル用となり、光 波長分岐挿入機能部 55bが奇数チャネルとなっている。
[0059] また、出力段には、光波長分岐挿入機能部 55a, 55bの各波長多重光信号を合波 する合波手段 57が設けられている。なお、合波手段 57に代えて、波長群分波手段 5 0と逆特性を有する波長群合波手段を使用してもよいことは言うまでもない。
[0060] 図 5に示す構成によれば、装置導入時は、偶数チャネルのみの運用とし、チャネル 数の増大に合わせて奇数チャネル用の光波長分岐挿入機能部を増設するという使 用方法が可能であるので、初期導入コストを低減し、且つチャネル数のアップグレー ドが容易な光波長分岐挿入装置を得ることができる。
[0061] また、波長群分波手段 50にて偶数チャネルと奇数チャネルとに群分波する構成で
は、後段の光波長分岐挿入機能部 55a, 55bでは、各チャネル群のみを取り扱えば よいので、光波長分岐挿入装置である光波長分岐挿入機能部の構成が容易となると V、う付カ卩的な利点がある。例えば、 100GHz間隔にチャネル配置された光信号を偶 数チャネル群と奇数チャネル群とに分波した場合は、それぞれが 200GHz間隔に配 置されたチャネル群となるので、光波長分岐挿入装置を構成する波長分波手段 30 や波長合波手段 33の構成が容易となり、低コストィ匕が図れる。
[0062] 以上のように、実施の形態 4によれば、この実施の形態による光波長分岐挿入装置 をチャネルブロック毎に用意する構成をとることで、前述した各実施の形態で説明し た利点にカ卩えて、アップグレードが容易であり、且つ多数のチャネルを扱う場合にお いても低コストの光波長分岐挿入装置が構成できるという利点が生じる。
[0063] 実施の形態 5.
図 6は、この発明の実施の形態 5による光波長分岐挿入装置の構成を示すブロック 図である。この実施の形態 5では、以上説明した各実施の形態による光波長分岐挿 入装置の入力段と出力段の双方または一方に、光増幅手段を設ける場合の構成例 が示されている。なお、図 6では、図 4 (実施の形態 4)に示した構成要素と同一ないし は同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態 5に 関わる部分を中心に説明する。
[0064] 図 6に示すように、実施の形態 5による光波長分岐挿入装置では、図 5 (実施の形 態 4)に示した構成において、入力段に光増幅手段 60が設けられ、出力段に光増幅 手段 61が設けられている。なお、光増幅手段は、光波長分岐挿入装置の入力段と 出力段の一方に設ける構成でもよい。
[0065] ここで、図 6に示す構成では、光信号レベルモニタ手段には、当該チャネルの信号 に加えて、光増幅手段 60の自然放出光も入力されるため、光信号レベル一定制御 を開始する閾値を低く設定しすぎると、当該チャネルの信号がまだ到達していないに もかかわらず自然放出光のレベルを制御しょうとする誤動作が発生する可能性があ る。したがって、この実施の形態 5では、正確に通過チャネルの光信号レベル一定制 御を開始できるようにするため、閾値として自然放出光の最大レベルと当該チャネル の最小信号レベルの中間値を設定するようにしている。これによつて、光増幅手段を
併用した場合にも、通過チャネルが光信号レベルモニタ手段に到達したことが識別 可能であり、可変光減衰手段の誤制御を回避することができる。
[0066] この実施の形態 5によれば、図 6に示すように、光波長分岐挿入装置の入出力段に 光増幅手段を追加することで、伝送路や光分岐挿入装置の損失を補償することが可 能となるので、伝送距離の延伸、接続ノード数の増加、チャネル数の増大などを容易 に行うことができるようになる。
[0067] また、以上説明した各実施の形態による光波長分岐挿入装置は、各チャネル当た りの光信号レベルを平坦ィヒする動作を行うので、光増幅手段 60、 61は、利得一定制 御による動作を行うだけで、光増幅手段 61の出力として各チャネルの光信号レベル が平坦化された状態を得ることができ、簡単に伝送距離の延伸、接続ノード数の増加 、チャネル数の増大の効果を得ることができる。
[0068] なお、実施の形態 1一 5において、通過チャネルの光信号レベル一定制御を行うに あたり、光信号レベルモニタ手段の後段に接続された各光部品(例えば、光信号レ ベルモニタ手段 32—光増幅手段 61までの間に配置された光部品)の損失波長特性 を補償するように、光信号レベル一定制御の目標値にチャネル毎にオフセットを持た せるようにしてもよい。これによれば、出力される波長多重光信号の信号レベル平坦 度を向上させることが可能である。
[0069] また、実施の形態 1一 5において、通過チャネルの光信号レベル一定制御開始を 指示するための光パヮ一一定制御開始閾値として、光信号レベルモニタ手段の前段 に接続された各光部品(例えば、光増幅手段 60—光信号レベルモニタ手段 32まで の間に配置された光部品)の損失波長特性を補償するように、閾値にオフセットを持 たせるようにしてもよい。これによれば、光部品の性能ばらつきをオフセットで吸収し、 検出閾値に対する可変光減衰手段のダイナミックレンジを有効に活用することが可 能となり、可変光減衰手段の制御可能範囲を容易に増大させることができる。
産業上の利用可能性
[0070] 以上のように、この発明にかかる光波長分岐挿入装置は、伝送距離の延伸、通過ノ ード数の増大を可能にする光通信ネットワークの構築に有用である。