明 細 書
半導体装置の製造方法およびこれを用いて形成された半導体装置 技術分野
[0001] 本発明は半導体装置の製造方法およびこれを用いて形成された半導体装置に係 り、特に誘電体薄膜におけるプロセスダメージのリカノリー技術に関する。
背景技術
[0002] 半導体装置の高速化'低消費電力化には、層間絶縁膜の低誘電率化が重要な課 題である。そして低誘電率ィ匕を目的として種々の工夫がなされており、本発明者らは 、空孔が規則的に配列された誘電体薄膜を提案している (特許文献 1参照)。
[0003] また、誘電体薄膜の改質方法として、 Si— O結合力もなる誘電体薄膜に、有機ケィ 素化合物を接触させ、金属触媒を用いることなく熱処理することにより疎水性と機械 強度の向上を図る方法も提案されている (特許文献 2)。
[0004] し力しながらこのような誘電体薄膜は、空孔率が高ぐ低誘電率ィ匕をは力ることがで きるものの、実際の半導体装置に用いる場合、種々の処理プロセスを経ることになる 。このため、空孔率が高く低誘電率の誘電体薄膜を形成することができたとしても、空 孔率が高いために、パター-ング工程をはじめ、後続の各プロセスにおいて、空孔内 にエッチング残渣等が付着して、比誘電率の上昇を招いたり、機械的強度の低下を 招 、たりすることが多々あった。
[0005] 例えば、半導体基板表面に配線構造を形成する技術の一例として、ダマシンプロ セスと呼ばれる技術がある。
[0006] このダマシンプロセスの一例について説明する。
[0007] まず、図 27 (a)に示すように、素子領域の形成されたシリコン基板 101の表面に図 27 (b)に示すようにエッチングストッパ 102として膜厚 50nm程度の窒化シリコン(Si N)膜を形成し、この上層に図 27 (c)に示すように、低誘電率の誘電体薄膜 103とし てポーラスシリカ膜を形成する。
[0008] 成膜に際しては、まず界面活性剤として陽イオン型のセチルトリメチルアンモ -ゥム ブロマイド(CTAB : C H N+(CH ) Br— )と、シリカ誘導体としてテトラエトキシシラン(
TEOS :Tetraethoxy Silane)と、酸触媒としての塩酸(HC1)とを、 H O/アルコール混
2
合溶媒に溶解して形成した前駆体 (プレカーサ一)溶液を第 1の配線層(図示せず) の形成された基板を浸せきし、 30から 150°Cで 1時間乃至 120時間保持することによ りシリカ誘導体を加水分解重縮合反応で重合させて (予備架橋工程)、界面活性剤 の周期的な自己凝集体を形成する。そして基板を引き上げ、水洗、乾燥を行った後 、 400°Cの大気中または窒素雰囲気中で 3時間加熱 *焼成し、铸型の界面活性剤を 完全に熱分解除去して純粋なメゾポーラスシリカ薄膜を形成する。
[0009] このようにして、得られた誘電体薄膜 103をパターユングし、コンタクト孔を形成する わけであるが、図 28 (d)に示すように反射防止層 104として有機榭脂膜を形成した 後、フォトレジスト R1を塗布する。
[0010] そして、図 28 (e)に示すようにフォトリソグラフィによりパターン露光、現像工程を経 てレジストパターン R1を形成する。
[0011] この後図 29 (f)に示すように、レジストパターン R1をマスクとして誘電体薄膜 103を エッチングし、配線溝を形成する。
[0012] そして後図 29 (g)に示すように、レジストパターン R1および反射防止膜 104をアツ シングにより除去する。
[0013] 続いて図 30 (h)に示すように、エッチングカ卩ェによる配線溝側壁の CF系堆積膜を 除去するとともに、ダメージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の 清浄化がなされる。
[0014] そして清浄化された表面に PVD (Physical Vapor Deposition)、 CVD (Chemical Vapor Deposition)あるいは ALD (Atomic Layer Deposition)法などにより拡散防 止ノリア膜 105としての窒化タンタル (TaN)や、 TaNZTa積層膜や Ta膜や WN膜 など、銅めつき用のシード膜 106としての銅薄膜を形成する(図 30 (i) )。
[0015] この後図 31 (j)に示すように、電解めつき法により Cuシード膜 106上に配線層 107 としての銅めつき層を形成する。
[0016] そして最後に、図 31 (k)に示すように、 CMPにより表面の平坦化を行い、余分な銅 めっき層およびシード膜 105を研磨除去し、配線溝内への配線層の形成を行い、最 後に図 31 (1)に示すように、キャップ膜としての SiN膜 108を形成する。
[0017] なおここでシード膜 105の形成に先立ちノ リア層を形成している場合には、銅めつ き層 107およびシード膜(106)を研磨除去した領域のノ リア層 105も除去する。
[0018] このようにして平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
[0019] し力しながら、実際には、設計値どおりの誘電率を得ることはできず、リーク電流が 発生したり、また機械的強度が低下して CMPによる十分な平坦ィ匕ができなくなつたり することがあった。
[0020] 種々の実験結果から、本発明者らは以下のことを発見した。
[0021] すなわち、このようなメゾポーラス薄膜が、成膜直後に機械的強度が十分に高く低 誘電率の誘電体薄膜として有効な特性をもつように形成することができたとしても、実 際の半導体デバイスの製造に際しては、パター-ングのためのエッチング工程ゃレ ジストの剥離工程など、種々の工程が必要となる。これらパターユングのためのエッチ ング工程やレジストの剥離工程など、種々の工程が必要となる。これら誘電体薄膜の エッチング工程においても、レジストの除去工程においても誘電体薄膜はエッチング ガスをはじめとする反応性雰囲気に曝されることになる。
[0022] このため、せつ力べ形成した空孔率の高いポーラス薄膜の空孔率が低下したり、表 面に水分などが付着し易いことから、半導体装置の層間絶縁膜として十分な特性を 得ることができな 、ものと考えられる。
[0023] このように、誘電体薄膜 103のエッチング工程(図 29 (f) )におけるダメージ、レジス トパターンの剥離工程 (アツシング工程図 29 (g) )におけるダメージにより、誘電体薄 膜は劣化し、本来の特性を発揮することができな力つた。
[0024] また、エッチング残渣除去のための有機洗浄(図 30 (h) )におけるダメージ、さらに は CMP工程後のダメージ(図 31 (k) )など、誘電体薄膜は成膜後の種々のプロセス においてダメージを受けることが多ぐ機械的強度の低下、剥離、ひいてはリーク電 流の発生などの問題があった。
[0025] このようにメゾポーラス薄膜は空孔率が高ぐ低誘電率をもつ反面、空孔内に水など の浸入が生じ易ぐまた気相からの汚染も生じ易ぐ実際に半導体デバイスの製造に 層間絶縁膜として用いる場合には、誘電率や強度において設計どおりの値を得るの は極めて困難であった。
特許文献 1 :特開 2003— 17482号公報
特許文献 2:特開 2004— 210579号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0026] このように従来の半導体製造プロセスでは、十分に層間絶縁膜の誘電率を下げる ことができず、また、機械的強度も充分でないという問題があった。
[0027] また、半導体装置の微細化に伴い前述したようなダマシン構造のみならず表面の 平坦ィ匕は進む一方であり、層間絶縁膜等の絶縁膜の CMP耐性はもはや必須の要 件となっていることが多い。 CMP耐性を十分に発揮させるためには、所望の弾性率 と硬度とを具有する必要があった。
[0028] 本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、十分に誘電率が低くかつ機械的強度 の高い (層間絶縁膜を備えた)半導体装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0029] そこで本発明の半導体装置の製造方法では、所望の素子領域の形成された半導 体基板表面に、 Si— O結合を主成分とする骨格の周りに多数の空孔が配置された誘 電体薄膜を成膜する工程と、前記誘電体薄膜表面に、マスクを介してパターニング する工程と、パターユングのなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテト ラシロキサン (TMCTS)、 へキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン (T MCS)分子のうちの少なくとも 1種を含むガスを接触させる工程とを含む。
[0030] 力かる方法によれば、 Si— O結合を主成分とする骨格の周りに多数の空孔が配置 された誘電体薄膜で絶縁膜を構成できることから、空気の誘電率は低!ヽため誘電率 を大幅に低下せしめることができ、さらにこの空孔に起因して生じるプロセスダメージ に対しては、 TMCTS、 HMDS, TMCS分子のうちの少なくとも 1種を含むガスを接 触させることにより、プロセスダメージを受けた場合にも良好な回復状態(リカノリー) を得ることで、成膜直後の絶縁膜の極限的な低誘電率を維持することが可能となり、 機械的強度が高ぐ信頼性の高い絶縁膜を得ることが可能となる。
[0031] また、レジストアツシングなどの工程でダメージを受けた場合にも回復可能であるた め、ハードマスクを用いることなくレジストマスクを用いてパター-ング可能であること
から低コスト化、およびパターン精度の向上をは力ることができる。
[0032] ここでダメージを受けるとは、 Si-CH結合→Si- OH結合、 Si- H結合→Si- OH結合、 Si
3
- O- Si結合→2Si-OH結合のように結合が変化する、あるいは、ー且、ラジカルが形成 されて力 Si-OH結合に変化する事、あるいは、配線形成プロセスにより H 0が吸着
2 するサイトを新たに形成する事を指す。
[0033] これにより、電気特性や経時安定性等が劣化するものと考えられる。
[0034] そこで、この回復のための処理工程すなわちリカバリー処理工程は、処理工程で用 いたチャンバ一内でガスを置換することにより容易に実現できるため、作業性も良好 である。すなわち、これは、ダメージを受けて形成された Si— OH結合がリカノリーブ ロセスにより Si— CH結合、 Si— O— Si結合あるいは Si— H結合のように結合が変化
3
する事を指す。また、 Si— H結合あるいは Si— OH結合を介して新たに Si— CH結
3 合や Si— O— Si結合が付与されることによつても、電気特性や経時安定性を改善す ることがでさる。
[0035] ここで適用可能な誘電体薄膜としては、ポーラスシリカ膜、ゼォライト膜、 HSQ膜、 MSQ膜、等であり、成膜方法としても、塗布'焼成法に限らず、 CVD法などの気相 成長法を用いてもよい。例えば SiOC、 SiOCH、 SiCN、 SiCO膜もまた必要に応じ て、 TMCTSや HMDSや TMCS等のシリカ誘導体にて疎水化した膜である。
[0036] ここでリカノリー処理に用いるシリカ誘導体は単独で用いてもよいしまた、連続、同 時、交互など複数種のシリカ誘導体の組合せも適用可能である。
[0037] また、 TMCTSを用いたリカノリー処理により、疎水性及び電気特性だけでなぐ機 械強度、界面密着性も向上する。
[0038] さらにリカノリー処理は高濃度特に超臨界 TMCTSリカバリー処理であるのが望ま しい。これは HMDS、 TMCS等のシリカ誘導体の場合も同様である。
[0039] さらに、 TMCTSリカノリー処理は配線形成プロセス時の保護にも適用可能である
[0040] 加えてこのリカバリー処理方法は、熱ァニール以外に、プラズマ CVD処理であって もよい。また光照射を付加することにより、より反応性が向上し、リカノリー効果が高め られる。
[0041] また低温下での形成が可能であるため、集積回路の層間絶縁膜として用いる場合 にも下地に影響を与えることなく信頼性の高い絶縁膜を形成することが可能となる。 5 00°C以上の加熱工程を得ることなく形成することができるため、アルミニウム配線を用 いる場合にも適用可能である。
[0042] また、この誘電体薄膜は前駆体溶液の供給および焼成によって形成することができ るため、微細な領域にも高精度のパターン形成を行うことが可能であるため、信頼性 の向上を図ることが可能となる。
[0043] さらにまた、前駆体溶液の濃度を調整することにより空孔度は適宜変更可能であり 、極めて作業性よく所望の誘電率の絶縁体薄膜を形成することが可能となる。
[0044] 従って、低容量絶縁膜を容易に形成することができ、寄生容量の低減をはかり、半 導体装置の高速ィ匕を図ることが可能となる。
[0045] ここで TMCTS (1、 3、 5、 7—テトラメチルシクロテトラシロキサン((SiH (CH ) ) O
3 4 4
) )の分子式は、次式に示すごとくである。
[0046] [化 1]
また HMDS (へキサメチルシラザン((CH ) SiNHSi (CH ) ) )の分子
3 3 3 3
式は、次式に示すごとくである。
[0047] [化 2]
そして TMCS (トリメチルクロロシラン((CH ) SiCl)の分子式は、次式
3 3
示すごとくである。
CH3 ヽ CI
CH3
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターニングする工程が、前記 成膜工程で得られた前記誘電体薄膜表面にレジストマスクを形成する工程と、前記 レジストマスクを介して前記誘電体薄膜をエッチングする工程とを含む。
[0049] この方法によれば、レジストアツシングなどのダメージを生起する工程を含みつつも 、リカノくリー処理を行なうようにしているため、ハードマスクを形成することなくレジスト マスクでパター-ングすることができ、パターンの転写精度が高く高精度のパターン 形成が可能である上、工数が少なく製造が容易である。
[0050] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターニングする工程が、前記 成膜工程で得られた前記誘電体薄膜表面にハードマスクを形成する工程と、前記ハ ードマスクを介して前記誘電体薄膜をエッチングする工程とを含み、前記誘電体薄 膜をエッチングする工程に先立ち、ハードマスクのパター-ング用のレジストを剥離 除去する工程を含むものを含む。
[0051] この方法によれば、工数が増大するものの、誘電体薄膜に直接レジストが接触する のを防止し、アツシングによる誘電体薄膜の劣化を防止することができる。
[0052] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記剥離除去する工程の後、前記誘 電体薄膜をエッチングする工程に先立ち、テトラメチルシクロテトラシロキサン (TMC TS)、へキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン (TMCS)分子のうちの 少なくとも 1種を含むガスを接触させる工程を含む。
[0053] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記エッチングする工程の後、前記 ハードマスクの除去された前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサ ン(TMCTS)、へキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン (TMCS)分 子のうちの少なくとも 1種を含むガスを接触させる工程を含む。
[0054] なお、前記ハードマスクはそのままデバイスの絶縁膜として用いるようにしてもよ!ヽ 1S 除去してもよい。除去する場合には除去後にもハードマスクの除去された誘電体 薄膜表面に上記ガスを接触させるようにすればよりリカノ リー性が向上する。
[0055] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記ハードマスクは 2層膜であり、下 層側のハードマスクを残した状態でレジストをアツシングし、上層側のハードマスクを マスクとして用いて下層側のハードマスクをエッチングする工程を含む。
[0056] この方法によれば、工数が増大するものの、誘電体薄膜に直接レジストが接触する のを確実に防止し、アツシングによる誘電体薄膜の劣化を防止することができる。また このハードマスクを誘電体薄膜で構成することにより、除去することなくそのまま絶縁 膜として用いることも可能である。
[0057] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターユングする工程が、配線 形成用の溝を形成する工程であり、前記溝内に導電体層を形成する工程を含み、前 記導電体層を形成する工程に先立ち、前記配線形成用の溝の形成された前記誘電 体薄膜表面を洗浄する工程と、前記洗浄のなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラ メチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、 へキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチ ルクロロシラン (TMCS)分子のうちの少なくとも 1種を含むガスを接触させる工程を含 む。
[0058] 上記洗浄工程は CFなどのエッチング残渣を除去するのが目的であり有機洗浄の
ほか
プラズマを用いたドライプロセスによる洗浄も適用可能である。
[0059] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記導電体層を形成する工程は、前 記配線形成用の溝にめっき用のシード層を形成する工程と、前記シード層上に電解 めっきを行いめつき層を形成する工程と、 CMP工程により、前記誘電体膜上のめつ き層およびシード層を除去する工程とを含む。
[0060] この方法によれば信頼性の高いダマシン配線構造が形成可能である。なおシード 層の形成に先立ち拡散ノリア層を形成するようにしてもよい。この方法は銅めつき層 を用いる場合により有効である。
[0061] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記除去する工程の後、前記誘電体 薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン (TMCTS)、へキサメチルシラザン( HMDS)、トリメチルクロロシラン (TMCS)分子のうちの少なくとも 1種を含むガスを接 触させる工程を含む。
[0062] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターユングする工程は、コンタ タト形成用のスルーホールを形成する工程であり、前記スルーホール内に導電体層 を形成する工程を含み、前記導電体層を形成する工程に先立ち、前記スルーホー ルの形成された前記誘電体薄膜表面を有機洗浄する工程と、前記有機洗浄のなさ れた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン (TMCTS)、へキサ メチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン (TMCS)分子のうちの少なくとも 1 種を含むガスを接触させる工程を含む。
[0063] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記マスクの形成に先立ち、前記成 膜された前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン (TMCTS)、へ キサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン (TMCS)分子のうちの少なくと も 1種を含むガスを接触させる工程を含む。
[0064] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記誘電体薄膜を成膜する工程が、 シリカ誘導体と界面活性剤を含み、所望の空孔が形成されるような組成比をもつよう に前駆体溶液を生成する工程と、前記前駆体溶液を昇温し、架橋反応を開始する予 備架橋工程と、前記予備架橋工程で架橋反応の開始された前記前駆体溶液を前記
半導体基板表面に供給する工程と、前記前駆体溶液が接触せしめられた前記半導 体基板を焼成し、前記界面活性剤を分解除去する工程とを含む。
[0065] また、本発明の半導体装置の製造方法では、シリカ誘導体と界面活性剤を含み、 所望の空孔が形成されるような組成比をもつように前駆体溶液を生成する工程と、前 記前駆体溶液を前記半導体基板表面に供給する工程と、前記前駆体溶液が接触せ しめられた前記半導体基板を加熱し、架橋反応を開始する予備架橋工程と、前記半 導体基板を焼成し、前記界面活性剤を分解除去する工程とを含む。
[0066] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程が、前記半導体基 板を前駆体溶液に浸せきする工程であるものを含む。
[0067] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程が、前記半導体基 板を前記前駆体溶液に浸せきし、所望の速度で引き上げる工程を含むものを含む。
[0068] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程が、前記前駆体溶 液を前記半導体基板上に塗布する工程であるものを含む。
[0069] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程は、前記前駆体溶 液を前記半導体基板上に滴下し、前記基板を回転させる回転塗布工程であるものを 含む。
[0070] また、本発明の半導体装置の製造方法では、前駆体溶液は、空孔が周期的に配 列されるように調製されるものを含む。また、非周期的に空孔が配列されるようにして ちょい。
[0071] また本発明の半導体装置は、上記方法を用いて形成されたコンタクト孔を有する誘 電体薄膜と、前記コンタ外孔に充填された導電性膜とを具備して 、る。
[0072] また本発明の半導体装置は、半導体基板表面に形成された前記誘電体薄膜のコ ンタクト孔に充填された前記導電性膜は前記半導体基板にコンタクトするように形成 される。
[0073] また本発明の半導体装置は、前記誘電体薄膜はポーラスシリカ薄膜であり前記コン タクト孔内に形成された銅薄膜が配線層を構成する。
[0074] また本発明の半導体装置は、前記ポーラスシリカ薄膜が、 0. 05〜2 μ mである。
[0075] また本発明の半導体装置は、前記ポーラスシリカ薄膜は、キュービック構造の細孔 を有し、前記細孔の少なくとも一部が閉塞されている。
[0076] また本発明の半導体装置は、前記細孔は、 0. 2〜2. 5nmの壁間隔をもつように形 成されている。
発明の効果
[0077] 本発明の方法によれば、リカノ リー処理により高品質の絶縁膜を提供することがで きる。
図面の簡単な説明
[0078] [図 1]本発明の実施の形態 1のプロセスを示すフローチャート図、
[図 2]本発明の実施の形態 1の半導体装置の製造工程を示す図
[図 3]本発明の実施の形態 1の半導体装置の製造工程を示す図
[図 4]本発明の実施の形態 1の半導体装置の製造工程を示す図
[図 5]本発明の実施の形態 1の半導体装置の製造工程を示す図
[図 6]本発明の実施の形態 1の半導体装置の製造工程を示す図
[図 7]本発明の実施の形態で用いられるリカノ リー工程を示す説明図
[図 8]本発明の実施の形態で用いられるプロセス種別を示す図
[図 9]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 10]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 11]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 12]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 13]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 14]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 15]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 16]本発明の実施の形態 1で用いられるリカノ リー処理による効果の説明図
[図 17]本発明の実施の形態 2の半導体装置の製造工程を示す図
[図 18]本発明の実施の形態 2の半導体装置の製造工程を示す図
[図 19]本発明の実施の形態 2の半導体装置の製造工程を示す図
[図 20]本発明の実施の形態 2の半導体装置の製造工程を示す図
圆 21]本発明の実施の形態 2の半導体装置の製造工程を示す図
圆 22]本発明の実施の形態 3の半導体装置の製造工程を示す図
圆 23]本発明の実施の形態 3の半導体装置の製造工程を示す図
圆 24]本発明の実施の形態 3の半導体装置の製造工程を示す図
圆 25]本発明の実施の形態 3の半導体装置の製造工程を示す図
圆 26]本発明の実施の形態 3の半導体装置の製造工程を示す図
[図 27]従来例の半導体装置の製造工程を示す図
[図 28]従来例の半導体装置の製造工程を示す図
[図 29]従来例の半導体装置の製造工程を示す図
[図 30]従来例の半導体装置の製造工程を示す図
圆 31]従来例の半導体装置の製造工程を示す図
符号の説明
[0079] 101 シリコン基板
102 エッチングストッパ層
103 誘電体薄膜
104 反射防止膜
105 拡散バリア膜
106 シード膜
107 銅めつき膜
108 キャップ膜
201 酸化シリコン膜
202 窒化シリコン膜
301 炭化シリコン膜
発明を実施するための最良の形態
[0080] 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説 明する。(実施の形態 1)
本発明の実施の形態 1として、この誘電体薄膜を半導体装置の層間絶縁膜として 用いたシングルダマシン配線構造の製造方法にっ 、て説明する。
[0081] この方法は、図 1にフローチャート、図 2 (a)乃至図 6 (i)に製造工程図を示すように 、シングルダマシン配線構造の層間絶縁膜をメゾポーラスシリカ薄膜からなる誘電体 薄膜で形成し、プロセスごとにプロセスダメージを回復するために TMCTS分子に接 触させるリカバリー処理工程 (ステップ T106、 T108、 T110、 T114)を含むことを特 徴とする。
[0082] プロセスとしては上述した従来のプロセスにお!/、てプロセスごとにプロセスダメージ を回復するためのリカノ リー処理工程を付加した点が異なるのみで他は上記図 27乃 至図 31に示したシングルダマシン配線構造の製造プロセスと同様である。
[0083] 図 7はここで用いるリカバリープロセスのタイムチャートであり、窒素 Ν2を供給しなが ら 15分間で室温力も 400°Cまで昇温し、次 、で 400°Cで窒素を流しながら 30分維持 した後、窒素の供給を停止して真空吸引を行い 0. 4Pa以下にして 20分維持した後 、 TMCTS/Nの混合ガスを供給する。最初 30分間は 0. 7gZmin、後の 60分間は
2
1. 4gZminで供給する。このとき圧力は 24kPaとした。
[0084] ここで最初の窒素ガスの供給工程で、チャンバ一内の残留ガスを窒素置換し、この 後真空にして TMCTSZNの混合ガスを供給し、 TMCTS/Nの混合ガスを流しな
2 2
がら、リカバリー処理を行なう。
[0085] 以下、図 1のフローチャート、図 2 (a)乃至図 6 (i)を参照しつつ実際のシングルダマ シン配線構造の形成工程にっ 、て説明する。
[0086] まず、図 2 (a)に示すように、素子領域の形成されたシリコン基板 101の表面に図 2
0 (b)に示すようにエッチングストッパ 102として膜厚 50nm程度の窒化シリコン(SiN) 膜を形成し、この上層に図 2 (c)に示すように、低誘電率の誘電体薄膜 103としてポ 一ラスシリカ膜を形成する(図 1 : S101、 S102)。
[0087] 成膜に際しては、従来と同様に界面活性剤として陽イオン型のセチルトリメチルアン モ-ゥムブロマイド(CTAB: C H N+ (CH ) Br— )と、シリカ誘導体としてテ
16 33 3 3
トラエトキシシラン (TEOS :Tetraethoxy Silane)と、酸触媒としての塩酸(HC1)とを、 H 0/アルコール混合溶媒に溶解して形成した前駆体 (プレカーサ一)溶液を配線層 (
2
図示せず)の形成された基板を浸せきし、 30から 150°Cで 1時間乃至 120時間保持 することによりシリカ誘導体を加水分解重縮合反応で重合させて (予備架橋工程)、
界面活性剤の周期的な自己凝集体を形成する。そして基板を引き上げ、水洗、乾燥 を行った後、 400°Cの大気中(窒素:酸素 =4 : 1)で 3時間加熱.焼成し、铸型の界面 活性剤を完全に熱分解除去して誘電体薄膜 103として純粋なメゾポーラスシリカ薄 膜を形成する。
[0088] この時点で、上記図 7で説明した TMCTS処理を行い、膜の耐性を高める(図 1 : S 103)
このようにして、得られた誘電体薄膜 103をパターユングし、コンタクト孔を形成する わけであるが、図 3 (d)に示すように反射防止層 104として有機榭脂膜を形成した後
、フォトレジスト R1を塗布する(図 1 : S104)。
[0089] そして、図 3 (e)に示すようにフォトリソグラフィによりパターン露光、現像工程を経て レジストパターン R1を形成する(図 1: S105)。
[0090] この後、レジストパターン R1をマスクとして誘電体薄膜 103をエッチングし、配線溝
Tを形成する(図 1 : S106)。
[0091] そして、図 7に示した処理工程を実施し、誘電体薄膜のエッチングによるダメージを 含む表面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行 ない、溝側壁のリカノくリーを行なう(図 4 (f)図 1 :T107)。
[0092] そして、レジストパターン R1をアツシングにより除去するとともに反射防止膜 104を エッチングにより除去する(図 1: S 108)。
[0093] 再度、図 7に示した処理工程を実施し、レジストパターン R1のアツシングによるダメ ージを含む表面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処 理を行なう(図 4 (g)、図 1 :T109)。
[0094] 続いて、エッチングカ卩ェによる配線溝側壁の CF系堆積膜を除去するとともに、ダメ ージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の清浄化がなされる(図 1
: S110)。
[0095] そしてさらに、図 7に示した処理工程を実施し、有機溶媒による洗浄に起因するダメ ージを含む表面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処 理を行なう(5 (h)、図 1 :T111)。
[0096] そして清浄ィ匕された表面に PVDあるいは CVD法などにより拡散防止ノリア膜 105
としての窒化タンタル (TaN)、銅めつき用のシード膜 106としての銅薄膜を形成する
(図 5 (i) ) (図 1 : S112)。
[0097] この後図 6 (j)に示すように、電解めつき法により Cuシード膜上に配線層 107として の銅めつき層を形成する(図 1 : S113)。
[0098] そして最後に、 CMPにより表面の平坦化を行い、余分な銅めつき層およびシード 膜 105を研磨除去する(図 1: S114)。
[0099] そしてさらに、図 7に示した処理工程を実施し、 CMPに起因するダメージを含む表 面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行なう(図
6 (k)ゝ図 1 :T115)。
[0100] 最後に、配線溝内への配線層の形成を行い、図 6 (1)に示すように、最後にキャップ 膜としての SiN膜を形成し、特性評価を行なう(図 1: S116)。
[0101] このようにしてほぼ設計値どおりの誘電率を得ることができ、寄生容量も十分に小さ ぐリーク電流もなぐ信頼性が高ぐ平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
[0102] また、リカノリー処理により各プロセスによるダメージを回復することにより、ハードマ スクを用いることなく直接レジストパターンをマスクとしてパターユングすることによって も十分な特性を維持することができる。従って、より高度のノターン精度を得ることが できる。
[0103] また、十分に機械的強度の高い誘電体薄膜を得ることができるため、 CMPにより十 分な平坦ィ匕が可能となる。
[0104] 次にこのリカノリー処理の効果を検証するための実験を行なった結果を示す。
[0105] 図 8は、各処理工程を示す、符号と処理の対応表である。
[0106] まず各処理工程後の膜厚変化について測定した結果を説明する。
(膜厚の変化について)
図 9に示すように Refとして成膜直後に TMCTS処理を行なった図 2 (c)の工程後 の誘電体薄膜 103の膜厚の平均値は 327nmであった。
[0107] アツシング工程は図 8に A1で示すように CF /Oアツシング処理後、 Oアツシン
4 2 2 グを行なう工程、 A2で示すように CF /Oアツシングを行なう工程、 A3で示すよう
4 2
に Oアツシングを行なう工程の 3種類について行なった。そして各アツシング工程後
に、図 7に示したような TMCTS分子を用いたリカノリー処理 (T)を行なった結果を、 A1 +Tゝ Α2+Τゝ A3 +Τで示した。
[0108] その結果、 CF /Οアツシング (Al、 Α2)によって膜厚が 10%程度低下してい
4 2
るものの、 Al +T、 Α2+Τで示すリカバリー処理後のものは若干ではあるが膜厚が 減少していることがわかる。
[0109] また Οアツシング (A3)では膜厚に関してはほとんどダメージはなく変化はないが
2
A3 +Τで示すリカノリー処理後のものは若干ではあるが膜厚が減少していることが ゎカゝる。
[0110] さらにまた、有機洗浄処理 (WC)による膜厚の影響についても測定した。
[0111] その結果、有機洗浄処理によって膜厚の変化はほとんどないが、 wc +τで示すリ カバリー処理後のものについては、膜厚がわずかに減少していることがわかる。
[0112] さらに ArZC F /Oを用いたハーフエッチング工程における処理後の状態を HE
5 8 2
で示している力 膜厚は減少しており、 HE+Tで示すリカバリー処理後のものについ ても膜厚はわずかに減少して 、ることがわ力る。
(屈折率の変化について)
次に屈折率について測定した結果を図 10に示す。
[0113] 図 10に示すように Refとして成膜直後に TMCTS処理を行なった図 2 (c)の工程後 の誘電体薄膜 103の屈折率は 1. 202であった。
[0114] アツシング工程は同様に、図 8に A1で示すように CF /Oアツシング処理後、 O
4 2 2 アツシングを行なう工程、 A2で示すように CF /Oアツシングを行なう工程、 A3で
4 2
示すように Oアツシングを行なう工程の 3種類について行なった。そして各アツシング
2
工程後に、図 7に示したような TMCTS分子を用いたリカノリー処理 (T)を行なった 結果を、 Al +T、 A2+T、 A3 +Tで示した。
[0115] その結果、 CF /Οアツシング (Al、 Α2)によって屈折率は減少している力 A
4 2
1 +T、 Α2+Τで示すリカバリー処理後のものは屈折率は増大しており、 TMCTSの 取り込みにより膜密度が増大して 、ることがわ力る。
[0116] また Οアツシング (A3)では膜厚に関しては屈折率が増大しており、これは疎水性
2
の劣化に起因するものと考えられる。そして Α3+Τで示すリカノリー処理後のものは
さらに屈折率が増大している。
[0117] さらにまた、有機洗浄処理 (WC)による屈折率の影響についても測定した。
[0118] その結果、有機洗浄処理によって屈折率の変化はほとんどなぐ WC+Tで示すリ カバリー処理後のものにっ ヽてもほとんど変化はな 、。
[0119] さらに ArZC F /Oを用いたハーフエッチング工程における処理後の状態を HE
5 8 2
で示している力 屈折率の変化はほとんどなぐ HE +Tで示すリカバリー処理後のも のにつ ヽても屈折率の変化はほとんどな 、。
(比誘電率 (k値)の変化にっ ヽて)
次に比誘電率につ!、て測定した結果を図 11に示す。
[0120] 図 11に示すように Refとして成膜直後に TMCTS処理を行なった図 2 (c)の工程後 の誘電体薄膜 103の比誘電率は、空気中で 2. 35、窒素雰囲気中では 2. 19であつ た。図 11中左側は空気中、右側は窒素雰囲気中での測定値を示す。
[0121] アツシング工程は同様に、図 8に A1で示すように CF /Oアツシング処理後、 O
4 2 2 アツシングを行なう工程、 A2で示すように CF /Oアツシングを行なう工程、 A3で
4 2
示すように Oアツシングを行なう工程の 3種類について行なった。そして各アツシング
2
工程後に、図 7に示したような TMCTS分子を用いたリカノリー処理 (T)を行なった 結果を、 Al +T、 A2+T、 A3 +Tで示した。
[0122] 各プロセスにおいて k値は劣化しており、リカノリー処理により大幅に回復し、有機 洗净とハーフエッチングではリカノリー処理により初期値以下に回復している。
[0123] すなわち、図 12に比誘電率の変化率を示すように、各アツシング工程 (Al、 A2、 A 3)によって比誘電率は 9〜28%増大しており、有機洗浄 (WC)では 9%増大、 HEで は 4%増大している力 Al +T、 A2+T、 A3+Tで示すリカバリー処理後のものは 比誘電率は 23〜68%回復していることがわかる。
(面内分布)
次に、比誘電率の面内分布について測定した結果を図 13 (a)および (b)に示す。 図 13 (a)は各処理後、図 13 (b)はリカバリー処理後の比誘電率 (k値)を示し、横軸 は中心からの距離 (mm)を示す。
[0124] 各プロセス後の k値劣化に顕著な軸方向依存性 (面内分布)はみられず Oアツシン
グを含むアツシング処理 Al、 A3ではウェハエッジ部で劣化が小さ!/、ことがわ力る。 (リーク電流)
次に、この誘電体薄膜のリーク電流を測定した結果を図 14 (a)および (b)に示す。 図 14 (a)は各処理後、図 14 (b)はリカバリー処理後のリーク電流を示し、横軸は電場 の大きさ(MVZcm)を示す。
[0125] 有機洗浄 (WC)では、リーク電流はほとんど変わらず、劣化はみられないものの、ァ ッシング工程 (Al、 A2、 A3)と HE工程でリーク電流は増大する。これに対しリカバリ 一処理 (T)を行なった結果、 Al +T、 A2+T、 A3+T、 HE +Tで示すように、大幅 に回復していることがわかる。
(弾性率、硬度)
次に、この誘電体薄膜の弾性率および硬度を測定した結果を図 15 (a)および (b) に示す。
[0126] 図 15 (a)および図 15 (b)は各処理後およびリカノリー処理後の弾性率 (E値)およ び硬度 (H値)の変化率を測定した結果を示す。図 15 (c)は各測定データを示す。
(硬度、弾性率と比誘電率との関係)
次に、硬度、弾性率と比誘電率との関係を示すために、この誘電体薄膜の硬度お よび弾性率と比誘電率との関係を測定した結果を図 16 (a)および (b)に示す。
[0127] 図 16 (b)において成膜直後の誘電体薄膜の弾性率と k値に対応する Ew= 17. 5
GPaの直線よりも k値が小さいものすなわち、左側にあるものが改善された膜である 力 この図から明らかなように、リカバリー処理後のものは全て左側に存在し、良好な 特性を発揮して ヽることがわかる。
(実施の形態 2)
前記実施の形態 1ではレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜に溝を形成する 工程を含む半導体装置の製造工程について説明したが、本実施の形態では、 2層 構造のハードマスクを用いた溝の形成について説明する。本実施の形態でも同様に シングルダマシン配線構造の製造方法について説明する。
[0128] この方法は、図 17 (a)乃至図 21 (n)に製造工程図を示すように、ハードマスクとし て酸ィ匕シリコン膜 201と窒化シリコン膜 202の 2層構造マスクを用いた点が異なるの
みで他は前記実施の形態 1で説明したものと同様であり、シングルダマシン配線構造 の層間絶縁膜をメゾポーラスシリカ薄膜からなる誘電体薄膜で形成し、プロセスごと にプロセスダメージを回復するために TMCTS分子に接触させるリカノ リー処理工程 を含むことを特徴とする。
[0129] 本実施の形態では、 2層構造のハードマスクを用いているため、誘電体薄膜が露呈 してダメージを受ける工程は誘電体薄膜自体のエッチング工程(図 20 (i) )と、エッチ ング後の有機洗浄工程(図 20 (j) )とであり、この 2工程の後にリカノ リー処理工程を 実行するようにしたことを特徴とする。またリカバリープロセスについては図 7に示した タイムチャートに従って、実行するものとする。
[0130] 以下、図 17 (a)乃至図 21 (n)を参照しつつ 2層構造のハードマスクを用いたシング ルダマシン配線構造の形成工程について説明する。
[0131] まず、図 17 (a)乃至 (c)に示すように、前記実施の形態 1と同様、素子領域の形成 されたシリコン基板 101の表面に、エッチングストッパ 102として膜厚 50nm程度の窒 化シリコン (SiN)膜を形成し、この上層に、低誘電率の誘電体薄膜 103としてポーラ スシリカ膜を形成する。
[0132] そして図 17 (d)に示すように、 CVD法により酸ィ匕シリコン膜 201および窒化シリコン 膜 202を形成し 2層構造のハードマスクを形成する。
[0133] この後同様にして図 18 (e)に示すように、反射防止層 104として有機榭脂膜を形成 した後、フォトレジスト R1を塗布する。
[0134] そして、図 18 (f)に示すように前記実施の形態 1と同様に、フォトリソグラフィによりパ ターン露光、現像工程を経てレジストパターン R1を形成する。
[0135] この後、図 19 (g)に示すように、第 1層目のハードマスクである酸ィ匕シリコン膜 201 を残して反射防止膜 104と窒化シリコン膜 202のみをパターユングする。
[0136] そして、図 19 (h)に示すように、この酸ィ匕シリコン膜 201を残した状態でレジストパタ ーン R1を Oアツシングにより除去する。このとき誘電体薄膜 103は Oプラズ
2 2
マに触れることがないためダメージはほとんどないが、わずかに酸ィ匕シリコン膜 201を 介してダメージを受けることがあるため、望ましくは、アツシング後に図 7に示したリカ ノ リー処理を行なうのが望ましい。
[0137] この後、下層側のハードマスクである酸ィ匕シリコン膜 201と誘電体薄膜 103とを連続 してエッチングする。そして、図 7に示した処理工程を実施し、誘電体薄膜のエツチン グによるダメージを含む表面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リ カバリー処理を行ない、溝側壁のリカノくリーを行なう(図 20 (i) )。
[0138] 続いて、エッチングカ卩ェによる配線溝側壁の CF系堆積膜を除去するとともに、ダメ ージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の清浄化がなされ、そし てさらに、図 7に示した処理工程を実施し、有機溶媒による洗浄に起因するダメージ を含む表面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を 行なう(20①)。
[0139] そして清浄ィ匕された表面に PVDあるいは CVD法などにより拡散防止ノリア膜 105 としての窒化タンタル (TaN)、銅めつき用のシード膜 106としての銅薄膜を形成する (図 20 (k)。
[0140] 以下の工程は、誘電体薄膜 103の上層にハードマスクとして用いた酸ィ匕シリコン膜 201と窒化シリコン膜 202とが積層された状態で残っている以外は、前記実施の形態 1と同様である。
[0141] このようにして、各処理工程を実行した後、図 21 (1)乃至 (n)の工程を経て、配線溝 内への配線層の形成を行い、最後にキャップ膜としての SiN膜を形成し、特性評価 を行なう。
[0142] このようにしてほぼ設計値どおりの誘電率を得ることができ、寄生容量も十分に小さ ぐリーク電流もなぐ信頼性が高ぐ平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
[0143] 本実施の形態では 2層構造のハードマスクを用いているため、プロセスダメージは 若干小さい。
(実施の形態 3)
前記実施の形態 2では 2層構造のハードマスクをマスクとして層間絶縁膜に溝を形 成する工程を含む半導体装置の製造工程について説明したが、本実施の形態では 、単層構造のハードマスクを用いた溝の形成について説明する。本実施の形態でも 同様にシングルダマシン配線構造の製造方法について説明する。
[0144] この方法は、図 22 (a)乃至図 26 (n)に製造工程図を示すように、ハードマスクとし
て炭化シリコン膜 301を用いた点が異なるのみで他は前記実施の形態 2で説明した ものと同様であり、シングルダマシン配線構造の層間絶縁膜をメゾポーラスシリカ薄 膜からなる誘電体薄膜で形成し、プロセスごとにプロセスダメージを回復するために T MCTS分子に接触させるリカノ リー処理工程を含むことを特徴とする。
[0145] 本実施の形態では、 1層構造のハードマスクを用いているため、 2層構造のハード マスクを用いた場合に比べて、レジストパターンのアツシング工程(図 24 (h) )におい て誘電体薄膜が露呈している点で、ダメージを受ける工程が増え、レジストパターン のアツシング工程後についてもリカノ リー処理工程が必須となる。またこの後、実施の 形態 2と同様、誘電体薄膜自体のエッチング工程 (図 25 (j) )と、エッチング後の有機 洗浄工程(図 25 (k) )とであり、この 2工程の後にリカノ リー処理工程を実行する。ま たリカバリープロセスについては図 7に示したタイムチャートに従って、実行するものと する。
[0146] 以下、図 22 (a)乃至図 26 (n)を参照しつつ単層構造のハードマスクを用いたシン ダルダマシン配線構造の形成工程について説明する。
[0147] まず、図 22 (a)乃至 (c)に示すように、前記実施の形態 1、 2と同様、素子領域の形 成されたシリコン基板 101の表面に、エッチングストッパ 102として膜厚 40nm程度の 窒化シリコン (SiN)膜を形成し、この上層に、低誘電率の誘電体薄膜 103としてポー ラスシリカ膜を形成する。
[0148] そして図 22 (d)に示すように、 CVD法により炭化シリコン膜 (SiC) 301を形成し単 層構造のハードマスクを形成する。このハードマスクの材料としては SiCのほか SiOC
、 SiOなどを適用可能である。
[0149] この後同様にして図 23 (e)に示すように、反射防止層 104として有機榭脂膜を形成 した後、フォトレジスト R1を塗布する。
[0150] そして、図 23 (f)に示すように前記実施の形態 1、 2と同様に、フォトリソグラフィによ りパターン露光、現像工程を経てレジストパターン R1を形成する。
[0151] この後、図 24 (g)に示すように、反射防止膜 104とハードマスクである炭化シリコン 膜 301をパターニングする。
[0152] そして、レジストパターン R1を Oアツシングにより除去する。このとき Oプラズマによ
り、誘電体薄膜表面がダメージを受けるため、アツシング後に図 7に示したリカノリー 処理を行なう(図 24 (h) )。
[0153] この後、下層側のハードマスクである炭化シリコン膜 301と誘電体薄膜 103とを連続 してエッチングする。そして、図 7に示した処理工程を実施し、誘電体薄膜のエツチン グによるダメージを含む表面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リ カバリー処理を行ない、溝側壁のリカノくリーを行なう(図 25 (i) )。
[0154] 続いて、エッチングカ卩ェによる配線溝側壁の CF系堆積膜を除去するとともに、ダメ ージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の清浄化がなされ、そし てさらに、図 7に示した処理工程を実施し、有機溶媒による洗浄に起因するダメージ を含む表面に TMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を 行なう(25①)。
[0155] そして清浄ィ匕された表面に PVDあるいは CVD法などにより拡散防止ノリア膜 105 としての窒化タンタル (TaN)、銅めつき用のシード膜 106としての銅薄膜を形成する (図 25 (k) )。
[0156] 以下の工程は、(図 26 (1)乃至 (n)に示すように、 )誘電体薄膜 103の上層にハード マスクとして用いた炭化シリコン膜 301が積層された状態で残っている以外は、前記 実施の形態 1、 2と同様である。
[0157] このようにして、各処理工程を実行した後、配線溝内への配線層の形成を行い、最 後にキャップ膜としての SiN膜を形成し、特性評価を行なう。
[0158] このようにしてほぼ設計値どおりの誘電率を得ることができ、寄生容量も十分に小さ ぐリーク電流もなぐ信頼性が高ぐ平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
[0159] 本実施の形態で単層構造のハードマスクを用いているため、プロセスダメージは 2 層構造のハードマスクよりは若干大き 、がリカノリー処理により回復可能である。
[0160] なお、前駆体溶液の組成につ!ヽては、前記実施形態の組成に限定されることなぐ 溶媒を 100として、界面活性剤 0. 01から 0. 1、シリカ誘導体 0. 01から 0. 5、酸触媒
0から 5とするのが望ましい。力かる構成の前駆体溶液を用いることにより、円柱状の 空孔を有する低誘電率絶縁膜を形成することが可能となる。
[0161] また、前記実施形態では、界面活性剤として陽イオン型のセチルトリメチルアンモニ
ゥムブロマイド(CTAB : C H N+(CH ) Br-)を用いた力 これに限定されるとなぐ
16 33 3 3
他の界面活性剤を用いてもょ 、ことは言うまでもな 、。
[0162] ただし、触媒として Naイオンなどのアルカリイオンを用いると半導体材料としては、 劣化の原因となるため、陽イオン型の界面活性剤を用い、触媒としては酸触媒を用 いるのが望ましい。酸触媒としては、 HC1の他、硝酸 (HNO )、硫酸 (H SO )、燐酸
3 2 4
(H PO )、 H SO等を用いてもよい。或いは非イオン型の界面活性剤を用いても良
3 4 4 4
い。
[0163] またシリカ誘導体としては、 TEOSに限定されることなぐテトラメトキシシラン (TMO
S: Tetramethoxy Silane)などのシリコンアルコキシド材料を用いるのが望まし!/、。
[0164] また溶媒としては水 H 0/アルコール混合溶媒を用いた力 水のみでもよい。
2
[0165] さらにまた、焼成雰囲気としては大気雰囲気を用いた力 減圧下でも、窒素雰囲気 中でもよい。望ましくは窒素と水素の混合ガス力もなるフォーミングガスを用いることに より、耐湿性が向上したり或いは膜のミクロな電気的欠陥が補修される事により、リー ク電流の低減を図ることが可能となる。
[0166] また、界面活性剤、シリカ誘導体、酸触媒、溶媒の混合比については適宜変更可 能である。
[0167] さらに、予備重合工程は、 30から 150°Cで 1時間乃至 120時間保持するようにした 力 望ましくは、 60から 120°C、更に望ましくは 90°Cとする。
[0168] また、焼成工程は、 400°C1時間とした力 300°Cから 500°Cで 1乃至 5時間程度と してもよい。望ましくは 350°C力ら 450°Cとする。
[0169] なお、前記実施形態では、スピナ一を用いた塗布方法につ!、て説明した力 刷毛 で塗布するいわゆる刷毛塗り法も適用可能である。
[0170] また、リカノ リー対象となる膜としてはポーラスシリカ膜の他ゼオライト膜、 HSQ膜、
MSQ膜、あるいは必要に応じて TMCTS、 HMDS,あるいは TMCSなどのシリカ誘 導体で疎水化処理を行なったものについても適用可能である。
[0171] またリカバリー処理は酸系、有機酸系、塩素系、ウエット系、ドライ系、などのエッチ ングプロセスに適用可能である。
[0172] カロえて、前記実施形態では、シングルダマシン配線構造に用いられるの層間絶縁
膜について説明したが、アルミニウム配線を用いた多層配線構造にも適用可能であ ることはいうまでもない
また、本発明で用いられる誘電体薄膜は、主として Si— o結合力もなる誘電体薄膜 であって、部分的に有機元素が含まれていてもよい。 Si— O結合力もなるとは、 1つ の Si原子に少なくとも 2つ以上の O原子が結合し、その O原子を介して他の Si原子が 結合されている構造力 なることを言い、それ以外は特に限定されない。例えば、部 分的に、ケィ素に水素、ハロゲン、アルキル基やフエニル基、あるいはこれらを含む 官能基が結合されて ヽてもよ ヽ。
[0173] 誘電体薄膜中の Siと Oの割合は XPSによる元素分析で確認され、 0. 5≤Si/0 ( 原子比)≤1. 0の範囲にあり、 Siの重量分率力 0重量%以上であることが好ましい。 また、 Si— Oの結合は IRにより確認できる。一般的なものとしては、シリカ、水素化シ ルセスキォキサン、メチルシルセスキォキサン、水素化メチルシルセスキォキサン、ジ メチルシロキサンなど力もなる薄膜があげられる。
[0174] また、本発明の誘電体薄膜は、その表面を、メチル基、水素基等を有する一般に知 られた表面処理剤であらカゝじめ処理されたものであってもよい。例えば、へキサメチ ルジシラザン(HMDS)、トリメチルシリルクロライド (TMSC)、あるいはモノシランなど で処理された誘電体薄膜も使用できる。
[0175] 本発明において用いられる誘電体薄膜は、メソ孔を有するものであることが好ましい 。また、平均細孔径は 0. 5nm〜10nmの範囲にあることが好ましい。この範囲であれ ば、後述する処理により、十分な機械強度と低誘電率を両立させて達成することがで きる。
[0176] 一般的には、薄膜の平均細孔径は 3検体全自動ガス吸着量測定装置オートソープ —3B型 (カンタクローム社製)を使用して測定することができる。この場合の測定は、 液体窒素温度下(77K)における窒素吸着法で実施され、比表面積は BET法、細孔 分布は BJH法により求めることができる。
[0177] 本発明において用いられる誘電体薄膜は、上記のものであれば特に限定されない 1S その製造方法により分けると、(1)アルコキシシランをゾルゲル法により成膜して 多孔質ィ匕した薄膜、(2)シリカゾルと有機化合物を自己組織化させ、成膜後有機化
合物を除去することで多孔質ィ匕した薄膜、(3)基板表面にゼォライトを結晶成長させ ることで多孔質ィ匕した薄膜などを挙げることができる。
[0178] これらの製造方法に用いられる誘電体薄膜に関して以下に説明する。
(1)アルコキシシランをゾルゲル法により成膜して多孔質ィ匕した薄膜
この方法では、多孔質化した薄膜を得るために、その製造方法は特に限定されな
V、が、具体的には以下の例のようにして製造することができる。
[0179] まず、成膜するための塗布液を調製する。塗布液は、それぞれ後述するような成分 であるアルコキシシラン、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加して、 0°C
〜70°C、好ましくは 30〜50°Cで、数分〜 5時間、好ましくは 1〜3時間攪拌して得る ことができる。はじめに、上記各成分について説明する。
(ァノレコキシシラン)
誘電体薄膜の製造に用いられるアルコキシシランは、特に限定されるものではない 1S 具体例としてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラ ン、テトラブチルシラン等の 4級アルコキシシラン;トリメトキシフルォロシラン、トリェトキ シフルォロシラン、トリイソプロポキシフルォロシラン、トリブトキシフルォロシラン等の 3 級アルコキシフルォロシラン; CF (CF ) CH CH Si(OCH )、 CF (CF ) CH CH Si
3 2 3 2 2 3 3 3 2 5 2 2
(OCH )、 CF (CF ) CH CH Si(OCH )、 CF (CF ) CH CH Si(OCH )、(CF ) C
3 3 3 2 7 2 2 3 3 3 2 9 2 2 3 3 3 2
F(CF ) CH CH Si(OCH )、(CF ) CF(CF ) CH CH Si(OCH )、(CF ) CF(CF )
2 4 2 2 3 3 3 2 2 6 2 2 3 3 3 2 2
CH CH Si(OCH )、 CF (C H )CH CH Si(OCH )、 CF (CF ) (C H )CH CH S
8 2 2 3 3 3 6 4 2 2 3 3 3 2 3 6 4 2 2 i(OCH )、 CF (CF ) (C H )CH CH Si(OCH )、 CF (CF ) (C H )CH CH Si(OC
3 3 3 2 5 6 4 2 2 3 3 3 2 7 6 4 2 2
H )、 CF (CF ) CH CH SiCH (OCH )、 CF (CF ) CH CH SiCH (OCH )、 CF
3 3 3 2 3 2 2 3 3 2 3 2 5 2 2 3 3 2 3
(CF ) CH CH SiCH (OCH )、 CF (CF ) CH CH SiCH (OCH )、(CF ) CF(CF
2 7 2 2 3 3 2 3 2 9 2 2 3 3 2 3 2
) CH CH SiCH (OCH )、(CF ) CF(CF ) CH CH SiCH (OCH )、(CF ) CF(C
2 4 2 2 3 3 2 3 2 2 6 2 2 3 3 2 3 2
F ) CH CH SiCH (OCH )、 CF (C H )CH CH SiCH (OCH )、 CF (CF ) (C H
2 8 2 2 3 3 2 3 6 4 2 2 3 3 2 3 2 3 6
)CH CH SiCH (OCH )、 CF (CF ) (C H )CH CH SiCH (OCH )、 CF (CF ) (
4 2 2 3 3 2 3 2 5 6 4 2 2 3 3 2 3 2 7
C H )CH CH SiCH (OCH )、 CF (CF ) CH CH Si(OCH CH )、 CF (CF ) CH
6 4 2 2 3 3 2 3 2 3 2 2 2 3 3 3 2 5
CH Si(OCH CH )、 CF (CF ) CH CH Si(OCH CH )、 CF (CF ) CH CH Si(
2 2 2 3 3 3 2 7 2 2 2 3 3 3 2 9 2 2
OCH CH )等のフッ素含有アルコキシシラン;トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメ
2 3 3
チルシラン、トリメトキシェチルシラン、トリエトキシェチルシラン、トリメトキシプロビルシ ラン、トリエトキシプロビルシラン等の 3級アルコキシアルキルシラン;トリメトキシフエ- ルシラン、トリエトキシフエニルシラン、トリメトキシクロ口フエニルシラン、トリエトキシクロ 口フエ-ルシラン等の 3級アルコキシァリールシラン;トリメトキシフエネチルシラン、トリ エトキシフエネチトリエトキシフエネチルシラン等の 3級アルコキシフエネチルシラン;ジ メトキシジメチルシラン、ジェトキシジメチルシラン等の 2級アルコキシアルキルシラン 等が挙げられる。これらのうちでは、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。
[0180] これらのアルコキシシランは、 1種単独でも 2種以上を組み合わせても用いることが できる。
[0181] (触媒)
塗布液の調製に用いられる触媒としては、酸触媒またはアルカリ触媒から選ばれる 少なくとも 1種を使用することができる。
[0182] 酸触媒としては、無機酸および有機酸を挙げることができ、無機酸としては、例えば 塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸、臭化水素酸などを挙げることができる。ま た、有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、へキサン酸 、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シユウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸 、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、ァラキドン酸、シキミ酸、 2— ェチルへキサン酸、ォレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、 安息香酸、 P ァミノ安息香酸、 p トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノク ロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロ口酢酸、トリフルォロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン 酸、フタル酸、フマル酸、クェン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、ィタコン酸、メサコ ン酸、シトラコン酸、リンゴ酸などを挙げることができる。
[0183] アルカリ触媒としては、アンモ-ゥム塩および窒素含有ィ匕合物を挙げることができ、 アンモニゥム塩としては、例えば水酸ィ匕テトラメチルアンモニゥム、水酸ィ匕テトラェチ ルアンモニゥム、水酸化テトラプロピルアンモニゥム、水酸化テトラプチルアンモニゥ ムなどを挙げることができる。窒素含有ィ匕合物としては、例えばピリジン、ピロール、ピ ペリジン、 1ーメチルピペリジン、 2—メチルピペリジン、 3—メチルピペリジン、 4ーメチ ルピペリジン、ピぺラジン、 1ーメチルピペラジン、 2—メチルピペラジン、 1, 4 ジメチ
ルピペラジン、ピロリジン、 1 メチルピロリジン、ピコリン、モノエタノールァミン、ジェ タノールァミン、ジメチルモノエタノールァミン、モノメチルジェタノールァミン、トリエタ ノールァミン、ジァザビシクロオタテン、ジァザビシクロノナン、ジァザビシクロウンデセ ン、 2 ピラゾリン、 3 ピロリン、キヌキリジン、アンモニア、メチルァミン、ェチルァミン 、プロピルァミン、ブチルァミン、 N, N ジメチルァミン、 N, N ジェチルァミン、 N, N ジプロピルァミン、 N, N ジブチルァミン、トリメチルァミン、トリエチルァミン、トリ プロピルァミン、トリブチルァミンなどを挙げることができる。
(溶媒)
塗布液調製に使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、 n プロパ ノール、 i プロパノール、 n—ブタノール、 iーブタノール、 sec ブタノール、 tーブタ ノーノレ、 n—ペンタノ一ノレ、 i—ペンタノ一ノレ、 2—メチノレブタノ一ノレ、 sec ペンタノ一 ル、 t—ペンタノール、 3—メトキシブタノール、 n—へキサノール、 2—メチルペンタノ ール、 sec へキサノール、 2—ェチノレブタノ一ノレ、 sec へプタノール、ヘプタノ一 ルー 3、 n—ォクタノール、 2 ェチルへキサノール、 sec—ォクタノール、 n—ノ -ルァ ルコール、 2, 6 ジメチルヘプタノ一ルー 4、 n—デカノール、 sec ゥンデシルアル コーノレ、トリメチノレノニノレアノレコーノレ、 sec テトラデシノレアノレコーノレ、 sec ヘプタテ シノレアノレコーノレ、フエノール、シクロへキサノール、メチルシクロへキサノール、 3, 3, 5—トリメチルシクロへキサノール、ベンジルアルコール、フエ-ルメチルカルビノール 、ジアセトンアルコール、タレゾールなどのモノアルコール系溶媒;エチレングリコール 、 1, 2 プロピレングリコール、 1, 3 ブチレングリコール、ペンタンジオール 2, 4 、 2—メチルペンタンジオール 2, 4、へキサンジオール 2, 5、ヘプタンジオール 2, 4、 2 ェチルへキサンジオール 1, 3、ジエチレングリコール、ジプロピレング リコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アル コール系溶媒;アセトン、メチルェチルケトン、メチルー n—プロピルケトン、メチルー n ーブチルケトン、ジェチルケトン、メチルー iーブチルケトン、メチルー n ペンチルケ トン、ェチルー n—ブチルケトン、メチルー n—へキシルケトン、ジー iーブチルケトン、 トリメチルノナノン、シクロへキサノン、 2 へキサノン、メチルシクロへキサノン、 2, 4— ペンタンジオン、ァセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、ァセトフエノン、フェンチヨ
ンなどのケトン系溶媒;ェチルエーテル、 i—プロピルエーテル、 n—ブチルエーテル 、 n—へキシルエーテル、 2—ェチルへキシルエーテル、エチレンォキシド、 1, 2—プ ロピレンォキシド、ジォキソラン、 4—メチルジォキソラン、ジォキサン、ジメチルジォキ サン、エチレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノェチノレエーテ ノレ、エチレングリコーノレジェチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノー n—ブチノレエー テノレ、エチレングリコーノレモノー n—へキシノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノフエ ニノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノー 2—ェチノレブチノレエーテノレ、エチレングリコ 一ノレジブチノレエーテノレ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ 一ノレモノェチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレジェチノレエーテノレ、ジエチレングリコ ールモノー n ブチルエーテル、ジエチレングリコールジー n—ブチルエーテル、ジ エチレングリコールモノー n—へキシルエーテル、エトキシトリグリコーノレ、テトラエチレ ングリコーノレジー n—ブチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、プ ロピレングリコーノレモノェチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノプロピノレエーテノレ、 プロピレングリコーノレモノブチノレエーテル、ジプロピレングリコーノレモノメチノレエーテ ル、ジプロピレングリコーノレモノェチノレエーテル、トリプロピレングリコーノレモノメチノレ エーテル、テトラヒドロフラン、 2—メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジ ェチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸ェチル、 γ ブチロラタトン、 γ バレロラクト ン、酢酸 η プロピル、酢酸 i プロピル、酢酸 n—ブチル、酢酸 i—ブチル、酢酸 sec ーブチル、酢酸 n ペンチル、酢酸 sec ペンチル、酢酸 3—メトキシブチル、酢酸メ チルペンチル、酢酸 2—ェチルブチル、酢酸 2—ェチルへキシル、酢酸ベンジル、酢 酸シクロへキシル、酢酸メチルシクロへキシル、酢酸 n—ノ -ル、ァセト酢酸メチル、ァ セト酢酸ェチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコー ルモノェチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジェチ レングリコーノレモノェチノレエーテノレ、酢酸ジエチレングリコーノレモノー n—ブチノレエー テル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエ チルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリ コールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジ プロピレングリコールモノェチルエーテル、ジ酢酸ダリコール、酢酸メトキシトリグリコー
ル、プロピオン酸ェチル、プロピオン酸 n—ブチル、プロピオン酸 iーァミル、シユウ酸 ジェチル、シユウ酸ジー n—ブチル、乳酸メチル、乳酸ェチル、乳酸 n—ブチル、乳 酸 n—ァミル、マロン酸ジェチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジェチルなどのエステ ル系溶媒; N—メチルホルムアミド、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジェチル ホルムアミド、ァセトアミド、 N—メチルァセトアミド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N- メチルプロピオンアミド、 N—メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒などを挙げることが できる。
[0185] 溶媒は、これら力 選ばれる 1種単独でも 2種以上を組み合わせても使用することが できる。
[0186] これらの各成分の添加方法は任意であり、添加順序も特に制限されな 、が、好まし くは、アルコキシシランへの水の添加は、アルコキシシランの加水分解、脱水縮合を 制御するために、二回に分けて行うのがよい。 1回目の水の添加では加水分解、脱 水縮合を完了させないために水 Zアルコキシシランのアルコキシ基(モル比) =0. 1 〜0. 3で、好ましくは 0. 2〜0. 25で添カ卩するのがよい。 2回目の水添カ卩は任意でよ いが、好ましくは水 Zアルコキシシランのアルコキシ基(モル比) = 1〜10で添加する のがよい。 1回目と 2回目の水添加の間の時間は特に制限はなく任意に設定できる。 添加する触媒量は反応を促進させることができる程度であればよぐ好ましくはアルコ キシシラン:触媒 = 1 : 0. 1〜0. 001のモル比で添加する。溶媒で希釈する場合は おおよそ 1〜: L00倍、好ましくは 3〜20倍に希釈して用いる。
[0187] これらのアルコキシシラン、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加して数 分〜 5時間程度攪拌して得られた塗布液を、基板に塗布し、誘電体薄膜の前駆体を 得る。薄膜の多孔質ィ匕の条件は、用いる溶媒やアルコキシシランの種類を変えること により制御でき、乾燥、焼成による溶媒の蒸発、あるいは加水分解で生じるアルコー ル成分の除去により細孔が形成され、誘電体薄膜が得られる。
[0188] 基板に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップ コート法等の一般的な方法が挙げられる。スピンコート法の場合、スピナ一上に基板 を置き、該基板上に試料を滴下し、 500〜: LOOOOrpmで回転させることにより、薄膜 表面が平滑性に優れる均一な膜厚の誘電体薄膜が得られる。
[0189] 溶媒やアルコキシシランの加水分解で生じるアルコール成分の除去のために行う 乾燥、焼成において、乾燥条件は特に限定されず、溶媒やアルコール成分が蒸発 できればよい。焼成条件も特に限定されず、焼成により薄膜中のシラノール基の縮合 力 Sさらに促進されていればよい。したがって、焼成雰囲気も、大気中、不活性ガス中、 真空中のいずれでも行うことができる。但し、薄膜中に Hやメチル基などが存在する 場合にはこれらが分解しない温度で焼成することが望ましい。具体的には、 250〜4 50°Cの範囲で、窒素中での焼成が好ましい。
[0190] また、表面張力の小さい有機溶媒や超臨界流体により、溶媒やアルコキシシランの 加水分解で生じるアルコール成分を除去することもできる。特に、圧力と温度を調節 し表面張力がない超臨界流体による除去は、薄膜の細孔がつぶれず、非常に多孔 質なものが得られるので好まし!/、。
[0191] このような製造方法では、誘電体薄膜は、自立した状態、または基板に固着した状 態で得られる。得られた薄膜の細孔は、薄膜の断面 TEM観察や細孔分布測定によ り、平均細孔径で 0. 5ηπ!〜 lOnmを有することを確認することができる。また、薄膜 の厚さは製造条件によっても異なる力 おおよそ 0. 05〜2 mの範囲である。
[0192] (2)アルコキシシランをゾルゲル法により成膜する際にシリカゾルと有機化合物を自 己組織化させ、成膜後有機化合物を除去することで多孔質化した薄膜
アルコキシシランをゾルゲル法により成膜する際にシリカゾルと有機化合物を自己 組織化させ、成膜後有機化合物を除去することで多孔質ィ匕した薄膜は、上述の(1) の薄膜の製造において、アルコキシシランを用いて塗布液を調製する過程で、さらに 細孔形成剤 (铸型)として、例えば界面活性剤のような有機化合物を添加した塗布液 から得られる。
[0193] 上記界面活性剤としては、通常、長鎖アルキル基および親水基を有する化合物を 使用することができる。長鎖アルキル基としては、好ましくは炭素原子数 8〜24のもの 、さらに好ましくは炭素原子数 12〜18のものが望ましぐまた、親水基としては、例え ば、 4級アンモ-ゥム塩の基、アミノ基、ニトロソ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等 が挙げられ、なかでも 4級アンモ-ゥム塩の基、またはヒドロキシル基であることが望ま しい。
[0194] そのような界面活性剤として具体的には、一般式
C H (N(CH ) (CH ) ) (CH ) N(CH ) C H X
n 2n+l 3 2 2 m a 2 b 3 2 L 2L+1 1+a
(式中、 aは 0〜2の整数、 bは 0〜4の整数、 nは 8〜24の整数、 mは 0〜12の整数、 Lは 1〜24の整数であり、 Xはハロゲン化物イオン、 HSO —または 1価の有機ァ-ォ
4
ンである。 )で表されるアルキルアンモ-ゥム塩の使用が好まし!/、。
[0195] 上記一般式で表される界面活性剤は、塗布液中でミセルを形成し、規則的に配列 する。本発明においては、このミセルが铸型となって、アルコキシシランの加水分解、 脱水縮合で得られるシリカと界面活性剤とが複合体をつくる。次いで、铸型の界面活 性剤を除去することにより均一で規則的な配列の細孔を有する誘電体薄膜を調製す ることがでさる。
[0196] また、界面活性剤としては、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物も使用で きる。ポリアルキレンオキサイド構造としてはポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレ ンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリプチレンオキサイド構造な どが挙げられる。
[0197] このようなポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物として具体的には、ポリオキ シエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシブ チレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンァノレキノレエーテノレ 、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテルなど のエーテル型化合物;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシェチ レンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタ ン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど のエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
[0198] 本発明において、界面活性剤は、以上カゝら選ばれる 1種単独でも 2種以上を組み 合わせても用いることができる。
[0199] アルコキシシランと触媒、および水の添加比率は上述の(1)の場合と同様であるが 、界面活性剤の添力卩量はアルコキシシランに対するモル比で 0. 002-0. 6倍である ことが好ましぐさらに好ましくは 0. 005-0. 15倍である。上記界面活性剤の添加さ れる際の形態は問われず、固体状態、液体状態、溶媒に溶解した状態の何れの形
態であってもよい。
[0200] 上記界面活性剤とアルコキシシランとの組み合わせ、モル比などを変えることにより 、上記(2)の方法に従い、 2D—へキサゴナル構造、 3D—へキサゴナル構造、キュ 一ビック構造などの周期的な細孔構造を有する誘電体薄膜を製造することができる。
[0201] このような誘電体薄膜を得るには、前記のようにして調製された塗布液を、上述した
(1)の方法と同様に、基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成または有機溶媒に よる抽出により界面活性剤を除去すればよい。得られた誘電体薄膜の細孔は、薄膜 の断面 TEM観察や細孔分布測定により、平均細孔径 Inn!〜 10nmを有することを 確認することができる。また、 2D—へキサゴナル構造、 3D—へキサゴナル構造、キュ 一ビック構造などの周期的な細孔構造を有する場合には、 X線回折 (CuK a )により 、面間隔が 1. 3nm〜13nmの範囲の回折ピークを確認することができる。
[0202] 得られた誘電体薄膜がキュービック構造の細孔を有し、特に、細孔内に細孔壁の 離間距離が 1〜40A、好ましくは 2〜25 Aの範囲の細孔狭部を有する場合には、後 述する処理によって、該狭部は容易に閉塞することができ、細孔狭部の少なくとも一 部が閉塞された誘電体薄膜を得ることができる。このような細孔狭部の大きさの測定 は、電子線構造解析法において確認される。このようにして得られる誘電体薄膜は疎 水性に優れ、さらに半導体材料に用いた場合には、ノリアメタルの拡散を防止するこ とのできる誘電体薄膜とすることができる。
[0203] この細孔狭部を有する誘電体薄膜は、キュービック構造を有する誘電体薄膜のほ 力に、細孔内に狭部が形成された 2D—へキサゴナル構造や 3D—へキサゴナル構 造を有する誘電体薄膜でも得られる。
[0204] 例えば、界面活性剤とシリコーンオイルとの存在下で、アルコキシシランを部分的に 加水分解、脱水縮合することにより、塗布液を調製する。この場合、界面活性剤とシリ コーンオイルとを予め混合して混合溶液を調製し、それを部分的に加水分解、脱水 縮合されているアルコキシシランに添加することが好ましい。ここで部分的に加水分 解、脱水縮合されているとは、混合溶液がゲル化せずに流動化する状態をいう。一 般的には粘度が 105poiseを超えるとゲルイ匕したとみなせるのでこれ以下の状態であ る。
[0205] このように塗布液を調製することにより、シリコーンオイルを中心として界面活性剤が 配列し、ミセルを形成すると考えられる。その後、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた 後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、ミセルの中心部に取り込まれたシリ コーンオイルが誘電体薄膜の細孔内表面に付着した状態で残留するため、上述の 狭部を形成すると考えられる。
[0206] 上記シリコーンオイルとしては、特に限定されないが、ポリジメチルシロキサンを主 成分とする有機ケィ素化合物が挙げられる。そのようなものとして、トリメチルシロキシ 末端ポリジメチノレシロキサン、ポリフエニノレシロキサンとポリジメチノレシロキサンのコポ リマー、ポリフエニルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリ 3 , 3, 3—トリフルォロプロピルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、 ポリエチレンォキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリプロピレンォキシドと ポリジメチノレシロキサンのコポリマー、ポリエチレンォキシドとポリプロピレンォキシドと ポリジメチルシロキサンのコポリマー、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒ ドリドシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、シラノール末端ポリジメチルシ ロキサン等が挙げられる。
[0207] 本発明において用いられるシリコーンオイルは、これらの中力 選ばれる 1種単独で も 2種以上を組み合わせても用いることができる。
[0208] シリコーンオイルの添カ卩量は、アルコキシシランの 100重量部に対して、好ましくは 1〜: LOO重量部、さらに好ましくは 5〜50重量部の範囲である。シリコーンオイルの添 加量を上記範囲にすることにより、細孔内に狭部が形成された誘電体薄膜を容易に 調製することができる。
[0209] 細孔狭部の少なくとも一部が閉塞された誘電体薄膜において、細孔狭部が閉塞さ れたこと、および疎水性の向上は、後述する比誘電率測定と薄膜断面の TEM観察 をすることで確認される。
[0210] (3)基板表面にゼォライトを結晶成長させることで多孔質ィ匕した薄膜
基板表面にゼォライトを結晶成長させることでも多孔質ィ匕した薄膜が得られる。その 製造法は特に限定されないが、具体的には例えば以下のように製造することができる
[0211] (A)アルコキシシランゃコロイダルシリカなどをシリカ源とし、有機アミンを铸型にし て水熱合成することによって得られるゼォライトの微結晶を含有する塗布液を、基板 に塗布し、乾燥、焼成して製造する。
[0212] (B)アルコキシシランゃコロイダルシリカなどをシリカ源とし、有機アミンを铸型にし て水熱合成することによって得られるゼォライトの微結晶を含有する塗布液に、界面 活性剤を添加した後、基板に塗布し、乾燥、焼成して製造する。
[0213] (C)アルコキシシランゃコロイダルシリカなどをシリカ源とし、有機アミンを铸型にし て水熱合成する際に、基板を挿入し基板表面にゼォライトを結晶成長させた後、乾 燥、焼成して製造する。
[0214] (D)シリカゲルを基板に塗布したものを、有機アミンを含む水蒸気中でゼォライト結 晶化させた後、乾燥、焼成して製造する(ドライゲルコンバージョン)。
[0215] 上記の製造に用いることのできる有機ァミンとしては、水酸ィ匕テトラプロピルアンモ 二ゥム、水酸ィ匕テトラェチルアンモニゥム、水酸ィ匕テトラブチルアンモニゥム、水酸ィ匕 テトラペンチルアンモ-ゥム、トリプロピルァミン、トリエチルァミン、トリエタノールァミン 、ピぺリジン、シクロへキシルァミン、ネオペンチルァミン、イソプロピルァミン、 tーブチ ルァミン、 2—メチルピリジン、 N, N'—ジメチルベンジルァミン、 N, N—ジェチルエタ ノールァミン、ジ(n—ブチル)ァミン、ジ(n—ペンチル)ァミン、ジシクロへキシルァミン 、 N, N—ジメチルエタノールァミン、コリン、 N, N—ジメチルピペラジン、 1, 4ージァ ザビシクロ(2, 2, 2)オクタン、 N—メチルジェタノールァミン、 N—メチルエタノール ァミン、 N—メチルビペリジン、キヌタリジン、 N, Ν'—ジメチル一 1, 4—ジァザビシクロ (2, 2, 2)オクタンジヒドロキシド、エチレンジァミン、 2—イミダゾリドン等が挙げられる
[0216] 得られた誘電体薄膜は、 X線回折 (CuK a )により得られる回折ピークから、ゼオラ イト構造を有することが確認される。
産業上の利用可能性
[0217] 以上説明してきたように、本発明によれば、容易に制御性よぐ機械的強度が高く 低誘電率の絶縁膜を得ることが可能となり、シリコンを用いた種々の半導体デバイス 、 HEMTなど化合物半導体を用いたデバイスをはじめとする高速デバイス、マイクロ
波 ICなどの高周波デバイス、 MFMIS型の高集積強誘電体メモリ、フィルムキャリア などを用いたマイクロ波伝送線路あるいは多層配線基板、などにも適用可能である。