明細書
N -デァセチラーゼ /N_スルホトランスフェラーゼ 2を発現するべクター 技術分野
本発明は、 N-デァセチラーゼ/ N-スルホトランスフェラーゼ 2を安定的に大量 に発現することができる発現ベクターに関する。 より詳細には、 本発明は、 バキ ュロゥイノレスの系を用いて N-デァセチラーゼ ZN-スノレホトランスフェラーゼ 2を 安定的に大量に発現するための発現ベクターに関する。 背景技術
N -デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼ 2 (N-deacetylase/N- sulfot ransf erase 2) は、 脱 N-ァセチル化 (N-deacetylation) と N-硫酸基転移 (N- sul fat ion) の両方を触媒する酵素である (Wei Z, Swiedler SJ, Ishihara M, Orel lana A, Hirschberg CB. A single protein catalyzes both N-deacetylation a nd N-sulfation during the biosynthesis of heparan sulfate. Proc. Natl. A cad. Sci. USA. 90, 3885 - 3888. (1993)、及ぴ米国特許第 5, 541, 095号)。 N-デァ セチラーゼ /N-スルホトランスフェラーゼの生産に関しては、 ヒト · N-デァセチ ラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 3をサル COS - 7細胞を用いて一過的に発現 する系力 s従来用 ヽられてレヽた力 s (Aikawa J, Esko JD. Molecular cloning and e xpression of a third member of the heparan sulfate/heparin GlcNAc N - deac etylase/N-sulfotransf erase family. J. Biol. Chem. 274, 2690—2695. (1999) ) 、 品質の安定した酵素の大量取得には不向きであった。
一方、 バキュロウィルスの系を用いて細胞外にタンパク質を産生させる方法が 知られてレヽる。 例えば、 Marchal I, Cerutti M, Mir AM, Jul i ant S, Devauchelle G, Cacan R, Verbert A. Expression of a membrane-bound form of Trypanosoma cruzi trans-sialidase in bacu丄 ovirus— infected insect ceils : a potential tool for sialylation of glycoproteins produced in the baculovirus - insect
5 014160 cells system. Glycobiology. 11, 593—603 (2001)には、 バキュロウイノレスの系 ίこおレヽて gp67シグナノレ酉己歹 [Jを用 ヽて Trypanosoma cruziの trans— sialidaseを させること力 s記載されて ヽる。 Vlase H, Matsuoka N, Graves PN, Magnus son RP, Davies TF. Folding-dependent binding of thyrotropin (TSH) and TSH receptor autoantibodies to the murine TSH receptor ectodomain. Endocrinology. 138, 1658-1666 (1997) には、 バキュロウィルスの系において gp67シグナル配列を用い てマウスの TSHレセプターを発現させることが記載されている。 Kretzschmar T, Aoustin L, Zingel 0, Marangi M, Vonach B, Towbin H, Geiser M. High-level expression in insect cells and purincation of secreted monomeric single-chain Fv antibodies. J. Immunol. Methods. 195, 93 - 101 (1996)には、 パキュロウィルスの系において gp67シグナル配列を用 、て一本鎖抗体を発現させ ることが記載されている。 Rupp B, Rossler U, Lowel M, Werenskiold AK. High level expression of the IL-1 receptor related Tl receptor in insect cells. Biochem. Biophys. Res. Commun. 216, 595—601 (1995)には、 ノ キュロウィルス の系において gP67シグナル配列を用いてィンターロイキン 1関連 T1レセプターを 発現させることが記載されている。 また、 Murphy CI, Mclntire JR, Davis DR, Hodgdon H, Seals JR, Young E. Enhanced expression, secretion, ana丄 arge - scale purification of recombinant HIV - 1 gpl20 in insect cell using the baculovirus egt and p67 signal peptides. Protein Expr. Purif. 4, 349-357. (1993) . Erratum in : Protein Expr. Purif. 5, 103 (1994)には、 パキュロウィルスの系において gp67シグナル配列を用いてヒ ト AIDSウィルスの外皮タンパク質 gpl20を発現させ ることが記載されている。
また、 特開 2 0 0 2— 3 2 5 5 7 9号、 及び平成 1 3年度 理研研究年報、 681-687、構造生物化学研究室 4 . 昆虫細胞を用いた高効率タンパク質発現系の 構築、 (1 ) 発現増強因子 (佐野, 前田 (雄) ;前田 (佳) (細胞情報伝達研) ) には、 パキュロウィルス '昆虫培養細胞系を用いてポリペプチドを発現させる 際に、 ポリペプチドのコーディング配列の上流に、 ロブスター由来の非翻訳リー
ダー配列 L21を揷入すると、ポリぺプチドの発現量の大幅な上昇が見られることが 記載されている。
さらに、 最近、 ヒ ト N-デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2のアミ ノ酸を H i sタグとの融合タンパク質としてバキュ口系で発現した例が紹介され ている (Balagurunathan Kuberan, et al. , Nature Biotecnnology 01 Nov 2003; 21, 1343 - 1346) 。 発明の開示
上記した通り、 COS - 7細胞を用いて一過的に発現させる公知の発現系では N -デァ セチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼを安定的に大量に製造することができ ず、 実用的ではなかった。 本発明は、 N-デァセチラーゼ /N -スルホトランスフエ ラーゼ 2を安定的に大量生産することを可能とする発現べクター及びそれを用い た N-デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼ 2の製造方法を提供すること を解決すべき課題とした。
本発明者らは、 ヒ ト N -デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼ 2 (ヒ ト NDST2とも称する)をパキュ口ウィルスの系を用いることにより大量生産すること を目的として鋭意検討した結果、 ヒ ト N-デァセチラーゼ ZN -スルホトランスフエ ラーゼ 2の 79番目以降のアミノ酸をコードする DNA断片に、 バキュロウィルス gp67、 メリチン、 ボンビキシン等のシグナル配列を直接連結することにより、 脱 N -ァセチル化酵素活性と N -硫酸転移酵素活性の両方を所持するタンパク質を培地 中に安定的に大量に分泌することが可能になることを見出し、 本発明を完成する に至った。
即ち、 本発明によれば、 (1 ) 以下の(a)または(b)の膜貫通領域の N末側配列 を除去したヒ ト N -デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2が提供され る。
(a)配列番号 2記載の 79番から 883番までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b) (a)のタンパク質において、 1もしくは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入ま
5014160 たは転位したアミノ酸配列からなり、 かつ、 N -デァセチラーゼ活性と N -スルホト ランスフェラーゼ活性とを有するタンパク質。
本発明の別の側面によれば、 (2) 少なくともバキュロウィルス発現ベクター 内で機能しうる、 シグナルペプチドをコードする DNAと、 その下流に連結され た上記 (1) 記載のタンパク質をコードする DNAとを含むトランスファーべク ターが提供される。 上記バキュロウィルス発現ベクター内で機能しうる、 シグナ ルペプチドをコードする DNAとしては、 バキュロウィルス由来、 カイコ由来ま たはミツバチ由来のシグナルぺプチドをコ一ドする DNAであることが好ましい 。 また、 該トランスファーベクターは、 さらにコーディング配列の発現を促進さ せる機能を有する非翻訳リーダー配列を含むことが好ましく、 バキュロウィルス 由来のシグナルぺプチドは gp67であり、 カイコ由来のシグナルぺプチドはポンビ キシン ·シグナルぺプチドであり、 ミッパチ由来のシグナルぺプチドはメリチン •シグナルぺプチドであり、非翻訳リーダー配列はロブスター L21DNAであるこ とが、 より好ましい。 また、 上記 (1) 記載のタンパク質をコードする DNAの 下流に、 さらにヒスチジン ·タグに対応する DN Aを有することが好ましい。 本発明のさらに別の側面によれば、 (3) 少なくともパキュロウィルス由来の シグナルぺプチドをコ一ドする DNA、 及ぴヒ ト N -デァセチラーゼ /N -スルホト ランスフェラーゼ 2の 79番から 883番までのアミノ酸をコードする DNA又は該 DN Aにおいて 1若しくは数個のヌクレオチドの欠失、 揷入若しくは置換を有す る DNAであって、 ヒ ト N-デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼ 2と同 等の酵素活性を示すタンパク質をコードする DN Aを、 この順で 5, カゝら 3, 方 向に有する DNA断片をバキュロウィルス DNAへ組み込んで得られる、組換ぇバキ ュロウィルス発現べクターが提供される。 DNA断片のバキュ口ウィルス DNAへの 組み込みが、該 DN A断片とパキュ口ウィルス DNAの多核体遺伝子との相同組換え によって行なわれることが好ましい。
本発明のさらに別の側面によれば、 (4) 上記した本発明の組換えパキュロウ ィルス発現ベクターを有する昆虫細胞が提供される。 昆虫細胞は、 好ましくは、
ョトウガ細胞である。
本発明のさらに別の側面によれば、 (5 ) 上記した本発明の糸且換えバキュロウ ィルス発現ベクターを有する昆虫細胞を培養し、 膜貫通領域の N末側配列を除去 したヒ ト N-デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼ 2を分泌発現させるこ とを含む、 ヒ ト N -デァセチラーゼ -スルホトランスフェラーゼ 2の製造方法が 提供される。 好ましくは、 昆虫細胞は血清含有培地で培養される。
本発明のさらに別の側面によれば、 (6 )上記した製造方法により製造される、 79番から 883番までのアミノ酸から成るヒ ト N -デァセチラーゼ /N-スルホトラン スフエラーゼ 2が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 (7 ) 上記 (1 ) に記載のヒ ト N-デァセチ ラーゼダ N -スルホトランスフェラーゼ 2と、 ヒト N -デァセチラーゼ /N-スルホト ランスフェラーゼ 2と免疫学的に反応しうる抗体とを反応させる工程を含む、 ヒ ト N -デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2の検出方法が提供される。 好ましくは、 抗体は、 配列番号 2の任意の連続した 1 1〜1 3個のアミノ酸を含 む抗原ぺプチドを哺乳動物または鳥類に免疫して得られたポリクローナル抗体ま たはモノクローナル抗体である。 図面の簡単な説明
図 1は、精製抗ヒト NDST 2抗体を用いてョ トウガ細胞中のヒト NDST2を検出した 結果を示す。
図 2は、精製抗ヒト NDST 2抗体を用いてョ トウガ細胞中のヒ ト NDST2を検出した 結果を示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の N末側配列を除去したヒ ト N-デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフエ ラーゼ 2は、 配列番号 2記載のアミノ酸配列において、 膜貫通領域の N末側配列
05 014160 である 1番から 78番までのアミノ酸を除去し、 79番から 883番までのアミノ酸配列 からなるタンパク質であることを特徴とする。 本発明によって得られる、 79番か ら 883番までのアミノ酸配列からなる短縮型ヒト NDST2は、 現在までに知られてい る最も短い、活性を有するヒト NDST2ポリぺプチドであり、可溶性であり、高活性 であるという優れた効果を有する。 なお、上記短縮型ヒト NDST2において、 1もし くは数個 (好ましくは 1個から 3個、 より好ましくは 1個から 2個) のアミノ酸 が欠失、 置換、 挿入または転位した配列を有するタンパク質 (このようなタンパ ク質を 「変異型タンパク質」 または 「変異体」 ともいう。 ) であって、 N -デァセ チラーゼ活性と N-スルホトランスフェラーゼ活性とを有するものは、 配列番号 2 に記載のァミノ酸配列及び配列番号 1記載の塩基配列の情報に基づいて当業者で あれば本明細書の記載に基づいて適宜調製することができるので、 本発明に包含 される。 また、 「1もしくは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入または転位した 配列を有するタンパク質」 とは、換言すれば配列番号 2記載の 79番から 883番まで のアミノ酸配列と高い相同性を有し、 N -デァセチラーゼ活性と N-スルホトランス フェラーゼ活性とを有するものと言うこともできる。 ここで、 「高い相同性」 と は、例えば 75¾以上、好ましくは 80°/。以上、 より好ましくは 90%以上であり、 以下順 次、 91 %、 92%、 93%、 94%, 95°/。、 96%、 97%、 98%、 99°/。、 99. 5°/。、 99. 9%に例示され るより高いパーセンテージがより好ましい。 例えば、 配列番号 1に記載の塩基配 列を有する D N Aに対し、 変異原となる薬剤と接触作用させる方法、 紫外線を照 射する方法、 遺伝子工学的手法等を用いて行うことができる。
遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変 異を導入できる手法であることから有用であり、 モレキュラークローニング第 2 版、 力レント ·プロトコーノレズ 'イン 'モレキュラー .バイオロジー、 Nucleic Acids Research, 10, 6487, 1982、 Nucleic Acids Research, 12, 9441, 1984、 Nucleic Acids Research, 13, 4431, 1985、 Nucleic Acids Research, 13, 8749, 1985、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409, 1982、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488, 1985、 Gene, 34, 315, 1985、 Gene, 102, 67, 1991等に記載の方
05 014160 法に準じて行うことができる。 上記した方法により、 配列番号 1に記載の塩基配 列において変異を有する塩基配列を有する D N Aを入手し、 この D N Aを発現さ せることにより、 目的タンパク質を製造することができる。
本発明のトランスファーベクターは、 少なくともパキュロウィルス発現べクタ 一内で機能しうる、 シグナルペプチド、 好ましくはバキュロウィルス由来のシグ ナルぺプチド、 カイコ由来のシグナルぺプチド、 ミッパチ由来のシグナルぺプチ ドをコードする D NAと、 その下流に連結された上記のヒ ト N -デァセチラーゼ/ N-スルホトランスフェラーゼ 2をコードする D NAとを含む。 また、 シグナルぺ プチドをコードする D NAの上流には、 翻訳効率を上昇させ、 目的タンパク質の 発現効率を上昇させるために、 コーディング配列の発現を促進させる機能を有す る非翻訳リーダー配列を揷入することが好ましい。 バキュロウィルス由来のシグ ナルぺプチドとしては gp67が、 カイコ由来のシグナルぺプチドとしてはボンビキ シン'シグナルぺプチドが、ミッパチ由来のシグナルぺプチドとしてはメリチン · シグナルぺプチドがそれぞれ例示され、 該非翻訳リーダー配列としてはロブスタ 一 L21D NAが例示され、 かつ好ましい。 なお、 シグナルペプチドとしては、 バキ ュロウィルス gp67が最も好ましい。 このようなトランスファーベクターの製造方 法の詳細については後述する。
本発明の aみ換えバキュロウィルス発現ベクターは、 少なくともパキュロウィ ルス由来のシグナルぺプチドをコ一ドする D NA、 及びヒ ト N -デァセチラーゼ/ N -スルホトランスフェラーゼ 2の 79番から 883番までのアミノ酸をコードする D N Aまたは該 D N Aにおいて 1又は数個のヌクレオチドの欠失、 揷入または置換 を有する D NAであって、 ヒト N -デァセチラーゼ /N_スルホトランスフェラーゼ 2と同等の酵素活性を示すタンパク質をコードする D NAを、 この順で 5, から 3, 方向に有する D NA断片をパキュロウィルス DNAへ組み込んで得られる。 本発明の組み換えバキュロウィルス発現ベクターにおいては、 最大限の活性を 得ることを目的として、 ロブスタ一 L21配列 (翻訳効率の上昇) 、 gP67シグナルぺ プチド (分泌効率の上昇) 、 及ぴヒ ト N -デァセチラーゼ /N-スルホトランスフエ
0 ラーゼ 2の 79番から 883番までのァミノ酸配列(現在知られている酵素活性に必要 な最小領域) をそれぞれ連結してパキュロウィルス発現ベクターに組み込んだも のであることが最も好ましい。
本発明では、 ヒト N-デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2の 79番か ら 883番までのアミノ酸をコードする D N Aを使用する。ヒト N-デァセチラーゼ Z N-スルホトランスフェラーゼ 2としては野生型のみならず、 遺伝子操作によって 作製した変異体を使用してもよい。 このような変異体としては、 当業者に周知の 遺伝子組み換え技術によって野生型の D N A配列において 1又は数個 (好ましく は 1から 1 0個、 より好ましくは 1から 6個、 さらに好ましくは 1〜 3個程度) のヌクレオチドの欠失、 揷入または置換を有する D N Aあるいは野生型の D N A 配列と相同性 (例えば 7 5 %以上、 好ましくは 9 0 %以上、 より好ましくは 9 5 %以上の相同性)を有する DNAであって、天然に存在する野生型のヒ ト N -デァセチ ラーゼ/ N一スルホトランスフヱラーゼ 2と同等またはそれ以上の生物学的活性を 有するタンパク質をコードする D N Aが挙げられる。
ヒト N -デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼ 2の 79番から 883番まで のアミノ酸としては、 具体的には、 配列番号: 2で表わされるアミノ酸配列の 79 番目から 883番目が挙げられる。 また、配列番号: 2で表わされるアミノ酸配列を コードする塩基配列の具体例としては、 配列番号: 1で表わされる塩基配列が挙 げられる。 これらの D N Aは、 それ自体公知の遺伝子工学的手法を用いてクロー ニングすることができ、 あるいは市販の核酸合成装置を用 、て製造することもで きる。
本発明では、ロブスター L21D N Aは、翻訳効率を上昇させるために用いられる。 口ブスタ一 L21D N Aとしては、 MCTCCTAAAMACCGCCACC (配列番号 7 ) を使用す ることができる。
本発明のトランスファーベクター及び組換えパキュロウィルス発現ベクターで は、 シグナルペプチドをコードする D N Aを使用する。 シグナル配列とは、 細胞 外タンパク質が細胞内より細胞外へ分泌する時に必要とするアミノ酸配列であ
る。 本発明で用いるシグナルペプチドをコードする DNAは、 分泌タンパク質の N末端に連結しており、 細胞外へのタンパク質の分泌に伴い切断除去される。 こ のようなシグナルぺプチドをコ一ドする DNAとしては、 バキュ口ウィルス発現 ベクター内で機能しうる DNAであれば、特に限定されるものではない。例えば、 バキュ口ウィルス由来のシグナルぺプチドである g ρ 67シグナルぺプチド、 力 ィコ 30 Kタンパク質のシグナルペプチド (Sakai et al. , 1988: Biochim. Biophys. Acta 949, 224 - 232、 特開 2002— 300886号参照) 、 Bombyxin (ボンビキシン) 、 Melittin (メリチン) 等をコードする公知の DNA (特表平 11一 505410号、 米国特許第 6, 582, 691号、 米国特許第 6, 911, 204号) が挙 げられるが、 g P 67シグナルペプチドをコードする DNAが好ましい。
昆虫に感染して病気を起こすウィルスであるバキュロウィルスは、 環状の二本 鎖 DNAを遺伝子としてもつエンベロープウィルスで、 鱗翅目、 膜翅目おょぴ双 翅目などの昆虫に感受性を示す。 バキュロウィルスの中で、 感染細胞の核内に多 角体 (ポリヒ ドラ) と呼ばれる封入体を大量につくる一群のウィルスが核多角体 病ウィルス (NPV) である。 多角体は、 分子量 31 kD aのポリヘドリンタン パクより構成され、 感染後期に大量につくられその中に多数のウィルス粒子を埋 め込んでいる。 多角体はウィルスが自然界で生存するためには必須であるが、 ゥ ィルスの增殖そのものには必要ないので、 多角体遺伝子の代わりに発現させたい 外来遺伝子を挿入してもウィルスは全く支障なく感染し増殖する。
ヒト N -デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2の 79番から 883番まで のアミノ酸をコードする DNAを昆虫細胞に導入し、 それらを効率よく発現させ るためには、 該 DNAを昆虫細胞を宿主とするバキュロウィルスに属する核多角 体病クイノレス (nuclear polyhedrosis virus; NPV) などのポジへ卜、ジンプロ モーターの下流に組み込むのが好ましい。 ベクターとしては、 キンゥヮバ亜科の Autographa californica NPV (AcNPV) とカイコの Bombyx mori NPV ( BmNP V) などのウィルスが用いられる。
上記の通り、 昆虫細胞を宿主細胞とするバキュロウィルス としては、 例えば、
核多角体病ウィルス (nuclear polyhedrosis virus; N P V) などが挙げられる。 昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが A c N P Vの場合は、 ョトウガの幼虫由 来株化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; S f 細胞) 、 Trichoplusia niの中腸 由来の MG 1細胞、 Trichoplusia niの卵由来の High FiveT M細胞、
Mamestrabrassicae由来の細胞、 Estigmena acrea由来の細胞、 または Drosophila melanogaster由来の細胞 (例えば、 Schneider細胞) などが挙げられる。 上記の中 でも、 特に、 S f 9細胞や S f 2 1細胞 [Vaughn, J. L.ら、 イン ' ヴィ ト口 (In Vitro) ,13, 213-217, (1977) ] は静置培養と浮遊培養ができる。 また、 ウィルス が B mN P Vの場合は、 蚕由来株化細胞 (Bombyx mori N; B mN細胞) などの他、 カイコ幼虫個体などが挙げられる。該 S f 細胞としては、例えば、 S f 9細胞 (ATCC CRL1711)、 S f 2 1細胞〔以上、 Vaughn, J. L.ら、イン 'ヴィ ト口 (In Vitro) , 13, 213-217, (1977) ] などが挙げられる。
パキュロウィルス の昆虫細胞への感染方法としては、 m. o . i . (multiplicity of infection) が約 0 . 1〜1 0 0、 望ましくは約 1〜1 0になるようにパキュ口 ウィルスを昆虫細胞の培養液に添加する方法が用いられる。
本発明の組換え発現バキュロウィルスベクターの構築は、 常法に従って行えば よく、 例えば次の手順で行うことができる。 先ず、 発現させたい遺伝子であるヒ ト N-デァセチラーゼ /N-スルホトランスフェラーゼ 2の 79番から 883番のァミノ 酸をコードする D N A (なお、 この D N Aには、好ましくはロブスター L21D N A 及ぴ gp67シグナルぺプチド、ボンビキシン ·シグナルぺプチドもしくはメリチン · シグナルぺプチドをコ一ドする D N Aが連結している) をトランスファーベクタ 一に挿入して組換えトランスファーベクターを構築する。 トランスファーベクタ 一の全体の大きさは一般的には数 k b〜l 0 k b程度である。 例えば、 トランス ファ一^ ί:クタ一のうちの約 3 k bはプラスミ ド由来の骨格であり、 アンピシリン 等の抗生物質耐性遺伝子と細菌の D N A複製開始のシグナルを含んでいてもよ い。 通常のトランスファーベクターではこの骨格以外に、 多角体遺伝子の 5, 領 域と 3, 領域をそれぞれ数 k bずつ含み、 以下に述べるようなトランスフエクシ
TJP2005/014160 ョンを行った際に、 この配列間で目的遺伝子と多角体遺伝子との間で相同組換え が引き起こる。 また、 トランスファーベクターにはタンパク質遺伝子を発現させ るためのプロモーターを含むことが好ましい。 プロモーターとしては、 多角体遺 伝子のプロモーター、 p 10遺伝子のプロモーター、 キヤプシド遺伝子のプロモ 一ターなどが挙げられる。
トランスファーベクターの種類は特に限定されないが、 具体例としては、 Ac NP V系トランスファーべクターとしては、 E VmX I V 2、 pAc SGl、 p VL 1392/1393、 p A cMP 2/3、 p A c J P 1、 p A c UW 21、 pAcDZ l、 pB l u e B a c I I I, p A c UW 51、 A c AB 3 p A c 360、 pB l u e B a cH i s, pVT— B a c 33、 p A c UW 1 , A c UW42/43、 p A c C 4などが挙げられ、 BmNP V系トランスファーべ クタ一としては、 ρΒΚ283、 ρΒΚ5、 ρΒΒ 30、 ρΒΕ 1、 pBE 2、 pBK3、 pBK52、 pBKb l u e、 p BKb 1 e 2 pBFシリーズ(以 上、 フナコシ株式会社、 藤沢薬品工業株式会社等から入手可能) などが挙げられ る。
次に、 組換えウィルスを作製するために、 上記の組換えトランスファーベクタ 一をウィルスと混合した後、 宿主として用いる培養細胞に移入するか、 あるいは 予めウィルスで感染させた宿主として用いる培養細胞に上記のトランスファーべ クタ一を移入し、 糸且換えトランスファーベクターとウィルスゲノム DNAとの間 に相同組み換えを起こさせ、 組み換えウィルスを構築することができる。
また、 バキュロウィルスを用いたタンパク質の発現を目的として、 様々なキッ トが市販されており、 本発明においてはそれらを用いることができる。 多くの系 ではウィルスのゲノム DNAと発現させる遺伝子をサブクロー -ングしたトランス ファーベクターを昆虫細胞にコトランスフエクションした後、 ]3- galによる blue/white選択を行うことによりクローニングを行うものである。 また、 Gibco BRL社から巿販されている BAC - TO- BACは、パキュロウィルスの DNAへの目的タン パク質の cDNAの組換えを大腸菌の中で行わせ、 昆虫細胞レベルでのクローニング
05 014160 を行う必要のないシステムである。 130 kbのウィルス DNAは DH10BACというホスト の大腸菌の中に入っており、 これにトランスファーベクターである pFASTBACに目 的の cDNAを挿入したものを通常の大腸菌の形質転換と同様に導入し、 大腸菌の blue/white選択により組換え体を選別できる。組換えウィルス DNAは通常のアル力 リミニプレップにより抽出し、 細胞にトランスフエクションすることができる。 トランスファーベクターである pFASTBACとしては、 タグなしの pFASTBACl、 6xHIS タグ付きの pFASTBAC-HTa, b, c、 2つのタンパクを共発現するための
pFASTBAC-DUALなどがあり、本発明においてもその目的に応じて適宜選択して使用 することができる。
本発明のヒ ト N-デァセチラーゼ ZN-スルホトランスフェラーゼ 2の 79番から 883番までのアミノ酸から成るタンパク質は、ヒ ト N-デァセチラーゼ ZN -スルホト ランスフェラーゼ 2の 79番から 883番までのアミノ酸をコードする D N Aを導入 したバキュロウィルスを感染させた昆虫細胞を、 ヒ ト N -デァセチラーゼ /N-スル ホトランスフェラーゼ 2の 79番から 883番までのアミノ酸をコードする D N Aの 発現が可能な条件下で培養することにより製造することができる。 すなわち、 上 記 D N Aを導入したバキュロウィルスを感染させた昆虫細胞を静地培養または浮 遊培養することにより、 該細胞にヒ ト N -デァセチラーゼ ZN -スルホトランスフエ ラーゼ 2の 79番から 883番までのァミノ酸配列から成るタンパク質を大量発現さ せることができる。
昆虫細胞を培養するための培地としては、 グレース昆虫細胞用培地サプリメン ト入り、 I P L— 4 1昆虫細胞用培地、 S f _ 9 0 0昆虫細胞用無血清培地、 T C一 1 0 0昆虫細胞用培地 (いずれも GIBC0- BRL社) などが挙げられる。 またこ れらの培地に約 5 %〜 2 0 %の牛胎児血清、 ぺ-シリン G、 ストレプトマイシン 、ゲンタマイシンなどの抗生物質、約 0 . 1 °/0のプル口ニック F— 6 8 (GIBC0-BRL 社) などを添加してもよい。
培養は約 2 0 °Cから 3 0 °C、 望ましくは約 2 6 から 2 8 °Cで、 約 1 2時間か ら 1 4 4時間、 望ましくは約 2 4時間から 9 6時間行うことができる。 シャーレ
やフラスコの中で静置してもよいし、 スピナ一フラスコを用いて約 5 0 r p m〜 2 0 0 r p mで撹拌してもよい。
上記の通り、本発明の組換えバキュロウィルス発現ベクターを、適当な宿主(例 えば、 Spodoptera Frugiperda細胞系統 Sf9および Sf21などの培養細胞、 又は昆虫 幼虫など) に感染させ、 宿主を好適な条件下で培養してヒト N-デァセチラーゼ/ N-スルホトランスフェラーゼ 2を分泌発現させ、 一定時間後 (例えば、 7 2時間 後等) に培養物を遠心分離等に付して培養上清を回収することにより、 目的とす る N-デァセチラーゼ/ N-スルホトランスフェラーゼ 2を入手することができる。 組換え N-デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2の培養上清からの回 収及ぴ精製は、 必要に応じて、 公知の分離 ·精製法を適宜組み合わせて行うこと ができる。 分離、 精製法の具体例としては、 硫安等による塩析ゃ溶媒沈澱法など の溶解度を利用する方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および S D S—ポ リアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 ィ オン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティーク 口マトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグ ラフィ一などの疎水性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差 を利用する方法などが用いられる。
さらに、 本発明によれば、 本発明のヒト N-デァセチラーゼ ZN -スルホトランス フェラーゼ 2と、 ヒト N -デァセチラーゼ /N-スルホトランスフェラーゼ 2と免疫 学的に反応しうる抗体とを反応させる工程によって、 ヒト N -デァセチラーゼ /N - スルホトランスフェラーゼ 2を検出することができる。 好ましくは、 抗体として は、 配列番号 2の任意の連続した 1 1〜1 3個のアミノ酸を含む抗原ペプチドを 哺乳動物または鳥類に免疫して得られたポリクローナル抗体またはモノクローナ ル抗体を使用することができる。
本発明で用いる抗体は、 ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れで もよく、 これらの抗体の作製は定法により行なうことができる。
抗体は、 例えば、 配列番号 2の任意の連続した 1 1〜1 3個のアミノ酸を含む
P T/JP2005/014160 抗原ペプチドまたは Keyhole limpet hemocyanin等と抗原ペプチドとの複合体を 用いて哺乳動物を免疫感作し、 該哺乳動物から血液を採取し、 採取した血液から 抗体を分離'精製することにより得ることができる。 本発明では、 例えば、 マウ ス、 ハムスター、 モルモット、 ニヮトリ、 ラット、 ゥサギ、 ィヌ、 ャギ、 ヒッジ、 ゥシ等の哺乳動物または鳥類を免疫することができる。免疫感作の方法としては、 当業者に公知の通常の免疫感作の方法を用いて、 例えば抗原を 1回以上投与する ことにより行うことができる。
抗原投与は、 例えば、 7から 3 0日、 特に 1 2から 1 6日間隔で 2または 3回 投与することができる。 投与量は 1回につき、 例えば抗原約 0 . 0 5から 2 m g 程度を目安とすることができる。 投与経路も特に限定されず、 皮下投与、 皮内投 与、 腹腔内投与、 静脈内投与、 筋肉内投与等を適宜選択することができるが、 静 脈内、 腹腔内もしくは皮下に注射することにより投与することが好ましい。 また 、 抗原は適当な緩衝液、 例えば完全フロイントアジュバント、 R A S [MPL (Mono phosphoryl Lipid A) +TDM (Synthetic Trehalose Dicorynomycolate +CWS (Cell Ψ all Skeleton) アジュバントシステム〕 、水酸化アルミニウム等の通常用いられ るアジュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して用いることができるが、 投与 経路や条件等によっては、 上記したアジュバントは使用しない場合もある。 ここ でアジュパントとは抗原とともに投与したとき、 非特異的にその抗原に対する免 疫反応を増強する物質を意味する。
免疫感作した哺乳動物等を 0 . 5から 4ヶ月間飼育した後、 該哺乳動物等の血 淸を耳静脈等から少量サンプリングし、 抗体価を測定することができる。 抗体価 が上昇してきたら、 状況に応じて抗原の投与を適当回数実施する。 例えば 1 0 g〜1 0 0 0 Ai gの抗原を用いて追加免疫を行なうことができる。 最後の投与か ら 1〜2ヶ月後に免疫感作した哺乳動物から通常の方法により血液を採取して、 該血液を、 例えば遠心分離、 硫酸アンモニゥムまたはポリエチレングリコールを 用いた沈澱、 ゲルろ過クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァ ブイ二ティクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の通常の方法によって
分離 ·精製することにより、 ポリクロ一ナル抗血清として、 ポリクローナル抗体 を得ることができる。 なお抗血清は、 たとえば、 5 6 °Cで 3 0分間処理すること によつて補体系を不活性化してもよレ、。
モノクローナル抗体の作製は、 当業者に既知の方法により行うことができ、 例 えば、 ハイプリ ドーマを用いた方法により行うことができる。 モノクローナル抗 体を産生する細胞株は特に制限されないが、 例えば、 抗体産生細胞とミエローマ 細胞株との細胞融合によりハイプリ ドーマとして得ることができる。 モノクロ一 ナル抗体を産生するハイプリ ドーマは、 以下のような細胞融合法によって得るこ とができる。
抗体産生細胞としては、 免疫された動物からの脾細胞、 リンパ節細胞、 Bリン パ球等を使用する。 抗原としては、 ポリクローナル抗体の場合と同様に配列番号 2の任意の連続した 1 1〜1 3個のアミノ酸を含む抗原ペプチドを使用すること ができる。 免疫される動物としてはマウス、 ラット等が使用され、 これらの動物 への抗原の投与は常法に従って行う。 例えば完全フロインドアジュパント、 不完 全フロインドアジュバントなどのアジュパントと抗原 (配列番号 2の任意の連続 した 1 1〜1 3個のアミノ酸を含む抗原ペプチド) との懸濁液もしくは乳化液を 調製し、 これを動物の静脈、 皮下、 皮内、 腹腔内等に数回投与することによって 動物を免疫化する。 免疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取得 し、 これとミエローマ細胞とをそれ自体公知の方法 (G. Kohler et al . , Nature, 256 495 (1975) )により融合することにより、ハイプリ ドーマを作製することがで きる。
細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、 例えばマウスでは P 3 X 6 3 A g 8、 P 3 U 1株、 S p 2 / 0株などが挙げられる。 細胞融合を行なうに際し ては、 ポリエチレングリコール、 センダイウィルスなどの融合促進剤を用い、 細 胞融合後のハイプリ ドーマの選抜にはヒポキサンチン 'アミノプテリン 'チミジ ン (HAT) 培地を常法に従って使用することができる。 細胞融合により得られ たハイブリ ドーマは限界希釈法等によりクロー-ングすることができる。 更に、
酵素免疫測定法 (E L I S A) 等によりスクリーニングを行なうことにより、 ヒ ト N -デァセチラーゼ/ N-スルホトランスフェラーゼ 2と免疫学的に反応しうるモ ノクローナル抗体を産生する細胞株を得ることができる。
このようにして得られたハイブリ ドーマから目的とするモノクローナル抗体を 製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリ ドーマを培養し、 培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。 培養上清も しくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。 例えば、 硫安分画、 ゲルろ過、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァフィ二ティー クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。
また、 抗体がモノクローナル抗体の場合、 該モノクローナル抗体のグロブリン タイプは特に限定されず、 例えば I g G、 I g M、 I g A、 I g E、 I g D等が 挙げられる。 また、 上記したような各種抗体の断片を使用することもできる。 抗 体の断片としては、 F ( a b ' ) 2フラグメント、 F a b, フラグメント等が挙 げられる。
本発明においては、ヒト N -デァセチラーゼ N-スルホトランスフェラーゼ 2と、 ヒト N-デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2と免疫学的に反応しうる 抗体とを反応させることによって、 酵素抗体法、 免疫組織染色法、 免疫プロット 法、 直接蛍光抗体法又は間接蛍光抗体法等の分析を行い、 ヒト N-デァセチラーゼ /N-スルホトランスフェラーゼ 2を検出することができる。 これらの分析は、 当 業者に周知の方法で行なうことができ、 その実験条件も当業者ならば適宜選択す ることができる。
本明細書に引用された文献中の記載は、 引用によって本明細書を構成するもの とする。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明は実施例によ つて限定されるものではない。 実施例
P T/JP2005/014160 実施例 1 : ヒト NDST2のクローニング
(方法)
反応系 50μ1中に、 ヒト成人胎盤 cDNAライブラリー (Clontech社、 U.S.A.) 5 μ 1、 5' -CCATGCTCCAGTTGTGGAAGGTGGTAC-3' (配列番号 3 ) の配列を有する短鎖 DNA 5 pmolと 5' - GCATTTTGCTGGTATGGGAGGCTGG - 3,(配列番号 4 )の配列を有する短鎖 DNA 5pmol、 PfuTurbo (Stratagene社、 U.S.A.) 2.5unitsによる PCR (ポリメラーゼ連 鎖反応) を、 20mM Tris- HC1 (ρΗ8· 8) 、 2mM MgSOい lOmM KC1、 10mM(NH4)2S04、 0.1% Triton X- 100 (登録商標) 、 0. lmg/ml nuclease- free BSA (ゥシ血清アル ブミン) 、 200 μ M dNTP ( 2 ' ーデォキシリボヌクレオシド 5, 一トリリン酸 Z dATP、 dCTP、 dGTP、 dTTPの等モル混合) 存在下、 サーマルサイクラ一を用いて、 94°C1分を 1サイクル、 94°C 1分一 55°C 1分一 72°C 6分を 30サイクル、 72。C10分 を 1サイクル行わせ、 ヒト NDST2 (NCBI/DDBJ/EMBO登録番号 #36001) のヌクレオ チド番号 26から 2708までの領域の特異的増幅を行った。 反応産物を
Tris- Acetate- EDTA(TAE)ァガロース電気泳動に供し、目的の 2683bpの大きさの DNA 断片を切り出し、 Genecleanllkit (Qbiogene社、 U.S.A.) を用いて精製し、 0. ImM EDTA (pH8.0) を含む lOmMTris- HC1 (pH7.6) (TE緩衝液) ΙΟμΙ中に回収した。 10 1の反応系を用いて、回収した DNA4 / 1をプラスミド DNA、pPCR-Script AmpSK(+)
(Stratagene社、 U.S.A.) 10ngに Stratagene社のプロトコールに従い、 ライゲー シヨンした。 反応液 2 μΐを用いて、 常法により大腸菌 XL10- Gold Kanコンビテン トセル (Stratagene社、 U.S.A.) 40/xlを形質転換し、 50 μ g/mlアンピシリンを含 む 1.5%寒天含有 LB培地上で、形質転換体のコロニーを選択した。得られた大腸菌 のコロニーを 50 μ g/mlアンピシリンを含む LB培地 1.5mlに接種し、 37°C20時間の振 盪培養を行った。 得られた培養液を遠心後、 大腸菌菌体より、 QIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社、 U.S.A.) を用いて、 大腸菌が保持するプラスミド DNA を lOmM Tris - HC1 (pH8.5) ΙΟΟμΙに回収した。 ベクター DNAに挿入された DNA断片 の塩基配列を常法によりヒト NDST2に特異的な短鎖 DNAを用いて確認した。
(結果)
T JP2005/014160 上記の通り、ヒト NDST2のヌクレオチド番号 26から 2ァ08までの領域の特異的増幅 の結果得られた 2683bpの大きさの DNA断片を pPCR - Script Amp SK (+)にライゲーシ ヨン後、 大腸菌を形質転換させ、 薬剤耐性コロニーの選択を行った。 得られた大 腸菌のコ口ニー 12個からプラスミド DNAを回収し、目的の 2683bpを保持するクロー ン、 pCRhNDST2#5及ぴ pCRh DST2#7を同定した。 ベクター DNAに揷入された DNA断片 の塩基配列の解析を常法によりヒト NDST2に特異的な短鎖 DNAを用いて行い、 登録 されているヒト NDST2 (NCBI/DDBJ/EMB0登録番号 #36001) の塩基配列と完全に一致 していることを確認した。 実施例 2 : ロプスター L21配列と gp67シグナルペプチドの DNAの調製
25 μ 1の反応系で、バキュロウィルス gp67シグナルぺプチドを保持するベクター DNA、 pAcSecG2T (Pharmingen社、 U. S. A. ) 2S0ngを鎵型に
5, -GATCGGATCCAACTCCTAAAAAACCGCCACCATGCTGCTAGTAAATCAG-3' (配列番号 5 ) の配 列を有する短鎖 DNA 5 pmolと
5, - CACGGGTTCAGTTCGAGCTGTCTCCGCAAAGGCAGAATGCGCCGC - 3, (配列番号 6 )の配列を 有する短鎖 DNA 5 pmol、 Pyrobest (Takara社、 日本) 1. 25unitsによる PCRを 20mM Tris-HCl (pH8. 3) 、 10mM KCl、 6 mM (NH4 ) 2S04、 2 mM MgS04、 0. l%Triton X- 100、 0. 001%BSA、 200 / M dNTP存在下、 サーマルサイクラ一を用いて、 95°C 2分を 1サ ィクル、 95°C30秒一 52. 5°C30秒一 72°C 1分を 10サイクル、 72°C10分を 1サイクル 行わせ、 ロブスター L21配列 (AACTCCTMMAACCGCCACC) (配列番号 7 ) と gp67シ ダナルぺプチド 38ァミノ酸をコードする DNAの特異的増幅を行った。 実施例 3 : ヒト NDST2の 79番から 883番までをコードする DNAの調製
25 μ ΐの反応系で、 ベクター中にヒト NDST2を保持するプラスミド DNA pCRhNDST2#5 250ngを铸型に 5, - GAGACAGCTCGMCTGAACCCGTGG- 3, (配列番号 8 ) の 配列を有する短鎖 DNA 5 pmolと
5' -CTGGTATGGCGGCCGCAATTGTCAGCCCAGACTGGAATGCTGCAGTTC-3' (配列番号 9 ) の配
列を有する短鎖 DNA 5 pmol、 Pyrobest (Takara社、 日本) 1. 25unitsによる PCRを 20mM Tris-HCl (pH8. 3)、 lOmM KC1, 6 mM (NH4 ) 2S04、 2 raM MgS04、 0. l%Triton X - 100、 0. 001%BSA、 200 μ M dNTP存在下、 サーマルサイクラ一を用いて、 95°C 2分を 1サ ィクル、 95°C30秒一 52. 5。C30秒— 72°C 5分を 20サイクル、 72°C10分を 1サイクル 行わせ、 ヒト NDST2の 805アミノ酸(79番から 883番まで)をコードする DNAの特異的 増幅を行った。 実施例 4:ロブスター L21配列、 gp67シグナルぺプチドとヒト NDST2の融合 DNAの調 製
25 μ 1の反応系で、 実施例 2で得られた反応液 2 ^ 1と実施例 3で得られた反応 液 0. 5 // 1中の DNAを铸型に 5,- GATCGGATCCAACTCCTAMAAACCGCCAC- 3' (配列番号 1 0 ) の配列を有する短鎖 DNA 5 pmolと
5, -CTGGTATGGCGGCCGCAATTGTCAGCCCAGACTGGAATGCTGCAGTTC-3' (配列番号 1 1 ) の 配列を有する短鎖 DNA 5 pmol、 Pyrobest (Takara社、 日本) 1. 25unitsによる PCR を 20mM Tris- HC1 (pH8. 3) 、 10mM KC1N 6 mM (NH4 ) 2S0い 2 mM MgS04、 0. l%Triton X - 100、 0. 001%BSA、 200 Μ dNTP存在下、 サーマルサイクラ一を用いて、 95°C 2 分を 1サイクル、 95°C30秒一 52. 5°C30秒一 72°C 6分を 30サイクル、 72°C10分を 1 サイクル行わせ、 ロブスター L21配列、 gp67シグナルぺプチド 38ァミノ酸とヒト NDST2 805アミノ酸をコードする融合 DNAの特異的増幅を行った。 実施例 5 :ロプスター L21配列、 gp67シグナルペプチドとヒト NDST2の融合 DNAのべ クタ一 DNAへの組み込み
(方法)
実施例 4で得られた融合 DNAを含む反応液 10 μ 1及ぴべクタ一 DNA、 pFastBac-1 (Invitrogen社、 U. S. A. ) 1 μ gに制限酵素 BamHIと Notlを lOunitsずつ加え、 37 で 2時間反応させた。反応産物を実施例 1に示した方法に従い、 TAEァガロース 電気泳動に供し、 目的の大きさの DNA断片を Geneclean ll kitを用いて精製し、 TE
0 緩衝液 ΙΟμΙ中に回収した。 得られた DNA1 ずつを、 DNA Ligation Kit ver. 2 (Takara社、 日本) を用いた 4°C、 20時間、 ΙΟμΙの反応系で、 BamHIと Notlで同 時に消化した pFastBac-1に、 BamHIと Notlで同時に消化したロブスター L21配列、 gp67シグナルぺプチド 38アミノ酸とヒト NDST2 805アミノ酸をコードする融合 DNA をライゲーシヨンした。 反応液 2 /xlを用いて、 常法により大腸菌 DH5aコンビテ ントセル (Invitrogen社、 U.S.A.) 40 1を形質転換し、 50μ g/mlアンピシリンを 含む 1.5%寒天含有 LB培地上で、形質転換体のコロニーを選択した。得られた大腸 菌のコロニーから実施例 1に示した方法に従い、大腸菌が保持するプラスミド DNA を、 lOmM Tris- HC1 (pH8.5) ΙΟΟμΙに回収した。 ベクター DNAに挿入された DNA断 片の塩基配列の解析を常法によりヒト NDST2に特異的な短鎖 DNAを用いて行った。
(結果)
ロプスター L21配列、 gp67シグナルぺプチド 38ァミノ酸とヒト NDST2 805ァミノ 酸をコードする融合 DNAを BamHI及び Notlで消化した断片 2577bpと BamHI及ぴ Notl で消化した pFastBac- 1のライゲーション産物で形質転換した大腸菌 128クローン より目的の DNA断片を保持すると考えられる 2クローン (
pFBl- GP67h DST2S0L(79E)#5及び pFBl- GP67hNDST2S0L(79E)#l23)を同定した。 DNA の塩基配列解析を行い、前記 2クローンが予想される DNAの塩基配列と完全に一致 することを確認した。 実施例 6 :ロブスター L21配列、 gp67シグナルぺプチドとヒト NDST2の融合 DNAのバ キュロウィルスゲノム DNAへの組み込み
(方法)
実施例 5で得られた DNAを大腸菌 DH10BAC (Invitrogen社、 U.S.A.) に導入し、 Invitrogen社のプロトコールに従い、 50 i g/mlカナマイシン、 7 ig/mlゲンタマ ィシン、 10μ g/mlテトラサイクリンを含む 1.5%寒天含有 LB培地上で、形質転換体 のコロニーを選択した。
得られた大腸菌のコロニーを 50 g/mlカナマイシンを含む Terif ic- Broth培地
05014160
(Beckton Dickinson社、 U.S.A.) 1.5mlに接種し、 37°Cで 20時間の振盪培養を行 つた。得られた培養液を容量 1.5mlのエツペンドルフチューブに移した後、冷却遠 心機を用いて、 4°Cにて 8000回転で、 2分間遠心して大腸菌菌体を沈澱として回 収した。 この菌体を 10mM EDTA、 100μ g/ml R aseAを含む5 OmM Tris- HC1 (pH8.0) 150 に懸濁したのち、 1% (w/v) SDS (ドデシル硫酸ナトリウム) を含む 200mM NaOH 150 μ 1を加え、緩やかに混和し室温で 5分間静置した。次に、 3.0Μ potassium acetate (pH5.5) 150 μΐを加え、 良く混和した後、 冷却遠心機を用いて、 4°Cに て 15000回転で、 10分間遠心して上清画分を回収した。上清 450/zlにあらかじめ TE 緩衝液で飽和されているフエノール (Invitrogen社、 U.S.A.) 450^1を加えて、 ポルテックスミキサ一により激しく混和した後、冷却遠心機を用いて、 4 °Cにて、 15000回転で、 5分間遠心して上層画分を回収した。上層画分 400μ1にエタノール lmlを加え混和した後、 室温で 10分間静置した。 その後、 冷却遠心機を用いて、 4°Cにて、 15000回転で、 5分間遠心して上清を除去した後、 沈澱に 70% (v/v) エタノール lmlを加え混和した後、 冷却遠心機を用いて、 4 °Cにて 15000回転で、 5分間遠心して上清を除去した。 残った沈澱に、 10mM EDTA、 100/xg/ml RNaseA を含む 50mM Tris- HC1 (pH8.0) 150μ1をカ卩え、 懸濁したのち、 37°Cで 20分間反応 させた。次に、 あらかじめ TE緩衝液で飽和されているフエノール(Invitrogen社、 U.S.A.) 100 μΐを加えて、 ボルテックスミキサーにより激しく混和した後、 冷却 遠心機を用いて、 4 °Cにて 15000回転で、 5分間遠心して上層画分を回収した。 上 層画分 100 1にエタノール 250 1と 3M酢酸ナトリゥム(ρΗ5.2)10//1を加え混和 した後、冷却遠心機を用いて、 4°Cにて、 15000回転で、 5分間遠心して上清を除 去した。 次に、 沈澱に 70% (v/v) エタノール lmlを加え混和した後、 冷却遠心機 を用いて、 4 °Cにて 15000回転で、 5分間遠心して上清を除去した。残った沈澱に、 TE緩衝液 100μ 1を加え、 懸濁した。
(結果)
実施例 5で得られた DNA pFBl- GP67hNDST2S0L(79E)#123を大腸菌 DH10BACに導入 し、薬剤耐性及び PCR法を指標に目的のクローン(pFBl- GP67hNDST2S0L (79E) #123-4
) を得た。 実施例 7:ロブスター L21配列、 gp67シグナルぺプチドとヒト NDST2の融合 DNAを組 み込んだバキュロウィルスゲノム DNAのョトウガ細胞への導入
まず、 ョトウガ Sf9細胞 100万個を SF- 900Π無血清培地 (Invitrogen社、 U. S. A. ) 2 mlに懸濁した後、 6 wellのプレートに移し、 28°Cで 1時間静置し、 細胞をプ レートに接着させた。次に、実施例 6で得られた DNA (バキュロウィルスゲノム DNA に組み込まれたロブスター L21配列、 gp67シグナルペプチドとヒト NDST2) 10 ^ g を Sf- 900II無血清培地 ΙΟΟ μ Ιに希釈したものと、 cellfectin (Invitrogen社、 U. S. A. ) 6 μ ΐを Sf - 900II無血清培地 ΙΟΟ μ Ιに希釈したものを混和し、 室温で 30 分間静置した。あらかじめプレートに接着させた Sf9細胞を Sf - 900Π無血清培地 2 mlで洗浄した後、 DNAと cellfectinの混和液 200 μ 1に Sf - 900Π無血清培地 800 μ 1 を混ぜたものを加えた。 28°Cで 5時間静置した後、 培地を吸引除去して、 新しい 5 -90011無血清培地2 1111を加ぇて、 さらに 28°Cで 3日間培養したのち、 培養上清 を回収し、 バキュロウィルスのストック液とした。 実施例 8 : ウィルスの增幅
1000万個の Sf 9細胞を SF-900II無血清培地 10mlに懸濁した後、 T- 75フラスコにま き、 1時間静置した。 培地 2 mlを残して吸引除去し、 実施例 7で得られたバキュ ロウィルスのストック液 l mlを添加、 1時間ゆるやかに震盪させた。 その後、 3 -90011無血清培地8 1111を加ぇ、 28°Cで 3日間培養した。 回収した培地を遠心し て、 細胞を除いた画分をウィルス増幅液とした。 実施例 9 : ヒト NDST2のョトウガ細胞における分泌発現
1000万個の Sf9または Sf21細胞を SF- 900II無血清培地あるいは 1 0 %血清含有 Grace Insect Medium (Invitrogen社) 10mlに懸濁した後、 T- 75フラスコにまき、 1時間静置した。 培地 2 mlを残して (あるいは全て) 吸引除去し、 実施例 7で得
られたパキュロウィルスのストック液あるいは実施例 8で得られたウィルス増幅 液 l ml (あるいは 3ml) を添加、 1時間ゆるやかに震盪させた。 その後、 SF- 900II 無血清培地あるいは 1 0 %血清添加 Grace Insect Medium (Invitrogen社) 8 ml を加え、 28°Cで 3日間培養した。 実施例 1 0 :培養上清の濃縮
回収した培地を遠心して、 細胞を除いた画分を培養上清とした。 培養上清をァ ミコン Ultra - 15 30000MWC0 (Mi l lipore社、 U. S. A. ) にかけ、 冷却遠心機を用いた 遠心により分子量 3万以上の画分を回収し、 濃縮培養上清とした。
より詳細には、 ウィルスス トック液を Sf9 (無血清培地) 、 Sf9 (血清含有培地 )、Sf21 (血清含有培地)に感染させ、感染後得られた培養上清を、アミコン Ultra - 15 30000丽 COにより、 20. 4倍、 20. 0倍、 16. 4倍に濃縮した。 また、 コントロールとし て揷入 DNA断片を保持しない pFastBac 1に由来するウィルスストック液をそれぞ れの細胞に感染させ、 15. 2倍、 21. 7倍、 16. 7倍に濃縮した培養上清を得た。 比較例 1 : ヒト NDST2のプロテイン A含有ベクターへの糸且み込み
25 の反応系で、 ベクター中にヒト NDST2を保持するプラスミ DNA pCRhNDST2#5 250ngを鎵型に 5' -CACGAATTCCAAGGCCAAGGAACCCTTGCC-3' (配列番号 1 2 ) の配列を有する短鎖 DNA 5 pmolと
5, -CTGGTATGGCGGCCGCAATTGTCAGCCCAGACTGGAATGCTGCAGTTC-3' (配列番号 1 3 ) の 配列を有する短鎖 DNA 5 pmol、 Pyrobest (Takara社、 日本) 1. unitsによる PCR を 20mM Tris- HC1 (pH8. 3) 、 10raM KCl、 6 inM (NH4 ) 2S04 2 mM MgS04、 0. l %Triton X - 100、 0. 001%BSA、 200 i M dNTP存在下、 サーマルサイクラ一を用いて、 95°C 2 分を 1サイクル、 95°C30秒一 52. 5°C30秒一 72°C 5分を 25サイクル、 72°C10分を 1 サイクル行わせ、 ヒト NDST2の (43番から 883番までの) 841アミノ酸をコードする DNAの調製を行った。 得られた DNAを含む反応液 10 μ 1に制限酵素 EcoRIと Muniを lOunitsずつ加え、 37°Cで 2時間反応させた。 またベクター DNA、 pRK5F10PR0TA 1
gに制限酵素 EcoRIを lOunits加え、 37°Cで 2時間反応させたのちに、牛腸由来の Alkaline-phosphataseを 1. 4unitsを加え、 37°Cで 30分間脱リン酸化反応を行った 。反応産物を実施例 1に示した方法に従い、 TAEァガロース電気泳動に供し、 目的 の大きさの DNA断片を Genecleanll kitを用いて精製し、 TE緩衝液 10 μ 1中に回収し た。 得られた DNA 1 μ ΐずつを用いて、 DNA Ligation Kit ver. 2 (TAKARA社、 日本 )を用いて、 4 °C20時間で EcoRI消化後、脱リン酸化された pRK5F10PR0TAに、 EcoRI と Muniで同時に消化したヒト NDST2の(43番から 883番までの) 841アミノ酸をコー ドする DNAを揷入した。 反応産物を常法に従い、 大腸菌 DH5 aコンビテントセル ( Invitrogen社、 U. S. A. ) に形質転換し、 アンピシリン耐性コ口ニーを選択したの ち、 振盪培養で得られた大腸菌菌体より、 プラスミド溶液を回収した。 ベクター DNAに挿入された DNA断片の塩基配列の解析を常法によりヒト NDST2に特異的な短 鎖 DNAを用いて行った。 比較例 2 : ヒト NDST2のサル細胞 COS - 7における分泌発現
100万個のサル COS- 7細胞を 10%非働化牛胎児血清、 0. lmg/mlストレプトマイシ ン、 20units/mlペニシリンを含む DMEM (high- glucose)培地 (血清含有 DMEM培地) 12mlに懸濁した後、 10cmの培養ディッシュに移し、 5 %C02存在下 37°Cで 24時間培 し /こ。
次に、 比較例 1で得られた DNA 4 μ gを DMEM (high- glucose)培地 300 1に希釈し たものに、 Polyfect (Qiagen社、 U. S. A. ) 25 を混和し、室温で 10分間静置した。 COS- 7細胞を PBS (リン酸緩衝生理食塩水) (日水製薬株式会社、 日本) 12mlで洗 浄し、除去した後、 DNAと Polyfectの混和液 325 /z lに血清含有 DMEM培地 11mlを混ぜ たものを加え、 5 %C02存在下 37°Cで 72時間培養した。培養終了後、培養液を 15ml のポリプロピレン製コニカル .チューブ35 -21% (Beckton Dickinson社、 U. S. A. ) に移したのち、冷却遠心機を用いて、 9500回転で 10分間遠心した後、培養上清 10ml を新しい 15mlのコニカル'チューブに移した。 そこへ、 IgG-Sepharose
(Amersham- Bioscience社、 Sweden) ΙΟΟ μ Ιを力!]え、小型回転攪拌機 RT- 5 (タイテ
14160 ック社、 日本) により、 4 °Cで 16時間の回転攪拌を行った。 攪拌終了後、 冷却遠 心機を用いて、 2400回転で 5分間の遠心をした後、 上清をピペットにより除去し た。 沈澱している IgG- Sepharoseに、 20%グリセロールを含む 50mM Tris-HCl
(pH7. 4) 10mlを加え、小型回転攪拌機により、 4 °Cで 5分間の回転攪拌を行った。 攪拌終了後、 冷却遠心機を用いて、 2400回転で 5分間の遠心をした後、 上清をピ ペットにより除去した。 そこへ、 20%グリセロールを含む 50mM Tris- HC1 (pH7. 4) 10mlを加え、 小型回転攪拌機により、 4 °Cで 5分間の回転攪拌を行った。
攪拌終了後、 冷却遠心機を用いて、 2400回転で 5分間の遠心をした後、 上清を ピぺットにより除去し、 最終的に IgG-Sepharoseを 20%グリセロールを含む5 OmM Tris-HCl (pH7. 4) 100 1に懸濁した。 実施例 1 0 :酵素活性の測定
実施例 9で得られた濃縮培養上清と比較例 2で得られた IgG - Sepharose懸濁液 の酵素活性を以下の方法で検出した。
脱 N-ァセチル化酵素活性:濃縮培養上清 10 μ ΐあるいは IgG- Sepharose懸濁液 10 μ ΐをあらかじめ準備してあるトリチウムィ匕 Ν-ァセチルへパロザン (260000cpm) 150mM MES ( 2—モノレホリノエタンスノレホン酸) (pH6. 5)、 10raM MnCl2、 1 %Triton X - 100存在下、 50 // 1の反応系で 37°Cで 1時間反応させた。 0. 21^塩酸25 1、 0. 1 N酢酸 50 1、 水 50 i lの混合液を加えて反応を停止させた後、 酢酸ェチル 250 1 を使った抽出を 3回行い、 反応産物である 「トリチウム」 酢酸を回収した。
N-硫酸転移酵素活性:濃縮培養上清 10 1あるいは IgG - Sepharose懸濁液 10 μ 1 を脱 Ν-硫酸化へパリン (Sigma社、 U. S. A. ) 25 gと 2. Snmol 35S- PAPS (
3' -phosphoadenylyl sulfate) (llOOOOcpm) を 50mM HEPES (N— 2—ヒドロキシ ェチルビペラジン一 N '― 2—エタンスルホン酸) (pH7. 2) 、 10mM MgCl2、 1 mM MnCl2、 1 %Triton X-100存在下、 50 μ 1の反応系で 37°C 1時間反応させた。 lOOmM ΕϋΤΑ 950 μ 1を加えて反応を停止させた。次に、カラムに充填後、あらかじめ 250mM 塩化ナトリウムを含む 20mM酢酸ナトリウム (pH6. 0) 2. 5mlで平衡化してある
P T/JP2005/014160
DEAE-Sepharose (Amersham- Bioscience社、 Sweden) 0. 5ml (ベッドポリューム) に前記サンプルを供し、同カラムを 250mM塩化ナトリゥムを含む 20mM酢酸ナトリウ ム(PH6. 0) 14mlで洗浄後、 1 M塩化ナトリゥムを含む2 OmM酢酸ナトリウム(ρί½. 0 ) 2 mlで35 S-硫酸が転移したへパリンを溶出した。
上記の方法により酵素活性の検出を行った。 コントロールとして pFastBac- 1に 由来するウィルス由来の培養上清の活性を差分し、 培養上清 l ml当たりの活性を 算出した。 結果を以下の表 1に示す。 表 1に示す結果より本発明の発現系を用い ることにより目的の酵素を大量に製造できることが分かる。 表 1 :酵素活性の検出
脱 N-ァセチル化酵素活性
cpm/ml (培養上清)
C0S7 (血清含有培地) 1060
Sf9 (無血清培地) 5300
Sf9 (血清含有培地) 31000
Sf21 (血清含有培地) 240000
N-硫酸転移酵素活性
pmol/min/ml (培 ¾上清)
C0S7 (血清含有培地) 5. 99
Sf9 (無血清培地) 25. 6
Sf9 (血清含有培地) 13. 0
Sf21 (血清含有培地) 120 実施例 1 1 : ヒト NDST2の 79番から 883番までをコードし、 C末端に 6xHISタグがつ いた DNAの調製
25 μ 1の反応系で、 ベクター中にヒト NDST2を保持するプラスミド DNA
05014160 pCRhNDST2#5 250ngを铸型に 5' - GAGACAGCTCGAACTGAACCCGTGG- 3' (配列番号 8 ) の 配列を有する短鎖 DNA 5pmolと
- 3, (配列番号 14) の配列を有する短鎖 DNA 5pmol、 Pyrobest (Takara社、 日本 ) 1.25unitsによる PCRを 20mM Tris - HC1 (pH8.3) 、 lOmM KC1, 6 mM (NH4 ) 2S04 , 2 mM MgS04、 0. l%Triton X - 100、 0.001%BSA、 200 μΜ dNTP存在下、 サーマルサイ クラ一を用いて、 95。C2分を 1サイクル、 95°C30秒一 52.5°C30秒一 72°C5分を 20 サイクル、 72°C10分を 1サイクル行わせ、 ヒト NDST2の 805アミノ酸(79番から 883 番まで)をコードする DNAの特異的増幅を行った。 実施例 12:ロブスター L21配列、 gp67シグナルペプチドと C末端に 6xHISタグがつ いたヒ ト NDST2の融合 DNAの調製
25 μ 1の反応系で、 実施例 3で得られた反応液 2ulと実施例 1 1で得られた反応 液 0.5μ1中の DNAを铸型に 5,- GATCGGATCCMCTCCTAMMACCGCCAC - 3,(配列番号 10 ) の配列を有する短鎖 DNA 5 pmolと
-3, (配列番号 14) の配列を有する短鎖 DNA5pmol、 Pyrobest (Takara社、 日本 ) 1.25unitsによる PCRを 20mM Tris- HC1 (pH8.3) 、 lOmM KC1、 6mM (腿 4)2S0い 2 mM MgS04、 0. l%Triton X- 100、 0.001%BSA、 200 μΜ dNTP存在下、 サーマルサイ クラ一を用いて、 95°C2分を 1サイクル、 95°C30秒一52.5°C30秒 _72°C6分を 30 サイクル、 72°C10分を 1サイクル行わせ、 ロプスター L21配列、 gp67シグナルぺプ チド 38アミノ酸と C末端に 6xHISタグがついたヒト NDST2 805アミノ酸をコードす る融合 DNAの特異的増幅を行つた。 実施例 1 3:ロブスター L21配列、 gp67シグナルペプチドと C末端に 6xHISタグがつ いたヒ ト NDST2の融合 DNAのベクター DNAへの組み込み
(方法)
T JP2005/014160 実施例 1 2で得られた融合 DNAを含む反応液 1及ぴベクター DNA、PFastBac - 1 (Invitrogen社、 U. S. A. ) 1 gに制限酵素 BamHIと Notlを lOunitsずつ加え、 37°C で 2時間反応させた。反応産物を実施例 1に示した方法に従い、 TAEァガロース電 気泳動に供し、 目的の大きさの DNA靳片を Geneclean II kitを用いて精製し、 TE 緩衝液 10 1中に回収した。 得られた DNA 1 yu lずつを、 DNA Ligation Kit ver. 2 (Takara社、 日本) を用いた 4 °C、 20時間、 ΙΟ μ Ιの反応系で、 BamHIと Notlで同 時に消化した pFastBac- 1に、 BamHIと Notlで同時に消化したロブスター L21配列、 gp67シグナルペプチド 38アミノ酸と C末に 6xHISタグがついたヒト NDST2 805アミ ノ酸をコードする融合 DNAをライゲーシヨンした。 反応液 2 を用いて、 常法に より大腸菌 DH5 aコンビテントセル (Invitrogen社、 U. S. A. ) 40 /^ 1を形質転換し、 50 μ g/mlアンピシリンを含む 1. 5%寒天含有 LB培地上で、形質転換体のコロニーを 選択した。 得られた大腸菌のコロニーから実施例 1に示した方法に従い、 大腸菌 が保持するプラスミド DNAを、 lOmM Tris- HC1 (pH8. 5) 100 / 1に回収した。 ベクタ 一 DNAに挿入された DNA断片の塩基配列の解析を常法によりヒト NDST2に特異的な 短鎖 DNAを用いて行った。 ライゲーション産物で形質転換した大腸菌のうち、目的の DNA断片を保持すると 考えられるクローンを同定し、 その DNAの塩基配列の確認を行った。 実施例 1 4:ロブスター L21配列、 gp67シグナルペプチドと C末端に 6xHISタグがつ いたヒ ト NDST2の融合 DNAのバキュロウィルスゲノム DNAへの組み込み
(方法)
実施例 1 3で得られた DNAを大腸菌 DH10BAC (Invitrogen社、 U. S. A. )に導入し、 実施例 6に示した方法により DNAを回収した。
(結果)
実施例 1 3で得られた DNAより目的のクローン (pGP67sp- hNDST2 (79E) 123HIS -FB1/10B#2) を得た。
60
実施例 1 5:ロブスター L21配列、 gP67シグナルぺプチドと C末に 6xHISタグがつい たヒ ト NDST2の融合 DNAを組み込んだバキュロウィルスゲノム DNAのョトウガ細胞 への導入
実施例 1 4で得られた DNA (バキュロウィルスゲノム DNAに組み込まれた口ブス ター L21配列、 gp67シグナルペプチドと C末に 6xHISタグがついたヒト NDST2) を用 いて、 実施例 7に示した方法に従い、 バキュロウィルスのストック液とした。 実施例 1 6 : 口ブスター L21配列とミツバチメリチンシグナルぺプチドの DNAの調 製
25 1の反応系で、ミツバチメリチンシグナルぺプチドを保持するベクター DNA、 pMelBac-A (Invitrogen社、 U. S. A. ) 250ngを铸型に
5, -AACTCCTAAAAAACCGCCACCATGAAATTCTTAGTCAACGTTG-3' (配列番号 1 5 ) の配 列を有する短鎖 DNA 5pmolと
5, -CACGGGTTCAGTTCGAGCTGTCTCCGCATAGATGTAAGAAATGTATAC-3' (配列番号 1 6 ) の配列を有する短鎖 DNA 5pmol、 Pyrobest (Takara社、 日本) 1. unitsによる PCRを 20mM Tris- HC1 (pH 8. 3)、 10mM KCl、 6mM (NH4) 2S04、 2mM MgS04、 0. 1% Triton X-100、 0. 001% BSA (ゥシ血清アルブミン) 、 200 μ Μ dNTP存在下、 サーマルサイ クラ一を用いて、 9 5 °C、 2分を 1サイクル、 9 5 °C、 3 0秒→5 2 . 5 °C、 3 0 秒→7 2 °C、 1分を 1 0サイクル、 7 2 °C、 1 0分を 1サイクル行わせ、 口ブス ター L21配列 (MCTCCTMMAACCGCCACC) (配列番号 7 ) とメリチンシグナルぺプ チド 21アミノ酸をコードする DNAの特異的増幅を行った。 実施例 1 7 : ロブスター L21配列、 メリチンシグナルペプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAの調製
25 μ 1の反応系で、 実施例 1 6で得られた反応液 2ulと実施例 3で得られた反応 液 0. 5ul中の DNAを錄型に実施例 4に示した方法により、 ロブスター L21配列、メリ
0 チンシグナルぺプチド 21ァミノ酸とヒ ト NDST2 805ァミノ酸をコードする融合 DNA の特異的増幅を行った。 実施例 1 8 : ロブスター L21配列、 メリチンシグナルペプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAのベクター DNAへの組み込み
(方法)
実施例 1 7で得られた融合 DNAを用いて、実施例 5に示した方法によりプラスミ ド DNAを回収した。
(結果)
ライゲーション産物で形質転換した大腸菌のうち、目的の DNA断片を保持すると 考えられるクローンを同定し、 その DNAの塩基配列の確認を行つた。 実施例 1 9 : ロブスター L21配列、 メリチンシグナルペプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAのパキュ口ウィルスゲノム DNAへの組み込み
(方法)
実施例 1 8で得られた DNAを大腸菌 DH10BAC (Invitrogen社、 U. S. A. )に導入し、 実施例 6に示した方法により DNAを回収した。 実施例 2 0 : ロブスター L21配列、 メリチンシグナルペプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAを組み込んだパキュロウィルスゲノム DNAのョ トゥガ細胞への導入
実施例 1 9で得られた DNA (バキュロウィルスゲノム DNAに組み込まれたロプス ター L21配列、 メリチンシグナルペプチドとヒ ト NDST2) を用いて、 実施例 7に示 した方法に従い、 バキュロウィルスのストック液とした。 実施例 2 1 :抗ヒ ト NDST2抗体を含む血清の取得
ヒ ト NDST2のァミノ酸 828番から 840番までの配列(LGRSKGRRYPDMD) (配列番号 1 7 ) 及び 873番から 883番までの配列(LREELQHSSLG) (配列番号 1 8 ) のァミノ末端
にそれぞれシスティン残基を付加したべプチド 1 (CLGRSKGRRYPDMD) (配列番号 1 9 ) 及ぴぺプチド 2 (CLREELQHSSLG) (配列番号 2 0 ) を Fmoc法により市販のぺプ チド合成機を用いて合成した。得られたぺプチドそれぞれ5 mgを lOOmMリン酸ナト リウム緩衝液(pH 7. 2) 4. 5mlに懸濁した後、 m-maleimidobenzoyl-N- hydroxy succinimide ester を使用して、 keyhole limpet hemocyanin (KLH) 0. 5mlと 4。し 一晩回転攪拌により、 共有結合させた。 公知の方法により、 得られた KLH-ぺプチ ド複合体をゥサギに免疫後、 血清画分を得た。 実施例 2 2 :ヒト NDST2のペプチド固定化カラムの作成とそれを用いた抗ヒト NDST 2精製抗体の取得
(方法)
DMS0 (ジメチルスルホキシド) に溶解したべプチド 1及び 2をそれぞれ、 Epoxy— activated Sepharose 6B (Amersham Bioscience社) ίこ |PJ製 f口の:^験手 I噴 ίこ 従って固定化し、 ペプチド固定化樹脂とする。 ペプチド固定化樹脂 0. 4mlを TBSで 平衡化した後、 クロマトカラム容器に充填し、 それぞれのぺプチドで免疫したゥ サギより得られた血清 10mlと混和し、 4°Cでー晚回転攪拌した。 クロマトカラム容 器を垂直に固定後、 0. 15M NaClを含む Tris_HCl緩衝液 (pH7. 5) 10ml, 1M NaCl及ぴ 1% Triton X- 100を含む Tris- HC1緩衝液(pH7. 5) 20ml, 0. 15M NaClを含む Tris - HC1 緩衝液(PH7. 5) 20ml, 0. 15M NaCl 10mlで順次洗浄後、 0. 1M Glycine- HC1 (pH2. 5) lmlで溶出させた。 溶出された画分に 1M Tris 50 1を加え中和し、 抗ヒト NDST 2 精製抗体の溶液とした。
(結果)
KLH-ぺプチド 1複合体で免疫したゥサギ血清画分を、 ぺプチド 1固定化力ラム にかけ、 溶出画分として、 抗 hNDST2#lを得た。 同様に KLH-ペプチド 2複合体で免 疫したゥサギ血清画分より、 抗 hNDST2#2を得た。 実施例 2 3 :精製抗ヒト NDST 2抗体を用いたョトウガ細胞中のヒト NDST2の検出
5 014160 培養上清とその 1 Z 4容の 5xSDS- PAGE sample bufferを混ぜ、 1 0 0 °C 5分処 理後、 5 %ポリアクリルアミ ド電気泳動に供した。 泳動後、 公知の方法により、 ポ リアクリルアミ ドゲル中の蛋白質を PVDF膜に転写した。 転写された膜は膜洗浄液
(1%スキムミルク及ぴ 0. 1% Tween- 20を含むリン酸緩衝液) 100ml中で 1時間振 盪した。 膜を抗ヒ ト NDST 2精製抗体 #1 12. 6 δあるいは #2 16. 6 gが溶解した膜 洗浄液 5ml中で 1時間振盪した。膜は膜洗浄液 100mlにて 10分間 3回洗浄した。膜を Horseradish Peroxidase結合型ヒッジ抗ゥサギ抗体 0. 4 μ gが溶解した膜洗浄液 5ml中で 1時間振盪した。膜は膜洗浄液 100mlにて 10分間 3回洗浄した。膜を蛍光発 色試薬 (例えば、 Supersignal West Dura Substrate, Pierce社、 U. S. A. ) とイン キュベーシヨン後、 蛍光を X線フィルムにて検出した。
上記の方法により、 ウィルスのストック液を含む培養上清中での hNDST2の検出 を行った。 まず、 ロブスター L21配列、 gp67シグナルペプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAのベクターに由来するウィルス増幅液約 3mlを感染させた Sf 21細胞 (血清含有 培地) の培養上清 (レーン 2 ) 中での hNDST2の検出を行った。 コントロール として、 pFastBac - 1に由来する培養上清 (レーン 1 ) を用いた。 抗 hNDST2#l を用いた結果を以下の図' 1 (A) に、 抗 hNDST2#2を用いた結果を以下の図 1 (B) に示す。 図 1に示す結果により、 抗 hNDST2#lを用いても抗 hNDST2#2を用いても、 培養上清中の目的の酵素が検出できることが分かった。次に、ロブスター L21配列、 gp67シグナルぺプチドと C末に 6xHISタグがついたヒ ト NDST2の融合 DNAのベクター に由来するウィルスストック液 14 1 (レーン 2 ) 中及びロプスター L21配列、 メ リチンシグナルぺプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAのベクターに由来するウィルスス トツク液 14 μ 1 (レーン 1 ) 中での hNDST2の検出を行った。 コントロールとして、 ロブスター L21配歹 U、gp67シグナルぺプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAのベクターに由 来するウィルスストック液 14 ^ 1 (レーン 3 ) 及ぴベクター DNAを導入していない 細胞に由来するウィルスストック液 14 μ 1 (レーン 4 ) を用いた。 抗 hNDST2#lを用 いた結果を図 2に示す。 図 2に示す結果により、 ロブスター 配列、 gp67シグナ ルぺプチドと C末に 6xHISタグがついたヒ ト NDST2の融合 DNAのベクターに由来する
ウィルスストック液中及びロブスター L2 己列、メリチンシグナルぺプチドとヒ ト DST2の融合 DNAのベクターに由来するウィルスストツク液中に、 ロブスター L21 配列、 gp67シグナルぺプチドとヒ ト NDST2の融合 DNAのベクターに由来するウィル スス トック液中と同様に目的の酵素が検出できることが分かった。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 ヒ ト N-デァセチラーゼ /N-スルホトランスフェラーゼ 2の 79 番から 883番までのアミノ酸をコードする D N Aを含有する組み換えパキュロウ ィルス発現ベクターを構築し、 該発現べクタ一で昆虫細胞を形質転換し、 得られ た形質転換体を培養して培養液中に分泌された発現生成物を回収することによ り、 膜貫通領域の N末側配列を除去した組換えヒ ト N -デァセチラーゼ /N_スルホ トランスフヱラーゼ 2を製造する方法が確立された。 本発明のヒ ト N-デァセチラ ーゼ N -スルホトランスフェラーゼ 2の 79番から 883番までのアミノ酸をコード する D N Aを含有する組み換えバキュロウィルス発現ベクターを感染させた昆虫 細胞は、 ヒ ト N -デァセチラーゼ /N-スルホトランスフヱラーゼ 2を高発現するこ とができる。 本発明の組み換えパキュロウィルス発現ベクターは、 ヒ ト N -デァセ チラーゼ /N-スルホトランスフェラーゼ 2を高発現するように構築された発現べ クタ一である。
本発明により製造される膜貫通領域の N末側配列を除去した N-デァセチラーゼ /N -スルホトランスフェラーゼ 2 (N D S T 2 ) は可溶性タンパク質であり、 脱 N -ァセチル化酵素活性と N-硫酸転移酵素活性の両方の活性を併せ持つため、 種々 の用途に使用しうる。
すなわち、 N D S T 2は、 生体内で N-ァセチルへパロザンからへパリン Zへパ ラン硫酸が生合成される修飾反応における最初のステップであるァセチル基を硫 酸基に変換する反応を触媒するので、 可溶性 N D S T 2が本発明により容易かつ 大量に得られれば、 大腸菌を用いて製造できる N -ァセチルへパロザンを原料とし てへパリン へパラン硫酸及ぴその類縁糖鎖 (へパリン様糖鎖) を大量合成する
際に利用することができる。 例えば、 N-ァセチルへパロザンに ND S T 2を作用 させて、 それ自身抗プロテアーゼ活性や抗凝固活性を有することが知られている N -サルファミノへパロザンを合成することができ、 さらにェピメラーゼ、 0 -スノレ フォトランスフェラーゼ等を用いて C5-ェピメリ化、 2-0-硫酸化、 6 - 0-硫酸化、 3 - 0 - 硫酸化を行なうことによつてへパリン /へパラン硫酸及びその類縁糖鎖を 合成することができる。 へパリン様糖鎖は、 その抗凝固活性を利用してへパリン Zへパラン硫酸と同様に医薬品、 医療機器 ·用具への抗血栓処理に利用できるば かりでなく、へパリン /へパラン硫酸結合タンパク質(例えば細胞増殖因子、細胞 接着因子、 血液凝固関連タンパク質など) の機能解明や、 これらのタンパク質が 関連した疾病の診断にも利用可能である。