明 細 書
架橋性組成物およびそれからなる積層体
技術分野
[0001] 本発明は、フッ素ゴム、架橋剤、添加剤を含む架橋性組成物、該組成物から形成さ れるゴム層を含む積層体、およびホースに関する。
背景技術
[0002] フッ素ゴムは、優れた耐薬品性、耐溶剤性および耐熱性を示すことから、自動車ェ 業、半導体工業、化学工業等の各種分野において広く使用されており、たとえば、 自 動車産業においては、エンジンならびに周辺装置、 AT装置、燃料系統ならびに周 辺装置などのホース、シール材等として使用されている。しかし、近年の環境規制に 伴い、これらのフッ素ゴムからなる材料にも耐老化性、耐候性、加工性、耐油性、耐 燃料油性、燃料透過性などの諸特性にぉ 、てより 、つそう厳し 、要求がされて 、るの が現状である。
[0003] フッ素ゴムは、前述のような優れた諸特性を示すものの、その価格が通常のゴム材 料の 10〜20倍と高価であり、また耐寒性に問題があり、フッ素ゴムのみでホースなど の材料を作ることはコスト、耐寒性等の点で問題があった。また、従来、燃料油用ホ ースとして用いられていた、アクリル-トリル—ブタジエン共重合体ゴムでは、耐熱性 、耐油性、耐老化性などの諸特性の点でフッ素ゴムに劣るものであり、その改善が要 求されていた。
[0004] そこで、フッ素ゴムを内層として薄く使用し、外層としてはェピクロルヒドリンゴム等の 非フッ素ゴム力もなるホース類が開発されている。このようなフッ素ゴムと非フッ素ゴム 力もなることで、コストや耐寒性等の問題は改善されるものの、フッ素ゴムとェピクロル ヒドリンゴム等の非フッ素ゴムは、接着性に乏しぐ実用上難点があった。
[0005] このような問題点を解決する手法として、ェピクロルヒドリン系ゴムに水酸ィ匕カルシゥ ムと共にエポキシィ匕合物を添加するゴム組成物が開示されている(たとえば、特公昭 61— 29619号公報参照)。このような組成物を用いることで、フッ素ゴムとの接着性 が向上することが記載されている力 その接着性は充分なものではな力つた。
[0006] このように、フッ素ゴム層とェピクロルヒドリンゴムなどの非フッ素ゴム層との接着性が 充分に改善された積層体は存在しなカゝつた。
発明の開示
[0007] 本発明は、フッ素ゴム、架橋剤、添加剤を含む架橋性組成物、該組成物から形成さ れるゴム層を含む積層体、およびホースを提供する。
[0008] すなわち、本発明は、フッ素ゴム、架橋剤、添加剤を含む架橋性組成物であって、 該添加剤が、一般式(1) :
[0009] [化 1]
[0010] (式中、
R
3は、それぞれ同じ力または異なり、水素原子、または炭素数 1〜30 の 1価の有機基であり、 X
1—は 1価の陰イオンである)
で示される化合物、一般式 (2):
[0011] [化 2]
[0012] (式中、 nは、 0〜50の整数である)
で示される化合物、および一般式 (3):
[0013] [化 3]
[0014] で示される化合物からなる群から選ばれる 1種以上の化合物である架橋性組成物に 関する。
[0015] さらに架橋促進剤を含むことが好ましい。
[0016] 架橋剤が、ポリオール系架橋剤であることが好ましい。
[0017] フッ素ゴムが、ビ-リデンフルオライド単位を含むフッ素ゴムであることが好ましい。
[0018] フッ素ゴムが、フッ素含有率 65重量0 /0以上のフッ素ゴムであることが好ましい。
[0019] また、本発明は、前記架橋性組成物から形成されるゴム層と、非フッ素ゴムおよび 架橋剤を含有する非フッ素ゴム組成物から形成される非フッ素ゴム層とが架橋接着さ れてなる積層体に関する。
[0020] 非フッ素が、ェピクロルヒドリンゴムであることが好ましい。
[0021] さらに、本発明は、前記積層体を含むホースに関する。
発明を実施するための最良の形態
[0022] 本発明は、フッ素ゴム、架橋剤、添加剤を含む架橋性組成物であって、
該添加剤が、一般式(1) :
[0023] [化 4]
(式中、
R
3は、それぞれ同じ力または異なり、水素原子、または炭素数 1 の 1価の有機基であり、 X
1—は 1価の陰イオンである)
で示される化合物、一般式 (2):
[0025] [化 5]
[0026] (式中、 nは、 0〜50の整数である)
で示される化合物、および一般式 (3):
[0027] [化 6]
[0028] で示される化合物からなる群から選ばれる 1種以上の化合物である架橋性組成物に 関する。
[0029] 本発明で用いるフッ素ゴムとしては、非パーフルオロフッ素ゴム(a— 1)およびパー フルオロフッ素ゴム(a— 2)があげられる。なお、パーフルオロフッ素ゴムとは、その構 成単位のうち、 90モル0 /0以上がパーフルォロモノマーからなるものをいう。
[0030] 非パーフルオロフッ素ゴム(a— 1)としては、ビ-リデンフルオライド (VdF)系フッ素 ゴム、テトラフルォロエチレン (TFE)Zプロピレン系フッ素ゴム、テトラフルォロェチレ ン(TFE) Zプロピレン Zビ-リデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/へ キサフルォロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン Zへキサフルォロプロピレン( HFP) Zビ-リデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン Zへキサフルォロプロ ピレン(HFP)Zテトラフルォロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルォロシリコーン系フ ッ素ゴム、またはフルォロホスファゼン系フッ素ゴムなどがあげられ、これらをそれぞれ 単独で、または本発明の効果を損なわな 、範囲で任意に組合わせて用いることがで
きるが、ビ-リデンフルオライド (VdF)系フッ素ゴム、テトラフルォロエチレン (TFE) Zプロピレン系フッ素ゴムを用いることが好まし 、。
[0031] ビ-リデンフルオライド (VdF)系フッ素ゴムとしては、下記一般式 (4)で表されるも のが好ましい。
[0032] 一 (M1)一(M2)— (N1)一 (4)
(式中、構造単位 M1はビ-リデンフルオライド (m1)由来の構造単位であり、構造単位 M2は含フッ素エチレン性単量体 (m2)由来の構造単位であり、構造単位 N1は単量体 (m1)および単量体 (m2)と共重合可能な単量体 (n1)由来の繰り返し単位である) 一般式 (4)で示されるビ-リデンフルオライド (VdF)系フッ素ゴムの中でも、構造単 位 M1を 20〜85モル%、構造単位 M2を 80〜 15モル%含むものが好ましぐより好ま しくは構造単位 M1を 25〜80モル0 /0、構造単位 M2を 75〜20モル0 /0である。構造単 位 N1は、構造単位 M1と構造単位 M2の合計量に対して、 0〜10モル%であることが 好ましい。
[0033] 含フッ素エチレン性単量体 (m2)としては、単一のものでもよぐ二種以上の組合せ でもよいが、たとえばテトラフルォロエチレン(TFE)、クロ口トリフルォロエチレン(CT FE)、トリフルォロエチレン、へキサフルォロプロピレン(HFP)、トリフルォロプロピレ ン、テトラフルォロプロピレン、ペンタフルォロプロピレン、トリフルォロブテン、テトラフ ルォロイソブテン、パーフルォロ(アルキルビュルエーテル)(PAVE)、フッ化ビュル などの含フッ素単量体があげられる力 これらのなかでも、テトラフルォロエチレン、 へキサフルォロプロピレン、パーフルォロ(アルキルビュルエーテル)が好ましい。
[0034] 単量体 (n1)としては、単量体 (m1)および単量体 (m2)と共重合可能なものであれば 、いかなるものでもよいが、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビュルエーテルな どがあげられる。
[0035] このようなビ-リデンフルオライド (VdF)系フッ素ゴムとして、具体的には、 VdF— H FP系ゴム、 VdF— HFP—TFE系ゴム、 VdF— CTFE系ゴム、 VdF— CTFE—TFE 系ゴムなどが好ましくあげられる。
[0036] テトラフルォロエチレン (TFE) Zプロピレン系フッ素ゴムとしては、下記一般式(5) で表されるものが好まし 、。
[0037] 一(M3)—(M4)—(N2)— (5)
(式中、構造単位 M3はテトラフルォロエチレン (m3)由来の構造単位であり、構造単 位 M4はプロピレン (m4)由来の構造単位であり、構造単位 N2は単量体 (m3)および単 量体 (m4)と共重合可能な単量体 (n2)由来の繰り返し単位である) でも、構造単位 M3を 40〜70モル0 /0、構造単位 M4を 60〜 30モル%含むものが好ま しぐより好ましくは構造単位 M3を 50〜60モル0 /0、構造単位 M4を 50〜40モル0 /0含 むものである。構造単位 N2は、構造単位 M3と構造単位 M4の合計量に対して、 0〜4 0モル%であることが好まし!/、。
[0038] 単量体 (n2)としては、単量体 (m3)および単量体 (m4)と共重合可能なものであれば V、かなるものでもよ 、が、架橋部位を与える単量体であることが好ま 、。
[0039] このような架橋部位を与える単量体としては、たとえば特公平 5— 63482号公報、 特開平 7— 316234号公報に記載されているようなパーフルォロ(6, 6 ジヒドロ一 6 ーョードー 3 ォキサ 1一へキセン)やパーフルォロ(5 ョードー 3 ォキサ 1 ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平 4— 505341号公報に記載されている臭 素含有単量体、特開平 4— 505345号公報、特開平 5— 500070号公報に記載され ているようなシァノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボ- ル基含有単量体などがあげられる。
[0040] パーフルオロフッ素ゴム(a— 2)としては、下記一般式(6)で表されるものが好ましい
[0041] 一 (M5)一(M6)—(N3)— (6)
(式中、構造単位 M5はテトラフルォロエチレン (m5)由来の構造単位であり、構造単 位 M6はパーフルォロ(アルキルビュルエーテル) (m6)由来の構造単位であり、構造 単位 N3は単量体 (m5)および単量体 (m6)と共重合可能な単量体 (n3)由来の繰り返 し単位である)
一般式(6)で示されるパーフルオロフッ素ゴム(a— 2)の中でも、構造単位 M5を 50 〜90モル%、構造単位 M6を 10〜50モル%含むものが好ましぐより好ましくは構造 単位 M5を 50〜80モル0 /0、構造単位 M6を 20〜50モル0 /0含むものであり、さらに好ま
しくは構造単位 M5を 55〜70モル0 /0、構造単位 M6を 30〜45モル0 /0含むものである 。構造単位 N3は、構造単位 M5と構造単位 M6の合計量に対して、 0〜5モル%である ことが好ましぐ 0〜2モル%であることがより好ましい。これらの組成の範囲を外れると 、ゴム弾性体としての性質が失われ、榭脂に近い性質となる傾向がある。
[0042] パーフルォロ(アルキルビュルエーテル)(m6)としては、たとえばパーフルォロ(メチ ルビ-ルエーテル)、パーフルォロ(プロピルビュルエーテル)などがあげられ、これら をそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
[0043] また、単量体 (n3)としては、単量体 (m5)および単量体 (m6)と共重合可能なもので あれば!/ヽかなるものでもよ!/、が、架橋部位を与える単量体が好ま 、。
[0044] このような架橋部位を与える単量体としては、たとえばビ-リデンフルオライド、一般 式 (7) :
CY1 =CY1-R 1CHR4X2 (7)
2 f
(式中、 Y1は、水素原子、フッ素原子または—CH、 R 1は、フルォロアルキレン基、パ
3 f
一フルォロアルキレン基、フルォロポリオキシアルキレン基またはパーフルォロポリオ キシアルキレン基、 R4は、水素原子または— CH
3、 X2は、ヨウ素原子または臭素原子
)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式 (8):
CF =CFO (CF CF (CF ) 0) (CF ) —X3 (8)
2 2 3 m 2 n
(式中、 mは、 0〜5の整数、 nは、 1〜3の整数、 X3は、シァノ基、カルボキシル基、ァ ルコキシカルボニル基、臭素原子)で表される単量体などがあげられ、これらをそれ ぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
[0045] このヨウ素原子、臭素原子、シァノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が
、架橋点として機能することができる。
[0046] 力かるパーフルォロフツ素ゴム(a— 2)の具体例としては、国際公開第 97Z24381 号パンフレット、特公昭 61— 57324号公報、特公平 4— 81608号公報、特公平 5—
13961号公報などに記載されているフッ素ゴムなどがあげられる。
[0047] また、フッ素ゴム(a)は数平均分子量 30000〜1200000のもの力好ましく用いられ る。
[0048] 以上説明した非パーフルオロフッ素ゴム(a— 1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a
- 2)は、常法により製造することができるが、得られる重合体は分子量分布が狭ぐ 分子量の制御が容易である点から、フッ素ゴムの製造法として公知のヨウ素移動重 合法が好ましい。たとえば、溶液重合を行う方法や、また、実質的に無酸素下で、水 媒体中で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記パーハロォレ フィンと、要すれば架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始 剤の存在下、乳化重合を行なう方法があげられる。使用するヨウ素化合物の代表例と しては、たとえば、一般式(9):
R5I Br (9)
(式中、 Xおよび yはそれぞれ 0〜2の整数であり、かつ l≤x +y≤2を満たすものであ り、 R5は炭素数 1〜16の飽和もしくは不飽和のフルォロ炭化水素基またはクロ口フル ォロ炭化水素基、または炭素数 1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいても よい)で示される化合物などをあげることができる。このようなヨウ素化合物を用いて得 られる含フッ素ゴムの末端には、ヨウ素原子または臭素原子が導入される。
[0049] 一般式(9)で表される化合物としては、たとえば 1, 3 ジョードパーフルォロプロパ ン、 1, 3 ジョードー 2 クロ口パーフルォロプロパン、 1, 4ージョードパーフルォロ ブタン、 1, 5 ジョードー 2, 4 ジクロ口パーフルォロペンタン、 1, 6 ジョードパー フルォ口へキサン、 1, 8 ジョードパーフルォロオクタン、 1, 12 ジョードパーフル ォロドデカン、 1, 16 ジョードパーフルォ口へキサデカン、ジョードメタン、 1, 2 ジ ョードエタン、 1, 3 ジョードー n—プロパン、 CF Br、 BrCF CF Brゝ CF CFBrCF
2 2 2 2 3
Br、 CFClBr、 BrCF CFClBr、 CFBrClCFClBr、 BrCF CF CF Br、 BrCF CFB
2 2 2 2 2 2 2 rOCF、 1ーブロモー 2 ョードパーフルォロェタン、 1ーブロモー 3 ョードパーフル
3
オロフ。ロノ ン、 1ーブロモー 4 ョードパーフノレオロブタン、 2 ブロモー 3 ョードノ ーフノレオロブタン、 3 ブロモー 4 ョードパーフノレオロブテン 1、 2 ブロモー 4 ョードパーフルォロブテン— 1、ベンゼンのモノョードモノブロモ置換体、ジョード置換 体、ならびに(2—ョードエチル)および(2—ブロモェチル)置換体などがあげられ、こ れらの化合物は、単独で使用してもよぐ相互に組み合せて使用することもできる。
[0050] これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、 1, 4ージ ョードパーフルォロブタン、ジョードメタンなどが好まし 、。
[0051] 本発明で使用するラジカル重合開始剤は、従来力 含フッ素ゴムの重合に使用さ れているものと同じものであってよい。これらの開始剤には有機および無機の過酸ィ匕 物ならびにァゾィ匕合物がある。典型的な開始剤として過硫酸塩類、過酸化カーボネ ート類、過酸ィ匕エステル類などがあり、好ましい開始剤として過硫酸アンモ-ゥム (A PS)があげられる。 APSは単独で使用してもよぐまたサルファイト類、亜硫酸塩類の ような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
[0052] 乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中 におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルォロカーボン鎖、 またはフルォロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ま 、。乳化剤の使用 量は、添加された水の約 0. 05〜2重量%が好ましぐとくに 0. 2〜1. 5重量%が好 ましい。
[0053] 本発明で使用するモノマー混合ガスは、カルプ(G. H. Kalb)ら、アドヴアンシーズ
•イン ·ケミストリ^ ~ ·シリーズ(Advances in Chemistry Series. ) , 129, 13 (197
3)に記載されるように、爆発性を有するので、重合装置には着火源となるスパークな どが発生しな 、ように工夫する必要がある。
[0054] 重合圧力は、広い範囲で変化させることができる。一般には、 0. 5〜7MPaの範囲 である。重合圧力は、高い程重合速度が大きくなるため、生産性の向上の観点から、
0. 8MPa以上であることが好ましい。
[0055] 前記一般式(9)で表される化合物の添加量としては、得られる含フッ素ゴムの全重 量の 0. 0001〜5重量%であることが好ましぐ 0. 01〜1重量%であることがより好ま しい。
[0056] また、含フッ素ゴムとしては、含フッ素シリコーン系エラストマ一も用いることができ、 たとえば、フルォロシリコーンゴムなどがあげられる。
[0057] さらに、本発明においては、前述のようなフッ素ゴム(a— 1)、 (a— 2)と熱可塑性フ ッ素ゴムとからなる組成物を用いることもできる。
[0058] 前記フッ素ゴムの中でも、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、 VdF 単位を含むフッ素ゴムであることが好ましぐ VdF系フッ素ゴムがより好ましぐ VdF—
HFP系ゴム、 VdF— HFP TFE系ゴムがとくに好まし!/、。
[0059] また、前記フッ素ゴムとしては、非フッ素ゴム組成物力も形成される非フッ素ゴム層と の接着性がょ 、点から、パーオキサイド架橋可能な VdF単位を含むフッ素ゴムを用 いることがより好ましい。
[0060] パーオキサイド架橋可能な VdF単位を含むフッ素ゴムとしては、 VdF単位を含むフ ッ素ゴム、より好ましくは VdF系フッ素ゴムに、パーオキサイド架橋が可能な架橋部位 を導入したものであり、架橋部位としては、ヨウ素原子、臭素原子、シァノ基、カルボ キシル基、アルコキシカルボ-ル基などがあげられる。
[0061] フッ素ゴムとしては、以上説明したものを 1種に限らず 2種以上用いてもよい。
[0062] また、本発明に使用されるフッ素ゴムは、フッ素含有率 65重量0 /0以上のフッ素ゴム であることが好ましぐフッ素含有率 68重量%以上のフッ素ゴムであることがより好ま しい。フッ素含有率の上限値は特に限定されないが、 74重量%以下であることが好 ましい。フッ素含有率が、 65重量%未満であると耐薬品性、耐燃料油性、燃料透過 '性が劣る傾向がある。
[0063] 本発明の架橋性組成物は、前記フッ素ゴムに架橋剤を配合してなるものである。ま た、架橋促進剤を架橋剤とともに用いることができる。
[0064] 架橋剤および架橋促進剤は、フッ素ゴムを架橋するために用いられるものである。
ここで、架橋とは、架橋剤によりフッ素ゴムの同一または異なるポリマー鎖同士を架橋 するものであり、このように架橋することにより、前記フッ素ゴムは、引張り強さが向上 し、良好な弾性を有するものとなる。なお、架橋促進剤は一般式(1)〜(3)で示され る添カロ剤とは異なるちのである。
[0065] 本発明で用いられる架橋系は、含フッ素ゴムに架橋性基 (キュアサイト)が含まれる 場合は、キュアサイトの種類によって、または得られる積層体等の用途により適宜選 択すればよい。架橋剤としては、ポリオール系架橋剤、パーオキサイド系架橋剤およ びポリアミン系架橋剤の 、ずれも採用できる。
[0066] ここで、ポリオール系架橋剤により架橋してなる架橋フッ素ゴムは、架橋点に炭素— 酸素結合を有しており、圧縮永久歪みが小さぐ成形性に優れているという特徴があ るので、本発明のホースに好適である。
[0067] パーオキサイド系架橋剤により架橋してなる架橋フッ素ゴムは、架橋点に炭素 炭
素結合を有しているので、架橋点に炭素 酸素結合を有するポリオール系架橋およ び炭素 窒素二重結合を有するポリアミン系架橋に比べて、耐薬品性および耐スチ ーム性に優れて 、ると!/、う特徴がある。
[0068] ポリアミン系架橋剤により架橋してなる架橋フッ素ゴムは、架橋点に炭素 窒素二 重結合を有しているものであり、動的機械特性に優れているという特徴がある。しかし 、ポリオール系架橋剤またはパーオキサイド系架橋剤を用いて架橋した架橋フッ素ゴ ムに比べて、圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。
[0069] なお、本発明の架橋性組成物としては、非フッ素ゴム層との接着性の点から、ポリオ ール系架橋剤を用いることが好まし 、。
[0070] 本発明における架橋剤は、一般的にフッ素ゴム用として知られているポリアミン系、 ポリオール系、パーオキサイド系の架橋剤を使用することができる。
[0071] ポリアミン系架橋剤としては、たとえば、へキサメチレンジァミンカーバメート、 N, N, ージシンナミリデン 1, 6 へキサメチレンジァミン、 4, 4 '—ビス(アミノシクロへキシ ル)メタン力ルバメートなどのポリアミン化合物があげられる。これらの中でも、 N, N, ジシンナミリデン 1, 6 へキサメチレンジァミンが好まし!/、。
[0072] ポリオール系架橋剤としては、従来、フッ素ゴムの架橋剤として知られて 、る化合物 を用いることができ、たとえば、ポリヒドロキシィ匕合物、特に、耐熱性に優れる点からポ リヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
[0073] 上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、たとえば、 2, 2 ビス ( 4 ヒドロキシフエ-ル)プロパン(以下、ビスフエノール Aという)、 2, 2 ビス(4 ヒド ロキシフエ-ル)パーフルォロプロパン(以下、ビスフエノール AFという)、レゾルシン、 1, 3 ジヒドロキシベンゼン、 1, 7 ジヒドロキシナフタレン、 2, 7 ジヒドロキシナフ タレン、 1, 6 ジヒドロキシナフタレン、 4, 4'ージヒドロキシジフエニル、 4, 4' ジヒド ロキシスチルベン、 2, 6 ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、 2, 2— ビス(4—ヒドロキシフエ-ル)ブタン(以下、ビスフエノール Bという)、 4, 4—ビス(4— ヒドロキシフエ-ル)吉草酸、 2, 2 ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)テトラフルォロジクロ 口プロパン、 4, 4,ージヒドロキシジフエニノレスノレホン、 4, 4,ージヒドロキシジフエ二ノレ ケトン、トリ(4—ヒドロキシフエ-ル)メタン、 3, 3' , 5, 5,一テトラクロ口ビスフエノール
A、 3, 3' , 5, 5, 一テトラブロモビスフェノール Aなどがあげられる。これらのポリヒドロ キシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、 酸を用いて共重合体を凝祈した場合は、上記金属塩は用いな 、ことが好ま 、。
[0074] パーオキサイド系架橋の架橋剤としては、パーォキシラジカルおよびポリマーラジカ ルに対して反応活性を有する化合物であればよぐたとえば、 CH =CH—、 CH =
2 2
CHCH 一、 CF =CF—などの官能基を有する多官能性ィ匕合物があげられる。具体
2 2
的には、たとえば、トリァリルシアヌレート、トリアリルイソシァヌレート(TAIC)、トリメタ ァリルイソシァヌレート、 TAICプレポリマー、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリ テート、 N, N' —n—フエ-レンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジァリル フタレート、テトラァリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フ ッ素ィ匕卜ジアジノレイソシァヌレー卜(1, 3, 5—卜ジス(2, 3, 3— HJフノレ才 P— 2—プ Pぺ -ル)— 1, 3, 5—トリァジン— 2, 4, 6—トリオン)、トリス(ジァリルァミン)— S—トリア ジン、亜リン酸トリアリル、 N, N—ジァリルアクリルアミド、 1, 6—ジビ-ルドデカフルォ 口へキサン、へキサァリルホスホルアミド、 N, N, N' , N' —テトラァリルテトラフタラ ミド、 N, N, N' , N' —テトラァリルマロンアミド、トリビュルイソシァヌレート、 2,4,6 —トリビュルメチルトリシロキサン、トリ(5—ノルボルネン一 2—メチレン)シァヌレート、 トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点 から、トリアリルイソシァヌレート(TAIC)が好ま U ヽ。
[0075] これらの中でも、架橋フッ素ゴムの圧縮永久歪みが小さぐ成形性に優れていると いう点から、ポリヒドロキシィ匕合物が好ましぐ耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳 香族化合物がより好ましぐビスフエノール AFがさらに好ましい。
[0076] 架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム 100重量部に対して、 0. 2〜: LO重量部が好 ましぐ 0. 5〜6重量部がより好ましぐ 1〜5重量部がさらに好ましい。架橋剤が、 0. 2重量部未満であると、架橋密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、 1 0重量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向が ある。
[0077] また、ポリオール系架橋にぉ 、ては、ポリオール系架橋剤と併用して、架橋促進剤 を用いることが好ましい。架橋促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応に
おける分子内二重結合の形成を促進することにより架橋反応を促進することができる
[0078] ポリオール系架橋の架橋促進剤としては、フッ素ゴム主鎖に付加しにくい性質を有 する化合物が好ましぐ一般にォ -ゥム化合物が用いられる。ォ -ゥム化合物として は特に限定されず、たとえば、第 4級アンモ-ゥム塩等のアンモ-ゥム化合物、第 4級 ホスホ-ゥム塩等のホスホ-ゥム化合物、ォキソ -ゥム化合物、スルホ -ゥム化合物、 環状ァミン、 1官能性アミンィ匕合物などがあげられ、これらの中でも第 4級アンモ-ゥ ム塩、第 4級ホスホ-ゥム塩が好ましい。
[0079] 第 4級アンモ-ゥム塩としては特に限定されず、たとえば、 8—メチル 1, 8 ジァ ザビシクロ [5, 4, 0]— 7 ゥンデセ -ゥムクロリド、 8—メチルー 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0]— 7 ゥンデセ-ゥムアイオダイド、 8—メチルー 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0]— 7 ゥンデセ -ゥムハイドロキサイド、 8—メチル 1, 8 ジァザビシクロ [5,
4, 0]— 7 ゥンデセ-ゥムメチルスルフェート、 8 ェチル 1, 8 ジァザビシクロ [
5, 4, 0]— 7 ゥンデセ-ゥムブロミド、 8 プロピル一 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0]— 7 ゥンデセ-ゥムブロミド、 8 ドデシルー 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0] - 7 —ゥンデセ -ゥムクロリド、 8 ドデシル一 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0]— 7 ゥン デセ -ゥムハイドロキサイド、 8 エイコシル— 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0] - 7- ゥンデセ -ゥムクロリド、 8—テトラコシル 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0]— 7 ゥン デセ -ゥムクロリド、 8 ベンジル一 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0]— 7 ゥンデセ- ゥムクロリド(以下、 DBU— Bとする)、 8 ベンジル一 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4, 0] 7 ゥンデセ -ゥムハイドロキサイド、 8 フエネチルー 1, 8 ジァザビシクロ [5, 4
, 0]— 7 ゥンデセ -ゥムクロリド、 8— (3—フエ-ルプロピル)— 1, 8 ジァザビシク 口 [5, 4, 0]— 7 ゥンデセ -ゥムクロリドなどがあげられる。これらの中でも、架橋性、 架橋物の物性の点から、 DBU— Bが好ましい。
[0080] また、第 4級ホスホ-ゥム塩としては特に限定されず、たとえば、テトラブチルホスホ -ゥムクロリド、ベンジルトリフエ-ルホスホ -ゥムクロリド(以下、 BTPPCとする)、ベン ジルトリメチルホスホ-ゥムクロリド、ベンジルトリブチルホスホ-ゥムクロリド、トリブチル ァリルホスホ-ゥムクロリド、トリブチルー 2—メトキシプロピルホスホ-ゥムクロリド、ベ
ンジルフエ-ル(ジメチルァミノ)ホスホ-ゥムクロリドなどをあげることができ、これらの 中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、ベンジルトリフエ-ルホスホ -ゥムクロライド (BTPPC)が好ましい。
[0081] また、架橋促進剤として、第 4級アンモ-ゥム塩、第 4級ホスホ-ゥム塩とビスフエノ ール AFの固溶体、特開平 11— 147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促 進剤を用いることもできる。
[0082] パーオキサイド系架橋促進剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にバーオ キシラジカルを発生し得る有機過酸ィ匕物であればよぐ具体的には、たとえば 1, 1 ビス(t—ブチルパーォキシ)一3, 5, 5 トリメチルシクロへキサン、 2, 5 ジメチルへ キサン 2, 5 ジヒドロパーオキサイド、ジー t ブチルパーオキサイド、 tーブチルク ミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、 a , α ビス(t ブチルパーォキシ) —P ジイソプロピルベンゼン、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ジ(t ブチルパーォキシ) へキサン、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ジ(t—ブチルパーォキシ)一へキシンー3、ベン ゾィルパーオキサイド、 t ブチルパーォキシベンゼン、 t ブチルパーォキシマレイ ン酸、 t—ブチルパーォキシイソプロピルカーボネートなどをあげることができる。これ らの中でも、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ジ(t—ブチルパーォキシ)へキサンが好ましい
[0083] 架橋促進剤の配合量としては、フッ素ゴム 100重量部に対して、 0. 1〜2. 0重量部 力 S好ましく、 0. 1〜1. 5重量部がより好ましぐ 0. 1〜0. 7重量部がさらに好ましい。 架橋促進剤の配合量が、 0. 1重量部未満であると架橋速度が遅くなるため生産性が 悪くなる傾向があり、 2. 0重量部をこえると架橋速度が速くなりすぎるためスコーチや 成形不良が発生しやすくなる傾向がある。
[0084] 本発明で使用する添加剤としては、一般式(1):
[0085] [化 7]
R
1— N /N
+ -R « X
1™ ( 1 )
[0086] (式中、
R
3は、それぞれ同じ力または異なり、水素原子、または炭素数 1〜30 の 1価の有機基であり、 X
1—は 1価の陰イオンである)
で示される化合物、一般式 (2):
[0087] [化 8]
[0088] (式中、 nは、 0〜50の整数である)
で示される化合物、および一般式 (3):
[0089] [化 9]
[0090] で示される化合物力 なる群力 選ばれる 1種以上の化合物である。
[0091] 一般式(1)中の、
R
2、 R
3は、それぞれ同じかまたは異なり、水素原子、または炭 素数 1〜30の 1価の有機基である力 炭素数 1〜30の 1価の有機基としては、特に限 定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フエニル基などのァリール基、または ベンジル基があげられる。具体的には、たとえば、—CH 、 一 C H 、 一 C Hなどの炭
3 2 5 3 7 素数 1〜30のアルキル基;— CX4 、 一 C X4、 -CH X4、 -CH CX4、— CH C X4
3 2 5 2 2 3 2 2 5 などの炭素数 1〜30のハロゲン原子含有アルキル基 (X4は、フッ素原子、塩素原子、 臭素原子またはヨウ素原子);フエ-ル基;ベンジル基;— C F 、 一 CH C Fなどのフ
6 5 2 6 5 ッ素原子で 1〜5個の水素原子が置換されたフエニル基またはべンジル基; C H
6 5-n
(CF ) 、 一 CH C H (CF ) (nは 1〜5の整数)などの CFで 1〜5個の水素原子
が置換されたフエニル基またはべンジル基などがあげられる。また、
[0093] のように、窒素原子を含んでいてもよい。
[0094] これらのうち、非フッ素ゴム組成物力も形成される非フッ素ゴム層との接着性が良好 な点から、
R
3としては、炭素数 1〜20のアルキル基、ベンジル基が好ましい。
[0095] 一般式(1)中の X1—は、 1価の陰イオンであり、ハロゲンイオン(F―、 Cl—、 Br―、 I")、 O H―、 RO—、 RCOO—、 C H O—、 SO 2—、 SO 2—、 SO―、 RSO 2—、 CO 2—、 NO― (Rは 1価
6 5 4 3 2 3 3 3 の有機基)などがあげられる力 これらの中でも、 crが好ましい。
[0096] これらの中でも、一般式(1)としては、非フッ素ゴム組成物力も形成される非フッ素 ゴム層との接着性が良好な点から、
[0097] [化 11]
[0098] で示される化合物であることが好ましい。
[0099] 一般式(2)中の nは、 0〜50の整数である力 フッ素ゴムとの混練り時の分散性の 点から、 0〜10の整数であることがより好ましぐ 1〜5の整数であることがさらに好まし い。
[0100] 一般式(1)〜(3)で示される化合物のうち、非フッ素ゴム組成物から形成される非フ ッ素ゴム層との接着性が良好な点から、一般式(1)で示される化合物が好ましい。
[0101] 一般式(1)〜(3)で示される添加剤の配合量としては、フッ素ゴム 100重量部に対 して、 0. 01〜10重量咅力 S好ましく、 0. 05〜5重量咅力 Sより好ましく、 0. 05〜2重量 部がさらに好ましい。添加剤が、 0. 01重量部未満であると、非フッ素ゴム層との接着
性が劣る傾向があり、 10重量部をこえると、架橋後のフッ素ゴム層の伸びが劣る傾向 がある。
[0102] また、必要に応じて架橋性組成物に配合される通常の添加物、たとえば充填剤、加 工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、受酸剤、離型剤、導電性付与剤、熱 伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤などの各種 添加剤を配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を 1 種またはそれ以上配合してもよ 、。
[0103] 本発明の架橋性組成物は、フッ素ゴム、架橋剤、一般式(1)〜(3)で示される添加 剤、必要に応じて、架橋促進剤、充填材などのその他配合剤を、一般に使用されて いるゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得られる。ゴム混練り装置としては、 ロール、ニーダー、バンバリ一ミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機など を用いることができる。
[0104] 特に、架橋剤としてポリヒドロキシ化合物を用いる場合には、架橋剤'架橋促進剤の 融点が比較的高い場合が多ぐゴム中に均一に分散させるために、架橋剤'架橋促 進剤を-一ダーなどの密閉型の混練り装置を用いて 120〜200°Cの高温で溶融さ せながら混練りした後に、充填材などのその他配合剤をこれ以下の比較的低温で混 練りする方法が好ましい。また、架橋剤と架橋促進剤を一旦溶融させ融点降下を起こ させた固溶体を用いて均一分散させる方法もある。
[0105] さらに一度フッ素ゴム、架橋剤、一般式(1)〜(3)で示される添加剤、必要に応じて 、架橋促進剤、充填材などのその他配合剤を混練りした後に、室温にて 12時間以上 置いた後に再度混練りすることで、さらに分散性を高めることができる。
[0106] また、本発明は、前記架橋性組成物から形成されるゴム層と、非フッ素ゴムおよび 架橋剤を含有する非フッ素ゴム組成物から形成される非フッ素ゴム層とが架橋接着さ れてなる積層体に関する。
[0107] 非フッ素ゴム糸且成物の非フッ素ゴムとしては、特に限定されるものではないが、ブタ ジェン アクリロニトリルゴム、スチレン ブタジエンゴム、ポリクロ口プレン、エチレン プロピレン ターモノマー共重合体、塩素化ポリスチレン、クロルスルホン化ポリス チレン、シリコンゴム、ブチルゴム、ェピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、エチレン一
酢酸ビュル共重合体、 a , j8—不飽和-トリルー共役ジェン系共重合体ゴムまたは その水素化物があげられるが、これらの中でも、耐燃料油性、耐熱性の点から、ェピ クロルヒドリンゴムであることが好ましい。また、耐熱性、耐油性の点から、ブタジエン —アクリロニトリルゴムであることが好ましい。
[0108] 架橋剤としては、通常の非フッ素ゴムに使用される架橋剤であれば全て使用できる 。たとえば、ィォゥ系架橋剤、パーオキサイド系架橋剤、ポリチオール系架橋剤、キノ イド系架橋剤、榭脂系架橋剤、金属酸化物、ジァミン系架橋剤、ポリチオール類、 2 メルカプトイミダゾリンなどの架橋剤があり、なかでも、ジァミン系、ポリチオール類、 2—メルカプトイミダゾリンなどが接着特性の点から好ましい。
[0109] 架橋剤の配合量としては、非フッ素ゴム 100重量部に対して、 0. 2〜: LO重量部が 好ましぐ 0. 5〜8重量部がより好ましい。架橋剤が、 0. 2重量部未満であると、架橋 密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、 10重量部をこえると、架橋密 度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
[0110] また、非フッ素ゴム組成物には、非フッ素ゴム、架橋剤のほかに、促進剤などを含 むことができ、さらに、その他必要に応じて受酸剤、補強剤、充填剤、可塑剤、老化 防止剤などの当該技術分野において常用される酸合剤が添加できる。
[0111] 促進剤としては、アルデヒドアミン類、アルデヒドアンモニア類、チォゥレア類、チア ゾール類、チォフェンアミド類、チオラム類、ジチォ力ルバミン酸塩類、 1, 8 ジァザ ビシクロ [5, 4, 0]—7 ゥンデセン(DBU)、 DBUの弱酸塩などをあげられる。 DB Uの弱酸塩としては、その取り扱いの面から、炭酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸塩、芳 香族カルボン酸塩、フエノール塩、フエノール榭脂塩等があげられ、代表的なものとし ては DBU炭酸塩、 DBUステアリン酸塩、 DBUソルビン酸塩、 DBU安息香酸塩、 D BUナフトェ酸塩、 DBUフエノール酸塩などをあげることができる。
[0112] 非フッ素ゴム組成物は、前記架橋性組成物と同様、一般に使用されているゴム混 練り装置を用いて混練りすることにより得られる。
[0113] また、パーオキサイド架橋可能な VdF単位を含むフッ素ゴムおよびポリオール架橋 剤を含む架橋性組成物を用いると、該架橋性組成物から形成されるゴム層と、非フッ 素ゴムおよびパーオキサイド架橋剤を含む非フッ素ゴム組成物カゝら形成される非フッ
素ゴム層とが架橋接着されてなる積層体において、ゴム層と非フッ素ゴム層との接着 性が良くなる点で好ましい。
[0114] 本発明の積層体の積層方法は、特に限定されるものではなぐ通常の積層方法を 用いることができる。たとえば、本発明の架橋性組成物と、非フッ素ゴム組成物を、押 出機により 2層同時押出し、または 2基の押出機により内側層上に外側層を押出しす ることにより内側層と外側層からなる内管ゴム層を形成し、さらに外管ゴム層を押出機 により押出して一体ィ匕し、ついで架橋接着させて製造することができる。
[0115] 架橋条件としては、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、 150〜300°Cの温度で、 1分〜 24時間焼成を行う。
[0116] また、架橋方法としては、スチーム架橋など通常用いられている方法はもちろんのこ と、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、どのような条件下にお V、ても架橋反応を行うことができる。
[0117] 本発明の積層体は、本発明の架橋性組成物カゝら形成されるゴム層を用いるため、 非フッ素ゴム組成物力 形成される非フッ素ゴム層との密着性に優れ、耐薬品性、耐 油性、耐熱性、耐寒性を兼ね備える積層体であり、ホースとして有用であり、特には 自動車のエンジンならびに周辺装置、 AT装置、燃料系統ならびに周辺装置などの ホースとして有用なものである。
[0118] 本発明の架橋性糸且成物の用途としては特に限定されず、たとえば、自動車用ェン ジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、滑剤'冷却系、燃料系、吸気'排気系;駆 動系のトランスミッション系;シャーシのステアリング系;ブレーキ系;電装品の基本電 装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性,耐油性,燃料油耐性 *ェ ンジン冷却用不凍液耐性 '耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および 接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカ 二カルシール、オイルシールなど)などのシール材などがあげられる。
[0119] 自動車用エンジンのエンジン本体に用いられるシール材としては、特に限定されな いが、たとえば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイ ルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、 Oリング、パッキン、タイミングベルト カバーガスケットなどのシール材などがあげられる。
[0120] 自動車用エンジンの主運動系に用いられるシール材としては、特に限定されるもの ではないが、たとえば、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシー ルなどがあげられる。
[0121] 自動車用エンジンの動弁系に用いられるシール材としては、特に限定されるもので はないが、たとえば、エンジンバルブのバルブステムオイルシールなどがあげられる。
[0122] 自動車用エンジンの滑剤'冷却系に用いられるシール材としては、特に限定される ものではないが、たとえば、エンジンオイルクーラーのシールガスケットなどがあげら れる。
[0123] 自動車用エンジン燃料系に用いられるシール材としては、特に限定されるものでは ないが、たとえば、燃料ポンプのオイルシール、燃料タンクのフィラーシール、タンク ノ ッキンなど、燃料チューブのコネクター Oリンクなど、燃料噴射装置のインジェクタ 一クッションリング、インジェクターシールリング、インジェクター Oリングなど、キヤブレ ターのフランジガスケットなどがあげられる。
[0124] 自動車用エンジンの吸気'排気系に用いられるシール材としては、特に限定される ものではないが、たとえば、マ-ホールドの吸気マ-ホールドパッキン、排気マ-ホー ルドパッキン、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージのタービンシャフ トシールなどがあげられる。
[0125] 自動車用エンジンのトランスミッション系に用いられるシール材としては、特に限定 されるものではないが、たとえば、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシ ール、 Oリング、ノ ッキンなど、オートマチックトランスミッションの Oリング、ノ ッキン類 などがあげられる。
[0126] 自動車用エンジンのブレーキ系に用いられるシール材としては、特に限定されるも のではないが、たとえば、オイノレシーノレ、 Oリング、ノ ッキンなど、マスターシリンダー のピストンカップ(ゴムカップ)など、キヤリパーシール、ブーツ類などがあげられる。
[0127] 自動車用エンジンの装備電装品に用いられるシール材としては、特に限定されるも のではないが、たとえば、カーエアコンの Oリング、パッキンなどがあげられる。
[0128] 自動車用以外の用途としては、特に限定されず、たとえば、船舶、航空機などの輸 送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチームまたは耐候用のノ ッキン、 Oリング、
その他のシール材;ィ匕学プラントにおける同様のパッキン、 oリング、シール材;食品 プラント機器および食品機器 (家庭用品を含む)における同様のパッキン、 oリング、 シール材;原子力プラント機器における同様のパッキン、 oリング、シール材;一般ェ 業部品における同様のパッキン、 oリング、シール材などがあげられる。
実施例
[0129] つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ れるものではない。
[0130] <加硫特性 >
1次プレス架橋時に JSR型キユラストメータ II型を用いて 160°Cにおける加硫曲線を 求め、最低粘度 (ML)、加硫度 (MH)、誘導時間 (T10)および最適加硫時間 (T90
)を求める。
[0131] <ム一ニースコーチ試験 >
得られたフッ素ゴムを 8インチロール 2本を備えた練りロール機(ロール間隙:約 lm m)に 3回通してシーティングし、ム一-一粘度測定器(MV2000E ALPHA TEC
HNOLOGIES社製)を用いて、 L型ローターを使用し、 145°Cで予熱時間 1分にて、
JIS K 6300 (1994年)に準拠して、最低粘度 (Vm)、 t5、 t35を測定した。
[0132] < 100%モジュラス(M100) >
表 1に示す架橋性組成物を標準加硫条件で 1次プレス加硫して厚さ 2mmのシート とし、 JIS— K6251に準じて測定する。
(標準加硫条件)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :170°Cで 15分
[0133] <引張破断強度 (Tb)および引張破断伸び (Eb) >
実施例および比較例で得られた架橋シートを用いて、引張り試験機 (テンシロン、 オリエンテック社製)を使用して、 JIS K6251 (1993年)に準じて、 500mmZ分の 条件下で、ダンベル 4号を用いて、 23°Cにおける引張破断強度および引張破断伸 びを測定した。
[0134] <硬さ >
実施例および比較例で得られた架橋シートを用いて、タイプ Aデュロメーター(商品 名: ASKER、高分子計器社製)を用いて JIS K6253 (1997年)に準拠して測定し た。
[0135] <接着性>
厚さ lmmの未架橋フッ素シート状と、厚さ lmmの未架橋の非フッ素ゴムシートを重 ね合わせて加熱した金型に挿入し、 170°Cで 15分間加圧することで架橋を施しシー ト状の積層体を得た。得られた積層体を幅 25mm X長さ 1 OOmmの短冊状に切断し て試験片とし、 23°Cにて、 50mmZ分の剥離速度で T剥離試験を行い、接着強度を 測定した。また、剥離モードを観測し、以下の基準で評価した。
(剥離モード)
〇…材料破壊破断した
X · · 'フッ素ゴム層と非フッ素ゴム層の界面で剥離した
[0136] 表および明細書中の各商品名は、それぞれ次に示すものである。
架橋剤:ビスフ ノール AF
架橋促進剤: DBU— B
添加剤 A: 1 -ドデシル - 2-メチル 3 ベンジルイミダゾリゥムクロライド(キュアゾ ール SFZ 四国化成工業 (株)製)
添加剤 B : l, 8 ジァゾビシクロ [5, 4, 0]ゥンデセン 7とフエノール榭脂との塩(P
- 152 ダイソー (株)製)
シースト S: SRFカーボン(東海カーボン (株)製)
MA- 150 :高活性酸ィ匕マグネシウム (協和化学工業 (株)製)
CALDIC2000:水酸化カルシウム(近江化学工業 (株)製)
NBR:アクリロニトリル一ブタジエンゴム(N530 JSR (株)製)力 なるゴム組成物(ゴ ム 100重量部に対して、カーボンブラック 60重量部、酸化亜鉛 5重量部、ステアリ ン酸 1重量部、老化防止剤 2重量部、可塑剤 15重量部、過酸化物 3重量部) ECO:ェピクロルヒドリンゴム(ェピクロマー H ダイソー (株)製)力もなるゴム組成物( ゴム 100重量部に対して、カーボンブラック 60重量部、可塑剤 10重量部、老化防 止剤 1重量部、 MgO 3重量部、加硫剤 1重量部、硫黄 0. 3重量部、加硫遅延
剤 0. 5重量部)
[0137] 実施例 1
内容積 3リットルの加圧型-一ダ一のジャケットをヒーターで 140°Cに加熱しながら、 表 1に示す割合で公知の方法で製造された三元フッ素ゴム A (ビ-リデン Zテトラフ ルォロエチレン Zへキサフルォロプロピレン = 50Z20Z30モル0 /0) 4kgを徐々に投 入し、その後に BIS— AF80g、 DBU— B20g、添加剤 A20gを投入し、 12分間混練 りした。 3分間混練りごとにローターを停止して加圧蓋を解放し、ローター逆回転にて ゴムの上下を入れ替え、再度加圧して混練りすることを繰り返した。混練り終了直後 のゴム温度は 150°Cであった。ローターの回転数は、前ブレード 33rpm、後ブレード 22rpmとした。
[0138] 混練り終了後のゴムを直径 12インチのロール 2本を備えた練りロール機を用いて、 冷却するとともに最終的にシーティングしてフッ素ゴム、架橋剤、架橋促進剤および 添加剤からなる組成物を取り出した。
[0139] 組成物、シース 1 S、高活性酸ィ匕マグネシウム、水酸ィ匕カルシウムを、表 1の配合比 になるように添カ卩し、 8インチロール 2本を備えた練りロール機を用いて通常の方法で 、 25〜70°Cで混練りした。これを室温にて約 20時間置いた後に再度同じロール機 にて混練りし、最終的に約 2mm厚みにシーティングして未架橋ゴムシートを取り出し た。
[0140] 得られた架橋性組成物の加硫性、ムーニースコーチ、常態物性を評価した。また、 得られた未架橋ゴムシートと、 NBR、 ECO力もなる未架橋ゴムシートを用いて、接着 性を評価した。
[0141] 実施例 2および比較例 1
表 1に示した配合条件にした以外は実施例 1と同様の方法で、架橋シートを得た。
[0142] 得られた架橋性組成物の加硫性、ムーニースコーチ、常態物性を評価した。また、 得られた未架橋ゴムシートと、 NBR、 ECO力もなる未架橋ゴムシートを用いて、接着 性を評価した。
[0143] 実施例 3〜5
ヨウ素移動重合法である公知の方法で製造されたパーオキサイド加硫可能な 3元フ
ッ素ゴム B (ビ-リデン Zテトラフルォロエチレン Zへキサフルォロプロピレン = 50Z2
0Z30モル0 /0)と、実施例 1で用いた 3元フッ素ゴム Aを用いて、表 1に示した配合条 件にした以外は実施例 1と同様の方法で、架橋シートを得た。
[0144] 得られた架橋性組成物の加硫性、ムーニースコーチ、常態物性を評価した。また、 得られた未架橋ゴムシートと、 NBR、 ECO力もなる未架橋ゴムシートを用いて、接着 性を評価した。
[0145] [表 1]
産業上の利用可能性
本発明の架橋性組成物は、特定の添加剤を添加することで、非フッ素ゴム組成物 から形成される非フッ素ゴム層との接着性を改善することができるものである。