明 細 書
新規 PPAR調節剤およびそのスクリーニング方法
技術分野
[0001] 本発明は、糖尿病などの PPAR遺伝子に関連する疾患もしくは障害の診断、処置 または予防に関する。より詳細には、本発明は、 PPAR遺伝子に関連する疾患の診 断、処置または予防のための薬剤のスクリーニングに関する。本発明はまた、それに よって得られた薬剤自体も提供する。
背景技術
[0002] 2型糖尿病において見られる高血糖は、膝臓 β細胞からのインスリン分泌および末 梢組織 (例えば、肝臓、筋肉および脂肪)のインスリン感受性の両方の多重欠損によ つて生じる。スルホニル尿素(SU)剤力 有効な経口血糖降下剤として 2型糖尿病の 薬物治療において中心的な役割を果たしてきた。スルホニル尿素剤は、まず、膝臓 β細胞の原形質膜上のスルホニル尿素レセプター(SUR)に結合することによってィ ンスリン分泌を刺激する(非特許文献 l : Gribble,F. M.,and Ashcroft, F. M. (2000) M etabolism 49, 3_6)。
[0003] このような瞎臓の作用に加え、スルホニル尿素剤(グリメピリドおよびダリベンクラミド を含む)は、脂肪に直接的な影響を与え、そして、スルホニル尿素剤は、 3T3-L1 細胞または単離した脂肪細胞におけるインスリンの作用を増進する力、またはその作 用を模倣することが、数報の報告によって指摘されている。しかし、膝臓外での作用 をもたらす分子標的は依然として決定されていない。
[0004] ペルォキシソーム増殖因子活性化レセプター γ (PPAR γ )は、グルコースおよび 脂質の代謝ならびに脂質生成を調節する重要な転写因子の 1つである (非特許文献 2 :Wu,Z. et al.(1998) J. Clin. Invest. 101, 22_32;非特許文献 3 : Tontonoz, P. et al.( 1994)Genes Dev. 8, 1224-1234 ;非特許文献 4 : Tontonoz, P., Hu, E., and Spiegelma n, B.M.(1994) Cell 79, 1147-1156)。チアゾリジンジオン(TZD)は、末梢のインスリン 耐性を改善する別の血糖降下剤である。チアゾリジンジオンは、効果的 PPAR γァゴ 二ストであり、そして、その薬理学的作用の大部分は、脂肪細胞中の PPAR γの活性
ィ匕によって媒介されると考えられる(非特許文献 5 : Lehmann,J. M. et al(1995) J. Biol. Chem. 270, 12953-12956 ;非特許文献 6 : Spiegelman, B. M.(1998) Diabetes 47, 507 -514)。
[0005] 糖尿病の治療には、インスリンの作用を増強すること(すなわち、感受性を高めるこ と)およびインスリン分泌を刺激すること (膝臓 β細胞を活性化すること)の両方を行う ことが好ましい。しかし、その両方の活性を有する化合物は知られていな力、つた。
[0006] Merckは、 PPARの新たな調節剤を記載する。しかし、この化合物は、他の糖尿病 治療剤(たとえば、スルホニル尿素剤)と併用することが記載されている。しかし、イン スリンの作用を増強すること(すなわち、感受性を高めること)およびインスリン分泌を 刺激すること(瞎臓 β細胞を活性化すること)の両方を行う化合物については、何ら 記載がない (特許文献 1)。
非特許文献 l : Gribble, F. M. 'and Ashcroft, F. M. (2000) Metabolism 49, 3-6 非特許文献 2 : Wu, Z. et al. (1998) J. Clin. Invest. 101,22-32
非特許文献 3 : Tontonoz, P. et al.(1994) Genes Dev. 8, 1224-1234
非特許文献 4 : Tontonoz, P.,Hu, Ε·, and Spiegelman, B. M. (1994) Cell 79, 1147-11
56
非特許文献 5 : Lehmann, J. M. et al (1995) J. Biol. Chem. 270, 12953-12956 非特許文献 6 : Spiegelman, B. M. (1998) Diabetes 47, 507-514
特許文献 1 : WO2004/066963
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] したがって、本発明は、より効率よい糖尿病処置のための薬剤のスクリーニング方 法および PPARに関連する疾患を処置および予防するための新たな化合物を提供 することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0008] 上記課題は、本発明者らが、スルホニル尿素剤が予想外に、 PPARの調節効果を 有することを見出したことによって解決した。
[0009] スルホニル尿素剤(グリメピリドおよびダリベンクラミドを含む)は、広範に使用されて
いる経口血糖降下剤であり、これは、主に、勝臓の β細胞の原形質膜上のスルホ二 ル尿素レセプターに結合することによって、インスリン分泌を刺激する。チアゾリジン ジオン(チアゾリジンジオン)(例えば、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾン)は、ペルォ キシソーム増殖因子活性化レセプター γ (PPAR y )の活性化を介して末梢のインス リン耐性を効率的に改善する血糖降下剤である。本発明において、本発明者らは、 グリメピリドが、ルシフェラーゼレポーターアツセィにおける PPAR o/転写活性を特異 的に誘導することを見出した。グリメピリドは、コアクチベータである DRIP205 (vitami nD rec印 tor- interacting protein 205の略;ァクセッション番号 AF283812。 Dr.David J.
Mangels aori(University of Texas southwestern Medicalし enter, Dallas'l X)力ら入手 可肯 ¾の動員およびコリプレッサー(N _ CoRおよび SMRT。それぞれ、 nuclear rece ptor corepressorの略(N-CoR ;ァクセッション番号 NM_006311)、および silencing medi at or for retinoid and thyroid hormone receptorsの略 (SMRT ;例えは、ァクセッション 番号 AF113003)。 Dr.DavidJ. Mangelsdorf (University of Texas Southwestern Medical
Center, Dallas,TX)から入手可肯 の解離を増進した。さらに、グリメピリドは、 PPAR γに対する実証済みのリガンドであるロシグリタゾンに対して競合する様式で、 ΡΡΑ R yに直接結合した。さらに、 3T3—L1脂肪細胞において、グリメピリドは、 PPAR応 答性エレメント(PPRE)を含む遺伝子プロモーターの転写活性を刺激し、そして、 aP 2、レプチン、およびアディポネクチンを含む PPAR γ標的遺伝子の mRNAレベル の変化を与えた。最後に、グリメピリドが、 3T3— F442A細胞における脂肪細胞分化 を誘導した。この 3T3— F442A細胞は、 PPAR γァゴニスト依存的様式で分化する ことが明らかになった。極めて興味深いことに、グリメピリドを用いたときに観察した効 果の殆どは、ダリベンクラミドによっても再現された。これらのデータによって、グリメピ リドおよびダリベンクラミド(これらの両方とも、スルホニル尿素剤に属する)は、 PPAR yにとつてのァゴニストであるが、これらの能力は、ピオグリタゾンによって達される最 大値の 12〜20%であった。グリメピリドおよびダリベンクラミドがスルホニル尿素レセ プターだけでなく PPAR γに対して作用し得たという本発明者らの観察によって、膝 臓 β細胞のインスリン分泌および末梢部位のインスリン感受性を増進する理想的な 抗糖尿病剤の開発の糸口が与えられ得る。
[0010] 本研究にぉレ、て、本発明者らは、 PPAR γへのスルホニル尿素剤の直接的な効果 を研究した。一つの実施形態において、本発明者らは、グリメピリド(これは、スルホ二 ル尿素剤の 1つである)が特異的に PPAR y転写活性を誘導することを見出した。さ らに、グリメピリドは、ロシグリタゾンに対して競合的な様式で PPAR 7に直接結合す ることを見出した。さらに、グリメピリドは、 3T3— L1脂肪細胞中の PPAR 7標的遺伝 子の mRNAレベルに変化を与え、そして、 3T3— F422A細胞における脂肪細胞分 化を誘導した。極めて興味深いことに、グリメピリドを用いて観察された効果の殆どは 、ダリベンクラミドによっても再現された。これらのデータによって、グリメピリドおよびグ リベンクラミドの両方力 PPAR yにとつてのァゴニストであることが強く示唆される。グ リメピリドおよびダリベンクラミドは mSURに対してだけでなく PPAR yに対しても作用 し得たという本発明者らの観察によって、膝臓 /3細胞のインスリン分泌および末梢の インスリン感受性を増進する理想的な抗糖尿病剤の開発の糸口が与えられ得る。
[0011] 従って、本発明は、以下を提供する。
(1)スルホニル尿素剤を含む、ペルォキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR )調節剤。
(2)上記スルホニル尿素剤は、
[0012] [化 1]
という構造を有し、ここで、 Rおよび Rは、夫々独立して、水素、アルキル、置換され
1 2
たアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ァルケニル、置換されたァ ルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロァルケニル、ァノレキニル、置換された アルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、 ヘテロ環基、置換されたへテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チ オール、置換されたチオール、シァ入ニトロ、アミ入置換されたアミ入カルボキシ、 置換されたカルボキシ、力ルバモイル、ァシル、置換されたァシル、ァシルァミノ、チ
ォカルボキシ、アミド、置換されたカルボニル、置換されたチォカルボニル、置換され たスルホニルおよび置換されたスルフィエルからなる群より選択される置換基を有す る、項目 1に記載の調節剤。
(3)上記スルホニル尿素剤は、グリメピリド、ダリベンクラミド、トノレブタミド、クロルプロ パミド、ァセトへキサミドおよびダリクラジドからなる群より選択される、項目 1に記載の PPAR調節剤。
(4)上記スルホニル尿素剤は、グリメピリドまたはダリベンクラミドである、項目 1に記載 の PPAR調節剤。
(5)上記調節は、 PPARの活性化である、項目 1に記載の PPAR調節剤。
(6)さらに、瞎臓 β細胞のインスリン分泌活性およびインスリン感受性を促進する活 性からなる群より選択される少なくとも 1つの活性を有する、項目 1に記載の PPAR調 節剤。
(7)上記 PPAR調節活性を、チアゾリジンジオン(チアゾリジンジオン)の少なくとも 10 %有することを特徴とする、項目 1に記載の PPAR調節剤。
(8)上記チアゾリジンジオンは、ピオグリタゾンである、項目 7に記載の PPAR調節剤
(9)上記 PPARは、 PPAR γである、項目 1に記載の PPAR調節剤。
(10)上記 PPARは、配列番号 2 (NP— 035276)、配列番号 4 (NP— 619726)、配列番号 6 (NP_037256)および配列番号 8(AAB87480)からなる群より選択される配列番号に示 されるアミノ酸配列またはその 1もしくは数個の置換、付加もしくは欠失を含む改変体 配列を含む、項目 1に記載の PPAR調節剤。
(11)上記 PPAR調節剤は、脂肪細胞の分化;糖尿病;高グリシン血症;;低グノレコー ス寛容;インスリン抵抗性;肥満;脂肪障害;異脂血症 (dyslipidemia);高脂血症;高 トリグリセリド血症;高コレステロール血症;低 HDLレベル;高 LDLレベル;粥状硬化 症;血管狭窄;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;クローン病; S募潰瘍;炎症疾患;陴炎 ;腹部肥満;神経変性病;網膜症;乾癬;代謝性症候群;卵巣高アンドロゲン症からな る群より選択される疾患の処置に使用される、 PPAR調節剤。
(12)膝臓 β細胞のインスリン分泌活性および末梢のインスリン感受性を促進する活
性からなる群より選択される少なくとも 1つの活性を有し、かつ、 PPARを調節する能 力を有する化合物を同定する方法であって、上記方法は:
A)候補化合物を提供する工程;
B)上記候補化合物について、膝臓 β細胞のインスリン分泌活性および末梢のイン スリン感受性を促進する活性からなる群より選択される少なくとも 1つの活性を測定す る工程;
C)上記候補化合物を、 PPARの活性を測定するアツセィに供する工程;および
D) B工程および C工程の各々において、活性ありと判断された物質を、リード化合 物と同定する工程、
を包含する、方法。
(13)上記候補化合物は、スルホニル尿素剤を含む、項目 12に記載の方法。
(14)上記候補化合物は、
[化 2]
という構造を有し、ここで、 Rおよび Rは、夫々独立して、水素、アルキル、置換され
1 2
たアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ァルケニル、置換されたァ ルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロァルケニル、アルキニル、置換された アルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、 ヘテロ環基、置換されたへテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チ オール、置換されたチオール、シァノ、ニトロ、アミ入置換されたァミノ、カルボキシ、 置換されたカルボキシ、力ルバモイル、ァシル、置換されたァシル、アシノレアミノ、チ ォカルボキシ、アミド、置換されたカルボニル、置換されたチォカルボニル、置換され たスルホニルおよび置換されたスルフィエルからなる群より選択される置換基を有す る
項目 12に記載の方法。
(15)上記調節は、 PPARの活性化である、項目 12に記載の方法。
(16)上記化合物は、上記勝臓 β細胞のインスリン分泌活性およびインスリン感受性 を促進する活性の両方を有する、項目 12に記載の方法。
(17)上記 PPAR調節活性がチアゾリジンジオン(チアゾリジンジオン)と比較して測 定される、項目 12に記載の方法。
(18)上記 PPARは、 PPAR γである、項目 12に記載の方法。
(19)上記 PPARは、配列番号 2 (NP_035276)、配列番号 4 (NP_619726)、配列番号 6 (NPJ337256)および配列番号 8(AAB87480)からなる群より選択される配列番号に示 されるアミノ酸配列またはその 1もしくは数個の置換、付加もしくは欠失を含む改変体 配列を含む、項目 12に記載の方法。
(20)上記 C)工程は、上記候補化合物がスルホニル尿素剤またはチアゾリジンジォ ン剤とともに提供して競合するかどうかを観察する工程、を包含する、項目 12に記載 の方法。
(21)上記 PPAR活性を測定するアツセィは、転写活性アツセィである、項目 12に記 載の方法。
(22)上記膝臓 細胞のインスリン分泌活性は、細胞から分泌されるインスリンを直接 測定すること(J Pharmacol Exp Ther. 2004 Sep;310(3): 1273_80.)により測定される、 項目 12に記載の方法。
(23)上記末梢のインスリン感受性を促進する活性は、インスリン負荷試験 (Insulin tol erance test)により測定される、項目 12に記載の方法。
(24)上記 PPARの活性は、転写因子認識配列と作動可能に連結されるレポーター をコードする核酸配列を含む核酸構築物と、上記選択された PPARとを含む系にお いて、上記候補化合物の活性を判定する工程であって、上記レポーターの発現が増 強される場合、上記候補化合物は上記 PPARのァゴニストと判定し、上記レポーター の発現が減少する場合、上記候補化合物は上記 PPARのアンタゴニストと判定する
、工程によって測定される、項目 12に記載の方法。
(25)上記レポーターは、ルシフェラーゼである、項目 24に記載の方法。
(26)上記系は、細胞である、項目 24に記載の方法。
(27)上記 C工程にぉレ、て、 C末活性化機能 2 (AF- 2)ドメインを含むタンパク質 が標的として使用される、項目 12に記載の方法。
(28)上記標的は、アミノ酸配歹 IJPLLQEIYKDLY (配列番号 9)を含む、項目 27に記 載の方法。
(29)上記 C工程において、 PPARのコファクターと PPARとの相互作用が観察される 、項目 12に記載の方法。
(30)上記 PPARのコファクタ一は、 DRIP 205 (vitamin D rec印 tor- interacting prot for retinoid and thyroid hormone receptors)力らなる群より選択される、項目 29に記 載の方法。
(31)膝臓 β細胞のインスリン分泌活性および末梢のインスリン感受性を促進する活 性からなる群より選択される少なくとも 1つの活性を有し、かつ、 PPARを調節する能 力を有する化合物を同定するためのシステムであって、上記システムは:
Α)候補化合物;
Β)上記候補化合物について、膝臓 β細胞のインスリン分泌活性および末梢のイン スリン感受性を促進する活性力 なる群より選択される少なくとも 1つの活性を測定す る手段;
C)上記候補化合物を、 PPARの活性を測定するアツセィに供する手段;および
D) B手段および C手段の各々により、活性ありと判断された物質を、リード化合物と 同定する手段、
を備える、システム。
(32) PPARに関連する疾患を処置または予防するための方法であって、
A)スルホニル尿素剤を被検体に投与する工程、
を包含する、方法。
(33)上記スルホニル尿素剤は、グリメピリド、ダリベンクラミド、トノレブタミド、クロノレプロ パミド、ァセトへキサミドおよびダリクラジドからなる群より選択される、項目 32に記載 の方法。
(34) PPARに関連する疾患を処置または予防するための医薬を製造するにおけ
る、スルホニル尿素剤の使用。
(35)上記スルホニル尿素剤は、グリメピリド、ダリベンクラミド、トルプタミド、クロルプロ パミド、ァセトへキサミドおよびダリクラジドからなる群より選択される、項目 34に記載 の使用。
[0014] 以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および添付 の図面、ならびに当該分野における周知慣用技術力 その実施形態などを適宜実 施することができ、以下に記載する本発明の効果の他、本発明が奏する作用および 効果を容易に理解することが認識されるべきである。
発明の効果
[0015] 本発明は、糖尿病のより効率的な治療または予防のための化合物の探索のための 新たなスクリーニング法を提供する。本発明はまた、 PPARに関連する薬剤として新 たなカテゴリーを提供する。
図面の簡単な説明
[0016] [図 1A]図 1は、グリメピリドおよびダリベンクラミドが PPAR yについての部分ァゴニス トであることを示す。 A: PPAR o/の転写活性に対するスルホニル尿素剤の効果。 HE K293糸田胞を、 GAL4—マウス PPAR y (mPPAR γ )および MHIOO (UAS) X 4— tk— LUCレポーターでトランスフエタトし、そして、ビヒクルコントロール(cont)で処理 するか、またはスルホニル尿素剤で処理した。このスルホニル尿素剤の各々はとして は、 ΙΟ μ Μで、グリメピリド(gmp)、ダリベンクラミド(gbc)、トルプタミド(tb)、クロルプ 口パミド(cp)、およびダリクラジドだ であった。ルシフェラーゼ値は、内因性 ガラク トシダーゼコントロールによって規格化し、そして、相対ルシフェラーゼ活性として表 現した。値は、平均土 SE (n= 3)である。
[図 1B]図 1は、グリメピリドおよびダリベンクラミドが PPAR yについての部分ァゴニス トであることを示す。 B :ピオグリタゾンによる PPAR yの濃度依存的活性化。 HEK29 3細胞を、 GAL— mPPAR yおよび MHIOO (UAS) X 4— tk— LUCレポーターと 同時トランスフエタトし、そして、ピオグリタゾン (pio)、グリメピリド、ダリベンクラミドを用 いて示した投与量で処理した。ルシフェラーゼ活性値は、 β—ガラタトシダーゼ活性 によって規格化し、そして、そのビヒクルコントロールと比較してその倍数表示として表
現した。値は、平均値土 SE (n= 3)である。
[図 1C]図 1は、グリメピリドおよびダリベンクラミドが PPAR yについての部分ァゴニス トであることを示す。 C :グリメピリドの PPARサブタイプ選択性。 HEK293細胞を、 M HIOO (UAS) X 4— tk— LUCレポーターを併用して、 GAL4、 GAL4マウス PPAR y、 GAL4—マウス PPAR δ、または GAL4_mPPAR γでトランスフエタトし、そし て、ビヒクルコントロール、各々の PPARサブタイプに対するリガンド(PPARひリガン ド、 ΙΟ μ Μ Wy 14643; PPAR δリガンド、 10 μ M GW 501516 ; PPAR γリガ ンド、 Ι μ Μ ピオグリタゾン)、あるいは 10 μ Μのグリメピリドに対するリガンドで処理 した。ルシフェラーゼを、 β—ガラタトシダーゼ活性よつて規格化し、そして、相対ノレ シフェラーゼ活性として表現した。値は、平均値土 SE (n= 3)である。
[図 1D]図 1は、グリメピリドおよびダリベンクラミドが PPAR γについての部分ァゴニス トであることを示す。 D : PPAR yに対して結合する [3H]ロシグリタゾンの、ピオダリタゾ ンによる置換の用量応答曲線。競合結合アツセィは、実験手法に記載されているよう に実施した。データは、二連の点の平均値を示す。
[図 1E]図 1Eは、スルホニル尿素剤について、図 1において示された濃度よりさらに高 い濃度で効果があるかどうかを示すグラフである。実験条件は、使用した濃度を除き 、すべて、図 1および実験手法に記載されるとおりである。
[図 2A]図 2は、グリメピリドがコファクターと PPAR γとの相互作用に影響を与えること を示す。 A:グリメピリドによる PPAR γの AF— 2依存性活性化。 ΗΕΚ293細胞を、 C MXコントロールベクター(cont)、 CMX-mPPAR γまたは CMX— Δ mPPAR γ と、 PPRE X 3— tk— LUCとで同時トランスフエタトし、そして、 1 /i Mピオグリタゾン(p io)または 10 μ Μグリメピリド(gmp)で処理した。ルシフェラーゼ値は、内因性 βガラ クトシダーゼコントロールによって規格化し、そして、相対ノレシフェラーゼ活性として表 現した。値は、平均土 SE (n= 3)である。
[図 2B]図 2は、グリメピリドがコファクターと PPAR γとの相互作用に影響を与えること を示す。 Β :細胞ベースの系における PPAR γとコファクターとの間の相互作用に対 するグリメピリドの効果。哺乳動物のツーハイブリッド解析を、 ΗΕΚ 293細胞におい て、 VP16または VP16— mPPAR yならびに MHIOO (UAS) X 4— tk— LUCを併
用して、 GAL4— DRIP205または GAL4— N— CoRを使用することによって実施し た。次いで、細胞を、 Ι μ Μ ピオグリタゾンまたは 10 μ Μ グリメピリドで処理した。ル シフェラーゼ値を、 β—ガラタトシダーゼで規格化し、そして、相対的ルシフェラーゼ 活性として表現した。値は、平均値土 SE (n= 3)である。
[図 2C]図 2は、グリメピリドがコファクターと PPAR o/との相互作用に影響を与えること を示す。 C :細胞ベースの系における PPAR o/とコファクターとの間の相互作用に対 するグリメピリドの効果。哺乳動物のツーハイブリッド解析を、 HEK 293細胞におい て、 VP16または VP16— mPPAR yならびに MHIOO (UAS) X 4— tk— LUCを併 用して、 GAL4— DRIP205または GAL4_N_ CoRを使用することによって実施し た。次いで、細胞を、 Ι μ Μ ピオグリタゾンまたは 10 μ Μ グリメピリドで処理した。ル シフェラーゼ値を、 β—ガラタトシダーゼで規格化し、そして、相対的ルシフェラーゼ 活性として表現した。値は、平均値土 SE (n= 3)である。
園 2D]図 2は、グリメピリドがコファクターと PPAR yとの相互作用に影響を与えること を示す。 D :無細胞系における PPAR yと DRIP205との間の相互作用に対するダリ メピリドの直接的な効果。 GSTプノレダウンアツセィを、「実験手法」に記載するように 実施した。ピオグリタゾンまたはグリメピリドの存在下において、インビトロ翻訳35 S—マ ウス PPAR yを、 GST— DRIP205との相互作用の結果として検出した。
[図 3A]図 3は、グリメピリドおよびダリベンクラミドは、 3T3脂肪細胞中の PPAR依存性 トランス活性化を誘導することを示す。 A : 3T3— L1脂肪細胞中の PPAR y依存性 転写活性に対する、グリメピリドおよびダリベンクラミドの効果。分化した 3T3— L1細 胞を、「実験手法」に記載されるように、 PPRE X 3— tk— LUCレポータープラスミド でトランスフエタトした。トランスフエクシヨン後に、細胞を、ビヒクルコントロール(cont) 、 1 μ Μピオグリタゾン (pio)で 20時間に亘り処理する力、、または、グリメピリド(gmp) またはダリベンクラミド(gbc)で表示した濃度にて処理した。ルシフェラーゼ値を、 β —ガラタトシダーゼで規格化し、そして、相対的ルシフェラーゼ活性として表現した。 値は、平均値土 SE (n = 4)である。 *コントロール群と比較して Pく 0. 05である。
[図 3B]図 3は、グリメピリドおよびダリベンクラミドは、 3T3脂肪細胞中の PPAR依存性 トランス活性化を誘導することを示す。 B:アディポネクチンのプロモーター活性に対
するグリメピリドの効果。 「実験手法」に記載されるように、分化した 3T3— L1細胞を、 ヒトアディポネクチンプロモータ一一ルシフェラーゼレポータープラスミド、野生型 [p ( - 908) /LUC wt]または PPRE変異レポーター [p (— 908) /LUC PPRE mu t]でトランスフエタトした。トランスフエクシヨンの後に、細胞を、コントロールビヒクル(CO nt)、 1 μ Μピオグリタゾンまたは 10 μ Μのグリメピリドで 20時間に亘り処理した。ルシ フェラーゼ値は、 β—ガラタトシダーゼによって規格化され、そして、相対的なルシフ エラーゼ活性値として表現した。ルシフェラーゼ値を、 β—ガラタトシダーゼで規格化 し、そして、相対的ルシフヱラーゼ活性として表現した。値は、平均値 ± SE (n= 3)で ある。 * Pく 0. 05は、コントロール群と比較したものである。
園 4A]図 4は、グリメピリドおよびダリベンクラミドは、 3T3— L1脂肪細胞においてアデ ィポネクチン産生を増強することを示す。 Aは、 PPAR y標的遺伝子の mRNA発現 に対するグリメピリドの効果である。分化の誘導の 7日後に、 3T3— L1脂肪細胞を、 ビヒクルコントロール(cont)、 10 μ Μピオグリタゾン(pio)また 20 μ Μのグリメピリド(g mp)で、 24時間に亘り処理した。総 RNAを、これらの遺伝子の mRNA発現にっレヽ てのリアルタイム定量 RT— PCR分析に供した。 aP2、レプチン、およびアディポネク チンの mRNAレベルを、サイクロフィリン mRNAの量に対して規格化した。値は、平 均値士 SE (n= 3)である。 *コントロール群と比較して Pく 0· 05である。
[図 4B]図 4は、グリメピリドおよびダリベンクラミドは、 3T3— L1脂肪細胞においてアデ ィポネクチン産生を増強することを示す。 Bは、 PPAR y標的遺伝子の mRNA発現 に対するグリメピリドの効果である。分化の誘導の 7日後に、 3T3— L1脂肪細胞を、 ビヒクルコントロール(cont)、 10 μ Μピオグリタゾン(pio)また 20 μ Μのグリメピリド(g mp)で、 24時間に亘り処理した。総 RNAを、これらの遺伝子の mRNA発現にっレヽ てのリアルタイム定量 RT—PCR分析に供した。 aP2、レプチン、およびアディポネク チンの mRNAレベルを、サイクロフィリン mRNAの量に対して規格化した。値は、平 均値土 SE (n= 3)である。 *コントロール群と比較して Pく 0. 05である。
園 4C]図 4は、グリメピリドおよびダリベンクラミドは、 3T3— L1脂肪細胞においてァ ディポネクチン産生を増強することを示す。 Cは、 PPAR y標的遺伝子の mRNA発 現に対するグリメピリドの効果である。分化の誘導の 7日後に、 3T3— L1脂肪細胞を
、ビヒクルコントロール(cont)、 10 μ Μピオグリタゾン(pio)また 20 μ Μのグリメピリド( gmp)で、 24時間に亘り処理した。総 RNAを、これらの遺伝子の mRNA発現につい てのリアルタイム定量 RT— PCR分析に供した。 aP2、レプチン、およびアディポネク チンの mRNAレベルを、サイクロフィリン mRNAの量に対して規格化した。値は、平 均値土 SE (n= 3)である。 *コントロール群と比較して Pく 0. 05である。
園 4D]図 4は、グリメピリドおよびダリベンクラミドは、 3T3— L1脂肪細胞においてァ ディポネクチン産生を増強することを示す。 D:アディポネクチンの分泌に対するグリメ ピリドおよびダリベンクラミドの効果。分ィ匕した 3T3— L1細胞を、ビヒクルコントロール 、 10 μ Μのピオグリタゾン、示した濃度のグリメピリド、または 25 μ Μのダリベンクラミ ド(gbc)で、 48時間に亘り処理した。この培地のァリコートを、 ELISAに供し、分泌さ れたアディポネクチンの量を測定した。値は、平均値土 SE (n= 3)である。 * P< 0. 05は、コントロール群と比較する。
園 5A]図 5Aは、グリメピリドおよびダリベンクラミドが、脂肪細胞の分化を刺激すること を示す。 A: 3T3— F422A脂肪前駆細胞における脂肪細胞分化に対するグリメピリド の効果。ビヒクルコントロール(cont)、 1 μ Μのピオグリタゾン(pio)または 10 β Μグリ メピリド(gbc)で 9日間にわたりインキュベートした後に、細胞を Oil red Oで染色し た。
[図 5B]図 5は、グリメピリドおよびダリベンクラミドが、脂肪細胞の分化を刺激することを 示す。 B : 3T3— F442A脂肪前駆細胞において、脂肪細胞分化マーカー遺伝子の 誘導に対するグリメピリドおよびダリベンクラミドの効果。 3T3— F422A脂肪前駆細胞 を、ビヒクルコントロール、 1 β Mのピオグリタゾン、 10 β Μのグリメピリドまたは 10 μ Μ のダリベンクラミド(gbc)とともに、 2日間に亘つてインキュベートした。総 RNAを、抽 出し、そして、 aP2遺伝子およびアディポネクチン遺伝子の mRNA発現のためにリア ルタイム定量 RT—PCR分析に供した。その mRNAレベルを、サイクロフィリン mRN Aの量と比較して規格化した。値は、平均値 ± SE (n = 3)である。 *コントロール群と 比較して P< 0. 05。
園 5C]図 5は、グリメピリドおよびダリベンクラミドが、脂肪細胞の分化を刺激することを 示す。 C : 3T3— F442A脂肪前駆細胞において、脂肪細胞分化マーカー遺伝子の
誘導に対するグリメピリドおよびダリベンクラミドの効果。 3T3— F422A脂肪前駆細胞 を、ビヒクルコントロール、 1 β Mのピオグリタゾン、 10 β Μのグリメピリドまたは 10 μ Μ のダリベンクラミド(gbc)とともに、 2日間に亘つてインキュベートした。総 RNAを、抽 出し、そして、 aP2遺伝子およびアディポネクチン遺伝子の mRNA発現のためにリア ルタイム定量 RT—PCR分析に供した。その mRNAレベルを、サイクロフィリン mRN Aの量と比較して規格化した。値は、平均値 ± SE (n= 3)である。 *コントロール群と 比較して P< 0. 05。
発明を実施するための最良の形態
[0017] 以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により記載 する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形 の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の表現は、特に言及し ない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書に おいて使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で 用レ、られること力 S理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細 書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の 当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細 書 (定義を含めて)が優先する。
[0018] 以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであ り、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、 当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことが できることは明らかである。
[0019] (定義)
(疾患)
本明細書において「糖尿病」とは、当該分野において使用されるのと同じ意味で用 いられ、持続的な高血糖'糖尿を呈する代謝疾患をいう。インシュリン依存性 (I型)と インシュリン非依存性 (Π型)があり、前者は発症が急で症状が重ぐインシュリンの投 与が必要。後者は経過緩慢で必ずしもインシュリン投与を必要としない。
[0020] 本明細書において「PPARに関連する疾患」とは、脂肪細胞の分化に関連する任
意の疾患;糖尿病;高ダリシン血症;低グノレコース寛容;インスリン抵抗性;肥満;脂肪 障害;異脂血症(dyslipidemia);高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロール血 症;低 HDLレベル;高 LDLレベル;粥状硬化症;血管狭窄;過敏性腸症候群;炎症 性腸疾患;クローン病; S募潰瘍;炎症疾患;陴炎;腹部肥満;神経変性病;網膜症;乾 癬;代謝性症候群;卵巣高アンドロゲン症などを挙げることができる。
[0021] 本明細書において「インスリン代謝に関連する」とは、インスリンの分泌またはインス リンによる糖代謝に関連する任意の因子をいう。そのような遺伝子は、代表的に、図 5 cに示される。図 5cには、脂肪細胞におけるインスリンレセプターのシグナル伝達に 関与する遺伝子が示されてレ、る。
[0022] 本明細書において「診断」とは、被験体における疾患の種類、障害の種類と程度、 身体状態などに関連する種々のパラメータを同定し、そのような疾患、障害、状態の 現状、薬物反応性予測、病態変化予測または原因を判定することをいう。
[0023] 本明細書において「治療」とは、ある疾患または障害について、そのような状態にな つた場合に、そのような疾患または障害の悪化を防止、好ましくは、現状維持、より好 ましくは、軽減、さらに好ましくは消長させることをいう。
[0024] 本明細書にぉレ、て「予防」(prophylaxisまたは prevention)とは、ある疾患または 障害について、そのような状態が引き起こされる前に、そのような状態が起こらないよ うに処置することをいう。従って、ある疾患または障害について、そのような状態にな ることを防止、遅延など、および悪化を防ぐことを包含する。本発明の方法は、肺組 織を再生することから、予防にも用いられることが理解される。
[0025] 本明細書において「処置」とは、ある疾患、障害または状態に対して行う任意の医 学的行為をいい、診断、治療、予防、予後などに資するために行う行為が包含される 。好ましくは、処置は、医師、看護師など何らかの国家免許を所有する医療従事者に よって行われるべきである。その行為が結果論敵にある疾患の経過を悪化させ、患 者にとって不利益となる場合であっても、その行為そのものは「処置」であることには 変わりはなレ、ことに留意すべきである。
[0026] 本明細書において「指示書」は、本発明を使用する方法または診断する方法などを 医師、被検体など投与を行う人、診断する人 (被検体本人であり得る)に対して記載
したものである。指示書は、診断薬などがキットとして提供される場合、その使用方法 を指示するために添付され得る。この指示書は、本発明の診断薬、医薬などを投与 する手順を指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国 の監督官庁(例えば、 日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FD A)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が 明記される。指示書は、いわゆる添付文書 (package insert)であり、通常は紙媒体 で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体 (例えば、インタ—ネットで提 供されるホームページ(ウェブサイト)、電子メ—ル、 SMS、 PDF文書など)のような形 態でも提供され得る。
(生化学)
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手 法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、 Sambrook J. e t al. (1989) . Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring
Harborおよびその 3rd Ed. (2001); Ausubei, F. M. (1987) . Current Pro tocols in Molecular Biology, Greene Pub. AssociatESand Wiley— Inte rscience ; Ausubei, F. M. " 989) . Short Protocols in Molecular Biolog y : A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecul ar Biology, Greene Pub. Associates and Wiley— Interscience ; Innis, M . A. (1990) . PCR Protocols : A Guide to Methods and Applications , Academic Press ; Ausubei, F. M. (1992) . Short Protocols in Molecul ar Biology : A Compendium of Methods from Current Protocols in
Molecular Biology, Greene Pub. Associates ; Ausubei, F. M. (1995) . Short Protocols in Molecular Biology : A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associa tes ; Innis, M. A. et al. (1995) . PCR Strategies, Academic Press ; Ausu bel, F. M. (1999) . Short Protocols in Molecular Biology : A Compen dium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wil
ey, and annual updates ; Sninsky, J. J. et al. (1999) . PCR Applications : Protocols for Functional Genomics, Academic Press、別冊実験医'子「 遺伝子導入 &発現解析実験法」羊土社、 1997などに記載されており、これらは本明 細書において関連する部分 (全部であり得る)が参考として援用される。
[0028] 人工的に合成した遺伝子を作製するための DNA合成技術および核酸化学にっレ、 ては、例えば、 Gait, M. J. (1985) . Oligonucleotide Synthesis : A Practical Approach, IRLPress ; Gait, M. J. (1990) . Oligonucleotide Synthesis : A Practical Approach, IRL Press ; Eckstein, F. (1991) . Oligonucleotides and Analogues : A Practical Approac, IRL Press ; Adams, R. L. etal. ( 1992) . The Biochemistry of the Nucleic Acids, Chapman&Hall ; Sha barova, Z. et al. (1994) . Advanced Organic Chemistry of Nucleic A cids, Weinheim; Blackburn, G. M. et al. (1996) . Nucleic Acids in Che mistry and Biology, Oxford University Press; Hermanson, G. T. (1996 ) . Bioconjugate Techniques, Academic Pressなどに記載されており、これら は本明細書において関連する部分が参考として援用される。
[0029] 本発明において用いられる PPAR、アディポネクチンプロモーターならびにそのフ ラグメントおよび改変体は、トランスジエニック動物作製技術、遺伝子工学技術を用い て生産することができる。
[0030] (PPARの説明)
本明細書において使用される用語「PPAR」とは、「ペルォキシソーム増殖因子活 性ィ匕レセフタ一 (peroxisome proliferator— activator receptor)」の略称であり 、核内レセプターの 1種を意味する。 PPARひは、配列番号:!〜 8に示す配列(それ ぞれ、配列番号 1一 2(NP_035276)、配列番号 3— 4(NP_619726)、配列番号 5— 6 (NP _037256)および配列番号 7 _ 8(AAB87480)、それぞれマウス、ヒト、ラット、サルの核 酸配列(奇数番号)およびアミノ酸配列(偶数番号) )によって定義される。本発明に おいては、同様の活性を有する限り、上記配列の改変体もまた、この用語の範囲内 に入ることが理解される。 PPARは、核内レセプターの一種であり、リガンドと結合す ることによって、核内における生体反応を開始する分子をいう。通常核内レセプター
は、核内に存在するが、生体反応を開始する際に核内に移行する性質を持つものも 包含される。核内レセプターは、通常、結合すると複合体を形成して DNAに結合して 転写因子として働く。ここで、核内レセプターの生体反応は、代表的には転写の調節 (例えば、転写の促進、抑制、開始、または終結が挙げられ、代表的には転写の促進 であるが、これらに限定されなレ、)である。代表的には、核内レセプターは、天然の状 態では、リガンドによる刺激を受けない場合、細胞質に存在し、リガンドと結合した場 合に、核内に移行して、その刺激を核内に伝達する分子をいう。あるいは、核内レセ プタ一は、その局在を変えることなぐリガンドとの結合によって、核内における生体 反応を開始する。
[0031] 本明細書中において、「対応する」アミノ酸とは、あるタンパク質分子またはポリぺプ チド分子において、比較の基準となるタンパク質またはポリペプチドにおける所定の アミノ酸と同様の作用を有するカ または有することが予測されるアミノ酸をレ、い、例 えば、核内レセプターにおいては、 Aドメインに対応するドメインは、転写促進機能を 有する領域であり、 Bドメインに対応するドメインは、同様に転写促進機能を有する領 域であり、 A/Bドメインと称することもある。 Cドメインに対応するドメインは、 DNA結 合という作用を有する領域であり、通常、 DNA結合タンパクに見られる特徴的な Zn フィンガー構造が 2個存在する。 Dドメインに対応するドメインは、 Cドメインと E'Fドメ インとの間に存在する領域であり、 E'Fドメインに対応するドメインは、リガンド(ホルモ ン)に結合する作用を有する領域であり、リガンド結合ドメインともいう。このリガンド結 合ドメイン (E'Fドメイン)は、 12の αヘリックスからなる類似の立体構造をとる。 Fドメイ ンに対応するドメインは、 Εドメインより C末端側に存在する領域である。酵素分子に あっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸 をいう。 PPARにおける対応残基は、アラインメントを行うことによって同定することが できる。本明細書において、上記に挙げたもの以外の核内レセプターにおける A〜F のドメインは、上記具体例の始まりのアミノ酸と、終わりのアミノ酸に対応するアミノ酸 位置の範囲のドメインが対応することが理解される。
[0032] 本明細書において、 A〜Fドメインは、当該分野において公知の定義に基づいて決 定され得る。例えば、そのような定義は、 Robinson—Rechavi M ら、 J Cell Sci
. 2003 Feb 15 ; 116 (Pt 4) : 585— 586およびその中で引用される文献などを 参酌することができる。
[0033] 本明細書にぉレ、て、 PPARの「生物学的活性」とは、その核内レセプターがそのリ ガンドと結合した場合に、その核内レセプターによってもたらされる活性であり、例え ば、本明細書において直前に記載されるような活性 (例えば、 PPAR yについて、 P EPCKの転写促進、糖新生促進など)が挙げられるが、これらに限定されなレ、。核内 レセプター(例えば、 PPAR y )のァゴニストは、その核内レセプターと結合することに よって、その核内レセプターが有する生物学的活性の少なくとも 1部または全部を誘 導する。
[0034] PPARは、代表的に PPAR yが挙げられ、その配列は配列番号:!〜 8 (奇数は核酸 配列、偶数はそれに対応するアミノ酸配列を示す。それぞれ、マウス、ヒト、ラット、サ ルである)に示される配列あるいはその改変配列を有する。代表的には、 PPARは、 以下のような分子であり得る:
(a)配列番号 2、 4、 6または 8に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる 、ポリペプチド;
(b)配列番号 2、 4、 6または 8に記載のアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が 置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも 1つの変異を有し、かつ、 生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号 1、 3、 5または 7に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺 伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号 2、 4、 6または 8に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリべプチ K ;
(e) (a)〜(d)のいずれ力 4つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも 70%であ るアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;または
(f) (a)〜(d)のいずれ力、 1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジ ヱントなハイブリダィゼーシヨン条件下でハイブリダィズスルポリヌクレオチドによりコー ドされるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド; を含む。
[0035] 本明細書において、 PPARタンパク質の生物学的機能の調節は、 PPARタンパク 質に対する阻害剤を接触させるか、または PPARの機能を低下させるような変異を導 入する(例えば、遺伝子治療による)ことによって達成することができる。
[0036] PPARタンパク質の生物学的機能は、 ELISA法、ノーザン.ブロット分析または定 量的 PCR法、細胞増殖もしくは分化を測定することによる生化学的分析方法、およ び調べられる物質もしくは前記生物学的抽出物の形態形成に対する顕微鏡分析な どを行うことによって測定することが可能であるがこれらに限定されない。
[0037] 本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」 および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸 のポリマーおよびその改変体をいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していても よぐ環状であってもよレ、。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであっても よぐ改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複 合体へとアセンブルされ得るものを包含する。この用語はまた、天然または人工的に 改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィ ド結合形成、グリコシル化、脂質化、ァセチル化、リン酸化または任意の他の操作もし くは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の 1 または 2以上のアナログを含むポリペプチド (例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、 ペプチド様化合物(例えば、ぺプトイド)および当該分野にぉレ、て公知の他の改変が 包含される。本発明の組成物において使用される場合は、「タンパク質」は、その組 成物が使用されるべき宿主において適合性のあるタンパク質であることが好ましいが 、その宿主において適合するように処置され得る限り、どのようなタンパク質を用いて もよレ、。あるタンパク質が宿主に適合性があるかどうか、または宿主において適合す るように処置され得るかどうかは、そのタンパク質をその宿主に移植して、必要に応じ て免疫拒絶反応などの副反応を抑制することによりその宿主に定着するかどうかを観 察することによって、判定することができる。代表的には、上述の適合性があるような タンパク質としては、その宿主に由来するタンパク質を挙げることができるがそれに限 定されない。
[0038] 本明細書において「単離された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質な
ど)とは、その生物学的因子が天然に存在する生物体の細胞内の他の生物学的因 子 (例えば、核酸である場合、核酸以外の因子および目的とする核酸以外の核酸配 歹 IJを含む核酸;タンパク質である場合、タンパク質以外の因子および目的とするタン パク質以外のアミノ酸配列を含むタンパク質など)から実質的に分離または精製され たものをいう。 「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって 精製された核酸およびタンパク質が含まれる。したがって、単離された核酸およびタ ンパク質は、化学的に合成した核酸およびタンパク質を包含する。
[0039] 本明細書において「精製された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質な ど)とは、その生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたも のをいう。したがって、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の 純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高レ、 (すなわち濃縮されてい る)。
[0040] 本発明において使用される生体分子は、生体から採取され得るほか、当業者に公 知の方法によって化学的に合成され得る。例えば、タンパク質であれば、自動固相 ペプチド合成機を用いた合成方法は、以下により記載される: Stewart, J. M. et a 1. 984) . Solid Phase Peptide synthesis, Pierce ChemicaLCo. ; -ran t, G. A. (1992) . Synthetic Peptides : A User' s Guide, W. H. Freeman ; Bodanszky, M. (1993) . Principles of Peptide Synthesis, Springer— Ve rlag ; Bodanszky, M. et al. (1994) . The Practice of Peptide Synthesis , Springer—Verlag; Fields, G. B. (1997) . Phase Peptide Synthesis, Aca demic Press; Pennington, M. W. et al. " 994) . Peptide Synthesis Pro tocols, Humana Press ; Fields, G. B. (1997) . Solid— Phase Peptide Syn thesis, Academic Press。その他の分子もまた、当該分野において周知の技術を 用いて合成することができる。
[0041] 本明細書にぉレ、て生体分子(例えば、 PPARなどをコードする核酸配歹 IJ、アミノ酸 配列など)の「相同性」とは、比較可能な配列を有する場合、 2以上の配列の、互いに 対する同一性の程度をいう。従って、ある 2つの配列の相同性が高いほど、それらの 配列の同一性または類似性は高い。 2種類の配列が相同性を有するか否かは、配列
の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダィゼーショ ン法によって調べられ得る。 2つの配列を直接比較する場合、その配列間で配列が、 代表的には少なくとも 50%同一である場合、好ましくは少なくとも 70%同一である場 合、より好ましくは z少なくとも 80%、 90%、 95%、 96%、 97%、 98%または 99%同 一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。本明細書において、生体分子( 例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存 的置換をポジティブ(同一)とみなした場合の、 2以上の遺伝子配列の、互いに対す る同一性の程度をいう。従って、保存的置換がある場合は、その保存的置換の存在 に応じて同一性と類似性とは異なる。また、保存的置換がない場合は、同一性と類似 性とは同じ数値を示す。本発明では、このように同一性が高いものまたは類似性が高 いものもまた、有用であり得る。
[0042] 本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比 較は、配列分析用ツールである BLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出 される。同一性の検索は例えば、 NCBIの BLAST2.2.9 (2004.5.12発行)を用いて行う こと力 Sできる。本明細書における同一性の値は通常は上記 BLASTを用レ、、デフォルト の条件でァラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が 出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場 合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。
[0043] 本明細書において、「アミノ酸」は、天然のものでも非天然のものでもよい。 「誘導体 アミノ酸」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとの アミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体アミノ酸およびアミノ酸ァ ナログは、当該分野において周知である。
[0044] 用語「天然のアミノ酸」とは、天然のアミノ酸の L_異性体を意味する。天然のァミノ 酸は、グリシン、ァラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチォニン、トレオニ ン、フエ二ルァラニン、チロシン、トリプトファン、システィン、プロリン、ヒスチジン、ァス パラギン酸、ァスパラギン、グノレタミン酸、グノレタミン、 y—カルボキシグルタミン酸、ァ ノレギニン、オル二チン、およびリジンである。特に示されない限り、本明細書でいう全 てのアミノ酸は L体であるが、 D体のアミノ酸を用いた形態もまた本発明の範囲内にあ
る。
[0045] 本明細書において「アミノ酸改変体」とは、天然のアミノ酸ではないが、天然のァミノ 酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。アミノ酸改変体としては、例え ば、フエ二ルァラニンのベンジル側鎖(パラ位、メタ位、オルト位など)にアルキル基、 ハロ基、ニトロ基などが結合したもの、ェチォニン、カナバニン、 2 _メチルグルタミン などが挙げられる。本発明では、アミノ酸改変体は、非天然アミノ酸およびアミノ酸模 倣物を包含することがあることが理解される。
[0046] 本明細書において「非天然アミノ酸」とは、タンパク質中で通常は天然に見出されな いアミノ酸を意味する。非天然アミノ酸の例として、ノノレロイシン、パラ一ニトロフエニル ァラニン、ホモフエ二ルァラニン、パラ一フルオロフェニルァラニン、 3—ァミノ一 2—ベ ンジルプロピオン酸、ホモアルギニンの D体または L体および D—フエ二ルァラニンが 挙げられる。
[0047] 本明細書において、「対応する」アミノ酸または核酸とは、それぞれあるポリペプチド 分子またはポリヌクレオチド分子にぉレ、て、比較の基準となるポリペプチドまたはポリ ヌクレオチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有する力、あるいは有すること力 S 予測されるアミノ酸または核酸をレ、い、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同 様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。例えば、あるポリヌク するオルソログにおける同様の部分であり得る。本発明のペプチドの場合、ヒトの細 胞増殖因子における特定の配列が使用されるが、他の種の動物の細胞増殖因子に おける特定の配列において、本発明のペプチドに対応する部分が「対応するアミノ酸 」に相当することが理解される。
[0048] 本明細書において、「対応する」遺伝子とは、ある種において、比較の基準となる種 における所定の遺伝子と同様の作用を有する力、、または有することが予測される遺伝 子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起 源を有するものをいう。従って、ある遺伝子の対応する遺伝子は、その遺伝子のオル ソログであり得る。例えば、マウス PPARに対応する遺伝子は、ヒト PPARである。
[0049] 本明細書にぉレ、て、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(
長さが n)に対して、 l〜n— 1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオ チドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例え ば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 15, 2 0、 25、 30、 40、 50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙して レ、ない整数で表される長さ(例えば、 11など)もまた、下限として適切であり得る。また 、ポリヌクレオチドの場合、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 15、 20、 25、 30、 40、 50、 75、 100 およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表 される長さ(例えば、 11など)もまた、下限として適切であり得る。本発明では、生体分 子としてポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどが使用される場合、所望の目的(例 えば、細胞誘引効果など)が達成される限り、このようなフラグメントもまた、全長のも のと同様に使用され得ることが理解される。
[0050] 本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそ れぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができる力 上述の個数は絶対的なもの ではなぐ同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数 の上下数個(または例えば上下 10%)のものも含むことが意図される。そのような意 図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。 しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理 角早されるべきである。
[0051] 本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタ ンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能を発揮する活 性が包含される。例えば、ある因子がアンチセンス分子である場合、その生物学的活 性は、対象となる核酸分子への結合、それによる発現抑制などを包含する。例えば、 ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の 例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合 を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測 定すること力 Sできる。
[0052] 本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「 核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリ
マーをいう。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘 導体」を含む。 「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌク レオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌク レオチドまたはポリヌクレオチドをレ、い、互換的に使用される。そのようなオリゴヌタレ ォチドとして具体的には、例えば、 2 ' _〇_メチル一リボヌクレオチド、オリゴヌクレオ チド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチォエート結合に変換されたオリゴヌクレオ チド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合が N3 '—P5 'ホスホロアミ デート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースと リン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C— 5プロピニルゥラシルで置換されたオリゴヌタレ ォチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C _ 5チアゾールゥラシルで置換さ れたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンが C— 5プロピニルシト シンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフエノ キサジン修飾シトシン(phenoxazine— modified cytosine)で置換されたオリゴヌ クレオチド誘導体、 DNA中のリボースが 2 '—〇一プロピルリボースで置換されたオリ ゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが 2,ーメトキシエトキシリ ボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと 示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保 存的に改変された改変体 (例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含するこ とが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、 1またはそれ以上の選択された( または、すべての)コドンの 3番目の位置が混合塩基および/またはデォキシイノシ ン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら、 Nucleic A cid Res. 19: 5081 (1991) ;〇htスノレホニノレ尿素 kaら、 J. Biol. Chem. 260 : 260 5 - 2608 (1985); Rossoliniら、 Mol. Cell. Probes 8 : 91— 98 (1994) )。
本明細書において「ヌクレオチド」は、糖部分がリン酸エステルになっているヌクレオ シドをいい、 DNA、 RNAなどを含み、天然のものでも非天然のものでもよレ、。ここで 、ヌクレオシドは、塩基と糖とが N—グリコシド結合をした化合物をいう。「ヌクレオチド 誘導体」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なる
力 Sもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチド およびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌク レオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチォエート、ホスホノレアミ デート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、 2— 0—メチルリボヌクレオチ ド、ペプチド—核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されなレ、。 DNAは、 cDNA、 ゲノム DNA、合成 DNAを含む。
[0054] 本明細書において、「対応する」遺伝子とは、ある種において、比較の基準となる種 における所定の遺伝子と同様の作用を有する力、、または有することが予測される遺伝 子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起 源を有するものをいう。従って、ある遺伝子の対応する遺伝子は、その遺伝子のオル ソログであり得る。したがって、 PPAR遺伝子、またはヒトアディポネクチン遺伝子にお いてプロモーター活性を有する領域に対応する領域は、他の動物(マウス、ラット、ブ タ、ゥシなど)においても見出すことができる。そのような対応する遺伝子、またはプロ モーター領域は、本明細書の開示に基づけば、当該分野において周知の技術を用 いて同定することができる。したがって、例えば、ある動物における対応する遺伝子は 、対応する遺伝子の基準となる遺伝子 (例えば、ヒトアディポネクチンプロモーター) の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えばマウス、ラット)の配列データベース を検索することによって見出すことができる。
[0055] 本明細書において、「対応する」アミノ酸または核酸とは、それぞれあるポリペプチド 分子またはポリヌクレオチド分子にぉレ、て、比較の基準となるポリペプチドまたはポリ ヌクレオチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有する力、あるいは有すること力 S 予測されるアミノ酸または核酸をレ、い、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同 様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。例えば、あるポリヌク レオチドのアンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応 するオルソログにおける同様の部分であり得る。本発明のプロモーターの場合、プロ モーターにおける特定の配列が使用される力 他の種の動物のプロモーターにおけ る特定の配列において、本発明のヌクレオチド配列に対応する部分が「対応するヌク レオチド」に相当することが理解される。
[0056] 本明細書において「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの 物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改 変体、付加改変体、欠失改変体、短縮 (truncated)改変体、対立遺伝子変異体な どが挙げられる。このような改変体もまた、所望の目的を達成することができる限り、 本発明の細胞増殖因子として使用することができる。対立遺伝子(allele)とは、同一 遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝 子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。その ような対立遺伝子変異体は、通常その対応する対立遺伝子と同一または非常に類似 性の高い配列を有し、通常はほぼ同一の生物学的活性を有するが、まれに異なる生 物学的活性を有することもある。 「種相同体またはホモログ (homolog)」とは、ある種 の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは 、 60。/o以上の相同性、より好ましくは、 80。/o以上、 85%以上、 90%以上、 95。/0以上 の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の 記載から明らかである。 「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(ortholo gous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝 子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると 、ヒトおよびマウスの αヘモグロビン遺伝子はオルソログである力 ヒトの αへモグロビ ン遺伝子および βヘモグロビン遺伝子はパラログ (遺伝子重複で生じた遺伝子)であ る。オルソログは、分子系統樹の推定に有用である。オノレソログは、通常別の種にお いてもとの種と同様の機能を果たしていることがあり得ることから、本発明のオルソログ もまた、本発明において有用であり得る。
[0057] 本明細書にぉレ、て「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配 列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは 、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をレ、い、核酸がァミノ 酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のた め、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コ ドン GCA、 GCC、 GCG、および GCUはすべて、アミノ酸ァラニンをコードする。した がって、ァラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされた
ポリペプチドを変更することなぐ記載された対応するコドンの任意のものに変更され 得る。
[0058] このような核酸は、周知の PCR法により得ることができ、化学的に合成することもで きる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダィゼーシヨン法な どを組み合わせてもよい。
[0059] 本明細書にぉレ、て、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付カ卩または欠失」 とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはそ の代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物力 置き換わること、付け加わること または取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野 において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが 挙げられる。置換、付加または欠失は、 1つ以上であれば任意の数でよぐそのような 数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、 血管新生、細胞再生など)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのよう な数は、 1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの 20%以内、 10%以 内、または 100個以下、 50個以下、 25個以下などであり得る。
[0060] アミノ酸は、その一般に公知の 3文字記号か、または IUPAC— IUB Biochemica L Nomenclature Commissionにより推奨される 1文字記号のいずれかにより、 本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された 1文字コード により言及され得る。
[0061] その文字コードは以下のとおりである。
アミノ酸
3文字記号 1文字記号 意味
Ala A ァラニン
Cys C システィン
Asp D ァスノ、°ラギン酸
Glu E グルタミン酸
Phe F フエニノレアラニン
Gly G グリシン
His H ヒスチジン
lie I イソロイシン
Lys K リジン
Leu L ロイシン
Met M メチォニン
Asn N ァスノ、°ラギン
Pro P プロリン
Gin Q グルタミン
Arg R ァノレギニン
Ser S セリン
Thr T トレオニン
Val V バリン
Trp W トリブトファン
Tyr Y チロシン
Asx ァスパラギンまたはァスパラギン酸
Glx グルタミンまたはグルタミン酸
Xaa 不明または他のアミノ酸。
塩基
記号 意味
アデニン
グァニン
シトシン
チミン
ゥラシノレ
グァニンまたはアデニンプリン
チミン/ゥラシノレまたはシトシンピリミジン アデニンまたはシトシンアミノ基
グァニンまたはチミン zゥラシノレケト基
s グァニンまたはシトシン
W アデニンまたはチミン/ゥラシル
b グァニンまたはシトシンまたはチミン/ゥラシル
d アデニンまたはグァニンまたはチミン/ゥラシル
h アデニンまたはシトシンまたはチミン Zゥラシル
V アデニンまたはグァニンまたはシトシン
n アデニンまたはグァニンまたはシトシンまたはチミン Zゥラシル、不明、または他 の塩基。
[0063] 本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」または「組み換えべ クタ一」とは、 目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるべ クタ一をいう。そのようなベクターとしては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、 昆虫細胞、動物個体および植物個体などの宿主細胞において自立複製が可能、ま たは染色体中への組込みが可能なものが例示される。ベクターのうち、クローニング に適したベクターを「クローニングベクター」とレ、う。そのようなクローニングベクターは 通常、制限酵素部位を複数含むマルチプルクローニング部位を含む。そのような制 限酵素部位およびマルチプノレクローニング部位は、当該分野にぉレ、て周知であり、 当業者は、 目的に合わせて適宜選択して使用することができる。そのような技術は、 本明細書に記載される文献 (例えば、 Sambrookら、前出)に記載されている。
[0064] 本明細書にぉレ、て「発現ベクター」とは、構造遺伝子およびその発現を調節するプ 口モーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結 されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネータ一、薬剤耐性 遺伝子のような選択マーカーおよび、ェンノヽンサ一を含み得る。生物(例えば、動物 )の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じ て変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
[0065] 本発明において用いられ得る原核細胞に対する「組み換えベクター」としては、 pc DNA3 ( + )、 pBluescript— SK ( + /— )、 pGEM—T、 pEF— B〇S、 pEGFP、 p HAT、 pUC18、 pFT— DEST™42GATEWAY(Invitrogen)などが例示される。
[0066] 本発明において用いられ得る動物細胞に対する「組み換えベクター」としては、 pc
DNAI/Amp、 pcDNAI、 pCDM8 (いずれもフナコシより市販)、 pAGE107 [特開 平 3— 229 (Invitrogen)、 pAGE103 . Biochem. , 101, 1307 (1987) ]、 pAM o、 pAMoA . Biol. Chem. , 268, 22782— 22787 (1993) ]、マウス幹細胞ウイ ルス(Murine Stem Cell Virus) (MSCV)に基づいたレトロウイルス型発現べク ター、 pEF_BOS、 pEGFPなどが例示される。
[0067] 本明細書にぉレ、て「ターミネータ一」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下 流に位置し、 DNAが mRNAに転写される際の転写の終結、ポリ A配列の付力卩に関 与する配列である。ターミネータ一は、 mRNAの安定性に関与して遺伝子の発現量 に影響を及ぼすことが知られている。
[0068] 本明細書において「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、また その頻度を直接的に調節する DNA上の領域をレ、い、通常 RNAポリメラーゼが結合 して転写を始める塩基配列である。したがって、本明細書においてある遺伝子のプロ モーターの働きを有する部分を「プロモーター部分」という。プロモーターの領域は、 通常、推定タンパク質コード領域の第 1ェキソンの上流約 2kbp以内の領域であること が多いので、 DNA解析用ソフトウェアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード 領域を予測すれば、プロモーター領域を推定することはできる。推定プロモーター領 域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限 定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。好ましくは、推定プロモーター領域は、 第一ェキソン翻訳開始点から上流約 2kbp以内に存在する。本発明においては、翻 訳開始点の約 3. 6kb上流の領域をプロモーター領域として同定し、この領域が、脂 肪細胞における高度な発現能力および高い特異性をもたらすことを見出した。
[0069] 本明細書において「ェンハンサー」とは、 目的遺伝子の発現効率を高めるために用 レ、られる配列をいう。そのようなェンハンサ一は当該分野において周知である。ェン ハンサ一は複数個用いられ得る力 S1個用いられてもよいし、用いなくともよい。
[0070] 本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現 (作動) 力 Sある転写翻訳調節配歹 IK例えば、プロモーター、ェンハンサーなど)または翻訳調 節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結 されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、必ず
しも隣接して配置される必要はなレ、。
[0071] 本明細書において、核酸分子を細胞に導入する技術は、どのような技術でもよぐ 例えば、形質転換、形質導入、トランスフエクシヨンなどが挙げられる。 そのような核 酸分子の導入技術は、当該分野において周知であり、かつ、慣用されるものであり、 例えば、 Ausubel F. A.ら編(1988)、 Current Protocols in Molecular Bi ology, Wiley, New York、 NY ; Sambrook Jら (1987) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed.およびその第三版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY、別冊実験医学「遺伝子導入 &発現解析実験法」羊土社、 1997などに記載される。遺伝子の導入は、ノーザンブ ロット、ウェスタンプロット分析のような本明細書に記載される方法または他の周知慣 用技術を用いて確認することができる。
[0072] また、ベクターの導入方法としては、細胞に DNAを導入する上述のような方法であ ればいずれも用いることができ、例えば、トランスフエクシヨン、形質導入、形質転換な ど(例えば、リン酸カルシウム法、リボソーム法、 DEAEデキストラン法、エレクトロボレ ーシヨン法、パーティクルガン (遺伝子銃)を用いる方法など)が挙げられる。
[0073] 本明細書において「形質転換体」とは、形質転換によって作製された細胞などの生 命体の全部または一部をいう。形質転換体としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植 物細胞、昆虫細胞などが例示される。形質転換体は、その対象に依存して、形質転 換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれる。本発明において用いられ る細胞は、形質転換体であってもよい。
[0074] 本発明において遺伝子操作などにおいて原核生物細胞が使用される場合、原核 生物糸田胞としては、 Escherichia属、 Serratia属、 Bacillus属、 Brevibacterium属 、 Corynebacteriumfe、 Microbacteriiim属、 Pseudomonas属などに,禺 "5— 原核 生物細胞、例えば、 Escherichia coli XLl -Blue, Escherichia coli XL2 - B lue、 Escherichia coli DH1が / [列示される。
[0075] 本明細書において使用される場合、動物細胞としては、マウス'ミエローマ細胞、ラ ット.ミエローマ細胞、マウス'ハイプリドーマ細胞、チャイニーズ'ノ、ムスターの細胞で ある CH〇細胞、 BHK細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、ヒト白血病細胞、 HBT563
7 (特開昭 63— 299)、ヒト結腸癌細胞株などを挙げることができる。マウス'ミエローマ 細胞としては、 ps20、 NSOなど、ラット 'ミエローマ細胞としては YB2/0など、ヒト胎 児腎臓細胞としては HEK293 (ATCC: CRL— 1573)など、ヒト白血病細胞としては BALL— 1など、アフリカミドリザノレ腎臓細胞としては COS— 1、 COS— 7、 ヒト結腸癌 細胞株としては HCT— 15、ヒト神経芽細胞腫 SK_N_ SH、 SK_N_ SH_ 5Y、 マウス神経芽細胞腫 Neuro2Aなどが例示される。
[0076] 本明細書において使用される場合、組換えベクターの導入方法としては、 DNAを 導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、塩化カルシウム法、エレ タトロポレーシヨン法 [Methods Enzymol. , 194, 182 (1990) ]、リポフエクシヨン 法、スフエロプラスト法 [Pro Natl. Acad. Sci. USA, 84, 1929 (1978) ]、酢酸 リチウム法 . Bacteriol. , 153, 163 (1983) ]、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 7 5, 1929 (1978)記載の方法などが例示される。
[0077] 本明細書において、レトロウイルスの感染方法は、例えば、 Current Protocols i n Molecular Biology 前出(特に Units 9. 9— 9· 14)などに記載されるように、 当該分野において周知であり、例えば、トリプシナイズして胚性幹細胞を単一細胞懸 濁物 single— cell suspension)にした後、ウイノレス産生糸田胞 (virus—producing cells) (パッケージング細胞株 =packaging cell lines)の培養上清と一緒に 1 2 時間共培養(co— culture)することにより、十分量の感染細胞を得ることができ る。
[0078] 本明細書において使用されるゲノムまたは遺伝子座などを除去する方法において 用いられる、 Cre酵素の一過的発現、染色体上での DNAマッピングなどは、細胞ェ 学別冊実験プロトコールシリーズ「FISH実験プロトコール ヒト'ゲノム解析から染色 体 ·遺伝子診断まで」松原謙一、吉川 寛 監修 秀潤社 (東京)などに記載されるよ うに、当該分野において周知である。
[0079] 本明細書において使用される用語「生体分子」とは、生体に関連する分子およびそ の集合体をいう。本明細書において「生体」とは、生物学的な有機体をいい、動物、 植物、菌類、ウィルスなどを含むがそれらに限定されない。生体分子は、生体から抽 出される分子およびその集合体を包含するが、それに限定されず、生体に影響を与
え得る分子およびその集合体であれば生体分子の定義に入る。したがって、医薬品 として利用され得る低分子(たとえば、低分子リガンドなど)もまた生体への効果が意 図され得るかぎり、生体分子の定義に入る。そのような生体分子には、タンパク質、ポ リペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオ チド、核酸(例えば、 cDNA、ゲノム DNAのような DNA、 mRNAのような RNAを含 む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、低分子 (例えば、ホルモン、リガンド、情 報伝達物質、有機低分子など)、これらの複合分子、およびその集合体 (例えば、細 胞外マトリクス、線維など)などが包含されるがそれらに限定されなレ、。本明細書にお いて、生体分子は、 PPARと相互作用する任意の因子を含むことが意図される。
[0080] 本明細書において「生体内」または「インビボ」(in vivo)とは、生体の内部をいう。
特定の文脈において、「生体内」は、 目的とする組織または器官が配置されるべき位 置をいう。スクリーニングを行う場合、インビボでのスクリーニングを行うことができる。
[0081] 本明細書において「インビトロ」(in vitro)とは、種々の研究目的のために生体の 一部分が「生体外に」(例えば、試験管内に)摘出または遊離されている状態をいう。 インビボと対照をなす用語である。スクリーニングを行う場合、インビトロでのスクリー二 ングを行うことができる。
[0082] 本明細書において「薬学的に受容可能なキャリア」は、医薬または動物薬を製造す るときに使用される物質であり、有効成分に有害な影響を与えないものをいう。そのよ うな薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、抗酸化剤、保存剤、着色料、風 味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒ クル、希釈剤、賦形剤および/または農学的もしくは薬学的アジュバントなどが挙げ られるがそれらに限定されない。
[0083] 医薬を製造する方法は、当該分野において周知であり、本発明の医薬は、必要に 応じて生理学的に受容可能なキャリア、賦型剤または安定化剤(日本薬局方第 14版 た f ての最新片反、 Remington s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition , A. R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company, 1990などを参照)と、所 望の程度の純度を有する細胞組成物とを混合することによって、凍結乾燥された状 態で調製され保存され得るが、適切な保存液中に保存されることが好ましい。
[0084] 本発明の医薬に含まれる薬学的に受容可能なキャリアとしては、当該分野におい て公知の任意の物質が挙げられる。本発明において使用され得る薬学的に受容可 能なキャリアとしては、抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、 懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤および/ または薬学的アジュバントが挙げられるがそれらに限定されない。代表的には、本発 明の医薬は、支持体およびペプチドまたはその改変体を、 1つ以上の生理的に受容 可能なキャリア、賦形剤または希釈剤とともに含む組成物の形態で投与される。例え ば、適切なビヒクルは、注射用水、生理的溶液、または人工脳脊髄液であり得、これ らには、移植のための組成物に一般的な他の物質を補充することが可能である。
[0085] 例示の適切なキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、または血清アルブミンと 混合された生理食塩水が挙げられる。好ましくは、その生成物は、適切な賦形剤(例 えば、スクロース)を用いて凍結乾燥剤として処方される。他の標準的なキャリア、希 釈剤および賦形剤は所望に応じて含まれ得る。他の例示的な組成物は、 pH7. 0〜 8. 5の Tris緩衝剤または ρΗ4· 0〜5· 5の酢酸緩衝剤を含み、これらは、さらに、ソ ルビトールまたはその適切な代替物を含み得る。
[0086] 本明細書で使用される受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤は、レシピエン トに対して非毒性であり、そして好ましくは、使用される投薬量および濃度において不 活性であり、そして以下が挙げられる:リン酸塩、クェン酸塩、または他の有機酸;抗 酸化剤(例えば、ァスコルビン酸);低分子量ポリペプチド;タンパク質 (例えば、血清 アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビエルピロ リドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グノレタミン、ァスパラギン、アルギニンまたはリジン );モノサッカリド、ジサッカリドおよび他の炭水化物(グルコース、マンノース、または デキストリンを含む);キレート剤(例えば、 EDTA);糖アルコール (例えば、マンニト ールまたはソルビトール);塩形成対イオン (例えば、ナトリウム);ならびに/あるいは 非イオン性表面活性化剤(例えば、 Tween、プル口ニック(pluronic)またはポリェチ レングリコール(PEG) )。
[0087] 好ましい実施形態において、本発明の医薬において用いられる薬剤またはその改 変体は、処置を目的とする生体に由来することが有利であるが、それに限定されない
。このような宿主と同じ起源のペプチドまたはその改変体は、免疫反応等がほとんど ないと考えられることから、有利であると考えられる。ただし、ペプチドまたはその改変 体は、精製されたものであれば、免疫反応は通常起きないと考えられることから、特 に起源を限定する必要はない。
[0088] 本明細書において「指示書」は、本発明を使用する方法または診断する方法などを 医師、被検体など投与を行う人、診断する人 (被検体本人であり得る)に対して記載 したものである。指示書は、診断薬などがキットとして提供される場合、その使用方法 を指示するために添付され得る。この指示書は、本発明の診断薬、医薬などを投与 する手順を指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国 の監督官庁(例えば、 日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FD A)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が 明記される。指示書は、いわゆる添付文書 (package insert)であり、通常は紙媒体 で提供される力 それに限定されず、例えば、電子媒体 (例えば、インターネットで提 供されるホームページ(ウェブサイト)、電子メール、 SMS、 PDF文書など)のような形 態でも提供され得る。
[0089] 特定の実施形態において、本発明は遺伝子治療と併用することができる。遺伝子 治療とは、発現されたか、または発現可能な核酸の、被験体への投与により行われる 治療をいう。本発明のこの実施形態において、核酸は、コードされたタンパク質を産 生し、そのタンパク質は治療効果を媒介する。
[0090] 当該分野で利用可能な遺伝子治療のための任意の方法が、本発明に従って使用 され得る。例示的な方法は、遺伝子治療の方法の一般的な概説書である、 Goldspie Let al. , Clinical Pharmacy 12 : 488— 505 (1993); Wu and Wu, Biot herapy 3 : 87— 95 (1991); Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32 : 573 - 596 (1993); Mulligan, Science 260 : 926 - 932 (1993);なら びに Morgan and Anderson, Ann. Rev. Biochem. 62 : 191 - 217 (1993) ; May, TIBTECH 11 (5) : 155 - 215 (1993)に記載されている。遺伝子治療 において使用される一般的に公知の組換え DNA技術は、 Ausubelら(編), Curren t Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993);
および Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manua 1, Stockton Press, NY (1990)に記載される。
[0091] (転写活性アツセィ)
本明細書にぉレ、て「転写活性アツセィ」とは、ある領域にっレ、て転写活性を有する か否かを検定するための任意のアツセィをいう。このアツセィでは、ある化学物質が細 胞内でレセプターに結合し、 目的遺伝子からタンパク質への転写を活性化させる一 連の作用への影響を評価する。例えば、タンパク質としてルシフヱラーゼを例示する ことができる力 それに限定されない。 目的遺伝子として PPAR γが例示される。レポ 一ター遺伝子をコードする DNAの上流には、転写因子認識配列として、 GAL4結合 領域が例示される。転写調節因子として GAL4DNA結合ドメイン (GAL4DBD)と融 合した PPAR 結合ドメイン(PPAR y LBD)が例示される。この方法では、まず目的 となる核内レセプターをコードする DNAとレポーター遺伝子をコードする DNAを導 入した培養細胞を調製する。この培養細胞を含む培地に化学物質を加えて培養し、 蛍光強度等を測定する。ここでは、化学物質がレセプターへの結合力 タンパク質合 成に至るまでの一連の作用をホルモンと同様に作用するかどうかを評価する。この方 法では目的のホルモンと化学物質を共存させることにより、化学物質がァゴニストとし て作用するかアンタゴニストとして作用するかを評価することが可能となる。さらに、こ の方法ではロボットシステムであるハイスループット装置を用いて大量のサンプルを 迅速に処理することが可能である。
[0092] 従って、本発明では、候補化合物、核内レセプターのァゴニストであるかまたはアン タゴニストであるかどうかを判定する方法を実施する際に、このような転写活性アツセ ィを用いることができる。この方法では、候補化合物を提供した後、その候補化合物 が、該核内レセプター中のシスティンと共有結合するかどうかを判定し、共有結合す ると判定された候補化合物を選択し、核内レセプターと相互作用する領域を含む核 酸配列と作動可能に連結されるレポーターをコードする核酸配列を含む核酸構築物 と、該選択された核内レセプターとを含む系(例えば、細胞)において、候補化合物を 暴露させる。ここで、レポーターの発現が増強される場合、候補化合物は該核内レセ プターのァゴニストと判定し、レポーターの発現が減少する場合、候補化合物は該核
内レセプターのアンタゴニストと判定する。
[0093] 本明細書においてレポーターとしては、発現を確認することができる限り、どのよう な物を利用しても良いが、ルシフェラーゼが代表的に用いられる。化学発光すること から、観察が容易であるからである。このほかに、例えば、蛍光タンパク質なども使用 され得るがそれに限定されなレ、。
[0094] 本発明において用いられる転写活性アツセィにおいて利用される系は、細胞であり 得るがこれに限定されず、無細胞系もまた使用され得ることが理解される。
[0095] また、上記転写因子認識配列としては、例えば、 GAL4DNA (Tyree CM, Kla using K. , Methods Mol Med. 2003 ; 85 : 175 - 83) , LexA DBD (Che mistry and Biology, vol 10, no. 7, pp. 584- 585 (July, 2003) )などを挙 げることができるがそれに限定されなレ、。このような転写因子認識配列は、どのような 核内レセプターであっても使用され得ることが理解される。他の転写因子認識配列は 、本発明のこの系を用いて、ァゴニストであると分かっている物質を上記候補化合物 の代わりに使用し、転写因子認識配列の候補配列を上記 GAL4DNAの代わりに使 用したアツセィを実行し、そのアツセィにおいてァゴニストによるポジティブな応答が 見られる任意の配列を転写因子認識配列として使用することができることが理解され 得る。
[0096] (有機化学)
本発明は、スルホニル尿素剤が PPARを調節する能力を有することを見出したこと によって一部完成された。
[0097] 本明細書において、「スルホニル尿素剤」とは、
[0098] [化 3]
(式中、 Rおよび Rは、任意の置換基(水素を含む)を指す)で示されるスルホニル基
1 2
と、尿素とが結合した構造を有するものをいう。スルホニル尿素剤は、古くからインスリ
ン分泌刺激作用による血糖降下作用がありインスリンの代用として用いられてきた。ス ルホニル尿素剤としては、例えば、グリメピリド、ダリベンクラミド、トルプタミド、クロルプ ロパミド、ァセトへキサミドおよびダリクラジドなどを挙げることができるがそれらに限定 されない。
[0099] 本明細書において「アルキル」とは、メタン、ェタン、プロパンのような脂肪族炭化水 素(アルカン)から水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基をレ、い、一般に C H
n 2n + l
—で表される(ここで、 nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得 る。本明細書において「置換されたアルキル」とは、以下に規定する置換基によって アルキルの Hが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、 C1〜C2アルキル、 C1〜C3アルキル、 C1〜C4ァノレキノレ、 C1〜C5ァノレキノレ、 C1〜C6アルキル、 C1 〜C7アルキル、 C1〜C8アルキル、 C1〜C9ァノレキノレ、 C1〜C10ァノレキノレ、 Cl〜 C11アルキルまたは C1〜C12アルキル、 C1〜C2置換されたアルキル、 C1〜C3置 換されたアルキル、 C1〜C4置換されたアルキル、 C1〜C5置換されたアルキル、 C 1〜C6置換されたアルキル、 C1〜C7置換されたアルキル、 C1〜C8置換されたァ ルキル、 C1〜C9置換されたアルキル、 C1〜C10置換されたアルキル、 C1〜C11 置換されたアルキルまたは C1〜C12置換されたアルキルであり得る。ここで、例えば C1〜C10アルキノレとは、炭素原子を 1〜: 10個有する直鎖または分枝状のアルキル を意味し、メチル(CH ―)、ェチル(C H ―)、 n—プロピル(CH CH CH — )、イソ
3 2 5 3 2 2
プロピル((CH ) CH—)、 n—ブチル(CH CH CH CH 一)、 n—ペンチル(CH C
3 2 3 2 2 2 3
H CH CH CH 一)、 n—へキシル(CH CH CH CH CH CH 一)、 n—ヘプチル
2 2 2 2 3 2 2 2 2 2
(CH CH CH CH CH CH CH ―)、 n—ォクチル(CH CH CH CH CH CH C
3 2 2 2 2 2 2 3 2 2 2 2 2
H CH ―)、 n_ノニル(CH CH CH CH CH CH CH CH CH ―)、 n—デシノレ
2 2 3 2 2 2 2 2 2 2 2
(CH CH CH CH CH CH CH CH CH CH 一)、 - C (CH ) CH CH CH (C
3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 2 2 2
H ) 、 - CH CH (CH ) などが例示される。また、例えば、 C1〜C10置換されたァ
3 2 2 3 2
ノレキノレとは、 C1〜C10アルキルであって、そのうち 1または複数の水素原子が置換 基により置換されているものをいう。
[0100] 本明細書にぉレ、て「置換されてレ、てもよレ、アルキル」とは、上で定義した「アルキル」 または「置換されたアルキル」のレ、ずれであってもよレ、ことを意味する。
[0101] 本明細書にぉレ、て「アルキレン」とは、メチレン、エチレン、プロピレンのような脂肪 族炭化水素(アルカン)から水素原子が二つ失われて生ずる 2価の基をレ、い、一般に - C H 一で表される(ここで、 nは正の整数である)。アルキレンは、直鎖または分枝 n 2n
鎖であり得る。本明細書において「置換されたアルキレン」とは、以下に規定する置換 基によってアルキレンの Hが置換されたアルキレンをいう。これらの具体例は、 Cl〜 C2アルキレン、 C1〜C3アルキレン、 C1〜C4アルキレン、 C1〜C5アルキレン、 C1 〜C6アルキレン、 C1〜C7アルキレン、 C1〜C8アルキレン、 C1〜C9アルキレン、 C :!〜 C10アルキレン、 C1〜C11アルキレンまたは C1〜C12アルキレン、 C1〜C2置 換されたアルキレン、 C1〜C3置換されたアルキレン、 C1〜C4置換されたアルキレ ン、 C1〜C5置換されたアルキレン、 C1〜C6置換されたアルキレン、 C1〜C7置換 されたアルキレン、 C1〜C8置換されたアルキレン、 C1〜C9置換されたアルキレン、 C1〜C10置換されたアルキレン、〇1〜〇11置換されたァルキレンまたは〇1〜〇12 置換されたアルキレンであり得る。ここで、例えば C1〜C10アルキレンとは、炭素原 子を 1〜: 10個有する直鎖または分枝状のアルキレンを意味し、メチレン(― CH ―)、
2 エチレン(一 C H 一)、 n—プロピレン(一 CH CH CH 一)、イソプロピレン(一(CH
2 4 2 2 2 3
) C―)、 n—ブチレン(一 CH CH CH CH ―)、 n ペンチレン(一 CH CH CH C
2 2 2 2 2 2 2 2
H CH 一)、 n—へキシレン(一 CH CH CH CH CH CH 一)、 n—ヘプチレン(一
2 2 2 2 2 2 2 2
CH CH CH CH CH CH CH 一)、 n オタチレン(一CH CH CH CH CH C
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
H CH CH 一)、 n ノニレン(一 CH CH CH CH CH CH CH CH CH —)、 n
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 デシレン(一 CH CH CH CH CH CH CH CH CH CH 一)、 CH C (CH )
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 一などが例示される。また、例えば、 C1〜C10置換されたアルキレンとは、 C1〜C1
2
0アルキレンであって、そのうち 1または複数の水素原子が置換基により置換されてい るものをいう。本明細書において「アルキレン」は、酸素原子および硫黄原子から選 択される原子を 1またはそれ以上含んでレ、てもよレ、。
[0102] 本明細書において「置換されていてもよいアルキレン」とは、上で定義した「アルキレ ン」または「置換されたアルキレン」のレ、ずれであってもよレ、ことを意味する。
[0103] 本明細書にぉレ、て「シクロアルキル」とは、環式構造を有するアルキルをレ、う。 「置換 されたシクロアルキル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルキルの Hが置
換されたシクロアルキルをいう。具体例としては、 C3〜C4シクロアルキル、 C3〜C5 シクロアルキル、 C3〜C6シクロアルキル、 C3〜C7シクロアルキル、 C3〜C8シクロ アルキル、 C3〜C9シクロアルキル、 C3〜C10シクロアルキル、 C3〜C11シクロアノレ キル、 C3〜C12シクロアノレキノレ、 C3〜C4置換されたシクロアルキル、 C3〜C5置換 されたシクロアルキル、 C3〜C6置換されたシクロアルキル、 C3〜C7置換されたシク 口アルキル、 C3〜C8置換されたシクロアルキル、 C3〜C9置換されたシクロアルキ ノレ、 C3〜C10置換されたシクロアルキル、 C3〜C11置換されたシクロアルキルまた は C3〜C12置換されたシクロアルキルであり得る。例えば、シクロアルキルとしては、 シクロプロピル、シクロへキシルなどが例示される。
[0104] 本明細書において「置換されていてもよいシクロアルキル」とは、上で定義した「シク 口アルキル」または「置換されたシクロアルキル」のいずれであってもよいことを意味す る。
[0105] 本明細書において「アルケニル」とは、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭 化水素から水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基をいい、一般に C H 一で表 n 2n— 1 される(ここで、 nは 2以上の正の整数である)。 「置換されたァルケニル」とは、以下に 規定する置換基によってアルケニルの Hが置換されたアルケニルをいう。具体例とし ては、 C2〜C3ァノレケニノレ、 C2〜C4ァノレケニノレ、 C2〜C5ァノレケニノレ、 C2〜C6ァ ノレケニル、 C2〜C7アルケニル、 C2〜C8アルケニル、 C2〜C9アルケニル、 C2〜C 10アルケニノレ、 〇2〜〇11ァルケニルまたは〇2〜〇12ァルケニル、 C2〜C3置換さ れたァルケニル、 C2〜C4置換されたァルケニル、 C2〜C5置換されたァルケニル、 C2〜C6置換されたァルケニル、 C2〜C7置換されたァルケニル、 C2〜C8置換され たァルケニル、 C2〜C9置換されたァルケニル、 C2〜C10置換されたァルケニル、 C 2〜 C 11置換されたアルケニルまたは C2〜C12置換されたアルケニルであり得る。 ここで、例えば C2〜C10アルキルとは、炭素原子を 2〜: 10個含む直鎖または分枝状 のアルケニルを意味し、ビュル(CH =CH―)、ァリル(CH =CHCH―)、 CH C
2 2 2 3
H = CH—などが例示される。また、例えば、 C2〜C10置換されたアルケニルとは、 C2〜C10アルケニルであって、そのうち 1または複数の水素原子が置換基により置 換されているものをいう。
[0106] 本明細書において「置換されていてもよいアルケニル」とは、上で定義した「ァルケ ニル」または「置換されたァルケニル」のレ、ずれであってもよレ、ことを意味する。
[0107] 本明細書において「アルケニレン」とは、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭 化水素から水素原子が二つ失われて生ずる 2価の基をいい、一般に一 C H 一で n 2n-2 表される(ここで、 nは 2以上の正の整数である)。 「置換されたァルケ二レン」とは、以 下に規定する置換基によってアルケニレンの Hが置換されたァルケ二レンをいう。具 体例としては、 C2〜C25アルケニレンまたは C2〜C25置換されたァルケ二レンが挙 げられ、なかでも特に C2〜C3アルケニレン、 C2〜C4アルケニレン、 C2〜C5アル ケニレン、 C2〜C6アルケニレン、 C2〜C7アルケニレン、 C2〜C8アルケニレン、 C2 〜C9アルケニレン、 C2〜C10アルケニレン、〇2〜〇11ァルケニレンまたは〇2〜〇 12アルケニレン、 C2〜C3置換されたァルケ二レン、 C2〜C4置換されたアルケニレ ン、 C2〜C5置換されたァルケ二レン、 C2〜C6置換されたァルケ二レン、 C2〜C7 置換されたァルケ二レン、 C2〜C8置換されたァルケ二レン、 C2〜C9置換されたァ ノレケニレン、 C2〜C10置換されたァルケ二レン、 C2〜C11置換されたァルケ二レン または C2〜C12置換されたァルケ二レンが好ましい。ここで、例えば C2〜C10アル キノレとは、炭素原子を 2〜: 10個含む直鎖または分枝状のアルケニレンを意味し、 - CH = CH―、— CH = CHCH―、—(CH ) C = CH—などが例示される。また、例
2 3
えば、 C2〜C10置換されたァルケ二レンとは、 C2〜C10アルケニレンであって、そ のうち 1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。本明細書 において「ァルケ二レン」は、酸素原子および硫黄原子から選択される原子を 1また はそれ以上含んでレ、てもよレ、。
[0108] 本明細書において「置換されていてもよいアルケニレン」とは、上で定義した「アル ケニレン」または「置換されたァルケ二レン」のレ、ずれであってもよレ、ことを意味する。
[0109] 本明細書において「シクロアルケニル」とは、環式構造を有するアルケニルをいう。「 置換されたシクロアルケニル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルケニル の Hが置換されたシクロアルケニルをいう。具体例としては、 C3〜C4シクロアルケ二 ノレ、 C3〜C5シクロアルケニル、 C3〜C6シクロアルケニル、 C3〜C7シクロアルケ二 ノレ、 C3〜C8シクロアルケニル、 C3〜C9シクロアルケニル、 C3〜C10シクロアルケ
ニル、 C3〜C11シクロアルケニル、 C3〜C12シクロアルケニル、 C3〜C4置換され たシクロアルケニル、 C3〜C5置換されたシクロアルケニル、 C3〜C6置換されたシク ロアルケニル、 C3〜C7置換されたシクロアルケニル、 C3〜C8置換されたシクロアル ケニル、 C3〜C9置換されたシクロアルケニル、 C3〜C10置換されたシクロアルケ二 ノレ、〇3〜〇11置換されたシクロァルケニルまたは〇3〜〇12置換されたシクロァルケ ニルであり得る。例えば、好ましいシクロアルケニルとしては、 1—シクロペンテュル、 2—シクロへキセニルなどが例示される。
[0110] 本明細書において「置換されていてもよいシクロアルケニル」とは、上で定義した「シ クロアルケニル」または「置換されたシクロアルケニル」のレ、ずれであってもよレ、ことを 意味する。
[0111] 本明細書において「アルキニル」とは、アセチレンのような、分子内に三重結合を一 つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基をいい、一 般に C H 一で表される(ここで、 nは 2以上の正の整数である)。 「置換されたアル n 2n- 3
キニル」とは、以下に規定する置換基によってアルキニルの Hが置換されたアルキニ ノレをいう。具体例としては、 C2〜C3アルキニル、 C2〜C4アルキニノレ、 C2〜C5ァノレ キニル、 C2〜C6アルキニル、 C2〜C7アルキニル、 C2〜C8アルキニル、 C2〜C9 アルキニル、 C2〜C10ァノレキニノレ、 C2〜C11アルキニル、 C2〜C12アルキニル、 C2〜C3置換されたアルキニル、 C2〜C4置換されたアルキニル、 C2〜C5置換され たアルキニル、 C2〜C6置換されたアルキニル、 C2〜C7置換されたアルキニル、 C 2〜C8置換されたアルキニル、 C2〜C9置換されたアルキニル、 C2〜C10置換され たアルキニル、じ2〜〇11置換されたァルキニルまたは〇2〜じ12置換されたァルキ ニルであり得る。ここで、例えば、 C2〜C10アルキニルとは、例えば炭素原子を 2〜1 0個含む直鎖または分枝状のアルキニルを意味し、ェチュル(CH≡C―)、 1 _プロ ピニル(CH C三 C_)などが例示される。また、例えば、 C2〜C10置換されたアルキ
3
二ノレとは、 C2〜C10アルキニルであって、そのうち 1または複数の水素原子が置換 基により置換されているものをいう。
[0112] 本明細書において「置換されていてもよいアルキニル」とは、上で定義した「アルキ ニル」または「置換されたアルキニル」のレ、ずれであってもよレ、ことを意味する。
[0113] 本明細書において「アルコキシ」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失 われて生ずる 1価の基をいい、一般に C H 〇一で表される(ここで、 nは 1以上の
n 2n+ l
整数である)。 「置換されたアルコキシ」とは、以下に規定する置換基によってアルコ キシの Hが置換されたアルコキシをいう。具体例としては、 C1〜C2アルコキシ、 C1 〜C3アルコキシ、 C1〜C4アルコキシ、 C1〜C5アルコキシ、 C1〜C6アルコキシ、 C 1〜C7アルコキシ、 C1〜C8アルコキシ、 C1〜C9アルコキシ、 C1〜C10アルコキシ 、 C1〜C11ァノレコキシ、 C1〜C12アルコキシ、 C1〜C2置換されたアルコキシ、 C1 〜C3置換されたアルコキシ、 C1〜C4置換されたアルコキシ、 C1〜C5置換されたァ ノレコキシ、 C1〜C6置換されたアルコキシ、 C1〜C7置換されたアルコキシ、 C1〜C 8置換されたアルコキシ、 C1〜C9置換されたアルコキシ、 C1〜C10置換されたアル コキシ、 C1〜C11置換されたアルコキシまたは C1〜C12置換されたアルコキシであ り得る。ここで、例えば、 C1〜C10アルコキシとは、炭素原子を:!〜 10個含む直鎖ま たは分枝状のアルコキシを意味し、メトキシ(CH O— )、エトキシ(C H O— )、 n—プ
3 2 5
口ポキシ(CH CH CH O—)などが例示される。
3 2 2
[0114] 本明細書において「置換されていてもよいアルコキシ」とは、上で定義した「アルコキ シ」または「置換されたアルコキシ」のいずれであってもよいことを意味する。
[0115] 本明細書において「ヘテロ環(基)」とは、炭素およびへテロ原子をも含む環状構造 を有する基をいう。ここで、ヘテロ原子は、 0、 Sおよび Nからなる群より選択され、同 一であっても異なっていてもよぐ 1つ含まれていても 2以上含まれていてもよい。へテ 口環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり 得る。ヘテロ環基は置換されていてもよい。
[0116] 本明細書において「置換されていてもよいへテロ環(基)」とは、上で定義した「へテ 口環(基)」または「置換されたへテロ環(基)」のレ、ずれであってもよレ、ことを意味する
[0117] 本明細書において「アルコール」とは、脂肪族炭化水素の 1または 2以上の水素原 子をヒドロキシル基で置換した有機化合物をいう。本明細書においては、 ROHとも表 記される。ここで、 Rは、アルキル基である。好ましくは、 Rは、 C1〜C6アルキルであり 得る。アルコールとしては、例えば、メタノーノレ、エタノール、 1 _プロパノール、 2—プ
ロパノールなどが挙げられるがそれらに限定されない。
[0118] 本明細書において「炭素環基」とは、炭素のみを含む環状構造を含む基であって、 前記の「シクロアルキル」、「置換されたシクロアルキル」、 「シクロアルケ二ル」、「置換 されたシクロアルケニル」以外の基をいう。炭素環基は芳香族系または非芳香族系で あり得、そして単環式または多環式であり得る。 「置換された炭素環基」とは、以下に 規定する置換基によって炭素環基の Hが置換された炭素環基をレ、う。具体例として は、 C3〜C4炭素環基、 C3〜C5炭素環基、 C3〜C6炭素環基、 C3〜C7炭素環基 、 C3〜C8炭素環基、 C3〜C9炭素環基、 C3〜C10炭素環基、 C3〜C11炭素環基 、 C3〜C12炭素環基、 C3〜C4置換された炭素環基、 C3〜C5置換された炭素環 基、 C3〜C6置換された炭素環基、 C3〜C7置換された炭素環基、 C3〜C8置換さ れた炭素環基、 C3〜C9置換された炭素環基、 C3〜C10置換された炭素環基、 C3 〜C11置換された炭素環基または C3〜C12置換された炭素環基であり得る。炭素 環基はまた、 C4〜C7炭素環基または C4〜C7置換された炭素環基であり得る。炭 素環基としては、フエニル基から水素原子が 1個欠失したものが例示される。ここで、 水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよぐ 非芳香環上であってもよい。
[0119] 本明細書において「置換されていてもよい炭素環基」とは、上で定義した「炭素環基 」または「置換された炭素環基」のレ、ずれであってもよレ、ことを意味する。
[0120] 本明細書にぉレ、て「ヘテロ環基」とは、炭素およびへテロ原子をも含む環状構造を 有する基をいう。ここで,ヘテロ原子は、〇、 Sおよび Nからなる群より選択され、同一 であっても異なっていてもよぐ 1つ含まれていても 2以上含まれていてもよい。ヘテロ 環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得 る。「置換されたへテロ環基」とは、以下に規定する置換基によってへテロ環基の Hが 置換されたへテロ環基をいう。具体例としては、 C3〜C4炭素環基、 C3〜C5炭素環 基、 C3〜C6炭素環基、 C3〜C7炭素環基、 C3〜C8炭素環基、 C3〜C9炭素環基 、 C3〜C10炭素環基、 C3〜C11炭素環基、 C3〜C12炭素環基、 C3〜C4置換さ れた炭素環基、 C3〜C5置換された炭素環基、 C3〜C6置換された炭素環基、 C3 〜C7置換された炭素環基、 C3〜C8置換された炭素環基、 C3〜C9置換された炭
素環基、 C3〜C10置換された炭素環基、じ3〜じ11置換された炭素環基または〇3 〜C12置換された炭素環基の 1つ以上の炭素原子をへテロ原子で置換したものであ り得る。ヘテロ環基はまた、 C4〜C7炭素環基または C4〜C7置換された炭素環基 の炭素原子を 1つ以上へテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基としては、 チェニル基、ピロリル基、フリル基、イミダゾリル基、ピリジル基などが例示される。水 素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよぐ非 芳香環上であってもよい。
[0121] 本明細書において、炭素環基またはへテロ環基は、下記に定義されるように 1価の 置換基で置換され得ることに加えて、 2価の置換基で置換され得る。そのような二価 の置換は、ォキソ置換( = O)またはチォキソ置換( = S)であり得る。
[0122] 本明細書において「ハロゲン」とは、周期表 7B族に属するフッ素(F)、塩素(Cl)、 臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の 1価の基をレ、う。
[0123] 本明細書において「ヒドロキシ」とは、 OHで表される基をいう。 「置換されたヒドロ キシ」とは、ヒドロキシの Hが下記で定義される置換基で置換されているものをいう。
[0124] 本明細書にぉレ、て「チオール」とは、ヒドロキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換し た基(メルカプト基)であり、 SHで表される。 「置換されたチオール」とは、メルカプト の Hが下記で定義される置換基で置換されてレ、る基をレ、う。
[0125] 本明細書において「シァノ」とは、 CNで表される基をいう。 「ニトロ」とは、 NO
2 で表される基をいう。 「ァミノ」とは、 -NHで表される基をいう。 「置換されたァミノ」と
2
は、ァミノの Hが以下で定義される置換基で置換されたものをいう。
[0126] 本明細書において「カルボキシ」とは、 COOHで表される基をいう。 「置換された カルボキシ」とは、カルボキシの Hが以下に定義される置換基で置換されたものをいう
[0127] 本明細書にぉレ、て「チォカルボキシ」とは、カルボキシ基の酸素原子を硫黄原子で 置換した基をいい、 _C ( = S)〇H、 _〇(=〇)311または_〇331^で表され得る。「 置換されたチォカルボキシ」とは、チォカルボキシの Hが以下に定義される置換基で 置換されたものをいう。
[0128] 本明細書において「ァシル」とは、カルボン酸から OHを除いてできる 1価の基をいう
。ァシル基の代表例としては、ァセチル(CH CO )、ベンゾィル(C H CO )など
3 6 5 が挙げられる。「置換されたァシル」とは、ァシルの水素を以下に定義される置換基で 置換したものをいう。
[0129] 本明細書にぉレ、て「アミド」とは、アンモニアの水素を酸基(アシノレ基)で置換した基 であり、好ましくは、 -CONHで表される。 「置換されたアミド」とは、アミドが置換され
2
たものをいう。
[0130] 本明細書において「カルボニル」とは、アルデヒドおよびケトンの特性基である—(C =〇)_を含むものを総称したものをいう。 「置換されたカルボニル」は、下記におい て選択される置換基で置換されているカルボ二ル基を意味する。
[0131] 本明細書において「チォカルボニル」とは、カルボニルにおける酸素原子を硫黄原 子に置換した基であり、特性基—(C = S)—を含む。チォカルボニルには、チオケト ンおよびチォアルデヒドが含まれる。 「置換されたチォカルボニル」とは、下記におい て選択される置換基で置換されたチォカルボニルを意味する。
[0132] 本明細書において「スルホニル」とは、特性基である SO を含むものを総称し
2
たものをいう。 「置換されたスルホニル」とは、下記において選択される置換基で置換 されたスルホニルを意味する。
[0133] 本明細書において「スルフィニル」とは、特性基である SO を含むものを総称し たものをいう。 「置換されたスルフィエル」とは、下記において選択される置換基で置 換されてレ、るスルフィエルを意味する。
[0134] 本明細書において「ァリール」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が 1 個離脱して生ずる基をいい、本明細書において、炭素環基に包含される。
[0135] 本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換 基中の 1または 2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。 水素原子を 1つ除去して 1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子 を 2つ除去して 2価の置換基に置換することも可能である。
[0136] 本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換 基中の 1または 2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。 水素原子を 1つ除去して 1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子
を 2つ除去して 2価の置換基に置換することも可能である。
[0137] 本発明における置換基としては、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロア ルケニル、アルキニル、アルコキシ、炭素環基、ヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、チ オール、シァノ、ニトロ、ァミノ、カルボキシ、力ルバモイル、ァシル、アシノレアミノ、チォ カルボキシ、アミド、置換されたカルボニル、置換されたチォカルボニル、置換された スルホニルまたは置換されたスルフィニルが挙げられるがそれらに限定されなレ、。こ のような置換基は、本発明において、アミノ酸の設計のときに、適宜利用することがで きる。
[0138] 好ましくは、置換基は、複数存在する場合それぞれ独立して、水素原子またはアル キルであり得るが、複数の置換基全てが水素原子であることはない。より好ましくは、 独立して、置換基は、複数存在する場合それぞれ独立して、水素および C1〜C6ァ ルキルからなる群より選択され得る。置換基は、すべてが水素以外の置換基を有して いても良いが、好ましくは、少なくとも 1つの水素、より好ましくは、 2〜n (ここで nは置 換基の個数)の水素を有し得る。置換基のうち水素の数が多いことが好ましくあり得る 。大きな置換基または極性のある置換基は本発明の効果(特に、アルデヒド基との相 互作用)に障害を有し得るからである。従って、水素以外の置換基としては、好ましく は、 C1〜C6アルキル、 C1〜C5アルキル、 C1〜C4アルキル、 C1〜C3アルキル、 C1〜C2アルキル、メチルなどであり得る。ただし、本発明の効果を増強し得ることも あることから、大きな置換基を有することもまた好ましくあり得る。
[0139] 本明細書において、 Cl、 C2、 . . . Cnは、炭素数を表す。従って、 C1は炭素数 1 個の置換基を表すために使用される。
[0140] 本明細書において、「光学異性体」とは、結晶または分子の構造が鏡像関係にあつ て、重ねあわせることのできない一対の化合物の一方またはその組をいう。立体異性 体の一形態であり、他の性質は同じであるにもかかわらず、旋光性のみが異なる。
[0141] 本明細書において「保護反応」とは、 Bocのような保護基を、保護が所望される官能 基に付加する反応をいう。保護基により官能基を保護することによって、より反応性の 高い官能基の反応を抑制し、より反応性の低い官能基のみを反応させることができる 。保護反応は、例えば、脱水反応により行うことができる。
[0142] 本明細書にぉレ、て「脱保護反応」とは、 Bocのような保護基を脱離させる反応をレ、う 。脱保護反応としては、 Pd/Cを用いる還元反応のような反応が挙げられる。脱保護 反応は、例えば、加水分解により行うことができる。
[0143] 本明細書において「保護基」としては、例えば、フルォレニルメトキシカルボニル(F moc)基、ァセチル基、ベンジル基、ベンゾィル基、 t_ブトキシカルボニル基、 t—ブ チルジメチル基、シリル基、トリメチルシリルェチル基、 N -フタルイミジル基、トリメチノレ シリノレエチルォキシカルボニル基、 2 _ニトロ— 4, 5—ジメトキシベンジル基、 2 -ニト 口- 4, 5 -ジメトキシベンジルォキシカルボニル基、力ルバメート基などが代表的な保 護基として挙げられる。
[0144] 本発明の各方法において、 目的とする生成物は、反応液から夾雑物 (未反応減量 、副生成物、溶媒など)を、当該分野で慣用される方法 (例えば、抽出、蒸留、洗浄、 濃縮、沈澱、濾過、乾燥など)によって除去した後に、当該分野で慣用される後処理 方法 (例えば、吸着、溶離、蒸留、沈澱、析出、クロマトグラフィーなど)を組み合わせ て処理して単離し得る。
[0145] (スクリーニング)
本明細書において「スクリーニング」とは、 目的とするある特定の性質をもつ生物、 細胞または物質などの標的を、特定の操作/評価方法で多数を含む集団の中から 選抜することをいう。スクリーニングのために、本発明の因子(例えば、抗体)、ポリべ プチドまたは核酸分子を使用することができる。スクリーニングは、インビトロ、インビボ など実在物質を用いた系を使用してもよぐインシリコ(コンピュータを用いた系)の系 を用いて生成されたライブラリーを用いてもよい。本発明では、所望の活性を有する スクリーニングによって得られた化合物もまた、本発明の範囲内に包含されることが理 解される。また本発明では、本発明の開示をもとに、コンピュータモデリングによる薬 物、診断剤、治療薬などが提供されることも企図される。
[0146] 本明細書において「候補化合物」とは、スクリーニングにおいて用いられる場合、そ のスクリーニングが対象とする目的に関して候補となる化合物をいう。そのような化合 物は、どのような因子であってもよレ、。候補化合物としては、例えば、タンパク質、ポリ ペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチ
ド、核酸(例えば、 cDNA、ゲノム DNAのような DNA、 mRNAのような RNAを含む) 、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、有機低分子 (例えば、ホルモン、リガンド、情 報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリーで合成された分子、医薬品と して利用され得る低分子 (例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子を上 げることができるがそれらに限定されない。候補化合物は、その候補が薬物である場 合、候補薬物とも言う。このような候補化合物の集合をライブラリーとも言う。
[0147] 本明細書にぉレ、て「化合物種」とは、ある化合物の集合にぉレ、て、特定の目的とす る活性を有するなど、所望の性質を有する 1種の化合物についていう。例えば、活性 を調節する化合物の集合において、化合物が特定される場合、そのような化合物は 、化合物種と称され得る。本明細書では、単に化合物とも称される。
[0148] 従って、本明細書において「ライブラリー」とは、スクリーニングをするための化合物 などの一定の集合をいう。ライブラリ一は、同様の性質を有する化合物の集合であつ ても、ランダムな化合物の集合であってもよい。好ましくは、同様の性質を有すると予 測される化合物の集合が使用されるが、それに限定されない。本発明で使用する化 合物ライブラリ一は、例えば、コンビナトリアルケミストリー技術、醱酵方法、植物およ び細胞抽出手順などが挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの手段により、 作製することができる力または入手することができる。コンビナトリアルライブラリーを 作成する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、 E. R. Felder, Chimia 1 994, 48, 512— 541 ; Gallopら、 J. Med. Chem. 1994, 37, 1233— 1251 ; R. A. Houghten, Trends Genet. 1993, 9, 235— 239 ; Houghtenら、 Nature 1991 , 354, 84— 86 ; Lamら、 Nature 1991 , 354, 82— 84 ; Carellら、 Chem. Biol. 1995, 3, 171— 183 ; Maddenら、 Perspectives in Drug Discovery a nd Design2, 269— 282 ; Cwiriaら、 Biochemistry 1990, 87, 6378 - 6382 ; Brennerら、 Pro Natl. Acad. Sci. USA 1992, 89, 5381 - 5383 ; Gordon ら、 J. Med. Chem. 1994, 37, 1385— 1401 ; Leblら、 Biopolymers 1995, 37 177— 198 ;およびそれらで引用された参考文献を参照のこと。これらの参考文献 は、その全体を、本明細書中で参考として援用する。
[0149] 本明細書において「調節」とは、 PPARについて言及するとき、その生物学的活性
が変更されることをいう。
[0150] 本明細書において「阻害」とは、 PPARについて言及するとき、その生物学的活性 が低減または消失することをレ、う。
[0151] 本明細書において「促進」とは、 PPARについて言及するとき、その生物学的活性 が増加または無レ、状態から有る状態が生じることをレ、う。
[0152] 本明細書において「生物学的試験」とは、実際の生体反応を用いてある化合物が ある活性を有するかどうかを判定することをいう。生物学的試験は、 in vitroおよび i n vivoでの試験を包含する。したがって、生物学的試験は、 in silicoとは対立する 概念である。
[0153] 本明細書において「評価」とは、スクリーニングにおいて用いられるとき、ある指標( 例えば、医薬としての活性)に関して、候補化合物がそのような指標の要件を満たす 力、どうか決定することをいう。そのような評価は、当該分野において公知の方法を用 いて行うことができ、インシリコ(コンピュータを用いる)かまたはウエット(実際の生物学 的アツセィを行う)によって行うことができる。
[0154] 本発明のスクリーニング技術において、スクリーニングのヒットは、遺伝子技術を用 いたアツセィなどによって確認することができる。
[0155] 本明細書にぉレ、て遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなど遺伝子産物の「発現 」とは、その遺伝子(通常は、 DNA形態)などがインビボで一定の作用を受けて、別 の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなど力 S、転写および翻 訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されて mRNAが作製されるこ ともまた発現の一形態であり得る。別の実施形態では、そのようなポリペプチドの形態 は、翻訳後プロセシング (例えば、リーダー配列切除)を受けたものであり得る。
[0156] 本明細書において、遺伝子が「特異的に発現する」とは、その遺伝子が、生物の特 定の部位または時期において他の部位または時期とは異なる(好ましくは高い)レべ ルで発現されることをいう。特異的に発現するとは、ある部位 (例えば、罹患部位など の特異的部位)にのみ発現してもよぐそれ以外の部位においても発現していてもよ レ、。好ましくは特異的に発現するとは、ある部位においてのみ発現することをいう。そ のような特異的発現は、抗原提示細胞の特性を利用して実現することができる。従つ
て、本発明における医薬のスクリーニングは、特定の指標の特異的発現を確認するこ とによっても行うことができる。
[0157] 本明細書においてある細胞において「のみ」発現するとは、その細胞においてのみ ある遺伝子が発現し、他の種の細胞においては実質的に発現しないことをいう。従つ て、ある細胞においてのみ発現することは、その細胞において特異的に発現すること を包含する。この場合、脂肪細胞において活性であり、かつ他の細胞における非特 異的発現がほとんどない。
[0158] 本明細書にぉレ、て「活性」とは、核酸、タンパク質などの遺伝子または遺伝子産物 について言及されるとき、その遺伝子または遺伝子産物が本来発揮しょうとする機能 についての活性をいう。そのような活性としては、例えば、 PPARについていえば、脂 肪細胞分化、糖代謝の調節、脂質代謝の調節などを挙げることができるがそれらに 限定されない。
[0159] 本明細書において遺伝子発現 (たとえば、 mRNA発現、ポリペプチド発現)の「検 出」または「定量」は、例えば、 mRNAの測定および免疫学的測定方法を含む適切 な方法を用いて達成され得る。分子生物学的測定方法としては、例えば、ノーザンブ ロット法、ドットプロット法または PCR法などが例示される。免疫学的測定方法としては 、例えば、方法としては、必要に応じてマイクロタイタープレートを用いる、 ELISA法 、 RIA法、蛍光抗体法、ウェスタンプロット法、免疫組織染色法などが例示される。ま た、定量方法としては、 ELISA法または RIA法などが例示される。アレイ(例えば、 D NAアレイ、プロテインアレイ)を用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。 DNA アレイについては、(秀潤社編、細胞工学別冊「DNAマイクロアレイと最新 PCR法」) に広く概説されている。プロテインアレイについては、 Nat Genet. 2002 Dec ; 32 suppl : 526 _ 32に詳述されている。遺伝子発現の分析法としては、上述に加えて 、 RT_PCR、 RACE法、 SSCP法、免疫沈降法、 two— hybridシステム、インビトロ 翻訳などが挙げられるがそれらに限定されない。そのようなさらなる分析方法は、例え ば、ゲノム解析実験法'中村祐輔ラボ'マニュアル、編集'中村祐輔 羊土社 (2002) などに記載されており、本明細書においてそれらの記載はすべて参考として援用さ れる。
[0160] 本明細書にぉレ、て「発現量」とは、対象となる細胞などにぉレ、て、ポリペプチドまた は mRNAが発現される量をいう。そのような発現量としては、本発明の抗体を用いて
ELISA法、 RIA法、蛍光抗体法、ウェスタンプロット法、免疫組織染色法などの免疫 学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価される本発明ポリペプチドのタン パク質レベルでの発現量、またはノーザンブロット法、ドットブロット法、 PCR法などの 分子生物学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価される本発明のポリぺ プチドの mRNAレベルでの発現量が挙げられる。 「発現量の変化」とは、上記免疫学 的測定方法または分子生物学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価され る本発明のポリペプチドのタンパク質レベルまたは mRNAレベルでの発現量が増加 あるいは減少することを意味する。
[0161] 本明細書において「上流」という用語は、特定の基準点からポリヌクレオチドの 5'末 端に向力 位置を示す。
[0162] 本明細書において「下流」という用語は、特定の基準点からポリヌクレオチドの 3'末 端に向力う位置を示す。
[0163] 本明細書において「塩基対の」および「Watson & Crick塩基対の」という表現は 、本明細書では同義に用いられ、二重らせん状の DNAにおいて見られるものと同様 に、アデニン残基が 2つの水素結合によってチミン残基またはゥラシノレ残基と結合し 、 3つの水素結合によってシトシン残基とグァニン残基とが結合するとレ、う配列の正体 に基づいて互いに水素結合可能なヌクレオチドを示す(Stryer, L. , Biochemistr y, 4th edition, 1995を参照)。
[0164] 本明細書にぉレ、て「相補的」または「相補体」とレ、う用語は、本明細書では、相補領 域全体がそのまま別の特定のポリヌクレオチドと Watson & Crick塩基対を形成す ることのできるポリヌクレオチドの配列を示す。本発明の目的で、第 1のポリヌクレオチ ドの各塩基がその相補塩基と対になっている場合に、この第 1のポリヌクレオチドは第 2のポリヌクレオチドと相補であるとみなす。相補塩基は一般に、 Aと T (あるレ、は Aと U )、または Cと Gである。本願明細書では、「相補」という語を「相補ポリヌクレオチド」、 「 相補核酸」および「相補ヌクレオチド配歹 IJ」の同義語として使用する。これらの用語は 、その配列のみに基づいてポリヌクレオチドの対に適用されるものであり、 2つのポリ
ヌクレオチドが事実上結合状態にある特定のセットに適用されるものではない。
[0165] (インスリン感受性増強)
以下に、アツセィ例を挙げて本発明のインスリン抵抗性改善薬またはインスリン感受 性増強薬としての有用性を支持する効果について説明する。一例としてグノレコースク ランプ法は末梢組織のインスリン感受性を評価する方法の 1つである。このグノレコー スクランプ法は、現在のところ最も正確に感受性を評価できるとされている。本法では 血中インスリン値を一定レベルに保つようにインスリンの持続的注入下に、血糖値を モニターしながらグルコース液を注入し、血糖値を空腹時血糖に保持するもので、こ の際に必要なグノレコース注入速度をグルコース代謝速度としてインスリン感受性の指 標とする。
[0166] 試験の結果は平均値土標準誤差で示すことができる。有意差検定は t一検定で行 レ、、例えば、 p値が 0.05より小さいときに有意であると判断することができる。
[0167] 試験計画例 1: 2型糖尿病患者 20名を 10名ずつ 2群に無作為に割り付ける。試験 群とプラセボ群との間には、年齢、性別、肥満指数、経口血糖降下剤の服用、空腹 時の血糖およびヘモグロビン A のような背景因子には差が認められないように調整
lc
する。また、全ての患者はインスリン投与を受けさせなレ、。これらの患者は、例えば、 試験の少なくとも 2週間前に入院し、 1日当たり少なくとも 200gの炭水化物を含む体 重維持食を摂取させる。
[0168] 試験群の患者には候補化合物を試験量 1日 3回 1週間にわたり連日経口投与する 。プラセボ群の患者には同様のプラセボ錠 1個ずつを 1日 3回 1週間にわたり連日経 口投与する。治療前と最終治療日には、空腹時に患者の血管カテーテルから血液を EDTA1. 2mgとァプロチュン(Trasylor、バイエル社製、ドイツ) 400KIUを含む管 に採取する。遠心分離により集めた血漿は分析するまで— 40°Cで保存した。血中の グルコース、フルクトサミンおよびヘモグロビン A は、例えば、それぞれグルコースォ
lc
キシダーゼ法、 NBT (Nitro Blue Tetrazoliumchloride)法および HPLC (高速 液体クロマトグラフィー)法により測定する。血漿中のインスリン量および尿中の Cぺプ チド量は、それぞれ市販のキットであるインスリン一 III (ベーリンガ一一マンハイム社 製、ドイツ)および Cペプチドキット(第一化学、 日本)を用いて測定した。なお、尿中
の Cペプチド量は、 2日間の平均値として計算する。
試験群およびプラセボ群ともに全患者について、治療前と最終治療日に、体重 lkg 当たり 0. 2gのグノレコースを静脈内投与し、経時的に血糖およびインスリン分泌を測 定するグルコース負荷試験を実施する。
[0169] また、両群ともに一部の患者 (例えば、 5名)について、治療前と最終治療日に、高 インスリン―正常血糖状態固足法 (hyperinsulinemic― normoglycemic― clamp ;以下「グルコースクランプ法」とレ、う)試験を実施するとともに、 ELISA (enzyme -li nKed immunosorbent assay)により赤血球 300 μ 1当 7こりののインスリンレセフタ 一の全量およびチロシン自己リン酸化量を測定し、インスリン感受性を評価する。 EL ISA (こよるインスリンレセプターの視 IJ定 fま、 Diabetes, 43, 274— 280 (1994) ίこ記 載の方法に準じて行う。
[0170] グノレコースクランプ法試験では、肝のグノレコース産生を抑制するために、インスリン を 0· 8mU/kg/分の割合で 4時間注入し、血漿中インスリン濃度は 100 μ υ/πι1 ( 600pmol/L)に維持した。血糖値は 95mg/dl (5. 32mmol/L)に保持するよう にグルコース液を注入する。インスリン注入開始後 2〜4時間のグルコース注入速度 を測定し、グルコース代謝速度とする。
次に、本発明の化合物が有する作用の一つである「インスリン感受性増強作用」につ いて説明する。
[0171] すなわち、インスリン感受性増強作用の強さは、 KKAyマウスに薬物を投与した時 の血糖降下率により評価することができる。 KKAyマウスはインスリン抵抗性を示す 糖尿病モデル動物であり(日本臨床 60卷、増刊号 8、 38— 44、(2002) )、インスリン 分泌促進作用に基づく 2型糖尿病治療剤であるスルホニル尿素系血糖降下剤は有 効ではないことが知られている(Medical Pharmacy, Vol. 24, No. 3, 131— 13 6、(1990) )。 KKAyマウスを用いた経口投与の血糖降下試験においては、 KKAy マウスの血糖値を約 45%抑制すると正常マウスの血糖値とほぼ同じになることから、 血糖降下率力 S40〜50%であることが好ましい。
[0172] KKAyマウスを用いた経口投与の血糖降下試験による血糖降下率の測定は公知 の方法により行うことができるが、好ましい方法を以下に示す。
[0173] 例えば、 11週齢の雄性マウス(KKAy/Ta)の 6匹を 1群として試験に用いる。そし て、コントロールとして処置前の血糖値を測定するため、尾部から採血しておく。採血 後に、ビグアナイド誘導体を適切な濃度で 0. 5%CMC-Na (Sodium Carboxym ethyl Cellulose)液に溶解し、 lOmLZkgの用量で経口投与する。また、対照とし て溶媒のみを投与したマウスを準備する。薬物投与の 1時間、 2時間、 4時間、 6時間 後に、血糖値を測定するため尾部力、ら採血する。血糖値はグルコース CII—テストヮ コー (和光純薬株式会社製)を用いて測定する。
また、血糖降下率は次式により求める。
[0174] 血糖降下率(%) = [ (対照群の血糖値の AUC_化合物投与群の血糖値の AUC) /対照群の血糖値の AUC] X 100
ここで、血糖値の AUCとは、薬物投与後の血糖値変化を時間に対してプロットした グラフにおいて、グノレコース値 0をベースラインとして薬物投与 6時間後までの面積を 表す。具体的には、 A =薬物投与前の血糖値、 B =薬物投与 1時間後の血糖値、 C =薬物投与 2時間後の血糖値、 D =薬物投与 4時間後の血糖値、 E =薬物投与 6時 間後の血糖値としたとき、血糖値の AUCは以下の式:
血糖値の AUC = 1 X ( (A+B) /2) + l X ( (B + C) /2) + 2 X ( (C + D) /2) + 2 X ( (D + E) /2)
カゝら求めることができる。
[0175] この血糖降下率が約 45%である場合、正常マウスの血糖値とほぼ同じレベルに血 糖値が低下する。
[0176] また、インスリン感受性増強作用の強さは、インスリン抵抗性を示す糖尿病モデル 動物である db/dbマウス(日本臨床 60卷、増刊号 8、 38— 44、 (2002) )に薬物を 投与した時の血糖降下率によって評価することもできる。 db/dbマウスを用いた経口 投与の糖負荷試験においては、 dbZdbマウスの血糖値を約 50%抑制すると正常マ ウスの血糖上昇とほぼ同じになることから、血糖降下率が 40%以上であることが好ま しぐさらに 50%以上であることがより好ましい。
[0177] dbZdbマウスを用いた経口投与の糖負荷試験による血糖降下率の測定は公知の 方法により行うことができるが、好ましい方法を以下に示す。すなわち、先ず、 11〜1
7週齢の雌性マウス(C57BLKS/J— m+/ + Leprく db > (db/db) )を 18〜24 時間絶食させる。このとき、 5〜6匹を 1群として試験に用いる。コントロールとして処置 前の血糖値を測定するため、尾部から採血しておく。採血後に、ビグアニド誘導体を 適切な濃度でリン酸バッファー生理食塩液に溶解し、 5mlZkgの用量で皮下投与す る。また、対照として溶媒のみを投与したマウスを準備する。更に、化合物あるいは溶 媒投与の 30分後に、グノレコースを 3gZ6ml/kgの用量で経口投与し、経口糖負荷 試験を実施する。グルコース投与の 30分、 1時間、 2時間後に、血糖値を測定するた め、尾部より採血する。血糖値は新ブラッド 'シュガーテスト(ロシュ'ダイァグノステイク ス株式会社製)、またはグノレコース CII一テストヮコー(和光純薬工業株式会社製)を 用いて測定する。
[0178] そして、血糖降下率は以下の式より求める。
[0179] 血糖降下率(%) = [ (溶媒投与群の血糖上昇値の AUC—化合物投与群の血糖上 昇値の AUC) /溶媒投与群の血糖上昇値の AUC] X 100
ここで、血糖上昇値の AUCとは、グノレコース投与後の血糖値変化を時間に対して プロットしたグラフにぉレ、て、グルコース投与前の血糖値をベースラインとしてダルコ ース投与 2時間後までの増加部分の面積を表す。具体的には、 A=グルコース投与 前の血糖値、 B =グルコース投与 30分後の血糖値、 C =グルコース投与 1時間後の 血糖値、 D =グルコース投与 2時間後の血糖値としたとき、血糖上昇値の AUCは、 以下の式:
血糖上昇値の AUC = 0. 5 X ( (A + B) /2-A) + 0. 5 X ( (B + C) /2—A) + 1 X ( (C + D) /2 - A)
力、ら求めることができる。
[0180] なお、経口糖負荷試験による血糖降下率および血中乳酸値の測定は公知の方法 により行うことができ、前者の測定は前述の方法により行うことができる。また、後者の 測定は以下の方法により好適に行うことができる。すなわち、まず、 11〜: 17週齢の雌 性マウス(C57BLKSZj_m + / + Leprく db > (db/db) )を 18〜24時間絶食さ せる。このとき、 5〜6匹を 1群として試験に用いる。コントロールとして処置前の血中 乳酸値を測定するため、尾部から採血しておく。採血後に、ビグアニド誘導体を適切
な濃度でリン酸バッファー生理食塩液に溶解し、 5ml/kgの用量で皮下投与する。 また、対照として溶媒のみを投与したマウスを準備する。更に、化合物あるいは溶媒 投与の 30分後に、グノレコースを 3g/6ml/kgの用量で経口投与し、経口糖負荷試 験を実施する。グルコース投与の 30分、 1時間、 2時間後に、血中乳酸値を測定する ため、尾部より採血する。血中乳酸値は、「ァス力'シグマ」(シグマ'ダイァグノステイク ス株式会社製)を用いて測定することができる。
[0181] そして、血中乳酸値上昇率は、以下の式:
血中乳酸値上昇率(%) = [ (化合物投与群の血中乳酸値の AUC—溶媒投与群の 血中乳酸値の AUC)Z溶媒投与群の血中乳酸値の AUC] X 100
力 求められる。
[0182] ここで、血中乳酸値の AUCとは、グノレコース投与後の血中乳酸値変化を時間に対 してプロットしたグラフにおいて、グルコース投与 2時間後までの面積を表す。具体的 には、 £ =グノレコース投与前の血中乳酸値、 F =グルコース投与 30分後の血中乳酸 値、 G =グルコース投与 1時間後の血中乳酸値、 H =グルコース投与 2時間後の血 中乳酸値としたとき、血中乳酸値の AUCは、以下の式:
血中乳酸値の AUC = 0. 5 X (E + F) /2 + 0. 5 X (F + G) /2 + 1 X (G + H) /2 カゝら求めることができる。
[0183] (改変体設計)
本明細書において、改変体分子の設計は、変異前のタンパク質またはポリペプチド 分子 (例えば、野生型分子 (例えば、 PPAR) )のアミノ酸配列および立体構造を解析 することによって、各アミノ酸がどのような特性 (例えば、触媒活性、他の分子との相 互作用など)を担うかを予測し、所望の特性の改変 (例えば、触媒活性の向上、タン パク質の安定性の向上など)をもたらすために適切なアミノ酸変異を算出することによ り行われる。設計の方法は、好ましくはコンピューターを用いて行われる。このような 設計方法で用いられるコンピューターのプログラムの例としては、本明細書において 言及されるように、以下が挙げられる:構造を解析するプログラムとして、 X線回折デ ータの処理プログラムである DENZO (マックサイエンス);位相を決定するための処 理プログラムとして、 PHASES (Univ. of Pennsylvania, PA、 USA);初期位相
の改良のためのプログラムとして、プログラム DM (CCP4パッケージ、 SERC) ; 3次 元グラフィックスを得るためのプログラムとしてプログラム〇(Uppsala Universitet, Uppsala,スウェーデン);立体構造精密化プログラムとして、 XPLOR (Yale Unive rsity、 CT、 USA);そして、変異導入モデリングのためのプログラムとして、 Swiss— PDBViewer0
[0184] 本発明では、本発明の開示をもとに、コンピュータモデリングによる薬物(例えば、ィ ンヒビター、活性化剤など)が提供されることも企図される。
[0185] 本発明では、コンピュータモデリングを行うためのコンピュータープログラムもまた、 フラグメントまたは化学物質を選択するプロセスにおいて使用され得る。このようなプ ログラムとしては、以下が挙げられる。
[0186] 1. GRID (P. J. Goodford, 「A Computational Procedure tor Determini ng Energetically Favorable Binding Sites on Biologically Important MacromoleculesJ , J. Med. Chem. , 28, 849— 857頁(1985) )。 GRIDは、
Oxford University, Oxford, UKから入手可能である。
[0187] 2. MCSS (A. Mirankerら, 「Functionality Maps of Binding Sites : A
Multiple Copy simultaneous Search MethodJ Proteins : Structure, F unction and Genetics, 11 , 29— 34頁(1991) )。 MCSSは、 Molecular Sim ulations, San Diego, CAから入手可能である。
[0188] 3· AUTOD〇CK (D. S. Goodsellら, 「Automated Docking of substrates to Proteins by simulated AnnealingJ , Proteins : Structure, Function
, and Genetics, 8, 195— 202頁(1990) )。 AUTODOCKは、 Scripps Resea rch Institute, La Jolla, CAから入手可能である。
[0189] 4. DOCK (I. D. Kuntzら, 「A Geometric Approach to Macromolecule
-Ligand InteractionsJ , J. Mol. Biol. , 161 , 269— 288頁(1982) )。 DOCK は、 University of California, San Francisco, CA力ら入手可肯である。
[0190] 一旦、適切な候補化合物 (化合物種)が選択されると、それらは、単一化合物また は PPARとの複合体にアセンブリすることができる。構築に先だって、 PPARまたはそ の調節薬剤の構造座標に関連してコンピューター画面上に表示される 3次元ィメー
ジ上で、互いのフラグメントの関連性の視覚的検査が行われ得る。これに続き、 Qua ntaまたは Sybyl [Tripos Associates, St. Louis, MO]のようなソフトウェアを用 レ、るマニュアルでのモデル構築が行われる。
[0191] 個々の化学物質を連結させる際に使用され得る有用なプログラムは、以下を含む。
[0192] 1. CAVEAT (P. A. Bartlettら、「CAVEAT : A Program to Facilitate th e Structure― Derived Design of Biologically Active MoleculesJ (Mol ecular Recognition in Chemical and Biological Problems, Special Pu b. , Royal Chem. Soc. , 78, 182— 196頁(1989) ); G, Lauriおよび P. A. Ba rtlett, 「CAVEAT : a Program to Facilitate the Design of Organic M olecules」, J. Comput. Aided Mol. Des., 8, 51—66頁(1994) )。 CAVEAT は、 University of California, Berkeley, CAから入手可能である。
[0193] 2. ISIS (MDL Information Systems, San Leandro, CA)のような 3Dデー タベースシステム。この分野は、 Y. C. Martin, 「3D Database Searching in Drug Designj , J. Med. Chem. , 35, 2145— 2154頁(1992)におレヽて概説さ れる。
[0194] 3. Η〇ΟΚ (Μ· B. Eisenら, 「HO〇K : A Program for Finding Novel Mo lecular Architectures that Satisfy the Chemical and Steric Require ments of a Macromolecule Binding Site」 , Proteins : Struct. , Funct. , Genet. , 19, 199— 221頁(1994) )。 HOOKは、 Molecular Simulations, Sa n Diego, CAから入手可能である。
[0195] 上記のように一度に 1つの化学物質を段階的様式で PPARのインヒビターなどとし て構築することを進める代わりに、阻害性または他の PPARの結合化合物は、空の 結合部位を使用し、または必要に応じていくつかの既知のインヒビターの部分を含め るなどにより、グローバルでまたはデノボで設計され得る。多くの新規リガンド設計方 法としては、例えば、以下を挙げることができるがそれらに限定されない。
[0196] 1. LUDI (H. -J. Bohm, 「The Computer Program LUDI : A New Met hod for the De Novo Design oi Enzyme InhibitorsJ, J. Comp. Aid. Molec. Design, 6 61— 78頁(1992) )。 LUDIは、 Molecular Simulations I
ncorporated, San Diego, CA力ら入手可食である。
[0197] 2. LEGEND (Y. Nishibataら, Tetrahedron, 47, 8985頁(1991) )。 LEGEN Dは、 Molecular Simulations Incorporated, San Diego, CA力ら入手ロ了食^ である。
[0198] 3. LeapFrog (Tripos Associates, St. Louis, M〇から入手可能である)。
[0199] 4. SPROUT (V. Gilletら, 「SPROUT : A Program for Structure Genera tion」, J. Comput. Aided Mol. Design, 7, 127— 153頁(1993) )。 SPROUT は、 University of Leeds, UKから入手可能である。
[0200] 他の分子モデリング技術もまた、本発明に従って使用され得る [例えば、 N. C. Co henら, 「Molecular Modeling Software and Methods tor Medicinal C hemistryj , J. Med. Chem., 33, 883— 894頁(1990)を参照のこと; M. A. Na viaおよび M. A. Murcko, 「The Use of Structural Information in Drug DesignJ , Current Opinions in Structural Biology, 2, 202— 210頁 (19 92)もまた参照のこと; L. M. Balbesら, 「A Perspective of Modern Method s in Computer— Aided Drug DesignJ , (Reviews in Computational C hemistry, vol. 5, K. B. Lipkowitzおよび D. B. Boyd編, VCH, New York, 3 37— 380頁(1994) ) ;W. C. Guida, 「Software For Structure - Based Dm g DesignJ , Curr. Opin. Struct. Biology. , 4, 777— 781頁(1994) ]。
[0201] 一旦上記の方法により化合物が設計されるかまたは選択されると、その物質が PP ARに結合し得る効率が、計算による評価により試験され、そして最適化され得る。例 えば、有効な PPARインヒビターは、好ましくは、その結合状態と遊離状態との間に 相対的に小さなエネルギー差 (すなわち、結合の小さな変形エネルギー)を示さなけ ればならなレ、。 PPARインヒビターは、全結合エネルギーにおいて類似する 2つ以上 のコンフオメーシヨンで結合ポケットと相互作用し得る。これらの場合、結合の変形ェ ネルギ一は、遊離物質のエネルギーとインヒビターがタンパク質に結合するとき観察 されるこれらのコンフオメーシヨンの平均エネルギーとの間の差であると考えられる。
[0202] PPARに結合するとして設計または選択される物質は、その結合状態において、好 ましくは、標的酵素および周囲の水分子との静電的斥力相互作用がないように、計
算によりさらに最適化され得る。このような非相補的静電的相互作用は、電荷 電荷 斥力相互作用、双極子一双極子斥力相互作用および電荷一双極子斥力相互作用 を含む。
[0203] 特定のコンピューターソフトウェアは、化合物変形エネルギーおよび静電的相互作 用を評価する分野において入手可能である。このような使用のために設計されたプロ グラムの例として、以下が挙げられる: Gaussian 94, revision C (M. J. Frisch, Gaussian, Inc. , Pittsburgh, PA 1995); AMBER, version 4. 1 (P. A. Kol lman, University of California at San Francisco, 1995); QUANTA/ CHARMM (Molecular Simulations, Inc., San Diego, CA 1995) ; Insigh t Il/Discover, (Molecular Simulations, Inc. , San Diego, CA 1995); DelPhi (Molecular Simulations, Inc., San Diego, CA 1995) ;および AM SOL (Quantum Chemistry Program Exchange, Indiana University)。こ れらのプログラムは、例えば、 Silicon Graphicsワークステーション(例えば、「IMP ACT」グラフィクスを備える Indigo2)を用いて実行され得る。他のハードウェアシステ ムおよびソフトウェアパッケージもまた、当業者に公知である。
[0204] 本発明により可能な別のアプローチは、 PPARに全体または部分的に結合し得る 化学物質または化合物についての低分子データベースの計算的なスクリーニングで ある。このスクリーニングにおいて、結合部位へのこのような物質の適合の質は、形状 的相補性または見積もられた相互作用エネルギーのいずれかにより判定され得る [E . C. Mengら, J. Comp. Chem. , 16, 505— 524頁(1992) ]。
[0205] 本明細書において、「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法によ り、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および Ζまたは性質を有する他の核 酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、 BLAST (Altschul et al . , J. Mol. Biol. 215 : 403-410 (1990) ) , FASTA(Pearson & Lipman, Pr oc. Natl. Acad. Sci., USA 85 : 2444— 2448 (1988) )、 Smith and Water man法(Smith and Waterman, J. Mol. Biol. 147 : 195— 197 (1981) )、およ び Needleman and Wunsch法 (Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48 : 443— 453 (1970) )などが挙げられるがそれらに限定されなレ、。生物学的な検索と
しては、ストリンジェントハイブリダィゼーシヨン、ゲノム DNAをナイロンメンブレン等に 貝占り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ(マイクロアレイアツ セィ)、 PCRおよび in situハイブリダィゼーシヨンなどが挙げられるがそれらに限定 されなレ、。本明細書において、本発明において使用される PPARには、このような電 子的検索、生物学的検索によって同定された対応遺伝子も含まれるべきであること が意図される。
本明細書にぉレ、て配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「 類似性」のパーセンテージは、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列 2つを 比較することによって求められる。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配 列の比較ウィンドウ内の部分には、 2つの配列の最適なァライメントについての基準 配列(他の配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準 配列は付加も欠失もなレ、ものとする)と比較したときに、付加または欠失 (すなわちギ ヤップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列 にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッチ位置 の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に 100を掛けて同一性のパ 一センテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については、従来 技術において周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適 当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、 TBLA STN、 BLASTP、 FASTA、 TFASTAおよび CLUSTALW (Pearson and Lip man, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (8) : 2444 - 2448, Altschul et al. , 1990, J. Mol. Biol. 215 (3) : 403 -410, Thompson et al. , 199 4, Nucleic Acids Res. 22 (2) : 4673— 4680、 Higgins et al., 1996, Met hods Enzymol. 266 : 383— 402、 Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 21 5 (3) : 403 -410, Altschul et al. , 1993, Nature Genetics 3 : 266 - 272 )があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好ましい実施形態では、 従来技術において周知の Basic Local Alignment Search Tool (BLAST) ( たとえば、 Kariin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 : 22 67 - 2268, Altschul et al. , 1990, J. Mol. Biol. 215 : 403— 410、 Altschul
et al. , 1993, Nature Genetics 3 : 266— 272、 Altschul et al. , 1997, Nuc. Acids Res. 25 : 3389— 3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸 配列の相同性を評価する。特に、 5つの専用 BLASTプログラムを用いて以下の作業 を実施することによって比較または検索が達成され得る。
[0207] (1) BLASTPおよび BLAST3でアミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列データ ベースと比較;
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比 較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を 6つの読み枠で変換し た概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を 6つの読み枠(両方の鎖)すべてで 変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を 6つの読み枠で変換したものを、 6 つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
[0208] BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ましくはタ ンパク質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被検配列との 間で、「ハイスコアセグメント対」と呼ばれる類似のセグメントを特定することによって相 同配列を同定するものである。ハイスコアセグメント対は、多くのものが従来技術にお いて周知のスコアリングマトリックスによって同定(すなわち整歹 1J化)されると好ましい。 好ましくは、スコアリングマトリックスとして BLOSUM62マトリックス(Gonnet et al. , 1992, Science 256: 1443— 1445、 Henikoff and Henikoff, 1993, Prot eins 17 : 49— 61)を使用する。このマトリックスほど好ましいものではなレ、が、 PAM または PAM250マトリックスも使用できる(たとえば、 Schwartz and Dayhoff, ed s. , 1978, Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlas of Protein Sequence and Structure, Washington: National Biomedical Research Foundationを参照のこと)。 BLASTプログラムは、同定されたすベての ハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し、好ましくはユーザー固有の相同 率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値レベルを満たすセグメントを選択す
る。統計的な有意性を求める Karlinの式を用いてハイスコアセグメント対の統計的な 有意性を評価すると好ましい(Karlin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA 87 : 2267— 2268参照のこと)。
[0209] 本明細書において使用される核酸分子は、発現されるポリペプチドが天然型のポリ ペプチドと実質的に同一の活性を有する限り、上述のようにその核酸の配列の一部 が欠失または他の塩基により置換されていてもよぐあるいは他の核酸配列が一部揷 入されていてもよい。あるいは、 5 '末端および Zまたは 3 '末端に他の核酸が結合し ていてもよい。また、ストリンジヱントな条件下でハイブリダィズし、実質的に同一の機 能 (本発明においてはプロモーター活性)を有する核酸分子でもよい。
[0210] 本明細書中で使用される「化合物」は、任意の識別可能な化学物質または分子を 意味し、これらには、低分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、または核酸が 挙げられるが、これらに限定されず、そしてこのような化合物は、天然物または合成物 であり得る。
[0211] 本明細書において「有機低分子」とは、有機分子であって、比較的分子量が小さな ものをいう。通常有機低分子は、分子量が約 1000以下のものをいうが、それ以上の ものであってもよい。有機低分子は、通常当該分野において公知の方法を用いるか それらを組み合わせて合成することができる。そのような有機低分子は、生物に生産 させてもよい。有機低分子としては、例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有 機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低 分子 (例えば、低分子リガンドなど)などが挙げられるがそれらに限定されなレ、。
[0212] 本発明で用いられる細胞としては、脂肪細胞を有する生物である限りどの生物 (例 えば、哺乳動物 (例えば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫 類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類
、ゥサギ目など)など)由来の細胞を用いることができる。 1つの実施形態では、霊長 類(たとえば、チンパンジー、二ホンザル、ヒト)由来の細胞、特にヒト由来の細胞が用 レ、られるがそれに限定されない。また、そのような細胞は、脂肪細胞を含む付着細胞 、浮遊細胞、組織形成細胞およびそれらの混合物などであり得る。
[0213] 本明細書において「組織」(tissue)とは、多細胞生物において、実質的に同一の
機能および/または形態をもつ細胞集団をいう。通常「組織」は、同じ起源を有する 力 異なる起源を持つ細胞集団であっても、同一の機能および/または形態を有す るのであれば、組織と呼ばれ得る。通常、組織は、臓器の一部を構成する。動物の組 織は,形態的、機能的または発生的根拠に基づき、上皮組織、結合組織、筋肉組織 、神経組織などに区別される。本発明では特に、脂肪組織がその対象として使用さ れる。
[0214] 本発明において、 S蔵器が対象とされる場合、そのような臓器はどのような臓器でもよ ぐまた本発明が対象とする組織または細胞は、生物のどの臓器または器官に由来 するものでもよレ、。本明細書において「臓器」または「器官」とは、互換可能に用いら れ、生物個体のある機能が個体内の特定の部分に局在して営まれ,かつその部分 が形態的に独立性をもっている構造体をいう。一般に多細胞生物(例えば、動物、植 物)では器官は特定の空間的配置をもついくつかの組織からなり、組織は多数の細 胞カ なる。そのような臓器または器官としては、脂肪組織に関連する臓器または器 官が挙げられる。 1つの実施形態では、本発明が対象とする臓器は、脂肪組織を有 する内臓 (例えば、腹部、肝臓など)などが挙げられるがそれらに限定されない。
[0215] 本明細書において「生物体」は、生命体として存在し得る 1個の個体として存在し得 る生物の一形態をいう。
[0216] 本明細書中で使用する「脂肪細胞」とは、脂肪組織を構成する主要成分である細 胞をいう。この細胞の特徴は、組織間に散在、または疎性結合組織の一つとして毛 細血管の走行に沿う集団として脂肪組織を形成する多量の脂肪を含むことなどが挙 げられる。細胞内の脂肪ははじめレ、くつかの微小滴として現われ、しだいに大きくなり 、一つに融合してついには細胞体の大部を占める。細胞内の脂肪はスダン IIIまたは 四酸化オスミウムにより容易に検出される。脂肪細胞には、白色脂肪細胞および褐色 脂肪細胞がある。脂肪細胞を識別するための方法は、当該分野において公知であり 、例えば、上記脂肪の検出、脂肪細胞分化マーカーの発現、脂肪細胞特異的サイト 力インの発現などを挙げることができるがそれらに限定されない。
[0217] 本明細書において「脂肪組織」とは、結合組織の一種で、脂質を貯蔵する点で特徴 的であり、この他にも種々の重要な機能を有する組織である。脂肪組織には、脂肪が
蓄積される。脂肪組織中の脂肪細胞は、格子繊維によって囲まれ、細胞間に毛細血 管が密に分布する。他の組織力 独立してほぼ一定した塊状もしくは房状の脂肪組 織を形成している場合、脂肪体という。脂肪組織は、例えば、腹部、骨格筋、臀部、 胸部、内臓などにおいて発達する。
[0218] 本発明において、脂肪特異的に発現または抑制するように遺伝子が導入される場 合に使用される脂肪細胞は、種々の生物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ゥサギ、モル モット、ブタ、ゥシなど)から単離された培養細胞であってもよいし、生体内に存在する 細胞であってもよい。
[0219] 本明細書において「脂肪」とは、脂肪酸のグリセリンエステルで常温で固体のものを レ、い、本明細書ではときに、脂肪組織または脂肪細胞と同義で用いられ得る。
[0220] ある組織、細胞などに対して、「特異的に送達」するための手段は、当該分野にお いて公知の DDS技術を利用して実現することができる。そのような脂肪への特異的 な送達方法としては、例えば、脂肪に特異的に発現する表面マーカーに対して特異 的な抗体を本発明の阻害剤に結合させる方法、脂肪細胞特異的なプロモーターを 用いた発現制御などを挙げることができるがそれらに限定されなレ、。そのような技 テ は、例えば、新'ドラッグデリバリーシステム、監修:永井恒司シーエムシー、 2000な どに記載されている。
[0221] 本明細書において「診断、予防、処置または予後上有効な量」とは、それぞれ、診 断、予防、処置 (または治療)または予後において、医療上有効であると認められる 程度の量をいう。このような量は、当該分野において周知の技法を用いて当業者が 種々のパラメータを参酌しながら決定することができる。
[0222] 本発明のペプチドが医薬として使用される場合、そのような組成物は、薬学的に受 容可能なキヤリァなどをさらに含み得る。本発明の医薬に含まれる薬学的に受容可 能なキャリアとしては、当該分野において公知の任意の物質が挙げられる。
[0223] 本明細書において使用されるキャリアは、薬学的に受容可能であることが好ましぐ そのようなキャリアとしては、抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳 化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤お よび/または薬学的アジュバントが挙げられるがそれらに限定されなレ、。代表的には
、本発明の医薬は、本発明のペプチド、またはその改変体もしくは誘導体を、 1っ以 上の生理的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤とともに含む組成物の形態 で投与される。例えば、適切なビヒクルは、注射用水、生理的溶液、または人工脳脊 髄液であり得、これらには、非経口送達のための組成物に一般的な他の物質を補充 することが可能である。
[0224] 本明細書で使用される受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤は、レシピエン トに対して非毒性であり、そして好ましくは、使用される投薬量および濃度において不 活性であり、例えば、リン酸塩、クェン酸塩、または他の有機酸;ァスコルビン酸、 ひ —トコフエロール;低分子量ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラ チンまたは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビュルピロリドン);アミノ酸( 例えば、グリシン、グノレタミン、ァスパラギン、アルギニンまたはリジン);モノサッカリド、 ジサッカリドおよび他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む) ;キレート剤(例えば、 EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトー ノレ);塩形成対イオン (例えば、ナトリウム);ならびに/あるいは非イオン性表面活性 化剤(例えば、 Tween、プル口ニック(pluronic)またはポリエチレングリコール(PEG ) )などが挙げられるがそれらに限定されなレ、。
[0225] さらなる例示の適切なキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、または血清アル ブミンと混合された生理食塩水が挙げられる。好ましくは、その生成物は、適切な賦 形剤(例えば、スクロース)を用いて凍結乾燥剤として処方される。他の標準的なキヤ リア、希釈剤および賦形剤は所望に応じて含まれ得る。他の例示的な組成物は、 pH 7. 0- 8. 5の Tris緩衝剤または ρΗ4· 0- 5. 5の酢酸緩衝剤を含み、これらは、さら に、ソルビトールまたはその適切な代替物を含み得る。
[0226] 以下に本発明の医薬組成物の一般的な調製法を示す。なお、動物薬組成物、医 薬部外品、水産薬組成物、食品組成物および化粧品組成物等についても公知の調 製法により製造することができる。
[0227] 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドなどは、薬学的に受容可能なキャリアと配 合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、座剤等の固形製剤、またはシロップ 剤、注射剤、懸濁剤、溶液剤、スプレー剤等の液状製剤として経口または非経口的
に投与することができる。薬学的に受容可能なキャリアとしては、上述のように、固形 製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、崩壊阻害剤、吸収促進剤、吸着剤
、保湿剤、溶解補助剤、安定化剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤 、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じ、防腐剤、抗酸化 剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることができる。また、本発明の組成物に は本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドなど以外の物質を配合することも可能であ る。非経口の投与経路としては、静脈内注射、筋肉内注射、経鼻、直腸、膣および経 皮等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0228] 固形製剤における賦形剤としては、例えば、グルコース、ラタトース、スクロース、 D —マンニトール、結晶セルロース、デンプン、炭酸カルシウム、軽質無水ケィ酸、塩ィ匕 ナトリウム、カオリンおよび尿素等が挙げられる。
[0229] 固形製剤における滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン 酸カルシウム、ホウ酸末、コロイド状ケィ酸、タルクおよびポリエチレングリコール等が 挙げられるがそれらに限定されない。
[0230] 固形製剤における結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、白糖、 D—マンニトール、結晶セルロース、デキストリン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ ノレセノレロース、ヒドロキシプロピノレメチノレセノレロース、カノレボキシメチノレセノレロース、デ ンプン溶液、ゼラチン溶液、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、 およびシェラック等が挙げられる。
[0231] 固形製剤における崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース 、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カンテン末、ラミナラン末、クロスカルメロ一 スナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナ トリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリノレ 硫酸ナトリウム、デンプン、ステアリン酸モノグリセリド、ラタトースおよび繊維素グリコー ル酸カルシウム等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0232] 固形製剤における崩壊阻害剤の好ましい例としては、水素添加油、白糖、ステアリ ン、カカオ脂および硬化油等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0233] 固形製剤における吸収促進剤としては、例えば、第四級アンモニゥム塩基類および
ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0234] 固形製剤における吸着剤としては、例えば、デンプン、ラタトース、カオリン、ベント ナイトおよびコロイド状ケィ酸等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0235] 固形製剤における保湿剤としては、例えば、グリセリン、デンプン等が挙げられるが それらに限定されない。
[0236] 固形製剤における溶解補助剤としては、例えば、アルギニン、グノレタミン酸、ァスパ ラギン酸等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0237] 固形製剤における安定化剤としては、例えば、ヒト血清アルブミン、ラタトース等が挙 げられるがそれらに限定されない。
[0238] 固形製剤として錠剤、丸剤等を調製する際には、必要により胃溶性または腸溶性 物質(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル口 ースフタレート等)のフィルムで被覆していてもよい。錠剤には、必要に応じ通常の剤 皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング 錠あるいは二重錠、多層錠が含まれる。カプセル剤にはハードカプセルおよびソフト カプセルが含まれる。座剤の形態に成形する際には、上記に列挙した添加物以外に 、例えば、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、半合成グリセライド等を添 加することができるがそれらに限定されない。
[0239] 液状製剤における溶剤の好ましレ、例としては、注射用水、アルコール、プロピレング リコーノレ、マクロゴール、ゴマ油およびトウモロコシ油等が挙げられる。
[0240] 液状製剤における溶解補助剤の好ましレ、例としては、ポリエチレングリコール、プロ ピレンダリコール、 D—マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスァミノメタ ン、コレステロール、トリエタノールァミン、炭酸ナトリウムおよびクェン酸ナトリウム等が 挙げられるがそれらに限定されない。
[0241] 液状製剤における懸濁化剤の好ましい例としては、ステアリルトリエタノールァミン、 ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニゥム 、塩化べンゼトニゥム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤、例えば、ポリビニ ノレアルコール、ポリビュルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセ ノレロース、ヒドロキシメチノレセノレロース. ヒドロキシェチノレセノレロース、ヒドロキシェチノレ
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられるがそれ らに限定されない。
[0242] 液状製剤における等張化剤の好ましい例としては、塩ィ匕ナトリウム、グリセリン、 D - マンニトール等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0243] 液状製剤における緩衝剤の好ましレ、例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩および クェン酸塩等の緩衝液等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0244] 液状製剤における無痛化剤の好ましレ、例としては、ベンジノレアルコール、塩化ベン ザノレコニゥムおよび塩酸プロ力イン等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0245] 液状製剤における防腐剤の好ましレ、例としては、パラォキシ安息香酸エステル類、 クロロブタノ一ノレ、ペンジノレアノレコーノレ、 2 _フエニノレエチノレアノレコーノレ、デヒドロ酢酸 、ソルビン酸等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0246] 液状製剤における抗酸化剤の好ましい例としては、亜硫酸塩、ァスコルビン酸、 ひ トコフエロールおよびシスティン等が挙げられるがそれらに限定されない。
[0247] 注射剤として調製する際には、液剤および懸濁剤は殺菌され、かっ血液と等張で あることが好ましい。通常、これらは、細菌保留フィルタ一等を用いるろ過、殺菌剤の 配合または照射によって無菌化する。さらにこれらの処理後、凍結乾燥等の方法によ り固形物とし、使用直前に無菌水または無菌の注射用希釈剤 (塩酸リドカイン水溶液 、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノールまたはこれらの混合溶液等)を添加しても よい。
[0248] さらに、必要ならば、医薬組成物は、着色料、保存剤、香料、矯味矯臭剤、甘味料 等、ならびに他の薬剤を含んでいてもよい。
[0249] 本発明の医薬は、必要に応じて生理学的に受容可能なキャリア、賦型剤または安 定化剤(日本薬局方第 14版、その追補またはその最新版、 Remington' s Pharm aceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro, ed., Mack Publishin g Company, 1990などを参照)と、所望の程度の純度を有する糖鎖組成物とを混 合することによって、凍結乾燥されたケーキまたは水溶液の形態で調製され保存され 得る。
[0250] 本発明の組成物の投与すべき量は、使用目的、対象疾患 (種類、重篤度など)、患
者の年齢、体重、性別、既往歴、細胞の形態または種類などを考慮して、当業者が 容易に決定することができる。本発明の処置方法を被検体 (または患者)に対して施 す頻度もまた、使用目的、対象疾患 (種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、 既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。頻 度としては、例えば、毎日一数ケ月に 1回(例えば、 1週間に 1回 _ 1ヶ月に 1回)の投 与が挙げられる。 1週間 _ 1ヶ月に 1回の投与を、経過を見ながら施すことが好ましい
[0251] 本明細書において「患者」とは、本発明の処置が適用される生物をレ、い、「被検体」 または「被験体」ともいわれる。患者は好ましくは、ヒトであり得る。
[0252] 本発明は、患者への有効量の本発明の組成物の投与による処置、阻害および予 防の方法を提供する。好ましい局面において、本発明の組成物は実質的に精製され たものであり得る(例えば、その効果を制限する力、または望ましくない副作用を生じる 物質が実質的に存在しなレ、状態が挙げられる)。
[0253] 別の実施形態において、化合物または組成物は、小胞、特に、リボソーム中に封入 された状態で送達され得る(Langer, Science 249 : 1527 - 1533 (1990); Treat ら, Liposomes m the fherapy of Infectious Disease and し ancer, Lo pez— Beresteinおよび Fidler (編), Liss, New York, 353〜365頁(1989) ; Lo pez -Berestein, 同書 317〜327頁を参照のこと;広く同書を参照のこと)。
[0254] さらに別の実施形態において、化合物または組成物は、制御された徐放系中で送 達され得る。
[0255] 本明細書中、「投与する」とは、本発明の医薬などまたはそれを含む医薬組成物を 、単独で、または他の治療剤と組み合わせて処置が意図される宿主に与えることを意 味する。組み合わせは、例えば、混合物として同時に、別々であるが同時にもしくは 並行して;または逐次的にかのいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬 剤が、治療混合物としてともに投与される提示を含み、そして組み合わせた薬剤が、 別々であるが同時に(例えば、同じ個体へ別々の粘膜を通じての場合)投与される手 順もまた含む。 「組み合わせ」投与は、第 1に与えられ、続いて第 2に与えられる化合 物または薬剤のうちの 1つを別々に投与することをさらに含む。
[0256] 本発明における医薬の投与は、どのような手法を用いて行ってもよいが、好ましくは 、針無し注射を用いることが有利である。患者に過度の負担を与えることなく投与を 行えるからである。
[0257] ここで本発明における針無注射器とは、注射針を用いずに、ガス圧または弾性部 材の弾力によりピストンを移動させて薬液を皮膚に噴射し、薬剤成分を皮下、より好 ましくは皮下の細胞内に投与する医療機器を意味する。
[0258] 具体的には例えば、シマジェット™ (島津製作所製)、メディ 'ジヱクタ一 ビジョン( Medi-Jector Vision)™, (Elite medical社製)、ペンジェット(Penjet)™ (Pen Jet社製)などが市販されてレ、る。
[0259] (脂肪組織特異的な遺伝子導入/欠損)
脂肪組織で特異的に遺伝子を導入または欠損させるために、 aP2プロモーター作 動性の Creトランスジエニックマウスが広範に使用されている(Imai, T.ら、 Proc. Na tl. Acad. Sci. USA. 98, 224〜228 (2001)、 Bluher, M.ら、 Developmental Cell 3, 25〜38 (2002)および Barlow, C.ら、 Nuc. Acid Res. 25, 2543〜 2545 (1997) )。し力し、 aP2プロモーターは、マクロファージおよび脂肪細胞におい て活性化される(Fu, Y.ら、 Atherosclerosis 165, 259〜269 (2002) )。それゆ え、 aP2— Creマウスにおいて、レ、くらかの量の Cre導入遺伝子の発現が、マクロファ ージを含む他の組織 (例えば、脾臓、肺およびリンパ節)において生じる(Boord, J. B. , Fazio, S.および: Linton, M. F. Curr. Opin. Lipidol. 13, 141〜7 (2002) )。さらに、最近の研究は、蓄積脂肪中のマクロファージが肥満関連代謝疾患の発症 に重要な役割を果たすことが明らかになった(Boord, J. B. , Fazio, S.および Lint on, M. F. Curr. Opin. Lipidol. 13, 141〜7 (2002) )。これらの背景に基づレヽて 、脂肪細胞特異的な様式で Cre遺伝子を発現する Creトランスジエニックマウスが切 望されている。
[0260] アディポネクチン ZACRP30は、ヒト cDNAプロジェクトにおける脂肪特異的な遺 伝子のスクリーニングによって本発明者らが同定した、脂肪由来のホルモンである( Maeda, K.ら、 Biochem. Biophys. Res. Commun. 221 , 286〜289 (1996) ) 。アディポネクチンは、脂肪細胞において非常に高発現である、 adipose most ab
undant gene 1 (apMl)として最初に発見された。アディポネクチン mRNAは、ヒ ト、サルおよびマウスの分化した脂肪細胞および脂肪組織において独占的に発現す る(Maeda, N.ら、 Nature Med. 8, 731〜737 (2002) )。マクロファージを含む 他の型の細胞において、アディポネクチン mRNAの発現は検出されなレ、。それゆえ 、本発明者らは、完全に脂肪細胞特異的なトランスジエニックマウスを得るためには、 アディポネクチンプロモーターが理想的であると考えた。
[0261] 本発明者らは、アディポネクチンプロモーター作動性の Creトランスジヱニックマウス を作製し、 PPARf°lx/il°xマウスと交配した。アディポネクチン一 Cre/PPARf°lx/fl°xは 、 PPAR発現を細胞組織特異的に欠き、そして脂肪組織における Akt情報伝達の刺 激作用を示し、結果としてインスリン感受性を増加した。非常に興味深レ、ことに、脂肪 PPAR欠損は、蓄積脂肪におけるミトコンドリア生合成を著しく誘導し、エネルギー支 出を増加し、そして、これらの変化は、摂食亢進にも関わらず、体重および脂肪重量 の有意な減少を伴った。本発明者らの生理学的実験はまた、 PPAR力 Sインスリン媒 介性の情報伝達を負に調節するだけでなぐ脂肪細胞におけるミトコンドリア関連遺 伝子をダウンレギュレートすることによって熱産生を抑制することもまた示唆した。本 発明者らのデータは、脂肪細胞における PPARの抑制力 エネルギー支出およびィ ンスリン感受性を増強することによって、肥満および 2型糖尿病を処置するための治 療ストラテジーとなる。
[0262] (脂肪特異的なプロモーター)
本発明者らは、これまでに、アディポネクチンのプロモーター領域について検討し た結果、プロモーター領域開始点から約 2kb上流までの領域から、脂肪細胞におい て特異的に発現し、かつ他の細胞における非特異的発現がほとんどない脂肪組織 特異的プロモーター(アディポネクチン 2kbプロモーター)を取得することに成功して レヽる。 (Shimomuraら, Diabetes 52: 1655— 1663 (2003) )。さらに今回、アディ ポネクチンのプロモーター領域について、ヒトとマウスとの間で相同性が非常に高レ、、 プロモーター領域開始点から 3600塩基の DNA配列をクローユングし解析した結果 、この領域を含む配列が、上述のアディポネクチン 2kbプロモーターを凌ぐ活性およ び脂肪細胞特異性を有するプロモーター活性を有することを発見した。この本発明
のアディポネクチン 3· 6kbプロモーターはまた、その特異性だけでなぐその活性に おいても、 AP— 2プロモーターを凌駕している。本発明は、このような脂肪特異的(好 ましくは、脂肪にのみ)に発現を誘導するプロモーターが単離されている。
[0263] 従って、本発明は、
(a)配列番号 10に示す配列を含むポリヌクレオチド、または配列番号 10の 1位〜 1 691位までの配列のいずれかの少なくとも一部を含有しかつ脂肪細胞特異的プロモ 一ター活性を有するそのフラグメントもしくは改変体;
(b) (a)と 80%以上の相同性を有し、かつ脂肪細胞特異的プロモーター活性を有 するポリヌクレオチド;および
(c) (a)または(b)のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダィズし、 かつ脂肪細胞特異的プロモーター活性を有する、ポリヌクレオチド、
力 なる群より選択される、ポリヌクレオチドを使用することができる。
[0264] 1つの実施形態において、本発明において使用されるポリヌクレオチドは、配列番 号 10に示す配列からなる。
[0265] 本発明は、上記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。 1つの実施形態にお いて、本発明のベクターには、脂肪細胞において発現させたい遺伝子が作動可能に 連結されている。ここで、本発明のベクターには、該遺伝子の 3 '側にポリ A配列をさら に含んでいてもよい。
[0266] 本発明はさらに、上記ポリヌクレオチド、および該ポリヌクレオチドに作動可能に連 結された Creリコンビナーゼ遺伝子を含む、脂肪細胞特異的 Cre発現ベクターを提 供する。 1つの実施形態において、本発明のベクターは、ウィルス由来ベクター(例え ば、アデノウイルス由来ベクターまたはレトロウイルス由来ベクター)である。好ましく は、このベクターは、ポリ A配列をさらに含む。
[0267] 本発明は、上記ベクターが導入された脂肪細胞;この脂肪細胞を含む脂肪組織;こ の脂肪細胞を含む非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ゥサギ、およびモルモットなど) を提供する。
[0268] 別の局面において、本発明は、有用な遺伝子を特異的に高発現する脂肪細胞を 生産する方法であって、本発明において使用されるベクターを脂肪細胞に導入する
工程、および該遺伝子を発現させる工程、を包含する、方法に関する。別の局面に おいて、本発明は、脂肪細胞において、 目的の遺伝子を特異的に産生する方法で あって、本発明において使用されるベクターを脂肪細胞に導入する工程、および該 遺伝子を発現させる工程、を包含する、方法に関する。ここで、 1つの実施形態にお いて、上記遺伝子の発現は、脂肪細胞以外の細胞(例えば、ヒト細胞、マウス細胞、 ラット細胞、ゥサギ細胞、およびモルモット細胞、好ましくはヒト細胞)においては抑制 される。
[0269] 別の局面において、本発明は、トランスジエニック非ヒト動物(例えば、マウス、ラット 、ゥサギ、およびモルモットなど、好ましくはマウスの作製方法であって、上記の脂肪 細胞特異的 Cre発現ベクターを導入する工程を包含する、方法、およびこの方法に よって作製されるトランスジエニック非ヒト動物を提供する。本発明はまた、脂肪細胞 における遺伝子の高発現を必要とするが、繊維芽細胞、表皮細胞、間質系細胞、ま たはマクロファージでの該遺伝子の発現が望まれない疾患を処置するための、上記 ポリヌクレオチドの使用に関する。
[0270] 本明細書にぉレ、て「アディポネクチン」 (adiponectin)とは、脂肪細胞で作られる分 泌タンパク質として同定されたタンパク質またはそれをコードする遺伝子をいう。アデ ィポネクチンは、 Aci"p30 (脂肪細胞補体関連 30kDaタンパク質 = adipocyte com plement— related protein of 30kDa)、ゼラチン結合タンパク質 (Gelatin— bi nding protein)、 Adipose most abundunt gene transcript l (apM— 1) 等の別名を有し、遺伝子名は APM1、 ACRP30、 GBP28として知られている。その mRNAは脂肪細胞分化の過程で 100倍以上誘導される。アディポネクチンはまた、 豊富に存在する血清タンパク質で、結果としてエネルギー '恒常性、肥満に影響を与 える。現在までに、インスリンの効果を高めて血糖値を下げる働きがあることが知られ ている。アディポネクチンは、 TNFひと構造的に非常に似ており、ヒト、マウスなどの 動物の様々な肥満形態において調節不能になることから、エネルギー ·恒常性に影 響を与える重要な分子として研究が進められている。
[0271] アディポネクチンは、 1996年、前田らによりヒト脂肪組織力 新たに分離された動 物脂肪組織特異的タンパク質であり、そのアミノ酸配列も明らかにされている。 (Mae
da K, et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 221 : 286 (1996) )。これと ほぼ同時期に他の研究グループにより、マウス 3T3— F442A細胞からクローニング された ACRP30と呼ばれる物質(Scherer PE et al. J. Biol. Chem. 270 : 267 46〜26749 (1995) )はアディポネクチンと同一物質と考えられている。このアディポ ネクチンは、脂肪組織のみならず、血中にも多量存在しており、正常ヒト血中には 5〜 10 z g/mlとレヽぅ高濃度で存在している(Arita Y et al, Biochem. Biophys. R es. Commun. 257 : 79〜83 (1999) )。また、このアディポネクチンは肥満が進む につれてパラドキシカルに血中濃度が低下する。
[0272] このアディポネクチンの作用については、これまでにいくつかの研究グループにより 血管平滑筋の増殖ならびに細胞遊走の抑制、抗動脈硬化作用、単球、マクロファー ジの活性化抑制、抗炎症作用、肝星細胞の活性化の抑制、細胞外マトリックス産生 の抑制、肝星細胞増殖の抑制、肝細胞増殖促進などが判明しているが、その作用の 全容については未だ明らかではない。
[0273] アディポネクチンは、ヒト脂肪組織特異的なコラーゲン様因子としても知られている 。その遺伝子は、 244のアミノ酸より構成されるタンパク質であることが知られている。 ヒトアディポネクチンタンパク質の核酸配列およびアミノ酸配列は、配列番号 11およ び 12に示されている。ヒトアディポネクチンの生理作用を検討する中で本発明者らは 、すでに、ヒトアディポネクチンが単球系の細胞および B細胞系の細胞の増殖を抑制 する現象を見出し、それら血球系細胞の増殖抑制剤として有効である事を示した。上 述したように、炎症時には単球、マクロファージ、好中球等の白血球系細胞が増殖し 、かつ集積する現象が見られる。アディポネクチンにより増殖が抑制される単球は、そ のような細胞性の生体防御反応において重要な役割を担っている細胞であり、成熟 すると貪食を担うマクロファージとなり、一方ではインターロイキン一 1、腫瘍壊死因子 ひなどの炎症性サイト力インを産生する。炎症反応の過程おいて、単球はそのように 重要性な働きをしており、アディポネクチンは単球の増殖を抑制して集積を防ぐこと により、抗炎症剤として用いることができる。
[0274] アディポネクチンはヒトを含む動物の脂肪組織で産生され、血中にも多量存在する タンパク質である。ヒトアディポネクチンについては、これをコードする cDNA力、ら遺伝
子組換え法により高純度に精製されたものが得られている(Arita, Y. et al. Bioch em. Biophys. Res. Commun. 257, 79〜83 ( 1999) )。マウス由来の ACRP30 も、前述のとおり組み換え遺伝子の手技により高純度のものが得られており、巿場で 入手可能である。
[0275] 本明細書にぉレ、て「アディポネクチンの生物学的活性」は、アディポネクチンが有す る少なくとも 1つの機能を包含し、例えば、血管内皮機能改善作用、血管平滑筋増殖 抑制作用、マクロファージ泡沫化抑制作用、炎症性サイト力イン分泌抑制作用、筋肉 細胞取り込み促進作用が挙げられるがそれらに限定されない。そのような生物学的 活性は、血管平滑筋細胞への [3H]チミジン取り込み、マクロファージ培養上清 TNF a分泌、筋肉細胞 [3H]デォキシグルコース取り込みなどによって測定することができ る。
[0276] 本発明のプロモーターは、脂肪細胞の機能をインビボで研究する上でも非常に有 用である。例えば、本発明のプロモーターを、 Cre— ΙοχΡ系と組み合わせて使用する ことで、脂肪細胞の機能をより正確に解析することが可能である。 Cre— ΙοχΡ系は、 C reリコンビナーゼとその認識配列である ΙοχΡ配列を利用した発現制御系である。 Cre リコンビナーゼは loxP配列を認識し、 ΙοχΡ配列に挟まれた遺伝子を切り出す。 Cre — ΙοχΡ系については、例えば、 Sternbergら, Proc Natl Acad Sci USA 75 : 5594— 5598 ( 1978) ; Mackら, Nucleic Acids Res 20 : 4451 -4455 ( 1992 ) ; Hoessら, J Mol Biol 216 : 873— 882 ( 1990) ; Dymeckiら, Gene targeti ng — a practical approach. 2nd Ed. Oxford University Press, Oxfo rd, pp. 37— 99 (2000);および Torresら, Oxford University Press, Oxford ( 1997)に記載されている。上述のように、本発明のプロモーターは、脂肪細胞にお レ、て高い活性を有し、かつ脂肪細胞以外の細胞における非特異性が実質的にない ので、脂肪細胞のみを標的とした Cre— loxP系を構築することができる。これによつ て、インビトロでは困難であった脂肪細胞の機能解析をインビボで実施することを可 能とし、脂肪細胞の機能解析の一層の前進に寄与するものと考えられる。従って、 1 つの局面において、本発明は、脂肪組織特異的 Cre発現ベクターを提供する。 1つ の実施形態において、ベクターはウィルス由来のベクターである。ウィルス由来べクタ
一は、例えば、レトロウイルスまたはアデノウイルス由来のベクターである。本発明の ベクターはまた、 Cre遺伝子の 3'側にポリ A配列を含み得る。
[0277] 本発明はまた、本発明のプロモーターを用いて、トランスジエニック動物を作製する 方法、およびこの方法によって作製されたトランスジヱニック動物を提供する。
[0278] トランスジヱニック動物の作製については、当該分野で種々の方法が知られている 。例えば、トランスジヱニックマウスの作製の場合、一般的な作製技術は、国際公開 WO01/ 13150 (Ludwig Inst. Cancer Res. )に記載されている。米国特許第 4 , 873, 191号(Wagnerら)は、哺乳動物接合体への DNAのマイクロインジヱクシヨン によって得られた、外因性 DNAを有する哺乳動物を教示している。さらに転位性遺 伝因子(トランスポゾン)を内因性 DNAに揷入あるいはさらに転位させることで、該 D NAの構造変化を起こしてこれを不活性化させ、動植物等の変異体を効率的に作出 する方法が研究されてきている。トランスポゾンを利用した、染色体への特定遺伝子 の導入 ·付加等が可能となってきている。
[0279] この他では、トランスジエニック動物を作り出すための様々な方法として、例えば、 M . Markkulaら, Rev. Reprod. , 1 , 97— 106 (1996); R. T. Wallら, J. Dairy S ci. , 80, 2213- 2224 (1997); J. C. Daltonら, Adv. Exp. Med. Biol. , 411 , 419-428 (1997);ぉよび H. Lubonら, Transfus. Med. Rev. , 10, 131— 143 (1996)に記載される方法などが挙げられるがそれらに限定されない。
[0280] さらに近年、胚性幹 (ES)細胞の相同組換えを介したトランスジヱニック(ノックアウト 、ノックインを含む)動物の作製が可能となってきている。高等生物では、例えば、ネ ォマイシン耐性遺伝子を用いる陽性選択および HSVのチミジンキナーゼ遺伝子また はジフテリア毒素遺伝子を用いる陰性選択により組換え体の効率的な選別が行われ る。 PCRまたはサザンブロット法によっても相同組換え体の選択が行われる。すなわ ち、標的遺伝子の一部を陽性選択用のネオマイシン耐性遺伝子等で置換し、その末 端に陰性選択用の HSVTK遺伝子等を連結したターグティングベクターを作成し、 エレクト口ポレーシヨンにより ES細胞に導入し、 G418およびガンシクロビルの存在下 で選択して、生じたコロニーを単離し、さらに PCRまたはサザンブロットにより相同組 換え体を選択する。
[0281] このようにして内在する標的遺伝子を置換または破壊して、機能が喪失した力また は変更された変異を有するトランスジエニック (標的遺伝子組換え)マウスを作製する 方法は、標的とした遺伝子だけに変異が導入されるので、その遺伝子機能の解析に 有用である。
[0282] 所望の相同組換え体を選択した後、得られた組換え ES細胞を胚盤注入法または 集合キメラ法により正常な胚と混合して ES細胞と宿主胚とのキメラマウスを作製する。 胚盤注入法では、 ES細胞を胚盤胞にガラスピペットで注入する。集合キメラ法では、 ES細胞の塊と透明帯を除去した 8細胞期の胚とを接着させる。 ES細胞を導入した胚 盤胞を偽妊娠させた代理母の子宮に移植してキメラマウスを得る。 ES細胞は、全能 性を有するので、生体内では、生殖細胞を含め、あらゆる種類の細胞に分化すること ができる。 ES細胞由来の生殖細胞を有するキメラマウスと正常マウスを交配させると ES細胞の染色体をへテロに有するマウスが得られ、このマウス同士を交配すると ES 細胞の改変染色体をホモに有するトランスジエニックマウスが得られる。得られたキメ ラマウスから改変染色体をホモに有するトランスジヱニックマウスを得るには、雄性キメ ラマウスと雌性野生型マウスとを交配して、 F1世代のへテロ接合体マウスを産出させ 、生まれた雄性および雌性のへテロ接合体マウスを交配して、 F2世代のホモ接合体 マウスを選択する。 F1および F2の各世代において所望の遺伝子変異が導入されて いるか否かは、組換え ES細胞のアツセィと同様に、サザンブロッテイング、 PCR、塩 基配列の解読など当該分野において慣用される方法を用いて分析され得る。
[0283] さらに近年、多様な遺伝子機能を選択的に解析する目的で、上記のような Cre— lo xPの部位特異的組み換えを併用する技術が注目されている。 Cre— ΙοχΡを用いるト ランスジヱニックマウスは、標的遺伝子の発現を阻害しない位置にネオマイシン耐性 遺伝子を導入し、ェキソンをはさむようにして ΙοχΡ配列を揷入したターグティングベタ ターを ES細胞に導入し、その後相同組換え体を単離する。この単離したクローンか らキメラマウスを得、遺伝子改変マウスが作製される。次に、大腸菌の P1ファージ由 来の部位特異的組換え酵素 Creを組織特異的に発現するトランスジェニックマウスと このマウスを交配させると、 Creを発現する組織中でのみ遺伝子が破壊される(ここで は、 Creは、 ΙοχΡ配列(34bp)を特異的に認識して、 2つの ΙοχΡ配列にはさまれた配
列で組換えを起こさせ、これが破壊される)。組織特異的なプロモーターに連結した
Cre遺伝子を有するトランスジヱニックマウスと交配させる力、または Cre遺伝子を有 するウィルスベクターを使用して、成体で Creを発現させることができる。上記のように 、本発明のプロモーターは、脂肪細胞特異的に遺伝子を高発現するので、本発明の プロモーターを用いれば、 Creを脂肪細胞特異的に発現させることが可能となる。従 つて、他の組織に影響を与えることなぐ脂肪細胞においてのみ標的遺伝子を破壊 または変異することが可能となる。これによつて、近年その重要性がますます注目さ れている脂肪細胞の機能解析に大きく寄与するものと考えられる。他の生物であって も、同様のメカニズムを用いてトランスジエニック生物を作製することができる。
[0284] 上述のように、本発明は、アディポネクチン由来の新規の脂肪細胞特異的プロモー ターを提供する。本発明のプロモーターにおいて使用される、配列番号 10 (ヒト)また は配列番号 13 (マウス)に示すポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを含む。本発 明はまた、配列番号 10または配列番号 13に示すポリヌクレオチドとストリンジェントな 条件下でハイブリダィズし、かつ脂肪細胞特異的プロモーター活性を有するポリヌク レオチドも包含する。ストリンジヱントな条件は、定義の節で既に説明している。本明 細書中には、配列番号 10 (ヒト)、配列番号 13 (マウス)などのアディポネクチンプロモ 一ター配列を提供している力 s、これらの配列の一部をプロモーターとして用いて、当 該分野で周知の技術を用いて取得することのできる他の種由来の配歹 IJもまた、本発 明における使用に含まれることが意図される。従って、本発明において使用されるポ リヌクレオチドは、その起源となった種に依存しない。
[0285] 本発明はまた、脂肪細胞特異的プロモーター活性を有する、配列番号 10、配列番 号 13などに示すポリヌクレオチドのフラグメントまたは改変体を利用することができる 。本発明のフラグメントまたは改変体の例としては、例えば、末端が短縮されたもの、 またはそのポリヌクレオチド配列中に 1つ以上の塩基の付加または欠失を有するもの が挙げられる。本発明のフラグメントまたは改変体力 S、配列番号 10、配列番号 13など に示すプロモーター配列と同等(またはそれ以上)の活性を有するか否かは、当業者 に公知の種々の方法によって決定できる。プロモーター活性を測定する方法として は、例えば、レポーター遺伝子を用いる方法が挙げられるがこれに限定されない)。
レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子が挙げられるがこれに限定されな レ、。ルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとして使用する場合、本発明のフラグメントま たは改変体およびルシフェラーゼ遺伝子を含むベクターを作製し、このベクターで細 胞をトランスフエタトし、発現したルシフェラーゼを細胞の溶解によって遊離させ、この 細胞溶解液にルシフェラーゼの基質を添加し、生じた発光をルミノメーターで測定す ることによって、プロモーター活性を測定することができる。そのフラグメントまたは改 変体が脂肪細胞特異的活性を有するか否かは、脂肪細胞とそれ以外の細胞を用い て同様の実験をし、プロモーター活性を比較すればよい。これらの技術を用いれば、 当業者は、脂肪細胞特異的プロモーター活性を有する本発明のプロモーターフラグ メントまたはプロモーター改変体を、過度の実験をせずに選択することができる。従つ て、このようなフラグメントまたは改変体もまた、本発明の範囲に含まれることが理解さ れる。
[0286] 本明細書において、「脂肪細胞特異的プロモーター活性」とは、上述のような、任意 の方法で活性を測定した場合に、脂肪細胞以外の細胞においては、プロモーターを 含まないベクターのみを用いた場合(すなわち、コントロール)の活性とほぼ同じであ る力またはそれ以下の活性しか示さなレ、が、脂肪細胞においては、検出可能に高い 活性を示すことを意味する。
[0287] 以下の実施例で実証されるように、本発明のプロモーターは、脂肪細胞において特 異的に高発現するだけでなぐ脂肪細胞以外の細胞においては、遺伝子の発現を抑 制するという驚くべき活性を有する。このような活性は、従来力 使用されている AP 2プロモーターでは見出されなかったものである。
[0288] 従って、 1つの局面において、本発明は、 目的の遺伝子を脂肪細胞において特異 的に高発現させる方法に関する。この方法は、本発明のベクターを脂肪細胞に導入 する工程、および該遺伝子を発現させる工程を包含する。この特異性の意味には、 脂肪細胞以外の細胞において発現が抑制されることも含まれる。本発明はまた、有 用な遺伝子を特異的に高発現する脂肪細胞を生産する方法に関する。この方法は、 この方法は、本発明のベクターを脂肪細胞に導入する工程、および該遺伝子を発現 させる工程を包含する。
[0289] 本発明はまた、本発明のプロモーターを含むベクターを提供する。 1つの実施形態 において、本発明のベクターは、本発明のプロモーター、およびこのプロモーターに 作動可能に連結された遺伝子を含む。この遺伝子は、脂肪細胞において特異的に 発現させたい遺伝子である。好ましい実施形態において、脂肪細胞において特異的 に発現させたい遺伝子とは、アディポサイト力イン遺伝子(特に、アディポネクチン遺 伝子)である。本発明のベクターはまた、 目的の遺伝子の 3 '側にポリ A配列を含み得 る。
[0290] 本発明はさらに、本発明のプロモーターを含む脂肪細胞を提供する。本明細書中 で使用する場合、用語「脂肪細胞」は、脂肪組織を構成する主要成分をいう。脂肪組 織とは、結合組織の一種で、脂質を貯蔵する点で特徴的であるが、発明の背景の節 で述べたように、その他にも種々の重要な機能を有する組織である。本発明のベクタ 一が導入される脂肪細胞は、種々の生物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ゥサギ、モル モット、ブタ、ゥシなど)から単離された培養細胞であってもよいし、生体内に存在する 細胞であってもよレ、。 1つの実施形態において、本発明のプロモーターは、ベクター 形態で脂肪細胞に導入される。あるいは、このような細胞は、細胞を含むサンプル中 で、本発明のプロモーターの一部をプローブとして用い、当該分野で周知のスクリー ニング技術を使用して同定することができる。
[0291] 例えば、動物細胞を用いる場合、本発明の細胞を培養する培地は、一般に使用さ れている RPMI1640培地 (The Journal of the American Medical Associ ation, 199, 519 (1967) )、 Eagleの MEM培地(Science, 122, 501 (1952) )、 DMEM培地(Virology, 8, 396 (1959) )、 199培地(Proceedings of the So ciety for the Biological Medicine, 73, 1 (1950) )また fまこれら培地 ίこゥシ 胎児血清等を添加した培地等が用いられる。
[0292] 培養は、通常 pH6〜8、 25〜40°C、 5% CO存在下等の条件下で:!〜 7日間行う。
2
また培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物 質を培地に添カ卩してもよい。
[0293] 本発明は、本発明のプロモーターを含む脂肪組織に関する。本発明のプロモータ 一には、特定の遺伝子(例えば、アディポネクチン)に作動可能に連結されることが好
ましい。
[0294] 本発明はまた、本発明のプロモーターを含む非ヒト動物に関する。本発明のプロモ 一ターには、特定の遺伝子(例えば、アディポネクチン)に作動可能に連結されること が好ましい。非ヒト動物としては、例えば、マウス、ラット、ゥサギ、モルモット、ゥシ、ブ タ、などが挙げられるがこれらに限定されない。
[0295] 本発明のプロモーターは、脂肪細胞に対する特異性が非常に高いことから、 目的 の遺伝子を脂肪細胞特異的に発現させたい場合に非常に有用である。例えば、発 明の背景の節で述べた通り、アディポネクチンレベルの低下は、肥満関連の代謝障 害 (例えば、インスリン抵抗性糖尿病およびァテローム硬化症)に関連している。従つ て、これらの障害を処置するためにアディポネクチン遺伝子脂肪細胞に導入して脂 肪細胞内で高発現させる上で、本発明のプロモーターは非常に有用である。従って 、本発明は、脂肪細胞において、 目的の遺伝子を特異的に発現させる方法に関する 。本発明の方法は、本発明のプロモーターおよび目的の遺伝子を含むベクターを脂 肪細胞に導入する工程を包含する。本発明はさらに、脂肪細胞における遺伝子発現 のダウンレギュレーションに起因する疾患または障害を処置または予防する方法に 関する。この方法は、本発明のプロモーターおよびダウンレギュレートされている遺伝 子を含むベクターを脂肪細胞に導入する工程を包含する。例えば、この遺伝子は、 アディポネクチンであり、処置または予防される疾患は、上記のような肥満関連の疾 患(例えば、インスリン抵抗性糖尿病およびァテローム硬化症)である。本発明はまた 、上記のような疾患を処置するための医薬の製造における、本発明のプロモーターま たはベクターの使用に関する。特に、上記疾患は、脂肪細胞における遺伝子の高発 現が望まれるが、脂肪細胞以外の細胞における該遺伝子の発現は望ましくない疾患 である。このような疾患としては、癌などが挙げられるがそれらに限定されなレ、。このよ うな疾患は、癌を抑制する因子を脂肪細胞において特異的に発現させることで処置 され得る。なお、転写因子 SREBP-laは肝臓で高発現すると著明な脂質蓄積による脂 肪肝を引き起こすが、脂肪で高発現させても脂質の過剰な蓄積は起こらない。 (Shim omuraet al. J Biol Chem. 274(42):30028-32, 1999., Shimomura et al. J. Biol.Chem.2 73; 35299-306, 1998., Horton JD, Shimomura I, et al. J Biol Chem.278:36652_60)。
[0296] (好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本 発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に 限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参 酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
[0297] (新規 PPAR調節剤)
1つの局面において、本発明は、スルホニル尿素剤を含む、 PPAR調節剤を提供 する。ここで、スルホニル尿素剤は、代表的に、
[0298] [化 4]
という構造を有し、ここで、 Rおよび Rは、夫々独立して、水素、アルキル、置換され
1 2
たアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたァ ルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキエル、置換された アルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、 ヘテロ環基、置換されたへテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チ オール、置換されたチオール、シァノ、ニトロ、アミ入置換されたァミノ、カルボキシ、 置換されたカルボキシ、力ルバモイル、ァシル、置換されたァシル、アシノレアミノ、チ ォカルボキシ、アミド、置換されたカルボニル、置換されたチォカルボニル、置換され たスルホニルおよび置換されたスルフィエルからなる群より選択される置換基を有す る。
[0299] 本発明において、代表的なスルホニル尿素剤としては、グリメピリド、ダリベンクラミド 、トルプタミド、クロルプロパミド、ァセトへキサミドおよびダリクラジドを挙げることができ るがそれに限定されない。
[0300] 好ましい実施形態では、スルホニル尿素剤は、グリメピリドまたはダリベンクラミドを 使用することが有利であり得る。これらのスルホニル尿素剤は、より有効な PPAR調
節活性を有するからである。
[0301] 本発明の PPAR調節剤は、活性化剤であってもよぐ阻害剤であってもよい。好まし くは、活性化剤であり得る。
[0302] 1つの実施形態において、本発明の PPAR調節剤は、瞎臓 β細胞のインスリン分 泌活性およびインスリン感受性を促進する活性からなる群より選択される少なくとも 1 つの活性をさらに有していてもよい。
[0303] 本発明におレ、て、 PPAR調節活性は、チアゾリジンジオン剤(例えば、ピオダリタゾ ン、ロシグリタゾンなど;好ましくはピオグリタゾン)と比較して求めることができる。本発 明の PPAR調節剤は、通常、チアゾリンジオン剤の少なくとも 10%、より好ましくは少 なくとも 15 %の活性を有し得る。
[0304] 本発明の PPAR調節剤が対象とするレセプターは、どのサブタイプでもよいが、好 ましくは、 PPAR γを対象とすることが有利である。
[0305] ここで、本発明が対象とする PPARは、配列番号 2、 4、 6および 8からなる群より選 択される配列番号に示されるアミノ酸配列またはその改変体 (例えば、 1または数個 の置換、付加または欠失を含む)を含む。
[0306] 好ましい実施形態では、本発明が対象とする PPARは、少なくとも C末活性化機能
2 (AF— 2)ドメインを含むことが好ましい。 1つの実施形態では、本発明が対象と する PPARは、アミノ酸配歹 IJPLLQEIYKDLY (配列番号 9)を含むことが好ましい。 この配列を削除すると、結合活性が消失したことが確認されたからである。
[0307] 1つの実施形態において、本発明が対象とする PPARと候補化合物との結合を観 察するに置いて、 PPARのコファクターと PPARとの相互作用を観察することができる 。スルホニル尿素剤は、 PPARのコファクターと PPARとの相互作用に影響を与える ことが明らかになつたからである。
[0308] 特定の実施形態において、本発明の PPAR調節剤は、糖尿病(特に、 2型);高ダリ シン血症;低グノレコース寛容;インスリン抵抗性;肥満;脂肪障害;異脂血症(dyslipid emia);高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;低 HDLレベル;高 LD Lレベル;粥状硬化症;血管狭窄;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;クローン病;腸潰 瘍;炎症疾患;膝炎;腹部肥満;神経変性病;網膜症;乾癬;代謝性症候群;卵巣高ァ
ンドロゲン症からなる群より選択される疾患の処置または予防に使用され得る。
[0309] (PPARスクリーニング法)
別の局面において、本発明は、勝臓 細胞のインスリン分泌活性および末梢のィ ンスリン感受性を促進する活性からなる群より選択される少なくとも 1つの活性を有し 、かつ、 PPARを調節する能力を有する化合物を同定する方法を提供する。この方 法は、 A)候補化合物を提供する工程; B)該候補化合物について、膝臓 /3細胞のィ ンスリン分泌活性および末梢のインスリン感受性を促進する活性からなる群より選択 される少なくとも 1つの活性を測定する工程; C)該候補化合物を、 PPARの活性を測 定するアツセィに供する工程;および D) B工程および C工程の各々において、活性 ありと判断された物質を、リード化合物と同定する工程、を包含する。
[0310] 1つの実施形態において、本発明が対象とする候補化合物は、スルホニル尿素剤 を含む。スルホニル尿素剤は、本明細書において上述したような任意のものを使用 すること力 Sできる。
[0311] 1つの実施形態において、本発明のスクリーニング方法が対象とするのは、 PPAR の活性化作用または阻害作用を有する化合物であり得、好ましくは、活性化作用を 有する化合物であり得る。
[0312] 1つの実施形態において、本発明のスクリーニング方法が対象とする化合物は、膝 臓 β細胞のインスリン分泌活性およびインスリン感受性を促進する活性の両方を有 することが好ましい。このような活性測定は、本明細書において上述したように任意の 方法を用いることによって行うことができる。
[0313] 1つの実施形態において、本発明のスクリーニング方法では、 PPAR調節活性は、 チアゾリジンジオンと比較して測定される。この場合、競合的に比較してもよぐ別々 の実験結果を比較してもよレ、。
[0314] 1つの実施形態において、本発明のスクリーニング方法が対象とする PPARは、 PP
AR o/であり得るがそれに限定されなレ、。このような PPARは、 PPARは、配列番号 2
、 4、 6および 8からなる群より選択される配列番号に示されるアミノ酸配歹 1ほたはその 部分配列を含み得る。
[0315] 1つの実施形態において、本発明では、 PPAR活性は、候補化合物がスルホニル
尿素剤またはチアゾリジンジオン剤とともに提供して競合するかどうかを観察するェ 程を包含し得る。
[0316] 1つの実施形態において、 PPAR活性を測定するアツセィは、転写活性アツセィを 利用することができる。このような転写活性アツセィは、本明細書において説明されて おり、実施例において例証される。
[0317] 1つの実施形態において、膝臓 β細胞のインスリン分泌活性は、細胞から分泌され るインスリンを直接測定すること(J Pharmacol Exp Ther.2004 Sep;310(3):1273-80.)に より測定され得る。
[0318] 1つの実施形態において、末梢のインスリン感受性を促進する活性は、グルコース クランプ法、インスリン負荷試験(Insulin tolerance test)により測定され得る。
[0319] 好ましい実施形態では、 PPARの活性は、転写因子認識配列と作動可能に連結さ れるレポーターをコードする核酸配列を含む核酸構築物と、該選択された PPARとを 含む系において、該候補化合物の活性を判定する工程であって、該レポーターの発 現が増強される場合、該候補化合物は該 PPARのァゴニストと判定し、該レポーター の発現が減少する場合、該候補化合物は該 PPARのアンタゴニストと判定する、ェ 程によって測定される。このような方法は、当該分野において公知であり、本明細書 において例示されている。ここで使用され得るレポーターとしては、ルシフェラーゼを 挙げること力 Sできる。また、系としては、例えば、無細胞系または細胞を用いることが できる。
[0320] 1つの実施形態では、対象となる PPARとしては、 C末活性化機能 2 (AF— 2)ド メインを含むタンパク質を使用することができ、好ましくはこの標的は、アミノ酸配列 P LLQEIYKDLY (配列番号 9)を含み得る。
[0321] 好ましい実施形態では、この PPARのアツセィでは、 PPARのコファクターと PPAR との相互作用が観察される。
[0322] ここで、この PPARのコファクタ一は、 DRIP 205 (vitamin D receptor-interacting p tor for retinoid and thyroid hormone receptors)力らなる群より選択される因子であり 得る。
[0323] 別の実施形態において、本発明は、勝臓 β細胞のインスリン分泌活性および末梢 のインスリン感受性を促進する活性力 なる群より選択される少なくとも 1つの活性を 有し、かつ、 PPARを調節する能力を有する化合物を同定するためのシステムを提 供する。このシステムは: Α)必要に応じて候補化合物; Β)該候補化合物にっレ、て、 膝臓 β細胞のインスリン分泌活性および末梢のインスリン感受性を促進する活性から なる群より選択される少なくとも 1つの活性を測定する手段; C)該候補化合物を、 ΡΡ ARの活性を測定するアツセィに供する手段;および D) Β手段および C手段の各々に より、活性ありと判断された物質を、リード化合物と同定する手段を備える、システムを 提供する。このシステムでは、上記スクリーニング方法において採り得る任意の形態 を採り得ることが理解され得る。
[0324] (処置'予防方法)
別の局面において、本発明は、 PPARに関連する疾患を処置または予防するため の方法であって、 Α)スルホニル尿素剤を被検体に投与する工程を包含する、方法を 提供する。ここで、 PPARに関連する疾患としては、例えば、糖尿病(特に、 2型);高 グリシン血症;低グルコース寛容;インスリン抵抗性;肥満;脂肪障害;異脂血症 (dysli pidemia);高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロ一ノレ血症;低 HDLレべノレ;高 LDLレベル;粥状硬化症;血管狭窄;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;クローン病; 腸潰瘍;炎症疾患;膝炎;腹部肥満;神経変性病;網膜症;乾癬;代謝性症候群;卵 巣高アンドロゲン症を挙げることができるがそれらに限定されなレ、。処置または予防 方法は、当該分野において公知の方法を用いることができ、本明細書において例示 されている。
[0325] 1つの実施形態では、上記スルホニル尿素剤としては、グリメピリド、ダリベンクラミド 、トルプタミド、クロノレプロパミド、ァセトへキサミドおよびダリクラジドからなる群より選択 されるものを使用すること力できる。
[0326] (使用)
別の局面において、本発明は、 PPARに関連する疾患を処置または予防するため の医薬を製造するにおける、スルホニル尿素剤の使用を提供する。糖尿病(特に、 2 型);高グリシン血症;低グルコース寛容;インスリン抵抗性;肥満;脂肪障害;異脂血
症 (dyslipidemia);高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;低 HDL レベル;高 LDLレベル;粥状硬化症;血管狭窄;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;ク ローン病;腸潰瘍;炎症疾患;膝炎;腹部肥満;神経変性病;網膜症;乾癬;代謝性症 候群;卵巣高アンドロゲン症を挙げることができる。医薬の調製方法は、当該分野に おいて公知の方法を用いることができ、本明細書において例示されている。
[0327] 1つの実施形態では、上記スルホニル尿素剤としては、グリメピリド、ダリベンクラミド 、トルプタミド、クロノレプロパミド、ァセトへキサミドおよびダリクラジドからなる群より選択 されるものを使用すること力できる。その他の具体的な形態は、本明細書の他の箇所 において示されている任意の具体的な形態を採ることができることが理解される。
[0328] 本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、そ の全体力 S、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援 用される。
[0329] 以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以 下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は 、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従つ て、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限 定されず、請求の範囲によってのみ限定される。
実施例
[0330] 以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、この発明は以下の例に限 定されるものではない。以下の実施例において用いられる試薬などは、例外を除き、 Sigma (St. Louis, USA)、和光純薬(大阪、 日本)、などから市販されるものを用い た。動物の取り扱いは、大阪大学医学部において規定される規準を遵守して行った 。本発明で用いる発現ベクターの作製方法を具体例を挙げて説明する。なお、このよ うな例で用いられる出発プラスミド、プロモーター等の構成要素を同等のもので置き 換えて実施することは当業者にとって容易である。
[0331] まず、本欄では、実施例に使用した実験手法および材料を記載する。
[0332] (実験手法)
(材料)
[3H]ロシグリタゾン(ART1231;比活性は、 50Ci/mmolであった)を、 American Radiolabeled Chemical (St Louis, MO)から購入した。ピオグリタゾンは、武 田薬品工業株式会社 (大阪)のご厚意によるものである。グリメピリドは、アベンテイス ファーマ(東京)のご厚意によるものである。ダリベンクラミド、トルプタミド、クロルプロ パミド、およびダリクラジドは、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社 (東京)から購 入した。
(プラスミド)
GAL4 (配列番号 14— 15)をコードする発現プラスミド(pCMX_GAL4)、 GAL4 -マウス PPAR aキメラタンパク質(配列番号 16 -17)をコードする発現プラスミド(p CMX - GAL4 - mPPAR α )、 GAL4—マウス PPAR δキメラタンパク質(配列番号 18_19)をコードする発現プラスミド 〇1^ _0八し4_111??八1¾3)、0八し4_マ ウス PPAR γキメラタンパク質(配列番号 20 -21)をコードする発現プラスミド(pCM X— GAL4— mPPARy)、全長マウス PPARy (配列番号 1—2のうち、ァイソフォー ム 1にあたるアミノ酸 31からあとの配歹 IJ(MVDTEMPFWPTNFGISSVDLSVMEDHSHS
する発現プラスミド 〇1^ _111??八1
7)、¥?16(配列番号22_23)をコードする 発現プラスミド(pCMX_VP16)、 VP16—マウス ΡΡΑΙ γキメラタンパク質(配列番 号 24— 25)をコードする発現プラスミド(pCMX_VP16_mPPAR7)、および /3 - ガラクトシダーゼ(配列番号 26— 27)をコードする発現プラスミド(pCMX— β -gal) は、 Dr. David Mangelsdorf (Univercity of Texas Southwestern Medic al Center, Dallas, TX)のご厚意によるものである(Willy,P. J., and Mangelsdorf,
D. J. (1997) Genes Dev. 11, 289-298などを参照)。 C末活性化機能 2 (AF— 2)ド メインの 11アミノ酸(PLLQEIYKDLY (配列番号 9) )を欠失してレ、るマウス Δ PPAR
γ変異体構築物(pCMX Δ mPPAR γ; Δ PPAR y変異体は上述の PPAR γァ イソフォーム 1のアミノ酸配列より、最後の 11アミノ酸(PLLQEIYKDLY)欠失してレヽ る。 ) (配列番号 28— 29)については、削除されるべき配列を削除した形態で作製し た。 GAL4 -ビタミン Dレセプター結合タンパク質(DRIP) 205 (配列番号 30 _ 31 ) をコードする発現プラスミド(
PCMX_GAL4_DRIP205)および GAL4 核レセプ ターコリプレッサー(N_CoR) (配列番号 32— 33)をコードする発現プラスミド(pCM X-GAL4-N-CoR)は、文献に記載されている(pCMX_GAL4_DRIP205に ついて Kaneko,E.et al (2003) J. Biol. Chem. 278, 36091-36098、および pCMX_G AL4 N CoRについて Adachi,R.,et al (2004) Mol. Endocrinol. 18, 43-52)。 DRI P205の核レセプター相互作用ドメイン(アミノ酸 578〜728) (配列番号 34— 35)お よび N— CoRの核レセプター相互作用ドメイン(アミノ酸 1990〜2416) (配列番号 3 6 - 37)は GAL4 DNA結合ドメイン(配列番号 38— 39)に融合されている。 GAL4 応答性 MH100 (UAS) X 4—tk—LUCレポーター(配列番号 40— 41)および PPA 尺応答性??!^: 3— 1^ 1^;〇レポーター(配列番号42—43)を用ぃて、 GAL4— キメラレセプターおよび PPARの活性をそれぞれ評価した(Willy,P.J., and Mangelsd orf, D. J. (1997) Genes Dev. 11, 289-298 (GAL4 キメラレセプター) Kliewer,S. A., et al(1994) Proc. Natl.Acad. Sci. U. S. A. 91,7355- 7359 (PPAR) )。ヒト脂肪細胞プ 口モーターの野生型ルシフェラーゼレポータープラスミド [p (— 908) /LUC wt] ( 配列番号 44)および PPRE変異体ルシフェラーゼレポータープラスミド [p (— 908) / LUC PPRE mut] (配列番号 45)は文献に記載されている(Iwaki,M., et al(2003) Diabetes 52, 1655-1663)。
(HEK293細胞における同時トランスフエクシヨンアツセィ)
ヒト胚性腎(HEK) 293細胞(ATCC (American Type Culture Collection)〜入手可 肯 を、 5。/0のゥシ胎仔血清(FBS)を含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM) 中で維持した。文献に記載されたようなリン酸カルシウム共沈殿アツセィ (Lu,T.T. et al (2000) Mol. Cell 6, 507-515) )によってトランスフエクシヨンを行った。トランスフエク
シヨンの 8時間後にリガンド化合物を添加した。ルシフェラーゼアツセィおよび ーガ ラタトシダーゼアツセィを行うために、 16〜20時間後に細胞を回収した。代表的には 、 DNA同時トランスフエクシヨン実験は、 96ウエノレプレートの 1ウエノレあたりに、 50ng のレポータープラスミド、 20ngの pCM_ β -gal (Dr.DavidJ. Mangelsdorf (Universit y of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX)のご享, g、こよ 。 )、 15ngのレ ポーター発現プラスミドおよび Zまたは補因子発現プラスミドの各々を含み、加えて 合計 150ngの DNAとするための pGEMキャリア DNA (Nishizawa,H.et al (2002) J. B iol. Chem. 277, 1586-1592)を含ませた。ルシフェラーゼデータは、内因性 j3ガラタト シダーゼコントロールに対して規格化した(Nishizawa,H.et al (2002) J. Biol. Chem. 2 77, 1586-1592)。
(リガンド結合アツセィ)
のグルタチオン S—トランスフェラーゼ(GST)—全長ヒト ΡΡΑΙ γ 2 ((Y13467 ; 別名 p53 regulatory protein, RB18Aprotein)および 40nMの [。H]ロシグリタゾンを、 1 00 /i Lの 10mM Tris -HCl (pH8. 0)、 50mM KC1、 lOmMジチオスレィトール (DTT)および 4%グリセ口—ル中、 4°Cで 24時間インキュベートした。競合結合アツ セィに関して、ピオグリタゾン、グリメピリドまたはダリベンクラミドを反応物に添加した。 Micro Spin G— 25カラム(Amersham Biosciences)で遠心分離することによ つて、結合リガンドを遊離リガンドから分離した。放射能を Wallac 1409液体シンチ レーシヨンカウンター(Wallac, Turku, Finland)で計測した。各アツセィを二連で行 つに。
DRIP205の核レセプター相互作用ドメイン(配列番号 35のアミノ酸 578〜728)を GST融合ベクター pGEX— 4T1 (Amersham Biosciences)にクローニングした。 GST—DRIP205融合タンパク質を BL21 DE3細胞(Promega)に発現させた。 T NT Quick Coupled Transcription/ i anslation System (Promega)を用 いて35 S—標識全長マウス PPAR yを作製した。約 2 μ gの GST—DRIP205をグノレ タチオン一Sepharoseビーズ (Amersham Biosciences)に結合させ、そして、 20 mM Tris -HCl (ρΗ7. 9)、 180mM KC1、 0. 2mM EDTA、 0. 05% Nonid
et P— 40、 0. 5mM フエニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、 ImM DTT および 3. 5%ゥシ血清アルブミン(BSA)を含む結合バッファ一中で平衡化させた。 次いで、結合した GSTタンパク質を、標識した mPPAR yおよびリガンドとともに 4°C で 1. 5時間インキュベートした。結合させた後、 20mM Tris-HCl (ρΗ7. 9)、 180 mM KC1、 0. 2mM EDTA、 0. 1 % Nonidet P— 40、 0. 5mM PMSF, lm M DTTおよび 3. 5% BSAを含む洗浄バッファーで 5回洗浄し、ドデシル硫酸ナト リウム—ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS— PAGE)サンプルバッファー中に再 懸濁し、 10% SDS—ポリアクリルアミドゲルにロードした。電気泳動の後、結合した タンパク質をオートラジオグラフィ一で画像化し、 BAS 2500システム(Fujifilm, To kyo, Japan)を使用して定量化した。
[0337] (3T3— L1脂肪細胞におけるトランスフエクシヨン研究)
マウス 3T3— L1脂肪前駆細胞 (ATCCから入手可能)を培養し、文献に記載され たように分化を誘導した(Iwaki, M. et al(2003)Diabetes 52, 1655-1663)。分化の誘導 後 4日目に、 3T3— L1細胞の培地を OPTI— MEM (Invitrogen, Tokyo, Japan) に交換し、文献に記載されたように(Iwaki,M. et al (2003)Diabetes 52, 1655-1663)、 LipofectAMINE 2000試薬(Invitrogen)を用いて、細胞を PPRE X 3— tk— LU Cレポーターまたはヒトアディポネクチンプロモーターを含むレポータープラスミドでト ランスフエタトした。薬剤処理の 20時間後に、 Luciferase Assay System (Prome ga)を用いてルシフェラーゼレポーターアツセィを行った。ルシフェラーゼの値を内部 の i3—ガラクトシダーゼコントロールで規格化し、相対的ルシフェラーゼ活性として表 した。
[0338] (定量的逆転写 _PCR) super (Nacalai Tesque, Kyoto, Japan)を用いて総 R NAを抽出した。 Thermoscript RT (Invitrogen)およびオリゴ dTプライマーを用 いて総 RNAから第 1の cDNA鎖を合成した。 LightCycler—FastStart DNA M aster SYBR Green I (ロシュ.ダイァグノスティックス株式会社、東京)を用いて、 LightCycler (ロシュ'ダイァグノスティックス株式会社)でリアルタイム定量的 PCR増 幅を行った。プライマーセットは、以下の通りであった:
マウス aP2、 5, _CCG CAG ACG ACA GGA— 3,(配列番号 46)および 5 '
-CTC ATG CCC TTT CAT AAA CT—3 ' (配列番号 47) ; マウスレプチン、 5,— GAT GGA CCA GAC TCT GGC AG— 3,(配列番 号 48)および 5 '— AGA GTG AGG CTT CCA GGA CG— 3 ' (配列番号 4 9);
マウスアディポネクチン、 5,一GAT GGC AGA GAT GGC ACT CC_ 3, (配列番号 50)および 5 '—CTT GCC AGT GCT GCC GTC AT— 3 ' (配 列番号 51);
マウスサイクロフィリン、 5, _CAG ACG CCA CTG TCG CTT T_ 3,(配 列番号 52)および 5 ' _TGT CTT TGG AAC TTT GTC TGC AA—3 ' ( 配列番号 53)。
[0339] mRNAレベルをサイクロフィリンの mRNA量に対して規格化し、任意の単位で表し た。
[0340] (3T3— L1脂肪細胞におけるアディポネクチン分泌の分析)
分化誘導後 7日目に、ピオグリタゾン、グリメピリドまたはダリベンクラミドを 48時間培 地に添加した。この培養培地中に分泌されたアディポネクチンの量を、マウス/ラット アディポネクチン酵素結合ィムノソルベントアツセィ(ELISA)キット(Otsuka Phar maceutical, Tokusmma, Japan)で測疋した。
[0341] (脂肪細胞分化アツセィ)
マウス 3T3— F442A脂肪前駆細胞(阪上浩博士 (神戸大学)のご厚意による)を、 10% FBSを含む DMEM中で維持した。分化のために、細胞(コンフルェントに達 して力ら 3日後)を、 1 μ g/mLのインスリンを含む、 10% FBSを動員した DMEM にて、化合物の有無のもと、インキュベートした。分化した脂肪細胞を、固定し、 Oil Red Oけ力ライテスタ (京都))で染色して、その脂質を可視化した。
[0342] (統計解析)
データを平均土 SEとして表す。ダネット(Dunnett)検定によって差を解析した。ダ ネット検定は、対照群として指定した 1群と他の群を比較する方法で、多群間の分散 分析で有意差が認められていなくても使用できる。各群のデータ数、分散や正規分 布であるかどうかに制限を加えず検定できる。本実施例では、 Pく 0. 05をもって、統
計的に有意であるとみなした。
[0343] (実施例 1:スルホニル尿素剤の PPAR yに対する作用)
本実施例では、本発明者らは、スルホニル尿素剤としてグリメピリドおよびダリべンク ラミドを用レ、、 PPAR y転写活性に対する効果を明らかにした。本実施例では、上述 の実験手法に従って、 GAL4_PPAR yおよび GAL4応答性ルシフェラーゼレポー ターを用いて、非脂肪細胞である HEK293細胞においてレポーターアツセィを行つ た。
[0344] PPAR のリガンド結合作用ドメインを、酵母転写因子 GAL4の DNA結合ドメイン に融合した。本実施例において使用したレポーターは、外因性の GAL4—キメラレポ 一ターによってのみ活性化されるので、内因性レポーターの効果は排除される。興味 深いことに、本発明者らは、グリメピリドおよびダリベンクラミドが、 10 μ Μの投与量に て GAL4_PPAR o /転写活性を誘導したことを見出した。ところ力 本発明者らは、 1 0 μ Μでは、他のスルホニル尿素剤(トルプタミド、クロルプロパミド、およびグリクラジ ド)は、グリメピリドおよびダリベンクラミドほどは PPAR y活性化を検出しなかった(図 1E)。そのため、これらの他のスルホニル尿素剤については、さらに濃度を上げて活 性を検出したところ、 100 /i Mでは、 PPAR yの転写活性が誘導されることを見出し た。従って、スルホニル尿素剤は、一般に PPAR yの転写活性を誘導することが明ら かになつた(図 1E)。ただし、その活性は、スルホニル尿素剤の種類によって異なるよ うである。従って、新規なスルホニル尿素剤を開発することによって PPAR y活性を 向上させる可能性があることが判明した。
[0345] 次に、本発明者らは、 HEK293細胞中のグリメピリドおよびダリベンクラミドによる G AL4_PPAR 7の濃度依存的活性化を調べた。図 1Bに示されるように、グリメピリド またはダリベンクラミドに用いた処理によって、 GAL4_PPAR o/の濃度依存的活性 化を生じた。グリメピリドおよびダリベンクラミドは、それぞれ、ピオグリタゾンによって活 性化された最大レベルの 12%および 20%まで GAL4— PPAR yを活性化した。
[0346] 従って、スルホニル尿素剤は、 PPARの部分的なァゴニストであることが明らかにな つた。
[0347] (実施例 2:スルホニル尿素剤の PPARサブタイプ特異性)
本実施例では、グリメピリドの PPARサブタイプ選択性を調べるために、本発明者ら は、 HEK293細胞における GAL— PPARを使用してレポーターアツセィを実施した 。 Wyl4643、 GW501516、およびピオグリタゾン(これらは、各々の PPARサブタイ プに対する特異的なリガンドとして知られている(Hsu,M. H. et al(2001) J. Biol. Che m. 276, 27950-27958 ; Oliver, W. R.et al (2001)Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 98, 5 306-5311 ; Spiegelman,B. M. (1998) Diabetes47, 507-514)は、それぞれ、 GAL— PP ARひ、 GAL -PPAR δおよび ΡΡΑΙ γを活性化した(図 1C)。興味深いことに、グ リメピリドは、 GAL4— PPAR yを活性化する力 GAL4—キメラレポーターである、 R XRひ、 LXRひ、 LXR /3、および FXRの転写活性に対するグリメピリドの効果を調べ た。グリメピリドは、これらのレポーターに対してなんら効果を与えなかった。
[0348] 従って、グリメピリドは、 PPARに特異的であることが明らかになった。
[0349] (実施例 3:スルホニル尿素剤と PPARとの結合様式)
次に、本実施例では、グリメピリドおよびピオグリタゾン力 PPAR yに直接的に結 合するか否かを明確にするために、本発明者らは、 GST—全長 PPAR yおよび [ ] ロシグリタゾンを用いて競合的結合アツセィを実施した。
[0350] 競合的結合アツセィを上記実験手法に従って行ったところ、 [3H]ロシグリタゾンのピ オダリタゾンによる置き換えが観察された。その 値は、 2· Ο /i Mであった(図 1D)
50
。グリメピリドおよびピオグリタゾンによる置換はまた、濃度依存的であり、そして、 IC
50 値は、それぞれ、 24 /i Mぉょび96 μ Mでぁった(図lD)。
[0351] これらのデータから、グリメピリドおよびピオグリタゾン力 直接結合によって PPAR γを活性化することが示され、そして、 PPAR yに対する部分ァゴニストであることが 示されたことになる。
[0352] (実施例 4 :スルホニル尿素剤のコファクターと PPARとの相互作用に対する効果) 次に、本実施例では、スルホニル尿素剤であるグリメピリドがコファクターと PPAR γ の相互作用を増大させるかどうかを調べた。
[0353] この相互作用の実験は、上記実験手法に従って行った。核レセプターは、リガンド に結合すると、コンフオメーシヨン変化を受け、そして、この変化によって、コリプレッサ 一の AF— 2ドメイン依存的な解離およびコアクチベータの動員を生じる(Glass,C. K.,
and Rosenfeld, M. G. (2000) Genes Dev. 14,121-141)。本発明者らは、全長 PPAR γまたは変異 PPAR y ( AAF— 2)と、 PPRE X 3— tk— LUCレポーターの同時トラ ンスフヱクシヨンによって PPAR γ AF— 2欠失変異体に対するグリメピリドの効果を 調べた。グリメピリドならびにピオグリタゾンは、全長 PPAR o/を活性化した。しかし、 P PAR γのグリメピリド依存的活性化は、 AF— 2ドメインの切断によって完全に消失し た(図 2Α)。
[0354] 次に、本発明者らは、 PPAR yと、コアクチベータ DRIP205 (これはまた、 PPAR 結合タンパク質(PBP)として知られる。 Zhu, Y. et al(1997) J. Biol. Chem. 272, 2550 0-25506 ; Yang, W.,Rachez, C, and Freedman, L. P.(2000) Mol. Cell. Biol. 20,8008 -8017)、またはコリプレッサー N_CoRとの相互作用に対するグリメピリドの効果を、 上記実験手法に従って HEK293細胞における哺乳動物ツーハイブリッドアツセィに よって、調べた。これらのアツセィは、リガンド依存的な、コファクターの動員または解 離の検出のために、ヘルぺスウィルス VP16タンパク質のトランス活性化ドメインに融 合した全長 PPAR γ、および GAL4の DNA結合ドメインに融合した、 DRIP205また は N— CoRの核レセプター相互作用ドメインを使用して実施した(Makishima,M.et al (1999) Science 284, 1362-1365)。簡単に説明すると、ツーハイブリッドシステムはル シフェラーゼで定量を行う哺乳動物細胞系のシステムです。転写因子にみられるモ ジュールドメインを利用して in vivoでタンパク質とタンパク質との相互作用を検出でき る有効な方法である。 目的のタンパク質 Xとタンパク質 Yが相互作用を起こすと転写 活性化ドメイン (VP16)と DNA結合ドメイン (GAL4)が会合し、レポーター遺伝子の転写 活性が促進される。
[0355] その結果、ピオグリタゾンおよびグリメピリドの両方とも、 VP16 _PPAR o/、 GAL4 — DRIP205および GAL4応答性 LUCレポーターの同時トランスフエクシヨンによる 転写活性を顕著に増加させた(図 2B)。これらの結果は、グリメピリドおよびピオグリタ ゾンの両方が DRIP205との PPAR γの会合を誘導することを示す。他方、 VP16— ΡΡΑΙ γと GAL4— N— CoRとの同時トランスフエクシヨンは、リガンドの不在下でレ ポーターの活性化を生じた。ピオグリタゾンまたはグリメピリドの存在下において、レポ 一ター活性は顕著に抑制された(図 2C)。同様のピオグリタゾンまたはグリメピリドに
ついては、 PPAR yとコリプレッサー SMRTとの相互作用に対する阻害効果も見ら れた。
[0356] これらの結果は、グリメピリドのようなスルホニル尿素斉 IJが、 PPAR yのコリプレッサ 一である N - CoRまたは SMRTとの解離を誘導することを示す。
[0357] さらに、本発明者らは、 GSTプルダウンアツセィを用いて、全長 PPAR yの DRIP2 05との相互作用へのグリメピリドの直接的な作用を評価した。図 2Dに示すように、 35 Sで標識した PPAR yは、 GST— DRIP205に結合し、この結合は、ピオグリタゾンに よって増強された(レーン 8)。同様に、グリメピリドは標識した PPAR yの GST— DRI P205との相互作用を用量依存性の様式で誘導した(図 3D、レーン 9〜: 11)。 GST 単独と標識した PPAR 7との間の結合は、リガンドの存在または非存在下のいずれ においても観察されなかった(図 2D、レーン 2〜6)。これらのデータによって、 PPAR yに対するグリメピリドの直接的な結合力 PPAR yのコアクチベータ一である DRIP 205との会合を誘導することが強く示唆される。
[0358] 従って、スルホニル尿素剤であるグリメピリドがコファクターと PPAR γとの相互作用 に直接効果を有することが明らかになった。
[0359] (実施例 5:スルホニル尿素剤の PPAR依存性の転写活性に対する効果)
次に、本実施例において、スルホニル尿素剤が 3Τ3— L1脂肪細胞などの細胞中 で PPAR依存性の転写活性に寄与するかどうかを調べた。
[0360] 本実施例では、スルホニル尿素剤として、グリメピリドおよびダリベンクラミドを使用し た。
[0361] 脂肪細胞での PPAR依存性のトランス活性化に対するグリメピリドおよびダリべンク ラミドの効果を研究するために、本発明者らは、 3T3— L1脂肪細胞中で PPRE X 3 _tk_LUCを使用してルシフェラーゼレポーターアツセィを実施した。グリメピリドは 、用量依存的な様式で脂肪細胞中の PPEEレポーターの活性を有意に誘導した(図 3A)。ダリベンクラミドはまた、グリメピリドくらい効果的に、用量依存的に脂肪細胞中 で PPREレポーターを活性化させた(図 3A)。これらの結果によって、グリメピリドおよ びダリベンクラミドの両方力 S、脂肪細胞中の内因性 PPAR γを活性化させることを示 唆する。次いで、本発明者らは、 3T3— L1脂肪細胞中のレポーターアツセィによつ
てアディポネクチン遺伝子の転写に対するグリメピリドの直接的な効果を調べた。本 発明者らにより、アディポネクチン遺伝子の発現が PPAR y活性化によってアップレ ギュレートされることがこれまでに実証されている(Iwaki,M. et al (2003)Diabetes 52, 1 655-1663) 図 3Bにおいて示されるように、グリメピリドならびにピオグリタゾンは、脂 肪細胞中で野生型アディポネクチンプロモーターの転写活性を増大させた。これま でにも報告されているように(Iwaki,M. et al (2003)Diabetes 52, 1655- 1663)、 PPRE 変異アディポネクチンプロモーターのトランスフエクシヨンによって、基底状態(basalco ndition)における転写活性の顕著な低減を引き起し、そして、ピオグリタゾンを用いた 処理によるさらなる誘導は、観察されなかった。興味深いことに、アディポネクチンプ 口モーターのグリメピリド依存的な活性化はまた、 PPREの変異によって完全に消滅 した(図 3B)。これらのデータによって、グリメピリドが脂肪細胞中の PPRE依存的機 構を介してアディポネクチンプロモーターを活性化させることを示唆する。
[0362] 従って、スルホニル尿素剤は、 3T3— L1脂肪細胞中の PPAR依存性転写活性を 誘導することが明らかになった。
[0363] (実施例 6 :スルホニル尿素剤の脂肪細胞中でアディポネクチン産生に対する効果) 次に、本実施例では、スルホニル尿素剤の PPAR下流の効果として、アディポネク チンおよびレブチンの産生に対する効果があるかどうかを観察した。
[0364] 本発明者らは、分化した 3T3— L1脂肪細胞における、既知の PPAR γ標的遺伝 子である、 aP2およびレプチンの mRNA発現に対するグリメピリドの効果を調べた。 文献において報告されたように(Perrey,S. et al(2001) Metabolism 50, 36-40 ; Kallen, C. B" and Lazar, M. A. (1996)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. 93, 5793-5796)、ピオ グリタゾンは、脂肪細胞において、 aP2 mRNAレベルを有意に増大させ、そして、レ プチン mRNAレベルを低減した(図 4Aおよび図 4B)。同様に、グリメピリドは、 aP2 およびレプチンの両方の mRNAレベルを有意に変更した(図 4Aおよび図 4B)。次 に、本発明者らは、分化した 3T3— L1脂肪細胞中におけるアディポネクチンの mR NAの発現および分泌に対するグリメピリドの効果を調べた。公知文献に報告された ように(Maeda,N.et al (2001) Diabetes 50, 2094-2099)、ピオグリタゾンは、アディポネ クチンの mRNA発現および分泌の両方を増大させた(図 4Cおよび図 4D)。興味深
いことに、グリメピリドでの処理によって、脂肪細胞中のアディポネクチンの mRNAレ ベルを有意に増大させた(図 4C)。さらに、グリメピリドは、培地へのアディポネクチン 分泌を用量依存的に刺激した(図 4D)。さらに、本発明者らは、ダリベンクラミド処理 した脂肪細胞中のアディポネクチンの分泌を調べた。ダリベンクラミドは、グリメピリドと 同様にアディポネクチン分泌を増大した(図 4D)。これらの結果は、グリメピリドおよび ダリベンクラミドの両方力 S、脂肪細胞中での PPAR y活性化を介して、インスリン感受 性増加(sensitizing)ホルモンであるアディポネクチン産生を増大することを示唆する
[0365] その結果、グリメピリドおよびダリベンクラミドは、脂肪細胞中でアディポネクチン産 生を増大させることが明らかになった。グリメピリドは脂肪細胞におけるレブチンの遺 伝子発現を減少した。肥満に伴う高レブチン血症などに有効である。
[0366] (実施例 7:スルホニル尿素剤の脂肪細胞分化に対する効果)
次に、スルホニル尿素剤の細胞分化に対する効果を調べた。
[0367] 従来の PPAR γァゴニストは、成熟脂肪細胞への脂肪前駆細胞の変換を促進する ことが知られている(Tontonoz, P., Hu, E., and Spiegelman, B. M. (1994) Cell 79,114 7-1156)。本実施例では、グリメピリドおよびダリベンクラミドのようなスルホニル尿素剤 力 そのような PPARァゴニスト活性があるかどうかを調べた。本発明者らは、 3T3- F422A脂肪前駆細胞(阪上浩博士 (神戸大学)のご厚意による)における脂肪細胞分 化に対するグリメピリドおよびダリベンクラミドの効果を調べた。 3T3— F442A前駆脂 肪細胞は、 PPAR γァゴニスト依存的脂肪細胞分化を示すことが知られている (Wrig ht,H.M. et al (2000) J. Biol. Chem. 275, 1873-1877)。 Oil red Oでの脂肪の染色 によって示されるように、ピオグリタゾンと同様にグリメピリドとのインキュベーションは、 脂肪細胞分化を顕著に刺激した(図 5A)。ダリベンクラミドによる脂肪沈着が、観察さ れ、グリメピリドにおいても脂肪沈着が観察された。さらに、本発明者らは、脂肪細胞 分化マーカー遺伝子である、 aP2およびアディポネクチンの誘導におけるグリメピリド およびダリベンクラミドの効果を調べた。グリメピリドおよびダリベンクラミドの両方は、 ピオグリタゾンと同様に、 3T3— F442A細胞(図 5Bおよび図 5C)におけるこれらの 遺伝子の mRNA発現を有意に誘導した。これらの結果は、グリメピリドおよびダリベン
クラミドの両方が PPAR y活性化を介して脂肪細胞分化を刺激することを示唆する。
[0368] (まとめ)
本発明において、本発明者らは、少なくとも以下の:!)〜 5)を見出した:
1)グリメピリドは、 HEK293細胞における PPAR yの転写活性を誘導した;
2)グリメピリドは、コアクチベータ DRIP205の動員およびコリプレッサー(例えば、 N _CoRおよび SMRT)の解離を増大させた;
3)グリメピリドは、ロシグリタゾンに競合する様式で PPAR γに直接結合した;
4)グリメピリドは、 PPERを含む遺伝子プロモーターの転写活性を刺激し、そして、 3 Τ3脂肪細胞における PPAR y標的遺伝子の mRNAレベルを変更した;そして、
5)グリメピリドは、 3T3— F442A細胞における脂肪細胞分化を誘導した。
[0369] 興味深いことに、グリメピリドを用いて観察された効果の殆どは、ピオグリタゾンによ つても再現された。これらのデータによって、グリメピリドおよびダリペンクラミド(これら の両方は、スルホニル尿素抗糖尿病薬に属する)は、 PPAR yに対するァゴニストと して作用するが、これらの能力は、ピオグリタゾンの 12〜20%であった。本発明者ら の結果によって、 PPAR γァゴニストであるというスルホニル尿素剤の新規局面が提 供される。
[0370] 数個の化合物が、 PPAR yに対する部分ァゴニストとして報告されてきた((1) Oberf ield, J. L. et al (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96,6102— 6106 ; (2) Kurosaki, E. et al (2003)Biochem.Pharmacol. 65, 795- 805 ; (3) Schupp, M. et al(2004) Circulation 109,2054-2057 ; (4) Benson, S. C. et al (2004) Hypertension 43, 993-1002)。例え ば、 GW0072
[0371] [化 5]
は、それらの部分ァゴニストのうちの 1つであり、コリプレッサー N— CoRの解離にお いて完全ァゴニストと同等の能力を有する。しかし、コアクチベータ(例えば、 CBPお よび SRC—1)の動員は、チアゾリジンジオンと比較して限定されている(OberfieldJ. L. et al(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 96,6102-6106)。本発明者らは、グリメ ピリド力 ピオグリタゾンと同等に、 DRIP205の動員と、 N_CoRおよび SMRTの解 離の両方とを誘導することを観察した。従って、グリメピリドおよびダリベンクラミドによ る PPAR yトランス活性化の最大レベルの抑制は、 DRIP205以外の他のコアクチべ ータの動員の機能障害に起因し得る。
[0372] 従来の臨床研究によって、 2型糖尿病における血漿アディポネクチンレベルが増大 することが示された(Tsunekawa, T. et al(2003)Diabetes Care 26, 285-289)。本発明 者らは、これまで、 PPAR o/ァゴニストがヒトにおける血漿アディポネクチンレベルを 上昇させることを報告した(Maeda,N. et al (2001)Diabetes 50, 2094-2099)。従って、 ヒト被験体における血漿アディポネクチンに対するグリメピリドの効果を上昇することは 、 PPAR yァゴニスト活性によって部分的に説明され得る。
[0373] 2型糖尿病における高血糖は、勝臓の β細胞からのインスリンの分泌および末梢組 織におけるインスリン感受性の両方における多重欠損の結果である。従って、 2型糖 尿病に対する薬理学的アプローチを開発するために、血漿インスリンレベルを上昇 するだけでなぐインスリン感受性を改善することが重要であると考えられてきた。スル ホニル尿素剤は、これまで広く使用されてきた力 これは、勝臓のインスリン分泌を刺 激することによって、スルホニル尿素剤が効率的に血糖を低下させるからであると考 えられていたからである。対照的に、チアゾリジンジオン、 PPAR yァゴニストは、末 梢のインスリン耐性を改善することによって、強力な低血糖効果を示す。
[0374] 本発明者らの実験において使用されたグリメピリドおよびピオグリタゾンの投与量は 、 PPAR 7ァゴニスト活性を発揮するのに従来使用されていたランゲルハンス島から のインスリン分泌を誘導するのに必要とされる投与量よりも高かった。しかし、グリメピ リドおよびダリベンクラミドの両方がスルホニル尿素レセプター(SUR)のみではなく P PAR に対しても作用し得るという本発明者の知見は、理想的な抗糖尿病剤、すな わち、膝臓 /3細胞からのインスリン分泌およびインスリン感受性の両方を増強し得る
抗糖尿病を開発する重要な糸口を提供するものである。
[0375] (実施例 8 :スクリーニング)
本実施例では、 PPARの活性を亢進する可能性のある物質を、レポータージーン アツセィを用いてスクリーニングする。
[0376] (レポータージーンアツセィ)
(方法)
リン酸緩衝化生理食塩水(PBS ; 10 mM リン酸塩; 150 mM 塩化ナトリウム, pH 7. 2 to 7. 3. )
ノレシフェラーゼレポーターアツセィキット:
溶解溶液: 25mM Tris (7. 5)、 2mM ジチオスレィトール(DTT), 10%グリセ口 ール、 1 % TritonX— 100 ;ルシフェリンミックス: 20mMトリシン(Tricine) /1. 07 mM (MgCO ) Mg (OH) _ 5Η θ/2. 67mMMgSO /0. ImM EDTA/33
3 4 2 2 4
. 3mM DTT/270 μ M コェンザィム(Coenzyme) A/470 μ Mルシフェリン/ 530 /i MATP (二ツボンジーンのピツカジーン(Code No. PGK— L100)を使用す ること力 Sできる)。
[0377] (使用する脂肪細胞)
白色脂肪細胞 : 3T3 -L1 , 3T3 -F442A, Obl 771
褐色脂肪細胞 : HIB1B
白色および褐色の脂肪細胞の初代培養細胞
その他 : C3H 10Τ1/2 (多分化能細胞なので、脂肪細胞になることもある) (培地)
これらの細胞は、適宜 Dulbecco改変 Eagle培地に 10。/οゥシ胎仔血清などを用い て培養する。
[0378] (ルシフェラーゼ)
ルシフェラーゼは、蛍光(約 560nm)作る酵素である。細胞内に、 PPARをコードし た核酸配列(配列番号 1)を含むプラスミドとレポータープラスミド(ルシフェラーゼレポ 一ター)を同時に細胞に強制発現し、レポーター活性を測定する。ルシフェラーゼ遺 伝子産物の発現による蛍光を測定することにより、遺伝子発現を測定することができ
る。ここで、トランスフエクシヨンなどは、本明細書上記(3T3—L1脂肪細胞におけるト ランスフエクシヨン研究)に記載されてレ、る手法に従って行うことができる。
[0379] (方法)
(1) 上記プラスミドを用いて上記各々の細胞のトランスフエクシヨンを行う。
(2) 48〜72時間、上記細胞を培養する。
(3) 培養上清を除去する。
(4) 培養に使用されているゥエルまたはディッシュを洗浄する。
(5) 細胞の溶解(24穴プレートの場合、溶解溶液 200 a 1Zゥエル)。
(6) ライセートを Eppendorfチューフへつつす。
(7) 脱核 (遠心分離 15Krpm、 3分, 4°C)する。
(8) 上清を別の Eppendorfチューブへうつす
(9) 液体シンチレーシヨンカウンターにサンプルを揷入する。
(10) ルシフェリンミックスにサンプル上清を 0· 5 /i l加える。
(11) 蛍光に起因するカウントを測定する。
[0380] このようにして得られた蛍光から、候補化合物が、 PPARの機能の抑制または亢進 を測定することができる。
[0381] (実施例 9 :自動化)
実施例 8で実施するスクリーニングは、ロボットを用いて自動化することができる。こ の場合、例えば、ベックマンコールターの Biomekシリーズを用いて、マイクロプレート を用いたシステムを構築するカ または Zymarkの Staccato Mini— Systemシリー ズを用いてシステムを構築することができる。
[0382] このようにして得られたリード化合物は、動物実験に用いることができる。あるいは、 このようなリード化合物をもとに、他の化合物を設計することができる。
[0383] (実施例 10 :動物実験)
実施例 8、 9などで、 PPARを活性化する可能性があることが判明した化合物につ いて、マウス、ラットまたはサルなどの動物に投与して脂肪組織特異的に PPAR mR
NA発現量またはタンパク質量を低下させる化合物をスクリーニングする。
[0384] このようなスクリーニングにより、動物において実際に脂肪細胞の分化;糖尿病;高
グリシン血症;低グルコース寛容;インスリン抵抗性;肥満;脂肪障害;異脂血症 (dysli pidemia);高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロ一ノレ血症;低 HDLレべノレ;高 LDLレベル;粥状硬化症;血管狭窄;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;クローン病; 腸潰瘍;炎症疾患;膝炎;腹部肥満;神経変性病;網膜症;乾癬;代謝性症候群;卵 巣高アンドロゲン症などの疾患に作用する物質をスクリーニングすることができる。
[0385] (実施例 11:ヒト被検体における臨床試験)
実施例 10で実際に試験効果があった物質のうち、毒性が見られなかったものにつ いて、ヒト被検体に投与して肥満に対する効果を観察する。ここでは、エネルギー代 謝、体重、脂肪量、体脂肪率などを指標として臨床試験を行う。これにより、実施例 1 0でリード化合物として同定された化合物が、実際に上記疾患に効果があるかどうか を判定することができる。
[0386] 以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発 明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解され る。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体 的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として 援用されるべきであることが理角军される。
産業上の利用可能性
[0387] 本発明は、 PPAR関連疾患の診断、処置および予防において有用な標的および それによるスクリーニング法、ならびにその方法によって同定される医薬を用いて、 P PAR関連疾患を処置することができるという有用性を有する。また、本発明は、スル ホニル尿素剤が、このような PPAR関連疾患に有効であることを示した。これらから、 本発明は、有効な糖尿病治療のための薬剤を開発するにおいても有用である。
[0388] (配列表の説明)
配列番号 1は、マウス PPAR γの核酸配列である。(NM_011146、 PPAR γのアイソフ オーム 2を示している。 )
配列番号 2は、マウス PPAR γのアミノ酸配列である。(NP_035276、 PPAR γのァイソ フォーム 2を示している。 )
配列番号 3は、ヒト PPAR γの核酸配列である。 (NM.138712)
配列番号 4は、ヒト PPAR γのアミノ酸配列である。 (NP.619726) 配列番号 5は、ラット PPAR γの核酸配列である。 (NM.013124)
配列番号 6は、ラット PPAR γのアミノ酸配列である。 ΝΡ.037256)
配列番号 7は、サル PPAR γの核酸配列である。 (AF033103)
配列番号 8は、サル PPAR γのアミノ酸配列である。 (ΑΑΒ87480)
配列番号 9は、 PPAR中の結合必須配列の一つであるアミノ酸配列 PLLQEIYKDL
Yを示す。
配列番号 10は、ヒトアディポネクチン 3. 6kbプロモーターの核酸配列である。 (AF304 467)
配列番号 11は、ヒトアディポネクチンタンパク質の核酸配列である。 (NM.004797) 配列番号 12は、ヒトアディポネクチンタンパク質のアミノ酸配列である。 (NP_004788) 配列番号 13は、マウスアディポネクチンプロモーターの核酸配列である(Das, K. et a 1 (2001) Biochem Biophys Res Commun. 280, 1120—1129、 Seo JB et al (2004) J.Biol. Chem. 279, 22108-22117等を参照)。
配列番号 14は、 GAL4の核酸配列である。 (X85976 ;アミノ酸 1— 147に対応: atgaag ctactgtcttctatcgaacaagcatgcgatatttgccgacttaaaaagctcaagtgctccaaagaaaaaccgaagtgcgc caagtgtctgaagaacaactgggagtgtcgctactctcccaaaaccaaaaggtctccgctgactagggcacatctgaca gaagtggaatcaaggctagaaagactggaacagctatttctactgatttttcctcgagaagaccttgacatgattttgaaa atggattctttacaggatataaaagcattgttaacaggattatttgtacaagataatgtgaataaagatgccgtcacagat agattggcttcagtggagactgatatgcctctaacattgagacagcatagaataagtgcgacatcatcatcggaagagag tagtaacaaaggtcaaagacagttgactgtatcg)
配列番号 15は、 GAL4のアミノ酸配列である。 (X85976) (アミノ酸 1-147 ; MKLLSSI
MPLTLRQHRISATSSSEESSNKGQRQLTVS)
配列番号 16は、 GAL4—マウス PPARひキメラタンパク質の核酸配列である。(マウ ス PPARひ、 NM_011144)
配列番号 17は、 GAL4—マウス PPARひキメラタンパク質のアミノ酸配列である。(マ
ウス PPAR a、 NP— 035274)
配列番号 18は、 GAL4—マウス PPAR δキメラタンパク質の核酸配列である。(マウ ス PPAR 5、 ΝΜ— 011145)
配列番号 19は、 GAL4—マウス PPAR δキメラタンパク質のアミノ酸配列である。(マ ウス PPAR δ、 ΝΡ.035275)
配列番号 20は、 GAL4—マウス PPAR γキメラタンパク質の核酸配列である。(マウ ス ΡΡΑΙ γ、 ΝΜ_011146)
配列番号 21は、 GAL4—マウス PPAR γキメラタンパク質のアミノ酸配列である。 (マ ウス PPAR γ、 ΝΡ.035276)
(配列番号 16— 21は上述の GAL4配列と各マウス PPARリガンド結合領域との融合 体。 Kliewer, S. A., et al(1994) Proc.Natl.Acad. Sci. U. S. A. 91,7355-7359、 Umeson o, K et al (1991) Cell 65, 1255-1266等を参照)
配列番号 22は、 VP16の核酸配列である。 (78アミノ酸からなる)
(,gcccccccgaccgatgtcagcctgggggacgagctccacttagacggcgaggacgtggcgatggcgcatgccgacg cgctagacgatttcgatctggacatgttgggggacggggattccccgggtccgggatttaccccccacgactccgcccc ctacggcgctctggatatggccgacttcgagtttgagcagatgtttaccgatgcccttggaattgacgagtacggtggg) 配列番号 23は、 VP16のアミノ酸配列である。 (78アミノ酸)
(APPTDVSLGDELHLDGEDVAMAHADノ
GALDMADFEFEQMFTDALGIDEYGG)
配列番号 24は、 VP16—マウス PPAR γキメラタンパク質の核酸配列である。
配列番号 25は、 VP16—マウス PPAR γキメラタンパク質のアミノ酸配列である。 配列番号 26は、 β—ガラタトシダーゼの核酸配列である。
配列番号 27は、 β—ガラタトシダーゼのアミノ酸配列である。
(配列番号 24— 27は、 Willy, P. J" and Mangelsdorf, D. J. (1997) Genes Dev. 11, 28 9一 298を参照)
配列番号 28は、マウス Δ PPAR γ変異体構築物の核酸配列である。 (atggttgacacag agatgccattctggcccaccaacttcggaatcagctctgtggacctctccgtgatggaagaccactcgcattcctttgac atcaagccctttaccacagttgatttctccagcatttctgctccacactatgaagacattccattcacaagagctgaccca
^
(アミノ酸 578〜728)との融合体である。
配列番号 31は、 GAL4—ビタミン Dレセプター結合タンパク質(DRIP) 205のァミノ 酸配列である。上述の GAL4配列と後述の DRIP205の核内レセプター相互作用ドメ イン(アミノ酸 578〜728)との融合体である。
配列番号 32は、 GAL4—核レセプターコリプレッサー(N_CoR)の核酸配列である 。上述の GAL4配列と後述の N_CoRの核内レセプター相互作用ドメイン(アミノ酸 1 990〜2416)との融合体である。
配列番号 33は、 GAL4—核レセプターコリプレッサー(N_CoR)のアミノ酸配列で ある。上述の GAL4配列と後述の N_CoRの核内レセプター相互作用ドメイン(ァミノ 酸 1990〜2416)との融合体である。
配列番号 34は、 DRIP205の核レセプター相互作用ドメイン(アミノ酸 578〜728)の 核酸配列である。(Y13467) (別名 p53 regulatory protein, RB18A protein)。
配列番号 35は、 DRIP205の核レセプター相互作用ドメイン(アミノ酸 578〜728)の アミノ酸配列である。(Y13467) (別名 p53 regulatory protein, RB18A protein)。
配列番号 36は、 N— CoRの核レセプター相互作用ドメイン(アミノ酸 1990〜2416) の核酸配列である。 (U35312)
配列番号 37は、 N— CoRの核レセプター相互作用ドメイン(アミノ酸 1990〜2416) のアミノ酸配列である。 (U35312)
配列番号 38は、 GAL4 DNA結合ドメインの核酸配列である。 (Willy, P. J., and Ma ngelsdorf, D. J. (1997)Genes Dev. 11,289-298を参照)。
配列番号 39は、 GAL4 DNA結合ドメインのアミノ酸配列である。 (Willy, P. J., and Mangelsdorf, D. J. (1997)Genes Dev. 11,289-298を参照)。
配列番号 40は、 GAL4応答性 MHIOO (UAS) X 4_tk_LUCレポーターの核酸 配列である。 (Willy, P. J., and Mangelsdorf, D. J. (1997) Genes Dev. 11,289- 298を参 照)。
配列番号 41は、 GAL4応答性 MHIOO (UAS) X 4_tk_LUCレポーターのァミノ 酸配列である。 (Willy, P. J., and Mangelsdorf, D. J. (1997) Genes Dev. 11,289-298 を参照)。
配列番号 42は、 PPAR応答性 PPRE X 3— tk LUCレポーターの核酸配列である
。 (Kliewer, S. A" et al(1994) Proc.Natl.Acad. Sci. U. S. A. 91,7355-7359、 Kliewer,
S. A., et al (1992) Nature(London) 358, 771-774などを参照)。
配列番号 43は、 PPAR応答性 PPRE X 3_tk_LUCレポーターのアミノ酸配列で ある。 (Kliewer, S. A., et al(1994) Proc.Natl.Acad. Sci. U. S. A. 91,7355-7359、 Klie wer, S. A., et al (1992) Nature(London) 358, 771-774などを参照)。
配列番号 44は、ヒト脂肪細胞プロモーターの野生型ルシフヱラーゼレポータープラス ミドの核酸配列である。 Iwaki, M., et al (2003)Diabetes 52, 1655-1663などを参照。 配列番号 45は、 PPRE変異体ルシフェラーゼレポータープラスミド [p (_ 908) /LU
C PPRE mut]の核酸配列である。 Iwaki, M., et al(2003) Diabetes 52, 1655-1663 などを参照。
配列番号 46は、マウス aP2のプライマー順方向の核酸配歹 IKマウス aP2、 5 ' -CCG
CAG ACG ACA GGA— 3,)である。
配列番号 47は、マウス aP2のプライマー逆方向の核酸配歹 IK5 '— CTC ATG CC C TTT CAT AAA CT—3' )である。
配列番号 48は、マウスレプチンのプライマー順方向の核酸配列(5'— GAT GGA
CCA GAC TCT GGC AG— 3 ' )である。
配列番号 49は、マウスレプチンのプライマー逆方向の核酸配列(5'— AGA GTG
AGG CTT CCA GGA CG— 3 ' )である。
配列番号 50は、マウスアディポネクチンのプライマー順方向の核酸配列(5 ' -GAT
GGC AGA GAT GGC ACT CC— 3,)である。
配列番号 51は、マウスアディポネクチンのプライマー逆方向の核酸配列(5 ' -CTT
GCC AGT GCT GCC GTC AT_ 3,)である。
配列番号 52は、マウスサイクロフィリンプライマー順方向の核酸配列(5 ' _CAG A CG CCA CTG TCG CTT T_ 3,)である。
配列番号 53は、マウスサイクロフィリンのプライマー逆方向の核酸配歹 IJ (5' -TGT CTT TGG AAC TTT GTC TGC AA_ 3,)である。