明 細 書
HER 2/n e uペプチドおよびその治療上の用途 技術分野 '
本発明は、 HER 2/n e uの癌抗原ペプチドに関する。 更に詳細には、 本発 明は、 細胞性免疫ならぴに液性免疫を惹起できる HLA— A24または一 A2結 合性 HER 2/n e uペプチド、 およぴ該ペプチドを含有する癌ワクチン等に関 する。 背景技術
生体における免疫システムは、 癌に対して重要な役割を果たしている。 この免
(腫瘍免疫) では、 細胞傷害性 T細胞 (CTL) が強力なェフエクタ 一として作用しており、 腫瘍細胞内で産生された腫瘍抗原に対して応答して、 長 期間にわたって免疫を付与することができる。 腫瘍抗原は特定細胞内で分解され て 8—1 1個のアミノ酸からなる抗原ペプチドとなり、 これが主要組織適合性抗 原であるヒ ト白血球抗原 (HLA) 分子と結合して腫瘍細胞表面上に提示される。 このように HL A分子によって腫瘍細胞表面上に提示された寧いぺプチド配列は、 CTLによって認識される (Townsend. A., et al. , Annu. Rev. Immunol. 7, 601-624, 1989)。 つまり、 CTLは、 この抗原ペプチドと H L Aとの複合体を認 識して腫瘍細胞を傷害する。
HLAは、 クラス I抗原とクラス I I抗原に大別される細胞膜抗原である。 C TLにより抗原ペプチドとともに認識されるのはクラス I抗原であり、 ほとんど 全ての有核細胞上に発現している。 HLAクラス I抗原はさらに HLA— A、 B、 Cなどに分類され、 その遺伝子には多型が存在する。 そのうちの HLA— A24 アレル (a 1 1 e 1 e) は日本人の約 60% (多くは、 その 95%の遺伝型が A 2402である) 、 コーカサス人の 20%、 アフリカ人の 1 ^%に、 HLA— A 2ァレルは日本人の約 40。/。、 中国人の約 53。/。、 北アメリカ白人の約 49 %、 南アメリカ白人の約 38%、 およびアフリカ黒人の約 23%にみられる。 HLA
分子は、 様々な腫瘍抗原の抗原提示に決定的な役割を果たしているとの報告がな されている (Bauer, M. P. , et al. , in Histcompatibility Testing, ed.
Teraski. P. I. (Springer, Berlin) , p 955, 1980; McMichael, A. J. , et al. , J. Exp. Med. 152, Suppl. 2, 195—203, 1980; Wolfel. T. E.', et al., J. Exp. Med. 170, 797—810, 1989; Slovin, S. F. , et al. , J. Immunol. 137, 3042 -
3048, 1986; Schendel, D. J. , et al. , J. Immunol. 151, 4209-4220, 1993) 。 したがって、 H L Aクラス I分子によって腫瘍細胞表面上に提示され、 かつ、 腫瘍特異的 C T Lによって認識される抗原べプチドを同定することは、 癌免疫療 法において癌ワクチンとして用いるペプチドワクチンの開発につながるものと考 えられている (Peoples, G. Ε·, et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92,
432-436, Jan. 1995) 。
しかしながら、 ペプチドワクチンとして使用できる可能性のあるヒ ト腫瘍関連 抗原 (T AA) は、 MAG E (melanoma antigen, メラノーマ抗原) などのわず かな例外を除き間接的にしか示されていない(van der Bruggen. P. , et al., Science, 254, 1643-1647, 1-991) 0 そのような遺伝子やペプチドを検出すること は、 力かる腫瘍免疫の存在を実証することになるが、 メラノーマは残念ながら悪 性腫瘍のわずか 3 %、 また癌死亡率全体のわずか 1 %を占めるだけである
(Fraumeni, J. F. , et al. in Cancer: Principles and Practice of Oncology, eds. DeVita, V. T. , et al. , p. 154, 1993) 。
近年、 特に乳癌の予後ならびに治療効果を予測する重要な因子として注目を集 めているのが、 H E R 2 (Human Epidermal Growth Factor Receptor 2) である。 この H E R 2はヒト上皮増殖因子受容体の 1つであり、 その H E R 2遺伝子は、 膜貫通型チロシンキナーゼ受容体をコードし、 多くの固形癌、 特に乳癌において 高い頻度で過剰発現していることが認められている。 この H E R 2の過剰発現が 発癌性への形質転換を惹起し、 細胞増殖の促進と調節異常をもたらすことが明ら 力にされている。 また、 H E R 2の過剰発現と予後との相関関係が、 多くの臨床 研究において報告されている。 特に、 乳癌における H E R 2の過剰発現は、 乳癌 の予後ならびに治療効果を予測する重要な指標として認識されている。
H E R 2の 1つである H E R 2 Z n e uは、 上皮増殖因子受容体と高い相同性
を有する 185キロダノレトンの膜貫通型チロシンキナーゼ受容体である
(Caussens, L. , et al. , Science, 230, 1132-1139, 1985, 1985; Yamamoto, T., et al. , Nature, 319, 230-234, 1986) 。 HER2Zn e uは、 様々な上皮 腫瘍において発現が高く、 特に結腸直腸癌においてはその原発部位ばかりではな く転移領域においても高発現している (Tanaka, H., et al., Brit. J. Cancer,
84(1), 94-99, 2001) 。 更に、 卵巣癌と乳癌の約 30ないし 40 %に過剰発現し ていると報告されている (Slamon, D. J., et al. , Science, 244, 707 - 712, 1989) 。 HER2/n e uは、 数多くの悪性腫瘍に高発現しているのに対して、 正常細胞では発現していないか、 または低レベルでしか発現していないことから、 プロトタイプ TAAとして考えられており、 癌免疫療法の強力な抗原候補となり 得る。
日本人とコーカサス人に最も共通しているアレルの 1つで る HLA— A 24 に対する結合親和性を有するぺプチドの中から HER2Zn e uの CTLェピト ープを同定したとの報告がある (Tanaka, H., et al., Brit. J. Cancer, 84(1), 94-99, 2001) 。 この報告では、 HL A— A 24結合性 HER 2/n e uぺプチ ドであるコード HE1 (アミノ酸位置 8— 16) : Arg Trp Gly Leu Leu Leu Ala Leu Leuを、 最も強い親和性を有し、 C T L誘導能を有するヮ'クチン候補べプチ ドとして同定している。 他の HER 2/n e u由来 H LA— A 24結合性ぺプチ ドである HER 2 p 63 (A) : Thr Tyr Leu Pro Ala Asn Ala Ser Leuおよび HER 2 p 63 (T) : Thr Tyr Leu Pro Thr Asn Ala Ser Leuも、 卵巣癌患者 と健常人において CTLを誘導するとの報告がされている (Okugawa, T. , et al. , Eur. J. Immunol. , 000, 30; 3338—3346) 。 HL A— A 2結合性 HE R 2 /n e uペプチドも数多く報告されている (Peoples, G. E., et al: : Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 92, 432—436, Jan. 1995; Fisk, B., et al., J. Exp. Med. , 181, 2109—2717, 1995; Ioannides et al. , Cell Immunol, 151:225,
1993; Peiper et al. , Eur J Immunol, 27: 1115, 1997; Brossart et al. , Can Res, 58: 732, 1998; Brossart et al. , Can Res, 58: 732, 1998; Anderson et al. , Clin Can Res, 6: 4192, 2000; Kono et al. , Clin Can Res, 8: 3394, 2002; Lee et al. , Anticancer Res, 22: 1481, 2002; Murray et al. , Clin
Can Res, 8: 3407, 2002; Scardino et al. , Eru J Iramuno, 31: 3261, 2001; Scardino et al. , J Immunol, 168: 5900, 2002) 。
また、 HER2/n e u由来 HLA— A24結合性ペプチドのうち、 HER 2 /n e uタンパク質の膜貫通型膜部分からなるアミノ酸 9個のぺプチド (GP 2、 アミノ酸位置 654— 662) が卵巣癌と乳癌の両者の HER 2 Zn e u陽性腫 瘍細胞中で幅広く発現され、 それを癌特異的に認識する C T Lが見い出され
(Peoples, G. E. , et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92, 432-436, Jan. 1995; Yamamoto, T. , et al. , Nature (London) 319, 230-234, 1986; Falk, et al. , Nature (London) 351, 290-296, 1991) 、 G P 2は癌免疫療法のぺプチド ワクチンとして有用であろうと考えられている (Peoples, G. E. , et al.: Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 92, 432-436, Jan. 1995) 。 HLA— A2結合性 HER 2/n e uペプチド p 369-377 (p 369) を、 癌免疫療法として、 HE R 2/n e uを過剰発現している転移性乳癌、 卵巣癌または結腸直腸癌の H L A — A 2陽性癌患者に対して使用した事例も報告されている (Zaks, T.Z., et al. , Cancer Res. 58, 4902-4908, Nov. 1, 1998) 。 '
以上のように、 H LA拘束性 CTLを誘導することができるいくつかの免疫原 性を有する HER 2/n e uぺプチドがすでに報告されている。 しかしながら、 知る限りにおいては、 これらのペプチドで誘導された CTLは、 初期臨床試験に おいて in vivoで腫瘍細胞を認識しなかった (zum Buschenfelde, C. M. , et al. , Cancer Res. 62, 2244-2247, April 15, 2002; Disis, M. L. , et al. , J. Clin.
Oncol. , 11, 3363-3367, 1997; Jager, E. , et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 12198-12203, 2000) 。 この失敗は、 一部には、 これらのペプチドの免 疫原性が弱かつたことによると思われる。
抗腫瘍免疫応答においては、 C T Lのみならずヘルパー T細胞も決定的な役割 を果たしている。 ヘルパー T細胞と CTLの両方の応答を誘導することができる 抗原ペプチドを同定し、 それをワクチンとして導入できれば、 癌免疫療法を効果 的に実施できると考えられている。
かかる背景に基づいて、 以下のような HER 2ノ11 e uペプチドが報告されて いる (Kobayashi, H. , et al. , Cancer Res. 60, 5228—5236, Sept. 15, 2000)。
報告されているペプチド内の C T Lェピトープのアミノ酸配列を以下に示す (括 弧内の数字は C T Lェピトープのァミノ酸開始位置を示す) : HER1124: Tyr Val Ala Pro Leu Thr Cys Ser Pro ; HER765 (768) : Tyr Val Met Ala Gly Val Gly Ser Pro; HER822 (825) : Trp Cys Met Gin lie Ala Lys Gly Met ; HER883
(888) : Trp Met Ala Leu Glu Ser lie Leu Arg; HER765 (768) : Leu Asp Glu
Ala Tyr Val Met Ala Gly; HER883 (886) : lie Lys Trp Met Ala Leu Glu Ser lie ; HER605 (608) : Leu Ser Tyr Met Pro lie Trp Lys Phe ; HER62 (65) : Leu Pro Thr Asn Ala Ser Leu Ser Phe ; HER648 (651) : Leu Thr Ser lie lie Ser Ala Val Val。
H E R 2が乳癌などの多数の癌において高レベルで発現す ことから、 液性免 疫と細胞性免疫におけるターゲットになりうるとの報告がなされている (zum Buschenfelde, C. M. , et al. , Cancer Res. 62, 2244-2247, April 15, 2002)。
H E R 2 / n e u抗原に対する細胞性および液性免疫応答は、 相当の割合の乳癌 ならびに卵巣癌患者に検出される (Peoples, G. E., et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92, 432-436, Jan. 1995; Disis, M. L. , et al. , Cancer Res., 54,
16-20, 1994) 。 また、 ヒ ト型化抗 H E R 2 / n e u抗体であるハーセプチンが、 その腫瘍が H E R 2 / n e u抗原を過剰発現している乳癌患者において腫瘍を退 縮させることが報告されている (Vogel, C. L., et al. , J. Clin. Oncol. , 20, 719-726, 2002; Burstein, H. J. , et al. , J. Clin. Oncol. ,. 21, 46 - 53, 2003) 。
C T Lェピトープペプチドとして同定されたペプチドのいくつかが、 第 1相臨 床試験にぉレ、て細胞性ならびに液性免疫応答の両者を誘導する能力を有している ことが (Mine, T., et al. , Cancer Sci., 94: 548-56, 2003) 、 また細胞†生免 疫応答ならびに液性免疫応答の両者を誘導することができる プチドが免疫原性 を有するということが報告されている (Noguchi, Μ·, et al. , Prostate, 57:
80-92, 2003) 。 その生物学的役割はまだ解明されていないが、 ワクチン投与後 の血清中の抗ぺプチド抗体のレベルがぺプチドワクチンを投与した進行肺癌患者 の生存と非常によく相関していることが判明した (Mine, T. , et al. , Cancer Sci. , 94: 548-56, 2003) 。
以上のことから、 細胞性おょぴ液性免疫応答の両者を誘導する新規な HER 2 /n e uペプチドを同定することは、 効果の高いペプチドワクチンの開発および 癌免疫療法の発展に重要であろう。 発明の開示
そこで本発明は、 HL A— A24または一 A 2拘束性に細胞傷害性 T細胞 (C TL) によ て認識され、 CTLを誘導し、 かつ液性免疫を誘導する、 ペプチド ワクチンの新規候補として有用な HER 2/n e uペプチドを同定し、 HER 2 /n e u陽性癌患者に有効な癌免疫療法を提供することを目的としている。
本発明者らは、 HER 2Zn e u特異的な細胞性免疫および液性免疫応答を誘 導する CTLェピトープペプチドを同定した。 HL A— A 24または一A 2結合 性ペプチドに対する I gGが、 試験した癌患者の血清中に高頻度に検出された。 また、 これらペプチドが該患者の末梢血単核細胞 (PBMC) 中においてべプチ ド特異的および腫瘍反応性 C T L活性を誘導することを見出し、 本発明を完成し た。 '
即ち、 本発明は、
( 1 ) 特異的な細胞傷害 ¾£T細胞を誘導し、 かつ特異的な抗体を誘導する Η Ε R 2/n e uの HLA— A24または一 A 2結合性抗原べプチドを含むポリぺプ チドまたは変異ポリぺプチド;
(2) 抗原ペプチドが HER 2342_35。 (配列番号 1) 、 HER 2485— 493
(配列番号 2) 、 HER 25 5 3-56 i (配列番号 3) 、 HER 2907-915 (配列 番号 4) 、 HER 2444_453 (配列番号 5) 、 HER 2466— 474 (配列番号 6) 、 HER 2484_493 (配列番号 7) 、 HER 2785_794 (配列番号 8) 、 または HER 2851— 859 (配列番号 9) である、 上記 (1) 記載のポリべプチ ド';
(3) HER 2342- 35 o (配列番号 1) 、 HER 2485— 493 (配列番号 2) 、 HER 2553-56 i (配列番号 3) 、 HER 2907-915 (配列番号 4) 、 HER 2444-453 (配列番号 5) 、 HER 2466_474 (配列番号 6) 、 HER 2484— 4 93 (配列番号 7) 、 HER 2785— 794 (配列番号 8) 、 または HER 2851一 85
9 (配列番号 9) である抗原ペプチド; '
(4) 上記 (1) または (2) 記載のポリペプチドまたは請求項 3記載の抗原 ぺプチドをコードするオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドもしくはその 相補鎖である核酸配列分子;
(5) 上記 (4) 記載の核酸配列分子を含有するベクター.;
(6) 上記 (1) または (2) 記載のポリペプチドまたは上記 (3) 記載の抗 原べプチドを特異的に認識する抗体。
(7) 上記 (1) または (2) 記載のポリペプチド、 上記 (3) 記載の抗原べ プチド、 または上記 (4) 記載の核酸配列分子を含む、 特異的な細胞傷害性 T細 胞を誘導し、 力つ特異的な抗体を誘導するための医薬糸且成物;
(8) 癌を処置するための、 上記 (7) 記載の医薬組成物;
(9) 上記 (1) または (2) 記載のポリペプチド、 上記 (3) 記載の抗原べ プチド、 または上記 (4) 記載の核酸配列分子、 によって特異的に誘導される H ER 2/n e u反応性細胞傷害性 T細胞; .
(1 0) HER 234 35。 (配列番号 1) 、 HER 248 493 (配列番号
2) 、 HER 255 3_56 i (配列番号 3) 、 または HER 29 915 (配列番号 4) である抗原べプチドと HLA— A24抗原との複合体を認識する H E R 2 / n e u反応性細胞傷害性 T細胞;
( 1 1) HER 2444— 453 (配列番号 5) 、 HER 2466_474 (配列番号 6) 、 HER 2484 493 (配列番号 7) 、 HER 27 794 (配列番号 8) 、 または HER 2851ー859 (配列番号 9) である抗原ペプチドと HLA— A2抗 原との複合体を認識する HER 2 /n e u反応性細胞傷害性 T細胞;
( 1 2) 上記 ( 2 ) 記載のポリぺプチドまたは上記 ( 3 ) 記載の抗原べプチド を用い、 HER 2/n e u反応性細胞傷害性 T細胞を誘導する方法;
( 1 3 ) 上記 ( 1 ) または ( 2 ) 記載のポリぺプチドまたは上記 ( 3 ) 記載の抗 原ぺプチドを使用して癌を処置する方法;
( 1 4) 癌の処置における上記 (1) または (2) 記載のポリペプチドまたは上 記 (3) 記載の抗原ペプチドの使用に関する。 '
また、 本発明は、 本発明の核酸配列分子、 および/または個体由来の試料中の
該ぺプチドもしくは該ポリべプチドをマーカーとして分析し、 該ぺプチド関連疾 病を診断する診断方法に関する。
本発明の HER 2/n e uぺプチドは、 細胞性免疫ならぴに液性免疫によって 認識され、 またそれらを惹起するので、 癌ワクチンとして、 あるいは該ペプチド 関連疾病の診断等に有用である。 ' 図面の簡単な説明
図 1は、 乳癌患者 (P t) 3名と女性健常者 (HD) 1名の血清中における H LA— A 24結合性モチーフを有する HER 27η e u由来ペプチドに反応する I g Gの検出を示すグラフ。
図 2は、 吸収試験による抗ぺプチド I g Gのぺプチド特異性を示すダラフ。 図 3は、 HLA— A24結合性ぺプチド刺激により誘導される MH C拘束性細 胞傷害活性を示すグラフ。
図 4Aは、 乳癌患者 (P t) 6名の血清中における HLA— A2結合性モチー フを有する HER 27η e u由来ペプチドに反応する I g Gの検出を示すグラフ。 図 4 Bは、 吸収試験による抗ぺプチド I g Gのぺプチド特異性を示すグラフ。 図 5Aは、 HLA— A2結合性ぺプチド刺激により誘導された C T Lの細胞傷 害活性を示すグラフ。 標的細胞として SKOV 3—A2およ SKOV 3— n u 1 1を使用。
図 5 Bは、 HLA— A 2結合性ぺプチド刺激により誘導された C T Lの細胞傷 害活性を示すグラフ。 標的細胞として SKOV 3—八2ぉょび3 0¥ 3— 1111 1 1を使用。
図 5 Cは、 HLA— A2結合性べプチド刺激により誘導された C T Lの細胞傷 害活性を示すダラフ。 標的細胞として 1— 8 7細胞株 (HLA-A2陽性) およ び QG 5 9 (HL A— A 2陰性) を使用。
図 5 Dは、 HLA— A2結合性ぺプチド刺激により誘導された C T Lの細胞傷 害活性を示すグラフ。 標的細胞として 1— 8 7細胞株 (HL A— A 2陽性) 、 Q G 5 9 (HLA— A2陰性) および P HA芽球化細胞を使用。
図 6 Aは、 HLA— A2結合性ぺプチド刺激により誘導された C T Lの MH C
拘束性および C D 8 +T細胞依存性。 標的細胞として T 2細胞 (H L A_ A 2陽 性、 ATCC寄託番号: CRL— 1992) を使用。
図 6 Bは、 HLA— A2結合性ぺプチド刺激により誘導された C T Lの MH C 拘束性ならびに C D 8 + T細胞依存性、 および C T Lのぺプチド特異的細胞傷害 活性の確認。
図 7は、 ウェスタンブロットによる各種細胞株における HER 2/n e uタン パク質の同定。
発明を実施するための最良の形態 .
(ぺプチドぉよぴポリぺプチド)
1. 本発明のペプチド
本発明の抗原ペプチドは、 特異的な細胞傷害性 T細胞を誘導し、 かつ特異的な 抗体を誘導する、 HER 2/n e uの HLA— A24または一 A 2結合性ぺプチ ドである。 そのアミノ酸残基数は通常 8— 11個、 好ましくは 9— 1 1個、 より 好ましくは 9個または 10個である。 その例として、 HER 2342_35。 (配列 番号 1) 、 HER 2485— 493 (配列番号 2) 、 HER 2553_561 (配列番号 3) または HER 2907一 915 (配列番号 4) 、 HER 2444_453 (配列番号 5) 、 HER 2466_474 (配列番号 6) 、 HER 2484— 493 (配列番号 7) 、 H ER 2785— 794 (配列番号 8) 、 または HER 2851— 859 (配列番号 9) など が挙げられる。 「HER 2342_350」 とは、 HER 2/n e uの全アミノ酸配 列のァミノ酸位置 342-350に相当するぺプチドを意味する。 また、 本明細 書および図面において 「HER 2342— 35。」 は、 そのアミノ酸配列開始位置の 番号により 「HER2/n e u 342」 とも表記される。 HER2/n e uの 全アミノ酸配列は受託番号 P 04626として Ge n e B a n kに登録されてい る (配列番号 10) 。
「特異的な細胞傷害性 T細胞を誘導し、 かつ特異的な抗体を誘導する」 とは、 特異的な細胞性免疫および液性免疫応答を誘導することを意味する。 細胞性免疫 および液性免疫応答の両者を誘導しうることから、 高い免疫原性を有すると言え る。
また、 本発明の抗原べプチドは、 上記配列番号 1ないし 9のいずれか 1つの了 ミノ酸配列で示されるぺプチドと、 好ましくは約 70 %以上、 より好ましくは約 80 %以上、 さらに好ましくは約 90 %を超える相同性を有する変異べプチドで あってもよレ、。 このような相同性をもつペプチドは、 少なくとも HL A— A 24 または H L A— A 2拘束性 C T Lによる認識性の強さを指標にして選択すること ができる。 これらペプチドのアミノ酸数は、 HL A分子と結合して抗原提示細胞 表面上に提示されうる数であり、 かつ C T Lにより認識され ェピトープぺプチ ドとしての性質を有する数であればよく、 少なくとも約 8個以上、 好ましくは約 9個以上、 さらに好ましくは 9個ないし 10個である。
本発明の抗原べプチドを含むポリぺプチドは、 通常ァミノ酸残基数 8 _ 50個、 好ましくは 9— 30個であり、 111^ ー八24または:^11^八_ 2拘束性〇丁1^ による認識性の強さを指標にして選択される。 含まれる抗原 プチドは、 HER 2342-35 o (配列番号 1) 、 HER 2485— 493 (配列番号 2) 、 HER 25 5 3-5 e x (配列番号 3) または HER29。7 915 (配列番号 4) 、 HER 2444— 453 (配列番号 5) 、 HER 2466_474 (配列番号 6) 、 HER 2484_493 (配列番 号 7) 、 HER 2785_794 (配列番号 8) 、 または HER 28 859 (配列番 号 9) が特に好ましい。
本発明の変異ポリぺプチドは、 前述のポリぺプチドと好ましくは約 70 %以上、 より好ましくは約 80 %以上、 さらに好ましくは約 90 %を超える相同性を有し、 HLA— A24または HLA— A2拘束性 CTLによる認識性の強さを指標にし て選択されるポリペプチドである。 '
ァミノ酸配列の相同性を決定する技術はそれ自体公知であり、 例えば、 ァミノ 酸配列を直接決定する方法、 推定される塩基配列を決定後に該塩基配列に基づレヽ てこれにコードされるアミノ酸配列を推定する方法等を用いることができる。 変異ぺプチドおよび変異ポリぺプチドには、 本発明の抗原べプチドまたはポリ ペプチドのアミノ酸配列に対して、 1個ないし数個のアミノ酸を欠失、 置換、 付 カロ、 挿入した、 あるいは誘発変異を有するアミノ酸配列からなるペプチドが含ま れる。 欠失、 置換、 付加、 挿入などの変異あるいは誘発変異を導入する手段はそ れ自体公知であり、 例えばウルマーの手法などを利用することができる。 さらに、
本発明のぺプチドは、 その構成ァミノ基もしくはカルボキシル基などを修飾する など、 機能の著しい変更を伴わない程度に改変することも可能である。
なお、 本明細書において、 「本発明のペプチド」 と単に記載した場合、 特記な き限り、 本発明の抗原ぺプチドならびにポリぺプチドおよびそれらの変異ぺプチ ド、 変異ポリペプチドを含んでいるものと理解すべきである。
本発明のぺプチドは、 HLA— A24または HLA— A2拘束性 CTLにより 認識され、 該 CTLを活性ィヒすることができ、 腫瘍抗原としての機能を有する。 本発明のぺプチドは、 通常のぺプチド化学において公知の方法により製造する ことができる (ペプチド合成 (丸善) 1975年; " Peptide Synthesis" , Interscience, New York, 1996; ihe Proteins , ol. 2, Academic Press
Inc. , New York, 1976) 。
2. 本発明の抗原ペプチドの同定
本発明の抗原べプチドは、 HER2Zn e uのァミノ酸配列 (配列番号 10 ) の一部に相当し、 かつ HLA— A 24または一 A 2結合性モチーフを有する候補 ペプチドの中から、 液性免疫による認識およびペプチド特異的 CTLの誘導能に 基づいて選択する。
液性免疫による認識は、 HER2/n e uの HLA— A24または一 A 2結合 性ぺプチドに反応する I g Gが、 乳癌患者の血清中に検出できるかどうかを調べ ることによつて検討することができる。 ぺプチド特異的 I g Gは、 血清サンプル について、 候補ペプチドを使用して EL I S Aにより測定する。 ペプチド特異的 I gGは、 血清サンプルを 0. 05%ツイーン 20—ブロックエース (登録商標、 MEGMI LK、 日本) で連続的に希釈し、 希釈血清をペプチド固定プレートに 添加して、 二次抗体としてラビット抗ヒト I gG (γ) 鎖特異的を用いて検出す ることができる。
ペプチド特異的 CTL誘導能については、 初めに、 HER2/n e u陽性乳癌 患者からの末梢血単核細胞 (PBMC) を候補ペプチドと共に培養し、 対応する ペプチドをパルスした標的細胞に対する、 その PBMCの I FN— γ産生能を測 定する。 次に、 上記の I FN— γ産生を示した PBMCについて、 更に標準 6時 間51 C rリリースアツセィにてペプチドパルス標的細胞に対する傷害性を測定
してべプチド特異的 CTL誘導能を検討する。
3. 本発明のペプチドの選択
本発明の抗原べプチドの変異ぺプチド、 本発明の抗原べプチドを含むポリぺプ チドおよびその変異ポリペプチドは、 HLA— A24またはHLA— A2拘束性 CTLによる認識性の強さを指標にして選択することができる。 CTLによる認 識性は、 それらペプチドをパルスした標的細胞に対する、 それらペプチドの基礎 となる抗原べプチドに特異的な CTLの、 I FN—γ産生および細胞傷害 1"生によ り評価することができる。
(核酸配列分子) '
本発明の核酸配列分子は、 本発明のペプチドのアミノ酸配列をコードするオリ ゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドもしくはそれらに対する相補鎖であり、 少なくとも約 24個以上の塩基からなる。 核酸配列分子は、 典型的遺伝子工学的 方法に従レヽ、 ί列 :ば Molecular Cloning , 2nd ed., Cold .Spring Harbor Laboratory Press (1989)のような標準的テキストの記載に従い容易に調製する ことができる。
本発明の核酸配列分子を含有するベクターは、 遺伝子発現に常套的に用いられ るべクタ.一に本発明の核酸配列分子を組み込んだものであり、 プラスミ ドベクタ 一およびウィルスベクターが含まれる。 ウィルスベクターの例としては、 レトロ ウィルス、 アデノウイルス、 アデノ関連ウィルス、 ヘルぺスウィルス、 ワクチニ ァウィルス、 ボックスウィルス、 ポリオウイルス、 またはシンドビスウィルス等 が挙げられる。
(HER 2/n e u反応性 CTL) .
HER2/n e u反応性 C T Lは、 乳癌や卵巣癌などの患者から得た P B M C を、 本発明のぺプチドまたは核酸配列分子を用いて CTLェピトープぺプチドを 提示させた抗原提示細胞と共に培養することで誘導できる。 CTLの誘導は、 前 述のように I FN— γ産生おょぴ標準 6時間51 C rリリースアツセィにて確認 する。 誘導した HER2/n e u反応性 CTLは、 本発明のペプチドの効能の測 定ゃ、 また、 養子免疫療法にも利用可能である
従って本発明のぺプチドまたは核酸配列分子は、 CTL誘導剤として使用でき、
また H E R 2 Zn e u反応性 C T Lの誘導方法に使用できるといえる。
(抗体)
本発明に係る抗体は、 本発明のぺプチドを免疫学的に認識することができるも のであって、 本発明のペプチドの抗原決定基を利用し作製することができる。 こ の抗原決定基は、 少なくとも 5個、 より好ましくは少なくとも 8— 1 0個のアミ ノ酸で構成される。 このアミノ酸配列は、 配列番号 1ないし 9に記載のァミノ酸 配列と完全に相同である必要はないが、 少なくともこのアミノ酸配列からなるぺ プチドが、 C T Lによる認識性を有するものであることが必要である。
本発明の抗体は、 本発明のぺプチドまたはその抗原決定基をアジュバントの存 在または非存在下で、 単独または担体に結合して、 動物に対して液性免疫応答お よび/または細胞性免疫応答等の免疫誘導を行うことによつて産生することがで きる。 担体は、 それ自体が宿主に対して有害作用をおこさなければ、 特に限定さ れるものではなく、 例えばセルロース、 重合アミノ酸、 アルブミン等を使用する ことができる。 免疫される動物としては、 マウス、 ラット、 ゥサギ、 ャギ、 ゥマ 等が好適に用いられる。 得られたポリクローナル抗体は、 好ましくは免疫ァフィ 二ティーク口マトグラフィ一法などのそれ自体公知の抗体回収法によつて血清か ら取得することができる。
一方、 モノクローナル抗体は、 上記の免疫手段が施された動物から抗体産生細 胞を回収し、 それ自体公知の永久増殖^細胞へ導入することによって生産するこ とができる。 このようにして得られたポリクローナル抗体またはモノクローナル 抗体は、 精製用抗体、 試薬、 標識マーカー等として利用することができる。
(医薬組成物)
本発明に係る医薬組成物は、 本発明のペプチド、 核酸配列分子、 ベクター、 ま たは抗体を、 単独または複数組合せて利用することによって調製することができ る。 '
具体的には、 例えば、 本発明のペプチドは、 癌を処置するため、 いわゆる癌ヮ クチンとして使用することができる。 本発明のペプチドによって処置することが できる癌として乳癌、 卵巣癌等があげられるが、 特に乳癌が好ましい。
1種類のぺプチドのみでも癌ワクチンとして有効であるが、 好ましくは複数種
類のペプチドを組合せて使用するのがよい。 癌患者の CTLは、 複数の腫瘍抗原 を認識する細胞の集団であるので、 1種類のぺプチドを癌ワクチンとして使用す るよりも、 複数の異なる腫瘍抗原を組合せて癌ワクチンとして使用する方が、 よ り高い効果が得られることが期待される。 腫瘍抗原を組合せて使用する場合、 本 発明のぺプチドから選ばれるぺプチドを組み合わせて使用してもよい。
また、 本発明に係る癌ワクチンは、 細胞性おょぴ液性免疫の賦活のために、 適 当なアジュバントの存在または非存在下で、 単独で使用するかまたは担体に結合 して使用することができる。 使用する担体は、 それ自体人体に対して有害作用を おこさない限り、 特に限定されるものではなく、 例えば、 セルロース、 重合アミ ノ酸、 アルブミン等を使用することができる。 剤形としては、 それ自体公知のぺ プチド製剤の手段を応用して適宜選択できる。 その投与量は、 CTLによる認識 性により変化するが、 一般的には活性本体として 0. O lmg〜:! O OmgZ日 /成人ヒト、 好ましくは 0. lmg〜l Omg/日/成人ヒ トである。 これを数 日ないし数月に 1回投与する。 ·
本発明に係る医薬組成物は、 例えば、 ベクターに担持させて直接体内に導入す る方法またはヒ トから細胞を採取して体外で導入する方法などによつて利用する ことができる。 使用できるベクターとしては、 例えば、 レトロウイルス、 アデノ ウィルス、 ワクシニアウィルス等が挙げられるが、 レトロウィルス系が好ましい。 無論これらウィルスは複製欠陥性である。 その投与量は、 CTLによる認識性に より変化するが、 一般的には、 上記抗原ペプチドをコードする DNA含量として 0. 1 μ g- 10 Omg/日/成人ヒ ト、 好ましくは 1 μ g— 5 Omg 日 成 人ヒトである。 これを数日ないし数月に 1回投与する。
以下、 本発明を実施例によってより詳細に説明するが、 本発明は下記実施例に よって一切限定されるものではない。 実施例
実施例 1
HLA-A24結合性抗原ぺプチド
(材料および方法)
1. サンプノレおよび細胞株
乳癌と診断された 17名の患者から血清、 末梢血単核細胞 ( P B M C ) および 組織を採取した。 これらの乳癌組織中での H E R2/n e uの発現程度を調べ、 スコア 0と 1 +の癌組織を HE R2/n e uに対して陰性と判断し、 他方スコ了 2および 3の癌組織を H E R 2 / n e uに対して陽性と判断した。 また、 P B M
Cと血清を 9名の女性健常者 (HD) から採取した。 全ての血清は一 80°Cで保 存し、 PBMCは一 196°Cで凍結保存した。 HER 2 /n e uを発現するヒ ト 卵巣癌細胞株 SKOV3 (HLA-A3/28) と、 その HLA— A24 トラン スフェク ト SKQV3—A24は三重大学の好意により提供きれた (Okugawa et al., A novel human HER2 - derived peptide homologous to the mouse Kd - restricted cytotoxic T lymphocytes in ovarian cancer patients and healthy individuals) 。 C I R— A2402 (HLA— 2402トランスフエ クタント細胞株) は血液細胞白血病由来突然変異細胞株であり、 熊本大学の好意 により提供 れ 7こ (Dr. Masafumi Takiguchi (Kumamoto University, Kumamoto, Japan Λ 文献: Karaki S, et al. , HLA-B51 transgenic mice as recipients for production of polymorphic HLA_A, B-specif ic antibodies. Iramunogenetics, 37: 139-142, 1993. ) 。 また、 PBMCからのフィトへマグルチニン (PHA) —芽球化 T細胞は、 C rリリースアツセィの標的細胞のネガティブコントロール として使用した。
2. ぺプチド特異的 I g Gの定量
図 1に示される 10個のぺプチドは委託合成したものを使用した。 具体的には、 HER 2/n e u由来ペプチドである HER 28— 16、 HER 26 3一 7 1、 HER 2342— 35。 (配列番号 1) 、 HER 244Q— 448、 HER 2485— 493 (配列番号 2) 、 HER 2553-56 i (配列番号 3) 、 HER29。7— 915 (配列番号 4) 、 HER 2968— 976、 HER 21022— 1030、 HE R 2 2丄 2— 220を本実験に用い た。
そのうちで、 11£1 28ー16と11£1 263— 71とは111^ 一八24拘束性〇丁 Lによって認識されるぺプチドとして報告されている。 被験者には H I Vキヤリ ァはいなかったので、 HLA— A24結合性モチーフを有する H I Vペプチド
(RYLRDQQLL) をネガテイブコント口ールとして使用した。 血清中のぺプチド特 異的 I g Gレベルは、 既報のように E L I S Aによって測定した (Ohkouchi, S. , et al. , Non-mutated tumor-rejection antigen peptides elict type - 1 allergy in the majority of healthy individuals. Tissue Antigen, 59: 259 -, 2002.、 Kawamoto N et al., IgG reactive to CTL-directed epitopes of self- antigens is either lacking or unbalanced in atopic dermatitis patients. Tissue Antigens, 61: 352-361, 2003. ) 。 '
血清または血漿サンプルは、 0. 0 5%ツイーン 20_ブロックエース (ME GM I LK、 日本) で連続的に希釈し、 希釈血清 (1ゥヱル当り 100 μ L) をぺ プチド (1ウエノレ当り 2 0 μ g) 固相化 Nu n c C o v a 1 i n kプレートに添 加した。 抗体はゥサギ抗ヒト I g G (γ鎖特異的) を用いて検出した。
E L I S Αの感度限度を決定するために、 1 4名の健常者(H I V陰性)からの 血清について、 上記アツセィによって、 ネガテイブコント口ールぺプチドとして の H I Vぺプチドの反応性を調べた。 E L I S Aによる光密度の平均士 S D値 は 0. 04 0 ± 0. 0 3 0で示された。 平均 +SD値 (0. 0 7 0) をカットォ フ値として決定した。 血清サンプノレ中の抗ペプチド抗体活性の特異性を試験する ために、 血清サンプル (0. 0 5 %P B S Tで X 1 00倍希釈) 1 0 0 μ 1 ( 1 ゥエル当り) を、 プレートウエル中の固相化ペプチド (1ゥエル当たり 2 0 μ § /m 1ぺプチド溶液で固相化) に 3 7でで 2時間静置し結合させた。 この結合操 作を 3度繰り返した後、 E L I S Aでその活性を試験した。
3. CTL誘導
HLA-A24陽性乳癌患者 8名と HLA— A24陽性健常者 5名からの P B MCを CTL誘導アツセィの対象として使用した。 ペプチド特異的 CTLの誘導 のために、 既報のように (Ito, M. , S. Shichijo, Y. Miyagi, T. Kobayashi, N. Tsuda, A. Yamada, N. Saito, and K. Itoh. , Identification of SART3- derived peptides capable of inducing HLA-A2~r e s triced and tumor-specific CTLs in cancer patients with different HLA-A2 subtypes. Int. J. Cancer 88: 633, 2000. ) 、 P BMCを 9 6ゥエルミクロカルチャープレートのウエノレ中 で各ぺプチド ( 1 0 M) を添加した I L— 2含有培地 200 μ Lを用いて培養
した。 .
培養 14日目に、 細胞を回収し、 洗浄した後、 対応するペプチドまたはネガテ イブコントロールペプチド (上記 HI Vペプチド) をパルスした C 1 R— A 24 (HLA-A2402 c DNAをトランスフヱクトした、 形質細胞性白血病由来 変異細胞株 (C 1 R) ) に応答する I FN— γ産生能について試験した。 18時 間培養した後、 培養上清を集めて EL I SAにて I FN—γを測定した。 陽性応 答を示す PBMCを回収して更に I L— 2だけと 10— 14日間培養して大量の 細胞を得、 標準 6時間51 C rリリースアツセィに付した。 抑制試験のために、 それぞれ 20 δ/πι 1の抗 HLAクラス I抗体 (W6/32、 I gG2 a) 、 抗 HLA— A2抗体 (BB7.2、 I g G 2 b) 、 抗 CD 8抗体 (Nu—T sん、 I gG2a) 、 抗 HLAクラス II抗体 (H— DR— 1、 I g G 2 a) 、 抗 CD4抗 体 (Nu— Th/i、 I gGl) を用いた。 抗 CD14抗体 (JML— HI 4、 I g G 2 a) をコントローノレとして使用した。 Two-tailed Student' s -試験を用いて 統計学的分析を行った。
(液性免疫によって認識されるペプチドの同定) '
HLA— A24結合性モチーフを有する HER 2/n e u由来ぺプチドに反応 する I gGが乳癌患者 (HER 2Zn e u陽性腫瘍の患者 13名と HER 2/n e u陰性患者 4名) と女性健常者 (HD) 8名の血清中に検出できるかどうかを 調べた。 .
その結果、 ペプチド HER 2342— 35。、 HER24S 5— 493、 HER 2553-56 い HER 2907— 915および HER 2968— 976に反応する有意レベルの I gGが それぞれ 8名、 4名、 4名、 3名および 1名の HL A— A 24陽性乳癌患者から 検出された。 これら陽性の血清は、 その腫瘍が免疫組織ィヒ学的試験により HER 2/n e u陰性であった 1例 (P t 10) を除いて、 全て HER 2/n e u陽性 腫瘍の患者由来のものであった。 これに対して、 残り 5種類のペプチド (そのう ちの 2種類は HLA— A 24拘束性 CTLによって認識されると報告されている CTLェピトープペプチドである) に反応する有意レベルの I gGは全く検出さ れなかった。 また、 8名の健常者のうち、 1名、 4名および 1名の血清からそれ ぞれ HER 263一 71、 11£1 2342ー35。と^1£1 2553ー561に反応する有意レべ
ルの I g Gが検出された。
4例 (P t 5、 9、 13および HD7) の代表的結果を図 1に示し、 概要を表 1に示す。
HER2/neuぺプチドに対する液性および細胞性応答
HER2/neuぺプチドに対する応答 ( I J 産生 pg/iii l ) - /0D (450nm)
適剰発現
;
;
/_
/-
/ -
/- ;
/- ; 一
し誘導
抗べブチド抗体
ァ産生能について各べブチドにっき ゥ ルすつ試験した。 値は ゥヱルのうち最良の結果であり、 ペプチド ( 性対照) に対するパックグラウンドの 溼生を差し引いてある。
ベプチドをパルスし 細胞と比絞して、 対応べブチドをパルスした 細胞に対して、 〗 以上の 産生が 察された場合にベブチド特異的 しの誘導が成功したと判断した · 抗べブチド は. 実施 に記載のように により!?折し^, ' ' "
ブランク:測定せす
カットオフ値 より低い 値は—で示した。
抗ぺプチド I g Gのぺプチド特異性は吸収試験により確認した。 その代表的結 果を図 2に示す。 抗 HER 2553— 561活性は、 ネガティブコントロールとして 使用した H I Vぺプチドを含む HL A— A 24結合性モチーフを有する無関係な ペプチドによって吸収され、 一方 HLA— B4601結合性モチーフを有する H I Vペプチドでは吸収されなかった。 このことは、 抗 HER 2553_561ぺプチ ド I g Gの、 HL A— A 24結合性モチーフを有するぺプチドに対する交差反応 を示唆している。
これらの知見に基づいて、 HER 2342一 350、 HER 2485一 493、 HER 25 53一 561および HER 2907一 915ペプチドおよび以前報告された CTLェピトー プペプチド (HER28— 16および HER 263— 71ペプチド) について、 CTL 誘導能を試験した (CTL誘導能は、 10種類全部で行った;表 1参照) 。
(細胞性免疫によって認識されるべプチドの同定)
乳癌患者 8名 (H E R 2陽性腫瘍患者 6名と H E R 2陰性腫瘍患者 2名) およ び女性健常者 (HD) 5名からの PBMCを 6種類のぺプチド (純度 90 %以 ί E丄 2342— 350、 H C Κ 2485-493 HLR ^ 553-'561 HE 290 7
- 915ペプチド、 HER28— 16、 HER 26 3一 71ペプチドまたはコントロールと しての H I Vぺプチドとともにそれぞれ培養し、 対応するぺプチドをパルスした C 1 R— A24細胞に応答した I FN— γ産生について試験をした。 その結果も 表 1に示している。
上記 8名の患者のうち、 患者 1名と 2名において、 それぞれ HER 28_16な らぴに HER 263— 71がペプチドに特異的な I FN— y産生を誘導した。 また、 患者 4名、 5名、 2名および 1名において、 それぞれ HER 2342— 35。、 HE R 2485— 493、 HER 2553— 561および HER29。7— 915が、 ペプチドに特異 的な I FN— γ産生を誘導した。 更にこれらペプチドのいくつかは、 2、 3名の 健常ドナーにおいてもかかる活性を誘導した。
これらの P BMCによって産生された I FN— γのレベルは抗クラス I抗体 (W6/32) または抗 CD 8抗体によって有意的に抑制されるが、 他の抗体に よっては抑制されない。 このことは、 これらの CTL活性が HLAクラス I拘束 性 C D 8陽性 T細胞によって担われていることを示唆している。
更に、 311〇¥3_ 24細胞 (HL A— A 24陽十生、 HER2/n e u陽 性) を標的細胞として用いて51 C rリリースアツセィを行い、 上記陽性応答を 示す PBMCにおいて有意レベルの CTLが誘導されていることを確認した。 一 方、 試験した全ての事例において SKOV 3細胞 (HL A— A 24陰性、 HER 2陽性) および PHA—芽球化 T細胞 (HLA— A24陽性) は傷害されず、 こ のことはこれら細胞に対する C T Lが誘導されていないことを示している。 2つ の事例 (P t 1 0、 1 3) の代表的結果を図 3に示す。 ネガティブコントロール としての H I Vぺプチドで刺激した PBMCはかかる細胞傷害性を示さなかった。 抗クラス I抗体による抑制試験により、 この細胞傷害性の H L Aクラス I拘束性 を確認した。
以上の結果より、 ペプチド HER 2342— 35。、 HER 2485— 493、 HER 25 5 3一 561および HER29。7_915を、 細胞性免疫および液性免疫の両者を誘導可 能な HLA— A 24結合†生抗原べプチドとして同定した。 実施例 2
HLA-A2結合性抗原ぺプチド
実施例 1と同様の手法により HER2/n e uの HLA— A2結合性抗原ぺプ チドを同定した。 .
表 2に示す 1 2種類のペプチド (HER 2444— 453 (配列番号 5) 、 HER 2466_474 (配列番号 6) 、 HER 2484— 493 (配列番号 7) 、 HER 2785_7
94 (配列番号 8) および HER 285 1— 859 (配列番号 9) を含む) に対する抗 体のスクリーニング結果を表 2に示す。 また、 6例の代表的結果を図 4 Aに、 ぺ プチド特異性の確認の結果を図 4 Bに示す。 複数の血清で認 されたぺプチドに 関する CTL誘導の結果は表 3に示す。 なお、 HER 2/n e u 3 6 9は、 C TLが認識するコモンェピトープとして報告されているペプチドであり (Fisk et al. , ent ill cat ion of an immunodominant peptide of HER2/neu
protooncogene recognized by ovarian tumor-specific cytotoxic T
lymphocyte lines. J. Exp. Med. , 181: 2109-2117, 1995. ) 、 本実験ではコン トローノレとして用いている。
表 2
HE 2/neu S
HER2/tieu
-f ]0g 4 4 4gg 4g 661 g5
Pt,2 Al 1/24 0.119 0,134
Pt.3 A226 0.099
Pt.^ A24 33 0.094 0,073 0.113 0.091 rt A2/21 0.205
Pt.6 A2/26 0.121 0.078 0.088 0.150 0.157 0.146 0.090 0.145 0.129 0.082 0.064
Pt.7 A2/24 iS D 0.133 ill ND 0.086 ND 0.167 ND ND ND
Pt.8 A2433 0.086 0.084 0.112 0.083 0.121 0.073 0.06/ 0.097
Pt.9 All/24 .087 0,105 0.163 0.123 0.132 0.109 0.112 0,171 0.078 0.075 0.079
RIO A2/24 ND 0.121 0.122 0.167 0.177 ND 0.109 ND 0.189 ND ND ND
Pt.ll A2/11 0.114
Pt.12 A2+/A24-
Pt.]3 A224 0.083 0.077 0.0S2
R14 A2/24 S 0.063 0.061 0.191 0.130
P 5 A24/26
PU6 A2/24 0.075 0.087 0.132 0.1 Π 0.100 0.136 0.146 0.315 0.085 O.OSS 0.076
PL17 A24/33 s 0.084 0.084 0.115 0.120 0.093 0.079 0.157 0.084 0.136
R18 A2
PU9 D 0.159 0.183 0.181 0.185 ND 0.143 ND 0.183 ND ND ND
Pt.27 A224 0.096 0.277 0.170 0.205 ND 0.075 ND 0.122 ND ND ND
Pl.31 A2 24 ND 0.332 0.324 0.413 0.296 ND 0.457 ND 0.414 ND ND ND
Pl35 A2/26 ND 0.158 0.301 0.276 0.437 ND 0.124 ND 0.271 ND ND ND
PUS A2+/A24- 0.119 0.076 W 0.064 ND 0.174 ND ND ND
Pt39 A2/11 0.108 0.327 0.203 W 0.252 ND 0.393 ND ND ND
4/15 9/23 13/23 15/23 12/23 9/15 15/23
26.7 39.1 56.5 65.2 52.2 60 65.2
HD1 A24/26
HD2 All/33
HD3 A26/31 0.106 · . - HD4
HD5 A2/24
HD6 A24
HD7 A24 0.064 0.074 - 0.073 - 0.100 - HD8 A2/26 • 0.102 - 0.094 0.094 0.127 0.138 0.108 0.213 . 0,074 . HD9 A24/33 0.080 - · - H 10 26 - · 0.062 0.181 0.195 0.Π2 0.144 0,132 0.261 0.086 0.184 0.072 HD11 N 0.117 0.134 0.191 0.183 ND 0.117 D 0.209 ND ND N HD12 A2/24 D 0.069 0.064 0.081 0.102 ND 0.062 ND 0.120 ND ND ND
0/10 3/12 3/12 4/12 4/12 3/10 2/10 7/12 1/10 3/10 1/10 0 25.0 25.0 33.3 33.3 30.0
20.0 5S.3 10.0 30.0 10.0
1 : 1 0 0希釈血清の O Dが 0. 0 6以上だった場合に、 対応ペプチドに反応する I g Gが陽性と判断した。
D:試驗せず
表 3
HER2/neuぺプチド 対する細胞性応答
ΐ™·γ¾
また、 誘導された CTLのうち、 細胞が増えた分について、 51C rリリース アツセィ、 および抗体おょぴコールド標的細胞による抑制試験を行った。 51 C rリリースアツセィによる細胞傷害活性の結果を図 5に、 抑制試験の結果を図 6 に示す。 各種細胞株における HER 2 /n e uタンパク質の発現は図 7に示す。 以上の結果より、 ペプチド HER 2444— 453 HER 2466— 474 HER24 84— 493 HER 2785_794、 および HER 2851— 859を、 細胞性免疫および液 性免疫の両者を誘導可能な HL A— A 2結合性抗原ぺプチドとして同定した。 産業上の利用の可能性 '
CTLェピトープペプチドに対して反応する I gGは、 癌患者のワクチン投与 前の血清中ならびに健常者の血清中にしばしば検出される。 また、 ワクチン投与 後の血清中の抗ぺプチド抗体レベルは、 ぺプチドワクチンを投与した進行肺癌患
者の生存と深く相関関係を有していた。 更に、 これらのペプチドに反応する I g Gは、 アトピー性疾患を有する患者の血清中では不足しているかまたはパランス を失っているかである。 癌患者における抗腫瘍免疫応答のメ力 -ズムはいまだ明 らかではないが、 以上の結果は、 これらペプチドに対する I gGが種々の疾患に 対する宿主防御において役割を果たしていることを示唆している。
抗ペプチド I gGは、 試験をした限りにおいては、 ペプチドが由来したタンパ ク質には反応せず、 またインビボ (in vivo) で腫瘍細胞の細胞増殖を直接阻害 することも、 腫瘍細胞に対する抗体依存性細胞傷害活性を導き出すこともなかつ た。 したがって、 本発明における抗 HER 2Zn e uペプチド I gGは、 腫瘍細 胞に対する直接的作用には役割を果たしていないようである。 むしろ、 これらの 抗体は、 腫瘍部位周辺の炎症反応の誘導を介して腫瘍部位に免疫適合細胞を浸潤 させるのに関与していると考えられる。
本発明は、 HLA— A24または一 A2陽性ならびに HER 2/n e u陽性乳 癌患者に対する HER 2/n e uペプチドをベースにした免疫療法に対して扉が 新しく開くことができることが期待される。