明細書 ヌクレオチド誘導体と DNAマイクロアレイ
技術分野 この出願の発明は、 ヌクレオチド配列中の特定塩基種を決定するためのヌクレ ォチド誘導体と、 このヌクレオチド誘導体を含むキヤプチヤープローブを備えた DNAマイクロアレイに関するもので.ある。
背景技術 ポストゲノムの時代を迎え、 ヌクレオチド配列中の塩基種を正確に、 効率よく、 さらには低コストで検出するための新しい技術が求められている。 例えば、 SNP (Single Nucleotide Polymorphism:—塩基多型) はヒトゲノムに約 0.1% (約 1000 塩基に一塩基) の割合で存在する最も頻度の高い多型であり、 その有無が 様々な疾病にも関連することが明らかになりつつあり (例えば肺癌に関する p53遺伝子の SNP :非特許文献 1 ) 、 診断や遺伝的治療法等を目的として SNP の有無を正確に判定すること (SNPタイピング) の重要性が高まりつつある。
SNP タイピングの方法としては、 「ハイブリダィゼ一シヨン効率を利用した 方法」 、 「酵素認識効率を利用した方法」 、 「電気的手法を利用した方法」 等が 知られているが、 特にハイブリダィゼ一シヨン効率を利用した方法は、 DNA マ —イクロアレイ (例えば特許文献 1 一 4、 非特許文献 2、 3参照) への適用が様々 に検討されていおり、 例えば非特許文献 4には DNA マイクロアレイ (マイクロ アレイ) を用いた BRCA1遺伝子 SNPの検出例が報告されている。 しかしながら、 従来の DNAマイクロアレイは、 SNPの検出に限ったことでは
ないか、 通常は標的ヌクレオチド配列を蛍光等によって標識し、 マイクロアレイ のキヤプチヤープローブとハイプリダイズした標的ヌクレオチド配列を蛍光シグ' ナルを指標として検出する。 このため、 例えば標的ヌクレオチド配列の調製には、 標識 dNTPを用いた PCR増幅等の手段が用いられているが、 これには多大な労 力と時間、 費用を必要とする。 また、 SNP 等の検出では'、 プローブと標識ヌク レオチド配列とのハイプリダイゼーションにおける融解温度を指標とする方法が 一般的に採用されているが、 この場合には、 ハイブリダィゼーシヨンのストリン ジエンシー ( stringency) 条件を個々の標的ヌクレオチド配列ごとに厳密に設 定する必要があり、 またそのような条件設定によってもミスハイブリダィゼーシ ョン等による測定誤差が避けられないといった不都合も存在した。 一方、 天然の核酸塩基に蛍光分子を結合させた蛍光修飾核酸塩基が知られてい おり、 例えば非特許文献 5には、 ハイプリダイズした相手鎖の環境によって蛍光 シグナル強度を変化させ蛍光プロ一ブの利用が提案されている。
【特許文献 1】
米国特許第 5,474,796号明細書
【特許文献 2】 '
米国特許第 5,605,662号明細書
【特許文献 3】
国際公開第 95/251 16号パンフレツト
【特許文献 4】
国際公開^ 95/35505号パンフレッ ト
【非特許文献 1】
Biros et al. Neoplasma 48(5):407- l l , 2001
― 【非特許文献 2】
Schena, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93: 10614- 10619, 1996 【非特許文献 3】
Heller, R. A. et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150-2155, 1997
【非特許文献 4】
Hacia JG et al. Nat. Genet. 14:441-447, 1996
【非特許文献 5】
Yamane, A. , Nucleic Acids Res. 30( 19) :e97, 2002 '
発明の開示 前記のとおり、 SNPの検出等における塩基種の決定のためには、 特に DNAマ イクロアレイへの適用を考慮した場合、 標的ヌクレオチド配列の蛍光等による標 識操作を必要とせず、 しかも融解温度測定等の間接的な指標に頼ることのない、 新しい方法が求められている。 そのような観点から、 蛍光修飾核酸塩基を用いた プローブ (例えば非特許文献 5 ) はプローブ側の蛍光シグナルの変化を指標とし て直接的に塩基種を特定可能である点において有効な方法である。 ただし、 この 非特許文献 5の方法の場合には、 蛍光修飾核酸塩基と対合する塩基種の周辺の環 境 (特定の塩基配列等) に応じた蛍光シグナルを指標とするものであり、 一塩基 の種類に応じて蛍光シグナルが変化するものではない。 この出願の発明は、 以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、 ハイブ リダイズした相手鎖の相対する塩基種に応じて蛍光シグナル強度が変化する新し ぃヌクレオチド誘導体を提供することを課題としている。 またこの出願の発明は、 前記のヌクレオチド誘導体を用いた塩基種の決定方法 と、 この方法を測定原理とする DNAマイクロアレイを提供することを課題とし ている。
' この出願の第 1 の発明は、 ピリミジン塩基またはプリン塩基に、 リンカ一を 介して蛍光色素ィン夕一力レー夕一が結合しているヌクレオチド誘導体であって、 1本鎖ヌクレオチド配列のメンバ一として存在し、 この 1本鎖ヌクレオチド配列 がハイプリダイズした相手鎖の相対する塩基が、
アデニンである場合に蛍光色素が最も強く発光するチミン Zゥラシル誘
導体 (1);
グァニンである場合に蛍光色素が最も強く発光するシトシン誘導体 (2); シトシンである場合に蛍光色素が最も強く発光するアデニン誘導体 (3); シトシンまたはチミン /ゥラシルである場合に蛍光色素が最も強く発光 するグァニン誘導体 (4); または '
チミン Zゥラシルである場合に蛍光色素が最も強く発行するアデニン誘 導体 (5)、
である。 この第 1 発明において、 「ヌクレオチド誘導体」 とは、 プリンまたはピリミ ジンが糖に β - Ν-グリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルであるヌク レオチド (ATP、 GTP、 CTP、 UTP; または dATP、 dGTP、 dCTP、 dTTP) の 任意位置にアルキレン鎖を介して蛍光色素ィンタ一力レー夕一を結合した化合物 である。 また、 このヌクレオチド誘導体が 「 1本鎖ヌクレオチド配列のメンバ一 として存在する」 とは、 3 ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列中の端部ではな い位置に、 ヌクレオチド誘導体がその左右のヌクレオチドとホスホジエステル結 合した状態を言う。 さらに、 「蛍光色素が最も強く発光する」 とは、 例えば蛍光 分光光度計で測定した場合、 例えばチミン Zゥラシル誘導体の場合には、 相対す る塩基種がグァニン、 シトシンおよびチミン Zゥラシルである場合に比較して、 アデニンである場合に最も強い蛍光シグナル強度が得られることを意味する。 なお、 以下の説明において 「チミン/ゥラシル」 は単に 「ゥラシル (U) 」 ま たは 「チミン (T) 」 と記載することがある。 この第 1発明の具体例は、 以下の一般式 ( 1)で表されるチミン誘導体(1):
以下の一般式 (2)で表されるシトシン誘導体 (2):
以下の一般式 (3)で表されるアデニン誘導体 (3):
以下の一般式 (4)で表されるグァニン誘導体 (4)
および、 以下の一般式 (5)で表されるアデニン誘導体 (5)
また、 この出願の第 2 の発明は、 前記各ヌクレオチド誘導体の前駆物質の具 体例であって、 それぞれ以下のヌクレオシド誘導体である。 チミン /ゥラシル誘導体(1)の前駆物質であって、 以下の一般式 (6)で表される ヌクレオシド誘導体。
OH R10 シトシン誘導体 (2)の前駆物質であって、 以下の一般式 (7)で表されるヌクレオ シド誘導体。
アデニン誘導体 (3)の前駆物質であって、 以下の一般式 (8)で表されるヌクレオ シド誘導体。
OH 10 グァニン誘導体 (4)の前駆物質であって、 以下の一般式 (9)で表されるヌクレオ シド誘導体。
アデニン誘導体(5)の前駆物質であって、 以下の一般式(10)で表されるヌクレ オシド誘導体。
なお、 以上の一般式(1)~ ( 10)において、 Rい R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7、 R8、 R9は、 同一または別異に、 水素原子または置換基を示し、 R10は水素原子または 水酸基であり、 X はィミノ (NH ). 、 ォキシ (0 ) 、 チォ (S ) 、 メチレン (CH2) およびアルキルアミノ基から選択される連結基であり、 アルキレン鎖長 を表す整数 nは、 Xがメチレンまたはアルキルアミノ基の場合には 0〜5であり、 Xがイミノ、 ォキシまたはチォの場合には 1〜5である。 この出願の第 3の発明は、 前記第 1発明のヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)お よび (4)からなる群より選択される 1 以上のヌクレオチド誘導体をメンバーとし て有する 1本鎖ヌクレオチド配列である。
' この第 3 発明の 1 本鎖ヌクレオチド配列においては、 いずれかのヌクレオチ ド誘導体が複数個存在してもよく、 または 2 種以上のヌクレオチド誘導体が 1 個ずつ、 あるいはそれぞれ複数個存在してもよい。 なお、 前記のとおり、 この 1 本鎖ヌクレオチド配列では、 ヌクレオチド誘導体は 列の端部には存在しない。
この出願の第 4の発明は、 前記第 3発明の 1本鎖ヌクレオチド配列が八イブ リダイズした相手鎖の 1塩基種 Xを決定する方法であって、 1本鎖ヌクレオチド 配列中の、
( i ) チミン誘導体(1)の蛍光色素が最も強く発光した場合の塩基種 Xはアデ二 ン;
( ii ) シトシン誘導体 (2)の蛍光色素が最も強く発光した場合の塩基種 Xはグァ ニン;
(iii) アデニン誘導体 (3)の蛍光色素が最も強く発光した場合の塩基種 Xはシト シン;
( iy) グァニン誘導体 (4)の蛍光色素が最も強く発光した場合の塩基種 Xはシト シンまたはチミン、
と決定する塩基種決定方法である。 この第 4 発明の方法は、 また、 アデニン誘導体 (3)とグァニン誘導体 (4)のそれ ぞれを同一位置に有する 2 本の 1 本鎖ヌクレオチド配列をそれぞれ同一の相手 鎖にハイブリダィズさせ、
( V ) アデニン誘導体 (3)とグァニン誘導体 (4)の両方の蛍光色素が最も強く発 光した場合の相手鎖の塩基種 Xはシトシン;
(VI ) グァニン誘導体 (4)の蛍光色素のみが最も強く発光した場合の相手鎖の塩 基種 Xはチミン、
と決定することを好ましい態様としている。 第 4 発明の前記態様において、 「2 本の 1 本鎖ヌクレオチド配列」 とは、 ヌ クレオチド誘導体 (3) (4)以外は全く同一の塩基配列からなる 2本の 1本鎖ヌクレ ォチド配列を言う。 この出願の第 5の発明は、 前記第 1発明のヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)お よび (5)からなる群より選択される 1 以上のヌクレオチド誘導体をメンバーとし て有する 1本鎖ヌクレオチド配列である。
この出願の第 6 の発明は、 前記第 5発明の 1本鎖ヌクレオチド配列が八イブ リダィズした相手鎖の 1塩基種 Xを決定する方法であって、 1本鎖ヌクレオチド 配列中の、
( i ) チミン ウラシル誘導体(1)の蛍光色素が最も強く発光した場合の塩基 種 Xはアデニン;
( ii ) シ卜シン誘導体 (2)の蛍光色素が最も強く発光した場合の塩基種 Xはグ ァニン;
(iii) アデニン誘導体 (3)の蛍光色素が最も強く発光した塲合の塩基種 Xはシ 卜シン;
(iv) アデニン誘導体 (5)の蛍光色素が最も強く発光した場合の塩基種 X はチ ミン ウラシル、
と決定する塩基種決定方法である。 この出願の第 7の発明は、 前記第 3発明の 1本鎖ヌクレオチド配列をキヤプ チヤ一プローブとする DNAマイクロアレイである。 前記第 7発明の DNAマイクロアレイは、 標的ヌクレオチド配列の 1塩基多型 (SNP) を検出する DNAマイクロアレイであって、 キヤプチヤープローブのセ ットは、 標的ヌクレオチド配列の少なくとも SNP ヌクレオチドを含む領域と相 補的であるが、 個々のキヤプチヤープローブは、 標的ヌクレオチド配列の SNP ヌクレオチドと対応する位置のヌクレオチドがそれぞれヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)および (4)であることを一つの態様としている。 前記第 7発明の DNAマイクロアレイは、 また、 配列が未知である n (n= 3~ 100) 個のヌクレオチド配列を決定する DNA マイクロアレイであって、 キヤプ —チヤ一プロ一ブは、 ヌクレオチド配列が全て異なる少なくとも 4n個のセッ トで あり、 個々のキヤプチヤープロ一ブは第 1位から第 n位までの少なくとも 1 つ がヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)および (4)であることを別の態様としている。 前記第 7発明の DNAマイクロアレイは、 さらに、 標的ヌクレオチド配列中に、
n (n= 3~ 100) 個のヌクレオチドからなる既知配列領域と相同の領域が存在す るか否かを検出する DNA マイクロアレイであって、 キヤプチヤープロ一プのセ ットは、 標的ヌクレオチド配列中の既知配列領域と相補的であるが、 個々のキヤ プチヤープローブは第 1 位から第 n位までの少なくとも一つがヌクレオチド誘 導体(1)、 (2)、 (3)および (4)であることをさらに別の態様としている。 前記第 7発明の DNAマイクロアレイは、 またさらに、 n (n= 3~ 100) 個の ヌクレオチドからなる未知配列領域と既知配列領域とを有する標的ヌクレオチド 配列の未知配列領域の配列を決定する DNAマイクロアレイであって、 キヤプチ ヤープローブのセットは、 標的ヌクレオチド配列中の既知配列領域に対する相補 配列と、 ヌクレオチド配列が全て異なるプローブ配列領域とを有する少なくとも 4n個のセットであり、 各プローブ配列領域の第 1位から第 n 位までの少なくと も 1 つがヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)および (4)であることをさらにまた別 の態様としている。 この出願の第 8の発明は、 前記第 5発明の 1 本鎖ヌクレオチド配列をキヤプ チヤ一プローブとする DNA マイグロアレイである。 そしてこの第 8 発明の DNAマイクロアレイもまた、 前記第 7発明の DNAマイクロアレイと同様の具 体的態様を備えている。 この出願の第 9の発明は、 前記第 3発明または第 5発明の 1本鎖ヌクレオチ ド配列を、 配列既知の標的ヌクレオチド配列にハイブリダィズさせ、 1 本鎖ヌク レオチド配列のヌクレオチド誘導体の蛍光強度を測定することを含む、 標的ヌク レオチド配列の定量方法である。
― この出願の各発明における具体的構成、 用語や概念は、 発明の実施形態の説明 や実施例において詳しく規定する。 またこの発明を実施するために使用する様々 な技術は、 特にその出典を明示した技術を除いては、 公知の文献等に基づいて当 業者であれば容易かつ確実に実施可能である。 例えば、 遺伝子工学および分子生 物学的技術は Sambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory
Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Aus bel, F. M. et al., Current Protocols in. Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている。 - 発明の効果 前記の第 1 発明によれば、 八イブリダィズした相手鎖の相対する塩基種に応 じて蛍光シグナル強度が変化する新しいヌクレオチド誘導体が提供される。 標的 ヌクレオチド配列の標識操作を必要とせず、 しかも融解温度測定等の間接的な指 標に頼ることなく、 キヤプチヤープローブの発する蛍光強度を直接測定すること によって標的ヌクレオチド配列の所定の塩基種を判定することが可能となる。 ま たこの発明のヌクレオチド誘導体は、 塩基種の周辺の環境 (特定の塩基配列等) に応じた蛍光シグナルを指標とするものではなく、 対合する塩基の種類にのみ応 じて蛍光シグナルが変化するため、 標的配列がどのような配列あっても適応する ことができる。 前記の第 2 発明によれば、 前記第 1 発明のヌクレオチド誘導体の前駆体であ るヌクレオシド誘導体が提供される。 このヌクレオシド誘導体を用いることによ つて前記第 1発明のヌクレオチド誘導体を容易に作成することができる。 前記第 3発明および第 4発明によれば、 前記第 1発明のヌクレオチド誘導体 を有する 1 本鎖ヌクレオチド配列が提供され、 このヌクレオチド配列をプロ一 ブとすることによって、 標的ヌクレオチド配列中の未知塩基の塩基種を決定する こと等が可能となる。 前記の第 5発明および第 6発明によれば、 前記第 3発明および第 5発明の 1 本鎖ヌクレオチド配列をプローブとして使用することによって、 標的ヌクレオチ ド配列中の未知塩基の塩基種を決定する方法が提供される。 この方法はプローブ の蛍光強度を指標として簡便かつ確実に未知塩基種を決定することを可能とする。
前記の第 7発明および第 8発明によれば、 前記第 3発明および第 5発明の 1 本鎖ヌクレオチド配列をキヤプチヤープローブとする DNA マイクロアレイが提 供される。 これによつて、 標的ヌクレオチド配列の 1塩基多型 (SNP) 、 配列未 知のヌクレオチド配列の配列決定、 標的ヌクレオチド配列中の既知配列領域と相 同の領域の存在等を、 キヤプチヤープローブの蛍光強度を指標として簡便かつ確 実に行うことが可能となる。 前記第 9 発明によれば、 試料中に含まれる標的ヌクレオチド配列の量を、 プ ローブヌクレオチド配列の蛍光強度を指標として簡便かつ果実に定量することが 可能となる。 図面の簡単な説明 図 1 は、 第 3 位に未知の塩基種 Xを含む標的ヌクレオチド配列に対して、 そ れぞれ第 3 位にヌクレオチド誘導体を有するプローブ配列をハイブリダィズさ せて塩基種 X を決定した例を示す。 T 誘導体を有するプローブ配列が最も強い 蛍光シグナルを発するため、 標的ヌクレオチド配列の未知塩基種 X はアデニン であると決定することができる。 . 図 2は、 第 3位に未知の塩基種 Xを含む標的ヌクレオチド配列に対して、 そ れぞれ第 3位に A誘導体および G誘導体を有するプローブ配列を八ィプリダイ ズさせて塩基種 Xを決定した例を示す。 上段では A誘導体および G誘導体を有 するプローブ配列が最も強い蛍光シグナルを発するため、 標的ヌクレオチド配列 の未知塩基種 Xはシトシンであると決定することができる。 下段では G誘導体 ―を有するプローブ配列が最も強い蛍光シグナルを発するため、 標的ヌクレオチド 配列の未知塩基種 Xはチミンであると決定することができる。 図 3は、 第 4位に G/A多型を含む標的 2本鎖ヌクレオチド配列に対して、 そ れぞれ第 4 位にヌクレオチド誘導体を有するプローブ配列をハイブリダィズさ
せて G/A 多型を決定した例を示す。 上段に示した G/G ホモ接合の塲合には当 該位置に C 誘導体を含むプローブが強い蛍光シグナルを発し、 中段に示した G/Aヘテロ接合の場合には C誘導体を含むプローブと T誘導体を含むプローブ が強いシグナルを発する。 また下段に示した A/A ホモ接合体の場合には、 T 誘 導体を含むキヤプチヤープロ一ブから強いシグナルが得られる。 図 4は、 配列未知の 6 merオリゴヌクレオチド (NNNNNN) の塩基配列を決 定した例を示す。 第 1位の Xに対して当該位置に T誘導体を含むキヤプチヤー プローブから強いシグナルが得られたことからこのオリゴヌクレオチドの第 1位 X はチミン (T)と相補結合するアデニン (A)であると決定される。 同様にして第 2 〜6位までを調べることによって、 この 6 merオリゴヌクレオチドは AGGCGA からなる配列であると決定される。 図 5 は、 標的ヌクレオチド配列が目的の既知配列領域に対して一部が不一致 である場合にその不一致塩基を決定した例を示す。 第 3 位に T 誘導体を有する プローブと第 6位に C 誘導体を有するプローブがそれぞれ強いシグナルを発す ることから、 標的ヌクレオチド配列の第 3位が Aに置換し、 第 6位が Gに置換 していることが判明する。 図 6 .は、 この発明のヌクレオチド誘導体の一例 (PyU(5)、 PyC(5)) の合成ェ 程である。 Pyは l-pyrenyl、 DMTrは 4,4,-dimethoxytritylである。 図 7 は、 この発明のヌクレオチド誘導体の一例 (PyA(7)) の合成工程である。 P は l-pyrenyl、 DMTrは 4,4,-dimethoxytritylである。
― 図 8 は、 この発明のヌクレオチド誘導体の一例 (PyG(8)) の合成工程である。 図 9 は蛍光スぺクトルであり、 ヌクレオチド誘導体 PyC(5)含有オリゴデォキ シリポヌクレオチド (配列番号 1) は、 相補鎖 (配 番号 50) 上の PyC(5)と対 合するヌクレオチドがデォキシグァニル酸 (G) である場合には強い発光シグナ
ルを発することを示す。 図 10 は別の蛍光スペクトルであり、 ヌクレオチド誘導体 PyC(5)含有オリゴ デォキシリポヌクレオチド (配列番号 6 ) は、 相補鎖 (配列番号 51 ) 上の PyC(5)と対合するヌクレオチドがデォキシグァニル酸 (G) である場合には強い 発光シグナルを発することを示す。 図 1 1 は蛍光スペクトルであり、 ヌクレオチド誘導体 PyU(5)含有オリゴデォ キシリポヌクレオチド (配列番号 1 1) は、 相補鎖 (配列番号 50) 上の PyU(5) と対合するヌクレオチドがデォキシグァニル酸 (A) である場合には強い発光シ グナルを発することを示す。 図 12は、 図 11に示した結果の蛍光写真像である。 図 13 は蛍光スペクトルであり、 ヌクレオチド誘導体 PyU(5)含有オリゴデォ キシリポヌクレオチド (配列番号 12) は、 相補鎖 (配列番号 51) 上の PyU(5) と対合するヌクレオチドがデォキシグァニル酸 (A) である場合には強い発光シ グナルを発することを示す。 図 14 は蛍光スペクトルであり、 ヌクレオチド誘導体 PyA(7)含有オリゴデォ キシリポヌクレオチド (配列番号 13) は、 相補鎖 (配列番号 50) 上の PyA(7) と対合するヌクレオチドがデォキシシチジル酸 (C) である場合には強い発光シ グナルを発することを示す。 図 15 は蛍光スペクトルであり、 ヌクレオチド誘導体 PyG(8)含有オリゴデォ 'キシリポヌクレオチドは、 相補鎖上の PyG(8)と対合するヌクレオチドがデォキ シシチジル酸 (C) である場合と、 デォキシチミジル酸 (T) である場合には強 い発光シグナルを発することを示す。 図 16 は、 この発明のヌクレオチド誘導体の一例 (PvA(8)) の合成工程である。
DMTrは 4,4,-dimethoxytritylである。 図 17 は蛍光スペクトルであり、 ヌクレオチド誘導体 PyA(8)含有オリゴデォ キシリポヌクレオチド (配列番号 32) は、 相補鎖 (配列番号 51) 上の PyA(8) と対合するヌクレオチドがデォキシチミジル酸 (T) である場合には強い発光シ グナルを発することを示す。 図 18 は、 この発明のヌクレオチド誘導体を含むプローブ DNA と八イブリダ ィズしたサンプル濃度と蛍光強度との関係を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態 第 1 発明は、 ピリミジン塩基またはプリン塩基に、 リンカ一を介して蛍光色 素インターカレ一夕一が結合しているヌクレオチド誘導体であって、 1 本鎖ヌク レオチド配列のメンバ一として存在し、 この 1 本鎖ヌクレオチド配列がハイブ リダイズした相手鎖の相対する特定の塩基種を認識して、 他の塩基種と比較して 相対的に強い蛍光シグナルを発することを特徴としている。 具体的には、
アデニン (A)を認識するチミン (T)誘導体(1);
グァニン (G)を認識するシトシン (C)誘導体 (2);
シトシン (C)を認識するアデニン (A)誘導体 (3);
シトシン (C)またはチミン (T)を認識するグァニン (G)誘導体 (4);および チミン (T)を認識するアデニン (A)誘導体 (5)、
である。
「蛍光色素インタ一カレーター」 は、 2本鎖ヌクレオチド配列の隣接したヌク レオチド対間に挿入することのできる物質であって、 かつ蛍光を発する物質であ る。 このような物質しては、 蛍光シグナルを発し、 かつインターカレーシヨンを 生じさせるピレン (1-pyrenyl) 、 アントラセン、 ナフ夕レン等を使用すること ができる。 あるいはまた、 公知のイン夕一カレ一ターに、 同じく公知の蛍光物質
を結合させたものを使用することもできる。 インターカレー夕一としては、 例え ば、 ァクリジンオレンジ、 プロフラビン、 臭化工チジゥム、 ァクチノマイシン D 等の芳香族色素分子を使用することができる。 また蛍光物質としては、 例え ばフルォレセインイソチオシァネート(FITC)、 ローダミン誘導体 (例えばローダ ミン B イソチオシァネート、 テトラメチルローダミンイソチオシァネ一ト (RITC)、 テトラメチルローダミンイソチオシァネートアイゾマー R) 等を使用す ることができる。 またインターカレーターと蛍光物質との結合は、 チオール基と マレイミド基の反^、 ピリジルジスルフイ ド基とチオール基の反応、 ァミノ基と アルデヒド基の反応などを利用して行うことができ、 公知の方法あるいは当該分 野の当業者が容易になしうる方法、 さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜 選択して適用できる。 ピリミジン塩基またはプリン塩基にイン夕一力レ一夕一を連結するための 「リ ンカー」 は、 例えば炭素鎖やポリマー等を使用することができる。 さらに、 リン カーを介してインタ一力レー夕一を連結するピリミジン塩基またはプリン塩基の 位置は、 それぞれの非置換炭素位置から任意に選択して使用することができる。 すなわち、 ピリミジン塩基の場合には第 4位または第 5 位であり、 プリン塩基 の場合には第 7位または第 8位である。 このようなヌクレオチド誘導体は、 より具体的には、 それぞれ前記の一般式 ( 1)~ (5)でそれぞれ示すことができる。 すなわち、 式(1)はピリミジン塩基第 5位 置換の T誘導体、 式 (2)はピリミジン塩基第 5位置換の C誘導体、 式 (3)はプリン 塩基第 7位置換の A誘導体、 式 (4)はプリン塩基第 8位置換の G誘導体、 そして 式 (5)はプリン塩基第 8 位置換の A 誘導体である。 なお、 式(1)〜(4)のヌクレオ チド誘導体は、 リンカ一部が 3 重結合であるのに対して、 式 (5)のヌクレオチド 誘導体のリンカ一部は直鎖状である。 以下の記載において、 蛍光色素イン夕一力 レーターとしてピレン (Py) を使用した場合、 式(1)〜(5)のヌクレオチド誘導体 はそれぞれ、 PyU(5)、 PyC(5)、 PyA(7)、 PyG(8)、 PyA(8)と記載することがある。 また、 前記一般式(1)〜(5)に示したヌクレオチド誘導体とは別に、 チミン (T)の
みを選択的に認識するヌクレオチド誘導体として、 以下の一般式(18)で示すこと ができるグァニン (G)誘導体を例示することができる。 この式(18)の G 誘導体は、 前記式 (4)の G 誘導体と同一の基本構造を有するが、 式 (4)の G 誘導体のリンカ 一部が 3重結合であるのに対して、 式(18)の G誘導体のリンカ一部は式 (5)の A 誘導体と同様に直鎖状である。 従って、 式(18)の G誘導 は、 式 (4)の G誘導体 の変形であり、 また式 (5)の A誘導体の変形でもある。
これらのヌクレオチド誘導体は、 ピリミジン塩基またはプリン塩基、 リンカ一、 および適宜な蛍光色素インターカレ一ターを使用し、 例えば後記実施例に記載し た方法によって合成することができる。 また前記の一般式(1)〜(5)に示したヌク レオチド誘導体の場合には、 前記の一般式 (6) ~ ( 10)でそれぞれ表されるヌクレ オシド誘導体を前駆体とすることによって、 容易に作成することができる。 また、 ' 式(18)の G誘導体の場合には、 下記式(19)のヌクレオシド誘導体を前駆体とする こともできる。
OH R1Q なお、 一般式(1)〜(10)、 (18)、 (19)において、 Rい R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7、 R8、 R9は、 同一または別異に、 水素原子または置換基を示し、 R10は水素原子 または水酸基であり、 Xはィ.ミノ (NH) 、 ォキシ (O) 、 チォ (S) 、 メチレン (CH2) およびアルキルアミノ基から選択される連結基であり、 アルキレン鎖長 を表す整数 nは、 Xがメチレンまたはアルキルアミノ基の場合には 0〜5であり、 Xがィミノ、 ォキシまたはチォの場合には 1~ 5である。 このうち、 1¾ぃ R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7、 R8、 R9の置換基は、 ハロゲン原子、 含酸素基、 含窒素基、 含 硫黄基、 およびこれらの原子や置換基を有してもよい炭素水素基もしくは複素環 基などである。 さらに詳しくは、 置換基は、 ハロゲン原子、 アルコキシ基、 エス テル基、 アミノ基、 置換アミノ基、 ニトロ基、 アミド基、 シァノ基、 カルバメー ト基、 ウレイド基、 チオール基、 チォエーテル基、 チォエステル基などである。 また、 Rい R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7および R8が同時に水素原子であることな く、 1^、 R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7、 R8、 R9の隣接するもの同士が結合して置 換基を有してもよいフエ二ル基を形成してもよい。 さらに、 前記式(1) ~ ( 10)における X については、 具体的には以下の式(1 1) ~
( 17)の連結基を例示することができる。 またこの Xで表される連結基が存在せず、 ピリミジン塩基またはプリン塩基と蛍光色素ィン夕一力レー夕一とがリンカーを 介して直接に連結されていてもよい。
0
II ,
-C-0- (11)
0
II
■C- N H - (12)
0
II
C- (13)
0
II
■C- S (14)
一 0— (15)
- N H- (16)
一 S - (17) 第 3発明の 1本鎖ヌクレオチド配列は、 前記のヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)および (4)からなる群より選択される 1以上のヌクレオチド誘導体を、 それぞ れ 1個または複数個有する 3〜200個、 好ましくは 10〜100個のヌクレオチド の配列 (オリゴヌクレオチド、 またはヌクレオチド断片) である。 また、 第 5 発明の 1本鎖ヌクレオチド配列は、 前記のヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)およ び (5)からなる群より選択される 1以上のヌクレオチド誘導体を、 それぞれ 1 個
または複数個有する 3~200個、 好ましくは 10〜100個のヌクレオチドの配列 である。 このような 1本鎖ヌクレオチド配列は、 例えば、 Carruthers ( 1982) Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 47:41 1-418; Adams ( 1983 ) J. Am. Chem. Soc. 105:661 ; Belousov ( 1997) Nucleic Acid Res. 25:3440- 3444; Frenkel ( 1995 ) Free Radic. Biol. Med. 19 :373-380; Blommers ( 1994 ) Biochemistry 33:7886-7896 ; Narang ( 1979 ) Meth. Enzymol. 68:90; Brown ( 1979 ) Meth. Enzymol. 68: 109; Beaucage ( 1981 ) Tetra. Lett. 22: 1859 ; 米国特許第 4,458,066号に記載されているような周知の化学合 成技術により、 in / Ό において合成することができる。 また、 DNA 合成装置 を用いて自動的に合成することもできる。 以上の 1 本鎖ヌクレオチド配列を利用することによって、 この出願の第 4 発 明および第 6発明の塩基種決定方法を実施することができる。 この第 4発明の方法は、 未知塩基種 X を含む標的ヌクレオチド配列と、 塩基 種 Xの同一の位置にヌクレオチド誘導体を有する第 3発明の 1本鎖ヌクレオチ ド配列 (以下 「プローブ配列」 と記載することがある) とをハイブリダィズさせ、 ヌクレオチド誘導体(1)〜(4)のそれぞれの蛍光色素が最も強く蛍光シグナルを発 した場合、 塩基種 Xを以下のとおりに決定する。
( i ) T誘導体 ( 1)の蛍光色素が最も強く発光した場合はアデニン;
( ii ) c誘導体 (2)の蛍光色素が最も強く発光した場合はグァニン;
( iii ) A誘導体 (3)の蛍光色素が最も強く発光した場合はシトシン;
( iv) G誘導体 (4)の蛍光色素が最も強く発光した場合はシトシンまたはチミン。 この場合の 「最も強く発光する」 とは、 例えば、 PyU(5)の場合には他のヌク ' レオチドと比較して約 3 倍以上、 PyC(5)の場合には 1.5 倍以上、 PyA(7)の場合 には 2.5倍以上、 PyG(8)の場合には 2倍以上の発光シグナルが観察された場合 に、 それぞれが対合した塩基種を前記のとおりに決定することができる。 具体的には、 例えば、 図 1 に示した例では、 第 3位に未知の塩基種 Xを含む
標的ヌクレオチド配列に対して、 それぞれ第 3位に A誘導体 (3)、 T誘導体(1)、 G 誘導体 (3)、 C 誘導体 (2)を有するプローブ配列を用意し、 それぞれのプローブ 配列を標的ヌクレオチド配列に八イブリダィズさせれば、 T 誘導体(1)を有する プローブ配列が最も強い蛍光シグナルを発するため、 標的ヌクレオチド配列の未 知塩基種 Xはアデニンであると決定することができる。 ただし、 前記第 4発明の方法では、 A誘導体 (3)と G誘導体 (4)は共にシ卜シン を認識し、 G 誘導体 (4)はシトシンとチミンをそれぞれ認識してしまう。 このた め、 第 4発明の方法は、 例えば図 2に示したように、 A誘導体 (3)と G誘導体 (4) のそれぞれを同一位置に有する 2 本.の 1 本鎖ヌクレオチド配列をそれぞれ同一 の相手鎖にハイプリダイズさせ、 それぞれの蛍光シグナル強度の組み合わせによ つて以下のとおりに塩基種 Xを決定する。
( V ) A 誘導体 (3)と G 誘導体 (4)の両方の蛍光色素が最も強く発光した場合は シ卜シン。
(vi ) G誘導体 (4)の蛍光色素のみが最も強く発光した場合はチミン。 一方、 第 6 発明の方法は、 ヌクレオチド誘導体(1)、 (2)、 (3)および (4)を含む 第 5発明の一本鎖ヌクレオチド配列を使用する方法であり、 以下のとおりに、 1 対 1の対応で標的ヌクレオチド配列の未知塩基種 Xを決定することができる。
( i ) T誘導体 (1)の蛍光色素が最も強く発光した場合はアデニン ;
( ii ) c誘導体 (2)の蛍光色素が最も強く発光した場合はグァニン ;
( iii) A誘導.体 (3)の蛍光色素が最も強く発光した場合はシトシン;
( iv) A誘導体 (5)の蛍光色素が最も強く発光した場合はチミン。 以上の方法によって、 標的ヌクレオチド配列中の SNP の検出、 未知配列の配 —列決定、 既知配列領域と相同の領域の存否、 あるいは既知配列領域内の未知配列 の配列決定等が可能となる。 これらは、 前記のプローブ配列を用いた一般的なハ ィプリダイゼ一ションアツセィとして実施することもできるが、 特に前記のプロ —ブ配列をキヤプチヤープローブとする DNAマイクロアレイにおいて実施する ことができる。
さらには、 前記 A誘導体 (5)に変えて、 G 誘導体(1 )を用いることによってチ ミンを判定することもできる。 第 7発明および第 8発明の DNAマイクロアレイは、 それぞれ前記第 3発明お よび第 5 発明の 1 本鎖ヌクレオチド配列をキヤプチヤープローブとすることを 除き、 通常の DNA マイクロアレイと同様にして作製することができる。 DNA マイクロアレイの作製方法としては、 固相担体表面で直接キヤプチヤープローブ を合成する方法 (オン ·チップ法) と、 予め調製したキヤプチヤープローブを固 相担体表面に固定する方法とが知られているが、 この発明の DNA マイクロアレ ィは後者の方法で作製することが好ましい。 予め調製したキヤプチヤープローブ を固相担体表面に固定する場合には、 官能基を導入したキヤプチヤープローブを 合成し、 表面処理した固相担体表面にキヤプチヤープローブを点着し、 共有結合 させる (例えば、 Lamture, J.B. et al. Nucl. Acids Res. 22:2121-2125, 1994; Guo, Z. et al. Nucl. Acids Res. 22:5456-5465, 1994) 。 キヤプチャ —プローブは、 一般的には、 表面処理した固相担体にスぺ一サーゃクロスリンカ —を介して共有結合させる。 ガラス表面にポリアクリルアミドゲルの微小片を整 列させ、 そこにキヤプチヤープローブを共有結合させる方法も知られている (Yershov, G. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4913, 1996) 。 また、 シ リカマイクロアレイ上に微小電極のアレイを作製し、 電極上にはストレプトアビ ジンを含むァガロースの浸透層を設けて反応部位とし、 この部位をプラスに荷電 させることでピオチン化キヤプチヤープローブを固定し、 部位の荷電を制御する ことで、 高速で厳密なハイブリダィゼーションを可能にする方法も知られている ( Sosnowski, R.G. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 1 1 19- 1 123, 1997) 。 この発明の DNA マイクロアレイは、 以上のいずれの方法によっても '作製することができる。 また、 この DNAマイクロアレイと標的ヌクレオチド配列とのハイブリダイゼ ーションも通常の DNAマイクロアレイと同様に行うことができる。 すなわち、 標的ヌクレオチド配列を DNA マイクロアレイに接触させ、 DNA マイクロアレ
ィのキヤプチヤープローブにハイプリダイズさせる。 ハイブリダィゼ一シヨンは、 96穴もしくは 384穴プラスチックプレートに分注して標識 cDNA水性液を、 マ イクロアレイ上に点着することによって実施することができる。 点着の量は、 1 - 100 nl 程度とすることができる。 ハイプリダイゼーシヨンは、 室温〜 70"Cの 温度範囲で、 6〜20 時間の範囲で実施することが好ましい。 ハイブリダィゼー シヨン終了後、 界面活性剤と緩衝液との混合溶液を用いて洗浄を行い、 未反応の 標識 cDNA を除去する。 界面活性剤としては、 ドデシル硫酸ナトリ ウム ( SDS) を用いることが好ましい。 緩衝液としては、 クェン酸緩衝液、 リン酸 緩衝液、 ホウ酸緩衝液、 トリス緩衝液、 グッド緩衝液等を用いることができるが、 クェン酸緩衝液を用いることが好ましい。 ただし、 この発明の DNAマイクロアレイの場合には、 標的ヌクレオチド配列 を八イブリダイズしたキヤプチヤープロ一ブが蛍光シグナルを発するため、 通常 の DNAマイクロアレイのように標的ヌクレオチド配列に標識ラベル等を付加す る必要はない。 この第 7発明および第 8発明の DNAマイクロアレイの一つの靠様は、 標的ヌ クレオチド配列の 1塩基多型 (SNP) を検出するための DNAマイクロアレイで ある。 すなわち、 この DNAマイクロアレイのキヤプチヤープローブのセットは、 標的ヌクレオチド配列の少なくとも SNP ヌクレオチドを含む領域と相補的であ るが、 個々のキヤプチヤープローブは、 標的ヌクレオチド配列の SNP ヌクレオ チドと対応する位置のヌクレオチドがそれぞれに異なるヌクレオチド誘導体であ る。 従って、 キヤプチヤープローブ中のヌクレオチド誘導 が発する蛍光シグナ ル強度を指標として、 標的オリゴヌクレオチド配列の SNP を検出することがで きる。 例えば図 3に示したような G/A多型の場合には、 G/Gホモ接合の場合に " は当該位置に C 誘導体を含むキヤプチヤープローブが強い蛍光シグナルを発し、 G/Aヘテロ接合の場合には C誘導体を含むキヤプチヤープローブと T誘導体を 含むキヤプチヤープローブが強いシグナルを発する。 また A/A ホモ接合体の場 合には、 T誘導体を含むキヤプチヤープローブから強いシグナルが得られる。
この発明の DNA マイクロアレイにおける別の態様は、 配列が未知である η (η = 3〜100) 個のヌクレオチド配列を決定するための DNAマイクロアレイで ある。 すなわち、 この DNAマイクロアレイにおいて、 キヤプチャ一プローブは、 ヌクレオチド配列が全て異なる少なくとも 4η個のセットであり、 個々のキヤプ チヤ一プロ一プは第 1位から第 η 位までが順次に異なるヌクレオチド誘導体で あることを特徴としている。 例えば、 図 4 に例示したような配列未知の 6 mer オリゴヌクレオチド (NNNNNN) の場合、 第 1位の Xに対して当該位置に T誘 導体を含むキヤプチヤープローブから強いシグナルが得られた場合、 このオリゴ ヌクレオチドの第 1位 Xは、 チミン (T)と相補結合するアデニン (A)である。 同様 にして第 2〜6 位までを調べることによって、 この 6 mer オリゴヌクレオチド NNNNNN は AGGCGAからなる配列であると決定することができる。 また図 2 に示したような A誘導体 (3)と G誘導体 (4)との蛍光の比較によって、 チミン (T) を含む未知配列を決定することもできる。 また、 A誘導体 (3)と A誘導体 (5)の使 用によって、 シトシンとチミンを直接的に区別することもできる。 なお、 通常の シークェンサ一では短鎖 (3〜100) のオリゴヌクレオチドの配列決定は不可能 であるが、 この発明の DNAマイクロアレイを用いることによって、 短鎖オリゴ ヌクレオチドの配列を簡便かつ正確に決定することが可能となる。 この発明の DNA マイクロアレイのさらに別の態様は、 標的ヌクレオチド配列 中に、 n (n= 3~ 100) 個のヌクレオチドからなる既知配列領域 (ドメインゃモ チーフ) と相同の領域が存在するか否かを検出するための DNA マイクロアレイ である。 すなわち、 この DNAマイクロアレイにおけるキヤプチヤープローブの セットは、 既知配列領域と相補的であるが、 個々のキヤプチヤ一プローブは第 1 位から第 n 位までが順次に異なるヌクレオチド誘導体であることを特徴として いる。 従って、 例えば、 標的ヌクレオチド配列が目的の既知配列領域と全く相同 ' の配列を有している場合、 既知配列のそれぞれに対応する位置に所定のヌクレオ チド誘導体を含む全てのキヤプチャ一プローブから強いシグナルが得られる。 一 方、 図 5に例示したように、 第 3位が Aに置換し、 第 6位が Gに置換している 配列の場合には、 第 3位に T誘導体(1)を含むキヤプチヤープローブと、 第 6位 に C 誘導体 (2)を有するキヤプチヤープローブがそれぞれ強いシグナルを発する。
これによつて、 既知配列領域と完全に一致する配列の存在だけでなく、 一部が不 一致である相同配列の存在をも簡便かつ容易に検出することが可能である。 さらに、 この発明の DNA マイクロアレイの別の態様は、 n (n = 3~ 100) 個 のヌクレオチドからなる未知配列領域と既知配列領域とを有する標的ヌクレオチ ド配列の未知配列領域の配列を決定することを目的とする DNA マイクロアレイ である。 すなわちこの DNA マイクロアレイにおいて、 キヤプチャ一プローブの セットは、 標的ヌクレオチド配列中の既知配列領域に対する相補配列と、 ヌクレ ォチド配列が全て異なるプローブ配列領域とを有する少なくとも 4Π個のセット であり、 各プロ一ブ配列領域の第 1位から第 η位までの少なくとも 1 つがヌク レオチド誘導体である。 この場合、 標的ヌクレオチド配列とキヤプチヤープロ一 ブとは、 その既知配列領域の相補性によって Λイブリダィズし、 前記と同様の未 知配列決定用のキヤプチャ一プローブからの蛍光シグナルによって、 その配列が 決定される。 第 9発明の方法は、 前記第 3発明または第 5発明の 1本鎖ヌクレオチド配列 (プローブヌクレオチド配列) を、 配列既知の標的ヌクレオチド配列にハイブリ ダイズさせ、 プローブヌクレオチド配列に含まれるヌクレオチド誘導体の蛍光強 度を測定し、 この蛍光強度を指標として標的ヌクレオチド配列量を定量すること を特徴とする。 すなわち、 後記実施例 13 に示したように、 この発明のヌクレオ チド誘導体を含むプローブと標的ヌクレオチド配列を八ィプリダイズさせた場合 には、 標的ヌクレオチド配列の *に依存して蛍光強度が上昇する。 従って、 例え ば、 定量対象となる標的ヌクレオチド配列と特定プローブをハイブリダイズさせ た塲合の標的ヌクレオチド配列量と蛍光強度に関する検量線を作成しておけば、 測定試料とプローブを接触させた場合の蛍光強度を測定することによって、 試料 '中の標的ヌクレオチド配列の量を正確に決定することができる。 なお、 この第 9 発明の方法は、 後記実施例 13 のような固相系 (DNA マイクロアレイ等を使用 する系) でも、 あるいは液相系で行うことができる。
実施例 以下、 この発明のヌクレオチド誘導体について実施例を示すが、 この発明は以 下の例によって限定されるものではない。
実施例 1
ヌクレオチド誘導体 (PyU(5 PyC(5)、 PyA(7)) の合成 ヌクレオチド誘導体 (PyU(5)、 PyC(5)、 PyA(7) ) を、 図 6および 7に従って、 以下のとおり合成した。 なお、 化合物の番号は図 6 および 7 の番号に対応する。 スキーム i (化合物 2の合成)
プロパルギルアミン(1、 和光純薬)と 1-ピレンカルボン酸(2、 アルドリ ツ チ)(1: 1)を縮合剤 PyBOP( l 当量、 NOVA Biochem)存在下、 Ν,Ν-ジメチルホル ムアミド中で室温で 2.5 時間攪拌し、 抽出、 カラムクロマトグラフィーで精製 後、 生成物 2(91 % ) を得た。 スキーム ii (化合物 4: PvU 1のヌクレオシド誘導体の合成)
3(5-ョード -2'-デォキシゥリジン(シグマ)を 4, 4'-ジメトキシトリチルクロリ ド (東京化成)とピリジン中で攪拌することで得られる)と 2( 1 : 1)を(テトラキス卜リ フエニルホスフィン)パラジウム(0. 15 当量、 和光純薬)、 ヨウ化銅 (0.3 当量、 和 光純薬)、 トリェチルァミン(1 当量、 和光純薬)存在下、 N,N-ジメチルホルムァ ミド中で室温で 10時間攪拌し、 抽出、 カラムクロマトグラフィーで精製後、 生 成物 4(82 % )を得た。 スキーム iii (化合物 5の合成)
4 を 3 %トリクロ口酢酸ージクロロメタン溶液(ダレンリサーチ社)中で室温で 5 分攪拌し、 抽出、 カラムクロマトグラフィーで精製後、 生成物 5(27 % )を得た。
スキーム iv (化合物 6: PvUi51の合成)
4 と 2-シァノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(アルドリッチ 社)(1 : 1)をテ卜ラゾール(1 当量、 同仁化学)存在下、 ァセトニトリル中で室温で 2時間攪拌し、 そのまま DNA合成機に用いた。
'
スキーム V (化合物 8の合成)
5-ョード -2-デォキシシチジン (7、 生化学工業)を Ν,Ν-ジメチルホルムアミド ジェチルァセタール(1 当量、 東京化成) 存在下、 Ν,Ν-ジメチルホルムアミ ド中 で 55度で 2時間攪拌し、.濃縮した。 粗生成物 8は、 次の反応へ供レた。 スキーム vi (化合物 9の合成)
化合物 8 と 4,4'—ジメトキシトリチルクロリ ド(東京化成)(1 : 1)をピリジン中 室温で 1 時間攪拌し、 抽出、 カラムクロマトグラフィーで精製後、 生成物 9(50 % in 2steps)を得た。 ' スキーム vii (化合物 10: PvC(51のヌクレオシド誘導体の合成)
化合物 9と 2( 1 : 1)を(テトラキストリフエニルホスフィン)パラジウム(0. 15 当 量、 和光純薬)、 ヨウ化銅 (0.3当量、 和光純薬)、 トリェチルァミン(1当量、 和光 純薬)存在下、 Ν,Ν-ジメチルホルムアミ ド中で室温で 12 時間攪拌し、 抽出、 力 ラムクロマトグラフィーで精製後、 生成物 10(47 % )を得た。 スキーム viii (化合物 1 1: PvCi5)の合成)
化合物 4 と 2-シァノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(アルド リッチ社)(1 : 1)をテトラゾール(1 当量、 同仁化学)存在下、 ァセトニトリル中で 室温で 2時間攪拌し、 そのまま DNA合成機に用いた。 スキーム ix (化合物 13の合成)
化合物 12(Ramzaeva and Seela, Helv. Chim. Acta78, 1083- 1090( 1995))と 化合物 2( 1 :2)を(テトラキストリフエニルホスフィン)パラジウム(0. 1 当量、 和光 純薬)、 ヨウ化銅 (0.1 当量、 和光純薬)、 卜リエチルァミン (2 当量、 和光純薬)存
在下、 N,N—ジメチルホルムアミド中で室温で 6時間攪拌し、 抽出、 カラムクロ マトグラフィ一で精製後、 生成物 13(88 % )を得た。 スキーム X (化合物 14の合成)
化合物 13 を Ν,Ν-ジメチルホルムアミドジェチルァセタール(1 当量、 東京化 成)存在下、 Ν,Ν-ジメチルホルムアミド中で 50 度で 3時間攪拌し、 濃縮した。 粗生成物は、 次の反応へ供した。 スキーム xi (化合物 15: ΡνΑί71のヌクレオシド誘導体の合成)'
化合物 14 と 4,4'-ジメトキシトリチルクロリ ド(東京化成)(1 : 1)を Ν,Ν-ジメチ ルァミノピリジン触媒量存在下ピリジン中室温で 1 時間攪拌し、 抽出、 カラム クロマトグラフィ一で精製後、 生成物 15(73 % in 2 steps)を得た。 スキーム xii (化合物 16: PvA 1の合成)
化合物 4 と 2-シァノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(アルド リッチ社)(1 : 1)をテ卜ラゾール(1 当量、 同仁化学)存在下、 ァセトニトリル中で 室温で 2時間攪拌し、 そのまま DNA合成機に用いた。
実施例 2
ヌクレオチド誘導体 (PyG(8》) の合成 ヌクレオチド誘導体 (PyG(8) ) を、 図 8に従って、 以下のとおり合成した。 なお、 化合物の番号は図 8の番号に対応する。
' スキーム 1 (化合物 2の合成)
出発材料として 1一プロモピレンを用い、 トリメチルシリルアセチレンと菌頭 カップリングすることにより化合物 1 を得た。 次いで、 メタノール中でナ卜リ ゥムメトキシドにより保護基であるトリメチルシリル基を除去し、 化合物 2 (ピ レンユニット) を得た (収率 70 % ) 。
スキーム 2 (化合物 6: PvG(81のヌクレオシド誘導体の合成)
2'—デォキシグアノシンに N-ブロモスクシンイミドを加え、 水中で反応させ ることにより化合物 3を得た (収率 60 % ) 。 次いで、 化合物 3の糖の 3'位と 5, 位の水酸基を tert-ブリルジメチルシリルクロライドとイミダゾールで tert-プリ ルジメチルシリル基により保護した後、 化合物 2 と菌頭カップリングを行い化 合物 5を得た (収率 61 % ) 。 TBAFにより化合物 5の水酸基保護基である tert- ブリルジメチルシリル基を除去したモノマ—としての化合物 6 を得た (収率 60 % ) 。 スキーム 3 (化合物 10: PvG(8)の合成)
化合物 3を DMF中、 DMFジェチルァセ夕一ルと反応させ、 化合物 7を得た。 4,4,-ジメトキシトリチルク口ライドにより化合物 7の 5,位の水酸基に 4,4'-ジメ トキシトリチル基を導入して化合物 8 を得た (収率 22 % ) 。 菌頭カップリング によりこの化合物 8の 8位に化合物 2を導入し、 化合物 9を得た (収率 58 % ) 。 最後に、 ァセトニトリルとジクロロメタン中で Ν,Ν,Ν,,Ν'-テトライソプロピル シァノェチルホスホロジアミダイトとテトラゾ一ルを酸性活性化剤として反応さ せ、 アミダイトュニットである化合物 10 を合成した。 これを 0. 1Mァセトニト リル溶液として DNA合成機に供した。
実施例 3
オリゴデォキシリボヌクレオチドの合成 実施例 1 で作成したヌクレオチド誘導体 (PyU(5)、 PyC(5)、 PyA(7)) 、 およ ' び実施例 2 で作成したヌクレオチド誘導体 (PyG(8)) を用いて、 ヌクレオチド 誘導体含有のオリゴデォキシリポヌクレオチドを合成した。 オリゴデォキシリポ ヌクレオチドは、 アプライ ドバイオシステムズ社の 392DNA/RNA 合成機で通 常のホスホロアミダイト法に従って合成された。 固相担体からの切り出し及び脱 保護は、 25 %アンモニア中何度何時間インキュベーションすることによって業
われ、 その後高速液体クロマトグラフィ一によつて精製された。
実施例 4
PyC(5>含有オリゴデォキシリボヌクレオチド (1) の蛍光分析 実施例 3 により得られた PyC(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチド(5'- CGCAACPvCCAACGC-3':配列番号 1 1を 2.5 [i M となるように、 0.1M塩化ナ トリウムを含む 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。 こ の溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて約 25"Cで測定したところ、 励起波長 329nm、 発光波長 400nmであり、 400nmにおける蛍光強度は、 7.0 であった。
上記溶液に、 PyC(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドと PyC(5)以外の部 分が相補的な、 別途合成したオリゴデォキシリポヌクレオチド :
(Α'); 5'-GCGTTGAGTTGCG-3' (配列番号 2)、
(Τ'); 5'-GCGTTGTGTTGCG- 3' (配列番号 3)、
(G'); 5'-GCGTTGGGTTGCG-3' (配列番号 4)、
(C); 5'-GCGTTGCGTTGCG-3' (配列番号 5)
をそれぞれ 2.5 Mとなるように添加し、 ポルテックスミキサーにて混合した。 これらの溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、 ォ リゴデォキシリポヌクレオチド (Α')を加えた場合には、 400nm における蛍光強 度は 4. 1 であった。 オリゴデォキシリポヌクレオチド( )を加えた場合には、 400nm における蛍光強度は 2.6 であり、 オリゴデォキシリポヌクレオチド(G') を加えた場合には、 400nm における蛍光強度は 18.3 であり、 オリゴデォキシ リポヌクレオチド(C')を加えた場合には、 400nm における蛍光強度は 1.4 であ つた。
このように、 PyC(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドは、 相補鎖上の PyC(5)と対合するヌクレオチドがデォキシグァニル酸である場合には強い発光 が観測されたのに比べて、 デォキシアデニル酸である場合には蛍光が 78 %消光 し、 デォキシチミジル酸である場合には蛍光が 86 %消光し、 デォキシシチジル
酸である場合には蛍光が 92 %消光した。 蛍光スぺクトルを図 9に示す。
実施例 5
PyC(5>含有オリゴデォキシリボヌクレオチド(2)の蛍光分析 実実施施例例 33 にによよりり得得らられれたた PPyyCC((55))含含有有オオリリゴゴデデォォキキシシリリボボヌヌククレレオオチチドド ((55''-- CCGGCCAAAATTPPxxCCTTAAAACCGGCC--33''::配配列列番番号号 66)) をを 22..55 //// MMととななるるよよううにに、、 00.. 11MM塩塩化化ナナ トトリリウウムムをを含含むむ 5500mmMM リリンン酸酸緩緩衝衝液液 ((ppHH77..00))にに溶溶解解ささせせたた溶溶液液をを調調製製ししたた。。 ここ 1100 のの溶溶液液のの蛍蛍光光ススペペククトトルルをを蛍蛍光光分分光光光光度度計計をを用用いいてて約約 2255 でで測測定定ししたたととこころろ、、 励励起起波波長長 332277nnmm、、 発発光光波波長長 440055nnmmでであありり、、 440055nnmmににおおけけるる蛍蛍光光強強度度はは、、 99..22 ででああっったた。。
上上記記溶溶液液にに、、 PPyyCC((55))含含有有オオリリゴゴデデォォキキシシリリポポヌヌククレレオオチチドドとと PPyyCC((55))以以外外のの部部 分分がが相相補補的的なな、、 別別途途合合成成ししたたオオリリゴゴデデォォキキシシリリポポヌヌククレレオオチチドド ::
1155 ((ΑΑ''));; 55''--GGCCGGTTTTAAAAAATTTTGGCCGG--33'' ((配配列列番番号号 77))、、
((TT));; 55''--GGCCGGTTTTAATTAATTTTGGCCGG--33'' ((配配列列番番号号 88))、、
((GG''));; 55''-- GGCCGGTTTTAAGGAATTTTGGCCGG--33'' ((配配列列番番号号 99))、、
((CC));; 55''--GGCCGGTTTTAACCAATTTTGGCCGG--33'' ((配配列列番番号号 1100))、、
ををそそれれぞぞれれ 22..55 ii MMととななるるよよううにに添添加加しし、、 ポポルルテテッッククススミミキキササーーににてて混混合合ししたた。。 2200 ここれれららのの溶溶液液のの蛍蛍光光ススペペククトトルルをを蛍蛍光光分分光光光光度度計計をを用用いいてて測測定定ししたたととこころろ、、 ォォ リリゴゴデデォォキキシシリリポポヌヌククレレオオチチドド ((ΑΑ''))をを加加ええたた場場合合ににはは、、 440055nnmm ににおおけけるる蛍蛍光光強強 度度はは 1100..99 ででああっったた。。 オオリリゴゴデデォォキキシシリリポポヌヌククレレオオチチドド ((ΤΤ''))をを加加ええたた場場合合ににはは、、 440000nnmm ににおおけけるる蛍蛍光光強強度度はは 88..88 でであありり、、 オオリリ
を加えた場合には、 400nm における蛍光強度は 18.2 であり、 オリゴデォキシ 25 リボヌクレオチド(C')を加えた場合には、 400nmにおける蛍光強度は 1 1.9であ つた。
このように、 PyC(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドは、 相補鎖上の PyC(5)と対合するヌクレオチドがデォキシグァニル酸である場合には強い発光 が観測されたのに比べて、 デォキシアデニル酸である場合には蛍光が 40 %消光 30 し、 デォキシチミジル酸である場合には蛍光が 52 %消光し、 デォキシシチジル
酸である場合には蛍光が 35 %消光した。 蛍光スぺクトルを図 1 0に示す。
なお、 この実施例 5 と前記実施例 4 の結果を比較すれば、 ヌクレオチド誘導 体 PyC(5)がその対合する塩基種の前後の塩基種に関わりなく特定の塩基種 (G) に対して強い蛍光シグナルを発することが確認された。
実施例 6
PyU(5)含有オリゴデォキシリボヌクレオチド(1)の蛍光分析 実施例 3 により得られた PyU(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチド (5'- CGCAACPvUCAACGC-3':配列番号 1 1) を 2.5 M となるように、 0.1M塩化 ナトリウムを含む 50mM リン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。 この溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて約 25でで測定したところ、 励起波長 344nm、 発光波長 398nmであり、 398nmにおける蛍光強度は、 7.4 であった。
上記溶液に、 PyU(5)含有オリゴデォキシリボヌクレオチドと PyU(5)以外の部 分が相補的な、 別途合成したオリゴデォキシリポヌクレオチド :
(Α'); 5'-GCGTTGAGTTGCG-3' (配列番号 2)、
(Τ'); 5'-GCGTTGTGTTGCG-3' (配列番号 3)、 '
(G'); 5'-GCGTTGGGTTGCG-3' (配列番号 4)、
(C); 5'-GCGTTGCGTTGCG-3' (配列番号 5)、
をそれぞれ 2.5 x Mとなるように添加し、 ポルテックスミキサーにて混合した。 これらの溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、 ォ リゴデォキシリポヌクレオチド (Α')を加えた場合には、 398nm における蛍光強 度は 29.8 であった。 オリゴデォキシリボヌクレオチド (Τ')を加えた場合には、 398nm における蛍光強度は 4.5 であり、 オリゴデォキシリポヌクレオチド(G') を加えた場合には、 398nmにおける蛍光強度は 3.7であり、 オリゴデォキシリ ポヌクレオチド(C')を加えた塲合には、 398nm における蛍光強度は 3.3 であつ た。
このように、 PvU(5)含有オリゴデォキシリボヌクレオチドは、 相補鎖上の
PyU ( 5)と対合するヌクレオチドがデォキシアデニル酸である場合には、 強い発 光が観測されたのに比べて、 デォキシチミジル酸である場合には蛍光が 85 %消 光し、 デォキシグァニル酸である場合には蛍光が 88 %消光し、 デォキシシチジ ル酸である塲合には蛍光が 89 %消光した。 蛍光スぺク トルを図 1 1 に示す。 ま た、 蛍光写真像を図 12に示す。
実施例 7
PyU(5)含有オリゴデォキシリボヌクレオチド (2)の蛍光分析 実施例 3 により得られた PyU(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチド (5'- CGCAATPvUTAACGC-31:配列番号 12) を 2.5 i M となるように、 0. 1M塩化 ナトリウムを含む 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。 この溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて約 25 で測定したところ、 励起波長 327nm、 発光波長 398nmであり、 398nmにおける蛍光強度は、 6.3 であった。
上記溶液に、 PyU(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドと PyU(5)以外の部 分が相補的な、 別途合成したオリゴデォキシリポヌクレオチド :
(Α'); 5'- GCGTTAAATTGCG-3' (配列番号 7)、
(Τ'); 5'-GCGTTATATTGCG-3' (配列番号 8)、
(G'); 5'-GCGTTAGATTGCG-3' (配列番号 9)、
(C); 5'- GCGTTACATTGCG-3' (配列番号 10)、
をそれぞれ 2.5 Mとなるように添加し、 ポルテックスミキサーにて混合した。 これらの溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、 ォ リゴデォキシリポヌクレオチド (Α')を加えた場合には、 39Snm における蛍光強 度は 26.0 であった。 オリゴデォキシリポヌクレオチド (T)を加えた場合には、 398nm における蛍光強度は 2.7 であり、 オリゴデォキシリポヌクレオチド(G') を加えた場合には、 398nmにおける蛍光強度は 4.8であり、 オリゴデォキシリ ポヌクレオチド(C')を加えた場合には、 398nmにおける蛍光強度は 10.6であつ た。
このように、 PyU(5)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドは、 相補鎖上の PyU(5)と対合するヌクレオチドがデォキシアデニル酸である場合には、 強い発 光が観測されたのに比べて、 デォキシチミジル酸である場合には蛍光が 90 %消 光し、 デォキシグァニル酸である場合には蛍光が 82 %消光し、 デォキシシチジ ル酸である場合には蛍光が 59 %消光した。 蛍光スペクトルを図 13に示す。
なお、 この実施例 7 と前記実施例 6 の結果を比較すれば、 ヌクレオチド誘導 体 PyU(5)がその対合する塩基種の前後の塩基種に関わりなく特定の塩基種 (A) に対して強い蛍光シグナルを発することが確認された。
実施例 8
PyA(7)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドの蛍光分析 実施例 3 により得られた PyA(7)含有オリゴデォキシリポヌクレオチド (5'- CGCAACPvACAACGC-3':配列番号 13) を 2.5 M となるように、 0. 1M塩化 ナトリウムを含む 50mM リン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。 この溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて約 25°Cで測定したところ、 励起波長 353nm、 発光波長 395nmであり、 395nmにおける蛍光強度は、 4. 3であった。
上記溶液に、 PyA(7)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドと PyA(7)以外の部 分が相補的な、 別途合成したオリゴデォキシリポヌクレオチド :
(Α'); 5'-GCGTTGAGTTGCG- 3' (配列番号 2)、
(Τ'); 5'-GCGTTGTGTTGCG-3' (配列番号 3)、
(G'); 5'-GCGTTGGGTTGCG-3' (配列番号 4)、
(C); 5'-GCGTTGCGTTGCG-3' (配列番号 5)、
をそれぞれ 2.5 t Mとなるように添加し、 ポルテックスミキサーにて混合した。 これらの溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、 ォ リゴデォキシリポヌクレオチド (Α')を加えた場合には、 395nm における蛍光強 度は 2.5 であった。 オリゴデォキシリポヌクレオチド (T)を加えた場合には、 3 5nm における蛍光強度は 1.8 であり、 オリゴデォキシリポヌクレオチド(G')
を加えた場合には、 395nmにおける蛍光強度は 7.4であり、 オリゴデォキシリ ボヌクレオチド(C')を加えた場合には、 395nmにおける蛍光強度は 18.2であつ た。
このように、 PyA(7)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドは、 相補鎖上の PyA(7)と対合するヌクレオチドがデォキシシチジル酸である場合には、 強い発 光が観測されたのに比べて、 デォキシチミジル酸である場合には蛍光が 90 %消 光し、 デォキシアデニル酸である場合には蛍光が 86 %消光し、 デォキシグァ二 ル酸である塲合には蛍光が 59 %消光した。 蛍光スぺクトルを図 14に示す。
実施例 9
PvG(81含有ォリゴデォキシリボヌクレオチドの蛍光分析 実施例 3 により得られた PyG(8)含有オリゴデォキシリポヌクレオチド (5'- CGCAATPvGTAACGC-3':配列番号 14) を 2.5 となるように、 0.1M塩化 ナトリウムを含む 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。 この溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて約 25 で測定したところ、 励起波長 420nm、 発光波長 430nmおよび 460nmであり、 430nmにおける蛍 光強度は 16.0、 460ηπιにおける蛍光強度は 15.3であった。
上記溶液に、 PyG(8)含有オリゴデォキシリポヌクレオチドと PyG(8)以外の部 分が相補的な、 別途合成したオリゴデォキシリポヌクレオチド :
(A*); 5'-GCGTTAAATTGCG-3' (配列番号 7)、
(T); 5'-GCGTTATATTGCG-3' (配列番号 8)、
(G'); 5'-GCGTTAGATTGCG- 3' (配列番号 9)、
(C); 5'-GCGTTACATTGCG- 3' (配列番号 10)、
をそれぞれ 2.5 となるように添加し、 ポルテックスミキサ一にて混合した。 これらの溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、 ォ リゴデォキシリポヌクレオチド (Α')を加えた場合には、 430nm における蛍光強 度は 65.0 であった。 オリゴデォキシリボヌクレオチド (Τ')を加えた塲合には、 430nm における蛍光強度は 144.0 であり、 オリゴデォキシリポヌクレオチド
(G')を加えた場合には、 430nmにおける蛍光強度は 65.0であり、 オリゴデォキ シリボヌクレオチド(C')を加えた場合には、 430nm における蛍光強度は 136.0 であった。
このように、 PyG(8)含有オリゴデォキシリボヌクレオチドは、 相補鎖上の PyG(8)と対合するヌクレオチドがデォキシチミジル酸およびデォキシシチジル 酸である場合には、 強い発光が観測されたのに比べて、 デォキシグァニル酸およ びデォキシアデニル酸である場合には蛍光がそれぞれ 55 %消光した。 相対的な 蛍光スペクトルを図 15に示す。
実施例 10 配列番号 15 のオリゴデォキシリポヌクレオチド (サンプル DNA断片) の第 8- 11 位の未知配列を、 DNA マイクロアレイを用いて決定した。 DNA マイクロ アレイのキヤプチャ一プローブとしては配列番号 16-31 のヌクレオチド配列を 含む DNA断片 (プローブ DNA断片) を使用した (表 1参照) 。 なお、 サンプ ル DNA断片は配列番号 15のヌクレオチド配列を含む全長 50b、 プローブ DNA 断片 1一 16 はそれぞれ配列番号 16-31 のヌクレオチド配列を含む全長 68-70b である。
1. プローブ DNA断片の調製
配列番号 16-31のヌクレオチド配列をそれぞれに含むプローブ DNA断片 1— 16 をアプライドバイオシステム社の 392DNA/RNA合成装置を用い、 通常のホ スホロアミダイド法に従って合成した。 固相担体からの切り出しおよび脱保護は 25 %アンモニア中でインキュベーションすることによって行い、 その後、 高速 液体クロマトグラフィ一によって精製した。
なお、 配列番号 16-31 のそれぞれの第 8 位 (T、 G、 C、 A) は、 各々ヌクレ ォチド誘導体 (PyU(5)、 PyC(5)、 PyA(7) , PyG(8) ) である。 同様に、 配列番号 20-23の第 9位、 配列番号 24-27の第 10位、 配列番号 28-31の第 1 1位の T、 G、 C、 A は、 それぞれ PyUi5)、 PyC(5)、 PyA(7)、 PyG(8)である (表 1 参照) 。
. 固定用基板の調製
10%NaOH- 60%エタノール水溶液に 2時間浸漬し、 純水で 10回洗浄した 76 X26X1 mmサイズのガラス製スライド (松波硝子工業社製) を 10%ポリ- L-リ ジン水溶液に 1 時間浸漬した。 純水で 10回の洗浄後、 800rpm、 5分間の遠心 を行い、 水分を除去して室温で乾燥して、 固定用基板を調製した。
3. DNAマイクロアレイの調製
上記 1で調製したプロ一ブ DNA断片の各々を、 最終濃度が 50 pmol/ l と なるように調整し、 上記 2で調製した基板に 200 pi をそれぞれスポット (10 nmol) した。 その後、 80^で 1 時間乾燥処理し、 各スポットに水を添加し、 基 板上に DNA 断片を固定した。 この基板を 1%BSA ブロッキング溶液 (50 mg/ml) 5 ml、 10%SDS 1.25 ml) で 45分間 (42θ 振盪した。 その後、 95^純水で 1 分間、 95%エタノールで 1 分間それぞれ浸漬させ、 遠心 (800rpm、 1分間) し、 目的とする DNAマイクロアレイを調製した。
4. サンプル DNA断片の調製 - 配列番号 15 のヌクレオチド配列を含む全長 50b のオリゴデォキシリポヌク レオチドからなるサンプル DNA 断片 (15 fmol/10.5 l) を含むサンプルチュ —ブに、 20XSSC (3.75^1) および 10%SDS (0.75^1) を添加した。 95でヒ —トブロックで 2 分間加熱した後、 室温で 5 分間放置し、 遠心してサンプル液 を調製した (最終濃度: InM) 。
5. ハイブリダィゼ一シヨン
上記 3 で調製した DNAマイクロアレイ上に上記 2 で調製したサンプル液を 12 1ずつ 1点にスポットし、 カバ一ガラスで覆ってハイブリダィゼーション反 応を行った (65°C、 16 時間) 。 反応終了後、 2XSSC— 0.1%SDS 溶液に 5 分 間、 20分間浸漬し、 0.2XSSC— 0.1%SDS溶液に 20分間浸漬、 55ででさらに 20 分間ずつ 2回浸漬させた。 同溶液でリンスした後、 さらに 0.05XSSC 溶液 でリンスした。 900rpmで 1分間遠心し、 放置して乾燥させた。
6. 測定
蛍光顕微鏡 BX-50 (ォリンパス社製) を使用して、 各 DNAスポットの蛍光強 度を計測し、 画像ファイルを取込んだ後、 シグナルの数値化を行った。 結果を表 1に示す。
表 1
DNA断片 配列番号 塩基配列
サンプル 15 3 ' -TCAGTAANNNNCGCCTAATG- -5, 蛍光強度
プローブ 1 16 5 ' -AGTCATTTTGCCGCCTAATG- -3, ' 210
プロ —ブ 2 17 5, -AGTCATTGTGCCGCCTAATG- -3, 12000
プローブ 3 18 5, -AGTCATTCTGCCGCCTAATG- ■3 ' 180
プローブ 4 19 5, -AGTCATTATGCCGCCTAATG- -3, 240
プロ -ブ 5 20 5 ' -AGTCATTATGCCGCCTAATG- -3, 30000
プロ -ブ 6 21 5, -AGTCATTAGGCCGCCTAATG- -3 ' 250
プローブ 7 22 5 ' -AGTCATTACGCCGCCTAATG- -3 ' 300
プローブ 8 23 5 ' -AGTCATTAAGCCGCCTAATG- -3, 260
プローブ 9 24 5, -AGTCATTATTCCGCCTAATG- -3 ' 200
プロ -ブ 10 25 5, -AGTCATTATGCCGCCTAATG- -3 ' 18000
プロ -ブ 11 26 5 ' -AGTCATTATCCCGCCTAATG- -3, 230
プローブ 12 27 5, -AGTCATTATACCGCCTAATG- -3 ' 13000
プロ -ブ 13 28 5 ' -AGTCATTATGTCGCCTAATG- -3 ' 130
プローブ 14 29 5, -AGTCATTATGGCGCCTAATG- -3, 120
プローブ 15 30 5, -AGTCATTATGCCGCCTAATG- -3 ' 20300
プローブ 16 31 5, -AGTCATTATGACGCCTAATG- -3 ' 180 表 1 に示した蛍光強度の結果から、 サンプル DNA断片における配列番号 15 の第 8— 1 1位の未知ヌクレオチドは以下のとおりであることが確認された。
( 1) プ ttーブ DNA断片 1—4の第 8位に位置する各ヌクレオチド誘導体の蛍光 強度が、 プローブ DNA 断片 2の PyG(8)で高く、 プローブ DNA 断片 4の PyA(7)では明らかに低いことから、 サンプル DNA 断片の第 8 位はチミン (T) と決定された。
(2) プローブ DNA断片 5— 8の第 9位に位置する各ヌクレオチド誘導体の蛍光 強度が、 プローブ DNA 断片 5 の PyU(5)で最も高いことから、 サンプル DNA断片の第 9位はアデニン (A)と決定された。
(3) プローブ DNA断片 9一 12の第 10位に位置する各ヌクレオチド誘導体の蛍 光強度が、 プローブ DNA断片 10 の PyG(8)およびプロ一ブ DNA断片 12 の PyA(7)で最も高いことから、 サンプル DNA 断片の第 10 位はシトシン (C)と決定された。
(4) プロ一ブ DNA断片 13— 16 の第 11位に位置する各ヌクレオチド誘導体の 蛍光強度が、 プローブ DNA断片 15の PyC(5)で最も高いことから、 サンプ ル DNA断片の第 11位はグァニン (G)と決定された。 またこの結果から、 この発明のヌクレオチド誘導体が、 対合する塩基種の前後 の塩基種に関係なく、 特定の塩基種に対して強い蛍光シグナルを発することが確 認された。
実施例 11
ヌクレオチド誘導体 (PyA(8)) の合成 ヌクレオチド誘導体 (PyA(8)) を、 図 16 に従って、 以下のとおり合成した。 なお、 化合物の番号は図 16の番号に対応する。 スキーム 1 (化合物 2の合成)
化合物 1 (2'-デォキシアデノシン 1 水和物: 2.0 g) と N-ブロモスクシンィ ミド (1.57 g) (1.2当量) をメタノール中、 50でで 16時間攪拌し、 化合物 2 を得た (収率 80%) 。 スキーム 2 (化合物 3の合成)
化合物 2 (299 mg) 、 N-(2-プロピニル)-1-ピレンカルボキシアミ ド (257 mg) (1.5 当量) 、 テトラキス (トリフエニルホスフィン) パラジウム (70 mg) (0.1 当量) 、 ヨウ化銅 (I) (21 mg) (0.2 当量) 、 トリェチルァミン (0.8 mL) をジメチルホルムアミド中、 室温で 5時間攪拌し、 化合物 3を得た (収率 89%) 。 スキーム 3 (化合物 4の合成)
化合物 3 (250 mg) 、 パラジウム—炭素 (50 mg) をメタノール中水素雰囲 気下、 室温で 16時間攪拌し、 化合物 4を得た (収率 67%) 。
スキーム 4 (化合物 5の合成)
化合物 4 ( 120 mg) 、 ジメチルホルムアミドジメチルァセタール (1.8 mL) をジメチルホルムアミド中、 50 で 2 時間攪捽し、 合物 5 を得た (収率 82 % ) 。 スキーム 5 (化合物 6の合成)
化合物 5 ( 109 mg) 、 ジメトキシトリチルク口リ ド (69 mg) ( 1. 1 当量) 、 ジメチルァミノピリジン ·(6.2 mg) (0.25 当量) をピリジン中、 室温で 16時 間攪拌し、 化合物 6を得た (収率 47 % ) 。 スキーム 6 (化合物 7; ΡνΑί81の合成)
化合物 6 (30 mg) 、 テトラゾ一ル (2.8 mg) 、 テトラジイソプロピルシア ノエチルホスホロジアミダイ ト (12 mg) をァセトニトリルージクロロメタン ( 1 : 3) 中、 室温で 1 時間攪拌し、 化合物 7 : PyA(8)を得た。 定量的に反応が 進行したことを薄層液体クロマトグラフィーで確認した後、 DNA 合成機に供し た。
実施例 12
オリゴデォキシリボヌクレオチドの合成 実施例 1 1 で作成したヌクレオチド誘導体 (PyA(8)) を用いて、 ヌクレオチド 誘導体含有のオリゴデォキシリポヌクレオチドを合成した。 オリゴデォキシリポ ヌクレオチドは、 アプライドバイオシステムズ社の 392DNA/RNA 合成機で通 常のホスホロアミダイト法に従って合成された。 固相担体からの切り出し及び脱 保護は、 25 %アンモニア中何度何時間ィンキュベーシヨンすることによって業 われ、 その後高速液体クロマトグラフィーによって精製された。
実施例 13
PyA(81含有オリゴデォキシリボヌクレオチドの蛍光分析 実施例 11 により得られた PyA(8)含有オリゴデォキシリボヌクレオチド (5'- CGCAATPyATAACGC-3*:配列番号 32) を 2.5 /i M となるように、 0. 1M塩化 ナトリウムを含む 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。 この溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて約 25 で測定したところ、 励起波長 349nm、 発光波長 400nmであり、 400nmにおける蛍光強度は、 19であ つた。
上記溶液に、 PyA(8)含有オリゴデォキシリボヌクレオチドと PyA(8)以外の部 分が相補的な、 別途合成したオリゴデォキシリポヌクレオチド :
(Α'); 5'-GCGTTAAATTGCG- 3' (配列番号 7)、
(T); 5'-GCGTTATATTGCG-3' (配列番号 8)、
(G'); 5'-GCGTTAGATTGCG-3' (配列番号 9)、
(C); 5'-GCGTTACATTGCG-3' (配列番号 10)、
をそれぞれ 2.5 μ Μとなるように添加し、 ポルテックスミキサーにて混合した。 これらの溶液の蛍光スぺクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、 ォ リゴデォキシリポヌクレオチド (Α')を加えた場合には、 400nm における蛍光強度 は 28 であった。 オリゴデォキシリポヌクレオチド(Τ')を加えた場合には、 400nmにおける蛍光強度は 49 であり、 オリゴデォキシリポヌクレオチド(G')を 加えた場合には、 400nm における蛍光強度は 4 であり、 オリゴデォキシリボヌ クレオチド( )を加えた場合には、 400nmにおける蛍光強度は 27であった。
このように、 PyA(8)含有オリゴデォキシリボヌクレオチドは、 相補鎖上の PyA(8)と対合するヌクレオチドがデォキシチミジル酸である場合には強い発光 が観測されたのに比べて、 デォキシアデニル酸である場合には蛍光が 43 %消光 し、 デォキシグァニル酸である場合には蛍光が 92%消光し、 デォキシシチジル 酸である場合には蛍光が 45%消光した。 蛍光スぺクトルを図 17に示す。
実施例 14
配列番号 33 のオリゴデォキシリポヌクレオチド (サンプル DNA断片) の第 13- 16位の未知配列を、 DNAマイクロアレイを用いて決定した。 DNAマイクロ ' アレイのキヤプチヤープローブとしては配列番号 34-49 のヌクレオチド配列を 含む DNA断片 (プロ一ブ DNA断片) を使用した (表 2参照) 。 なお、 サンプ ル DNA断片は配列番号 33のヌクレオチド配列を含む全長 50b、 プローブ DNA 断片 1一 16 はそれぞれ配列番号 34-49 のヌクレオチド配列を含む全長 68-70b である。 1. プローブ DNA断片の調製 '
配列番号 34-49のヌクレオチド配列をそれぞれに含むプローブ DNA断片 1一 16 を、 アプライドバイオシステム社の 392DNA/ RNA合成装置を用い、 通常の ホスホロアミダイド法に従って合成した。 固相担体からの切り出しおよび脱保護 は 25 %アンモニア中でインキュベーションすることによって行い、 その後、 高 速液体クロマトグラフィーによって精製した。
なお、 配列番号 34-37のそれぞれの第 13位 (U、 A、 C、 A) は、 各々ヌクレ ォチド誘導体 (PyU(5)、 PyA(7)、 PyC(5)、 PyA(8) ) である。 同様に、 配列番号 38-41の第 14位、 配列番号 42-45の第 15位、 配列番号 46-49の第 16位の U、 A、 C、 Aは、 それぞれ PyU(5)、 PyA(7)、 PyC(5)、 PyA(8)である (表 2参照) 。
2. 固定用基板の調製
10 % NaOH-60 %エタノール水溶液に 2時間浸漬し、 純水で 10回洗浄した 76 X 26 X 1 mmサイズのガラス製スライド (松波硝子工業社製) を 10 %ポリ-レリ ジン水溶液に 1時間浸潰した。 純水で 10回の洗浄後、 800rpm、 5分間の遠心 を行い、 水分を除去して室温で乾燥して、 固定用基板を調製した。
3. DNAマイクロアレイの調製
上記 1 で調製したプローブ DNA断片の各々を、 最終濃度が 50 pmol/ 1 と なるように調整し、 上記 2で調製した基板に 200 pi をそれぞれスポット (10 nmol) した。 その後、 801で 1 時間乾燥処理し、 各スポットに水を添加し、 基
板上に DNA 断片を固定した。 この基板を 1%BSA ブロッキング溶液 (50 mg/ml) 5 ml、 10%SDS 1.25 ml) で 45分間 (42で) 振盪した。 その後、 95で純水で 1 分間、 95%エタノールで 1 分間それぞれ浸潰させ、 遠心 (800rpm、 1分間) し、 目的とする DNAマイクロアレイを調製した。
4. サンプル DNA断片の調製
配列番号 33 のヌクレオチド配列を含む全長 50b のオリゴデォキシリポヌク レオチドからなるサンプル DNA 断片 (15 fmol/10.5 l) を含むサンプルチュ —ブに、 20XSSC (3.75 l) および 10%SDS (0.75 1) を添加した。 95でヒ —トブロックで 2 分間加熱した後、 '室温で 5 分間放置し、 遠心してサンプル液 を調製した (最終濃度: InM) 。
5. ハイプリダイゼ一シヨン
上記 3 で調製した DNA マイクロアレイ上に上記 2 で調製したサンプル液を ずつ 1点にスポットし、 カバ一ガラスで覆ってハイプリダイゼーシヨン反 応を行った (65Τ}、 16 時間) 。 反応終了後、 2XSSC_0.1%SDS 溶液に 5 分 間、 20分間浸漬し、 0.2XSSC— 0.1%SDS溶液に 20分間浸漬、 55 でさらに 20 分間ずつ 2回浸漬させた。 同溶液でリンスした後、 さらに 0.05XSSC 溶液 でリンスした。 900rpmで 1分間遠心し、 放置して乾燥させた。
6. 測定
バイオチップリーダー (Applied Precision社製) を使用して、 各 DNA スポ ットの画像ファイルを取込み、 蛍光強度を数値化した。 結果を表 2に示す。
表 2
表 2 に示した蛍光強度の結果から、 サンプル DNA断片における配列番号 33 の第 13— 16位の未知ヌクレオチドは以下のとおりであることが確認された。
( 1) プローブ DNA断片 1—4 の第 13位に位置する各ヌクレオチド誘導体の蛍 光強度が、 プローブ DNA 断片 2の PyA(7)で最も高いことから、 サンプル DNA断片の第 13位はシトシン (C)と決定された。
(2) プローブ DNA断片 5— 8 の第 14位に位置する各ヌクレオチド誘導体の蛍 光強度が、 プローブ DNA断片 5 の PyU(5)で最も高いことから、 サンプル
DNA断片の第 14位はアデニン (A)と決定された。
(3) プローブ DNA断片 9一 12の第 15位に位置する各ヌクレオチド誘導体の蛍 光強度が、 プローブ DNA断片 12の PyA(8)で最も高いことから、 サンプル DNA断片の第 15位はチミン (T)と決定された。
(4) プローブ DNA断片 13—16 の第 16位に位置する各ヌクレオチド誘導体の 蛍光強度が、 プローブ DNA断片 15の PyC(5)で最も高いことから、 サンプ ル DNA断片の第 16位はグァニン (G)と決定された。
またこの結果から、 この発明のヌクレオチド誘導体が、 特定の塩基種に対して 強い蛍光シグナルを発することが確認された。
実施例 15 実施例 14で強い蛍光強度を示したプローブ 2、 5、 12、 15を用いて、 サンプ ル DNA濃度と蛍光強度との関係を調べた。 結果は図 18 に示したとおりである。 サンプル DNA濃度と蛍光強度とは比例 関係にあり、 サンプル DNA濃度依存的に蛍光強度が上昇した。 この結果から、 この発明のヌクレオチド誘導体を含むプローブ DNA を用いてハイブリダイズを 行い、 蛍光強度を測定することによって、 試料中の標的 DNA量を決定すること が可能であることが確認された。
産業上の利用可能性 以上詳しく説明したとおり、 この出願の発明は、 DNA プローブや DNA マイ クロアレイを用いた SNP s判定や配列決定、 発現遺伝子解析等における試料調 製や測定手順を大幅に簡便化することを可能とする。
翻^ ¾ るサンプル DNA の標識試薬によるラベル化は、 そのラベル化効率が 大きく変動するので、 どんなに再現性の良い DNAチップを用いても、 ハイブリ ダィズによる発現解析の再現性は低く、 臨床検査市場で要求され.るレベルの達成 は不可能に近い。 この出願の発明では、 サンプル DNA は標識が不要なので、 再 現性は大きく向上しさらに く IB© feTるこ ά^、期待される。