WO2005079110A1

WO2005079110A1 - スピーカ、スピーカ用振動板、ダストキャップ、それらの製造方法および製造装置

Info

Publication number: WO2005079110A1
Application number: PCT/JP2005/001375
Authority: WO
Inventors: Masatoshi Okazaki; Masaki Suzumura; Shinya Mizone; Yoshimichi Kajihara; Kazuaki Nishimura; Masahide Sumiyama
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 2004-02-18
Filing date: 2005-02-01
Publication date: 2005-08-25
Anticipated expiration: 2006-08-18
Also published as: EP1718106A1; US20070131478A1; EP1718106A4

Abstract

　本発明は、少なくとも樹脂材料と繊維材料とを含む混合物を射出成形して作製するスピーカ用振動板またはダストキャップに関する。物性値設定の自由度が大きい紙振動板の利点と、耐湿信頼性や強度が確保でき、外観に優れ、生産性や寸法安定性も向上できる樹脂振動板の利点の両方の特徴を活かした振動板またはダストキャップを実現することができる。

Description

スピーカ、スピーカ用振動板、ダストキャップ、それらの製造方法および製造装置

技術分野

[0001] 本発明は各種音響機器や映像機器に使用されるスピーカ用振動板およびダストキヤップに関するものである。

背景技術

[0002] 図 9は、従来の射出成形による榭脂製のスピーカ用振動板を示す。また、図 10は従来のダストキャップを示す。図 9または図 10に示すように、スピーカ用振動板 207またはダストキャップ 209はポリプロピレン等の榭脂を使用して、あらかじめ形状設定された金型に、榭脂ペレットを熱溶解させて射出成形して得ていた。以下、振動板を中心に従来技術について説明する。

[0003] 射出成形に用いる成形材料としては、ポリプロピレン等の高分子材料を単独で用いることが一般的である。また、振動板やダストキャップとしての物性値の調整、すなわちスピーカとしての特性や音質の調整を目的として、種類の異なる榭脂を使用したブレンドタイプの成形材料も存在する。さら〖こ、榭脂のみでは困難な物性値を調整したい場合には、マイ力等の強化材を混入することがある。それにより、スピーカとしての特性や音質の調整をすることが出来る。

[0004] なお、この出願の発明に関する先行技術には、例えば、特開昭 59— 176995号公報ゃ特開平 3— 289298号公報が知られて、る。

[0005] 最近の音響機器や映像機器 (以下、映像音響機器と総称する）、さらにはこれらの機器を搭載した自動車等の装置に関しては、デジタル技術の著しい進歩により、従来と比較して、飛躍的な性能向上が図られてきた。

[0006] 近年、映像音響機器の音質は、低歪化、広帯域化、高ダイナミックレンジィ匕が進みさらにリアルさを増している。映像についても高精細化やプラズマディスプレイ等の大型モジュールの出現と普及により、目覚ましい性能向上が図られてきた。このように、映像音響機器の性能が向上したことにより、これらの機器に使用されるスピーカの性能向上が市場より強く要請されている。

[0007] 一方、スピーカ性能を向上するためには、スピーカの構成部品の中で、その音質を決定するのに大きなウェイトを占める振動板及びダストキャップの高性能化が必要不可欠である。

[0008] 振動板等は、昔ながらの抄紙による製法や、榭脂の射出成形やプレスによる製法を用いて製造されることが多い。従って、紙振動板力榭脂振動板が中心であった。このため、これらの振動板は、紙または榭脂の特徴を活力しながら、その用途に合わせて使い分けしてきたが、それぞれに課題を有しており、高性能化の要求に適うものではなかった。

[0009] すなわち、紙振動板は、振動板の物性値を細力べ設定でき、スピーカとしての特性、音質の調整の自由度が大きくなる利点はあるが、紙特有の欠点である耐湿信頼性や強度に劣るという欠点を有している。また、紙振動板を製造するためには、抄紙という非常に多くの工程が必要であった。

[0010] 一方、榭脂振動板は、耐湿信頼性や強度が確保でき、優れた外観を実現でき、生産性も向上できるが、榭脂特有の画一的な物性値し力確保できない。そのため、スピ一力としての特性、音質の調整範囲が非常に狭くなるという欠点を有している。

[0011] 従来は、これら両振動板の各々の特徴を活力しながら、使い分けしてスピーカを構成していた。なお、ダストキャップについても同様の課題があった。

[0012] つぎに、従来の榭脂振動板の製造方法および生産設備を図 11により説明する。図 11は、従来の射出成形による榭脂製のスピーカ用振動板の製造方法および生産設備を示すプロセスチャートである。図 11に示すように、ポリプロピレン（以下 PPという）等の榭脂 221と、マイ力等の強化材入り PP222とをドライブレンドする。ペレット成形機 224を用いて、作製したマスターバッチ 223をペレツトイ匕する。次にマスターバッチペレット 225を、射出成形機 226に投入する。

[0013] この射出成形機 226内では、投入されたマスターバッチペレット 225が加熱して溶融し、押出し機により振動板の成形金型 227内に射出される。成形金型 227内に射出された PPは、冷却固化後に成形金型 227から取り出される。以上の射出成形工程により、 PP等を用いた榭脂振動板 228が製造される。 [0014] 射出成形に用いる榭脂材料としては、 PP等の単一材料が一般的によく使用されている。また、振動板としての物性値の調整、すなわちスピーカとしての特性や音質の調整を目的として、種類の異なる榭脂を混合したブレンドタイプの材料が用いられることがある。このブレンドタイプの材料は、必要な種類の榭脂ペレットを粉砕機により粉砕して、それぞれの配合比率を設定し、ドライブレンドにより混合して製造される。

[0015] なお、この出願の発明に関連する先行技術としては、例えば、特開平 1 248900 号公報が知られている。

[0016] 最近の音響機器や映像機器等の電子機器に関しては、デジタル技術の著 U、進歩により、従来と比較して、飛躍的に性能向上が図られてきた。よって、前述の電子機器の性能向上により、これら電子機器に使用されるスピーカについても、その性能向上が市場より強く要請されている。

[0017] スピーカの性能向上を実現するためには、スピーカの構成部品の中で、音質を決定する要素として重要な振動板およびダストキャップを高性能化することが必要である。この振動板等を高性能化するために、最近特に、品質の安定化や耐水信頼性、さらにはデザインの多様性の観点より、榭脂振動板の人気が高い。

[0018] ところが、この榭脂振動板は、榭脂としての材料物性値の範囲内でしか、スピーカとしての特性、音質の調整ができないため、画一的な音つくりしかできなかった。よって、市場要求に適う多様な音つくりや微調整を実現することはできな力つた。そのため、榭脂振動板であっても、紙振動板のような、振動板の物性値を細力べ設定でき、スピ一力としての特性、音質の調整の自由度が大きくできるような物性値を得ることが望まれている。

[0019] そのような特性の実現のため、榭脂と、紙の原料であるパルプとを混合することが考えられる。現状の生産設備による製造方法、すなわちドライブレンドによる混合方法では、異なる種類の榭脂どうしの混合は可能である。しかし、榭脂とパルプとを混合する場合には、榭脂中でのパルプの均一で良好な分散が実現できず結果として所望の特性、音質を達成させることができな、と、う課題を有して、た。

発明の開示

[0020] すなわち本発明の振動板およびダストキャップは、少なくとも榭脂材料と繊維材料とを混入した材料を射出成形することにより、スピーカ用振動板またはダストキャップを構成している。そのため、物性値設定の自由度が大きいという紙の利点と、耐湿信頼性や強度が確保でき、外観に優れ、生産性や寸法安定性も向上できる樹脂の利点の両方の特徴を活かすことができる振動板またはダストキャップを得ることができる。すなわち、従来では実現できな力つた紙と樹脂のそれぞれの優れた物性を活かすことが出来ることにより、スピーカの特性つくりおよび音づくりが可能となる。

[0021] また、これらの繊維材料、榭脂材料さらには、混入材である強化材料を多岐にわたる材料の中から、選定し適切に配合比率を設定していくことで、従来では不可能であつた精度の高、特性の調整が可能となる。

[0022] さらに、色彩等の意匠上も、その組合せにより多岐にわたるデザインが可能となる。

そして、その組合せによるノリエーシヨンについても無限に設定できる可能性があり、特性つくり、音つくり、デザイン上において、所望の要求を満足させることができる。

[0023] 本発明の製造方法は、少なくとも榭脂と充填材との 2種類以上の材料から形成される射出成形によるスピーカ用振動板またはダストキャップの製造方法であって、あらかじめ繊維状の樹脂と充填材とを湿式混合して脱水した一次複合材と、別工程で粉砕した顆粒状の樹脂とを再複合化して二次複合材を得、この二次複合材を射出成形してなる製造方法である。

[0024] この製造方法により、前工程で湿式混合により繊維状の樹脂と充填材とを一次複合化しておき、さらに別工程で粉砕した顆粒状の榭脂を準備し、これらを再複合化させる二次複合ィ匕工程を設けることで、水分と榭脂とを置換して榭脂と充填材との馴染みを良くし、それぞれの良い特徴を引出すことができる。

[0025] さらに、本発明の製造方法においては、前工程で湿式混合により繊維状の樹脂と充填材とを一次複合化しておき、さらに別工程で粉砕した顆粒状の榭脂を準備し、これらを再複合化させる二次複合ィ匕工程を設けた製造方法としたものである。この製造方法とすることにより、一次複合化の湿式混合による水分を、二次複合化工程で蒸発させると同時に、榭脂を溶解させ充填材との絡みを向上させ馴染みを良好ィ匕することができる。

[0026] すなわち、水分と榭脂とを置換し、榭脂と充填材との馴染みを良好化して、榭脂と充填材のそれぞれの良い特徴を引出す製造方法としている。よって、この振動板を用いたスピーカは、その特性、音質の調整の自由度が大きぐ耐湿、耐水信頼性や強度が確保でき、外観も優れたものとすることができる。

[0027] そして、従来では、長ヽ抄紙工程を経なければ得られなかった紙振動板の物性値力当製造方法、生産設備によれば、高い生産性で安定して提供することができる。

[0028] このように本発明は、榭脂と充填材との特徴を両立させた優れたスピーカ用振動板またはダストキャップの製造方法および生産設備を提供することができるもので、ェ業的価値は非常に大なるものである。

図面の簡単な説明

[0029] [図 1]図 1は本発明の一実施の形態におけるスピーカ用振動板の断面図である。

[図 2]図 2は本発明の一実施の形態におけるスピーカ用振動板の平面図である。

[図 3]図 3は本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図である。

[図 4]図 4は本発明の一実施の形態における電子機器の外観図である。

[図 5]図 5は本発明の一実施の形態における装置の断面図である。

[図 6]図 6は本発明の一実施の形態におけるスピーカ用振動板の製造方法を示すプロセスチャートである。

[図 7]図 7は本発明の一実施の形態におけるスピーカ用ダストキャップの断面図である。

[図 8]図 8は本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図である。

[図 9]図 9は従来のスピーカ用振動板の断面図である。

[図 10]図 10は従来のダストキャップの断面図である。

[図 11]図 11は従来のスピーカ用振動板の製造方法を示すプロセスチャートである。符号の説明

[0030] 21 マグネット

22 上部プレート

23 ヨーク

24 磁気回路

25 磁気ギャップフレーム振動板

A 榭脂材料B 繊維材料ボイスコィノレエッジスピーカェンクロジャーアンププレーヤミニコンポシステ自動車

1 繊維状 PP2 パルプ3 湿式混合機一次複合材5 脱水機6 PPペレツ卜7 粉砕機8 顆粒状 PP9 ミキサー

二次複合材1 ペレット成形機

PPペレツ卜金型射出成形機振動強化材 117 希釈榭脂

118 混合機

120 生産設備

129 ダストキャップ

129A 榭脂材料

129B 繊維材料

発明を実施するための最良の形態

[0031] 以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。

[0032] (実施の形態 1)

以下、実施の形態 1を用いて、本発明のスピーカ用振動板ついて説明する。

[0033] 図 1および図 2は、本発明の一実施形態の振動板を示す。

[0034] 振動板 27は、榭脂材料 27Aにパルプ 27Bとを混入した成形材料を射出成形して作製される。この振動板 27は、榭脂材料 27Aとして結晶性または非晶性のォレフィン榭脂を使用している。

[0035] ォレフィン榭脂を使用することにより、良好な成形性を実現できる。また、結晶性と非晶性の榭脂材料を、その用途に応じて使い分けすることで、榭脂材料としての最適な物性値を得ることが可能となる。

[0036] 以下に、榭脂材料 27Aとして、ポリプロピレンを使用した場合について説明する。ポリプロピレンは一般的に入手しやすぐ射出成形も容易である。但し、本発明はポリプロピレンに限定されることなぐ所望の特性値に応じて種々の榭脂材料を使い分けすることができる。例えば、高い耐熱性や、高い耐溶剤性が必要な場合は、その用途に合致したエンジニアリングプラスチックを使用することも可能である。例えば、ポリェチレンテレフタレート（PET)ゃポリブチレンテレフタレート（PBT)などを使用してもよ！/ヽ

[0037] 実施の形態 1では、ベースの榭脂材料 27Aとしてポリプロピレンを用い、繊維材料 2 7Bとして木材繊維であるクラフトパルプを用いた。榭脂のみ力もなる振動板は、暗くて画一的な音色になることが多いのに対して、榭脂に木材繊維を混合した振動板は、自然で明るい音色を再生することができる。また、クラフトパルプ以外に、サルフアイトパルプや、クラフトパルプとサルファイトパルプとの混合繊維を組合せて用いることにより、さらに所望の特性、音質に近付けることができる。

[0038] さらに、繊維材料 27Bとして葉繊維 (leaf fiber)や靭皮繊維 (bast fiber),種子繊維 (seed fiber),果実繊維 (fruit fiber),茎繊維 (stem fiber)などのセルロース繊維材料だけでなぐ動物繊維 (animal fiber)等の材料を、単独でまたは複数を混合して用いてもよい。これらの材料を適当量混入することで、さらに一層、所望の特性、音質に近付けることができる。ここで、葉繊維は、振動板 27の強度を向上させる傾向があり、マ- ラ麻がよく使用される。また、靭皮繊維は、振動板の靭性強度を向上させる傾向があり、楮 (コゥゾ)、三椏 (ミツマタ)、がんび、麻等がよく使用される。また、種子繊維は、振動板の内部損失を向上させる傾向があり、綿やリンタがよく使用される。また、果実繊維についても、振動板の内部損失を向上させる傾向があり、カポックがよく使用される。また、茎繊維は、振動板の弾性率を向上させる傾向があり、竹、笹、ケナフ、藁等の材料を使用できる。また、植物繊維では得られない音質の微調整を目的として、動物繊維である絹や羊毛等の材料を混入して強度や内部損失を微調整することもできる

[0039] 強化材としてアルミニウム等の金属繊維、カーボン等の炭素繊維、ガラスやボロン等のセラミック繊維、ァラミド等の有機高弾性繊維、あるいはマイ力やグラフアイト等を混入した成形材料を作製して振動板を成形することもできる。これにより、振動板の強化や、音に多少のアクセントを付けたり、音圧周波数特性にピークを持たせて音質調整を行うことが出来る。

[0040] また、成形材料に酸化亜鉛ウイスカ等の材料を混入することにより、上記の材料では満足できない内部損失を設けた音質を確保することもできる。

[0041] そして、以上に説明した材料をそれぞれ単独で用いる力それらを組合せて用いることで、振動板の物性値を自由に、しかも高精度に調整することができ、所望の特性と音質を実現することが可能となる。

[0042] この所望の特性と音質については、物性つくり、音つくりに関しての深いノウハウが必要であるが、一般に以下に示す手段により実施されることが多い。

[0043] スピーカの特性つくり、音つくりに際して、その構成部品のパラメータを変化させることで、ある程度は特性の調整が可能であり、それにより所望の特性と音質に近付けることができる。例えば、スピーカの構成部品中、振動板を除く他の部品のパラメータを一定に固定した場合、振動板の可変パラメータとしては、その物性値以外に、面積や形状、重量、面厚等がある。そこで、この振動板の面積や形状、重量、面厚を一定に固定した場合を考えると、振動板の物性値以外の条件で、スピーカの音圧周波数特性と音質が概略決定される。この場合、その音圧周波数特性上に不要なピークゃデイッブが発生し、歪も特定の周波数帯域で大きく発生することが多い。また、音質については、その音圧周波数特性に大きく左右された音色となる。これらの特性に影響する原因は、この振動板の面積や形状、重量、面厚に起因しており、特に、振動板の振動モードによるものが多、。

[0044] 上記の不要なピークディップ、歪を改善し、良好な音質を得るための振動板材料の選択手段として本発明を適用することが出来る。先ず、そのスピーカに要求されている音圧周波数特性や音質、信頼性グレードを満足できると思われる材料を、榭脂材料、繊維材料などから選定する。この場合、ベースとなる榭脂材料に関しては、特にその耐熱グレード等信頼性を重視して選定し、またそれぞれの榭脂材料の固有の音色が、所望の音色に近い材料を選定する。次に、削除したい音圧周波数特性上の不要なピークやディップを解消するのに有効な材料を選定する。ディップ対策の場合は、その周波数に共振を有している材料を選定する。一方、ピーク対策の場合は、その周波数に内部損失を有している材料を選定する。材料選定の際には、榭脂材料、繊維材料、その他の混入材料について、その材料特有の密度、弾性率、内部損失、音色、振動板形状に成形したときの共振周波数等を考慮しながら選定する。

[0045] 選定された材料を混練して、パルプ高充填量のマスターバッチペレットを作製する。次に、パルプ高充填量のマスターバッチペレットを使用して、射出成形により本実施の形態の振動板 27を得る。

[0046] このようにして得られた振動板 27の物性値等の計測、評価を行う。また、この振動板 27を使用してスピーカを試作し、実際のスピーカとしての特性、音質の計測および試聴により、最終的な評価を実施する。

[0047] 評価により、所望の特性と音質が満足できない場合は、何度もこの試作プロセスを繰返す。その過程で、材料の選定と、材料の配合比率について検討し、順次目標とする特性と音質に近付けて、く。

[0048] 以上のようなプロセスを繰返すことにより、所望の特性と音質を実現できる力、少なくとも非常に近い性能に仕上げることができる。

[0049] また、本発明の振動板に用いる繊維材料の繊維長は、 0. 2mm— 20mmが好ましい。この範囲にすることにより、榭脂材料と混練したときの効果を効率よく引出し、力つ生産性と品質を向上させることができる。繊維材料の繊維長が、 0. 2mmより短い場合は、繊維材料の効果を効率よく出すことができなくなる。一方、 20mmより長い場合は、繊維どうしの絡みから生じる二次凝集により分散性不良が発生しやすくなることにより、長い混練時間が必要となる力、振動板の表面にパルプ繊維が飛出て外観を損ねる等の問題が発生する。

[0050] さらに、榭脂材料への繊維材料の混入比率は、 5%から 70%が好まし、。この範囲にすることにより、榭脂材料と繊維材料を混練したときの効果を効率よく引出し、かつ生産性と品質を向上させることができる。ここで、パルプの混入比率が 5%に満たない場合は、パルプを混入する効果がほとんど現れない。一方、 70%より多い場合は、パルプの欠点が現れ始め、振動板強度、生産性、耐湿信頼性、さらには寸法安定性が何れも低下する。

[0051] 外観デザイン上、振動板の色彩を黒系色にした!/、場合は、ナチュラル色パルプを黒い染料等で着色した黒系色パルプを使用し、一方、ベース榭脂に顔料等を混練して作製する黒系色の榭脂ペレットを使用する。また、別の方法として、ナチュラル色パルプとナチュラル色榭脂材料とを混練して、パルプ高充填量のマスターバッチペレツトを生産する際に黒系色の顔料を混入させて着色してもよい。このように、振動板の色彩を黒系色とすることで、従来の振動板と変わらな、デザインを可能とすることができる。

[0052] なお、黒系色に限定されることなぐ全ての色彩について同様の方法で着色することが可能である。さらに、これら染料や顔料等の着色剤を使用せず、ナチュラル色のまま使用し、より自然に近ぐ環境対応に優れた色彩を基調としたデザインとすることちでさる。 [0053] また、別のデザイン法として、繊維材料と榭脂材料とを異なる色彩として、一枚の振動板に両方の材料が混入されていることをアピールできるデザインとすることも可能である。この場合は、透明もしくは半透明の榭脂を選択することが望ましい。

[0054] 以上のように本実施の形態 1は、榭脂材料と繊維材料とを混入した材料を射出成形して作製するスピーカ用振動板に関する。本発明により、振動板の物性値設定の自由度が大きい紙振動板の利点と、耐湿信頼性や強度が確保でき、外観に優れ、生産性や寸法安定性も向上できる榭脂振動板の利点の両方の特徴を活かすことができる振動板を得ることができる。

[0055] よって、従来では実現できな力つた紙振動板と榭脂振動板の両方の物性を活かした特性つくり、音つくりが可能となる。さらに、そのデザイン上も、繊維材料と榭脂材料の各々の色彩組合せにより多岐にわたるデザインが可能となる。

[0056] (実施の形態 2)

図 3は、本発明の一実施形態のスピーカの断面図を示したものである。図 3に示すように、着磁されたマグネット 21を上部プレート 22およびヨーク 23により挟み込んで内磁型の磁気回路 24を構成して、る。

[0057] この磁気回路 24のヨーク 23にフレーム 26を結合している。このフレーム 26の周縁部に、エッジ 29を介して実施の形態 1で説明した振動板 27の外周を接着している。そして、この振動板 27の中心部にボイスコイル 28の一端を結合するとともに、その反対の一端を上記磁気回路 24の磁気ギャップ 25にはまり込むように結合して構成している。

[0058] 実施の形態 2は、内磁型の磁気回路 24を有するスピーカについて説明する力本発明はこれに限定されず、外磁型の磁気回路を有するスピーカに適用しても良い。さらに、振動板 27とエッジ 29とが一体化された携帯電話用等の小型スピーカについて適用することも可能である。

[0059] この構成により、実施の形態 1において説明したように、特性、音質の調整の自由度が大きぐ耐湿信頼性や強度が確保でき、外観の優れた、生産性の高いスピーカを実現することができる。

[0060] 本発明の振動板を用いてスピーカを作製することにより、従来では実現できなかつた紙振動板と榭脂振動板の両方の物性を活力した精度の高い特性つくり、音つくりが可能となる。さらに、色彩等の意匠上も、その組合せにより多岐にわたるデザインが可能となる。

[0061] そして、その組合せによるバリエーションについても無限に設定できる可能性があり、特性つくり、音つくり、デザイン上において、所望の要求を満足できるスピーカを実現することが可能となる。

[0062] (実施の形態 3)

図 4は、本発明の一実施形態の電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステムの外観図を示したものである。図 4に示すように、本発明の実施の形態 2で説明したスピーカ 30をェンクロジャー 41に組込んで、スピーカシステムを構成している。スピ一力 30に入力する電気信号の増幅手段であるアンプ 42と、このアンプ 42に入力されるソースを出力するプレーヤ 43とを備えて、電子機器であるオーディオ用のミニコンプシステム 44を構成したものである。

[0063] 本発明の振動板を用いてスピーカシステムを作製することにより、従来では実現できな力つた紙振動板と榭脂振動板の両方の特徴を活力した精度の高い特性つくり、音つくり、デザインを可能とした電子機器を実現することができる。

[0064] (実施の形態 4)

図 5は、本発明の一実施形態の装置である自動車 50の断面図を示したものである。図 5に示すように、本発明の振動板を用いたスピーカ 30をリアトレイやフロントパネルに組込んで、カーナビゲーシヨンやカーオーディオの一部として使用して自動車 5 0を構成したものである。

[0065] この構成とすることにより、スピーカ 30の紙振動板と榭脂振動板の両方の特徴を活力した精度の高い特性つくり、音つくり、デザインを図ることで、特に耐湿信頼性や強度が要求される自動車等の装置の音響設計自由度を向上させることができる。

[0066] 次に、図面を参照しながら本発明の製造方法および製造装置について説明する。

[0067] (実施の形態 5)

図 6は本発明の一実施形態の振動板の製造方法を示すプロセスチャートである。

[0068] A1工程では、あらかじめ繊維状にした PP101と、充填材であるパルプ 102とを湿式混合機 103により、水分を多量に含ませながら攪拌して十分に混合させる。そして A2工程では、これを脱水機 105に入れ、適度な水分量を含ませたまま脱水し、一次複合材 104を得る。このとき、充填材であるパルプ 2には、クラフトパルプ (NUKP)を使用している。

[0069] また、別の B1工程では、榭脂材料である PPペレット 106を粉砕機 107により粉砕し、顆粒状の PP108を得る。

[0070] 次に、 C1工程で、前述の A1工程および A2工程を経て作製した一次複合材 104と、 B1工程で作製した顆粒状の PP108をミキサー 109により再度複合ィ匕する。この C1 工程では、湿式混合した一次複合材 104に含まれる水分と、繊維状の PP101及び /または顆粒状の PP108とを置換させることで、互いの分散性を良くして複合ィ匕している。

[0071] ここで、この置換工程として好ま、方法は、加熱乾燥により複合化する方法である。この方法は、一次複合材 104と顆粒状の PP108をミキサー 109に投入して、加熱乾燥させることで、残った水分を蒸発させ、同時に繊維状の PPおよび顆粒状の PP1 08を溶融させて、水分と PPとを置換させる方法である。この置換工程を経ることにより、 PPとパルプとの絡みを向上させ、馴染みを良好ィ匕して、効率よく複合化させることができる。この工程により、 PPとパルプとの分散性が良好ィ匕した二次複合材 110を得る。

[0072] 射出成形機 114を用いて、加熱下で、この二次複合材 110を、金型 113の内部に射出することにより、振動板 115を得る。最後に、この振動板 115を冷却固化して、金型 113から取り出す。

[0073] 以上の工程により、 PP中にパルプが均一に分散した振動板 115を製造することができる。

[0074] また、射出成形前に、二次複合材 110を、ペレット成形機 111により再度ペレツトイ匕する C2工程を設けてもよい。射出成形機 114を用いて、 C2工程で作製したペレット品 112を射出成型することで、 PPとパルプとの分散性がより良好な振動板 115を得ることが出来る。

[0075] さらに、マイ力等の強化材 116、または希釈榭脂 117の混入工程 D1を C1工程の再複合ィ匕と同時に行ってもよいし、 CI工程または C2工程に引き続いて混入工程 Dl を追加してもよい。 D1工程を設けることにより、振動板の物性値のさらなる微調整を実施することができる。マイ力等の強化材 116を混入すれば、振動板の剛性を向上させることができ、これに応じたスピーカ特性や音質を実現することができる。また、希釈榭脂 117を混入すれば、振動板の榭脂の性質を大きく反映した特性を得ることができ、これに応じたスピーカ特性や音質を実現することができる。

[0076] また、充填材にパルプを使用することで、榭脂振動板でありながら、より紙振動板に近い性質を持たせることができる。そして、榭脂として PPを使用することで、安価で、高、生産性を確立することができる。

[0077] 実施の形態 5の製造方法を用いることで、榭脂と充填材との馴染みを良くし、それぞれの良い特徴を引出すことができる。よって、この振動板を用いたスピーカは、その特性、音質の調整の自由度が大きぐ耐湿、耐水信頼性や強度が確保でき、外観も優れたものとなる。

[0078] 実施の形態 5の製造方法を用いることで、長、抄紙工程を経なければ得られなかつた紙振動板が有する特性値を、高ヽ生産性でかつ安定して実現することができる。

[0079] (実施の形態 6)

実施の形態 6では、図 6を用いて、本発明のスピーカ用振動板の生産設備について説明する。

[0080] 本発明の生産設備 120は、少なくとも榭脂と充填材の 2種類以上の材料の湿式混合手段である湿式混合機 103と、この脱水手段である脱水機 105と、榭脂粉砕手段である粉砕機 107と、複合化手段としてのミキサー 109と、成形金型 113と、射出成形手段である射出成形機 114とを有する。

[0081] この構成により、湿式混合による繊維状の樹脂と充填材との混練、複合化、顆粒状の榭脂を得るための粉砕、水分と榭脂との置換における複合ィ匕を実施することができることにより、榭脂と充填材との絡みを向上させ、均一分散性を得ることが出来て、榭脂と充填材のそれぞれの良い特徴を引出すことができる生産設備を実現することができる。

[0082] 本発明の生産設備はさらに混合機 118を有してもよい。混合機 118は、榭脂と、強化材 116を含む榭脂系材料、または希釈榭脂 117を混合する装置である。混合機 1 18を有することにより、さらに振動板の物性値の微調整が可能となる。すなわち、強化材を含む榭脂系材料を追加混合した場合には、振動板の剛性を向上させることができ、反対に希釈榭脂を追加混合した場合には、振動板の榭脂物性をさらに高める方向に物性値を調整することができる。よって、榭脂と充填材との分散性が向上し、それぞれの良い特徴を引出すとともに、さらに振動板の物性値の微調整が可能な生産設備を実現することができる。

[0083] 以上の実施の形態 5および 6においては、スピーカ用振動板の製造について説明した。実施の形態 5および 6本発明の製造設備および製造方法は、本発明のダストキヤップの製造に適用することが出来るのは言うまでも無い。

[0084] (実施の形態 7)

図 7は、本発明の一実施形態のダストキャップの断面図を示したものである。

[0085] 図 7に示すように、ダストキャップ 129は、榭脂材料 129Aと繊維材料 129Bとを混入した材料を射出成形して作製される。このダストキャップ 129の材料については、榭脂材料 129Aに結晶性または非晶性のォレフィン榭脂を使用している。

[0086] さらに、繊維材料 129Bには葉繊維や靭皮繊維、種子繊維、果実繊維、茎繊維のいずれかまたはその組合せを用いるのが好ましい。さら〖こ、この繊維材料 129Bは動物繊維等の材料を混入しても良い。これらの材料を混入することで、さらに一層所望の特性や音質に近付けたり、特性を任意に調整することができる。

[0087] なお、前述の植物繊維では得られな!/ヽ音質の微調整を目的として、動物繊維である絹や羊毛等の材料を混入して強度や内部損失を微調整することもできる。

[0088] 強化材としてアルミニウム等の金属繊維、カーボン等の炭素繊維、ガラスやボロン等のセラミック繊維、ァラミド等の有機高弾性繊維、あるいはマイ力やグラフアイト等を混入した成形材料を作製して振動板を成形することもできる。これにより、ダストキヤップ 129の強化や、音に多少のアクセントを付けたり、音圧周波数特性にピークを持たせて音質調整を行うことが出来る。

[0089] また、前述の材料では満足できない内部損失を設けた音質を確保したい場合には

、酸ィ匕亜鉛ウイスカ等の材料を混入して構成することもできる。 [0090] そして、以上に説明した材料をそれぞれ単独で用いる力それらを組合せて用いることで、ダストキャップ 29の物性値を自由に、し力も高精度に調整することができ、所望の特性と音質を実現することが可能となる。

[0091] このようにして得られたダストキャップ 129の物性値等の計測、評価を行う。また、このダストキャップ 129を使用してスピーカを試作し、実際のスピーカとしての特性、音声の計測および試聴により、最終的な評価を実施する。

[0092] 評価により、所望の特性と音質が満足できない場合は、何度もダストキャップの試作プロセスを繰返す。そしてその中で、材料選定はもとより、それらの配合比率について改善を加え、順次目標とする音質に近付けていく。

[0093] 以上のようなプロセスを繰返すことにより、所望の特性と音質を満足できる力、または非常に近いものに仕上げることができる。

[0094] また、本発明の繊維材料の繊維長は、 0. 2mm— 20mmとして構成している。この構成により、榭脂材料と混練したときの効果を効率よく引出し、かつ生産性と品質を向上させることができる。

[0095] さらに、本発明の榭脂材料への繊維材料の混入比率は、 5%から 70%として構成している。この構成により、榭脂材料と混練したときの効果を効率よく引出し、かつ生産性と品質を向上させることができる。

[0096] 以上のように、一般的な効果として、通常振動板 27からの振幅を受け、振動して!/、るダストキャップ 129は、その分割共振により発生する不要なピークやディップを内部損失の大きいパルプを混入する効果により低減させることができる。

[0097] そして、接着性の良くない榭脂については、パルプの存在により接着性を向上させることがでさる。

[0098] また、外観デザインの一手法として、榭脂材料 129Aと繊維材料 129Bとを異なる色彩として、一枚のダストキャップ 129に両方の材料が混入されていることをアピールできるデザインとすることも可能である。この場合は、特に榭脂材料を透明もしくは半透明にすることが望ましい。

[0099] 以上のように本発明は、榭脂材料 129Aと繊維材料 129Bとを混入した材料を射出成形してスピーカ用ダストキャップ 129を構成することにより、分割共振により発生する不要なピークやディップを内部損失の大きいパルプの効果により低減させることができる。

[0100] また、ダストキャップ 129の物性値設定の自由度が大きぐ接着性に優れた紙の有する利点と、耐湿、耐水信頼性や強度が確保でき、外観に優れ、生産性や寸法安定性も向上できる樹脂の有する利点の両方の特徴を生力したダストキャップを得ることができる。

[0101] よって、従来では実現できな力つた紙と樹脂の両方の物性を活力した特性つくり、音つくりが可能となる。

[0102] さらに、そのデザイン上も、繊維材料と榭脂材料の各々の色彩組合せにより多岐にわたるデザインが可能となる。

[0103] (実施の形態 8)

図 8は、本発明の一実施形態のスピーカの断面図を示したものである。図 8に示すように、着磁されたマグネット 21を上部プレート 22およびヨーク 23により挟み込んで内磁型の磁気回路 24を構成して、る。

[0104] この磁気回路 24のヨーク 23にフレーム 26を結合している。このフレーム 26の周縁部に、振動板 27の外周を接着している。そして、この振動板 27の中心部にボイスコィル 28の一端を結合するとともに、反対の一端を上記磁気回路 24の磁気ギャップ 25 にはまり込むように結合して構成して!/、る。

[0105] そして、この振動板 27の中心部のボイスコイル 28との反対側に、ダストキャップ 129 を接着して構成している。

[0106] 実施の形態 8では、内磁型の磁気回路 24を有するスピーカについて説明するが、本発明これに限定されず、外磁型の磁気回路を有するスピーカに適用しても良い。

[0107] ダストキャップに 129に内部損失の大きいパルプを混入することで、分割共振により発生する不要なピークやディップを低減させることができる。

[0108] また、特性、音質の調整の自由度が大きぐ耐湿信頼性や強度が確保でき、外観の優れた、生産性の高、スピーカを実現することができる。

[0109] よって、従来では実現できな力つた紙と樹脂の両方の物性を活力したダストキャップ

129を使用することで、音質の向上と精度の高い特性つくり、音つくりが可能となる。さらに、色彩等の意匠上も、その組合せにより多岐にわたるデザインが可能となる。

[0110] そして、その組合せによるノリエーシヨンについても多数設定でき、特性つくり、音つくり、デザイン上において、所望の要求を満足できるスピーカを実現することが可能となる。

[0111] ここで、ダストキャップ 129は、スピーカ構成部品の中での特性や音質を決定するゥエイトは、その面積や体積、重量が大きいほど、その影響も大きくなる。

[0112] また、振動板 27の前面部に配置、接着されている構造上、このダストキャップ 129 の外形寸法が、振動板 27の外形寸法に近、程度の大きさを有するダストキャップについては、振動板よりも特性や音質を決定するウェイトは大きくなる可能性がある。

[0113] これは、特にダストキャップにより、振動板から発生する高域成分や中高域成分を物理的にカットして、るスーパーウーファー等に多く見られる構造である。

[0114] この原因は、ダストキャップは振動板に起因する振幅により振動して音を発生してはいるものの、人間の耳に直接到達する音は、振動板よりむしろダストキャップ力発生したものの方が多いことによるためである。

[0115] よって、ダストキャップの材料、物性値により、スピーカの特性や音質が大きく左右されることになる。従って、スピーカの構成部品の中で、スピーカの特性や音質に対する寄与率において、ダストキャップが一番高くなる構成もありうる。

[0116] (実施の形態 9)

図 4は、本発明の一実施形態の電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステムの外観図を示したものである。

[0117] 図 4に示すミニコンポシステム 44を用いて、本発明のダストキャップ 129を用いたスピー力 30をェンクロジャー 41に組込んだ例を示す。ミニコンポシステム 44は、スピー力 30と、スピーカに入力する電気信号の増幅手段であるアンプ 42と、このアンプ 42 に入力されるソースを出力するプレーヤ 43とを備える。

[0118] 本発明のスピーカ 30は、紙と樹脂の両方の特徴を活力したダストキャップ 129を用いることにより、高音質と精度の高い特性つくり、音つくり、多様なデザインが可能な電子機器の実現を可能とするものである。

[0119] (実施の形態 10) 図 5は、本発明の一実施形態の装置である自動車 50の断面図を示したものである

[0120] 図 5に示すように、本発明のスピーカ 30をリアトレイやフロントパネルに組込んで、力一ナビゲーシヨンやカーオーディオの一部として使用して自動車 50を構成したものである。

[0121] 本発明のスピーカを用いることにより、特に耐湿信頼性や強度が要求される自動車等の装置の音響設計自由度を向上させることができる。

[0122] 以上の実施の形態 8— 10においては、本発明の概念をダストキャップ 129に適用した実例を説明した。本発明のダストキャップを従来の振動板と組み合わせて用いることも出来るが、好ましくは、本発明のダストキャップと本発明の振動板を同時に用いることで、より高性能のスピーカ、より高性能の映像音響機器を実現できることは言うまでも無い。

産業上の利用可能性

[0123] 本発明にかかるスピーカ用振動板、ダストキャップ、スピーカ、電子機器および装置は、精度の高い特性つくり、音つくりが必要な映像音響機器や情報通信機器等の電子機器、さらには自動車等の装置に適用できる。

[0124] また、本発明にかかるスピーカ用振動板、またはダストキャップの製造方法は、榭脂と充填材である繊維材料との特徴を両立させた振動板を生産できることから、榭脂振動板と紙振動板の両方の特徴を得たい各種音響機器に使用されるスピーカ用振動板またはダストキャップの製造方法や生産設備等の装置に適用できる。

Claims

請求の範囲

[I] 振動板を有するスピーカであって、前記振動板が榭脂材料と繊維材料との混合物からなる射出成形物であることを特徴とするスピーカ。

[2] 前記振動板に接合されるダストキャップをさらに有し、前記ダストキャップ力前記榭脂材料と前記繊維材料との混合物カゝらなる射出成形物であることを特徴とする請求項 1記載のスピーカ。

[3] 前記榭脂材料が、結晶性または非晶性のォレフィン榭脂であることを特徴とする請求項 1記載のスピーカ。

[4] 前記榭脂材料が、ポリプロピレンまたはエンジニアリングプラスチックであることを特徴とする請求項 1記載のスピーカ。

[5] 前記繊維材料が、木材繊維、葉繊維、靭皮繊維、種子繊維、果実繊維、茎繊維、動物繊維のうちの少なくとも 1の繊維を含むことを特徴とする請求項 1記載のスピーカ。

[6] 前記木材繊維は、クラフトパルプ、サルファイトパルプのうちの少なくとも 1を含むことを特徴とする請求項 5記載のスピーカ。

[7] 前記混合物がさらに強化材を含むことを特徴とする請求項 1記載のスピーカ。

[8] 前記繊維材料の繊維長は、 0. 2mm— 20mmであることを特徴とする請求項 1記載のスピーカ。

[9] 前記混合物が前記繊維材料を 5重量％から 70重量％含むことを特徴とする請求項 1 記載のスピーカ。

[10] 前記振動板または前記ダストキャップの色彩が、黒系色またはナチュラル色であることを特徴とする請求項 2記載のスピーカ。

[II] 前記振動板または前記ダストキャップが、互いに異なった色彩の前記榭脂材料と前記繊維材料を含むことを特徴とする請求項 2記載のスピーカ。

[12] 前記振動板または前記ダストキャップが、透明または半透明の前記榭脂材料を含むことを特徴とする請求項 11記載のスピーカ。

[13] スピーカ用振動板であって、榭脂材料と繊維材料との混合物力もなる射出成形物であることを特徴とする振動板。

[14] 前記榭脂材料が、結晶性または非晶性のォレフィン榭脂であることを特徴とする請求項 13記載の振動板。

[15] 前記繊維材料が、木材繊維、葉繊維、靭皮繊維、種子繊維、果実繊維、茎繊維、動物繊維のうちの少なくとも 1の繊維を含むことを特徴とする請求項 13記載の振動板。

[16] 前記混合物がさらに強化材を含むことを特徴とする請求項 13記載の振動板。

[17] 前記繊維材料の繊維長は、 0. 2mm— 20mmであることを特徴とする請求項 13記載の振動板。

[18] 前記混合物が前記繊維材料を 5重量％から 70重量％含むことを特徴とする請求項 1 3記載の振動板。

[19] 前記振動板の色彩が、黒系色またはナチュラル色であることを特徴とする請求項 13 記載の振動板。

[20] 前記振動板が、互いに異なった色彩の前記榭脂材料と前記繊維材料を含むことを特徴とする請求項 13記載の振動板。

[21] 前記振動板が、透明または半透明の前記榭脂材料を含むことを特徴とする請求項 2

0記載の振動板。

[22] スピーカ用ダストキャップであって、榭脂材料と繊維材料との混合物からなる射出成形物であることを特徴とするダストキャップ。

[23] 前記榭脂材料が、結晶性または非晶性のォレフィン榭脂であることを特徴とする請求項 22記載のダストキャップ。

[24] 前記繊維材料が、木材繊維、葉繊維、靭皮繊維、種子繊維、果実繊維、茎繊維、動物繊維のうちの少なくとも 1の繊維を含むことを特徴とする請求項 22記載のダストキヤップ。

[25] 前記混合物がさらに強化材を含むことを特徴とする請求項 22記載のダストキャップ。

[26] 前記繊維材料の繊維長は、 0. 2mm— 20mmであることを特徴とする請求項 22記載のダストキャップ。

[27] 前記混合物が前記繊維材料を 5重量％から 70重量％含むことを特徴とする請求項 2 2記載のダストキャップ。

[28] 前記ダストキャップの色彩力黒系色またはナチュラル色であることを特徴とする請求項 22記載のダストキャップ。

[29] 前記ダストキャップが、互いに異なった色彩の前記榭脂材料と前記繊維材料を含むことを特徴とする請求項 22記載のダストキャップ。

[30] 前記ダストキャップが、透明または半透明の前記榭脂材料を含むことを特徴とする請求項 29記載のダストキャップ。

[31] スピーカを有する電子機器であって、前記スピーカの振動板及びダストキャップが、榭脂材料と繊維材料との混合物カゝらなる射出成形物であることを特徴とする機器。

[32] 前記電子機器が車載用機器であることを特徴とする請求項 31記載の機器。

[33] 振動板またはダストキャップの製造方法であって、繊維状の樹脂と充填材とを湿式混合するステップと、前記混合物を脱水して 1次複合材を作製する脱水ステップと、前記榭脂を顆粒状に粉砕するステップと、前記 1次複合材と前記顆粒状の樹脂とを混合して二次複合材を作製するステップと、前記二次複合材を射出成形するステツプとを有する製造方法。

[34] 前記の二次複合材を得るステップは、水分と榭脂とを置換するステップを有することを特徴とする請求項 33記載の製造方法。

[35] 前記置換ステップが、前記 1次複合材と前記顆粒状の樹脂との混合物を加熱乾燥により造粒するステップであることを特徴とする請求項 34記載の製造方法。

[36] 前記二次複合材をペレツトイ匕するステップをさらに有することを特徴とする請求項 33 記載の製造方法。

[37] 前記の二次複合材を得るステップ中、または前記の二次複合材を得るステップの後に、強化材または希釈樹脂の混入ステップをさらに有することを特徴とする請求項 33 記載の製造方法。

[38] 振動板またはダストキャップの製造装置であって、繊維状の樹脂と充填材とを湿式混合する装置と、前記混合物を脱水して 1次複合材を作成する脱水機と、榭脂を顆粒状にする粉砕機と、前記 1次複合材と前記顆粒状の樹脂とを混合して二次複合材を作製する混合機と、前記二次複合材を成形する射出成形機とを有する製造装置。

[39] 前記二次複合材と、強化材を含む榭脂材料または希釈樹脂との混合機をさらに有する請求項 38記載の製造装置。