明細書
肝臓 X受容体 aスプライシング変異体夕ンパク質、 その遺伝子及びそれらの利用 技術分野
本発明は、肝臓 X受容体ひのアイソフオームである肝臓 X受容体 スプライシング 変異体夕ンパク質、 その遺伝子及びそれらの利用に関する。 背景技術
コレステロールは、 生体内における重要な脂質であり、 様々な脂質の構成成分でも ある。 コレステロールは、 摂食により腸管から吸収されるか、 又は肝臓においてァセ チル -Co Aカゝら生合成される。 生合成されたコレステロ一ルは肝臓から排出された後、 小腸において再吸収され、 血液を介して肝臓に輸送され、 再利用される。 また、 M においては、 コレステロールの一部は、 胆汁酸へと代謝される。 生体内におけるコレ ステロ一ルレベルが何らかの異常により上昇すると、高コレステロール血症に由来す る高脂血症ゃァテローム性動脈硬化症の発症原因となる。 これらの高コレステロール に由来する疾患の発症メカニズムについては十分に解明されていない。 現在、 高コレ ステロ一ル血症に由来する疾患の治療薬としては、 コレステロール合成阻害剤 (ス夕 チン系製剤) ゃフイブラート系薬剤が用いられている。 しかし、 これらの薬剤による 治療は、 場合によっては必ずしも充分に満足できるものではない。
コレステロールの再吸収や胆汁酸への変換(コレステロール代謝) はそれぞれの特 定のトランスポーター又は酵素により行われている。さらにこれらのタンパク質をコ ―ドする遺伝子群の発現調節には核内レセプターの 1つである肝臓 X受容体が関与し ていることが知られている。
肝臓 X受容体には、 これまでに 2種類のサブタイプ (肝臓 X受容体 a、 肝臓 X受容 体 i3 ) が存在することが報告されている (例えば、 Peet e t al .、 Curr. Op in. Genet . Dev. 8 ; 571-575、 1998参照。 ) 。 肝臓 X受容体ひは、 核内レセプタ一の 1つである レチノイド X受容体 (RXR) とへテロダイマーを形成し、 標的遺伝子の転写制御領域 に結合することにより、 標的遺伝子の転写を制御することが知られている。 肝臓 X受
容体以外の核内レセプターにおいても、サブタイプゃァイソフォームが見出されてお り、 例えば、 RAR、 RXR及び PPARでは 3種類のサブタイプ並びにこれらによりコード されるタンパク質が変化した形のアイソフォームが見い出されている (例えば、 Mange 1 s do r f and Evans, Cel l、 83 : 841-850, 1995参照。 ) 。 RAR及び PPARのアイ ソフォームは、選択的スプライシング及び Z又は異なるプロモ一ターの制御により生 じると考えられており、 その発現の組織特異性や役割が異なることが知られている (例えば、 Takeyama et al .、 Biochem. Biophys. Res. Co讓 un. 222 ; 395-400, 1996 参照。 ) 。 従って、 核内レセプ夕一のサブタイプ及びアイソフォームは、 それぞれ異 なる機能を有していると考えられる。コレステロールの代謝調節において重要な役割 を担っている肝臓 X受容体《に関し、正常型肝臓 X受容体《による正常なコレステロ ール代謝を変化させるような機能を有するアイソフォームが存在するならば、かかる ァイソフォームは、その機能が直接的又は間接的に関与する病的症状との関連性を解 明し、 そして、 それら疾患の予防又は治療のための医薬品を開発するために重要であ る。 発明の開示 .
本発明は、 正常型肝臓 X受容体ひによる正常なコレステロール代謝の阻害に関与す る新規な肝臓 X受容体 のァイソフォームである肝臓 X受容体 スプライシング変異 体タンパク質、 その遺伝子及びそれらの利用を提供する。
より詳しくは、 本発明は、
1 . 肝臓 X受容体 αのァイソフォームであって、 少なくとも肝臓 X受容体 α遺伝子のェ クソン 5にコードされるァミノ酸配列の一部領域が欠失してなる、 肝臓 X受容体 ス プライシング変異体タンパク質 (以下、 本発明スプライシング変異体タンパク質と記 すこともある。 ) ;
2 . ェクソン 5以外のェクソンにコードされるアミノ酸配列は正常型肝臓 X受容体ひ と実質的に同一である、 前項 1記載の肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク 質;
3 . 下記のいずれかのアミノ酸配列を有することを特徴とする前項 2記載の肝臓 X受
容体 スプライシング変異体タンパク質;
( 1 ) 配列番号 1で示されるアミノ酸配列
( 2 ) 配列番号 1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列
( 3 )配列番号 1で示されるアミノ酸配列に対して、 95%以上のアミノ酸同一性を有 するアミノ酸配列
4. 正常型 iff臓 X受容体 αが有する、 リガンドによる転写活性化能と比較して、 その 転写活性化能が低いことを特徴とする前項 1〜 3のいずれかに記載の肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質;
5 . 前項 3記載の肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質のアミノ酸配列を コードする塩基配列、 又は当該塩基配列に相補性を有する塩基配列、 を有するポリヌ クレオチド;
6 . 配列番号 2で示される塩基配列、 又は当該塩基配列に相補性を有する塩基配列、 を有するポリヌクレオチド;
7 . 前項 1記載の肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質の部分ポリぺプチ ドであって、 前項 1記載の肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質のァミノ 酸配列のうち、少なくともェクソン 5にコードされるアミノ酸配列の一部領域が欠失 することにより新たに連結された 2つのアミノ酸残基を含むァミノ酸配列からなる ポリペプチド (以下、 本発明ポリペプチドと記すこともある。 ) ;
8 .配列番号 3で示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする前項 7記載のポリ ぺプチド;
9 . 前項 8記載のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列、 又は当該塩基 配列に相補性を有する塩基配列、 を有するポリヌクレオチド;
1 0 . 配列番号 4で示される塩基配列、 又は当該塩基配列に相補性を有する塩基配列 、 を有するポリヌクレオチド;
1 1 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク 質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド、又は前項 5もし くは 6記載のポリヌクレオチド (以下、 総じて、 本発明スプライシング変異体タンパ ク質遺伝子と記すこともある。 ) 、 を含有する組換えベクター (以下、 本発明組換え
ベクターと記すこともある。 ) ;
1 2 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク 質のアミノ酸配列をコ一ドする塩基配列を有するポリヌクレオチド、又は前項 5もし くは 6記載のポリヌクレオチド、 が宿主細胞に導入されてなる形質転換体 (以下、 本 発明形質転換体と記すこともある。 ) ;
1 3 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク 質のアミノ酸配列をコ一ドする塩基配列を有するポリヌクレオチド、又は前項 5もし くは 6記載のポリヌクレオチドを、宿主細胞中で自立複製可能なベクターに導入する 工程を有するベクターの製造方法;
1 4. 前項 1 2記載の形質転換体を培養して、 肝臓 X受容体 スプライシング変異体 タンパク質を産生させる工程を有する、 JR臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパ ク質の製造方法;
1 5 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク 質のアミノ酸配列をコ一ドする塩基配列を有するポリヌクレオチド、又は前項 5もし くは 6記載のポリヌクレオチド、 を発現する能力を欠損させてなる遺伝子欠損動物;
1 6 . 前項 7もしくは 8記載のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を 有するポリヌクレオチド (以下、 本発明ポリペプチド遺伝子と記すこともある。 ) 、 又は前項 9もしくは 1 0記載のポリヌクレオチド、 を含有する組換えベクター;
1 7 . 前項 7もしくは 8記載のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を 有するポリヌクレオチド、 又は前項 9もしくは 1 0記載のポリヌクレオチド、 が宿主 細胞に導入されてなる形質転換体;
1 8 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク 質に被験物質を接触させる工程、 当該肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク 質の変化を測定する工程を有する、 肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパグ質 に作用する物質のスクリーニング方法(以下、 本発明スクリーニング方法と記すこと fcある。 ) ;
1 9 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 0:スプライシング変異体タンパク 質を産生する細胞に被験物質を接触させる工程、 前記細胞において当該肝臓 X受容体
αスプライシング変異体タンパク質により発現調節を受ける他のタンパク質の産生 量を測定する工程、 及び前記産生量に基づき被験物質の JFF臓 X受容体 αスプライシン グ変異体タンパク質タンパク質に対する作用性を評価する工程を有する、 J3干臓 X受容 体ひスプライシング変異体タンパク質に作用する物質のスクリーニング方法; 2 0 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの刊蔵 X受容体ひスプライシング変異体タンパク 質を産生する細胞に、 前記肝臓 X受容体 aスプライシング変異体夕ンパク質のリガン ドを接触させ、 当該肝臓 X受容体《スプライシング変異体タンパク質により発現調節 を受ける他のタンパク質の産生量を測定する第一工程、前項 1乃至 4記載のいずれか の肝臓 X受容体 αスプライシング変異体夕ンパク質を産生する細胞に、前記肝臓 X受容 体ひスプライシング変異体夕ンパク質のリガンド及び被験物質の両者を接触させ、 当 該月刊蔵 X受容体 αスプライシング変異体夕ンパク質により発現調節を受ける他の夕ン パク質の産生量を測定する第二工程、 及び、 前記第一工程と前記第二工程とで測定さ れた前記他の夕ンパク質の産生量の差異に基づき被験物質の前記リガンドに対する 拮抗作用性を評価する工程を有する、 肝臓 X受容体 aスプライシング変異体タンパク 質に作用する物質のスクリーニング方法;
2 1 . 前項 1 8記載のスクリーニング方法により選択された肝臓 X受容体 αスプライ シング変異体タンパク質に作用する物質;
2 2 . 肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質に作用する前項 2 1記載の物 質に対する拮抗物質;
2 3 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの Jff臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク 質を特異的に認識する抗体又は抗体の一部;
2 4 . 前項 5又は 6記載のポリヌクレオチドに基づき設計されてなるプライマー; 2 5 . 遺伝子治療法のための、 前項 9又は 1 0記載のポリヌクレオチドが有する塩基 配列に対する特異的 DMプローブの使用;
2 6 . 遺伝子治療法のための、 前項 9又は 1 0記載のポリヌクレオチドが有する塩基 配列に対する特異的 RNAプローブの使用;
2 7 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの Jff臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク 質の存在有無を検出する方法であって、 生体試料中のメッセンジャー RNA (DiRNA) か
ら相補的 DNA (cDNA) を合成する第一工程、 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容 体ひスプライシング変異体タンパク質又は前項 7もしくは 8記載のいずれかのポリ ぺプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド或いは前 項 9記載のポリヌクレオチド、 に対応する前記相補的 DNA (cDNA) の部分領域を増幅 する第二工程、 及び増幅された部分領域を検出する第三工程を有する方法;
2 8 . 第二工程において、 配列番号 5、 配列番号 6、 配列番号 7、 配列番号 8、 配列 番号 9、配列番号 1 0又は配列番号 1 1で示される塩基配列からなるポリヌクレオチ ドから選択される 1つ又は複数をプライマ一として用いる PCR法により増幅する、前項 2 7記載の方法;
2 9 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの月干臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク 質若しくは前項 7又は 8記載のポリペプチドのァミノ酸配列をコードする塩基配列 を有するポリヌクレオチド或いは前項 9記載のポリヌクレオチドが、配列番号 4で示 される塩基配列を有するポリヌクレオチドである、 前項 2 7記載の方法;
3 0 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの jff臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク 質の存在有無を検出する方法であって、 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質又は前項 7若しくは 8記載のポリぺプチドを特 異的に検出することができる抗体を用いた抗原抗体反応に基づき前記肝臓 X受容体 α スプライシング変異体タンパク質を検出する工程を有する方法;
3 1 . 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク 質の存在有無を検出する方法であって、 前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 αスプライシング変異体夕ンパク質又は前項 7若しくは 8記載のポリぺプチドを特 異的に検出することができる第一抗体をマイクロタイターゥエルに結合させる第一 工程、 生体試料中の前項 1乃至 4記載のいずれかの肝臓 X受容体 スプライシング変 異体タンパク質を、マイクロ夕イターゥエル上の前記第一抗体に結合させる第二工程 、 第二工程後、 マイクロタイ夕ーゥエル内の全ての非結合状態にある生体試料を除去 する第三工程、 前記肝臓 X受容体 0;スプライシング変異体タンパク質における、 第一 抗体とは異なるェピトープに結合することができる標識された第二抗体を、第一抗体 に結合された肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質に結合させる第四工程
、 第四工程後、 マイクロタイターゥエル内の全ての非結合状態にある第二抗体を除去 する第五工程、 第五工程後、 第二抗体の存在有無を当該第二抗体が有する標識を指標 にして検出する第六工程を有する方法;
3 2 . コレステロール代謝異常を調べるためのマーカーとしての、 前項 1記載の月刊蔵 X受容体 スプライシング変異体タンパク質の使用;
3 3 . 肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質が、 前項 2乃至 4記載の肝臓 X 受容体 αスプライシング変異体夕ンパク質であることを特徴とする前項 3 2記載の 使用;
3 4 . コレステロール代謝異常を調べるためのマーカーとしての、 前項 1乃至 4記載 の肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基 配列を有するポリヌクレオチドの使用;
3 5 . 肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質のアミノ酸配列をコードする 塩基配列を有するポリヌクレオチドが、 前項 5、 6又は 1 0記載のポリヌクレオチド であることを特徴とする前項 3 4記載の使用;
等を提供するものである。 図面の簡単な説明
図 1は、正常型肝臓 X受容体ひ遺伝子と本発明により見出された肝臓 X受容体ひスプ ライシング変異体夕ンパク質遺伝子の構造ドメインを図式的に示した図である。翻訳 領域は黒色で示した。
図 2は、 正常型肝臓 X受容体 αの正常組織における発現を調べた結果を示した図で ある。 当該図は、 正常型肝臓 X受容体 £¾を特異的に増幅するように設計された配列番 号 9で示される塩基配列からなるプライマ一及び配列番号 1 0で示される塩基配列 からなるプライマーを用いて行った、 30サイクルの PCRにより増幅された PCR産物を示 したものである。正常型肝臓 X受容体 に由来する PCR産物は 430塩基対を有する DNA断 片である。 PCR反応により得られた PCR産物は、 ΤΑクローニング後、 その塩基配列の決 定を行い、 目的物が増幅されていることを確認した。
図 3は、 本発明により見出された肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質
の正常組織における発現を調べた結果を示した図である。 当該図は、 当該肝臓 X受容 体ひスプライシング変異体タンパク質を特異的に増幅するように設計された配列番 号 9で示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号 1 1で示される塩基配列 からなるプライマーを用いて行った、 3 0または 3 5サイクルの PCRにより増幅され た PCR産物を示したものである。当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質 に由来する PCR産物は 340塩基対を有する DNA断片である。 PCR反応により得られた PCR 産物は、 TAクローニング後、 その塩基配列の決定を行い、 目的物が増幅されているこ とを確認した。
図 4は、 正常型肝臓 X受容体の正常組織における発現を調べた結果を示した図であ る。 当該図は、 正常型肝臓 X受容体 を特異的に増幅するように設計された配列番号 9で示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号 1 0で示される塩基配列か らなるプライマーを用いて行った、 30サイクルの PCRにより増幅された PCR産物を示し たものである。正常型肝臓 X受容体 に由来する PCR産物は 430塩基対を有する DNA断片 である。 PCR反応により得られた PCR産物は、 TAクロ一ニング後、 その塩基配列の決定 を行い、 目的物が増幅されていることを確認した。
図 5は、 本発明により見出された肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質 の正常組織における発現を調べた結果を示した図である。 当該図は、 当該肝臓 X受容 体 αスプライシング変異体タンパク質を特異的に増幅するように設計された配列番 号 9で示される塩基配列からなるプライマ一及び配列番号 1 1で示される塩基配列 からなるプライマーを用いて行った、 3 0または 3 5サイクルの PCRにより増幅され た PCR産物を示したものである。当該肝臓 X受容体ひスプライシング変異体夕ンパク質 に由来する PCR産物は 340塩基対を有する DNA断片である。 PCR反応により得られた PCR 産物は、 TAクローニング後、 その塩基配列の決定を行い、 目的物が増幅されているこ とを確認した。 .
図 6は、 HEK293細胞における一過性発現系におけるレポーターアツセィによる本発 明により見出された月 :F臓 X受容体ひスプライシング変異体夕ンパク質の機能評価の結 果を示した図である。 TATA- LXREx2-luci f eraseベクターと、 正常型肝臓 X受容体 (L XR aWT) 発現べクタ一又は当該 JfF臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質 (LXR
ひ VI) 発現ベクターとを HEK293細胞に導入し、 肝臓 X受容体ひ合成ァゴニスト T090131 7を加えた時の転写活性化能を測定した結果を示している。 グラフ下の数値は、 添加 された Τ09013Πの最終濃度を表す。 また、 各々の試験区では 1 β Μの 9-c i s レチノィ ン酸を含む。 誤差線は標準偏差を表す。
図 7は、 HEK293細胞において、 正常型肝臓 X受容体ひ (LXR a WT) 発現ベクターと本 発明により見出された肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質 (LXR a Vl) 発 現ベクターとを共存させた時の転写活性化能を測定した結果を示した図である。各々 の試験区では 1 pMの 9- c i s レチノイン酸を含む。ベクタ一プラスミド PFLAG-CMV2を トランスフエクトした細胞を用いたときのルシフェラーゼ、活性の値を 1として、 各試 験区におけるルシフェラーゼ活性の値を相対値として示した。図 7の左図は細胞にェ 夕ノールを添加したときの結果を示し、図 7の右図は細胞に 5 z g/mlの T0901317を添 加したときの結果を示す。 誤差線は標準偏差を表す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳細に説明する。
本発明は、肝臓 X受容体 のァイソフォームである肝臓 X受容体 スプライシング変 異体夕ンパク質、 その遺伝子及びそれらの利用に関する。
本発明スプライシング変異体タンパク質は、 肝臓 X受容体 αのアイソフォームであ つて、少なくともェクソン 5にコードされるァミノ酸配列の一部領域が欠失したアミ ノ酸配列を有する。 より詳しくは、 本発明スプライシング変異体タンパク質は、 少な くともェクソン 5にコードされるァミノ酸配列に関して正常型肝臓 X受容体 と異な つており、 ェクソン 5にコードされるアミノ酸配列のうちの一部領域を欠失し、 当該 一部領域以外のェクソン 5にコードされるァミノ酸配列のうちの少なくとも一部領 域を含むアミノ酸配列を有する。好ましくは、 ェクソン 5より下流の翻訳領域の読み 枠は正常型と全く同じ読み枠である、 即ち、 ェクソン 5より下流の翻訳領域にコード されるァミノ酸配列は正常型 Jff臓 X受容体 と同じアミノ酸配列であることがよい。 代表的な例としては、 肝臓 X受容体ひ遺伝子のェクソン 5の 5 '末端 90塩基対が欠 失してなる翻訳領域にコードされる肝臓 X受容体 αのァイソフォーム等をあげること
ができる。
本発明スプライシング変異体タンパク質として、 さらに具体的には、 (1 ) 配列番 号 1で示されるアミノ酸配列、 (2 )配列番号 1で示されるアミノ酸配列と実質的に 同一のアミノ酸配列、 及び (3 ) 配列番号 1で示されるアミノ酸配列に対して、 95 % 以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列を有するも のがあげられる
かかる本発明スプライシング変異体タンパク質は、 正常型肝臓 X受容体ひが有する 、 リガンドによる転写活性化能と比較して、 その転写活性化能が低い。 例えば、 後述 の実施例で記載されるように、 上記 (1 ) で示される ffF臓 X受容体《スプライシング 変異体タンパク質が有する、 肝臓 X受容体 αのリガンドの 1つである T0901317 (例え ば、 Repa et al .、 Sc ience, 289 ; 1524-1529、 2000参照。 ) による転写活性化能は 、 正常型肝臓 X受容体ひが有する当該転写活性化能と比較して極めて弱いレベルであ つた。 さらに、 正常型肝臓 X受容体 αと当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体タン パク質を共発現させたところ、 正常型肝臓 X受容体 αのみを発現させたときに見られ るリガンド依存的な転写活性化は著しく抑制された。 以上の知見から、 当該肝臓 X受 容体 スプライシング変異体タンパク質は、生体内においてドミナントネガティブ的 に、 正常型肝臓 X受容体 aによる正常なコレステロール代謝の阻害に関与することが 明らかにされた。 「実質的に同一のアミノ酸配列」 の定義に関して、 一般に生理活性を有するタンパ ク質のアミノ酸配列が多少変更された場合には、 例えば、 当該アミノ酸配列中の 1又 は複数のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されるような変更があった場合でも、 当 該タンパク質の生理活性が維持される場合があることはよく知られた事実であり、従 つて、 本明細書でいう 「実質的に同一のアミノ酸配列」 とは、 特定のアミノ酸配列 ( 即ち、 配列番号 1で示されるアミノ酸配列) と実質的に同等の生物活性が保持される 限り、 当該アミノ酸配列中の 1又は複数のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加された (例えば、 ヒト由来の) 肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質も本発明の 範囲に含まれることを意味する。 前記で改変されるアミノ酸の数については、 少なく
とも 1残基、 具体的には 1若しくは数個 (ここで 「数個」 とは、 2〜約 1 0個程度で ある。 ) 、 又はそれ以上である。 かかる改変の数は、 当該タンパク質の生理活性が維 持される範囲であればよい。 より具体的には、 配列番号 1で示されるアミノ酸配列中 の 1個以上 20個以下、 好ましくは 1個以上 10個以下、 さらに好ましくは 1個以上 5個 以下のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加された (例えば、 ヒト由来の) 肝臓 X受容 体 スプライシング変異体タンパク質である。 このような変異は、 例えば、 蛋白質が 細胞内で受けるプロセシング、 該蛋白質が由来する生物の種差、 個体差、 器官、 組織 間の差異等により天然に生じる変異であってもよいし、 人為的なアミノ酸の変異(例 えば、 部位特異的変異導入法や突然変異処理等によって、 天然の蛋白質をコードする D N Aに変異を導入し発現させることにより作出された蛋白質が有するアミノ酸配 列中に存在するアミノ酸の変異) であってもよい。 このようなアミノ酸の欠失、 置換若しくは付加による変異体タンパク質は、 保存的 に置換されたアミノ酸配列を含んでいてもよい。 これは特定のアミノ酸残基が物理化 学的類似性 (例えば、 疎水性、 電荷、 p K:、 立体構造上における特徴等の類似した性 質) を有する残基によって置換されていてもよいことを意味している。 このような保 存的置換の非限定的な例には、 ①グリシン、 ァラニン;②パリン、 イソロイシン、 口 イシン;③ァスパラギン酸、 グルタミン酸、 ァスパラギン、 グルタミン、 ④セリン、 スレオニン;⑤リジン、 アルギニン;⑥フエ二ルァラニン、 チロシンのグループ内で の置換のような、脂肪族鎖含有アミノ酸残基の間の置換や極性基の間の置換等が挙げ られる。 アミノ酸の欠失、 置換若しくは付加による変異体タンパク質は、 例えば、 そのアミ ノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子に公知技術である部位特異的変異導 入 (例えば、 Nel son and McCle l l and, Methods EnzymoK 216 ; 279、 1992等、 ァ ンバー変異を利用する方法 (ギャップド ·デュプレックス法、 Nuc leic Ac ids Res. , 12、 9441-9456, 1984) 、 変異導入用プライマ一を用いた PCRによる方法) を行うこと により得ることができる。
部位特異的変異導入は、導入したい変異を含む合成プライマーを用いて行うことが できる。 即ち、 プライマ一として前記合成オリゴヌクレオチド及びその塩基配列に相 補的な塩基配列を有するプライマーを用いて、 正常型肝臓 X受容体《の遺伝子を含む プラスミドを铸型として、 増幅反応を行う。 次に、 メチル化感受性制限酵素である Dp n Iで処理することにより、 新たに形成された変異を有する DNAのみが残る。 この反応 液を用いて大腸菌 XLI_Blue株を形質転換し、 アンピシリン含有 LB寒天培地に捲く。 37 °Cでー晚培養し、 増殖したコロニーからプラスミドを単離する。 これにより、 変異 された DNAを含むプラスミドを得ることができる。 上記方法に基づくキットとしては 、 例えば、 Qui ckChange Si te-Di rected Mutagenes i s Ki t (Stratagene社製) 等が販 売されており、 これらを利用してもよい。 目的の変異が導入されたことは、 その塩基 配列を決定することにより確認できる。 さらにまた、 アミノ酸配列の欠失、 置換若しくは付加を行う方法としては、 前記の 部位特異的変異導入の他にも、遺伝子を変異原で処理する方法又は遺伝子を制限酵素 で開裂し、 選択した遺伝子断片を除去、 付加若しくは置換し、 次いで連結する方法等 も挙げることができる。 ここで 「正常型肝臓 X受容体ひ」 とは、 同一種の生物由来の当該受容体タンパク質 のアミノ酸配列において、 天然に最も高頻度に出現するアミノ酸配列からなる月刊蔵 X 受容体ひを意味する。 例えば、 ヒト由来正常型肝臓 X受容体ひとしては、 公共データ ベースに登録されているアミノ酸配列 (GenBank Access ion No. NM— 005693) からな る肝臓 X受容体 を挙げることができる。 本発明において 「アミノ酸同一性」 、 「塩基同一性」 とは、 2つの蛋白質又は 2つ の D N A間の配列の同一性及び相同性をいう。 前記 「同一性」 は、 比較対象の配列の 全領域にわたって、最適な状態にァラインメン卜された 2つの配列を比較することに より決定される。 ここで、 比較対象の蛋白質又は D N Aは、 2つの配列の最適なァラ
インメントにおいて、 付加又は欠失 (例えばギャップ等) を有していてもよい。 この ような同一性に関しては、 例えば、 Vec tor NTIを用いて、 Clus talWアルゴリズム(Nuc leic Ac id Res. 22 (22) : 4673- 4680 (1994)を利用してアラインメントを作成すること により算出することができる。 尚、 当該同一性は、 配列解析ソフト、 具体的には Vec t or NTI, GENETYX- MACや公共のデータベースで提供される解析ツール 用いて測定さ れる。 前記公共データベースは、 例えば、 ホームページアドレス ht tp ://www. ddbj . ni g. ac. j pにおいて、 一般的に利用可能である。 本発明における 「アミノ酸同一性」 はアミノ酸配列基準であって、 例えば、 約 95 % 以上であることが好ましい。 「塩基同一性」 は塩基配列基準であって、 例えば、 約 95 %以上であることが好ましい。 本発明スプライシング変異体タンパク質は、 ハイプリダイゼーション法ゃ PCR法等 の通常の遺伝子工学的方法により取得することができる。
例えば、 ヒト、 サル、 ゥサギ、 ラット、 マウス等の哺乳類等の動物組織又はそれら の動物由来培養細胞から、 Sambrook and Russel l;モレキュラー クローニング第 3版 、 コールドスプリングハーバー ラボラトリ一 (2001年) 等に記載される遺伝子工学 的方法に準じて RNAを抽出し、 一本鎖 cDNAを合成する。 具体的には、 例えば、 肝臓等 の組織をチオシアン酸グァニジン等のタンパク質変性剤を含む溶液中で破砕し、 さら に当該破砕物にクロ口ホルム等を加えることによりタンパク質を変性させる。変性夕 ンパク質を遠心分離等により除去した後、 回収された上清画分からフエノール、 クロ 口ホルム等を用いて全 RNAを抽出する。 尚、 これらの方法に基づいた市販のキットと しては、 例えば、 IS0GEN (二ツボンジーン社製) 、 TRIZ0L試薬 (インビトロジェン社 製) がある。
得られた全 RNAを铸型としてオリゴ dTプライマーを mRNAのポリ A配列に結合させ、逆 転写酵素、 例えば、 RNaseH- Superscr ipt I I Reverse Transcr iptase (インビトロジ ェン社製)及び添付されたバッファーとオリゴ dTプライマーとを用いて、 42 °Cで 1時 間反応させ、 次いで 99 °Cで 5分間加熱することにより、 逆転写酵素を失活させる。 次
いで、 RNaseHにより、 mRNA鎖にニックを入れ、 該 1本鎖 cDNAを铸型にして大腸菌 DNA ポリメラ一ゼ Iにより 2本鎖 cDNAを合成する。得られた 2本鎖 cDNAの末端を T4 DNAポリ メラ一ゼにより平滑化する。平滑化された 2本鎖 cDNAを pBluescript II vectorゃバク テリオファージ、 例えば、 Agtll、 EMBL3等のベクタ一に T4リガ一ゼにより挿入し、 c DNAライブラリーを作成する。 尚、 これらの方法に基づいた市販のキットとしては、 例えば、 cDNA合成システムプラス (アマシャムバイオサイエンス社製) や TimeSaver cDNA合成キット (アマシャムバイオサイエンス社製) 等が挙げられる。 このようにし て作製された cDNAライブラリーから、 例えば、 配列番号 2又は 4で示される塩基配列 の部分塩基配列を有する DNAをプローブとしてハイブリダィゼ一ションを行う。 ハイ ブリダィゼーションの条件としては、ストリンジェントな条件下でハイブリダィズす るような条件をあげることができる。 ハイブリダィゼーシヨンは、 例えば、 Sambrook J.、 Frisch E. F.、 Maniatis Τ·著、 モレキュラークローニング第 2版 (Molecular Cloning 2nd edition) 、 コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行 (Co Id Spring Harbor Laboratory press) 等に記載される通常の方法に準じて行うこと ができる。 「ストリンジェントな条件下」 とは、 例えば、 6XSSC (1. 5M NaCK 0. 15M クェン酸三ナトリウムを含む溶液を 10 XSSCとする) を含む溶液中で 4 5 °Cにてハイブリッドを形成させた後、 2 X SSCで 50でにて洗浄するような条件 (Mo lecular Biology, John Wiley & Sons、 N. Y. (1989), 6.3.卜 6.3.6) や、 50%ホ ルムアミド、 6 XSSC、 5 Xデンハルト溶液、 0.5%(w/v) SDS及び熱変性したサケ精子 DNA (100 xg/ml) を含む溶液中に、 ランダムプライミング法により [a- 32P]dCTPで 標識された前記プローブ (10 X 106 cpm/ml) を用いて、 42 °Cにてー晚保温してハイ ブリツドを形成させた後、 0.1%(w/v) SDSを含む 2XSSC中、 室温で 10分間洗浄し、 さ らに 0.1%(w/v) SDSを含む 0.2XSSC中、 55 °Cで 10分間 2回洗浄するような条件等を挙 げることができる。 尚、 洗浄ステップにおける塩濃度は、 例えば、 2 XSSCで約 50 °C程度の条件 (低ストリンジエンシーな条件) から 0. 2 X SSCで約 50 °C程度まで の条件 (高ストリンジエンシーな条件) から選択することができる。 洗浄ステップに おける温度は、 例えば、 室温 (低ストリンジエンシーな条件) から 65°C (高ストリ ンジエンシーな条件) から選択することができる。 また、 塩濃度と温度の両方を変え
ることもできる。
次いで X線フィルム (例えば、 Hyper f i lm- MP;アマシャムバイオサイエンス社製) 又はバイオイメージングシステム (BAS- 2000;富士フィルム社製) によりシグナルを 検出し、 プローブと結合する塩基配列を有するベクタ一を含む組換え体を得ることが できる。
PCR法のプライマ一を設計する場合には、 例えば、 配列番号 2又は 4で示される塩 基配列から、 例えば、 以下の条件を満たすように 2つを選定すればよい。
1 ) プライマ の長さが 15塩基から 40塩基、 好ましくは、 20塩基から 30塩基。
2 ) プライマーの中のグァニンとシトシンとの割合が、 40%〜60%、 好ましくは 45% 〜55%、 より好ましくは 50%〜55%。
3 ) プライマ一配列において、 アデニン、 チミン、 グァニン、 シトシンの分布が部分 的に偏らないこと。 例えば、 グァニン、 シトシンが繰り返すような領域は適切ではな い。
4 ) 選定されるプライマーに対応する遺伝子の塩基配列上の距離が、 好ましくは 100 塩基乃至 3000塩基、 さらに好ましくは、 100塩基乃至 500塩基。
5 ) 各プライマ一自身又は 2つのプライマー間に相補的な配列が存在しないこと。 プライマーの塩基配列が選定されれば、市販の D N A合成機により化学合成すれば よい。
例えば、センスプライマ一として配列番号 7で示される塩基配列からなるプライマ —を、アンチセンスプライマーとして配列番号 8で示される塩基配列からなるプライ マーを使う組み合わせが挙げられる。 PCRの条件としては、 例えば、 反応液中に、 プ ライマーをそれぞれ 200 nMになるように添加し、 上記で合成した 1本鎖 cDNAを铸型に して、 例えば、 LA Taq DNAポリメラーゼ (宝酒造社製) 及び当該酵素に添付された反 応緩衝液を用いて PCRを行う。 かかる PCRとしては、 例えば、 95 、 3分間の熱変性後 、 94 °C、 30秒間、 55 °C、 30秒間、 72 °C、 1分間を 1サイクルとして 35サイクル程 度行う。 ここで、 上記のようにして合成された cDNAの代わりに、 クロンテック社製ク イツククローン cDNA等の市販の各種動物由来の cDNAを用いてもよい。得られた反応液
の一部を、 ァガロースゲル電気泳動により解析し、 目的のバンドを、 直接又はゲルか ら切り出した後、 TAクローニングシステムにより pGEM-T Easyベ ター (プロメガ社 製) にクローニングする。 挿入された DNA断片の塩基配列は、 ダイターミネータ一法 により決定し、 確認することができる。 このようにして取得された本発明スプライシング変異体タンパク質のアミノ酸配 列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド (即ち、 本発明スプライシング変 異体タンパク質遺伝子) を、 形質転換させる宿主細胞において利用可能なベクターに 導入することができる。 例えば、 宿主細胞中で自立複製可能なベクタ一であって、 宿 主細胞からの単離、 精製が可能であり、 検出可能なマーカ一をもつベクタ一に、 本発 明スプライシング変異体タンパク質遺伝子を通常の遺伝子工学的手法に準じて組み 込むことにより本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子を含むベクターを構 築することができる。本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子を組み込むべク 夕一としては、 具体的には大腸菌を宿主細胞とする場合には、 例えば、 プラスミド pU C19 (宝酒造社製) 、 pBluescr ip t I I (S t rat agene社) 等を挙げることができる。 出 芽酵母を宿主細胞とする場合には、 プラスミド PACT2 (クロンテック社製) 、 PYES2 ( インビトロジェン社製)等を挙げることができる。 また、 哺乳類動物細胞を宿主細胞 とする場合には pRc/RSV、 pRc/CMV (インビトロジェン社)等のプラスミド等を挙げる ことができる。 本発明スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子の上流に、宿主細胞で機能可能なプ 口モーターを機能可能な形で結合させ、 これを上述のようなベクターに組み込むこと により、本発明スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子を宿主細胞で発現させること が可能なベクタ一を構築することができる。 ここで、 「機能可能な形で結合させる」 とは、本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子が導入される宿主細胞において 、 プロモーターの制御下に本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子が発現され るように、 当該プロモ一ターと本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子とを結 合させることを意味する。 使用されるプロモーターは、 形質転換する宿主細胞内でプ
口モーター活性を示すものであって、 例えば、 宿主細胞が大腸菌である場合には、 大 腸菌のラクト一スォペロンのプロモーター、 tacプロモーター、 T7プロモーター等の プロモータ一を挙げることができる。 宿主細胞が動物細胞である場合には、 例えば、 ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモータ一、 サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター、 シミアンウィルス(SV40)プロモーター等を挙げることができる。宿主細胞が出芽酵母 である場合には、 アルコール脱水素酵素 (ADH) l遺伝子プロモーター、 ガラクトース 代謝酵素 (GAL) l遺伝子プロモー夕一等を挙げることができる。
また、宿主細胞において機能するプロモータ一をあらかじめ保有するベクターを使 用する場合には、ベクタ一保有のプロモーターと本発明スプライシング変異体タンパ ク質遺伝子とが機能可能な形で結合するように、 当該プロモーターの下流に本発明ス プライシング変異体タンパク質遺伝子を揷入すればよい。 例えば、 前述のプラスミド pRc/ SV, pRc/CMV等は、 動物細胞で機能可能なプロモーターの下流にクロ一ニング部 位が設けられており、当該クローニング部位に本発明スプライシング変異体夕ンパク 質遺伝子を挿入し動物細胞へ導入すれば、本発明スプライシング変異体夕ンパク質遺 伝子を発現させることができる。 また前述の出芽酵母用プラスミド PACT2は ADH1プロ モー夕—を有しており、当該プラスミド又はその誘導体の ADH1プロモーターの下流に 本発明スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子を挿入すれば、本発明スプライシング 変異体タンパク質遺伝子を、 例えば、 CG1945株 (クロンテック社製)等の出芽酵母内で 大量発現させることが可能な本発明組換えべク夕一が構築できる。 本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子又は本発明組換えベクター等を宿 主細胞に導入することにより、 本発明形質転換体を取得することができる。 本発明ス プライシング変異体タンパク質遺伝子又は本発明組換えベクター等を宿主細胞へ導 入する方法としては、形質転換される宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用するこ とができる。 例えば、 微生物である大腸菌を宿主細胞とする場合には、 モレキュラー .クロ一ニング第 3版 (Sambrook and Russel K コールド 'スプリング'ハ一パー · ラボラトリー、 2001年) 等に記載される塩化カルシウム法、 エレクトロボレ一シヨン 法等の通常の方法を用いることができる。 また、 哺乳類動物細胞又は昆虫類細胞を宿
主細胞とする場合は、 例えば、 リン酸カルシウム法、 エレクト口ポレーシヨン法又は リポフエクション法等の一般的な遺伝子導入法により前記細胞に導入することがで きる。 また、 本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子を、 酵母を宿主細胞とし て発現させてもよい。 この場合、 好ましくは、 出芽酵母 (例えば、 サッカロミセスセ レビシェ) を用いるが、 ピキア (Pi chia) 等の酵母を用いてもよい。 酵母を形質転換 する方法としては、 例えば、 I toらの方法 (J. Bacter io l . 153 ; 163-168、 1983) 等をあげることができる。
バキュロウィルスやワクシニアウィルス等のウィルスに本発明スプライシング変 異体タンパク質遺伝子を組み込むには、使用しょうとするウィルスのゲノムと相同な 塩基配列を含有するトランスファーベクタ一を用いることができる。 このようなトラ ンスファ一ベクターの具体的例としては、 pVL1392、 PVL1393 (インビトロジェン社製 ) 等のプラスミドを挙げることができる。 本発明スプライシング変異体タンパク質遺 伝子を前記のようなトランスファ一ベクターに揷入し、 当該トランスファーベクター とウィルスゲノムとを同時に宿主細胞に導入すると、 トランスファーベクタ一とウイ ルスゲノムとの間で相同組換えが起こり、本発明スプライシング変異体タンパク質遺 伝子がゲノム上に組み込まれた組換えウィルスを得ることができる。ウィルスゲノム としては、 バキュロウィルス、 アデノウイルス等のゲノムを用いることができる。 尚 、 ウィルスをべクタ一に用いる場合には、 上述のように一般的な遺伝子導入法により ウィルス DNAを宿主細胞に導入できるほか、 組み換えウィルスを直接、 宿主細胞へ感 染させることによつてもウィルス DNAを宿主細胞に導入することができる。 本発明スプライシング変異体タンパク質は、 天然に存在する生物体から抽出、 精製 等の操作により、 天然タンパク質として調製することができるし、 又は、 遺伝子工学 的手法を用いて組換えタンパク質として調製することもできる。 例えば、 ヒト由来の 細胞、 組織から粗抽出液を調製し、 種々のカラムを使うことにより、 精製タンパク質 を調製することができる。 ここでの細胞としては、 本発明スプライシング変異体タン パク質を産生 ·発現しているものであれば特に限定されず、 例えば、 肝臓由来細胞、 腎臓由来細胞等を用いることができる。 また、 本発明スプライシング変異体タンパク
質の中でヒト以外の生物において産生 ·発現されているものについては、 当該生物か ら調製することができる。 本発明スプライシング変異体タンパク質を製造するには、上記のようにして本発明 スプライシング変異体タンパク質遺伝子又は本発明組換えベクター等を適当な宿主 細胞に形質転換し、 当該形質転換体 (即ち、 本発明形質転換体) を培養して、 肝臓 X 受容体 αスプライシング変異体タンパク質を産生させればよい。 産生された肝臓 X受 容体ひスプライシング変異体タンパク質を通常の方法に従って回収する。回収された 本発明スプライシング変異体タンパク質は、 目的に応じて適当な方法により精製され る。 例えば、 本発明形質転換体が微生物である場合には、 当該形質転換体は、 一般微 生物における通常の培養に使用される炭素源や窒素源、 有機塩、 無機塩等を適宜含む 各種の培地を用いて培養される。培養は一般微生物における通常の方法に準じて行い 、 固体培養、 液体培養 (試験管振とう式培養、 往復式振とう培養、 ジャーフアーメン ター (Jar Ferment er) 培養、 タンク培養等) 等が可能である。 培養温度は、 微生物 が生育する範囲で適宜変更できるが、 例えば、 約 15°C〜約 40 の培養温度、 pHが約 6 〜約 8の培地において培養するのが一般的である。 培養時間は、 培養条件によって異 なるが、 通常、 約 1時間〜約 24時間である。 誘導型のプロモ一夕一を用いている場合 は、 誘導時間は 1日以内が望ましく、 通常数時間である。
また、 上記形質転換体が哺乳類、 昆虫類等の動物細胞である場合には、 当該形質転 換体は一般の培養細胞における通常の培養に使用される培地を用いて培養すること ができる。 動物細胞の場合には、 例えば、 終濃度が約 5% (v/v)〜約 10% (v/v)となるよ う牛胎児血清 (Fe t al Bovine Serum; FBS) を添加した液体培地 (インビトロジェン 社製等) を用いて 37 °C、 5% C02存在下等の条件で培養すればよい。 細胞がコンフル ェントになるまで増殖したら、 例えば、 0. 25 (v/v)程度のトリプシン/ PBS溶液を加え て個々の細胞に分散させ、 数倍に希釈して新しいシャーレに播種し培養を続ける。 昆 虫類細胞の場合も同様に、 例えば、 10 (v/v) FBSを含む Grace培地等或いは SF- 900 ( インビトロジェン社製)等の無血清培地を用いて培養温度約 25 °C〜約 30 °Cで培養す ればよい。 また、 バキュロウィルス等の組換えウィルスベクターを用いる場合、 感染
後、 72時間以内に細胞を回収するのが望ましい。
本発明形質転換体により産生された本発明スプライシング変異体タンパク質の回 収は、 適宜、 通常の単離、 精製の方法を組み合わせて行えばよく、 例えば、 培養終了 後、 形質転換体の細胞を遠心分離等で集め、 集められた該細胞を通常のバッファー、 例えば、 適当なプロテアーゼ阻害剤を含む PBSに懸濁した後、 超音波処理、 ダウンス ホモジナイザー等で破碎し、 破碎液を 20, 000 X gで数十分間から 1時間程度遠心分離 し、 上清画分を回収することにより、 目的である本発明スプライシング変異体タンパ ク質を含む画分を得ることができる。 さらに、 前記上清画分から通常のタンパク精製 技術により各種クロマトグラフィーに供することにより、 より精製された目的である 本発明スプライシング変異体タンパク質を回収することもできる。 尚、 本発明スプラ ィシング変異体タンパク質の代わりに本発明ポリぺプチドを前述と同様な方法によ り回収することができる。 このようにして製造された本発明スプライシング変異体タンパク質は、 例えば、 被 験物質と本発明スプライシング変異体タンパク質との結合能や結合量等を評価する ためのリガンド ·レセプ夕一バインディングアツセィ等に用いることができる。 例えば、 iff臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質に作用する物質のスクリ —ニング方法は、 F臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質に被験物質を接触 させる工程及び当該肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質の変化を測定す る工程を有する。
肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質としては、 例えば、 本発明スプラ ィシング変異体夕ンパク質を使用することができる。 尚、 上記方法において、 肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質と接触さ せる被験物質の濃度は、 通常、 約 0 . 1 M〜約 1 0 であればよく、 1 / Μ〜1 0 Μが好ましい。 肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質と被験物質とを 接触させる時間は、 通常、 1 8時間以上 6 0時間程度であり、 好ましくは 2 4時間か
ら 4 0時間程度が挙げられる。 本発明スプライシング変異体タンパク質を用いたリガンド'レセプターバインディ ングアツセィは、当該タンパク質に対する化学物質の結合能の測定や結合量の定量の ほか、 結合特異性、 結合力の分析等が可能な試験方法である。 例えば、 上述のように して本発明形質転換体から回収された本発明スプライシング変異体タンパク質に標 識されたリガンドが結合している状態において、 これに被験物質を共存させると、 被 験物質と標識リガンドとの競合から、 両者の肝臓 X受容体 αスプライシング変異体夕 ンパク質への親和性に応じて、標識リガンドが本発明スプライシング変異体タンパク 質から遊離し、本発明スプライシング変異体タンパク質に結合した標識リガンドの量 が減少し、よつて本発明スプライシング変異体タンパク質に結合した標識量が減少す る。従って、 遊離型の標識リガンドの標識量又は結合型の標識リガンドの標識量をモ 二ターすることにより、被験物質の本発明スプライシング変異体夕ンパク質への結合 能が間接的に分かる。
標識リガンドとしては、 例えば、 トリチウム標識されたォキシコレステロール等を 用いることができる。 反応系は大きく 3群に分けられる。 1つの系は、 本発明スプライ シング変異体夕ンパク質に標識リガンドが結合しているところへ溶媒のみが添加さ れる群であり、 被験物質の濃度がゼロの系に相当し、 この系から得られる結合型の標 識リガンドの標識量は、標識リガンドの本発明スプライシング変異体夕ンパク質に対 する総結合量を示す。 もう 1つの系は、 本発明スプライシング変異体タンパク質に標 識リガンドが結合しているところへ、 例えば、 標識されていないォキシコレステロ一 ルが、本発明スプライシング変異体夕ンパク質を十分飽和し標識リガンドが結合でき なくなるだけの濃度 (例えば 10 ιι Μ) となるよう添加された系であり、 この系から得 られる結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドの本発明スプライシング変異 体タンパク質に対する非特異的結合量と判断される。従って、 本発明スプライシング 変異体タンパク質への標識リガンドの特異的結合量は、前者の総結合量から後者の非 特異的結合量を引いた値となる。 3番目の系は、 本発明スプライシング変異体タンパ ク質に標識リガンドが結合しているところへ、 被験物質が、 例えば、 最終濃度 10 M
(この濃度は目的により任意に変更する。 ) となるよう添加された系である。 被験物 質が本発明スプライシング変異体タンパク質への結合能を有する場合には、 この系か ら得られる結合型の標識リガンドの標識量は、上記のようにして求めた被験物質の濃 度がゼロの時の本発明スプライシング変異体夕ンパク質への標識リガンドの特異的 結合量より小さくなる。 このようにしてリガンド ·レセプターバインディングアツセ ィを行うことにより、本発明スプライシング変異体夕ンパク質に対する被験物質の結 合能を調べることができ、被験物質が複数の物質を含む場合にはその中に本発明スプ ライシング変異体タンパク質に親和性を示す物質が存在するかどうかを調べること もできる。 さらに、 本発明スプライシング変異体タンパク質に対する被験物質の結合 能をより詳細に評価するには、 例えば、 前記の 3番目の系における被験物質の添加濃 度を変えて同様にアツセィを行い結合型の標識リガンドの標識量を測定する。当該測 定値に基づき、 各アツセィにおける結合型と遊離型のリガンド量を算出して、 被験物 質と本発明スプライシング変異体タンパク質との結合親和性、 結合特異性、 結合容量 等を評価することができる。 また、 肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質が、 肝臓 X受容体 の結合配 列を含む転写制御領域の制御下にある遺伝子の転写を活性化するかどうかの評価は、 例えば、 肝臓 X受容体 の結合配列を含む転写制御領域の下流に連結されてなるレポ —ター遺伝子を使用して、後述のレポーターアツセィ等の試験方法により評価するこ とができる。 肝臓 X受容体 αは、 核内レセプ夕一の 1つであるレチノイド X受容体 (RXR ) とへテロダイマーを形成し、 肝臓 X受容体 αの結合配列を含む転写制御領域に結合 することにより、 該転写制御領域の制御下にある遺伝子の転写を制御する。 肝臓 X受 容体ひの結合配列としては、 " AGGTCA" (又は関連の 6ヌクレオチドからなるモチー フ)が同方向に 2つ並んだ構造を有するコァモチーフを含む転写調節領域の特定配列 (シス配列) をあげることができる。 コアモチーフ間のスぺ一サ一はへテロダイマー の組み合わせにより異なっており、 肝臓 X受容体とレチノィド受容体とのヘテロダイ マーの場合には 4 bp (DR4) である (例えば、 Lehman et al .、 J. Biol. Chem.、 272 ; 3137-3140, 1997参照。 ) 。
本発明の肝臓 X受容体 οίスプライシング変異体夕ンパク質、 その遺伝子又はそれら 部分領域は、 当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質とその機能が直接 的又は間接的に関与する病的症状との関連性を解明し、 そして、 それら病的症状の予 防又は診断 ·治療に有用な方法や薬剤を開発するために極めて有用である。 上述のよ うなスクリ一ニング方法により、 当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク 質に作用する物質や、 前記物質に対する拮抗物質を探索することができ、 これら物質 を医薬品の候補として提供することが可能となる。 本発明スクリーニング方法により選抜される物質又は当該物質に対する拮抗物質 を有効成分とする薬剤は、その有効量を経口的または非経口的にヒト等の哺乳動物に 対し投与することができる。 例えば、 経口的に投与する場合には、 当該薬剤は錠剤、 カプセル剤、 シロップ剤、 懸濁液等の通常の形態で使用することができる。 また、 非 経口的に投与する場合には、 前記薬剤を溶液、 乳剤、 懸濁液等の通常の液剤の形態で 使用することができる。前記形態の前記薬剤本脂肪蓄積調節剤を非経口的に投与する 方法としては、 例えば注射する方法、 坐剤の形で直腸に投与する方法等を挙げること ができる。 前記の適当な投与剤型は許容される通常の担体、 賦型剤、 結合剤、 安定剤、 希釈剤 等に本発明スクリーニング方法により選抜される物質又は当該物質に対する拮抗物 質を配合することにより製造することができる。 また注射剤型で用いる場合には、 許 容される緩衝剤、 溶解補助剤、 等張剤等を添加することもできる。 投与量は、 投与される哺乳動物の年令、 性別、 体重、 疾患の程度、 前記薬剤の種類 、 投与形態等によって異なるが、 通常は経口の場合には成人で 1日あたり有効成分量 として約 l m g〜約 2 g、好ましくは有効成分量として約 5 m g〜約 1 gを投与すれ ばよく、 注射の場合には成人で有効成分量として約 0 . l m g〜約 5 0 O m gを投与 すればよい。 また、 前記の 1日の投与量を 1回または数回に分けて投与することがで
さる。 本発明スプライシング変異体タンパク質が直接的又は間接的に関与する病的症状 との関連性は、 まずリガンドを特定し、 次いでリガンドと本発明スプライシング変異 体タンパク質とにより転写制御される遺伝子群を特定することによって解明するこ とができる。 リガンドの特定は、 本発明スプライシング変異体タンパク質又は本発明 ポリぺプチドに被験物質を接触させることにより、本発明スプライシング変異体夕ン パク質又は本発明ポリペプチドにより転写制御される遺伝子群の発現レベルの変化 を検出することによって行うことができる。
また、 肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質に作用する物質のスクリー ニング方法は、 肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質を産生する細胞に被 験物質を接触させる工程、 当該 JfF臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質によ り発現調節を受ける他のタンパク質の産生量を測定する工程、及び前記産生量に基づ き被験物質の肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質に対する作用性を評価 する工程を有する方法であってもよい。
ここで、 肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質を産生する細胞として、 例えば、本発明スプライシング変異体タンパク質を産生する細胞を挙げることができ る。 肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質を産生する細胞と接触させる被 験物質の濃度は、 通常、 約 0 . 1 M〜約 1 0 Mであればよく、 1 M〜1 0 M が好ましい。 肝臓 X受容体 αスプライシング変異体夕ンパク質を産生する細胞と被験 物質とを接触させる時間は、 通常、 1 8時間以上 6 0時間程度であり、 好ましくは 2 4時間から 4 0時間程度が挙げられる。 また、 肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質に作用する物質のスクリー ニング方法としては、 例えば、 肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質を産 生する細胞に、 前記肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質のリガンドを接 触させ、 当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質により発現調節を受け る他のタンパク質の産生量を測定する第一工程、本発明スプライシング変異体タンパ
ク質を産生する細胞に、 前記肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質のリガ ンド及び被験物質の両者を接触させ、 当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ン パク質により発現調節を受ける他のタンパク質の産生量を測定する第二工程、 及び、 前記第一工程と前記第二工程とで測定された前記他のタンパク質の産生量の差異に 基づき被験物質の前記リガンドに対する拮抗作用性を評価する工程を有する方法も あげることができる。 ここで、 肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質とし て、 例えば、 本発明スプライシング変異体タンパク質を挙げることができる。 肝臓 X 受容体 αスプライシング変異体タンパク質を産生する細胞と接触させるリガンド又 は被験物質の濃度は、 通常、 約 0 . 1 Μ〜約 1 0 Mであればよく、 1 ^ M〜 1 0 Mが好ましい。 肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質を産生する細胞と リガンド又は被験物質とを接触させる時間は、 通常、 1 8時間以上 6 0時間程度であ り、 好ましくは 2 4時間から 4 0時間程度が挙げられる。
さらにまた、 一般的に行われているバインディングアツセィ等においては、 本発明 スプライシング変異体タンパク質又はその断片を用いて行うことができる。 また、 本 発明スプライシング変異体夕ンパク質と当該肝臓 X受容体ひスプライシング変異体夕 ンパク質が結合する標的遺伝子との発現系を構築し、 リガンド添加による標的遺伝子 産物であるタンパク質の増加を検出する方法もあげられる。 例えば、 ルシフェラ一ゼ 、 クロラムフエニコ一ルァセチル転移酵素、 )3—ガラクトシダーゼ等のようなレポ一 タータンパク質を標的遺伝子のプロモータ一の制御下で発現するようなレポーター 遺伝子を用いることにより、宿主細胞中での標的遺伝子の発現の有無を容易に検出す ることができる。 さらに、 本発明スプライシング変異体タンパク質の全長の代わりに 、 当該タンパク質のリガンド結合領域と DM結合性タンパク質とのキメラ遺伝子を発 現させ、 レポ一夕一遺伝子として、 DNA結合性タンパク質が結合する塩基配列の下流 に最小活性プロモー夕一及び前述のレポータータンパク質をコードする遺伝子を連 結したプラスミドを用いることができる。 DNA結合性タンパク質としては、 例えば、 G AL4、 LexA等を用いることができる。 本発明スプライシング変異体タンパク質と当該 肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質が結合する標的遺伝子との発現系及 び当該タンパク質のリガンド結合領域と DM結合性夕ンパク質とのキメラ遺伝子を発
現させるプラスミドは、 通常の遺伝子組換技術により調製することができる。
さらにまた、 細胞中で発現された mRNAから標識化された DMを転写させ、 得られた 標識 DNAを DNAライブラリーチップとハイプリダイズさせることにより本発明スプラ イシング変異体夕ンパク質により発現制御された遺伝子を特定することもできる。 本発明スプライシング変異体タンパク質が直接的又は間接的に関与する病的症状 との関連性は、 本発明スプライシング変異体タンパク質を発現する細胞に、 アン夕ゴ ニスト又はァゴニストを接触させた時の標的遺伝子の発現量と、被験物質を接触させ ていない前記本発明スプライシング変異体タンパク質発現細胞における標的遺伝子 の発現量とを比較することにより、活性化される遺伝子を特定することにより解明が 可能である。 本発明スプライシング変異体タンパク質の存在有無を検出する方法としては、生体 試料中のメッセンジャー RNA (mRNA) から相補的 DNA (cDNA) を合成する第一工程、 本 発明スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子又は本発明ポリぺプチド遺伝子等に対 応する前記相補的 DNA (cDNA) の部分領域を増幅する第二工程、 及び増幅された部分 領域を検出する第三工程を有する方法をあげることができる。 本発明スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子又は本発明ポリぺプチド遺伝子等 としては、 具体的には、 配列番号 2又は 4で示される塩基配列を有するポリヌクレオ チド等をあげることができる。 また、 第二工程において、 配列番号 5、 配列番号 6、 配列番号 7、 配列番号 8、 配 列番号 9、配列番号 1 0又は配列番号 1 1で示される塩基配列からなるポリヌクレオ チドから選択される 1つ又は複数をプライマーとして用いる PCR法により増幅するよ うな工程を好ましくあげることもできる。 また、本発明スプライシング変異体タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配
列を有するポリヌクレオチド等を発現する能力を欠損させてなる遺伝子欠損動物等 の実験動物及びその利用に関しては、本発明スプライシング変異体タンパク質のアミ ノ酸配列をコ一ドする塩基配列を有する遺伝子の機能を有する、実験動物由来の内在 性スプライシング変異体のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を破 壊 (不活性化) することによりモデル動物を作成し、 このモデル動物の物理学的、 生 物学的、 病理学的及び遺伝子的特徴を分析することにより、 本発明スプライシング変 異体タンパク質の機能と疾病との関連性を解明することも可能となる。 また、 前述した内在性肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質のアミノ酸 配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を破壊 (不活性化) されたモデル動物に、 本発明のヒト由来遺伝子を導入することにより、本発明のヒト由来遺伝子のみを有す るモデル動物を作成し、 導入されたヒト由来遺伝子をターゲットとした薬剤 (化合物 等) を投与することにより、 その薬剤の治療学的効果を評価することも可能である。 本発明は、 さらに、 遺伝子治療法のための、 本発明ポリペプチド遺伝子が有する塩 基配列に対する特異的 DNAプローブの使用や、 遺伝子治療法のための、 本発明ポリべ プチド遺伝子が有する塩基配列に対する特異的 RNAプローブの使用も提供する。 この ような本発明スプライシング変異体タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配 列 (又は当該塩基配列に相補性を有する塩基配列) を有する遺伝子 (D NA又は R N Α) の全部又は一部よりなる、 正常型肝臓 X受容体 αによる正常なコレステロール代 謝の阻害に関与する疾患の診断用プローブ及び当該プローブを含有してなる当該障 害を伴う疾患の診断薬をも提供するものである。 例えば、 病理切片に対して本発明ス プライシング変異体タンパク質遺伝子の In s i tuハイブリダィゼーションを行うこと により、 当該障害を伴う疾患の有無や進行具合を検出することができる。
ここで診断用プローブとしては、 本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子 ( D NA、 R NA、 c D NA) のアンチセンス鎖の全部又は一部であり、 プローブとし て成立する程度の長さ (少なくとも 2 0ベース以上) を有するものであれば特に制限 されるものではない。 当該プローブを診断薬の有効成分とするためには、 プローブが
分解されないような適当なバッファ一類や滅菌水に溶解することが好ましい。 また、 In s i tuハイブリダィゼーシヨンの方法としては、 例えば、 J. Neurobiol . 29、 1-17 (1996)に記載の手法が挙げられる。 また、 In s i tu PCRの方法を利用することも可 能である。
前記診断においては、 プローブのみならず、 本発明スプライシング変異体タンパク 質を特異的に認識する抗体 (後述参照) を使用することができ、 この場合には、 免疫 染色法により正常型肝臓 X受容体 αによる正常なコレステロール代謝の阻害に関与す る疾患の有無や進行具合を検出することができる (Dev. Biol . 170、 207-222 (1995 ) ; J. Neurobio l . 29、 1-17 (1996)参照) 。 使用される抗体は、 例えば、 Ant ibodie s ; A Laboratory Manual , Lane, H. D. ら編、 Col d Spr ing Harber Lboratory Press 出版 New York 1989等に記載の通常の方法により作製することができる。 本発明スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子又は本発明ポリぺプチド遺伝子は、 それ自体、本発明スプライシング変異体タンパク質の機能を遺伝子レベルで制御する アンチセンス医薬品として、 遺伝子治療での使用において有用である。 例えば、 配列 番号 4に含まれる 20塩基以上の塩基配列、好ましくは 30塩基前後の塩基配列を用いる ことができる。
上述のアンチセンス医薬品には、 DNAのみならず RNAも含まれる。 また、 塩基配列は 、 センス配列でもアンチセンス配列 (即ち、 センス配列に相補性を有する塩基配列) でも構わない。 ここで 「本発明ポリペプチド」 、 「本発明ポリペプチド遺伝子」 とは、 前述の如く 、 本発明スプライシング変異体タンパク質の部分領域 (部分ポリペプチド) 又はこれ に対応する本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子の部分領域(部分ポリヌク レオチド) であり、 少なくともェクソン 5にコードされるアミノ酸配列の一部領域が 欠失することにより新たに連結された 2つのアミノ酸残基を含むアミノ酸配列から なるポリペプチド又はこれに対応するポリヌクレオチドを意味する。 好ましくは、 少 なくとも 6個の連続するアミノ酸又は少なくとも 1 8個の連続する塩基を含むことが
よい。
代表的な例としては、 肝臓 X受容体 α遺伝子のェクソン 5の 5 '末端 9 0塩基対が 欠失してなる翻訳領域にコードされる肝臓 X受容体 α.のァイソフォームのアミノ酸配 列のうち、 正常型 iff臓 X受容体 αには存在しない領域からなるポリぺプチド又はこれ に対応するポリヌクレオチド等をあげることができる。
さらに具体的には、配列番号 3で示されるアミノ酸配列を有するポリぺプチド又は これに対応する塩基配列 (例えば、 配列番号 4で示される塩基配列) を有するポリヌ クレオチド等があげられる。
また、上記のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌク レオチド又は上記のポリヌクレオチドを含有する組換えべクタ一は、前述の本発明組 換えベクター調製方法に準じて調製すればよい。 さらにまた、 このようにして調製さ れた組換えベクターを前述の本発明形質転換体調製方法に準じて宿主細胞に導入す ることにより形質転換体を調製することもできる。 本発明スプライシング変異体タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列の うち、 配列番号 4で示される塩基配列は、 プローブ又はプライマーとして本発明スプ ライシング変異体タンパク質以外のさらなる肝臓 X受容体 αスプライシング変異体夕 ンパク質の探索ツールとして利用することが可能である。その長さは少なくとも 15個 の連続する塩基を含む塩基配列であることが望ましい。 プローブは慣用方法により、 例えば、 放射性同位元素、 ジゴキシゲニン、 ピオチン、 検出可能な酵素等により標識 できる。 例えば放射能ラベルされたリンを用いる場合、 cDNA断片を用いる場合には、 ランダムプライミングラベルにより標識し、 また、 合成プライマーを使用する場合は リン酸化酵素により 5'末端標識すると都合がよい。 このように標識したプローブを cD NAライブラリーとハイブリダイゼーションしてクローニングを行う。ハイブリダイゼ ーシヨンは、 慣用された方法、 条件により行うことができる。 例えば、 1XSSC、 0. 5% ( w/v) SDS、 65 °Cでの洗浄である。 cDNAライブラリ一は、 哺乳類を含む動物由来のも のであってもよいが、 特にヒトの組織 ·細胞由来のものが望ましい。
本発明スプライシング変異体タンパク質を特異的に認識する抗体又は抗体の一部 を作製することができる。
配列番号 1又は 3で示されるアミノ酸配列を有する本発明スプライシング変異体 タンパク質を特異的に認識するお体は、 例えば、 前述の遺伝子組換えの通常の方法に より得られた本発明スプライシング変異体タンパク質又はその部分領域(ポリべプチ ド) 、 或いは配列番号 3で示されるアミノ酸配列を有するペプチド断片を用いて、 ゥ サギ、 モルモット、 ラット、 マウス、 ャギ又はヒッジ等の通常抗体作成に用いられる 動物に免疫することにより得ることができる。 また、 免疫した哺乳動物の脾臓細胞と ミエローマ細胞とを融合することによりモノクローナル抗体を得ることもできる。 これらの抗体を利用した、本発明スプライシング変異体タンパク質の存在有無を検 出する方法としては、 例えば、 本発明スプライシング変異体タンパク質若しくは本発 明ポリぺプチドを特異的に検出することができる抗体を用いた抗原抗体反応に基づ き前記肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質を検出する工程を有する方法 をあげることができる。 さらに具体的には、 例えば、 本発明スプライシング変異体夕 ンパク質若しくは本発明ポリペプチドを特異的に検出することができる第一抗体を マイクロタイ夕一ゥエルに結合させる第一工程、生体試料中の本発明スプライシング 変異体タンパク質を、マイクロタイタ一ゥ 'エル上の前記第一抗体に結合させる第二ェ 程、 第二工程後、 マイクロ夕イターゥエル内の全ての非結合状態にある (即ち、 遊離 の) 生体試料を除去する第三工程、 前記肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパ ク質における、第一抗体とは異なるェピトープに結合することができる標識された第 二抗体を、 第一抗体に結合された肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質に 結合させる第四工程、 第四工程後、 マイクロタイターゥエル内の全ての非結合状態に ある (即ち、 遊離の) 第二抗体を除去する第五工程、 第五工程後、 第二抗体の存在有 無を当該第二抗体が有する標識を指標にして検出する第六工程を有する本発明スプ ライシング変異体タンパク質の存在有無を検出する方法があげられる。 実施例
以下の実施例により、 本発明をさらに詳細に説明するが、 本発明はこれらの実施例 に限定されるものではない。 実施例 1 (本発明スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子のクローニング) ヒト肝臓由来 cDNAライブラリ一(インピトロジェン社製 SUPERSCRIPT Human Liver cDNA L ibrary) を铸型として、 ヒト肝臓 X受容体 α遺伝子のェクソン 3からェクソン 8までに相当する領域 (リガンド結合領域を含む領域) を、 プログラム可能なサーマ ルサイクラ一を用いた PCR法により増幅した。 プライマーは、 ヒト JfF臓 X受容体 α遺伝 子の塩基配列 (Wi l ly et al .、 Genes Dev. 9 : 1033-1045、 1995 ; GenBank Access i on number, NM— 005693) に基づき、 ェクソン 3のセンス鎖の塩基配列を有するプラ イマ一(配列番号 5、 hLXR aFl) 、 及びェクソン 8のアンチセンス鎖の塩基配列を有 するプライマ一 (配列番号 6、 hLXR a Rl) を設計し、 化学合成した。 PCR法の反応条 件は、 下記の通りであった。 0. 5 uni tの K0D- Plus- DNA Po lymerase (東洋紡績社製) 、 20 pmolのセンスプライマー] iLXR aFl (配列番号 5 )、 20 pmolのアンチセンスプラ イマ一 hLXR aRl (配列番号 6 ) 及び铸型である一本鎖 cDNAを含む 50 1の反応液 (M gS04、 デォキシリポヌクレオチド混合液を含む) を準備した。 この反応液を、 94 °C で 2分間熱変性した後、 94 °Cで 15秒間、 55 °Cで 30秒間及び 68 で 90秒間を 1サイク ルとして 30サイクルの反応に供した。 得られた PCR産物を、 1%ァガロースゲルにて電 気泳動し増幅された DNA断片を回収した。 回収された D N A断片は、 あらかじめ制限 酵素 Mlul及び Xbalで切断しておいた pM (クロンテック社製)にクローニングした。即ち 、 限酵素 Mlul及び Xbalで切断しておいた pM (約 100 ng) と上記のインサート DNA ( 約 100 ng) とを混合した後、 これに T4リガーゼを添加し、 当該混合物を 16 °Cで 120分 間保温した。 ライゲ一シヨンは、 用いたキットにより推奨される方法に従って行われ た。 得られたライゲーシヨン反応液により、 大腸菌 DH5ひ株のコンビテントセル (東 洋紡績社製) が形質転換された。 得られた菌体を、 アンピシリンを含む LB寒天培地上 にまき、 これを 37 °Cで一晩培養した。 培養後、 当該寒天培地上に形成されたアンピ シリン耐性コロニーからプラスミド DNAを調製し、 プラスミドに挿入された D NA断 片の塩基配列を決定した。塩基配列が正常型と異なり、 ェクソン 5の 5 '末端 9 0塩
基対が欠失したクローンが得られた。 当該クローン (プラスミド) を、 pM- hLXR aVl と命名した。 このようにして、 本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子の部分 断片がクローニングされた。 実施例 2 (ェクソン 5にコードされるアミノ酸配列の一部領域が欠失してなる肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質の同定)
ェクソン 5にコードされるァミノ酸配列の一部領域が欠失してなる JR1臓 X受容体 α スプライシング変異体タンパク質をコードする翻訳領域全体を単離するために、翻訳 領域全体を増幅できるようなプライマ一を設計した。センスプライマーとして hLXR a (0RF)— FZH (配列番号 7 )及びァンチセンスプライマーとして hLXR (ORF) -R/B (配 列番号 8 )を用い、 かつヒト大腸癌由来 cDNA (クロンテック社製) を铸型に用いて PCR 法により D N A断片の増幅を行った。 PCR法の反応条件は、 以下の通りであった。 2. 5 uni tの Ex Taq DNA Po lymerase (宝酒造社製)、 20 pmolのセンスプライマ一 hLXR o; ( 0RF) _FZH (配列番号 7 )、 20 pmolのアンチセンスプライマー hLXR a (0RF)— R/B (配 列番号 8 )及び鎵型である一本鎖 cDNA (クロンテック社製の大腸癌由来 cDNA) を含む 5 0 1の反応液 (MgCl 2 、 デォキシリポヌクレオチド混合液を含む) を準備した。 こ の反応液を、 96 で 30秒間、 59 °Cで 30秒間及び 72 °Cで 165秒間を 1サイクルとして 4 0サイクルの反応に供した。得られた PCR産物の一部を、 臭化工チジゥムを含む 1%ァガ ロースゲルにて電気泳動し、 DNA断片の増幅を確認した後、 肝臓 X受容体 遺伝子のェ クソン 5中に認識部位が存在する制限酵素 Aor 51AI (宝酒造社製) で処理することに より正常型肝臓 X受容体ひ遺伝子由来の PCR産物を切断した。反応生成物を pGEM- T Eas y vec tor (プロメガ社製) に TAクローニングシステムを用いてライゲ一シヨンした。 ライゲーシヨンは、 用いたキットにより推奨される方法に従って行われた。 得られた ライゲ一シヨン反応液により、 大腸菌 DH5 a株のコンビテントセル (東洋紡績社製) が形質転換された。 得られた菌体を、 X-gal及びイソプロピル /3 -D -ガラクトピラノシ ド (IPTG) が塗布されたアンピシリンを含む LB寒天培地上にまき、 これを 37 °Cで一 晚培養した。 培養後、 当該寒天培地上にアンピシリン耐性白色コロニーを形成した形 質転換体を用いてコロニー PCRを行うことにより、 ェクソン 5にコードされるァミノ
酸配列の一部領域が欠失した肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質をコー ドする翻訳領域全体を含むクローンの検出を行った。 コロニー PCR法の反応条件は以 下の通りであった。 KOD-P lus- DNA Po lymerase (東洋紡績社製)、 20 pmolのセンス プライマ一 hLXR aFl (配列番号 5 ) 、 20 pmolのアンチセンスプライマー hLXR cu Rl ( 配列番号 6 ) 及び铸型である一本鎖 cDNAを含む 50 μ. 1の反応液 (MgS04、 デォキシリ ポヌクレオチド混合液を含む) を準備した。 これに、 プレートから採取されたわずか な量の上記の白色を呈する形質転換体を懸濁した後、 この反応液を 94 °Cで 2分間熱変 性した後、 94 °Cで 15秒間、 59 °Cで 30秒間及び 68 °Cで 45秒間を 1サイクルとして 35サ ィクルの反応に供した。 得られた PCR産物を臭化工チジゥムを含むァガロースゲルに て電気泳動し、 D N A断片の増幅を確認した後、 D N A断片の増幅が確認された形質 転換体からプラスミドを抽出した。 当該プラスミド中に挿入された DNA断片の塩基配 列を確認することにより、 ェクソン 5の 5 '末端 9 0塩基対が欠失してなる、 肝臓 X 受容体 スプライシング変異体タンパク質をコードする翻訳領域全体を含むクロ一 ンを得た。 図 1は、 ヒ卜正常型肝臓 X受容体 aをコードする翻訳領域と、 本実施例に より得られた肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質コードする翻訳領域と の比較を表している。 ヒト正常型 JfF臓 X受容体 をコードする翻訳領域と比較して、 当該肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパク質をコードする翻訳領域における 相違点は、 ェクソン 5の 5 '末端 9 0塩基対の欠失のみであり、 その他の塩基配列に は違いは認められなかつた。 ェクソン 5において欠失した塩基数が 90個(30アミノ酸 をコードする)、 即ち 3の倍数であることから、 ェクソン 5より下流の翻訳領域の読み 枠は正常型と全く同じであった。 当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク 質をコードする翻訳領域は、 417アミノ酸 (1251塩基) からなるタンパク質のァミノ 酸配列 (配列番号 1 ) をコードする。 実施例 3 (ヒト組織における本発明スプライシング変異体タンパク質遺伝子の転写 物の存在)
本発明により見い出された肝臓 X受容体 スプライシング変異体夕ンパク質遺伝子 の転写物がヒ卜正常組織由来の RNA中に存在するのかを確認した。正常型肝臓 X受容体
a夕ンパク質遺伝子および当該肝臓 X受容体 αスプライシング変異体夕ンパク質遺伝 子を特異的に増幅させる、 配列番号 9、 10又は 1 1で示されるプライマーを用いか っヒト正常組織由来の cDNAを铸型に用いて PCRを行った。 当該 PCRにおいて、 プライマ 一として hLXRo;Ex3-F (配列番号 9) 及び JRo!R2 (配列番号 10) を用いる場合に は、正常型肝臓 X受容体 遺伝子の転写物由来の DN A断片の増幅は 430塩基対を有す る DNA断片の増幅となる。 一方、 当該肝臓 X受容体ひスプライシング変異体タンパ ク質遺伝子を特異的に増幅させるプライマーの組合せである hLXRo;Ex3- F (配列番号 9) 及び hLXRaVlRl (配列番号 1 1) を用い上記と同様に PCRを行うと、 当該肝臓 X受 容体ひスプライシング変異体タンパク質遺伝子の転写物由来の DNA断片の増幅は 3 40塩基対を有する DNA断片の増幅となる。 尚、 コントロールとして、 試薬中の DNA 混入をチェックするために、 铸型 DNA無添加にて PCRを行った。 その結果を図 2〜 5に 示す。 これらの図から明らかなように、
1) 正常型 iff臓 X受容体ひ遺伝子はいずれのヒ卜正常組織においても発現していた。
2) 当該肝臓 X受容体 スプライシング変異体タンパク質遺伝子は、 心臓組織におい て高レベルに発現していた。心臓組織中では特に左心室において高レベルに発現して いた。
尚、 コントロールは常に陰性であった。 これらの結果は当該 fF臓 X受容体 αスプライ シング変異体タンパク質遺伝子が、 組織特異的に発現していることを示しており、 特 異的な発現制御を受けていることが判明した。 実施例 4 (本発明スプライシング変異体タンパク質を発現するベクターの構築) 正常型肝臓 X受容体 a遺伝子及び本発明により見出された肝臓 X受容体 スプライ シング変異体タンパク質遺伝子が各々クローニングされたプラスミドを、製造者によ り推奨された方法に従って、 制限酵素 Hind III及び BamH Iで切断した。 当該酵素によ る処理液をァガロースゲル電気泳動に供し、 ゲルからインサート DNAに相当する DN A断片を回収した。 回収された DNA断片は、 あらかじめ Hind III及び BamH Iで切断 しておいた pFLAG-CMV2(シグマ)にクローニングした。 Hind III及び BamlH Iで切断し ておいた PFLAG-CMV2 (約 300 ng) と上記のインサート DNA (約 500 ng) とを混合した
後、 これに T4リガーゼを添加し、 当該混合物を 16 °Cで 30分間のライゲーシヨンを行 つた。 ライゲーシヨンは、 用いたキットにより推奨される方法に従って行われた。 得 られたライゲーシヨン反応液により、 大腸菌 DH5 Q!株のコンビテントセル (東洋紡績 社製) が、 製造者により推奨される方法に従って形質転換された。 得られた菌体を、 アンピシリンを含む LB寒天培地上にまき、 これを 37 °Cで一晩培養した。 培養後、 当 該寒天培地上に形成されたアンピシリン耐性コロニーからプラスミド DNAを調製し、 プラスミドに挿入された D NA断片の塩基配列を決定した。得られた塩基配列を、 前 述のダイレクトシ一クエンスで得られた塩基配列と比較して、翻訳領域の塩基配列が 完全に一致していることが確認されたプラスミドを選択し、各々のプラスミドを pCMV 2-hLXR aWT, pCMV2- hLXR a Vlと命名した。 実施例 5 (肝臓 X受容体ひの結合配列を有するルシフェラーゼレポ一夕一遺伝子を 含むプラスミドの作製)
マウスメタ口チォネィン I遺伝子の TATAポックス近傍の塩基配列とリーダー配列に 由来する塩基配列からなる 2本のオリゴヌクレオチド、 即ち、 配列番号 1 2で示され る塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号 1 3で示される塩基配列からな るオリゴヌクレオチドとをアニーリングさせて 2本鎖 D NAとし、 これに T 4ポリヌク レオチドキナーゼを作用させて、 その両末端をリン酸化した (以下、 当該 D N Aを TA TA DMと記す) 。 一方、 ホ夕ルルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミド pGL3- Bas icベ クタ一(プロメガ社製) を制限酵素 Bgl I I及び Hind I I Iで消化した後、 これに細菌由 来アルカリフォスファタ一ゼ (BAP)を加えて 65°Cで 1時間保温した。 次いで、 当該保 温液を低融点ァガロース (Agarose L;二ツボンジーン社製) を用いた電気泳動に供 した後、検出されたバンド部分のゲルから D NA断片を回収した。 回収された約 100 ngの D NA断片と、 約 l gの前記の TATA DNAとを混合し、 T4リガーゼで結合させ ることによりプラスミド PGL3-TATAを作製した。
月干臓 X受容体 aの結合配列 (LXRE) を含むコレステロール 7 α -ヒドロキシラーゼ ( CYP7A1) 遺伝子上流の塩基配列 (配列番号 1 4 ) からなるオリゴヌクレオチド及び当 該塩基配列と相補性を有する塩基配列からなるオリゴヌクレオチド (配列番号 1 5 )
を合成し、 これらをアニーリングさせて 2本鎖 DNA (以下、 LXRE DNAと記す。 ) とした 後、 これに T4リガーゼを作用させることにより、 LXRE DNAをタンデムに結合させた。 得られた D N A断片に T4ポリヌクレオチドキナーゼを作用させてその両末端をリン 酸化することにより、 リン酸化夕ンデム結合型 DNA断片を得た。
次に、 pGL3- TATAを制限酵素 Mlu Iで消化した後、 大腸菌由来アルカリホスファタ一 ゼを加えて 65 °Cで 1時間保温した。当該保温液を低融点ァガロースゲル電気泳動に供 した後、 検出されたバンド部分のゲルから DNA断片を回収した。 回収された約 100 ng の D N Aと、 約 1 gの上記のリン酸化タンデム結合型 DNA断片とを混合した後、 こ れに T4リガ一ゼを添加し、 当該混合物を 16°Cで 30分間のライゲ一シヨンを行った。 ラ ィゲーシヨンは、 用いたキットにより推奨される方法に従って行われた。得られたラ ィゲ一シヨン反応液により、 大腸菌 DH5 aコンビテントセル (宝酒造社製) が、 製造 者により推奨される方法に従って形質転換された。 得られた菌体を、 X- gal及びイソ プロピル /3 -D-ガラクトピラノシド (IPTG) が塗布されたアンピシリンを含む LB寒天 培地上にまき、 これを 37 °Cで一晩培養した。 培養後、 当該寒天培地上に形成された アンピシリン耐性白色コロニーからプラスミド DNAを調製した。 さらに揷入された D N A断片の塩基配列を決定した。 得られた塩基配列から、 PGL3-TATAの Mlul部位に LXR E DNAがタンデムに 4つ結合されてなる DM断片を有するプラスミドを選択し、 これを プラスミド pGL3- TATA- LXREx4と命名した。 実施例 6 (—過性発現系におけるレポーターアツセィによる肝臓 X受容体ひスプラ ィシング変異体夕ンパク質の機能評価)
ヒト胎児腎臓由来 HEK293細胞株 (ATCC ; CRL-1573) を、 チヤコールデキストランに より低分子物質を除去した牛胎児血清 (FBS) 10%と抗生物質としてペニシリン(100 u ni t/ml) とストレプトマイシン (100 g/ml ) とを含み、 フエノ一ルレッドを含まな いダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM) において 5 % C02存在下 37 にて継代培養し た。 継代培養された HEK293細胞株を 10cm細胞培養用ディッシュに約 2 X 106個になる ように捲いた。 これを 37 °Cで 1日間培養した後、 当該細胞に、 L ipo fec t amine (イン ピロトジェン社製) を用いて当該キットが推奨する方法に従って、 実施例 4で作製さ
れた正常型肝臓 X受容体 を発現するベクター及びヒト肝臓 X受容体ひスプライシン グ変異体タンパク質を発現するベクターと、実施例 5で作製されたレポータープラス ミド pGL3- TATA LXRE x4とを各々 1 導入した。 これを 37 °Cで 24時間培養した後、 当 該細胞をピペッティングにより回収した。 回収された細胞を均一懸濁した後、 これを 96穴プレートに播種した。 さらに、 当該プレートにエタノールで溶解しておいた各種 の化合物が添加された。 これを 37 °Cでさらに約 2日間培養した後、 当該プレートに 5 倍に希釈された細胞溶解剤 PGC50 (二ツボンジーン社製) を 50 ^ l e l lずつ加えて 、 時々軽くゆすりながら室温で 30分間放置することにより、 細胞を溶解させた。 この ようにして調製された細胞溶解液を 10 1ずつ 96穴白色サンプルプレート (ベルト一 ルド社製) に採取し、 ルミノメ一夕一 LB96p (ベルトールド社製) で 50 l/wel lずつ 酵素基質液 PGL100 (二ツボンジーン社製) を添加し、 直ちに発光量を 5秒間測定した 正常型肝臓 X受容体 α又は肝臓 X受容体 αスプライシング変異体タンパク質に対す る各種肝臓 X受容体 αリガンド(ァゴニスト)の測定結果をそれぞれ図 6及び 7に示し た。 臓 X受容体ひのリガンドの 1つである T0901317による転写活性化能は、 正常 型 ffF臓 X受容体ひが有する当該転写活性化能と比較して極めて弱い又は認められない レベルであった (図 6 ) 。 また、 正常型肝臓 X受容体 αと当該肝臓 X受容体 スプラ イシング変異体夕ンパク質を共発現させたところ、正常型肝臓 X受容体 のみを発現 させたときに見られるリガンド依存的な転写活性化が著しく抑制された (図 7 ) 。 産業上の利用の可能性
本発明により、 正常型 fF臓 X受容体ひによる正常なコレステロール代謝の阻害に関 与する新規な肝臓 X受容体 のァイソフォームである肝臓 X受容体 スプライシング 変異体夕ンパク質、 その遺伝子及びそれらの利用が提供可能となる。 配列表フリーテキスト
配列番号 5
P C Rのために設計されたォリゴヌクレオチドプライマ一
配列番号 6
P C Rのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号 7
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号 8
PCRのために設計されたォリゴヌクレオチドプライマー
配列番号 9
P C Rのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ一
配列番号 10
P CRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号 11
PCRのために設計されたォリゴヌクレオチドプライマ一
配列番号 12
プロモ一夕一 DN Aを合成するために設計されたオリゴヌクレオチド 配列番号 13
プロモーター DN Aを合成するために設計されたオリゴヌクレオチド 配列番号 14
月干臓 X受容体結合エレメントを合成するために設計されたオリゴヌクレオチド 配列番号 15
月干臓 X受容体結合エレメントを合成するために設計されたオリゴヌクレオチド