明細書 アポト一シス誘導剤 技術分野
本発明は、 アポトーシス誘導剤などに関する。 さらに詳しくは、 本発明は、 H T R A 3の酵素活性およびその基質、 H T R A 3の機能阻害に基づくアポト一シ ス誘導剤およびそのスクリーニング方法などに関する。 また、 本発明は、 H T R A 3の機能促進に基づくアポトーシス抑制剤あるいはタンパク製剤を利用した アポトーシス抑制剤およびそのスクリーニング方法などに関する。 背景技術
最近の研究の進展によって、 癌は複数の遺伝子変異が体細胞に蓄積し、 その結 果として細胞の増殖制御機能が破綻した病気であることが証明されてきている。 またアポトーシス研究の進展に伴い、 癌における細胞の異常増殖には、 癌細胞の アポトーシス制御遺伝子の異常が関与していることが明らかとなってきた。 特に 癌遺伝子として発見された B c 1— 2 (Sc i ence, (228)巻, 1440- 1443頁, 1985 年) が、 アポトーシス抑制を介して癌化に関与していることが示唆されて以来 (Nature, (335)巻, 440- 442頁, 1988年) 、 発癌過程におけるアポトーシス抑制 の重要性が注目されている。,また癌遺伝子 ·癌抑制遺伝子として同定されてきた 遺伝子産物の多くが、 アポト一シス制御に関与することが証明されていることや、 抗癌剤処理により癌細胞が能動的にアポトーシスシグナルを活性化して死ぬこ とから、 アポ卜一シスシグナル伝達に関わる因子は、 抗癌剤開発 ·癌治療の際の 新たな標的となりうることが示唆されている。
癌の化学療法においては、 新しい抗癌剤の開発により延命効果が向上し、 治癒 に向かうケースも増えてきている。 現在までに使用されてきた抗癌剤は、 癌細胞 が正常細胞よりも増殖 ·代謝が活発であることを利用したものが多い。 例えば D N A卜ポイソメラーゼ阻害剤は、 D N A複製の際に切断された D N Aの再結合を
阻害することによりアポトーシスを誘導し、 抗腫瘍効果を発揮するとされる薬剤 であり、 これは癌細胞では正常細胞よりも盛んに DN A複製が起きていることを 利用している。 DNAトポイソメラ一ゼ Ίを阻害する塩酸イリノテカン (カンプ トテシン) や、 DNAトポイソメラ一ゼ I Iを阻害するエトポシド 'テニポシド は、 臨床において固形癌治療に効果を上げている。 しかしこれらの抗癌剤は、.前 述したように正常細胞に対しても少なからず傷害を与え、 特に細胞分裂の盛んな 骨髄などにしばしば強い副作用が現れる。 このため化学療法では腫瘍特異的にァ ポト一シスを誘導することが要求され、 現在様々なアポト一シス誘導型の抗癌剤 の開発が進んでいるが、 未だこの要求に満足に応える抗癌剤はない。
上述のアポト一シ 誘導型の抗癌剤をスクリーニングする上で、 その抗癌剤の 作用点となるタンパク質の活性を明らかにすることは、 スクリーニング方法を考 案するために非常に重要である。
一方、 癌の進展においてプロテア一ゼの重要性は古くから知られている。 癌細 胞の浸潤 ·転移プロセスにおいては、 基底膜の IV型コラ一ゲンをはじめとした細 胞外マトリックスの分解は必須であり、 その分解にマトリックスメタ口プロテア —ゼ (MMP) が中心的役割を果たすことが知られている。 マトリックスメタ口 プロテア一ゼはヒトでは 23種の分子種からなる遺伝子ファミリーを形成して おり、 例えばその内の MT 1—MMPは基底膜成分のラミニン— 5を分解し、 そ の分解産物が細胞運動を亢進することにより、 癌細胞の浸潤 ·転移を促進する可 能性が示唆されている (J.Cell Biol., (148)巻, 615- 624頁, 2000年) 。
またゥロキナーゼ型プラスミノーゲンァクチべ一夕一は、 血中でプラスミノー ゲンに働いてプラスミンを遊離させるプロテア一ゼである。 最近の研究では、 プ ラスミノーゲンァクチべ一ターやプラスミンが MM P活性化の主要な担い手で あるとされている (EMBO J., (16)巻, 2319- 2332頁, 1997年).。 さらにプラスミ ンは潜在型 TGF i3に作用し、 活性型 TGF ;3を遊離することが知られている。 活性型 TGF )3は血管新生の促進、 細胞外マトリックスの蓄積、 免疫抑制作用な どを引き起こすことから、 癌細胞が増殖 ·浸潤 ·転移しやすい環境を形成する上 で、 重要な役割を果たしていると考えられている。
Insulin-like growth factor ( I GF) はアポト一シス抑制型の増殖因子であ
ることが知られている。 例として、 I GFは現在、 I GF— Iと I GF— I Iの 2つの分子が知られているが、 このうち I GF— Iの受容体である I GF— I受 容体ノックアウトマウスの繊維芽細胞に、 S V 40癌遺伝子を導入しても癌化し ないことから、 アポトーシス抵抗性の獲得に寄与する重要な因子との報告がある . (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (90)巻, 11217-11221頁, 1993年) 。 また繊維 芽細胞中で c—My cを過剰発現させてアポトーシスを誘導させた状態で、 I G Fを添加すると、 このアポトーシス誘導効果が抑制されることが報告された (EMBO. J., (13)巻, 3286- 3295頁, 1994年) 。
血中にて循環している I GFは遊離した状態ではなく、 IGF- binding protein ( I GF— BP) と結合した状態で存在することが知られている。 I GF— BP の正確な機能は不明であるが、 I GFと複合体を形成することによって、 増殖因 子としての I GFの活性を調節していると考えられている。 現在 I GF— B Pと して 6種のタンパクが同定されているが、 これらの I GF— B Pを分解するプロ テア一ゼとして、 BP— 3プロテアーゼ、 MMP、 プラスミン、 カテブシン、 P S Aなどが同定され、 増殖因子としての I GFの活性を調節している可能性が示 唆されている (Endocrine Reviews, (18)卷, 801 - 831頁, 1997年) 。
Serine protease (HTRA3) は、 Serine protease HTRA1あるいは H TR A 2と相同性がある遺伝子として公共の遺伝子データベース 〔Ge nB a n k : AY 040094] に登録されている。 \ しかし H T R A 3の生理機能、 特に Serine protease活性を直接示した報告、 あるいは HTR A 3とアポトーシス、 あるいは HTRA3と癌との関連を示した報告は現在までにない。 発明の開示
癌細胞に特異的に発現する分子を標的とし、 癌細胞のアポトーシス誘導作用、 または増殖阻害作用を示す薬剤が切望されている。
本発明者らは、 上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、 癌組織に 発現が顕著に増加する遺伝子 (Serine protease HTR A 3遺伝子) を見出し、 さらに該遺伝子の機能を抑制することにより、 アポト一シスが誘導されることを 見出した。'また、 さらに該遺伝子の機能を探索することにより、 プロテアーゼ活
性を有することを見出した。 この知見に基づいて、 さらに検討を重ねた結果、 ァ ポト一シス抑制活性の新たな実験結臬、 自己プロセッシングの現象、 プロテア一 ゼ活性の基質を見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、
(1) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もしく は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分べプチ ドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなるアポト一 シス誘導剤;
(2) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もじく は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分べプチ ドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩を含有してなる アポトーシス誘導剤;
(3) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もしく は <実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチドを コードするポリヌクレオチドの塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な塩 基配列またはその一部を含有するアンチセンスポリヌクレオチド;
(4) 配列番号: 3、 配列番号: 26または配列番号: 28で表される塩基配列 を有する前記 (3) 記載のアンチセンスポリヌクレオチド;
(5) 前記 (3) 記載のアンチセンスポリヌクレオチドを含有してなる医薬; (6) アポトーシス誘導剤である前記 (5) 記載の医薬;
(7) ·癌の予防 ·治療剤である前記 (5) または (6) 記載の医薬;
(8) 癌が塍臓癌である前記 (7) 記載の医薬;
(9) 前記 (3) 記載のアンチセンスポリヌクレオチドを含有してなる診断薬;
(1 0) 癌の診断薬である前記 (9) 記載の診断薬;
(1 1) 癌が塍臓癌である前記 (10) 記載の診断薬;
(1 2) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその部分べプチ ドまたはその塩に対する抗体;
(1 3) 前記 (12) 記載の抗体を含有してなる医薬;
(14) アポトーシス誘導剤である前記 (1 3) 記載の医薬;
(1- 5) 癌の予防 ·治療剤である前記 (1 3) または (14) 記載の医薬;
(16) 癌が塍臓癌である前記 (1 5) 記載の医薬; '
(17) 前記 (1 2) 記載の抗体を含有してなる診断薬;
(18) 癌の診断薬である前記 (1 7) 記載の診断薬;
(1 9) 癌が塍臓癌である前記 (18) 記載の診断薬;
(20) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドを含有してなる癌の診断薬;
(2 1) 癌が塍臓癌である前記 (20) 記載の診断薬;
(22) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは^!質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を用いることを特徴とずるアポトーシス誘導剤のスクリー二 ング方法;
(23) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を含有することを特徴とするアポトーシス誘導剤のスクリ一 ニング用キット ;
(24) 前記 (22) 記載のスクリーニング方法または前記 (23) 記載のスク リーニング用キットを用いて得られうるアポトーシス誘導剤;
(25) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドを用いることを特徴とするアポト一シス誘導剤 のスクリーニング方法;
(26) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドを含有することを特徴とするアポトーシス誘導 剤のスクリーニング用キット;
(27) 前記 (25) 記載のスクリーニング方法または前記 (26) 記載のスク
リーニング用キットを用いて得られうるアポト一シス誘導剤;
( 2 8 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなる塍臓癌 の予防 ·治療剤;
( 2 9 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩を含有してな る塍臓癌の予防 ·治療剤;
( 3 0 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を用いることを特徴とする塍臓癌の予防 ·治療剤のスクリ一二 ング方法;
( 3 1 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を含有することを特徴とする塍臓癌の予防 ·治療剤のスクリー ニング用キッ卜 ;
( 3 2 ) 前記 (3 0 ) 記載のスクリーニング方法または前記 (3 1 ) 記載のスク リーニング用キットを用いて得られうる滕臓癌の予防 ·治療剤;
( 3 3 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分べプチド をコードするポリヌクレオチドを用いることを特徴とする塍臓癌の予防 ·治療剤 のスクリーニング方法;
( 3 4 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドを含有することを特徴とする滕臓癌の予防 ·治療 剤のスクリーニング用キット ;
( 3 5 ) 前記.(3 3 ) 記載のスクリーニング方法または前記 (3 4 ) 記載のスク リーニング用キットを用いて得られうる滕臓癌の予防 ·治療剤;
(36) プロテアーゼ活性を有する、 配列番号: 5または配列番号: 30で表さ れるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン パク質;
(37) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなるプロテ ァ一ゼ阻害剤;
(38) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩を含有してな るプロテアーゼ阻害剤;
(39) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドの塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な 塩基配列またはその一部を含有するアンチセンスポリヌクレオチドを含有して なるプロテア一ゼ阻害剤;
(40) 配列番号: 3、 配列番号: 26または配列番号: 28で表される塩基配 列からなるアンチセンスポリヌクレオチドを含有してなるプロテア一ゼ阻害剤;
(41) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその部分べプチ ドまたはその塩に対する抗体を含有してなるプロテアーゼ阻害剤;
(42) アポトーシス誘導剤である前記 (37) ないし (41) 記載の剤または 癌 (好ましくは滕臓癌) の予防 ·治療剤である前記 (37) ないし (41) 記載 の剤;
(43) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を用いることを特徴とするプロテア一ゼ阻害剤のスクリー二 ング方法;
(44) 配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と同一もし
くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を含有することを特徴とするプロテアーゼ阻害剤のスクリー ニング用キット ;
( 4 5 ) 前記 (4 3 ) 記載のスクリーニング方法または前記.(4 4 ) 記載のスク リーニング用キットを用いて得られうるプロテアーゼ阻害剤;
( 4 6 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドを用いることを特徴とするプロテア一ゼ阻害剤 のスクリーニング方法;
( 4 7 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドを含有することを特徴とするプロテア一ゼ阻害 剤のスクリーニング用キット ;
( 4 8 ) 前記 (4 6 ) 記載のスクリーニング方法または前記 (4 7 ) 記載の'スク リーニング甩キットを用いて得られうるプロテアーゼ阻害剤;
( 4 9 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を用いることを特徴とする該タンパク質のプロテァ一ゼ活性 の基質のスクリーニング方法;
( 5 0 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩を含有することを特徴とする該タンパク質のプロテアーゼ活 性の基質のスクリーニング用キット ;
( 5 1 ) 前記 (4 9 ) 記載のスクリーニング方法または前記 (5 0 ) 記載のスク リ一ニング用キットを用いて得られうる配列番号: 5または配列番号: 3 0で表 されるアミノ酸配列からなるタンパク質のプロテア一ゼ活性の基質;
( 5 2 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコ一ドするポリヌクレオチドを用い ¾ことを特徴とする該タンパク質のプロ
テア一ゼ活性の基質のスクリーニング方法;
( 5 3 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその部分ペプチド をコードするポリヌクレオチドを含有することを特徴とする該タンパク質のプ 口テア一ゼ活性の基質のスクリーニング用キット ;
( 5 4 ) 前記 (5 2 ) 記載のスクリーニング方法または前記 (5 3 ) 記載のスク リーニング用キットを用いて得られうる配列番号: 5または配列番号: 3 0で表 されるアミノ酸配列からなるタンパク質のプロテアーゼ活性の基質;配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の アミノ酸配列を含有するタンパク質のプロテア一ゼ活性の基質;
( 5 5 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害することを特徴とするアポ卜一シス誘導方法; ( 5 6 ) 配列番号: 5または配列番号.: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害することを特徴とするプロテアーゼ阻害方法; ( 5 7 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害することを特徴とする滕臓癌の予防 ·治療方法; ( 5 8 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害することを特徴とするアポト一シス誘 導方法;
( 5 9 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害することを特徴とするプロテア一ゼ阻 害方法;
( 6 0 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同 のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ
チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害することを特徴とする脖臓癌の予防 ·治 療方法;
( 6 1 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 .0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩の有効量を哺乳動物に 投与すること ¾特徴とするアポト一シス誘導方法;
( 6 2 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩の有効量を哺乳動物に 投与することを特徴とするプロテアーゼ阻害方法;
( 6 3 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩の有効量を哺乳動物に 投与することを特徴とする塍臓癌の予防 ·治療方法;
( 6 4 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩の有効量を哺 乳動物に投与することを特徴とするアポト一シス誘導方法;
( 6 5 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩の有効量を哺 乳動物に投与することを特徴とするプロテアーゼ阻害方法;
( 6 6 ) 配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプ チドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩の有効量を哺 乳動物に投与することを特徴とする塍臓癌の予防 ·治療方法;
( 6 7 ) アポ十一シス誘導剤の製造のための配列番号: 5または配列番号: 3 0 で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物
またはその塩の使用;
( 6 8 ) プロテア一ゼ阻害剤の製造のための配列番号: 5または配列番号: 3 0 で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物 またはその塩の使用;
( 6 9 ) 塍臓癌の予防 ·治療剤の製造のための配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有 するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合 物またはその塩の使用;
( 7 0 ) アポト一シス誘導剤の製造のための配列番号: 5または配列番号: 3 0 で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害す る化合物またはその塩の使用;
( 7 1 ) プロテア一ゼ阻害剤の製造のための配列番号: 5または配列番号: 3 0 で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す , るタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害す る化合物またはその塩の使用;
( 7 2 ) 塍臓癌の予防 ·治療剤の製造のための配列番号: 5または配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有 するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の遺伝子の発現を阻害 する化合物またはその塩の使用;
( 7 3 ) 配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の アミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩; ( 7 4 ) 配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の ァミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分べプチドをコードするポ リヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
( 7 5 ) D N Αである前記 (7 4 ) 記載のポリヌクレオチド;などを提供する。 発明を実施するための最良の形態
本発明で用いられる配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配 列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質 (以下、 本 発明のタンパク質または本発明で用いられるタンパク質と称することもある) は、 ヒトや?显血動物 (例えば、 モルモット、 ラッ.ト、 マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブ 夕、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) の細胞 (例えば、 肝細胞、 脾細胞、 神経細胞、 グ リア細胞、 塍臓 ]3細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム細胞、 ランゲル/、ンス細胞、 表 皮細胞、 上皮細胞、 杯細胞、 内皮細胞、 平滑筋細胞、 繊維芽細胞、 繊維細胞、 筋 細胞、 脂肪細胞、 免疫細胞 (例、 マクロファージ、 T細胞、 B細胞、 ナチュラル キラ一細胞、 肥満細胞、 好中球'、 好塩基球、 好酸球、 単球) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくはガン細胞など) もしくはそれらの 細胞が存在するあらゆる組織、 例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁桃核、 大 脳基底球、 海馬、 視床、 視床下部、 大脳皮質、 延髄、 小脳) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 塍臓、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消 化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺、 末梢血、 前立腺、 睾丸、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 骨格筋などに由来するタンパク質であって もよく、 合成タンパク質であってもよい。
配列番号: 5で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、 配列番号: 5で表わされるアミノ酸配列と約' 50%以上、 好ましくは約 60 %以 上、 さらに好ましくは約 70 %以上、 より好ましくは約 80%以上、 特に好まし ' くは約 90%以上、 最も好ましくは約 95 %以上の相同性を有するアミノ酸配列 などが挙げられる。 配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のァ ミノ酸配列としては、配列番号: 30で表わされるアミノ酸配列と約 50 %以上、 好ましくは約 60%以上、 さらに好ましくは約 70 %以上、 より好ましくは約 8 0 %以上、 特に好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の相同性 を有するアミノ酸配列などが挙げられる。 アミノ酸配列の相同性は、 相同性計算 アルゴリズム NCB I BLAST (Na t i o n a l C e n t e r f o r B i o t e c hn o l o gy I n f o rma t i on B a s i c L o c 1 A l i gnme n t S e a r c h To o l ) を用い、 以下の条件 (期
待値 = 10 ;ギャップを許す;マトリクス- BL〇 SUM 62 ; フィルタリング -OFF) にて計算することができる。
配列番号: 5で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 5で表されるアミノ酸配列と 実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を 含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質等が好ましい。 配 列番号: 30で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する タンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 30で表されるアミノ酸配列と 実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 30で表されるアミノ酸配列 を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質等が好ましい。 実質的に同質の活性としては、 例えば、 アポトーシス抑制活性やプロテア一ゼ 活性などが挙げられる。 実質的に同質とは、 それらの性質が性質的に (例、 生理 学的に、 または薬理学的に) 同質であることを示す。 したがって、 アポトーシス 抑制活性やプロテア一ゼ活性が同等 (例、 約 0. 0 1〜100倍、 好ましくは約 0. 1〜10倍、 より好ましくは 0. 5〜2倍) であることが好ましいが、 これ らの活性の程度、 夕ンパク質の分子量などの量的要素は異なつていてもよい。 アポトーシス抑制活性の測定は、 自体公知の方法、 例えばアポトーシス実行因 子カスパ一ゼ 3および 7の酵素活性を利用した方法(Methods in Enzymology, (244)巻, 615-31頁, 1994年)またはそれに準じる方法と、 アンチセンスオリゴヌ クレオチドを用いて特異的な遺伝子の機能を阻害する方法またはそれに準じる 方法を組み合わせることによつて測定することができる。
例えばアポトーシス抑制活性は、 カスパーゼ 3および 7に特異的な基質に蛍光 物質を結合させたものと同時に消光物質を結合させたものを利用することで測 定できる。 すなわち本発明のタンパク質 (例、 HTRA3) のアンチセンスオリ ゴヌクレオチドを、 HTRA3を発現する細胞に導入して HTRA3遺伝子の機 能を阻害した後、 前述の基質と適当な緩衝液中で反応させ、 カスパーゼ 3および 7活性に基づく消光物質ラベルから遊離した蛍光ラベル基質の生成量を、 蛍光測 定装置等を用いて定量することによって、 本発明のタンパク質(例、 HTRA3) のアポトーシス抑制活性の程度を測定できる。
プロテアーゼ活性の測定は、 自体公知の方法、 例えばカゼインの分解を利用し た方法などで測定できる。 具体的にはカゼインについて蛍光標識したものを作製 し、 これに本発明のタンパク質を作用させ、 カゼイン分解産物由来の蛍光シグナ ルの増大を測定することで、 プロテアーゼ活性を測定できる (Anal . Bi ochem, (254)巻, 144-147頁, 1997年) 。
また、 上記のプロテアーゼ活性測定法を用いて、 本発明のタンパク質の酵素活 性を阻害し、 アポトーシス誘導活性を有する化合物をスクリーニングすることが できる。 例えば上記反応系に低分子化合物を共存させ、 カゼイン分解産物由来の 蛍光シグナルの減少を測定することで、 低分子化合物による本発明のタンパク質 の酵素阻害活性を定量することができる。 選択された化合物はアポトーシス誘導 剤 (本明細書では、 アポトーシス誘導活性を有する化合物またはその塩自体を、 アポトーシス誘導剤と称することがある。 ) として、 滕臓癌などの癌治療薬に応 用できる。 ―
配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、 後述の実施例 で示すとおり、 配列番号: 5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質の自己 消化により生じる産物に相当し、 配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列は新規 なアミノ酸配列である。
さらに本発明のタンパク質を用いて、 これに結合するタンパク質、 あるいは基 質となるタンパク質を探索することが可能である。
具体的には本発明のタンパク質の発現べクタ一を用いて細胞で一過性発現さ せ、 得られた本発明のタンパク質と結合するタンパク質を免疫沈降法などの方法 で探索することが可能である。 例えば、' T G F ]3などの細胞増殖抑制因子やその ファミリー (例えば B M P— 4, G D F— 5 , A c t i V i n ) 、 I G Fなどの 細胞増殖因子等が、 本発明のタンパク質と結合するタンパク質として考えられる またカゼインを用いたプロテア一ゼ活性測定法と同様に、 様々なタンパク質を 蛍光標識することで、 本発明のタンパク質のプロテア一ゼ活性の基質となるタン ノ\°ク質を探索することが可能である。 例えば、 ラミニンー 5などの基底膜成分で あるタンパク質、 コラーゲンなどの細胞外マトリックス構成成分であるタンパク 質、 I G F— B Pなどの I G F活性調節因子、 プラスミノーゲンなどの T G F i3
活性調節因子、 潜在型 TGF 3などが、 本発明のタンパク質のプロテアーゼ活性' の基質となるタンパク質として考えられる。
また、 本発明で用いられるタンパク質としては、 例えば、 1)配列番号: 5また は配列番号: 30で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例えば 1~1 00個程度、 好ましくは 1〜 30個程度、 好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好 ましくは数 (1〜5) 個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 2)配列番号: 5 または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (例えば 1〜 1 00個程度、 好ましくは 1〜 30個程度、 好ましくは 1〜 10個程度、 さらに 好ましくは数 (1〜5) 個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 3)配列番号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (例えば 1 〜100個程度、 好ましくは 1〜30個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さら に好ましくは数 (1〜5) 個) のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、 4)配列番 号: 5または配列番号: 30で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例 えば 1〜100個程度、好ましくは 1〜30個程度、好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5) 個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミ ノ酸配列、 または 5)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質な どのいわゆるムティンも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換されている場合、その挿入、 欠失または置換の位置としては、 とくに限定されない。
本明細書におけるタンパク質は、 ペプチド標記の慣例に従って左端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (カルボキシル末端) である。 配列番号: 5また は配列番号: 30で表わされるアミノ酸配^を含有するタンパク質をはじめとす る、本発明で用いられるタンパク質は、 C末端が力ルポキシル基(一 COOH)、 カルポキシレート(― COO— ) 、 アミド (一 CONH2) またはエステル (一 C OO R) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける; としては、例えば、 メチル、ェチル、 n—プロピル、 イソプロピル、 n—ブチルなどの アルキル基、 例えば、 シクロペンチル、 シクロへキシルなどの C3_8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 ひ一ナフチ ルなどの C6_12ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルなどのフエ二ルー C
アルキル基もしくは α—ナフチルメチルなどの α—ナフチル— C i _ 2アルキ ル基などの C 7 _ i 4ァラルキル基、 ピバロイルォキシメチル基などが用いられる。 本発明で用いられるタンパク質が C末端以外に力ルポキシル基 (またはカルボ キシレート) を有している場合、 力ルポキシル基がアミド化またはエステル化さ れているものも本発明で用いられるタンパク質に含まれる。 この場合のエステル としては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明で用いられるタンパク質には、 N末端のアミノ酸残基 (例、 メ チォニン残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル基などの C 6アルカノィルなどの 6ァシル基など) で保護されているもの、 生体内で 切断されて生成する N末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分 子内のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば O H S H、 アミノ基、 イミダゾ ール基、 インドール基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル 基、 ァセチル基などの アルカノィル基などの C ^ 6ァシル基など) で保護 されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タン パク質なども含まれる。
本発明で用いられるタンパク質の具体例としては、 例えば、 配列番号: 5で表 されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、 配列番号: 3 0で表されるアミノ酸 配列を含有するタンパク質などがあげられる。
本発明で用いられるタンパク質の部分べプチドとしては、 前記した本発明で用 いられるタンパク質の部分ペプチドであって、 好ましくは、 前記した本発明で用 いられるタンパク質と同様の性質を有するものであればいずれのものでもよい。 具体的には、 後述する本発明の抗体を調製する目的には、 配列番号: 5または 配列番号: 3 0で表されるアミノ酸配列において、 少なくとも 2 0個以上、 好ま しくは 5 0個以上、さらに好ましくは 7 0個以上、より好ましくは 1 0 0個以上、 最も好ましくは 2 0 0個以上のアミノ酸配列を有するペプチド等が用いられる。 また、 本発明で用いられる部分ペプチドは、 そのアミノ酸配列中の 1または 2 個以上 (好ましくは、 1 1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1 5 ) 個) のァ ミノ酸が欠失し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1 2 0個程度、 より好ましくは 1 1 0個程度、 さらに好ましくは数(,1 5 )
個) のアミノ酸が付加し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ま しくは、 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 ( 1〜5 ) 個) のアミノ酸が揷入され、 または、 そのアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜1 0個程度、 より好ましくは数個、 さらに好ましく は 1〜5個程度) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、 本発明で用いられる部分ペプチドは C末端が力ルポキシル基 (一 c〇〇 H) 、 カルボキシレート (_ C〇0 _) 、 アミド (一 C〇N H 2 ) またはエステル ( - C O O R) の何れであってもよい。
さらに、 本発明で用いられる部分ペプチドには、 前記した本発明で用いられる タンパク質と同様に、 C末端以外に力ルポキシル基 (または ルポキシレート) を有しているもの、 N末端のアミノ酸残基 (例、 メチォニン残基) のァミノ基が '保護基で保護されているもの、 N端側が生体内で切断され生成したグルタミン残 基がピログルタミン酸化したもの、 分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な 保護基で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖べプチドなど の複合ペプチドなども含まれる。 本発明で用いられる部分ペプチドは抗体作成の ための抗原としても用いることができる。
本発明で用いられるタンパク質または部分べプチドの塩としては、 生理学的に 許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩基 (例、 アルカリ金属塩) などとの塩 が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 この様な塩と しては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いられる。
本発明で用いられるタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩は、 前 述したヒトや温血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法 によって製造することもできるし、 タンパク質をコードする D N Aを含有する形 質転換体を培養することによつても製造することができる。 また、 後述のぺプチ ド合成法に準じて製造することもできる。 '
ヒトゃ哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、 ヒトゃ哺乳動物の組織ま
たは細胞をホモジナイズした後、 酸などで抽出を行い、 該抽出液を逆相クロマト グラフィ一、 イオン交換クロマトグラフィ一などのクロマトグラフィーを組み合 わせることにより精製単離することができる。
本発明で用いられるタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩、 またはそ のアミド体の合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。 そのような樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒドロキシメチル樹脂、 ベンズヒドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4— ンジルォキシベンジルァ ルコール榭脂、 4—メチルベンズヒドリルァミン樹脂、 P AM樹脂、 4—ヒドロ キシメチルメチルフエニルァセトアミドメチル樹脂、 ポリアクリルアミド樹脂、 4 - ( 2 ' , 4 ' ージメトキシフエ二ルーヒドロキシメチル) フエノキシ樹脂、 4 - ( 2, , 4, ージメトキシフエ二ル— F m o cアミノエチル) フエノキシ樹 脂などを挙げることができる。'このような樹脂を用い、 α—ァミノ基と側鎖官能 基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするタンパク質の配列通りに、 自体公知 の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパク質 または部分ペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液 中で分子内ジスルフィ ド結合形成反応を実施し、 目的のタンパク質もしくは部分 ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種活 性化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジィ ミド類としては、 D C C、 N, N, ージイソプロピルカルポジイミド、 N—ェチ ルー N ' — (3—ジメチルァミノプロリル) カルポジイミドなどが用いられる。 これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 H O B t, H O O B t ) とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、 対称酸無水物または H O B tエステルあるいは H O O B tエステル'としてあらかじめ保護アミノ酸の活 性化を行なつた後に樹脂に添加することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク質 縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例えば、 N, N—ジメチルホルムアミド, N , N—ジメチルァセトアミド, N—メチルピ 口リドンなどの酸アミド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、 トリフルォロエタノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキシドな どのスルホキシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒドロフランなどのェ一テ ル類、 ァセトニトリル, プロピオ二トリルなどの二トリル類、 酢酸メチル, 酢酸 ェチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。 反応 温度はタンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適 宜選択され、 通常約— 2 0 °C〜 5 0 °Cの範囲から適宜選択される。 活性化された アミノ酸誘導体は通常 1 . 5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒドリン反応を用い たテストの結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行なうことなく縮合反 応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。 反応を繰り返しても 十分な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダゾールを用い て未反応アミノ酸をァセチル化することによって、 後の反応に影響を与えないよ うにすることができる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 B o c、 t—ペンチルォキシ カルボニル、 ィソポルニルォキシカルボニル、 4ーメトキシベンジルォキシカル ポニル、 C 1 一 Z、 B r— Z、 ァダマンチルォキシカルポニル、 トリフルォロア セチル、 フタロイル、 ホルミル、 2一二トロフエニルスルフエ二ル、 ジフエニル ホスフイノチオイル、 F m o cなどが用いられる。
カルボキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル、 tーブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロヘプ チル、 シクロォクチル、 2—ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしくは環状ァ ルキルエステル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル、 4 - ニトロべンジルエステル、 4 _メトキシベンジルエステル、 4一クロ口べンジル エステル、 ベンズヒドリルエステル化) 、 フエナシルエステル化、 ベンジルォキ シカルポニルヒドラジド化、 t —ブトキシカルポニルヒドラジド化、 トリチルヒ ドラジド化などによつて保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護するこ とができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基などの低 級 (C ^ 6 ) アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル墓、 ベンジルォキシ カルボニル基、 エトキシカルポニル基などの炭酸から誘導される基などが用いら
れる。 また、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テトラヒド ロビラ二ル基、 t一ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 B z 1、 C l 2— B z l、 2_ニトロベンジル、 B r— Z、 t—ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾ一ルの保護基としては、 例えば、 To s、 4ーメトキシ - 2, 3, 6—トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 ベンジルォキシメチル、 Bum、 B o c、 T r t、 Fm o cなどが用いられる。
原料の力ルポキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水 物、 アジド、 活性エステル 〔アルコール (例えば、 ペンタクロロフエノール、 2, 4, 5—トリクロ口フエノール、 2, 4ージニトロフエノール、 シァノメチルァ ルコール、 パラニトロフエノール、 H〇NB、 N—ヒドロキシスクシミド、 N- ヒドロキシフタルイミド、 HOB t) とのエステル〕 などが用いられる。 原料の ァミノ基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用いら れる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 P —黒あるいは P d—炭素な どの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタ ンスルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれ 'らの混合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリェチルアミ ン、 ピぺリジン、 ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニア中ナトリ ゥムによる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に約— 2 0°C〜40°Cの温度で行なわれるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソ一ル、 フエノール、 チオアニソール、 メタクレゾ一ル、 パラクレゾール、 ジメチルスル フイ ド、 1, 4一ブタンジチオール、 1, 2一エタンジチオールなどのような力 チオン捕捉剤の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基とし て用いられる 2, 4—ジニトロフエニル基はチオフエノ一ル処理により除去され、 トリブトファンのィンドール保護基として用いられるホルミル基は上記の 1, 2 一エタンジチオール、 1, 4一ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱 保護以外に、 希水酸化ナトリウム溶液、 希アンモニアなどによるアルカリ処理に よっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保護 基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から 適宜選択しうる。
タンパク質または部分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、 カルポキシ末端アミノ酸の —力ルポキシル基をアミド化して保護した後、 アミノ基側にペプチド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該ぺプチ ド鎖の N末端の α—ァミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部分ぺプ チドと C末端の力ルポキシル基の保護基のみを除去したタンパク質または部分 ペプチドとを製造し、 これらのタンパク質またはペプチドを上記したような混合 溶媒中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により 得られた保護タンパク質またはペプチドを精製した後、 上記方法によりすベての 保護基を除去し、 所望の粗タンパク質またはペプチドを得ることができる。 この 粗タンパク質またはペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、 主要画分 を凍結乾燥することで所望のタンパク質またはべプチドのアミド体を得ること ができる。
タンパク質またはペプチドのエステル体を得るには、 例えば、 カルポキシ末端 アミノ酸の α—力ルポキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステ ルとした後、 タンパク質またはペプチドのアミド体と同様にして、 所望のタンパ ク質またはべプチドのエステル体を得ることができる。
本発明で用いられる部分ペプチドまたはそれらの塩は、 自体公知のペプチド.の 合成法に従って、 あるいは本発明で用いられるタンパク質を適当なぺプチダ一ゼ で切断することによって製造することができる。 ペプチドの合成法としては、 例 えば、 固相合成法、 液相合成法のいずれによっても良い。 すなわち、 本発明で用 いられる部分ペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分 とを縮合させ、 生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的 のペプチドを製造することができる。 公知の縮合方法や保護基の脱離としては、 例えば、 以下の 1)〜5)に記載された方法が挙げられる。
D M. Bodans zky および M. A, Onde t t i , ペプチド · シンセシス (Pep t i de
Synthes i s) , Intersc i ence Pub l i shers , New York (1966年)
2) Schroederおよび Luebke、 ザ ·ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
3)泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975年)
4)矢島治明 および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205、 (1977年) .
5)矢島治明監修、 続医薬品の開発、 第 14巻、 ペプチド合成、 広川書店
また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出 '蒸留 ·カラムクロマトダラ フィ一 ·液体クロマトグラフィー ·再結晶などを組み合わせて本発明で用いられ る部分べプチドを精製単離することができる。 上記方法で得られる部分べプチド が遊離体である場合は、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩 に変換することができるし、 逆に塩で得られた場合は、 公知の方法あるいはそれ に準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
本発明で用いられるタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、 前述 した本発明で用いられるタンパク質をコードする塩基配列を含有するものであ ればいかなるものであってもよい。 好ましくは DNAである。 DNAとしては、 ゲノム DNA、ゲノム DNAライブラリ 、前記した細胞'組織由来の c DNA、 前記した細胞'組織由来の c DNAライブラリー、合成 DN Aのいずれでもよい。 ライブラリーに使用するべクタ一は、 パクテリオファージ、 プラスミド、 コス ミド、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 前記した細胞,組織より totalRNAまたは mRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse
Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、 RT— P C R法と略称する) によって増幅することもで'きる。
本発明で用いられるタンパク質をコードする DNAとしては、 例えば、 配列番 号: 6で表される塩基配列を含有する DNA、 または配列番号: 6で表される塩 基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含有 し、 前記した配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質 的に同質の性質を有するタンパク質をコードする DN Aであれば何れのもので もよい。 また、 本発明で用いられるタンパク質をコードする DNAとしては、 伊 !{ えば、 配列番号: 31で表される塩基配列を含有する DNA、 または配列番号:
31で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下で八イブリダイズす る塩基配列を含有し、 前記した配列番号: 30で表されるアミノ酸配列を含有す るタンパク質と実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードする DN Aで あれば何れのものでもよい。
配列番号: 6で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイプリ ダイズできる DNAとしては、 例えば、 配列番号: 6で表される塩基酉列と約 5 0%以上、 好ましくは約 60 %以上、 さらに好ましくは約 70 %以上、 より好ま しくは約 80%以上、 特に好ましくは約 90 %以上、 最も好ましくは約 95%以 上の相同性を.有する塩基配列を含有する DNAなどが用いられる。 配列番号: 3 1で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダィズでき る DNAとしては、例えば、配列番号: 31で表される塩基配列と約 50%以上、 好ましぐは約 60 %以上、 さらに好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 8 0,%以上、 特に好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の相同性 を有する塩基配列を含有する DN Aなどが用いられる。 塩基配列の相同性は、 相 同性計算アルゴリズム NCB I BLAST (Na t i on a l C e n t e r f o r B i o t e c hn o l o gy I n f o rma t i on B a s i c L o c a l A l i gnme n t S e a r c h To o l) を用い、 以下の条 件(期待値 = 10 ;ギヤップを許す;フィルタリング = O N;マッチスコア = 1 ; ミスマッチスコア =ー 3) にて計算することができる。
ハイブリダィゼーシヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例え は、 モレ干ユラ一 ·ク口一ニング (Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうこと ができる。 また、 市販のライブラリ一を使用する場合、 添付の使用説明書に記載 の方法に従つて行なうことができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェントな 条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジエンドな条件とは、 例えば、 ナトリウム濃度が約 19〜40m M、 好ましくは約 1 9〜2 OmMで、 温度が約 50〜70T、 好ましくは約 60 〜65 °Cの条件を示す。 特に、 ナトリウム濃度が約 19 mMで温度が約 65での 場合が最も好ましい。
より具体的には、 配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質 をコードする DNAとしては、 配列番号: 6で表される塩基配列を含有する DN Aなどが用いられる。 また、 配列番号: 30で表されるアミノ酸配列を含有する タンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 31で表される塩基配列を 含有する DN Aなどが用いられる。
本発明で用いられる部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(例、 DNA) としては、 前述した本発明で用いられる部分ペプチドをコードする塩基配列を含 有するものであればいかなるものであってもよい。 また、 ゲノム DNA、 ゲノム DN Aライブラリ一、 前記した細胞 ·組織由来の c DNA、 前記した細胞 ·組織 由来の c DN Aライブラリ一、 合成 DN Aのいずれでもよい。
本発明で用いられる部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 配列 番号: 6または配列番号: 3 1で表される塩基配列を含有する DNAの一部分を 有する DNA、 または配列番号: 6または配列番号: 31で表される塩基配列と ハイストリンジェントな条件下でハイブリダィズする塩基配列を含有し、 本発明 のタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質をコードする DNAの 一部分を含有する DNAなどが用いられる。 配列番号: 6または配列番号: 3 1 で表される塩基配列とハイブリダイズできる D N Aは、.前記と同意義を示す。 八ィブリダイゼ一シ 3ンの方法および八イストリンジェントな条件は前記と 同様のものが用いられる。
本発明で用いられるタンパク質、 部分ペプチド (以下、 これらをコードする D NAのクロ一ニングおよび発現の説明においては、 これらを単に本発明のタンパ ク質と略記する場合がある) を完全にコードする DNAのクローニングの手段と しては、 本発明のタンパク質をコードする塩基配列の一部分を有する合成 DNA プライマーを用いて P CR法によって増幅するか、 または適当なベクタ一に組み 込んだ DNAを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードする DNA 断片もしくは合成 DN Aを用いて標識したものとのハイブリダィゼ一ションに よって選別することができる。 ハイブリダィゼ一シヨンの方法は、 例えば、 モレ キユラ— .クローニング (Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうことができ
る。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法 に従って行なうことができる。'
DNAの塩基配列の変換は、 P CR、 公知のキット、 例えば、 MutanTM-super Express Km (宝酒造 (株) ) 、 Mutan™- K (宝酒造 (株) ) 等を用いて、 ODA- LAPCR 法、 Gapped duplex法、 Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方 法に従って行なうことができる。 ,
クローン化されたタンパク質をコードする DN Aは自的によりそのまま、 また は所望により制限酵素で消化したり、 リンカ一を付加したりして使用することが できる。 該 DN Aはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての AT Gを有し、 ま , た 3' 末端側には翻訳終止コドンとしての TAA、 TGAまだは TAGを有して いてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合成 DNAァ ダプ夕一を用いて付加することもできる。
本発明のタンパク質の発現べクタ一は、 例えば、 (ィ) 本発明のタンパク質を コードする DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 (口) 該 DNA断片を 適当な発現べクタ一中のプロモーターの下流に連結することにより製造するこ とができる。
ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミド (例、 pBR 322, p B R 32 5, pUC 12 , pUC 1 3) 、 枯草菌由来のプラスミド (例、 pUB 1 1 0, TP 5, pC 194) 、 酵母由来プラスミド (例、 p S H 19 , p SH 1 5) 、 λファージなどのバクテリオファージ、 レトロウイルス, ワクシニアウィルス, バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、 pA l— 1 1、 pXT l、 p R c/CMV、 pRc/RSV、 p c DNA I ZN e oなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、 遺伝子の'発現に用いる宿主に対応 して適切なプロモータ一であればいかなるものでもよい。 例えば、 動物細胞を宿 主として用いる場合は、 SRaプロモータ一、 SV40プロモータ一、 LTRプ ロモ—夕—、 CMVプロモーター、 HS V- TKプロモ一夕一などが挙げられる。 これらのうち、 CMV (サイ卜メガロウィルス) プロモータ一、 SRo!プロモ 一夕一などを用いるのが好ましい。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 t r pプロモータ一、 l a cプロモータ一、 r e cAプロモーター、 A PLプロモー
夕一、 l p pプロモーター、 T 7プロモーターなどが、 宿主がバチルス属菌であ る場合は、 S P01プロモーター、 SPO 2プロモーター、 p e nPプロモータ 一など、宿主が酵母である場合は、 P HO 5プロモーター、 P GKプロモーター、 GAPプロモ一夕一、 ADHプロモーターなどが好ましい。 宿主が昆虫細胞であ る場合は、 ポリヘドリンプロモーター、 P 10プロモ一ターなどが好ましい。 発現ベクターには、 以上の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシングシ ダナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (以下、 S V40 o r iと略称する場合がある) などを含有しているものを用いることがで きる。 選択マ一力一としては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 dh f r と略称する場合がある) 遺伝子 〔メソトレキセ一ト (MTX) 耐性〕 、 アンピシ リン耐性遺伝子 (以下、 Amp rと略称する場合がある) 、 ネオマイシン耐性遺 伝子 (以下、 Ne 0 rと略称する場合がある、 G418耐性) 等が挙げられる。 特に、 dh f r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用いて d h f r遺伝子 を選択マ一力一として使用する場合、 目的遺伝子をチミジンを含まない培地によ つても選択できる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 本発明のタンパク質の N 端末側に付加する。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 PhoA ·シグナル配 列、 OmpA ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 α—アミ ラ一ゼ ·シグナル配列、 サブチリシン ·シグナル配列などが、 宿主が酵母である 場合は、 MF a ·シグナル配列、 SUC 2 ·シグナル配列など、 宿主が動物細胞 である場合には、 インシュリン · シグナル配列、 α—インターフェロン ·シグナ ル配列、 抗体分子 ·シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のタンパク質をコードする DN,Aを含有す るベクターを用いて、 形質転換体を製造することができる。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫、 動物細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌の具体例としては、例えば、ェシエリヒア ·コリ(Escherichia coli) K 12 · DH 1 〔プロシージングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー · ォブ 'サイェンシィズ ·ォブ'ザ 'ュ一エスエー(Pro Natl. Acad. Sci. USA) ,
60巻, 1 60 (1 968)〕 , J 103 〔ヌクイレック 'ァシッズ · リサーチ (Nucleic Acids Research) , 9巻, 309 (1 981)〕 , J A 22 1 〔ジャー ナル 'ォブ 'モレキユラ— 'バイオロジー (Journal of Molecular Biology) , 1 20巻, 5 17 (1978)〕 , HB 10 1 〔ジャーナル ·ォブ 'モレキュラー ' バイオロジー, 41卷, 459 (1 969)〕 , C 600 〔ジェネティックス
(Genetics) , 39巻, 440 (1954)〕 などが用いられる。
バチルス属菌としては、 例えば、 バチルス ·サブチルス (Bacillus subtilis) M I 1 14 〔ジーン, 24巻, 255 (1983)〕 , 207 - 2 1 〔ジャーナル · ォブ 'バイオケミストリ一 (Journal of Biochemistry) , 95巻, 87 (1 98 4)〕 などが用いられる。
酵母としては、 例えば、 サッカロマイセス セレピシェ (Saccharomyces cerevisiae) AH22, AH22 R―, NA 87 - 1 1 A, DKD- 5 D, 20 B— 12、 シゾサッカロマイセス ボンべ (Schizosaccharomyces pombe) N C YC 19 13, NCYC 2036、 ピキア パス卜リス (Pichia pastoris) K Μ 7 1などが用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが A c ΝΡ Vの場合は、 夜盗蛾の幼虫由 来株化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; S f細胞) 、 Trichoplusia niの中 腸由来の MG l細胞、 Trichoplusia niの卵由来の High Five™細胞、 Mamestra brass icae由来の細胞または Est igmena acreafi来の細胞などが用いられる。 ウイ ルスが BmNP Vの場合は、 蚕由来株化細胞 (Bombyx mori N細胞; BmN細胞) などが用いられる。該 S f細胞としては、 例えば、 S f 9細胞(ATCCCRL1711) 、 S f 2 1細胞(以上、 Vaughn, J.L.ら、イン ·ヴィポ(In Vivo) , 13, 213-217, (1977)) などが用いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる 〔前田ら、 ネィチヤ一 (Nature) , 3 1 5巻, 592 (1 985)〕 。
動物細胞としては、 例えば、 サル細胞 COS— 7, V e r o , チャイニーズハ ムスター細胞 CH〇 (以下、 CHO細胞と略記) , d h f r遺伝子欠損チヤィニ ーズハムスター細胞 CHO (以下、 CHO (d h f r") 細胞と略記) , マウス L細胞, マウス A t T— 20, マウスミエ口一マ細胞, マウス ATDC 5細胞,
ラット GH 3, ヒト F L細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌を形質転換するには、例えば、 プロシージングズ ·ォブ 'ザ · ナショナル ·アカデミー ·ォブ 'サイェンジィズ ·ォブ ·ザ ·ユーエスエー roc. Natl. Acad. Sci. USA) , 69巻, 21 10 (1972)やジーン (Gene) , 17 巻, 107 (1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、 例えば、 モレキュラー ·アンド ·ジェネラ ル 'ジェネティックス (Molecular & General Genetics) , 1 68巻, 1 1 1 (1 979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ 'イン *ェンザィモロジ一(Methods inEnzymology) , 194巻, 1 82— 1 87 ( 1 99 1 ) 、 プロシージングズ ' ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ュ一ェ スエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 75卷, 1 929 ( 1 978 ) などに 記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、 例えば、 バイオ Zテクノロジ一 (Bio/Technology), 6, 47-55 (1988)等に記載の方法に従って行なうことができる。 動物細胞を形質転換するには、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロ トコ一ル. 263— 267 (199 5) (秀潤社発行)、ヴィロロジ一(Virology), 52巻, 456 (1973 )に記載の方法に従って行なうことができる。
このようにして、 タンパク質をコードする DNAを含有する発現ベクターで形 質転換された形質転換体を得ることができる。
宿主がェシエリヒア属菌、 バチルス属菌である形質転換体を培養する際、 培養 に使用される培地としては液体培地が適当であり、 その中には該形賀転換体の生 育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、 例えば、 グルコース、 デキストリン、可溶性澱粉、 ショ糖など、窒素源としては、 例えば、 アンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ .リカー、 ペプトン、 力 ゼイン、 肉エキス、 大豆粕、 バレイショ抽出液などの無機または有機物質、 無機 物としては、 例えば、 塩化カルシウム、 リン酸二水素ナトリウム、 塩化マグネシ 'ゥムなどが挙げられる。 また、 酵母エキス、 ビタミン類、 生長促進因子などを添 加してもよい。 培地の ΌΗは約 5〜8が望ましい。
ェシエリヒア属菌を培養する際の培地としては、 例えば、 グルコース、 カザミ ノ酸を含む M 9培地 〔ミラー (Miller) , ジャーナル'ォブ'ェクスペリメンッ · 1ン ·モレ千ユラ一 ·シェ不ティックス (Journal of Experiments in Molecular Genetics) ,· 43 1—433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 19 72〕 が好ましい。 ここに必要によりプロモータ一を効率よく働かせるために、 例えば、 33—インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がェシエリヒア属菌の場合、 培養は通常約 15〜43°Cで約 3〜24時間 行い、 必要により、 通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、 培養は通常約 30〜40°Cで約 6〜24時間行い, 必、'要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 バークホ 一ルダー (Burkholder) 最小培地 〔Bostian, K. L. ら、 プロシージングズ *ォ ブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー■ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ユーエス ェ一 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 77巻, 4505 ( 1 980 )〕 や 0.5 % カザミノ酸を含有する SD培地 〔Bitter, G. A. ら、 プロシージングズ ·'ォブ - ザ ·ナショナル ·アカデミー 'ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ユーエスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 8 1巻, 5330 (1984) 〕 が挙げ られる。 培地の pHは約 5〜8に調整するのが好ましい。 培養は通常約 20°C〜 35°Cで約 24〜72時間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、 培地としては、 Grace's Insect Medium (Grace, T.C.C.,ネイチヤー (Nature) , 195, 788 (1962)) に非動化した 10 %ゥシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培 地の ρΗは約 6. 2〜6. 4に調整するのが好ましい。 培養は通常約 27°Cで約 3~5日間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 約 5 〜20 %の胎児牛血清を含む MEM培地 〔サイエンス (Science) , 122巻, 501 (1952)〕 , DMEM培地 〔ヴィロロジー (Virology) , 8巻, 396 (1959)〕 , RPM I 1640培地 〔ジャーナル ·ォブ ·ザ ·アメリカン . メティカル ·'アソシエーション (The Journal of the American Medical
Association) 199巻, 51 9 (1967)〕 , 199培地 〔プロシージング · ォブ.ザ.ソサイエティ .フォー'ザ.バイオロジカル.メディスン (Proceeding of the Society for the Biological Medicine) , 73巻, 1 (1950)〕 など が用いられる。 pHは約 6〜 8であるのが好ましい。 培養は通常約 30 °C〜 4 0°Cで約 15〜60時間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外に本発明のタン パク質を生成せしめることができる。
上記培養物から本発明のタンパク質を分離精製するには、 例えば、 下記の方法 により行なうことができる。
本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、 培養後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸濁し、 超音波、 リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊した のち、 遠心分離やろ過によりタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いら れる。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジンなどの蛋白質変性剤や、 トリトン X— 100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌 される場合には、 培養終了後、 それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清と を分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれるタンパク質の 精製は、 自体公知の分離 ·精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。 こ れらの公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用する 方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 'および SD S_ポリアクリルアミドゲ ル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換クロマトグ ラフィ一などの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティークロマトグラフィーな どの特異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水 性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法など 'が用いられる。
かくして得られるタンパク質が遊離体で得られた場合には、 自体公知の方法あ るいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、 逆に塩で得られた場 合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体または他の塩に
変換することができる。
なお、 組換え体が産生するタンパク質を、 精製前または精製後に適当な蛋白修 飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリぺプチドを部分的 に除去することもできる。 蛋白修飾酵素としては、 例えば、 トリプシン、 キモト リプシン、 アルギニルエンドべプチダーゼ、 プロテインキナ一ゼ、 グリコシダー ゼなどが用いられる。 '
かくして生成する本発明のタンパク質の存在は、 特異抗体を用いたェンザィム ィムノアッセ やウエスタンブロッテイングなどにより測定することができる。 本発明で用いられるタンパク質もレくは部分ペプチドまたはその塩に対する 抗体は、 本発明で用いられるタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩を認 識し得る抗体であれば、 ポリクロ一ナル抗体、 モノクローナル抗体の何れであつ てもよい。
本発明で用いられるタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩 (以下、 抗 体の説明においては、 これらを単に本発明のタンパク質と略記する場合がある) に対する抗体は、 本発明のタンパク質を抗原として用い、 自体公知の抗体または 抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクロ一ナル抗体の作製〕
( a ) モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のタンパク質は、 温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位に それ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を 高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投 与してもよい。 投与は通常 2〜6週毎に 1回ずつ、 計 2〜 1 0回程度行われる。 用いられる温血動物としては、 例えば、 サル、 ゥサギ、 ィヌ、 モルモット、 マウ ス、 ラット、 ヒッジ、 ャギ、 ニヮトリが挙げられるが、 マウスおよびラッ卜が好 ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原で免疫された温血動物、 例えばマウスから坊体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5日後に脾 臓またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動 物の骨髄腫細胸と融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリド一
マを調製することができる。 抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の標識化 タンパク質と抗血清とを反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性を測定す ることにより行なうことができる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケ一ラーと ミルスタインの方法 〔ネィチヤ一 (Nature) 256、 495 (1975)) に従い実施する ことができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエチレングリコール (PEG) やセンダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましくは P E Gが用いられる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 NS— 1、 P 3U1、 S P 2/0、 AP— 1な どの温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、 P 3U1が好ましく用いられる。 用 いられる抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1 〜20 : 1程度であり、 PEG (好ましくは PEG 1000〜PEG6000) が 1 0〜80 %程度の濃度で添加され、 20〜40 、 好ましくは 30〜 37 °C で 1〜 1 0分間ィンキュベ一トすることにより効率よく細胞融合を実施できる。 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が 使用できるが、 例えば、 タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた 固相 (例、 マイクロプレート) にハイプリドーマ培養上清を添加し、 次に放射性 物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体 (細胞融合に用いられる細胞が マウスの場合、 抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる) またはプロテイン A を加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、 抗免疫グロブリン 抗体またはプロティン Aを吸着させた固相にハイプリドーマ培養上清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、 固相に結合したモソクロ一 ナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、 自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行 なうことができる。 通常 HAT (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。 選別および育種用培地として は、 ハイプリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。 例 えば、 1〜20%、 好ましくは 10〜20 %の牛胎児血清を含む RPM Ϊ 16 40培地、 1〜10%の牛胎児血清を含む G I T培地 (和光純薬工業 (株) ) あ るいはハイプリドーマ培養用無血清培地 (S FM— 10 1、 日水製薬 (株) ) な どを用いることができる。 培養温度は、 通常 20〜40T:、 好ましくは約 37 :
である。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好ましくは 1週間〜 2週間である。 培 養は、 通常 5 %炭酸ガス下で行なうことができる。 ハイブリド一マ培養上清の抗 体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
( b ) モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、 自体公知の方法、 例えば、 免疫グロブリン の分離精製法 〔例、 塩析,法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿法、 電気泳動法、 ィ オン交換体 (例、 D E A E ) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲルろ過法、 抗原結合 固相あるいはプロテイン Aあるいはプロテイン Gなどの活性吸着剤により抗体 のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕 に従って行なうこと ができる。
〔ポリクロ一ナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、 それ自体公知あるいはそれに準じる方法に従 'つて製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (タンパク質坊原) 自体、 あるい はそれとキャリア一蛋白質との複合体をつくり、 上記のモノクローナル抗体の製 造法と同様に温血動物に免疫を行い、 該免疫動物から本発明のタンパク質に対す る抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行なうことにより '製造することがで きる。 ' 温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリア一蛋白質との複合 体に関し、 キヤリア一蛋白質の種類およびキヤリァ一とハプテンとの混合比は、 キヤリァ一に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、 ど の様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アルブミン ゃゥシサイログロブリン、 へモシァニン等を重量比でハプテン 1に対し、 約 0 . 1〜2 0、 好ましくは約 1〜 5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、 ハプテンとキャリア一の力プリングには、 種々の縮合剤を用いることが できるが、 グルタルアルデヒドやカルポジイミド、 マレイミド活性エステル、 チ オール基、 ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全 フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投
与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜10回程度行なわれる。
ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された温血動物の血液、 腹水など、 好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と 同様にして測定できる。 ポリクローナル抗体の分離精製は、 上記のモノクローナ ル抗体の分離精製と同様の免疫グロプリンの分離精製法に従って行なうことが できる。 '
本発明で用いられるタンパク質または部分ペプチドをコードするポリヌクレ ォチド (例、 DNA (以下、 アンチセンスポリヌクレオチドの説明においては、 これらの DNAを本発明の DNAと略記する場合がある) ) の塩基配列に相補的 な、 または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するアンチセンスポリ ヌクレオチドとしては、 本発明のポリヌクレオチド (例、 DNA) の塩基配列に 相補的な、 または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、 該 DNAの 発現を抑制し得る作用を有するものであれば、 いずれのアンチセンスポリヌクレ ォチドであってもよいが、 アンチセンス DN Aが好ましい。
本発明の DNAに実質的に相補的な塩基配列とは、 例えば、 本発明の DNAに 相補的な塩基配列 (即ち、 本発明の DNAの相補鎖) の全塩基配列あるいは部分 塩基配列と約 70 %以上、 好ましくは約 80%以上、 より好ましくは約 90 %以 上、, 最も好ましくは約 95%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。 特に、 本発明の DNAの相補鎖の全塩基配列うち、 (ィ) 翻訳阻害を指向したァ ンチセンスポリヌクレオチドの择合は、 本発明のタンパク質の N末端部位をコ一 ドする部分の塩基配列 (例えば、 開始コドン付近の塩基配列等) の相補鎖と約 7 0%以上、 好ましくは約 80%以上、 より好ましくは約 90%以上、 最も好まし くは約 95 %以上の相同性を有するアンチセンスポリヌクレオチドが、 (口) R N a s eHによる RNA分解を指向するアンチセンスポリヌクレオチドの場合 は、 イントロンを含む本発明の DNAの全塩基配列の相補鎖と約 70%以上、 好 ましくは約 80 %以上、 より好ましくは約 90 %以上、 最も好ましくは約 9 5 % 以上の相同性を有するアンチセンスポリヌクレオチドがそれぞれ好適である。 具体的には、 配列番号: 6または配列番号: 3 1で表わされる塩基配列を含有
する D N Aの塩基配列に相補的な、 もしぐは実質的に相補的な塩基配列、 または その一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド、 好ましくは例えば、 配列番 号: 6または配列番号: 3 1で表わされる塩基配列を含有する D N Aの塩基配列 に相補な塩基配列、 またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド (より好ましくは、 配列番号: 6または配列番号: 3 1で表わされる塩基配列を 含有する D N Aの塩基配列に相補な塩基配列、 またはその一部分を有するアンチ センスポリヌクレオチド) が挙げられる。 アンチセンスポリヌクレオチドとして は、 配列番号: 3、 配列番号: 2 6または配列番号: 2 8で表される塩基配列か らなるアンチセンスポリヌクレオチドが好ましく用いられる。
アンチセンスポリヌクレオチドは通常、 1 0〜4 0個程度、 好ましくは 1' 5〜 3 0個程度の塩基から構成される。
ヌグレァ一ゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、 アンチセンス D N
Aを構成する各ヌクレオチドのりん酸残基 (ホスフエ一ト) は、 例えば、 ホスホ ロチォエート、 メチルホスホネート、 ホスホロジチォネートなどの化学修飾りん 酸残基に置換されていてもよい。 また、 各ヌクレオチドの糖(デォキシリポース) は、 2 ' — O—メチル化などの化学修飾糖構造に置換されていてもよいし、 塩基 部分(ピリミジン、 プリン) も化学修飾を受けたものであってもよく、配列番号: 6または配列番号: 3 0で表わされる塩基配列を有する D N Aにハイブリダィズ するものであればいずれのものでもよい。 これらのアンチセンスポリヌクレオチ ドは、 公知の D N A合成装置などを用いて製造することができる。
本発明に従えば、 本発明のタンパク質遺伝子の複製または発現を阻害すること のできるアンチセンスポリヌクレオチド (核酸) を、 クローン化した、 あるいは 決定されたタンパク質をコードする D N Aの塩基配列情報に基づき設計し、 合成 しうる。 かかるポリヌクレオチド (核酸) は、 本発明のタンパク質遺伝子の R N Aとハイブリダィズすることができ、 該 R N Aの合成または機能を阻害すること ができるか、 あるいは本発明のタンパク質関連 R N Aとの相互作用を介して本発 明のタンパク質遺伝子の発現を調節 ·制御することができる。 本発明のタンパク 質関連 R N Aの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、 および本発明の夕 ンパク質関連 R N Aと特異的にハイブリダィズすることができるポリヌクレオ
チドは、 生体内および生体外で本発明のタンパク質遺伝子の発現を調節 ·制御す るのに有用であり、 また病気などの治療または診断に有用である。 用語 「対応す る」 とは、 遺伝子を含めたヌクレオチド、 塩基配列または核酸の特定の配列に相 同性を有するあるいは相補的であることを意味する。 ヌクレオチド、 塩基配列ま たは核酸とペプチド (蛋白質) との間で 「対応する'」 とは、 ヌクレオチド (核酸) の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプチド (蛋白質) のァミノ 酸を通常指している。 タンパク質遺伝子の 5 ' 端ヘアピンループ、 5 ' 端 6—べ 一スペア ' リピート、 5 ' 端非翻訳領域、 ポリペプチド翻訳開始コドン、 蛋白質 コード領域、 O R F翻訳終止コドン、 3 ' 端非翻訳領域、 3 ' 端パリンドローム 領域、 および 3 ' 端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、 夕 ンパク質遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
目的核酸と、 対象領域の少なくとも一部に相補的でハイプリダイズすることが できるポリヌクレオチドとの関係は、 「アンチセンス」 であるということができ る。 アンチセンスポリリポヌクレオチドは、 2ーデォキシー D—リポースを含有 しているポリデォキシリポヌクレオチド、 D—リポースを含有しているポリヌク レオチド、 プリンまたはピリミジン塩基の N—グリコシドであるその他のタイプ のポリヌクレオチド、 あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマ一
(例えば、 市販の蛋白質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー) または特殊 な結合を含有するその他のポリマー (但し、 該ポリマ一は D N Aや R N A中に見 出されるような塩基のペアリングゃ塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオ チドを含有する) などが挙げられる。 それらは、 2本鎖 D N A、 . 1本鎖 D N A、 2本鎖 R N A、 1本鎖 R N A、 さらに D N A: R N Aハイブリッドであることが でき、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾オリゴヌクレオチド) 、 さ らには公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野で知られた標識のあるもの、 キャップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個以上の天然のヌクレオチドを 類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、 例えば非荷電結 合 (例えば、 メチルホスホネート、 ホスホトリエステル、 ホスホルアミデート、 力ルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、 ホスホロチォエート、ホスホロジチォェ一トなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌ
クレアーゼ、 ヌクレア一ゼ ·インヒビ夕一、 トキシン、抗体、 シグナルペプチド、 ポリ一 L—リジンなど) や糖 (例えば、 モノサッカライドなど) などの側鎖基を 有しているもの、 インタ一カレント化合物 (例えば、 ァクリジン、 ソラレンなど) を持つもの、 キレ一卜化合物 (例えば、 金属、 放射活性をもつ金属、 ホウ素 > 酸 化性の金属など) を含有するもの、 アルキル化剤を含有するもの、 修飾された結 合を持つもの (例えば、 ひァノマ一型の核酸など) であってもよい。 ここで 「ヌ クレオシド」 、 「ヌクレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおよびピリミジン 塩基を含有するのみでなく、 修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなもの を含んでいて良い。 こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、 ァシル化されたプリンおよびピリミジン、 あるいはその他の複素環を含むもので あってよい。 修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部 分が修飾されていてよく、 例えば、 1個以上の水酸基がハロゲンとか、 脂肪族基 などで置換されていたり、 あるいはエーテル、 ァミンなどの官能基に変換されて いてよい。
本発明のアンチセンス ·ポリヌクレオチド (核酸) は、 R N A、 D N A、 ある いは修飾された核酸 (R N A、 D N A) である。 修飾された核酸の具体例として は核酸の硫黄誘導体ゃチォホスフェート誘導体、 そしてポリヌクレオシドアミド やオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、 それに限定 されるものではない。 本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設 計されうる。 すなわち、 細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、 目標とするセンス鎖に対する親和 性をより大きなものにする、 そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性 をより小さなものにする。
こうした修飾は当該分野で数多く知られており、 例えば J . Kawakami e t al ., Pharm Tech Japan, Vo l . 8, pp. 247, 1992 ; Vo l . 8, pp. 395, 1992 ; S. T. Crooke e t al . ed. , Ant i sense Research and App l i cat i ons, CRC Press, 1993 などに 開示がある。
' 本発明のアンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結 合を含有していて良く、 リボゾーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で供与
されたり、 遺伝子治療により適用されたり、 付加された形態で与えられることが できうる。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格の電荷を 中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、 細胞膜との相互作用を 高めたり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例えば、 ホスホリピド、 コ レステロールなど) といった疎水性のものが挙げられる。 付加するに好ましい脂 質としては、 コレステロールやその誘導体 (例えば、 コレステリルクロ口ホルメ ート、 コール酸など) が挙げられる。 こうしたものは、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に付着させることができ、 塩基、 糖、 分子内ヌクレオシド結合を介して付着さ せることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に特異 的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレアーゼ、 R N a s eなどのヌク レアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。 こうしたキャップ用の 基としては、 ポリエチレングリコール、 テトラエチレングリコ一ルなどのグリコ —ルをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、 それに 限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、 本発明の形質転換体、 本発明の生体内や生体 外の遺伝子発現系、 あるいは本発明のタンパク質の生体内や生体外の翻訳系を用 いて調べることができる。 該核酸それ自体公知の各種の方法で細胞に適用できる 以下に、 本発明のタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩 (以下、 本発 明のタンパク質と略記する場合がある) 、 本発明のタンパク質または部分べプチ ドをコードする D N A (以下、 本発明の D N Aと略記する場合がある) 、 本発明 のタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩に対する抗体 (以下、 本発明の 抗体と略記する場合がある) 、 および本発明の D N Aのアンチセンスポリヌクレ ォチド (以下、 本発明のアンチセンスポリヌクレオチドと略記する場合がある) の用途を説明する。 ,
本発明のタンパク質は、 癌組織で発現が増加するので、 腫瘍マ一カーとして利 用することが出来る。 すなわち、 癌組織における早期診断、 病巣の進展度の推定 のためのマ一力一として有用である。 よって、 本発明のタンパク質をコードする 遺伝子のアンチセンスポリヌクレオ ド、 本発明のタンパク質の活性を阻害する 化合物もしくはその塩または本発明のタンパク質に対する抗体を含有する医薬
は、 例えば、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液 腫瘍などの癌(好ましくは、滕臓癌など) の治療 ·予防剤、 アポトーシス誘導(ま たは促進) 剤、 プロテアーゼ阻害剤 (本明細書では、 プロテアーゼ阻害活性を有 する化合物またはその塩自体を、 プロテア一ゼ阻害剤と称することがある。 ) と して使用することができる。
また、 本発明のタンパク質の遺伝子は、 正常組織での発現が低く、 癌組織、 特 に塍臓癌組織での発現が高いことから、 アポト一シス抑制の生理機能の阻害に基 づく薬剤を想定した場合、 正常組織での薬理作用が低い、 すなわち副作用の少な い薬効を示す癌の予防 ·治療剤の開発が可能になる。
' ( 1 ) 疾病に対する医薬候補化合物のスクリーニング
本発明のタンパク質は癌組織で発現が増加しており、 さらに、 本発明のタンパ ク質の活性を阻害するとプロテアーゼ活性が阻害される。 また、 本発明のタンパ ク質の活性を阻害すると癌細胞がアポトーシスを誘導する。 従って、 本発明の夕 ンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩は、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精 巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 塍臓癌 など) の治療 ·予防剤として使用することができる。 また、 本発明のタンパク質 の活性を阻害する化合物またはその塩は、 例えば、 プロテアーゼ阻害剤、 アポト 一シス誘導 (または促進) 剤などとして使用することもできる。 また、 本発明の タンパク質のプロテア一ゼ活性を阻害することにより、 慢性関節リュウマチ、 変 形性関節症、 心筋梗塞、 動脈硬化症などの治療 ·予防剤として使用することもで き、 本発明のタンパク質のプロテアーゼ活性を阻害することにより、 神経変性疾 患 (アルツハイマー病など) などの治療 '予防剤として使用することもできる。
したがって、 本発明のタンパク質は、 本発明のタンパク質の活性 (例えば、 プ 口テアーゼ活性、 アポトーシス抑制活性など) を阻害する化合物またはその塩の スクリーニングのための試薬として有用であり、 かつそのスクリーニング方法を 提供する。
より具体的には、 例えば、 (i ) 本発明のタンパク質を産生する能力を有する
細胞のアポト一シス抑制活性と、 (i i).本発明のタンパク質を産生する能力を有 する細胞と試験化合物の混合物のアポトーシス抑制活性とを比較することを特 徴する本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩のスクリー二 ング方法; (i i i) 本発明のタンパク質のプロテアーゼ活性と、 ( iv) 本発明の タンパク質と試験化合物の混合物のプロテアーゼ活性とを比較することを特徴 する本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩のスクリ一ニン グ方法;などが用いられる。
本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞としては、 例えば、 前述した 本発明のタンパク質をコ一ドする D N Aを含有するべクタ一で形質転換された 宿主 (形質転換体) が用いられる。 宿主としては、 例えば、 C O S 7細胞、 C H 〇細胞、 H E K 2 9 3細胞などの動物細胞が好ましく用いられる。 該スクリー二 ングには、 例えば、 前述の方法で培養することによって、 本発明のタンパク質を 細胞内あるいは細胞外に発現させた形質転換体が好ましく用いられる。 本発明の タンパク質を発現し得る細胞の培養方法は、 前記した本発明の形質変換体の培養 法と同様である。
試験化合物としては、 例えばペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合 成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液などがあげら れる。
例えば、 上記 (i i) の塲合におけるアポトーシス抑制活性を、 上記 (i) の場 合に比べて、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以 上阻害させる試験化合物を、 本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物として 選択することができる。
また、 例えば、 上記 ( i i i) の場合におけるプロテア一ゼ活性を、 上記 (V) の 場合に比べて、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 % 以上阻害させる試験化合物を、 本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物とし て選択することができる。
本発明のタンパク質の活性を阻害する活性を有する化合物は、 本発明のタンパ ク質の生理活性を抑制するための 全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ
る化合物またはその塩は、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿など から選ばれた化合物である。 該化合物の塩としては、 前記した本発明のペプチド の塩と同様のものが用いられる。
さらに、本発明のタンパク質の遺伝子も、癌組織において発現が増加するので、 本発明のタンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩も、 例えば乳 癌、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍など の癌 (好ましくは、 塍臓癌など) の治療 ·予防剤として使用することができる。 また、 本発明のタンパク質をコードする遺伝子の発現を阻害する化合物またはそ の塩は、 例えば、 プロテアーゼ阻害剤、 アポトーシス誘導 (または促進) 剤など として使用することもできる。 ' ·
したがって、 本発明のポリヌクレオチド (例、 D N A) は、 本発明のタンパク 質の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのための試 薬として有用である。
スクリーニング方法としては、 ( 本発明のタンパク質を産生する能力を有 する細胞を培養した場合と、 (vi) 試験化合物の存在下、 本発明で用いられる夕 ンパク質を産生する能力を有する細胞を培養した場合との比較を行うことを特 徵とするスクリーニング方法が挙げられる。
上記方法において、 (V) と (vi) の場合における、 前記遺伝子の発現量 (具 体的には、 本発明のタンパク質量または前記タンパク質をコ一ドする m R N A 量) を測定して、 比較する。 、
試験化合物および本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞としては、 上記と同様のものが挙げられる。
' タンパク質量の測定は、 公知の方法、 例えば、 本発明のタンパク質を認識する 抗体を用いて、細胞抽出液中などに存在する前記タンパク質を、 ウェスタン解析、 E L I S A法などの方法またはそれに準じる方法に従い測定することができる。
m R N A量の測定は、 公知の方法、 例えば、 プローブとして配列番号: 6、 配 列番号: 3 1またはその一部を含有する核酸を用いるノーザンハイブリダィゼー
シヨン、 あるいはプライマ一として配列番号: 6、 配列番号: 3 1またはその一 部を含有する核酸を用いる P C R法またはそれに準じる方法に従い測定するこ とができる。
例えば、 上記 (V) の場合における遺伝子の発現を、 上記 (vi) の場合に比べ て、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %.以上、 より好ましくは約 5 0 %以上阻害さ せる試験化合物を、 本発明のタンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物として 選択することができる。
本発明のスクリーニング用キットは、 本発明で用いられるタンパク質もしくは 部分ペプチドまたはその塩、 または本発明で用いられるタンパク質もしくは部分 ペプチドを産生する能力を有する細胞を含有するものである。
本発明のスクリ一ニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ る化合物またはその塩は、 上記した 験化合物、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物 組織抽出液、 血漿などから選ばれた化合物またはその塩であり、 本発明のタンパ ク質の活性 (例、 アポト一シス抑制活性など) を阻害する化合物またはその塩、 本発明のタンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩である。
該化合物の塩としては、 前記した本発明のタンパク質の塩と同様のものが用い られる。
本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩、 および本発明の夕 ンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩はそれぞれ、 例えば大腸 癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀 胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好 ましくは、 塍臓癌など) の治療 ·予防剤として、 またはプロテアーゼ阻害剤、 ァ ポト一シス誘導 (または促進) 剤などとして有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ る化合物またはその塩を上述の治療 ·予防剤として使用する場合、 常套手段に従 つて製剤化することができる。
例えば、 経口投与のための組成物としては、 固体または液体の剤形、 具体的に は錠剤 (糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む) 、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 カブ
セル剤 (ソフトカプセル剤を含む) 、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤などがあげられ る。 かかる組成物は自体公知の方法によって製造され、 製剤分野において通常用 いられる担体、 希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。 例えば、 錠剤用の 担体、 賦形剤としては、 乳糖、 でんぷん、 蔗糖、 ステアリン酸マグネシウムなど が用いられる。
非経口投与のための組成物としては、 例えば、 注射剤、 坐剤などが用いられ、 注射剤は静脈注射剤、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉注射剤、 点滴注射剤、 関節 内注射剤などの剤形を包含する。 かかる注射剤は、 自体公知の方法に従って、 例 えば、 上記化合物またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油 性液に溶解、 懸濁または乳化することによって調製する。 注射用の水性液として は、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いら れ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコー ル (例、 プロピレングリコール、 ポリエチレングリコール) 、 非イオン界面活性 剤 〔例、 ポリソルべ一ト 8 0、 H C O— 5 0 (polyoxyeihylene ( 5 O mo l) adduc i of hydrogenated cas tor oi l) 〕 などと併用してもよい。 油性液としては、 例 えば、 ゴマ油、 大豆油などが用いられ、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ベ ンジルアルコールなどを併用してもよい。 調製された注射液は、 通常、 適当なァ ンプルに充填される。 直腸投与に用いられる坐剤は、 上記化合物またはその塩を 通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、,活性成分の投与量に適合するよう な投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。 かかる投薬単位の剤形とし ては、 錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 注射剤 (アンプル) 、 坐剤などが例示され、 そ れぞれの投薬単位剤形当たり通常 5〜 5 0 0 m g、 とりわけ注射剤では 5 ~ 1 0 0 m g、 その他の剤形では 1 0〜2 5 O m gの上記化合物が含有されていること が好ましい。
なお前記した各組成物は、 上記化合物との配合により好ましくない相互作用を 生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまたは 温血動物 (例えば、 マウス、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ゥマ、 トリ、
ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど) に対して経口的にまたは非経口的に投与 することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 その作用、 対象疾患、 投与対象、 投与ルー トなどにより差異はあるが、 例えば、 塍臓癌の治療の目的で本発明のタンパク質 の活性を阻害する化合物またはその塩を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 k gとして) においては、 一日につき該化合物またばその塩を約 0. 1〜丄 0 Omg、 好ましくは約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜20mg 投与する。 非経口的に投与する場合は、 該化合物またはその塩の 1回投与量は投 与対象、 対象疾患などによっても異なるが、 例えば、 塍臓癌の治療の目的で本発 明のタンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩を注射剤の形で通常成人 (体重 60 k gとして) に投与する場合、'一日につき該化合物またはその塩を約 0. 0 1〜3 Omg程度、 好ましくは約 0: 1〜2 Omg程度、 より好ましくは 約 0. l〜10mg程度を癌病変部に注射により投与するのが好都合である。 他 の動物の場合も、 体重 60 k g当たりに換算した量を投与することができる。 (2) 本発明のタンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩の定量
本発明のタンパク質に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある) は、 本発明のタンパク質を特異的に認識することができるので、 被検液中の本発 明のタンパク質の定量、 特にサンドィツチ免疫測定法による定量などに使用する ことができる。 ·
すなわち、 本発明は、
-( i ) 本発明の抗体と、 被検波および標識化された本発明のタンパク質とを競合 的に反応させ、 該抗体に結合した標識化された本発明のタンパク質の割合を測定 することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質の定量法、 および
(ii) 被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別 の抗体とを同時あるいは連続的に反応させた後、 不溶化担体上の標識剤の活性を 測定することを特徴とする被検液中の本発明のタ パク質の定量法を提供する。 上記 (ii) の定量法においては、 一方の抗体が本発明のタンパク質の N端部を 認識する抗体で、 他方の抗体が本発明のタンパク質の C端部に反応する抗体であ ることが望ましい。
また、 本発明のタンパク質に対するモノクローナル抗体 (以下、 本発明のモノ クローナル抗体と称する場合がある) を用いて本発明のタンパク質の定量を行な えるほか、 組織染色等による検出を行なうこともできる。 これらの目的には、 抗 体分子そのものを用いてもよく、 また、 抗体分子の F ( a b ' ) 2 、 F a b '、 ある いは F a b画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明のタンパク質の定量法は、 特に制限されるべきも のではなく、 被測定液中の抗原量 (例えば、 タンパク質量) に対応した抗体、 抗 原もしくは抗体ー坊原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、 これ を既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法で あれば、 いずれの測定法を用いてもよい。 例えば、 ネフロメトリー、 競合法、 ィ ムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、 感度、 特異性の 点で、 後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位元 素、 酵素、 蛍光物質、 発光物質などが用いられる。 放射性同位元素としては、 例 えば、 〔1 2 5 I〕 、 〔1 3 1 I〕 、 〔3 H〕 、 〔1 4 C〕 などが用いられる。 上記酵素 としては、 安定で比活性の大きなものが好ましく、 例えば、 ]3—ガラクトシダー ゼ、 |8—ダルコシダ一ゼ、 アル力リフォスファタ一ゼ、 パーォキシダーゼ、 リン ゴ酸脱水素酵素などが用いられる。 蛍光物質としては、 例えば、 フルォレスカミ ン、 フルォレツセンイソチオシァネートなどが用いられる。 発光物質としては、 例えば、 ルミノール、 ルミノール誘導体、 リレシフェリン、 ルシゲニンなどが用い られる。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識剤との結合にピオチン一アビジン系を 用いることもできる。
抗康あるいは抗体の不溶化に当っては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常タ ンパク質あるいは酵素等を不溶化、 固定化するのに用いられる化学結合を用いる 方法でもよい。 担体としては、 ァガ口一ス、 デキストラン、 セルロースなどの不 溶性多糖類、 ポリスチレン、 ポリアクリルアミド、 シリコン等の合成樹脂、 ある いはガラス等が挙げられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液 を反応させ (1次反応) 、 さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を
反応させ (2次反応) たのち、 不溶化担体上の標識剤の活性を測定することによ り被検液中の本発明のタンパク質量を定量することができる。 1次反応と 2次反 応は逆の順序に行っても、 また、 同時に行なってもよいし時間をずらして行なつ てもよい。 標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。 また、 サンドイッチ法による免疫測定法において、 固相用抗体あるいは標識用抗 体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要はなく、 測定感度を向上させる 等の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイツチ法による本発明の夕ンパク質の測定法においては、 1次 反応と 2次反応に用いられる本発明のモノクロ一ナル抗体は、 本発明のタンパク 質の結合する部位が相異なる坊体が好ましく用いられる。 すなわち、 1次反応お よび 2次反応に用いられる抗体は、 例えば、 2次反応で用いられる抗体が、 本発 明のタンパク質の C端部を認識する場合、 1次反応で用いられる抗体は、 好まし くは C端部以外、 例えば N端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクロ一ナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、 例えば、 競合法、 ィムノメトリック法あるいはネフロメトリ一などに用いることができる。 競合法では、 被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させた のち、 未反応の標識抗原(F ) と、 抗体と結合した標識抗原 (B ) とを分離し (B / F分離) 、 B, Fいずれかの標識量を測定し、 被検液中の抗原量を定量する。 本反応法には、 抗体として可溶性抗体を用い、 B Z F分離をポリエチレングリコ ール、 前記抗体に対する第 2抗体などを用いる液相法、 および、 第 1抗体として 固相化抗体を用いるか、 あるいは、 第 1抗体は可溶性のものを用い第 2抗体とし て固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。 ' ィムノメトリック法では、 被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗 体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、 あるいは、 被検液中の抗 原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、 次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗 体を固相に結合させたのち、 固相と液相を分離する。 次に、 いずれかの相の標識 量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、 ネフロメトリ一では、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じ た不溶性の沈降物の量を測定する。 被検液中の抗原量が僅かであり、 少量の沈降
物しか得られない場合にもレーザ一の散乱を利用するレーザ一ネフロメトリー などが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、 特 別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、 操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパク質の測定系を構 . 築すればよい,。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書などを 参照することができる。
例えば、 入江 寛編 「ラジオィムノアツセィ」 - (講談社、 昭和 49年発行) 、 入江 寛編 「続ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 54年発行) 、 石川栄治 ら編 「酵素免疫測定法」 (医学書院、 昭和 53年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免 疫測定法」 (第 2版) (医学書院、 昭和 57年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫 測定法」 (第 3版) (医学書院、 昭和 62年発行) 、 「Methods in ENZYMOLOGYj Vol. 70 (Immunochemical Techniques (Part A))、 同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B))、 同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C))、 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods)) ^ 同書 Vol. 121 (Immunochemical
Techniques (Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies)) (以上、 アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、 本発明の抗体を用いることによって、 本発明のタンパク質 を感度良く定量することができる。
さらには、 本発明の抗体を用いて本発明のタンパク質の濃度を定量することに よって、 本発明のタンパク質の濃度の増加が検出された場合、 例えば大腸癌、 乳 癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌である、 ま たは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、 本発明の抗体は、 体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタンパ ク質を検出するために使用することができる。 また、 本発明のタンパク質を精製 するために使用する抗体カラムの作製、 精製時の各分画中の本発明のタンパク質
の検出、 被検細胞内における本発明のタンパク質の挙動の分析などのために使用 することができる。
(3) 遺伝子診断薬
本発明の DNAは、 例えば、 プローブとして使用することにより、 ヒトまたは 温血動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 トリ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど) における本発明のタンパク 質またはその部分ペプチドをコ一ドする DNAまたは mRNAの異常 (遺伝子異 常) を検出することができるので、 例えば、 該 DN Aまたは mRNAの損傷、 突 然変異あるいは発現低下や、 該 DN Aまたは mRNAの増加あるいは発現過多な どの遺伝子診断薬として有用である。
本発明の DNAを用いる上記の遺伝子診断は、 例えば、 自体公知のノーザン八 イブリダィゼ一シヨンや P CR— S S C P法 (ゲノミックス (Genomics) , 第 5 巻, 874〜 879頁 (1989年) 、 プロシ一ジングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナ ル■アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ユーエスェ一 (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) , 第 8 6巻, 2766〜 2770頁(1 989年))などにより実施することができる。 例えば、 ノーザン八イブリダイゼーシヨンにより発現増加が検出された場合や PCR— S SCP法により D N Aの突然変異が検出された場合は、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌である可能 性が高いと診断することができる。
(4) アンチセンスポリヌクレオチドを含有する医薬
本発明の DN Aに相補的に結合し、 該 DN Aの発現を抑制することができる本 発明のアンチセンスポリヌクレオチドは低毒性であり、 生体内における本発明の タンパク質または本発明の DNAの機能 (例、 アポトーシス抑制活性など) を抑 制することができるので、 例えば大腸癌、 乳癌、肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 塍臓癌など) の治療 ·予防剤とし て使用することができる。 また、 本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは例え
ば、 アポトーシス誘導 (または促進) 剤、 プロテア一ゼ阻害剤などとして使用す ることもできる。 '
上記アンチセンスポリヌクレオチドを上記の治療 ·予防剤、 誘導 (または促進) 剤、 阻害剤などとして使用する場合、 自体公知の方法に従って製剤化し、 投与す ることができる。
また、 例えば、 前記のアンチセンスポリヌクレオチドを単独あるいはレトロゥ ィルスべクタ一、 アデノウイルスベクター、 アデノウイルスァソシェ一テツドウ . ィルスべクタ一などの適当なベクタ一に挿入した後、 常套手段に従って、 ヒトま たは哺乳動物 (例、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルな ど) に対して経口的または非経口的に投与することができる。 該アンチセンスポ リヌクレオチドは、 そのままで、 あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学 的に認められる担体とともに製剤化し、 遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのよ うなカテーテルによって投与できる。 あるいは、 エア口ゾル化して吸入剤として 気管内に局所投与することもできる。
さらに、 体内動態の改良、 半減期の長期化、 細胞内取り込み効率の改善を目的 に、 前記のアンチセンスポリヌクレオチドを単独またはリポゾ一ムなどの担体と ともに製剤 (注射剤) 化し、 静脈、 皮下等に投与してもよい。
該アンチセンスポリヌクレオチドの投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルー トなどにより差異はあるが、 例えば、 塍臓癌の治療の目的で本発明のアンチセン スポリヌクレオチドを投 する場合、一般的に成人(体重 6 0 k g )においては、 一日につき該アンチセンスポリヌクレオチドを約 0 . 1〜 1 0 O m g投与する。 さらに、 該アンチセンスポリヌクレオチドは、 組織や細胞における本発明の D N Aの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブ として使用することもできる。
上記アンチセンスポリヌクレオチドと同様に、 本発明のタンパク質をコードす る R N Aの一部を含有する二重鎖 R.N A (本発明のポリヌクレオチドに対する s - 1 R N A) 、 本発明のタンパク質をコードする R N Aの一部を含有するリボザィ ムなども、 本発明の遺伝子の発現を抑制することができ、 生体内における本発明 で用いられるタンパク質または': Φ:発明で用いられる D Ν Αの機能を抑制するこ
とができるので、 例えば、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 滕臓癌など) の予防 '治療剤、 ァ ポトーシス誘導 (または促進) 剤、 プロテア一ゼ阻害剤などとして使用すること ができる。
二重鎖 R N Aは、 公知の方法 (例、 Nature, 411巻, 494頁, 2001年) に準じて、 本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。
リボザィムは、 公知の方法 (例、 TRENDS in Mo lecul ar Medi c ine, 7巻, 221頁, 2001年) に準じて、 本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造するこ とができる。 例えば、 本発明のタンパク質をコードする R N Aの一部に公知のリ ポザィムを連結することによって製造することができる。 本発明のタンパク質を' コードする R N Aの一部としては、 公知のリポザィムによって切断され得る本発 明の R N A上の切断部位に近接した部分 (R N A断片) が挙げられる。
上記の二重鎖 R N Aまたはリポザィムを上記予防 ·治療剤、 誘導(または促進) 剤、 阻害剤として使用する場合、 アンチセンスポリヌクレオチドと同様にして製 剤化し、 投与することができる。
( 5 ) 本発明の抗体を含有する医薬
本発明の抗体は、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓 癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫 瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 滕臓癌など) の予防 ·治療剤 (例、 ヮ クチンなど) として使用することができる。 又 本発明の抗体は、 例えば、 アポ トーシス誘導(又は促進)剤、プロテアーゼ阻害剤として使用することもできる。 本発明の抗体を含有する上記疾患の治療 ·予防剤、 誘導 (または促進) 剤、 阻 害剤は低毒性であり、 そのまま液剤として、 または適当な剤型の医薬組成物とし て、 ヒトまたは哺乳動物 (例、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィ ヌ、 サルなど) に対して経口的または非経口的 (例、 血管内投与、 皮下投与など) に投与することができる。 好ましくはワクチンとして定法に従って投与すること ができる。
本発明の抗体は、 それ自体を投与しても良いし、 または適当な医薬組成物とし
て投与しても良い。 投与に用いられる医薬組成物としては、 本発明の抗体および その塩と薬理学的に許容され得る担体、 希釈剤もしくは賦形剤とを含むものであ つても良い。 このような医薬組成物は、 経口または非経口投与に適する剤形とし て提供される。
非経口投与のための組成物としては、 例えば、 注射剤、 坐剤、 ワクチン等が用 いられ、 注射剤は静脈注射剤、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉注射剤、 点滴注射 剤等の剤形を包含しても良い。 このような注射剤は、 公知の方法に従って調整で きる。 注射剤の調整方法としては、 例えば、 上記本 明の抗体またはその塩を通 常注射剤に用いられる無菌の水性液、 または油性液に溶解、 懸濁または乳化する ことによって調製できる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブド ゥ糖やその他の補助薬を含む等張液等が用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレングリコール、 ポリエチレングリコール) 、 非イオン界面活性剤 〔例、 ポリソルベート 8 0、 H C O— 5 0 ( olyoxyethylene ( 5 0 mol) adduct of hydrogenated cas tor o i l) 〕 等と併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油等が用いられ、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコール等を併用してもよい。 調製された注射液は、 適当なアンプルに充填されることが好ましい。 直腸投与に 用いられる坐剤は、 上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することに よって調製されても良い。
経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖 衣錠、 フィルムコ一ティング錠を含む) 、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 カプセル剤 (ソ フトカプセル剤を含む) 、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤等が挙げられる。 このよう な組成物は公知の方法によって製造され、 製剤分野において通常用いられる担体、 希釈剤もしくは賦形剤を含有していても良い。 錠剤用の担体、 賦形剤としては、 例えば、 乳糖、 でんぷん、 蔗糖、 ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
上記の非経口用または経口用医薬組成物は、 活性成分の投与量に適合するよう な投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。 このような投薬単位の剤形 としては、 例えば、 錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 注射剤 (アンプル) 、 坐剤が挙げ られる。 抗体の含有量としては、 投薬単位剤形当たり通常 5〜5 0 O m g程度、
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. 52 とりわけ注射剤では 5〜1 0 Omg程度、 その他の剤形では 10〜250mg程 度の上記抗体が含有されていることが好ましい。
本発明の抗体を含有する上記予防,治療剤、 誘導剤、 阻害剤の投与量は、 投与 対象、 対象疾患、 症状、 投与ルートなどによっても異なるが、 例えば、 成人の塍 臓癌の治療 '予防のために使用する塲合には、 本発明の抗体を 1回量として'、 通 常 0.01〜2 Omg/ k g体重程度、 好ましくは 0.1〜1 Omg/ k g体重程 度、 さらに好ましくは 0. l SmgZk g体童程度を、 1日 1〜5回程度、 好 ましくは 1日 1〜3回程度、 静脈注射により投与するのが好都合である。 他の非 経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。 症状 が特に重い場合には、 その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、 それ自体または適当な医薬組成物として投与することができ る。 上記投与に用いられる医薬組成物は、 上記抗体またはその塩と薬理学的に許 容され得る担体、 希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。 かかる組成物は、 経口または非経口投与 (例、 血管内注射、 皮下注射など) に適する剤形として提 供される。 '
なお前記した各組成物は、 上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生 じない限り他の活性成分を含有してもよい。 .
(6) 本発明の 「HTR A 3の活性阻害作角を有する化合物またはその塩を含有 してなるアポト一シス誘導剤」 および 「HTR A 3の発現阻害作用を有する化合 物またはその塩を含有してなるアポトーシス誘導剤」 ;ならびに 「HTRA3の 活性阻害作用を有する化合物またはその塩を含有してなるプロテア一ゼ阻害剤」 · および.「HTRA 3の発現阻害作用を有する化合物またはその塩を含有してなる プロテア一ゼ阻害剤」 について
「HTR A 3の活性阻害作用を有する化合物」 は、 HTR A 3の活性阻害作用 を有する化合物であればいかなるものでもよく、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前 立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣 癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 脬臓癌な ど) の予防 ·治療剤として用いられる。
「HTRA 3の発現阻害作用を有する化合物」 は、 HTR A 3の発現阻害作用
を有する化合物であればいかなるものでもよく、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前 立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣 癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 滕臓癌な ど) の予防 ·治療剤として用いられる。
該予防 ·治療剤は、 上記と同様にして製造される。
(7) DNA転移動物
本発明は、 外来性の本発明のタンパク質をコードする DN A (以下、 本発明の 外来性 DN Aと略記する) またはその変異 DN A (本発明の外来性変異 DNAと 略記する場合がある) を有する非ヒト哺乳動物を提供する。 ' すなわち、 本発明は、
(1) 本発明の外来性 DN Aまたはその変異 DN Aを有する非ヒト哺乳動物、
(2) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1)記載の動物、
- (3) ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第 (2) 記載の動物、 および
(4) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを含有し、 哺乳動物において 発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒ卜哺乳動物 (以下、 本発明の DNA転移動物と略記する) は、 未受精卵、 受精卵、 精子およびその始 原細胞を含む胚芽細胞などに対して、 好ましくは、 非ヒト哺乳動物の発生におけ る胚発生の段階 (さらに好ましくは、 単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般 に 8細胞期以前)に、 リン酸カルシウム法、電気パルス法、 リポフエクシヨン法、 凝集法、 マイクロインジェクション法、 パーティクルガン法、 DEAE—デキス トラン法などにより目的とする DNAを転移することによって作出することが • できる。 また、 該 DN A転移方法により、 体細胞、 生体の臓器、 組織細胞などに 目的とする本発明の外来性 DNAを転移し、 細胞培養、 組織培養などに利用する とともでき、 さらに、 これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法によ り融合させることにより本発明の D N A転移動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、 例えば、 ゥシ、 ブ夕、 ヒッジ、 ャギ、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 八ムスター、 マウス、 ラットなどが用いられる。 なかでも、 病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、 ま
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'た、 繁殖が容易なゲッ歯動物、 とりわけマウス (例えば、 純系として、 C 57 B LZ6系統, DBA 2系統など、交雑系として、 B 6 C 3 系統, BDFi系統, B GD S Fi系統, BALB/c系統, I CR系統など) またはラット (例えば、 W i s t a r, SDなど) などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける 「哺乳動物」 としては、 上記の非ヒト哺乳動物の他にヒ卜などがあげられる。
本発明の外来性 DNAとは、 非ヒ卜哺乳動物が本来有している本発明の DNA ではなく、 いったん哺乳動物から単離 ·抽出された本発明の DN Aをいう。
本発明の変異 DNAとしては、元の本発明の DNAの塩基配列に変異(例えば、 突然変異など) が生じたもの、 具体的には、 塩基の付加、 欠損、 他の塩基への置 換などが生じた DNAなどが用いられ、 また、 異常 DNAも含まれる。
該異常 DN Aとしては、 異常な本発明のタンパク質を発現させる DN Aを意味 し、 例えば、 正常な本発明のタンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させ る DNAなどが用いられる。
本発明の外来性 DNAは、 '対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳 動物由来のものであってもよい。 本発明の DN Aを対象動物に転移させるにあた つては、 該 DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した DN Aコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。 例えば、 本発明のヒト D N Aを転移させる場合、 これと相同性が高い本発明の DN Aを有する各種哺乳動 物 (例えば、 ゥ'サギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスな ど) 由来の DNAを発現させうる各種プロモ 夕一の下流に、'本発明のヒト DN Aを結合した DNAコンストラクト (例、 ベクタ一など) を対象哺乳動物の受精 卵、 例えば、 マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明 の DN Aを高発現する DN A転移哺乳動物を作出することができる。
本発明のタンパク質の発現ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミド、 枯草 菌由来のプラスミド、 酵母由来のプラスミド、 λファージなどのバクテリオファ ージ、 モロニ一白血病ウィルスなどのレトロウイルス、 ワクシニアウィルスまた はバキュロウィルスなどの動物ウィルスなどが用いられる。 なかでも、 大腸菌由 来のプラスミド、 枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好
ましく用いられる。
上記の DNA発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、 1)ウィルス(例、 シミアンウィルス、 サイトメガロウィルス、 モロニ一白血病ウィルス、 J Cウイ ルス、 乳癌ウィルス、 ポリオウイルスなど) に由来する DNAのプロモーター、 2)各種哺乳動物 (ヒト、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムス夕一、 ラット、 マウスなど) 由来のプロモータ一、 例えば、 アルブミン、 インスリン I I、 ゥロ プラキン I I、 エラス夕ーゼ、 エリスロポエチン、 エンドセリン、 筋クレアチン キナーゼ、 グリア線維性酸性タンパク質、 ダルタチオン S _トランスフェラ一ゼ、 血小板由来成長因子) 3、 ケラチン K l, 1^ 1 0ぉょび1^ 1 4、 コラーゲン I型お よび I I型、 サイクリック AMP依存タンパク質キナーゼ /3 Iサブユニット、 ジ スト口フィン、 酒石酸抵抗性アルカリフォスファタ一ゼ、 心房ナトリウム利尿性 因子、 内皮レセプターチ口シンキナーゼ (一般に T i e 2と略される) 、 ナトリ ゥムカリウムアデノシン 3リン酸化酵素 (N a, K一 ATP a s e) 、 ニュ一口 フィラメント軽鎖、 メタ口チォネイン Iおよび I I A、 メタ口プロティナーゼ 1 組織インヒビ夕一、 MHCクラス I抗原 (H— 2 L) 、 H— r a s、 レニン、 ド —パミン /3—水酸化酵素、 甲状腺ペルォキシダーゼ (TPO) 、 ペプチド鎖延長 因子 l a (E F- 1 α) 、 β了クチン、 および /3ミオシン重鎖、 ミオシン軽鎖 1および 2、 ミエリン基礎タンパク質、 チログロブリン、 Th y— 1、 免疫グロ ブリン、 H鎖可変部 (VNP) 、 血清アミロイド Pコンポーネント、 ミオグロビ ン、 トロポニン C、 平滑筋 αァクチン、 プレブ口エンケフアリン Α、 バソプレシ ンなどのプロモ一夕一などが用いられる。 なかでも、 全身で高発現することが可 能なサイトメガロウィルスプロモーター、 .ヒトペプチド鎖延長因子 1 ひ (E F— 1 ) のプロモーター、 ヒトおよびニヮトリ)3ァクチンプロモ一,夕一などが好適 である。
上記べクタ一は、 DNA転移哺乳動物において目的とするメッセンジャー RN Aの転写を終結する配列 (一般にターミネータ一と呼ばれる) を有していること が好ましく、 例えば、 ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各 DNAの配列を 用いることができ、 好ましくは、 シミアンウィルスの S V4 0ターミネータ一な どが用いられる。
その他、 目的とする外来性 DNAをさらに高発現させる目的で各 DNAのスプ ライシングシグナル、 ェンハンサ一領域、 真核 DNAのイントロンの一部などを • プロモーター領域の 5 ' 上流、 プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域 の 3 ' 下流 に連結することも目的により可能である。 .
正常な本発明のタンパク質の翻訳領域は、 ヒトまたは各種哺乳動物 (例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスなど) 由来の月干 臓、 腎臓、 甲状腺細胞、 線維芽細胞由来 DNAおよび市販の各種ゲノム DNAラ イブラリーよりゲノム DNAの全てあるいは一部として、 または肝臓、 腎臓、 甲 状腺細胞、 線維芽細胞由来 RNAより公知の方法により調製された相補 DNAを 原料として取得することが出来る。 また、 外来性の異常 DNAは、 上記の細胞ま たは組織より得られた正常なタンパク質の翻訳領域を点突然変異誘発法により 変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうる DN Aコンストラクトとして、 前記 のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常 の DN A工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DN Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。 DN A転移後の作出動 物の胚芽細胞において、 本発明の外来性 DNAが存在することは、 作出動物の後 代がすべて、 その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを保持 することを意味する。 本発明の外来性 DN Aを受け継いだこの種の動物の子孫は その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを有する。
本発明の外来性正常 DN Aを転移させた.非ヒト哺乳動物は、 交配により外来性 DNAを安定に保持することを確認して、 該 D N A保有動物として通常の飼育環 境で継代飼育することが出来る。 '
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DN Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。 DN A転移後の作 出動物の胚芽細胞において本発明の外来性 DN Aが過剰に存在することは、 作出 動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 DN Aを 過剰に有することを意味する。 本発明の外来性 D N Aを受け継いだこの種の動物
の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 D N Aを過剰に有 する。
導入 DNAを相同染色体の両方に持つホモザィゴ一ト動物を取得し、 この雌雄 の動物を交配することによりすべての子孫が該 DN Aを過剰に有するように繁 殖継代することができる。
本発明の正常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の正常 DNAが高発現 させられており、 内在性の正常 DN Aの機能を促進することにより最終的に本発 明のタンパク質の機能亢進症を発症することがあり、 その病態モデル動物として 利用することができる。 例えば、 本発明の正常 DNA転移動物を用いて、 本発明 のタンパク質の機能亢進症や、 本発明のタンパク質が関連する疾患の病態機序の 解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行うことが可能である。
また、 本発明の外来性正常 DNAを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明の タンパク質の増加症状を有することから、 本発明のタンパク質に関連する疾患に 対する予防 ·治療剤、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝 臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳 腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 塍臓癌など) の予防 ·治療剤のスク リーニング試験にも利用可能である。
一方、 本発明の外来性異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 交配により外来 性 DN Aを安定に保持することを確認して該 DN A保有動物として通常の飼育 環境で継代飼育することが出来る。 さらに、 目的とする外来 DNAを前述のブラ 'スミドに組み込んで原料として用いることができる。 プロモータ一との DNAコ ンストラク卜は、 通常の DNA工学的手法によって作製することができる。 受精 卵細胞段階における本発明の異常 DN Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽細胞およ び体細胞の全てに存在するように確保される。 D N A転移後の作出動物の胚芽細 胞において本発明の異常 DN Aが存在することは、 作出動物の子孫が全てその胚 芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常 D N Aを有することを意味する。 本発 明の外来性 DN Aを受け継いだこの種の動物の子孫は、 その胚芽細胞および体細 胞の全てに本発明の異常 DN Aを有する。 導入 DN Aを相同染色体の両方に持つ ホモザィゴート動物を取得し、 この雌雄の動物を交配することによりすべての子
孫が該 DN Aを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の異常 DNAが高発現 させられており、 内在性の正常 DN Aの機能を阻害することにより最終的に本発 明のタンパク質の機能不活性型不応症となることがあり、 その病態モデル動物と して利用することができる。 例えば、 本発明の異常 DNA転移動物を用いて、 本 発明のタンパク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治 療方法の検討を行うことが可能である。
また、 具体的な利用可能性としては、 本発明の異常 DNA高発現動物は、 本発 明のタンパク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパク質による 正常タンパク質の機能阻害(dominant negative作用) を解明するモデルとなる。 また、 本発明の外来異常 DNAを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明の夕 ンパク質の増加症状を有することから、 本発明のタンパク質または機能不活性型 不応症に対する予防 ·治療剤、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎瘅、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍 臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 滕臓癌など) の予防 '治療 剤のスクリーニング試験にも利用可能である。
また、 上記 2種類の本発明の DNA転移動物のその他の利用可能性として、 例 えば、
1)組織培養のための細胞源としての使用、
2)本発明の DNA転移動物の組織中の DN Aもしくは RNAを直接分析する力 または DN Aにより発現されたペプチド組織を分析することによる、 本発明の夕 ンパク質により特異的に発現あるいは活性化するペプチドとの関連性について の解析、
3) DN Aを有する組織の細胞を標準組織培養 術により培養し、 これらを使用し て、 一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
4)上記 3)記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスク リーニング、 および
5)本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。 さらに、 本発明の DNA転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能不活性
型不応症などを含む、 本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床症状を調べるこ とができ、 また、 本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの各臓器におけるよ り詳細な病理学的所見が得られ、 新しい治療方法の開発、 さらには、 該疾患によ る二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、 本発明の DNA転移動物から各臓器を取り出し、 細切後、 トリプシンな どのタンパク質分解酵素により.、 遊離した DNA転移細胞の取得、 その培養また はその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。 さらに、 本発明のタンパク 質産生細胞の特定化、 アポトーシス、 分化あるいは増殖との関連性、 またはそれ らにおけるシグナル伝達機構を調べ、 それらの異常を調べることなどができ、 本 発明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、 本発明の DNA転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能不活性 型不応症を含む、 本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行なうた めに、 上述の検査法および定量法などを用いて、 有効で迅速な該疾患治療薬のス クリーニング法を提供することが可能となる。 また、 本発明の DN A転移動物ま たは本発明の外来性 DNA発現べクタ一を用いて、 本発明のタンパク質が関連す ' る疾患の DN A治療法を検討、 開発することが可能である。
(8) ノックアウト動物
本発明は、 本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本 発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
(1) 本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2) 該 DN Aがレポーター遺伝子 (例、 大腸菌由来の j8—ガラクトシダ一ゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化された第 (1) 項記載の胚幹細胞、
' (3) ネオマイシン耐性である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(4) 非ヒ卜哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(5) ゲッ歯動物がマウスである第 (4) 項記載の胚幹細胞、
(6) 本発明の DNAが不活性化された該 DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7) 該 DNAがレポーター遺伝子 (例、 大腸菌由来の ]3—ガラクトシダーゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化され、 該レポ一ター遺伝子が本発明の DN
Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、
(8) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物、
(9) ゲッ歯動物がマウスである第 (8) 項記載の非ヒト哺乳動物、 および
(10) 第 (7) 項記載の動物に、 試験化合物を投与し、 レポーター遺伝子の発 現を検出することを特徴とする本発明の DN Aに対するプロモ一夕一活性を促 進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、 該非ヒト哺乳 動物が有する本発明の DNAに人為的に変異を加えることにより、 DNAの発現 能を抑制するか、 もしくは該 D N Aがコードしている本発明のタンパク質の活性 を実質的に喪失させることにより、 DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現 能を有さない (以下、 本発明のノックアウト DNAと称することがある) 非ヒト 哺乳動物の胚幹細胞 (以下、 ES細胞と略記する) をいう。
非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の DNAに人為的に変異を加える方法としては、 例えば、 遺伝子工学的 手法により該 DNA配列の一部又は全部の削除、 他 DNAを挿入または置換させ ることによって行なうことができる。 これらの変異により、 例えば、 コドンの読 み取り枠をずらしたり、 プロモーターあるいはェキソンの機能を破壊することに より本発明のノックアウト DN Aを作製すればよい。
本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞 (以下、 本発明の D N A不活性化 E S細胞または本発明のノックアウト E S細胞と略記する) の具体 例としては、 例えば、 目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明の DNAを単離 し、 そのェキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシン耐性遺伝子 を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいは 1 a c Z (/3—ガラクトシダ一ゼ遺伝子)、 c a t (クロラムフエニコールァセチルトランスフェラーゼ遺伝子) を代表とす るレポ一ター遺伝子等を揷入することによりェキソンの機能を破壊するか、 ある いはェキソン間のィントロン部分に遺伝子の転写を終結させる DN A配列 (例え ば、 p o 1 yA付加シグナルなど) を揷入し、 完全なメッセンジャー RNAを合 成できなくすることによって、 結果的に遺伝子を破壊するように構築した DN A 配列を有する DNA鎖 (以下、 ターゲ ティングベクターと略記する) を、 .例え
ば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、 得られた E S細胞について本発 明の DNA上あるいはその近傍の D N A配列をプローブとしたサザンハイブリ ダイゼ—ション解析あるいはターゲッティングベクタ一上の DN A配列とター ゲッティングベクタ一作製に使用した本発明の DNA以外の近傍領域の DNA 配列をプライマーとした P CR法により解析し、 本発明のノックアウト ES細胞 を選別することにより得ることができる。
また、 相同組換え法等により本発明の DN Aを不活化させる元の E S細胞とし ては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いでもよく、また公知 Evans と Kaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。 例えば、 マウスの ES細 胞の場合、 現在、 一般的には 129系の ES細胞が使用されているが、 免疫学的 背景がはっきりしていないので、 これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明 らかな ES細胞を取得するなどの目的で例えば、 C 57 BL/6マウスや. C 57 B L/ 6の採卵数の少なさを DBA/ 2との交雑により改善した BDFiマウス (C 57BLZ6と DBA/2とのF1) を用いて樹立したものなども良好に用 いうる。 BDFiマウスは、 採卵数が多く、 かつ、 卵が丈夫であるという利点に 加えて、 C 57 BLZ 6マウスを背景に持つので、 これを用いて得られた E S細 胞は病態モデルマウスを作出したとき、 C 57 BLZ 6マウスとバッククロスす ることでその遺伝的背景を C 57 BL/ 6マウスに代えることが可能である点 で有利に用い得る。
また、 ES細胞を樹立する場合、 一般には受精後 3.5日目の胚盤胞を使用す るが、 これ以外に 8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率 よく多数の初期胚を取得することができる。
また、 雌雄いずれの E S細胞を用いてもよいが、 通常雄の E S細胞の方が生殖 系列キメラを作出するのに都合が良い。 また、 煩雑な培養の手間を削減するため にもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、 例えば、 PCR法により Y染色体上の性 決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その 1例としてあげることができる。 この方法を使用すれば、 従来、 核型分析をするのに約 1 06個の細胞数を要して いたのに対して、 1コロニー程度の E S細胞数 (約 50個) で済むので、 培養初
期における E S細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能で あり、 早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減 できる。
また、 第二次セレクションとしては、 例えば、 G—バンディング法による染色 体数の確認等により行うことができる。 得られる ES細胞の染色体数は正常数の 100 %が望ましいが、 樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、 ES細 胞の遺伝子をノックアウトした後、 正常細胞 (例えば、 マウスでは染色体数が 2 n=40である細胞) に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、 通常その増殖性は大変良いが、 個体発 生できる能力を失いやすいので、 注意深く継代培養することが必要である。 例え 'ば、 S TO繊維芽細胞のような適当なフィーダ一細胞上で L I F (1 - 1 000 OU/ml) 存在下に炭酸ガス培養器内 (好ましくは、 5%炭酸ガス、 95%空気ま たは 5%酸素、 5%炭酸ガス、 90 %空'気) で約 37 °Cで培養するなどの方法で 培養し、 継代時には、 例えば、 トリプシン/ EDTA溶液 (通常 0.00 1— 0. 5 %トリプシン Z0. 1一 5mM EDTA, 好ましくは約 0. 1 %トリプシン/ ImM EDTA) 処理により単細胞化し、 新たに用意したフィーダ一細胞上に 播種する方法などがとられる。 このような継代は、,通常 1一 3日毎に行うが、 こ の際に細胞の観察を行い、 形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細 胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、 適当な条件により、 高密度に至るまで単層培養するか、 または細 胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々 のタイプの細胞に分化させることが可能であり 〔M. J. Evans及び M. H. Kaufman, ネィチヤ一 (Nature) 第 292巻、 154頁、 1981年; G. R. Martin プロシーディン グス ·ォブ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス ·ユーエスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.) 第 78卷、 7634頁、 1981年; T. Doetschman ら、 ジ ヤーナル ·ォブ ·ェンブリオロジー ·アンド ·ェクスペリメンタル ·モルフォロ ジー、 第 87巻、 27頁、 1985年〕 、 本発明の E S細胞を分化させて得られる本発明 の DN A発現不全細胞は、 インビト口における本発明のタンパク質の細胞生物学 的検討において有用である。
本発明の DN A発現不全非ヒト哺乳動物は、 該動物の mRN A量を公知方法を 用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、 正常動物と区別する ことが可能である。
該非ヒ卜哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 例えば、 前述のようにして作製し た夕一ゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、 導 入により夕一ゲッティングベクタ一の本発明の D N Aが不活性化された D N A 配列が遺伝子相同組換えにより、 マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上 の本発明の DN Aと入れ換わる相同組換えをさせることにより、 本発明の DNA をノックアウトさせることができる。 "
本発明の DNAがノックアウトされた細胞は、 本発明の DNA上またはその近 傍の D N A配列をプローブとしたサザンハィブリダイゼーション解析または夕 ーゲッティングベクタ一上の DNA配列と、 夕一ゲッティングベクタ一に使用し たマウス由来の本発明の DNA以外の近傍領域 DNA配列とをプライマーと した P CR法による解析で判定することができる。 非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用 いた場合は、 遺伝子相同組換えにより、 本発明の DN Aが不活性化された細胞株 をクローニングし、 その細胞を適当な時期、 例えば、 8細胞期の非ヒト哺乳動物 胚または胚盤胞に注入し、 作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒ卜哺乳動物の 子宮に移植する。 作出された動物は正常な本発明の DN A座をもつ細胞と人為的 に変異した本発明の DNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物で ある。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明の DN A座をもつ塲合、 この ようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、 全ての 組織が人為的に変異を加えた本発明の DN A座をもつ細胞で構成された個体を、 例えば、 コートカラ一の判定等により選別することにより得られる。 このように して得られた個体は、 通常、 本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個体であり、 本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個体同志を交配し、 それらの産仔から本発 明のタンパク質の.ホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、 例えば、 卵細胞核内にマイクロインジェクション法
で DNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導 入したトランスジエニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、 これらのトランス ジエニック非ヒト哺乳動物に比べて、 遺伝子相同組換えにより本発明の DN A座 に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明の DNAがノックアウトされている個体は、 交配により 得られた動物個体も該 DNAがノックアウトされていることを確認して通常の 飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、 生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。 すなわち、 該不活化 DN Aの保有する雌雄の動物を交配することにより、 該不活化 DN Aを 相同染色体の両方に一持つホモザィゴ一ト動物を取得しうる。 得られたホモザィゴ ート動物は、 母親動物に対して、 正常個体 1, ホモザィゴート複数になるような 状態で飼育することにより効率的に得ることができる。 ヘテロザィゴート動物の 雌雄を交配することにより、 該不活化 DN Aを有するホモザィゴートおよびへテ 口ザィゴート動物を繁殖継代する。
本発明の D N Aが不活性化された非ヒ'ト哺乳動物胚幹細胞は、 本発明の D N A 発現不全非ヒ卜哺乳動物を作出する上で、 非常に有用である。
また、 本発明の DN A発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明のタンパク質により 誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、 本発明のタンパク質の生物活性の 不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、 これらの疾病の原因究明及 び治療法の検討に有用である。
(8 a) 本発明の DNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療 ·予防効 果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の DNAの欠損や損傷など に起因する疾病に対して治療:予防効果を有する化合物のスクリーニングに用い ることができる。
すなわち、 本発明は、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を 投与し、 該動物の変化を観察 .測定することを特徴とする、 本発明の DNAの欠 損や損傷などに起因する疾病、 例えば癌など (好ましくは、 滕臓癌など) に対し て治療 ·予防効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明の D N A発現不全非ヒト哺 乳動物としては、 前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド性化合物、 合 成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿などが あげられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であつ てもよい。
具体的には、本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、 無処理の対照動物と比較し、 該動物の各器官、 組織、 疾病の症状などの変化を指 標として試験化合物の治療 ·予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、 例えば、 経口投与、 静脈注射 などが用いられ、 試験動物の症状、 試験化合物の性質などにあわせて適宜選択す ることができる。 また、 試験化合物の投与量は、 投与方法、 試験化合物の性質な どにあわせて適宜選択することができる。
例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓 癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍 などの癌 (好ましくは、 塍臓瘅など) に対して治療 ·予防効果を有する化合物を スクリーエングする場合、 本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物 を投与し、 試験化合物非投与群と癌の発症度合いの違いや癌の治癒度合い 違い を上記組織で経時的に観察する。
該スクリーニング方法において、 試験動物に試験化合物を投与した場合、 該試 験動物の上記疾患症状が約 1 0 %以上、 好ましくは約 3 '0 %以上、 より好ましく は約 5 0 %以上改善した場合、 該試験化合物を上記の疾患に対して治療 ·予防効 果を有する化合物として選択することができる。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物は、 上記した試験化合物から選 ばれた化合物であり、 本発明のタンパク質の欠損や損傷などによって引き起こさ れる疾患に対して治療 ·予防効果を有するので、 該疾患に対する安全で低毒性な 予防 '治療剤などの医薬として使用することができる。 さらに、 上記スクリ一二 ングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。 本発 明のタンパク質の欠損や損傷などによって引き起こされる疾患としては、 例えば、
アルツハイマー病、 ハンチントン病、 筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患; 狭心症、 心筋梗塞などの虚血性心疾患;女性の不妊症;などが挙げられる。 従つ て、 本発明のタンパク質の活性を促進する化合物またはその塩、 本発明のタ パ ク質の遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩、 本発明のタンパク質自体、 本発明のタンパク質の遺伝子などは、 例えば、 神経細胞、 心筋細胞などのアポト 一シス抑制作用を示し、 アルツハイマー病、 ハンチントン病、 筋萎縮性側索硬化 症などの神経変性疾患;狭心症、 心筋梗塞などの虚血性心疾患;などの疾患の治 療 ·予防剤として使用することができる。 また、 アポトーシス抑制剤などとして 使用することもできる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸(例、 無機酸、 有機酸など)や塩基(例、 アルカリ金属など) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付 加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸'(例えば、塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸など) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピ オン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩等が用いられる。 該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記 した本発明のタンパク質を含有する医薬と同様にして製造することができる。 このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまた は哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥ シ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルー'トなどによ り差異はあるが、 例えば、 該化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 6 O k gとして) の滕臓癌患者においては、 一日につき該化合物を約 0 . 1〜 1 0 0 111 、 好ましくは約1 . 0〜5 O m g、 より好ましくは約 1 . 0〜2 0 m g投 与する。 非経口的に投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾 患などによっても異なるが、 例えば、 該化合物を注射剤の形で通常成人 (6 0 k gとして) の陴臓癌患者に投与する場合、 一日につき該化合物を約 0 . 0 1〜3 O m g程度、 好ましくは約 0 . 1〜2 O m g程度、 より好ましくは約 0 . 1〜1
Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 6 0 k g当たりに換算した量を投与することができる。
(8 b) 本発明の DN Aに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合 物をスクリーニング方法
本発明は、 本発明の DNA発現不全非ヒ卜哺乳動物に、 試験化合物を投与し、 レポ一夕一遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明の DN Aに対する プロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリ一ニン グ方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物と しては、 前記した本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、 本発明の D N Aがレポ一夕一遺伝子を導入することにより不活性化され、 該レポ一夕一遺伝 子が本発明の DNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いら れる。
試験化合物としては、 前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、 前記と同様のものが用いられ、 j3 _ガラクトシダ —ゼ遺伝子 ( 1 a c Z) 、 可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフ エラ一ゼ遺伝子などが好適である。
本発明の DN Aをレポ一夕一遺伝子で置換された本発明の DN A発現不全非 ヒト哺乳動物では、 レポ一夕一遺伝子が本発明の DNAに対するプロモーターの 支配下に存在するので、 レポ一夕一遺伝子がコードする物質の発現をトレースす ることにより、 プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、 本発明のタンパク質をコードする DNA領域の一部を大腸菌由来の ;3 一ガラクトシダ一ゼ遺伝子 ( 1 a c Z) で置換している場合、 本来、 本発明のタ ンパク質の発現する組織で、 本発明のタンパグ質の代わりに )3—ガラクトシダー ゼが発現する。 従って、 例えば、 5—プロモー 4一クロロー 3—インドリル一 ]3 一ガラクトピラノシド (X— g a l) のような) 3—ガラクトシダ一ゼの基質とな る試薬を用いて染色することにより、 簡便に本発明のタンパク質の動物生体内に おける発現状態を観察することができる。 具体的には、 本発明のタンパク質欠損 マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒド等で固定し、 リン酸緩衝生理食
2003/013920
68 塩液(P B S )で洗浄後、 X— g a 1を含む染色液で、室温または 3 7 T:付近で、 約 3 0分ないし 1時間反応させた後、 組織標本を I mM E D T A/ P B S溶液 で洗浄することによって、 ]3—ガラクトシダーゼ反応を停止させ、 呈色を観察す 'れぱよい。また、常法に従い、 1 a c Zをコードする m R N Aを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 上記した試 験化合物から選ばれた化合物であり、 本発明の D N Aに対するプロモーター活性 を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸など) や塩基 (例、 アル力 リ金属など) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が 好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化 水素酸、 硫酸など) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン 酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒右酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安 息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。 本発明の D N Aに対するプロモータ一活性を阻害する化合物またはその塩は、 本発明のタンパク質の発現の阻害、 該タンパク質の機能を阻害することができる ので、 例えば大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、' 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍または血液 腫瘍などの癌 (好ましくは、 膝臓癌など) の予防 '治療剤として有用である。 さらに、 上 ί己スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に 用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記 した本発明のタンパク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造するこ とができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまた は哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥ シ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどによ り差異はあるが、 例えば、 本発明の D N Aに対するプロモーター活性を阻害する
化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 k gとして) の塍臓癌患者 においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜 1 00mg、 好ましくは約 1. 0 〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜20mg投与する。 非経口的に投与する 場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患などによっても異なるが、 例えば、 本発明の DN Aに対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の 形で通常成人 (60 kgとして) の滕臓癌患者に投与する場合、 一日につき該化 合物を約 0. 0 1〜3 Omg程度、 好ましく 約 0. l〜20mg程度、 より好 ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 k g当たりに換算した量を投与することができる。
このように、 本発明の DN A発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の DN Aに対 するプロモーターの活性を促進または阻害する 匕合物またはその塩をスクリー ニングする上で極めて有用であり、 本発明の DN A発現不全に起因する各種疾患 の原因究明または予防 ·治療剤の開発に大きく貢献することができる。
また、 本発明のタンパク質のプロモーター領域を含有する DNAを使って、 そ の下流に種々のタンパクをコードする遺伝子を連結し、 これを動物の卵細胞に注 入していわゆるトランスジエニック動物 (遺伝子移入動物) を作成すれば、 特異 的にそのタンパク質を合成させ、 その生体での作用を検討することも可能となる さらに上記プロモ一夕一部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、 これが発現 するような細胞株を樹立すれば、 本発明のタンパク質そのものの体内での産生能 力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使 用できる。
本明細書において、 塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、 I UPAC— I UB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分 野における慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 またアミノ酸に関 し光学異性体があり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものとする。
DNA デォキシリポ核酸
c DNA 相補的デォキシリポ核酸
A アデニン
T チミン
G グァニン
C シ卜シン
NA リポ核酸
mRNA ―リポ核酸 d ATP '三リン酸 d TTP デォキシチミジン三リン酸 d GTP デォキシグアノシン三リン酸 d CTP デォキシシチジン三リン酸 ATP 三リン酸
EDTA ミン四酢酸 SDS ドデシル硫酸ナトリウム G 1 y グリシン
A 1 a ァラニン
V a 1 バリン
L e u
l i e ':
S e r セリン
T r スレオニン
C y s システィン
Me t メチォニン
G 1 u グルタミン酸
As
L y s リジン
A r g アルギニン
H i s ヒスチジン
P h e フエ二ルァラニン
Ty r チロシン
T r p トリブトファン
P r o プロリン
A s n ァスパラギン
G 1 n グルタミン
p G 1 u ピログルタミン酸
S e c セレノシスティン (selenocys teine)
又、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する,
Me メチル基
E t ェチル基
B u ブチル基
P h フエニル基
TC チアゾリジン一 4 (R) 一力ルポキサミド基
T o s P―トルエンスルフォニル
CHO ホルミル
B z 1
Cl2-Bzl 2 , 6—ジクロロべンジル
Bom ベンジルォキシメチル
Z ベンジルォキシカルボニル
C 1一 Z 2—クロ口べンジルォキシカルポニル
B r - Z 2—ブロモベンジルォキシカルポニル
B o c t一ブトキシカルボニル
DNP ジニトロフエニル
T r t トリチル
Bum t一ブトキシメチル
Fm o c N- 9一フルォレニルメトキシカルポニル
HOB t 1ーヒドロキシベンズトリアゾ一ル,
HOOB t 3 , 4—ジヒドロー 3—ヒドロキシー 4一ォキソ 2, 3 一べンゾトリアジン '
HONB : 1-ヒドロキシ- 5-ノルポルネン- 2, 3-ジカルポキシィ ド 本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
〔配列番号: 1〕
実施例 1で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 2〕
実施例 1で用いられたプライマ一の塩基配列を示す。
〔配列番号: 3〕
実施例 2で用いられたアンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 4〕
実施例 2で用いられたコントロールオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。 〔配列番号: 5〕
HTR A 3のアミノ酸配列を示す ό
〔配列番号: 6〕
配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を有する HTRA3をコードする DNAの 塩基配列を示す。 - 〔配列番号: 7〕
HTRA3をコードする全長遺伝子を含む DN Αの塩基配列を示す。
〔配列番号: 8〕
実施例 3で用いられた HTR A 3をコードする全長遺伝子を含む DN Aの塩基 配列を示す。 '
〔配列番号: 9〕 '
実施例 3で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 10〕
実施例 3で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 1〕
実施例 3で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 12〕
実施例 3で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 13〕
実施例 3で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号 r 14〕
実施例 3で用いられた HTR A 3をコードする全長遺伝子を含む DNAの塩基 配列を示す。
〔配列番号: 1 5〕
実施例 3で用いられた HTR A 3をコードする全長遺伝子の一部を含む DNA の塩基配列を示す。
〔配列番号: 16〕
実施例 3で用いられた HTRA 3をコ一ドする全長遺伝子の一部を含む DNA の塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 7〕
実施例 3で用いられた HTRA 3をコードする全長遺伝子の一部を含む DNA の塩基配列を示す。
〔配列番号: 18〕 - 実施例 6で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 19〕
実施例 6で用いられたプライマ一の塩基配列を示す。
〔配列番号: 20〕
実施例 6で得られた HTRA 3 S 305 A変異体発現ベクター 6)における H T RA3 S 305 A変異体をコードする DNAを含む塩基配列を示す。
〔配列番号: 21〕
実施例 6で得られた HTRA 3 S 305 A変異体発現ベクター 7)における HT RA 3 S 305 A変異体をコードする DN Aを含む塩基配列を示す。
〔配列番号: 22〕
実施例 7で用いられたプライマ一の塩基配列を示す。
〔配列番号: 23〕
実施例 7で用いられたプライマ一の塩基配列を示す。
〔配列番号: 24〕
実施例 7で用いられたプローブの塩基配列を示す。
〔配列番号: 25〕
HTRA 3 S 305 A変異体 (305番目のセリン残基がァラニン残基に置換し
ている変異体) のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 26〕
実施例 9で用いられたアンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 27〕
実施例 9で用いられたコントロールオリゴヌクレオチドの塩基配列 (配列番号: 26で表される塩基配列のリバース配列) を示す。
〔配列番号: 28〕
実施例 9で用いられたアンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。 , 〔配列番号: 29〕
実施 9で用いられたコントロールオリゴヌクレオチドの塩基配列 (配列番号: 28で表される塩基配列のリバース配列) を示す。
' 〔配列番号: 30〕
実施例 1 0で得られた、 ヒト HTRA 3の自己消化により生じる 37 kD aのタ ンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 31〕 ' 配列番号: 30で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコ一ドする DNA の塩基配列を示す。 実施例
以下において、 実施例により本発明をより具体的にするが、 この発明はこれら に限定されるものではない。
実施例 1
ヒト塍臓癌組織における HTRA3遺伝子発現量の検討
ヒト塍臓癌組織由来の total RNA (Direct Clinical Access社) を 5例、 およ び滕臓癌組織周辺の正常組織由来の total RNA (Direct Clinical Access社) を 4例、 計 9例を铸型として用い、 HTR A 3遺伝子の発現量の検討を行った。 まずこれらの total RNA 2 gから、 TaqMan Gold RT-PCRKit (Applied Biosystems 社) を用いて逆転写反応を行い、 cDNA溶液を得た。 該反応における反応液の組成 と反応条件は添付の標準実験プロトコールに従い、 100^1の液量とした。
HTRA3遺伝子発現量の定量は、 2個のプライマー、 プライマー 1 (配列番 号: 1) およびプライマ一 2 (配列番号: 2) を用いた PCR法にて行った。 該反 応における反応液の組成は上記 cDNA 0.5 1を铸型として使用し、 HotStarTaq Master Mix (QIAGEN社) 10 1量、 10 Mのプライマ一 1 (配列番号: 1) および 10 Mのプライマ一 2 (配列番号: 2) を各 0.5 1、 および蒸留水を 8, 5 1加え、 20 1の液量とした。 PCR反応は、 95°C' 15分の後、 94°C · 30秒、 60°C · 30秒、 72°C · 30秒のサイクルを 30回繰り返し最後に 72°C · 10分の伸長反応を行った。 該反応終 了後、 PCR産物のァガロース電気泳動を行い、 ェチジゥムブ口マイド染色にて PCR 産物を検出した結果、 塍臓癌組織由来の total RNA5例からは HTRA3遺伝子 由来の PCR産物が得られたが、 正常組織由来の total RNA 4例からは PCR産物は検 出されなかった。 従ってヒト塍臓癌組織において HTRA 3遺伝子の発現は、 正 常組織と比較し顕著に宂進していることが明らかとなった。 なお錄型に用いた total RNAの内部標準は、 TaqMan Rodent GAPDH Control Reagent VIC Probe (Applied Biosystems社) を用いて定量した G A P DH遺伝子の発現量とした。 GAPDH 遺伝子の PCR反応条件は、 HTR A 3遺伝子の PCR反応条件と同一の条件で行った 結果、 9例全ての total RNAより GAPDH遺伝子由来の PCR産物が検出され、 正 常組織における HTR A 3遺伝子由来の PCR産物の未検出は、 RNAの分解に起因す' るものではないことが証明された。 '
実施例 2
HTRA3のアポトーシス抑制活性の検討
塍臓癌組織にて、 発現が顕著に亢進していた H T R A 3遺伝子のァポトーシス 抑制活性について検討するために、 H T R A 3アンチセンスオリゴヌクレオチド 導入実験を行った。 まず、 HTRA3全長配列 (GenBank:AY040094) に対するァ ンチセンス (配列番号: 3,) を設計後、 phosphorothioate化オリゴヌクレオチド を合成し、 HP L C精製して導入実験に用いた(Amersham Pharmacia Biotech社)。 コントロールオリゴヌクレオチドとして配列番号: 3で表される塩基配列のリバ ース配列 (配列番号: 4) を同様に phosphorothioate化し、 HPLC精製して用 いた (Amersham Pharmacia Biotech社) 。
被験細胞として滕臓癌由来細胞株 B xP C— 3 (Cancer Invest.、 4巻、 15 - 23
PC蘭謹 13920
76
,頁、 1986年、 ATCCより購入) を用いた。 1ゥエル当たり 8000細胞の B X P C 〜 3を、 96ゥエル.透明底ブラックプレート (Falcon社) に播種した。 37°C、 5%C〇2の条件で 2日間培養後、 オリゴヌクレオチドを導入した。 オリゴヌク レオチド導入には Πχ- 50 Reagent (Promega社) を使用し、 その標準実験プロ トコールに従った。 オリゴヌクレオチドを導入し、 37。C、 5 %C〇2の条件で 2日間培養後、 アポトーシス抑制活性について検討した。 細胞の有するアポトー シス活性は、 カスパーゼ 3および 7の酵素活性を測定することによって定量した。 カスパ一ゼ 3および 7の酵素活性は、 Apo-ONE Homogeneous Caspase-3/7 Assay (Promega社) を用い、 1ゥエル当たり 50 1の基質溶液を使用し、 標準の実験プ ロトコールに従って定量した。
その結桌、 コントロール(リバ一ス) オリゴヌクレオチド導入細胞(100 %) と比較し、 アンチセンスオリゴヌクレオチド導入細胞において、 顕著なカスパー ゼ 3および 7の酵素活性の上昇が認められた (126%) 。 すなわちアンチセン スオリゴヌクレオチド導入によって細胞のアポトーシスが誘導され、 HTRA3 がアポ卜一シス抑制活性を有することが示された。
以上より、 HTR A 3は塍臓癌組織にて顕著に発現が亢進しているだけでなく、 癌細胞のアポトーシスに関与していることが明らかとなった。
実施例 3
ヒ卜 HTR A 3発現ベクターの構築
配列番号: 8に示す二本鎖 DNAを p c DNA3. 1 (+ ) (インビトロジェ ン社)に挿入した HTR, A 3発現べクタ一 1)を作製した。オリゴヌクレオチド(配 列番号: 9および配列番号: 1 1) をプライマーとして用いて P CR法により二 本鎖 DNAを合成した。 該反応における反応 の組成は MTCパネル卵巣 c DN A (クロンテック社) 0. 3 K ExT a q 10 Xバッファー 2. 0 1、 E x T a q 0. 1 1 0 Mのプライマーを各 0. 5 1、 2. 5mM dN TP 1. 6 β および蒸留水 1 5 1を加え液量を 20 1とした。 P C R反 応は、 98。C · 1分の後、 98で · 30秒、 6 5で · 30秒、 72 °C · 90秒の サイクルを 1 0回繰り返してから、 98 ' 30秒、 60°C ' 30秒、 72 °C · 90秒のサイクルを 20回繰り返し、 最後に 72°C · 7分の伸長反応を行った。
該反応後、 PCR産物を蒸留水で 1 00倍希釈し、 さらに P CR反応によって目 的配列の増幅を行った。 該反応における反応液の組成は、 P CR産物希釈液 3 1を铸型として使用し、 ExT a Q 1 0 Xバッファー 20 ^ 1、 E xT a q 1 ^ し 1 0 Mのプライマ一を各 5 1、 2. 5mM dNTP 1 6 l、 および 蒸留水 1 50 1を加え液量を 200 Iとした。 P CR反応は、 98 °C · 1分 の後、 9 8 °C · 3 0秒、 6 5 °C · 30秒、 7 2 °C · 9 0秒のサイクルを 1 0回繰 り返してから、 98°C ' 30秒、 60 ' 30秒、 72 °C · 90秒のサイクルを 20回繰り返し、 最後に 72°C · 7分の伸長反応を行った。 該反応終了後、 PC Rピューリフィケ一シヨンキット (キアゲン社) により精製した。 精製した PC R産物を制限酵素 Xb a Iおよび Kp n Iにより消化し、 この反応液をァガロー スゲル電気泳動後、 ゲルエキストラクシヨンキット (キアゲン社) により精製し た。 同様に p c DNA3. 1 (+ ) を制限酵素 Xb a Iおよび Kp n Iにより消 化し、 ァガ口一スゲル電気泳動後、 ゲルエキストラクションキット (キアゲン) により精製した。 PCR産物 7 5ngとベクター断片 6 0 ngおよび D N Aライゲ一 シヨンキット Ver2ソリューション I 5 1 (夕カラ社) を混合して 16°Cで 30分 間ライゲ一シヨン反応を行った。 ライゲーシヨン反応後、 大腸菌 DH 5 Q!に形質 転換し、 得られた形質転換株 8株を選択した。 選択した大腸菌を培養後、 DNA を抽出し、 ビッグダイ夕一ミネ一ターサイクルシークェンシング V e r 2 (AB I社) を用いてシ一クエンス反応を行い、 37 0 0 DNAシーケンサ一 (AB I 社) により塩基配列を決定し、 配列番号: 8 (ORFを全て含有) と一致するク 口一ンを選択した。
次に、 配列番号: 14、 配列番号: 1 5、 配列番号: 1 6、 配列番号: 1 7に 示す塩基配列の DN Aを、 それぞれ配列番号: 14および配列番号: 1 5を p 3 XFLAG—CMV 14に、 配列番号: 1 6を 3 八 — ¾^¥ 1 3に、 配列番号: 1 7を P 3 XFLAG— CMV9 (シグマ社) に Kp n l制限酵素サ ィトおよび Xb a I制限酵素サイトで掙入して 4種の FLAG—標識 HTR A '3発現ベクター 2)、 3)、 4)、 5)を作製した。 先に得られた発現べクタ一 1)を铸型 とし、 プライマ一として配列番号: 14にオリゴヌクレオチド (配列番号: 9お よび配列番号: 1 2)、配列番号: 1 5に(配列番号: 9および配列番号: 1 3)、
配列番号 16に (配列番号: 10および配列番号: 12) 、 配列番号: 17に (配 列番号: 10および配列番号: 1 1) の組み合わせで用いて、 得られた発現べク 夕一 1)を铸型として P CR法により二本鎖 DN A 4種を合成した。 該反応におけ る反応液の組成は、 4. 7 n 1の発現ベクター 1) 2 1、 l O Xp f uバ ッファ一 5 /x l、 p f u t u r b o 0. 25 1、 10 Mのプライマー(配 列番号: 9および配列番号: 12) または (配列番号: 9および配列番号: 1 3) または (配列番号: 10および配列番号: 12) または (配列番号: 10および 配列番号: 1 1) を各 1. 25 1、 2. 5mM d N T P 4 1、 および蒸留 水 36. 25 1を加え液量を 50 1とした。 P CR反応は、 98°C ' l分の 後、 98 30秒、 65 · 30秒、 72 °C · 90秒のサイクルを 10回繰り 返してから、 98°C * 30秒、 60°C ' 30秒、 72 °C · 90秒のサイクルを 1 5回繰り返し、 最後に 72.°C ' 7分の伸長反応を行った。 合成した PCR産物を それぞれァガロースゲル電気泳動後、 ゲルエキストラクシヨンキット (キアゲン 社) により精製し、 制限酵素 Xb a Iおよび Kpn Iにより消化した。 得られた 断片を PC Rピュ一リフィケーシヨンキット (キアゲン社) により精製した。 同 様に発現ベクター: 3 XFLAG - CMV9、 1 3および Γ 4を制限酵素 X b a Iおよび Kpn Iにより消化し、 ァガロースゲル電気泳動後、 ゲルエキストラク シヨンキット (キアゲン社) により精製した。 P CR産物とベクター断片をそれ ぞれ 5 Ongおよび 3 Ong用いて DNAライゲーションキット Ver2ソリューショ ンにより 16°Cで 30分間ライゲーシヨン反応を行った。 ライゲーシヨン反応後、 大腸菌 DH 5 に形質転換し、 得られた形質転換株 8株を選択した。 選択した大 腸菌を培養後、 DNAを抽出し、 ビッグダイ夕一ミネ一ターサイクルシークェン シング v e r 2 (AB I社) を用いてシークェンス反応を行い、 3700 DNA シーケンサー (AB I社) により塩基配列を決定し、 配列番号: 14 (ORFを 全て含有) 、 配列番号: 1 5 (C末端の PDZドメイン欠損) 、 配列番号: 16 (N末端のシグナル配列欠損) 、 配列番号: 17 (N末端のシグナル配列欠損) に一致するクローンを選択した。 〔ドメイン、シグナル配列に関しては、 Biochem. J., ( 11(6))巻, 6 1^ ahead of print頁, 2003年参照〕
実施例 4
ヒト HTR A 3の一過性発現と細胞培養上清の取得
COS— 7細胞を血清含有 DMEM培地で培養し、 遺伝子導入の前日に 10 c mディッシュ (ファルコン社) に 9 X 105個を播種した。 血清不含 DMEM培 地で洗浄後、 12 gの発現ベクター 2)、 3)、 4)、 5)、 空べクタ一 P 3 XFLA G— CMV 14、 p 3 X F L AG— CMV 13または p 3 X F L AG— CMV 9 と 36 1の TRAN S F AS T (プロメガ社) を含む 6 m 1の無血清培地を加 え、 それぞれの発現ベクターと空ベクターにっき 1 0 cmディッシュ 2枚づっ遺 伝子導入を行った。 37°C, 5 %C〇2の条件で 1時間培養した後、 10 %牛血清 含有 DMEM培地 12m lを加え、 さらに 1日培養した。 P B S (—)で洗浄後、 血清およびフエノールレッド不含 DMEM培地 8m lに交換し、 2日後に培養 上清を回収した。 培養上清は、 2 500 r pmで遠心後、 1 0 cmディッシュ 2 枚分を合わせて 16m 1を用いて UF V 2 B GC 1 0 (ミリポア社) により限外 ろ過を行い、 670 1まで濃縮した。
実施例 5
ヒト HTRA3によるカゼインの分解
実施例 4で得られた濃縮培養上清 25 し 75 _ί 1の EnzChek Protease Assay Kit green fluorescence Digestion Buffer (モレキュラープローブ社) 、 100 1の 10 ig/ml EnzChek Protease Assay Kit green f luorescenceB OD I PY-FL 標識カゼイン基質溶液 (モレキュラープローブ社) を混合し、 37 で 4時間反 応させた。 反応後、 血清およびフエノールレッド不含 D,MEM培地 25 1、 75 β 1 ©EnzChek Protease Assay Kit green fluorescence Digestion Buf fer 100 lの 10 g/ml EnzChek Protease Assay Kit green f luorescenceB O D I P Y 一 F L標識カゼィン基質溶液の混合液をバックグラウンドとして励起波長 485nm で蛍光波長 538nmをフルォロスキャン蛍光プレー卜リーダ一 (ラボシステムズ社) により測定した。 HTRA 3発現ベクター 2)、 3)、 4)、 5)をトランスフエクショ ンした培養上清では、 対応する空ベクターとして発現ベクター 2)と 3)に対しては p 3 XFLAG-CMV 14, 発現べクタ一 4)に対しては p 3 XFLAG— CM V 13、 発現ベクター 5)に対しては p 3 XFLAG— CMV9をトランスフエク シヨンした培養上清と比べて蛍光強度がそれぞれ 3. 9、 3. 5、 3. 3、 2.
1倍に上昇した。 実施例 4で得た細胞培養上清に含まれる HTR A 3がカゼイン 分解活性を持つことが明らかになつた。 '
実施例 6
ヒト HTRA 3 S 305 A変異体発現べクタ一の構築
オリゴヌクレオチド (配列番号: 18および配列番号: 1 9) をプライマーと して用いて Qu i k c h an g e S i t e -D i r e c t e d Mu t a g e n e s i s K i t (ストラタジーン社)により、 配列番号: 20に示す二本鎖 D NAをp cDNA3. 1 (+ ) (インビトロジェン社) に、 また、 配列番号: 2 1に示す二本鎖 DNAを ρ 3 XFLAG-CMV 14に揷入した HTRA3 S 3 0 5 A変異体 (配列番号: 25) 発現ベクター 6) (配列番号: 20) 、 7) (配列 番号: 21) を作製した。 該反応における反応液の組成は実施例 3で得られた発 現ベクター 1)、 2) を 1 0 n g、 1 0 X反応バッファー 5. 0 n 1 , f u t u r b o DNA p o l yme r a s e 1.0 1、 2.7 Mのプライマー を各 5 / / し 2. 5mM dNTP 1 1ぉょび蒸留水33 1を加え液量を 5 1 lとした。 PCR反応は、 95°C ' 30秒の後、 95°C ' 30秒、 55 °C ' l分、 68 °C · 8分のサイクルを 12回繰り返して行った。 該反応後、 PC R反応液に 1 1の制限酵素 Dpn lにより消化した。 消化後、 大腸菌 XL— B l u eに形質転換し、 選択した大腸菌を培養後、 DNAを抽出し、 ビッグダイ ターミネータ一サイクルシークェンシング V e r 2 (AB I社) を用いてシーク エンス反応を行い、 3700 DNAシーケンサ一 (AB I社) により塩基配列を 決定し、 配列番号: 20および配列番号: 2 1と一致するクローンを選択した。 実施例 Ί
HTRA 3のアンチセンスによるアポ ] ^一シス抑制活性の検討— 2—
(P ANC- 1細胞の追加と mRN A減少め確認)
実施例 2で述べた HTRA 3のアポト一シス抑制活性をさらに検証するため に、 被験細胞として滕臓癌由来細胞株 PANC— 1 (Int. J. Cancer, ί5巻、 741- 747頁、 1975年、 ATCCより購入) を用いて、 同様の実験を行った。 HTRA 3アンチセンスオリゴヌクレオチド (配列番号: 3) とコントロールオリゴヌク レオチド (配列番号: 4) は実施例 2で述べた phosphorothioate化オリゴヌクレ
ォチドを用いた。
1ゥエル当たり 1 0000細胞の P ANC— 1を、 1 2ゥエルプレート ( Falcon社) に播種した。 3 7°C、 5 % C O 2の条件で 2日間培養後、 オリゴヌク レオチドを導入した。 オリゴヌクレオチド導入には TransFast Reagent (Promega
5 社) を使用し、 その標準実験プロトコールに従った。 オリゴヌクレオチドを導入 し、 3 7°C、 5 %C02の条件で 2日間培養後、 アポ! シス抑制活性について 検討した。 細胞の有するアポトーシス活性は、 カスパーゼ 3および 7の酵素活性 を測定することによって定量した。カスパーゼ 3および 7の酵素活性は、 Apo-ONE Homogeneous Caspase-3/7 Assay (Promega社) を用い、 1ゥエル当たり 500 1 :LO 'の基質溶液を使用し、 標準の実験プロトコ一ルに従って定量した。
その結果、 コントロール (リバース) オリゴヌクレオチド導入細胞 (1 0 0 %
) と比較し、 アンチセンスオリゴヌクレオチド導入細胞において、 顕著なカスパ ーゼ 3および 7の酵素活性の上昇が認められた (1 33 %) 。 すなわちアンチセ ンスオリゴヌクレオチド導入によって PAN C— 1細胞においても B X P C—
15 3細胞と同様のアポトーシスが誘導され、 H T R A 3がァポトーシス抑制活性を 有することが示された。
さらに同バッチで HTR A 3遺伝子の mRNAの減少を測定した。 オリゴヌク レオチドを導入した後、 37°C、 5 %C〇2の条件で 6時間培養後、 RNeasy Mini Kit (QIAGEN社)を用いて total RNA抽出を標準の実験プロトコ一ルに従って行つ
20 た。 total R Aから、 TaqMan Gold RT-PCR Kit (Applied Biosystems社) を用い て逆転写反応を行い、 cDNA溶液を得た。 該反応における反応液の組成と反応条件 は添付の標準実験プロトコ一ルに従った。
HTR A 3遺伝子の発現量は TaqMan PCR法を用いて定量した。 プライマーとし て配列番号: 22と配列番号: 2 3に表したオリゴヌクレオチドを用いた。 プロ
25 ーブとして、 配列番号: 24に表した FAM, TAMRA標識オリゴヌクレオチ ドを用いた。 TaqMan PCRは、 TaqMan Universal Mixture (Applied Biosystems社 )を用いて、 その標準の寒験プロトコ一ルに従って行った。 各々のプライマーの 終濃度は 250 nM、 プローブの終濃度は 100 nMとした。 PCR反応は、 95°C: 15秒と 65で: 60秒の 40サイクルとした。
さらに HTRA3遺伝子発現量の内部標準は、 G A P D H遺伝子の発現量とし た。 GAPDH遺伝子の発現量の定量は、 TaqMan GAPDH Control Reagents (Applied Biosystems社)を用い、 その標準の実験プロトコールに従って行った。
HTR A 3遺伝子の TaqMan PCRを行い、 その発現量を G A P D H遺伝子で補正 した結果、 コントロール (リバース) オリゴヌクレオチド導入細胞 (1 00%) と比較し、 アンチセンスオリゴヌクレオチド導入細胞において、 顕著な HTRA 3遺伝子の mRNAの減少が認められた (49%) 。 すなわちアンチセンスオリ ゴヌクレオチド導入によって HTRA 3遺伝子の mRNAの減少が示され、 細胞 のアポ 1 ^一シス誘導ほこの HTRA 3遺伝子の mRNAの減少に起因する可能 性が示された。 ,
実施例 8
T R A 3の一過性発現によるアポト一シス抑制活性の検討
HTRA3遺伝子のアポトーシス抑制活性について検討するために、 H T R A 3発現ベクター導入実験を行った。 HTRA 3発現ベクターは、 実施例' 3で得ら れた配列番号: 14で表される ORFを全て含有する発現べクタ一 2)を用いた。 コントロールとして対応する空べクタ一である p 3 XFLAG— CMV 14を用 いた。 さらにアポトーシス抑制活性におけるセリンプロテア一ゼ活性の役割を考 察するために、配列番号: 2.0に表される HTRA 3遺伝子の発現ベクター 6) (夕 ンパク配列として 305番目のセリン残基がァラニン残基に置換している変異 体 (配列番号: 25)) を用いた。
被験細胞として塍臓癌由来細胞株 PAN C— 1 (Int. J. Cancer、 15巻、 741-747 頁、 1975年、 ATCCより購入) を用いた。 1ゥエル当たり 10000細胞の P A NC— 1を、 96ゥエル ·透明底ブラックプレート (Falcon社) に播種した。 3 7°C、 5 %C02の条件で 2日間培養後、 各々の空べクタ一、 発現ベクター 2)、 6)を導入した。 導入には TransfasT Reagent (Promega社) を使用し、 その標準 実験プロトコールに従った。 各々の空ベクター、 発現べクタ一の終濃度は InMと した。 導入して、 37で、 5 %C02の条件で 2日間培養後、 アポトーシス抑制 活性について検討した。 細胞の有するアポトーシス活性は、 カスパーゼ 3および 7の酵素活性を測定することによって定量した。 カスパーゼ 3および 7の酵素活
性は、 Apo-ONE Homogeneous Caspase-3/7 Assay (Promega社) を用い、 1ゥェ ル当たり 50 Lの基質溶液を使用し、標準の実験プロトコ一ルに従って定量した。 その結果、 コント口一ル (空べクタ一: p 3 XFLAG— CMV 14) 導入細 胞 (1 00 %) と比較し、 HTRA 3発現べクタ一 2)導入細胞において、 顕著な カスパーゼ 3および 7の酵素活性の抑制が認められた (7 5 %)。 さらに 30 5 番目のセリン残基をァラニン残基に置換した HTR A 3の発現べクタ一 6)導入 細胞においてはこの抑制効果は認められなかった (1 02 %)。 すなわち HTR A3のアポトーシス抑制活性について、 セリンプロテァ一ゼ活性が重要であるこ とが示された。
同様の実験を大腸癌由来細胞株 SW480 (J. Natl. Cancer Inst., 58巻、 209- 214頁、 1977年、 ATCCより購入) を用いて行った。 1ゥエル当たり 1 0 0 0 0細胞の SW480を、 9 6ゥエル ·透明底ブラックプレート (Falcon社) に播 種した。 37° (:、 5 %C02の条件で 2日間培養後、 各々の空べクタ一、 発現べ クタ一 2)、 6)を導入した。 導入には Transfast Reagent (Promega社) を使用し、 その標準実験プロトコールに従った。 各々の空ベクター、 発現べクタ一の終濃度 は InMとした。 導入して、 37°C、 5 %C〇2の条件で 2日間培養後、 アポトー シス抑制活性について検討した。 細胞の有するアポト一シス活性は、 カスパーゼ 3.および、 7の酵素活性を測定することによって定量した。 カスパーゼ 3および 7 の酵素活性は、 Apo- ONE Homogeneous Caspase- 3/7 Assay (Promega社) を用い、 1ゥエル当たり の基質溶液を使用し、 標準の実験プロトコールに従って定 量した。
その結果、 コント口一ル (空べクタ一: P 3 XFLAG— CMV 14) 導入細 胞 (1 0 0 %) と比較し、 HTRA3発現べクタ一 2)導入細胞において、 顕著な カスパーゼ 3および 7の酵素活性の抑制が認められた (49 %)。 さらに 3 0 5 番目のセリン残基をァラニン残基に置換した HTRA 3の発現ベクター 6)導入 細胞においてはこの抑制効果は認められなかった (1 04%)。 すなわち PAN C一 1細胞における同様のアポ卜一シス抑制活性が SW48 0細胞についても 認められ、 またセリ プロテアーゼ活性が重要であることが示された。
実施例 9
0
84
HTR A 3のアンチセンスによるアポトーシス抑制活性の検討— 3 - (アンチセンスオリゴヌクレオチドの追加)
HTRA3遺伝子のァポトーシス抑制活性についてさらに検証するために、 実 施例 2で述べた HTR A 3アンチセンスオリゴヌクレオチドとは異なる配列の , アンチセンスオリゴヌクレオチド導入実験を行った。. HTR A 3全長配列
(GenBank:AY040094) に対するアンチセンス (配列番号: 26および配列番号: 28) を設計後、 phosphorothioate化オリゴヌクレオチドを合成し、 HPLC精 製して導入実験に甩いた (SigmaGenosys社)。 コントロールオリゴヌクレオチド として配列番号: 26および配列番号: 28で表される塩基配列のリバース配列 (配列番号: 2 7および配列番号: 2 9) を同様に phosphorothioate化し、 H PLC精製して用いた (Sigma Genosys社)。
被験細胞として塍臓癌由来細胞株 PANC— 1 (Int. J. Cancer、 15巻、 741-747 頁、 1975年、 ATCCより購入) を用いた。 1ゥヱル当たり 1 00 00細胞の PA NC— 1を、 96ゥエル ·透明底ブラックプレート (Falcon社) に播種した。 3 7°C、 5%C02の条 ί牛で 2日間培養後、 オリゴヌクレオチドを導入した。 オリ ゴヌクレオチド導入には Transfasr Reagent (Promega社) を使用し、 その標準 実験プロトコールに従った。 オリゴヌクレオチドを導入し、 3 7°C、 5 %C02 の条件で 2日間培養後、 アポトーシス抑制活性について検討した。 細胞の有する アポトーシス活性は、 カスパーゼ 3および 7の酵素活性を測定することによって 定量した。 カスパーゼ 3および 7の酵素活性は、 Apo- ONE Homogeneous
Caspase- 3/7 Assay (Promega社) を用い、 1ゥエル当たり 50 _iLの基質溶液を使 用し、 標準の実験プロトコ一ルに従って定量した。
'その結果、 コントロール (リバース) オリゴヌクレオチド導入細胞 (1 0 0 %) と比較し、 アンチセンスオリゴヌクレオチド導入細胞において、 顕著なカスパー ゼ 3および 7の酵素活性の上昇が認められた (配列番号: 2 7に対して配列番 号: 26の上昇率は 1 58 %、 配列番号: 2 9に対して配列番号: 2 8の上昇率 は 1 37%)。 実施例 2の結果と併せて、 アンチセンスオリゴヌクレオチド導入 によって細胞のアポ卜一シスが誘導され、 HTRA 3がアポトーシス抑制活性を 有することが強く示された。
実施例 10
ヒト HTR A 3の自己消化により生じる 37 kD aタンパク質の取得
FLAG—標識 HTRA3発現ベクター 2) (配列番号 14) を HEK293 細胞株にトランスフエクシヨンし、 750 g/m 1 G41 8により選択し、 FLAG -標識 HTRA3安定発現株を単離した。 F L A G—標識 HT R A 3安 定発現株を、 10%FB Sを含む DMEMで 6日間培養後、 培養上清 450 m 1を取得した。 得られた培養上清を 2500 r pmで 10分間遠心後、 10倍濃 度の TBSを加えた。 500 1の F LAG抗体ビーズ (シグマ社) カラムに 上清を添加し、 2 Οπί 1の TB Sでカラム洗浄後、 100 g/m 1の 3 XFL AGペプチド(シグマ社) 500 1で 5回溶出 た (フラクション 1一 5)。 得 られたフラクション 2を 12 % SD S— PAGEゲルで電気泳動し、 PVD Fメンブレン(ミリポア社)に転写した。 転写したメンブレンは M i 1 1 i- Qで 洗浄後、 0. 1 % CBB— R250、 45 % Me OH, 1 0 % Ac e t a t eを含む染色液で 5分間染色した。染色後、 45% Me〇H、 10 % A c e t a. t eで 1 5分間脱色した。 M i l l i- Qで 3回洗浄後、 90 % Me OH、 7 % A c e t a t eで 40秒間脱色した。 乾燥後、 メンブレンから 3 7 kD aのバンドを切り抜いてァミノ末端シークェンスに供した。 ァミノ末端シ —クエンスは株式会社ァプロサイエンスに委託した。 その結果、 S SPRYの 5 アミノ酸残基が決定され、 ヒ卜 HTRA 3の自己消化により生じる 37 kD aの タンパク質の配列は、 配列番号: 30に示す 320アミノ酸残基の配列と決定さ れた。
実施例 1 1
I GFBP- 2および 5の切断
実施例 10で取得した FLAG—標識 HTR A 3安定発現株を OPT I一 M EM (インビトロジェン社)で 3日間培養後、 培養上清 400 m lを取得した。 得られた培養上清を 2000 r pmで 10分間遠心後、 10倍濃度の TBSを 加えた。 5 m lの FLAG抗体ビーズ (シグマ社) カラムに上清を添加し、 2 00m 1の TB Sでカラム洗浄後、 100 g Zm 1の 3 X F L A Gペプチド (シグマ社) 5 m lで 4回溶出した (フラクション 1—4) 。 得られたフラクシ
ヨン 2および 3を S l i d e A L i z e r (ピアス社) で TB Sに対して 3回 透析し、 1. 4 mgZm 1の FLAG—標識 HTRA3を得た。 次に、 粗精製 した HTRA3 : 0. 94 を 1 25 nM . I GFBP— 5 (オーストラル バイオロジカルズ社) 、 2 5 mM He p e s (pH 7.4)、 2 5 mM CH ES、 50 mM NaC l、 0.02 5 % Twe e n 2 0、 1. 5 mM DT Tを含む 20 lの反応液中において 37°Cで 14. 5 h r反応させた。 また、 粗 精製 HTRA3 : 1. 4 8を1 2 5 '11 I GFBP— 2 (オーストラルバ ィォロジカルズ社) 、 2 5 mM He p e s (pH 7.4)、 2 5 mM CHE S、 5 0 mM Na C l、 1.02 5 % Twe e n 2 0, 1. 5 mM DT Tを含む 20 ^lの反応液中において 37°Cで 1 2 h r反応させた。 反応後、 2 0 1の 2 X 1 a emm 1 i バッファ一( 5 % ]3メルカプトメタノール)を加 えて 9 8°Cで 5分間処理し、 1 5— 2 5 % グラジェントゲル (第一化学薬品) で SDS— PAGEを行い、 PVDF膜(アマシャム社)に転写した。 転写後 PV DF膜は B l o c k Ac e (大日本製薬株式会社) で 1時間ブロッキングを行つ た後、 0. 1 % Twe e n 20 を含む T B Sで 3回洗浄 (各 5分間) し、 0. 2 g/m 1の I GF B P _ 2抗体 (R&Dシステムズ社) または 1 gZm 1の I GF BP— 5钪体 (オーストラルバイオロジカルズ社) と 2時間反応させ た。その後 0. 1 %' Twe e n 20 を含む T B Sで 3回洗浄(各 5分間)し、 0. 1 % Twe e n 20 を含む T B Sで 1 00 00倍希釈した A 1 k a 1 i n e Ph o s p h a t a s e標識抗ャギまたは抗マウス IgG抗体 (シグマ社) で 1時間反応させた。 反応後、 We s t e r n B l u e S t a b i l i z e d S u b s t r a t e f o r A l k a l i n e P h o s p h a t a s e (プロ メガ社)により発色した。 その結果、 HTRA3により I GFB P— 2のバンド が減少し、 30 kD aの分解産物と思われるバンドが見られた。 また、 HTR A 3により I GF B P— 5のバンドが消失した。 以上の結果から、 HTRA3に より I &?8?— 2ぉょび1 GFBP— 5が分解されることが示された。 産業上の利用可能性
本発明で用いられるタンパク質は、 癌細胞に特異的に発現し、 癌の診断マーカ
一であり、 したがって、 該タンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩、 該 タンパク質遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩は、 例えば、 大腸癌、 乳 癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましく は、 塍臓癌など) の予防 '治療剤として安全に使用することができる。 さらに、 該タンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩、 該タンパク質遺伝子の発現 を阻害する化合物またはその塩は、例えば、アポト一シス誘導(または促進)剤、 プロテアーゼ阻害剤などとして安全に使用することもできる。
また、 本発明のアンチセンスポリヌクレオチドや抗体は、 本発明で用いられる タンパク質の発現を阻害することができ、例えば大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状 腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍または血液腫瘍などの癌 (好ましくは、 塍臓癌など) の予 防 ·治療剤として、 あるいはアポト一シス誘導 (または促進) 剤、 プロテアーゼ 阻害剤などとして安全に使用することができる。