ァレルギ一性疾患の検查方法、 および治療のための薬剤 技術分野
本発明は、 アレルギー性疾患に関連する T R 3または T I NU R遺伝子の発現 を指標としたアレルギー性疾患の検査方法、 およびアレルギー性疾患治療薬候補 化合物のスクリーニング方法、 並びにアレルギー性疾患の治療のための薬剤に関 する。 背景技術
アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患は、 多因子性の病気 (mult actorial diseases)と考えられている。 これらの病気は多くの異なる遺伝子の発現の相 互作用によって起こり、 これらの個々の遺伝子の発現は、 複数の環境要因によつ て影響を受ける。 このため、 特定の病気を起こす特定の遺伝子を解明することは、 非常に困難である。
またアレルギー性疾患には、 変異や欠陥を有する遺伝子の発現や、 特定の遺伝 子の過剰発現や発現量の減少が関わっていると考えられている。 病気に関して遺 伝子発現が果たしている役割を解明するためには、 遺伝子が発症にどのように関 わり、 薬剤などの外的な刺激が遺伝子発現をどのように変化させるのかを理解す る必要がある。
近年の遺伝子発現の解析技術の発達により、 多くの臨床試料で、 遺伝子の発現 を解析 '比較することが可能となった。 このような方法としては、 ディファレン シャルディスプレイ(DD)法が有用である。 ディファレンシャルディスプレイ法 は、 ライアンおよびパディ一 (Liang and Pardee)によって 1992年に最初に開発 された(Science, 1992, 257 : 967- 971)。 この方法を用いることによって、 1回に
数十種類以上のサンプルをスクリーニングすることができ、 それらのサンプル中 で発現が変化した遺伝子を検出することが可能である。 このような方法を用いて、 変異が生じた遺伝子や、 時間や環境とともに発現が変わるような遺伝子を調べる ことによって、 病因遺伝子の解明のために重要な情報がもたらされることが期待 される。 これらの遺伝子には、 環境要因によって発現に影響を受けるような遺伝 子も含まれる。
さて、 現在アレルギー性疾患の診断においては、 一般に、 問診、 家族歴、 そし て本人の既往症の確認が重要な要素となっている。 またアレルギーをより客観的 な情報に基づいて診断するために、 血液を試料とする試験方法や、 アレルゲンに 対する患者の免疫学的な応答を観察する方法も実施されている。 前者の例として、 ァレルゲン特異的 IgE測定、 白血球ヒスタミン遊離試験、 あるいはリンパ球幼 若ィ匕試験等が挙げられる。 アレルゲン特異的 IgEの存在は、 そのアレルゲンに 対するアレルギー反応の証明である。 しかし患者によっては、 必ずしもアレルゲ ン特異的な IgE を検出できるとは限らない場合もある。 また、 その測定原理上、 診断に必要なアレルゲンの全てに対して、 試験を実施しなければならない。 白血 球ヒスタミン遊離試験ゃリンパ球幼若化試験は、.免疫システムのアレルゲンに対 する反応を i/z τ 'ί οで観察する方法である。 これらの方法は、 操作が煩雑であ る。
一方、 患者を実際にアレルゲンに接触させたときに観察される免疫応答をァレ ルギ一の診断に役立てる方法 (後者) も公知である。 プリック ·テスト、 スクラ ツチ ·テスト、 パッチ ·テスト、 皮内反応、 あるいは誘発試験等が、 この種の試 験に含まれる。 これらの試験では、 患者のアレルギー反応を直接診断することが できる反面、 実際に被検者をアレルゲンに曝露する侵襲性の高い検査であると言 うことができる。
この他、 アレルゲンにかかわらず、 アレルギー反応の関与を証明するための試 験方法も試みられている。 例えば、 血清 IgE値が高値である場合、 その患者に
はアレルギー反応が起きていると推定することができる。 血清 IgE値は、 ァレ ルゲン特異 IgEの総量に相当する情報である。 ァレルゲンの種類にかかわらず I gEの総量を決定することは容易であるが、 非ァトピー型気管支炎等の疾患を持 つ患者では、 IgEが低値となる場合がある。
好酸球数と ECP値は、 I型アレルギーに引き続いて起きる遅延型反応や、 ァ レルギ一性炎症反応に関連する診断項目である。 好酸球の数は、 アレルギー症状 の進展を反映するとされている。 また、 好酸球の顆粒に含まれるタンパク質であ る ECP (eosinophil cationic protein)も、 喘息患者の発作に伴って強く活性化 される。 これらの診断項目は、 確かにアレルギー症状を反映するものではある。 し力 し、 実際に診断の指標とできる範囲は限られている。
従って、 アレルゲンにかかわらず、 アレルギー患者の病態の把握や治療方針の 決定に役立てることができる診断指標が求められていた。 患者に対する危険が少 なく、 しかも診断に必要な情報を容易に得ることができるァレルギ一性疾患のマ 一力一は非常に有用である。 アレルギー性疾患に関連する遺伝子を同定すること ができれば、 該遺伝子の発現を指標とすることにより、 アレルギー性疾患の検査 が可能となる。 さもに、 該タンパク質の細胞における機能が解明すれば、 その機 能に関する知見を基に、 アレルギー性疾患の治療方法、 および治療のための薬剤 の開発が進むものと期待される。 発明の開示
本発明は、 このような状況に鑑みてなされたものであり、 その目的は、 アレル ギー性疾患に関連する遺伝子を同定することにある。 さらに、 本発明は、 該遺伝 子の発現を指標としたアレルギー性疾患の検查方法、 およびアレルギー性疾患治 療薬候補化合物のスクリーニング方法、 並びにアレルギー性疾患の治療のための 薬剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、 鋭意研究を行った。 一般に好酸球は、 アトピー性皮膚炎の代表的な臨床指標とされていることから、 本発明者らは、 好 酸球において発現レベルが変化する遺伝子を単離することができれば、 ァトピー 性皮膚炎に直接的に関与する遺伝子の単離が可能となるものと考えた。
まず、 本発明者らは、 アレルギー性疾患特異的に発現量が異なる遺伝子の同定 を試みた。 アトピー性皮膚炎患者の種々の病態 (軽症、 重症ステロイド感受性、 重症ステロイド抵抗性) と健常人の末梢血好酸球で発現している遺伝子について、 ジーンチップを用いてディファレンシャルな発現比較解析を行った。 3倍以上の 発現変動のあった遺伝子を選別し、 既知遺伝子が主として載っている Aチップ 遺伝子約 12, 000個の中から、 TR3遺伝子を選択した。 健常を含めて各群 2例の 好酸球 R Aをジーンチップにかけ、 各症例間 2 x 2で 4通りの発現比較を行った。 TR3は、 健常と重症 (ステロイド感受性) 間の 4つすベての組合せにおける発現 比較において、 いずれも 3倍以上変動 (重症で亢進) していることが分かった。 そこで、 より n数の多いァトピー性皮膚炎患者と健常人の末梢血好酸球パネルで、 RT-PCRによる遺伝子の発現定量を行ったところ、 健常人く患者というジーンチ ップで得られた結果が再現した。 ,
TR3は核内ォーファン受容体サブフアミリーの orタイプとして知られている 力 これまでのところ、 アレルギー性疾患との関連については報告されていない。 さらに本発明者らは、 TR3との機能的な類似性が予測される核内ォーファン受 容体サブフアミリ一の βタイプである TINURについて、 TR3と同様に例数が一 群 10例以上まとまつた同じ患者末梢血好酸球パネルを用いて、 ΑΒΙ7700により 健常人と患者との発現比較を行った。 その結果 TINUR遺伝子の発現は、 健常に 比してアトピー性皮膚炎患者で症例の強弱にはあまりかかわりなく有意に亢進す ることが確認された。 TR3同様、 これまでのところ、 TINUR遺伝子とアレルギー 性疾患との関連については報告されていない。
ァトピー性皮膚炎患者の末梢血好酸球で、 アポトーティックな性格が示唆され るような遺伝子の亢進が見られるのは、 病態に伴って末梢血で増加する好酸球を 減少させなければならないというネガティブフィードパック制御が働くためと考 えられる。 従って、 TR3または TINUR遺伝子の発現誘導は治療効果と相関する可 能性が高いものと考えられる。
本努明の TR3または TINUR遺伝子の発現量を指標とすることにより、 ァレル ギー性疾患を検查することが可能である。
また、 TR3および TINUR受容体はォーファン受容体であり生体内リガンドゃ活 性ィ匕物質はこれまでのところ見つかっていなかった。 本発明者らは、 リガンドの 探索のためのハイスル一プット系を開発し、 この系を使用することにより TR3 または TINUR の転写活性化作用を有すると考えられる化合物の取得に成功した。 該化合物はシクロペンテノン構造を持つプロスタグランジン (PGA誘導体) であ り、 TR3または TINUR受容体の生体内リガンドである可能性が考えられた。 また、 該受容体のリガンド結合ドメイン (LBD)領域を欠失させた変異体を用いた実験か ら、 プロスタグランジン誘導体が実際に該受容体の LBD領域に作用して働くこ とが示唆された。 さらに、 ビアコアを利用した実験から、 PGA誘導体が TR3およ ぴ TINURへ結合することが証明された。
即ち本発明者らは、 アレルギー性疾患治療薬候補化合物のスクリーニングを行 うことが可能であること、 および、 PGA誘導体が TR3もしくは TINURのリガンド 活性物質であることを見出した。
さらに本発明者らは、 ファーマコフォアモデルにより、 PGA誘導体の TR3リガ ンド結合領域に対する結合位置をシミュレートし、 PGA誘導体のレポーター系に おける構造活性相関情報から、 結合ポケットに適合する PGA誘導体以外の化合 物をデータベースより選択した。 これらの化合物は、 TR3受容体のリガンドとし て機能することが期待される。
TR3または TINUR遺伝子の発現を誘導する化合物、 あるいは TR3または TINUR 受容体と結合し、 転写活性を促進する化合物 (例えば、 リガンド活性物質) は、 ァレルギ一性疾患に対する治療効果が期待される。
また本発明者らは、 好酸球 CD30に対するァゴニスト活性をもった抗 CD30抗 体で細胞のアポトーシス刺激を行ったところ、 培養末梢血好酸球中で TR3およ ぴ TINURの発現が劇的に誘導されることを初めて見出した。 このことから、 好 酸球 CD30 リガンド刺激によって、 TR3 もしくは TINUR遺伝子の発現を上昇させ、 好酸球における TR3または TINURの下流遺伝子の発現を制御することによって 好酸球のアポトーシスを誘導することを機序とするアレルギー性疾患治療薬が提 供される。
本発明は、 アレルギー性疾患時、 活性ィヒした好酸球において高い発現を示す τ
R3または TINUR遺伝子の発現を指標としたァレルギ一性疾患の検査方法、 およ ぴァレルギ一性疾患治療薬候補化合物のスクリ一ユング方法、 並ぴにァレルギ一 性疾患の治療のための薬剤に関し、 より具体的には、
〔1〕 次の工程を含む、 アレルギー性疾患の検查方法、
( a ) 被検者の好酸球細胞における、 T R 3または T I NU R受容体タンパク質、 または前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを測定する工程
( b ) 健常者の好酸球細胞における前記夕ンパク質または遺伝子の発現レベルと 比較する工程
〔2〕 遺伝子の発現レベルを、 cDNAの PCRによって測定する、 〔1〕 に記 载の検査方法、
〔3〕 アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、 〔1〕 または 〔2〕 に 記載の検查方法、
〔4〕 T R 3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオ チド、 またはその相補鎖に相補的な塩基配列を有する少なくとも 1 5塩基の長さ を有するオリゴヌクレオチドからなる、 ァレルギ一性疾患検查用試薬、
〔5〕 次の工程 (1) および (2) を含む、 候補化合物が下記 (a) または ( b ) に記載のポリヌクレオチドの発現レベルに与える影響を検出する方法、
(1) 下記 (a) または (b) に記載のポリヌクレオチドを発現する細胞に候補 化合物を接触させる工程
(a) TR 3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチ
K
(b) TR 3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチ ドとストリンジェントな条件下でハイプリダイズするポリヌクレオチドであつて、 ァトピー性皮膚炎患者の好酸球において発現が増加するタンパク質をコードする ポリヌクレオチド
(2) 前記 (a) または (b) に記載のポリヌクレオチドの発現レベルを測定す る工程
〔6〕 細胞が株化白血球細胞である 〔5〕 に記載の方法、
〔7〕 次の工程 (1) および (2) を含む、 候補化合物が下記 (a) または (b) に記載のポリヌクレオチドの発現レベルに与える影響を検出する方法、
(a) TR 3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチ ド
(b) TR 3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチ アトピー性皮膚炎患者の好酸球において発現が増加するタンパク質をコードする ポリヌクレオチド
(1) 被検動物に候補化合物を投与する工程、 および
(2) 被検動物の好酸球細胞における前記 (a) または (b) に記載のポリヌク レオチドの発現強度を測定する工程
〔8〕 〔5;] 〜 〔7〕 のいずれかに記載の方法によって、 前記発現レベルに 与える影響を検出し、 対照と比較して前記発現レベルを上昇させる化合物を選択
する工程を含む、 前記 (a) または (b) に記載のポリヌクレオチドの発現レべ ルを上昇させる化合物のスクリーニング方法、
〔9〕 次の工程 (1) および (2) を含む、 侯補化合物が TR3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現レベルに与える影 響を検出する方法、
(1) TR 3または T I NUR受容体タンパク質をコードする遺伝子の転写調節 領域と、 レポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有する D N Aを含む細胞 または細胞抽出液と、 候補化合物を接触させる工程、 および
(2) 前記レポーター遺伝子の活性を測定する工程
〔10〕 〔9〕 に記載の方法によって、 候補ィヒ合物の前記活性に与える影響 を検出し、 対照と比較して前記活性を上昇させる化合物を選択する工程を含む、 TR3または T I NUR受容体タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを上 昇させる化合物のスクリーニング方法、
〔11〕 次の工程 (1) 〜 (3) を含む、 アレルギー性疾患治療薬のための 候補化合物をスクリーニングする方法、
(1) TR 3または T I NUR受容体タンパク質と被験ィ匕合物を接触させる工程
(2) TR3または T I NUR受容体タンパク質と被験化合物との結合活性を測 定する工程
(3) TR 3または T I NUR受容体タンパク質と結合する化合物を選択するェ 程
〔12〕 次の工程 (1) 〜 (4) を含む、 アレルギー性疾患治療薬のための 侯補化合物をスクリーニングする方法、
(1) TR 3もしくは T I NUR受容体タンパク質、 または該タンパク質のリガ ンド結合領域と転写調節領域結合タンパク質との融合タンパク質を発現し得る D NA、 およぴ該転写調節領域結合タンパク質の結合する DNA配列の下流にレポ
ータ一遺伝子が機能的に結合した構造を有する DNA、 を導入した細胞を提供す る工程
(2) 前記細胞と被検化合物を接触させる工程
(3) 前記レポーター遺伝子の活性を測定する工程
(4) 前記活性を変化させる化合物を選択する工程
〔1 3〕 〔10〕 〜 〔12〕 のいずれかに記載のスクリーニング方法によつ て得ることができる化合物を有効成分として含有する、 アレルギー性疾患治療薬、
〔14〕 〔10〕 〜 〔12〕 のいずれかに記載のスクリーニング方法によつ て得ることができるシクロペンテノン構造を有するプロスタグランジンを有効成 分として含有するアレルギー性疾患治療薬、
〔1 5〕 TR 3もしくは T INUR受容体のリガンドを有効成分として含有 するァレルギ一性疾患治療薬、
〔16〕 TR3もしくは T I NUR受容体のリガンドが、 シクロペンテノン 構造を有するプロスタグランジンである、 〔15〕 に記載のアレルギー性疾患治 療薬、
〔1 7〕 シクロペンテノン構造を有するプロスタグランジンが、 プロスタグ ランジン A2、 プロスタグランジン Aい 15-ェピ プロスタグランジン Aい 15 (R)- 15 -メチ/レプロスタグランジン A2、 16-フエノキシ テトラノル プロスタグ ランジン A2、 17-フエニル トリノル プロスタグランジン A2、 15-デォキシ-デ ルタ 12, 14-プロスタグランジン 、 15 デォキシ-デルタ 12, 14-プロスタグラン ジン J2、 および 8 -イソ プロスタグランジン からなる群より選択される、 〔16〕 に記載のアレルギー性疾患治療薬、
〔18〕 TR 3受容体のリガンドが、 表 14〜49に掲載されたいずれかの 化合物である、 〔15〕 に記載のアレルギー性疾患治療薬、
〔19〕 アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、 〔13〕 〜 〔18〕 のいずれかに記載の治療薬、
〔20〕 下記の (a) または (b) に記載のポリヌクレオチドの好酸球細胞 における発現強度を低下させたトランスジヱニック非ヒト脊椎動物からなるァレ ルギー性疾患モデル動物、
(a) TR 3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチド (b) TR 3または T I NUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチド とストリンジヱントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、 ァトピー性皮膚炎患者の好酸球において発現が増加するタンパク質をコードする ポリヌクレオチド
〔21〕 トランスジエニック動物が、 ノックアウト動物である 〔20〕 に記 載のモデル動物、
[22〕 細胞における TR 3または T I NUR受容体タンパク質を活 14化さ せることを特徴とする、 細胞のアポトーシス誘導方法、
〔23〕 〔10;] 〜 〔12〕 のいずれかに記載のスクリーニング方法によつ て得ることができる化合物またはシクロペンテノン構造を有するプロスタグラン ジンと、 細胞を接触させる工程を含む、 〔22〕 に記載のアポトーシス誘導方法、 〔24〕 細胞が好酸球細胞である、 〔22〕 または 〔23〕 に記載のアポト 一シス誘導方法、
〔25〕 [10] ~ [12] のいずれかに記載のスクリーニング方法によつ て得ることができる化合物またはシクロペンテノン構造を有するプロスタグラン ジンを含む、 アポトーシス誘導剤、
〔26〕 TR3もしくは T I NUR受容体のリガンドを有効成分として含有 するアポトーシス誘導剤、
〔27〕 TR 3もしくは T I NUR受容体のリガンドが、 シクロペンテノン 構造を有するプロスタグランジンである、 〔26〕 に記載のアポトーシス誘導剤、 〔28〕 シクロペンテノン構造を有するプロスタグランジンが、 シクロペン テノン構造を有するプロスタグランジンが、 プロスタグランジン A2、 プロスタ
グランジン 、 15-ェピ プロスタグランジン Aい 15 (R) - 15-メチルプロスタグ ランジン A2、 16-フエノキシテトラノル プロスタグランジン A2、 17 -フエニル トリノル プロスタグランジン A2、 15-デォキシ-デルタ 12, 14-プロスタグラン ジン 、 15 デォキシ-デルタ 12, 14-プロスタグランジン J2、 および 8-イソ プ ロスタグランジン からなる群より選択される、 〔2 7〕 に記載のアポトーシ ス誘導剤、
〔2 9〕 T R 3受容体のリガンドが、 表 1 4〜4 9に掲載されたいずれかの 化合物である、 〔2 6〕 に記載のアポトーシス誘導剤、
〔3 0〕 好酸球 C D 3 0受容体のリガンドを含む、 T R 3もしくは T I NU R遺伝子発現誘導剤、 を提供するものである。
本発明者らは、 TR3または TINUR遺伝子が、 アトピー性皮膚炎の患者の好酸球 において発現量が増加することを見出した。 従って、 TR3または TINUR遺伝子の 発現レベルを指標することにより、 被検者に対してァレルギ一性疾患の検查を行 うことができる。
本発明は、 TR3または TINUR遺伝子の発現レベルを測定することを特徴とする、 アレルギー性疾患の検査方法を提供する。
本発明の方法の好ましい態様においては、 次の工程を含む。
( a ) 被検者の好酸球細胞における、 TR3または TINUR受容体タンパク質をコー ドする遺伝子の発現レベルを測定する工程
( b ) 健常者の好酸球細胞における前記遺伝子の発現レベルと比較する工程 TR3または TINUR受容体は、 3つのサブフアミリ一を構成する核内ォーファン 受容体のそれぞれ 、 β タイプである。 表 1に示すように核内ォーファン受容 体は種々の呼び名を持っており、 本発明における 「TR3遺伝子」 、 「TINUR遺伝 子」 とは、 必ずしもヒト由来の遺伝子に限定して解されるべきではない。
表 1
これら TR3または TINUR受容体タンパク質のアミノ酸配列、 およぴそれぞれ のタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に関する情報は、 当業者においては 公知の各種遺伝子データベース等から容易に取得することができる。 具体的には、 ヒ ト TR3受容体タンパク質をコードする遺伝子 (TR3遺伝子) の塩基配列を配列 番号: 1に、 ヒ ト TR3 受容体タンパク質のアミノ酸配列を配列番号: 2に示す。 また、 ヒ ト TINUR受容体タンパク質をコードする遺伝子 (TINUR遺伝子) の塩基 配列を配列番号: 3に、 ヒ ト TINUR受容体タンパク質のアミノ酸配列を配列番 号: 4に示す。
本発明において、 アレルギー' 14疾患(allergic disease)とはアレルギー反応 の関与する疾患の総称である。 より具体的には、 アレルゲンが同定され、 アレル ゲンへの曝露と病変の発症に深い結びつきが証明され、 その病変に免疫学的な機 序が証明されることと定義することができる。 ここで、 免疫学的な機序とは、 ァ レルゲンの刺激によって白血球細胞が免疫応答を示すことを意味する。 アレルゲ ンとしては、 ダニ抗原や花粉抗原等を例示することができる。
代表的なアレルギー性疾患には、 気管支喘息、 アレルギー性鼻炎、 アトピー性 皮膚炎、 花粉症、 あるいは昆虫アレルギー等を示すことができる。 アレルギー素 因(allergic diathesis)とは、 アレルギー性疾患を持つ親から子に伝えられる 遺伝的な因子である。 家族性に発症するアレルギー性疾患はァトピー性疾患とも 呼ばれ、 その原因となる遺伝的に伝えられる因子がアトピー素因である。 アトピ
—性皮膚炎は、 アトピー性疾患のうち、 特に皮膚炎症状を伴う疾患に対して与え られた総称である。
本発明におけるアレルギー性疾患の検査とは、 以下のような検査が含まれる。 例えば、 被検者がアレルギー性疾患を罹患しているか否かの検査、 アレルギー性 疾患を被り易い体質か否かの検査、 またはアレルギー症状が改善に向かっている のかどうかを判断するための検查等が挙げられる。 本発明の TR3または TINUR 遺伝子は、 アトピー性皮膚炎患者の活性ィヒした好酸球で発現量の増加を示した。 好酸球はァトピー性皮膚炎の代表的な臨床マーカーであることから、 その減少と 関連する臨床マーカーは、 治療効果の判定に有用である。 よ.り具体的には、 TR3 または TINUR遺伝子の発現の上昇は、 好酸球の減少を伴ってァレルギ一性疾患 の改善が進んでいることを示している。
ァトピー性皮膚炎の重症度と好酸球数は相関しており、 好酸球数を積極的に減 らすことは治療につながる可能性がある。 数の減少に伴って好酸球に特異的に誘 導されてくるこの遺伝子を測定するとともに、 細胞の外から積極的に誘導するよ うな方法や物質を見つけ出せば、 ァトピー性皮膚炎の新しい治療法及びそれを評 価するための診断法につながる可能性がある。
本発明において、 TR3または TINUR遺伝子の発現レベルとは、 該遺伝子の Aへの転写、 並びにタンパク質への翻訳を含む。 従って、 本発明によるアレルギ 一性疾患の検查方法は、 該遺伝子に対応する mRNAの発現強度、 あるいは該遺伝 子によってコードされるタンパク質の発現レベルの比較に基づいて行われる。 本発明のアレルギー性疾患の検査方法における TR3または TINUR遺伝子の発 現レベルの測定は、 当業者においては、 公知の遺伝子解析方法に従って実施する ことができる。 具体的には、 例えば TR3または TINUR遺伝子にハイプリダイズ する核酸をプローブとしたハイプリダイゼーシヨン技術、 または本発明の遺伝子 にハイプリダイズする DNAをプライマーとした遺伝子増幅技術等を利用するこ とができる。
本発明のァレ/レギー性疾患検査用試薬として用いられるプローブまたはプライ マーとしては、 配列番号: 1または 3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチ ド、 またはその相補鎖に相補的な少なくとも 1 5ヌクレオチドを含むポリヌクレ ォチドを挙げることができる。 ここで 「相補鎖」 とは、 A : T (RNA の場合は U) 、 G: Cの塩基対からなる 2本鎖 DNAの一方の鎖に対する他方の鎖を指す。 また、 「相補的」 とは、 少なくとも 15個の連続したヌクレオチド領域で完全に相補配 列である場合に限られず、 少なくとも 70%、 好ましくは少なくとも 80%、 より 好ましくは 90% 、 さらに好ましくは 95%以上の塩基配列上の相同性を有すれば よい。 塩基配列の相同性は、 BLASTN等のアルゴリズムにより決定することがで さる。
このようなポリヌクレオチドは、 本発明のタンパク質をコードするポリヌクレ ォチドを検出、 単離するためのプローブとして、 また、 本発明のポリヌクレオチ ドを増幅するためのプライマーとして利用することが可能である。 プライマーと して用いる場合には、 通常、 15bp〜; !00bp、 好ましくは 15bp〜35bPの鎖長を有 する。 また、 プローブとして用いる場合には、 本発明のポリヌクレオチドの少な くとも一部若しくは全部の配列を有し、 少なくとも 15bPの鎖長の DNAが用いら れる。 プライマーとして用いる場合、 3'側の領域は相補的である必要があるが、 5'側には制限酵素認識配列ゃタグなどを付加することができる。
なお、 本発明における 「ポリヌクレオチド」 は、 DNAあるいは R Aであること ができる。 これらポリヌクレオチドは、 合成 (単離) されたものでも天然のもの でもよい。 また、 ハイプリダイゼーシヨンに用いるプローブ DNAは、 通常、 標 識したものが用いられる。 標識方法としては、 例えば次のような方法を示すこと ができる。 なお用語オリゴヌクレオチドは、 ポリヌクレオチドのうち、 重合度が 比較的低いものを意味している。 オリゴヌクレオチドは、 ポリヌクレオチドに含 まれる。
• DNAポリメラーゼ Iを用いるニックトランスレーションによる標識
•ポリヌクレオチドキナーゼを用いる末端標識
.クレノーフラグメントによるフィルイン末端標識 (Berger SL, Kimmel AR. (1987) Guide to Molecular Cloning Techniques, Method in Enzymology, Ac ademic Press ; Hames BD, Higgins SJ (1985) Genes Probes : A Practical Ap proach. IRL Press ; Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T. (1989) Molecula r Cloning : a Laboratory Manual, 2nd Edn. Cold Spring Harbor Laboratory Press)
• RNAポリメラーゼを用いる転写による標識 (Melton DA, Krieg, PA, Rebagkia ti MR, Maniatis T, Zinn K, Green MR. (1984) Nucleic Acid Res. , 12, 703 5-7056)
•放射性同位体を用いない修飾ヌクレオチドを Aに取り込ませる方法 (Krick a LJ. (1992) Nonisotopic DNA Probing Techniques. Academic Press;
ハイブリダィゼーション技術を利用したァレルギ一性疾患の検査は、 例えば、 ノーザンハイブリダイゼーション法、 ドットブロット法、 DNAマイクロアレイを 用いた方法などを使用して行うことができる。 さらには、 RT-PCR法等の遺伝子 増幅技術を利用することができる。 RT- PCR法においては、 遺伝子の増幅過程に おいて PCR増幅モニター法を用いることにより、 本発明の遺伝子の発現につい て、 より定量的な解析を行うことが可能である。
PCR遺伝子増幅モニター法においては、 両端に互いの蛍光を打ち消し合う異な つた蛍光色素で標識したプローブを用い、 検出対象 (DNAもしくは RNAの逆転写 産物) にハイブリダィズさせる。 PCR反応が進んで Taqポリメラーゼの 5' - 3'ェ クソヌクレアーゼ (exonuclease) 活 1"生により同プローブが分解されると二つの 蛍光色素が離れ、 蛍光が検出されるようになる。 この蛍光の検出をリアルタイム に行う。 検出対象についてコピー数の明らかな標準試料について同時に測定する ことにより、 PCR増幅の直線性のあるサイクル数で目的試料中の検出対象のコピ 一数を決定する (Holland, P. M. et al. , 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
88 : 7276 - 7280 ; Livak, K. J. et al. , 1995, PCR Methods and Applications 4 (6) : 357-362; He id, C. A. et al. , Genome Research 6 : 986 - 994 ; Gibson, E. M. U. et al. , 1996, Genome Research 6 : 995-1001) 。 PCR増幅モユタ一法に おいては、 例えば、 ABI PRISM7700 (PEパイォシステムズ社) を用いることがで きる。
また本発明のァレルギ一性疾患の検査方法は、 TR3または TINUR遺伝子により コードされるタンパク質を検出することにより行うこともできる。 このような検 查方法としては、 例えば、 該遺伝子によってコードされるタンパク質に結合する 抗体を利用したウェスタンブロッテイング法、 免疫沈降法、 ELISA法などを利用 することができる。
この検出に用いる TR3または TINURタンパク質に結合する抗体は、 当業者に 周知の技法を用いて得ることができる。 本発明に用いる抗体は、 ポリクローナル 抗体、 あるいはモノクローナノレ抗体 (Milstein C, et al. , 1983, Nature 305 (5 934): 537-40) であることができる。 例えば、 本発明のタンパク質に対するポ リクローナル抗体は、 抗原を感作した哺¾動物の血液を取り出し、 この血液から 公知の方法により血清を分離する。 ポリクローナル抗体としては、 ポリクローナ ル抗体を含む血清を使用することができる。 あるいは必要に応じてこの血清から ポリクローナル抗体を含む画分をさらに単離することもできる。 また、 モノクロ ーナル抗体を得るには、 上記抗原を感作した哺乳動物から免疫細胞を取り出して 骨髄 S重細胞などと細胞融合させる。 こうして得られたハイプリ ドーマをクロー二 ングして、 その培養物から抗体を回収しモノクローナル抗体とすることができる。
TR3または TINURタンパク質の検出には、 これらの抗体を適宜標識して用いれ ばよい。 また、 この抗体を標識せずに、 該抗体に特異的に結合する物質、 例えば、 プロテイン Aやプロテイン Gを標識して間接的に検出することもできる。 具体 的な検出方法としては、 例えば、 ELISA法を挙げることができる。
抗原に用いるタンパク質もしくはその部分べプチドは、 例えば TR3または TIN UR遺伝子、 もしくはその一部を発現べクタ一に組込み、 これを適当な宿主細胞 に導入して、 形質転換体を作成し、 該形質転換体を培養して組み換えタンパク質 を発現させ、 発現させた組み換えタンパク質を培養体または培養上清から精製す ることにより得ることができる。 あるいは、 TR3または TINUR遺伝子によってコ ードされるァミノ酸配列の部分ァミノ酸配列からなるオリゴぺプチドを化学的に 合成し、 免疫原として用いることもできる。
本発明においては、 被検者の好酸球細胞を試料とすることが好ましい。 好酸球 細胞は、 末梢血から公知の方法によって調製することができる。 すなわち、 例え ばへパリン採血した血液を遠心分離によって分画し、 白血球細胞を分離する。 次 に白血球細胞から、 フィコールによる遠心分離等によって顆粒球細胞を分取し、 更に CD16抗体を用いた好中球のディプリーション等によって好酸球細胞を分離 することができる。 分離された好酸球を破壊してライセートとすれば、 前記タン パク質の免疫学的な測定のための試料とすることができる。 あるいはこのライセ ートから mRNAを抽出すれば、 前記遺伝子に対応する mRNAの測定のための試料 とすることができる。 好酸球のライセ一トや mRNAの抽出には、 市販のキットを 利用すると便利である。
あるいは、 好酸球の分離を行わず、 全血や、 末梢血白血球集団を対象として、 本発明において指標とすべき遺伝子の発現レベルを測定しても良い。 この場合に は、 測定値の補正を行うことによって、 細胞における遺伝子の発現レベルの変化 を求めることができる。 例えば好酸球に特異的に発現し、 かつ細胞の状態にかか わらず発現レベルが大きく変動しない遺伝子 (ハウスキーピング遺伝子) の発現 レベルの測定値に基づいて、 本発明において指標とすべき遺伝子の発現レベルの 測定値を補正することができる。
また検出すべきタンパク質が分泌型のタンパク質である場合には、 被検者の血 液や血清などの体液試料に含まれる目的とするタンパク質の量を測定することに よって、 それをコードする遺伝子の発現レベルの比較が可能である。
本発明によるアレルギー性疾患の検査の結果、 特にアトピー性皮膚炎等のァレ ルギー性疾患の患者において本発明の遺伝子の発現レベルが上昇している場合に、 好酸球の減少を伴ってァレルギ一症状の改善が進んでいるものと推定される。 また本発明は、 下記の (a ) または (b ) に記載のポリヌクレオチドの好酸球 細胞における発現レベルを低下させたトランスジヱニック非ヒト動物からなるァ レルギ一性疾患モデル動物に関する。
( a ) TR3または TINUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
( b ) TR3または TINUR受容体タンパク質をコードするポリヌクレオチドとスト リンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、 アトピ 一性皮膚炎患者の好酸球において発現が増加するタンパク質をコードするポリヌ クレオチド。
本発明において、 発現レベルの低下とは、 遺伝子の機能を実質的に消失させた ノックアウト状態が含まれる。 本発明において、 遺伝子の機能が実質的に消失し た状態とは、 遺伝子の発現や、 この遺伝子によってコードされるタンパク質の活 性を見出すことができない状態を言う。 遺伝子の発現レベルは、 例えば実施例に 示すような定量的な PCRにより確認することができる。 また翻訳産物であるタ ンパク質の活性が実質的に見出せないことは、 正常な状態と比較することにより 確認することができる。
このようなトランスジエニック動物には、 例えば遺伝子のコ一ド領域に変異を 導入し、 人為的にアミノ酸配列の変異や終止コドンを生じさせて、 本来のタンパ ク質の活性を発現できない状態とした動物などを示すことができる。 アミノ酸配 列の変異には、 置換、 欠失、 挿入、 あるいは付加を示すことができる。 その他、
遺伝子の転写調節領域を変異させることにより、 本発明の遺伝子の発現そのもの を調節することもできる。
特定の遺伝子を対象として、 トランスジエニック動物を得る方法は公知である。 すなわち、 遺伝子と卵を混合してリン酸カルシウムで処理する方法や、 位相差顕 微鏡下で前核期卵の核に、 微小ピペットで遺伝子を直接導入する方法 (マイクロ インジェクション法、 米国特許第 4873191号) 、 胚性幹細胞 (ES細胞) を使用 する方法などによってトランスジエニック動物を得ることができる。 その他、 レ トロウィルスベクタ一に遺伝子を揷入し、 卵に感染させる方法、 また、 精子を介 して遺伝子を卵に導入する精子ベクター法等も開発されている。 精子ベクター法 とは、 精子に外来遺伝子を付着またはエレクト口ポレーシヨン等の方法で精子細 胞内に取り込ませた後に、 卵子に受精させることにより、 外来遺伝子を導入する 遺伝子組換え法である (M. Lavitranoet ら Cell, 57, 717, 1989) 。
本発明のトランスジエニック動物は、 ヒト以外のあらゆる脊椎動物を利用して 作成することができる。 具体的には、 マウス、 ラット、 ゥサギ、 ミニブタ、 ャギ、 ヒッジ、 あるいはゥシ等の脊椎動物において様々な遺伝子の導入や発現レベルを 改変されたトランスジェニック動物が作り出されている。
本発明のトランスジエニック動物には、 例えば、 ヒト TR3または TINUR遺伝 子 (それぞれ配列番号: 1または 3に記載) の非ヒト動物種におけるホモログの 発現が抑止されたノックァゥト動物が含まれる。 ノックァゥト動物の表現型を観 察することにより、 ノックアウトした遺伝子の働きを具体的に知ることができる。 配列番号: 1または 3に示す塩基配列からなる遺伝子は、 ヒトにおいてアトピー 皮膚炎患者の好酸球中で発現が上昇していた。 従って、 そのホモログをノックァ ゥトした動物は、 アレルギー性疾患のモデル動物として有用である。
例えば、 本発明によるノックアウト動物が皮膚炎を発症したり、 何らかのァレ ルギー性疾患に関連した測定値の変化を示せば、 それを回復させる作用を持った 化合物を探索するスクリーニングシステムが構築できる。
ノックアウト動物の作製方法は公知である。 例えばマウスにおいて、 胚性幹細 胞を用いて相同組換えを行い、 一方の対立遺伝子を改変 '破壊した胚性幹細胞を 選別し、 ノ,ックアウト動物を作製する方法が公知である。 例えば、 受精卵に遺伝 子を操作した胚性幹細胞を注入して、 胚性幹細胞由来の細胞と胚由来の細胞が混 ざったキメラ動物を得る。 このキメラ動物 (キメラとは、 2個以上の受精卵に基 づいた体細胞で形成される単一個体をいう) と正常マウスを交配すると、 一方の 対立遺伝子の全てが改変 ·破壊されたへテロ接合体を作製することができる。 さ らに、 ヘテロ接合体同士を交配すれば、 ホモ接合体が作製できる。 本発明による トランスジエニック動物は、 これらへテロ接合体と、 ホモ接合体のいずれをも含 む。
相同組換えとは、 遺伝子組換え機構で塩基配列が同じ、 または非常に類似して いる 2つの遺伝子間で起こる組換えのことをいう。 相同組換えを起こした細胞 の選別には PCRを使用することができる。 揷入遺伝子の一部と揷入が期待され る領域の一部をプライマーとして使った PCR反応を行い、 増幅産物ができた細 胞で相同組換えを起こしていることが判明する。 また、 胚幹細胞で発現している 遺伝子に相同組み換えを起こさせる場合には、 導入遺伝子にネオマイシン耐性遺 伝子を結合させておき、 導入後に細胞をネオマイシン耐性にさせることにより選 択することができる等、 公知の方法おょぴそれらの変法を用いて容易に選択する ことができる。
本発明によるトランスジエニック動物は、 後に述べるアレルギー性疾患の治療 または予防のための医薬品のスクリーニングに加えて、 アレルギー性疾患のメカ 二ズムの解明、 さらにはスクリ一ユングされた化合物の安全性の試験に有用であ る。
本発明によって、 TR3または TINUR遺伝子の発現レベルがァトピー性皮膚炎患 者の好酸球において、 上昇することが明らかとなった。 これは、 病態に伴って末 梢血で増加する好酸球を減少させなければならないというネガティプフィ一ドパ
ック制御が働くためと考えられる。 従って、 好酸球細胞において TR3または TIN UR遺伝子、 またはこれらの遺伝子と機能的に同等な遺伝子の発現レベルを人為 的に低下させた動物は、 ァレルギ一性疾患のモデル動物として利用することがで きる。 なお好酸球における発現レベルの低下とは、 白血球集団全体における前記 遺伝子の発現レベルの低下を含む。 すなわち、 前記遺伝子の発現レベルを低下さ せるのは好酸球のみである場合のみならず、 白血球集団全体において前記遺伝子 の発現レベルが低下している場合を含む。 本発明において機能的に同等な遺伝子 とは、 通常、 前記 (a ) または (b ) に記載した遺伝子のいずれかを意味する。 より具体的には、 本発明における機能的に同等な遺伝子として、 TR3または TIN URをコードする遺伝子とストリンジエンドな条件でハイブリダイズする遺伝子 も挙げられる。 本発明におけるストリンジェントな条件として、 一般的には以下 のような条件を示すことができる。 例えば、 4xSSC、 65°Cでハイプリダイゼーシ ョンさせ、 0. lxSSCを用いて 65°Cで 1時間洗浄する。 ストリンジエンシーを大 きく左右するハイプリダイゼーションゃ洗浄の温度条件は、 融解温度 (Tm) に 応じて調整することができる。 Tmはハイブリダィズする塩基対に占める構成塩 基の割合、 ハイプリダイゼーシヨン溶液組成 (塩濃度、 ホルムアミドゃドデシル 硫酸ナトリウム濃度) によって変動する。 従って当業者であれば、 これらの条件 を考慮して同等のストリンジエンシーを与える条件を実験または経験的に設定す ることができる。
本発明におけるモデル動物には、 例えば前記トランスジエニック動物等を利用 することができる。
更に本発明は、 候補ィ匕合物が本発明のポリヌクレオチドの発現レベルに与える 影響を検出する方法を提供する。 本発明において、 TR3または TINUR遺伝子は、 アトピー性皮膚炎患者の好酸球において有意に発現レベルが上昇している。 これ は、 病態に伴って末梢血で増加する好酸球を減少させなければならないというネ ガティブフィードパック制御が働くためと考えられる。 従って、 これらの遺伝子
の発現レベルに与える影響を検出する方法に基づいて、 その発現レベルを上昇さ せることができる化合物を選択することによって、 ァレルギ一性疾患の治療薬を 得ることができる。 本発明において遺伝子の発現レベルを上昇させる化合物とは、 遺伝子の転写、 翻訳、 タンパク質の活性発現のいずれかのステップを誘導する作 用を持つ化合物である。 本発明はさらに、 TR3または TINUR遺伝子の発現レベル に加えて、 TR3または TINUR遺伝子産物タンパク質の活性 (転写活性化能) を検 出する方法を提供するとともに、 TR3または TINUR遺伝子産物タンパク質の活性 (転写活性化能) を上昇させる化合物を選択することによって、 アレルギーの治 療薬を得ることができる。
侯補ィ匕合物が本発明のポリヌクレオチドの発現レベルに与える影響の検出方法 は、 in vivoで行うことち in vitroで行うこともできる。 in vivoでの影響を 検出するには、 適当な被検動物を利用する。 被検動物には、 例えばアレルギー性 疾患モデル動物や、 前記 (a ) または (b ) に記載の遺伝子の好酸球細胞におけ る発現が抑制されたトランスジエニック非ヒト動物からなるアレルギー性疾患モ デル動物を利用することができる。 本発明に基づく in vivoでの発現レベルに 与える影響の検出は、 例えば以下のような工程に従って実施することができる。
( 1 ) 被検動物に候補化合物を投与する工程
( 2 ) 被検動物の好酸球細胞における前記 (a ) または (b ) に記載のポリヌク レオチドの発現レベルを測定する工程
本発明の検出方法における被検動物としては、 例えば、 TR3または TINUR遺伝 子のアンチセンスを発現させることにより TR3または TINUR遺伝子の発現を低 下させたトランスジエニック動物を利用することができる。 このようなトランス ジェニック動物は、 例えば以下のようにして作成することができる。 すなわち、 まず TR3または TINUR遺伝子の配列の全長配列、 あるいは部分配列を、 適当な プロモーター配列の下流に逆向きの方向で組み込み、 アンチセンス RNA発現べ クタ一を構築する。 この発現べクタ一を核へ導入すれば、 TR3または TINUR遺伝
子のアンチセンスを発現し、 TR3または TINUR遺伝子の発現が低下したトランス ジエニック動物を得ることができる。 発現ベクターに使用するプロモーターとし て、 適当な薬剤等の物質により転写が調節されるプロモーターを用いれば、 該物 質の投与によってトランスジエニック動物における TR3または TINUR遺伝子の 発現レベルを調整することができる。
このようにして TR3または TINUR遺伝子の発現を低下させたモデル動物に薬 剤候補化合物を投与し、 モデル動物の好酸球における TR3または TINUR遺伝子 の発現に対する化合物の作用をモニターすることにより、 TR3または TINUR遺伝 子の発現レベルに与える薬剤候補化合物の影響を検出することができる。
本発明のスクリーニング方法により、 TR3または TINUR遺伝子の発現に様々な 形で関与する薬剤を選択することができる。 具体的には、 例えば次のような作用 点を持つ薬剤候補ィヒ合物を見出すことができる。
• TR3または TINUR遺伝子の発現をもたらすシグナル伝達経路の活性化
• TR3または TINUR遺伝子の転写活性の上昇
· TR3または TINUR遺伝子の転写産物の安定化もしくは分解の阻害、 等
また、 in においては、 例えば、 前記 (a ) または (b ) に記載した遺 伝子を発現する細胞に候補化合物を接触させ、 前記遺伝子の発現レベルを検出す る方法を利用することができる。 具体的には、 例えば以下のような工程に従って 実施することができる。
( 1 ) 前記 (a ) または (b ) に記載したポリヌクレオチドを発現する細胞に侯 補化合物を接触させる工程
( 2 ) 前記 (a ) または (b ) に記載したポリヌクレオチドの発現レベルを測定 する工程
本発明において、 工程 ( 1 ) に用いるための細胞は、 これらポリヌクレオチド を適当な発現ベクターに挿入し、 該ベクターを適当な宿主細胞に導入することに より得ることができる。 利用できるベクター、 および宿主細胞は、 本発明の遺伝
子を発現し得るものであればよい。 宿主一ベクター系における宿主細胞としては、 大腸菌、 酵母、 昆虫細胞、 動物細胞等が例示でき、 それぞれ利用できるベクタ一 を適宜選択することができる。
ベクターの宿主への導入方法としては、 生物学的方法、 物理的方法、 化学的方 法などを示すことができる。 生物学的方法としては、 例えば、 ウィルスベクター を使用する方法、 特異的受容体を利用する方法、 細胞融合法 (HVJ (センダイゥ ィルス)、 ポリエチレングリコ一ル (PEG) 、 電気的細胞融合法、 微少核融合法
(染色体移入) ) が挙げられる。 また、 物理的方法としては、 マイクロインジェ クション法、 エレクトロポレ一ション法、 ジーンパーティクルガン (gene gu n) を用いる方法が挙げられる。 化学的方法としては、 リン酸カルシウム沈殿法、 リボソーム法、 DEAEデキストラン法、 プロトプラスト法、 赤血球ゴースト法、 赤血球膜ゴースト法、 マイクロカプセル法が挙げられる。
本発明の検出方法においては、 前記 (a ) または (b ) に記載したポリヌクレ ォチドを発現する細胞として、 株化白血球細胞を用いることもできる。 株化白血 球細胞としては、 Eol、 YY- 1、 HL - 60、 TF- 1、 および AML14. 3D10など白血球由来 の株化細胞を例示できる。 白血球細胞株の中でも、 好酸球に由来する細胞株は、 本発明の検出方法に好適である。 好酸球に由来する細胞株としては、 例えば、 E ol、 YY-1、 AML14. 3D10等を挙げることができる。
Eol (Eol - 1 : Saito H et al, Establishment and characterization of a ne w human eosinophilic leukemia cell line. Blood 66, 1233-1240, 1985)は、 林原研究所より入手することができる。 同様に YY-1 (Ogata N et al, The activ at ion od the JAK2/STAT5 pathway is commonly involved in signaling thro ugh the human IL-5 receptor. Int. Arch. Allergy Immunol. , Suppl 1, 24 - 2 7, 1997)は、 サイトシグナル研究所より分与される。 また AML14. 3D10 (Baumann MA et al, The AML14 and AML14. 3D10 cell lines : a long-overdue model fo r the study of eosinophils and more. Stem Cells, 16, 16 - 24, 1998)は、 米
国才ノヽィ才州、 Research Service, VA Medical Center Daytonの Paul CCより、 商業的に入手可能である。
その他、 未分化白血球細胞株である HL - 60クローン 15 (ATCC CRL- 1964)は、 酪 酸存在下で 1週間程度培養すれば、 好酸球に分化し好酸球細胞株とすることが できる。 好酸球であることは、 形態的に、 多形核で好酸球顆粒が認められること により判別することができる。 形態的な観察は、 ギムザ染色やディフクイック染 色によって行われる。 一般に、 好酸球を含むヒト白血球細胞株は、 白血病の患者 サンプルから不死化した細胞をクロ一ユングすることにより樹立することができ る。 従って、 当業者は、 必要に応じて好酸球細胞株を公知の方法によって得るこ ともできる。 このスクリーニング方法においては、 まず前記株化白血球細胞に候 補化合物を添加する。 その後、 該株化白血球細胞における前記 (a ) または
( b ) に記載のポリヌクレオチドの発現レベルを測定し、 該遺伝子の発現レベル を上昇させる化合物を選択する。
in troにおける検出方法のための細胞として、 前記 (a ) または (b ) に 記載したポリヌクレオチドの発現を調節した形質転換細胞を用いることができる。 このような形質転換細胞としては、 例えば当該ポリヌクレオチドのアンチセンス 発現ベクターを形質転換した細胞を挙げることができる。 アンチセンス発現べク ターによる形質転換細胞は、 前記トランスジェニック動物の作成と同様の原理に よって得ることができる。 得られた形質転換細胞を用いて該遺伝子の発現レベル に与える候補化合物の影響を検出することもできる。
なお本発明の方法において、 前記 ( a ) または (b ) に記載のポリヌクレオチ ドの発現レベルは、 これらの遺伝子がコードするタンパク質の発現レベルのみな らず、 対応する mRNAを検出することにより比較することもできる。 mRNAによつ て発現レベルの比較を行うには、 タンパク質試料の調製工程に代えて、 先に述べ たような mRNA試料の調製工程を実施する。 mRNAやタンパク質の検出は、 先に述 ベたような公知の方法によって実施することができる。
さらに TR3または TINUR遺伝子の転写調節領域を取得し、 レポーターァッセ ィ系を構築することができる。 レポーターアツセィ系とは、 転写調節領域の下流 にこの転写調節領域の制御下に発現するレポーター遺伝子の発現量を指標として、 該転写調節領域に作用する転写調節因子をスクリーニングするアツセィ系をいう。 転写調節領域としては、 プロモータ一、 ェンハンサー、 さらには、 通常プロモ 一ター領域に見られる CMTボックス、 TATAボックス等を例示することができる。
7こレポ1 "タ1 遺伝ナとして、 CATvchloramphenicol acetyltransf erase) m.17X 子、 ルシフェラーゼ(lucif erase)遺伝子、 成長ホルモン遺伝子等を利用するこ とができる。
TR3または TINUR遺伝子の転写調節領域は、 当業者においては、 一般的な方法、 例えば、 以下の方法により取得することができる。 まず、 配列番号: 1または 3 に記載された塩基配列に基づいて、 BACライブラリ一、 YACライブラリ一等のヒ トゲノム DNAライブラリーから、 PCRまたはハイプリダイゼーションを用いる方 法によりスクリ一-ングを行い、 該 cDNAの配列を含むゲノム DNAクローンを得 る。 得られたゲノム DNAの配列を基に、 TR3または TINUR遺伝子の転写調節領域 を推定し、 該転写調節領域を取得する。 得られた転写調節領域を、 レポーター遺 伝子の上流に位置するようにクローユングしてレポーターコンストラクトを構築 する。 得られたレポ一ターコンストラタトを培養細胞株に導入してスクリーニン グ用の形質転換体とする。 この形質転換体に候補化合物を接触させ、 レポーター 遺伝子の発現を検出することによって、 転写調節領域に対する候補化合物の作用 を評価することができる。
本発明の前記ポリヌクレオチドの発現レベルに与える影響を検出する方法に基 づいて、 前記ポリヌクレオチドの発現レベルを変化させる化合物のスクリーニン グを行うことができる。 本発明は、 次の工程を含む前記 (a ) または (b ) に記 載のポリヌクレオチドの発現レベルを変化させる化合物のスクリーニング方法に 関する。
すなわち本発明は、 in W' Oおよび または i/7 iiroにおいて、 侯補化合物 による前記ポリヌクレオチドの発現レベルに与える影響を検出し、 対照と比較し て前記発現レベルを上昇させる化合物を選択する工程を含む、 前記 (a ) または ( b ) に記載のポリヌクレオチドの発現レベルを上昇させる化合物のスクリー二 ング方法を提供する。
あるいは本発明は、 TR3または TINUR遺伝子の転写調節領域を利用するレポ一 ターアツセィによる、 転写調節領域に作用する化合物のスクリーニング方法に関 する。 本発明によるレポーターアツセィの結果に基づいて、 対象と比較してレポ 一タ一遺伝子の発現を上昇させる化合物を選択することにより、 TR3または TIN UR遺伝子の発現を誘導する化合物を取得することができる。 あるいは、 リガン ド結合領域に結合するァゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法に 関する。
本発明者らによってァレルギ一性疾患に関連するタンパク質として見出された TR3または TINUR受容体タンパク質は、 ォーファン受容体であり生体内リガンド 活性物質はこれまでのところ見つかっていない。 TR3または TINURタンパク質の リガンド活性物質は、 好酸球細胞内でダイレクトにそれぞれ TR3または TINUR を活性化し、 アポトーシスを促進させるものと考えられる。 従って、 TR3または TINUR受容体のリガンド活性物質はァレルギ一性疾患治療薬となるものと期待さ れる。 通常、 受容体タンパク質と結合し得る化合物の探索を行うことにより、 該 受容体のリガンドを取得することが可能である。
本発明は、 TR3または TINURタンパク質と結合し得る化合物を選択することを 特徴とする、 アレルギー性疾患治療薬のための候補化合物のスクリーニング方法 を提供する。 本方法においては、 TR3または TINUR受容体タンパク質と被験化合 物を接触させ、 次いで、 それぞれの受容体タンパク質と被験化合物との結合活性 を測定し、 それぞれの受容体タンパク質と結合する化合物を選択する。 また、 単
に結合をするのみでなく、 TR3または TINURの転写活性を測定し、 ァゴニスト、 アンタゴュストを選択する。
本方法における TR3または TINUR受容体タンパク質には、 それぞれその部分 ペプチドも含まれる。 上記方法における TR3または TINUR受容体タンパク質と 被検化合物との結合活性の測定は、 当業者においては公知の方法を利用して実施 することができる。
例えば、 TR3または TINURと結合する化合物がタンパク質である場合には、 本 発明のスクリーニング方法は、 ウェストウエスタンブロッテイング法により行う ことができる。 具体的には、 TR3または TINURタンパク質と結合するタンパク質 (被検タンパク質) を発現していることが予想される組織または細胞よりファー ジベクター (A gtll, ΖΑΡΠなど) を用いた cDNAライプラリーを作製し、 これ を LB -ァガロース上で発現させフィルターに発現させたタンパク質を固定する。 次いで、 TR3または TINURタンパク質をビォチンラベル化、 あるいは GSTタンパ ク質との融合タンパク質として精製し、 これを上記フィルターと反応させ、 被検 タンパク質を発現しているプラークを、 ストレプトアビジンゃ抗 GST抗体など により検出を行うことにより、 結合活性を評価することができる。
また、 本発明のァレルギ一性疾患治療薬のための候補化合物のスクリーニング 方法の別の態様においては、 下記の工程を含む。
( 1 ) TR3もしくは TINUR受容体タンパク質、 または該タンパク質のリガンド結 合領域と転写調節領域結合タンパク質との融合タンパク質を発現し得る DNA、 お ょぴ該転写調節領域結合タンパク質の結合する DNA配列の下流にレポーター遺 伝子が機能的に結合した構造を有する DNA、 を導入した細胞を提供する工程
( 2 ) 前記細胞と被検化合物を接触させる工程
( 3 ) 前記レポーター遺伝子の活性を測定する工程
( 4 ) 前記活性を変化させる化合物を選択する工程
上記方法における 「機能的に結合した」 とは、 TR3もしくは TINUR受容体タン パク質、 または該タンパク質のリガンド結合領域が、 該受容体タンパク質のリガ ンドもしくはリガンド様化合物と結合した際に、 レポーター遺伝子が発現し得る ように結合した状態を指す。 上記方法における 「転写調節領域結合タンパク質」 としては、 通常、 GAL4タンパク質を好適に使用することができる。 また、 上記 「転写調節領域結合タンパク質の結合し得る DNA配列」 としては、 例えば、 GAL 4結合 DNA領域を挙げることができる。 さらに本発明の上記スクリーニング方法 は、 ハイスループットで行うことが可能である。
また、 本発明のスクリーユング方法の好ましい態様としては、 「twoハイプリ ッドシステム」 (例えば、 「MATCHMARKER Two-Hybrid SystemJ , Ma alian M ATCHMAKER Two-Hybrid Assay Kit , MATCHMAKER One-Hybrid SystemJ (いず れも clontech社製)、 「HykriZAP Two-Hybrid Vector SystemJ (stratagene ¾h 製)、 文献 「Dalton S, and Treisman R (1992) Characterization of SAP - 1 a protein recruited by serum response factor to the c一 fos serum respons e element. Cell 68, 597-612」 ) を用いてスクリーニングを行うことができる。 本発明の上記方法は、 より具体的には、 以下のようにして実施することができる t この方法に特に限定されず、 当業者においては、 以下に例示した方法を適宜 改変して実施することが可能である。
two -ハイブリッドシステムにおいては、 TR3または TINURタンパク質、 あるい はその部分ペプチドを、 通常、 GAL4 DNA結合領域と融合させて酵母細胞の中で 発現させ、 TR3または TINURタンパク質、 あるいはその部分ペプチドと結合する タンパク質を発現していることが予想される細胞より、 VP16または GAL4転写活 性化領域と融合する形で発現するような cDNAライブラリ一を作製し、 これを上 記酵母細胞に導入し、 検出された陽性クローンからライブラリー由来 cDNAを単 離する (酵母細胞内で TR3または TINURタンパク質、 あるいはそのリガンド結 合領域を含む部分べプチドと結合するタンパク質が発現すると、 両者の結合によ
りレポーター遺伝子が活性化され、 陽性のクローンが確認できる) 。 単離した c DNAを大腸菌に導入して発現させることにより、 該 cDNAがコードするタンパク 質を得ることができる。 これにより TR3または TINURタンパク質、 あるいはそ の部分べプチドに結合するタンパク質もしくはその遺伝子を調製することが可能 である。 twoハイブリッドシステムにおいて用いられるレポーター遺伝子として は、 例えば、 HIS3遺伝子の他、 Ade2遺伝子、 LacZ遺伝子、 CAT遺伝子、 ルシフ エラーゼ遺 子、 PAI-1 (Plasminogen activator inhibitor typel) 伝ナ等 が挙げられるが、 これらに制限されない。 twoハイブリッド法によるスクリー二 ングは、 酵母の他、 哺乳動物細胞等を使って行うこともできる。
本発明者らは、 哺乳動物細胞を用いた twoハイブリッドシステムを応用して、 TR3または TI URタンパク質の転写活性化機能を上昇させるリガンドをスクリ一 ユングすることが可能なハイスループット系を構築した。 この系は、 従来の哺孚し 動物における twoハイプリッドシステムを改良したものであり、 この系の概略 を図 2に示す (詳細は後述の実施例を参照) 。
本発明のスクリーニング方法は、 好ましくは、 上記の本発明者らによって開発 されたハイスル一プット系を用いて行うことができる。
TR3または TINURは、 ァトピー性皮膚炎末梢血のような白血球が機能亢進した 状態で発現誘導され、 その結果として細胞にアポトーシスが誘導される可能性が 高い。 生体内に存在するリガンドは、 核内受容体が高発現している場所に存在す る可能性がある。 そこで本発明者らは、 このような条件で産生されると予想され る低分子の脂溶性メディエーターをリガンド侯補被検化合物として、 上記の方法 によりスクリーニングを行った。 そして本発明者らは、 脂溶性メディエーターの 中から、 リガンド活性物質として、 T R 3についてはプロスタグランジン A2 (p rostaglandin A2)、 プロスタグランジン (prostaglandin )、 15-ェピ プロ スタグランジン (15-epi prostaglandin A 、 15 (R) - 15-メチルプロスタグ.
A2 (15 (R) - 15- methyl prostaglandin A2)、 16-ブエノキシテトラノル
プロスタグランジン A2 (16-phenoxy tetranor prostaglandin A2)、 17 -フエ二 ノレ ト リノル プロスタグランジン A2 (17 - phenyl trinor prostaglandin A2)、 1
5 -デォキシ-デルタ 12, 14 -プロスタグランジン (15- deoxy- deltal2, 14-prosta glandin A 、 15 デォキシ-デルタ 12, 14-プロスタグランジン J2 (15 deoxy- del tal2, 14 - prostaglandin J2)、 8 -イソ プロスタグランジン (8 - iso prostaglan din )、 T I N U Rについてはプロスタグランジン A2、 プロスタグランジン Aい 15-ェピ プロスタグランジン 、 15 (R) - 15 -メチル プロスタグランジン A2、 1
6 -フエノキシテ卜ラノルプロスタグランジン A2、 17 -フエ二ノレ トリノルプロ スタグランジン A2、 15 デォキシ-デルタ 12, 14-プロスタグランジン J2、 8-イソ プロスタグランジン 等を取得することに成功した。 これらの化合物は、 シク 口ペンテノン構造を有するプロスタグランジンである。 このことは、 本発明の方 法によって TR3または TINURの転写活性化機能をァップレギュレートするリガ ンド活性物質を実際に取得することが可能であることを示すものである。
TR3または TINURタンパク質と結合する化合物のスクリーニングは、 ァフィ二 ティ一クロマトグラフィーを用いて行うこともできる。 例えば、 TR3または TIN URタンパク質をァフィユティーカラムの担体に固定し、 ここに TR3または TINU Rタンパク質と結合するタンパク質を発現していることが予想される被検試料を 適用する。 この場合の被検試料としては、 例えば細胞抽出物、 細胞溶解物等が拳 げられる。 被検試料を適用した後、 カラムを洗浄し、 TR3または TINURタンパク 質と結合したタンパク質を調製することができる。
取得したタンパク質は、 例えば、 該タンパク質のアミノ酸配列を分析し、 それ を基にオリゴ DNAを合成し、 該 DNAをプローブとして cDNAライプラリーをスク リーユングすることにより、 該タンパク質をコードする DNAを得ることができ る。
本発明において、 結合した化合物を検出または測定する手段として表面プラズ モン共鳴現象を利用したバイオセンサーを使用することもできる。 表面ブラズモ
ン共嗚現象を利用したパイォセンサ一は、 TR3または TINURタンパク質と被検化 合物との間の相互作用を、 表面ブラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観 察することが可能である (例えば BIAcore、 Pharmacia製) 。 従って、 BIAcore 等のバイオセンサーを用いることにより TR3または TI URタンパク質と被検化 合物との結合を評価することが可能である。
TR3または TINURタンパク質と結合する化合物を単離することは、 当業者にお いては通常行い得ることである。 上記以外の方法として、 例えば、 固定した TR3 または TINURタンパク質に、 合成化合物、 天然物パンク、 もしくはランダムフ ァ一ジぺプチドデイスプレイライブラリーを作用させ、 本発明のタンパク質に結 合する分子をスクリーニングする方法等を示すことができる。
本発明による、 候補化合物の TR3または TINUR遺伝子の発現レベルや転写活 性ィ匕機構に与える影響を検出する方法に用いられる細胞、 並びに該遺伝子の発現 レベルを調べるためのポリヌクレオチド、 あるいは抗体を組み合わせて、 この方 法のための検出用キットとすることができる。 キットには、 陽性対照や陰性対照 として用いられる候補ィヒ合物や指示書を組み合わせることもできる。 本発明に基 づく候補化合物の TR3または TINUR遺伝子の発現レベルや転写活性化機構に与 える影響を検出するためのキットは、 例えば、 TR3または TINUR遺伝子の発現レ ベルや転写活性化機構を修飾する化合物のスクリーニング用キットとして利用す ることができる。
本発明のスクリ一ユング方法に用いる被検候補化合物としては、 特に制限され ないが、 例えば、 ステロイド誘導体等既存の化学的方法により合成された化合物 標品、 コンビナトリァルケミストリーにより合成された化合物標品、 動 ·植物組 織の抽出物もしくは微生物培養物等の複数の化合物を含む混合物、 精製タンパク 質、 遺伝子ライブラリーの発現産物、 合成ペプチドのライブラリ一等が挙げられ る。 また、 本発明の TR3または TINURタンパク質と結合する化合物のスクリー
ング方法においては、 特に制限されないが、 低分子の脂溶性メディエーターを 被検候補化合物とすることが好ましい。
本発明のスクリーユング方法によって選択される化合物は、 アレルギー性疾患 の治療薬として有用である。 TR3または TINUR遺伝子は、 アトピー性皮膚炎患者 の好酸球において発現が増加する。 このような好酸球増多の病態においてこれら のアポトーシス闋連遺伝子が誘導されるのは、 末梢血で増加する好酸球を減少さ せなければならないというネガティブフィ一ドパック制御が働くためと考えられ る。 従って、 これらの遺伝子の発現あるいは機能を増強することができる化合物 には、 アトピー性皮膚炎の症状を抑える作用が期待できる。
また、 本発明のスクリーニング方法によって選択される化合物は、 TR3または TINUR活性化とそれに伴う好酸球アポト一シス誘導という全く新しい作用機序を 有するアレルギー性疾患治療薬となるものと期待される。 従って本発明は、 本発 明のスクリーニング方法によって得ることができる化合物を有効成分として含有 するァレルギ一性疾患治療薬を提供する。
なお上記化合物には、 本発明のスクリ一ユング方法を用いて単離しうる化合物 の構造の一部を、 付加、 欠失及び Z又は置換により変換される化合物も含まれる。 上述のように、 脂溶性メディエーターの中から、 TR3または TINURの転写活性ィヒ 能を増強する化合物 (TR3または TINURのリガンド活性物質) として本発明者ら により、 シクロペンテノン構造を有するプロスタグランジンが見出された。 従つ て、 本発明のアレルギー性疾患治療薬として、 例えば、 本発明のスクリーニング 方法によって得ることができるシクロペンテノン構造を有するプロスタグランジ ンを有効成分として含有するアレルギー性疾患治療薬を好適に挙げることができ る。 該プロスタグランジンの具体例としては、 T R 3についてはプロスタグラン ジン A2 ^prostaglandin Aつ)、 プロスタグランシン Ax (prostaglandin A^ ^ 15 - ェピ プロスタグランジン (15 - epi prostaglandin A )、 15 (R) -15-メチルプ ロスタグランジン A2 (15 (R) - 15- methyl prostaglandin A2)、 16-フエノキシ テ
トラノル プロスタグランジン A2 (16-phenoxy tetranor prostaglandin A2)、 1 7-フエ二ノレ トリノノレ プロスタグランジン A2 (17— phenyl trinor prostagland in A2)、 15 -デォキシ-デルタ 12, 14 -プロスタグランジン (15 - deoxy- deltal2, 14 - prostaglandin A 、 15 デォキシ-デルタ 12, 14-プロスタグランジン JT2(15 deoxy-deltal2, 14— prostaglandin J2)、 8-イソ プロスタグランジン ^ (S—iso p rostaglandin Aj) , T I NURについてはプロスタグランジン A2、 プロスタグ ランジン Aい 15-ェピ プロスタグランジン Aい 15 (R) - 15 -メチル プロスタグラ ンジン A2、 16 -フエノキシテトラノルプロスタグランジン A2、 17 -フエニル トリノル プロスタグランジン A2、 15デォキシ-デルタ 12, 14 -プロスタグラン ジン J2、 8-イソ プロスタグランジン 等を挙げることができる。
また本発明の TR3もしくは TINUR受容体のリガンド活性を有する物質は、 好 酸球のアポトーシスを誘導し、 抗アレルギー作用を有するものと考えられる。 従 つて、 本発明は、 TR3もしくは TINUR受容体のリガンドを有効成分として含有す るアポトーシス誘導剤、 並びに、 TR3もしくは TINUR受容体のリガンドを有効成 分として含有するアレルギー性疾患治療薬を提供する。 本発明のアポトーシス誘 導剤は、 好ましくは、 好酸球のアポトーシス誘導剤である。
TR3もしくは TINUR受容体のリガンドとしては、 上記のシクロペンテノン構造 を有するプロスタグランジン、 後述の表 1 4〜4 9に掲載の化合物等を挙げるこ とができる。
また、 TR3または TINURの合成リガンドは、 当業者においてはそれぞれ TR3ま たは TINURの立体構造とのドッキングスタディ一から容易に推察され合成展開 することが可能である。
「ドッキングスタディー」 とは通常、 受容体の立体構造に基づいた 3 Dクェリ 一ファーマコファーモデルにより、 数 10万個の化合物の 3次元 D Bの中か.ら、 リガンド結合ドメインにフィ Vトする化合物ゃコンフォーメーションをコンビュ
ータ上で探索することを言う。 ドッキングスタディ一は、 例えば、 以下の (1 ) 〜 (4 ) の手順に従って行われる。
( 1 ) Modelerによるタンパクの 3 D構造の構築 (ホモロジ一モデル)
( 2 ) C 2 . LigandFitによる結合部位の検索
( 3 ) C 2 * S B Fによる結合部位の Pharmacophore クエリ構築
( 4 ) Pharmacophoreクエリによる 3 Dデータベースの検索
3 D Pharamocophore検索に関する文献としては、 例えば、 Pharmacophore P erception, Development, and Use in Drug Design (Iul Biotechnology Seri es, 2) -US-ISBN : 0963681761 (Hardcover) Guner, Osman F. (Edt) /Publishe r : Intl Univ Line Published 1999/12等を挙げることができる。
このような合成リガンドを有効成分として含有する薬剤もまた、 本発明のァレ ルギー性疾患治療薬に含まれる。 また、 上記合成リガンドは被検候補化合物とし て、 本発明の上記方法に供することにより、 真のリガンドであるか否かを評価す ることも可能である。
また本発明者らは、 本発明の TR3または TINUR受容体の発現が好酸球内で特 異的に誘導されることを初めて見出したことから、 該受容体の低分子リガンドの 探索を行った。 より詳しくは、 ファーマコフォアモデルにより、 PGA誘導体の T R3リガンド結合領域に対する結合位置をシミュレートし、 PGA誘導体のレポ一 ター系における構造活性相関情報から、 結合ポケットに適合する PGA誘導体以 外の化合物をデータベースより選択した。 従って、 本発明の TR3もしくは TINUR 受容体のリガンドとして、 上記のようにして選択された化合物を挙げることがで きる。 より具体的には表 1 4〜4 9に掲載の化合物を示すことができる。 これら の化合物は、 本発明の受容体に対するァゴニスト抗体よりも、 有用であるものと 考えられる。
また本発明者らは、 好酸球 CD30リガンド刺激によって、 TR3もしくは TINUR 遺伝子の発現を上昇させることを見出した。 本発明は、 好酸球 CD30受容体のリ
ガンドを含む、 TR3もしくは TINUR遺伝子の発現誘導剤を提供する。 該発現誘導 剤は、 好酸球における TR3または TINURの下流遺伝子の発現を制御することに よって好酸球のアポトーシスを誘導することを機序とする、 アレルギー性疾患治 療薬となることが期待される。
本発明のアレルギー性疾患治療薬、 アポトーシス誘導剤、 および遺伝子発現誘 導剤は、 生理学的に許容される担体、 賦形剤、 あるいは希釈剤等と混合すること によって製造することも可能である。 本発明のアレルギー性疾患の治療剤は、 ァ レルギ一症状の改善を目的として、 経口、 あるいは非経口的に投与することがで きる。
経口剤としては、 顆粒剤、 散剤、 錠剤、 カプセノレ剤、 溶剤、 乳剤、 あるいは懸 濁剤等の剤型を選択することができる。 非経口剤としては、 例えば、 注射剤、 座 薬、 塗り薬等を挙げることができる。 注射剤としては、 皮下注射剤、 筋肉注射剤、 あるいは腹腔内注射剤等を示すことができる。
投与量は、 患者の年齢、 性別、 体重および症状、 治療効果、 投与方法、 処理時 間、 あるいは該医薬組成物に含有される活性成分の種類などにより異なるが、 通 常成人一人あたり、 一回につき 0. 1 mgから 500 mgの範囲で、 好ましくは 0. 5 m gから 20 mgの範囲で投与することができる。 しかし、 投与量は種々の条件によ り変動するため、 上記投与量よりも少ない量で充分な場合もあり、 また上記の範 囲を超える投与量が必要な場合もある。
また本発明者らは、 TR3または TINUR受容体タンパク質の発現が亢進すること により、 細胞がアポトーシス誘導することを見出した。 従って、 細胞において T , R3または TINURタンパク質を活性化させることにより、 アポトーシスを誘導さ せることが可能である。 従って本発明は、 細胞における TR3または TINUR受容 体タンパク質を活性化させることを特徴とする、 細胞のアポトーシス誘導方法を 提供する。 上記方法には、 TR3ま は TINUR遺伝子の発現を活性化させることに より、 細胞のアポトーシス誘導を行う方法も含まれる。
本方法の好ましい態様においては、 本発明のスクリーニング方法によって得る ことができる化合物またはシクロペンテノン構造を有するプロスタグランジンと 細胞とを接触させることにより、 アポトーシスの誘導を行う。 本発明の上記方法 における細胞は、 好酸球細胞であることが好ましい。 アトピー性皮膚炎患者の末 梢血好酸球数が減少することが知られている。 よって、 本発明の方法を利用して 好酸球を特異的に細胞死に導くことにより、 ァレルギ一性疾患を治療することが 可能と考えられる。 即ち、 本方法は、 新たなアレルギー性疾患の治療方法の開発 へ繋がるものと大ぃに期待される。
また、 本発明のスクリーニング方法によって得ることができる化合物またはシ クロペンテノン構造を有するプロスタグランジンは、 アポトーシスを誘導する作 用があるものと考えられることから、 本発明は、 これら化合物を含有するアポト 一シス誘導剤も提供する。 図面の簡単な説明
図 1は、 表 6をグラフ化した図である。
図 2は、 本発明者らによつて構築された TR3または TINUR受容体のリガンド 探索系を模式的に示す図である。 Xに TR3または TINURのリガンド結合部位、 Yに retinoic acid X receptor (RXR) aの全長遺伝子を揷入する。 これらを N IH3T3細胞に遺伝子導入し、 誘導されてくるルシフヱラーゼの活性を測定する。 図 3は、 TR3または TINUR受容体タンパク質の構造を模式的に示す図である。 図 4は、 図 2のシステムを用いたときの一連のシクロペンテノンプロスタグラ ンジン群の、 TR3の転写活性化作用を示す図である。
図 5は、 ABI7700で健常人と患者の TINUR遺伝子の発現量を測定した結果を示 す図である。
図 6は、 図 2のシステムを用いたときの一連のシクロペンテノンプロスタグラ ンジン群の、 TINUR遺伝子の転写活性化作用を示す図である。
図 7は、 ファーマコフオアモデルにより、 PGA誘導体の TR3リガンド結合領域 に対する結合位置をシミュレートした、 アルファモデルにおけるプロスタグラン ンン A2 ^prostaglandin A2 in alpha model) の図でめる。
図 8は、 LBD欠失変異体による prostaglandin A2による転写活性低下の結果 を示すグラフである。 ALBDが欠失変異体である。
図 9は、 ビアコァ S51を用いた TR3および TINURの LBDに PGA1、 PGA2の結合 の様子を捉えた図である。 GSTを比較対照として用いた。 13, 14- dihydro-15- ket 0-PGA2はネガテイブコント口ールとして使用した。
図 1 0は、 抗 CD30抗体または抗 Fas抗体によって、 末梢血好酸球をァポトー シス刺激した場合の TR3の発現誘導結果を示すグラフである。 beta-ァクチン補 正値、 GAPDH補正値を示す。
図 1 1は、 抗 CD30抗体または抗 Fas抗体によって、 末梢血好酸球をアポト一 シス刺激した場合の TI URの発現誘導結果を示すグラフである。 beta-ァクチン 補正値、 GAPDH補正値を示す。
図 1 2は、 好酸球特異的細胞株である AML14. 3D10を抗 CD30抗体、 抗 Fas抗 体で処理した場合のアポトーシス誘導効果を示すグラフである。
図 1 3は、 好酸球特異的細胞株である AML14. 3D10を抗 CD30抗体おょぴ抗 Fas 抗体で処理した場合の TR3の発現誘導を示すグラフである。
図 1 4は、 好酸球特異的細胞株である A L14. 3D10を抗 CD30抗体おょぴ抗 Fas 抗体で処理した場合の TINURの発現誘導を示すグラフである。
図 1 5は、 TR3および TINURを含む核内受容体 Nurサブファミリーによる好酸 球細胞死によるアレルギー疾患治療の作業仮説を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
'以下、 本発明を実施例により、 さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施 例に制限されるものではない。
[実施例 1 ] アトピー性皮膚炎患者末梢血好酸球における、 ァフィメトリツ クス社ジーンチップによるディファレンシャル発現解析
発現変動している新しい治療関連遺伝子あるいは診断に有用な遺伝子を見出す ことを目的として、 アトピー性皮膚炎患者の種々の病態 (軽症、 重症ステロイド 感受性、 重症ステロイド抵抗性) と健常人の末梢血好酸球で発現している遺伝子 について、 以下のようにして、 ジーンチップを用いたディファレンシャルな発現 比較解析を行った。
血液を採取した 6例のアトピー性皮膚炎患者おょぴ 2例の健常人のプロファ ィルを表 2に示す。 アレルゲン非特異的 (Total IgE) 、 ダニおよぴスギ特異的 IgEは EIA法により測定した。 すなわち、 抗ヒト IgE抗体を結合させたキャップ に被検血清を反応させ、 血清中のアレルゲン非特異的 IgE抗体、 またはダニ、 スギ特異的 IgE抗体を結合させた。 次に、 - D -ガラクトシダーゼ標識抗ヒト Ig E抗体と基質液 (4-メチルゥンベルフヱリル _ -D -ガラクトピラノシド) を加え、 反応させて蛍光物質を生成させた。 反応停止液を加えて反応を停止させ、 同時測 定の標準 IgEの蛍光強度より抗体濃度を決定した。 LDHの測定は、 UV法 (Wrobl ewski-La Due法) により、 ピルビン酸と NADHの反応による NADHの減少速度を 吸光度の減少から算出した。 LDH値の測定には、 Lタイプヮコー LDH (和光純 薬) と 7170型自動分析装置 (日立) を用いた。 好酸球数は、 EDTA添加血液 2ml を試料として鏡検法と自動血球分析装置 SE- 9000 (RF/DCィンピーダンス方式、 Sysmex製造) により測定した。
表 2
表中、 *は全体の表面積における皮膚炎の領域 < = 10%、 **は標準的な局所グ ルココルチコイド治療と比較した際の感受性を表す。
( 1 ) 末梢血好酸球からの DNAチップ用の RNA採取
患者から採取した全血に 3%デキストラン溶液を加えて 30分室温放置し、 赤 血球を沈降させた。 上層の白血球画分を回収し、 フイコール溶液 (Ficoll- Paqu e PLUS ; アマシャムフアルマシアバイオテク) の上に載せて 1500rpm、 30分室 温で遠心した。 下層に回収された顆粒球画分を CD16抗体磁気ビーズと 4°Cで 30 分反応させ、 MACSを用いた分離でトラップさせずに溶出する細胞を好酸球とし て実験に用いた。
上記のように調製した好酸球を Isogen (日本ジーン;和光純薬) に溶解し、 この溶液から、 Isogenに添付されているプロトコルに従って RNAを分離した。 クロ口ホルムを加え、 攪拌遠心して水層を回収した。 次にイソプロパノールを加 え、 攪拌遠心して沈殿の全 R Aを回収した。 回収した全 RNAは、 DNase (日本ジ ーン;和光純薬) を加えて 37°C15分反応させ、 フエノール-クロロホルム抽出 してエタノール沈殿で RNAを回収した。 これらの RNAを用いた以降のジーンチ ップによる解析については、 ァフィメトリックス社のプロトコルに従った。
( 2 ) DNAチップ用の cDNA合成
全腿 2— 5 g力、ら、 T7 -(dT) 24 (Amersham Pharmacia Biotech)をプライマー として、 Affymetrix社の Expression Analysis Technical Manualの方法に従 レヽ Superscript II Reverse Transcriptase (Life Technologiesネ土)を用 ヽ一し;^ 転写し 1本鎖 cDNAを作製した。 T7- (dT) 24プライマ一は、 以下のように T7プロ モーターの塩基配列に d (T) 24を付カ卩した塩基配列からなる。
T7- (dT) 24プライマー: 5, -GGCCAGTGAATTGTAATACGACTCACTATAGGGAGGCGG- (dT) 2 4-3' (配列番号: 1 1 ) ,
次に、 Expression Analysis Technical Manualに従レヽ、 DNA Ligase, DNA po lymerase I、 および RNase Hを力!]え、 2本鎖 cDNAを合成した。 cDNAをフエノー ル .クロ口ホルム抽出後、 Phase Lock Gelsに通し、 エタノール沈澱し精製した。
さらに、 BioArray High Yield R A Transcription Labeling Kitを用い、 ビ ォチンラベルした cRNAを合成した。 RNeasy Spin column (QIAGEN)を用いて cR NAを精製し、 熱処理により断片化した。
そのつち l〜5 // gの cRNAを Expression Analysis Technical Manual ίこ従 ヽ Hybridization Cocktailに加えた。 これをァレイに入れ、 45°Cで 16時間ハイプ リダイゼーシヨンした。 DNAチップとしては GeneChipR HG-U95A (Affymetrix社 製) を用いた。 GeneChipR HG - U95Aは、 およそ 12, 000種類のヒト cDNAや ESTに 由来する塩基配列からなるプローブで構成されている。
DNAチップを洗浄した後、 Streptavidin Phycoerythrinを加え染色した。 洗 浄後、 normal ャギ IgGとビォチン化ャギ抗ストレプトアビジン IgG抗体の抗体 混合液をアレイに加えた。 さらに、 蛍光強度を増強する目的で、 再度 Streptavi din Phycoerythrinを加え染色した。 洗浄後、 スキャナーにセットし、 DNAチッ プ解析ソフトにて解析した。 ( 3 ) DNAチップ解析
DNAチップ解析ソフトである Suiteを用いて発現蛍光感度を測定し、 データ解 析を行った。 まず全てのチップについて Absolute analysisを行い、 用いたサ ンプル各々の遺伝子発現量を測定した。
1個のチップデータの解析は、 プローブセットのパーフエクトマツチとミスマ ツチの蛍光強度を比較して、 positiveと negativeを決定した。 Positive Frac tion、 Log Avg、 Pos/Negの値から判定される Absolute Callである P (present) . A (absent) , および M (marginal)の 3区分の判定を行った。 用語定義は以下に 示した。
Positive Fraction; Positiveなペアの割合
Log Avg ; パーフェクトマッチとミスマッチのプローブセルの蛍光強度比の対数 の平均
Pos/Neg; Positiveペア数と Negativeペア数の比
また、 パーフエクトマツチとミスマッチのプロープセノレの蛍光強度の差の平均 値である Average Difference (Avg Diff) も計算した。
患者と健常人で 3倍以上発現変動のあつた遺伝子を選別したが、 HG- U95Aチッ プ遺伝子約 12, 000個の中から TR3が選ばれてきた。 健常を含めて各群 2例の好 酸球 RNAをジーンチップにかけるので、 各症例間 2 X 2で 4通りの発現比較がで きる。 TR3は、 健常と重症 (ステロイ ド感受性) 間の 4つすベての組合せにおけ る発現比較で、 いずれも 3倍以上の変動 (重症で亢進) という結果が得られた (表 3 ) 。 表 3
txpenment Probe Accession Avg Abs Diff Avg Diff Fold
Name Set No. Annotation Diff Call Call Change B=A Change
C4E307-315 280一 g— at L13740 TR3 orphar receptor i Jl P I 1208 * "3.7 4(41)
C4E307-340 280_g_at 1234 P I 1259 *
C4E309- 315 280—g一 at 2042 P I 1758 * "4.9
C4E309-340 280— g— at 1913 P I 1956 * ~5.5
ABI7700に用いたプライマーおよび TaqManプローブは、 スイートより得られ る accession Noをもとに N C B Iの配列情報から Primer Express (PEバイオ システムズ) により設計した。 TaqManプロ一プの 5'末端は FAM (6-carboxy-f luo rescein)で、 また 3,末端は TAMRA (6- carboxy- N, N, N,, N, -tetramethylrhodamin e)で標識されている。 TaqMan法に使用したプライマーおよぴプロープは次の通 りである。
Primerl (5' ) : CCACTTTGGGAAGGAAGATGCT (配列番号: 5 )
Primer2 (3' ) : ACTTTCGGATGACCTCCAGAGA (配列番号: 6 )
TaqMan probe : ATGTACAGCAGTTCTACGACCTGCTCTCCG (配列番号: 7 ) 鎵型には全 R Aからポリ T(12〜18mer)をプライマーとして逆転写した cDNAを 用いた。 コピー数を算出する標準曲線のために両プライマーで増幅される塩基配
列領域を含むプラスミドクローンを各々の遺伝子について準備し、 その段階希釈 を铸型として反応を行った。 PCR増幅のモニタリングのための反応液の組成は表 4に示した。 表 4
ABI-PRISM 7700の反応組成 ( 1ゥヱルあたりの反応量) 滅菌蒸留水 25.66 (jf L)
10x TaqMan ノ ッファー A 5
25mM MgCl2 7
dATP(lOmM) 1.2
dCTP(lOmM) 1.2
dGTP(lOmM) 1.2
dUTP(lOmM) 1.2
Forward Primer (100〃M) 0.15
Reverse Primer (100 M) 0.15
TaqMan プローブ(6.7〃 M) 1.49
AmpliTaq Gold (5U// L) 0.25
AmpErase UNG (1U/〃L) 0.5
-ト溶液 5
50
また、 試料中の cDNA濃度の差を補正するため、 補正用内部標準として β-ァ クチン( - actin)遺伝子について同様の定量解析を行い、 それら遺伝子のコピ
一数を基に補正して、 目的遺伝子のコピー数を算出した。 β -了クチン、 β -acti n)遺伝子の定量には、 ヒト cDNAを铸型として用いた。
βァクチン測定用のプライマーとプローブは、 TaqMan j8 -actin Control Rea gents (PEバイオシステムズ) に添付のものを用いて行った。 塩基配列は以下の 通りである。 ァクチンにより補正した。
• β ァクチンフォーワードプライマー
TCA CCC ACA CTG TGC CCA TCT ACG Α (配列番号: 1 2 )
• β ァクチンリバースプライマー
CAG CGG AAC CGC TCA TTG CCA ATG G (配列番号: 1 3 )
• βァクチン TaqManプロープ
5' - (FAM) ATGCCC-T (TAMRA) -CCCCCATGCCATCCTGCGTp-3' (配列番号: 1 4 )
FAM: 6 - carboxy— fluorescein
TAMRA: 6-carboxy-N, Ν, Ν', N' -tetramethylrhodamine
ジーンチップでの発現解析は遺伝子スクリーニングを主眼とし、 各群 2例しか ないので、 例数が一群 1 0例以上まとまった大きな患者末梢血好酸球パネル (表 5 ) において、 ABI7700で健常人と患者の発現比較を行い、 スクリーニングの信 頼4をチェックした。
表 5
末梢血好酸球における TR3 の発現は、 健常に比してアトピー性皮膚炎患者で、 症例の強弱にはあまりかかわりなく多重比較で有意に亢進することが確認された (表 6、 図 1 ) 。
9挲
一 Sf
3d 60SS00請 OAV
( 4 ) 統計解析
上記のデータを利用して、 パラメトリック多重比較検定、 およびノンパラメト リック多重比較検定を行った。 統計解析は、 The SAS SYSTEMの SAS前臨床パッ ケージ Ver 4. 0 (SAS Institute Inc. )を用いて行った。 結果を表 7に示す。 健 常と軽症、 健常と中等症、 健常と重症の間の多重比較において、 いずれも有意に 患者群で高かった。 表 7
(NIIF健常人、 AL=アトピー性皮膚炎軽症、 AM=アトピー性皮膚炎中等症、 AS=7 トピー性皮膚炎重症)
ァトピー性皮膚炎病態の末梢血好酸球で、 このようなアポトーティックな性格 の遺伝子が亢進しているのは、 病態に伴つて末梢血で増加する好酸球を減少させ なければならないというネガティブなフィードパック制御が働くためと考えられ る。
[実施例 2 ] TR3受容体リガンドの探索
好酸球を特異的に細胞死に導く経路を、 TR3の機能の増強を通じて促進するこ とは、 喘息のみでなく、 本発明者らが調べたァトピー性皮膚炎も含めた種々のァ レルギ 疾患の治療に繋がる可能性が高い。 TR3は構造上核内受容体であるが、 オーブァン受容体であり生体内リガンドゃ活性化物質はまだわかっていない。 も しもそれらが見出されれば、 好酸球細胞内でダイレクトに TR3を活性化しアポ
トーシスを促進させることができる。 従って、 リガンド活性物質は抗アレルギー 薬としての可能性が高いと考え、 リガンドスタリーユングのためのハイスループ ット系を構築した。
Mammalian Two Hybrid のシステムを若干改変し、 図 2のように、 pBIND の中 に TR3のリガンド結^域配列または全長遺伝子 (図 3 ) を揷入し、 TR3と GAL 4の DNA結合領域が in frameで融合したタンパク質が発現されるようにした。 T R3のリガンド結合領域配列を pBINDに挿入したプラスミドと GAL4結合サイトを もったルシフェラーゼレポータープラスミドを NIH3T3細胞にコトランスフエク シヨンし、 ルシフェラーゼ活性を自動測定するが、 このときさらに、 TR3と会合 してへテロダイマーを形成する転写因子である retinoic acid X receptor (RX R) a遺伝子を一緒に加えて活性を測定することも試みた。 この系にさらに低分 子物質を加えて、 転写増強活性でスクリ一ユングを行うことができる。
TR3は、 アトピー性皮膚炎末梢血のように、 活性化した好酸球で発現が増強す る。 生体内に存在するリガンドは、 核内受容体が高発現している場所に存在する 可能性がある。 そこで、 このような条件で産生されると考えられる低分子の脂溶 性メディエーターをアツセィ系に加え、 ルシフェラーゼ活性の増強作用で評価し た。 月旨溶' |4メデイエ一ターの中力ら、 prostaglandin A
2, prostaglandin A
ls 1 5-epi prostaglandin k
v 13, 14- dihydro - 15 - keto prostaglandin A
2, 15 (R) - 1 5 - methyl prostaglandin A
2, deltal2- prostaglandin J2等のシクロペンァノ ン構造をもったプロスタグランジンに、 T R 3の転写活性化能を増強させる作用 があることを見出した (図 4、 表 8〜1 2 ) 。 このように本発明者らの確立した 方法によって、 ハイスループットで TR3の生体内リガンド及ぴ合成リガンドを 発見する道が開かれたとともに、 prostaglandin A
2、 prostaglandin 等のィ匕 合物おょぴその近辺の代謝物が、 TR3の真の生体内リガンドとしての可能性が高 いことが明らかになった。
0
1
[実施例 3 ] TINUR遺伝子の発現解析
核内ォーファン受容体サブファミトの β タイプである TINURについては、 臨床末梢血サンプルを用いた DDやジーンチップによる発現比較解析からは選ば れてこなかった。 この受容体についても、 アレルギー疾患をはじめとする特定疾 患との関連性は明らかになっていない。 しかしながら、 TR3との機能的な類似性 が予測されるので、 TR3と同様に例数が一群 1 0例以上まとまった同じ患者末梢 血好酸球パネル (表 5 ) において、 ΑΒΙ7700で健常人と患者の発現比較を行った。 TaqMan法に使用したプライマーおよぴプ口一プは次の通りである。
Primerl (5' ) : AGCACAGGCTACGACGTCAA (配列番号: 8 )
Primer2 (3' ) : TCTTCTACCTTAATGGAGGACTGC (配列番号: 9 )
TaqMan probe : TTGTACCAAATGCCCCTGTCCGGA (配列番号: 1 0 )
表 1 3、 図 5に示すように、 健常に比してアトピー性皮膚炎患者で、 症例の強 弱にはあまりかかわりなく有意に亢進することが確認された。
表 1 3
TINURも TR3と同様に核内ォーファン受容体であり生体内リガンドゃ活性化物 質はまだわかっていない。 もしもそれらが見出されれば、 好酸球細胞内でダイレ クトに TINUR を活性ィヒしアポトーシスを促進させることができると考えられる。 従って、 リガンド活性物質は抗アレルギー薬としての可能性が高いと考え、 TR3 と同じ手法でリガンドスクリーニングのためのハイスループット系を構築した。 図 2のように、 pBINDの中に TINURのリガンド結合領域配列または全長遺伝 子 (図 3 ) を揷入し、 TINURと GAL4の DNA結合領域が in frameで融合したタン パク質が発現されるようにした。 TINURのリガンド結合領域配列を pBI )に揷入 したプラスミ ドと GAL4結合サイトをもったルシフェラーゼレポータープラスミ ドを NIH3T3細胞にコトランスフエクシヨンし、 ルシフェラーゼ活性を自動測定 するが、 このときさらに、 TINURと会合してヘテロダイマーを形成する転写因子 である retinoic acid X receptor (RXR) a遺伝子を一緒に加えて活性を測定す ることも試みた。 この系にさらに低分子物質を加えて、 転写増強活性でスクリー ユングを行うことができる。
TINURも TR3と同じように、 活性化した好酸球で発現が増強する。 生体内に存 在するリガンドは、 核内受容体が高発現している場所に存在する可能性がある。 TR3の生体内リガンドが prostaglandin A2、 prostaglandin Aであることがわ かった。 核内受容体サプフアミリーのリガンドには構造的な冗長性があるはずで ある。 そこで、 TR3の活性化化合物と同様の誘導体を加え、 転写活性の亢進を調 ベた。 TINURについてはプロスタグランジン A2、 プロスタグランジン Aい 15-ェ ピ プロスタグランジン A 15 (R) -15-メチル プロスタグランジン A2、 16-フエ ノキシ テトラノル プロスタグランジン A2、 17 -フエニル トリノル プロスタグ ランジン A2、 15 デォキシ-デレタ 12, 14 -プロスタグランジン J2、 8-イソ プロ スタグランジン 等のシクロペンテノン構造をもったプロスタグランジンに、 転写を活性化させる作用があることを見出した (図 6および表 8〜1 2 ) 。 TIN
UR(Nurrl)については、 Wangらによる X線結晶解析の結果からリガンドポケット は閉じていて、 ナチュラルリガンドのない核内受容体である可能性が示唆されて いた(Z. Wang, G. Benoit, J. Liu, S. Prasad, P. Aarnisalo, X. Liu, H. X u, N. P. C. Walker, T. Perlmann, Structure and function of Nurrl identi fies a class of ligand - independent nuclear receptors (Tularik Inc. ) ; N ATURE 423, 29 May, p555-560 (2003) )。 しかしながら、 本発明者らによって、 上記の反応は再現性があること、 prostaglandin A2周辺化合物に構造活性相関 があることから、 prostaglandin A2、 prostaglandin 等の化合物およびその 近辺の代謝物は、 TR3 のみならず TINURの生体内リガンドとしての可能性が高 いことが今回明らかになった。
[実施例 5 ] パーチャル化合物
ファーマコフォアモデレにより、 P GA誘導体の TR3リガンド結合ドメイン (LBS)領域に対する結合位置をシミュレートし (図 7 ) 、 P G A誘導体のレポ一 ター系における構造活性相関情報から、 結合ポケットに同様にはまる P G A誘導 体以外の化合物をカタリスト D Bにより選択した (BioByte Master File 2001 39, 383化合物、 2, 198, 646 confsよりスクリ一二ング) 。
シミュレーションの結果、 強く結合する化合物として選ばれてきた 1 5 8化合 物のリスト (含む構造式) を表 1 4〜4 5、 次に選ばれてきた 1 1 7化合物のリ ストを表 4 6〜4 9に示す。
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09 Z800/C00Zdf/X3d 60SS00請 OAV
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表 2
2AMIN04PHENYL 81 177 QUINAZOLINE
DIPHENYLACETAL 81 177 DEHYDEENOL
GUANABENZ 81 0 177
MHYDROXYDIPHE 81 0 177 NYLAMINE
PRECLAMOL 81 227
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89一 Z800/C00Zdf/X3d 60SS00請 OAV
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一 69一
0Z800/C00Zdf/X3d 60SS00請 OAV
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表 2 6
CARBAMAZEPINE 63 0 159
N1PHENYLN1BEN 63 159 ZOYLHYDRAZINE
VIRIDICATIN 63 159
CHLORPROGUANI 62 183 し
DIDEOXYCYTIDIN 62 183 E2ALPHAFLUORO
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[実施例 6 ] LBD欠失変異体 (deletion mutant) による活性低下
Mammalian Two Hybrid レポーター系において、 TR3、 TINURの LBD領域を完 全に欠失させた遺伝子を導入したところ、 prostaglandin A2による転写活性は 抑制された (図 8 ) 。 したがって、 prostaglandin A2は実際にこれらの核内受 容体の LBD領域に作用して働いていることが示唆された。
[実施例 7 ] ビアコアによる PGA誘導体の TR3および TIMJRへの結合の証明 Mammalian Two Hybrid レポーター系において明らかになった、 TR3および TI NURに対する PGA誘導体のリガンド結合活性を完全に証明するために、 TR3およ ぴ TINURの GST- LBDをそれぞれ大腸菌で発現させ精製した。 ビアコア S 5 1を 用い、 GSTとの比較対照のもと、 TR3および TINURの LBDに PGA1、 PGA2が結合 している様子を捉えることができた (図 9 ) 。 レポーターで活性のなかったネガ ティブコント口一ノレ化合物の 13, 14-dihydro-15-keto-PGA2では LBDに結合しな かった。
[実施例 8 ]
ァトピー性皮膚炎病態の末梢血好酸球で、 TR3や TINURのようなアポトーティ ックな性格の遺伝子が亢進しているのは、 病態に伴つて末梢血で増加する好酸球 を減少させなければならないというネガティブなブイ一ドパック制御が働くため と考えられる。 そこで、 どのような刺激でこの遺伝子が好酸球から発現されるか ¾■ in vitroで調べた D
健常人から末梢血好酸球を大量に採取し、 シャーレでの活性化を抑えて浮遊培 養させ、 IL - 5や IL-4などのサイトカイン刺激で活性ィヒさせた力 TR3の誘導は みられなかった。 それに対し、 好酸球に特異的な細胞内経路でアポトーシスを誘 導させ、 喘息などの治療薬として可能性があることから最近注目されている好酸 球 CD30に対するァゴニスト活性をもつた抗 CD30抗体で、 細胞をアポトーシス
刺激すると、 1—3時間の処理の間に培養末梢血好酸球中で TR3や T I NU R が劇的に誘導されることが明らかになった (表 5 0、 図 1 0、 図 1 1 ) 。 以下の 表 5 0は、 ヒト末梢血好酸球のアポトーシス誘導についてまとめたものである。 表 5 0
抗 Fas抗体では、 抗 CD30抗体より反応が遅いながらアポトーシスが起こるに も関わらず TR3および TINURの誘導がかからなかったので、 これまでとは違つ た好酸球特異的アポトーシス経路の可能性がある。 これらの現象 (アポトーシス 誘導及び T R 3や T I NU Rの発現誘導) は、 好酸球特異的細胞株である
AML14. 3D10を抗 CD30抗体で処理したときも同様に観察された (図 1 2、 1 3、 1 4 ) 。
この好酸球を特異的に細胞死に導く経路を、 TR3や TINURの機能の増強を通じ て促進することは、 喘息のみでなく、 本発明者らの調べたアトピー性皮膚炎も含 めた種々のアレルギー疾患の治療に繋がる可能性が高い。 本発明者らの意図する 治療戦略の一例を図 1 5に示す。 産業上の利用の可能性
本発明により、 アトピー性皮膚炎患者の活性化した好酸球において発現に差の 見られる遺伝子が提供された。 本発明の遺伝子の発現を指標にすることにより、 アレルギー性疾患の検査、 および治療薬候補化合物のスクリーニングを行うこと が可能となった。
本発明におけるァレルギ一性疾患関連遺伝子は、 ァレルゲンの種類にかかわら ず、 簡便にその発現レベルを知ることができる。 従って、 アレルギー反応の病態 を総合的に把握することができる。
また本発明のアレルギー性疾患の検査方法は、 末梢血好酸球を試料としてその 発現レベルを解析することができるので、 患者に対する侵襲性が低い。 遺伝子解 祈技術は、 年々ハイスループット化、 低価格ィ匕が進行している。 従って本発明に よるアレルギー性疾患の検査方法は、 近い将来、 ベッドサイドにおける重要な診 断方法となることが期待される。 この意味で本発明の方法の診断的価値は高い。
'更に、 本発明のスクリーニング方法は、 アトピー性皮膚炎の代表的な臨床マー カーである好酸球の増減と密接に関連する遺伝子機能を指標として実施される。 従って、 このスクリーニング方法によって見出すことができる化合物は、 幅広い ァレルギ一の病態制御に有用であると期待できる。
また本発明により提供されるァレルギ一性疾患治療薬は、 TR3または TINURの 活性化とそれに伴う好酸球のアポトーシス誘導という全く新しい作用機序をもつ た医薬品として有用である。