明細書
ヒアルロン酸修飾物 技術分野
本発明は、 新規なヒアル口ン酸修飾物、 それを主成分とする関節疾患の処置製 剤、 及びそれを用いた関節疾患の処置方法に関する。 また、 本発明は、 そのヒア ルロン酸修飾物を主成分とする外科手術用補助剤又は処置剤、 及びそれを用いた 外科手術方法にも関する。 さらに、 本発明は、 そのヒアルロン酸修飾物を主成分 とする組織修復剤、 及びそれを用いた組織修復方法にも関する。 背景技術
これまでの約 4 0年間、 多くの関節軟骨欠損、 慢性関節リウマチ、 変形性関節 症等の関節疾患処置方法が提案されてきた。 現在、 自家細胞移植による関節軟骨 再生法も試みられているが、 数度の手術を必要とし、 簡便さに欠け、 患者の負担 が大きい。 人工関節を用いる場合においては、 生体適合性や耐久性の問題がある 。 これらの問題を解決する薬物による治療方法が長らく望まれている。
こうした状況の中、 現在、 医療の現場において、 ヒアルロン酸を関節腔内に直 接注入する治療法が広く用いられている (例えば、 ァルツ (商品名) 、 製造 生 化学工業株式会社、 販売 科研製薬株式会社) 。 ヒアルロン酸は関節液の主成分 の 1つであり、 その粘弾性効果や炎症抑制効果により関節において鎮痛効果を発 揮する。 一般に、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ等の関節症患者の関節液中に おいて、 ヒアルロン酸濃度、 分子量が正常関節液に対し低下していることが知ら れており、 このことが関節液の潤滑作用、 ショックァブソーバー作用の低下に起 因する疼痛症状の発生につながると考えられている。 唯、 ヒアルロン酸の関節腔 内からのクリアランスは早く、 その滞留時間を延長する目的で高分子量 (1 9 0 万ダルトン程度) のヒアルロン酸を用いる事も試みられている (スべニール (商 品名) :製造 アベンテイスファーマ株式会社、 販売 中外製薬株式会社) 力 高分子量であるが故に低温流通が必要であり、 また高粘度であるため注入圧が高 くなる傾向がある。 関節腔内における貯留は、 5日間程度 (薬理と治療、 2 2 (
S-3) 、 S 779 (1994) ) 、 鎮痛効果の持続も 1週間程度であり、 患者 のコンプライアンス低減のためにも更なる効果の持続が求められている。
一方、 部分的に化学的な架橋を架ける事で滞留時間を延長することも試みられ ている (例えば、 S y n V i s k (商品名) 、 Ge n z yme B i o s u r g e r y社 (日本公開特許公報 特開平 4 _ 261664号 (米国特許第 5399 351号、 欧州特許第 466300号) ; Re s t y l a n e (商品名) 、 Q— MEDifc (D e rma t o l o g i c S u r g e r y, 24, 1 31 7— 1325 (1998) ) 等) 力 S、 架橋剤による炎症誘発等の問題が懸念される。 また、 ヒアル口ン酸間の水素結合等による物理架橋を利用したゲル素材の報告も 有るが (国際公開公報 WO00Z27405号) 、 水溶液にすると架橋の崩壌 が始まるため、 現在用いられているヒアルロン酸製剤のような取り扱いやすい液 剤 (注射剤) での流通は難しい。
一方、 温度応答性高分子として、 ポリ N置換アクリルアミ ド誘導体、 ポリ N置 換メタアクリルアミ ド誘導体、 ポリビュルメチルエーテル、 ポリビュルアルコー ル部分酸化物等が知られている。 生体に安全性の高い温度応答性高分子としては 、 医薬品に用いる素材として米国食品医薬品局 (FDA) に認可されているポリ エチレンォキサイドーポリプロピレンォキサイドーポリエチレンォキサイドブロ ックポリマー (PEO— PPO—PEO:商品名 P 1 u r o 11 i c) が知られ ている (認可グレードは F 68及ぴ F 1 27) 。 また、 その類似のポリマーとし てポリプロピレンォキサイ ドーポリエチレンォキサイ ドーポリプロピレンォキサ ィドブロックポリマー (PPO—PEO— PPO:商品名 P 1 u r o n i c R ) が知られている。 これらポリマー単独でも温度を上昇させることで粘度上昇、 ゲル化することが報告されている (Ad v. D r u g. De l i v e r y Re v. , 31, 197— 221 (1 998) ) 力 S、 そのためには 16 %w /v以上という高濃度が必要であり、 安全性、 薬物担持率の上で不利である。 また、 疎水部に p p oの代わりにポリ乳酸 Zポリグリコ一ル酸共重合体を用い た、 ポリエチレンォキサイドーポリ乳酸 Zポリグリコール酸共重合体一ポリェチ レンオキサイドブロックポリマー (P E〇一 P LGA— P EO:商品名 Re g e 1 ) 又はポリ乳酸 Zポリグリコール酸共重合体ーポリエチレンォキサイドーポ
リ乳酸ノポリグリコール酸共重合体プロックポリマー (PLGA— PEO— PL GA:商品名 R e g e 1 ) 、 或いは、 疎水部に P P Oの代わりにポリ乳酸重合 体を用いた、 ポリエチレンォキサイドーポリ乳酸一ポリエチレンォキサイドプロ ックポリマー (PEO— PLA— PEO) 又はポリ乳酸一ポリエチレンォキサイ ドーポリ乳酸ブロックポリマー (PLA— PEO— PLA) も同様の温度応答性 機能を持つことが知られている (国際公開公報 WO 99ダ1 8142号) 。 また、 このような温度応答性高分子と親水性高分子を組み合わせた、 一般的な 熱可逆性ハイド口ゲル材料の報告も有る (日本公開特許公報 特開平 5— 262 882号、 特開平 9一 227329号、 特開平 1 1一 169703号、 国際公開 公報 WO 95Z15152号) 力 S、 ヒアルロン酸と PEO— PPO_PEO、 PPO— PEO— PPO、 P EO— P LGA— P EO、 PLGA— PEO— PL GA、 P E〇一 P LA— PEO又は P LA— PEO— P LAを組み合わせた例は 示されておらず、 更にこれらは外用剤 ·香粧品等を目的としたもので、 関節腔内 等の体内への注入を目的としたものでもない。 ポリアクリル酸と PEO— P PO 一 PEOをグラフトした温度応答性高分子 (国際公開公報 WO 97/2443 0号 (米国特許第 57098 15号) 、 ヒアルロン酸にポリ N—イソプロピルァ クリルアミドをグラフトした高分子 (B i oma c r omo l . , 2, 85 6-863 (2001) ) も報告されているが、 ポリアクリル酸、 ポリ N—イソ プロピルアクリルアミドは、 変異原性のあるモノマーの残存等、 安全性に問題が ある。 また、 ヒアルロン酸と P 1 u r o n i cを結合させた素材 ( J o u r n a 1 o f C o n t r o l l e d Re l e a s e, Vo l . 80, I s s u e s l— 3, p 69 - 77 (2002年 4月 23日) ) についても報告されてい るが、 その素材自身の医薬用途については開示も示唆もされていない。 なおこの 文献に記載の素材の分子量は 12600であるため、 生体排泄しにくいものであ り、 医薬用途には不適当である。
上述した如く、 室温流通が可能であって粘度が低く注入しやすく、 且つ長期に 亘つて関節腔内に滞留し鎮痛効果を示すような実用的なヒアルロン酸製剤に適し た安全なヒアルロン酸ベースの素材は現在のところ存在していない。
また、 ヒアルロン酸製剤は眼科手術の補助剤等の用途 (商品名: He a 1 o n
) 、 組織修復剤としての用途等も知られているが、 室温流通が可能であって粘度 が低く注入しやすく、 手術中に適度な粘度を有する外科手術用補助剤または処置 剤は未だ知られていない。 発明の開示
本発明者は、 かかる問題点を解決する為に鋭意研究を進めたところ、 ヒアルロ ン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に、 ポリエチレンォキサイ ドーポリプ ロピレンォキサイドーポリエチレンォキサイドブロックポリマー、 ポリプロピレ ンォキサイドーポリエチレンォキサイドーポリプロピレンォキサイドブロックポ リマー、 ポリエチレンオキサイ ド一ポリ乳酸 ポリグリコール酸共重合体一ポリ エチレンォキサイドブロックポリマー、 ポリ乳酸 Zポリグリコール酸共重合体一 ポリエチレンォキサイドーポリ乳酸 zポリグリコール酸共重合体プロックポリマ 一、 ポリエチレンォキサイドーポリ乳酸一ポリエチレンォキサイドブロックポリ マー及びポリ乳酸ーポリエチレンォキサイ ドーポリ乳酸プロックポリマーから選 択されるプロックポリマーを結合させることにより上記目的が達成されることを 見出し、 本発明を完成させた。
すなわち、 本発明は、 ヒアルロン酸及び Z又はその薬学的に許容される塩と、 ポリエチレンォキサイドーポリプロピレンォキサイドーポリエチレンォキサイド ブロックポリマー、 ポリプロピレンォキサイドーポリエチレンォキサイドーポリ プロピレンォキサイ ドブロックポリマー、 ポリエチレンオキサイド一ポリ乳酸/ ポリグリコ一ル酸共重合体ーポリエチレンォキサイ ドプロックポリマー、 ポリ乳 酸 /ポリグリコール酸共重合体ーポリエチレンォキサイドーポリ乳酸/ポリグリ コール酸共重合体ブロックポリマー、 ポリエチレンォキサイ ドーポリ乳酸一ポリ エチレンォキサイドブロックポリマー及びボリ乳酸一ポリエチレンォキサイ ドー ポリ乳酸ブロックポリマーから選択されるブロックポリマーとが結合したヒアル ロン酸修飾物に関する。
また、 本発明は、 前記ブロックポリマーが、 ポリエチレンォキサイ ドーポリプ ロピレンォキサイドーポリエチレンォキサイドブロックポリマー又はポリプロピ レンォキサイ ドーポリエチレンォキサイ ドーポリプロピレンォキサイ ドブロック
ポリマーである前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、 本発明は前記ブロックポリマーの大部分が、 その片末端のみでヒアルロ ン酸及び Z又はその薬学的に許容される塩に結合している前記ヒアルロン酸修飾 物にも関する。
また、 本発明は、 前記ブロックポリマーが、 その片末端のみでヒアルロン酸及 び Z又はその薬学的に許容される塩に結合している前記ヒアルロン酸修飾物にも 関する。
また、 本発明は、 前記ブロックポリマーが、 ヒアルロン酸及び/又はその薬学 的に許容される塩のカルボキシル基に結合している前記ヒアルロン酸修飾物にも 関する。
また、 本発明は、 生理食塩水中及び/又はリン酸生理食塩水中における前記ヒ アル口ン酸修飾物の相転移温度が、 前記ヒアルロン酸修飾物 1 0 . 0 % w V以 下の濃度で、 2 0 °C以上 3 5 °C以下であることを特徴とする前記ヒアルロン酸修 飾物にも関する。
また、 本発明は、 前記プロックポリマーの重量平均分子量が 1 2 0 0ダルトン 以上であることあることを特徴とする前記ヒアル口ン酸修飾物にも関する。 また、 本発明は、 前記ブロックポリマーの、 ヒアルロン酸及び/又はその薬学 的に許容される塩への導入率が、 ヒアルロン酸及び Z又はその薬学的に許容され る塩中のダルク口ン酸当たり 8モル%以上であることあることを特徴とする前記 ヒアル口ン酸修飾物にも関する。
また、 本発明は、 前記ヒアルロン酸及ぴ Z又はその薬学的に許容される塩の重 量平均分子量が 1 5 0万ダルトン以下であることを特徴とする前記ヒアルロン酸 修飾物にも関する。
さらに、 本発明は、 ヒアルロン酸修飾物を主成分とする医薬組成物にも関する また、 本発明は、 前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする関節疾患の処置製剤 にも関する。
また、 本発明は、 前記の関節疾患が関節軟骨欠損、 慢性関節リウマチ、 変形性 関節症又は肩関節周囲炎である、 前記ヒアル口ン酸修飾物を主成分とする関節疾
患の処置製剤にも関する。
また、 本発明は、 注射用製剤である前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする関 節疾患処置製剤にも関する。
また、 本発明は、 前記ヒアルロン酸修飾物の有効量を患者に投与することから なる、 関節疾患の処置方法にも関する。
さらに、 本発明は、 前記の関節疾患が関節軟骨欠損、 慢性関節リウマチ、 変形 性関節症又は肩関節周囲炎である、 前記ヒアルロン酸修飾物の有効量を患者に投 与することからなる、 関節疾患の処置方法にも関する。
更に、 本発明は、 前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処 置剤にも関する。
また、 本発明は、 前記の外科手術が眼科手術または内視鏡的粘膜切除術である 、 前記ヒアル口ン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤にも関する。 また、 本発明は、 前記ヒアルロン酸修飾物の必要量を対象部位に適用すること を含む外科手術方法にも関する。
また、 本発明は、 前記の外科手術が眼科手術または内視鏡的粘膜切除術である 、 前記ヒアル口ン酸修飾物の必要量を対象部位に適用することを含む外科手術方 法にも関する。
さらに、 本発明は、 前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする組織修復剤にも関 する。
また、 本発明は、 柔組織の損傷、 外科手術後の萎縮性不整、 モース(Mohs' )化 学外科損傷、 しわ、 又はしわの裂傷傷跡を修復することに用いられる、 前記ヒア ル口ン酸修飾物を主成分とする組織修復剤にも関する。
さらに、 本発明は、 前記ヒアルロン酸修飾物の必要量を対象部位に適用するこ とを含む組織修復方法にも関する。
また、 本発明は、 柔組織の損傷、 外科手術後の萎縮性不整、 モース(Mohs' )ィ匕 学外科損傷、 しわ、 又はしわの裂傷傷跡を修復する、 前記ヒアルロン酸修飾物の 必要量を対象部位に適用することを含む糸且織修復方法にも関する。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1—1で得られた本発明ヒアル口ン酸修飾物のプロトン NMR チヤ一トである。
図 2は、 実施例 1一 2で得られた本発明ヒアル口ン酸修飾物のプロトン NMR チヤ一トである。
図 3は、 実施例 2—1で得られた本発明ヒアル口ン酸修飾物のプロトン NMR チヤ一トである。
図 4は、 実施例 2— 2で得られた本発明ヒアル口ン酸修飾物のプロトン NMR チヤ一トである。
図 5は、 比較例 1で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトン NMRチヤ一トで ある。
図 6は、 比較例 2で得られたヒアルロン酸修飾物のプロ トン NMRチャートで feる。
図 7は、 比較例 3で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトン NMRチヤ一トで ある。
図 8は、 比較例 4で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトン NMRチャートで ある。
図 9は、 比較例 5で得られたヒアルロン酸修飾物のプロ トン NMRチャートで ある。
図 1 0は、 比較例 6で得られたヒアル口ン酸修飾物のプロトン NMRチヤ一ト である。
図 1 1は、 比較例 7で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトン NMRチヤ一ト である。
図 1 2は、 比較例 8で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトン NMRチヤ一ト である。
図 1 3は、 試験例 1で得られた実施例 2— 4のヒアル口ン酸修飾物の粘度の温 度応答性である。
図 1 4は、 試験例 1で得られた実施例 2— 4のヒアル口ン酸修飾物投与後の関 節幅の経時変化である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を更に具体的に説明する。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、 ヒアルロン酸 (H Aとも略す) 及ぴ Z又はそ の薬学的に許容される塩と、 ポリエチレンォキサイ ドーポリプロピレンォキサイ ドーポリエチレンォキサイドブロックポリマー、 ポリプロピレンォキサイドーポ リエチレンォキサイドーポリプロピレンォキサイドプロックポリマー、 ポリェチ レンォキサイドーポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体一ポリエチレンォキサイ ドプロックポリマー、 ポリ乳酸/ポリグリコ一ル酸共重合体ーポリエチレンォキ サイ ドーポリ乳酸 Zポリグリコ一ル酸共重合体ブロックポリマー、 ポリエチレン ォキサイドーポリ乳酸一ポリエチレンォキサイドプロックポリマー又はポリ乳酸 —ポリエチレンォキサイドーポリ乳酸プロックポリマーから選択されるプロック ポリマーとが結合したものである。 ここで、 ヒアルロン酸は、 β—D— N—ァセ チルダルコサミンと β— D—グルクロン酸が交互に結合した直鎖状の高分子多糖 で、 次のような基本構造を有する。
(式中、 ηは、 特に限定されないが、 例えば、 1 0 0〜 1 0 , 0 0 0の整数であ る)
本発明のヒアルロン酸修飾物は、 生体内 (例えば関節腔内等) に注入した際、 体温で相転移し、 相転移に伴う疎水結合による物理的架橋によつてその粘弾性を 急増させる。 即ち、 本発明のヒアルロン酸修飾物は、 相転移温度以下においては 、 架橋のかかったゲル状態ではなく流動性のあるゾル状態である。
この目的のために、 本発明のヒアルロン酸修飾物においては、 前記ブロックポ リマーの大部分が、 その片末端のみでヒアルロン酸及び Ζ又はその薬学的に許容 される塩に結合していることが望ましい。 尚、 ここで 「ブロックポリマーの大部
分が、 その片末端のみでヒアルロン酸及び z又はその薬学的に許容される塩と結 合している」 とは、 通常雰囲気下' 2 0 °C以下の状態において、 得られたヒアル 口ン酸修飾物の流動性が保たれている (得られたヒアル口ン酸修飾物がゾル状態 である) 結合状態を指す。 更に、 原料のヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許 容される塩と得られたヒアルロン酸修飾物とを比較した際、 その粘度に顕著な差 が見られない結合状態であることが好ましい。 また、 前掲の 「大部分」 とは、 前 述の結合状態を満足する割合であれば特に限定されないが、 具体的には、 その片 末端のみでヒアルロン酸及ぴノ又はその薬学的に許容される塩と結合しているブ 口ックポリマーの量が、 結合している全ブロックポリマーの量に対して 7 0 % w /w以上である状態を指し、 好ましくは 8 5 %w/w以上である状態を指し、 特 に好ましくは 9 5 % wZw以上である状態を指す。 尚、 何れの場合においても、 ブロックポリマーの両末端がヒアル口ン酸及び/又はその薬学的に許容される塩 に導入されている率は、 ヒアルロン酸及びノ又はその薬学的に許容される塩中の ダルク口ン酸当たり 5モル%以下であり、 好ましくは 3モル0 /0以下であり、 特に 好ましくは 1モル%以下である。 当然のことながら、 本発明ヒアルロン酸修飾物 は、 前記プロックポリマーが、 その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬 学的に許容される塩に結合しているヒアルロン酸修飾物のみで構成されていても よい。
片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と結合してい るプロックポリマーの量の結合している全ブロックポリマーの量に対する率、 並 びにプロックポリマーの両末端がヒアルロン酸及び z又はその薬学的に許容され る塩に導入されている率を定量する方法としては、 プロトン NMRで得られるブ ロックポリマーの導入量と、 ブロックポリマーを結合させる前段階におけるヒド ラジド化もしくはァミノ化されたヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容され る塩中の、 ヒドラジド (H Z ) 基又はアミノ基の実際の減少量との比較から求め ることができる。 例えばプロックポリマーを結合させる前段階においてヒドラジ ド化されたヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩を用いる場合、 ァ ジピン酸ジヒドラジドでヒドラジド基を導入したヒアルロン酸誘導体 (HA— H Z ) のプロトン NMRから得られるフリーなヒドラジド基由来のピーク (2 . 2
〜2 . 3 p p m) は、 ブロックポリマーの導入率に比例して減少するはずである から、 このピークとヒアルロン酸由来のピーク (2 . 1 p p m) の比を実測する
(X) 。 一方で、 ブロックポリマーの導入が 1 0 0 %片末端であると仮定して、 ブロックポリマー導入率から比例的に計算されるフリーなヒ ドラジド基由来のピ ークの、 ヒアルロン酸由来のピークに対する比を計算する (Y) 。 この実測値の 比が理論値の比より小さくなった割合が両末端で結合したブロックポリマーの割 合になる。 グルクロン酸に対するプロックポリマーの導入率を∑%、 HA - H Z のヒドラジド基導入率を11%とすると、 片末端のみでヒアルロン酸及び/又はそ の薬学的に許容される塩と結合しているブロックポリマーの量の結合してレ、る全 ブロックポリマーの量に対する率 (%) は、 (1— (H— Z ) / Z ( 1 - X/Y ) ) X I 0 0で表される。 また同様に両末端がヒアルロン酸及び/又はその薬学 的に許容される塩に導入されている率 (%) は、 グルクロン酸当たり、 (H— Z ) X ( 1 - X/Y) で表される。
また、 生理食塩水中及ぴ Z又はリン酸生理食塩水中における本発明のヒアルロ ン酸修飾物の相転移温度が、 本発明のヒアルロン酸修飾物 1 0 . 0 %w/ v以下 の濃度で、 2 0 °C以上 3 5 °C以下であることが望ましい。 尚、 ここでいう相転移 温度とは、 ヒアルロン酸修飾物の粘度の温度変化をコーン一プレート型粘度計等 の粘度計で測定した際、 粘度の変化がその最大変化量の 1 0 %に達した温度をい う。 従ってこの相転移は、 本発明の目的に合致する範囲で、 所謂ゾルーゲル転移 であってもよいし、 ゾル状態からより粘度の高いゾル状態への転移であってもよ レ、。
本発明に用いられるヒアルロン酸及び Z又はその薬学的に許容される塩は、 粘 度を注入しやすい程度に抑え、 且つ室温流通を可能とするため、 重量平均分子量 で 1 5 0万ダルトン以下であるものを用いることが好ましい。 重量平均分子量の 下限値については特に限定されないが、 重量平均分子量が下がるに伴い、 温度上 昇に伴う粘度上昇を達成する為により高いヒアルロン酸濃度が必要となってくる ため、 1万ダルトン以上であることが好ましい。 ここで、 ヒアルロン酸及ぴ Z又 はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量の測定方法については、 光散乱法 等、 各種の公知の方法を利用することができる。 尚、 このようなヒアルロン酸及
び/又はその薬学的に許容される塩は、 鶏冠や豚皮下等の生物由来のものを抽出 する方法や生物発酵法等の各種公知の方法を用いて製造することができ、 或いは 市販のものを購入して (例えば、 電気化学工業株式会社、 株式会社資生堂、 生化 学工業株式会社等から) 入手することも可能である。
また、 ここでヒアルロン酸の薬学的に許容される塩としては、 例えば、 ナトリ ゥム塩、 カリウム塩、 リチウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。 こ の中で、 特に好ましい塩は、 医薬品として繁用されているナトリウム塩である。
本発明に用いられるポリエチレンォキサイドーポリプロピレンォキサイ ドー ポリエチレンオキサイドブロックポリマー (PEO— PPO— PEO) 、 ポリプ ロピレンォキサイ ドーポリエチレンォキサイ ドーポリプロピレンォキサイドプロ ックポリマー (P PO— PE〇一 P P〇) 、 ポリエチレンオキサイド一ポリ乳酸 /ポリグリコール酸共重合体一ポリエチレンォキサイドブロックポリマー (PE
O-P LGA-P EO) 、 ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体一ポリエチレン ォキサイドーポリ乳酸 Zポリグリコ一ル酸共重合体ブロックポリマー ( P L G A -P EO-P LGA) 、 ポリエチレンオキサイド一ポリ乳酸一ポリエチレンォキ サイドブロックポリマー (PEO— P LA— PEO) 及ぴポリ乳酸ーポリエチレ ンオキサイド一ポリ乳酸プロックポリマー (P LA— PEO— P LA) から選択 されるブロックポリマーは、 前述した如く本発明のヒアルロン酸修飾物の相転移 温度が 20 °C以上 35 °C以下となるように、 1. 0 % w/ Vの生理食塩水中及ぴ /又は 1. 0%wZvのリン酸生理食塩水中におけるそれらポリマーの低温臨界 溶液温度 (LCST) を調整したものを用いる。 具体的には、 1. 0%wZvの 生理食塩水中及び/又は 1. 0 % wZ Vのリン酸生理食塩水中 (好ましくは 1. 0%w/vのリン酸生理食塩水中) において、 前記ブロックポリマーの LCST が 1 5°C以上 40°C以下であるものを用いればよい。 ここでいう LCSTとは、 前記の溶液中に溶解させたブロックポリマーの 500 nmにおける吸光度を温度 変化させながら測定した際、 その吸光度変化が最大変化量の 10%に達した温度 をいう。 また、 上記相転移温度の範囲内で異なる LCSTを持つ複数の前記ブロ ックポリマーを組み合わせて使用してもよいが、 好ましくは 1種のブロックポリ マーを使用するのがよい。
本発明に用いられるポリエチレンォキサイ ドーポリプロピレンォキサイ ドーポ リエチレンオキサイドブロックポリマー (P E〇一 P PO— P EO) 、 ポリプロ ピレンォキサイドーポリエチレンォキサイドーポリプロピレンォキサイドブロッ クポリマー (PPO— PEO— PPO) 、 ポリエチレンオキサイド一ポリ乳酸 Z ポリグリコ一ル酸共重合体一ポリエチレンオキサイ ドブロックポリマー ( P E O -P LGA-PEO) 、 ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体—ポリエチレンォ キサイ ドーポリ乳酸 Zポリグリコ一ル酸共重合体ブロックポリマー (PLGA— PEO-PLGA) 、 ポリエチレンオキサイ ド一ポリ乳酸一ポリエチレンォキサ イドブロックポリマー (PEO—PLA— PEO) 及びポリ乳酸一ポリエチレン オキサイド一ポリ乳酸ブロックポリマー (P LA— PEO— P LA) から選択さ れるブロックポリマーは、 これに限定されるものではないが、 一般的には次のよ うな基本構造を有する。
(1) PEO— PPO— PEOトリブロックポリマー
C¾
I
HO-(C¾CH,0)x-(CH2CHO)y-(CH2CH20)x-H (1)
(2) PPO— PEO— PPOトリブロックポリマ
CH3 CH3
HO-(CHCH20)x,-(CH2CH20)y,-(CH2CHO)x,-H (2)
(3) PEO— PLGA— PEOトリブロックポリマー又は P E O— P L A— P EOトリブロックポリマー
O CH3 O
II I II
HO-(CH
2CH
20)
p-(C-CH-0)
q-(C-CH2-0-)
r-(CH2CH
20)
p-H (3)
(4) PLGA— PEO— PLGAトリブロックポリマー又は P LA-PEO- P L Aトリブロックポリマー
CH
30 O O CH
3 O
I II II II I II
H-(0-CH-C)r(0-CH2-C)m-(0-CH2CH2)n.-0-(C-CH-0)1-(C-CH2-0)m-H (4)
PPO— PE〇一 PPOトリブロックポリマー及ぴ P EO— P PO— P EOト リブロックポリマーにおいては、 疎水性の P P Oブロックと親水性の P E〇ブロ ックの比率は、 これに限定されないが、 例えば、 90〜10%w/w: 10〜9 0%wZwが好ましい。 PEO— PLGA— PEOトリブロックポリマー L GA— PEO— PLGAトリブロックポリマー、 PEO— PLA— PE〇トリブ 口ックポリマー及ぴ P LA-P EO-P LAトリプロックポリマーにおいて、 疎 水性の P LGA又は P LAブロックと親水性の PEOブロックの比率は、 これに 限定されないが、 例えば、 51〜83%w/w: 1 7〜49%w/wが好ましい 。 また、 PLGA又は PLAブロックにおいて、 ラタテート含量は、 好ましくは 30〜 100モル0 /。、 より好ましくは 50〜 100モル0 /0であり、 グリコレート 含量は、 好ましくは 0〜70%、 より好ましくは 0〜50%である。
また、 本発明のヒアルロン酸修飾物が充分な架橋強度を発現できるためには、 前記プロックポリマーの重量平均分子量は 1200ダルトン以上であることが好 ましい。 さらに、 生分解後の体内からの排泄性を考慮すると、 ブロックポリマー として PEO— P P〇一 P EO又は P PO— P EO— P P〇を用いる場合は、 そ の重量平均分子量は 1 200ダノレトン以上 1万ダルトン以下であることがより好 ましい。 ブロックポリマーとして PEO— P LGA— P EO、 PLGA— PEO 一 P LGA、 P EO— P LA— P EO又は P LA—PEO— P LAを用いる場合 は、 PLGA又は PL A自体は生分解性であるので、 PEO成分の重量平均分子
量が 1万ダルトン以下であることがより好ましい。 尚、 ここでいう PE〇一 PL GA— PEO、 P LGA— P E〇一 P LGA、 P E O— P L A— P E O又は P L A— PEO— PL A、 或いは PE〇の重量平均分子量とは、 ポリエチレンォキサ イドを標準物質に用い、 ゲ^/パーミエーシヨンクロマトグラフィ (GPC) で測 定した際の重量平均分子量をいう。
尚、 このような PEO— P PO— PEOは商品名 P 1 u r o n i cとして、 また P PO—P EO_P POは商品名 P 1 u r o n i cRとしてそれぞれ市販 されており、 例えば B A S F武田ビタミン株式会社、 旭電化工業株式会社等から 入手することが可能である。 それらの合成方法は、 C o l l o i d s a n d Su r f a c e s A、 96、 1 -46 (1 995) 等に記載されている。 また、 PEO— PLGA—PEO及びPLGA_PEO_PLGAは商品名 R e g e 1として市販されており、 例えば Ma c r oMe d社、 A 1 k e r me s社等か ら入手することが可能である。 それらの合成方法は、 J. B i ome d. Ma t . Re s. 、 6 1、 1 88— 196 (2002) 、 WO 99/18142号公報 等に記載されている。
ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩にブロックポリマーを結合 させる方法としては特に制限されないが、 例えば、 ヒドラジド化 (国際公開公報 WO 95Z1 51 68号 (米国特許第 561 6568号、 米国特許第 5652 347号、 米国特許第 587441 7号) 等) 或いはジァミン化合物をカルポジ イミ ド等の力ップリング剤で結合、 了ミノ化したヒアルロン酸及び/又はその薬 学的に許容される塩と片末端の水酸基を、 4一二トロフエエルクロロフオルメイ ト化 (国際公開公報 WO 95Z24430 (米国特許第 648621 3号) ) 或いはジ一 N—ヒドロキシスクシンイミドからなる架橋剤を DMS〇中でピリジ ン等の塩基性有機溶媒下で反応させ、 N—ヒドロキシスクシンイミド化した前記 ブロックポリマーを反応させる方法、 或いは、 4—ニトロフエニノレクロロフオル メイト化した後ジァミン、 あるいはジヒドラジドと反応させ、 アミノ基あるいは ヒドラジド基を片末端に修^ ίした前記プロックポリマーとヒアル口ン酸及ぴ ζ又 はその薬学的に許容される塩のカルボキシル基をカルポジィミド等のカツプリン グ剤を用いて結合させる方法等が挙げられる。
なお、 参考のために示すと、 上記ヒアルロン酸又はその塩とブロックポリマー の片末端の水酸基との結合は、 次のスキーム (1) 〜 (4) のように模示するこ とができる。 但し、 これはポリマー同士の反応を説明のために単に摸示したに過 ぎず、 本発明の結合方法はこれに何ら制限されるものではない。 例えば、 下記ス キーム中、 ヒアルロン酸を、 HA— COOHとして示したが、 ヒアルロン酸中の カルボキシ基は基本構造の繰返し単位の数 (前記 n) だけ存在する。 スキーム (1) carbodnmide
HA-COOH + H2N-R-NH2 ► HA-CO-NH-R-NH2
(1) (2) (3)
(式中、 HA— COOHはヒアルロン酸を示し;そして、 H2N— R— NH2は ジヒ ドラジドまたはジァミンを示す 〔R = NH— CO— A— CO— NHの場合に ジヒ ドラジド〕 ) スキーム (2)
HO-TBP-OH
(4)
N02-Ph-0-CO-0-TBP-OH ► H2N-R"-NH-CO-0-TBP-OH
(6) (8)
HA-CO-NH-R-NH-CO-O-TBP-OH
(9)
(式中、 HO— TB P— OHは前記の各種トリプロックポリマーを示し; P hは フエニルを示し; H2N— R"— NH2はジヒドラジドまたはジァミンを示す
〔R" =NH— CO— A— CO— NHの場合にジヒドラジド〕 ;そして、 その他 の略号は上記と同様である。 )
スキーム—(3)_
HA-CO-HN-R-NH2
(3)
HA-CO-NH-R-NH-TBP-OH
(12) (式中、 略号は上記と同様である。 ) スキーム _(4)
H2N-R"-NH-CO-0-TBP-OH
(8)
HA-COOH
(1)
HA-CO-NH-R"-NH-CO-0-TBP-OH
(12)
(式中、 略号は上記と同様である。 )
上記スキームに示した反応の反応条件は、 国際公開公報 W095/1516 8号、 国際公開公報 WO 95/24430等の記載を参照して決定することが できる。 例えば、 スキーム (1) では、 ヒアルロン酸 (1) を、 ジヒ ドラジド ( 2 ) とジシク口へキシルカルボジィミ ド、 ジメチルァミノプロピルカルボジィミ ドなどのジカルポジイミ ドの存在下反応させ、 末端アミノ化ヒアルロン酸 (3) を得る。 通常、 この反応は、 水及び/又は水溶性溶媒 (例えば、 ジメチルホルム アミ ド、 ジメチルスルホキシド、 アルコール類、 ジオール類) 中、 0〜100°C 、 好ましくは 10° (〜 40°Cの温度で、 0· 5〜48時間行う。 スキーム (2) では、 トリブロックポリマー (4) と 4—ニトロフエ二ノレクロ口ホルメート (5 ) を、 塩化メチルなどのハロゲン化炭化水素溶媒中、 トリェチルァミン等の塩基 の存在下、 0〜40°〇で0. 5〜24時間反応させて 4 トロフエニルホルメ ート化トリブロックポリマー (6) を得る。 この化合物 (6) は、 末端アミノ化 ヒアルロン酸 (3) と、 水及び Z又は水溶性溶媒中で、 0°C〜40°Cで、 0. 5 〜48時間反応させて、 目的とするトリブロックポリマー結合ヒアルロン酸 (9 ) を得る。 一方、 化合物 (6) とジァミン (7) とを、 ハロゲン化炭化水素溶媒 中、 0〜40°Cで、 0. 5〜48時間反応させて末端アミノ化トリプロックポリ マー (8) を得る。 この化合物 (8) を、 ヒアルロン酸 (1) と反応させて、 目 的とするトリブロックポリマー結合ヒアルロン酸 (12) を得る (スキーム ('4 ) ) 。 なお、 スキーム (3) では、 トリブロックポリマー (4) と、 N—ヒ ドロ キシスクシンイミ ド (NHS) (10) とを反応させて、 NHS活性ィ匕トリブ口 ックポリマー (1 1) を得、 これを末端アミノ化ヒアルロン酸 (3) と反応させ て、 目的とするトリブロックポリマー結合ヒアルロン酸 (12) を得る。 なお、 上記反応において、 ブロックポリマーのうち、 大部分が片末端の水酸基のみに活 性化官能基が導入されたプロックポリマーを得ることは、 各原料の仕込量を調整 することによって、 容易に行うことができる。 例えば、 活性化官能基の反応時の 仕込み量をブロックポリマーの末端官能基と等モル以下として反応させれば、 片 末端のみ活性化されたブロックポリマーを主成分として得ることができる。 さら に、 活性化官能基の反応時の仕込み量を減らせば、 活性ィヒされていないブロック ポリマーの割合は増すが、 片末端のみが活性化されたプロックポリマーの割合も
増す。
本発明において使用されるジァミン、 ジヒ ドラジドは特に限定されないが、 例 えばジァミンとしては、 ジアミノエタン、 ジァミノプロパン、 等のジアミノアノレ カン類、 N—リジルージアミノエタン、 N, N ' —ジリジルージアミノエタン等 のモノ、 またはジ (リジル) ジァミノアルカン類、 アミノ基を 2つ以上もつぺプ チド等が挙げられる。 ジヒドラジドとしては、 コハク酸ジヒドラジド、 アジピン 酸ジヒ ドリジド、 スベリック酸ジヒ ドラジド、 ォキサリック酸ジヒドラジド、 マ 口ニック酸ジヒ ドラジド等が挙げられる。 P L G Aや P P〇等の疎水部を末端に 持つものは水中でのヒアルロン酸もしくはその誘導体へのグラフト反応性が低く なるため、 ヒアルロン酸もしくはその誘導体をトリプチルアンモニゥム塩にする ことで DM S O等の極性有機溶媒に可溶とし、 極性有機溶媒中で上記の反応を行 うと良い。 また、 上記においてヒ ドラジド化を経由する場合は、 本発明のヒアル 口ン酸修飾物中に残存する未反応のヒドラジド基を無水コハク酸等と反応させ、 フリーのヒ ドラジド基をなくしておくことが生体への適用上好ましい。
前記ブロックポリマーのヒアルロン酸及び Z又はその薬学的に許容される塩へ の導入率については、 相転移に伴う充分な粘度の変化を得る為、 ヒアルロン酸中 のグルクロン酸当たり、 8モル%以上であることが好ましい。 尚、 前記ブロック ポリマーのヒアル口ン酸及びノ又はその薬学的に許容される塩への導入率はプロ トン NMR法で、 ヒアルロン酸由来のプロトン (N— a c e t y l a t e ) と前 記ブロックポリマー由来のプロトンの面積比から算出すればよい。
このようにして得られた本発明のヒアルロン酸修飾物は、 高分子量のヒアルロ ン酸を用いていないため、 室温流通が可能である。 また、 相転移温度を 2 0 °C以 上 3 5 °C以下に調整することにより、 室温においては粘度が低く取り扱いやすい (注射等により注入しやすい) 一方、 生体内 (例えば関節腔内) に注入した際、 相転移温度まで温められることによって粘弾性が急増する。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、 生体内 (例えば関節腔内) に注入した際、 長 期に亘つて生体内に滞留することが好ましい。 ここでいう長期とは、 従来のヒア ルロン酸製剤では達成できなかった期間、 即ち 1週間以上をいい、 好ましくは 2 週間以上である。 尚、 このような生体内 (例えば関節腔内) における滞留期間を
測定するには、 例えば、 放射性ラベルイ匕して標識化したヒアルロン酸を用いる方 法 (薬理と治療、 2 2、 3 2 5— 3 5 0、 1 9 9 4 ) 、 又はフルォレセインイソ チオシァネート (F I T C ) 等の蛍光ラベル化して標識化したヒアルロン酸を用 いる方法等の従来のヒアルロン酸製剤で試みられている方法、 或いは、 ヒアルロ ニダーゼでヒアルロン酸部分を分解し、 前記ブロックポリマーを G P Cで定量す る方法、 あるいは、 投与後の関節幅の経時的減少を直接測定する方法等を用いて 測定すればよい。
上述したように、 本発明のヒアルロン酸修飾物は、 室温流通が可能であって粘 度が低く注入しやすく、 且つ長期 (2週間以上) に渡って関節腔内に滞留可能で あり、 また高い安全性が予想されるため、 今までにない実用的なヒアルロン酸製 剤の主成分として、 関節疾患の処置に非常に有用である。
尚、 ここでいう 「関節疾患」 とは、 関節軟骨欠損、 慢性関節リウマチ、 変形性 関節症、 肩関節周囲炎等の疾患をいう。 「処置」 とは、 前記関節疾患の治療、 予 防、 病態の進展抑制 (悪化の防止や現状維持) 等のための処置をいう。
また、 本発明のヒアルロン酸修飾物は、 上述したような特性を利用して、 外科 手術に用いる補助又は処置剤、 薬物徐放用担体、 再生医療、 組織工学に用いられ る細胞増殖用マトリックスなどへの応用も可能である。 例えば、 本発明のヒアル 口ン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤は、 例えば、 目艮科手術また は内視鏡的粘膜切除術 (EMR) に用いることができる (WO O 2 / 0 5 6 9 1 4号公報等参照) 。 さらに、 本発明のヒアルロン酸修飾物は、 柔組織の損傷を強 化し修復する用途にも応用することができる (特開平 1 0—3 2 4 7 0 1号公報 参照) 。 例えば、 本発明のヒアルロン酸修飾物は、 柔組織の損傷たとえばざ瘡の 傷跡、 外科手術後の萎縮性不整、 モース(Mohs' )化学外科損傷、 口びるおょぴ老 令のしわの裂傷傷跡のような損傷、 あるいはしわ自体を修復するのに安全に使用 することができる。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、 その有効量に、 適宜、 製薬上許容しうる担体 、 賦型剤、 崩壊剤、 滑沢剤、 結合剤、 香料、 着色剤を加えて医薬組成物として用 いることができる。 本発明の医薬組成物は、 例えば、 注射剤、 溶液剤、 経皮吸収 剤、 軟膏、 ローション、 カプセル剤等に製剤化することができる。 製剤中のヒア
ルロン酸修飾物の含有量は、 例えば、 製剤全体に対して、 0 . 0 1〜9 9 . 9 % wZw、 好ましくは、 0 . :!〜 7 0 % ノ である。
本発明のヒアル口ン酸修飾物を関節疾患処置製剤あるいは外科手術補助又は処 置剤として製剤化するに際しては、 特に限定されないが、 例えば、 生理食塩水や リン酸生理食塩水等に所望の濃度に溶解させ、 注射用製剤として製剤化すること ができる。 この際、 必要に応じて、 酸又は塩基を加えることにより、 溶液を所望 の p Hに調製してもよい。 また、 ナトリウム塩、 カリウム塩等の 1価の金属塩、 マグネシウム塩、 カルシウム塩、 マンガン塩等の 2価の金属塩等の無機塩等を加 えることにより、 溶液を所望の塩濃度に調製してもよレ、。 更に、 所望に応じて、 安定化剤等が加えられていてもよい。 このようにして調製された、 本発明のヒア ルロン酸修飾物を溶解させた溶液を、 デイスポーザプル注射筒等の注射器に予め 充填させた形で流通させてもよい。
本発明のヒアルロン酸修飾物を主成分とする関節疾患処置製剤を注射用製剤と して投与するに際しては、 本発明のヒアル口ン酸修飾物が 0 . 0 1 %〜 5 0 %w / Vの溶液濃度、 好ましくは 0 . 0 5 %〜 2 0 % w/ Vの溶液濃度、 特に好ましく は 0 . 5 %〜 1 0 % w / Vの溶液濃度のものを、 1回あたり l〜3 m Lを患者に 投与すればよい。 但し、 この投与量は、 医師の指示、 対象となる患者、 又は疾患 や疾患の重篤度、 或いは原料となるヒアル口ン酸の分子量等により、 それぞれ最 適な投与量に適宜増減してもよい。
本発明のヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤を注射剤 として用いる場合は、 本発明のヒアルロン酸修飾物が 0 . 0 1 %〜5 0 %w/ v の溶液濃度、 好ましくは 0 . 0 5 %〜 2 0 % w/ Vの溶液濃度、 特に好ましくは 0 . 5 %〜 1 0 % w/ Vの溶液濃度のものを、 必要量手術の対象部位に適用すれ ばよい。 例えば、 このような製剤を、 径が 2 0〜2 2 Gで、 注射針のチューブの 有効長が 1 0 0 0〜2 5 0 O mmの注射針を有する内視鏡用注射針を用いて、 手 術の対象部位に適用し、 胃や腸などの粘膜組織の切除に利用することができる。 例えば、 ポリープや癌などの切除予定の粘膜下層に、 内視鏡用注射針を介して上 記製剤を注入して切除予定部位を隆起させ、 その隆起部分をスネアやニードルナ ィル等で切除する。 なお、 上記製剤を眼科手術補助剤として用いる場合は、 例え
ば、 白内障手術において、 上記製剤を、 手術スペース (前房深度と呼ばれる) の 維持や角膜内皮などを物理的侵襲から保護するために注入する。 例えば、 混濁し た水晶体核を除去したのち、 上記製剤を注入することにより、 前房深度を十分に 維持しつつ、 眼内レンズを揷入することができる。
なお、 本発明の組織修復剤は、 例えば、 上記のような組成を有する注射用製剤 、 溶液剤、 経皮吸収剤、 軟膏又はローションのような製剤として組織の修復が必 要な部位に適用することができる。 実 施 例
以下、 本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、 本発明はこれ らの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例においては、 NMRスペクトルは核磁気共鳴装置 JNM—EC A500 (日本電子株式会社製) を用いて測定した。
〔実施例 1〕
(実施例 1一 1 )
(1) 二ト口フエニルフオルメイ ト化した P 1 u r o n i c L 62 D (P 1 u r o n i c L 62D-NP C) の合成
P l u r o n i c L— 62D (商品名) (分子量 2360ダルトン、 L C S T28°C、 B AS F武田ビタミン株式会社製) 8mmo l、 4— N—ニトロフエ ニルク口口フオルメィト (東京化成株式会社製) l Ommo lを l O OmLの塩 化メチレン (S i gma社) に溶かし、 10 mm o 1のトリェチルァミンを加え 室温で 12時間反応させた後、 エーテルで洗浄後エバポレータで濃縮し、 ニトロ フエニルフオルメイト化した P 1 u r 0 n i c L 62D (P l u r o n i c L 6 2D-NP C) 1 7. 2 gを得た。
(2) ヒドラジド (HZ) 基が導入されたヒアルロン酸 (HA— HZ) の合成 分子量 5. 8 X 105ダルトンのヒアルロン酸 (HA) (電気化学工業株式会 社製) l O Omgを 0. 25 %濃度で蒸留水に溶解し、 5 N塩酸で p Hを 4. 7 〜4. 8に調製した。 1一ェチル一 3— 3—ジメチルァミノプロピルカルボジィ
ミ ド (EDC) とアジピン酸ジヒドラジド (ADH) を、 HA : EDC : ADH = 1 : 5 : 40モル比になるよう添カ卩し、 5N塩酸でpHを4. 7〜4. 8に保 ちながら室温で 2時間反応させた。 100 mM塩化ナトリゥム溶液、 25 %ェタ ノール溶液で透析 (スぺクトラポア 7、 分画分子量 (MWC O) : 12 k— 14 kダルトン) し、 凍結乾燥して標題のヒ ドラジド (HZ) 基が導入されたヒアル ロン酸 (HA— HZ) 85m gを得た。
得られた HA— HZ中の HZ導入率をプロトン NMR法で定量したところ、 H Aの力ノレボン酸の 68%が HZ化されていた (HA: N— a c e t y l a t e、 2. l p pm、 HZ : Me t hy l e n e、 1. 7 p pm、 2. 4 p pmゾ 。
(3) ヒアル口ン酸に PEO— PPO— PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物 の合成
前記 (2) で得られた HA— HZ 1 Omgを 1 OmLの 1 0 OmMリン酸緩 衝溶液 (PB、 pH8. 0) に溶かし、 同じく前記 (1) で得られた P l u r o n i c L62D_NPCを、 HZ : NP C= 1 : 20モル比になるよう添カロし、 4°Cで 1日間反応させた。 pHを 1 1にして過剰の NPCを加水分解した後、 4 °Cで水に対して透析 (スベタ トラポア 7、 MWCO : 300 kダルトン) するこ とで精製、 エバポレーシヨンで濃縮した。 標題のヒアルロン酸にポリエチレンォ キサイ ド一ポリプロピレンォキサイ ドーポリエチレンォキサイ ドプロックポリマ 一 (PEO-PPO-PEO) を結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
得られた HA— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン NM R法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 1 3モル0 /0に P 1 u r o n i cが導 入されていた (HA: N- a c e t y l a t e、 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 I . 2 p pm) 。
また、 このヒアルロン酸修飾物の 4 % V / Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °C で液体、 36 °Cでゲル化した。
(実施例 1一 2 )
(1) HZが導入されたヒアルロン酸 (HA— HZ) の合成
分子量 1. 9 X 105ダルトンの HA (電気化学工業株式会社製) 10 Omg を 0. 5%濃度で蒸留水に溶解したほかは前述の実施例 1一 1の (2) と同様の 方法で、 標題の HZが導入された HA (HA-HZ) 83 m gを得た。 得られた HA— HZ中の HZ導入率をプロトン NMR法で定量したところ、 HAのカルボ ン酸の 64%が HZ化されていた (HA: N— a c e t y 1 a t e、 2. I p p m、 HZ : Me t hy l e n e、 1. 7 p pm、 2. 4 p pm) 。
(2) ヒアル口ン酸に PEO— PPO— PE〇を結合させたヒアル口ン酸修飾物 の合成
前記 (1) で得られた HA— HZ 1 Omgを 1 OmLの 10 OmMリン酸緩 衝溶液 (PB、 pH8. 0) に溶かし、 実施例 1一 1の (1) と同様の方法で得 られた P l u r o n i c L62D_NPCを、 HZ : NPC= 1 : 20モル比に なるよう添加し、 4 °Cで 1日間反応させた。 p Hを 1 1にして過剰の N P Cを加 水分解させた後、 4°Cで水に対して透析 (スぺクトラポア 7、 MWCO : 300 kダノレトン) することで精製、 エバポレーシヨンで濃縮した。 標題のヒアルロン 酸に PEO— PPO— PEOを結合させたヒアル口ン酸修飾物を得た。
得られた H A— P 1 u r o n i c中の P l u r o n i c導入率をプロトン NM R法で定量したところ、 HAのカルボン酸の 30モル%に l u r o n i cが導 入されていた (HA: N— a c e t y l a t e, 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p pm) 。
また、 このヒアルロン酸修飾物の 6 % V Z V酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液 体、 36 °Cでゲル化した。
(実施例 1一 3 )
(1) HZが導入されたヒアルロン酸 (HA— HZ) の合成
分子量 2. 5 X 104ダルトンの H A (電気化学工業株式会社製) 1 0 Omg を 1 %濃度で蒸留水に溶解したほかは前述の実施例 1一 1の ( 2 ) と同様の方法 で、 標題の HZが導入された HA (HA-HZ) 88 m gを得た。 得られた HA 一 HZ中の HZ導入率をプロトン NMR法で定量したところ、 HAのカルボン酸
のら 5 %が HZィヒされていた (HA: N- a c e t y l a t e、 2. l p pm、 HZ : Me t hy l e n e 1. 7 p pm、 2. 4 p pmU 。
(2) ヒアル口ン酸に PEO— PPO— PEOを結合させたヒアル口ン酸修飾物 の合成
前記 (1) で得られた HA— HZ 1 Omgを 1 OmLの 10 ΟιηΜリン酸緩 衝溶液 (P B、 p H 8. 0 ) に溶かし、 実施例 1一 1の ( 1 ) と同様の方法で得 られた P l u r o n i c L 62D— NPCを、 HZ : NP C= 1 : 20モル比に なるよう添加し、 4°Cで 1日間反応させた。 pHを 1 1にして過剰の NPCを加 水分解させた後、 4°Cで水に対して透析 (スぺク トラポア 7、 MWCO : 50 k ダルトン) 、 さらにジメチルスルホキシド (DMSO) に対して透析し、 再度水 に置換した後凍結乾燥、 標題のヒアルロン酸に P E O— P P O— P E Oを結合さ せたヒアル口ン酸修飾物を得た。
このヒアルロン酸修飾物の 10 % V / V酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体、 36 °Cでゲルイ匕した。
〔実施例 2〕
(実施例 2— 1 )
(1) 二ト口フエニノレフオノレメイ ト化した P l u r o n i c L 92 (P l u r o n i c L 92 -NPC) の合成
P l u r o n i c L 92 (商品名) (分子量 3650ダルトン、 L C S T 1 7°C、 B AS F武田ビタミン株式会社製) を用いるほかは、 実施例 1— 1の (1 ) と同様の方法で、 二トロフエニルフオルメイ ト化した P 1 u r o n i c L 92 (P 1 u r o n i c L 92-NPC) 27. 3 gを得た。
(2) ヒアル口ン酸に PPO— PEO— PPOを結合させたヒアルロン酸修飾物 の合成
実施例 1— 1の (2) で得られた HA— HZを用い、 P l u r o n i c L 62 D— NPCの代わりに前記 (1) で得られた P l u r o n i c L 92— NPCを
用いるほかは、 実施例 1一 1の (3) と同様の方法で、 標題のヒアルロン酸にポ リプロピレンォキサイ ドーポリエチレンォキサイドーポリプロピレンォキサイド ブロックポリマー (P PO— PEO— P PO) を結合させたヒアルロン酸修飾物 を得た。 得られた H A— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロト ン NMR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 27モル0 /0に P 1 u r o n i cが導入されていた (HA: N- a c e t y l a t e、 2. l p pm、 P 1 u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p pm) 。 このヒアルロン酸修飾物の 2 % V Z Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cでゲル化した。
(実施例 2— 2 )
実施例 1—2の (1) で得られた HA— HZを用いるほかは、 実施例 2—1の (2) と同様の方法で、 標題のヒァルロン酸に??0_?£0— ??0を結合さ せたヒアルロン酸修飾物を得た。 得られた HA— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン NMR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 29 モノレ0 /0に P 1 u r o n i cが導入されていた (HA: N— a c e t y l a t e, 2. 丄 p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t h y 1、 1. 2 p p m)
このヒアルロン酸修飾物の 4 % V Z Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cでゲル化した。
(実施例 2— 3 )
実施例 1—3の (1) で得られた HA— HZを用いるほかは、 実施例 2—1の (2) と同様の方法で、 標題のヒアルロン酸に PP〇— PEO— PPOを結合さ せたヒアル口ン酸修飾物を得た。
このヒアルロン酸修飾物の 10 % V Z Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液 体、 36 °Cでゲル化した。
(実施例 2— 4)
(1) ヒドラジド (HZ) 基が導入されたヒアルロン酸 (HA— HZ) の合成 分子量 1. 5 X 106ダルトンのヒアルロン酸 (H A) (電気化学工業株式会 社製) l O Omgを 0. 1。/。濃度で蒸留水に溶解し、 5 N塩酸で p Hを 4. 7〜 4. 8に調製した。 1—ェチルー 3— 3—ジメチルァミノプロピルカルボジイミ ド (EDC) とアジピン酸ジヒ ドラジド (ADH) を、 HA: EDC : ADH = 1 : 5 : 40モル比になるよう添カロし、 5N塩酸でpHを4. 7〜4. 8に保ち ながら室温で 2時間反応させた。 100 mM塩化ナトリウム溶液、 25 %エタノ ール溶液で透析 (スぺク トラポア 7、 分画分子量 (MWC O) : 12 k— 14 k ダルトン) し、 凍結乾燥して標題のヒ ドラジド (HZ) 基が導入されたヒアル口 ン酸 (HA— HZ) 88mgを得た。
得られた HA— HZ中の HZ導入率をプロトン NMR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 61%が HZ化されていた (HA: N- a c e t y 1 a t e、 2. l p pmN HZ : Me t hy l e n e, 1. 7 p pm、 2. 4 p p m) 0 (2) ヒアルロン酸に P PO— PEO— PPOを結合させたヒアルロン酸修飾物 の合成
実施例 2— 4の (1) で得られた HA— HZを用いるほかは、 実施例 2—1の
(2) と同様の方法で、 標題のヒァルロン酸に??0_?£0— ??0を結合さ せたヒアルロン酸修飾物を得た。 4°Cで水に対して透析 (スぺクトラポア 7、 M WCO : 300 kダルトン) することで精製、 エバポレーションで濃縮した。 得 られた HA— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン NMR法 で定量したところ、 HAのカルボン酸の 9モル%に 1 u r 0 n i cが導入され て!/ヽた (HA: N— a c e t y l a t e, 2. l p pm、 P 1 u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p pm) 。
このヒアルロン酸修飾物の 1 % Vノ Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cでゲル化した。
〔比較例 1〕
P l u r o n i c L— 31 (商品名) (分子量 1 100ダルトン、 LCST
39°C、 旭電化工業株式会社製) を用いるほかは、 実施例 1 _ 1と同様の方法で 、 ヒアル口ン酸に PEO— PPO— PEOを結合させたヒアル口ン酸修飾物を得 た。 得られた H A— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン N MR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 1.4モル%に卩 1 u r o n i c が導入されていた (HA: N- a c e t y l a t e、 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t h y 1 1. 2 p p m) 0 このヒアルロン酸修飾物の 2 % V / V ン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cで白濁ィヒしたが、 顕著な粘度上昇、 ゲル化は認められなかった。 〔比較例 2〕
P l u r o n i c L— 3 1 (商品名) (分子量 1100ダルトン、 L C S T 39°C、 旭電化工業株式会社製) を用いるほかは、 実施例 1 _ 2と同様の方法で 、 ヒアルロン酸に PEO— P PO— PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得 た。 得られた H A— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン N MR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 0. 5モル。 /0に P 1 u r o n i c が導入されていた (HA: N— a c e t y l a t e, 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t h y l、 1. 2 p pm) 。 このヒアルロン酸修飾物の 4 % V Z Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36°Cで白濁化したが、 顕著な粘度上昇、 ゲル化は認められなかった。
〔比較例 3〕
P l u r o n i c L— 3 1 (商品名) (分子量 1100ダルトン、 L C S T 39°C、 旭電化工業株式会社製) を用いるほかは、 実施例 1_ 3と同様の方法で 、 ヒアル口ン酸に PEO— PPO— PEOを結合させたヒアル口ン酸修飾物を得 た。 得られた H A— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン N MR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 2. 0モル0 /0に P 1 u r o n i c が導入されていた (HA: N- a c e t y l a t e, 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t h y l、 丄. 2 p pmノ 。 このヒアルロン酸修飾物の 10 % V / Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液
体、 36°Cで白濁化したが、 顕著な粘度上昇、 ゲル化は認められなかった。 〔比較例 4〕
P 1 u r o n i c L一 64 (商品名) (分子量 2900ダルトン、 LCST 54°C, 旭電化工業株式会社製) を用いるほかは、 実施例 1— 1と同様の方法で 、 ヒアルロン酸に PEO— PPO— PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得 た。 得られた H A— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン N MR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 1 1モル%に? 1 u r o n i cが 導入されていた (HA: N— a c e t y l a t e, 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p pm) 。
このヒアルロン酸修飾物の 2 % V Z Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cでも液体、 55 °Cでゲル化した。
〔比較例 5〕
P l u r o n i c L— 64 (商品名) (分子量 2900ダルトン、 L C S T 54°C、 旭電化工業株式会社製) を用いるほかは、 実施例 1一 2と同様の方法で 、 ヒアルロン酸に PEO— PPO— PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得 た。 得られた H A— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン N MR法で定量したところ、 H Aのカルボン酸の 15モル0 /0に P 1 u r o n i 。が 導入されていた (HA: N— a c e t y l a t e, 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p pm) 。
このヒアルロン酸修飾物の 4 % V / V ン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cでも液体、 54 °Cでゲル化した。 〔比較例 6〕
P l u r o n i c L— 64 (商品名) (分子量 2900ダルトン、 LCST 54°C, 旭電化工業株式会社製) を角いるほかは、 実施例 1一 3と同様の方法で 、 ヒアルロン酸に P E〇一 P PO— P EOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得 た。 得られた HA— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン N
MR法で定量したところ、 HAのカルボン酸の 19モル0 /0に P 1 u r o n i c力 S 導入さ ていた (HA: N— a c e t y l a t e、 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p p m) 。
このヒアルロン酸修飾物の 10 % V / V ン酸生理食塩性溶液は、 25 °cで液 体、 36 °Cでも液体、 55 °Cでゲル化した。 〔比較例 7〕
実施例 1— 1で、 P l u r o n i c L 62 D— NP Cを、 HZ : NP C= 1 : 2モル比になるよう添加するほかは、 実施例 1 _ 1と同様の方法で、 ヒアル口ン 酸に PEO— P PO— PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
得られた HA— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロ トン NMR 法で定量したところ、 HAのカルボン酸の 7. 0モル0 /0に P 1 u r o n i cが導 入されていた (HA : N— a c e t y l a t e、 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p pm) 。
このヒアルロン酸修飾物の 2 % V Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cでも顕著な粘度上昇、 ゲル化は認められなかった。
〔比較例 8〕
実施例 1一 2で、 P l u r o n i c L 62 D— NP Cを、 HZ : NP C = 1 : 2モル比になるよう添カ卩するほかは、 実施例 1一 2と同様の方法で、 ヒアルロン 酸に PE〇一 PPO— PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
得られた HA— P 1 u r o n i c中の P 1 u r o n i c導入率をプロトン NMR 法で定量したところ、 HAのカルボン酸の 5. 8モル%に P 1 u r o n i cが導 入されていた (HA: N— a c e t y l a t e, 2. l p pm、 P l u r o n i c : P r o p y l e n e o x i d eの M e t hy l、 1. 2 p pmj 。
このヒアルロン酸修飾物の 4 °/。 V / Vリン酸生理食塩性溶液は、 25 °Cで液体 、 36 °Cでも顕著な粘度上昇、 ゲル化は認められなかった。 '
[試験例 1 粘度の温度応答性]
実施例 2— 4の 1%νΖνリン酸生理食塩性溶液の粘度の温度依存性を V i s c ome t e r RE 1 1 OR s y s t em (東機産業会社製) を用いて、 コ ーン /プレート型、 せん断速度 1. 0 ( s e c— 1 ) で測定した。 37°Cでの粘 度は室温の 100倍以上となった。 その結果を図 1 3に示す。
[試験例 2 関節腔内滞留性]
エーテル麻酔にかけたラットの下肢の毛を剃り、 26 G注射 tK寸シリンジにて 関節腔内および皮下に実施例 2— 4で調製したサンプルを投与した。 投与後のラ ットの膝関節幅をノギスにて経時的に測定し、 投与前の膝関節幅からの膨張度を 投与サンプルの滞留性の指標とした。 関節幅は、 ラットの関節幅を 3回測定し平 均値を各時点の代表値とした。 投与後 72時間でも生理食塩水投与の 3倍の関節 幅を維持していた。 その結果を図 14に示す。 産業上の利用可能性
ヒアルロン酸及ぴノ又はその薬学的に許容される塩と、 ポリエチレンォキサイ ドーポリプロピレンォキサイドーポリエチレンォキサイ ドブロックポリマー (P EO-P PO-P EO) 、 ポリプロピレンオキサイド一ポリエチレンオキサイド 一ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー (PPO— PEO— PPO) 、 ポ リエチレンォキサイドーポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体一ポリエチレンォ キサイ ドブロックポリマー (P EO— P LGA— P EO) 、 ポリ乳酸 Zポリグリ コ一ル酸共重合体ーポリエチレンォキサイドーポリ乳酸/ポリグリコ一ル酸共重 合体ブロックポリマー (P LGA— P E〇_P LGA) 、 ポリエチレンォキサイ ドーポリ乳酸一ポリエチレンォキサイドブロックポリマー (PEO— PLA— P EO) 及びポリ乳酸一ポリエチレンオキサイド一ポリ乳酸ブロックポリマー (P LA-PEO-P LA) から選択されるブロックポリマーとが結合した本発明の ヒアル口ン酸修飾物は、 室温流通が可能であり且つ粘度が低く取り扱いやすいに もかかわらず、 生体内 (例えば関節腔内) に注入後その粘弾性を急増させること が可能である。 従って、 本発明のヒアルロン酸修飾物は、 今までにない実用的な ヒアルロン酸製剤の主成分として、 関節疾患の処置に非常に有用である。 また、
本発明のヒアルロン酸修飾物を主成分とする製剤は、 眼科手術、 内視鏡的粘膜切 除術などの外科手術用補助剤又は処置剤としても有効に用いられる。 さらに、 本 発明のヒアル口ン酸修飾物は、 その特性を利用して、 薬物徐放用担体などへの応 用も期待できる。