明 細 書 インクジエツ卜用記録液及びその製造方法
技術分野
本発明は、 ィンクジエツト記録に好適に用いられるィンクジエツト用記録液及び その製造方法に関する。 詳しくは、 本発明は分散性に優れ、 良好な印字性及び保存 安定性を有するィンクジエツト用記録液及びその製造方法に関する。 背景の技術
インクジェット記録に用いられるインクとしては、 従来、 水溶性染料と液体媒体 を主成分とするものが主流であつたが、 その記録物は、 水溶性染料の特性上、 耐水 性、 耐光性、 耐オゾン性等が不十分であった。 そこで、 染料に代えて、 顔料を水性 媒体に分散させたインクが開発されてきた。
しかしながら、 このような顔料インクでは、 一般的に顔料をインク中に分散させ るため、 分散剤や分散樹脂が使用されることが多い。 最も広く使用されている高分 子分散剤は、 その添加量が多くなるとィンクの粘度が上昇してィンクジエツ ト等の 記録方法では印刷不可能となり、 他方添加量が少なすぎると顔料の分散性が低下し 顔料の凝集及び沈澱がおこる等、 ィンクの保存安定性低下の問題を潜在的に有して いるので、 平易に扱えるインクジエツト用記録液への改良が望まれている。
これに対して、 顔料と染料とを併用した記録液に用いられる顔料及び染料として は、 ( 1 ) 顔料表面上の官能基と染料とを反応させることにより顔料と染料とが化 学吸着しているもの (特許文献 1参照) 、 又は (2 ) 顔料と染料とが物理吸着して いるもの (特許文献 2 , 3 , 4、 5及び 6参照) が知られている。
このうち、 前者 ( 1 ) においては、 使用される顔料の官能基の種類により、 吸着 させる染料の種類が限定され、 染料と顔料の組合せが制限されるため、 実用上では 多くの制約を受けることになる。
例えば、 化学反応させるという観点からは、 顔料表面に塩基性官能基がある場合 は酸性基を持つ染料を、 顔料表面に酸性官能基がある場合には塩基性基を持つ染料 を組み合わせる必要があるが、 通常、 インクジェット用水系記録液は塩基性媒体で あるため、 '媒体への分散性を考慮すると酸性基を持つ染料の使用が選択されること となる。 それゆえ、 カルボキシル基ゃスルホン基などの一般的な酸性官能基を持つ た顔料は使えなくなるという問題が起こる。 さらに、 この方式では、 化学反応によ
る吸着が 1 0 0 %進んだ場合には、 染料に残った官能基のみにより分散安定性の効 果が発揮されることとなるが、 染料に残った官能基のみで現実的な分散安定性を得 るためには、 そもそも染料を吸着させるべき顔料表面の官能基の密度をある程度以 上とすることが必要となる。 しかしながら、 この場合には染料同士の立体障害の問 題等によりかえつてかかる吸着が 1 0 0 %進まないこととなり、 分散体粒子表面に 顔料由来の官能基と染料由来の基という異なる極性の基が共存することとなる。 こ の状態は、 粒子個々の分散不安定性または粒子会合を起こすきっかけとなるため、 長期保管安定性を必要とするィンクジェッ トィンク向け分散体として最適のもの とは言えなくなる。
一方、 後者 (2 ) においては、 染料の耐水性 ·耐光性不良、 及び、 顔料の彩度不 足を改良するために、 顔料及び水溶性染料と、 分子量 1 0 0 0〜 1 0 0 0 0 0の高 分子分散剤とを併用した水系記録液 (例えば、 特許文献 2参照) 、 スルホン酸基ま たはスルホン酸塩基を有する染料、 液媒体、 液媒体に可溶な高分子材料及び顔料か らなる記録液 (特許文献 3参照) 、 並びに、 染料、 顔料、 水溶性界面活性剤及び水 を含有するインクジェット記録液 (例えば、 特許文献 4参照) が知られている。 しかしながら、 これらの公知文献における顔料及び染料含有分散液の調製は、 顔 料及び染料を高分子分散剤或いは高分子材料と一緒に混合する、 若しくは、 顔料を 予め界面活性剤を用いて分散させた分散液に染料を混合することにより行われて いる。 このような調製方法では、 顔料に高分子分散剤や界面活性剤等の分散剤が吸 着されることによる分散効果と水溶性染料の共存による色調の向上効果が得られ るにすぎない。 従って、 顔料に対する染料の吸着状態、 その制御、 更にはそれによ つて得られる技術的効果について何等認識されておらず、 示唆するものもない。 さらに、 顔料、 染料及び高分子分散剤或いは高分子材料を単純に混合してなる顔 料分散液の場合、 顔料と高分子分散剤或いは高分子材料の複合体、 染料と高分子分 散剤或いは高分子材料の複合体の形成が同時に進行することとなり、 それによつて 生じる系中の不均質性が、 分散液及び記録液の溶液物性、 特に粘度特性における再 現性と経時変化に問題を起こす懸念がある。
加えて、 上記特許文献 2に記載の高分子分散剤としては、 重量平均分子量 2 0 0 0 0もの高分子量の分散剤が用いられており、 上記に指摘した高分子分散剤を用い る系に起こる問題点を解決することはできない。
また、 後者 (2 ) のうち、 顔料の分散に従来用いられているような界面活性剤や 高分子の代わりに染料を顔料の分散剤として用いた記録液 (特許文献 5及び 6参 照) も提案されているが、 染料のみを分散剤として使用した顔料分散液で記録液を 調製した場合、 使用する有機溶剤、 添加剤によって、 顔料の分散安定性が大きく低
下する等、 記録液で使用される有機溶剤、 添加剤に対する制限が大きく、 実用性に 問題がある。
特に、特許文献 6の方法は、顔料と基本骨格が同一の染料のみを用いていること、 及び、 顔料及び染料の分散体から未吸着の染料を限外濾過や遠心分離により除去す る工程を必須とするものであることから、 色調選択の自由度、 煩雑さ及びコスト等 の点などから実用性に問題がある。
特許文献 1 特開平 9一 1 5 1 344号公報
特許文献 2 特公昭 60— 45 66 7号公報
特許文献 3 特開平 5— 247 39 1号公報
特許文献 4 特開平 8— 2 1 80 1 9号公報
特許文献 5 W/O 9 9/6 1 5 34パンフレッ ト
特許文献 6 特開 2 00 0— 2 7 3 383号公報 発明の開示
本発明者等は、 かかる状況に鑑み鋭意検討した結果、 顔料と顔料に対して特定の 物理吸着性を有する染料との組合せを選択し、 さらにノ二オン性界面活性剤及びァ 二オン性界面活性剤を組合せて用いることにより、 良好な分散性、 並びに、 良好な 印字性及び保存安定性を有するィンクジエツ ト用記録液が得られることを見出し た。 そしてこのような記録液は、 まず予め顔料と染料とを水性媒体で分散させてか ら、 次いで界面活性剤の存在下で 2次分散処理するという特定の分散処理順序を採 ることにより、 簡便に得られるものである。 これは、 まず顔料表面に安定的に染料 を吸着させて染料による顔料の分散効果を得、 更に、 この吸着した染料の一部を記 録液の液性にあった特定の界面活性剤で一部置き換えることで、 記録液における分 散体の二次凝集を抑えることができ、 分散性等の安定性が優れた記録液となし得る ものであり、 本発明は、 このような知見に基づいて達成されたものである。
本発明の要旨は、 水性媒体中に、 顔料、 染料及び界面活性剤を含有するインクジ エツ ト用記録液であって、 ( 1 ) 顔料及び染料が、 少なくともその一部に、 顔料に 染料が化学反応を伴わずに可逆的に吸着しているものを含むものであり、 (2) 顔 料に化学反応を伴わずに可逆的に吸着している染料が、 下記式 ( I ) で表される染 料吸着量が 0. 02 gZg以上のものを含み、
.^ ., . ,、 分散液の染料吸着率 X分散液中の総染料量 (=0.4g) ,,、 染 着直 (g/g) = 分散液中の顔料量 (=4.1g) (l)
(ここで、 染料吸着率は、 顔料 (4 . 1 g ) 及び染料 (0 . 4 g ) を用いて界面活 性剤の不存在下に調製した分散液から固形分を除去した後の上澄み液、 及び、 染料
( 0 . 4 g ) の水溶液について高速液体クロマトグラフィによりその染料濃度を測 定し、 得られるピーク面積の比から求められる値である。 ) 、 及び (3 ) 界面活性 剤として、 ノニオン性界面活性剤とァニオン性界面活性剤とが共存していることを 特徴とするインクジエツト用記録液に存する。
また、 本発明の他の要旨は、 顔料、 染料及びノ又は染料水性媒体溶液、 並びに水 性媒体を混合して、 顔料及び染料の一次分散処理をした後、 得られる分散液に、 ノ 二オン性界面活性剤及びァニオン性界面活性剤、 及び/又はこれらの界面活性剤の 水性媒体溶液を添加して二次分散処理をおこなうことを特徴とする、 染料が化学反 応を伴わずに可逆的に吸着している顔料を含み、 界面活性剤として、 ノニオン性界 面活性剤とァニオン性界面活性剤とが共存しているィンクジエツ 卜用記録液の製 造方法に存する。 発明を実施するための最良の形態
以下に本発明につき、 更に詳細に説明する。
本発明のインクジェッ ト用記録液は、 水性媒体中に、 顔料、 染料及び界面活性剤 を含有するものであり、 ( 1 ) 顔料及び染料が、 少なくともその一部に、 顔料に染 料が化学反応を伴わずに可逆的に吸着しているものを含むものであり、 (2 ) 顔料 に化学反応を伴わずに可逆的に吸着している染料が、 下記式 ( I ) で表される染料 吸着量が 0 . 0 2 g Z g以上のものを含み、
. ,、 分散液の染料吸着率 X分散液中の総染料量 (=0. 4g) ...
染料吸看虽 (g/g) = 分散液中の顔料量 Ug) (| )
(染料吸着率は上記で定義した通りである。 ) 、 及び (3 ) 界面活性剤として、 ノ 二オン性界面活性剤とァニオン性界面活性剤とが共存しているものである。
上記 ( 1 ) の特徴である顔料に染料が化学反応を伴わずに可逆的に吸着している とは、 共有結合の如き化学反応で不可逆的に吸着するのではなく、 物理吸着、 水素 結合等で例示されるような可逆的に吸着することを意味しており、 顔料及び染料の 選択には、 このような吸着状態を生じるような組み合わせが求められる。
顔料に染料が化学反応を伴わず可逆的に吸着していることは、 例えば、 次のよう にして確認することが出来る。 即ち、 調製された記録液に対して、 ジメチルホルム アミ ド(D M F )を大過剰 (例えば、 9重量倍程度) 加え、 超音波分散処理等により
十分に混合し、 混合物からフィルタリング等で顔料を除いた濾液中における染料の 量を測定する。 調製時の記録液中の顔料に吸着していない染料の量を予め確認して おき、 それに対する処理後の記録液に含まれる染料の増量分を確認することにより, 染料が顔料に可逆的吸着していることが確認できる。
ここで、本発明の記録液においては、その性能に悪影響を与えない限りにおいて、 染料が化学反応を伴わず可逆的に吸着している顔料以外にも、 例えば、 表面処理等 により自己分散性能を有する顔料を含有していても良い。該顔料の含有量は、通常、 全顔料量に対して、 3 0重量%以下、 好ましくは 20重量%以下、 より好ましくは 1 0重量%以下、 更に好ましくは 5重量%以下、 特に好ましくは 1重量%以下であ る。
上記 (2) の特徴は、 顔料に吸着させる染料として、 顔料に対する染料の吸着性 の高いものを選択して使用することがよいことを示すものであり、 式 ( I ) で表さ れる顔料に対する染料吸着量 (以下、 「染料吸着量」 という) が 0. 0 2 gZg以 上となるものを含むことを特徴とする。 ここで、 式 ( I ) 中の 「染料吸着率」 は、 以下の方法により求められる値である。
染料吸着率:
2 3T:で、顔料を固形分量で 4. 1 g及び染料を固形分量で 0. 4 gに水を加え、 全量を 50 gとし、 0. 5mmci)のジルコニァビーズ 7 5 gと共に、 ペイントシエ 一力一で 6時間分散処理を行って分散液を得る。 この分散液を 2 3 で遠心力 1 7 9 6 8 X g (gは重力加速度) で 3時間遠心分離処理し、 上澄み液を得る。
分散液中の顔料が全て遠心沈降し、 染料が顔料に一切吸着していない場合に相当 する、 0. 8 7 w t %染料水溶液 [即ち、 水 (45. 5 g) 及び染料 ( 0. 4 g) に対する染料 ( 0. 4 g) の濃度 (0. 4/4 5. 9 X 1 0 0 = 0. 8 7 w t %) の染料水溶液] を得る。
上記上澄み液及び上記 0. 8 7 w t %染料水溶液につき、 それぞれ高速液体クロ マトクラフィ (High Performance Liquid Chromatography) fi!J定を行レ、、 得 られる該染料に由来する HP L Cのピーク面積をもとに、 下記式 (II) により求め られる。
^Μ^ = 上澄み液の HPLCピーク面積 ····
^ ^TB^F- 0.87wt<½染料水溶液の HPLCピーク面積
HP L C測定条件:
検出波長 254nm
カラム温度 40
溶離液 ァセトニトリル水 (ァセトニトリル濃度は、 メインピークが測定時間 60分以内に 検出されるように調整)
緩衝剤 テトラフ'チルアンモニゥムフ'ロマイト' ; 1 · 0wt%/H2O
リン酸 2水素ナトリウム; 0.25wt%/H20
流量 1. Oml /min
注入量 2.0 1 (希釈無し)
測定に際し、 カラムとしては、 水溶性染料の検出可能なものであれば、 特に限定 されるものではないが、 一般的に用いられる分離モードが逆相のカラムが好適であ る。 また、 クロマトパックとしては、 HP L C検出器からのデータ処理が可能であ れば、 特に限定されるものではない。
また、 本発明の記録液としては、 2種類以上の顔料及び/又は 2種類以上の染料 を組み合わせて使用してもよく、 混合染料系の記録液とする場合には、 分散液の染 料は、 記録液中の染料の混合比率にあわせた染料混合物とする。 同様に、 混合顔料 系の記録液とする場合には、 分散液の顔料を顔料混合物とする。 混合染料と混合顔 料の記録液の場合は、 分散液の染料及び顔料は、 記録液中のそれぞれの混合比率に 合わせた染料混合物、 顔料混合物とする。 混合染料系の記録液の場合、 式 (II) に おける、 0. 8 7 w t %染料水溶液の染料は、 記録液中の染料の混合比率に合わせ た染料混合物とする。
本発明の記録液においては、 上記の式 ( I ) で表される染料吸着量 (gZg) が、 通常、 0. 0 2 g/g以上、 好ましくは 0. 0 3 g/g以上、 さらに好ましくは 0. 04 gZg以上である染料を用いる。 0. 0 2 g/g未満の吸着量では、 顔料の分 散効果が得にくかったり、 十分な分散安定性が得られにく くなる。 顔料への染料吸 着量は多いほど好ましいが、 染料吸着量には理論上上限が存在し、 顔料濃度を一定 にして染料量を増やしていくと、 ある添加量から染料吸着量は一定になる (この吸 着量を以下 「飽和吸着量」 とする) ため、 染料吸着量の上限はかかる飽和吸着量で 規定される。
飽和吸着量は、 用いる顔料及び染料の種類により、 決まるものであり、 一概にい えないが、 概ね、 0. 0 1〜0. l gZg程度である。
ここで、本発明の記録液においては、 その性能に悪影響を与えない限りにおいて、 顔料に対する吸着量が 0. 0 2 gZg未満の染料を一部用いても良い。 その使用量 は、 通常、 全染料量に対して、 30重量%以下、 好ましくは 2 0重量%以下、 より 好ましくは 1 0重量%以下、 更に好ましくは 5重量%以下、 特に好ましくは 1重 量%以下である。
上記 (3) の特徴であるノニオン性及びァニオン性の界面活性剤を共存させるこ
とは、 記録液の成分である顔料、 染料、 各種添加剤、 水溶性有機媒体等を考慮しな がら、 界面活性剤として、 ノニオン性界面活性剤とァニオン性界面活性剤を組み合 わせて使用することにより行われる。
(顔料)
本発明で用いられる顔料としては、 芳香環系の骨格構造を有し、 後述する染料分 子の官能基と高い反応性を有する官能基を極力含まない顔料を選択して使用する ことが望ましい。 顔料に反応性の官能基が多いと、 染料分子の官能基との化学反応 を伴った吸着が起こりやすく、 吸着した染料の疎水部あるいは未反応の官能基によ る二次凝集が起こりやすく分散体の粒子径が増加して記録液の保存安定性が低下 しゃすくなる。
しかも、 前述したように、 染料が顔料の官能基と化学反応により顔料表面に化学 吸着した場合には、 界面活性剤による分散処理によって染料が界面活性剤と適度な 置換が出来ず、 静電反発のみで分散安定性を保持させており、 有機溶剤を含む記録 液中では立体反発が無いため保存安定性が悪くなり易く好ましくない。
更に、 後述する染料分子の骨格構造が、 顔料分子の骨格構造に類似している場合 は、 多くの染料を安定的に顔料表面に吸着させることが出来望ましい。
上述のような顔料として好ましいものとしては、 キナクリ ドン系顔料、 キサンテ ン系顔料、 ペリレン系顔料、 アンタントロン系顔料、 モノァゾ系顔料、 ジスァゾ系 顔料、 フタロシアニン系顔料、 イソインドリノン系顔料、 アンスラキノン系顔料、 キノフタロン系顔料等が挙げられる。 このうち好ましくは、 キナクリ ドン系顔料、 モノァゾ系顔料、 ジスァゾ系顔料又はフタロシアニン系顔料である。
上述のような顔料のうち、 赤色顔料としての好ましい具体例としては、 C. I . P i gme n t R e d— 1 2 2, - 2 02, - 2 0 6 , 一 2 0 7, — 2 0 9, C . I . P i gme n t V i o l e t— 1 9等のキナクリ ドン系顔料; C . I . P i gm e n t R e d— 8 1, 一 1 7 3等のキサンテン系顔料; C . I . P i gm e n t R e d— 1 2 3等のペリレン系顔料, C . I . P i gme n t R e d— 1 6 8等のアン タント口ン系顔料: C . I . P i gme n t R e d— 5, — 7, 一 1 2, — 1 1 2, - 1 46 , - 1 47等のモノァゾ系顔料等が挙げられる。 以下に、 代表的なキナク リ ドン系顔料、 キサンテン系顔料、 ペリレン系顔料、 アンタントロン系顔料及びモ ノアゾ系顔料の構造式を示す。
C. I. Pi mentRed81
ペリレン系顔料
アンタントロン系顔料
C. I. PigmentRedl68
差杳ぇ用毅 ( U6)
モノァゾ系顔料
上述のような顔料のうち、 黄色顔料としての好ましい具体例としては、 C. I . P i gme n t Ye l 1 o w- 1 , — 2, — 3, — 1 0, — 6 0, — 7 3, 一 7 4, 一 7 5 , - 1 2 0, — 1 5 1 , — 1 7 5等のモノァゾ系顔料 ; C . I . P i g me n t Y e l l ow— 1 2, - 1 3 , — 14, — 1 6, — 1 7, — 8 1, — 8 3, 一 9 3, — 9 5, — 1 2 6, — 1 2 8, — 1 74, — 1 8 0等のジスァゾ系顔 料 ; C. I . P i gme n t Ye l l ow - 1 0 9 , - 1 1 0 , — 1 3 9, — 1 8 5等のイソインドリノン系顔料; C. I . P i gme n t Y e 1 l ow— 2 3, - 1 0 8 , — 1 47等のアンスラキノン系顔料 ; C. I . P i gme n t Y e l 1 o w- 1 3 8等のキノフタロン系顔料が挙げられる。 以下に代表的なモノァゾ系 顔料、 ジスァゾ系顔料、 イソインドリノン系顔料、 アンスラキノン系顔料及びキノ フタロン系顔料の構造式を示す。
C. I. Pigment Yellow- 10
C.に Pigment Yellow— 154
C. I. Pigment Yellow— 13
C. I. Pigment Yellow— 95
C. I. Pigment Yellow— 126
H3C H3C
H O C-OH HO-C 0 H
-N-C-C-N=N N二 N— C—C一 N OCH,
C. I. Pigment Yellow- 128
C. I. Pigment Yellow- 109 C. I. Pigment Yellow— 1 10
C. I. Pigment Yellow- 139 C. I. Pigment Yellow- 185
H3CHNOC
C.に Pigment Yellow— 23 C. I. Pigment Yellow- 108
C.に Pigment Yellow— 138
上述の顔料の中でも、 キナクリ ドン系顔料、 モノァゾ系顔料及びジスァゾ系顔料 は、 発色が他の顔料に対して良好であること等の点から特に好ましい。
その中でも、 C. I . P i gme n t R e d— 1 2 2 — 2 0 9 C . I . P i gme n t Y e 1 l ow— 1 3 — 1 6 — 1 7 — 74 — 1 2 0 1 2 8 — 1 5 1 1 7 5は、 その色合いの面から特に好ましい。 さらにその中 でも C. I . P i gme n t R e d— 1 2 2 C . I . P i me n t Y e 1 l ow— 1 74 — 1 2 0 — 1 5 1及び 1 7 5がノンハロゲン化合物であ り、 環境へ与える影響が小さいことから特に好ましい。
本発明で使用する顔料は、 その印字性能、 印字物の色特性ゃ耐候性の面から、 平 均粒子径が 5 0 0 n m以下、好ましくは 2 0 0 n m以下である。 また下限としては、 通常、 2 0 n m以上であり、 これ以下では耐候性が低下しやすい。
また、 顔料の分子量としては特に制限されるものではないが、 分散性等の面から 通常、 2 0 0以上、 好ましくは 3 0 0以上であり、 通常 2 0 0 0以下、 好ましくは 1 5 0 0以下である。
(染料)
本発明で使用する染料は、 インクジエツ ト用記録液に使用する顔料分散液におい て、 顔料に対して、 前述の如く、 少なくとも化学反応を伴わずに可逆的に吸着し、 かつ、 顔料への吸着性の高い染料を選択することが必要である。
このような染料としては、 顔料との骨格構造が類似しているものが物理吸着しや すいことから特に好ましい。 骨格構造の類似性としては、 染料分子及び顔料分子の 化学構造において平面性を生み出す環構造に由来するもの、 染料分子及び顔料分子 中の π電子同士のスタックや官能基の電気的引力に由来するものが、 より強い物理 吸着を生み出す組合せとして挙げられる。
また、 染料 1分子あたりにおいて、 水酸基、 アミノ基、 カルボキシル基類又はス ルホン酸基類のような解離性基の数が、 1個以上 4個以下であることが好ましい。 さらに好ましくは、遊離酸の形として、 一 C O O H及び— S 03 Hの少なくともいず れかで示される解離性基を有するものであり、 その数が染料 1分子当たり 1個以上、 2個以下であるのが特に好ましい。
染料分子が解離性基を有しないと、 顔料に染料が吸着したことによる水性媒体中 への分散効果が得にくくなる。他方、 一 C O O Hや一 S 03 Hで示される解離性基の 数が 3個以上だと、 染料は顔料表面に吸着するよりも記録液の媒体中に溶解し易い ため、 染料が顔料に吸着することによる分散効果が得られにくくなる。 更に、 イン クジェット用記録液の液性は、 通常、 中性からアルカリ性であることから、 アル力 リ性水性媒体中で解離して水に対する親和性を確保出来る程度のァニオン性基を 有するのが好適である。
また、 顔料と染料との好適な組合せとしては、 前述の如く、 平面性を生み出す環 構造や電気的引力などに由来して選択され、 部分骨格の類似性だけに依存するわけ ではないので、 一概には言えない。 しかし、 例えば、 キナクリ ドン系顔料を用いる 場合には、 キサンテン系染料又はアンスラキノン系染料が物理吸着に好適な芳香族 縮合多環系の類似した骨格構造であるため、 組合せの点で好ましい。 また、 ァゾ系 顔料を用いる場合はァゾ系染料を組み合わせることが好ましく、 例えば具体的には、 顔料として P i g m e n t Y e 1 1 o w— 7 4のようなァセトァセトァニリ ド
骨格を有する顔料を用いる場合は、 同じァセトァセトァニリ ド骨格を有する染料が 顔料に対して物理吸着に好適な骨格構造であるため好ましい。
本発明における記録液に使用される顔料分散液においては、 染料が顔料表面に吸 着することによってもたらされる分散作用を利用するので、 染料としては必ずしも 顔料と同色の染料である必要は無く、 得られるィンクジエツト用記録液が所望の色 味となるよう適宜選択すればよい。 なかでも、 顔料の色味に影響を与えないために は、 顔料と同色系の染料を少なくとも全染料量中、 5 0重量%以上、 好ましくは 6 0重量%以上、 より好ましくは 7 0重量%以上、 更に好ましくは 8 0重量%以上、 特に好ましくは 9 0重量%以上、 最も好ましくは 9 5重量%以上用いるのがよい。 ここで、 赤色染料としては、 マンセル色相環において 5 R P (赤紫) 〜 2. 5 Y R (黄赤)で示される赤の色相を与えるような染料が好ましい。黄色染料としては、 マンセル色相環において 5 Y R (黄赤) ~ 2. 5 Y (黄緑) で示される黄の色相を 与えるような染料が好ましい。
具体的な染料の種類としては、 上述のように使用する顔料との兼ね合い等を考慮 して決定されるが、 赤色染料及び黄色染料の好ましい具体例としては次のようなも のが挙げられる。 これらは、 下記に示す構造式から判るように、 いずれも、 染料 1 分子あたり遊離酸の形として、 — COOHや— S 03Hで示される解離性基の数が、 2個以下である。
一赤色染料一
キサンテン系染料: C . I . A c i d R e d— 5 1, 一 8 7, — 9 1 , 一 9 2, 一 9 4, 一 9 5, 一 9 8等;
アンスラキノン系染料: C . I . A c i d R e d— 8 0, 一 8 3 , C . I . A c i d V i o l e t — 3 4 , — 3 9, — 4 3等;
モノァゾ系染料: C . I . A c i d R e d— 1, - 4 , — 8, 一 1 3 , — 1 4,
- 1 5 , - 2 6 , — 3 5, — 3 7, C . I . D i r e c t R e d— 2 0 , — 5 1, C . I . A c i d V i o l e t - 7等;
ジスァゾ系染料: C . I . A c i d R e d— 7 3 , C . I . D i r e c t R e d — 1, — 2 , — 8, — 1 3 , - 2 8 , — 3 1 , — 3 3 , — 3 7 , — 3 9, — 5 9 , — 8 1 , — 9 0 , — 1 1 0等;
一黄色染料一
モノァゾ系染料: C. I . A c i d Y e l l ow— 4, - 1 7 , - 2 9 , — 3 6 , - 6 6 , - 9 9 , C. I . D i r e c t Y e l l ow— 2 7 , — 1 5 7、 C. I . F o o d Y e l l ow— 3、 C. I . M o r d a n t Y e l l ow— 1 0,
— 1 8, 一 5 7等;
ジスァゾ系染料: C. I . A c i d Y e l l ow— 3 8 , — 4 2, ー 44、 C. I . D i r e c t Y e l l ow— 4, - 1 2, 一 1 3 2等 ;
二トロ系染料 : C. I . Ac i d Y e l l ow— 1等 ;
アミノケトン系染料 : C. I . A c i d Y e l l ow— 7、 C. I . Mo r d a n t Y e l l ow— 2 3等 ;
キサンテン系染料 : C. I . A c i d Y e l l ow— 7 3, — 74等 ; キノリ ン系染料: C. I . A c i d Y e l l ow— 2, — 5等 ;
キサンテン系染料
C. I. AcidRed92 C. I. AcidRed91
C. I. AcidRed94 C. I. AcidRed95
C. I.AcidRed98
C. I. DirectRed5l
ジスァゾ系 J¾料
C. I. Direct ed2
C. I. DirectRed8
C. I. DirBct ed13
C. I, DitectRed28
C. I. DirectRed37
C. I. DinectRed39
C. 1. DirectRed59
モ ゾ系染料
C. I. Acid Yellow- 4 C. I. Acid Yellow- 17
C. I. Acid Yellow— 36 C. I. Acid YeHow— 66
C. に Food Yellow— 3
0
3Na
C. I. Mordant Yellow— 10 C. I. Mordant Yellow- 18
C. I. Mordant Yellow— 57
ジスァゾ系雜
C. I. Acid Yellow— 44
C. I. Direct Yellow一 4
SOaNa
55952
28
C. I. Direct Yellow- 132
二ト。¾¾«
C. I. Acid Yellow- 1
C. I. Acid Yellow-:
C. I. Mordant Yellow— 23
C. I. Acid Yellow— 73 C.に Acid Yellow- 74
キノリン系姊
(S03Na)2
本発明で使用する染料の分子量は、 特に制限されないが、 顔料への吸着、 分散性 能等の面から、 通常、 2 0 0以上、 好ましくは 2 5 0以上であり、 また、 通常、 1 5 0 0以下、 好ましくは 1 0 0 0以下である。
通常、 一般に市販されている顔料及び染料には、 種々の夾雑物が含まれており、 そのままインクジエツト用記録液に用いた場合、 これら夾雑物の存在が記録液をィ ンクジエツ 卜プリン夕一で印字する際に吐出性低下等の印字不良をもたらしたり 記録液の保存安定性等に悪影響を及ぼす等記録液の特性を損なう原因となること が多い。 そのため、 本発明のインクジェッ ト用記録液に使用する顔料及び染料は、 これらの夾雑物を使用に先立って予備精製により除去しておくことが望ましい。 顔 料及び染料に含まれるこれらの夾雑物としては、 その製造工程時に使用された反応 試薬、 触媒更には装置等からの溶出物等が混入したものが挙げられ、 C a M g Z n F e C u , A l S i等種々の金属分が含まれる。 これらの夾雑物の除去 方法としては、 顔料及び染料の精製方法として行われている通常の方法を採用する ことができる。 例えば、 イオン交換樹脂等による金属イオン類の除去、 逆浸透膜法 等による無機イオン類の除去、 メンブランフィルタ一濾過等による不溶分の除去、 晶析等による有機不純物類の除去等が挙げられる。 通常、 これらの精製方法は組み 合わせて用いられる。 精製後の顔料及び染料における夾雑物、 例えば金属イオンの
それぞれの含有量は、 通常 1 0 0 p p m程度にまで低下されている。
本発明におけるィンクジエツ ト用記録液中の顔料及び染料の総量は、 ィンクジェ ット用記録液中、 その全重量に対する重量比で、 通常、 0 . 1 %以上、 好ましくは 0 . 3 %以上、 より好ましくは 0 . 5 %以上である。 ここで、 顔料及び染料の総量 が多すぎると分散安定性の観点で問題が出てくる場合があるので、 通常、 1 5 %以 下、 好ましくは 1 0 %以下である。
顔料と総染料の比率としては、 顔料に対する染料の量が少なすぎると顔料が凝集 し分散安定性が著しく低下するため、 顔料 1 0 0重量部に対する染料の量が 2重量 部以上、 好ましくは、 3重量部以上、 より好ましくは 4重量部以上、 更に好ましく は 5重量部以上、 特に好ましくは 6重量部以上である。 但し、 染料が多すぎると染 料に由来する印字物の堅牢性の低下が著しく、 また、 顔料分散体の分散安定性が低 下する傾向があり好ましくないため、 通常、 顔料に対する染料の量が 1 0 0重量部 以下、 好ましくは 5 0重量部以下、 より好ましくは 3 3重量部以下である。
また、 一方で、 上記の如く、 顔料に対する染料の吸着量には限界があり、 ある濃 度の顔料に対して染料濃度を高くしても、 染料の顔料への吸着量は一定になる。 従 つて、 顔料に対する染料の使用量の決定は、 この飽和吸着量にも依存するため、 特 定濃度の顔料に対して飽和吸着量を与える最小の仕込み染料量を 「飽和吸着染料 量」 と規定したとき、 添加する染料量は飽和吸着染料量の 1 1 0倍以上、 好まし くは 1 3倍以上であり、 2 0倍以下、 好ましくは 1 0倍以下、 より好ましくは 5 倍以下の範囲となるように設定するのが好ましい。 染料量がこれより少ないと顔料 の分散安定性が著しく低下し、 また、 染料量がこれより多いと、 顔料に吸着してい ない染料 (以下この染料を 「遊離染料」 と記述する) が顔料のフロキユレ一シヨン を引き起こしてしまう可能性が高くなるので好ましくない。
(界面活性剤)
本発明においては、 顔料と、 顔料に対して特定な吸着性を有する染料の組合せを 選択して用いると共に、 ノニオン性界面活性剤及びァニオン性界面活性剤の両者を 組合せて用いることにより、 良好な分散性、 並びに、 良好な印字性及び保存安定性 を有するィンクジェット用記録液が得られる。
本発明では、 ノニオン性界面活性剤とァニオン性界面活性剤とを併用することに より、 優れた分散性や保存安定性を有するィンクジエツ卜用記録液を得ることがで きるが、 何故このような優れた効果が得られるのかの詳細は必ずしも明らかではな い。 しかし、インクジエツト用記録液の液性は、通常、 中性からアルカリ性であり、 加えて、 水に水溶性有機溶剤の混合した水性媒体とすることで、 色材の紙への濡れ 性及び浸透性を高め、 またプリンターヘッドのノズル表面の保湿性を高め、 プリン
ターのスタートアップ性能を維持するように調整されている。 本発明では、 ァニォ ン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を染料と組み合わせて使用していること が、 水性媒体中で解離して水に対する親和性と分散性を確保すること、 並びに、 有 機溶剤への親和性と分散性を確保することに対して、 相乗的に寄与しているものと 考えられる。
本発明で使用するァニオン性界面活性剤としては、 特に限定されないが、 例えば、 脂肪酸塩類、 アルキル硫酸エステル塩類、 アルキルベンゼンスルフォン酸塩類、 ァ ルキルナフ夕レンスルフォン酸塩類、 アルキルスルホコハク酸塩類、 アルキルジフ ェニルエーテルスルフォン酸塩類、 アルキルリ ン酸塩類、 ポリオキシエチレンアル キル硫酸エステル塩類、 ポリオキシエチレンアルキルァリル硫酸エステル塩類、 ァ ルカンスルフォン酸塩類、 ナフ夕レンスルフォン酸ホルマリン縮合物類、 ポリオキ シエチレンアルキルリン酸エステル類、 α —ォレフィ ンスルフォン酸塩類等使用で き、 具体的には例えば、 ポリオキシエチレンステアリルスルホン酸塩、 ドデシルス ルホン酸塩、 ドデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
これらのァニオン性界面活性剤の中でも、 アルキル硫酸エステル類、 ポリオキシ エチレンアルキル硫酸エステル塩類、 ポリォキシエチレンアルキルァリル硫酸エス テル塩類、 アルキルベンゼンスルフォン酸塩類等が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、 特に限定されないが、 ポリオキシエチレンアル キルエーテル類、 ポリオキシエチレンアルキルァリルエーテル類、 ポリオキシェチ レンアルキルフエニルエーテル類、 ポリオキシエチレン誘導体類、 ソルビ夕ン脂肪 酸エステル類、 ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、 ポリオキシェチ レンゾルビトール脂肪酸エステル類、 グリセリン脂肪酸エステル類、 ポリオキシェ チレン脂肪酸エステル類、 ポリオキシエチレンアルキルアミン類等が挙げられる。 これらのノニオン性界面活性剤の中でも、 ポリォキシエチレンアルキルエーテル 類、 ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル類、 ポリオキシエチレンアルキ ルァリルエーテル等が好ましい。
上記のノニオン性界面活性剤及びァニオン性界面活性剤の分子量としては、 通常、 2 0 0 0以下程度、 好ましくは、 1 5 0 0以下程度である。 あまり分子量が高過ぎ ると、 インクジェッ ト記録液として用いた際の液粘度が上昇し、 インクジェッ ト記 録において、 吐出性の低下を引き起こしやすくなる。
ノニオン性界面活性剤とァニオン性界面活性剤の比率 (重量比) としては、 イン クジェッ ト用記録液の液性にもよるが、 通常、 ァニオン性界面活性剤量がノニオン
性界面活性剤量 1 0 0重量部に対して、 1重量部以上、 好ましくは 2重量部以上、 より好ましくは、 3重量部以上、 更に好ましくは 5重量部以上、 特に好ましくは 1 0重量部以上の範囲で用いられる。 但し、 ァニオン性界面活性剤量が多すぎると、 分散安定性の点で不安定化する可能性があるため、 通常、 5重量倍以下、 好ましく は 2 . 5重量倍以下である。
また、 界面活性剤はトータルで、 記録液全重量に対して、 0 . 0 1重量%以上、 好ましくは 0 . 1重量%以上、 より好ましくは 0 . 2重量%以上で、 かつ 5重量% 以下、好ましくは 3重量%以下、より好ましくは 2重量%以下の範囲で含有される。 本発明のインクジェット用記録液においては、 使用する顔料、 染料及び界面活性 剤が、 上記の如き顔料への染料吸着及びァニオン性及びノ二オン性の界面活性剤の 共存という状態が保持され、 それによつて分散安定性 ·保存安定性等の本発明の効 果が得られる限り、 要すれば上記以外の他の顔料、 染料及び界面活性剤を含んでい ても差し支えない。 このような場合であっても、 本発明の記録液中で上記の状態を 現出する顔料、 染料及び界面活性剤は、 記録液中の各成分の主要成分として存在す ることが好ましく、更に好ましくは、各成分の 7 0 %以上、特に好ましくは、 8 0 % 以上存在することである。
(インクジエツト用記録液の製造方法)
次に、 本発明のィンクジエツト用記録液の調製方法について述べる。
本発明のィンクジエツ ト用記録液は、顔料と、染料及び Z又は染料水性媒体溶液、 並びに水性媒体を混合して、 顔料及び染料の一次分散処理をした後、 得られる分散 液に、 ノニオン性界面活性剤とァニオン性界面活性剤、 及び Z又はこれらの界面活 性剤の水性媒体溶液を添加して二次分散処理をおこなうことにより得られるもの であり、 簡便かつ工業的に有利に製造することができる。
即ち、 本発明方法によれば、 まず、 顔料と染料とを水性媒体で分散 (一次分散処 理) させてから、 界面活性剤で更に分散処理 (二次分散処理) することで、 顔料表 面に安定的に染料を吸着させて染料による顔料の分散効果を得ること、 更に、 この 染料の一部を記録液の液性にあった界面活性剤で一部置き換えることで、 分散体の 記録液における二次凝集を抑え、 分散性及び保存安定性に優れた記録液を製造し得 るのである。
本発明方法では、 まず、 顔料と、 染料及び 又は染料水性媒体溶液と、 水性媒体 とを混合して一次分散処理することにより、 染料を顔料に吸着させて分散させた分 散液を得る。
この顔料 染料の分散液における顔料及び染料の総量は、 分散液全体に対する重 量比で、 通常 1〜 3 0 %であり、 好ましくは 3〜 2 0 %である。 1 %未満では、 分
散液を記録液として用いるには濃度が不十分となりやすく、 また、 3 0 %を越える と、 分散安定性が低下しやすく好ましくない。
分散処理に用いる分散機としては、 通常、 顔料分散に使用される各種分散機が適 宜使用できる。 分散機としては、 特に限定されるものではないが、 ペイントシエ一 カー、 ボールミル、 サンドミル、 アトライター、 パールミル、 コポールミル、 ホモ ミキサー、 ホモジナイザー、 湿式ジェットミル、 超音波ホモジナイザー等を用いる ことができる。 分散機としてメディアを使う場合には、 ガラスビーズ、 ジルコニァ ビーズ、 アルミナビーズ、 磁性ビーズ、 スチレンビーズを用いることができる。 こ のうち、 好ましい分散処理処方としては、 ビーズをメディアとしてミルで分散後、 超音波ホモジナイザーで分散する方法である。
好ましい粒径を有する顔料/染料分散体を得る方法としては、 特に限定されるも のではないが、 分散機の分散メディアのサイズを小さくする、 分散メディアの充填 率を大きくする、 分散液中の顔料濃度を高くする、 処理時間を長くする、 分散後、 フィルターや遠心分離機等で分級する等の種々の方法が、 或いはそれらの手法を適 宜組み合わせて用いられる。
特に規定されるものではないが、 分散時における発熱により、 分散液が増粘した り、 発泡したりするなど望ましくない現象がおこる場合は、 冷却しながら分散処理 をすることが望ましい。
この様にして作製した顔料 Z染料分散液をそのまま、 もしくは、 脱イオン水や純 水により希釈した顔料 染料分散液に、 上記のァニオン性及びノ二オン性の界面活 性剤又はこれらの界面活性剤水性媒体溶液を添加し、 その混合液を二次分散処理し 分散液を形成する。
従来おこなわれている様に、 顔料に界面活性剤または高分子分散剤を吸着させた 後、 染料を吸着させた場合、 もしくは顔料に界面活性剤または高分子分散剤と染料 とを同時に分散処理した場合には、 上記の本発明方法で作製した分散液に比べて染 料の吸着量が低下し、 上記分散液よりも粒径が増加したり分散安定性が低下するた め好ましくない。その理由は定かではないが、顔料と界面活性剤を先に混合すると、 界面活性剤が先に顔料に吸着し、 後から添加した染料の顔料への吸着が阻害される ため、 充分な分散効果が発現しないものと推定される。
また、 顔料 染料分散液に界面活性剤を分散させるに先だって、 顔料 染料分散 液に水溶性有機溶剤を添加してもよい。 該水溶性有機溶剤としては、 限定されるも のではないが、 エチレングリコール、 ジエチレングリコール、 エタノール等が挙げ られる。 かかる分散処理に使用する分散機としては、 これに限定されるものではな いが、 ボールミル、 サンドミル、 アトライター、 パールミル、 コポールミル、 ホモ
ミキサー、 ホモジナイザー、 マグネティ ックスターラー、 超音波ホモジナイザー等 を用いることができる。 分散機としてメディアを使うものには、 ガラスビーズ、 ジ ルコニァビーズ、 アルミナピーズ、 磁性ピーズ、 スチレンピーズを用いることがで ぎる。
本発明のインクジエツ ト用記録液は、上記の様にして得られる分散液、 水性媒体、 及び必要に応じて添加されるその他の各種添加剤により構成される。
インクジェッ ト用記録液、 即ちインクの調製は、 上記の如く調製された顔料、 染 料、 界面活性剤及び水性媒体からなる顔料分散液をそのまま、 もしくは、 水で希釈 した上で、 水溶性有機溶剤、 その他の添加剤を混合することにより製造できる。 ィ ンクの混合は、 これに限定されるものではないが、 マグネティ ックス夕一ラーや、 通常の羽翼を備えた撹拌機による撹拌の他、 高速の分散機、 超音波分散機、 ホモジ ナイザー等でおこなうことができる。
本発明のィンクジエツ ト用記録液において用いられる好適な水性媒体は、 水及び 水溶性有機溶剤の混合溶媒である。 ここで用いられる水としては、 分散液の媒体と 同様に、 種々のイオンを含有する一般の水ではなく、 脱イオン水や純水を使用する ことが望ましい。
本発明で使用される水溶性有機溶媒としては、 例えば、 エチレングリコール、 ジ エチレングリコール、 プロピレングリコ一ル、 ブチレングリコール、 トリエチレン グリコール、 テトラエチレングリコール、 トリメチロールプロパン、 1 , 5—ペン 夕ンジオール、 1 , 2 , 6 —へキサントリオール、 グリセリン等の多価アルコール 類; エチレンダリコールモノメチルエーテル、 エチレンダリコールモノェチルエー テル、 エチレングリコールモノブチルエーテル、 ジエチレングリコールモノメチル エーテル、 ジエチレングリコールモノェチルエーテル、 ジエチレングリコールモノ ブチルエーテル、 トリエチレングリコールモノブチルエーテル、 プロピレングリコ ールモノブチルエーテル、 ジプロピレンダリコールモノブチルエーテル等の多価ァ ルコール誘導体 ; ピロリ ドン、 N—メチル— 2—ピロリ ドン、 シクロへキシルピロ リ ドン、 モノエタノールァミン、 ジェタノ一ルァミン、 トリエタノールァミン等の 含窒素溶媒 ; エタノール、 イソプロピルアルコール、 ブチルアルコール、 ベンジル アルコール等のアルコール類;あるいは、チオジェ夕ノール、チォジグリセロール、 スルホラン、 ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒、 炭酸プロピレン、 炭酸ェチレ ン等を用いることができるが、 これに限定されるものではない。
記録液中の上記水の含有量は、 通常、 3 0重量%以上、 好ましくは 5 0重量%以 上の範囲で用いられ、 通常、 9 5重量%以下、 好ましくは 9 0重量%以下の範囲で 用いられる。
また、 上記水溶性有機溶剤の含有量は、 特に制限はないが、 通常、 0 . 1重量% 以上、好ましくは、 1重量%以上、より好ましくは 5重量%以上の範囲で用いられ、 通常、 6 0重量%以下、より好ましくは 4 0重量%以下、特に好ましくは 3 0重量% 以下の範囲で用いられる。
特には、 上記水と水溶性有機溶媒の使用比率として、 水の使用量 ϋ水溶性有機溶 媒量と同量以上にするのが好ましく、 かつ水溶性有機溶媒量に対して、 1 9重量倍 以下の範囲とするのが好ましい。
添加剤としては、 通常、 インクジェッ ト用記録液の調製に使用される各種の添加 剤から必要に応じ、 分散液の安定性を損なわない範囲で適宜選定使用することが出 来、 例えば、 表面張力調整剤、 Ρ Η調整剤、 防腐剤、 キレート剤、 水分散性樹脂、 導電性調整剤、 消泡剤等が挙げられるが、 特にこれらに限定されるものではない。 以下に添加剤の具体例を挙げる。
表面張力調整剤は、 主に記録液の紙への浸透性効果の調整を目的とし、 ァニオン 性、 カチオン性、 ノニオン性、 更には高分子の界面活性剤が用いられる。
ァニオン性界面活性剤としては、 特に限定されないが、 脂肪酸塩類、 アルキル硫 酸エステル塩類、 アルキルベンゼンスルフォン酸塩類、 アルキルナフ夕レンスルフ オン酸塩類、 アルキルスルホコハク酸塩類、 アルキルジフエニルエーテルスルフォ ン酸塩類、 アルキルリン酸塩類、 ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、 ポリォキシエチレンアルキルァリル硫酸エステル塩類、 アル力ンスルフォン酸塩類, ナフ夕レンスルフォン酸ホルマリン縮合物類、 ポリオキシエチレンアルキルリ ン酸 エステル類、 α —才レフィンスルフォン酸塩類等が使用できる。
ノニオン性界面活性剤としては、 特に限定されないが、 ポリオキシエチレンアル キルエーテル類、 ポリオキシエチレンアルキルァリルエーテル類、 ポリオキシェチ レンアルキルフエニルエーテル類、 ポリオキシエチレン誘導体類、 ソルビ夕ン脂肪 酸エステル類、 ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、 ポリオキシェチ レンゾルビトール脂肪酸エステル類、 グリセリン脂肪酸エステル類、 ポリオキシェ チレン脂肪酸エステル類、 ポリォキシエチレンアルキルアミン類等が挙げられる。 カチオン性界面活性剤としては、 特に限定されないが、 テトラアルキルアンモニ ゥム塩、 アルキルアミン塩、 ベンザルコニゥム塩、 アルキルピリジゥム塩、 イミダ ゾリゥム塩等が挙げられる。
その他、 ポリシロキサンォキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、 パーフルォロアルキルカルボン酸塩、 パ一フルォロアルキルスルホン酸塩、 ォキシ エチレンパ一フルォロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、 ラムノ リ ピド、
リゾレシチン等のバイォサ一ファク夕ン卜等の界面活性剤も使用することができ る。
本発明においては、 上記の界面活性剤の中でも、 分散液の調製に用いた界面活性 剤と同種の界面活性剤を用いることが分散安定性の点で望ましい。 即ち、 ァニオン 性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる界面活性剤を用 いることが望ましく、 中でも、 構造が類似した界面活性剤又は同一の界面活性剤を 用いることがより好適である。
添加量は、記録液中に含まれる全体量で 0〜 5重量%、好ましくは、 0〜 3重量%、 更に好ましくは、 0〜2重量%である。
防黴剤は記録液に黴や細菌の発生を防止するために添加される。 防かび剤として は、 特に限定されるものではなく、 デヒ ドロ酢酸ナトリウム、 安息香酸ナトリウム 等が用いられる。 これらは、 記録液中に 0 . 0 5〜1 . 0重量%の範囲で含まれる ことが好ましい。
キレート剤は、 記録液中での金属封鎖とノズルにおける金属析出防止の為に用い られる。 キレート剤としては、 特に限定されるものではないが、 エチレンジァミン テトラァセティ ックアシッ ドのナトリウム塩、 エチレンジアミンテトラァセテイ ツ クァシドのジアンモニゥム塩等が用いられる。 これらは、 記録液中に 0 . 0 0 5〜 0 . 5重量%の範囲で用いられる。
記録液の p Hを調整し、 記録液の安定ないし、 記録装置中の記録液配管との安定 性を得るため、 特に限定されるものではないが、 水酸化ナトリウム、 硝酸、 アンモ ニァ等の p H調整剤、 リン酸塩等の緩衝剤を用いることができる。 記録液の p Hと しては、 通常、 p H 6 ~ l 1程度に調整される。
また、 記録液の泡の発生を防止するため消泡剤を添加することもできる。
本発明のインクジェッ ト用記録液には、 紙への定着性、 インキ塗膜の耐水性を向 上させるために、 本発明の効果を損なわない範囲で水分散性樹脂を用いることが出 来る。 水分散性樹脂としては特に限定されるものではないが、 ポリエステル樹脂、 ポリアミ ド樹脂、 ポリウレタン樹脂、 エポキシ樹脂、 ブタジエン系樹脂、 石油系樹 脂、 フッ素系樹脂、 ポリアミノ酸、 デキス トリン、 ぺクチン、 アルギニン、 グリコ 一ゲン、 キチン、 ポリ核酸、 カルポキシメチルセルロース、 カルポキシメチルデキ ス トラン、 及び、 水溶性のビニル系樹脂、 例えば、 アクリル系樹脂、 スチレンーァ クリル系樹脂、 ポリ ビニルアルコール系樹脂、 酢酸ビニル系樹脂、 ポリビニルピロ リ ドン系樹脂、 ポリビニルァミン系樹脂、 ポリアリルアミン系樹脂、 ポリビニルァ ピリジン系樹脂、 ポリジァリルジメチルアンモニゥムクロライ ド系樹脂等が挙げら れる。
水分散性樹脂は、 記録液中に、 通常、 0. 1〜 1 0重量%、 好ましくは、 0. 5 〜 5重量%の範囲で用いられる。
実施例
以下、 本発明を実施例により更に詳細に説明するが、 本発明はその要旨を越えな い限り、 以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における%は特に断りのない限り、重量基準である。 また、 実施例、 比較例における顔料分散体の粒子径の測定方法、 保存安定性、 顔料への染 料吸着量の評価は下記の方法で実施した。
また、 以下の実施例及び比較例で使用した染料は、 それぞれ使用に先だってメン ブランフィル夕一濾過等による無機塩、 金属塩等の不溶分の除去、 晶析による有機 不純物の除去を実施し、 Ca、 Mg、 zn、 Fe、 Cu、 Alの各金属イオンの含有量がそれ ぞれ lOOppm以下とし、 夾雑物を低減したものを使用した。
( 1) 粒子径
インクジエツト用記録液を脱イオン水で 1 0 00 0倍に希釈し、 大塚電子 (株) DL S 7 0 0 0で H e— N eレーザ一を用いて測定し、 平均粒子径の値を C u m u 1 a n t法により算出した。
(2) 保存安定性
インクジェット用記録液を、 2 3で、 相対湿度 5 0 %の恒温室に一週間静置し、 容器下部から抜き出したインクジエツト用記録液の粒子径を測定し、 調製直後のィ ンクジェット用記録液の粒子径との比較をおこない保存安定性を評価した。
(3) 染料吸着量
染料吸着量の測定は、 以下に示す方法で行った。 すなわち、 2 3でで、 顔料を固 形分量で 4. 1 g (分散液中の顔料量) 及び染料を固形分量で 0. 4 g (分散液中 の総染料量) 秤量し、 これに水を加えて全量を 50 gとし、 0. 5 ΐΏΐηφのジルコ 二アビ一ズ 7 5 gとともに、 ペイントシェーカー (浅田鉄工 (株)製;ペイントシ エーカー P C 振動数 5 35 r pm (5 0 H z ) ) で 6時間分散処理をおこない、 分散液を得た。 得られた分散液を、 室温下でィンバ一夕 ·マイク口遠心機 1 1 20 (久保田製作所 (株) 製) により 1 40 0 0 r pm (遠心力 : 1 7 9 6 8 X g) 、 3時間遠心分離処理をおこない上澄み液を得た。
上記上澄み液及び上記分散液中の総染料と同濃度、 即ち 0. 8 7w t %の染料水 溶液 (染料水溶液と略称する) を、 日立製作所(株)製の HP L C装置 (検出器: L — 742 0形、 ポンプ: L— 7 1 1 0形) で以下の条件で測定をおこない、 得られ る染料由来の HP L Cピーク面積をもとに、 以下の式により染料吸着率及び染料吸 着量を求めた。
[HP LC測定条件]
検出波長 254 nm
カラム Inertsil -ODS 5 ^ (4. βπιπι X250mmL) (ジーェ Jレサイエ ンス(株))
カラム温度 40で
溶離液 ァセトニトリル水 (ァセにトリル濃度は、 メインピークが測定時間 6 0 分以内に検出されるように調整する)
緩衝剤 テトラフ'チルアンモニゥムフ'ロマイト' ; 1 - 0wt%/H2O
リン酸 2水素ナトリウム; 0.25wtWH2O
流星 1.0ml /min
注入量 2.0 1 (希釈無し)
クロマトパック CR— 6 A (島津製作所(株))
上澄み液の H PLCピーク面積 ―
染料吸着率 =1一 -•(II)
0.87wt<½染料水溶液の HPLCピーク面積—
分散液の染料吸着率 X分散液中の総染料量 (=0.4g)
染料吸着量 (g/g)
分散液中の顔料量 (=4.1g)_ ~ 一 (I)
(4) 印字テス ト
一実施例 1〜 4及び比較例 1〜4一
実施例 1 ~4及び比較例 1〜4に関しては、 黒色用カートリッジにィンクを充填 した後、 D e s k J e t 9 9 0 C x iプリンター (ヒューレッ トパッカード (株) 製) 及び B J— F 8 7 0プリン夕ー (キヤノン (株) 製) により、 普通紙 (X e r 0 (株) 4024) に印字を行って、 印字可能か否か評価をした。
評価
〇 : かすれがほとんどない、
X : かすれがひどく字が読めない
また、 実施例 1〜4については、 インクをカートリ ッジに入れたまま一週間後に 再び印字可能か否かについても評価した。
評価
〇 : 一週間後も印字可能
X : 一週間後には印字不可
一実施例 5〜 8及び比較例 5〜 9 一 .
実施例 5〜 8及び比較例 5〜 9に関しては、 黒色用カートリッジにィンクを充填 した後に、 D e s k J e t 9 9 0 C x iプリンター (ヒューレッ トパッカ一ド(株) 製) により、 普通紙 (X e r o x (株) XX 4 0 2 4 ) に印字を行って、 インクを力 一トリッジに入れたまま一週間後に再び印字可能か否か評価した。
評価
〇:一週間後も印字可能
X :一週間後には印字不可
実施例 1
キナクリ ドン系赤色顔料 P R - 1 2 2 (大日精化工業株式会社 ; E C R— 1 8 7 ; ペースト ; 固形分量 2 9. 7 ) 1 3. 8 g、 キサンテン系染料 A R— 5 1 (c . i . AcidRed5l : アルドリッチ (社) ) 1 0 %水溶液 4 g、 脱イオン水 3 2. 2 gを混合し、 0. 5πιιηΦのジルコニァビーズをメディアとしてペイントシエ一 カー (浅田鉄工 (株) : イントシ 1-力- PC 振動数 5 3 5 r p m ( 50Hz ) ) を用いて 6時 間分散して分散液を得た。得られた分散液の染料吸着量は 0. 0 7 g Z gであった。 上記 P R— 1 2 2を 4 0. 9 g、 上記 AR— 5 1の 1 0 %水溶液 1 3. 5 g、 脱 イオン水 9 5. 6 gを 2 0 0 m l ビーカ一に抨量し、 ビーカーを氷水中に漬け、 超 音波ホモジナイザー (日本精機製作所 (株) ; U S— 3 0 0 T ;使用チップ 2 6 m τη ) で 3分間分散させ、 液温が 2 0でになつてから 3分間分散を繰り返し、 分散 時間がトータル 6 0分になるまで分散し分散液(a)を得た。
分散液(a)調製後直ちに、 分散液(a) 7. 4gに対して、 ノニオン性界面活性剤 B r i j 7 6 (ポリォキシエチレン ( 1 0 ) ステアリルエーテル (分子量 = 7 1 1 . 0 4 ) ; アルドリッチ (社) ) を 0. 1 g、 ァニオン性界面活性剤 S D S (ドデシ ル硫酸ナトリゥム (分子量 = 2 8 8. 3 8 ) ;和光純薬工業 (株) ) を 0. 1 g添 加し、 1 5分間マグネティックスターラー ( 1 0 0 0 r pm) で撹拌、 更に 1 5分 間超音波分散処理をおこない分散液(b)を得た。
得られた分散液(b)を以下の処方により、 ィンク化した。
(ィンクの調製)
分散液(b) 7. 6 g
脱イオン水 4. 6 g
トリエチレングリコールモノブチルェ一テル 2. 0 g
ジエチレングリコール 1. 8 g
グリセリン 2. 0 g
トリエタノールァミン 0. 2 g
尿素 1. 8 g
上記成分を混合し、 1 5分間マグネティ ックス夕一ラー ( 1 0 0 0 r pm) で撹 拌、 1 5分間超音波分散処理後、 N a〇H水溶液で p Hを 9. 6に調整してインク を得た。 インクの評価結果を表 1及び表 2に示す。
実施例 2
実施例 1の分散液(a)を用い、 分散液(b)のノニオン性界面活性剤を B r i j 7 8 (ポリオキシエチレン (2 0) ステアリルエーテル (Mw= 1 1 5 1. 5 7 ; ァ ルドリッチ (社) ) にした以外は実施例 1と同様にして分散液(c)を得た。
得られた分散液(c)を実施例 1と同様の添加剤、 調製法でインクを得た。 インク の評価結果を表 1及び表 2に示す。 .
実施例 3
キナクリ ドン系赤色顔料 P R— 1 2 2 (大日精化工業株式会社; E CR— 1 84) 4. l g、 アンスラキノン系染料 A V— 43 (c.l.AcidViolet43:東京化成(株)) 1 0 %水溶液 4 g、 脱イオン水 4 1. 9 gを混合し、 0. 5 mm Φのジルコ二アビ ーズをメディアとしてペイントシエ一力一 (浅田鉄工 (株) 製: イントシ I-力- PC 振 動数 5 3 5 r pm(50Hz) ) を用いて 6時間分散し、 分散液(d)を得た。 得られた分 散液(d)の染料吸着量は 0. 0 6 gZgであった。
上記 P R - 1 22及び上記 A V— 43の組合せにおいて、 実施例 1の分散液(a) の調製と同様にして分散液を調製した。 その後、 直ちにその分散液を用い、 実施例 1の分散液(b)と同様な界面活性剤、 調製法で分散液を得てから、 これを用いて実 施例 1と同様の添加剤、 調製法でインクを得た。 インクの評価結果を表 1及び表 2 に示す。
実施例 4
P R— 12 2 (大日精化工業株式会社 ; ECR— 1 84) 4. l g、 キサンテン 系染料 AR— 8 7 (ci .AcidRed87 : 東京化成(株) ) 1 0 %水溶液 4 g、 脱イオン 水 4 1. 9 gを混合し、 0. 5mm<Dのジルコ二アビ一ズをメディアとしてペイン トシエーカー (浅田鉄工 (株) : へ °イントシ I-力- PC 振動数 5 3 5 r p m (50Hz) ) を 用いて 6時間分散した。 得られた分散液(e)の染料吸着量は 0. 04 g/gであつ た。
上記 P R— 1 22及び上記 AR— 8 7の組合せにおいて、 実施例 1の分散液(a) の調製と同様にして分散液を調製した。 その後、 直ちにその分散液を用い、 実施例 1の分散液(b)と同様な界面活性剤、 調製法で分散液を得てから、 これを用いて実 施例 1と同様の添加剤、 調製法でインクを得た。
比較例 1
実施例 1の分散液(a)を用い、 分散液(b)の界面活性剤を全量ノニオン性界面活 性剤 B r i j 76にした以外は同様に調製を行い分散液(f)を得た。
得られた分散液(f)を実施例 1と同様の添加剤、 調製法でインクを得た。 インク の評価結果を表 1及び表 2に示す。
比較例 2
実施例 1の分散液(a)を用い、 分散液(b)の界面活性剤を全量ァニオン性界面活 性剤 S D Sにした以外は同様に調製をおこない分散液(g)を得た。
得られた分散液(g)を実施例 1と同様の添加剤、 調製法でインクを得た。 インク の評価結果を表 1及び表 2に示す。
比較例 3
P R - 1 2 2 (大日精化工業株式会社; E CR— 1 84) 4. 1 g、 モノァゾ系 染料 AR— 8 (C.i. AcidRed8 :住友化学工業(株)) 1 0 %水溶液 4 g、 脱イオン 水 4 1. 9 gを混合し、 0. 5 πιπιΦのジルコニァビーズをメディアとしてペイン トシエ一力一 (浅田鉄工 (株) 製:へ °イントシエ-力- PC 振動数 5 3 5 r p m ( 50Hz ) ) を 用いて 6時間分散し分散液(h)を得た。 得られた分散液(h)の染料吸着量は 0. 0 1 gZgであった。
調製後直ちに分散液(h)を用い、 実施例 1の分散液(b)と同様な界面活性剤、 調 製法で分散液(i)を得た。 分散液(i)を実施例 1と同様の添加剤、 調製法でインク を得た。 インクの評価結果を表 1及び表 2に示す。 この結果は、 顔料と染料との分 子骨格構造の違いが染料吸着量が少なく物理吸着に劣ることを示している。
比較例 4
P R— 1 2 2 (大日精化工業株式会社; E CR— 1 84) 4. l g、 特開平 8— 2 1 80 1 9の実施例 1で記載されている赤色染料(下記式 1 ) 1 0 %水溶液 4 g、 脱イオン水 4 1. 9 gを混合し、 0. 5 mm のジルコニァビーズをメディアとし てペイントシエ一力一 (浅田鉄工 (株) 製:へ °イントシエ-力- PC 振動数 5 3 5 r p m ( 50HZ ) ) を用いて 6時間分散し、 分散液(j )を得た。 得られた分散液(j >の染料吸 着量は 0. 0 1 g/gであった。
調製後直ちに分散液(j )を用い、 実施例 1の分散液(b)と同様な界面活性剤、 調 製法で分散液(k )を得た。 分散液(k )を実施例 1と同様の添加剤、 調製法でインク を得た。 インクの評価結果を表 1及び表 2に示す。
(式 1)
表 1. インク評価結果
モノァゾ.系黄色顔料 C. I . P i gme n t Y e l l ow— 74 (大日精化 工業 (株) ; ペース ト ; 固形分量 2 2. 1 %) 1 8. 6 g、 C. I . D i r e c t Y e 1 1 o w- 1 3 2 (保土ケ谷化学 (株) ) 1 0 w t %水溶液 4. 0 g、 及び脱
イオン水 2 7. 4 gを混合し、 0. 5 πιιηΦのジルコ二アビ一ズをメディアとして ペイントシエ一力一 (浅田鉄工 (株) ;ペイントシエ一力一 P C 振動数 5 3 5 r pm ( 5 0 H z ) ) を用いて 6時間分散して分散液 ( 1 ) を得た。 得られた分散液 の染料吸着量は 0. 0 5 g/gであった。
分散液 ( 1 ) 調製後直ちに、 分散液 ( 1 ) 7. 4 gに対して、 ノニオン性界面活 性剤 B r i j 7 6 (ポリオキシエチレン ( 1 0 ) ステアリルエーテル (分子量 = 7 1 1 . 0 4) ;アルドリッチ (社) ) を 0. 1 g、 ァニオン性界面活性剤 S D S (ド デシル硫酸ナトリウム (分子量 = 2 8 8. 3 8 ) ;和光純薬工業 (株) ) を 0. 1 g添加し、 1 5分間マグネティックスターラー ( 1 0 0 0 r pm) で撹拌、 更に 1 5分間超音波分散処理をおこない、 分散液 (m) を得た。
分散液 (m) を以下の処方により、 インク化した。
(記録液の調製)
分散液 (m) 7. 6 g
脱イオン水 6. 4 g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2. 0 g
ジエチレングリコール 2. 2 g
グリセリン 1. 7 g
トリエタノールアミン 0. 1 g
上記成分を混合し、 1 5分マグネティックスターラー( 1 0 0 0 r pm)で撹拌、 1 5分間超音波分散処理後、 N a OH水溶液で p Hを 9. 6に調整して記録液を得 た。 記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。
実施例 6
モノァゾ系黄色顔料 C. I . P i gm e n t Y e l l ow— 7 4 (大日精化工 業 (株) ;ペースト ;固形分量 2 2. 1 %) 1 8. 6 g , C. I . D i r e c t Y e l 1 o w- 2 7 (アルドリッチ (社) ;パウダー) 0. 4 g、 及び脱イオン水 3 l gを混合し、 0. 5 πιπ Φのジルコニァビーズをメディアとしてペイントシエ一 力一(浅田鉄工(株) ;ペイントシエ一カー P C 振動数 5 3 5 r pm ( 5 0 H z ) ) を用いて 6時間分散して分散液 (n ) を得た。 得られた分散液の染料吸着量は 0. 0 6 gZgであった。
得られた分散液 (n ) を用い、 実施例 5における分散液 (m) と同様に界面活性 剤を添加、 混合し分散液 (o) を得た。
得られた分散液 (o ) を実施例 1と同様の添加剤、 調製法で記録液を調製した。 得られた記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。
実施例 7
C. I . P i gme n t Y e l l ow— 74 (大日精化工業(株) ;ペース卜 ; 固形分量 22. 1 %) 1 8. 6 g、 C. I . Ac i d Y e l l ow— 3 6 (東京 化成 (株) ;パウダー) 0. 4 g、 及び脱イオン水 3 1 gを混合し、 0. 5mm<D のジルコニァビーズをメディアとしてペイントシェーカー (浅田鉄工 (株) ; ペイ ントシエ一カー P C 振動数 5 3 5 r pm ( 5 0 H z ) ) を用いて 6時間分散し、 分散液 (p) を得た。 得られた分散液 (p) の染料吸着量は 0. 0 7 g/gであつ た。
得られた分散液 (P) を用い、 実施例 5にける分散液 (m) と同様に界面活性剤 を添加、 混合し分散液 (Q) を得た。
得られた分散液 (Q) を実施例 1と同様の添加剤、 調製法で記録液を調製した。 得られた記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。
実施例 8
C. I . P i gme n t Y e l l ow— 74 (大日精化工業 (株) ;ペースト ; 固形分量 22. 1 %) 1 8. 6 g、 C. I . A c i d Y e l l ow— 9 9 (チバ ガイギー (社) ) 1 0 %水溶液 4 g、 及び脱イオン水 2 7. 4 gを混合し、 0. 5 mm Φのジルコニァビーズをメディアとしてペイントシエ一カー(浅田鉄工(株) ; ペイントシエ一カー P C 振動数 5 3 5 r pm ( 5 0 H z ) ) を用いて 6時間分散 した。 得られた分散液 ( r) の染料吸着量は 0. 0 9 gZgであった。
得られた分散液 ( r) を用い、 実施例 5における分散液 (m) と同様に界面活性 剤を添加、 混合し分散液 (s ) を得た。
得られた分散液 ( s ) を実施例 1と同様の添加剤、 調製法で記録液を調製した。 得られた記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。
比較例 5
実施例 5の分散液 ( 1 ) を用い、 実施例 1.の分散液 (m) の界面活性剤を全量ノ 二オン性界面活性剤 B r i j 7 6に代えた以外は同様にして調製を行い分散液 ( t ) を得た。
得られた分散液 ( t ) を実施例 1と同様の添加剤、 調製法で記録液を調製した。 得られた記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。
比較例 6
実施例 5の分散液 ( I ) を用い、 実施例 1の分散液 (m) の界面活性剤を全量ァ 二オン性界面活性剤 S D Sに代えた以外は同様にして調製を行い分散液 (u) を得 た。
得られた分散液 (u) を実施例 1と同様の添加剤、 調製法で記録液を調製した。 得られた記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。
比較例 7
C. I . P i gme n t Y e l l ow— 7 4 (大日精化工業(株) ;ペースト ; 固形分量 2 2. 1 %) 1 8. 6 g、 C . I . A c i d Y e 1 1 o w- 1 7 (アル ドリツチ (社) ) 1 0 %水溶液 4 g、 及び脱イオン水 2 7 · 4 gを混合し、 0. 5 mm Φのジルコ二アビ一ズをメディァとしてペイントシエ一力一(浅田鉄工(株) ; ペイントシェーカー P C 振動数 5 3 5 r pm ( 5 0 H z ) ) を用いて 6時間分散 し分散液 (V ) を得た。 得られた分散液 (V ) は非常に粘調で、 ジルコニァビーズ との分離ができず、回収困難であり、その染料吸着量は 0. 0 0 2 g/gであった。 この結果は、 顔料と染料との分子骨格構造の違いにより染料吸着量が著しく少ない ため、 顔料が効果的に分散されていないこと、 及び、 過剰な遊離染料により顔料の フロキユレーションが起こることを示している。
比較例 8
C. I . P i gme n t Y e l l ow— 7 4 (大日精化工業(株) ;ペースト ; 固形分量 2 2. 1 %) 1 8. 6 g、 C. I . D i r e c t Y e 1 l ow— 5 0 (ァ ルドリッチ (社) ) 1 0 %水溶液 4 g、 及び脱イオン水 2 7. 4 gを混合し、 0. 5 π ΓηΦのジルコ二アビ一ズをメディアとしてペイントシエ一力一 (浅田鉄工 (株) ;ペイントシェーカー P C 振動数 5 3 5 r pm ( 5 0 H z ) ) を用いて 6 時間分散し、 分散液 (w) を得た。 得られた分散液 (w) の染料吸着量は 0. 0 1 g Z gであった。
調製後直ちに分散液 (w) を用い、 実施例 1における分散液 (m) と同様な界面 活性剤、 調製法で分散液 (X ) を得た。 分散液 (X ) を実施例 5と同様の添加剤、 調製法で記録液を調製した。 得られた記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。 比較例 9 実施例 5の分散液 ( 1 ) を用い、 実施例 5の分散液 (m) の界面活性 剤を全量高分子分散剤ポリエチレングリコール (P E G) (分子量 2 0 0 0 ; シグ マアルドリツチジャパン (株) ) に代えた以外は同様にして調製を行い分散液 (y ) を得た。
得られた分散液 (y) を実施例 5と同様の添加剤、 調製法で記録液を調製した。 得られた記録液の評価結果を表 3及び表 4に示す。
表 3 記録液評価結果
表 4 印字テスト結果
本発明によれば顔料と顔料に対して特定な吸着性を有する染料との組合せを選 択すること、 並びに、 ノニオン性界面活性剤及びァニオン性界面活性剤を組合せて 用いることにより、 記録液の調製時の分散処理を制御することができ、 良好な分散 性、 並びに、 良好な印字性及び保存安定性を有するインクジェッ ト用記録液を得る ことができる。